【実施例】
【0037】
次の実施例は、本開示の好ましい実施形態を示すために含まれる。次の実施例に開示される技術は、本開示の実施において良好に機能するために、本発明者らにより発見された技術を表しており、従って、その実施の好ましい様式を構成すると考えることができることが、当業者らにより理解されるべきである。しかし、本開示に照らして、多くの変更を開示される具体的な実施形態で行うことができ、依然として本開示の精神及び範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることを、当業者らは理解すべきである。
【0038】
実施例1.例示的な製剤化プロセス
SOPプロトコールに従って洗浄し滅菌したタンクに2540.3ポンドの白色ペトロラタムを添加することにより、「製剤1」(
図1)を調製した。タンク中では、ペトロラタムを110℃〜113°Fに加熱してペトロラタムを融解させた。別個の清浄な浄化された容器では、133.70ポンドの水及び所望の量のBZK及びPHMBを加え、122°Fに加熱した。両方の相が同じ温度である時、混合しながら、溶液相を、ペトロラタムに徐々に添加した。熱は96〜104°Fに徐々に減少させた。生成物を、品質コントロールのために試験して、ポリプロピレンドラムに移した。得られた組成物は、外観に光沢があり、白色からわずかに黄色であった。25℃での比重は、0.830〜0.910の時の仕様と一致する。25℃、TFで10rpmでの粘度値は、約225,000〜300,000cpsである場合に仕様に適合する。最終製剤は、重量パーセントの以下の成分を含有した:95%のペトロラタム;0.13%のBZK、0.2%のPHMB、及び4.67%の水。
【0039】
実施例2.皮膚感作性の評価
皮膚感作性を評価するために、本明細書で「製剤1」と呼ばれる実施例1の製剤について試験を行った。製剤1を含むパッチを、18〜63歳の年齢範囲及び5つの皮膚の種類を表す53名のヒト研究参加者の皮膚に直接適用した。表1は、参加者の人口統計を示す。パッチは、最初の適用後の48時間、所定位置にとどまった。参加者に、予定された訪問の48時間前にパッチを取り外さないように指示した。その後、対象に、パッチを24時間取り外すように指示した。この手順を、一連の9連続まで繰り返し、24時間の曝露を、週3回3週間連続で行った。試験部位を、熟練した従事者が評価した。10〜14日間の休息期間の後、再試験/チャレンジ用量を、以前に未曝露の試験部位に1回適用した。試験部位を、熟練した職員が、適用の48時間後及び96時間後に評価した。部位を、表2に提示されるようなInternational Contact Dermatitis Research Group scoring scale (Rietschel, Fowler, Ed., Fisher’s Contact Dermatitis (fourth ed.)Baltimore, Williams & Wilkins, 1995)に基づいて採点した。
【0040】
研究の過程で、いかなる種類の有害反応も報告されなかった。従って、製剤1は、原発性炎症または感作の識別可能な徴候または症状(接触性アレルギー)を示さない。
【0041】
実施例3.抗菌効力試験
USP51に従って、抗菌効力試験を行った。5つの微生物を試験した。各生体を、細菌1グラム当たり1×10
6コロニー形成単位(CFU)または酵母及びカビ1グラム当たり1×10
5CFUの接種レベルで接種した。次に、接種した試料を、20〜25℃で28日間保存した。各微生物の集団を、2、7、14、21、及び28日目のプレートカウントにより決定した。プレートカウントを、希釈剤としての改変Letheen Brothを使用して1:10の開始希釈で実施して、Tryptic Soyアガー及びSabouraud Dextroseアガー上にプレーティングした。
【0042】
製剤1の単一適用は、試験した全ての微生物について、2日目から28日目までで、100%の除去を生じた(表3)。100%の除去を考えると、酵母/カビ種には4ログの低減があり、細菌種には5ログの低減があった(表4)。表5は、使用した方法が、製剤1の不存在で微生物の80〜100%を回復することを示す陽性対照である。従って、試験試料中に存在する微生物を、試験した条件下で除去した。結果は、製剤1の広範な活性スペクトルを説明する。
【0043】
実施例4:細胞傷害性の評価
試験を、(培養で成長させた)哺乳動物細胞の、製剤1のアガー拡散性要素への生物学的反応性を評価するために行った。
【0044】
細胞傷害性について評価する試料は、製剤1、陽性対照としてのアンバーラテックスチューブ、及び陰性対照としてのHDPEシートストックを含む試験製品を含む。100mm
2を下回らない接触面を有し、試験皿の約10%の被覆率を提供するように、試料をサイズ設定した。製剤1を含む試験製品の寸法は、1.1×1.1〜1.2cmであり;陽性対照の寸法は、1.0×2.55〜2.7cmであり、陰性対照の寸法は、1.15×1.0〜1.2cmであった。試料の操作を、無菌で行った。
【0045】
試料に曝露する前に、10%の胎児ウシ血清(FBS)を含む最小必須培地(MEM)で、L929マウス線維芽細胞を継代培養して、曝露時に約80±10%のコンフルエンシーを達成した。正常なモルホロジー及び汚染の不存在について、細胞を検査した。細胞が使用のための判定基準を満たした時に、対照及び製剤1を含む試験製品を表すために、個々の皿に3連で番号を付けた。
【0046】
試験の日に、継代培養培地を、各試験皿から注意深く取り除き、(2%のウシ胎児血清を含む)2×最小必須培地及びAgar Nobleの等しい部分の)1:1のオーバーレイ培地の2mLのアリコートと取り替えた。オーバーレイ培地を固化させた後に、製剤1または対照試料を含む単一の試験製品を、(アガー表面と接触して)各皿の中央に置いた。製剤1ならびに陽性対照及び陰性対照を含む各試験製品(1皿当たり1試料)対して、3連培養物を調製した。製剤1または陽性/陰性対照を含む試験製品が患者接触のために設計された1つの面のみを有する時、試料のその「側面」をアガーに向けた。次に、オーバーレイ培地のみ(単層陰性対照)を含む3つの皿と共に試験皿を、37℃/5%のCO
2インキュベーターに入れて、曝露間隔を開始した。
【0047】
皿を24時間インキュベーションし、次に、細胞応答の指標について微視的に検査した。細胞の予備的顕微鏡検査を、染色前に行い、製剤1を含む対照及び試験製品を、アガー層から取り除いた。次に、細胞を、新たに作用させるニュートラルレッド溶液で染色して、応答の等級付けを容易した。この時点で、製剤1及び対照試料を含む試験製品を皿から取り出した。次に、染色された細胞を、緩衝ホルマリンの添加により固定した。固定後に、アガー全体を各皿から取り出した。次に、染色後に、細胞応答を、(白い表面に対し皿を検査することにより)微視的かつ巨視的に評価し、結果を記録した。
【0048】
対照試料が有効とみなされるためには、陰性対照はグレード0を超えてはならず、陽性対照はグレード3を下回ってはならない。製剤1を含む試験製品の場合、グレード0、グレード1(軽微)またはグレード2(軽度)は、製剤1を含む試験製品がアッセイ判定基準を「満たす」ことを示し、グレード3(中程度)またはグレード4(重度)は、製剤1を含む試験製品がアッセイ判定基準を満たさないことを示す。表6は、等級付けのガイドラインを示す。
【0049】
表7は、試験の結果を示す。アッセイ対照は、有効なアッセイのための判定基準を満たした。全ての陰性対照応答は、グレード0を超えず、陽性対照応答は、グレード3を下回らなかった。製剤1を含む試験製品について観察された応答を、最新のUSPガイドラインに従って解釈した。製剤1を含む試験製品からのグレード1の応答は、「非細胞毒性」であるとみなされる(すなわち、グレード2を超えない反応性のISO試験受け入れ要件を満たす)。従って、製剤1は、哺乳動物細胞を損傷しない。
【0050】
実施例5:ウサギ皮膚刺激
皮膚刺激を引き起こす製剤1の刺激可能性を評価するために、試験を行った。
【0051】
試験適用前の24時間〜4時間以内に、雌アルビノニュージーランド白ウサギの背部の毛を刈り毛がない状態にし、約15cm×15cmのサイズを有する、脊柱の両側の2つの試験領域及び2つの対照領域を露出させた。2つの試験部位は、背側領域の左頭蓋部及び右尾部に位置する。2つの対照部位は、背部領域の左尾部及び右頭部に位置する。
図2は、試験及び対照部位の配置を示す。露出させた皮膚を、アルコールで拭き、乾燥させる。許容できる皮膚の質のウサギを選択し、試験に使用する。
【0052】
製剤1の0.5mL(液体)または0.5g(粉末)を十分にしみ込ませた25×25mmのガーゼパッチを、毛を刈った試験部位に適用する。0.5mLの0.9%NaClを十分にしみ込ませた25×25mmのガーゼパッチを、対照のために使用し、毛を刈った対照部位に適用する。低アレルギー性の防水性外科用テープを使用して、パッチを、試験部位及び対照部位上に固定する。パッチの位置を維持するために、動物の胴体を、しっかりと包む。パッチを、最低4時間適用したままにする。
【0053】
次に、パッチを取り外した後に、パッチを取り外した1、24、48、及び72時間後に、試験及び対照部位を、紅斑及び浮腫について採点した。24、48、及び72時間の観察のみを採点し、計算に使用した。採点の基準を表8に提示する。応答が予想されない場合に、試験品につき3匹の動物を用いて試験を行った。刺激が予測される場合に、最初に1匹の動物を試験した。最初の動物が、紅斑または浮腫のいずれかについて2以下のスコアを受けた場合、2匹の追加のウサギを使用して、試験を終了させた。
【0054】
各動物及び各抽出に対し、適用可能な時、各時の紅斑及び浮腫について製剤1を含む試験品に対するスコアを加えた。この合計を、観察の合計数で割った。対照部位について、同様のことを行った。対照結果を試験結果から差し引いて、各動物に対する刺激指数を得た。各動物のこれらのスコアを加えて、動物の合計数で除して、一次刺激指数を得た。一次刺激指標を表9に示す。任意の応答について、最大刺激応答、応答の開始時間、及び最大応答の時間を記録した。
【0055】
結果は、製剤1を含む試験品及び対照試料の両方に対する皮膚反応が有意ではないことを示した。そのデータを以下の表10に提示する。従って、製剤1は、非刺激性である。
【0056】
試験を積極的に検証するために、石油ゼリー中の既知の皮膚刺激剤である10%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を2.5cm×2.5cmのガーゼパッチに塗布した。陰性対照として、0.5mLの0.9%のNaClを、2.5cm×2.5cmのガーゼパッチに塗布した。中程度から重度の範囲の一次刺激指標は、陽性の結果とみなされる。利用した試験システム及び方法は、上記と同じであった。表11は、試験を検証する結果を示す。
【0057】
実施例6.MRSA、T. rubrum、及びStaphylococcus epidermidis懸濁液時間−死滅手順
製剤1を含む抗菌液体懸濁液中のMRSAの集団における変化を評価するための試験を行った。メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)は、ペニシリン誘導体抗生物質メチシリンに対して耐性がある球菌形状の好気性菌である。MRSAは、厄介な感染を引き起こし得、その迅速な複製及び抗生物質への耐性により、処置がより困難になる。MRSA細菌は、乾燥に耐性を示し、それ故、長期間、表面及び繊維上で生存することができ、それ故、この細菌を、表面上の抗菌効力試験の優れた代表例にする。
【0058】
試験を行うために、MRSAを液体培地(Letheen Broth)中で調製した。MRSAの懸濁液を、緩衝生理食塩溶液中で10
6に希釈することにより標準化した。製剤1及び対照物質(PBS)を無菌容器に同一体積で分配した。独立して、製剤1及び対照物質にそれぞれ、MRSAを接種し、次に、混合し、インキュベーションした。対照物質を直ちに採取し、試験開始時(すなわち、ゼロ時)に存在する濃度を表した。接触時間の終わりに、ある体積の液体試験生成物を採取し、化学的に中和した。中和された試験溶液の希釈液を、適切な成長培地を使用してアッセイして、それぞれの接触時間での生存MRSAを決定した。開始微生物濃度を最終微生物濃度と比較することにより、MRSAの低減を計算した。表12及び
図3は、試験の結果を提示する。
【0059】
Trichophyton rubrumを用いて、同じ試験を行った。T.rubrumは、皮膚糸状菌に属する真菌である。皮膚糸状菌は一般に、動物及びヒトの皮膚疾患を引き起こす。T.rubrumは、ヒト寄生性があり、動物よりも優先的にヒトに感染することを意味する。この寄生生物は、指の爪の真菌感染及び足白癬の最も一般的な原因であり、この具体的な株は、ヒトの足の爪から単離された。研究室では、目に見えるコロニーを、約4〜5日後に観察することができ、外観が綿毛状であり、白い。T.rubrumは、殺菌試験のための一般的な試験微生物であり、特に、皮膚感染が起こり、かつロッカールーム及び学校などの急速に広がる可能性のある環境での使用が意図されている製品である。
【0060】
試験を実施するために、T.rubrumを、アガー(ポテトデキストロースアガー)上に調製した。T.rubrumを再懸濁し、製剤1及び対照物質(PBS)を含有する容器に約10
6で希釈して接種した。対照物質を直ちに採取し、試験開始時(すなわち、ゼロ時)に存在する濃度を表した。接触時間の終了時(2または10分)に、ある体積の液体試験生成物を採取し、化学的に中和した。中和された試験溶液の希釈液を、適切な成長培地を使用してアッセイして、それぞれの接触時間で生存T.rubrumを決定した。初期微生物濃度を最終微生物濃度と比較することにより、T.rubrumの低減を計算した。表13及び
図4は、試験の結果を提示する。
【0061】
Staphylococcus epidermidisを用いて、同じ試験を行った。グラム陽性生体は現在、院内細菌性事象の50〜60%を占める。表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)は、血液から単離される最も一般的なグラム陽性菌(分離株の30%)であり、プラスチック表面に抗生物質耐性バイオフィルムを形成することができるので、血管内カテーテルに関連する感染の大半を占める。
【0062】
カテーテル関連感染及び院内感染の予防における製剤1の予防的利点をさらに探求するするために、上述のような懸濁液時間−死滅アッセイを、この多くの場合十分に考察されない生体で開始した。24時間にわたって、ほぼ7ログの殺菌が観察された。24時間は、静脈内カテーテルドレッシングの典型的な交換間隔を表す(表14)。
【0063】
実施例7.患者の不遵守で悪化した治癒が遅い創傷における製剤1の使用:症例報告。
56歳の黒人男性が、足ならびに第2趾及び第3趾の右背側及び底側の表面に静脈潰瘍の主訴を伴ってクリニックを訪れた。患者は、慢性リンパ浮腫、DM、HTN、高脂血症、右側の残存不全麻痺を伴うCVA、車椅子に縛られ、タバコ依存、発作性障害、うつ病、及び喘息の重大な既往歴を有していた。患者は過去に、クリング、エース、及びコバンラップを用いるブタジエンガーゼラップ及びIodasorbで過去に処置を受けていたが、改善はほとんどなかった。創傷ケアを毎週2回行った。
【0064】
患者は、処置の最初の7週間にわたって創傷状態の改善が著しく最小限であったので、Clindamycin 300 TID×7日を受けた。抗生物質経過後に、最小の改善が認められた。
【0065】
製剤1を初めて利用した。罹患した四肢及び潰瘍に薄層を適用した。四肢を、圧迫ラップで、ガーゼ及びコバンを用いてドレッシングし、毎週のドレッシング交換をこのような仕方で続けた。21日後に、創傷外観の有意な改善が観察され、右足の背側表面の創傷は完全に回復していた。4週までに、背側表面全体が回復し、創傷は右の第2趾及び第3趾の底側表面に限られていた。2ヶ月までに、右足の底側表面の創傷は非常に境界がはっきりし、かついかなる浸軟もなかった。3ヶ月までに、創傷は、本質的に乾燥痂皮となり、全ての組織が完全に上皮化した。
【0066】
要約すれば、患者の広範な創傷を処置した以前の試みは全て、失敗したが、処置に製剤1を導入すると、患者のケアにおいて重大な転換点を示した。広範囲の不遵守及びドレッシング交換期間の延長に直面しても、製剤1は、創傷と接触したままであり、環境を管理し続けた。
【0067】
実施例8.遅延治癒の病歴を有する患者における製剤1の使用:症例報告。
76歳の白人女性が、右脛に1.0×5.0×0.1mmの裂傷を受けた24時間後に、クリニックを訪れた。患者は、木材の山の近くで立っていたその時、いくつかの木材が落下して、患者を切断したと話した。X線写真では、骨折については否定され、超音波検査では、異物が残っているという証拠は見つからなかった。創傷は、骨にプローブしなかった。患者の破傷風の状態は、これまでに提示されていた。創傷は、滅菌生理食塩水で清浄した後、縁を再び近づけて、地元ERにおいて、保持縫合糸及び単純閉鎖縫合糸で閉じた。
【0068】
真性糖尿病2型インスリン依存性、CKD−4、ASCVD、及びCABG−4血管に関する患者の既往歴は重大であった。特に、治癒に3ヶ月かかった右下肢のグラフ部位からの不十分で遅れた創傷治癒の病歴を話す。患者はまた、末梢神経障害HTN、高脂血症、肥満、及びPVD/PADも患っている。
【0069】
患者は診療所で受診し、治癒が遅れた患者の病歴に起因する懸念を伝えた。標準的な乾燥した滅菌ドレッシングを用いて、製剤1を適用した。患者に、ドレッシング交換のために毎週来るように指示した。
【0070】
2週間後に、単純縫合糸を除去した。創傷は、裂開または感染の徴候を示さなかった。縁がよく近づいており、周囲の組織は、温度及び色が適切であった。製剤1を、排他的に使用し続けた。
【0071】
1週間後に、保持縫合糸を除去した。創傷は進行性の上皮化を示しており、大きさが有意に減少していた。完全に治癒するまで、創傷を、家庭用Band−Aid及び製剤1でドレッシングした。
【0072】
4週目までに、患者は治癒した。以前に、伏在グラフト採取部位から、治癒するのに12週間かかっていた患者の創傷治癒または閉鎖に関する問題はなかった。グラフト時から、血管再生は、なされておらず、他の任意の健康因子も変化しなかった。これは、製剤1の使用がこの創傷の閉鎖において不可欠な役割を果たしたことを示す。
【0073】
この裂傷に対する患者の創傷ケアにおいて変更された唯一の要因は、局所用製剤1の導入であった。この製品を使用すると、患者は、治癒遅延の徴候を示さなかった。患者の創傷は、複数の全身性疾患のない人に予想されるように、肉芽を形成し、上皮化した。製剤1は、浸軟させることなく創傷環境を湿潤状態に保ちながら、遅延のない治癒を促進したようであった。さらに、製剤1は創傷と接触したままであり、ドレッシング交換を必要とせずに1週間有効であり、これは、資源が限られ、かつ輸送が困難な患者にとって有益である。
【0074】
実施例9.Streptococcus Bの肛門周囲膿瘍の製剤1での術後処置;症例報告
51歳の女性が肛門周囲膿瘍の管理のために入院した。患者は、6ヶ月前に肛門周囲膿瘍の病歴があり、ヨードアレルギーがあった。以前の膿瘍は、ベッドサイドI&D及び経口抗生物質により処置されていた。感染の再発で、痔瘻の存在について懸念が生じ、患者は、評価及び介入のためのSIRS基準下で入院させた。
【0075】
非経口抗生物質を開始し、根治的処置のため、患者を手術室に運び、MAC麻酔下に置いた。I&Dを実施し、肛門周囲腔の探索により、感染源としての経肛門括約筋瘻が明らかになった。瘻孔の輪郭を描くように、ステントを最初に留置した。その後、膿瘍を排膿させて、洗い流した後に、瘻を修復した。術後に、深さ3.3cmの軟組織欠損が残った。
【0076】
患者のヨウ素アレルギーに照らして、創傷を、標準的なベタジン処理パッキングストリップで処置することができなかった。その代わりに、創傷に、製剤1で処理したプレーンパッキングストリップ、ガーゼを詰め、Tegadermで密封した。実施すべき毎日のドレッシング交換の指示と共に経口抗生物質の服用で、患者は退院した。
【0077】
製剤1で処理したパッキングストリップを用いて毎日のパッキング交換を実施した。10日目までに、軟組織欠損は完全に肉芽を形成し、パッキングを中止した。その後、創傷周囲領域に適用された製剤1の薄層、ガーゼ、周縁を密閉するためのTegadermで、創傷をドレッシングした。17日目までに、創傷閉鎖が達成された。
【0078】
製剤1を使用した肉芽形成速度は、ベタジンパッキングストリップによる治癒速度と比較した時、顕著に改善された。ベタジンストリップ用いる典型的な速度は、4〜6週間の範囲で行われる。肉芽形成速度の差は、2つの製品の細胞傷害性の差によるものと考えられる。ベタジンは殺菌性があるが、線維芽細胞に対する細胞傷害性もあり、治癒を遅らせる。製剤1は、殺菌特性を非細胞傷害性と組み合わせて、より理想的な治癒環境を可能にする。
【0079】
この症例では、術後創傷の処置における非細胞毒性の抗菌パッキングを使用する重要性が強調される。最終的には治癒期間が短くなると、日和見感の術後染の可能性を低減し、経口抗生物質と併用した補助処置として局所抗菌剤の使用により、より理想的な環境が提供される。
【0080】
実施例10.重度な擦過傷の処置における製剤1の使用:事例報告
共存症のない22歳の健康な男性が、更衣室での傷害による第2度の擦過傷で緊急治療室に入院した。患者の破傷風状態に対処し、傷口を清浄して、トリプル抗生物質軟膏、滅菌ガーゼ、及び含浸銀メッシュでドレッシングした。患者及びその両親は、退院時にこのドレッシングコースBIDを継続するよう指示された。
【0081】
入院の5日後に、創傷状態の目に見える低減は見られなかった。患者は、部位での壊死形成について苦痛を表し、5/10の疼痛レベルであった。この時点で、滅菌ガーゼ及び紙テープ用いた製剤1の治験を開始した。
【0082】
創傷を滅菌生理食塩水で洗い流し、ブロット乾燥させ、製剤1の薄層を、創傷床及び周囲の組織に局所的に適用した。創傷ドレッシングは、滅菌ガーゼ、ケリックス、及び紙テープからなっていた。患者は、記載された仕方でドレッシング交換BIDを引き続き行うよう指示された。
【0083】
製剤1を用いた処置の3日目までに、創傷は目に見えて改善した。痂皮は自己解裂し、創傷プロファイルは、境界がよく画定された肉芽の基部及び皮膚細胞群の形成を示した。患者は疼痛が2/10に低減したと報告した。
【0084】
10日間の製剤1を利用したドレッシング交換後、皮膚の上皮層は末梢再生し、創傷基部の中央面に軽度の中心痂皮があった。疼痛がなくなった。患者は、10日目に正常な活動を再開することができた。
【0085】
製剤1を使用して、急速な治癒、疼痛の低減、及び活性な創面切除を必要としない壊疽組織の除去を達成した。創傷床の上皮化のための適切な環境を提供しながら、このドレッシング交換のプロトコールは、高度に含浸されたドレッシングよりも有意に経済的に効果的であった。
【0086】
実施例11.下肢潰瘍の処置における製剤1の使用:症例報告。
長期間の喫煙及びDVTの病歴を有する70歳の白人男性が、PEに進行していた。病院での過程は、抗凝固療法及びIVFの留置を含んでいた。入院後に、患者は、両下肢静脈潰瘍を発症し、低アルブミンレベルと診断された。プロテインサプリメントを、ハニーシート、ウナブーツ、コバン、及びエースラップを用いる積極的なドレッシング交換と共に週1回に進む週2回から開始した。急性期のために、月2回の足治療により患者をフォローした。アルブミンレベルが正常化し、ゆっくりとした改善を伴い、ドレッシング交換を継続し、この時点で、許容される治癒が生じ、患者が圧迫ストッキングに移行させた。
【0087】
1ヶ月、圧迫ストッキングを着用せず、四肢を持ち上げず、喫煙を続けた後、患者は右下肢潰瘍を発症した。遅い治癒の病歴を考慮して、製剤1の治験を開始した。患者のアルブミンは、引き続き正常であった。
【0088】
製剤1の薄層を、潰瘍及びその周囲に適用した。次に、ハニーシート、続いて、ウナブーツ、コバン、及びエースラップ(圧迫用)を適用した。このドレッシングを、毎週交換した。各ドレッシングの変更時に、脚を生理食塩水で清浄した。
【0089】
製剤1を利用した4週間の週1回のドレッシング交換の後、潰瘍は、以前の病歴の遅い治癒と対比して有意に小さかった。患者は、圧迫ストッキングにずっと早く移行した。
【0090】
この男性に製剤1を使用しないことと比較して、製剤1を含むことにより、治癒時間の有意な低減が観察された。患者の最初の潰瘍は、ハニーのみのプロトコール(6〜7ヶ月)を用いて治癒するのが非常に遅かったが、第2の静脈性潰瘍への同じドレッシング技術を用いる製剤1の追加は、治癒時間の劇的な低減をもたらした。
【0091】
実施例12.小児性複数菌感染の処置における製剤1の使用:症例報告
重大な既往歴のない9歳の少年が、左側方の顎に感染病変を伴ってクリニックを訪れた。患者の父親は、少年が、空手中にマットの上に落ちた時に、物理的な擦傷火傷を受けたと報告している。両親はバシトラシンで局所的に傷を7日間処置したが、軽度の化膿性排液を伴った、患部の紅斑、浮腫、及び、局所的な熱感の悪化を報告した。患者は触診に対する圧痛を訴えた。診療所でとられた培養物により、単純ヘルペス1型及びメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)が明らかになった。
【0092】
患者を、製剤1で局所的に処置した。患者の両親に、静かに水洗いして叩くようにして水気をとるように指示した。感染微生物の非常に伝染性の高い性質のために、手袋の使用を勧めた。製剤1の薄層を、1日2回、朝及び就寝時に適用し、Band−Aidで被覆した。患者に、感染が寛解するまで、全てのスポーツを控えるように厳しい指示を与えた。
【0093】
患者の両親は、2日目までに、化膿性排液が止まったと報告した。紅斑及び浮腫は、回復していた。3日目までに、全ての浮腫及び紅斑は、完全に回復した。患者は、もはや触診対する圧痛はなかった。7日目までに、感染は、完全に回復し、残りの痂皮は、新しい上皮からばらばらになり始めた。
【0094】
製剤1の使用は、複数菌皮膚感染を有する小児患者への使用に安全かつ有効である。ペトロラタムベースは、若い肌にやさしく、複雑な感染を処置する。使い易さは、嚥下用医薬品が介護者にとってしばしば課題となる小児集団において特に重要なものである。これらの非常に伝染性の細菌株における感染の積極的な処置は、この製品の魅力的な特長である。
【0095】
実施例13.おむつ皮膚炎の処置における製剤1の使用:症例報告
刺激性おむつ皮膚炎は、乳児及び幼児に一般に見られる皮膚刺激の広範に見られる形態である。刺激物に皮膚を長時間曝露すると、これらの攻撃が悪化する。このような刺激物は、数の少ないおむつ交換、下痢、及び接触性アレルギーを含む。局所皮膚pHの変化は、表皮の破壊を引き起こして、臀部の最も目立った領域に疼痛を伴う紅斑性の発疹をもたらす
【0096】
4ヶ月齢の患者が、刺激性おむつ皮膚炎が急性発症した後に、両親により小児科医に連れて来られた。患者は、苦しみの感情を示して、泣き、患部への圧力を避けていた。身体検査では、光沢のある紅斑の隆起した部分が、臀部の凸領域で観察された。皮膚のひだは影響されていなかった。両親は、発疹が3日間あり、悪化していることを報告した。おむつの交換頻度を増加させても、症状の改善はなかった。患者は最近、発症前に下痢を経験していたが、これは今おさまっている。
【0097】
患者を評価し、刺激部位を滅菌水で静かに洗い流した。領域を、水分を吸い取り乾燥させ、製剤1の、罹患した領域及び周囲の組織への局所塗布により処置した。乾燥したおむつを適用し、両親に、各交換時に穏やかな清浄及び製剤1の塗布を伴う、頻繁なおむつ交換の指示を与えた。
【0098】
塗布後、患者は、はるかに心地良さを感じていた。泣きやみ、患者は、関心がおもちゃにあることを示し始めて、疼痛がおさまってきたことを示した。初期処置の12時間後に、紅斑が85%減少しており、親は、子供が、食べること、遊ぶことを再開し、もはや気難しくなかったと報告した。18時間後に、状態の完全な回復が達成された。
【0099】
皮膚の最も外面の層である角質層は、ケラチノサイトからなり、より薄く、特に、幼い小児患者において敏感である。第3の層である表皮顆粒層は、より少ない皮膚層に疎水性バリアを提供する脂質生成層であり、それにより、刺激物に対する保護バリアを提供し、それ故、刺激は、最初の2つの表皮層に主に含有される。製剤1は、ペトロラタム基剤を有しており、本来疎水性であり、それにより、身体の自然防御機序を模倣し、患部への回復を促進させる。抗菌特性は、免疫系をサポートし、重度のおむつかぶれに伴う一般的な感染から保護する。
【0100】
刺激性おむつ皮膚炎に対する多くの処置法があり、その中で最も一般的なものは、亜鉛系クリーム、二酸化チタンゼリー、抗真菌剤、制酸剤、及びコーンスターチである。研究は、クリーム、ゼリー、及び制酸剤は、ペトロラタム層を適用しないと最小効果しかないことを示す。抗菌剤は、刺激の原因が、真菌性である場合に有効であり、多くの場合、回復を達成するために7日間の過程を要する。最後に、コーンスターチは、チャッフィングを防止し、それは不快感を最小限に抑えると考えられているが、症状の迅速な緩和を提供しない。製剤1は、現在、皮膚のpHのバランスをとり、複数菌感染を処置することができるペトロラタム基剤を有する唯一の製品である。
【0101】
製剤1を使用して、急速な治癒及び疼痛の回復を達成した。脂質二重層を提供することにより、製剤1は、身体の自然防御を助けて、施された防水バリアで、pH誘発性分解から皮膚を保護し、それにより、同時に皮膚の処置及び保護の両方を行う。
【0102】
実施例14.非治癒性擦過傷の製剤1での処置:症例報告
放射線皮膚炎の処置のための証明に基づいたプロトコールは少なく、これらの症例の病院管理が一貫性を欠いているという、研究上の表れである。2010年の文献レビューは、いずれの1つの治療選択肢を支持するエビデンスも不十分であると結論づけた。加えて、以前の研究では、放射線療法を受けている患者における紅斑反応の発生率が80〜90%、湿性落屑の発生率が10〜15%であることを報告し、この状態が放射線療法の広く見られる副作用であることを示した。ここで、製剤1での処置を実施した放射線皮膚炎の症例を報告する。
【0103】
54歳の女性は軟部組織肉腫の病歴を有し、これは、放射線治療でうまく処置されているが、その結果として、右下肢の外側面にE3放射線誘導皮膚反応評価尺度(RISRAS)型放射線皮膚炎を罹患した。
【0104】
52歳で、患者は、右遠位の足の疼痛の増加を経験し、腫瘍医に紹介され、患者は軟部組織肉腫を有することが判明した。アジュバント放射線治療を含む、肉腫の処置に成功した後に、放射線皮膚炎に合致する15.4cm×8.8cmの疼痛のある孤立した紅斑を遠位右側方下肢に伴って、診療所を訪れた。
【0105】
放射線治療を受けた患者の放射線皮膚炎の発生率は、1つの研究で、46%もの高さと報告されている。この処置の副作用は、起こりうる潰瘍形成、疼痛、及び感染のリスクを伴う局所皮膚病変の発生の増加をもたらす。
【0106】
患者は、ヒアルロニダーゼベースクリーム、スクラルファートクリーム、ビアフィンクリーム、及びメピテルで以前に処置されていると報告したが、依然として、疼痛を経験しており、創傷の物理的な見栄えについて悪感情を有していた。製剤1の薄層を、患部及びその周囲に適用した。この領域を、滅菌済みのTelfaで被覆し、Kerlix及び紙テープで包んで、接着剤を皮膚に直接接触させないように注意した。このドレッシングを、毎日2回交換した。各ドレッシング交換時に、創傷を、滅菌生理食塩水で清浄した。
【0107】
1回適用した後に、紅斑の顕著な低減を見ることができ、1週間の終わりまでに、プラークをほぼ完全に回復し、軽度の斑点のみが残った。患者は、自分の疼痛が完全に回復し、転帰について喜んでいることを報告した。結論として、製剤1は、毒性または副作用なしに迅速に放射線皮膚炎を処置するのに有効であることが判明した。処置は、経済的にも有効であった。将来、放射線火傷の処置における製剤1のさらなる観察に対し、無作為化対照治験が確立されるであろう。
【0108】
実施例15.Wagnerグレード2の潰瘍の製剤1による処置:症例報告
潰瘍が6ヶ月間あった、心血管疾患及び十分に管理された糖尿病の72歳の男性が、クリニックを訪れた。潰瘍は3.2cm×1.9cm×0.2cmの測定値であり、Wagnerグレード2として病期分類した。患者は、結婚して、3人の成人した子供があり、喫煙をせず、社交上のアルコールを飲み、種々の内分泌障害の家族歴があった。患者は、以前の潰瘍を否定し、潰瘍を「虫の咬傷」と考えていた。患者の創傷の過去の処置は、創傷床へのベタジン、シルバデン、及びヒドロゲルを含んでいた。訪問の際、患者は、乾いた滅菌ドレッシングを用いてシルバデンを一日おきに塗布していたが、創傷の測定は、不十分な治癒を示した。患者の薬物療法は、メトホルミン、クロピドグレル、メプロプロロール、低用量アスピリン、ならびにACE阻害剤、ペニシリン、及びサルファ剤に対しアレルギーのあるシンバスタチンであった。
【0109】
患者は、糖尿病性潰瘍の評価のために訪れ、患者のふくらはぎの外側面に潰瘍を有することが判明した。創傷基部は、創傷床から6mm伸びた紅斑の境界を有する40:60の比の線維性肉芽(fibrogranular)であった。反対側と比較して、周囲の肉は触っても暖かかった。それは骨にプローブせずに、追跡もなく、排出液が中程度であった。創傷培養は、Staphylococcus aureusを成長させ、疼痛は、6/10と報告された。
【0110】
処置は、機械的創面切除で始まった。創傷基部を出血させ、製剤1の薄層を、潰瘍及び周囲の組織に適用した。創傷を、FiltreX包帯でドレッシングし、このドレッシングを5日間創傷と接触させたままにした。FiltreXが、防湿を提供するので、それを所定位置に置きながら、患者は、入浴することが可能になった。5日目に、在宅保健師は、有意な肉芽形成及び、3.2cm×1.9cm×0.2cmから2.1cm×0.9cm×0.05cmまでの創傷サイズの低減を報告した。
【0111】
10日間の処置で、創傷床の有意な上皮化が明らかになった。創傷は1.3cm×0.4cmと測定された。周囲の組織が肉芽を形成したので、深さはもはや測定可能ではなかった。患者は、さらなる疼痛がなく、紅斑が回復し、体温が適切に戻ったと報告し、誘発感染の回復を示した。製剤1及びFiltreXを用いるドレッシングを、さらに10日間続け、その時点で、創傷の完全な上皮化及び線維性組織の形成を伴なって、創傷が完全に回復したことが判明した。
【0112】
製剤1は、慢性糖尿病性潰瘍形成のための補助療法である。ペトロラタム基剤は、創傷を浸軟することなく適切な創傷治癒に必要な水分を提供する。さらに、非細胞傷害性、抗菌特性は、妨げられない線維芽細胞活性が起こることを可能にし、それにより、創傷治癒に対する身体の自然な応答に対する理想的な設定を生み出すという点で迅速な治癒を助長する。
【0113】
快適性、入手し易さ、及び使い易さに関して、製剤1は理想的な処置方式であることが判明した。包帯及びその後の製剤1は、多くとも7日間、創傷と接触したままである。一次及び二次の両方のこのドレッシングの耐久性は、独特であり、ドレッシング交換のために患者の生活を毎日中断させる必要性を最小限に抑える。さらに、包帯は疎水性であり、このことは、患者がドレッシングまたは創傷の破壊を心配せずに入浴し得ることを確実にする。これは、シャワーを浴びる能力に起因する独特の有利さであり、処置がより許容範囲内になる。患者の遵守の点から、このドレッシングの組み合わせの快適性及び多様性は、患者が適切な治癒環境を維持し、それにより、より成功した転帰をもたらす可能性を増加させる。最終的に、製剤1及びFiltreXの組み合わせは、糖尿病性潰瘍を治癒するこの困難を完全に解消させるための理想的な環境を提供する。
【0114】
実施例16:治癒しない複雑な皮膚裂傷の製剤1での処置:症例報告
皮膚裂傷は、ヒト皮膚の2つの主な層である表皮及び真皮の分離に起因する。それらは、高齢者に影響を与える主要な問題であり、14%及び24%の間の有病率を有する。アルツハイマー病、低アルブミン、PVD、高血圧症、及び甲状腺機能低下症の病歴を有する88歳の白人女性が、複雑な皮膚裂傷を管理しようとして、4ヶ月間不成功の処置を受けていた。銀及び局所抗生物質を含む多くのドレッシング技術が最小限の進歩で試みられていた。式Iの薄層を、創傷領域及びその周囲に適用した。次に、非粘着性のガーゼシートを、続いて、エースラップ(圧迫用)を適用した。このドレッシングを、毎週交換した。各ドレッシングの交換時に、脚を生理食塩水で清浄した。数週間以内に、創傷は安定化し、2週間以内に完全に上皮化した。顕著な治癒を見ることができ、第11週まで続く。さらに、非付着性レジメンが常に使用されていたが、ドレッシング交換は、患者にとって痛みを伴い、これは、創傷部位からのドレッシング材料の除去に対する視覚的及び聴覚的応答により示される。製剤1を使用する間、ドレッシング交換の間の不快感/疼痛応答はなかった。製剤1は、追加の保護の非接着層を加えて、治癒を刺激するしながら不快感を減少させ、最終的に再上皮化をもたらした。ドレッシング交換プロトコール中の製剤1の使用は、治癒を刺激し、追加の物理的外傷から部位を保護し、ドレッシング交換中の疼痛を低減させた。このような非外来患者の場合、四肢欠損及び感染のリスクが非常に高く、このような複雑で困難な創傷の治癒は、大成功を表す。
【0115】
実施例17.植物性光線接触皮膚炎の製剤Iでの処置:症例報告
重大な既往歴のない38歳の女性が、限局性浮腫及び紅斑性を伴う紅斑性小胞水疱性プラークの2日の病歴を伴って訪れた。患者は掻痒感を否定したが、関連する灼熱感を認めた。病変の発症の前に、患者は自宅近くでハイキングをし、その間に、見つけた樹木からオレンジを採取した。試験時に、患者は、患者が自宅で排液を認めた小胞/水疱が散在した4.1cm×3.4cmの中心プラークを有する。2つの二次的な斑点があり:1つは、0.9cmであり、もう1つは、4mmである。病変は、左前脛に位置する。それらは、浮腫性及び紅斑性であるが、反対側と比較して測定可能な温度変化はない。
【0116】
患者の陳述及び柑橘類植物への最近の曝露に基づいて、患者を、植物性光線接触皮膚炎と診断した。これは、直射日光下でのフクロマリンとの接触に起因する一般的な皮膚病学的状態である。この曝露の結果、局所領域に光毒性炎症反応を引き起こす。この臨床状態のよく見られる決定付ける特徴は、掻痒感が存在せず、代わりに患者が灼熱感を訴えるものであり、このことは、これを接触性皮膚炎と区別する。フクロマリンを含有することが知られている4種の植物:セリ科、ミカン科、クワ科、及びマメ科がある。セリ科のメンバーとしては、アメリカボウフウ、セロリ、及びパセリが挙げあられる。ミカン科は、柑橘類果実を含み、従って、本症例の原因の可能性がある。イチジクは、クワ科ファミリーに属し、最後に、オランダビユ種子は、マメ科に属する。
【0117】
この状態の経過は、急性期で始まり、このピークは、3日目にあり、3〜5日間続く可能性がある。患者の立場からの、この状態のより問題がある側面は、多くの場合何年も持続する結果的な色素沈着である。この状態は、最も一般には、要素に曝露されている領域、例えば、手、腕、及び下肢に影響を与え、そのため、患者は結果的な物理的形状の障害に悩まされる傾向がある。
【0118】
製剤1の薄層を、プラーク及び周囲の組織に適用した。この領域を、滅菌済みのTelfaで被覆し、Kerlix及び紙テープで包んで、接着剤を皮膚に直接接触させないように注意した。このドレッシングを、毎日交換した。各ドレッシング交換時に、創傷を、滅菌生理食塩水で清浄した。
【0119】
3日間適用した後に、急性期を回復し、炎症後の色素沈着過剰が始まった。患者は、毎日のドレッシング交換を続け、処置から20日までに、色素沈着過剰がほぼ完全に回復され、軽度の斑点のみが残った。
【0120】
製剤1は、植物性皮膚炎の急性期及び炎症後の色素沈着過剰期の両方を処置するのに有効であることが判明したが、これらの後者は多くの場合、数年間持続することが知られている。将来は、無作為化対照治験を製剤1で行い、色素沈着過剰期を処置することが推奨される。
【0121】
実施例18.安定性
試験管内にパッケージ化された製剤Iを、加速安定性試験に供した。製剤Iを、40℃±2℃/75%±5%の相対湿度(RH)の貯蔵チャンバー内に横向きに置き、異なる間隔が3ヶ月の期間を経た。製品を、物理的及び分析的特性について評価した。40℃±2℃/75%±5%(RH)で保存した時、ベンジルアルコニウムクロライドは、表15に示すように安定であった。
【0122】
さらに、この製品は、試験した全ての時点で、外観、臭気、比重、粘度、及びパッケージの適合性に対する仕様を満たした。
【0123】
製剤Iを、以下に示すように、40℃±2℃/75%±5%の微生物数についても試験した。結果を、表16に示す。
【0124】
さらに、この製品は、9ヶ月以上標準条件下で試験した全ての時点で、外観、臭気、比重、粘度、及びパッケージ適合性の仕様を満たした。
【0125】
実施例19.製剤1の新鮮な創傷のバイオバーデンに対する効果
創傷及び周囲の組織に薄層の製剤1を適用することにより、8人の患者の新しい創傷を処置した。創傷を、圧迫ドレッシングでドレッシングし、このドレッシング、一週間創傷と接触したままにした。創傷を処置前に綿棒で採取し、次に、1週間後にドレッシングを取り除いた時の処置終了時に、再度綿棒で採取した。綿棒試料のバイオバーデン分析を、合計微生物数及びStaphylococcus数について実施した。
【0126】
処置の1週間後に、総微生物数及びstaphylococcus数の有意な低減が明らかになった。これは、特に、Staphylococcus数について明らかであった。一部の場合では、創傷を、実験の7日間以内に治癒させ、それ故、綿棒で採取しなかった。
【0127】
実施例20.さらなる実施例
疼痛低減のためのトロラミンサリチラートの10%水相、疼痛低減のためのリドカインの4%水相、感染コントロールのための次亜塩素酸ナトリウムの0.125%水相、及びグルコン酸クロルヘキシジンの4%水相を含む異なる活性成分で、実施例1を、繰り返した。
【0128】
実施例21:予想される実施例
カチオン性殺生物剤の代わりにネオマイシンを用いることを除いて、実施例1に開示したプロセスを繰り返す。結果は、ペトロラタム中に分散されたネオマイシンナノ液滴の安定した製剤となるであろう。
【0129】
カチオン性殺生物剤の代わりにポリミキシンBを用いることを除いて、実施例1に開示したプロセスを繰り返す。結果は、ペトロラタム中に分散されたポリミキシンBナノ液滴の安定した製剤となるであろう。
【0130】
カチオン性殺生物剤の代わりにムピロシンを用いて、実施例1に開示したプロセスを繰り返す。結果は、ペトロラタム中に分散されたムピロシンナノ液滴の安定した製剤となるであろう。
【0131】
カチオン性殺生物剤の代わりにバシトラシンを用いて、実施例1に開示したプロセスを繰り返す。結果は、ペトロラタム中に分散されたバシトラシンナノ液滴の安定した製剤となるであろう。
【0132】
カチオン性殺生物剤に加えて、またはこれが存在せずに、1型、2型または3型コラーゲンを用いて、実施例1に開示したプロセスを、繰り返す。結果は、ペトロラタム中に分散された1型、2型または3型コラーゲンナノ液滴の安定した製剤となるであろう。カチオン性殺生物剤が使用される場合、安定なナノ液滴として存在し得る。
【0133】
イブプロフェン、アスピリン、セイヨウシロヤナギ樹皮、及びジクロフェナクから選択される可溶性抗炎症剤を用いて、実施例1に開示したプロセスを繰り返す。結果は、ペトロラタム中にナノ液滴として分散されたイブプロフェン、アスピリン、セイヨウシロヤナギ樹皮、及びジクロフェナクの安定した製剤となるであろう。