特許第6869984号(P6869984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869984フルオロポリマー及びアクリルコポリマーを含む層を備える多層構造及び関連する製造方法及び管
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869984
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】フルオロポリマー及びアクリルコポリマーを含む層を備える多層構造及び関連する製造方法及び管
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20210426BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20210426BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20210426BHJP
   F16L 11/04 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B32B27/30 D
   B32B27/32 Z
   B32B1/08
   F16L11/04
【請求項の数】17
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-529551(P2018-529551)
(86)(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公表番号】特表2019-505408(P2019-505408A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】FR2016053232
(87)【国際公開番号】WO2017098139
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2019年9月12日
(31)【優先権主張番号】1561980
(32)【優先日】2015年12月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アブグラル,フロラン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥビスム,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ラブール,トマ
(72)【発明者】
【氏名】ロンダン,ジェローム
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−534520(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0069710(US,A1)
【文献】 特開2001−205754(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0051256(US,A1)
【文献】 特開2004−143456(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2004−0031631(KR,A)
【文献】 国際公開第02/062567(WO,A1)
【文献】 実開昭63−103081(JP,U)
【文献】 特開2000−096016(JP,A)
【文献】 米国特許第06277914(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C09J 1/00−5/10
9/00−201/10
F16L 9/00−11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 少なくとも1つのフルオロポリマーと、カルボキシル基、カルボン酸無水物、及びこれらの基の混合物から選択される官能基Xを有するモノマーを含む1つのアクリルコポリマーとを含む層B、
− 官能基Xと相互作用することができる官能基Yを有するモノマーを含む1つの第1のオレフィンポリマーからなり、前記官能基Yを有するモノマーが不飽和エポキシド又は飽和カルボン酸のビニルエステルである、層C、
− 前記層Bの前記フルオロポリマーと非相溶性の少なくとも1つのポリマーを含む層E
を順番に含む多層構造であって、
少なくとも1つのフルオロポリマーを含む層Aをさらに含み、前記層Aが前記層Bと隣り合って並ぶ、
多層構造。
【請求項2】
前記層Bの前記フルオロポリマーと非相溶性の前記少なくとも1つのポリマーが、オレフィンポリマーである、請求項1に記載の多層構造。
【請求項3】
前記層Cと前記層Eとの間に、前記官能基Yと相互作用することができ、不飽和カルボン酸、4〜10個の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸及びその無水物誘導体から選択される官能基Zを有するモノマーを含む少なくとも1つの第2のオレフィンポリマーを含む中間層Dをさらに含み、前記第2のオレフィンポリマーが前記層Cに含まれるオレフィンポリマーとは異なる、請求項1及び2のいずれかに記載の多層構造。
【請求項4】
前記不飽和エポキシドが、脂肪族グリシジルエステル及びエーテルから選択され;
−前記飽和カルボン酸のビニルエステルが、酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルから選択される
ことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項5】
前記脂肪族グリシジルエステル及びエーテルが、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルマレエート及びグリシジルイタコネート、グリシジルメタクリレート及びグリシジルアクリレート、並びに脂環式グリシジルエステル及びエーテルから選択される、請求項4に記載の多層構造。
【請求項6】
前記層Bの前記アクリルコポリマーが、アルキルアクリレート単位を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項7】
前記アルキルアクリレート単位が、アルキルメタクリレート単位である、請求項6に記載の多層構造。
【請求項8】
前記層Bの前記アクリルコポリマーが、重量で、1%〜50%の官能基Xを有するモノマーを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項9】
前記層Bが、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基及びエポキシ基から選択される少なくとも1つの官能基を含むα−オレフィンポリマーを含まないことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項10】
前記層Cの前記第1のオレフィンポリマーが、官能基Yを有する少なくとも1つの不飽和極性モノマーに加えて、重量で少なくとも50%のエチレンコモノマーを含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項11】
前記層Cの前記第1のオレフィンポリマーが、エチレンと、官能基Yを有する不飽和極性コモノマーと、C〜Cアルキル(メタ)アクリレートとのターポリマーであることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項12】
前記層Dの前記第2のオレフィンポリマーが、官能基Zを有する少なくとも1つの不飽和極性モノマーを、少なくとも1つのプロピレンホモポリマー又はプロピレンと不飽和カルボン酸のC〜Cアルキルエステル若しくはグリシジルエステル、又は不飽和カルボン酸の塩又はそれらの混合物から選択される不飽和極性モノマーとの1つのコポリマーにグラフトすることによって得られることを特徴とする、請求項に記載の多層構造。
【請求項13】
前記多層構造が前記層A並びに前記層B、C及びEを含む場合、前記層Eに含まれるポリマーが、エチレンホモポリマー、エチレンと、α−オレフィン、アルキルアクリレート、酢酸ビニルから選択される少なくとも1つの他のモノマーとのコポリマー、及びこれらのポリマーの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項14】
前記多層構造体が層Dを含む場合、前記層Eに含まれるポリマーが、プロピレンホモポリマー、プロピレンとα−オレフィンとのコポリマー、及びこれらのポリマーの混合物から選択されることを特徴とする、請求項3から12のいずれか一項に記載の多層構造。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の多層構造を含む管であって、前記層Eが該管の外層であることを特徴とする管。
【請求項16】
体を輸送するための、請求項15に記載の管の使用。
【請求項17】
飲料水の輸送のための、請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、特に水の輸送に使用することができる多層構造に関する。
【背景技術】
【0002】
技術背景
フルオロポリマー、特にフッ化ビニリデンから得られるポリマーは、優れた化学的不活性を有し、この化学的不活性によりそれらは多数の化学物質を輸送するのに特に適したものとなる。塩素系薬剤(二酸化塩素、クロラミン、次亜塩素酸ナトリウム等)に対するその耐性により、それらは特に塩素系薬剤に基づく積極的な処置が一般に使用されている病院及び衛生環境において、水、特に温水の輸送における用途の優れた候補となる。
【0003】
飲料水の導水管または送水管は非常に厳しい基準を満たさなければならない。送水管は、それが収容している処理水のためにその機械的特性を失ってはならない。それは特に劣化に耐えるものでなければならず、穴が開いたり、破損してはならず、その架設を容易にするために柔軟でなければならない。さらに、それは輸送される水の品質を保たなければならない。送水管の構造は、輸送される水中にわずかな化合物しか放出しないものでなければならず、及び/又は送水管の内面にバイオフィルムが蓄積するのを防止しなければならない。送水管は、例えば、共押出し等によって製造も容易でなければならない。
【0004】
ポリオレフィン、特にポリエチレンはそれらを送水管用の管の形態で使用するのに適したものにする機械的性質を有している。それにもかかわらず、これらのポリマーの耐薬品性が限られているため、それらは水を処理するために使用される塩素化剤に対して、より具体的には高温条件下(70℃超過)で、敏感になる。したがって、ポリオレフィン層と組み合わされた内側フルオロポリマー層は、水に含まれるこれらの攻撃的化学物質の作用からポリオレフィン層を保護することができる。しかし、それらの異なる化学的性質のために、これらのポリマーは非相溶性である。このため、フルオロポリマーをポリオレフィンに接着させることは困難である。
【0005】
文献DE202011103017U1号は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)製の管を含む飲料水用の送水管を記載している。この管はアルミニウム箔で覆われ、結合剤によってアルミニウム箔に取り付けられている。アルミニウム箔自体はポリエチレンの層で覆われている。アルミニウム箔は、送水管にガスに対する低い透過性を与え、ポリエチレンの化学成分の水への移行を制限する。アルミニウム箔の存在により、送水管が高価になり、製造が困難になる。
【0006】
FR2892171号は、水を輸送するための送水管として使用することができる管を記載している。この管は、ポリオレフィンを含む層C3又はC4に結合した官能化フルオロポリマーを含有する層C2を含む多層構造を含む。この種の多層構造は、温水と接触すると劣化に十分には耐えられないことが判明している。
【0007】
フルオロポリマーをそれと相溶しない別のポリマーに結合させることを可能にする新しい結合剤を考案する必要が依然として存在する。とりわけ、飲料水、特に高温の飲料水を輸送するために特に適した多層構造を製造することを可能にする新しい結合剤を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国実用新案出願公開第202011103017号明細書
【特許文献2】仏国特許第2892171号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする1つの課題は、フルオロポリマーを含む層と該フルオロポリマーと非相溶性のポリマー層との間に良好な接着性を有する多層構造を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、フルオロポリマーを含む層と非相溶性ポリマー層との間に、例えば、実質的に30N/cm以上の十分な程度の接着力を有する多層構造を提供することであり、この接着力は、管の縦方向の剥離、即ち、縦方向の切断、及び23℃の温度及び50mm/分の引張り速度での「課された90°剥離」法による接着力の測定によって測定され、レバーアームは200〜400μmの間の総厚さを有する、フルオロポリマーを含有する層から構成される。
【0011】
本発明の別の目的は、80℃以上の温度、特に95℃に等しい温度の水中での劣化(特に少なくとも2000時間にわたる)に耐えることができる多層構造を提供することであり、この水は場合により水を処理するために使用される塩素化薬剤を含む。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的の1つを達成するために、本発明は、
− 任意に、少なくとも1つのフルオロポリマーを含む層A、
− 少なくとも1つのフルオロポリマーと、複数の官能基Xを有するモノマーを含む1つのアクリルコポリマーとを含む層B、
− 官能基Xと相互作用することができる複数の官能基Yを有するモノマーを含む少なくとも1つの第1のオレフィンポリマーを含む、好ましくはそれからなる層C、
− 官能基Yと相互作用することができる複数の官能基Zを有するモノマーを含む少なくとも1つの第2のオレフィンポリマーを含み、第2のオレフィンポリマーは層Cに含まれるオレフィンポリマーとは異なる中間層D、
− 層A及び/又は層Bのフルオロポリマーと非相溶性の、少なくとも1つのポリマー、特にオレフィンポリマーを含む層E
を順番に含む多層構造に関する。
【0013】
出願人は、実際に、フルオロポリマーと該フルオロポリマーと非相溶性のポリマーとの間のより良好な接着を得ることが可能であったことを実証し、これらのポリマーは、フルオロポリマーと上記のような官能基を含むアクリルコポリマーとの混合物を含む層から形成されたアセンブリにより、2つの異なる非隣接層に組み込まれ、該層は少なくとも1つの官能化オレフィンポリマーを含有する少なくとも1つの中間層に結合されている。このようにして、製造が簡単で安価な多層構造が得られる。
【0014】
この構造を形成する種々の層はまた、添加剤、特にレオロジー添加剤、衝撃改質剤、顔料、及び当業者に既知の任意の他の添加剤を含んでもよい。
【0015】
飲料水と接触して本発明の多層構造を使用する場合、本発明の多層構造は好ましくは、飲料水と直接接触する層Aを含む。この層Aの存在により、水処理剤に対するより良好な耐薬品性と、飲料水と直接接触する材料の表面におけるバイオフィルムの形成に対するより良好な耐性が確保される。
【0016】
本発明はまた、液体、特に水又は食品使用のための液体等の液体を輸送するための管に関し、管は飲料水、特に高温の飲料水の輸送に特に適している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下の説明において、より詳細に、非限定的に記載される。
【0018】
本発明は、
− 任意に、少なくとも1つのフルオロポリマーを含む層A、
− 少なくとも1つのフルオロポリマーと、複数の官能基Xを有するモノマーを含む1つのアクリルコポリマーとを含む層B、
− 官能基Xと相互作用することができる複数の官能基Yを有するモノマーを含む少なくとも1つの第1のオレフィンポリマーを含む、好ましくはそれからなる層C、
− 官能基Yと相互作用することができる複数の官能基Zを有するモノマーを含む少なくとも1つの第2のオレフィンポリマーを含み、第2のオレフィンポリマーは層Cに含まれるオレフィンポリマーとは異なる中間層D、
− 層A及び/又は層Bのフルオロポリマーと非相溶性の、少なくとも1つのポリマー、特にオレフィンポリマーを含む層E
を順番に含む多層構造に関する。
【0019】
特徴的には、官能基Yを有するモノマーは、不飽和エポキシド又は飽和カルボン酸のビニルエステルである。
【0020】
これらの層について以下に詳しく説明する。
【0021】
層B
層Bは、少なくとも1つのフルオロポリマーと複数の官能基Xを有するモノマーを含む1つのアクリルコポリマーとを含む。
【0022】
一実施形態によれば、官能基Xはカルボキシル基である。
【0023】
一実施形態によれば、官能基Xはカルボン酸無水物基である。
【0024】
一実施形態によれば、官能基Xは、カルボキシル基とカルボン酸無水物基との混合物である。
【0025】
一実施形態によれば、アクリルコポリマーは、メチルメタクリレートとグルタル酸無水物のコポリマー又はメチルメタクリレートとメタクリル酸のコポリマー又はこれらの2つのコポリマーの混合物である。
【0026】
有利には、層Bのアクリルコポリマーは、重量で、1%〜50%の、優先的には1%〜25%の間(限界値含む)の上述の官能基Xを有するモノマーを含む。
【0027】
好ましくは、層Bは、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基及びエポキシ基から選択される少なくとも1つの官能基を含むα−オレフィンポリマーを含まない。
【0028】
本発明によれば、層Aのフルオロポリマー及び層Bのフルオロポリマーは限定的でない。それらは、2つの層において同一であっても異なっていてもよい。これらの層はまた、少なくとも2つのフルオロポリマーの混合物を含むことができ、この混合物は、層A及びBにおいて同一又は異なる。
【0029】
したがって、層A及びBのフルオロポリマーは、フッ化ビニリデン(PVDF)のホモポリマー、及びフッ化ビニリデン及び少なくとも一つの他のコモノマーのコポリマーから選択される。一実施形態によれば、VDFのコモノマーは、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン(VF3)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、1,2−ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(1,3−ジオキサゾール);パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)、XがSOF、COH、CHOH、CHOCN又はCHOPOHである式CF=CFOCFCF(CF)OCFCFXの生成物:式CF=CFOCFCFSOFの生成物、nが1、2、3、4又は5である式F(CFCHOCF=CFの生成物、Rが、水素又はF(CFであり、及びzは1、2、3又は4に等しい式RCHOCF=CFの生成物、RがF(CFであり、及びzは1、2、3又は4に等しい式ROCF=CHの生成物、あるいはパーフルオロブチルエチレン(PFBE)、フルオロエチレン−プロピレン(FEP)、3,3,3−トリフルオロプロペン、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、即ち、HFO−1234yf、E−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、即ち、HFO−1234zeE、Z−1,3,3,3−トリフルオロプロペン、即ち、HFO−1234zeZ、1,1,2,3−テトラフルオロプロペン、即ち、HFO−1234yc、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン、即ち、HFO−1234ye、1,1,3,3−テトラフルオロプロペン、即ち、HFO−1234zc、クロロテトラフルオロプロペン、即ち、HCFO−1224、クロロトリフルオロプロペン(特に、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)、1−クロロ−2−フルオロエチレン、トリフルオロプロペン(特に3,3,3−トリフルオロプロペン)、ペンタフルオロプロペン(特に1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン又は1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン)、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン及びブロモトリフルオロエチレンから選択される。コポリマーはまた、エチレンのような非フッ素化モノマーを含んでいてもよい。
【0030】
層A及び層Bに使用できるVDF(フッ化ビニリデン)コポリマーの一実施形態によれば、コモノマーはヘキサフルオロプロピレン(HFP)である。
【0031】
前述の実施形態のいずれか1つと組み合わせることができる一実施形態によれば、層Aのフルオロポリマーはフッ化ビニリデンホモポリマーであり、層Bのフルオロポリマーもフッ化ビニリデンホモポリマーであるが、層Aのものとは異なる。
【0032】
層C
層Cは、官能基Xと相互作用することができる官能基Yを有するモノマーを含む少なくとも1つの第1のオレフィンポリマーを含み、好ましくはそれからなる。
【0033】
官能基Yを有するモノマーは、
− 不飽和エポキシド、特に脂肪族グリシジルエステル及びエーテル、例えば、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルマレエート及びグリシジルイタコネート、グリシジルメタクリレート及びグリシジルアクリレート、並びに脂環式グリシジルエステル及びエーテル;及び
− 飽和カルボン酸のビニルエステル、特に酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニル
から選択される。
【0034】
他の層の実施形態のいずれか1つと組み合わされ得る層Cの1つの特定の実施形態によれば、第1のオレフィンポリマーは、エチレンと、上記のリストの、官能基Yを有する少なくとも1つの不飽和極性モノマーとのコポリマーであり、重量で少なくとも50%、有利には60%超過、好ましくは少なくとも65%のエチレンを含む。
【0035】
他の層の実施形態のいずれか1つと組み合わされ得る層Cの1つの特定の実施形態によれば、第1のオレフィンポリマーは、エチレンと、上記のリストからの官能基Yを有する少なくとも1つの不飽和極性モノマーと、C〜Cアルキル(メタ)アクリレート、特にメチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、イソブチル又はシクロヘキシル(メタ)アクリレートとのターポリマーである。このターポリマーは、重量で、少なくとも50%、有利には60%超過、好ましくは少なくとも65%のエチレンを含有する。
【0036】
この第1のオレフィンポリマーは、重量で、50%〜99.9%、好ましくは60%〜99.9%、より優先的には65%〜99.9%のエチレン、及び0.1%〜50重量%、好ましくは0.1%〜40%、より優先的には0.1%〜35%の、上記のリストからの官能基Yを有する少なくとも1つの不飽和極性モノマーを含有することができる。上記間隔の限界は、本発明のオレフィンポリマーが含有し得る重量の値に対応する。
【0037】
層D
層A、B、C及びEに関して他の前述の実施形態と組み合わせることができる一実施形態によれば、本発明による構造は中間層Dを含む。
【0038】
中間層Dは、官能基Yと相互作用することができる官能基Zを有するモノマーを含む少なくとも1つの第2のオレフィンポリマーを含み、第2のオレフィンポリマーは層Cに含まれるオレフィンポリマーとは異なる。
【0039】
官能基Zは、不飽和カルボン酸、4〜10個の炭素原子を有する不飽和ジカルボン酸及びその無水物誘導体から選択される。
【0040】
第2のオレフィンポリマーは、官能基Zを有する少なくとも1つの不飽和極性モノマーを少なくとも1つのプロピレンホモポリマー又はプロピレンと不飽和カルボン酸のC〜Cアルキルエステル若しくはグリシジルエステル若しくは不飽和カルボン酸の塩又はそれらの混合物から選択される不飽和極性モノマーとの1つのコポリマーにグラフトすることによって得られるポリマーから選択される。
【0041】
有利には、ポリマーは、重量で、5%以下の量のグラフト化モノマーを含む。
【0042】
第2のオレフィンポリマーは、好ましくは、他の層の他の成分とは無関係に、無水マレイン酸がグラフトされたポリプロピレンである。
【0043】
層E
前述の実施形態のいずれか1つと組み合わせることができる1つの特定の実施形態によれば、多層構造は、層A、層B及びC、並びに層Eを任意に含む。層Eは、層A及び/又は層Bのフルオロポリマーと非相溶性の、少なくとも1つのポリマー、特に第3のオレフィンポリマーを含む。
【0044】
多層構造が層A並びに層B、C及びEを含む場合、層Eと非相溶性のポリマーは、エチレンホモポリマー、エチレンと、α−オレフィン、アルキルアクリレート、酢酸ビニルから選択される少なくとも1つの他のモノマーとのコポリマー、及びこれらのポリマーの混合物から選択される。
【0045】
層Eに含まれる非相溶性ポリマーは、主にエチレンモノマー及び/又はプロピレンモノマーを含むポリマーを示す。それは、ポリエチレン、ホモポリマー又はコポリマーであることができ、コモノマーは、α−オレフィン(特に、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)、アルキルアクリレート及び酢酸ビニルから選択される。それは、プロピレン、ホモポリマー又はコポリマーであることもでき、コモノマーはα−オレフィン(特に、エチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)から選択される。非相溶性ポリマーは、これらの種々のポリマーの混合物であってもよい。
【0046】
ポリエチレンは、特に、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)であることができる。ポリエチレンは、チーグラー・ナッタ、フィリップス又はメタロセン型触媒を用いて、又は高圧法を用いて得ることができる。それは架橋ポリエチレン(PEX)であってもよい。PEXは、非架橋PEと比較して、より良好な機械的特性(特に、耐クラック性)及びより良好な耐薬品性を有する。ポリエチレンは、過酸化物タイプのラジカル開始剤(PEX−a)を用いて架橋することができる。架橋ポリエチレンは、例えば、ポリエチレン鎖を一緒に連結するSi−O−Si結合の形成を可能にする加水分解性シラン基(PEX−b)を含むポリエチレンであってもよい。ポリエチレンは、放射線、例えば、ガンマ線(PEX−c)を用いて架橋されてもよい。
【0047】
本発明による多層構造体が層Dを含む場合、層Eのポリマーは、好ましくはプロピレンホモポリマー、プロピレンとα−オレフィンとのコポリマー及びこれらのポリマーの混合物から選択される。ポリプロピレンは、好ましくは、アイソタクチック又はシンジオタクチックポリプロピレンである。
【0048】
本発明による多層構造の製造方法は限定的ではない。それは、例えば,共押出しによって得ることができる。
【0049】
本発明による多層構造により、流体、特に液体を輸送するため、特に水、有利には飲料水、特に高温の飲料水を輸送するための送水管として使用することができる管を形成することが可能になり得る。
【0050】
本発明による多層構造の厚さは、0.5〜10mm、好ましくは0.8〜5mm、さらにより好ましくは1〜3mmの範囲(限界値含む)で変化する。
【0051】
有利には、それが管である場合、層Eは管の外層である。それは管の機械的強度を提供する。
【0052】
有利には、管は、管の内面上にバイオフィルムが形成されるのを防止する内層Aを含むことができる。層B及び層Cの組み合わせにより、温水循環の場合であっても、構造の様々な層の間の高い接着性を確保することができる。
【0053】
管は、層B、C及びE、又は層A、B、C及びE又は層B、C、D及びE又は層A、B、C、D及びEを含むことができる。好ましくは、それは層A、B、C及びEを含む。存在する場合、層Dは層Cと層Eとの間に位置する。
【0054】
本発明はまた、流体、特に液体を輸送するための、特に水、例えば、飲料水及び家庭用供給水、特に温水を輸送するための、層B、C及びEを含む管の使用にも関する。
【0055】
本発明はまた、飲料水を輸送するための、前述の層B、C、D及びEを含む管の使用に関する。
【0056】
本発明はまた、飲料水、特に高温の飲料水を輸送するための、前述の層B、C、D及びEを含む管の使用に関する。
【0057】
本発明はまた、飲料水、特に高温の飲料水を輸送するための、前述の層A、B、C、D及びEを含む管の使用に関する。
【0058】
層A及びBは、1つ以上の同一のフルオロポリマー又は異なるフルオロポリマーを含むことができる。
【0059】
定義:
官能基X、Y及びZに関して「相互作用する」という用語は、層の結合を生じさせることができる任意の種類の相互作用を包含する。それは接触する層の官能基間の化学反応、界面での鎖の拡散、1つの層の高分子が隣接する層の高分子に埋め込まれること、ファンデルワールス型又は水素結合の分子間結合、又は これらの相互作用の混合であることができる。
【0060】
層Bに含まれる「複数の官能基Xを有するモノマーを含むアクリルコポリマー」という用語は、以下を含むコポリマーを表す。
− 以下の種類の単位:
【0061】
【化1】
[式中、R及びRは水素原子又は1〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキルを表し、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。]
− 及び、以下の種類の単位:
【0062】
【化2】
[式中、Rは水素原子又は1〜20個の炭素原子を含む直鎖又は分枝のアルキルである。]
【0063】
後者の単位は、その酸形態であってもよいが、その無水物誘導体又はこれらの混合物であってもよい。それが無水物の形態であるとき、この単位は以下の式で表すことができる。
【0064】
【化3】
[式中、R及びRは水素原子又は1〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキルを表し、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。]
【0065】
一実施形態によれば、アクリルコポリマーは、50重量%までの酸形態の単位若しくはその無水物誘導体又はその2つの混合物を含む。有利には、アクリルコポリマーは、25重量%までの酸形態の単位若しくはその無水物誘導体又はこれらの混合物を含む。
【0066】
別の実施形態によれば、R及びRはメチル基を表す。この場合、結合剤はPMMAをベースとする。
【0067】
別の実施形態によれば、Rは、それを有する単位が酸の形態である場合、水素又はメチル基を表し、単位が無水物の形態である場合、R及びRは水素又はメチル基を表す。
【0068】
「飲料水」という表現は、ポータビリゼーション(potabilization)を受け、従って、先行技術に関して言及したような水処理薬品を含む水を表す。
【0069】
「飲料水を輸送するのに適している」という表現は、問題のポリマーが、以下の文献、即ち、: 「英国については規格BS6920に従うWRAS証明書、ドイツについては規則KTW 1.3.13に従うKTW証明書、オランダについては規則BRL 2013に従うKIWA証明書、フランス健康局発行の回覧、即ち、2000年4月27日付のDSG/VS4第2000/232に従うACS証明書及びイタリア令D.M.第174(2007年4月6日付の閣僚令第174号)から選択される飲料水の輸送に適していると考えられる構成成分のリストに全て現れる成分を含むことを意味する。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明する。
【0071】
使用材料:
・ PVDF−1:メルトフローインデックス(MFI)=20g/10分(230℃、3.8kg)及び約170℃の融点を有するPVDFホモポリマー
・ PVDF−2:メルトフローインデックス(MFI)=2g/10分(230℃、5kg)及び約170℃の融点を有するPVDFホモポリマー
・ PVDF−3:メルトフローインデックス(MFI)=15g/10分(230℃、3.8kg)及び約170℃の融点を有する無水マレイン酸がグラフトされたPVDFホモポリマー。以下に記載するPVDF−2+アクリルコポリマー混合物との比較として使用する。
・ CA−1:メルトフローインデックス(MFI)=3.5g/10分(230℃、3.8kg)を有するメチルメタクリレートと1,3−ジメチルグルタル酸無水物とのコポリマー
・ CA−2:メルトフローインデックス(MFI)=2g/10分(230℃、3.8kg)を有するメチルメタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー
・ CA−3:メルトフローインデックス(MFI)=3.5g/10分(230℃、3.8kg)を有するメチルメタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー
・ POF−1:メルトフローインデックス(MFI)=5g/10分(190℃、2.16kg)、23℃で0.94g/cmの密度及び105℃の融点を有するエチレンとグリシジルメタクリレートとのコポリマー
・ POF−2:メルトフローインデックス(MFI)=7g/10分(230℃、2.16kg)の無水マレイン酸がグラフトされたポリプロピレン
・ PE:メルトフローインデックス(MFI)=0.2g/10分(190℃、2.16kg)、23℃で0.938g/cmの密度を有するポリエチレン
・ PP:メルトフローインデックス(MFI)=0.25g/10分(230℃、2.16kg)及び23℃で0.905g/cmの密度を有するポリプロピレン
【0072】
製造された多層構造:
多層管S1
多層管S1は、4つの連続する層(内側から外側へ)で形成される。
層A:PVDF−1
層B:PVDF−2 + CA−1、CA−2、CA−3又はPVDF−3(比較例)から選択されるアクリルコポリマー
層C:POF−1
層E:PE
【0073】
多層管S2
多層管S2は、5つの連続する層(内側から外側へ)で形成される。
層A:PVDF−1
層B:PVDF−2 + CA−1、CA−2、CA−3又はPVDF−3(比較例)から選択されるアクリルコポリマー
層C:POF−1
層D:POF−2
層E:PP
【0074】
多層管S3
多層管S3は、3つの連続する層(内側から外側へ)で形成される。
層B:PVDF−2 + CA−1、CA−2、CA−3又はPVDF−3(比較例)から選択されるアクリルコポリマー
層C:POF−1
層E:PE
【0075】
これらの構造S1、S2及びS3の層Bに使用されるPVDF−2及びアクリルコポリマーの混合物は、共回転二軸押出機中で、この技術の規則に一致した条件下で設定温度220℃で事前に調製される。
【0076】
接着力の測定:
層間接着力は、23℃の温度及び50mm/分の引張り速度で「課された90°剥離」法による剥離試験によって測定する。レバーアームは層A及びBから構成され、200〜400μmの間の総厚さを有する。ひずみの下の界面は、層Bと層Cとの間の界面である。接着力測定は、多層管を製造してから24時間後に行う。同じプロトコールに従った接着力測定も、多層管を95℃(圧力=1バール)の水中に1000時間及び2000時間浸漬した後に実施する。
【0077】
[実施例1]
構造S1の多層管を、マクニール・アクロン・レピケ(McNeil Akron Repiquet)社によって製造された装置を用いて共押出しにより製造する。これらの生成物の共押出しを、245℃の温度で行う。管は20mmの外径及び2mmの総厚さを有する。構造内の厚さ分布は次のとおりである。
− 層A:200μm
− 層B:100μm
− 層C:100μm
− 層E:1600μm
【0078】
層B内のアクリルコポリマーの性質及び濃度は変えられる。比較として、ポリマーPVDF−3を層Bに使用する。
【0079】
以下の表Iは、層Bに使用される種々の混合物及び接着力試験の結果を示す。各ボックスの下部に示された数字は、上記の接着力値の標準偏差に対応する。
【0080】
【表1】
【0081】
表IIに示される文字N.P.は開始が伝播できないことを示し、それは層BとCとの間の接着力が非常に高いために、レバーアームに力を加えることにより、その破断応力を超え、試料は前述の2つの層に分離することができることなく破損することを意味する。
【0082】
試験した3つのアクリルコポリマーの各々で40N/cmより大きい接着力が達成され、劣化後に維持されることが観察される。したがって、官能基Xを有するアクリルコポリマーを含む本発明による結合剤を使用することにより、官能化PVDF、即ち、PVDF−3と比較して改善された接着性を得ることが可能になる。後者の使用により、95℃の水に曝されている間に層Bと層Cとの間の界面での接着力が徐々に失われること、続いて層の間の界面での凝集破壊が明らかに誘導される。したがって、本発明による多層管は、特に温水中での劣化に対してより良好な耐性を有する。1000時間後の温水中の接着力は、2000時間後に得られたものと実質的に同じであり、30N/cmの閾値を超えたままである。
【0083】
[実施例2]
構造S1の多層管を、マクニール・アクロン・レピケ社によって製造された装置を用いて共押出しにより製造する。これらの生成物の共押出しを、245℃の温度で行う。管は20mmの外径及び2mmの総厚さを有する。層Bの厚さは構造内で変えられ、これは以下の厚さ分布をもたらす。
− 層A:xμm
− 層B:100μm
− 層C:100μm
− 層E:1800−xμm
【0084】
層B内のアクリルコポリマーの性質及び濃度は変えられる。比較のために、ポリマーPVDF−3を層Bに使用する。層BとCとの間の界面における接着力の測定値を表IIに示す。
【0085】
【表2】
【0086】
層Aの厚さ、したがって内部レバーアームの厚さの増加により、接着力試験中に測定された結果の増加が生じることが観察される。これは、この測定におけるレバーアームの変形における機械的寄与を示す。したがって、2つの異なる構造で得られる接着度の比較は、レバーアームの厚さを一定にして、このレバーアームの組成をできるだけ近くにし、同一の温度でのみ行うことができる。
【0087】
さらに、この実施例は、PVDF−1=100μmの内層の場合、「PVDF−2+CA−2」結合剤では接着力が徐々に低下することが観察されるが、「PVDF−2+CA−1」結合剤では同じ条件で測定した接着度は安定したままであることも示す。したがって、無水物基の存在により、この構造における接着のより良好な維持が可能になる。
【0088】
[実施例3]
構造S2の多層管を、マクニール・アクロン・レピケ社によって製造された装置を用いて共押出しにより製造する。これらの生成物の共押出しを、245℃の温度で行う。管は32mmの外径及び3mmの総厚さを有する。構造内の厚さ分布は次のとおりである。
− 層A:300μm
− 層B:100μm
− 層C:500μm
− 層D:500μm
− 層E:1600μm
【0089】
層B内のアクリルコポリマーの性質及び濃度は変えられる。比較のために、ポリマーPVDF−3を層Bに使用する。
【0090】
以下の表IIIは、層Bに使用される種々の混合物、及び層BとCとの間の界面で生成される接着力を示す。
【0091】
試験した3つのアクリルコポリマーの各々で40N/cmより大きい接着力が達成され、劣化後に維持される。これは、官能化PVDF、即ち、PVDF−3を結合剤として使用した場合にはあてはまらず、これらを用いると95℃の水中で1000時間劣化させた後に顕著な接着力の喪失が観察される。
【0092】
【表3】
【0093】
[実施例4]
構造S1及びS3の多層管を、マクニール・アクロン・レピケ社によって製造された装置を用いて共押出しにより製造する。これらの生成物の共押出しを、245℃の温度で行う。管は20mmの外径及び2mmの総厚さを有する。構造内の厚さ分布は次のとおりである。
S1:
− 層A:200μm
− 層B:100μm
− 層C:100μm
− 層E:1600μm
S3:
− 層B:300μm
− 層C:100μm
− 層E:1600μm
【0094】
フルオロポリマーを含む層A及びBの総厚さは、2つの構造の管において同一のままである。層B内のアクリルコポリマーの性質及び濃度は変えられる。
【0095】
【表4】
【0096】
表IVに示すデータは、劣化後ですら、界面接着力が、アクリルコポリマーを含まない内層の存在によって変化しないことを示す。この任意の追加層の使用の選択は、透過性、化学的感受性又は管の表面外観のような他の所望の特性に依存する。