特許第6869976号(P6869976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869976ガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869976
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20210426BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20210426BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20210426BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B01J23/63 AZAB
   B01D53/94 222
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301A
   F01N3/28 301P
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-519135(P2018-519135)
(86)(22)【出願日】2017年4月11日
(86)【国際出願番号】JP2017014825
(87)【国際公開番号】WO2017203863
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2019年12月2日
(31)【優先権主張番号】特願2016-103974(P2016-103974)
(32)【優先日】2016年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228198
【氏名又は名称】エヌ・イーケムキャット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100185018
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 亜矢
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】高山 豪人
【審査官】 松本 瞳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−214540(JP,A)
【文献】 特開平08−229395(JP,A)
【文献】 特開昭63−039633(JP,A)
【文献】 特開2009−293538(JP,A)
【文献】 特開2009−162145(JP,A)
【文献】 特開2014−018723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 23/63
35/04
B01D 53/94
F01N 3/10
3/28
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリンエンジン排気ガスに含まれる一酸化炭素、炭化水素、及び窒素酸化物を浄化する触媒組成物を含む三元触媒であって、
触媒組成物がハニカム型構造体からなる担体に2層以上に被覆され、
上層にPdを担持した耐熱性無機酸化物、La含有酸化物を含み、
また下層にRhを担持した耐熱性無機酸化物を含み、
La、Ce、Baの各含有量は、ハニカム型構造体への単位体積あたり、
La含有量がLaとして9.6〜23g/L、
Ce含有量がCeOとして5〜20g/L、かつ
Ba含有量がBaOとして1.2g/L以下であることを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項2】
ハニカム型構造体への単位体積あたり、La含有量がLaとして11.3〜19.1g/Lであることを特徴とする請求項1記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項3】
ハニカム型構造体への単位体積あたり、Ce含有量がCeOとして7〜18g/Lであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項4】
ハニカム型構造体のセル密度は200〜1200セルであり、セル壁の厚みは1〜12milであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項5】
La含有酸化物は、上層のみに含まれ、そのLa含有量がLaとして9.6〜20g/Lであることを特徴とする請求項1記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項6】
上層の耐熱性無機酸化物が、γ−アルミナ、Laが添加されたγ−アルミナ、セリア、セリウム・ジルコニウム複合酸化物、又はLaが添加されたセリウム・ジルコニウム複合酸化物から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項7】
Pdの含有量が、ハニカム型構造体の単位体積あたり、0.1〜12g/Lであることを特徴とする請求項1記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項8】
Baの含有量が、BaOとしてハニカム型構造体の単位体積あたり、0.1g/L未満であることを特徴とする請求項1記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項9】
上層にセリウム・ジルコニウム複合酸化物が、ハニカム型構造体の単位体積あたり、1〜50g/L含有することを特徴とする請求項1記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項10】
Rhの含有量が、ハニカム型構造体の単位体積あたり、0.01〜3g/Lであることを特徴とする請求項1記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項11】
下層にセリウム・ジルコニウム複合酸化物が、ハニカム型構造体の単位体積あたり、5〜100g/L含有されることを特徴とする請求項1記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【請求項12】
上層、下層はいずれにもBaを含まず、上層にはRhを含まないことを特徴とする請求項1記載のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒に関し、エンジン始動から間もない触媒床の温度が比較的低い時期でも、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の浄化率が高いガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガソリン自動車から排出されるHC、CO、NOxなどが含まれる排気ガスを浄化するために、三元触媒(TWC:Three Way Catalyst)が使用されている。排気ガス浄化触媒のTWCでは、通常、HC、CO、NOxなどの濃度と、酸素の濃度が特定の範囲(ウィンドウともいう)にあるときに、高い活性を発揮するように設計される。酸素濃度の変化の緩衝は、このようなウィンドウ域を保つ働きを示し、高効率で排気ガス中の有害成分を浄化することに役立つ。
【0003】
この排気ガス中のHCやCOは、白金(Pt)、パラジム(Pd)、ロジウム(Rh)などの白金族金属によって酸化される。この触媒成分である白金族金属は、活性アルミナ等の高表面積の耐熱性無機酸化物上に高分散に担持され、他の触媒材料と共に触媒組成物スラリーにして、ハニカム構造型担体上に被覆されている(特許文献1参照)。
酸化性の活性種であるPtは、特に活性が高く、被毒や粒子成長をしても、なお高い浄化性能を発揮する。そのため、広く自動車等の内燃機関から排出される排気ガスの浄化用触媒に使用されてきたが、Ptは資源保護の観点、またコスト面からその使用量の削減が検討されている。
【0004】
この使用量の削減策として、Ptの少なくとも一部をPdに置換することが検討されている。PtとPdは共に酸化機能を有する活性種であるが、Pdは硫黄等による被毒や粒子成長に伴う活性の低下がPtに比べて著しい。また、PdはPtに比べてRhと併用した場合に合金化し易い。また、高温酸化雰囲気のような厳しい条件下では粒子が成長し、助触媒成分や排気ガス中の被毒成分との好ましくない相互作用により性能が低下することがあった。そのため、Pdは、被毒、焼結、粒子成長、合金化の抑制を目的とした成分と併せて使用されている(特許文献2、特許文献3参照)。
【0005】
また、自動車からの排気ガスは様々な反応性の成分を含み、また高熱を有することから、排気ガス浄化触媒成分を焼結させ被毒を発生し易い。排気ガス浄化触媒では、その浄化活性の主要な部分は貴金属であることから、貴金属の被毒や焼結の抑制は重要な課題であり、様々な解決方法が検討されている。
【0006】
排気ガス中のNOやNOなどのNOxは、大気汚染物質であると共に、NOは地球温暖化を促進する温室効果ガスでもある。そのため、各国政府機関により、様々なNOxの排出規制が施行されている。
NOxの浄化には、触媒活性種としてRhが使用されるが、RhはPdと同一組成中に使用すると合金化が懸念される材料でもある(特許文献2参照)。また、Rhを酸化性の活性種であるPt、Pdとともに同一触媒組成中で使用すると、酸化性能と還元性能が相殺されてしまう恐れもある。そのため、RhとPt、Pdはハニカム構造型担体上で、それぞれ異なる触媒組成物として被覆することが検討されている。
【0007】
排気ガス浄化触媒には、前記のような活性種のほか、酸素の吸蔵放出材(以下、OSC:Oxgen Storage Componentということがある)や、バリウム(Ba)成分、ジルコニア、シリカ、チタニア、アルミナ、ゼオライトなどの無機酸化物から選択された助触媒成分がよく使用される。このOSCは、排気ガス中の酸素濃度が高いときに酸素を吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低いときには酸素を放出する。酸素の吸蔵放出により排気ガス中の酸素濃度の変化が緩衝され、排気ガスの浄化に適した酸素濃度(ウィンドウ域)に調整することができる。
【0008】
排気ガス中の酸素濃度が低いとHC、COの酸化が促進され難い。このようなとき、OSCが排気ガス中に酸素を供給し、HC、COを酸化し、排気ガスの浄化を促進する働きをする。このような作用は、酸化還元反応であるともいえ、酸素の供給、吸蔵の速度が速いOSCを使うと、HC、COの浄化能力に優れた触媒が得られやすい。酸素の吸蔵、放出の速度が速いOSCとしては、セリウム・ジルコニウム複合酸化物が知られている(特許文献4参照)。
酸素の吸蔵、放出の速度が速い理由は、熱的にも、酸化還元においてもセリウム・ジルコニウム複合酸化物の結晶構造が安定で、主要なOSC成分であるセリウム酸化物の働きを阻害せず、粒子の内部までOSCとしての働きに利用できるためであると考えられる。
【0009】
排気ガス浄化触媒では、通常、助触媒成分としてBa成分が用いられている。Ba成分は排気ガス中のNOxを吸着する機能がある。すなわち、Ba成分がBaCOの場合、排気ガス中のNOx濃度が高くなると、BaCOがNOxと反応し、Ba(NOになる。このようなNOxとの反応をNOxの吸着、あるいはNOxの吸蔵ということがある。
一般にNOxは、エンジンに供給される燃料が、空気の量よりも相対的に少ないとき多量に発生する。Ba成分は、このようにして発生するNOxを一時的に吸蔵するものである。Ba成分によりNOxが吸蔵されると、排気ガス中のNOxの濃度が低くなり、CO濃度が高くなるとBa成分から排出される。これは、前述したBa(NOがCOと反応し、BaCOになるものである。Ba成分から放出されたNOxは、Rh等の活性成分表面で、排気ガス中の還元成分と反応して還元浄化される。このようなBa成分によるNOxの吸蔵放出は、Ba成分の化学平衡によるものともいえる。
【0010】
このようなOSCやBa成分の他、助触媒成分としてジルコニアがよく使用される。ジルコニウムは遷移金属であり、その酸化物であるジルコニアにも酸素の吸蔵放出能力があるため、OSCとして酸化ジルコニウムを使用することも考えられるが、酸化ジルコニウムは酸化セリウムに比べ、そのOSCとしての能力はあまり高くないとされている。
むしろジルコニアは、スチームリフォーミング反応を促進することによりNOxの浄化性能を向上させるので、TWCにおいてジルコニアをRh成分と共に用いる事で、以下のようにスチームリフォーミング反応を促進させることが考えられている(特許文献5参照)。
【0011】
HC+HO −−−−−−→ COx+H ………(1)
+NOx −−−−−−→ N+HO ………(2)
【0012】
このようなスチームリフォーミング反応は比較的高温雰囲気下で進行することが知られているが、低温時にもNOx浄化能力の高い触媒が望まれている。
排気ガス中のNOxの浄化については、上記のスチームリフォーミング反応によって生じた水素を利用する他、排気ガス中の還元成分を直接利用する方法もあり、このような還元成分の一つとして一酸化炭素(CO)があげられる。COを利用したNOxの浄化は、CO−NO反応とも言われ、比較的低温でも反応が進行することが知られていた(例えば特許文献6)。しかし、このCO−NO反応によるNOxの浄化効率について、市場の要求を満足できるような具体的な手段は提案されていなかった。
【0013】
このような状況下、本出願人は、排気ガスに含まれる一酸化炭素、炭化水素、及び窒素酸化物を浄化するための触媒組成物が担体に2層以上に被覆されたハニカム構造型触媒であって、上層側触媒層が、耐熱性無機酸化物に担持されたパラジウムと、酸素吸蔵放出材と、バリウム成分を含み、下層側触媒層が、酸化物換算のセリウム/ジルコニウム重量比0.05〜0.2であるセリウム・ジルコニウム複合酸化物に担持されたロジウムを含むハニカム構造型触媒を提案した(特許文献7参照)。
【0014】
これにより、前記様々な規制に対応可能な優れた排気ガス浄化性能を発揮し、安価で、長期間使用しても浄化性能の低下が少ない触媒を提供できた。しかし、エンジン始動から間もない触媒床の温度が比較的低い時期では、特に一酸化炭素(CO)と窒素酸化物(NOx)の浄化率が低かった。
そのため、低温時にもNOx浄化能力の高い触媒を得るために、[CO+NO]反応能力の高い触媒、すなわち触媒床の温度が比較的低い時期でも、一酸化炭素(CO)と窒素酸化物(NOx)の浄化率が高く、比較的低コストの三元触媒が必要とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平5−237390号公報
【特許文献2】特開2002−326033号公報
【特許文献3】特開2004−223403号公報
【特許文献4】特公平6−75675号公報
【特許文献5】WO2000/027508号公報
【特許文献6】特開2002−273226号公報,図11
【特許文献7】特許第5322526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上記従来の課題に鑑み、エンジン始動から間もない触媒床の温度が比較的低い時期でも、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の浄化率が高い、特にCO、NOxの浄化性能に優れたガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒(以下、単に三元触媒またはTWCともいう)を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ね、触媒組成物がハニカム型構造体からなる担体に2層以上に被覆され、上層にPdを担持した耐熱性無機酸化物、La含有酸化物を含み、また下層にRhを担持した耐熱性無機酸化物を含んでおり、ハニカム型構造体へ担持されるLa含有量、Ce含有量をそれぞれ特定量とし、Ba含有量を含まないか特定量以下であるようにした本発明を完成するに至った。
【0018】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ガソリンエンジン排気ガスに含まれる一酸化炭素、炭化水素、及び窒素酸化物を浄化する触媒組成物を含む三元触媒であって、
触媒組成物がハニカム型構造体からなる担体に2層以上に被覆され、上層にPdを担持した耐熱性無機酸化物、La含有酸化物を含み、また下層にRhを担持した耐熱性無機酸化物を含み、La、Ce、Baの含有量は、ハニカム型構造体への単位体積あたり、La含有量がLaとして9.6〜23g/L、Ce含有量がCeOとして5〜20g/L、かつBa含有量がBaOとして1.2g/L以下であることを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒が提供される。
【0019】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、La含有酸化物は上層のみに含まれ、そのLa含有量がLaとして9.6〜20g/Lであることを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒が提供される。
【0020】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、上層の耐熱性無機酸化物が、γ−アルミナ、Laが添加されたγ−アルミナ、セリア、セリウム・ジルコニウム複合酸化物、又はLaが添加されたセリウム・ジルコニウム複合酸化物から選ばれる1種以上であることを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒が提供される。
【0021】
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、Pdの含有量が、ハニカム型構造体の単位体積あたり、0.1〜12[g/L]であることを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒が提供される。
【0022】
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、Baの含有量が、BaOとしてハニカム型構造体の単位体積あたり、0.1[g/L]未満であることを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒が提供される。
【0023】
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、上層にセリウム・ジルコニウム複合酸化物が、ハニカム型構造体の単位体積あたり、1〜50[g/L]含有することを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒が提供される。
【0024】
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、Rhの含有量が、ハニカム型構造体の単位体積あたり、0.01〜3[g/L]であることを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒が提供される。
【0025】
また、本発明の第8の発明によれば、第1の発明において、下層にセリウム・ジルコニウム複合酸化物が、ハニカム型構造体の単位体積あたり、5〜100[g/L]含有されることを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒が提供される。
【0026】
さらに、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、上層、下層はいずれにもBaを含まず、上層にはRhを含まないことを特徴とするガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒は、下層にロジウム(Rh成分)、上層にパラジウム(Pd成分)を含み、Ba成分を含まないか極少ない使用量とするとともに、セリウム酸化物を含有する耐熱性無機酸化物とランタン酸化物を特定量存在させるため、ガソリンエンジンから排出される排気ガスの浄化に対して、低温時でもCOとNOxの反応を促進し優れた浄化性能を発揮する。すなわち、低温時に顕著なCO、NOxの浄化性能を発揮し、実用の温度範囲において優れた三元触媒となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の上下2層の三元触媒であり、触媒成分の組成を模式的に示すとともに、200℃未満の排気ガスを処理したときのCO−NO反応を想定した説明図である。
図2図2は、従来のBaが多量に添加された三元触媒を用い、排気ガスを処理し、(A)200℃未満の比較的低温時、および(B)より高温の200℃以上になったときにおけるCO−NO反応のメカニズムを模式的に示した説明図である。
図3図3は、Baが微量添加された本発明の三元触媒を用い、排気ガスを200℃以上で処理したときの、CO−NO反応のメカニズムを模式的に示した説明図である。
図4図4は、本発明の三元触媒、比較用触媒のLa担持量を変えて触媒性能を試験した結果を表すグラフである。
図5図5は、本発明の三元触媒、比較用触媒のBa担持量を変えて触媒性能を試験した結果を表すグラフである。
図6図6は、本発明の三元触媒、比較用触媒のCe担持量を変えて触媒性能を試験した結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒について、詳細に説明する。なお、本発明の三元触媒は、TWC用途に特化したものではあるが、それに限定されるものではなく、ディーゼル車など化石燃料を使用した燃焼機関から排出される排気ガスに対しても、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜処理条件を変えることで適用可能である。
また、法令で許容される限りにおいて、日本特許出願である特願2016−103974、及び本明細書で引用したすべての文献の内容を援用して本文の記載の一部とする。
【0030】
1.触媒の層構成
本発明のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒は、ハニカム型構造体上に被覆された2層以上の触媒組成物からなり、Pd成分、Rh成分がCO−NO反応によりNOxを還元するための貴金属活性種として含まれている。
【0031】
本発明では、Pd成分とRh成分がハニカム型構造体に対して、それぞれ別の触媒層を形成する。Pd成分とRh成分を同一組成に使用すると合金化し、合金化された両金属は互いの活性を打ち消しあって活性が低下することが懸念されるが、Rh成分とPd成分をそれぞれ異なる層に配置することで、合金化によるRh成分とPd成分それぞれの活性低下を抑制することができる。本発明では、Pd成分を上層に、Rh成分を下層に配置する。
また、Pd成分を排気ガス流側の上層に配置することで、下層のRh成分を排気ガス中の被毒成分であるHC、S、Pから保護し、排出規制の厳しいNOxに対する主要な活性種であるRh成分を保護することができる。
【0032】
三元触媒においては多様な反応が進行するが、排気ガス中のNOxはNO,NO,NO等多様な成分からなるが、NOの組成量が最も多い。従来から一般的に知られている三元触媒では、図2(A)のように、BaOを主たるNOx吸蔵材料として使用しており、Laが含まれていたとしても多くはない。また、このような少量のLaは、OSCの希土類に由来して、あるいは触媒に使用するアルミナ等に由来して従来の触媒にも含まれている事がある。
【0033】
このような従来の触媒は、低温時においてガソリンエンジンから排出される排気ガス浄化性能が不十分であった。その理由は、触媒温度が200℃未満の状態を表した図2(A)のように、触媒中の成分にNOx,CO,Oが吸着もしくは吸蔵した状態になっている。
その後、触媒温度が上昇して200℃を超えると図2(B)のように、CeO・ZrOとLaからNOが脱離し始める。しかし、BaOからのNO脱離はまだ開始されていない。また、Laの量も少ないことから、Pd、Rhに供給されるNOの量も少ない。よって、Pd,Rhの吸着サイト上のCO−NO反応は促進しづらい。
さらに、NOとCOの反応による発熱量も少ないため、触媒温度の上昇が緩慢で、Pt,PdにおけるNOの浄化性能が発揮されづらく、高いNO浄化性能の発揮には、BaOからのNO放出が可能になる温度(概ね300℃程度)まで待たなければならず、その間、多量のNOが大気中に排出されてしまうことになる。
【0034】
このような従来の触媒に対して、本発明では、BaOを用いないか、極めて少ない使用量にし、かつLaの量をより多く使用した。
【0035】
ここで、LaとBaとCeをアルミナに酸化物として各10モル%添加した評価サンプルを用いて、NOx脱離容易性を試験した結果に言及する。評価サンプルは、10体積%のHOを含む窒素ガス中、1050℃で12時間耐久して用い試験した。100℃でNOを吸着させ、He気流中で600℃まで昇温したとき、150℃程度までは大差がないが、200℃〜370℃程度の範囲では、LaとCeからのNOx脱離性能が高く、ピークが340℃、410℃であるのに対して、Baの場合はピークが450℃と遅くなだらかな傾向を示した。
【0036】
このような観点から、本発明では、La,Ce,Baの各含有量を、ハニカム型構造体への単位体積あたり、La含有量がLaとして9.6〜23g/L、Ce含有量がCeOとして5〜20g/L、かつBa含有量がBaOとして1.2g/L以下であるようにした。
好ましいのは、La含有量がLaとして上層に9.6〜20g/L、Ce含有量がCeOとして7〜18g/L、かつBa含有量がBaOとして1.0g/L以下である。より好ましいのはLaが、Laとして上層に10〜18g/L含有されることである。
【0037】
2.上層触媒
本発明の三元触媒の上層には、Pd成分が担持されたアルミナ、セリア、ジルコニアなどの耐熱性無機酸化物母材、及びLa酸化物が含まれる。
【0038】
(Pd成分)
上層に含まれる貴金属成分は、前記したとおりPdを含むものである。Pd成分は、金属Pdでも良いが、後述する製造工程中の焼成により、あるいは排気ガスの浄化過程において酸化されることで、その一部が酸化パラジウムとなったものが好ましい。
【0039】
このようなPd成分は、硫黄等の被毒物質による被毒で活性が低下してしまうことがあるが、Pdは地殻中の埋蔵量がPtやRhに比べて多く、比較的安価であることが多いため、活性低下に備えて多めに使用できる。本発明の触媒は、ガソリンエンジン用TWCであるが、このような、硫黄含有量の少ないガソリンを燃料とするエンジンからの排気ガスに対しては、活性低下の恐れが小さいので、安価で高性能の触媒とすることができる。また、Ptは酸化物の状態では融点も低下し高温時の揮発が懸念される成分でもある。表層に酸化性の活性種としてPtを使用すると、排気ガスの熱によりPtが揮発し、大気中に放出されてしまうおそれもある。
【0040】
また、上層は高温の排気ガスに晒されて、焼結や金属成分の粒子成長が発生する場合がある。粒子成長した金属成分は表面積が低下し、触媒活性が低下する。このような粒子成長による触媒活性の低下を補うためには、粒子成長した後でも充分な表面積を持ちうるだけの多量の金属成分が必要になる。ここで、金属成分がPdであれば、使用量を増やすことも容易なことが多く多量に使うことができ、Pd粒子が成長して表面積が低下しても充分な浄化性能を発揮する触媒層となる。
【0041】
Pd成分の量は、金属Pd換算でハニカム型構造体の単位体積あたり、0.1〜20[g/L]とする。母材上でのシンタリング抑制と触媒効果を勘案すると、0.3〜12[g/L]がより好ましく、1〜6[g/L]がさらに好ましい。
【0042】
(耐熱性無機酸化物母材)
本発明では、Pd成分を担持する耐熱性無機酸化物母材として、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライト、またはこれらの少なくとも一つを含むシリカ−アルミナなどの複合酸化物から適宜選択される。このうち、Pd成分の母材としてはアルミナ、セリア、ジルコニアが好ましい。
【0043】
アルミナとしては、耐熱性に優れ、長期間の使用でも活性種を高分散に保つために高比表面積のγ−アルミナが好ましい。耐熱性を向上させるためLaが添加されていてもよい。γ−アルミナは耐熱性も高く、多孔質で比表面積値が大きくPd成分の分散性に優れる。
このようなγ−アルミナの比表面積値(BET法により測定、以下同様)は、80〜250m/gが好ましく、更に、100〜250m/gがより好ましい。γ−アルミナの比表面積値が250m/g以下であると耐熱性に富んだ触媒となる。また、比表面積値が80m/g以上であれば貴金属成分を高分散状態で安定化することができる。また、γ−アルミナはバインダーとしても効果を発揮するので、触媒成分をハニカム型構造体に被覆した場合、触媒成分の剥離を防ぐ事もできる。γ−アルミナを母材としてではなくγ−アルミナ単独のバインダーとして使用してもよい。
【0044】
また、母材にはセリウム酸化物、セリウム・ジルコニウム複合酸化物やLaが添加されたセリウム・ジルコニウム複合酸化物のようなOSCを含むようにする。OSCが含まれることで、酸素濃度が低くHC、COの濃度が高い排気ガス雰囲気において酸化活性が向上する。本発明ではPd成分を、アルミナとセリウム酸化物、セリウム・ジルコニウム複合酸化物のようなOSCとの混合物に担持することが好ましい。
【0045】
触媒全体のセリウム酸化物の含有量は、ハニカム型構造体の単位体積あたり、CeOとして、5〜20[g/L]である。このうち、上層における量が全体の50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。CeはOSC材の機能があるため、酸素貯蔵量を確保し、酸素放出のタイミングが遅くなりすぎないような含有量とする。
【0046】
セリウム・ジルコニウム複合酸化物は、γ−アルミナと組み合わせ両者を混合して使用すれば、γ−アルミナによる耐熱性と高い分散性、セリウム・ジルコニウム複合酸化物のOSC性能が併せて発揮され、Pd成分の活性が向上する。
【0047】
セリウム・ジルコニウム複合酸化物としては、セリウムの含有量によって特に制限されないが、酸化物換算のセリウム/ジルコニウム比が0.5〜0.9:1であるようなセリウム・ジルコニウム複合酸化物が好ましい。このようなセリウム量のOSCを使用することで、上層で酸素の吸蔵放出を迅速に行い、Pd成分におけるHC、COの酸化を促進することができる。セリウム・ジルコニウム複合酸化物は、必要に応じてアルカリ、アルカリ土類、遷移金属、またはセリウム以外の希土類が添加されたものでもよい。
【0048】
セリウム・ジルコニウム複合酸化物として、市販品を使用することができる。また、セリウム・ジルコニウム複合酸化物は、その製法も特に限定されないが、一般的にはセリウム原料とジルコニウム原料を混合し焼成することによって得られる。セリウム原料は、特に限定されないが、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物等の各種セリウム塩、また酸化セリウムを用いることができる。また、ジルコニウム原料も特に限定されず、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物等の各種ジルコニウム塩、また酸化ジルコニウム、バデライト、脱珪ジルコニア等を用いることができる。
【0049】
セリウム・ジルコニウム複合酸化物の量は、前記触媒全体のセリウム酸化物の含有量を考慮したうえで、酸化物換算でハニカム型構造体の単位体積あたりの含有量[g/L]として、1〜100[g/L]が好ましい。3〜50[g/L]がより好ましく、5〜20[g/L]が特に好ましい。
この範囲であれば触媒の温度が低温の時に、触媒表面において十分な量のNOxを吸着できる。また、セリウム・ジルコニウムは、前述のとおりOSCとしても機能することから、適切な量であると吸蔵できる酸素の量も十分で、排気ガス中の酸素濃度の変化を緩衝できるため、三元触媒として良好な活性を発揮することができる酸素濃度(ウィンドウ域)を保つことができる。セリウム・ジルコニウムの量が適切であると、OSCから供給される酸素により排気ガス中のCOを消費してしまうことなくCO−NO反応が進行する。
【0050】
すなわち、セリウム・ジルコニウム複合酸化物は、酸素を供給する作用を有し、その活性が高温時に高くなること、また、セリウム・ジルコニウム複合酸化物が高活性の状態では触媒活性種を酸化して、活性を低下させてしまうことに留意して使用する。
【0051】
上層における耐熱性無機酸化物は、合計で10〜100[g/L]とするのが好ましく、30〜90[g/L]がより好ましく、40〜80[g/L]がさらに好ましい。この範囲であればハニカム型構造体における触媒層の厚みで、ハニカムの通孔断面を狭くしてしまうことがなく、背圧が上昇せず出力の低下を招くことがない。また、Pd成分の分散状態が悪くならず、触媒の活性が低下してしまうことがない。
【0052】
(ランタン酸化物)
本発明は、上層にランタン酸化物を存在させるものである。前記無機酸化物母材は、母材の耐熱性を高めるためにLaが添加されていても良い。本発明では、これ以外に金属元素がLa単独のランタン酸化物を含有させることが好ましい。ランタン酸化物は、前記セリウム酸化物とともに、触媒床温度が低い雰囲気でも、COとNOxの反応を促進して発熱し、排気ガス浄化活性を向上させる。
【0053】
New European Driving Cycle(以降NEDCと記す)モードは、JC08モードと比較すると、速度が高く、停止回数も多いなど厳しい条件で、エンジンが冷えた状態から測定を行うモードである。
NEDCモードの車速・温度変化についてみると、エンジン排気温度はエンジン始動から5秒程度で200℃に達するが、触媒床温度は50℃程度に過ぎない。その後、触媒床温度が200℃程度になると、ランタン酸化物は、Ce酸化物とともに、NOxを脱離してCOとNOの反応を起こして発熱量が増える。発熱により触媒床温度が早期に上昇し、触媒が活性化され、CO−NO反応による浄化のみならず、CO、NOx、HC全ての浄化性能が向上する。
【0054】
触媒全体のランタン酸化物の含有量は、ハニカム型構造体の単位体積あたり、Laとして9.6〜23[g/L]であり、さらに10〜20[g/L]が好ましい。このうち、上層における量が全体の70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。Laをこの範囲で添加すると材料の耐熱性を高めることができ、前記CO−NO反応に必要なNOx量を供給でき、また材料の耐熱性も十分なものとなる。また、アルミナやOSC材の相変化を引き起こすこともなく耐熱性が低下しない。
【0055】
(Ba成分)
本発明の三元触媒には、上層にPd成分を含むと共にBa成分を含まないか、ハニカム型構造体に対して、BaOが1.2g/L以下の極少量含まれるものである。
【0056】
Ba成分は、NOxが多くCOが少ない状態(主にleanの状態)では、硝酸バリウムになることでNOxを吸蔵し、NOxが少なくCOが多い状態(主にrichの状態)で、硝酸バリウムが炭酸バリウムに変わることにより、吸蔵したNOxを放出する。このようにNOxが放出される雰囲気では、排気ガス中には還元成分であるHC、COが豊富に含まれることが多く、放出されたNOxは、HC、CO、また高温時にはスチームリフォーミング反応によって発生した水素を利用し、Rh成分により浄化される。
【0057】
Ba成分は、三元触媒中では酸化バリウムとして存在することが多いが、触媒組成物スラリーを製造するにあたっては、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硝酸バリウムなど他のバリウム塩の形で添加しても良く、酸化バリウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硝酸バリウムを含む複合物で有ってもよい。
Ba成分をPd成分と同一組成中に使用することで、触媒としての活性が向上することがある。その理由は、Ba成分によりPd成分のシンタリングが抑制されるためと考えられる。Pd成分のシンタリングが抑制されることで、Pd成分は大きな表面積を保つ事ができ、高い活性の触媒を得る事ができる。アルカリ土類金属であるBa成分は、NOx吸蔵成分として作用するが、本発明では、エンジン始動開始時から触媒床が300℃程度になるまでの低温時には、NOxの脱離を妨げることから、使用量には制限がある。
【0058】
高温時のNOx吸蔵機能を期待して少量のBa成分を添加しても良いが、Ba成分の量は、酸化物換算でハニカム型構造体の単位体積あたり、1.2[g/L]以下であり、1.0[g/L]以下がより好ましい。最も好ましいのはBa成分を含まないことである。
【0059】
3.下層側触媒
本発明の三元触媒は、下層にRh成分と、それを担持した耐熱性無機酸化物を母材として使用することができる。すなわち母材としては、上層でも用いたと同様なγ‐アルミナ、セリア、セリウム・ジルコニウム複合酸化物が挙げられる。
【0060】
(Rh成分)
Rh成分は、金属Rhの形態で存在していても良いが、後述する製造工程中の焼成により、あるいは排気ガスの浄化過程において酸化され、一部が酸化ロジウムとなって含まれていてもよい。
【0061】
上層に含有されるPd成分に対し、下層に含有されるRhは、より高活性の活性種であるため、粒子径が小さく分散状態が良ければ、少ない量でも活性を発揮することができる。また、RhはPdに比べて資源量も少なく高価である。そのため、高い分散状態を保持できることが望まれる。本発明では、Rh成分を反応性の成分や高温のガスに直接晒される機会の低い下層の触媒層に使用する。
【0062】
つまり、本発明では、焼結し易い上層にはPdを多量に使い、その粒子の成長があっても触媒層として充分な活性を発揮させ、高価なRhは焼結し難い下層に入れてその分散状態を保ち、粒子の成長を防ぎ活性を維持させるものである。これは排気ガスが高温になるTWCにおいて特に有効である。
【0063】
Rh成分の量は、金属Rh換算で、ハニカム型構造体の単位体積あたり、0.05〜5[g/L]である。母材上でシンタリングを進行しにくくし、NOxの浄化作用を充分に発揮させるためには、0.1〜1[g/L]であることが好ましい。
【0064】
下層のRh成分と、上層のPd成分の比率は、金属換算の重量比でRh成分:Pd成分=1:0.5〜1:30であることが好ましく、1:1〜1:20がより好ましく、1:2〜1:15がより好ましい。
【0065】
本発明のガソリンエンジン排気ガスの浄化用三元触媒は、Pd成分とRh成分の両方の働きでHC、CO、NOxを浄化するものであるが、このような組成範囲であれば、優れたHC、CO、NOxの浄化性能が発揮される。
【0066】
(耐熱性無機酸化物母材)
本発明では、下層の耐熱性無機酸化物母材として、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライトがあげられるが、このうちアルミナ、セリア、ジルコニアが好ましい。また、このような耐熱性無機酸化物はそれを単独で用いる他、これらの少なくとも一つを含む複合酸化物からなる耐熱性無機酸化物から適宜選択されてもよい。このような複合酸化物からなる耐熱性無機酸化物としては、シリカ−アルミナがあげられる。
【0067】
アルミナについては、耐熱性に優れ、長期間の使用において活性種を高分散に保つために、高比表面積のγ−アルミナが好ましい。γ−アルミナは、耐熱性も高く、多孔質で比表面積値が大きくRh成分の分散性に優れる。
【0068】
このようなγ−アルミナの比表面積値(BET法により測定、以下同様)は、80〜250m/gであることが好ましく、更に、100〜250m/gがより好ましい。γ−アルミナの比表面積値が250m/g以下であると、耐熱性に富んだ触媒が得られ、80m/g以上であれば、貴金属成分を高分散状態で安定化することができる。また、γ−アルミナは、バインダーとしても効果を発揮するもので、触媒成分をハニカム型構造体に被覆した場合、触媒成分の剥離を防ぐ事もできる。γ−アルミナを母材としてではなくバインダーとして単独で使用してもよい。
【0069】
また、母材の中にはセリウム酸化物、セリウム・ジルコニウム複合酸化物のようなOSCを含むようにする。CeはOSC材の機能があるため、酸素貯蔵量が増加する。こうしたOSCが含まれることで、酸素濃度が低くHC、COの濃度が高い排気ガス雰囲気における酸化活性が向上する。本発明ではRh成分を、アルミナとセリウム酸化物、セリウム・ジルコニウム複合酸化物のようなOSCとの混合物に担持することが好ましい。
【0070】
触媒全体のセリウム酸化物の含有量は、前記のとおりハニカム型構造体の単位体積あたり、CeOとして、7〜18[g/L]であるが、このうち、下層におけるセリウム酸化物量は、全体の50%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。下層におけるセリウム酸化物量を上層よりも多めにすると、吸蔵した酸素の放出速度を抑制して、TWCにおける排気ガスの浄化に最適な領域(ウィンドウ域)を長く維持することが可能になる。
【0071】
セリウム・ジルコニウム複合酸化物を、γ−アルミナなど耐熱性無機酸化物と組み合わせ両者を混合して使用すれば、γ−アルミナによる耐熱性と高い分散性、セリウム・ジルコニウム複合酸化物のOSC性能が併せて発揮され、Rh成分の活性が向上する。
ここでRh成分が、Rh/[CeO・ZrO]のようにセリウム・ジルコニウム酸化物に担持していると、Rh成分は、金属Rhとして活性な状態で存在する。また、Rhはジルコニウム酸化物に担持していることで、高温時におけるスチームリフォーミング反応によるNOxの浄化が促進される。また、Rh成分の母材としてOSCを使用する際は、その耐熱性の観点から、上層に用いるものと同様、セリウム・ジルコニウム複合酸化物のようなものでもよい。
【0072】
すなわち、セリウム・ジルコニウム複合酸化物としては、セリウムの含有量によって特に制限されないが、酸化物換算のセリウム/ジルコニウム比が0.5〜0.9:1であるようなセリウム・ジルコニウム複合酸化物が好ましい。このようなセリウム量のOSCを使用することで、上層で貯蔵しきれなかった酸素を下層にて貯蔵することが可能となり、排気ガス中の有害な成分を浄化することに適したウィンドウ域を適切に保つことができ、Rh成分によりNOxの還元を促進することができる。このようなセリウム・ジルコニウム複合酸化物は、必要に応じてアルカリ、アルカリ土類、遷移金属、またはセリウム以外の希土類を添加されたものでもよい。
【0073】
セリウム・ジルコニウム複合酸化物の量は、セリウム酸化物の量を考慮したうえで決定し、酸化物換算でハニカム型構造体の単位体積あたりの含有量として、1〜150[g/L]が好ましい。3〜100[g/L]がより好ましく、5〜50[g/L]が特に好ましい。セリウム・ジルコニウム複合酸化物の量がこの範囲であれば、ウィンドウ域を保つことでき、セリウム・ジルコニウム複合酸化物から酸素が適当量放出され、CO−NO反応を阻害してしまうことがない。
本発明の上層にランタン酸化物が含まれていることから、下層に使用される母材については、母材の構成成分としてランタン酸化物は含まれないか、含有量が少なくてもよい。
【0074】
下層における耐熱性無機酸化物は、50〜200[g/L]とし、80〜150[g/L]がより好ましく、100〜140[g/L]がさらに好ましい。この範囲内であればハニカム型構造体における触媒層の厚みにより、ハニカムの通孔断面を狭くしてしまうことがなく、背圧が上昇しすぎないので出力の低下を招くことがない。また、Rh成分の分散状態が悪くならないので、触媒の活性が低下してしまうことがない。
【0075】
(Ba成分)
本発明の触媒には、下層にRh成分を含むがBa成分を含まないか、前記上層と同様、極少量とする。Ba成分の量はハニカム型構造体に対して、BaOが1.2g/L以下が好ましい。
【0076】
下層に使用可能なBa成分としては、上層に使用しうるものと同様であり、その作用も同様である。ただ、Ba成分がRh成分と同一組成中に存在すると、NOxの浄化性能が低下することがある。その理由は、アルカリ土類金属成分がNOxを吸蔵する作用を有することから、Rh成分におけるNOxの浄化作用を妨害するためと考えられる。
アルカリ土類金属であるBa成分は、NOx吸蔵成分として作用するが、エンジン始動開始時から触媒床が200℃程度までの低温時には、NOxの脱離を妨げることから、本発明では、使用量を制限する。
【0077】
下層には、更にバインダー成分が含まれることが望ましい。上記のようなOSCのみであると、後述するハニカム型構造体との結合が弱くなるためである。
バインダー成分としては、γ−アルミナなどの各種アルミナ、シリカ、ジルコニア、シリカ−アルミナなどが挙げられる。このうち、γ−アルミナは、比表面積値が大きく、耐熱性も高いことから活性アルミナとして知られており、様々な種類の材が市場から入手できる。また、ジルコニアは、水素生成材料としても知られており、本発明では更にNOxの浄化も期待できる。
【0078】
本発明の三元触媒は、上層、下層を最小の触媒組成物構成単位とするもので、このような層構成とすることが、作業効率上だけでなくコスト上も望ましい。しかし、本発明はその目的を損なわない限り、上下2層の他、ハニカム型構造体と下層の間、また下層と上層の間、また上層の更に上側に、別途バインダー層、触媒成分の移行を抑制するための抑制層、被覆層、また、異なる触媒組成層などを適宜設けても良い。
本発明の上層、下層、また必要に応じて設けられる他の層には、前記必須成分の他、プラチナ、銀、銅、ニッケル、タングステン、バナジウム、チタニウム、タングステン等の遷移金属、ネオジウム、プラセオジム、イットリウム等の希土類金属、アルカリ金属、バリウム以外のアルカリ土類金属等の酸化物が単体で、また複合酸化物として使用されていてもよい。また、各種のゼオライトなども併せて使用しても良い。
【0079】
4.ハニカム型構造体
本発明の三元触媒が被覆されるハニカム型構造体は、一方の端面から他方の端面へ向かって伸びる多数の通孔を有しており、これらが集まってハニカム形状を形成している。
【0080】
また、ハニカム型構造体には、その構造の特徴から、フロースルー型とウォールフロー型が知られている。ウォールフロー型は、排気ガス中の煤やSOF等、固形成分を濾し取るために用いられ、ディーゼルエンジンの排気ガス用途では、Diesel Particulate Filter(DPF)として一般的である。
【0081】
また近年、ディーゼルでなくガソリンエンジンでも、特に直噴型ガソリン車からの排気ガスにおいても煤成分の捕集・浄化が必要とされ、触媒成分を塗布したウォールフロー型ハニカム型構造体は、ガソリンエンジンからの排気ガスの浄化にも用いられることがある。ウォールフロー型は、多孔質の壁からなる通孔の一端が互い違いに封止されているもので、煤等の粒子状成分を濾し取るフィルターとしての働きを有する。このようなガソリンエンジン用のPM(Particulate Matter)フィルターは、GPF(Gasoline Particulate Filter)といわれている。
【0082】
これに対し、フロースルー型は、一方の開放端面から他方の開口端面に向けて開口する多数の通孔を有する構造を有している。本発明はTWC用であることから、フロースルー型とウォールフロー型のいずれのハニカム型構造体も使用することができる。
【0083】
このようなハニカム型構造体における通孔の密度は、単位断面積あたりの孔の数で表され、これはセル密度とも言われる。フロースルー型のハニカム型構造体のセル密度は、概ね100〜1200セル/inch(15.5〜186セル/cm)が好ましく、400〜900セル/inch(62〜140セル/cm)である事がより好ましい。セル密度が1200セル/inchを超えると、触媒成分や、排気ガス中の固形分で目詰まりが発生しやすく、100セル/inch未満では幾何学的表面積が小さくなるため、触媒の有効使用率が低下する傾向がある。
【0084】
また、フロースルー型のハニカムを構成するセル壁の厚みは、1〜12mil(ミリインチ)(0.025〜0.3mm)が好ましく、2〜8mil(0.05〜0.2mm)がより好ましく、2〜5mil(0.05〜0.125mm)がより望ましい。セル壁が薄すぎると構造的に脆くなり、厚すぎるとセルの幾何学的表面積が小さくなるため、触媒の有効使用率が低下する傾向がある。
【0085】
ウォールフロー型のハニカム型構造体のセル密度は、一般にフロースルー型のハニカム型構造体よりも多孔質であるために小さいことが多いが、概ね100〜1200セル/inch(15.5〜186セル/cm)が好ましく、150〜600セル/inch(23〜93セル/cm)がより好ましく、200〜400セル/inch(31〜62セル/cm)である事がより好ましい。
また、ウォールフロー型のハニカムを構成するセル壁である隔壁の厚みは、一般にフロースルー型のハニカム型構造体よりも多孔質であるために厚めであるが、1〜18mil(0.025〜0.47mm)が好ましく、6〜12mil(0.16〜0.32mm)がより好ましい。
また、ウォールフローハニカム型構造体にウォッシュコートを被覆する形態も特に限定されず、隔壁の内部の孔に触媒層が形成されてもよく、隔壁の上に触媒層が形成されても良い。たとえば本発明の2層以上の触媒層は、一方が隔壁の内部に、もう一方が隔壁上に形成されていてもよい。
【0086】
5.触媒調製(ウォッシュコート法)
本発明の三元触媒は、触媒成分を含む触媒組成物スラリーとハニカム型構造体(担体)を用意して、担体に所定の触媒成分を層状に塗り分けて製造される。
【0087】
すなわち本発明では、ウォッシュコート法によって、Rhを担持した耐熱性無機酸化物を含む触媒組成物スラリーをハニカム型構造体に塗布し、引き続き、その上にPdを担持した耐熱性無機酸化物、La化合物を含む触媒組成物スラリーを塗布し、乾燥・焼成して、触媒組成物でハニカム型構造体からなる担体を被覆する。
【0088】
ウォッシュコート法は、ハニカム型構造体に触媒組成物を塗工した後、乾燥、焼成を行う事により触媒組成物が被覆されたハニカム構造型触媒を得る方法である。先ず、アルミナ、セリウム・ジルコニウム複合酸化物などの耐熱性無機酸化物母材に、Rh成分を含む溶液を含浸し、この触媒組成物スラリーでハニカム型構造体を被覆して触媒層(下層)を形成する。Rh成分は、前記耐熱性無機酸化物のいずれか一種または2種以上の混合物に担持するが、含浸後の焼成は任意である。
【0089】
次に、その上に耐熱性無機酸化物母材に担持されたパラジウムと、アルミナ、セリウム・ジルコニウム複合酸化物、およびLa化合物を含む表層側触媒層を含む層(上層)を被覆する。
【0090】
原料として使用するLa化合物は、種類によって限定されないが、スラリー化溶媒に溶けやすい原料が好ましく、硝酸La、硫酸La、塩化La、炭酸La、リン酸La、水酸化Laなどの無機化合物や、酢酸La、シュウ酸La、ラウリン酸La、ステアリン酸Laなどの有機化合物が使用でき、特に硝酸La、酢酸La、炭酸La、水酸化Laが好ましい。La化合物の使用量は、担持されるLa酸化物の量が、ハニカム型構造体への単位体積あたり、Laとして9.6〜23g/Lとなるようにする。
【0091】
本発明で、担持されるLa酸化物の量は、ハニカム型構造体への単位体積あたり、Laとして、9.6〜20g/Lが好ましく、10〜19g/Lがより好ましい。La酸化物の量は、触媒性能と相関性があるが他の要件も考慮する必要がある。La化合物の種類、担持条件などを最適化することで、製造コストを抑えながらCO、HC、NOxいずれの浄化率も確実に改善することができる。
【0092】
また、いずれか又は両方の層にバリウム成分を含有させることもできるが、含有させるとしても特定量以下とする。
【0093】
触媒組成物スラリーは、塗工に適した粘度として使用する。粘度は、B型粘度計での測定値が300〜2000CPSであり、500〜1000CPSであることが好ましい。このような触媒組成物スラリーであれば、ウォッシュコート法をもってハニカム型構造体の内部全体にコーティングできる。高粘度のスラリーの粘度を下げるには水分量を増やす必要があるが、水分量を増やしたスラリーでは、一度のウォッシュコートで被覆できる触媒の量が少なくなり、一種類の触媒組成物層の形成に必要な触媒量を被覆するために複数回のウォッシュコートが必要になる。
【0094】
触媒組成物を塗工した後、ハニカム型構造体を乾燥・焼成する。乾燥温度は、100〜300℃が好ましく、100〜200℃がより望ましい。焼成温度は、300〜700℃が好ましく、特に400〜600℃が望ましい。加熱手段については、電気炉やガス炉等の公知の加熱手段によって行う事ができる。
触媒を多層に被覆する場合、このウォッシュコート法を2回以上繰り返しても良い。また、乾燥工程前の塗工を2回以上繰り返したり、塗工から乾燥工程までを2回以上繰り返しても良い。
【0095】
6.排気ガス浄化方法
本発明の三元触媒は、ガソリン車の排気ガス流れの中に配置して使用される。
【0096】
排気ガス流れの中に本発明の三元触媒を配置するには、単独で配置しても良いが、複数個使用してもよく、異なる作用の触媒と併用してもよい。また複数個の触媒を使用する場合、それらの触媒同士は隣接して配置してもよく、エンジン直下とシャーシの床下に配置してもよい。
また、直下触媒は、エンジンに隣接する場所に限定されず、ある程度距離を置いた場所に配置してもよい。本発明の三元触媒は、エンジン直下とシャーシの床下、そのどちらで使用しても良いが、触媒の温度が上がり難い床下やエンジンに隣接していない位置に使用することが好ましい場合もある。なお、本発明の三元触媒を床下に使用する場合には、エンジン直下に別の三元触媒を配置しても良い。
【0097】
本発明の三元触媒は、ガソリン自動車に適用されるものであるが、ディーゼル自動車にも使用可能である。ガソリン自動車から排出される排気ガスには、HC、CO、NOxが含まれているが、その濃度によって本発明の触媒効果が大きく左右されるわけではない。自動車用ディーゼルエンジンから排出される排気ガスの温度は広範囲にわたり、概ね150〜250℃を低温域として、また概ね300〜600℃を高温域として分けた場合、本発明の触媒は、低温域から高温域まで、広い温度範囲で高い脱硝性能を発揮することができる。
【0098】
近年、ガソリン自動車でも燃費の更なる向上が大きな課題になっている。燃費の向上を図るために、ガソリン自動車では、燃焼室に供給される混合気の空気/燃料比率(空燃比、またはA/F)を大きくするか、一時的に燃料のカットを行なうことがある。これによりガソリンエンジン内で燃料が希薄燃焼されることになり、NOxの発生量が増えることになる。本発明の三元触媒は、HC、CO、NOxを高効率で浄化することができ、特にNOxの浄化性能に優れていることから、近年の低燃費仕様のガソリン自動車から排出される排気ガスの浄化に適している。
【0099】
本発明の触媒は、図1のような構成であるが、低温時において優れた排気ガス浄化性能を発揮する。その理由は定かではないが、その基本的な触媒の働きを、ガソリンエンジンから排出される排気ガスの浄化に使用した場合を例に、概念的に説明する。
【0100】
三元触媒においては多様な反応が進行するが、ここでは本発明の主要な作用の一つであるCO、NOxの反応について注目する。なお、排気ガス中のNOxはNO,NO,NO等多様な成分からなり、そのうちNOの組成量が最も多い。
【0101】
本発明の触媒では、従来よりもBaOの量が極めて少なく、代わりにLaの量が多い。図1のように、触媒温度が200℃未満の触媒成分と排気ガス成分の状態は、従来の図2(A)と同様である。
【0102】
ところが、触媒温度が上昇して200℃を超えたところの状態を表した図3では、Laの量が増えたことで低温から放出されるNOxの量が増える。このように増えたNOはPd,Rhの吸着サイト上のCOと活発に反応し、CO−NO反応が促進する。また、CO−NO反応が促進することで触媒の温度も急激に上昇し、排気ガス自体がまだ低温の状態であっても触媒床の温度を上昇させることができ、優れた浄化性能を発揮することができる。なお、本発明に使用されるOSC材料は、触媒上の酸素濃度を緩衝するが、高温時にその反応が促進するスチームリフォーミング反応を促すためには、純粋な酸化セリウムよりもセリウム・ジルコニウム複合酸化物を使用することが好ましい。
【0103】
このように、本発明の触媒によれば、低温(概ね200〜400℃)におけるNOxの浄化性能の向上を図ることができ、高温(概ね400℃以上)においては広く知られているスチームリフォーミング反応の活性領域に入ることから、自動車の実用領域における広範な排気ガス温度に対して満遍なくNOxの浄化が可能になる。
【実施例】
【0104】
以下、本発明の実施例、比較例を示すが、本発明は、これら実施例に限定して解釈されるものではない。
【0105】
(実施例1)
まず、以下の要領で、触媒組成物のRh担持Al、Rh担持CeO−ZrO系複合酸化物、Pd担持AlおよびPd担持CeO−ZrO系複合酸化物を調製した。なお、各種原材料の使用量は、ハニカム担体へ触媒層を形成した時に表1中の実施例1に示す組成となるようにした。なお表中[Ce/Zr]は、酸化物としての重量換算の組成比で40:55のCeO−ZrO系複合酸化物を表し、以下、実施例、比較例においても同様である。
【0106】
<Rh担持Al
純水で希釈した硝酸ロジウム溶液を市販のγ−アルミナ粉末に含浸担持した。この含溶液粉末を500℃、1時間空気中で焼成することで、Rh担持Alを調製した。
【0107】
<Rh担持CeO−ZrO系複合酸化物>
純水で希釈した硝酸ロジウム溶液を市販の[Ce/Zr]粉末40.0重量%に含浸担持した。この含溶液粉末を500℃、1時間空気中で焼成することで、Rh担持CeO−ZrO系複合酸化物を調製した。
【0108】
<Pd担持Al
純水で希釈した硝酸パラジウム溶液を市販のγ−アルミナ粉末に含浸担持した。この含溶液粉末を500℃、1時間空気中で焼成することで、Pd担持Alを調製した。
【0109】
<Pd担持CeO−ZrO系複合酸化物>
純水で希釈した硝酸パラジウム溶液を市販の[Ce/Zr]粉末40.0重量%に含浸担持した。この含溶液粉末を500℃、1時間空気中で焼成することで、Pd担持CeO−ZrO系複合酸化物を調製した。
【0110】
また、前記の貴金属担持粉末を用いてハニカム担体へ触媒層を形成した。なお、各種貴金属担持粉末の使用量は、表1中の実施例1に示す組成となるようにした。
<Rh触媒層の形成>
前記のRh担持AlとRh担持[Ce/Zr]粉末を、固形分45重量%となる量の純水とともにポットミルへ投入後、混合粉砕してスラリーを調製した。容積0.7L(600セル/inch、4ミル)のコージェライト製ハニカム担体に、このスラリーを下層としてコーティングし、下層のRh触媒層(Rh触媒層重量:125.35g/L、この内Rh:0.35g/L)を得た。
【0111】
<Pd触媒層の形成>
引き続き、前記のPd担持AlとPd担持[Ce/Zr]粉末、硝酸ランタンをポットミルへ入れ、スラリーの固形分が45重量%となる量の純水を投入し、混合粉砕してスラリーを調製したすでに下層のRh触媒層をコートしている前記のコージェライト製ハニカム担体に、このスラリーをコーティングし、150℃、2時間乾燥後、550℃、0.5時間の焼成を行ない、上層触媒Pd層(Pd触媒層重量:83g/L、この内Pd:3.5g/L)を得た。
その後、次の方法で、このハニカム触媒のエンジン耐久処理を行ってから、実車で触媒性能試験を行った。
【0112】
<エンジン耐久処理>
上記で得られたハニカム触媒を、ストイキガソリンエンジンにて950℃、200時間の熱処理を行なった。
【0113】
<実車による触媒性能試験>
上記エンジン耐久処理後のハニカム触媒を触媒コンバーターへ搭載し、国産のガソリン車(1.5LN/A)を用いて、図4のNEDCモードにて触媒の排ガス浄化性能を調べた。エンジン始動後20〜45秒間の排ガス中CO,HC,NOxを分析し、下記の式で浄化率を算出した。結果を表1、図4に示す。
CO,HC,NOxの各浄化率(%)=[触媒前ガス(g)−触媒後ガス(g)]/触媒前ガス(g)×100
【0114】
(実施例2〜3)(比較例1〜3)
上記実施例1に対して、Pd触媒層の形成に際し、硝酸Laを増加あるいは減少させ表1のようにLa担持量を変えた触媒サンプルを調製した。引き続き、得られた触媒サンプルを用い、実施例1と同様にして、CO、HC,NOxの浄化性能を測定した。結果を表1、図4に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
「評価」
表1より明らかなように、実施例1〜3では触媒組成物にLaが9.6g/L以上含まれており、NOx、CO、HCのいずれも高い浄化率が得られている。これに対して、比較例1、2では、Laが9.6g/L未満であり、また比較例3では、Laが23g/Lを超えているのでNOx、CO、HCのいずれも実施例よりも浄化率が低くなっている。
【0117】
(実施例4)(比較例4〜5)
上記実施例1に対して、表2のように上下の層にBaを酸化物換算で各0.6g/L担持した触媒サンプルを調製した。Baとしては、原料に硝酸バリウムを用い、スラリーに添加し実施例4の触媒とした。
また、同様にして、表2のように上下の層にBaを酸化物換算で各1.2g/L、2.7g/L担持した触媒サンプルを調製した。CO、HC、NOxの浄化性能を測定した。結果を実施例1とともに表2、図5に示す。
【0118】
【表2】
【0119】
「評価」
表2より明らかなように、実施例4では触媒組成物にBaOが合計で1.2g/L含まれており、実施例1ほどではないがNOx、CO、HCのいずれも高い浄化率が得られている。これに対して、比較例4、5では、BaOが合計で2g/Lを超えて含まれており、NOx、CO、HCのいずれも実施例よりも浄化率が低くなっている。
【0120】
(実施例5〜7)(比較例6〜7)
上記実施例1に対して、表3のように下層のCeO量を変えて、酸化物換算で10.5〜31g/L担持した触媒サンプルを調製し実施例5〜7の触媒とした。
また、同様にして、表2のように下層のCe/Zr量を変えて、CeOを合計で1g/L、46.5g/L担持した比較例6〜7の触媒サンプルを調製した。CO、HC,NOxの浄化性能を測定した。結果を実施例1とともに表3、図6に示す。
【0121】
【表3】
【0122】
「評価」
表3より明らかなように、実施例5〜7では触媒組成物にCeOが8〜17g/L含まれており、NOx、CO、HCのいずれも高い浄化率が得られている。これに対して、比較例6、7では、CeOが7g/L未満か、20g/Lを超えて含まれており、NOx、CO、HCのいずれも実施例よりも浄化率が低くなっている。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、La、CeOを特定量含み、BaOが含まれないか特定量以下で、上層にPdを、下層にRhを含む触媒構成であり、ガソリンエンジン始動時から排気ガスを比較的低温でも浄化する性能に優れており、窒素酸化物を炭化水素および一酸化炭素と同時に浄化する三元触媒として有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6