(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
相補性決定領域CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変領域並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD−1に特異的に結合する単離された抗体であって、ここで:
(a) CDRH1はSYGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含み;
(b) CDRH2はVIWX1DGSNX2YYADSVX3G(配列番号32)のアミノ酸配列を含み、ここで
X1はY又はFであり;
X2はK又はEであり;そして
X3はK又はMであり;
(c) CDRH3はNX1DX2(配列番号33)のアミノ酸配列を含み、ここで
X1はG又はVであり;そして
X2はH又はYであり;
(d) CDRL1はRASQSVSSNLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含み;
(e) CDRL2はGASTRAT(配列番号5)のアミノ酸配列を含み;そして
(f) CDRL3はQQYNNWPRT(配列番号6)のアミノ酸配列を含む、
上記単離された抗体。
(a)CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号1、2、3、4、5、及び6に示されるアミノ酸配列を含み;又は
(b)CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号1、2、7、4、5、及び6に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された抗体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
免疫応答の調節におけるヒトPD-1の役割を考慮すると、PD-1シグナル伝達を拮抗するように設計された治療剤は、PD-1媒介免疫抑制を含む疾患の処置について大いに期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
3. 要旨
本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてPD-1機能、例えばPD-1媒介免疫抑制を拮抗する抗体を提供する。これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を製造するための発現ベクター及び宿主細胞、並びにこれらの抗体を使用して被験体を処置する方法も提供される。本明細書に開示される抗体は、抗原(例えば、腫瘍抗原又は感染性疾患抗原)に応じてT細胞活性化を増加させ、かつ/又はTreg媒介免疫抑制を減少させるため、そしてそれ故、被験体において癌を処置するか、又は被験体において感染性疾患を処置若しくは予防するために特に有用である。
【0008】
したがって、一局面において、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変領域並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む抗体又は単離された抗体を提供し、ここで:(a) CDRH1はSYGMHのアミノ酸配列(配列番号1)を含み;(b) CDRH2はVIWX
1DGSNX
2YYADSVX
3Gのアミノ酸配列(配列番号32)を含み、ここで、X
1はY又はFであり;X
2はK又はEであり;そしてX
3はK又はMであり;(c) CDRH3はNX
1DX
2のアミノ酸配列(配列番号33)を含み、ここでX
1はG又はVであり;そしてX
2はH又はYであり;(d) CDRL1はRASQSVSSNLAのアミノ酸配列(配列番号4)を含み;(e) CDRL2はGASTRATのアミノ酸配列(配列番号5)を含み;そして(f) CDRL3はQQYNNWPRTのアミノ酸配列(配列番号6)を含む。
【0009】
特定の実施態様において、CDRH2は、配列番号2及び34〜36からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
特定の実施態様において、CDRH3は、配列番号3、7、及び37からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
特定の実施態様において、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ、配列番号1、2、及び3;1、2、及び7;1、2、及び37;1、34、及び7;1、35、及び7;又は1、36、及び7に示されるCDRH1、CDRH2及びCDRH3アミノ酸配列を含む。
【0012】
特定の実施態様において、抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域、並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含み、ここで、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、及び6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
特定の実施態様において、抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域、並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含み、ここでCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号1、2、7、4、5、及び6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
特定の実施態様において、抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0015】
特定の実施態様において、抗体は、配列番号15、17、及び26〜31からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号15、17、及び26〜31からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号15のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号17のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号26のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号27のアミノ酸配列を含む特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号28のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号29のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号30のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号31のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0016】
特定の実施態様において、抗体は、ヒトIGHV3-33生殖系列配列由来のアミノ酸配列を有する(例えば、IGHV3-33*01、例えば配列番号50のアミノ酸配列を有する)重鎖可変領域を含む。
【0017】
特定の実施態様において、抗体は、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、軽鎖可変領域は、配列番号16のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0018】
特定の実施態様において、抗体は、ヒトIGKV3-15生殖系列配列由来のアミノ酸配列(例えば、IGKV3-15*01、例えば、配列番号51のアミノ酸配列を有する)を有する軽鎖可変領域を含む。
【0019】
特定の実施態様において、抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、ここで重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号15及び16;17及び16;26及び16;27及び16;28及び16;29及び16;30及び16;又は31及び16に示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
別の局面において、本開示は、(a) 配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b) 配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0021】
別の局面において、本開示は、(a) 配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b) 配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0022】
別の局面において、本開示は、(a) 配列番号26のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b) 配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0023】
別の局面において、本開示は、(a) 配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b) 配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0024】
別の局面において、本開示は、(a) 配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b) 配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0025】
別の局面において、本開示は、(a) 配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b) 配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0026】
別の局面において、本開示は、(a) 配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b) 配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0027】
別の局面において、本開示は、(a) ヒトIGHV3-33生殖系列配列由来のアミノ酸配列を有する(例えば、IGHV3-33*01、例えば、配列番号50のアミノ酸配列を有する)重鎖可変領域、及び(b) ヒトIGKV3-15生殖系列配列由来のアミノ酸配列を有する(例えば、IGKV3-15*01、例えば、配列番号51のアミノ酸配列を有する)軽鎖可変領域を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0028】
別の局面において、本開示は、(a) 配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b) 配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0029】
別の局面において、本開示は、配列番号15、17、及び26〜31からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体又は単離された抗体を提供する。
【0030】
別の局面において、本開示は、配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体又は単離された抗体を提供する。
【0031】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0032】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0033】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0034】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0035】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0036】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0037】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0038】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0039】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0040】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0041】
別の局面において、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、及びCDRH3を含む重鎖可変領域並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2、及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含むヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供し、ここで:(a) CDRH1はSYGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含み;(b) CDRH2はVIWX
1DGSNX
2YYADSVX
3Gの(配列番号32)アミノ酸配列を含み、ここでX
1はY又はFであり;X
2はK又はEであり;そしてX
3はK又はMであり;(c) CDRH3はNX
1DX
2 (配列番号33)のアミノ酸配列を含み、ここでX
1はG又はVであり;そしてX
2はH又はYであり;(d) CDRL1はRASQSVSSNLA (配列番号4)のアミノ酸配列を含み;(e) CDRL2はGASTRAT
(配列番号5)のアミノ酸配列を含み;そして(f) CDRL3はQQYNNWPRT (配列番号6)のアミノ酸配列を含む。
【0042】
特定の実施態様において、CDRH2は、配列番号2及び34〜36からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0043】
特定の実施態様において、CDRH3は、配列番号3、7、及び37からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0044】
特定の実施態様において、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ、配列番号1、2、及び3;1、2、及び7;1、2、及び37;1、34、及び7;1、35、及び7;又は1、36、及び7に示されるCDRH1、CDRH2及びCDRH3アミノ酸配列を含む。
【0045】
特定の実施態様において、抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域、並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含み、ここで、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号1、2、3、4、5、及び6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0046】
特定の実施態様において、抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域、並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含み、ここでCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号1、2、7、4、5、及び6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0047】
特定の実施態様において、抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0048】
特定の実施態様において、抗体は、配列番号15、17、及び26〜31からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は、配列番号15、17、及び26〜31からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は配列番号15のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は配列番号17のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は配列番号26のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は配列番号27のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は配列番号28のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は配列番号29のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は配列番号30のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、重鎖可変領域は配列番号31のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0049】
特定の実施態様において、抗体は、ヒトIGHV3-33生殖系列配列由来のアミノ酸配列を有する(例えば、IGHV3-33*01、例えば、配列番号50のアミノ酸配列を有する)重鎖可変領域を含む。
【0050】
特定の実施態様において、抗体は、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、軽鎖可変領域は配列番号16のアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、抗体は配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0051】
特定の実施態様において、抗体は、ヒトIGKV3-15生殖系列配列由来のアミノ酸配列を有する(例えば、IGKV3-15*01、例えば、配列番号51のアミノ酸配列を有する)軽鎖可変領域を含む。
【0052】
特定の実施態様において、抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、ここで重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号15及び16;17及び16;26及び16;27及び16;28及び16;29及び16;30及び16;又は31及び16に示されるアミノ酸配列を含む。
【0053】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0054】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0055】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号26のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0056】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b) 配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0057】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0058】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0059】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域 、及び(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0060】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び(b)配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0061】
別の局面において、本開示は、(a)ヒトIGHV3-33生殖系列配列由来のアミノ酸配列を有する(例えば、IGHV3-33*01、例えば、配列番号50のアミノ酸配列を有する)重鎖可変領域、及び(b)ヒトIGKV3-15生殖系列配列由来のアミノ酸配列を有する(例えば、IGKV3-15*01、例えば、配列番号51のアミノ酸配列を有する)軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0062】
別の局面において、本開示は、配列番号15、17、及び26〜31からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0063】
別の局面において、本開示は、配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0064】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0065】
別の局面において、本開示は、(a)のアミノ酸配列を含む重鎖配列番号20;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0066】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0067】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0068】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0069】
別の局面において、本開示は、(a)配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0070】
別の局面において、(a)配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0071】
別の局面において、を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。(a)のアミノ酸配列を含む重鎖配列番号54;及び(b)のアミノ酸配列を含む軽鎖配列番号19.
【0072】
別の局面において、(a)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0073】
別の局面において、(a)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供する。
【0074】
別の局面において、本開示は、ヒトPD-1への結合について、本明細書において開示される抗体と交差競合する抗体又は単離された抗体を提供する。別の局面において、本開示は、本明細書において開示されるいずれかの抗体と同じヒトPD-1のエピトープに結合する、例えば特異的に結合する、抗体又は単離された抗体を提供する。
【0075】
別の局面において、本開示は、ヒトPD-1のエピトープに結合する、例えば特異的に結合する抗体を提供する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基107〜122を含むか、本質的に配列番号74の残基107〜122からなるか、又は配列番号74の残基107〜122からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基107〜122からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基5〜22を含むか、配列番号74の残基5〜22から本質的になるか、又は配列番号74の残基5〜22からなるエピトープに結合する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基5〜22からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基6〜15を含むか、配列番号74の残基6〜15から本質的になるか、又は配列番号74の残基6〜15からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。特
定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基6〜15からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基130〜138を含むか、配列番号74の残基130〜138から本質的になるか、又は配列番号74の残基130〜138からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基130〜138からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基106〜113を含む、配列番号74の残基106〜113から本質的になるか、又は配列番号74の残基106〜113からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号74の残基106〜113からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。
【0076】
別の局面において、本開示は、抗体がヒトPD-1タンパク質に結合し、続いて重水素を加えると、配列番号74の残基107〜122を含む領域におけるヒトPD-1タンパク質における水素の重水素との交換が、水素/重水素交換により決定して、抗体の存在しない場合の同じ領域におけるヒトPD-1における水素の重水素との交換と比較して、実質的に減少される抗体を提供する。別の局面において、本開示は、抗体がヒトPD-1タンパク質に結合し、続いて重水素を加えると、配列番号74の残基5〜22を含む領域におけるヒトPD-1タンパク質における水素の重水素との交換が、水素/重水素交換により決定して、抗体の存在しない場合の同じ領域におけるヒトPD-1における水素の重水素との交換と比較して、実質的に減少される抗体を提供する。
【0077】
別の局面において、本開示は、本発明のいずれかの抗体と同じヒトPD-1のエピトープに結合する、例えば、特異的に結合する抗体を提供する。好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基107〜122を含むか、配列番号74の残基107〜122から本質的になるか、又は配列番号74の残基107〜122からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。別の好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基107〜122からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。別の好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基5〜22を含むか、配列番号74の残基5〜22から本質的になるか、又は配列番号74の残基5〜22からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。別の好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基5〜22からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。別の好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基6〜15を含むか、配列番号74の残基6〜15から本質的になるか、又は配列番号74の残基6〜15からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。別の好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基6〜15からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。別の好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基130〜138を含むか、配列番号74の残基130〜138から本質的になるか、又は配列番号74の残基130〜138からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。別の好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基130〜138からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。別の好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基106〜113を含むか、配列番号74の残基106〜113から本質的になるか、又は配列番号74の残基106〜113からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。別の好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74残基106〜113からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。さらなる好ましい実施態様において、抗体は、配列番号74の残基6〜15を含むか、配列番号74の残基6〜15から本質的になるか、若しくは配列番号74の残基6〜15からなるヒトPD-1のエプトープ、及び/又は配列番号74の残基130〜138を含むか、配列番号74の残基130〜138から本質的になるか、若しくは配列番号74の残基130〜138からなり、かつ/又は配列番号74の残基106〜113を含むか、配列番号74の残基106〜113から本質的になるか、若しくは配列番号74の残基106〜113からなるヒトPD-1のエピトープに結合する。エピトープへの結合は、好ましくはPepscan分析により、特に実施例に記載されるように決定される。例えば、ヒトPD-1の1つより多くの上記エピトープ配列への結合は、不連続エピトープの場合に起こり得る。
【0078】
別の局面において、本開示は、本発明のいずれかの抗体と同じヒトPD-1のエピトープに結合する、例えば特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供し、これについて、ヒトPD-1タンパク質への抗体の結合に続いて重水素を加えると、配列番号74の残基107〜122を含む領域におけるヒトPD-1タンパク質における水素の重水素との交換は、水素/重水素交換により決定して、抗体が存在しない場合の同じ領域における重水素とのヒトPD-1タンパク質における水素の交換と比較して、実質的に減少される。別の局面において、本開示は、本発明のいずれかの抗体と同じヒトPD-1のエピトープに結合する、例えば特異的に結合する抗体又は単離された抗体を提供し、そしてこれについて、ヒトPD-1タンパク質への抗体の結合に続いて重水素を加えると、配列番号74の残基5〜22を含む領域におけるヒトPD-1タンパク質における水素の重水素との交換は、水素/重水素交換により決定して、抗体が存在しない場合の同じ領域における重水素とのヒトPD-1タンパク質における水素の交換と比較して、実質的に減少される。より好ましい実施態様において、ヒトPD-1タンパク質への抗体の結合に続いて重水素を加えると、配列番号74の残基107〜122を含む領域におけるヒトPD-1タンパク質における水素の重水素との交換は、水素/重水素交換により決定して、抗体が存在しない場合の同じ領域における重水素とのヒトPD-1タンパク質における水素の交換と比較して、実質的に減少され、そしてヒトPD-1タンパク質への抗体の結合に続いて重水素を加えると、配列番号74の残基5〜22を含む領域におけるヒトPD-1タンパク質における水素の重水素との交換は、水素/重水素交換により決定して、抗体が存在しない場合の同じ領域における重水素とのヒトPD-1タンパク質における水素の交換と比較して、実質的に減少される。例えば、ヒトPD-1の1つより多くの上記エピトープ配列への結合は、不連続エピトープの場合に起こり得る。
【0079】
別の局面において、本開示は、本発明のいずれかの抗体と同じヒトPD-1のエピトープに結合する、例えば特異的に結合する、抗体又は単離された抗体を提供し、ここでエピトープは、特に実施例に記載されるように、水素−重水素交換(HDX)により、又は特に実施例に記載されるようにPepscan分析により、より好ましくは水素−重水素交換により決定される。
【0080】
以下の実施態様は、前述の局面の全てに適用される。
【0081】
特定の実施態様において、抗体は、ヒトIgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1、及びIgA
2からなる群より選択される重鎖定常領域を含む。特定の実施態様において、抗体はヒトIgG
1重鎖定常領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って、位置N297においてグリカン部分を欠いたヒトIgG
1重鎖定常領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って、N297A変異を含むヒトIgG
1重鎖定常領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って、N297Q変異を含むヒトIgG
1重鎖定常領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って、D265A変異を含むヒトIgG
1重鎖定常領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って、S228P変異を含むヒトIgG
4重鎖定常領域を含む。
【0082】
特定の実施態様において、抗体は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域の変異体であるヒトIgG重鎖定常領域を含み、ここで変異ヒトIgG重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域がヒトFc受容体に結合するよりも低い親和性でヒトFc受容体に結合する。特定の実施態様において、ヒトFc受容体はFcγRである。特定の実施態様において、FcγRはFcγRIIBである。特定の実施態様において、FcγRは、樹状細胞、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、B細胞、及びナチュラルキラー細胞からなる群より選択される細胞で発現される。特定の実施態様において、変異ヒトIgG重鎖定常領域は、変異ヒトIgG
1、変異ヒトIgG
2、又は変異ヒトIgG
4重鎖定常領域である。特定の実施態様において、抗体は、ヒトIgGκ及びIgGλからなる群より選択される軽鎖定常領域を含む。
【0083】
特定の実施態様において、抗体はヒト抗体である。特定の実施態様において、抗体はヒトPD-1に対して拮抗的である。特定の実施態様において、抗体は、ヒトPD-1の活性を不活化するか、低減するか又は阻害する。特定の実施態様において、抗体は、ヒトPD-1のヒトPD-L1又はヒトPD-L2への結合を阻害する。特定の実施態様において、抗体は、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)で刺激された末梢血単核球(PBMC)によるIL-2産生を増加させる。特定の実施態様において、抗体は、ヒトT細胞及び同種樹状細胞の共培養のIFNγ産生を増加させる。特定の実施態様において、抗体は、卵巣癌腹水と共培養された抗CD3抗体刺激CD4+又はCD8+ T細胞の増殖を増加させる。特定の実施態様において、抗体は、PD-L1を発現する標的細胞と共培養された、PD-1を発現するNFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞におけるNFATシグナル伝達を増加させる。
【0084】
特定の実施態様において、本明細書に開示される抗体は、細胞傷害性薬物、細胞分裂阻害剤、毒素、放射性核種、又は検出可能な標識に結合される。
【0085】
別の局面において、本開示は、本明細書に開示される抗体及び薬学的に許容しうる担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0086】
別の局面において、本開示は、本明細書に開示される抗体の重鎖及び/又は軽鎖をコードするポリヌクレオチド又は単離されたポリヌクレオチドを提供する。別の局面において、本開示は、該ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。さらに別の局面において、本開示は、該ポリヌクレオチド又はベクターを含む組み換え宿主細胞を提供する。さらなる局面において、本開示は、ヒトPD-1に結合する抗体を製造する方法を提供し、該方法は、ポリヌクレオチドが発現され、そして抗体が産生されるように宿主細胞を培養することを含む。好ましい実施態様において、該方法はインビトロでの方法である。
【0087】
一実施態様において、本発明は、薬剤としての使用のための、本発明の抗体、又は本発明の医薬組成物、又は本発明のポリヌクレオチド、又は本発明のベクター、又は本発明の組み換え宿主細胞に関する。
【0088】
一実施態様において、本発明は、診断薬(diagnostic)としての使用のための、本発明の抗体、又は本発明の医薬組成物、又は本発明のポリヌクレオチド、又は本発明のベクター、又は本発明の組み換え宿主細胞に関する。
【0089】
一実施態様において、本発明は、医薬組成物又は免疫療法のための薬剤の製造のための、本発明の抗体の使用に関する。好ましくは、免疫療法は、Tサイボの活性を増加させるため、場合により、癌を処置するため又は感染性疾患を処置若しくは予防するためのものである。
【0090】
別の局面において、本開示は、被験体において抗原に応じてT細胞活性化を増加させる方法を提供し、該方法は、有効量の本明細書に開示される抗体又は医薬組成物を被験体に投与することを含む。
【0091】
別の局面において、本開示は、被験体において癌を処置する方法を提供し、該方法は、有効量の本明細書に開示される抗体又は医薬組成物を被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、癌は、黒色腫、頭頚部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)、乳癌(例えば、ハーセプチン抵抗性乳癌及びトラスツズマブ-DM1(T-DM1)抵抗性乳癌)、前立腺癌、多形神経膠芽腫、結腸直腸癌、肉腫、膀胱癌、子宮頸癌、HPV関連癌、腟癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、直腸癌、中咽頭癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌、卵巣癌、肝細胞癌、子宮内膜癌、膵臓癌、リンパ腫、及び白血病(例えば、高齢白血病、急性骨髄性白血病(AML)、及び高齢AML)からなる群より選択される。特定の実施態様において、抗体又は医薬組成物は、皮下又は静脈内投与される。特定の実施態様において、抗体又は医薬組成物は、腫瘍内投与される。特定の実施態様において、抗体又は医薬組成物は、腫瘍流入領域リンパ節に送達される。特定の実施態様において、抗体又は医薬組成物は動脈内投与される。
【0092】
一局面において、本発明は、抗原に応じたT細胞活性化を増加させるための方法における使用のための、本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物に関する。
【0093】
一局面において、本発明は、被験体において抗原に応じたT細胞活性化を増加させるための方法における使用のための、本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物に関する。
【0094】
一局面において、本発明は、被験体において抗原に応じたT細胞活性化を増加させるための医薬組成物を製造するための、本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物の使用に関する。
【0095】
一局面において、本発明は、有効量の本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物を被験体に投与することを含む、被験体において抗原に応じたT細胞活性化を増加させるための方法における使用のための、本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物に関する。
【0096】
一局面において、本発明は、癌の処置のための方法における使用のための、本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物に関し、好ましくは、ここで癌は、黒色腫、頭頚部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)、乳癌(例えば、ハーセプチン抵抗性乳癌及びトラスツズマブ-DM1(T-DM1)抵抗性乳癌)、前立腺癌、多形神経膠芽腫、結腸直腸癌、肉腫、膀胱癌、子宮頸癌、HPV関連癌、腟癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、直腸癌、中咽頭癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌、卵巣癌、肝細胞癌、子宮内膜癌、膵臓癌、リンパ腫、及び白血病(例えば、高齢白血病、急性骨髄性白血病(AML)、及び高齢AML)からなる群より選択される。
【0097】
一局面において、本発明は、被験体における癌の処置のための方法における使用のための、本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物に関し、好ましくは、ここで癌は、黒色腫、頭頚部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)、乳癌(例えば、ハーセプチン抵抗性乳癌及びトラスツズマブ-DM1(T-DM1)抵抗性乳癌)、前立腺癌、多形神経膠芽腫、結腸直腸癌、肉腫、膀胱癌、子宮頸癌、HPV関連癌、腟癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、直腸癌、中咽頭癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌、卵巣癌、肝細胞癌、子宮内膜癌、膵臓癌、リンパ腫、及び白血病(例えば、高齢白血病、急性骨髄性白血病(AML)、及び高齢AML)からなる群より選択される。
【0098】
一局面において、本発明は、有効量の本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物を被験体に投与することを含む、被験体における癌の処置のための方法における使用のための、本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物に関し、好ましくは、ここで癌は、黒色腫、頭頚部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)、乳癌(例えば、ハーセプチン抵抗性乳癌及びトラスツズマブ-DM1(T-DM1)抵抗性乳癌)、前立腺癌、多形神経膠芽腫、結腸直腸癌、肉腫、膀胱癌、子宮頸癌、HPV関連癌、腟癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、直腸癌、中咽頭癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌、卵巣癌、肝細胞癌、子宮内膜癌、膵臓癌、リンパ腫、及び白血病(例えば、高齢白血病、急性骨髄性白血病(AML)、及び高齢AML)からなる群より選択される。
【0099】
本発明の使用のための抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物の好ましい実施態様において、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物、より好ましくは抗体又は医薬組成物は、皮下又は静脈内投与される。本発明の使用のための抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物の別の好ましい実施態様において、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物、より好ましくは抗体又は医薬組成物は、腫瘍内又は動脈内投与される。
【0100】
特定の実施態様において、前述の方法は、さらなる治療剤を被験体に投与することをさらに含む。したがって、本発明の方法における使用のための抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物の1つの好ましい実施態様において、方法は、さらなる治療剤を被験体に投与することをさらに含む。
【0101】
一局面において、本発明は、薬剤としての使用のための、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物、並びに(b)さらなる治療剤に関する。
【0102】
一局面において、本発明は、癌の処置のための方法における使用のための、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物、並びに(b)さらなる治療剤に関する。
【0103】
一局面において、本発明は、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物、並びに(b)さらなる治療剤を含む、医薬組成物、キット又はキット・オブ・パーツ(kit-of-parts)に関する。
【0104】
特定の実施態様において、さらなる治療剤は、化学療法剤又はチェックポイントターゲッティング剤である。特定の実施態様において、チェックポイントターゲッティング剤は、アンタゴニスト抗PD-1抗体、アンタゴニスト抗PD-L1抗体、アンタゴニスト抗PD-L2抗体、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体、アンタゴニスト抗TIM-3抗体、アンタゴニスト抗LAG-3抗体、アンタゴニスト抗CEACAM1抗体、アンタゴニスト抗TIGIT抗体、アゴニスト抗CD137抗体、アゴニスト抗ICOS抗体、アゴニスト抗GITR抗体、及びアゴニスト抗OX40抗体からなる群より選択される。特定の実施態様において、さらなる治療剤は、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害剤である。特定の実施態様において、阻害剤は、エパカドスタット、F001287、インドキシモド(indoximod)、及びNLG919からなる群より選択される。特定の実施態様において、さらなる治療剤はワクチンである。特定の実施態様において、ワクチンは、抗原性ペプチドと複合体化した熱ショックタンパク質を含む熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)を含む。特定の実施態様において、熱ショックタンパク質はhsc70であり、そして腫瘍関連抗原性ペプチドと複合体化される。特定の実施態様において、熱ショックタンパク質はgp96タンパク質であり、そして腫瘍関連抗原性ペプチドと複合体化され、ここでHSPPCは、被験体から得られた腫瘍由来である。特定の実施態様において、さらなる治療剤はTCRを含む。特定の実施態様において、さらなる治療剤は可溶性TCRである。特定の実施態様において、さらなる治療剤はTCRを発現する細胞である。特定の実施態様において、さらなる治療剤は、キメラ抗原受容体を発現する細胞である。特定の実施態様において、さらなる治療剤は、ペプチド-MHC複合体に特異的に結合する抗体である。特定の実施態様において、さらなる治療剤はアジュバントである。一局面において、本発明は、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物、さらには薬剤を製造するためのそれらの使用、並びに(b)薬剤としての使用のため、特に癌の処置のための方法における使用のためのワクチンに関し、好ましくはここで、ワクチンは、抗原性ペプチドと複合体化した熱ショックタンパク質を含む熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)を含む。一局面において、本発明は、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組み換え宿主細胞、及び/又は医薬組成物、並びに(b)ワクチンを含む医薬組成物、キット又はキット・オブ・パーツに関し、好ましくはここで、ワクチンは、抗原性ペプチドと複合体化した熱ショックタンパク質を含む熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)を含む。
【0105】
4.図面の簡単な説明
【発明を実施するための形態】
【0107】
5. 詳細な説明
本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてPD-1機能、例えばPD-1媒介免疫抑制を拮抗する抗体を提供する。これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を製造するための発現ベクター及び宿主細胞、並びにこれらの抗体を使用して被験体を処置する方法も提供される。本明細書において開示される抗体は、抗原(例えば、腫瘍抗原又は感染性疾患抗原)に応じたT細胞活性化を増加させるため、そしてそれ故、被験体において癌を処置するか又は被験体において感染性疾患を予防するために特に有用である。本明細書に記載される「単離された抗体」の全ての場合は、単離されていてもよいが単離されていることを必要としない抗体としてさらに考慮される。本明細書に記載される「単離されたポリヌクレオチド」の全ての場合は、単離されていてもよいが単離されていることを必要としないポリヌクレオチドとしてさらに考慮される。本明細書に記載される「抗体」の全ての場合は、単離されていてもよいが単離されていることを必要としない抗体としてさらに考慮される。本明細書に記載される「ポリヌクレオチド」の全ての場合は、単離されていてもよいが単離されていることを必要としないポリヌクレオチドとしてさらに考慮される。
【0108】
5.1 定義
本明細書で使用される用語「約(about)」及び「約(approximately)」は、数値又は数値範囲を修飾するために使用される場合、その値又は範囲を5%〜10%まで上回り、かつその値又は範囲を5%〜10%まで下回る偏差が、依然として示される値又は範囲の意図された意味内であることを示す。
【0109】
本明細書で使用される用語「PD-1」は、タンパク質プログラム細胞死タンパク質1を指す。PD-1ヌクレオチド及びアミノ酸配列は当該分野で周知である。例となるヒトPD-1アミノ酸配列は、GenBank供託GI:167857792に示される。
【0110】
本明細書で使用される用語「抗体(antibody)」及び「抗体(antibodies)」は、全長抗体、全長抗体の抗原結合フラグメント、及び抗体CDR、VH領域又はVL領域を含む分子を
含む。抗体の例としては、モノクローナル抗体、組み換え産生された抗体、単一特異性抗体、多選択性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖及び2つの軽鎖分子を含むテトラマー抗体、抗体軽鎖モノマー、抗体重鎖モノマー、抗体軽鎖ダイマー、抗体重鎖ダイマー、抗体軽鎖-抗体重鎖対、細胞内抗体(intrabodies)、ヘテロコンジュゲート抗体、抗体-薬物結合体、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体又は単鎖Fvs(scFv)、ラクダ化(camelized)抗体、affybodies、Fabフラグメント、F(ab’)
2フラグメント、ジスルフィド連結Fvs (sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、及び上記のいずれかの抗原結合フラグメントが挙げられる。特定の実施態様において、本明細書において記載される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子のいずれの型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY)でも、いずれのクラス(例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1又はIgA
2)でも、いずれのサブクラス(例えば、IgG
2a又はIgG
2b)のものでもよい。特定の実施態様において、本明細書において記載される抗体はIgG抗体、又はそのクラス(例えば、ヒトIgG
1又はIgG
4)又はそのサブクラスである。特定の実施態様において、抗体はヒト化モノクローナル抗体である。別の特定の実施態様において、抗体はヒトモノクローナル抗体である。特定の実施態様において、本明細書において記載される抗体は、IgG
1又はIgG
2抗体である。
【0111】
本明細書で使用される用語「VH領域」及び「VL領域」は、それぞれFR(フレームワーク領域)1、2、3及び4並びにCDR(相補性決定領域)1、2及び3を含む単一の抗体重鎖及び軽鎖可変領域を指す(Kabat et al.、(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest (NIH Publication No. 91-3242、Bethesda)を参照のこと、これは参照によりその全体として本明細書に加入される)。
【0112】
本明細書で使用される用語「CDR」又は「相補性決定領域」は、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見られる不連続抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域は、Kabat et al.、J. Biol. Chem. 252、6609-6616 (1977)及びKabat et al.、Sequences of protein of immunological interest. (1991)により、Chothia et al.、J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)により、及びMacCallum et al.、J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996)により記載されており(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)、ここで定義には、互いに対して比較した場合のアミノ酸残基のオーバーラップ又はサブセットが含まれる。好ましくは、用語「CDR」は、配列比較に基いてKabatにより定義されるとおりのCDRである。CDRH1、CDRH2及びCDRH3は重鎖CDRを示し、そしてCDRL1、CDRL2及びCDRL3は軽鎖CDRを示す。
【0113】
本明細書で使用される用語「EUナンバリングシステム」は、Edelman、G.M. et al.、Proc. Natl. Acad. USA、63、78-85 (1969)において、及びKabat et al.「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、U.S. Dept. Health and Human Services、5th edition、1991(これらはそれぞれその全体として参照により本明細書に加入される)に記載されるように、抗体の定常領域についてのEUナンバリング変換を指す。
【0114】
本明細書において使用される用語「フレームワーク(FR)アミノ酸残基」は、免疫グロブリン鎖のフレームワーク領域におけるアミノ酸を指す。本明細書で使用される用語「フレームワーク領域」又は「FR領域」は、可変領域の一部であるがCDR(例えば、CDRのKabat定義を使用して)の一部ではないアミノ酸残基を含む。
【0115】
本明細書で使用される用語「可変領域」及び「可変ドメイン」は交換可能に使用され、当該分野ではよく知られている。可変領域は、典型的には抗体の一部、一般に、軽鎖又は重鎖の一部、典型的には成熟重鎖におけるアミノ末端の約110〜125アミノ酸及び成熟軽鎖における約90〜115アミノ酸を指し、これらは抗体間で配列が広く異なり、特定の抗体の
その特定の抗原についての結合及び特異性において使用される。配列の可変性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中するが、可変ドメイン中のより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。特定の実施態様において、可変領域はヒト可変領域である。特定の実施態様において、可変領域は齧歯動物又はマウスCDR及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の実施態様において、可変領域は霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。特定の実施態様において、可変領域は、齧歯動物又はマウスCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0116】
用語「VL」及び「VLドメイン」は、抗体の軽鎖可変領域を指すように交換可能に使用される。
【0117】
用語「VH」及び「VHドメイン」は、抗体の重鎖可変領域を指すように交換可能に使用される。
【0118】
本明細書で使用される用語「定常領域」及び「定常ドメイン」は交換可能であり、そして当該分野でよく知られている。定常領域は、抗体部分、例えば抗体の抗原への結合には直接関与していないが、Fc受容体(例えば、Fcガンマ受容体)との相互作用のような様々なエフェクター機能を示す軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は、一般的には免疫グロブリン可変ドメインと比較してより保存されたアミノ酸配列を有する。
【0119】
抗体を参照して使用される場合の本明細書で使用される用語「重鎖」は、定常ドメインのアミノ酸配列に基いた、いずれかの個別の型、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)を参照し得、これらはIgGのサブクラス(例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、及びIgG
4)を含めて、それぞれ抗体のIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMクラスを生じる。
【0120】
抗体を参照して使用される場合の本明細書で使用される用語「軽鎖」は、定常ドメインのアミノ酸配列に基いて、いずれかの個別の型、例えば、カッパ(κ)又はラムダ(λ)を参照し得る。軽鎖アミノ酸配列は当該分野で周知である。特定の実施態様において、軽鎖はヒト軽鎖である。
【0121】
「結合親和性」は、一般的に、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別の指示がなければ、本明細書で使用される「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体及び抗原)のメンバー間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般的に解離定数(K
D)により表され得る。親和性は、当該分野で公知の多数の方法で測定及び/又は表現され得、これらとしては、限定されないが、平衡解離定数(K
D)、及び平衡結合定数(K
A)が挙げられる。K
Dはk
off/k
onの商から計算され、一方でK
Aはk
on/k
offの商から計算される。k
onは、例えば、抗体の抗原に対する結合速度定数を指し、そしてk
offは、例えば抗体の光源に対する解離速度定数を指す。k
on及びk
offは、BIAcore
(R)又はKinExAのような当業者に公知の技術により決定され得る。
【0122】
本明細書で使用される用語「に特異的に結合する」は、少なくとも約1 x 10
-6 M、1 x 10
-7 M、1 x 10
-8 M、1 x 10
-9 M、1 x 10
-10 M、1 x 10
-11M、1 x 10
-12 M、又はそれ以下の解離定数(K
d)で抗原に結合し、かつ/又は非特異的抗原に対するその親和性よりも少なくとも2倍高い親和性で抗原に結合する抗体の能力を指す。一実施態様において、抗原に特異的に結合する分子は、例えば、イムノアッセイ、BIAcore
(R)、KinExA 3000機器(Sapidyne Instruments、Boise、ID)、又は当該分野で公知の他のアッセイにより決定して、一般的により低い親和性で他のペプチド又はポリペプチドに結合し得る。一実施態様において、抗原に特異的に結合する分子は、分子が非特異的に別の抗原に結合する場合のK
Aよりも、少なくとも2 log、2.5 log、3 log、4 log又はそれ以上高い結合定数(K
A)で抗原に結合する。一実施態様において、抗原に特異的に結合する分子は、1 x 10
-6 M若しくはそれ以下、1 x 10
-7M若しくはそれ以下、1 x 10
-8 M若しくはそれ以下、1 x 10
-9 M若しくはそれ以下、1 x 10
-10M若しくはそれ以下、1 x 10
-11 M若しくはそれ以下、又は1 x
10
-12 M若しくはそれ以下のK
dで抗原に結合する。
【0123】
別の特定の実施態様において、抗原に特異的に結合する分子は、同様の結合条件下で他のタンパク質と交差反応しない。別の特定の実施態様において、PD-1に特異的に結合する分子は、他の非PD-1タンパク質と交差反応しない。特定の実施態様において、別の非関連抗原に対する親和性よりも高い親和性でPD-1(例えば、ヒトPD-1)に結合する抗体が本明細書において提供される。特定の実施態様において、例えば、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、又は結合平衡除外法(kinetic exclusion assay)により測定して、別の非関連抗原よりも、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれ以上高い親和性でPD-1(例えば、ヒトPD-1)に結合する抗体が本明細書において提供される。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗PD-1抗体の非関連非PD-1タンパク質への結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイにより測定して、PD-1タンパク質への抗体の結合の10%、15%、又は20%又はそれ以下である。
【0124】
本明細書で使用される「エピトープ」は、当該分野における用語であり、そして抗体が特異的に結合することができる抗原の局所領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの連続したアミノ酸(線状又は連続的エピトープ)であり得、エピトープは、例えば、1つ又は複数のポリペプチドの2つ又はそれ以上の不連続領域から一緒になり得る(立体構造的、非線状、不連続(discontiguous)、又は不連続(non-contiguous)エピトープ)。特定の実施態様において、抗体が結合するエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学的研究、ELISAアッセイ、質量分析法(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレイ質量分析法)と連結した水素/重水素交換、アレイベースのオリゴ-ペプチドスキャニングアッセイ(例えば、CLIPS (足場上へのペプチドの化学的連結)を使用してペプチドを拘束し、不連続又は構造的エピトープをマッピングする)、及び/又は変異誘発マッピング(例えば、部位特異的変異誘発マッピング)により決定され得る。X線結晶学のために、結晶化は、当該分野で公知の方法のいずれかを使用して達成され得る(例えば、Giege R et al.、(1994) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt 4):339-350;McPherson A (1990) Eur J Biochem 189:1-23;Chayen NE (1997) Structure 5:1269-1274;McPherson A (1976) J Biol Chem 251:6300-6303、これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)。抗体:抗原結晶は、周知のX線回折技術を使用して研究され得、そしてX-PLOR (Yale University、1992、distributed by Molecular Simulations、Inc.;例えば、Meth Enzymol (1985) volumes 114&115、eds Wyckoff HW et al.,;U.S. 2004/0014194を参照のこと)、及びBUSTER (Bricogne G (1993) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt 1):37-60;Bricogne G (1997) Meth Enzymol 276A:361-423、ed Carter CW;Roversi P et al.、(2000) Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 56(Pt 10):1316-1323、これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)のようなコンピュータ・ソフトウェアを使用して精密化され得る。変異誘発マッピング研究は、当業者に公知のいずれかの方法を使用して達成され得る。アラニンスキャニング変異誘発技術を含む変異誘発技術の記載については、例えば、Champe M et al.、(1995) J Biol Chem 270:1388-1394及びCunningham BC&Wells JA (1989) Science 244:1081-1085(これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと。CLIPS (足場上へのペプチドの化学的連結)は、複雑なタンパク質ドメインの機能的模倣物として振る舞うように1つ又はそれ以上のペプチドを構造的に拘束された構成で示す技術である。例えば、米国公開第US 2008/0139407 A1号及び同第US 2007/099240 A1号、並びに米国特許第7,972,993号(これらは全て参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと。特定の実施態様において、抗体のエピトープは、アラニンスキャニング変異誘発研究を使用して決定される。特定の実施態様において、抗体のエピトープは、質量分析法と連結された水素/重水素交換を使用して決定される。特定の実施態様において、抗体のエピトープは、Pepscan TherapeuticsからのCLIPSエピトープマッピング技術を使用して決定される。
【0125】
本明細書で使用される用語「T細胞受容体」及び「TCR」は、交換可能に使用され、そして全長ヘテロダイマーαβ又はγδ TCR、全長TCRの抗原結合フラグメント、及びTCR CDR又は可変領域を含む分子を指す。TCRの例としては、限定されないが、全長TCR、全長TCRの抗原結合フラグメント、可溶性TCR欠損膜貫通及び細胞質内領域、可動性リンカーにより結合されるTCRの可変領域を含有する単鎖TCR、操作されたジスルフィド結合により連結されるTCR鎖、単一特異的TCR、多選択性TCR(二重特異性TCRを含む)、TCR融合物、ヒトTCR、ヒト化TCR、キメラTCR、組み換え産生されたTCR、及び合成TCRが挙げられる。この用語は、野生型及びTCR及び遺伝子操作されたTCR(例えば、第一の種のTCR由来の第一の部分及び第二の種のTCR由来の第二の部分を含むキメラTCR鎖を含むキメラTCR)を包含する。
【0126】
本明細書で使用される用語「主要組織適合複合体」及び「MHC」は、交換可能に使用され、そしてMHCクラスI分子及び/又はMHCクラスII分子を指す。
【0127】
本明細書で使用される用語「ペプチド-MHC複合体」は、MHCの当該分野で認められたペプチド結合ポケットにおいて結合されたペプチドを含むMHC分子(MHCクラスI又はMHCクラスII)を指す。
【0128】
本明細書で使用される用語「処置する」、「処置すること」、及び「処置」は、本明細書に記載される治療的又は予防的な手段を指す。「処置」の方法は、疾患若しくは障害を有するか、又はこのような疾患若しくは障害を有する傾向がある被験体に、疾患若しくは障害の1つ若しくはそれ以上の症状又は疾患若しくは障害の再発を予防するか、治癒するか、遅延させるか、症状の重篤度を低減するか、若しくは寛解させるため、又はこのような処置のない場合に期待される生存を超えて被験体の生存を延長するために、抗体を投与することを使用する。
【0129】
被験体への治療の施与の文脈における本明細書で使用される用語「有効量」は、所望の予防的又は治療的効果を達成する治療の量を指す。
【0130】
本明細書で使用される用語「被験体」は、いずれかのヒト又は非ヒト動物を含む。好ましい実施態様において、被験体はヒト又は非ヒト哺乳動物、より好ましくはヒトである。
【0131】
2つの配列(アミノ酸配列又は核酸配列)間の「同一性パーセント」の決定は、数学アルゴリズムを使用して達成され得る。2つの配列の比較に利用される数学アルゴリズムの具体的な非限定的な例は、Karlin S&Altschul SF (1993) PNAS 90:5873-5877におけるように改変されたKarlin S&Altschul SF (1990) PNAS 87:2264-2268のアルゴリズム(これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)。このようなアルゴリズムは、Altschul SF et al.、(1990) J Mol Biol 215:403(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、本明細書に記載される核酸分子に対するヌクレオチド配列相同性を得るために、NBLASTヌクレオチドプログラムパラメーターセット、例えばscore=100に対して、wordlength=12を用いて実行され得る。BLASTタンパク質検索は、本明細書に記載されるタンパク質分子に対するアミノ酸配列相同性を得るために、XBLASTプログラムパラメーターセット、例えば、score 50に対して、wordlength=3を用いて実行され得る。比較目的のためにギャップを考慮した(gapped)アライメントを得るために、Gapped BLASTをAltschul SF et al.、(1997) Nuc Acids Res 25:3389-3402(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)に記載されるように利用することができる。あるいは、PSI BLASTを使用して、分子間の距離関係を検出する反復検索を行うことができる(同文献)。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムの(例えば、XBLAST及びNBLASTの)デフォルトのパラメーターを使用することができる(例えば、ワールドワイドウェブでNational Center for Biotechnology Information (NCBI)、ncbi.nlm.nih.govを参照のこと)。配列の比較に利用される数学アルゴリズムの別の具体的な比限定的な例は、Myers and Miller、1988、CABIOS 4:11-17(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120残基重み付け表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用することができる。
【0132】
2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップを許容して、又は許容せずに、上記の技術と同様の技術を使用して決定することができる。同一性パーセントの計算において、典型的には完全な一致のみがカウントされる。
【0133】
5.2 抗PD-1抗体
一局面において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてPD-1機能を拮抗する抗体を提供する。例となる抗体のアミノ酸配列を本明細書の表1〜6に示す。
【0149】
特定の実施態様において、本開示は:
(a) CDRH1はSYGMH(配列番号1)のアミノ酸配列を含み;かつ/又は
(b) CDRH2はVIWX
1DGSNX
2YYADSVX
3G (配列番号32)のアミノ酸配列を含み、ここで、
X
1はY若しくはFであり;
X
2はK若しくはEであり;そして
X
3はK若しくはMであり;かつ/又は
(c) CDRH3はNX
1DX
2(配列番号33)のアミノ酸配列を含み、ここで
X
1はG若しくはVであり;そして
X
2はH若しくはYであり;かつ/又は
(d) CDRL1はRASQSVSSNLA (配列番号4)のアミノ酸配列を含み;かつ/又は
(e) CDRL2はGASTRAT(配列番号5)のアミノ酸配列を含み;かつ/又は
(f) CDRL3はQQYNNWPRT (配列番号6)のアミノ酸配列を含む、
を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0150】
特定の実施態様において、抗体は、上記VH CDRの1、2、又は3つ全てを含む。特定の実施態様において、抗体は、表2における抗体の1つのCDRH1を含む。特定の実施態様において、抗体は、表2における抗体の1つのCDRH2を含む。特定の実施態様において、抗体は、表2における抗体の1つのCDRH3を含む。特定の実施態様において、抗体は、表2における抗体の1つの1、2、または3つ全てのVH CDRを含む(例えば、表2の1つの行のVH CDR、例えば、AGEN2033w又はAGEN2034wからの全てのVH CDR)。特定の実施態様において、抗体は、本明細書に記載されるVHフレームワークを含む。特定の実施態様において、抗体は、表4に示される抗体セットのVHフレームワーク領域を含む(例えば、表4の1つの行におけるフレームワーク領域の1、2、3、又は4つ)。
【0151】
特定の実施態様において、抗体は、上記のVL CDRの1、2、又は3つ全て含む。特定の実施態様において、抗体は、表3における抗体の1つのCDRL1を含む。特定の実施態様において、抗体は、表3における抗体の1つのCDRL2を含む。特定の実施態様において、抗体は、表3における抗体の1つのCDRL3を含む。特定の実施態様において、抗体は、表3における抗体の1つのVL CDRの1、2又は3つ全てを含む(例えば、表3の1つの行のVL CDR、例えば、AGEN2033w又はAGEN2034wからのVL CDR全て)。特定の実施態様において、抗体は、本明細書に記載されるVLフレームワーク領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、表5に示される抗体のVLフレームワーク領域(FR)を含む(例えば、表5の1つの行におけるフレームワーク領域の1、2、3、又は4つ)。
【0152】
特定の実施態様において、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、ここで:
(a) CDRH1はSYGMH (配列番号1)のアミノ酸配列を含み;
(b) CDRH2はVIWX
1DGSNX
2YYADSVX
3G (配列番号32)のアミノ酸配列を含み、ここで
X
1はY又はFであり;
X
2はK又はEであり;そして
X
3はK又はMであり;
(c) CDRH3はNX
1DX
2(配列番号33)のアミノ酸配列を含み、ここで
X
1はG又はVであり;そして
X
2はH又はYであり;
(d) CDRL1はRASQSVSSNLA (配列番号4)のアミノ酸配列を含み;
(e) CDRL2はGASTRAT(配列番号5)のアミノ酸配列を含み;そして
(f) CDRL3はQQYNNWPRT (配列番号6)のアミノ酸配列を含む。
【0153】
特定の実施態様において、CDRH2は、配列番号2及び34〜36からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、CDRH3は、配列番号3、7、及び37からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0154】
特定の実施態様において、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、ここでCDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号1、2、及び3;1、2、及び7;1、2、及び37;1、34、及び7;1、35、及び7;又は1、36、及び7に示されるCDRH1、CDRH2及びCDRH3アミノ酸配列を含む。
【0155】
特定の実施態様において、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域、並びに相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、ここでCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、及び6;1、2、7、4、5、及び6;1、2、37、4、5、及び6;1、34、7、4、5、及び6;1、35、7、4、5、及び6;又は1、36、7、4、5、及び6に示されるCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0156】
特定の実施態様において、本開示は:
(a) SYGMH (配列番号1)のアミノ酸配列を含むCDRH1;及び/又は
(b) VIWYDGSNKYYADSVKG (配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDRH2;及び/又は
(c) NVDY
(配列番号3)若しくはNGDH (配列番号7)のアミノ酸配列を含むCDRH3;及び/又は
(d) RASQSVSSNLA (配列番号4)のアミノ酸配列を含むCDRL1;及び/又は
(e) GASTRAT
(配列番号5)のアミノ酸配列を含むCDRL2;及び/又は
(f) QQYNNWPRT (配列番号6)のアミノ酸配列を含むCDRL3
を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0157】
特定の実施態様において、抗体は、配列番号1、2、及び3に示されるVH CDRの1、2又は3つ全てを含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号1、2、及び7に示されるVH CDRの1、2、又は3つ全てを含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号4、5、及び6に示されるVL CDRセットの1、2、又は3つ全てを含む。
【0158】
特定の実施態様において、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、ここでCDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号1、2、及び3に示されるCDRH1、CDRH2及びCDRH3アミノ酸配列を含む。
【0159】
特定の実施態様において、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、ここでCDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号1、2、及び7に示されるCDRH1、CDRH2及びCDRH3アミノ酸配列を含む。
【0160】
特定の実施態様において、本開示は、相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、ここでCDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号4、5、及び6で示されるCDRL1、CDRL2及びCDRL3アミノ酸配列を含む。
【0161】
特定の実施態様において、抗体は、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3領域を含む重鎖可変領域、並びにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域軽鎖可変領域を含み、ここでCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域は、それぞれ配列番号1、2、3、4、5、及び6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0162】
特定の実施態様において、抗体は、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3領域を含む重鎖可変領域、並びにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域を含む軽鎖可変領域を含み、ここでCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域は、それぞれ配列番号1、2、7、4、5、及び6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0163】
特定の実施態様において、抗体のCDRは、Chothiaナンバリングスキームに従って決定され得、これは免疫グロブリン構造ループの位置を参照する(例えば、Chothia C&Lesk AM、(1987)、J Mol Biol 196:901-917;Al-Lazikani B et al.、(1997) J Mol Biol 273:927-948;Chothia C et al.、(1992) J Mol Biol 227:799-817;Tramontano A et al.、(1990) J Mol Biol 215(1):175-82;及び米国特許第7,709,226号を参照のこと、これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)。典型的には、Kabatナンバリング変換を使用して、Chothia CDRH1ループは、重鎖アミノ酸26〜32、33、又は34に存在し、Chothia CDRH2ループは重鎖アミノ酸52〜56に存在し、そしてChothia CDRH3ループは重鎖アミノ酸95〜102に存在し、一方Chothia CDRL1ループは軽鎖アミノ酸24〜34に存在し、Chothia CDRL2ループは軽鎖アミノ酸50〜56に存在し、そしてChothia CDRL3ループは軽鎖アミノ酸89〜97に存在する。Kabatナンバリング変換を使用して番号付けされた場合のChothia CDRH1ループの末端は、ループの長さによってH32とH34との間で変化する(これは、KabaナンバリングスキームがH35A及びH35Bに挿入を配置しているためである;35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終結する;35Aのみが存在する場合、ループは33で終結する;35A及び35Bの両方が存在する場合、ループは34で終結する)。
【0164】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は、本明細書の表6において開示された抗体(例えば、AGEN2033w又はAGEN2034w)のVLのChothia VL CDRを含む。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は、本明細書の表6において開示される抗体(例えば、AGEN2033w又はAGEN2034w)のChothia VH CDRを含む。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は、本明細書の表6において開示される抗体(例えば、AGEN2033w又はAGEN2034w)のChothia VH CDR及びChothia VL CDRを含む。特定の実施態様において、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体は、Chothia及びKabat CDRが同じアミノ酸配列を有する1つ又はそれ以上のCDRを含む。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつKabat CDR及びChothia CDRの組み合わせを含む、単離された抗体を提供する。
【0165】
特定の実施態様において、抗体のCDRは、Lefranc M-P、(1999) The Immunologist 7:132-136及びLefranc M-P et al.、(1999) Nucleic Acids Res 27:209-212(これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)に記載されるIMGTナンバリングシステムに従って決定され得る。IMGTナンバリングスキームに従って、CDRH1は位置26〜35にあり、CDRH2は位置51〜57にあり、CDRH3は位置93〜102にあり、CDRL1は位置27〜32にあり、CDRL2は位置50〜52にあり、そしてCDRL3は位置89〜97にある。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつ例えば、Lefranc M-P (1999)上記及びLefranc M-P et al.、(1999)上記に記載されるようにIMGTナンバリングシステムにより決定して本明細書の表6に開示される抗体(例えば、AGEN2033w又はAGEN2034w)のCDRを含む抗体を提供する。特定の実施態様において、抗体のCDRは、MacCallum RM et al.、(1996) J Mol Biol 262:732-745(参照によりその全体として本明細書に加入される)に従って決定され得る。例えば、Martin A. 「Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains,」 in Antibody Engineering、Kontermann and Duebel、eds.、Chapter 31、pp. 422-439、Springer-Verlag、Berlin (2001)(参照によりその全体として本明細書に加入される)も参照のこと。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつMacCallum RM et al.、(1996)(上記)における方法により決定された本明細書の表6において開示される抗体(例えば、AGEN2033w又はAGEN2034w)のCDRを含む抗体を提供する。
【0166】
特定の実施態様において、抗体のCDRは、AbMナンバリングスキームに従って決定され得、これはAbM超可変領域を参照し、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の折衷を表し、そしてOxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(Oxford Molecular Group、Inc.)(参照によりその全体として本明細書に加入される)により使用される。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、かつAbMナンバリングスキームにより決定して本明細書における表6に開示される抗体(例えば、AGEN2033w又はAGEN2034w)のCDRを含む抗体を提供する。
【0167】
したがって、特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、ここで抗体は、配列番号15に示されるCDRH1、CDRH2、及びCDRH3領域アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号16に示されるCDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域アミノ酸配列を含み、ここで各CDRは、Kabat定義、Chothia定義、Kabat定義とChothia定義との組み合わせ、IMGTナンバリングシステム、AbM定義、又はCDRの接触(contact)定義に従って定義される。
【0168】
したがって、特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合する個単離された抗体を提供し、ここで抗体は、配列番号17に示されるCDRH1、CDRH2、及びCDRH3領域アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに配列番号16に示されるCDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域アミノ酸配列を含み、ここで各CDRは、Kabat定義、Chothia定義、Kabat定義とChothia定義との組み合わせ、IMGTナンバリングシステム、AbM定義、又はCDRの接触定義に従って定義される。
【0169】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3領域を含む重鎖可変領域、並びにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域を含む軽鎖可変領域を含み、ここでCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域は、それぞれ配列番号8、9、10、11、12、及び13に示されるアミノ酸配列を含む。
【0170】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3領域を含む重鎖可変領域、並びにCDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域を含む軽鎖可変領域を含み、ここでCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域は、それぞれ配列番号8、9、14、11、12、及び13に示されるアミノ酸配列を含む。
【0171】
特定の実施態様において、本開示は、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0172】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトIGHV3-33生殖系列配列由来のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRH1、及びCDRH2(例えば、これらの領域の2、3、4又は5つ)から選択される1つ又はそれ以上の領域は、ヒトIGHV3-33生殖系列配列から誘導され得る。一実施態様において、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRH1、及びCDRH2は、全てヒトIGHV3-33生殖系列配列から誘導される。特定の実施態様において、本開示は、配列番号15、17、及び26〜31からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号15、17、及び26〜31からなる群より選択されるアミノン配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号27に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号18に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号20に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号22に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号23に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号24に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号25に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号52に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号53に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号54に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号55に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号56に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号57に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号58に示されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0173】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトIGKV3-15生殖系列配列に由来するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRL1、及びCDRL2から選択される1つ又はそれ以上の領域(例えば、これらの領域の2、3、4又は5つ)は、ヒトIGKV3-15生殖系列配列から誘導され得る。一実施態様において、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRL1、及びCDRL2は、全てヒトIGKV3-15生殖系列配列から誘導される。特定の実施態様において、本開示は、配列番号16に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号19に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0174】
特定の実施態様において、本開示は、配列番号15又は配列番号17に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、又は100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、抗体は、配列番号15、17、及び26〜31からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、並びに配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0175】
特定の実施態様において、抗体は、それぞれ、配列番号15及び16;17及び16;26及び16;27及び16;28及び16;29及び16;30及び16;又は31及び16に示される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号17に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号26に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号27に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16軽鎖可変領域に示されるアミノ酸配列を有するを含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号29に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号30に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号31に示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号16に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施態様において、抗体は、配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖;及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0176】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号15及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と、ヒトPD-1への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0177】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号15及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じヒトPD-1上のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0178】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号17及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と、ヒトPD-1への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0179】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号17及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じヒトPD-1上のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0180】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号26及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と、ヒトPD-1への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0181】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号26及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じヒトPD-1上の同じエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0182】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号27及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と、ヒトPD-1への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0183】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号27及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じヒトPD-1上のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0184】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号28及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と、ヒトPD-1への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0185】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号28及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じヒトPD-1上のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0186】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号29及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と、ヒトPD-1への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0187】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号29及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じヒトPD-1上のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0188】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号30及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体とヒトPD-1への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0189】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号30及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じヒトPD-1上のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0190】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号31及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と、ヒトPD-1への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0191】
特定の実施態様において、本開示は、それぞれ配列番号31及び16に示される重鎖及び軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じヒトPD-1上のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
【0192】
いずれのIg定常領域も本明細書に開示される抗体において使用され得る。特定の実施態様において、Ig領域は、ヒトIgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1、及びIgA
2重鎖定常領域であ
る。特定の実施態様において、Ig領域はヒトIgG
1である。特定の実施態様において、Ig領域はヒトIgG
4である。特定の実施態様において、Ig(例えば、IgG
1)は、インビボで成熟野生型IgG
1抗体において通常は位置N297(EUナンバリングシステムに従って)に存在するN-連結グリカン部分を欠いている。N297グリカンの欠損は、エフェクター機能の実質的な損失を生じる。N297グリカンの除去は、当該分野で公知のいずれかの方法を使用して達成され得る。例えば、特定の実施態様において、N297グリカンの除去は、グリコシル化部位を除去するためのN297残基の変異により達成される。したがって、特定の実施態様において、本明細書において開示される抗体は、EUナンバリングシステムに従ってN297A変異を含む重鎖定常領域(例えば、ヒトIgG
1重鎖定常領域)を含む。特定の実施態様において、本明細書に開示される抗体は、EUナンバリングシステムに従ってN297Q変異を含む重鎖定常領域(例えば、IgG
1重鎖定常領域)を含む。特定の実施態様において、本明細書に開示される抗体は、EUナンバリングシステムに従ってD265A変異を含むIgG
1重鎖定常領域(例えば、ヒトIgG
1重鎖定常領域)を含む。特定の実施態様において、本明細書に開示される抗体は、EUナンバリングシステムに従ってS228P変異を含むIgG
4重鎖定常領域(例えば、ヒトIgG
4重鎖定常領域)を含む。
【0193】
特定の実施態様において、本開示は、配列番号59、60、61、62、63、又は64のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、配列番号60のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、配列番号61のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0194】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体のIgG領域は、例えば、野生型Fc領域、例えばIgG
1 Fcを有する抗体と比較して、CD32B(FcγRIIB又はFCGR2Bとしても知られる)に対する増加した親和性を有する。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体は、CD32A (FcγRIIA)及びCD16 (FcγRIIIA)の両方を上回る、CD32B (FcγRIIB)に対する選択的に増加した親和性を有する。CD32Bに対する増加した親和性を生じる配列変更は当該分野で、例えばMimoto et al.、Protein Engineering、Design&Selection 10:589-598 (2013)、Chu et al.、Molecular Immunology 45:3926-3933 (2008)、及びStrohl、Current Opinion in Biology 20:685-691 (2009)(これはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)において公知である。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、G236D、P238D、S239D、S267E、L328F、及びL328E、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される変異を含む、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、又はそのフラグメントを含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、S267E及びL328F置換を含む、重鎖定常領域、例えば、IgG1定常領域、又はそのフラグメントを含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたP238D及びL328E置換を含む、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、又はそのフラグメントを含む。特定の実施態様において、抗体は、P238D置換並びにEUナンバリングシステムに従って番号付けされたE233D、G237D、H268D、P271G、A330R、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される置換を含む、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、又はそのフラグメントを含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたP238D、E233D、G237D、H268D、P271G、及びA330R置換を含む、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、又はそのフラグメントを含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたG236D及びS267Eを含む、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、又はそのフラグメントを含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたS239D及びS267Eを含む、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、又はそのフラグメントを含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたV262E、S267E、及びL328Fを含む、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、又はそのフラグメントを含む。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたV264E、S267E、及びL328Fを含む、重鎖定常領域、例えば、IgG
1定常領域、又はそのフラグメントを含む。特定の実施態様において、1、2、又はそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)は、抗体の1つ又はそれ以上の機能的特性、例えば血清半減期、補体固定、Fc受容体結合及び/又は抗原依存性細胞傷害を変更するために、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、本明細書に記載される抗体のFc領域(例えば、CH2ドメイン(ヒトIgG
1の残基231〜340)及び/又はCH3ドメイン(ヒトIgG
1の残基341〜447)及び/又はヒンジ領域に導入される。
【0195】
特定の実施態様において、1、2、又はそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)は、例えば、米国特許第5,677,425号(参照によりその全体として本明細書に加入される)に記載されるように、ヒンジ領域中のシステイン残基の数が変更される(例えば、増加されるか又は減少される)ようにFc領域(CH1ドメイン)のヒンジ領域中に導入される。CH1ドメインのヒンジ領域におけるシステイン残基の数は、例えば、軽鎖及び重鎖の構築を容易にするため、又は抗体の安定性を変更する(例えば、増加させる又は減少させる)ために、変更され得る。
【0196】
特定の実施態様において、1、2、又はそれ以上のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入又は欠失)は、インビボでの抗体の半減期を変更する(例えば、減少させる又は増加させる)ために、IgG定常ドメイン、又はFcRn結合フラグメント(好ましくは、Fc又はヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。インビボでの抗体の半減期を変更する(例えば、減少させる又は増加させる)変異の例については、例えば、国際公開第WO 02/060919号;同第WO 98/23289号;及びWO 97/34631号;並びに米国特許第5,869,046号、同第6,121,022号、同第6,277,375号及び同第6,165,745号(これらは全て、参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。いくつかの実施態様において、1、2又はそれ以上のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入、又は欠失)は、インビボでの抗体の半減期を減少させるために、IgG定常ドメイン、又はそのFcRn結合フラグメント(好ましくはFc又はヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。他の実施態様において、1、2又はそれ以上のアミノ酸変異(例えば、置換、挿入又は欠失)は、インビボで抗体の半減期を増加させるために、IgG定常ドメイン、又はそのFcRn結合フラグメント(好ましくは、Fc又はヒンジ-Fcドメインフラグメント)に導入される。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、第二の定常(CH2)ドメイン(ヒトIgG
1の残基231〜340)及び/又は第三の定常(CH3)ドメイン(ヒトIgG
1の残基341〜447)において1つ又はそれ以上のアミノ酸変異(例えば、置換)を有し得る。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体のIgG
1の定常領域は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、位置252においてメチオニン(M)のチロシン(Y)への置換、位置254においてセリン(S)のスレオニン(T)への置換及び位置256においてスレオニン(T)のグルタミン酸(E)への置換を含む。米国特許第7,658,921号(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと。「YTE変異体」と呼ばれるこの種の変異IgGは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して、4倍増加した半減期を示すことが示された(Dall’Acqua WF et al.、(2006) J Biol Chem 281:23514-24、(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと)。特定の実施態様において、抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた位置251〜257、285〜290、308〜314、385〜389、及び428〜436においてアミノ酸残基の1、2、3又はそれ以上のアミノ酸置換を含むIgG定常ドメインを含む。
【0197】
いくつかの実施態様において、1、2、又はそれ以上の変異(例えば、アミノ酸置換)は、エフェクター細胞表面上のFc受容体(例えば、活性化されたFc受容体)に対する抗体の親和性を増加させるか又は減少させるために、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、本明細書に記載される抗体のFc領域(例えば、CH2ドメイン(ヒトIgG
1の残基231〜340)及び/又はCH3ドメイン(ヒトIgG
1の残基341〜447)及び/又はヒンジ領域に導入される。Fc受容体に対する抗体の親和性を減少又は増加させる抗体のFc領域における変異、及びこのような変異をFc受容体又はそのフラグメントに導入するための技術が当業者に公知である。Fc受容体に対する抗体の親和性を変更するために作製され得る抗体のFc受容体における変異の例は、例えば、Smith P et al.、(2012) PNAS 109:6181-6186、米国特許第6,737,056号、及び国際公開第WO 02/060919号;同第WO 98/23289号;及びWO 97/34631号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)に記載される。
【0198】
さらなる実施態様において、1、2、又はそれ以上のアミノ酸置換は、抗体のエフェクター機能を変更するためにIgG定常ドメインFc領域に導入される。例えば、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたアミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320及び322から選択される1つ又はそれ以上のアミノ酸は、抗体がエフェクターリガンドに対する変更された親和性を有するが、親抗体の抗原結合能は保持するように異なるアミノ酸残基で置き換えられ得る。それに対する親和性が変更されるエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体又は補体のC1成分であり得る。このアプローチは、米国特許第5,624,821号及び同第5,648,260号(これらはそれぞれ参照によりそれら全体として本明細書に加入される)においてさらに詳細に記載される。いくつかの実施態様において、定常領域ドメインの欠失又は不活化(点変異又は他の手段による)は、循環抗体のFc受容体結合を減少させ得、それにより腫瘍局在化を増加する。定常ドメインを欠失又は不活化し、それにより腫瘍局在化を増加させる変異の記載については、例えば、米国特許第5,585,097号及び同第8,591,886号(これらはそれぞれ参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。特定の実施態様において、1つ又はそれ以上のアミノ酸置換は、Fc領域での可能性のあるグリコシル化部位を除去するために本明細書に記載される抗体のFc領域に導入され得、これはFc受容体結合を減少し得る(例えば、Shields RL et al.、(2001) J Biol Chem 276:6591-604、(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと)。様々な実施態様において、本明細書に記載される抗体の定常領域における以下の変異の1つ又はそれ以上が作製され得る:EUナンバリングシステムに従って番号付けして、N297A置換;N297Q置換;L235A置換及びL237A置換;L234A置換及びL235A置換;E233P置換;L234V置換;L235A置換;C236欠失;P238A置換;D265A置換;A327Q置換;又はP329A置換。特定の実施態様において、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたD265A、P329A、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される変異は、本明細書に記載される抗体の定常領域において作製され得る。
【0199】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたN297Q又はN297Aアミノ酸置換を有するIgG
1の定常ドメインを含む。一実施態様において、本明細書に記載される抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたD265A、P329A、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される変異を有するIgG
1の定常ドメインを含む。別の実施態様において、本明細書に記載される抗体は、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたL234A、L235A、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される変異を有するIgG
1の定常ドメインを含む。特定の実施態様において、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、ヒトIgG
1重鎖における位置L234、L235、及びD265に対応する位置における本明細書に記載される抗体の定常領域におけるアミノ酸残基は、それぞれL、L、及びDではない。このアプローチは、国際公開第WO 14/108483号(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)に詳細に記載される。特定の実施態様において、EUナンバリングシステムに従って番号付けされたヒトIgG
1重鎖における位置L234、L235、及びD265に対応するアミノ酸は、それぞれF、E、及びA;又はA、A、及びAである。
【0200】
特定の実施態様において、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、本明細書において記載された抗体の定常領域におけるアミノ酸残基329、331、及び322から選択される1つ又はそれ以上のアミノ酸は、抗体が変更されたC1q結合及び/又は減少されるか若しくは消失した補体依存性細胞傷害(CDC)を有するように、異なるアミノ酸残基で置き換えられ得る。このアプローチは、米国特許第6,194,551号(Idusogieら)(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)においてさらに詳細に記載される。いくつかの実施態様において、EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、本明細書に記載される抗体のCH2ドメインのN末端領域におけるアミノ酸位置231〜238内の1つ又はそれ以上のアミノ酸残基は、それにより補体を固定する抗体の能力を変更するように変更される。このアプローチは、国際公開第WO 94/29351号(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)にさらに記載される。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体のFc領域は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する抗体の能力を増加するように、かつ/又は以下の位置における1つ又はそれ以上のアミノ酸を変異させる(例えば、アミノ酸置換を導入する)ことによりFcg受容体に対する抗体の親和性を増加させるように改変される:EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、328、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438、又は439。このアプローチは、国際公開第WO 00/42072(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)にさらに記載される。
【0201】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体は、IgG
4抗体の定常領域を含み、そしてEUナンバリングシステムに従って番号付けされた、重鎖のアミノ酸残基228においてセリンがプロリンの代わりにされる。特定の実施態様において、本開示は、配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、ヒトPD-1に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0202】
特定の実施態様において、本明細書に記載される定常領域変異又は改変のいずれも、2つの重鎖定常領域を有する本明細書に記載される抗体の1つ又は両方の重鎖定常領域に導入され得る。
【0203】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてアンタゴニストとして機能する単離された抗体を提供する。
【0204】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてPD-1活性を、本明細書に記載され、かつ/又は当業者公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたPD-1活性と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%減少させる単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてPD-1活性を、本明細書に記載されかつ/又は当業者公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたPD-1活性と比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍減少させる単離された抗体を提供する。PD-1活性の非限定的な例としては、PD-1シグナル伝達、PD-1リガンドへのPD-1結合(例えば、PD-L1又はPD-L2)、サイトカイン産生(例えば、IL-2又はIFNγ)の阻害、及びT細胞増殖の阻害を挙げることができる。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてPD-1活性を不活化するか、減少させるか、又は阻害する単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、PD-1活性の減少は、下記の実施例において記載されるように評価される。
【0205】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてそのリガンド(例えば、PD-L1又はPD-L2)へのPD-1結合を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたそのリガンド(例えば、PD-L1又はPD-L2)へのPD-1結合と比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%減少させる、単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてそのリガンド(例えば、PD-L1又はPD-L2)へのPD-1結合を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたそのリガンド(例えば、PD-L1又はPD-L2)へのPD-1結合と比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍減少させる、単離された抗体を提供する。
【0206】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてサイトカイン産生(例えば、IL-2又はIFNγ)を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたサイトカイン産生と比較して、少なくとも約 5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%増加させる、単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてサイトカイン産生(例えば、IL-2又はIFNγ)を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたサイトカイン産生と比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍増加させる、単離された抗体を提供する。
【0207】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そして単独で、又は抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ又はトレメリムマブ)、抗TIGIT抗体、抗CD137抗体(例えば、ウレルマブ又はウトミルマブ(utomilumab))、若しくは抗OX40抗体(例えば、ポガリズマブ(pogalizumab)又はタボリキシズマブ(tavolixizumab))と組み合わせて、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)刺激に応じたヒト末梢血単核球(PBMC)におけるIL-2産生を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたIL-2産生と比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍増加させる、単離された抗体を提供する。
【0208】
特定の実施態様において、ヒトPD-1に特異的に結合する本明細書に記載される抗体の存在下で、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)で刺激されたヒト末梢血単核球(PBMC)は、単独で、又は抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ又はトレメリムマブ)、抗TIGIT抗体、抗CD137抗体(例えば、ウレルマブ又はウトミルマブ)、若しくは抗OX40抗体(例えば、ポガリズマブ又はタボリキシズマブ)と組み合わせて、IL-2産生を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたSEAで刺激されただけのPBMCと比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍増加させた。
【0209】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてヒトT細胞及び同種樹状細胞の共培養のIFNγ産生を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたヒトT細胞及び同種樹状細胞の共培養のIFNγ産生と比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍増加させる、単離された抗体を提供する。
【0210】
特定の実施態様において、ヒトPD-1に特異的に結合する本明細書に記載される抗体の存在下で、ヒトT細胞及び同種樹状細胞の共培養は、IFNγ産生を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたヒトT細胞及び同種樹状細胞の共培養と比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍増加させた。
【0211】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてT細胞増殖を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたT細胞増殖と比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は99%増加させる、単離された抗体を提供する。特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてT細胞増殖を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたT細胞増殖と比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍増加させる、単離された抗体を提供する。
【0212】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そして卵巣癌腹水と共培養された抗CD3抗体刺激CD4+又はCD8+ T細胞の増殖を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いた卵巣癌腹水と共培養された抗CD3抗体刺激CD4+又はCD8+ T細胞の増殖と比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍増加させる、単離された抗体を提供する。
【0213】
特定の実施態様において、本開示は、ヒトPD-1に特異的に結合し、そしてPD-L1を発現する標的細胞と共培養されたPD-1を発現するNFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞におけ
るNFATシグナル伝達を、本明細書に記載される(下記の実施例を参照のこと)か又は当業者に公知である方法により評価して、抗体無しで又は非関連抗体(例えば、ヒトPD-1に特異的に結合しない抗体)を用いたPD-L1を発現する標的細胞と共培養されたPD-1を発現するNFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞におけるNFATシグナル伝達と比較して、少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍増加させる、単離された抗体を提供する。
【0214】
5.3 医薬組成物
生理学的に許容しうる担体、賦形剤又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences (1990) Mack Publishing Co.、Easton、PA)中に、所望の純度を有する本明細書に記載される抗PD-1抗体を含む組成物が本明細書において提供される。許容しうる担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、そしてこれらとしては、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸のような緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存料(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン類;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAのようなキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールのような糖類;ナトリウムのような塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);並びに/又はTWEEN
TM、PLURONICS
TM又はポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0215】
特定の実施態様において、医薬組成物は、薬学的に許容しうる担体中に、本明細書に記載される抗PD-1抗体、及び場合により、1つ又はそれ以上のさらなる予防的又は治療的薬剤を含む。特定の実施態様において、医薬組成物は、有効量の本明細書に記載される抗体、及び場合により1つ又はそれ以上のさらなる予防的又は治療的薬剤を、薬学的に許容しうる担体中に含む。いくつかの実施態様において、抗体は、医薬組成物中に含まれる唯一の活性成分である。本明細書に記載される医薬組成物は、PD-1活性を阻害する際に、及び癌又は感染性疾患のような状態を処置する際に有用であり得る。好ましい実施態様において、本発明は、薬剤としての使用のための、本発明の抗PD-1抗体を含む本発明の医薬組成物に関する。別の好ましい実施態様において、本発明は、癌又は感染性疾患の処置のための方法における使用のための、本発明の組成物に関する。別の好ましい実施態様において、本発明は、癌又は感染性疾患の処置のための医薬組成物を製造するための、本発明の抗PD-1抗体の使用に関する。
【0216】
非経口製剤において使用される薬学的に許容しうる担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等調剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化及び分散剤、乳化剤、封鎖剤又はキレート化剤及び他の薬学的に許容しうる物質が挙げられる。水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース及び乳酸加リンゲル液が挙げられる。非水性非経口ビヒクルとしては、植物起源の固定油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油及び落花生油が挙げられる。静菌性又は静真菌性濃縮における抗菌剤は、複数回用量容器にパーッケージングされた非経口製剤に加えることができ、これらとしては、フェノール類又はクレゾール類、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが挙げられる。等調剤としては、塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。緩衝剤としては、リン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。抗酸化剤としては硫酸水素ナトリウムが挙げられる。局所麻酔剤としては塩酸プロカインが挙げられる。懸濁化及び分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としてはPolysorbate 80(TWEEN
(R)80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤又はキレート化剤としてはEDTAが挙げられる。薬学的担体としては、水混和性ビヒクルについてエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール;並びにpH調整のために水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸が挙げられる。
【0217】
医薬組成物は、被験体へのいずれかの投与経路のために製剤化され得る。投与経路の具体例としては、鼻腔内、経口、肺、経皮、皮内及び非経口が挙げられる。皮下、筋内又は静脈内注射を特徴とする非経口投与もまた本明細書において検討される。注射剤は、従来の形態で、液状液剤又は懸濁剤、注射前に液体中の液体又は懸濁剤適した固形形態、又は乳剤として製造され得る。注射剤、液剤及び乳剤はまた、1つ又はそれ以上の賦形剤を含有する。適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールである。さらに、所望の場合、投与しようとする医薬組成物は、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝化剤、安定剤、溶解増強剤、及び例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート及びシクロデキストリンのような他のこのような薬剤である。
【0218】
抗体の非経口投与のための製剤は、注射の準備ができている滅菌溶液、使用直前に溶媒と混合される準備ができている滅菌乾燥可溶性製品、例えば凍結乾燥粉末(皮下注射用錠剤を含む)、注射の準備ができた滅菌懸濁剤、使用直前にビヒクルと混合される準備ができた滅菌乾燥不溶性製品及び滅菌エマルションを含む。液剤は水性でも非水性でもよい。
【0219】
静脈内投与される場合、適切な担体としては、生理食塩水又はリン酸緩衝化食塩水(PBS)、並びにグルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコース及びそれらの混合物のような増粘剤及び可溶化剤を含有する溶液が挙げられる。
【0220】
抗体を含む局所用混合物は、局所投与及び全身投与について記載されるように製造される。得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルションまたは同様のものでよく、そしてクリーム、ゲル、軟膏、乳剤、液剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ、ペースト、フォーム、エアロゾル、灌注剤(irrigations)、スプレー、坐剤、包帯、皮膚パッチ又は局所投与に適したいずれかの他の製剤として製剤化され得る。
【0221】
本明細書に記載される抗PD-1抗体は、吸入によるような局所適用のためのエアロゾルとして製剤化され得る(例えば、米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号及び同第4,364,923号、これらは、特に喘息のような炎症性疾患の処置に有用なステロイドの送達のためのエアロゾルを記載し、そして参照によりそれら全体として加入される)。気道への投与のためのこれらの製剤は、ネブライザーのためのエアロゾル又は溶液の形態であっても、単独又はラクトースのような不活性担体と組み合わせたガス注入のための超微粒扮の形態であってもよい。このような場合、製剤の粒子は、一実施態様において、50ミクロン未満、一実施態様では10ミクロン未満の直径を有する。
【0222】
本明細書に記載される抗PD-1抗体は、皮膚及び粘膜への局所適用のため、眼におけるような局所又は外用適用のために、ゲル、クリーム、及びローションの形態で、並びに眼への適用のため、又は大槽内若しくは脊髄内適用のために製剤化され得る。局所投与は、経皮送達及び眼若しくは粘膜への投与について、又は吸入治療について検討される。抗体単独又は他の薬学的に許容しうる賦形剤と組み合わせた経鼻液剤も投与され得る。
【0223】
イオン泳動及び電気泳動デバイスを含む経皮パッチは、当業者に周知であり、そして抗体を投与するために使用され得る。例えば、このようなパッチは、米国特許第6,267,983号、同第6,261,595号、同第6,256,533号、同第6,167,301号、同第6,024,975号、同第6,010715号、同第5,985,317号、同第5,983,134号、同第5,948,433号、及び同第5,860,957号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)において開示される。
【0224】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体を含む医薬組成物は凍結乾燥粉末であり、これは、溶液、エマルション及び他の混合物としての投与のために再構成され得る。これは固形物又はゲルとして再構成及び製剤化されてもよい。凍結乾燥粉末は、本明細書に記載される抗体、又はその薬学的に許容しうる誘導体を、適切な溶媒中に溶解することにより製造される。いくつかの実施態様において、凍結乾燥粉末は滅菌である。溶媒は、粉末又は粉末から製造された再構成された溶液の安定性又は他の薬理成分を改善する賦形剤を含有し得る。使用され得る賦形剤としては、限定されないが、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又は他の適切な薬剤が挙げられる。溶媒は、一実施態様ではおよそ中性のpHで、クエン酸塩、リン酸ナトリウム若しくはカリウムのような緩衝剤、又は当業者に公知の他のこのような緩衝剤も含有し得る。溶液のその後の滅菌ろ過と、それに続く当業者に公知の標準的な条件下での凍結乾燥により所望の製剤が得られる。一実施態様において、得られた溶液は、凍結乾燥のためにバイアルに分配される。各バイアルは、単回投薬量又は複数回投薬量の化合物を含有する。凍結乾燥粉末は、約4℃から室温のような適切な条件下で貯蔵され得る。この凍結乾燥粉末の注射用水を用いた再構成により、非経口投与における使用のための製剤が得られる。再構成のために、凍結乾燥粉末を滅菌水又は他の適切な担体に加える。正確な量は、選択された化合物に依存する。このような量は経験的に決定され得る。
【0225】
本明細書に記載される抗PD-1抗体及び本明細書において提供される他の組成物はまた、特定の組織、受容体、又は処置しようとする被験体の身体の他の領域に標的化されるように製剤化され得る。多くのこのような標的化方法は当業者に周知である。全てのこのような標的化方法は、即時組成物における使用のために本明細書において検討される。標的化方法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751、6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号、及び同第5,709,874号(これらは全て、参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体は、腫瘍を標的とする。
【0226】
インビボ投与に使用しようとする組成物は滅菌であり得る。これは、例えば、滅菌ろ過膜を通したろ過により容易に達成される。
【0227】
5.4 使用方法及び使用
別の局面において、本開示は、本明細書に開示される抗PD-1抗体を使用して被験体を処置する方法を提供する。PD-1機能の阻害から利益を受けるであろう被験体におけるいずれかの疾患又は障害が、本明細書に開示される抗PD-1抗体を使用して処置され得る。本明細書に開示される抗PD-1抗体は、腫瘍に対して寛容である免疫系を阻害するために特に有用であり、そしてしたがって癌を有する被験体のための免疫療法として使用され得る。例えば、特定の実施態様において、本開示は、被験体において抗原に応じたT細胞活性化を増加させる方法を提供し、該方法は、本明細書に開示される、有効量の抗PD-1抗体又はその医薬組成物を被験体に投与することを含む。特定の実施態様において、本開示は、被験体において癌を処置する方法を提供し、該方法は、本明細書に開示される、有効量の抗体又は医薬組成物を被験体に投与することを含む。本明細書で開示される抗PD-1抗体又は医薬組成物で処置され得る癌としては、限定することなく、黒色腫、頭頚部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)、乳癌(例えば、ハーセプチン抵抗性乳癌及びトラスツズマブ-DM1(T-DM1)抵抗性乳癌)、前立腺癌、多形神経膠芽腫、結腸直腸癌、肉腫、膀胱癌、子宮頸癌、HPV関連癌、腟癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、直腸癌、中咽頭癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌、卵巣癌、肝細胞癌、子宮内膜癌、膵臓癌、リンパ腫、及び白血病(例えば、高齢白血病、急性骨髄性白血病(AML)、及び高齢AML)が挙げられる。したがって、本発明は、一実施態様において、薬剤としての使用のための、本発明の抗体及び/又は医薬組成物に関する。好ましい実施態様において、本発明は、被験体において癌を処置する方法における使用のため、かつ/又は腫瘍に対する免疫系寛容を阻害するための使用のため、かつ/又は癌を有する被験体の免疫療法における使用のため、かつ/又は被験体における抗原に応じたT細胞活性化を増加させる方法における使用のための、薬剤の製造のための、本発明の抗体及び/又は医薬組成物の使用に関する。好ましい実施態様において、癌は、黒色腫、頭頚部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌)、乳癌(例えば、ハーセプチン抵抗性乳癌及びトラスツズマブ-DM1(T-DM1)抵抗性乳癌)、前立腺癌、多形神経膠芽腫、結腸直腸癌、肉腫、膀胱癌、子宮頸癌、HPV関連癌、腟癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、直腸癌、中咽頭癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌、卵巣癌、肝細胞癌、子宮内膜癌、膵臓癌、リンパ腫、及び白血病(例えば、高齢白血病、急性骨髄性白血病(AML)、及び高齢AML)からなる群より選択される。
【0228】
本明細書に開示される抗PD-1抗体又は医薬組成物で処置され得るさらなる癌としては、限定されないが、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫及び皮膚又は眼球内悪性黒色腫)、腎臓癌(例えば、明細胞癌)、前立腺癌(例えば、ホルモンホルモン不応性前立腺癌)、乳癌、結腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病を含む慢性又は急性の白血病、小児の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊髄の軸の腫瘍、脳幹神経膠腫、神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、アスベストにより誘発されたものを含む環境的に誘発された癌、食道癌、肝臓癌、難治性又は再発性の悪性腫瘍、転移性癌、PD-L1を発現する癌、並びに上記癌の組み合わせが挙げられる。
【0229】
特定の実施態様において、本開示は、被験体において感染性疾患を予防又は処置する方法を提供し、該方法は、本明細書に開示される、有効量の抗PD-1抗体又は医薬組成物を、被験体に投与することを含む。一実施態様において、感染(例えば、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、原虫感染、又は寄生虫感染)を予防及び/又は処置するための方法が本明細書において提供される。これらの方法に従って予防されかつ/又は処置される感染は、本明細書において同定される感染性因子により引き起こされるものであってよい。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗PD-1抗体又はその組成物は、被験体に投与される唯一の活性薬剤である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗PD-1抗体又はその組成物は、感染性疾患の処置のために、抗感染介入(例えば、抗ウイルス剤、抗菌薬、抗真菌薬、又は抗寄生虫薬)と組み合わせて使用される。従って、好ましい実施態様において、本発明は、抗体、医薬組成物を製造するためのこのような抗体の使用、並びに/又は感染性疾患を予防及び/若しくは処置する方法における使用のための本発明の医薬組成物に関し、より好ましくは、ここで抗体若しくは医薬組成物は、被験体に投与される唯一の活性薬剤であるか、又はここで抗体若しくは医薬組成物は、抗感染介入と組み合わせて使用される。
【0230】
本明細書に開示される抗PD-1抗体又は医薬組成物により処置及び/又は予防され得る感染性疾患は、細菌、寄生虫、真菌、原虫、及びウイルスを含むがこれらに限定されない感染性因子により引き起こされる。特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体又は医薬組成物により処置及び/又は予防される感染性疾患は、ウイルスにより引き起こされる。本明細書に記載される方法に従って予防及び/又は処置され得るウイルス性疾患又はウイルス感染としては、限定されないが、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ(例えば、インフルエンザA又はインフルエンザB)、水痘、アデノウイルス、単純ヘルペスI型(HSV-I)、単純ヘルペスII型(HSV-II)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器多核体ウイルス、パピローマウイル、パポーバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、天然痘、エプスタイン・バーウイルス、ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-I)、ヒト免疫不全ウイルスII型(HIV-II)、及びウイルス性髄膜炎、脳炎、デング熱又は天然痘のようなウイルス性疾患の因子により引き起こされるものが挙げられる。
【0231】
予防及び/又は処置され得る細菌性感染としては、大腸菌、肺炎桿菌、黄色ブドウ球菌、フェカリス菌、プロテウス・ブルガリス、スタフィロコッカス・ビリダンス(Staphylococcus viridans)、及び緑膿菌により引き起こされる感染が挙げられる。本明細書に記載される方法に従って予防及び/又は処置され得る細菌(例えば、大腸菌、肺炎桿菌、黄色ブドウ球菌、フェカリス菌、プロテウス・ブルガリス、スタフィロコッカス・ビリダンス(Staphylococcus viridans)、及び緑膿菌)により引き起こされる細菌性疾患としては、限定されないが、マイコバクテリア・リケッチア(Mycobacteria rickettsia)、マイコプラズマ、ナイセリア、肺炎球菌、ライム病ボレリア(ライム病)、炭疽菌(Bacillus antracis)(炭疽病)、テタヌス、連鎖球菌、ブドウ球菌、マイコバクテリア、ペルチスス(pertissus)、コレラ、ペスト、ジフテリア(diptheria)、クラミジア、黄色ブドウ球菌及びレジオネラが挙げられる。
【0232】
本明細書に記載される方法に従って予防及び/又は処置され得る原生動物により引き起こされる原生動物疾患又は原虫感染としては、限定されないが、リーシュマニア、コクシジウム症、トリパノソーマ シストソーマ又はマラリアが挙げられる。本明細書に記載される方法に従って予防及び/又は処置され得る寄生虫症又は寄生虫感染としては、限定されないが、クラミジア及びリケッチアが挙げられる。
【0233】
本明細書に記載される方法に従って予防及び/又は処置され得る真菌疾患又は真菌感染としては、限定されないが、カンジダ感染により引き起こされるもの、接合菌症、カンジダ乳腺炎、潜在性トリコスポロン血症(latent trichosporonemia)を伴う進行性播種性トリコスポロン症、播種性カンジダ症、肺パラコクシジオイデス症、肺アスペルギルス症、カリニ肺炎、クリプトコッカス髄膜炎、コクシジウム性髄膜脳炎及び脳脊髄血管炎、クロコウジカビ感染、フサリウム角膜炎、副鼻腔真菌症、アスペルギルス・フミガーツス心内膜炎、脛骨の軟骨形成不全症、カンジダ・グラブラタ腟炎、中咽頭カンジダ症、X連鎖性慢性肉芽腫症、足白癬、皮膚カンジダ症、真菌性胎盤炎、播種性トリコスポロン症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、真菌性角膜炎、クリプトコッカス・ネオフォルマンス感染、真菌性腹膜炎、クルブラリア‐ゲニクラータ(Curvularia geniculata)感染、ブドウ球菌性眼内炎、スポロトリコーシス、及び皮膚糸状菌症が挙げられる。
【0234】
特定の実施態様において、これらの方法は、さらなる治療剤を比肩チアに投与することをさらに含む。特定の実施態様において、さらなる治療剤は、化学療法剤、放射線治療剤、又はチェックポイントターゲッティング剤である。特定の実施態様において、チェックポイントターゲッティング剤は、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体、アンタゴニスト抗PD-L1抗体、アンタゴニスト抗PD-L2抗体、アンタゴニスト抗PD-1抗体、アンタゴニスト抗TIM-3抗体、アンタゴニスト抗LAG-3抗体、アンタゴニスト抗CEACAM1抗体、アンタゴニスト抗TIGIT抗体、アゴニスト抗CD137抗体、アゴニスト抗ICOS抗体、アゴニスト抗GITR抗体、及びアゴニスト抗OX40抗体からなる群より選択される。特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体及びアゴニスト抗ICOS抗体と組み合わせて被験体に投与される。特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体と組み合わせて被験体に投与される。特定の実施態様において、本開示は、被験体において癌を処置する方法を提供し、該方法は、本明細書に開示される抗PD-1抗体又はその医薬組成物を、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体又はその医薬組成物と組み合わせて被験体に投与することを含み、ここで癌は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、例えば、第一選択(first-line)NSCLC)、黒色腫(例えば、第一選択黒色腫)、及び頭頸部癌(例えば、頭頸部の扁平上皮癌(SCCHN)、例えば、第一選択SCCHN)からなる群より選択される。
【0235】
好ましい実施態様において、本発明は、抗体、医薬組成物を製造するためのこのような抗体の使用、及び/又は本発明の方法において使用するための本発明の医薬組成物に関し、ここで該方法は、さらなる治療剤を被験体に投与することをさらに含む。別の好ましい実施態様において、本発明は、(a)本発明の抗体及び/又は医薬組成物、並びに(b)薬剤としての使用のためのさらなる治療剤に関する。別の好ましい実施態様において、本発明は、癌の処置のための方法における使用のための、(a)本発明の抗体及び/又は医薬組成物、並びに(b)さらなる治療剤に関する。さらなる実施態様において、本発明は、(a)本発明の抗体及び/又は医薬組成物、並びに(b)さらなる治療剤を含む医薬組成物、キット又はキット・オブ・パーツに関する。さらに1つの好ましい実施態様において、さらなる治療剤は化学療法剤、放射線治療薬、又はチェックポイントターゲッティング剤である。
【0236】
特定の実施態様において、抗CTLA-4抗体は、本明細書に開示される方法において使用される。特定の実施態様において、抗CTLA-4抗体は、Bristol-Myers Squibbにより開発されたイピリムマブである。特定の実施態様において、抗CTLA-4抗体は、Pfizer及びMedimmuneにより開発されたトレメリムマブである。特定の実施態様において、抗CTLA-4抗体は、CytomX及びBristol-Myers Squibbにより開発された、CTLA-4を標的とするProbodyである。
【0237】
本明細書において開示される処置方法において使用され得る抗CTLA-4抗体の非限定的な例は、以下の特許及び特許出願に開示される(これらは全て、参照によりそれら全体として本明細書に加入される):米国特許第6,984,720号;米国特許第 7,411,057号;米国特許第 7,034,121号;米国特許第 8,697,845号;米国特許第 8,518,404号;米国公開第US 2009/0123477 A1号;米国公開第US 2014/0105914 A1号;米国公開第US 2013/0267688 A1号;米国公開第US 2016/0145355 A1号;PCT公開第WO 2014/207064 A1号;及びPCT公開第WO 2016/015675 A1号。
【0238】
特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、IDO(インドールアミン-(2,3)-ジオキシゲナーゼ)及び/又はTDO (トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ)のような免疫調節性酵素を標的とする化合物と組み合わせて被験体に投与される。従って、別のより好ましい実施態様において、さらなる治療剤は、免疫調節性酵素を標的とする化合物であり、なおより好ましくは、インドールアミン-(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害剤である。特定の実施態様において、このような化合物は、エパカドスタット(Incyte Corp;例えば、WO 2010/005958(参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと)、F001287 (Flexus Biosciences/Bristol-Myers Squibb)、インドキシモド(indoximod)(NewLink Genetics)、及びNLG919 (NewLink Genetics)からなる群より選択される。一実施態様において、化合物はエパカドスタットである。別の実施態様において、化合物はF001287である。別の実施態様において、化合物はインドキシモドである。別の実施態様において、化合物はNLG919である。
【0239】
特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、ワクチンと組み合わせて被験体に投与される。ワクチンは、例えば、ペプチドワクチン、DNAワクチン、又はRNAワクチンであり得る。特定の実施態様において、ワクチンは、熱ショックタンパク質ベースの腫瘍ワクチン又は熱ショックタンパク質ベースの病原体ワクチンである。特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、熱ショックタンパク質ベースの腫瘍ワクチンと組み合わせて被験体に投与される。熱ショックタンパク質(HSP)は、全ての種にわたって偏在的に見られる高度に保存されたタンパク質のファミリーである。それらの発現は、熱ショック、又は毒素への曝露、酸化的ストレス若しくはグルコース欠乏を含む他のストレスの形態の結果としてかなりより高いレベルまで強力に誘導され得る。5つのファミリーが分子量に従って分類された:HSP-110、-90、-70、-60及び-28。HSPは、マクロファージ及び樹状細胞(DC)のような抗原提示細胞(APC)における交差提示経路により免疫原性ペプチドを送達し、T細胞活性化をもたらす。HSPは、腫瘍特異的免疫を惹起することができる腫瘍関連抗原性ペプチド形成複合体のシャペロンキャリアとして機能する。死滅する腫瘍細胞から放出されると、HSP-抗原複合体は抗原提示細胞(APC)により取り入れられ、ここで抗原は、MHCクラスI及びクラスII分子に結合するペプチドへと処理されて、抗腫瘍CD8+及びCD4+ T細胞の活性化をもたらす。腫瘍調製物から誘導されたHSP複合体により惹起される免疫は、各被験体の癌により発現される独特の抗原性ペプチドレパートリーに対して特異的である。従って、さらに好ましい実施態様において、本発明は、薬剤としての使用のための、特に癌の処置のための方法における使用のための、(a)本発明の抗体及び/又は医薬組成物、並びに(b)ワクチンに関する。別の好ましい実施態様において、本発明は、(a)本発明の抗体及び/又は医薬組成物、並びに(b)ワクチンを含む、医薬組成物、キット又はキット・オブ・パーツに関する。さらなる好ましい実施態様において、ワクチンは、熱ショックタンパク質ベースの腫瘍ワクチン又は熱ショックタンパク質ベースの病原体ワクチン、より好ましくは熱ショックタンパク質ベースの腫瘍ワクチンである。
【0240】
熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)は、抗原性ペプチドと共有結合で複合体化された熱ショックタンパク質からなるタンパク質ペプチド複合体である。HSPPCは、自然免疫応答及び適応免疫応答の両方を惹起する。特定の実施態様において、抗原性ペプチドは、処置される癌に対する抗原性を示す。HSPPCは、膜受容体(主にCD91)を介して、又はToll様受容体への結合によりAPCにより効率的に捉えられる。HSPPC内部移行は、APCの機能的成熟を生じ、ケモカイン及びサイトカイン産生は、ナチュラルキラー細胞(NK)、単球並びにTh1及びTh-2媒介免疫応答の活性化をもたらす。特定の実施態様において、本明細書において開示される方法において使用されるHSPPCは、抗原性ペプチドと複合体化したストレスタンパク質のhsp60、hsp70、又はhsp90ファミリーからの1つ又はそれ以上の熱ショックタンパク質を含む。特定の実施態様において、HSPPCは、hsc70、hsp70、hsp90、hsp110、grp170、gp96、カルレチキュリン、又はそれらの2つ若しくはそれ以上の組み合わせを含む。
【0241】
特定の実施態様において、熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)は、組み換え抗原性ペプチドと複合体化した、組み換え熱ショックタンパク質(例えば、hsp70又はhsc70)又はそのペプチド結合ドメインを含む。組み換え熱ショックタンパク質は、組み換えDNA技術により、例えば、Dworniczak and Mirault、Nucleic Acids Res. 15:5181-5197 (1987)並びにGenBank受入番号P11142及び/又はY00371(これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)に記載されるヒトhsc70配列を使用して製造され得る。特定の実施態様において、Hsp70配列は、Hunt and Morimoto Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82 (19)、6455-6459 (1985)並びにGenBank受入番号P0DMV8及び/又はM11717(これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)に記載されるとおりである。抗原性ペプチドもまた、当該分野で公知の組み換えDNA法により製造することができる。
【0242】
特定の実施態様において、抗原性ペプチドは改変されたアミノ酸を含む。特定の実施態様において、改変されたアミノ酸は翻訳後修飾を含む。特定の実施態様において、改変されたアミノ酸は、翻訳後修飾の模倣物を含む。特定の実施態様において、改変されたアミノ酸は、側鎖ヒドロキシル又はアミン上でリン酸化されたTyr、Ser、Thr、Arg、Lys、又はHisである。特定の実施態様において、改変されたアミノ酸は、側鎖ヒドロキシル又はアミン上でリン酸化されたTyr、Ser、Thr、Arg、Lys、又はHisアミノ酸の模倣物である。
【0243】
特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、癌を処置するために、熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)、例えば、熱ショックタンパク質ペプチド複合体-96 (HSPPC-96)と組み合わせて被験体に投与される。HSPPC-96は、抗原性ペプチドに複合体化した96 kDaの熱ショックタンパク質(Hsp)、gp96を含む。HSPPC-96は、被験体の腫瘍から製造される癌免疫療法であり、癌の抗原「フィンガープリント」を含有する。特定の実施態様において、このフィンガープリントは、特定の被験体の特定の癌細胞にのみ存在する独特の抗原を含有し、ワクチンの注射は、被験体の免疫系を刺激して特定の癌フィンガープリントを有するいずれの細胞も認識しそして攻撃するように意図される。従って、別の好ましい実施態様において、本発明は、薬剤としての使用のためかつ/又は癌の処置のための方法における使用のための、熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)と組み合わせた本発明の抗体及び/又は医薬組成物に関する。
【0244】
特定の実施態様において、HSPPC、例えば、HSPPC-96は、被験体の腫瘍組織から製造される。特定の実施態様において、HSPPC(例えば、HSPPC-96)は、処置されるその癌又は転移の型の腫瘍から製造される。別の特定の実施態様において、HSPPC(例えば、HSPPC-96)は、処置される被験体に対して自家である。特定の実施態様において、腫瘍組織は非壊死性腫瘍組織である。特定の実施態様において、少なくとも1グラム(例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10グラム)の非壊死性腫瘍組織が、ワクチンレジメンを製造するために使用される。特定の実施態様において、外科的切除後に、非壊死性腫瘍組織はワクチン製造における使用の前に凍結される。いくつかの実施態様において、HSPPC、例えば、HSPPC-96は、精製技術により腫瘍組織から単離され、ろ過され、そして注射可能なワクチンのために準備される。特定の実施態様において、被験体は6〜12用量のHSPPC、例えば、HSPCC-96を投与される。このような実施態様において、HSPPC、例えば、HSPPC-96は、最初の4用量について毎週投与されてもよく、次いで2〜8回のさらなる用量を週2回投与されてもよい。
【0245】
本明細書に記載される方法に従って使用され得るHSPPCのさらなる例は、以下の特許及び特許出願に開示される、米国特許第6,391,306号、同第6,383,492号、同第6,403,095号、同第6,410,026号、同第6,436,404号、同第6,447,780号、同第6,447,781号及び同第6,610,659号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)。
【0246】
特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、アジュバントと組み合わせて被験体に投与される。様々なアジュバントは処置の状況に依存して使用され得る。適切なアジュバントの非限定的な例としては、限定されないが、完全フロイントアジュバント(CFA)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、montanide ISA (不完全Seppicアジュバント)、Ribiアジュバント系(RAS)、Titer Max、ムラミルペプチド、Syntexアジュバント製剤(SAF)、ミョウバン(水酸化アルミニウム及び/又はリン酸アルミニウム)、アルミニウム塩アジュバント、Gerbu
(R)アジュバント、ニトロセルロース吸収抗原、カプセ
ル封入された又は捕捉された抗原、3脱O-アシル化モノホスホリルリピドA(3 D-MPL)、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、toll様受容体(TLR)リガンド、マンナン結合レクチン(MBL)リガンド、STINGアゴニスト、免疫賦活性複合体、例えばサポニン、Quil A、QS-21、QS-7、ISCOMATRIX、及びその他が挙げられる。他のアジュバントとしては、CpGオリゴヌクレオチド並びにポリ(A)及びポリ(U)のような二本鎖標準RNA分子が挙げられる。上記アジュバントの組み合わせも使用され得る。例えば、米国特許第6,645,495号;同第7,029,678号;及び同第7,858,589号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。一実施態様において、本明細書で使用されるアジュバントはQS-21 STIMULONである。
【0247】
特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、TCRを含むさらなる治療剤と組み合わせて被験体に投与される。特定の実施態様において、さらなる治療剤は可溶性TCRである。特定の実施態様において、さらなる治療剤は、TCRを発現する細胞である。従って、別の好ましい実施態様において、本発明は、薬剤としての使用のため、かつ/又は癌の処置のための方法における使用のための、TCRを含むさらなる治療剤と組み合わせた本発明の抗体及び/又は医薬組成物に関する。
【0248】
特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞と組み合わせて被験体に投与される。特定の実施態様において、細胞はT細胞である。
【0249】
特定の実施態様において、本明細書に開示される抗PD-1抗体は、TCR模倣抗体と組み合わせて被験体に投与される。特定の実施態様において、TCR模倣抗体は、ペプチド-MHC複合体に特異的に結合する抗体である。TCR模倣抗体の非限定的な例については、例えば、米国特許第9,074,000号及び米国公開第US 2009/0304679 A1号及び同第US 2014/0134191 A1号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。
【0250】
抗PD-1抗体及びさらなる治療剤(例えば、化学療法剤、放射線治療薬、チェックポイントターゲッティング剤、IDO阻害剤、ワクチン、アジュバント、可溶性TCR、TCRを発現する細胞、キメラ抗原受容体を発現する細胞、及び/又はTCR模倣抗体)は、別個の投薬形態として、別々に、連続して、又は同時に投与され得る。一実施態様において、抗PD-1抗体は非経口投与され、そしてIDO阻害剤は経口投与される。
【0251】
本明細書に記載される抗体又は医薬組成物は、様々な経路により被験体に投与され得る。これらとしては、限定されないが、非経口、鼻腔内、気管内、経口、皮内、局所、筋内、腹腔内、経皮、静脈内、腫瘍内、結膜、動脈内、及び皮下経路が挙げられる。肺投与もまた、例えば、吸入器又はネブライザー、及びスプレーとしての使用のためのエアロゾル化剤を含む製剤の使用により、使用され得る。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体又は医薬組成物は、皮下又は静脈内に送達される。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体又は医薬組成物は動脈内送達される。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体又は医薬組成物は腫瘍内送達される。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体又は医薬組成物は、腫瘍流入領域リンパ節に送達される。
【0252】
状態の処置及び/又は予防において有効である抗体又は組成物の量は、疾患の性質に依存し、そして標準的な臨床技術により決定され得る。
【0253】
組成物で使用されるべき正確な用量もまた、投与経路、及びそれにより引き起こされる感染又は疾患の重篤度に依存し、そして開業医の判断及び各被験体の状況に従って決定されるべきである。例えば、有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理的状態(年齢、体重及び健康)、患者ヒトか若しくは動物か、他の薬剤が投与されているか、又は処置が予防的か若しくは治療的かに依存して変化し得る。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物も処置され得る。処置投薬量は、安全性及び有効性を最適化するように最適に用量設定される。
【0254】
本明細書に記載される抗PD-1抗体もまた、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫沈降、又はウェスタンブロット法のようなイムノアッセイを含む当業者に公知の古典的な免疫組織学的方法を使用して、生物学的サンプル中のPD-1タンパク質レベルをアッセイするために使用され得る。適切な抗体アッセイ標識は当該分野で公知であり、そしてこれらとしては、グルコースオキシダーゼのような酵素標識;ヨウ素(
125I、
121I)、炭素(
14C)、硫黄(
35S)、トリチウム(
3H)、インジウム(
121In)、及びテクネチウム(
99Tc)のような放射性同位体;ルミノールのような発光標識;並びにフルオレセイン及びローダミンのような蛍光標識、並びにビオチンが挙げられる。このような標識は、本明細書に記載される抗体を標識するために使用され得る。あるいは、本明細書に記載される抗PD-1抗体を認識する第二の抗体が標識されて、PD-1タンパク質レベルを検出するために抗PD-1抗体と組み合わせて使用され得る。従って、一実施態様において、本発明は、生物学的サンプル中のヒトPD-1タンパク質のインビトロ検出のための本発明の抗体の使用に関する。さらなる実施態様において、本発明は、インビトロで生物学的サンプル中のヒトPD-1タンパク質レベルをアッセイし、そして/又は検出するための、本発明の抗PD-1抗体の使用に関し、好ましくは、ここで抗PD-1抗体は放射性核種もしくは検出可能な標識に結合され、かつ/若しくは本明細書に記載される標識を有し、かつ/又はここで免疫組織学的方法が使用される。
【0255】
PD-1タンパク質の発現レベルについてのアッセイは、直接的に(例えば、絶対タンパク質レベルを測定又は見積もることにより)又は相対的に(例えば、第二の生物学的サンプル中の疾患関連タンパク質レベルを比較することにより)、第一の生物学的サンプル中のPD-1タンパク質のレベルを定性的又は定量的に測定するか又は見積もることを含むことを意図される。第一の生物学的サンプル中のPD-1ポリペプチド発現レベルは、測定されるか又は見積もられて標準PD-1タンパク質レベルと比較され得、標準は、障害を有していない個体から得られた第二の生物学的サンプルから取られるか、又は障害を有していない個体の集団からレベルを平均化することにより決定される。当該分野では当然のことながら、「標準」PD-1ポリペプチドレベルが既知であれば、それを比較のための標準として繰り返し使用することができる。従って、さらなる実施態様において、本発明は、生物学的サンプル中のPD-1タンパク質レベル、特にヒトPD-1タンパク質レベルをアッセイ及び/又は検出するためのインビトロ方法に関し、該方法は、免疫組織学的方法により、PD-1タンパク質、特にヒトPD-1タンパク質のレベルを定性的又は定量的に測定するか又は見積もることを含む。
【0256】
本明細書で使用される用語「生物学的サンプル」は、被験体、細胞株、組織、又はPD-1を発現する可能性のある他の細胞供給源から得られたいずれかの生物学的サンプルを指す。動物(例えば、ヒト)からの組織生検及び体液を得るための方法は当該分野で周知である。生物学的サンプルとしては、末梢血単核細胞が挙げられる。
【0257】
本明細書に記載される抗PD-1抗体は、当業者には周知でかつ標準的であり、そして本明細書の記載に基づくインビトロ及びインビボでの適用を含む、予後的、診断的、モニタリング及びスクリーニング適用に使用され得る。免疫系の状態及び/又は免疫応答のインビトロでのアセスメント及び評価のための、予後的、診断的、モニタリング及びスクリーニングアッセイ及びキットは、免疫系機能不全を有するか若しくは有すると疑われることが知られている患者を含む患者サンプルを、又は予期されるか若しくは望まれる免疫系応答、抗原応答若しくはワクチン応答に関して、評価するために予測、診断及びモニタリングするために利用され得る。免疫系状態及び/又は免疫応答のアセスメント及び評価はまた、薬物の臨床試験に関して又は異なる薬剤若しくは抗体に対する、それらの組み合わせを含めて特定の化学療法剤、放射線治療薬、若しくは抗体の投与に関して患者の適性を決定する際に有用である。この種の予後的及び診断的モニタリング及びアセスメントは、乳癌においてHER2タンパク質に対する抗体(HercepTest
TM、Dako)を利用して既に実施されており、ここでこのアッセイは、Herceptin
(R)を使用した抗体治療に関して患者を評価するためにも使用される。インビボ適用は、方向付けられた(directed)細胞治療及び免疫系調節並びに免疫応答の放射線画像方を含む。従って、一実施態様において、本発明は、抗PD-1抗体、医薬組成物を製造するためのこのような抗体の使用及び/又は診断薬としての使用のための本発明の医薬組成物に関する。好ましい実施態様において、本発明は、抗PD-1抗体、医薬組成物を製造するためのこのような抗体の使用及び/又は免疫系機能不全を有するか若しくは有することが疑われる被験体の、及び/又は予期されるか若しくは望まれる免疫系応答、抗原応答もしくはワクチン応答に関する予測、診断及び/又はモニタリングのための方法における使用のための、本発明の医薬組成物に関する。別の実施態様において、本発明は、インビトロで被験体の生物学的サンプル中のヒトPD-1タンパク質レベルをアッセイ及び/又は検出することにより、免疫系機能不全を有するか若しくは有することが疑われる被験体の、及び/又は予期されるか若しくは望まれる免疫系応答、抗原応答もしくはワクチン応答に関する予測、診断及び/又はモニタリングのための、本発明の抗PD-1抗体の使用に関する。
【0258】
一実施態様において、抗PD-1抗体は、生検サンプルの免疫組織化学において使用され得る。好ましくは、この方法はインビトロ方法である。別の実施態様において、抗PD-1抗体は、PD-1のレベル、又はそれらの膜表面上にPD-1を含有する細胞のレベルを検出するために使用され得、次いでこのレベルは、特定の疾患症状と関連付けられ得る。本明細書に記載される抗PD-1抗体は、検出可能若しくは機能的な標識を保有し得、かつ/又は放射性核種若しくは検出可能な標識に結合され得る。蛍光標識が使用される場合、現在利用可能な顕微鏡及び蛍光標識細胞分取分析(FACS)又は当該分野で公知の両方の方法手順の組み合わせは、特異的結合メンバーを同定しそして定量するために利用され得る。本明細書に記載される抗PD-1抗体は、蛍光標識を保有し得るか又は蛍光標識に結合され得る。例となる蛍光標識としては、例えば、反応性の結合したプローブ、例えば、アミノクマリン、フルオレセイン及びテキサスレッド、Alexa Fluor色素、Cy色素及びDyLight色素が挙げられる。抗PD-1抗体は、同位体
3H、
14C、
32P、
35S、
36Cl、
51Cr、
57Co、
58Co、
59Fe、
67Cu、
90Y、
99Tc、
111In、
117Lu、
121I、
124I、
125I、
131I、
198Au、
211At、
213Bi、
225Ac及び
186Reのような放射性標識若しくは放射性核種を保有し得るか又は放射性標識若しくは放射性核種に結合され得る。放射性標識が使用される場合、当該分野で公知の現在利用可能な計数手順が、抗PD-1抗体のPD-1(例えば、ヒトPD-1)への特異的結合を同定及び定量するために利用され得る。標識が酵素である場合において、検出は、当該分野で公知の現在利用される比色、分光光度、蛍光スペクトル測光(fluorospectrophotometric)、電流測定又は期待定量技術のいずれかにより達成され得る。これは、サンプル又は対照サンプルを、抗PD-1抗体と、抗体とPD-1との間の複合体形成を可能にする条件下で接触させることにより達成され得る。抗体とPD-1との間に形成されるいずれかの複合体がサンプル及び対照において検出され比較される。PD-1に対する本明細書に記載される抗体の特異的結合を考慮すると、抗体は、細胞の表面上のPD-1発現を特異的に検出するために使用され得る。本明細書に記載される抗体はまた、免疫親和性精製を介してPD-1を生成するために使用され得る。例えば、PD-1又はPD-1/PD-1リガンド複合体の存在の程度の定量的分析のための試験キット、キット又はキット・オブ・パーツの形態で製造され得るアッセイシステムも本明細書に含まれる。システム、試験キット、キット又はキット・オブ・パーツは、標識された成分、例えば標識された抗体、及び1つ又はそれ以上のさらなる免疫化学試薬を含み得る。
【0259】
5.5 ポリヌクレオチド、ベクター及び抗PD-1抗体を製造する方法
別の局面において、PD-1(例えば、ヒトPD-1)抗原に特異的に結合する本明細書に記載される抗体又はそのフラグメント(例えば、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、及び宿主細胞(例えば、E. coli及び哺乳動物細胞)における組み換え発現のためのベクター、例えば上記ポリヌクレオチドを含むベクターが本明細書において提供される。本明細書に提供される抗体のいずれかの重鎖及び/又は軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、さらには上記ポリヌクレオチド配列を含むベクター、例えば、宿主細胞、例えば哺乳動物細胞におけるそれらの有効な発現のための発現ベクターが本明細書に提供される。
【0260】
本明細書で使用される「単離された」ポリヌクレオチド又は核酸分子は、核酸分子の天然供給源(例えば、マウス又はヒトにおいて)に存在する他の核酸分子から分離されたものである。さらに、cDNA分子のような「単離された」核酸分子は、組み換え技術により製造された場合は他の細胞物質も培地も実質的に含まず、又は化学的に化学的に合成された場合には化学前駆体も他の化学物質も実質的に含まないものであり得る。例えば、言語「実質的に含まない」は、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満(特に、約10%未満)の他の物質、例えば、細胞物質、培地、他の核酸分子、化学前駆体及び/又は他の化学物質を有するポリヌクレオチド又は核酸分子の調製物を含む。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体をコードする核酸分子は、単離されるか又は精製される。
【0261】
特定の局面において、PD-1ポリペプチド(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合し、かつ本明細書に記載されるアミノ酸配列を含む抗体、さらにはPD-1ポリペプチドへの結合について上記抗体と競合する(例えば、用量依存性様式で)抗体、又は上記抗体のエピトープと同じエピトープに結合する抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書に提供される。
【0262】
特定の局面において、本明細書に記載される軽鎖又は重鎖をコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチドが本明細書に提供される。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される抗体のVL FR及びCDRを含む軽鎖(例えば、表3及び5を参照のこと)をコードするヌクレオチド配列又は本明細書に記載される抗体のVH FR及びCDRを含む重鎖をコードするヌクレオチド配列(例えば、表2及び4)を含み得る。
【0263】
例えば、コドン/RNA最適化、異種シグナル配列との置き換え、及びmRNA不安定要素の除去により最適化された抗PD-1抗体をコードするポリヌクレオチドもまた本明細書で提供される。抗PD-1抗体又はそのフラグメント(例えば、軽鎖、重鎖、VHドメイン、又はVLドメイン)をコードする、mRNAにおけるコドン変更の導入及び/又は阻害性領域の除去により組み換え発現について最適化された核酸を生成する方法は、例えば米国特許第5,965,726号;同第6,174,666号;同第6,291,664号;同第6,414,132号;及び同第6,794,498号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)に記載される最適化方法をそれに応じて適合することにより行われ得る。例えば、RNA内の潜在的スプライシング部位及び不安定性要素(例えば、A/T又はA/Uリッチ要素)は、組み換え発現のためにRNAの安定性を増加させるため、核酸配列によりコードされるアミノ酸を変更することなく変異され得る。変更は、例えば、同一のアミノ酸の選択的コドンを使用して、遺伝子コードの縮重を利用する。いくつかの実施態様において、保存的変異、例えば、元のアミノ酸と類似した化学構造及び特性並びに/又は機能を有する類似したアミノ酸をコードする1つ又はそれ以上のコドンを変更することが望ましくあり得る。このような方法は、抗PD-1抗体又はそのフラグメントの発現を、最適化されていないポリヌクレオチドによりコードされる抗PD-1抗体の発現と比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍増加させ得る。
【0264】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗PD-1抗体又はそのフラグメント(例えば、VLドメイン及び/又はVHドメイン)をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載される抗PD-1抗体又はそのフラグメント(例えば、VLドメイン及び/又はVHドメイン)をコードする非最適化ポリヌクレオチド配列のアンチセンス(例えば、相補性)ポリヌクレオチドにハイブリダイズし得る。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗PD-1抗体又はフラグメントをコードする最適化されたヌクレオチド配列は、本明細書に記載される抗PD-1抗体又はそのフラグメントをコードする非最適化ポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドに高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗PD-1抗体又はそのフラグメントをコードする最適化ヌクレオチド配列は、配列本明細書に記載される抗PD-1抗体又はそのフラグメントをコードする非最適化ヌクレオチドのアンチセンスポリヌクレオチドに、高ストリンジェンシー、中間ストリンジェンシー又は低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。ハイブリダイザーション条件に関する情報が記載されている、例えば、米国特許出願公開第US 2005/0048549号(例えば、段落72〜73)(参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと。
【0265】
ポリヌクレオチドは、当該分野で公知のいずれかの方法により入手され得、そしてポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定され得る。本明細書に記載される抗体をコードするヌクレオチド配列、例えば、表1〜6に記載される抗体、及びこれらの抗体の改変されたバージョンは、当該分野で周知の方法を使用して決定され得、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンは、抗体をコードする核酸を生成するような方法で構築される。抗体をコードするこのようなポリヌクレオチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから構築することができ(例えば、Kutmeier G et al.、(1994)、BioTechniques 17:242-6(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)に記載されるように)、これは、手短には、抗体をコードする配列の部分を含有するオーバーラップオリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリング及び連結、次いでPCRによる連結されたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。
【0266】
あるいは、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドは、当該分野で周知の方法(例えば、PCR及び他の分子クローニング方法)を使用して、適切な供給源(例えば、ハイブリドーマ)からの核酸から生成され得る。例えば、既知の配列の3’及び5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅が、目的の抗体を産生するハイブリドーマ細胞から得られたゲノムDNAを使用して行われ得る。このようなPCR増幅方法は、抗体の軽鎖及び/又は重鎖をコードする配列を含む核酸を得るために使用され得る。このようなPCR増幅方法は、抗体の可変軽鎖領域及び/又は可変重鎖領域をコードする配列を含む核酸を得るために使用され得る。増幅された核酸は、宿主細胞における発現のため、そしてさらなるクローニングのため、例えばキメラ及びヒト化抗体を生成するために、ベクター中にクローニングされ得る。
【0267】
特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが入手可能でないが、抗体分子の配列は既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、化学的に合成され得るか、又は配列の3’末端及び5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅により若しくは特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用してクローニングし、抗体をコードするcDNAライブラリーから例えばcDNAクローンを同定することにより、適切な供給源から得ることができる(例えば、抗体を発現するいずれかの組織又は細胞、例えば、本明細書に記載される抗体を発現するために選択されたハイブリドーマ細胞から、生成された抗体cDNAライブラリー若しくはcDNAライブラリー、又は単離された核酸、好ましくはポリA+ RNA)。次いで、PCRにより生成された増幅された核酸を、当該分野で周知のいずれかの方法を使用して複製可能なクローニングベクターにクローン化し得る。
【0268】
本明細書に記載される抗PD-1抗体をコードするDNAは、容易に単離されて、従来の手順を使用して配列決定され得る(例えば、抗PD-1抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの供給源として役立ち得る。単離されると、DNAは発現ベクター中に配置され得、次いでこれが、別の方法で免疫グロブリンタンパク質を産生しない、E. coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GS System
TM (Lonza)からのCHO細胞)、又は骨髄腫細胞のような宿主細胞中のトランスフェクトされて、組み換え宿主細胞における抗PD-1抗体の産生を得る。
【0269】
抗体全体を生成するために、VH又はVLヌクレオチド配列、制限部位、及び制限部位を保護するための隣接配列を含むPCRプライマーを使用して、scFvクローンにおいてVH又はVL配列を増幅することができる。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅したVHドメインを、重鎖定常領域、例えば、ヒトガンマ4定常領域を発現するベクター中にクローニングし、そしてPCR増幅したVLドメインを、軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパ又はラムダ定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができる。特定の実施態様において、VH又はVLドメインを発現するためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変領域についてのクローニング部位、定常ドメイン及びネオマイシンのような選択マーカーを含む。VH及びVLドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングされ得る。次いで重鎖変換ベクター及び軽鎖変化ベクターを、細胞株に同時トランスフェクトして、当業者に公知の技術を使用して、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な又は一過性の細胞株を生成する。
【0270】
DNAはまた、例えば、マウス配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を用いることにより、又は免疫グロブリンコード配列、非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全て又は一部に共有結合により接続することにより、改変され得る。
【0271】
高ストリンジェンシー、中間又は低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドもまた提供される。特定の実施態様において、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、高ストリンジェンシー、中間又は低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に提供されるVHドメイン及び/又はVLドメインをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。
【0272】
ハイブリダイゼーション条件は、当該分野で記載されており、そして当業者に公知である。例えば、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、6x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中約45℃でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション、続いて0.2xSSC/0.1% SDSで約50〜65℃にて1回又はそれ以上の洗浄を含み得る;高度にストリンジェントな条件下でのハイブリダイザーションは、6xSSC中約45℃でのフィルター結合核酸へのハイブリダイゼーション、続いて0.1xSSC/0.2% SDSで約68℃にて1回又はそれ以上の洗浄を含み得る。他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションは、当業者に公知でありそして記載されており、例えば、Ausubel FM et al.、eds.、(1989) Current Protocols in Molecular Biology、Vol. I、Green Publishing Associates、Inc. and John Wiley&Sons、Inc.、New York、頁6.3.1〜6.3.6及び2.10.3において(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと。
【0273】
特定の局面において、PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合する本明細書に記載される抗体を(例えば、組み換え的に)発現する細胞(例えば、宿主細胞)、並びに関連ポリヌクレオチド及び発現ベクターが本明細書において提供される。抗PD-1抗体又はそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む、宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞における組み換え発現のためのベクター(例えば、発現ベクター)が本明細書に提供される。本明細書に記載される抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体)を組み換え的に発現するためのこのようなベクターを含む宿主細胞もまた提供される。特定の局面において、宿主細胞からこのような抗体を発現させることを含む、本明細書に記載される抗体を製造するための方法が本明細書に提供される。
【0274】
PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合する本明細書に記載される抗体の組み換え発現(例えば、全長抗体、抗体の重鎖及び/又は軽鎖、又は本明細書に記載される単鎖抗体)は、抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を含む。本明細書に記載される抗体分子、抗体の重鎖及び/又は軽鎖、又はそのフラグメント(例えば、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域)をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子の製造のためのベクターは、当該分野で周知の技術を使用して組み換えDNA技術により製造され得る。従って、抗体又は抗体フラグメント(例えば、軽鎖又は重鎖)をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を製造する方法が本明細書に記載される。当業者に周知の方法を使用して、抗体又は抗体フラグメント(例えば、軽鎖又は重鎖)をコードする配列並びに転写及び翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、インビトロ組み換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組み換えが挙げられる。本明細書に記載される抗体分子、抗体の重鎖若しくは軽鎖、抗体の重鎖若しくは軽鎖可変領域若しくはそのフラグメント、又は重鎖若しくは軽鎖CDRをコードする、プロモーターに作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含む複製可能ベクターも提供される。このようなベクターは、例えば、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含み得(例えば、国際公開第WO 86/05807号及び同第WO 89/01036号;並びに米国特許第5,122,464号(これらは、参照によりそれら全体として本明細書に加入される)、そして抗体の可変領域は、重鎖全体、軽鎖全体、又は重鎖及び軽鎖の全体の発現のためにこのようなベクター中にクローン化され得る。
【0275】
発現ベクターは、従来の技術により細胞(例えば、宿主細胞)に移すことができ、次いで得られた細胞は、従来の技術により培養されて、本明細書に記載される抗体又はそのフラグメントを産生することができる。従って、本明細書に記載される抗体若しくはそのフラグメント、又はその重鎖若しくは軽鎖、又はそのフラグメント、又は本明細書に記載される単鎖抗体をコードする、宿主細胞におけるこのような配列の発現のためのプロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチドを含有する宿主細胞が本明細書に提供される。特定の実施態様において、二重鎖抗体の発現のために、重鎖及び軽鎖の両方をコードするベクターは、個々に、以下に詳述されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞において同時発現され得る。特定の実施態様において、宿主細胞は、本明細書に記載される抗体の重鎖及び軽鎖の両方、又はそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含有する。特定の実施態様において、宿主細胞は、2つの異なるベクターを含有し、第一のベクターは本明細書に記載される抗体の重鎖若しくは重鎖可変領域、又はそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含み、そして第二のベクターは、本明細書に記載される軽鎖若しくは軽鎖可変領域、又はそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む。他の実施態様において、第一の宿主細胞は、本明細書に記載される抗体の重鎖若しくは重鎖可変領域、又はそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む第一のベクターを含み、そして第二の宿主細胞は、本明細書に記載される抗体の軽鎖又は軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第二のベクターを含む。特定の実施態様において、第一の細胞により発現された重鎖/重鎖可変領域は、第二の細胞の軽鎖/軽鎖可変領域と結合して、本明細書に記載される抗PD-1抗体を形成すした。特定の実施態様において、上記第一の宿主細胞及び上記第二の宿主細胞を含む宿主細胞の集団が本明細書において提供される。
【0276】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗PD-1抗体の軽鎖/軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第一のベクター、及び本明細書に記載される抗PD-1抗体の重鎖/重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第二のベクターを含むベクターの集団が本明細書において提供される。
【0277】
様々な宿主発現ベクター系を利用して、本明細書に記載される抗体分子を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと)。このような宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、その後生成されるビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換又はトランスフェクトされた場合に、本明細書に記載される抗体分子を系中で発現することができる細胞も表す。これらとしては、限定されないが、抗体コード配列を含有する組み換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA若しくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌にょうな微生物(例えば、E. coli及び枯草菌(B. subtilis));抗体コード配列を含有する組み換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロマイセス・ピキア(Saccharomyces Pichia));抗体コード配列を含有する組み換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する組み換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)で感染させたか若しくは組み換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系(例えば、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)のような緑藻);又は哺乳動物細胞のゲノム由来(例えば、メタロチオネインプロモーター)若しくは哺乳動物ウイルス由来(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)のプロモーターを含有する組み換え発現構築物を内部に有する哺乳動物細胞系(例えば、COS (例えば、COS1又はCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK 293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、及びNIH 3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20及びBMT10細胞)が挙げられる。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体を発現するための細胞は、CHO細胞、例えばCHO GS System
TM (Lonza)からのCHO細胞である。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体を発現するための細胞は、ヒト細胞、例えばヒト細胞株である。特定の実施態様において、哺乳動物発現ベクターは、pOptiVEC
TM又はpcDNA3.3である。特定の実施態様において、特に組み換え抗体分子全体の発現のために、大腸菌(Escherichia coli)のような細菌細胞、又は真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)は、組み換え抗体分子の発現に使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期遺伝子(major intermediate early gene)プロモーターエレメントのようなベクターと併せた、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳動物細胞は、抗体のための有効な発現系である(Foecking MK&Hofstetter H (1986) Gene 45:101-5;及びCockett MI et al.、(1990) Biotechnology 8(7):662-7(これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される))。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体は、CHO細胞又はNS0細胞により産生される。特定の実施態様において、PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合する本明細書に記載される抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成性プロモーター、誘導性プロモーター又は組織特異的プロモーターにより制御される。
【0278】
細菌系において、多数の発現ベクターは、発現される抗体分子について意図された仕様に依存して有利に選択され得る。例えば、抗体分子の医薬組成物の生成のために大量のこのような抗体を製造しようとする場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を方向づけるベクターが望ましくあり得る。このようなベクターとしては、限定されないが、融合タンパク質が産生されるように、抗体コード配列は個々にlac Zコード領域とインフレームでベクターに連結され得る、E. coli発現ベクターpUR278 (Ruether U&Mueller-Hill B (1983) EMBO J 2:1791-1794);pINベクター(Inouye S&Inouye M (1985) Nuc Acids Res 13:3101-3109;Van Heeke G&Schuster SM (1989) J Biol Chem 24:5503-5509);などが挙げられ、これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される。例えば、pGEXベクターはまた、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるために使用され得る。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、そしてマトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合、続いて遊離グルタチオンの存在下での溶出により溶解した細胞から容易に精製され得る。pGEXベクターは、クローン化された標的遺伝子産物がGST部分から放出され得るように、トロンビン又は第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
【0279】
昆虫系において、例えば、キンウワバ科(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)は、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用され得る。ウイルスはヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞において増殖する。抗体コード配列は、個々にウイルスの非必須領域(例えば、ポリへドリン遺伝子)にクローン化され得、そしてAcNPVプロモーター(例えばポリへドリンプロモーター)の制御下に置かれ得る。
【0280】
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、目的の抗体コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び三要素リーダー配列に連結され得る。次いで、このキメラ遺伝子は、インビトロ又はインビボ組み換えによりアデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域El又はE3)における挿入は、感染した宿主において生存可能でかつ抗体分子を発現することができ組み換えウイルスを生じる(例えば、Logan J&Shenk T (1984) PNAS 81(12):3655-9、(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと)。特定の開始シグナルもまた、挿入された抗体コード配列の有効な翻訳に必要であり得る。これらのシグナルとしては、ATG開始コドン及び隣接配列が挙げられる。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確実にするために所望されるコード配列のリーディングフレームと同調していなければならない。これらの外来翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然及び合成の両方の様々な起源のものであってよい。発現効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写終結因子などを含めることにより増強され得る(例えば、Bitter G et al.、(1987) Methods Enzymol. 153:516-544、(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと)。
【0281】
さらに、挿入された配列の発現を調節し、又は望まれる特定の様式で遺伝子産物を就職しプロセシングする宿主細胞株が選択され得る。タンパク質産物のこのような修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能に重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセシング及び修飾について特徴的かつ特定の機構を有する。適切な細胞株又は宿主系は、発現される外来タンパク質の正確な修飾及びプロセシングを確実にするように選択され得る。この目的のために、一次転写産物の適切なプロセシング、グリコシル化、及び遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞が使用され得る。このような哺乳動物宿主細胞としては、限定されないが、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK 293、NIH 3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0 (いずれの免疫グロブリン鎖も内因的に賛成しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS (例えば、COS1又はCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10及びHsS78Bst細胞が挙げられる。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗PD-1抗体は、CHO細胞のような哺乳動物細胞において産生され得る。
【0282】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体は、減少したフコース含有量を有するか又はフコースを含有しない。このような抗体は、当業者に公知の技術を使用して製造され得る。例えば、抗体は、フコシル化の能力が欠乏しているか欠損している細胞において発現され得る。具体例において、α1,6-フコシルトランスフェラーゼの両方の対立遺伝子のノックアウトを有する細胞株は、減少したフコース含有量を有する抗体を製造するために使用され得る。Potelligent
(R)システム(Lonza)は、減少したフコース含有量を
有する抗体を製造するために使用され得るこのようなシステムの例である。
【0283】
組み換えタンパク質の長期間、高収量製造のために、安定な発現細胞が生成され得る。例えば、本明細書に記載される抗PD-1抗体を安定に発現する細胞株は操作され得る。特定の実施態様において、本明細書において提供される細胞は、本明細書に記載される抗体を形成するために結合する軽鎖/軽鎖可変領域及び重鎖/重鎖可変領域を安定に発現する。
【0284】
特定の局面において、ウイルス複製起点を含む発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写終結因子、ポリアデニル化部位など)、及び選択可能なマーカーにより制御されたDNAで形質転換され得る。外来DNA/ポリヌクレオチドの導入後に、操作された細胞を、濃縮培地中で1〜2日間増殖させ、次いで選択培地に切り替える。組み換えプラスミド中の選択可能マーカーは、選択に対する抵抗性を付与し、そして細胞がそれらの染色体にプラスミドを安定に組み込み、そして増殖して増殖巣を形成することを可能にし、これが今度はクローン化されて細胞株に増殖し得る。この方法は、本明細書に記載される抗PD-1抗体又はそのフラグメントを発現する細胞株を操作するために有利に使用され得る。このような操作された細胞株は、抗体分子と直接的又は間接的に相互作用する組成物のスクリーニング及び評価において特に有用であり得る。
【0285】
多数の選択系が使用され得、これらとしては、限定されないが、それぞれtk-、hgprt-又はaprt-細胞における、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler M et al.、(1977) Cell 11(1):223-32)、ヒポキサンチングアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska EH&Szybalski W (1962) PNAS 48(12):2026-2034)及びアデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy I et al.、(1980) Cell 22(3):817-23)遺伝子(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)が挙げられる。また、代謝拮抗薬抵抗性は、以下の遺伝子の選択の基礎として使用され得る: dhfr、これはメトトレキサートへの抵抗性を付与する(Wigler M et al.、(1980) PNAS 77(6):3567-70;O’Hare K et al.、(1981) PNAS 78:1527-31);gpt、これはミコフェノール酸に対する抵抗性を付与する(Mulligan RC&Berg P (1981) PNAS 78(4):2072-6);neo、これはアミノグリコシドG-418に対する抵抗性を付与する(Wu GY&Wu CH (1991) Biotherapy 3:87-95;Tolstoshev P (1993) Ann Rev Pharmacol Toxicol 32:573-596;Mulligan RC (1993) Science 260:926-932;及びMorgan RA&Anderson WF (1993) Ann Rev Biochem 62:191-217;Nabel GJ&Felgner PL (1993) Trends Biotechnol 11(5):211-5);並びにhygro、これはハイグロマイシンに対する抵抗性を付与する(Santerre RF et al.、(1984) Gene 30(1-3):147-56)、これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される。組み換えDNA技術の分野で一般的に知られている方法は、所望の組み換えクローンを選択するために日常的に適用され得、そしてこのような方法は、例えばAusubel FM et al.、(eds.)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、NY (1993);Kriegler M、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、NY (1990);及びChapters 12 and 13、Dracopoli NC et al.、(eds.)、Current Protocols in Human Genetics、John Wiley&Sons、NY (1994);Colbere-Garapin F et al.、(1981) J Mol Biol 150:1-14(これらは参照によりそれら全体として本明細書に加入される)に記載される。
【0286】
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅により増加され得る(総説については、Bebbington CR&Hentschel CCG、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning、Vol. 3 (Academic Press、New York、1987)(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養において存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピーの数を増加させる。増幅された領域は抗体遺伝子と結合しているので、抗体の産生も増加する(Crouse GF et al.、(1983) Mol Cell Biol 3:257-66、(これは参照によりその全体として本明細書に加入される))。
【0287】
宿主細胞は、本明細書に記載される2つ又はそれ以上の発現ベクターで同時トランスフェクトされ得る、重鎖由来のポリペプチドをコードする第一のベクター及び軽鎖由来のポリペプチドをコードする第二のベクター。2つのベクターは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能にする同一の選択可能マーカーを含有し得る。宿主細胞は、異なる量の2つ又はそれ以上の発現ベクターで同時トランスフェクトされ得る。例えば、宿主細胞は、以下の比の第一の発現ベクター及び第二の発現ベクターのいずれか1つでトランスフェクトされ得る: 1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、又は1:50。
【0288】
あるいは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、かつ発現することができる単一のベクターを使用することができる。このような状況において、軽鎖は、過剰の毒性遊離重鎖を避けるために重鎖の前に配置されるべきである(Proudfoot NJ (1986) Nature 322:562-565;及びKoehler G (1980) PNAS 77:2197-2199(これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される))。重鎖及び軽鎖のコード配列は、cDNA又はゲノムDNAを含み得る。発現ベクターは、単シストロン性でも多シストロン性(multicistronic)でもよい。多シストロン性核酸構築物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくはそれ以上、又は2〜5、5〜10若しくは10〜20の範囲の遺伝子/ヌクレオチド配列をコードする。例えば、2シストロン性核酸構築物は、以下の順序で、プロモーター、第一の遺伝子(例えば、本明細書に記載される抗体の重鎖)、及び第二の遺伝子及び(例えば、本明細書に記載される抗体の軽鎖)を含み得る。このような発現ベクターにおいて、両方の遺伝子の転写はプロモーターにより駆動され得るが、一方で第一の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ依存性スキャニング機構によるものであり得、そして第二の遺伝子からのmRNAの翻訳は、例えばIRESによる、キャップ依存性機構によるものであり得る。
【0289】
本明細書に記載される抗体分子が組み換え発現により産生されると、それは免疫グロブリン分子の精製について当該分野で公知のいずれかの方法により、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にプロテインA後の特異的抗原に対する親和性、及びサイジング(sizing)カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、吸収率較差溶解度(differential solubility)により、又はタンパク質の精製のためのいずれかの他の標準的な技術により精製され得る。さらに、本明細書に記載される抗体は、精製を容易にするために、本明細書に記載されるか又は別の方法で当該分野で公知の異種ポリペプチド配列に融合され得る。
【0290】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体は、単離されるか又は精製される。一般に、単離された抗体は、単離された抗体と異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まないものである。例えば、特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体の調製物は、細胞物質及び/又は化学前駆体を実質的に含まない。言語「細胞物質を実質的に含まない」は、それが単離されるか又は組み換え的に産生される細胞の細胞成分から抗体が分離されている抗体の調製物を含む。従って。細胞物質を実質的に含まない抗体は、約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満(乾燥質量で)の異種タンパク質(本明細書では「混入タンパク質」とも呼ばれる)及び/又は抗体の変異体、例えば、抗体の異なる翻訳後修飾形態又は抗体他の異なるバージョン(例えば、抗体フラグメント)を有する抗体の調製物を含む。抗体が組み換え的に産生される場合、これはまた、一般的に培地を実質的に含まない、すなわち、培地は、タンパク質調製物の体積の約20%、10%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満に相当する。抗体が化学合成により製造される場合、これは一般的に、化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、タンパク質の合成に関与する化学前駆体又は他の化学物質から分離されている。従って、抗体のこのような調製物は、目的の抗体以外の化学前駆体又は化合物を約30%、20%、10%、又は5%未満(乾燥重量で)有する。特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体は単離されるか又は精製される。
【0291】
PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合する抗体又はそのフラグメントは、抗体の合成について当該分野で公知のいずれかの方法により、例えば、化学合成又は組み換え発現技術により製造され得る。本明細書に記載される方法は、別に示されていなければ、分子生物学、微生物学、遺伝子分析、組み換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び改変、核酸ハイブリダイゼーション、及び当該技術内の関連分野における従来の技術を使用する。これらの技術は、例えば、本明細書に引用される参考文献において記載され、そして文献に十分に説明される。例えば、Maniatis T et al.、(1982) Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J et al.、(1989)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J et al.、(2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;Ausubel FM et al.、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons (1987及び年次更新);Current Protocols in Immunology、John Wiley&Sons (1987及び年次更新)) Gait (ed.) (1984) Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach、IRL Press;Eckstein (ed.) (1991) Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、IRL Press;Birren B et al.、(eds.) (1999) Genome Analysis:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。
【0292】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗体は、DNA配列の、例えば合成、遺伝子操作を介する生成を含むいずれかの手段により製造、発現、生成又は単離された抗体(例えば、組み換え抗体)である。特定の実施態様において、このような抗体は、インビボで動物又は哺乳動物(例えば、ヒト)の抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しない配列(例えば、DNA配列又はアミノ酸配列)を含む。
【0293】
一局面において、本明細書に記載される細胞又は宿主細胞を培養することを含む、PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合する抗体を製造する方法が本明細書に提供される。好ましくは、方法はインビトロで行われる。特定の局面において、本明細書に記載される細胞又は宿主細胞(例えば、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドを含む細胞又は宿主細胞)を使用して抗体を発現させる(例えば、組み換え的に発現させるる)ことを含む、PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合する抗体を製造する方法が本明細書に提供される。特定の実施態様において、細胞は単離された細胞である。特定の実施態様において、外来ポリヌクレオチドは、細胞に導入されている。特定の実施態様において、方法は、細胞又は宿主細胞から得られた抗体を精製する工程をさらに含む。
【0294】
ポリクローナル抗体を製造する方法は当該分野で公知である(例えば:Short Protocols
in Molecular Biology、(2002) 5th Ed.、Ausubel FM et al.、eds.、John Wiley and Sons、New York、におけるChapter 11(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと)。
【0295】
モノクローナル抗体は、当該分野で公知の多種多様な技術を使用して製造することができ、これらとしては、ハイブリドーマ、組み換え体、及びファージディスプレイ技術、又はそれらの組み合わせの使用が挙げられる。例えば、モノクローナル抗体は、当該分野で公知であり、そして例えば、Harlow E&Lane D、Antibodies:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2nd ed. 1988);Hammerling GJ et al.、in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563 681 (Elsevier、N.Y.、1981)、(これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)において教示される技術を含むハイブリドーマ技術を使用して製造され得る。本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術により製造された抗体に限定されない。例えば、モノクローナル抗体は、本明細書に記載される抗体又はそのフラグメント、例えば、このような抗体の軽鎖及び/又は重鎖を外因的に発現する宿主細胞から組み換え的に製造され得る。
【0296】
特定の実施態様において、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」は、単一の細胞(例えば、組み換え抗体を産生するハイブリドーマ又は宿主細胞)により産生される抗体であり、ここで抗体は、例えば、ELISA又は当該分野で公知であるか若しくは本明細書において提供される実施例にある他の抗原結合若しくは競合結合アッセイにより決定して、PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合する。特定の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体でもヒト化抗体でもよい。特定の実施態様において、モノクローナル抗体は、一価抗体又は多価(例えば、二価)抗体である。特定の実施態様において、モノクローナル抗体は、単一特異的又は多選択性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。本明細書に記載されるモノクローナル抗体は、例えば、Kohler G&Milstein C (1975) Nature 256:495、(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)に記載されるハイブリドーマ方法により製造され得、又は例えば、本明細書に記載される技術を使用してファージライブラリーから単離され得る。クローン細胞株の製造及びそれにより発現されるモノクローナル抗体の製造のための他の方法は当該分野で周知である(例えば:Short Protocols in Molecular Biology、(2002) 5th Ed.、Ausubel FM et al.におけるChapter 11、上記を参照のこと)。
【0297】
ハイブリドーマ技術を使用して特定の抗体について製造及びスクリーニングする方法は、日常的で当該分野で周知である。例えば、ハイブリドーマ法において、マウス又は他の適切な宿主動物、例えばヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、ハムスター又はマカクザルを免疫して、免疫に使用されるタンパク質(例えば、PD-1(例えば、ヒトPD-1))に特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球はインビトロで免疫され得る。次いでリンパ球を、適切な融合剤、例えばポリエチレングリコールを使用して骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding JW (Ed)、Monoclonal Antibodies: Principles and Practice、pp. 59-103 (Academic Press、1986)、参照によりその全体として本明細書に加入される)。さらに、RIMMS(反復免疫複数部位(repetitive immunization multiple sites))技術を使用して動物を免役することができる(Kilpatrick KE et al.、(1997) Hybridoma 16:381-9、参照によりその全体として本明細書に加入される)。
【0298】
いくつかの実施態様において、マウス(又は他の動物、例えば、ラット、サル、ロバ、ブタ、ヒツジ、ハムスター、又はイヌ)を、抗原(例えば、PD-1 (例えば、ヒトPD-1))で免疫することができ、そして免疫応答が検出されると、例えば、抗原に特異的な抗体がマウス血清において検出されると、マウス脾臓が採取され、そして脾細胞が単離される。次いで脾細胞を、周知の技術によりいずれかの適切な骨髄腫細胞、例えばアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC
(R))(Manassas、VA)から入手可能な細胞株SP20由来の細胞に融合して、ハイブリドーマを形成する。ハイブリドーマを選択し、そして限定希釈によりクローン化する。特定の実施態様において、免疫されたマウスのリンパ節を採取し、NS0骨髄腫細胞と融合する。
【0299】
このようにして製造されたハイブリドーマ細胞を播種し、そして好ましくは未融合の親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1つ又はそれ以上の物質を含有する適切な培地中で増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマのための培地は、典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を防止する。
【0300】
特定の実施態様は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞により抗体の安定な高レベルの産生を支持し、そしてHAT培地のような培地に感受性である骨髄腫細胞を使用する。これらの骨髄腫細胞株の中には、NS0細胞株又はSalk Institute Cell Distribution Center、San Diego、CA、USAから入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍から誘導されるもののようなマウス骨髄腫株、並びにアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関、Rockville、MD、USAから入手可能なSP-2又はX63-Ag8.653細胞がある。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫(heteromyeloma)細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の製造について記載されている(Kozbor D (1984) J Immunol 133:3001-5;Brodeur et al.、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、pp. 51-63 (Marcel Dekker、Inc.、New York、1987)、これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)。
【0301】
ハイブリドーマ細胞が増殖している培地を、PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的なモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性を、当該分野で公知の方法、例えば、免疫沈降により又はラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素連結免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunoabsorbent
assay)(ELISA)のようなインビトロ結合アッセイにより決定する。
【0302】
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後、クローンを、限定希釈手順によりサブクローニングし得、そして標準な方法により増殖させ得る(Goding JW (Ed)、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、上記)。この目的のために適切な培地としては、例えば、D-MEM又はRPMI 1640培地が挙げられる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖され得る。
【0303】
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティクロマトグラフィーのような従来の免疫グロブリン精製手順により培地、腹水、又は血清から適切に分離される。
【0304】
本明細書に記載される抗体は、特定のPD-1(例えば、ヒトPD-1)を認識する抗体フラグメントを含み、そして当業者に公知のいずれかの技術により生成され得る。例えば、本明細書に記載されるFab及びF(ab’)
2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを製造するため)又はペプシン(F(ab’)
2フラグメントを製造するため)のような酵素を使用して免疫グロブリン分子のタンパク質切断により製造され得る。Fabフラグメントは、抗体分子の2つの同一なアームのうちの1つに対応し、そして重鎖のVH及びCH1ドメインと対になった完全軽鎖を含有する。F(ab’)
2フラグメントは、ヒンジ領域においてジスルフィド結合により連結された抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0305】
さらに、本明細書に記載される抗体はまた、当該分野で公知の様々なファージディスプレイ法を使用して生成され得る。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面上に提示される。特に、VH及びVLドメインをコードするDNA配列は、動物cDNAライブラリー(例えば、罹患した組織のヒト又はマウスcDNAライブラリー)から増幅される。VH及びVLドメインをコードするDNAは、PCRによりscFvリンカーと一緒に組み換えられ、そしてファージミドベクターにクローン化される。ベクターはE. coliで電気穿孔され、そしてE. coliをヘルパーファージに感染させる。これらの方法において使用されるファージは、典型的にはfd及びM13を含む繊維状ファージであり、そしてVH及びVLドメインは、通常はファージ遺伝子III又は遺伝子VIIIのいずれかに組み換え的に融合される。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原、例えば、標識された抗原又は固体表面若しくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を用いて選択又は同定され得る。本明細書に記載される抗体を製造するために使用され得るファージディスプレイ方法の例としては、Brinkman U et al.、(1995) J Immunol Methods 182:41-50;Ames RS et al.、(1995) J Immunol Methods 184:177-186;Kettleborough CA et al.、(1994) Eur J Immunol 24:952-958;Persic L et al.、(1997) Gene 187:9-18;Burton DR&Barbas CF (1994) Advan Immunol 57:191-280;PCT出願第PCT/GB91/001134号;国際公開第WO 90/02809号、同第WO 91/10737号、同第WO 92/01047号、同第WO 92/18619号、同第WO 93/1 1236号、同第WO 95/15982号、同第WO 95/20401号、及び同第WO 97/13844号;並びに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、及び同第5,969,108号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)に開示されるものが挙げられる。
【0306】
上記参考文献に記載されるように、ファージ選択の後、ファージ由来の抗体コード領域が単離され得、そしてヒト抗体、又はいずれかの他の望ましい抗原結合フラグメントを含む抗体全体を生成するために使用され得、そして例えば以下に記載されるような哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、及び細菌を含むいずれかの望ましい宿主において発現され得る。Fab、Fab’及びF(ab’)
2フラグメントのような抗体フラグメントを組み換え的に産生する技術もまた、PCT公開第WO 92/22324号;Mullinax RL et al.、(1992) BioTechniques 12(6):864-9;Sawai H et al.、(1995) Am J Reprod Immunol 34:26-34;及びBetter M et al.、(1988) Science 240:1041-1043(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)に開示されるもののような当該分野で公知の方法を使用して使用され得る。
【0307】
特定の実施態様において、抗体全体を生成するために、VH又はVLヌクレオチド配列、制限部位、及び制限部位を保護するための隣接配列を含むPCRプライマーを使用して、テンプレート、例えば、scFvクローンからVH又はVL配列を増幅し得る。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅されたVHドメインを、VH定常領域を発現するベクターにクローン化することができ、そしてPCR増幅されたVLドメインを、VL定常領域、例えばヒトカッパ又はラムダ定常領域を発現するベクターにクローン化し得る。VH及びVLドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローン化され得る。次いで、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターを、細胞株に同時トランスフェクトし、当該分野で公知の技術を使用して、全長抗体、例えばIgGを発現する安定又は一過性の細胞株を生成する。
【0308】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子由来である分子である。例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域に融合されたマウス又はラットモノクローナル抗体の可変領域を含有し得る。キメラ抗体を製造するための方法は、当該分野で公知である。例えば、Morrison SL (1985) Science 229:1202-7;Oi VT&Morrison SL (1986) BioTechniques 4:214-221;Gillies SD et al.、(1989) J Immunol Methods 125:191-202;並びに米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、同第4,816,397号、及び同第6,331,415号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。
【0309】
ヒト化抗体は所定の抗原に結合することができ、かつ実質的に非ヒト免疫グロブリン(例えば、マウス免疫グロブリン)のアミノ酸配列を有する実質的にヒト免疫グロブリン及びCDRのアミノ酸配列を有するフレームワーク領域を含む。特定の実施態様において、ヒト化抗体はまた、典型的にはヒト免疫グロブリンのものである免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCH4領域を含み得る。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含むいずれかのクラス、並びにIgG
1、IgG
2、IgG
3及びIgG
4を含むいずれかのアイソタイプから選択され得る。ヒト化抗体は、当該分野で公知の様々な技術を使用して製造することができ、これらとしては、限定されないが、CDR移植(欧州特許第EP 239400号;国際公開第WO 91/09967号;並びに米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、及び同第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)又はリサーフィシング(resurfacing)(欧州特許第EP 592106号及び同第EP 519596号;Padlan EA (1991) Mol Immunol 28(4/5):489-498;Studnicka GM et al.、(1994) Prot Engineering 7(6):805-814;及びRoguska MA et al.、(1994) PNAS 91:969-973)、鎖シャッフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)、並びに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開第WO 93/17105号;Tan P et al.、(2002) J Immunol 169:1119-25;Caldas C et al.、(2000) Protein Eng. 13(5):353-60;Morea V et al.、(2000) Methods 20(3):267-79;Baca M et al.、(1997) J Biol Chem 272(16):10678-84;Roguska MA et al.、(1996) Protein Eng 9(10):895 904;Couto JR et al.、(1995) Cancer Res. 55 (23 Supp):5973s-5977s;Couto JR et al.、(1995) Cancer Res 55(8):1717-22;Sandhu JS (1994) Gene 150(2):409-10及びPedersen JT et al.、(1994) J Mol Biol 235(3):959-73(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)に開示される技術が挙げられる。米国出願公開第US 2005/0042664 A1(2005年2月24日)(これは参照によりその全体として本明細書に加入される)も参照のこと。
【0310】
多選択性(例えば、二重特異性抗体)を製造する方法は記載されており、例えば、米国特許第7,951,917号;同第7,183,076号;同第8,227,577号;同第5,837,242号;同第5,989,830号;同第5,869,620号;同第6,132,992号、及び同第8,586,713号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。
【0311】
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠いている抗体は、当該分野で周知の方法により製造され得る。Riechmann L&Muyldermans S (1999) J Immunol 231:25-38;Nuttall SD et al.、(2000) Curr Pharm Biotechnol 1(3):253-263;Muyldermans S、(2001) J Biotechnol 74(4):277-302;米国特許第6,005,079号;及び国際公開第WO 94/04678号、同第WO 94/25591号及び同第WO 01/44301号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。
【0312】
さらに、今度はPD-1抗原に特異的に結合する抗体を利用して、当業者に周知の技術を使用して抗原を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を生成することができる。例えば、Greenspan NS&Bona CA (1989) FASEB J 7(5):437-444;及びNissinoff A (1991) J Immunol 147(8):2429-2438(これらはそrぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと。
【0313】
特定の実施態様において、本明細書に記載される抗PD-1抗体と同じPD-1 (例えば、ヒトPD-1)のエピトープに結合する本明細書に記載される抗体は、ヒト抗体である。特定の実施態様において、PD-1(例えば、ヒトPD-1)への結合から、本明細書に記載される抗体のいずれか1つを(例えば、用量依存性様式で)競合的に遮断する本明細書に記載される抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、当該分野で公知のいずれかの方法を使用して製造され得る。例えば、機能性内在性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用することができる。特に、ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、マウス胚性幹細胞に無作為に又は相同組換えにより導入され得る。あるいは、ヒト可変領域。定常領域、及び多様性領域は、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子に加えて、マウス胚性幹細胞に導入され得る。マウス重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別々に又は同時に非機能性にされ得る。特に、J
H領域のホモ接合型欠損は、内在性抗体産生を防止する。改変された胚性幹細胞は、増殖され、そして胚盤胞に微量注入されて、キメラマウスを生じる。次いでキメラマウスを飼育して、ヒト抗体を発現するホモ接合型子孫を生じる。トランスジェニックマウスを、通常のやり方で、選択された抗原、例えば抗原(例えば、PD-1)の全て又は一部を用いて免疫する。抗原に特異的なモノクローナル抗体は、免疫されたトランスジェニックマウスから、従来のハイブリドーマ技術を使用して得ることができる。トランスジェニックマウスにより保有されるヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間再配列し、その後クラススイッチ及び体細胞変異を受ける。従って、このような技術を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgM及びIgE抗体を製造することが可能である。ヒト抗体を製造するためのこの技術の概説については、Lonberg N&Huszar D (1995) Int Rev Immunol 13:65-93(参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を製造するためのこの技術並びにこのような抗体を製造するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、国際公開第WO 98/24893号、同第WO 96/34096号及び同第WO 96/33735号;並びに米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、及び同第5,939,598号、(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)を参照のこと。ヒト抗体を製造することができるマウスの例としては、Xenomouse
TM (Abgenix、Inc.;米国特許第6,075,181号及び同第6,150,184号)、HuAb-Mouse
TM (Mederex、Inc./Gen Pharm;米国特許第5,545,806号及び同第5,569、825号)、Trans Chromo Mouse
TM (Kirin)及びKM Mouse
TM (Medarex/Kirin)(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)が挙げられる。
【0314】
PD-1(例えば、ヒトPD-1)に特異的に結合するヒト抗体は、上記のファージディスプレイ法を含む当該分野で公知の様々な方法によりヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを使用して製造され得る。米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号、及び同第5,885,793号;並びに国際公開第WO 98/46645号、同第WO 98/50433号、同第WO 98/24893号、同第WO 98/16654号、同第WO 96/34096号、同第WO 96/33735号、及び同第WO 91/10741号(これらは全て参照によりそれら全体として本明細書に加入される)も参照のこと。
【0315】
いくつかの実施態様において、ヒト抗体は、マウス-ヒトハイブリドーマを使用して製造され得る。例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)で形質転換されたヒト末梢血リンパ球は、マウス骨髄腫細胞に融合されて、ヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス-ヒトハイブリドーマを生じ、そしてこれらのマウス-ヒトハイブリドーマは、標的抗原(例えば、PD-1(例えば、ヒトPD-1))に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌するものを決定するためにスクリーニングされ得る。このような方法は公知であり、そして当該分野で記載されている、例えば、Shinmoto H et al.、(2004) Cytotechnology 46:19-23;Naganawa Y et al.、(2005) Human Antibodies 14:27-31(これらはそれぞれ参照によりその全体として本明細書に加入される)を参照のこと。
【0316】
5.6 キット
本明細書に記載される1つ又はそれ以上の抗体、又はその医薬組成物若しくは結合体を含むキットも提供される。特定の実施態様において、本明細書に提供される1つ又はそれ以上の抗体のような本明細書に記載される医薬組成物の成分の1つ又はそれ以上で満たされた1つ又はそれ以上の容器を含む医薬パック又はキットが本明細書において提供される。いくつかの実施態様において、キットは、本明細書に記載される医薬組成物及び本明細書に記載されるもののようないずれかの予防的又は治療的薬剤を含む。特定の実施態様において、キットは、T細胞マイトジェン、例えば、フィトヘマグルチニン(PHA)及び/若しくは酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)、又はTCR複合体刺激抗体、例えば抗CD3抗体及び抗CD28抗体を含有し得る。医薬品又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する行政機関により規定される形態の通知を場合によりこのような容器に添付してもよく、この通知は、ヒト投与に関する製造、使用又は販売の機関による承認を反映する。
【0317】
上記方法において使用され得るキットも提供される。一実施態様において、キットは、本明細書に記載される抗体、好ましくは生成された抗体を、1つ又はそれ以上の容器中に含む。特定の実施態様において、本明細書に記載されるキットは、対照として実質的に単離されたPD-1抗原(例えば、ヒトPD-1)を含む。別の特定の実施態様において、本明細書に記載されるキットは、PD-1抗原と反応しない対照抗体をさらに含む。別の特定の実施態様において、本明細書に記載されるキットは、PD-1抗原への抗体の結合を検出するための1つ又はそれ以上の要素を含有する(例えば、抗体は、蛍光性化合物、酵素基質、放射性化合物若しくは発光性化合物のような検出可能な物質に結合され得るか、又は第一の抗体を認識する第二の抗体が検出可能な物質に結合され得る)。特定の実施態様において、本明細書に提供されるキットは、組み換え的に製造されるか又は化学的に合成されたPD-1抗原を含み得る。キット中に提供されるPD-1抗原はまた、固体支持体に結合され得る。より具体的な実施態様において、上記キットの検出手段は、PD-1抗原が結合された固体支持体を含む。このようなキットはまた、非結合レポーター標識抗ヒト抗体又は抗マウス/ラット抗体を含み得る。この実施態様において、PD-1抗原への抗体の結合は、上記レポーター標識抗体の結合により検出され得る。一実施態様において、本発明は、生物学的サンプルにおけるPD-1抗原(例えば、ヒトPD-1)のインビトロアッセイ及び/又はPD-1抗原の検出のための本発明のキットの使用に関する。
【実施例】
【0318】
6.実施例
このセクション(すなわち、セクション6)における実施例は、説明として提供されるものであり、限定としてではない。
【0319】
6.1 実施例1:抗PD-1抗体の特徴づけ
この実施例は、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体、特にAGEN2033w、AGEN2034w、AGEN2046w、及びAGEN2047wと指定された抗体の特徴づけを記載する。AGEN2033w及びAGEN2046wは、同じ重鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号15)及び同じ軽鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号16)を共有する。AGEN2034w及びAGEN2047wは、同じ重鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号17)及び同じ軽鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号16)を共有する。AGEN2033w及びAGEN2034wは、EUナンバリングシステムに従ってS228P変異(すなわち、野生型IgG
4定常領域と比較して位置228におけるセリンのプロリンでの置換)を含有するヒトIgG
4抗体であり、AGEN2046w及びAGEN2047wは、ヒトIgG
1抗体である。さらに、AGEN2047wの3つのFc変異体もまた特徴づけられた:EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、N297A変異体、S267E/L328F二重変異体、及びS239D/A330L/I332E三重変異体。
【0320】
6.1.1. 活性化T細胞により発現されるPD-1への抗体結合
抗PD-1抗体AGEN2046w、AGEN2047w、及びAGEN2034wを、活性化末梢血単核球(PBMC)への結合についてフローサイトメトリーにより調べた。未精製バフィコートから製造した凍結保存したヒトPBMC(Research Blood Components、カタログ番号(Cat#) 002)又は凍結保存したカニクイザルPBMC(Worldwide Primates Inc.、顧客注文)を、Normocin
TM (InvivoGen、Cat# ant-nr-1)及び10%熱不活化FBS(Gibco、Cat# 16140063)を追加したRPMI1640培地に96ウェルNUNCLONデルタ表面プレート(NUNC
TM)において10
5細胞/ウェルでプレーティングした。細胞を、100 ng/mlのブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA;ヒトPBMC用) (Toxin Technologies、Cat# at101red)又はブドウ球菌エンテロトキシンB (SEB;カニクイザルPBMC用) (Toxin Technology、Cat# bt202red)の存在下で5日間37℃、5% CO
2、及び湿度97%で培養した。次いで、サンプル緩衝液(PBS + 2% FBS + 0.09%アジ化ナトリウム)で細胞を1回洗浄し、そして段階希釈した抗体又はアイソタイプ対照 100 μl(10、1、0.1、0.01、0.001、及び0.0001 μg/mlのAGEN2046w、AGEN2047w、又はヒトIgG
1アイソタイプ対照(LifeTein LLC、Cat# LT12031);又は25、5、1、0.2、0.04、0.008、0.0016、0.00032、及び0.000064 μg/mlのAGEN2034w又はヒトIgG
4アイソタイプ対照(LifeTein LLC、Cat# LT12034))とともに暗所にて氷上でインキュベートした。45分後に、サンプル緩衝液で細胞を2回洗浄し、次いでLIVE/DEAD
(R)固定化可能近IR死滅細胞染色(Life Technologies、Cat# L10119)、CD4-BV421 (Biolegend、Cat# 317434)、及びヤギF(ab')
2抗ヒトIgG+A+M、R-PE (Life Technologies、Cat# AHI1707)とともに30分間インキュベートした。サンプル緩衝液で細胞を2回洗浄し、次いでサンプル緩衝液に再懸濁し、そしてFACS Fortessa血球計算機(Becton Dickinson)で分析した。CD4+ T細胞をゲーティングし、そして平均蛍光強度(MFI)を記録した。
【0321】
抗PD-1抗体 AGEN2046w及びAGEN2047wは、活性化ヒトCD4+ T細胞に結合した(
図1A)。AGEN2034wは活性化ヒト及びカニクイザルCD4+ T細胞に結合した(
図1B及び1C)。
【0322】
活性化初代ヒトT細胞へのAGEN2034wの結合を、同様のアッセイで再び測定した。手短には、ヒトPBMCを、SEAペプチド100 ng/mlの存在下で5日間培養し、次いで段階希釈した(50、10、2、0.4、0.080、0.016、0.0032、0.00064、0.000128、0.0000256、0.00000512、及び0.000001024 μg/ml) AGEN2034w又はヒトIgG
4アイソタイプ対照で染色した。細胞をFACS Fortessaサイトメーター(Becton Dickinson)で分析した。CD4+ T細胞をゲーティングし、AGEN2034w陽性細胞の平均蛍光強度(MFI)を測定した。
【0323】
図1Dに示されるように、AGEN2034wは活性化初代ヒトCD4+ T細胞に結合した。
【0324】
6.1.2 PD-1抗体選択性アッセイ
PD-1に対するAGEN2034wの選択性を、同族タンパク質に対してサスペンションアレイ技術を使用して評価した。
【0325】
PD-1とのそれらのアミノ酸配列相同性に基いて、Igスーパーファミリータンパク質roundaboutホモログ2(ROBO2)、B7ホモログ7 (B7-H7)、及びシグナル調節タンパク質ガンマ(SIRPγ)を、AGEN0234wにより結合の評価のためにサスペンションアレイアッセイを使用して選択した。ROBO2、B7-H7及びSIRPγを、Basic Local Alignment Search Tool (BLAST;NCBI)を適用してタンパク質アライメントによりPD-1のホモログとして同定した。そのホモログに対するヒトPD-1の配列相同性は以下のとおりであった:ヒトPD-1対(vs)ヒトROBO2:27.9%;ヒトPD-1 vs ヒトSIRPγ(SIRPG_HUMAN):24.8%;及びヒトPD-1 vs ヒトB7-H7:22.6%。
【0326】
組み換えタンパク質、ヒトROBO2-Fcキメラ(R&D systems、Cat# 3147-RB-050)、ヒトB7-H7-Fcキメラ(R&D systems、Cat# 8084-B7-050)、ヒトSIRPγ-Hisキメラ(Sino Biologicals、Cat# 11828-H08H)、及びヒトPD-1-Fcキメラ(R&D systems、Cat# 1086-PD)を、Luminex
(R)マイクロスフェア(Luminex Corp、Cat# LC10005-01、LC10022-01、LC10046-01、LC10048-01、及びLC10059-01)にN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル化学を使用してカップリングし、そしてAGEN2034wの用量設定(7.5、2.5、0.833、0.277、.0.0926、.0.0309、0.0103、0.0034、0.0011、0.0004、0.0001、及び0.00004 μg/ml)とともにインキュベーションした。次いで、フィコエリトリン(PE)で標識した抗ヒトIgG抗体を加えてAGEN2034wを検出した。結合をLuminex
(R) 200検出システムにより評価した。
【0327】
抗体AGEN2034wは、ヒトPD-1への特異的結合を示し、そして試験された濃度ではROBO2、B7-H7、又はSIRPγへの有意な結合は観察されなかった(
図2)。
【0328】
6.1.3 サスペンションアレイ技術により決定したリガンド遮断活性
抗PD-1抗体がリガンドPD-L1及びPD-L2の結合を遮断するかどうかを決定するために、ランキングアッセイ設定を、サスペンションアレイ技術を使用して行った。5 μlアッセイ緩衝液中の1200 Luminex
(R)ビーズ(Luminex Corp、Cat# 48 LC10014-48)を、96ウェルハーフエリアプレート(Corning、Inc.、Cat# 3884)の各ウェルに加えた。ビーズをPD-1抗原PD-1-Fcキメラ(R&D systems、Cat# 1086-PD)とアミンカップリングを介してCOOHビーズ表面にカップリングした。カップリング反応を、1mlあたりPD-1抗原50 μg/ml及び1 x
10
7 Luminexビーズを使用して行った。標準NHSエステル化学を使用して、抗原の第一級アミン基とビーズ表面上のカルボキシル基との間にカルボジイミド結合を形成した(Luminex Xmap説明書3章)。
【0329】
タンパク質についての抗原カップリングは、簡単な2工程のカルボジイミド手順であり、この間にミクロスフェアカルボキシル基は、最初にSulfo-NHS (N-ヒドロキシスルホスクシンイミド)の存在下でEDC (1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)試薬を用いて活性化されて、スルホ-NHS-エステル中間体を形成する。次いで、反応性中間体を、標的分子(抗体、タンパク質又はペプチド)の第一級アミンとの反応により置き換えて、アミド共有結合を形成する。カップリングされたビーズを、異なる濃度の抗PD-1抗体とともに三連で(最終濃度1ウェルあたり7.5 μg/mlから0.01 μg/ml)1時間20℃にて650rpmでインキュベートした。試験した抗体は、AGEN2033w、AGEN2034w、AGEN2046w、及びAGEN2047w、IgG
1アイソタイプ対照、及びIgG
4アイソタイプ対照であった。続いて、R-PE標識したPD-L1-Fc (R&D Systems、Cat# 156-B7)又はPD-L2-Fc (R&D Systems、Cat# 1224-PL)30 μlを1 nMの濃度で各ウェルに加え、総ウェル体積60 μlとした(1ウェルあたり1200ビーズ及び標識されたPD-L1又はPD-L2の最終濃度0.5 nM)。リガンドの標識化を、R-PE標識化キット(AbDSerotec、LYNX Rapid RPE Antibody Conjugation Kit、Cat# LNK023RPE)を使用して製造者のプロトコルに従って行った。プレートをLuminex
(R) 200システム(Millipore)を使用して分析した。50 μlサンプル体積中で1ウェルあたり100ビーズをカウントした。リガンド遮断能を、リガンドのみの対照の非競合シグナル(100%結合)のMFI値を使用して計算した。PE検出可能シグナルは、抗原へのリガンド結合を示していた。
【0330】
試験した全ての抗PD-1抗体は、PD-L1及びPD-L2のPD-1への結合を阻害した(
図3A〜3D)。
【0331】
AGEN2034wのリガンド遮断活性の測定を、同様のアッセイで繰り返した。手短には、組み換えPD-1-Fcキメラ(R&D systems、Cat# 1086-PD)を、Luminex
(R)ミクロスフェア(Luminex Corp、Cat# LC10048-01)にN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル化学を使用してカップリングした。PD-1をカップリングしたビーズを、AGEN2034wの用量設定(4.0 x 10
-5〜7.5 μg/ml)又はアイソタイプ対照抗体とともにインキュベートし、続いて、蛍光標識したPD-L1-Fc (R&D Systems、Cat# 156-B7)又はPD-L2-Fc (R&D Systems、Cat# 1224-PL)のインキュベートを行った。続いて、PD-L1又はPD-L2のPD-1をカップリングしたビーズへの結合を、Luminex
(R) 200検出システムを使用して評価し、そして蛍光強度中央値(MFI)を記録した。
【0332】
抗体AGEN2034wは、PD-1とそのリガンド、PD-L1 (
図3E)及びPD-L2 (
図3F)の結合を効率的に遮断した。
【0333】
6.1.4 ブドウ球菌エンテロトキシンA (SEA)刺激後のヒトPBMCに対する抗PD-1抗体の効果
初代ヒトT細胞に対する抗PD-1抗体の機能的活性を、SEA刺激後に評価した。未精製バフィコートから製造した凍結保存したヒトPBMC(Research Blood Components、Cat# 002)を、96ウェルNUNCLONデルタ表面プレート(NUNC
TM)において、Normocin
TM (InvivoGen、Cat# ant-nr-1)及び10%熱不活化FBS(Gibco、Cat# 16140063)を追加したRPMI1640培地中10
5細胞/ウェルでプレーティングした。固定濃度(10 μg/ml)又は用量範囲量の抗体(50、10、2、0.4、0.08、0.016、及び0.0032 μg/ml)及び固定量のSEA (100 ng/ml、Toxin Technology、Cat# at101red)の存在下で5日間37℃、5% CO
2、及び湿度97%で細胞を培養した。試験した抗体は、AGEN2033w、AGEN2034w、AGEN2046w、AGEN2047w、及びIgG
1アイソタイプ対照であった。上清を集め、そして分析まで-80℃で保存した。IL-2の力価を電気化学発光(MSD)により測定した。
【0334】
図4A及び4Bに示されるように、抗PD-1抗体 AGEN2033w、AGEN2034w、AGEN2046w、及びAGEN2047wは、SEA刺激の存在下でアイソタイプ対照と比較して、PBMCのIL-2産生を増加させた。
【0335】
さらに、AGEN2034wのアンタゴニスト活性を、単独で、又は抗CTLA-4、抗TIGIT、抗CD137、又は抗OX40抗体と組み合わせて上記の初代PBMCアッセイで調べた。手短には、未精製のバフィコートから製造された凍結保存したヒトPBMC(Research Blood Components、Cat #002)を、SEA超抗原(Toxin Technology、Cat# at101red) (100 ng/ml
図4C、4D、及び4Fにおいて;200 ng/ml
図4Eにおいて)及びAGEN2034w (10 μg/ml
図4C及び4Eにおいて;5 μg/ml
図4Dにおいて;用量範囲12、6、3、0.3、0.03、0.003、0.0003、及び0.0001 μg/ml
図4Fにおいて)又はアイソタイプ対照抗体とともに、5 μg/ml 抗CTLA-4抗体イピリムマブ (Myoderm) (
図4C)、10 μg/ml 抗TIGIT抗体 pab2197若しくはpab2196 (
図4D)、5 μg/ml 抗CD137抗体pab2225 (
図4E)、又は一定用量範囲(12、6、3、0.3、0.03、0.003、0.0003、及び0.0001 μg/ml)の抗OX40抗体pab1928の存在下又は存在しない場合に5日間培養した。上清を集めてIL-2の力価をAlphaLISA (Perkin Elmer、Cat# AL221C)を使用して測定した。抗TIGIT抗体pab2197及びpab2196を、米国出願公開第US2013/0251720号(参照によりその全体として本明細書に加入される)に提供される、それぞれ抗体10A7及び1F4の可変領域配列に基づいて生成した。抗CD137抗体 pab2225を、米国特許第8,137,667号(参照によりその全体として本明細書に加入される)に提供される抗体20H4の可変領域配列に基づいて生成した。抗OX40抗体pab1928を、米国特許公開第US 2013/0280275号(参照によりその全体として本明細書に加入される)に提供される抗体Hu106-122の可変領域配列に基いて生成した。抗TIGIT、抗CD137、及び抗OX40抗体の配列を表8に記載する。
【0336】
【表16】
【0337】
【表17】
【0338】
抗PD-1抗体AGEN2034wは、単独で、又は抗CTLA-4抗体イピリムマブ(
図4C)、抗TIGIT抗体pab2197若しくはpab2196(
図4D)、抗CD137抗体pab2225(
図4E)、又は抗OX40抗体 pab1928(
図4F)と組み合わせて、SEA超抗原の存在下でヒトPBMCにおけるIL-2産生を増強した。
【0339】
6.1.5 抗PD-1抗体の拮抗的活性に対するFcガンマ受容体結合の効果
この実施例において、抗PD-1抗体の拮抗的活性に対するFcγR結合の効果を調べた。
【0340】
第一に、抗PD-1参照抗体の拮抗的活性を、FcγR遮断薬の存在下又は存在しない場合に調べた。未精製バフィコートから製造した凍結保存したヒトPBMC(Research Blood Components、Cat# 002)を、Normocin
TM (InvivoGen、Cat# ant-nr-1)及び10%熱不活化FBS(Gibco、Cat# 16140063)を追加したRPMI1640培地中96ウェルNUNCLON デルタ表面プレート(NUNC
TM)において10
5細胞/ウェルでプレーティングした。SEAペプチド(Toxin Technology、Cat# at101red)100 ng/ml及び1抗PD-1参照抗体又はアイソタイプ対照l0 μg/mlとともに、抗CD16抗体 (1 μg/ml、R&D systems、Cat# AF1330)及び無関係のIgG
1(25 μg/ml、LifeTein、Cat# LT12031)を含有する固定濃度のFc受容体遮断カクテルの存在下又は存在しない場合に、細胞を5日間37℃、5% CO
2、及び湿度97%で培養した。上清を集め、そして分析まで-80℃で保存した。IL-2の力価を電気化学発光(MSD)により測定した。
【0341】
抗CD16抗体を使用したFcγR遮断は、この初代ヒトPBMCアッセイにおいて抗PD-1参照抗体のIL-2分泌を誘導する能力を増強した(
図5A)。
【0342】
同様の研究を、AGEN2034wの拮抗的活性に対するFcγR遮断の影響を調べるために行った。手短には、SEAペプチド100 ng/ml(Toxin Technology、Cat# at101red)、AGEN2034w又はアイソタイプ対照抗体 (HEL IgG
1、LifeTein、Cat# LT12031)10 μg/ml、並びに抗CD16抗体(Biolegend、Cat# 302013)、CD32A及びCD32Bの両方に結合する抗CD32抗体(eBioscience、Cat# 16-0329-81)、抗CD64抗体(Biolegend、Cat# 305016)、又はアイソタイプ対照(Biolegend、Cat# 400543)20 μg/mlとともに、ヒトPBMCを5日間37℃、5% CO
2、及び湿度97%で培養した。上清を集め、そして分析まで-80℃で保存した。IL-2の力価を電気化学発光(MSD)により測定した。
【0343】
図5Aにおける結果と一致して、抗CD16抗体、抗CD32抗体、又は抗CD64抗体を使用したFcγR遮断は、このヒトPBMCアッセイにおいてAGEN2034wにより誘導されたIL-2分泌を増加させた(
図5B)。
【0344】
次に、AGEN2047wの3つのIgG
1 Fc変異体(EUナンバリングシステムに従って番号付けされた、N297A変異体、S267E/L328F二重変異体、及びS239D/A330L/I332E三重変異体)を生成し、そして上記のヒトPBMC SEAアッセイにおいて野生型IgG
1定常領域を含むAGEN2047wに対して比較した。手短には、凍結保存したヒトPBMCを、SEA 100 ng/ml及び抗PD-1抗体 AGEN2047w、AGEN2047w-N297A、AGEN2047w-S267E/L328F、AGEN2047w-S239D/A330L/I332E、又はそれぞれ野生型若しくは変異Fc領域を有するアイソタイプ対照抗体 10 μg/mlとともにインキュベートした。
【0345】
図5Cに示されるように、減少したFcγR結合を有するN297A変異体は、IL-2分泌をさらに増強した。対照的に、S267E/L328F二重変異体及びS239D/A330L/I332E三重変異体は、これらの両方ともFcγR結合を増強し、野生型AGEN2047wよりも少ないIL-2産生を誘導した。
【0346】
6.1.6 混合リンパ球反応における抗PD-1抗体の効果
次に、抗PD-1抗体AGEN2034wを、混合リンパ球反応で調べた。樹状細胞は、凍結保存されたHLA-A2+ ヒトPBMCから得られた単離されたCD14+細胞(Stemcell Technologies、Cat# 18058)由来であり、そして最初に500 U/ml IL-4 (Peprotech、Cat# 200-04-20UG)及び1000 U/ml GM-CSF (Peprotech、Cat# 300-03-20UG)の存在下で24時間、次いで1000 U/ml TNFα (Peprotech、Cat# 300-01A-50UG)、10 ng/ml IL-1β (Peprotech、Cat# 200-01B-10UG)、10 ng/ml IL-6 (Peprotech、Cat# 200-06-20UG)、及び1 μM PGE2 (Sigma、Cat# P0409-5MG)の存在下でさらに24時間分化させた。同種HLA-A2- ヒトPBMCドナーからMACSカラム精製(Miltenyi Biotec、Cat# 130-096-535)により精製した50,000 pan T細胞を、いずれの抗体も存在しない場合又は10 μg/ml ヒトIgG
4アイソタイプ対照抗体 (Biolegend、Cat# 403402)若しくは10 μg/ml AGEN2034wの存在下で、5% ヒトAB血清(Corning、Cat# 35-060-CI)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco、Cat# 15140-122)を含有するRPMI(Corning、Cat# 10-040-CM)中で10,000樹状細胞とともに共培養した。培養物を5日間37℃及び5% CO
2でインキュベートした。上清を、定常状態濃度のIFNγについてAlphaLISA (Perkin
Elmer、Cat# AL217C)を使用して評価した。
【0347】
図6に示されるように、AGEN2034wは、精製されたヒトT細胞及びインビトロ由来同種樹状細胞の共培養においてIFNγ産生を誘導した。
【0348】
6.1.7 腹水抑制アッセイにおける抗PD-1抗体の効果
この実施例において、抗PD-1抗体 AGEN2034wを、卵巣癌腹水により誘導されるT細胞増殖の抑制を軽減するその能力について試験した。手短には、初代ヒトPBMCをCFSE (Biolegend、Cat# 423801)で標識し、次いで増加する濃度(0.00000102〜50 μg/ml)のAGEN2034w又はIgG
4アイソタイプ対照抗体 (Biolegend、Cat# 317434)の存在下で4〜5日間、1 μg/ml 抗CD3抗体(eBioscience、Cat# 16-0037-85)及び50%体積/体積の卵巣癌腹水で刺激した。細胞を、抗ヒトCD4抗体 (Biolegend、Cat# 317434)又は抗ヒトCD8抗体 (Biolegend、Cat# 344710)及びLIVE-DEAD生存率染色(Life Technologies、Cat# L10119)で免疫染色した。CFSE希釈により示されるCD4+又はCD8+ T細胞の増殖を、BD Fortessa (Becton Dickinson)を使用してフローサイトメトリーにより測定した。
【0349】
図7A〜7Cに示されるように、卵巣癌腹水との共培養は、抗CD3抗体刺激T細胞の増殖を減少させ、そしてこの減少を、抗PD-1抗体 AGEN2034wにより部分的に軽減することができた。
【0350】
6.1.8 Jurkat NFAT-ルシフェラーゼレポーターアッセイにおける抗PD-1抗体の効果
さらに、レポーターアッセイを利用して、AGEN2034wの拮抗的活性を調べた。詳細には、このレポーターアッセイにおいて、PD-L1を発現する標的細胞及びPD-1を発現するレポーター細胞の共培養は、レポーター細胞におけるNFAT-ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を阻害した。抗PD-1抗体によるPD-1/PD-L1相互作用の遮断は、阻害性シグナルを軽減することができ、ルシフェラーゼ発現をもたらした。
【0351】
手短には、PD-L1+ CHOK1標的細胞(Promega、Cat# CS187108)を、GloResponse
TM NFAT-luc2/PD-1 Jurkatレポーター細胞(Promega、Cat# CS187102)とともに、増加する濃度(0〜50 μg/ml)のAGEN2034w又はアイソタイプ対照抗体の存在下で、2%熱不活化FBS(Gemini、Cat# 100-106)を追加したRPMI-1640培地(Corning、Cat# 21-040-CV)中で共培養した。6時間のインキュベーションの後、PD-1へのPD-L1結合により誘導されるレポーター遺伝子の抑制を軽減するAGEN2034wの効果を、Bio-Glo
TMルシフェラーゼアッセイシステム(Promega、Cat# G7941)を使用してルシフェラーゼを測定することにより決定した。
【0352】
図8に示されるように、抗PD-1抗体 AGEN2034wは、このJurkat NFAT-ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて用量依存性様式でTCRシグナル伝達を増強した。
【0353】
6.2 実施例2:さらなる抗PD-1抗体の特徴づけ
この実施例において、以下の6つのさらなる抗PD-1抗体を特徴づけした:AGEN2001w、AGEN2002w、EP11_pl1_B03、EP11_pl1_B05、EP11_pl1_C02、及びEP11_pl1_C03。これらの抗体の可変重鎖及び可変軽鎖配列を表6に開示する。
【0354】
6.2.1 抗PD-1抗体の結合及びリガンド遮断分析
上記の6つの抗PD-1抗体の親和性を、表面プラズモン共鳴により分析した。6つの抗体は全て組み換えヒトPD-1に結合した(データは示していない)。
【0355】
6つの抗PD-1抗体のリガンド遮断活性を、セクション6.1.3に記載されるものと同様のアッセイにおいてサスペンションアレイ技術を使用して試験した。カップリングしたビーズを、異なる濃度の抗PD-1抗体とともに二連で(ウェルごとに最終濃度7.5μg/ml〜0.01 μg/ml)1時間20℃及び650 rpmにてインキュベートした。次いでR-PE標識PD-L1-Fc(R&D Systems、Cat# 156-B7)又はPD-L2-Fc (R&D Systems、Cat# 1224-PL)を加えた。試験した抗PD-1抗体は、AGEN2001w、AGEN2002w、EP11_pl1_B03、EP11_pl1_B05、EP11_pl1_C02、及びEP11_pl1_C03であった。
図9A〜9Fに示されるように、試験した全ての抗PD-1抗体は、PD-1のPD-L1及びPD-L2への結合を用量依存性様式で遮断した。
【0356】
6.2.2 ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)刺激後のヒトPBMCに対する抗PD-1抗体の効果
ヒトPBMCに対する抗PD-1抗体 AGEN2002wの機能的活性を、セクション6.1.4に記載されるものと同様のアッセイにおいて試験した。手短には、未精製バフィコートから製造した凍結保存したヒトPBMC(Research Blood Components、Cat# 002)を、抗PD-1抗体AGEN2002w
10 μg/ml又はアイソタイプ対照抗体(HEL IgG
1、LifeTein、Cat# LT12031)及び SEAペプチド(Toxin Technologies、Cat# at101red)100 ng/mlの存在下で4日間37℃、5% CO
2、及
び湿度97%で培養した。上清を集め、そして分析まで-80℃で保存した。IL-2の力価を電気化学発光(MSD)により測定した。
【0357】
図10に示されるように、抗PD-1抗体 AGEN2002wは、SEA刺激の存在下での初代ヒトPBMCのIL-2産生を増加させた。
【0358】
6.3 実施例3:抗PD-1抗体のエピトープマッピング
抗PD-1抗体AGEN2034wのエピトープを、水素-重水素交換(HDX)質量分析及びPepscan分析を使用して特徴づけした。
【0359】
6.3.1 水素-重水素交換(HDX)質量分析を使用した抗PD-1 Fabのエピトープマッピング
AGEN2034wのFabフラグメント(AGEN2034w-Fab)のヒトPD-1の細胞外ドメインとの相互作用を、水素-重水素交換(HDX)質量分析により調べた。
【0360】
組み換えHisタグ化ヒトPD-1を、Sino Biological Inc (Cat# 10377-H08H)から入手した。使用するときに、脱グリコシルPD-1を、PNGase F 6 μlと37℃で4時間インキュベートした組み換えHisタグ化ヒトPD-1タンパク質 300 μgから製造した。抗PD-1抗体のFabフラグメントを、プロテアーゼ処理によりAGEN2034wから製造した。
【0361】
ペプシン/プロテアーゼXVIII消化のために、125 μl対照緩衝液(50 mMホスフェート、100 mM塩化ナトリウム、pH 7.4)中の天然又は脱グリコシルヒトPD-1 4.0 μg を、4 Mグアニジン塩酸塩 135 μl、0.85 M TCEP緩衝液(最終pHは2.5である)を加えることにより変性し、そしてこの混合物を3分間11℃でインキュベートした。次いで、この混合物を、社内充填されたペプシン/プロテアーゼXVIIIカラムを使用してオンカラムペプシン/プロテアーゼXVIII消化にかけ、そして得られたペプチドを、Q Exactive
TMハイブリッド四重極-Orbitrap質量分析器(Thermo)に連結したWaters Acquity UPLCから構成されるUPLC-MSシステムを使用して分析した。ペプチドを50 mm × 1 mm C8カラムで2〜27%溶媒B (アセトニトリル中0.2%ギ酸)からの19分グラジエントを用いて分離した。ペプチド同定を、ヒトPD-1配列に対するMS/MSデータ検察によりMascotを用いて行った。前駆体及び生成物イオンの質量許容差は、それぞれ10 ppm及び0.05 Daであった。
【0362】
10 μl ヒトPD-1 (4.0 μg)又は10 μl ヒトPD-1及びFab混合物(4.0 μg: 4.0 μg)を、125 μl酸化重水素標識緩衝液(50 mMリン酸ナトリウム、100 mM塩化ナトリウム、pD 7.4)とともに0秒間、60秒間、600秒間、及び3600秒間、11℃でインキュベートした。水素/重水素交換を、135 μl of 4 Mグアニジン塩酸塩、0.85 M TCEP緩衝液(最終pHは2.5である)を加えることによりクエンチした。続いて、クエンチしたサンプルを、オンカラムペプシン/プロテアーゼXVIII消化、そして上記のようにLC-MS分析にかけた。質量スペクトルをMSのみのモードで記録した。
【0363】
生MSデータを、H/D交換MSデータの分析のためのソフトウェアであるHDX WorkBench(J. Am. Soc. Mass Spectrom. 2012、23 (9)、1512-1521、参照によりその全体として本明細書に加入される)を使用して処理した。重水素レベルを、重水素化ペプチドとその天然形態(t
0)との間の平均質量差異を使用して計算した。
【0364】
85.4%の配列包括度が、His-タグを含まない脱グリコシルヒトPD-1について達成された。大部分のPD-1ペプチドは、抗ヒトPD-1 Fabが存在してもしなくても同じか又は類似した重水素レベルを示した。しかし、いくつかのペプチドセグメントは、Fab結合の際に有意に減少した重水素取り込みを有することがわかった。この段落における全ての残基は、配列番号74に従って番号付けされる。脱グリコシルヒトPD-1は、残基107〜122 (SLAPKAQIKESLRAEL) (配列番号75)において抗ヒトPD-1 Fabへの結合の際に重水素取り込みの強い減少を示した。さらに、重水素取り込みの減少は、残基5〜22 (LDSPDRPWNPPTFSPALL) (配列番号76)において抗ヒトPD-1 Fabへの結合の際に観察された。
【0365】
6.3.2 Pepscan分析を使用した抗PD-1抗体のエピトープマッピング
抗PD-1抗体AGEN2034wの結合を、チップ結合ペプチドアレイとして製造された合成PD-1ペプチドフラグメントに対して測定した。Pepscan Presto BV、Lelystad、the Netherlandsにより分析を行った。手短には、ヒトPD-1のエピトープを再構築するために、ペプチドのライブラリーを合成した。アミノ官能基化ポリプロピレン支持体を、専用の親水性ポリマー製剤でグラフティングし、続いて、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を使用してNヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を用いてt-ブチルオキシカルボニル-ヘキサメチレンジアミン(BocHMDA)と反応させ、その後、トリフルオロ酢酸(TFA)を使用してBoc基を切断した。標準的Fmocペプチド合成を使用して、顧客改変したJANUS液体操作ステーション(Perkin Elmer)によりアミノ官能基化個体支持体上でペプチドを合成した。構造的模倣物の合成を、Pepscanの専用の足場上の化学的に連結されたペプチド(Chemically Linked Peptides on Scaffolds)(CLIPS)技術を使用して行った。CLIPS技術は、ペプチドを、単一ループ、二重ループ、三重ループ、シート様折り畳み、らせん様折り畳み及びそれらの組み合わせを構築することが可能である。合成されたペプチドの各々への抗体の結合を、PEPSCANベースのELISAで試験した。ペプチドアレイを、一次抗体溶液とともに終夜4℃でインキュベートした。洗浄後に、ペプチドアレイを、ヤギ抗ヒトHRP結合体(Southern Biotech、Cat# 2010-05)とともに1時間25℃でインキュベートした。洗浄後に、ペルオキシダーゼ基質2,2’-アジノ-ジ-3-エチルベンズチアゾリンスルホネート(ABTS)及び20 μl/ml 3% H
2O
2を加えた。1時間後、発色を測定し、そして電荷結合素子(CCD) - カメラ及び画像処理システムを用いて測定し定量した。
【0366】
Pepscan研究は、抗PD-1抗体 AGEN2034wが、配列番号74に従って番号付けされた、残基6〜15(DSPDRPWNPP)(配列番号77)、残基130〜138 (EVPTAHPSP) (配列番号78)、及び残基106〜113 (ISLAPKAQ) (配列番号79)を含むヒトPD-1の鎖を認識したということを示した。
【0367】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施態様により範囲を限定されるべきではない。実際、記載されているものに加えて本発明の様々な改変が、前述の記載及び添付の図面から当業者に明らかとなるだろう。このような改変は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0368】
本明細書において引用される全ての参考文献(例えば、刊行物又は特許又は特許出願)は、各個々の参考文献(例えば、刊行物又は特許又は特許出願)が、全ての目的のために参照によりその全体として本明細書に加入されると具体的かつ個々に示されると同じ程度まで、参照によりそれら全体としてそして全ての目的のために本明細書に加入される。他の実施態様は以下の特許請求の範囲内である。