(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869967
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】経皮的グレン並びにフォンタン手術を実施するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20210426BHJP
A61F 2/966 20130101ALI20210426BHJP
A61B 17/11 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/966
A61B17/11
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-514884(P2018-514884)
(86)(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公表番号】特表2018-528009(P2018-528009A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】US2016052005
(87)【国際公開番号】WO2017049003
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】62/219,118
(32)【優先日】2015年9月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/363,716
(32)【優先日】2016年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518089300
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービス
【氏名又は名称原語表記】THE UNITED STATES OF AMERICA, AS REPRESENTED BY THE SECRETARY, DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICE
(73)【特許権者】
【識別番号】518088392
【氏名又は名称】トランスミュラル システムズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Transmural Systems LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】ラフィー ナセル
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】レーダーマン ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラトナヤカ カニシカ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド ビウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラフィー アラナ
【審査官】
寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−519969(JP,A)
【文献】
米国特許第05749921(US,A)
【文献】
特表2010−520026(JP,A)
【文献】
特表2002−542872(JP,A)
【文献】
特開2004−298472(JP,A)
【文献】
特表平11−509130(JP,A)
【文献】
特開2000−000312(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0184982(US,A1)
【文献】
米国特許第06059824(US,A)
【文献】
特表2010−508093(JP,A)
【文献】
特表2008−511425(JP,A)
【文献】
特表2014−528761(JP,A)
【文献】
特表2005−523107(JP,A)
【文献】
特表2009−527282(JP,A)
【文献】
特表2003−511151(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/150106(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61B 17/11
A61F 2/966
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増強されたエンドグラフトシャントプロテーゼであって、
第1の血管の壁に対する前記プロテーゼの固定の一助となる遠フランジと、
遠領域であって、前記遠領域が通る前記第1の血管の壁に形成される穴の開状態を維持するのに十分な剛性を有し、前記遠フランジの近傍から延伸する遠領域と、
前記遠領域の近傍から延伸する伸展性中間領域であって、前記遠領域よりも伸展性を有し、内側の管状の布及び外側の管状の布の少なくとも1つに取り付けられた複数の起伏状のストラットリングを含み、組み合わせ構造が柔軟性及び伸展性を提供して折り曲げられた際に完全な開通性を許容し、最大で90度まで折り曲げられるようにさらに構成された伸展性中間領域と、
互いに接続された複数の隣接する起伏状のストラットリングを有し、第2の血管の壁に対して固定され、押し付けられるのに十分な剛性を有する近領域と、
テザーを含む起伏状の近端であって、前記テザーは開口に通され、前記テザーに張力が加えられた場合に放射状に内側につぶれる前記プロテーゼの近端と、
を備え、
前記プロテーゼの側壁を介した少なくとも1つの窓部を画定し、体液の漏出を前記窓部を介して許容する、
ことを特徴とするプロテーゼ。
【請求項2】
前記近領域は、前記第2の血管の壁の内壁に対する並置を向上させるフレア状あるいはベル状であることを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
押しつけられていない場合、放射状に外側に自己拡張するよう構成及び配置され、
前記遠フランジは、マルチポイントのスターの形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記遠フランジは、前記プロテーゼの中央長手方向に略平行な第1の方向から自己拡張及び反転するように構成され、前記プロテーゼの壁に対して70度以上90度未満の鋭角を形成する先端を有する折り曲げられたフランジへと変化することを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記各ストラットリングは、起伏する「ジグザグ」パターンへと形成されたニチノールワイヤから形成されること特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記プロテーゼは、前記ストラットの内側に配置された内側管状布層と、前記ストラットの外側に配置された外側管状布層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記プロテーゼは、前記プロテーゼの前記近端にフランジをさらに含み、
各フランジ端は、前記プロテーゼが第1のボディ内腔と第2のボディ内腔との壁に設けられた開口を介してマウントされる際に、前記第1のボディ内腔及び前記第2のボディ内腔に押しつけられるよう構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記各フランジ端は、それぞれ、弾性部材によって中央領域において構造的に連結されている管状の構造領域に取り付けられており、張力は、前記弾性部材によってプロテーゼに維持されて、前記フランジ端の前記第1の血管及び前記第2の血管の内壁に対する固定の一助となる、ことを特徴とする請求項7に記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記プロテーゼは、調整可能な伸縮長さを有することを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項10】
前記プロテーゼの内径は、前記プロテーゼの長さが調整された場合でも略不変であることを特徴とする請求項9に記載のプロテーゼ。
【請求項11】
請求項1に記載のプロテーゼがマウントされたデリバリシステムであって、
前記プロテーゼは、長手方向内側部材と、退避可能なさやの内側とにマウントされることを特徴とするデリバリシステム。
【請求項12】
前記プロテーゼを介して通された前記テザーの両端が、前記デリバリシステムの近領域を介してその外側の近傍に延伸する、ことを特徴とする請求項11に記載のデリバリシステム。
【請求項13】
さらに、前記デリバリシステムの遠端の近傍に放射線不透過性マーカの第1の組と、前記デリバリシステム及び前記プロテーゼの相対的な位置を示し、手術の際に患者の外部から視認可能なマーカの第2の組とを備え、前記第1及び第2のマーカは、手術の間に互いの位置が維持されるように構成される、ことを特徴とする請求項12に記載のデリバリシステム。
【請求項14】
前記第1の組のマーカは、酸化鉄から形成された前記デリバリシステムの非外傷性遠端に位置し、MRIあるいは他の画像診断技術による案内を容易にし、前記デリバリシステムを正確に位置決めし、前記第2の組のマーカは、前記デリバリシステムの前記部分の長手方向における相対位置を示す、ことを特徴とする請求項13に記載のデリバリシステム。
【請求項15】
前記マーカは、前記プロテーゼの前記遠フランジが、動脈の前記壁の内面に対して引っ張られるのに好適に構成されるようになったときに、その旨を示す、ことを特徴とする請求項13に記載のデリバリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2015年9月15日になされた米国仮特許出願第62/219118号及び2016年7月18日になされた米国仮特許出願第62/363716号に基づく優先権を主張する。各特許出願の内容は、参照として本明細書に取り込まれる。
【0002】
本開示は、2つの隣接する血管の間の非外科的、経皮的かつ非解剖学的バイパスのための経カテーテル(つまり、カテーテルの内腔を介して行われる)グレンシャント及びフォンタンシステム(経カテーテル大動脈肺動脈バイパスエンドグラフトプロテーゼ及びデリバリ)のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
チアノーゼ先天性心疾患(CCHD)の形態の1つである、単心室生理機能(SVP)、を持って生まれた子供達は、全ての先天性心疾患患者の7.7%を示し、10000人当たり約4−8人の割合で生まれてくる。アメリカでは、これは、毎年約2000人の出生児を示す。現在、SVP幼児には、一連の段階的な外科的手術が行われている。最初の緩和手術は、単心室への過負荷を最小化しつつ、全身及び肺のアウトプット間のバランスを確立する。次の緩和手術は、多くの場合、受動的な肺の血流を許容するための双方向グレンシャントあるいはヘミフォンタン手術を介した大静脈肺動脈吻合である。これらは、当該若い患者にとってはかなりの回復時間及び過度の負担を要する侵襲的かつ外傷的な外科的手術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的及び利点は、本明細書において示され、以下の詳細な説明によって明らかにされる。開示する実施の形態の追加的な利点については、添付の図面と共に、ここに記載される説明において具体的に示される方法及び装置によって実現及び達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した外科的手術の結果を得るための経カテーテルアプローチは、先天性心疾患患者を持つ当該子供たちのマネージメントについて改革をもたらすことができる。ノーウッド手術、双方向グレン手術及びフォンタン手術の代替として、非外科的経カテーテル治療は、幼児への手術の負担を制限するとともに、コストを低減する。専用の大静脈肺動脈吻合装置には、考慮すべき課題があった。出願人の知る限りにおいて、FDAの認可外の医学的用途について、商用的な代替は存在しなかった。
【0006】
本開示の目的に従ってこれら及び他の利点を達成するため、実施の形態として、一つの態様において、本開示は、大静脈肺動脈自己拡張型インプラントの実施の形態を包含し、介入性の心臓専門医が、上大静脈(SVC)と主肺動脈(MPA)との間にシャントを形成することが可能にする。このインプラントは、先天性の心不全を有する子供達に、早急に必要とされている選択肢を提供するもので、三段階の手術(いわゆる緩和手術)の負担、緩和手術の失敗後の追加の心臓移植の負担、あるいは直接心臓移植後の生涯に渡る薬剤摂取の負担を低減する。
【0007】
いくつかの実装例において、放射状に自己拡張するエンドグラフトプロテーゼは、(i)自己拡張し、前記プロテーゼのボディに対して略垂直に反転して組織の壁に対する前記プロテーゼの固定の一助となるよう構成される遠フランジと、(ii)血管の壁に形成される穴の開状態を維持するのに十分な剛性を有し、前記遠フランジの近傍から延伸する遠領域と、(iii)前記遠領域の近傍から延伸する伸展性中間領域であって、前記遠領域よりも伸展性を有し、管状の布に取り付けられた個別に移動可能な起伏状波型のストラットリングを有し、組み合わせ構造が柔軟性及び伸展性を提供して折り曲げられた際に完全な開通を可能にし、最大で90度まで折り曲げられるように構成された伸展性中間領域と、(iv)互いに接続された複数の隣接する起伏状ストラットリングを有し、血管の壁に対して固定するのに十分な剛性を有する近領域と、(v)複数の開口を有し、前記開口を介して係合されるテザーを収容し、前記テザーに張力が加えられた場合に前記プロテーゼが放射状に内側につぶれるようにする近端と、を備える。
【0008】
いくつかの実装例において、上記のプロテーゼを備えるデリバリシステムは、前記プロテーゼが長手方向内側部材及び退避可能なさやの内側にマウントされて提供される。前記プロテーゼを介して通された前記テザーの両端が、前記デリバリシステムの近領域を介してその外側の近傍に延伸してよい。さらに、前記デリバリシステムは、前記デリバリシステムの遠端の近傍に放射線不透過性マーカの第1の組と、前記デリバリシステム及び前記プロテーゼの相対的な位置を示す、手術の際に患者の外部から視認可能なマーカの第2の組とを備えてよく、前記第1及び第2の組のマーカは、手術の間に互いの位置が維持されてよい。前記第1の組のマーカは、酸化鉄から形成された前記デリバリシステムの非外傷性遠端に位置し、MRIあるいは他の画像診断技術による案内を容易にし、前記デリバリシステムを正確に位置決めし、前記第2の組のマーカは、前記デリバリシステムの前記部分の長手方向における相対位置を示すものであってよい。前記マーカは、前記プロテーゼの前記遠フランジが、動脈、例えば主肺動脈の前記壁の内面に対して引っ張られるのに好適に構成されるようになったときに、その旨示すように構成されてよい。
【0009】
さらに、前記プロテーゼは、内腔の前記内壁に対する並置を向上させるフレア状あるいはベル状の近領域を備えてよい。前記プロテーゼは、さらに、前記プロテーゼの側壁を介した少なくとも1つの窓部を画定し、体液の漏出を前記窓部を介して許容してよい。
【0010】
いくつかの実装例において、管状のプロテーゼは、第1のフランジ端と第2のフランジ端とを備え、前記プロテーゼが第1のボディ内腔と第2のボディ内腔との壁に設けられた開口を介してマウントされる際に、前記各フランジ端が、それぞれ、第1のボディ内腔と第2のボディ内腔とに押しつけられるように構成される。前記プロテーゼは、長さの調整が可能であってよい。前記プロテーゼは、中央弾性領域によって接続された近部分及び遠部分とを備え、前記プロテーゼが引き延ばされて当該プロテーゼの前記フランジ端が当該フランジ端がマウントされた前記内腔に対して引っ張られることを可能にする。
【発明の効果】
【0011】
上記の概要及び以下の詳細な説明は、共に、例示的なものであり、本明細書に開示する実施の形態についての更なる説明を提供することを意図したものである。
【0012】
添付の図面は、本明細書の一部を構成し、本開示の方法及び装置について更なる理解を図示及び提供するために含まれるものである。詳細な説明と共に、図面は開示する実施の形態の原理を説明する。
【0013】
例示的な実施の形態の、上述した及び他の目的、観点、特徴並びに利点については、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することで明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】プロテーゼ用のデリバリシステムの遠領域周辺に展開された、グレン手術を行うための自己拡張型プロテーゼを示す図である。
【
図1B】
図1Aで示したプロテーゼの一部のクローズアップ図である。
【
図2A】デリバリシステムに
図1Aのプロテーゼ等を装填するための
図12の装填ツールの使用を示す図である。
【
図2B】デリバリシステムに
図1Aのプロテーゼ等を装填するための
図12の装填ツールの使用を示す図である。
【
図2C】デリバリシステムに
図1Aのプロテーゼ等を装填するための
図12の装填ツールの使用を示す図である。
【
図3A】初期展開位置におけるプロテーゼデリバリシステムを示す図である。
【
図3B】初期展開位置におけるプロテーゼデリバリシステムを示す図である。
【
図3C】完全に展開されて後退テザーが通されたプロテーゼを示す図である。
【
図3D】完全に展開されて後退テザーが取り外されたプロテーゼを示す図である。
【
図4A】展開された状態等における、グレン手術のための例示的なプロテーゼを示す図である。
【
図4B】遠端で右側に屈曲される同一のプロテーゼを示す図である。
【
図4C】フレア状の遠端を有する
図4Bの屈曲したプロテーゼを示す図である。
【
図4D】主肺動脈(MPA)及び上大静脈(SVC)において展開された、本開示に係るグレンシャントプロテーゼのモデルを示す図である。
【
図4E】グレン手術において用いられる大きな豚のモデルにおける、完全に展開された経皮的大静脈肺動脈バイパスエンドグラフト自己拡張型プロテーゼのスキャン図である。
【
図5A】フォンタン手術において用いられる例示的なプロテーゼの等角図法による概要図である。
【
図6A】フォンタン手術において用いられるプロテーゼについての第1の例示的な実施の形態を示す図である。
【
図6B】フォンタン手術において用いられるプロテーゼについての第2の例示的な実施の形態を示す図である。
【
図7】本開示に係る試験動物におけるグレン並びにフォンタン手術において展開されたプロテーゼの画像である。
【
図8A】本開示に係る、プロテーゼを展開する方法の様々な態様を示す図である。
【
図8B】本開示に係る、プロテーゼを展開する方法の様々な態様を示す図である。
【
図8C】本開示に係る、プロテーゼを展開する方法の様々な態様を示す図である。
【
図8D】本開示に係る、プロテーゼを展開する方法の様々な態様を示す図である。
【
図8E】本開示に係る、プロテーゼを展開する方法の様々な態様を示す図である。
【
図9A】本開示に係る、例示的なプロテーゼ及びデリバリシステムの更なる態様を示す図である。
【
図9B】本開示に係る、例示的なプロテーゼ及びデリバリシステムの更なる態様を示す図である。
【
図9C】本開示に係る、例示的なプロテーゼ及びデリバリシステムの更なる態様を示す図である。
【
図9D】本開示に係る、例示的なプロテーゼ及びデリバリシステムの更なる態様を示す図である。
【
図9E】本開示に係る、例示的なプロテーゼ及びデリバリシステムの更なる態様を示す図である。
【
図10A】本開示に係るプロテーゼについての更なる2つの実施の形態を示す図である。
【
図10B】本開示に係るプロテーゼについての更なる2つの実施の形態を示す図である。
【
図10C】本開示に係るプロテーゼについての更なる2つの実施の形態を示す図である。
【
図10D】本開示に係るプロテーゼについての更なる2つの実施の形態を示す図である。
【
図11A】本開示に係るプロテーゼについての更なる実施の形態を示す図である。
【
図11B】本開示に係るプロテーゼについての更なる実施の形態を示す図である。
【
図12A】本開示に係るプロテーゼ装填ツールを示す図である。
【
図12B】本開示に係るプロテーゼ装填ツールを示す図である。
【
図12C】本開示に係るプロテーゼ装填ツールを示す図である。
【
図12D】本開示に係るプロテーゼ装填ツールを示す図である。
【
図12E】本開示に係るプロテーゼ装填ツールを示す図である。
【
図12F】本開示に係るプロテーゼ装填ツールを示す図である。
【
図12G】本開示に係るプロテーゼ装填ツールを示す図である。
【
図12H】本開示に係るプロテーゼ装填ツールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の好ましい実施の形態を詳細に説明し。それらの例を添付の図面において図示する。開示する実施の形態に係る方法及び対応するステップについては、システムについての詳細な説明とともに説明する。以下に示す例示的な実施の形態は、経皮的ではあるがグレン並びにフォンタン手術を行う場合に適用可能である。しかしながら、開示する実施の形態あるいはその変形例については、血管あるいは他の生物学的内腔の自然もしくは人工的構造への接続を含む多数の手術に適用可能である。
【0016】
開示するTCBE(経カテーテル大静脈肺動脈バイパスエンドグラフト)についての実施の形態は、開胸手術に対して安全で、負担を軽減し、有効な代替を必要とする内科医及び若い患者のための潜在的な突破口を示すもので、先天的な心不全を治すための経皮的なアプローチである。
【0017】
具体的な実装例においては、TCBEの根本的なデザインは、4つの構成要素に基づき、(i)フランジ(マルチポイント(例えば、6ポイント)のスターから構成される)と、2から4列の(縫合によって)接続された起伏するワイヤ部とに分割される遠部分、(ii)非接続のより長い起伏するワイヤ部を含む中間部分、(iii)及び、血管内のインプラントをブリッジして安定化するのに役立つ最大寸法の近部分、である。インプラントのサイズによっては、「グレンシャント」(長さ約5cm)あるいは「フォンタンシャント」(長さ約8cm)として形成可能である。これらは、例えば、特別にデザインされたデリバリシステムによってもたらされる超弾性ニチノール担持管状ポリエステル布インプラントとすることができる。好ましくは、プロテーゼ及びデリバリシステムは、ともにMRI互換性を有する。TCBEについての例示的な実施の形態は、経カテーテル大静脈肺動脈バイパスの用途に特に開発された複数の有用な特徴を含むものである。
【0018】
限定ではなく説明の目的で、ここで具現するように、また
図1に示すように、プロテーゼは、デリバリシステムの遠領域上での経カテーテル大静脈肺動脈バイパスのために提供される。図示するように、装置は、起伏する「ジグザグ」パターンを有するリング状の部分から形成される管状並びにステント状の構造を有する。まず、プロテーゼの近端は、プロテーゼの最近傍のリングによって画定される起伏端を有する。遠端は、起伏状の材料のリングから形成される、同様の起伏する端を有するが、材料は熱処理され、プロテーゼの中央長手方向に略平行な第1の方向から「反転」されており、膨張が許容された場合に、プロテーゼの長手方向に略垂直な先端を有する折り曲げられたフランジへと変化する。フランジは、長手方向に対して任意の好適な角度で展開可能であり、好ましくは長手方向に対して垂直、あるいは、プロテーゼの壁に対してわずかな鋭角(70度から90度の間)を有してもよい。フランジは、血管あるいは他の組織壁の開口を介してプロテーゼの残りの部分を前進させる際に、血管あるいは他の組織壁の内側に対して引っ張る場合に有益であり、乗り越えてしまうことを防止し、グレン並びにフォンタン手術だけでなく容易化された吻合手術を主に可能にする。
【0019】
図示するように、プロテーゼの近端は、起伏状リングの巻線を介して送られる、それを通るテザーを受ける。テザーは、コアを形成するコア部材、あるいはデリバリシステムのプッシュロッドを通る管状部材(例えば、さや)の近傍を介して引き出される。コアは、さやに対してスライド可能に配置可能である。プロテーゼをマウントした状態でコア部材をさやの遠側及び外側に前進させることで、プロテーゼは自己拡張する。しかしながら、さやに張力が加わっている場合、プロテーゼの近端が放射状に内側につぶれ、これによってプロテーゼがさやの内部へと引き出される。プロテーゼの、特に当該プロテーゼの遠端近傍の隣接する起伏状のリングは、互いに(例えば、縫合によって)接続可能であるが、互いに独立した状態で維持されて、内側及び/又は外側管状布層に取り付け可能でもある。所望の性能を得るために、プロテーゼの剛性が選択及び/または構成される。従って、遠端は、開状態で血管あるいは他の器官の壁内で開いた状態を維持するよう、比較的硬質であり、当該開状態は、プロテーゼが血管の壁からの穴を「閉じようと」する力に抗してプロテーゼが通った状態である。近領域は、剛性が低く、それがマウントされる血管の血管曲率を増大することができる。
【0020】
デリバリシステムは、典型的には、ガイドワイヤが通過可能な非外傷性の遠端を有し、例えば、蛍光透視法におけるビジュアル化を容易にするための1つ以上の放射線不透過性マーカを備えてよい。(デリバリシステムに装填された場合にプロテーゼを囲む)デリバリシステムのさやの遠端あるいは端部領域もまた、放射線不透過性マーカを備えてよい。
【0021】
図2A−2Dは、
図12を参照して後述して詳細に説明するクラムシェル状の装填ツールを用いたデリバリシステムのコア部材へのプロテーゼの装填を示す。
図2Cは、つぶれた状態のデリバリシステムを示す。デリバリシステムは、それを通るガイドワイヤ内腔を画定する上記コア部材を備える。さやはコアに取り付けられ、テザーはコアとさやとの間の環状の空間内の構成要素間に渡って展開される。
図3Aに示すように、さやが近傍に前進することで、プロテーゼのフレア状の遠端が、0から90度で反転する。プロテーゼの近端は、テザーの張力が解除されるまで、テザーによって放射状にかつ内側に保持される。テザーが取り外されない限り、プロテーゼが完全に取り外し可能であるようにするため、テザーに張力を再度加えることも可能である。
【0022】
図4Aは、グレン手術のための本開示のプロテーゼを示す。プロテーゼの遠領域は、柔軟性を有し、プロテーゼが曲がった血管を通過できるようにする。
図4Dは、グレン手術において、プロテーゼの近端が上大静脈へ延伸した状態で、主肺動脈(MPA)の内壁に対して引っ張られるプロテーゼのフランジ遠端を示す。
【0023】
図5Aは、フォンタン型プロテーゼの概要斜視図であり、
図5Bは、当該プロテーゼの側面概要図である。プロテーゼのフレームワークの隣接リングは、好ましくはフレームワークのリングを通過する管状の布に(例えば縫合によって)取り付けられ、フレームワークは、例えば、.014インチの直径のNiTiから形成される。各構造リングの長手方向寸法は、異なっていてよい。例えば、プロテーゼの領域「A」は、比較的剛性が高く、リングは直接あるいは布を介して互いに取り付け可能で、領域B、C、D、及びEは、それとは異なり、剛性が低い。
【0024】
図6Aは、フォンタン手術のためのプロテーゼについての第1の実施の形態を示す。ボディは、
図5のプロテーゼのものと同様であるが、例えば.013インチのNiTiワイヤから形成される。
図6Bは、同じワイヤから形成される第2の実施の形態を示すが、フランジが鋭角で形成され、プロテーゼが展開される際に遠端フランジの反転あるいは移動量を増加させる。プロテーゼは、中央領域において布に1つ以上の(例えば、2つの)窓部を備えてよく、プロテーゼが、主肺動脈内に展開されたその遠端から上大静脈へ広がる際に漏出物を右心房に入れるようにする。以下の表は、
図5Bに示すプロテーゼについて好適な寸法例を示す。
【0026】
各プロテーゼの端における星形のフランジは、血管内でプロテーゼを固定させるのに有用である。いくつかの実施の形態においては、テザーは、デリバリシステムの長手方向に沿って平行な内腔を伝って展開可能で、互いに絡まってしまうことを防止する。フォンタン手術のプロテーゼは、好ましくは、
図6Bに示すようにフレア状近領域を備え、壁の並置を強化する。
【0027】
図7は、本開示のデリバリシステムを用いる、開示のプロテーゼの2つが取り付けられた動物モデルを示し、一方は(上大静脈(SVC)から主肺動脈(MPA)に血液を供給するためにSVCをMPAに接続する)グレン手術におけるもので、他方は(心室を介して下大静脈(IVC)を主肺動脈(MPA)に接続する)フォンタン手術におけるものであり、プロテーゼは、心室内へ漏出物を入れるようにする窓部を備える。
【0028】
図8Aは、プロテーゼ(グレンあるいはフォンタン手術用)がマウントされたデリバリシステムを示す。
図8Bは、コアと、前進した遠端とを示し、プロテーゼのフレア状の遠端が展開されている。
図8Cは、プロテーゼのフレア状遠端のクローズアップ図である。
図8Dは、プロテーゼの大部分が展開されているが、テザーに張力が加わってプロテーゼの近端が放射状に内側に保持されている状態を示す。
図9A及び9Bは、上述したプロテーゼについての2つの異なる実施の形態を示し、
図9Cは、プロテーゼがデリバリシステムのさや内でつぶれた状態を示し、
図9Dは、各プロテーゼのデリバリシステムの近端を示す。
図9Eは、用途に応じて適用可能な異なるサイズの遠端を示す。遠端は、装置の中央のガイドワイヤ内腔に対して遠側かつ外側に延伸するガイドワイヤに対する応力緩衝部として機能する。そのため、端部は比較的長いことが望ましいが、デリバリシステムが斜めに進入する際に、比較的狭い内腔を案内しないように、長すぎないことも有用である。
【0029】
図10A−10Bは、フランジ端を有するプロテーゼの側面図及び等角図法による図である。
図10C−10Dは、(プロテーゼ展開時の)フランジ状の近端とともにフランジ状の遠端を有するプロテーゼの側面図及び等角図法による図である。図示するプロテーゼは、比較的大きな径を有する例えばフランジ端近傍の第1の部分であって、小さな径を有する領域に移行する移行部である第1の部分を有する。プロテーゼは、また、調整可能な伸縮長さを有してよい。内径は、好ましくは、プロテーゼの長さが調整された場合に略不変である。
【0030】
図11A−11Bは、管状の構造領域に取り付けられた2つのフランジ端を有する調整可能な長さのプロテーゼを示し、それらはばね等の弾性部材によって中央領域において連結されている。管状の布部材は、好ましくは、プロテーゼの長さ方向に沿って内側あるいは外側を通過する。図示するプロテーゼは、図の理解の容易化する目的で管状の布部材を有していないが、各端は、互いに異なる直径を有してよい。このようなプロテーゼは、例えば大動脈を減圧するために下行大動脈から主肺動脈までのシャントを形成するのに有用である。プロテーゼの長さは調整可能で、ばねによってプロテーゼに張力が維持され、これがフランジ端を大動脈及びMPAの内壁に対して安定する際の一助となる。
【0031】
図12A−12Hは、本開示に係るプロテーゼ装填ツールの態様を示す。図示するように、装填ツールは、2つの部分を有し、その内面を
図12A及び12Bに示す。内部チャンネルは、比較的大きな径から比較的小さな径に絞られる第1のファンネル部であって、一定の径を有する第2の領域に移行する第1のファンネル部を有するが、小さな径の領域に段差あるいは肩を有し、これによってファンネル部が効果的に一定の径を有する領域よりも若干小さな径を有している。
図12C−12Eに示すように、2つの部分は、ツールの一方の一組の突起が、ツールの他方の一組の切り欠きあるいは穴に挿入されることで互いに位置合わせされて合体される。使用においては、プロテーゼを覆うさやの遠端が、一定の径の部分を有するプロテーゼの一端に、肩に当接するまで挿入される。使用において、デリバリシステムの中央シャフトがさや及びファンネル部分を通過する。テザーがその近端に取り付けられたプロテーゼは、その後、ファンネルに向かって押し込まれ、さやの内側にフィットするように、そしてデリバリシステムの中央シャフトあるいは管状コア部材を包囲する。ファンネル部に向かってプロテーゼを押し込むことで、圧縮力が働くようになる。プロテーゼを装填した後は、装填ツールは単に取り外される。
【0032】
一般に、展開中に、デリバリシステムは、プロテーゼを展開すべき位置まで前進させられる。次に、ガイドワイヤの遠端及びコアを、プロテーゼと同様に遠側へ前進させ、プロテーゼのフランジを、血管あるいは他の組織の壁の開口を介して展開する。次に、フランジ端を、血管の内壁に押し付ける。デリバリシステムの近端において対応するマーカを用いてよく、これによってフランジがどのポイントまで前進して展開されたか確認できる。次に、デリバリシステムを近側に若干引っ張り、フランジを固定させる。固定が十分な場合、ユーザは、デリバリシステムの内側シャフトを保持し、外側さやを後退させて全インプラントを解放する。その後、テザーが張力から解放されてインプラントの近端が開く。最後に、ユーザはテザーの一端を引っ張りインプラントを取り外し、デリバリシステムを取り外すことができる。しかしながら、必要であれば、テザーの取り外しの前に、テザーに再度張力を加えてよく、これによってプロテーゼの近端が放射状に内側につぶれ、プロテーゼがデリバリシステムのさやに退避されて取り外される。
【0033】
本明細書に開示した装置及び方法は、そのまま、あるいは特定の方法に好適なように変形したうえで、他の方法に適用できる。本発明の原理を適用可能な多数の可能性のある実施の形態を鑑みて、例示した実施の形態はあくまでも本開示の好適な実施の形態であり、本開示の技術的範囲を限定するものと認識されるべきではない。