特許第6869988号(P6869988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6869988(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)の調製のための合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869988
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)の調製のための合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 455/06 20060101AFI20210426BHJP
   A61P 25/14 20060101ALN20210426BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20210426BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
   C07D455/06
   !A61P25/14
   !A61P43/00 111
   !A61K31/4745
【請求項の数】38
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2018-533230(P2018-533230)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公表番号】特表2019-500372(P2019-500372A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】US2016068277
(87)【国際公開番号】WO2017112857
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年12月23日
(31)【優先権主張番号】62/387,442
(32)【優先日】2015年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】398005054
【氏名又は名称】ニューロクライン バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マギー, ケビン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ビン−フェン
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−509366(JP,A)
【文献】 C.G.WERMUTH編,「最新 創薬化学 下巻」,株式会社 テクノミック,1999年,pp.347-365
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、もしくは水和物少なくとも重量%の純度で調製するための方法であって、(a)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を塩基と第1の溶媒中で反応させる工程、および(b)(a)の生成物をp−トルエンスルホン酸と反応させる工程を含む、方法。
【請求項2】
前記塩基が、無機塩基を含、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基が、炭酸塩基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基が、炭酸水素ナトリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(a)の生成物とp−トルエンスルホン酸との前記反応が、第2の溶媒中で行われ、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第2の溶媒が、アセトニトリルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を塩基と反応させる前記工程の前に、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するように、酸の存在下において行われる脱保護工程を介して(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを反応させる工程をさらに含む、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記酸が、塩化水素・ジオキサン溶液または2−メチルテトラヒドロフラン溶液を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記脱保護工程の後に、塩基を加える工程をさらに含む、請求項7または8に記載の方法であって、前記塩基が、カーボネートを含、方法。
【請求項10】
前記脱保護工程の後に、塩基を加える工程をさらに含む、請求項7または8に記載の方法であって、前記塩基が、炭酸水素ナトリウムを含む、方法。
【請求項11】
酸を加える工程をさらに含む、請求項7〜10のいずれかに記載の方法
【請求項12】
酸を加える工程をさらに含む、請求項7〜10のいずれかに記載の方法であって、前記酸が、塩化水素の溶液を含む、方法。
【請求項13】
酸を加える工程をさらに含む、請求項7〜10のいずれかに記載の方法であって、前記酸が、塩化水素・C1−6アルコール溶液を含む、方法。
【請求項14】
酸を加える工程をさらに含む、請求項7〜10のいずれかに記載の方法であって、前記酸が、塩化水素・プロパン−2−オール溶液である、方法。
【請求項15】
前記形成された(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を結晶化する工程をさらに含む、請求項4〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記脱保護工程の前に、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するように、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を、tert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸と反応させる工程をさらに含む、請求項15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールの前記反応が、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールの塩を用いて行われ、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記tert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸が、tert−ブトキシカルボニルで保護されたL−バリンである、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩の前記反応が、塩基の存在下において行われ、請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩の前記反応が、塩基の存在下において行われ、前記塩基が、4−ジメチルアミノピリジンである、請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
tert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸との前記反応の前に、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を形成するために3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールをキラル分割剤と反応させる工程をさらに含む、請求項16〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記キラル剤が、酸を含、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記キラル剤が、(1S)−(+)−カンファースルホン酸を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記キラル剤が、(1S)−(+)−カンファースルホン酸であり、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(1S)−(+)−カンファースルホン酸を結晶化する工程をさらに含む、請求項21〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを還元して、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成した後、キラル剤と反応させる工程をさらに含み、前記還元が、還元剤の存在下において行われる、請求項21〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記還元剤が、ホウ水素化物を含、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素マグネシウム、水素化ホウ素カリウム、9−BBN、シアノボロヒドリド(cyano boroydride)、水素化ホウ素ビス−トリフェニルホスフィン、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、テトラメチルアンモニウムボロヒドリド、テトラエチルアンモニウムボロヒドリドおよび水素化トリエチルホウ素リチウムから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウムである、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記形成された3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを結晶化させる工程をさらに含む、請求項25〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記還元工程の前に、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを形成するために6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩を3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩と反応させる工程をさらに含む、請求項25〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン塩を塩基と反応させて3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンを形成した後、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン塩酸塩と反応させる工程をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン塩が、カルボン酸塩を含、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記カルボン酸塩が、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩またはマレイン酸塩を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記塩が、シュウ酸塩またはクエン酸塩である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、もしくは水和物少なくとも重量%の純度で調製するための方法であって、(a)(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を、保護された好適なL−バリンと反応させて、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成する工程;(b)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを脱保護して、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、もしくは水和物形成する工程;および(c)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、もしくは水和物変換する工程を含む、方法。
【請求項36】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、もしくは水和物少なくとも重量%の純度で調製するための方法であって、(a)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を結晶化する工程;(b)工程(a)で得られた(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、もしくは水和物塩基と反応させる工程;および(c)工程(b)の生成物をp−トルエンスルホン酸と反応させて、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、もしくは水和物形成する工程を含む、方法。
【請求項37】
重量%以下の全不純物の存在下で、少なくとも5重量%の純度を有し、前記全不純物は塩化エチルまたは塩化イソプロピルを含む、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、もしくは水和物
【請求項38】
少なくとも5重量%の純度を有する(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、もしくは水和物および
塩化エチルまたは塩化イソプロピル
を含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2015年12月23日に出願された米国仮出願第62/387,442号の利益を主張し、その開示は、その全体が本明細書において参考として援用される。
【0002】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を調製するためのプロセスが、本明細書中に提供される。
【背景技術】
【0003】
多動障害は、過剰で異常な不随意運動を特徴とする。これらの神経障害には、振戦、ジストニア、バリズム、チック、静座不能、常同症、舞踏病、ミオクローヌスおよびアテトーシスが含まれる。これらの運動障害の病態生理学は、十分に理解されていないが、基底核における神経伝達物質の調節不全が、重要な役割を果たしていると考えられている(Kenneyら、Expert Review Neurotherapeutics,2005,6,7−17)。典型的な神経遮断薬(neuropletics)または中枢作用性ドーパミン受容体遮断制吐薬の慢性使用および高用量投薬により、患者が遅発性症候群を発症しやすくなる。遅発性ジスキネジアは、後者の症候群のサブタイプの1つであり、顔面、肢または体幹の速い反復性かつ常同性の不随意運動を特徴とする(Muller,Expert Opin.Investig.Drugs,2015,24,737−742)。
【0004】
テトラベナジン(TBZ)としても知られる3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H-ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オンによる小胞モノアミントランスポーター−2系(VMAT2)の可逆的阻害は、様々な多動運動障害の処置を改善する。しかしながら、かかる処置の欠点は、応答が変動すること、TBZの迅速な代謝に起因して頻繁な摂取を必要とすること、および副作用である。TBZに関連する副作用としては、鎮静、うつ、静座不能およびパーキンソニズムが挙げられる。
【0005】
TBZは、2つのキラル中心を含むため、2つの立体異性体のラセミ混合物であり、インビボでは、その還元型であるジヒドロテトラベナジン(DHTBZ)としても知られる3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールに迅速かつ広く代謝される。DHTBZは、4つの個別の異性体:(±)アルファ−DHTBZおよび(±)ベータ−DHTBZとして存在すると考えられている。(2R,3R,11bR)または(+)アルファ−DHTBZが、活性な代謝産物の絶対配置であると考えられている(Kilbournら、Chirality,1997,9,59−62)。テトラベナジンは、米国ではオーファンドラッグの状態であり、ある特定の欧州諸国では承認されている。その使用は、ハンチントン病(Hungtington’s disease)を有する患者における舞踏病の治療に対しても認められている。しかしながら、テトラベナジンは、迅速に代謝されるので、終日にわたって頻繁に投与しなければならない(Muller,Expert Opin.Investig.Drugs,2015,24,737−742)。ゆえに、当該分野では、遅発性ジスキネジアを含む多動運動障害を処置するために有効な治療薬を開発する必要があり、そのニーズはまだ満たされていない。
ジヒドロテトラベナジンの(+)−α−異性体のプロドラッグであるバルベナジン、すなわち、(S)−2−アミノ−3−メチル−酪酸(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イルエステルが、最近、遅発性ジスキネジアの症候を含む多動運動障害の処置において、薬物動態学的プロファイルおよび耐容性プロファイルの改善を伴う際立った改善を示した。
(S)−2−アミノ−3−メチル−酪酸(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イルエステルを合成するための方法は、米国特許第8,039,627号および同第8,357,697号(この各開示の全体が参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8,039,627号明細書
【特許文献2】米国特許第8,357,697号明細書
【非特許文献】
【0007】
【特許文献1】Kenneyら、Expert Review Neurotherapeutics,2005,6,7−17
【特許文献2】Muller,Expert Opin.Investig.Drugs,2015,24,737−742
【特許文献3】Kilbournら、Chirality,1997,9,59−62
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を調製するための、安全で、効率的で、費用効果が高く、かつ/または容易に拡張可能な方法が、本明細書中に提供される。他の実施形態において、それらの方法は、95%を超える純度の(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)を提供する。
【0009】
本明細書中に提供される方法は、(a)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するのに適した条件下において、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を、適切に保護されたL−バリンと反応させること;(b)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを脱保護して、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を形成すること;および(c)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形に変換することに広く関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
別段定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学用語は、当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。本明細書中で言及されるすべての刊行物および特許は、それらの全体が参照により本明細書中に援用される。
定義
【0011】
本明細書中に示される開示の理解を容易にするために、いくつかの用語を下記で定義する。
【0012】
通常、本明細書中で使用される命名法、ならびに本明細書中に記載される有機化学、医薬品化学および薬理学における検査手技は、当該分野において周知かつ通常使用されているものである。別段定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学用語は、通常、本開示が属する分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を有する。
【0013】
用語「アルキル」とは、直鎖または分枝鎖の一価の飽和炭化水素ラジカルのことを指し、ここで、そのアルキルは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。例えば、C1−6アルキルとは、1〜6個の炭素原子の直鎖の一価の飽和炭化水素ラジカルまたは3〜6個の炭素原子の分枝鎖の一価の飽和炭化水素ラジカルのことを指す。ある特定の実施形態において、アルキルは、1〜20個(C1−20)、1〜15個(C1−15)、1〜10個(C1−10)もしくは1〜6個(C1−6)の炭素原子を有する直鎖の一価の飽和炭化水素ラジカル、または3〜20個(C3−20)、3〜15個(C3−15)、3〜10個(C3−10)もしくは3〜6個(C3−6)の炭素原子の分枝鎖の一価の飽和炭化水素ラジカルである。本明細書中で使用されるとき、直鎖のC1−6アルキル基および分枝鎖のC3−6アルキル基は、「低級アルキル」とも称される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(すべての異性体を含む)、n−プロピル、イソプロピル、ブチル(すべての異性体を含む)、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル(すべての異性体を含む)およびヘキシル(すべての異性体を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
用語「アルケニル」とは、1つまたは複数の、1つの実施形態では1〜5個、別の実施形態では1個の、炭素−炭素二重結合(複数可)を含む、直鎖または分枝鎖の一価の炭化水素ラジカルのことを指し、ここで、そのアルケニルは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。用語「アルケニル」は、当業者が認識するような、「cis」もしくは「trans」配置またはそれらの混合物、またはあるいは、「Z」もしくは「E」配置またはそれらの混合物を有するラジカルを包含する。例えば、C2−6アルケニルとは、2〜6個の炭素原子の直鎖の一価の不飽和炭化水素ラジカルまたは3〜6個の炭素原子の分枝鎖の一価の不飽和炭化水素ラジカルのことを指す。ある特定の実施形態において、アルケニルは、2〜20個(C2−20)、2〜15個(C2−15)、2〜10個(C2−10)もしくは2〜6個(C2−6)の炭素原子の直鎖の一価の炭化水素ラジカル、または3〜20個(C3−20)、3〜15個(C3−15)、3〜10個(C3−10)もしくは3〜6個(C3−6)の炭素原子の分枝鎖の一価の炭化水素ラジカルである。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、アリル、ブテニルおよび4−メチルブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
用語「アルキニル」とは、1つまたは複数の、1つの実施形態では1〜5個、別の実施形態では1個の、炭素−炭素三重結合(複数可)を含む、直鎖または分枝鎖の一価の炭化水素ラジカルのことを指し、ここで、そのアルキニルは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。例えば、C2−6アルキニルとは、2〜6個の炭素原子の直鎖の一価の不飽和炭化水素ラジカルまたは3〜6個の炭素原子の分枝鎖の一価の不飽和炭化水素ラジカルのことを指す。ある特定の実施形態において、アルキニルは、2〜20個(C2−20)、2〜15個(C2−15)、2〜10個(C2−10)もしくは2〜6個(C2−6)の炭素原子の直鎖の一価の炭化水素ラジカル、または3〜20個(C3−20)、3〜15個(C3−15)、3〜10個(C3−10)もしくは3〜6個(C3−6)の炭素原子の分枝鎖の一価の炭化水素ラジカルである。アルキニル基の例としては、エチニル(−C=CH)、プロピニル(すべての異性体、例えば、1−プロピニル(−C=CCH)およびプロパルギル(−CHC=CH)を含む)、ブチニル(すべての異性体、例えば、1−ブチン−1−イルおよび2−ブチン−1−イルを含む)、ペンチニル(すべての異性体、例えば、1−ペンチン−1−イルおよび1−メチル−2−ブチン−1−イルを含む)およびヘキシニル(すべての異性体、例えば、1−ヘキシン−1−イルを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
用語「シクロアルキル」とは、一価の環状炭化水素ラジカルのことを指し、ここで、そのシクロアルキルは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。1つの実施形態において、シクロアルキル基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、非芳香族および/またはスピロおよび/または非スピロおよび/または架橋および/または非架橋および/または縮合二環式基であり得る。ある特定の実施形態において、シクロアルキルは、3〜20個(C3−20)、3〜15個(C3−15)、3〜10個(C3−10)または3〜7個(C3−7)の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、デカリニルおよびアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
用語「アリール」とは、少なくとも1つの芳香族炭素環を含む、一価の単環式芳香族基および/または一価の多環式芳香族基のことを指し、ここで、そのアリールは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。ある特定の実施形態において、アリールは、6〜20個(C6−20)、6〜15個(C6−15)または6〜10個(C6−10)の環原子を有する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニルおよびテルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。用語「アリール」は、二環式または三環式の炭素環のことも指し、ここで、それらの環のうちの1つは、芳香族であり、その他の環は、飽和であっても、部分不飽和であっても、芳香族であってもよく、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニルまたはテトラヒドロナフチル(テトラリニル)であり得る。
【0018】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、1つまたは複数のアリール基で置換された一価のアルキル基のことを指し、ここで、そのアラルキルまたはアリールアルキルは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。ある特定の実施形態において、アラルキルは、7〜30個(C7−30)、7〜20個(C7−20)または7〜16個(C7−16)の炭素原子を有する。アラルキル基の例としては、ベンジル、2−フェニルエチルおよび3−フェニルプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
用語「ヘテロアリール」とは、少なくとも1つの芳香環を含む、一価の単環式芳香族基および/または一価の多環式芳香族基のことを指し、ここで、少なくとも1つの芳香環は、O、S、NおよびPから独立して選択される1つまたは複数のヘテロ原子をその環に含む。ヘテロアリール基は、芳香環を通じて分子の残りの部分に結合される。ヘテロアリール基の各環は、1もしくは2個のO原子、1もしくは2個のS原子、1〜4個のN原子および/または1もしくは2個のP原子を含み得るが、但し、各環におけるヘテロ原子の総数は、4またはそれ未満であり、各環は、少なくとも1つの炭素原子を含む。ある特定の実施形態において、ヘテロアリールは、5〜20個、5〜15個または5〜10個の環原子を有する。単環式ヘテロアリール基の例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニルおよびトリアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリール基の例としては、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、チアジアゾロピリミジルおよびチエノピリジルが挙げられるが、これらに限定されない。三環式ヘテロアリール基の例としては、アクリジニル、ベンズインドリル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナントリジニル、フェナルサジニル(phenarsazinyl)、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルおよびキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、ヘテロアリールは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。
【0020】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」とは、少なくとも1つの非芳香環を含む、一価の単環式非芳香環系および/または一価の多環式環系のことを指し、ここで、それらの非芳香環原子のうちの1つまたは複数の非芳香環原子は、O、S、NおよびPから独立して選択されるヘテロ原子であり;残りの環原子は、炭素原子である。ある特定の実施形態において、ヘテロシクリル基または複素環式基は、3〜20個、3〜15個、3〜10個、3〜8個、4〜7個または5〜6個の環原子を有する。ヘテロシクリル基は、非芳香環を通じて分子の残りの部分に結合される。ある特定の実施形態において、ヘテロシクリルは、スピロ、縮合または架橋であり得る、単環式、二環式、三環式または四環式環系であり、ここで、窒素原子または硫黄原子は、任意選択で酸化され得、窒素原子は、任意選択で四級化(quatemized)され得、いくつかの環は、部分的または完全に飽和していてもよいし、芳香族であってもよい。ヘテロシクリルは、安定した化合物の生成をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子において主要構造物に結合され得る。そのような複素環式基の例としては、アゼピニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサジニル、13−カルボリニル、クロマニル、クロモニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ジヒドロベンゾイソオキサジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4−ジチアニル、フラノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアモルホリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロキノリニルおよび1,3,5−トリチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、ヘテロシクリルは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。
【0021】
用語「アルケン」とは、1つまたは複数の、1つの実施形態では1〜5個、別の実施形態では1個の、炭素−炭素二重結合(複数可)を含む直鎖または分枝鎖の炭化水素のことを指し、ここで、そのアルケンは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。用語「アルケン」は、当業者によって認識されるような、「cis」もしくは「trans」配置またはそれらの混合物、またはあるいは、「Z」もしくは「E」配置またはそれらの混合物を有する化合物を包含する。例えば、C2−6アルケンとは、2〜6個の炭素原子の直鎖の不飽和炭化水素または3〜6個の炭素原子の分枝鎖の不飽和炭化水素のことを指す。ある特定の実施形態において、アルケンは、2〜20個(C2−20)、2〜15個(C2−15)、2〜10個(C2−10)もしくは2〜6個(C2−6)の炭素原子の直鎖の炭化水素、または3〜20個(C3−20)、3〜15個(C3−15)、3〜10個(C3−10)もしくは3〜6個(C3−6)の炭素原子の分枝鎖の炭化水素である。
【0022】
用語「シクロアルケン」とは、1つまたは複数の、1つの実施形態では1〜5個、別の実施形態では1個の、炭素−炭素二重結合(複数可)を含む環状炭化水素のことを指し、ここで、そのシクロアルケンは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。1つの実施形態において、シクロアルケンは、非芳香族および/またはスピロおよび/または非スピロおよび/または架橋および/または非架橋および/または縮合二環式であり得る。ある特定の実施形態において、シクロアルケンは、3〜20個(C3−20)、3〜15個(C3−15)、3〜10個(C3−10)または3〜7個(C3−7)の炭素原子を有する。
【0023】
用語「アレーン」とは、少なくとも1つの芳香族炭素環を含む、単環式芳香族化合物および/または多環式芳香族化合物のことを指し、ここで、そのアレーンは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。ある特定の実施形態において、アレーンは、6〜20個(C6−20)、6〜15個(C6−15)または6〜10個(C6−10)の環原子を有する。用語「アレーン」は、二環式炭素環または三環式炭素環のことも指し、ここで、それらの環のうちの1つは、芳香族であり、その他(複数可)は、飽和、部分不飽和または芳香族であり得る。
【0024】
用語「ヘテロアレーン」とは、少なくとも1つの芳香環を含む、単環式芳香族化合物および/または多環式芳香族化合物のことを指し、ここで、少なくとも1つの芳香環は、O、S、NおよびPから独立して選択される1つまたは複数のヘテロ原子をその環に含む。ヘテロアレーンの各環は、1もしくは2個のO原子、1もしくは2個のS原子、1〜4個のN原子および/または1もしくは2個のP原子を含み得るが、但し、各環におけるヘテロ原子の総数は、4またはそれ未満であり、各環は、少なくとも1つの炭素原子を含む。ある特定の実施形態において、ヘテロアレーンは、5〜20個、5〜15個または5〜10個の環原子を有する。ある特定の実施形態において、ヘテロアレーンは、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。
【0025】
用語「複素環」とは、単環式非芳香環系および/または多環式非芳香環系のことを指し、ここで、1つまたは複数の非芳香環原子は、ヘテロ原子であり、それらの各々は、独立して、O、S、NおよびPから選択され;残りの環原子は、炭素原子である。ある特定の実施形態において、複素環は、3〜20個、3〜15個、3〜10個、3〜8個、4〜7個または5〜6個の環原子を有する。ある特定の実施形態において、複素環は、スピロ、縮合または架橋であり得る、単環式、二環式、三環式または四環式環系であり、ここで、窒素原子または硫黄原子は、任意選択で酸化され得、窒素原子は、任意選択で四級化され得、いくつかの環は、部分的に飽和していてもよいし、完全に飽和していてもよい。ある特定の実施形態において、複素環は、本明細書中の他の箇所に記載されるような1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。
【0026】
用語「アルコール」とは、アルキル−OH、アルケニル−OH、アルキニル−OH、シクロアルキル−OH、アリール−OH、アラルキル−OH、ヘテロアリール−OHまたはヘテロシクリル−OHのことを指し、ここで、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、それぞれ本明細書中で定義されるとおりである。
【0027】
用語「カルボン酸」とは、アルキル−COOH、アルケニル−COOH、アルキニル−COOH、シクロアルキル−COOH、アリール−COOH、アラルキル−COOH、ヘテロアリール−COOHまたはヘテロシクリル−COOHのことを指し、ここで、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、それぞれ本明細書中で定義されるとおりである。
【0028】
用語「カルボン酸エステル」または「エステル」とは、アルキル−COOR’、アルケニル−COOR’、アルキニル−COOR’、シクロアルキル−COOR’、アリール−COOR’、アラルキル−COOR’、ヘテロアリールCOOR’またはヘテロシクリル−COOR’のことを指し、各R’は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルであり;ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、それぞれ本明細書中で定義されるとおりである。
【0029】
用語「任意選択で置換される」は、基または置換基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基)が、1つまたは複数の置換基Qで置換され得ることを意味すると意図されており、それらの置換基Qの各々は、独立して、例えば、(a)オキソ(=O)、ハロ、シアノ(−CN)およびニトロ(−NO);(b)C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−10シクロアルキル、C6−14アリール、C1−15アラルキル、ヘテロアリールおよびヘテロシクリル(これらの各々は、さらに、1つまたは複数の、1つの実施形態では、1、2、3または4個の、置換基Qで、任意選択で置換される);および(c)−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(NR)NR、−OR、−OC(O)R、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−OC(=NRa)NR、−OS(O)R、−OS(O)、−OS(O)NR、−OS(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−NRC(=NR)NR、−NRS(O)R、−NRS(O)、−NRS(O)NR、−NRS(O)、−P(O)R、−P(O)(OR)R、−P(O)(OR)(OR)、−SR−S(O)R、−S(O)、−S(O)NRおよび−S(O)NR(ここで、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)水素;(ii)C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−10シクロアルキル、C6−14アリール、C7−15アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル(これらの各々は、1つまた複数の、1つの実施形態では、1、2、3または4個の、置換基Qで、任意選択で置換される);または(iii)結合しているN原子と一体となってヘテロアリールまたはヘテロシクリルを形成するRおよびR(このRおよびRの各々は、1つまたは複数の、1つの実施形態では、1、2、3または4個の、置換基Qで、任意選択で置換される)である)から選択される。本明細書中で使用されるとき、別段特定されない限り、置換され得るすべての基が、「任意選択で置換される」。
【0030】
用語「同位体的に富化された」とは、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する原子のことを指す。「同位体的に富化された」は、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する少なくとも1つの原子を含む化合物のことも指し得る。
【0031】
本明細書中に提供される化合物に関して、特定の原子位置が、重水素または「D」を有すると明示されるとき、その位置における重水素の存在度は、重水素の天然存在度(約0.015%である)よりも実質的に高いと理解される。重水素を有すると明示される位置は、代表的には、特定の実施形態では、明示された各重水素位置に、少なくとも1000(15%の重水素の取り込み)、少なくとも2000(30%の重水素の取り込み)、少なくとも3000(45%の重水素の取り込み)、少なくとも3500(52.5%の重水素の取り込み)、少なくとも4000(60%の重水素の取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素の取り込み)、少なくとも5000(75%の重水素の取り込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素の取り込み)、少なくとも6000(90%の重水素の取り込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素の取り込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素の取り込み)、少なくとも6600(99%の重水素の取り込み)または少なくとも6633.3(99.5%の重水素の取り込み)という最小の同位体富化係数(isotopic enrichment factor)を有する。
【0032】
本明細書中に提供される化合物の同位体富化は、質量分析、核磁気共鳴分光法および結晶学をはじめとした当業者に公知の従来の分析方法を用いて決定され得る。
【0033】
薬物動態(「PK」)プロファイル、薬力学(「PD」)プロファイルおよび毒性プロファイルを改善するための医薬の同位体富化(例えば、重水素化)は、一部のクラスの薬物で以前に実証されている。例えば、Lijinskyら、Food Cosmet.Toxicol.,20:393(1982);Lijinskyら、J.Nat.Cancer Inst.,69:1127(1982);Mangoldら、Mutation Res.308:33(1994);Gordonら、Drug Metab.Dispos.,15:589(1987);Zelloら、Metabolism,43:487(1994);Gatelyら、J.Nucl.Med.,27:388(1986);Wade D,Chem.Biol.Interact.117:191(1999)を参照のこと。
【0034】
薬物の同位体富化は、例えば、(1)望まれない代謝産物を減少させるためもしくは排除するため、(2)親薬物の半減期を延長するため、(3)所望の効果を達成するために必要な投薬回数を減少させるため、(4)所望の効果を達成するために必要な投薬量を減少させるため、(5)少しでも形成される場合、活性な代謝産物の形成を増加させるため、ならびに/あるいは(6)特定の組織において有害な代謝産物の生成を減少させるため、および/または併用療法が意図されているかいないかに関わらず併用療法にとってより有効な薬物および/もしくはより安全な薬物を生成するために使用され得る。
【0035】
ある原子をその同位体のうちの1つの代わりに用いると、化学反応の反応速度が変化することが多い。この現象は、速度論的同位体効果(「KIE」)として知られている。例えば、C−H結合が、ある化学反応の律速段階(すなわち、最も高い遷移状態エネルギーを有する段階)において壊れる場合、その水素の代わりに重水素を用いると、反応速度が低下し、そのプロセスは、減速する。この現象は、重水素速度論的同位体効果(「DKIE」)として知られている(例えば、Fosterら、Adv.Drug Res.,vol.14,pp.1−36(1985);Kushnerら、Can.J.Physiol.Pharmacol.,vol.77,pp.79−88(1999)を参照のこと)。
【0036】
DKIEの規模は、C−H結合が壊れる所与の反応の速度と、水素の代わりに重水素を用いた同じ反応の速度との間の比として表現され得る。DKIEは、約1(同位体効果なし)から非常に大きな数値(例えば、50またはそれより大きな数値(これは、水素の代わりに重水素を用いたとき、その反応が50倍またはそれを上回って遅くなり得ることを意味する))の範囲に及び得る。高DKIE値は、不確定性原理の結果であるトンネリングとして知られる現象に部分的に起因し得る。トンネリングは、水素原子の小さい質量が原因であるとされており、プロトンが関わる遷移状態が、時折、必要とされる活性化エネルギーの非存在下において生じ得るので、トンネリングが生じる。重水素は、水素よりも大きな質量を有するので、この現象を起こす確率が統計的にかなり低い。
【0037】
トリチウム(「T」)は、研究、核融合炉、中性子発生装置および放射性医薬品において使用される、水素の放射性同位体である。トリチウムは、2つの中性子を核に有し、3に近い原子量を有する、水素原子である。トリチウムは、天然には環境中に非常に低い濃度で存在し、最も一般的には、TOとして見出される。トリチウムは、ゆっくり崩壊し(半減期=12.3年)、ヒトの皮膚の外層を透過できない低エネルギーベータ粒子を放出する。内部被曝が、この同位体に関連する主な害であるが、有意な健康上のリスクをもたらすためには、大量に摂取されなければならない。重水素と比べて、トリチウムは、危険なレベルに到達するまでに、より少ない量が消費されるはずである。水素の代わりにトリチウム(「T」)を用いることによって、重水素よりもさらに強い結合がもたらされ、数値的により大きな同位体効果がもたらされる。同様に、他の元素の代わりに同位体を用いること(炭素の代わりの13Cまたは14C、硫黄の代わりの33S、34Sまたは36S、窒素の代わりの15N、および酸素の代わりの17Oまたは18Oが挙げられるがこれらに限定されない)によって、同様の速度論的同位体効果がもたらされ得る。
【0038】
例えば、おそらく塩化トリフルオロアセチルなどの反応種の生成を制限することによって、ハロタンの肝毒性を低下させるために、DKIEが用いられた。しかしながら、この方法は、すべての薬物クラスに当てはまらない可能性がある。例えば、重水素の取り込みは、代謝スイッチングをもたらし得る。代謝スイッチングの概念は、異物(xenogen)が、第I相酵素によって隔離されたとき、一過性に結合し、種々の立体配座で再結合した後、化学反応(例えば、酸化)を生じ得ると主張する。この仮説は、多くの第I相酵素における比較的大きなサイズの結合ポケットおよび多くの代謝反応の無差別な(promiscuous)性質によって支持される。代謝スイッチングは、潜在的に異なる比率の公知の代謝産物ならびに全く新しい代謝産物をもたらし得る。この新しい代謝プロファイルは、多かれ少なかれ毒性をもたらし得る。
【0039】
動物の身体は、治療薬などの外来物質をその循環系から排除する目的で種々の酵素を発現する。そのような酵素の例としては、これらの外来物質と反応してこれらの外来物質を腎排泄に向けてより極性の中間体または代謝産物に変換するための、シトクロムP450酵素(「CYP」)、エステラーゼ、プロテアーゼ、レダクターゼ、デヒドロゲナーゼおよびモノアミンオキシダーゼが挙げられる。薬学的化合物の最も一般的な代謝反応のいくつかは、炭素−水素(C−H)結合を炭素−酸素(C−O)または炭素−炭素(C−C)π結合のいずれかに酸化することを含む。得られる代謝産物は、生理学的条件下において安定である場合もあるし、不安定である場合もあり、親化合物と比べて実質的に異なる薬物動態学的プロファイル、薬力学的プロファイルならびに急性毒性プロファイルおよび長期毒性プロファイルを有し得る。多くの薬物の場合、そのような酸化は、速い。ゆえに、これらの薬物は、複数用量の投与または高い日用量の投与を必要とすることが多い。
【0040】
ゆえに、本明細書中に提供される化合物のある特定の位置における同位体富化は、天然の同位体組成を有する同様の化合物と比較して、本明細書中に提供される化合物の薬物動態学的プロファイル、薬理学的プロファイルおよび/または毒物学的プロファイルに影響する検出可能なKIEをもたらし得る。
【0041】
用語「同位体バリアント」とは、治療薬を構成する1つまたは複数の原子において非天然の比率の同位体を含む、そのような治療薬のことを指す。ある特定の実施形態において、「同位体バリアント」の治療薬は、非天然の比率の1つまたは複数の同位体を含み、それらの同位体としては、水素(H)、重水素(H)、トリチウム(H)、炭素−11(11C)、炭素−12(12C)、炭素−13(13C)、炭素−14(14C)、窒素−13(13N)、窒素−14(14N)、窒素−15(15N)、酸素−14(14O)、酸素−15(15O)、酸素−16(16O)、酸素−17(17O)、酸素−18(18O)、フッ素−17(17F)、フッ素−18(18F)、リン−31(31P)、リン−32(32P)、リン−33(33P)、硫黄−32(32S)、硫黄−33(33S)、硫黄−34(34S)、硫黄−35(35S)、硫黄−36(36S)、塩素−35(35Cl)、塩素−36(36Cl)、塩素−37(37Cl)、臭素−79(79Br)、臭素−81(81Br)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素−125(125I)、ヨウ素−127(127I)、ヨウ素−129(129I)およびヨウ素−131(131I)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、「同位体バリアント」の治療薬は、非天然の比率の1つまたは複数の同位体を含み、それらの同位体としては、水素(H)、重水素(H)、トリチウム(H)、炭素−11(11C)、炭素−12(12C)、炭素−13(13C)、炭素−14(14C)、窒素−13(13N)、窒素−14(14N)、窒素−15(15N)、酸素−14(14O)、酸素−15(15O)、酸素−16(16O)、酸素−17(17O)、酸素−18(18O)、フッ素−17(17F)、フッ素−18(18F)、リン−31(31P)、リン−32(32P)、リン−33(33P)、硫黄−32(32S)、硫黄−33(33S)、硫黄−34(34S)、硫黄−35(35S)、硫黄−36(36S)、塩素−35(35Cl)、塩素−36(36Cl)、塩素−37(37Cl)、臭素−79(79Br)、臭素−81(81Br)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素−125(125I)、ヨウ素−127(127I)、ヨウ素−129(129I)およびヨウ素−131(131I)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
当業者の判断に従って実施可能である場合、ある治療薬において、任意の水素が、例えばHであり得るか、または任意の炭素が、例えば13Cであり得るか、または任意の窒素が、例えば15Nであり得るか、または任意の酸素が、例えば18Oであり得ることが理解される。ある特定の実施形態において、「同位体バリアント」の治療薬は、非天然の比率の重水素(D)を含む。
【0043】
本明細書および添付の請求項において使用されるとき、不定冠詞「a」および「an」ならびに定冠詞「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、単数の指示対象のみならず複数の指示対象も含む。
【0044】
用語「約」または「およそ」は、当業者が決定したときの特定の値に対する許容され得る誤差を意味し、それは、その値がどのように測定または決定されたかに部分的に依存する。ある特定の実施形態において、用語「約」または「およそ」は、1、2、3または4標準偏差以内を意味する。ある特定の実施形態において、用語「約」または「およそ」は、所与の値または範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.05%以内を意味する。ある特定の実施形態において、温度に関する「約」または「およそ」は、±0.5℃以内を意味する。
【0045】
用語「溶媒和物」とは、化学量論量または非化学量論量で存在する、1つまたは複数の溶質の分子、例えば、本明細書中に提供される化合物、および1つまたは複数の溶媒の分子によって形成される複合体または凝集物のことを指す。好適な溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよび酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、溶媒は、薬学的に許容され得る溶媒である。1つの実施形態において、その複合体または凝集物は、結晶形態である。別の実施形態において、その複合体または凝集物は、非結晶形態である。溶媒が、水である場合、溶媒和物は、水和物である。水和物の例としては、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物および五水和物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
化合物の「結晶形態」という用語は、遊離酸としての化合物の、遊離塩基としての化合物の、化合物の酸付加塩、化合物の塩基付加塩、化合物の複合体、化合物の溶媒和物(水和物を含む)または化合物の共結晶としての、任意の結晶形態のことを指し得る。化合物の「固体形態」という用語は、化合物の任意の結晶形態、または遊離酸としての化合物の、遊離塩基としての化合物の、化合物の酸付加塩、化合物の塩基付加塩、化合物の複合体、または化合物の溶媒和物(水和物を含む)としての、任意の非晶質形態、または化合物の共沈殿物のことを指し得る。多くの場合において、用語「結晶形態」および「固体形態」は、薬学的に許容され得る結晶形態および固体形態(例えば、薬学的に許容され得る付加塩、薬学的に許容され得る複合体、薬学的に許容され得る溶媒和物、薬学的に許容され得る共結晶および薬学的に許容され得る共沈殿物の結晶形態および固体形態を含む)のことを指し得る。
【0047】
用語「多動障害」または「多動運動障害」または「多動」とは、過剰で異常な不随意運動を特徴とする障害または疾患のことを指す。これらの神経障害としては、振戦、ジストニア、バリズム、チック、静座不能、常同症、舞踏病、ミオクローヌスおよびアテトーシスが挙げられるがこれらに限定されない。
【0048】
用語「VMAT2」とは、モノアミン、特に、神経伝達物質(例えば、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンおよびヒスタミン)を細胞のサイトゾルからシナプス小胞内に輸送するように作用する内在性膜タンパク質であるヒトモノアミントランスポーターアイソフォーム2のことを指す。
【0049】
「薬学的に許容され得る塩」とは、その生物学的特性を保持し、薬学的使用にとって毒性でないかまたはそうでなければ望ましくなくない、本明細書中に提供される化合物の任意の塩のことを指す。そのような塩は、当該分野で周知の種々の有機対イオンおよび無機対イオンから得られ得る。そのような塩としては、(1)有機酸または無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸などの酸)と形成される酸付加塩;または(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、(a)金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオン、またはアルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛および水酸化バリウム)、アンモニアによって置き換えられるか、または(b)有機塩基(例えば、脂肪族、脂環式または芳香族の有機アミン(例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、N−メチルグルカミン ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウムなど))と配位するかのいずれかの場合に形成される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
薬学的に許容され得る塩の単なる例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩など、および化合物が塩基性官能基を含むときは、無毒性の有機酸または無機酸の塩(例えば、ヒドロハライド(hydrohalide)、例えば、塩酸塩および臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、桂皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩、1,2−エタン−ジスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、4−クロロベンゼンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert−ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ムコン酸塩など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
用語「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸、および合成のα、β、γまたはδアミノ酸のことを指し、それらとしては、タンパク質に見出されるアミノ酸、すなわち、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンおよびヒスチジンが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、アミノ酸は、L−配置である。あるいは、アミノ酸は、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル(isoleuccinyl)、プロリニル、フェニルアラニニル(phenylalaninyl)、トリプトファニル、メチオニニル(methioninyl)、グリシニル、セリニル、トレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルトイル、グルタロイル、リシニル、アルギニル(argininyl)、ヒスチジニル、β−アラニル、β−バリニル、β−ロイシニル、β−イソロイシニル、β−プロリニル、β−フェニルアラニル、β−トリプトファニル、β−メチオニニル、β−グリシニル、β−セリニル、β−トレオニル、β−システイニル、β−チロシニル、β−アスパラギニル、β−グルタミニル、β−アスパルトイル、β−グルタロイル、β−リジニル、β−アルギニルまたはβ−ヒスチジニルの誘導体であり得る。
【0052】
用語「実質的に含まない」は、ある化合物を「実質的に含まない」組成物について言及しているとき、その組成物が、約20重量%以下の、約10重量%以下の、約5重量%以下の、約3重量%以下の、約1重量%以下の、約0.5重量%以下の、約0.2重量%以下の、約0.1重量%以下の、約0.01重量%以下の、約0.001重量%以下の、または約0.0001重量%以下の、その化合物を含むことを意味している。
【0053】
用語「実質的に純粋な」は、ある化合物または組成物について言及しているとき、その化合物または組成物が、約80重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上、約96重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上、約99.5重量%以上、約99.9重量%以上、約99.95重量%以上、約99.99重量%以上、約99.995重量%以上、約99.999重量%以上(g no less than)、約99.9995重量%以上または約99.9999重量%以上の純度を有することを意味する。
【0054】
用語「プロセス」および「方法」は、化合物を調製するための本明細書中に開示される方法のことを指すために交換可能に使用される。当業者に周知の、本明細書中に開示されるプロセスおよび方法に対する改変(例えば、出発材料、試薬、保護基、溶媒、温度、反応時間および/または精製)も、本開示に包含される。
【0055】
用語「加える」「反応させる」および「混合する」は、1つの反応成分(reactant)、試薬、溶媒、触媒または反応基を、別の反応成分、試薬、溶媒、触媒または反応基と接触させることを指すために交換可能に使用される。別段特定されない限り、反応成分、試薬、溶媒、触媒および反応基は、個別に、同時に、もしくは別々に加えられ得、かつ/または任意の順序で加えられ得る。それらは、熱の存在下または非存在下において加えられ得、任意選択で、不活性雰囲気(例えば、NまたはAr)下で加えられ得る。ある特定の実施形態において、用語「反応させる」とは、反応基が同じ分子に存在する場合、インサイチュ形成または分子内反応のことも指し得る。
【0056】
用語「実質的に完了する」は、反応について言及しているとき、その反応物(reaction)が、約50%以下の、約40%以下の、約30%以下の、約20%以下の、約10%以下の、約5%以下の、約4%以下の、約3%以下の、約2%以下の、約1%以下の、約0.5%以下の、約0.1%以下の、または約0.05%以下の残留出発材料を含むことを意味する。
【0057】
ある構造またはその一部の立体化学が、例えば太線または破線で示されていない場合、その構造またはその一部は、その構造のすべての立体異性体を包含していると解釈されるべきである。
【0058】
句「その薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物または多形」は、句「そこに言及されている化合物の薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくは多形;またはそこに言及されている化合物のエナンチオマーもしくはエナンチオマー混合物の薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくは多形」と同じ意味を有する。
プロセス
【0059】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供される。ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法は、安全で、効率的で、費用効果が高く、かつ/または容易に拡張可能である。ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形の大規模なまたは商業的な生成に適している。
【0060】
1つの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供され、その方法は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形に変換する工程を含む。
【0061】
1つの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する工程は、(a)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を塩基と反応させる工程、および(b)(a)の生成物をp−トルエンスルホン酸と反応させる工程を含む。
【0062】
別の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩は、第1の溶媒中で塩基と接触される。
【0063】
ある特定の実施形態において、上記塩基は、無機塩基を含む。いくつかの実施形態において、上記塩基は、炭酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、上記塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸水素カリウムを含む。いくつかの実施形態において、上記塩基は、炭酸水素ナトリウムである。
【0064】
いくつかの実施形態において、工程(a)(すなわち、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を塩基と反応させる工程)における溶媒は、炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、カーボネート、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホン、ニトロ化合物、ヘテロアレーン、複素環、水またはそれらの混合物である。ある特定の実施形態において、その溶媒は、塩素化炭化水素である。なおも他の実施形態において、その溶媒は、ジクロロメタンである。
【0065】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩と塩基との反応は、約0〜約30℃、約5〜約25℃、約5〜約20℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、その反応は、約20〜約30℃の範囲の温度において行われる。なおも他の実施形態において、その反応は、約25℃の温度において行われる。
【0066】
別の実施形態において、(a)の生成物とp−トルエンスルホン酸(p−toluensufonic acid)との反応は、第2の溶媒中で行われる。
【0067】
いくつかの実施形態において、上記溶媒は、炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホン、ニトロ化合物、ヘテロアレーン、複素環、カルボン酸、ホスホルアミド、硫化炭素、水またはそれらの混合物である。
【0068】
ある特定の実施形態において、上記溶媒は、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クメン、ジクロロメタン(DCM)、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエテン、1,2−ジクロロエテン、クロロホルム、トリクロロエタン、トリクロロエテン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、ジフェニルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビ(2−メトキシエチル)エーテル、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、アニソール、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル(ACN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン(methyl pyrrolindone)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ピリジン、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサメチルホスホルアミド、硫化炭素、水;またはそれらの混合物である。
【0069】
ある特定の実施形態において、上記溶媒は、塩素化炭化水素、ニトリルまたはそれらの混合物である。他の実施形態において、上記溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリルまたはそれらの混合物である。なおも他の実施形態において、上記溶媒は、ジクロロメタンとアセトニトリルとの混合物である。なおも他の実施形態において、上記溶媒は、アセトニトリルである。
【0070】
ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対アセトニトリルの体積比は、約1〜約100、約2〜約50、約5〜約50、約5〜約25、約10〜約25または約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対アセトニトリルの体積比は、約1〜約100の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対アセトニトリルの体積比は、約2〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対アセトニトリルの体積比は、約5〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対アセトニトリルの体積比は、約5〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対アセトニトリルの体積比は、約10〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対アセトニトリルの体積比は、約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対アセトニトリルの体積比は、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24または約25である。
【0071】
1つの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する工程は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩をp−トルエンスルホン酸と反応させる工程を含む。
【0072】
別の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する工程は、溶媒を含む。
【0073】
ある特定の実施形態において、上記溶媒は、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クメン、ジクロロメタン(DCM)、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエテン、1,2−ジクロロエテン、クロロホルム、トリクロロエタン、トリクロロエテン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、ジフェニルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビ(2−メトキシエチル)エーテル、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、アニソール、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル(ACN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ピリジン、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサメチルホスホルアミド、硫化炭素、水;またはそれらの混合物である。
【0074】
ある特定の実施形態において、上記溶媒は、炭化水素、ニトリルまたはそれらの混合物である。他の実施形態において、上記溶媒は、酢酸エチル、アセトニトリルまたはそれらの混合物である。なおも他の実施形態において、上記溶媒は、酢酸エチルである。
【0075】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する工程は、約15〜約70℃、約20〜約70℃、約25〜約70℃の範囲の温度において行われる。なおも別の実施形態において、その反応は、約70℃の温度において行われる。
【0076】
ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約0.1〜約10、約0.2〜約5、約0.5〜約5、約1〜約4、約1〜約3または約1〜約2の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約1〜約4の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約4、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4または約4.5である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約約4、約4.1または約4.2である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約4である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約4.1である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約4.2である。いくつかの実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約4.5である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約1〜約3の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約1〜約2の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4または約2.5である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約約2、約2.1または約2.2である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約2である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約2.1である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約2.2である。いくつかの実施形態において、p−トルエンスルホン酸対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩のモル比は、約2.5である。
【0077】
別の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩とp−トルエンスルホン酸との反応は、約0〜約100℃、約5〜約90℃、約5〜約80℃、約10〜約70℃、約10〜約60℃、約10〜約50℃、約10〜約40℃、約10〜約30℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩とp−トルエンスルホン酸との反応は、約20〜約60℃、約30〜約60℃、約40〜約60℃、約50〜約60℃の範囲の温度において行われる。なおも他の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩とp−トルエンスルホン酸との反応は、約40〜約50℃、約45〜約50℃、約40〜約55℃、約45〜約55℃の範囲の温度において行われる。別の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩とp−トルエンスルホン酸との反応は、約50℃の温度において行われる。
【0078】
1つの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する工程は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を単離する工程を含む。
【0079】
なおも別の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する工程は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を単離せずに行われる。
【0080】
ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形は、約95重量%以上、約96重量%以上、約97重量%以上、約97.5重量%以上、約98重量%以上、約98.5重量%以上、約99重量%以上、約99.5重量%以上、約99.6重量%以上、約99.7重量%以上、約99.8重量%以上または約99.9重量%以上の純度を有する。
【0081】
他の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供され;その方法は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を塩基と反応させる工程の前に、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するのに適した条件下で、脱保護工程を介して(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを反応させる工程を含む。
【0082】
他の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供され;その方法は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩をp−トルエンスルホン酸(p−tolenesulfonic acid)と反応させる工程の前に、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するのに適した条件下で、脱保護工程を介して(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを反応させる工程を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの脱保護工程は、酸の存在下において行われる。ある特定の実施形態において、その酸は、無機酸である。いくつかの実施形態において、その酸は、塩化水素の溶液を含む。いくつかの実施形態において、その酸は、塩化水素・エーテル溶液(a solution of hydrogen chloride in an ether)を含む。いくつかの実施形態において、その酸は、塩化水素・ジオキサン溶液(a solution of hydrogen chloride in dioxane)を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの脱保護工程は、溶媒の存在下において行われる。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記溶媒は、炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホン、ニトロ化合物、ヘテロアレーン、複素環、カルボン酸、ホスホルアミド、硫化炭素、水またはそれらの混合物である。ある特定の実施形態において、上記溶媒は、塩素化炭化水素である。ある特定の実施形態において、上記溶媒は、ジクロロメタンである。
【0086】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの脱保護工程は、約0〜約25℃、約0〜約30℃、約5〜約25℃、約5〜約20℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、その反応は、約20〜約30℃の範囲の温度において行われる。なおも他の実施形態において、その反応は、約25℃の温度において行われる。
【0087】
いくつかの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するための(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの反応は、塩基を加える工程をさらに含む。
【0088】
ある特定の実施形態において、上記塩基は、無機塩基を含む。いくつかの実施形態において、上記塩基は、炭酸塩基を含む。いくつかの実施形態において、上記塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸水素カリウムを含む。いくつかの実施形態において、上記塩基は、炭酸水素ナトリウムである。
【0089】
なおも別の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するための(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの反応は、水溶液から溶媒を分離する工程をさらに含む。ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するための(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの反応は、第2の溶媒を加える工程をさらに含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、第2の溶媒は、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クメン、ジクロロメタン(DCM)、1,2−ジクロロエタン、1、1−ジクロロエテン、1,2−ジクロロエテン、クロロホルム、トリクロロエタン、トリクロロエテン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、ジフェニルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビ(2−メトキシエチル)エーテル、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、アニソール、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル(ACN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ピリジン、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサメチルホスホルアミド、硫化炭素、水;またはそれらの混合物である。
【0091】
ある特定の実施形態において、第2の溶媒は、塩素化炭化水素、ニトリルまたはそれらの混合物である。他の実施形態において、その溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリルまたはそれらの混合物である。なおも他の実施形態において、その溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリルまたはそれらの混合物である。なおも他の実施形態において、その溶媒は、ジクロロメタンである。
【0092】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するための(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの反応は、酸を加える工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、その酸は、塩化水素の溶液を含む。いくつかの実施形態において、その酸は、塩化水素・エーテル溶液を含む。いくつかの実施形態において、その酸は、塩化水素・ジオキサン溶液を含む。いくつかの実施形態において、その酸は、塩化水素・C1−6アルコール溶液(a solution of hydrogen chloride in a C1-6 alcohol)を含む。
【0093】
ある特定の実施形態において、C1−6アルコールは、第一級または第二級C1−6アルコールであり、その各々は、1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される。ある特定の実施形態において、C1−6アルコールは、1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される第一級C1−6アルコールである。ある特定の実施形態において、水素供与体は、1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される第二級C1−6アルコールである。ある特定の実施形態において、水素供与体は、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール(IPA)、ブタン−1−オール、ブタン−2−オール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メントールまたはそれらの混合物である。1つの実施形態において、C1−6アルコールは、プロパン−2−オールである。
【0094】
いくつかの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するための(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの反応は、別の溶媒を加える工程をさらに含む。
【0095】
ある特定の実施形態において、上記溶媒は、塩素化炭化水素、ニトリル、エステルまたはそれらの混合物である。他の実施形態において、上記溶媒は、ニトリルである。なおも他の実施形態において、上記溶媒は、アセトニトリルである。
【0096】
ある特定の実施形態において、塩化水素対ジクロロメタンの体積比は、約1〜約100、約2〜約50、約5〜約50、約5〜約25、約10〜約25または約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対ジクロロメタンの体積比は、約1〜約100の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対ジクロロメタンの体積比は、約2〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対ジクロロメタンの体積比は、約5〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対ジクロロメタンの体積比は、約5〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対ジクロロメタンの体積比は、約10〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対ジクロロメタンの体積比は、約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、p−トルエンスルホン酸対アセトニトリルの体積比は、約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対ジクロロメタンの体積比は、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24または約25である。
【0097】
ある特定の実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約0.1〜約10、約0.2〜約5、約0.5〜約5の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約0.1〜約5の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約0.2〜約5の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約0.5〜約5の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4または約5.5である。ある特定の実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約5、約5.1または約5.2である。ある特定の実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約5である。ある特定の実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約5.1である。ある特定の実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約5.2である。いくつかの実施形態において、塩化水素対(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのモル比は、約5.5である。
【0098】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するための(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの反応は、約0〜約30℃、約5〜約80℃、約5〜約70℃、約5〜約60℃、約5〜約50℃、約5〜約40℃、約5〜約30℃、約5〜約25℃、約5〜約20℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、その反応は、約5〜約80℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、その反応は、約50〜約70℃の範囲の温度において行われる。
【0099】
他の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するための(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの反応は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を結晶化する工程をさらに含む。
【0100】
ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形は、約95重量%以上、約96重量%以上、約97重量%以上、約97.5重量%以上、約98重量%以上、約98.5重量%以上、約99重量%以上、約99.5重量%以上、約99.6重量%以上、約99.7重量%以上、約99.8重量%以上または約99.9重量%以上の純度を有する。
【0101】
なおも他の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形は、約99.5%以上、約99.6%以上、約99.7%以上、約99.8%以上、約99.9%以上純粋な純度を有する。
【0102】
他の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供され;その方法は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するのに適した条件下において、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩をtert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸と反応させる工程を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールをtert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸と反応させて、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成する工程は、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールの塩を用いて行われる。ある特定の実施形態において、その塩は、スルホン酸塩を含む。なおも他の実施形態において、その塩は、カンファースルホン酸塩である。いくつかの実施形態において、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール塩は、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(S)−(+)−カンファースルホン酸塩である。
【0104】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩とtert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸との反応は、バリンまたはアラニンアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、バリンである。なおも他の実施形態において、tert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸は、L−バリンである。
【0105】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩の反応は、塩基の存在下において行われる。
【0106】
いくつかの実施形態において、上記塩基は、有機塩基である。ある特定の実施形態において、上記塩基は、無機塩基である。ある特定の実施形態において、上記塩基は、有機塩基である。ある特定の実施形態において、上記塩基は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは4−ジメチルアミノピリジンである。いくつかの実施形態において、上記塩基は、水酸化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、上記塩基は、水酸化カリウムである。いくつかの実施形態において、上記塩基は、4−ジメチルアミノピリジンである。
【0107】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩とtert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸との反応は、カップリング試薬をさらに含む。
【0108】
ある特定の実施形態において、上記カップリング試薬は、カルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(BOP−Cl)、ヘキサフルオロホスフェート(BOP試薬)、PCh、PClまたは1−プロパンホスホン酸環状無水物である。ある特定の実施形態において、上記カップリング試薬は、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCまたはEDCI)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC塩酸塩)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドメチオジド(EDCメチオジド)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホネートまたは1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)である。ある特定の実施形態において、上記カップリング試薬は、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCまたはEDCI)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC塩酸塩)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドメチオジド(EDCメチオジド)、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホネートまたは1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)である。いくつかの実施形態において、上記カップリング試薬は、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDCまたはEDCI)である。
【0109】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩の反応は、溶媒の存在下において行われる。
【0110】
いくつかの実施形態において、上記溶媒は、炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、カーボネート、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホン、ニトロ化合物、ヘテロアレーン、複素環、水またはそれらの混合物である。ある特定の実施形態において、上記溶媒は、塩素化炭化水素溶媒である。ある特定の実施形態において、上記溶媒は、ジクロロメタンである。ある特定の実施形態において、上記溶媒は、エーテルである。いくつかの実施形態において、上記溶媒は、シクロアルキルエーテルである。ある特定の実施形態において、上記溶媒は、2−メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)である。
【0111】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩の反応は、約0〜約20℃、約0〜約30℃、約5〜約80℃、約5〜約70℃、約5〜約60℃、約5〜約50℃、約5〜約40℃、約5〜約30℃、約5〜約25℃、約5〜約20℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、その反応は、約0〜約20℃の範囲の温度において行われる。
【0112】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートは、ジクロロメタン中の溶液として得られる。
【0113】
他の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供され;その方法は、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールをキラル分割剤と反応させて、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を形成した後、tert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸と反応させる工程を含む。
【0114】
ある特定の実施形態において、上記キラル剤は、アミノカプロラクタム酸(amino caprolactamic acid)、アミノプロパノール、アントリルトリフルオロエタノール、アスパラギン酸、ベンゾジオキサンカルボン酸、ベンジルアミノシクロヘキサンメタノール(benzylamiocyclohexanemethanol)、ナフチルエチルアミン、リン酸水素ビナフチル、ビス−O−クロロベンジル(chlorobenxzyl)−L−トレイトール、ビス−ヒドロキシフェニルエチレンジアミン、ビス−フェニルエチルアミン、ビス−フェニルエチルフタルアミド酸、ブロモカンファースルホン酸、カンファースルホン酸、ブロモフェニルエチルアミン、ブルシン、2−ブタノール、カンファン酸、ショウノウ酸、クロロメチルベンジルアミン、シンコニジン、シンコニン、デヒドロアビエチルアミン(dehydroabityl amine)、ジアセチル(diacetil)酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジベンジル酒石酸(dibenzyl tartaric acid)、酒石酸ジエチル、酒石酸ジイソプロピル、酒石酸、キニン、キナ酸、ストリキニン、N,N−ジメチルフェニルエチルアミン、ジメチルフェニルテトラヒドロピリミジン、ピログルタミン酸、フェニルプロピオン酸、ナフチルエチルスクシンアミド酸、イソシアン酸ナフチルエチル、リンゴ酸、マンデル酸、クロロギ酸メンチル、グルタミン酸またはエフェドリンを含む。ある特定の実施形態において、上記キラル剤は、酸を含む。いくつかの実施形態において、その酸は、スルホン酸である。なおも他の実施形態において、その酸は、カンファースルホン酸である。なおも他の実施形態において、その酸は、(1S)−(+)−カンファースルホン酸である。
【0115】
他の実施形態において、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールとキラル分割剤との反応は、溶媒の存在下において行われる。いくつかの実施形態において、その溶媒は、水およびアルコールを含む。ある特定の実施形態において、そのアルコールは、本明細書中で定義されるようなC1−6アルコールである。なおも他の実施形態において、溶媒混合物は、水およびエタノールを含む。ある特定の実施形態において、溶媒混合物は、水およびエタノールを、約0.1〜約100、約0.2〜約50、約0.5〜約25、約1〜約20、約1〜約10、約1〜約5または約1〜約2の範囲の体積比で含む。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約20の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約19の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約18の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約17の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約16の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約15の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約14の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約13の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約12の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約11の範囲である。ある特定の実施形態において、水とエタノールの体積比は、約1〜約10の範囲である。
【0116】
ある特定の実施形態において、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールとキラル分割剤との反応は、約0〜約100℃、約5〜約90℃、約5〜約80℃、約10〜約70℃、約10〜約60℃、約10〜約50℃、約10〜約40℃、約10〜約30℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールとキラル分割剤との反応は、約20〜約80℃、約20〜約70℃、約20〜約60℃、約20〜約70℃の範囲の温度において行われる。他の実施形態において、その反応は、約20〜約65℃または約20〜約75℃の範囲の温度において行われる。
【0117】
他の実施形態において、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールとキラル分割剤との反応は、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を結晶化する工程をさらに含む。
【0118】
ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその薬学的に許容され得る塩、またはその溶媒和物、水和物もしくは多形は、約95重量%以上、約96重量%以上、約97重量%以上、約97.5重量%以上、約98重量%以上、約98.5重量%以上、約99重量%以上、約99.1重量%以上、約99.2重量%以上、約99.3重量%以上、約99.4重量%以上、約99.5重量%以上、約99.6重量%以上、約99.7重量%以上、約99.8重量%以上または約99.9重量%以上の純度を有する。
【0119】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供され;その方法は、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを還元して、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成した後、キラル剤と反応させる工程を含む。
【0120】
他の実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの還元は、酸の存在下において行われる。いくつかの実施形態において、その酸は、ルイス酸を含む。他の実施形態において、そのルイス酸としては、四塩化チタン(TiCl);二塩化亜鉛(ZnCl);三フッ化ホウ素(BF);ハロゲン化アルミニウムおよびハロゲン化アルキルアルミニウム(AlXおよびRAlX3−n);五フッ化リンおよび五フッ化アンチモン(PFおよびSbF);ならびに二塩化スズおよび四塩化スズ(SnClおよびSnCl);ハロゲン化リチウム(LiX)(塩化リチウムおよび臭化リチウム(LiClおよびLiBr)を含む)、ハロゲン化銅(CuX)(塩化銅および臭化銅(CuClおよびCuBr)を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、その酸は、ハロゲン化リチウムである。他の実施形態において、その酸は、塩化リチウムである。
【0121】
他の実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの還元は、有機酸の存在下において行われる。ある特定の実施形態において、その有機酸は、カルボン酸である。ある特定の実施形態において、その有機酸は、1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換されるC1−14カルボン酸である。ある特定の実施形態において、その酸は、1つまたは複数の置換基Qで、任意選択で置換される2−ヒドロキシ−C1−14カルボン酸である。ある特定の実施形態において、水素供与体は、酢酸、ギ酸、シュウ酸、マレイン酸、乳酸、アスコルビン酸、マンデル酸またはそれらの混合物である。ある特定の実施形態において、その有機酸は、酢酸である。
【0122】
いくつかの実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの還元は、還元剤の存在下において行われる。他の実施形態において、その還元剤は、ホウ水素化物である。ある特定の実施形態において、その還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素マグネシウム、水素化ホウ素カリウム、9−BBN、シアノボロヒドリド、水素化ホウ素ビス−トリフェニルホスフィン、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、テトラメチルアンモニウムボロヒドリド、テトラエチルアンモニウムボロヒドリドまたは水素化トリエチルホウ素リチウムである。他の実施形態において、その還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムである。
【0123】
いくつかの実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの還元は、溶媒の存在下において行われる。いくつかの実施形態において、その溶媒は、ジクロロメタンおよびアルコールを含む。ある特定の実施形態において、そのアルコールは、本明細書中で定義されるようなC1−6アルコールである。なおも他の実施形態において、溶媒混合物は、ジクロロメタンおよびエタノールを含む。ある特定の実施形態において、溶媒混合物は、ジクロロメタンおよびエタノールを、約0.1〜約100、約0.2〜約50、約0.5〜約25、約1〜約20、約1〜約10、約1〜約5または約1〜約2の範囲の体積比で含む。ある特定の実施形態において、ジクロロメタンとエタノールの体積比は、約2〜約30の範囲である。ある特定の実施形態において、ジクロロメタンとエタノールの体積比は、約2〜約20の範囲である。ある特定の実施形態において、ジクロロメタンとエタノールの体積比は、約2〜約10の範囲である。ある特定の実施形態において、ジクロロメタンとエタノールの体積比は、約2〜約19、約2〜約18、約2〜約17、約2〜約16、約2〜約15、約2〜約14、約2〜約13、約2〜約12、約2〜約11、約2〜約10の範囲である。ある特定の実施形態において、ジクロロメタンとエタノールの体積比は、約2〜約14の範囲である。ある特定の実施形態において、ジクロロメタンとエタノールの体積比は、約2〜約16の範囲である。
【0124】
ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約0.5〜約100、約1〜約100、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約10、約2〜約50、約5〜約50、約5〜約25、約10〜約25または約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約100の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約20の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約10の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約2〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約5〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約5〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約10〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9または約2.0である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1.2である。
【0125】
ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約0.5〜約100、約1〜約100、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約10、約2〜約50、約5〜約50、約5〜約25、約10〜約25または約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約100の範囲である。いくつかの実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約20の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約10の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約2〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約5〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約5〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約10〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9または約2.0である。ある特定の実施形態において、酢酸対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1.1である。
【0126】
ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約0.5〜約100、約1〜約100、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約10、約2〜約50、約5〜約50、約5〜約25、約10〜約25または約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約100の範囲である。いくつかの実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約25である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約20である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1〜約10である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約2〜約50である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約5〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約5〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約10〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9または約2.0である。ある特定の実施形態において、塩化リチウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1である。
【0127】
ある特定の実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの還元は、約−5〜約−15℃、約−5〜約−10℃、約−5〜約−5℃、約−5〜約0℃、約0〜約5℃、約0〜約10℃、約0〜約15℃、約0〜約20℃、約0〜約25℃、約5〜約25℃、約5〜約15℃、約5〜約10℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、その還元(redaction)は、約−5〜約−15℃の範囲の温度において行われる。ある特定の実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの還元は、約−20℃、約−15℃、約−10℃、約−5℃の温度範囲で行われる。ある特定の実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの還元は、約−10℃の温度範囲で行われる。
【0128】
他の実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成するための3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの反応は、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを結晶化する工程をさらに含む。
【0129】
ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその薬学的に許容され得る塩、またはその溶媒和物、水和物もしくは多形は、約95重量%以上、約96重量%以上、約97重量%以上、約97.5重量%以上、約98重量%以上、約98.5重量%以上、約99重量%以上の純度を有する。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその薬学的に許容され得る塩、またはその溶媒和物、水和物もしくは多形は、約97.5重量%以上、約97.6重量%以上、約97.7重量%以上、約97.8重量%以上、約97.9重量%以上、約98.1重量%以上、約98.2重量%以上、約98.3重量%以上、約98.4重量%以上、約98.5重量%以上、約98.6重量%以上、約98.7重量%以上、約98.8重量%以上または約98.9重量%以上の純度を有する。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその薬学的に許容され得る塩、またはその溶媒和物、水和物もしくは多形は、約97.6重量%以上または約98.1重量%以上の純度を有する。
【0130】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供され;その方法は、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩を3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩と反応させて、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを形成した後、還元工程を行う工程を含む。
【0131】
いくつかの実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを形成するための6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩と3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩との反応は、溶媒の存在下において行われる。
【0132】
いくつかの実施形態において、上記溶媒は、炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アミド、ニトリル、スルホキシド、スルホン、ニトロ化合物、ヘテロアレーン、複素環、カルボン酸、ホスホルアミド、硫化炭素、水またはそれらの混合物である。
【0133】
ある特定の実施形態において、上記溶媒は、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クメン、ジクロロメタン(DCM)、1,2−ジクロロエタン、1、1−ジクロロエテン、1,2−ジクロロエテン、クロロホルム、トリクロロエタン、トリクロロエテン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、ジフェニルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビ(2−メトキシエチル)エーテル、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、アニソール、アセトン、ブタノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、酢酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル(ACN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、N−メチルピロリドン(N-methyl pyrrolindone)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ピリジン、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ヘキサメチルホスホルアミド、硫化炭素、水;またはそれらの混合物である。
【0134】
ある特定の実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを形成するための6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩と3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩との反応における溶媒は、炭化水素と水との混合物を含む。ある特定の実施形態において、その溶媒は、ヘプタンと水との混合物を含む。
【0135】
ある特定の実施形態において、溶媒混合物は、ヘプタンおよび水を、約0.1〜約100、約0.2〜約50、約0.5〜約25、約1〜約20、約1〜約10、約1〜約5、約1〜約3または約1〜約2の範囲の体積比で含む。ある特定の実施形態において、ヘプタンと水の体積比は、約2〜約30の範囲である。ある特定の実施形態において、ヘプタンと水の体積比は、約2〜約20の範囲である。ある特定の実施形態において、ヘプタンと水の体積比は、約2〜約10の範囲である。ある特定の実施形態において、ヘプタンと水の体積比は、約1〜約2、約1〜約2、約1〜約5、約1.1〜約2、約1.1〜約3、約1.2〜約2、約1.2〜約3、約1.3〜約2、約1.3〜約3、約1.4〜約2、約1.4〜約3、約1.5〜約2、約1.5〜約3の範囲である。ある特定の実施形態において、ヘプタンと水の体積比は、約1.5〜約3の範囲である。
【0136】
ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約0.5〜約100、約1〜約100、約1〜約50、約1〜約25、約1〜約20、約1〜約10、約2〜約50、約5〜約50、約5〜約25、約10〜約25または約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約1〜約100の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約1〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約1〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約1〜約20の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約1〜約10の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約2〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約5〜約50の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約5〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約10〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約15〜約25の範囲である。ある特定の実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩対3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンのモル比は、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9または約2.0である。ある特定の実施形態において、水素化ホウ素ナトリウム対3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンのモル比は、約1.1である。
【0137】
いくつかの実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを形成するための6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩と3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩との反応は、約0〜約100℃、約5〜約90℃、約5〜約80℃、約10〜約70℃、約10〜約60℃、約10〜約50℃、約10〜約40℃、約10〜約30℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンまたはその塩を形成するための6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩と3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩との反応は、約20〜約80℃、約20〜約70℃、約20〜約60℃、約20〜約50℃の範囲の温度において行われる。他の実施形態において、その反応は、約30〜約80℃、約30〜約70℃、約30〜約60℃、約30〜約40℃、約30〜約50℃の範囲の温度において行われる。いくつかの実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンまたはその塩を形成するための6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩と3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩との反応は、約30〜約40℃の範囲の温度において行われる。
【0138】
ある特定の実施形態において、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを形成するための6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩と3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩との反応は、3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン塩を塩基と反応させた後、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩と反応させる工程をさらに含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン塩は、無機酸塩を含む。ある特定の実施形態において、その無機酸塩は、塩化水素を含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン塩は、カルボン酸塩を含む。ある特定の実施形態において、そのカルボン酸塩は、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩またはマレイン酸塩を含む。他の実施形態において、そのカルボン酸塩は、シュウ酸塩またはクエン酸塩を含む。
【0141】
いくつかの実施形態において、3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン塩と塩基との反応は、無機塩基を含む。なおも他の実施形態において、その塩基は、炭酸塩基、炭酸水素塩基または水酸化物塩基(hydroxide base)である。他の実施形態において、その塩基は、炭酸ナトリウムである。
【0142】
いくつかの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供され;その方法は、(a)(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩に変換する工程;および(b)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形に変換する工程を含む。
【0143】
ある特定の実施形態において、工程(a)(すなわち、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩に変換する工程)および工程(b)(すなわち、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する工程)は、本明細書中に記載されるように行われる。
【0144】
他の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法が、本明細書中に提供され;その方法は、(a)(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を、保護された好適なL−バリンと反応させて、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成する工程;(b)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを脱保護して、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を形成する工程;および(c)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形に変換する工程を含む。
【0145】
ある特定の実施形態において、工程(b)(すなわち、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを脱保護する工程)および工程(c)(すなわち、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する工程)は、本明細書中に記載されるように行われる。
【0146】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法であって;その方法は、(a)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を結晶化する工程;(b)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を塩基と反応させる工程;および(c)工程(b)の生成物をp−トルエンスルホン酸と反応させて、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を形成する工程を含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩の結晶化工程は、本明細書中に記載されるように行われる。
【0148】
他の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩の結晶化工程は、2015年10月30日に出願された米国仮出願第62/249,074号(この開示はその全体が参照により本明細書中に援用される)に記載されているように行われる。
【0149】
ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形は、ヒトにおいて使用するため(例えば、疾患、障害または状態を処置、予防および/または管理するため)に適している。
【0150】
ある特定の実施形態において、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を調製するための本明細書中に提供される方法の全収率は、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上または約95%以上であり、ここで、その収率は、出発材料に基づいて算出される。
【0151】
ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形は、実質的に純粋である。ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形は、ヒトにおいて使用するため(例えば、疾患、障害または状態を処置、予防および/または管理するため)に適している。
【0152】
ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくは多形中の全不純物は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2.5重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、または約0.1重量%以下である。
【0153】
ある特定の実施形態において、上記不純物は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって検出可能である。ある特定の実施形態において、上記不純物としては、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノプロパノエートおよび(S)−(2S,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記不純物は、(R)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10,11b−トリメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートである。いくつかの実施形態において、上記不純物は、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンである。いくつかの実施形態において、上記不純物は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−7−オキソ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートである。
【0154】
ある特定の実施形態において、上記不純物は、金属ベースの不純物である。ある特定の実施形態において、上記不純物は、揮発性有機化合物である。ある特定の実施形態において、上記不純物は、有機溶媒である。ある特定の実施形態において、上記不純物は、スルホネート、ジメチルアミン(dimethylaminne)、ホルムアルデヒド、塩化エチルまたは塩化イソプロピルである。
【0155】
ある特定の実施形態において、本明細書中に提供される方法によって調製される(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、水和物もしくは多形の乾燥減量(LOD)は、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下である。
【実施例】
【0156】
ある特定の実施形態が、以下の非限定的な例によって例証される。
【0157】
下記の実施例では、別段示されない限り、すべての温度が、摂氏温度で示され、すべての部およびパーセンテージは、重量による。試薬は、商業的供給業者(例えば、Sigma−Aldrich(登録商標)Chemical Co.など)から購入され得、別段示されない限り、さらに精製せずに使用され得る。試薬は、また、当業者に公知の標準的な文献手順に従って調製され得る。溶媒は、例えば、Sigma−Aldrich(登録商標)から購入され得、別段示されない限り、受け取ったまま使用され得るか、または当業者に公知の標準的な方法を用いて精製され得る。
【0158】
別段特定されない限り、下記に示される反応は、通常、周辺温度または室温において行われた。反応物を、HPLCによってアッセイし、出発材料の消費によって判断したとき、終結させた。
【0159】
下記の実施例における化合物の構造および純度は、以下の方法:プロトン核磁気共鳴(H NMR)分光法、13C NMR分光法、質量分析、赤外分光法、融点、X線結晶構造解析および/またはHPLCのうちの1つまたは複数の方法によって確認した。ある特定の場の強度で作動するNMR分光計を用いて、H NMRスペクトルを測定した。化学シフトを、標準、例えば、TMSなどの内部標準からの百万分率(ppm,δ)低磁場でもって報告する。あるいは、H NMRスペクトルは、以下のとおり、重水素化溶媒中の残留プロトンからのシグナルが参照された:CDCl=7.26ppm;DMSOd=2.50ppm;C=7.16ppm;CDOD=3.31ppm(J.Org.Chem.1997,62,7513)。ピーク多重度を以下のとおり指定する:s、シングレット;d、ダブレット;dd、ダブレットのダブレット;t、トリプレット;dt、トリプレットのダブレット;q、カルテット;br、広がった(broadened);およびm、マルチプレット。結合定数は、Hertz(Hz)で示される。質量スペクトル(MS)データは、APCIまたはESIイオン化を備えた質量分析計を用いて得た。
実施例1
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)の調製
A.3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの調製
【化1】
【0160】
3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンオキサレート(174kg)をn−ヘプタン(184L)と水(757L)との混合物に懸濁した。水(908L)中の水酸化ナトリウム(75.7kg)の溶液を加え、温度を15〜25℃の間で安定させ、混合物をこの温度で撹拌した。先の水酸化ナトリウム/水の溶液を加えることによって、pHを8〜10に調整し、その混合物を30〜60分間撹拌した。次いで、水層を廃棄した。あるいは、3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンオキサレートの代わりに3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンシトレート(242.1kg)を使用し、反応を、本明細書中に記載されたものと同じ様式で行った。
【0161】
3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン−ヘプタン溶液を水(315.2L)中の6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン塩酸塩(126.1kg)の溶液に加え、その混合物を約30℃で撹拌した。標準溶液に対して10%未満の6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンが残っている場合に、その反応は完了したと判断した。その混合物を室温に冷却し、固体を濾過し、水(176.5L)、次いでn−ヘプタン(277.4L)(両方とも15〜20℃の温度で安定させた)で洗浄し、次いで、真空下で乾燥させることにより、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを得た(139kg、79%収率)。
A1.3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン遊離塩基から開始する3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンの調製
【0162】
6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン塩酸塩(118.2kg)を水(3容(volume))に溶解した。n−ヘプタン(1.5容)中の3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン(99.1kg)を加え、標準溶液に対して10%未満の6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンしか残らなくなるまで、その混合物を少なくとも48時間、約35℃で激しく撹拌した。固体を濾過し、水、次いでヘプタンで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させることにより、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを得た(141.1kg、85.6%収率)。
B.3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールの調製
【化2】
【0163】
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オン(69.5kg)をジクロロメタン(145.9L、2.1容)に溶解した。酢酸(13.9L、1.1当量)、塩化リチウム(9kg、1当量)およびエタノール(208.5L、14容)を加えた。その混合物を−10±5℃に冷却し、エタノール(139L、5容)中の水素化ホウ素ナトリウム(9.73kg、1.2当量)の溶液を−10±5℃においてゆっくり加えた。その反応物を数時間撹拌し、完了についてHPLCによってモニターした。反応が完了したら、その混合物を25℃に加温し、飽和塩化アンモニウム水溶液(69.5kg)を加えて、反応をクエンチした。その反応混合物を真空下、40±5℃において蒸留して、最小体積まで濃縮した。水(139L)を加え、最小体積まで蒸留を繰り返した。ジクロロメタン(549L)および1N水酸化ナトリウム(10.4kgを250.2Lの水に溶解した)を20±5℃において加えた後、少なくとも15分間撹拌した。層を分離させ、有機層を回収し、一方、水層をジクロロメタンで逆抽出した。合わせた有機物を水で洗浄し、分離し、次いで、最小体積まで真空下で蒸留した。酢酸イソプロピル(347.5L)を加え、その混合物を、合計およそ3体積になるまで真空下で蒸留し、繰り返した。スラリーを85±5℃に加熱し、0.5〜1時間保持し、次いで65℃に冷却して、結晶化を開始させた。その混合物をさらに20℃に冷却し、1時間保持した。固体を濾過し、酢酸イソプロピルでリンスし、次いで、真空下で乾燥させることにより、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを得た(60kg、86%収率)。別のバッチについて、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オン(69.5kg)から開始して、本明細書中に記載される手順と同じ手順を用いて行うことにより、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを得た(59.7kg、85%収率)。
C.(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(S)−(+)−カンファースルホネートの調製
【化3】
【0164】
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(59.8kg)および(1S)−(+)−カンファースルホン酸(46kg、1当量)を19:1エタノール:水(v/v)に懸濁し、次いでそれを、溶液が形成されるまで約75℃において加熱した。その混合物を53±2℃に冷却し、結晶化が生じるまで保持した。核生成が生じない場合は、そのバッチに(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(1S)−(+)−カンファースルホネートの種晶を加えた。その混合物を少なくとも14時間にわたって25±5℃に冷却した。そのスラリーを濾過し、エタノールで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させることにより、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(1S)−(+)−カンファースルホネートを結晶性固体として得た(38.7、38%収率)。別のバッチについて、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(59.6kg)から開始して、本明細書中に記載された手順と同じ手順を用いて行うことにより、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(1S)−(+)−カンファースルホネートを得た(39.5kg、38%収率)。
D.(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの調製
【化4】
【0165】
(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(1S)−(+)−カンファースルホネート(25.9kg)をジクロロメタン(129.5L、5容)および1N水酸化ナトリウム(11.1kgを282.2Lの水に溶解した)(pH>10)に溶解し、次いで、その混合物を25±5℃で撹拌した。有機物を回収し、さらなる水酸化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで、水で洗浄した。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、濾過して固体を除去した。Boc−L−バリン(12.2kg、1.2当量)および4−ジメチルアミノピリジン(1.55kg、0.3当量)をその有機相に投入し、次いで、その混合物をおよそ0℃に冷却した。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(15.8kg、1.8当量)を投入し、反応物を>3時間撹拌した。その反応混合物を0±5℃で維持し、完了についてHPLCによってモニターした。完了したら、水を加え、内容物を撹拌した。静置させた後、水層を廃棄した。有機層を、クエン酸水溶液(101Lの水中5.2kgのクエン酸から調製した)、次いで、水で洗浄することにより、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートをジクロロメタン中の溶液として得た。
E.(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩の調製
【化5】
【0166】
塩化水素・ジオキサン溶液(4M、57L、5当量)を、温度を5〜10℃の間で維持しながら、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートのジクロロメタン中の溶液にゆっくり加えた。添加が完了したら、その混合物を25±5℃で>12時間撹拌した。完了したら、炭酸水素ナトリウム水溶液(217.6kg)をゆっくり加え、その混合物を、pH>7になるまで25±5℃で撹拌した。有機物を回収し、さらなる炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで、水で洗浄した。有機層に硫酸ナトリウムを加え、次いで、その混合物を濾過して固体を除去した。次いで、撹拌に必要な最小体積まで有機層を蒸留した。アセトニトリル(70L)を加え、その混合物を再度、最小体積まで蒸留した。その溶液が合計10体積になるまでアセトニトリルを加え、次いで、その溶液を10±5℃に冷却した。塩化水素のイソプロパノール溶液(3.7M、26.4L、2.1当量)をゆっくり加えた後、酢酸エチル(57L)を加え、次いで、その混合物を50±5℃に加熱した。さらなる酢酸エチルを加えた後、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩の種晶を加え、その混合物を>1時間、75±5℃に加熱した。そのスラリーをゆっくり25±5℃まで冷却し、固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させることにより、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を得た(16.8kg、73%収率)。別のバッチについて、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエート(24.4kg)から開始して、本明細書中に記載される手順と同じ手順を用いて行うことにより、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を得た(17kg、79%収率)。
F.(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)の調製
【化6】
【0167】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩(10.2kg)をジクロロメタン(9容)および炭酸水素ナトリウム水溶液に溶解した。その混合物を約25℃で撹拌した。有機物を回収し、さらなる炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、水で洗浄した。有機層を回収し、ジクロロメタン中の溶液にアセトニトリルを加えた。その溶液を撹拌に必要な最小体積まで蒸留した。さらなるアセトニトリルを加え、その混合物を最小体積まで蒸留した。その混合物を水分含有量について試験し、次いで、約50℃に加温した。この混合物に、p−トルエンスルホン酸(2当量)のアセトニトリル溶液をゆっくり加え、内容物を約50℃で>8時間撹拌した。次いで、そのスラリーを約25℃に冷却し、固体を濾過し、アセトニトリルで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させることにより、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)を得た(14.7kg、92.8%収率、99.9%純粋)。
F1.(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)の調製
【0168】
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩(15kg)をジクロロメタン(136.5L、9容)に懸濁し、pH>6.5になるまで炭酸水素ナトリウム水溶液(245kg)を加え、次いで、その混合物を25±5℃で撹拌した。有機物を回収し、さらなる炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、水で洗浄した。次いで、その溶液を撹拌に必要な最小体積まで蒸留した。アセトニトリル(54L)を加え、その混合物を最小体積まで蒸留し、これを繰り返した。アセトニトリルを加え、その混合物を水分含有量について試験し、規格以内になったら、それを50±5℃に加温した。この混合物に、アセトニトリル(55.5L)中p−トルエンスルホン酸(11.7kg、2当量)の溶液をゆっくり加え、内容物を50±5℃で>8時間撹拌した。次いで、そのスラリーを25±5℃に冷却し、固体を濾過し、アセトニトリルで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させることにより、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)を得た(20.6kg、88%収率、≧98%純粋)。
G.(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)の調製
【化7】
【0169】
エルレンマイヤーフラスコに、2−メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)中(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(1S)−(+)−カンファースルホネート(20g)(100mL)を投入した後、KOH水溶液(2M、110mL)を投入した。その混合物を15分間撹拌した。得られた二相溶液を分液漏斗に移し、層を分離させた。エマルジョン層が形成し、ブラインでこの層を分配させ、より良好に分離させた。水層を廃棄した。有機層に、HO(20mL)を加えた後、数回振盪した。15分後、層を分離し、水層を廃棄した。
【0170】
丸底フラスコに、遊離塩基化された上記材料(the free based material)のMeTHF溶液(約100mL;上記から)を、さらなるMeTHF(40mL)とともに加えた。N−Boc−(L)−Val−OH(1.2当量)およびDMAP(0.27当量)を加えたところ、その後、透明の黄色溶液が生じた。その溶液を、アセトン氷/HO浴を用いて0〜−10℃に冷却した。温度に達した後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)(1.77当量)を加え、撹拌を0〜−10℃で3時間続けた。3時間後、氷浴を除去し、反応物を少なくとも5時間撹拌した。18時間後、分析データは、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートへの完全な変換を示した。その反応物を5%クエン酸水溶液(78mL)でクエンチした後、有機層をHO(60mL)で洗浄した。得られた有機溶液は、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートからなり、それをさらに精製せずに脱保護工程に進めた。代替手順では、上記有機溶液を蒸発させることによって、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを単離した。
【0171】
上記からの(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエート溶液を、さらなるMeTHF(110mL)とともに、清浄な丸底フラスコに移した。その溶液に、EtOAc(44mL)および3.7N HCl/イソプロパノール(21mL;他のHCl溶液を使用することもできる)を加えた。その溶液を45℃に加熱し、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩の種晶を加え、半時間撹拌した。半時間後、さらなるEtOAc(30mL)を加え、1時間にわたって温度を70℃に上げた。1時間後、HPLCは、まだ8%の出発材料が残っていることを示した。その反応物に、さらなる3.7N HCl/イソプロパノール(3mL)を加えた後、70℃で2時間加熱した。2時間後、反応が完了した。飽和NaHCO水溶液(30mL)をゆっくり加え、その混合物を半時間撹拌し、次いで、HO(60mL)で洗浄した。得られた遊離塩基化された材料の溶液(HPLC>95%純度)を、さらに精製せずにトシレート塩形成に進めた。
【0172】
上記からの遊離塩基溶液を蒸発させ、アセトニトリル(2×40mL)を用いて溶媒交換を完了した。黄色残渣をアセトニトリル(67mL)に溶解し、45〜55℃に加熱した後、p−TsOH/アセトニトリル(8.3g/139mL)の溶液を一度に加えた。45℃で18時間撹拌した後、スラリーを25℃に冷却し、白色固体を濾過し、EtOAc(2×10mL)で洗浄し、次いで、50℃の真空オーブン内で18時間乾燥させることにより、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)を得た(14.5g、53%全単離収率)。分析HPLCデータによって、純度(99.68%)およびキラリティ(99.77%)が確認された。
【0173】
代替手順では、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を濾過によって単離した後、遊離塩基化し、次いで、上に記載されたように二トシル酸塩に変換した。
H.(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)の調製
【化8】
【0174】
単離された(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩(10g、0.02mol)をEtOAc(500mL)に懸濁し、次いで、70℃に加熱した。その混合物を加熱しながら、p−TsOH(14g、4当量)を加えた。加熱中に、その混合物は、均一な透明溶液になった。その溶液を70℃で2〜3時間寝かせた。2〜3時間後、白色固体が沈殿し、熱源を除去した。その懸濁液を18時間撹拌し、次いで、濾過した。固体をEtOAcで洗浄し、次いで、50℃の真空オーブン内で18時間乾燥させることにより、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)(13.2g、88%単離収率)を白色固体として得た。このサンプル(sampe)のH−NMRは、工程Gから得られたものと一致した。
【0175】
本明細書中に記載される実施形態は、単に例示であると意図されており、当業者は、単なる日常的な実験法を用いて、特定の化合物、材料および手順の数多くの等価物を認識するかまたは確かめることができる。そのような等価物のすべてが、本開示の範囲内であると見なされる。
【0176】
本明細書中で参照されたすべての特許、特許出願および刊行物はその全体が本明細書中に援用される。本願におけるいずれの参考文献の引用または特定も、そのような参考文献が、本願に対する従来技術として利用可能であることを自認するものではない。本開示の全範囲は、添付の特許請求の範囲に照らして、より良く理解される。
本開示の実施形態の例として以下の項目が挙げられる。
(項目1)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法であって、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形に変換する工程を含む、方法。
(項目2)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する前記工程が、(a)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を塩基と反応させる工程、および(b)(a)の生成物をp−トルエンスルホン酸と反応させる工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記塩基が、無機塩基を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記塩基が、炭酸塩基を含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記塩基が、炭酸水素ナトリウムである、項目4に記載の方法。
(項目6)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を塩基と接触させる前記工程が、第1の溶媒中で行われる、項目2〜5のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記第1の溶媒が、塩素化炭化水素を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記第1の溶媒が、ジクロロメタンである、項目7に記載の方法。
(項目9)
(a)の生成物とp−トルエンスルホン酸との前記反応が、第2の溶媒中で行われる、項目1〜8のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記第2の溶媒が、ニトリルを含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記第2の溶媒が、アセトニトリルを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
(a)の生成物とp−トルエンスルホン酸との前記反応が、約40〜約60℃の範囲の温度において行われる、項目1〜11のいずれかに記載の方法。
(項目13)
前記反応が、約45〜約55℃の範囲の温度において行われる、項目12に記載の方法。
(項目14)
単離工程をさらに含む、項目1〜13のいずれかに記載の方法。
(項目15)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)に変換する前記工程が、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を単離せずに行われる、項目1〜14のいずれかに記載の方法。
(項目16)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上純粋である、項目1〜15のいずれかに記載の方法。
(項目17)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、約99.5%以上、約99.6%以上、約99.7%以上、約99.8%以上、約99.9%以上純粋である、項目16に記載の方法。
(項目18)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を塩基と反応させる前記工程の前に、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を形成するのに適した条件下で、脱保護工程を介して(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを反応させる工程をさらに含む、項目1〜17のいずれかに記載の方法。
(項目19)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートの前記脱保護工程が、酸の存在下において行われる、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記酸が、塩化水素・ジオキサン溶液または2−メチルテトラヒドロフラン溶液を含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記反応が、溶媒の存在下において行われる、項目19または20のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記溶媒が、塩素化炭化水素を含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記溶媒が、ジクロロメタンを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記脱保護工程が、約0〜約25℃の範囲の温度において行われる、項目19〜23のいずれかに記載の方法。
(項目25)
塩基を加える工程をさらに含む、項目18〜24のいずれかに記載の方法。
(項目26)
前記塩基が、カーボネートを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記塩基が、炭酸水素ナトリウムである、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記水溶液から前記溶媒を分離する工程をさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
第2の溶媒を加える工程をさらに含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記第2の溶媒が、ニトリル溶媒を含む、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記第2の溶媒が、アセトニトリルを含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
酸を加える工程をさらに含む、項目18〜31のいずれかに記載の方法。
(項目33)
前記酸が、塩化水素の溶液を含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記酸が、塩化水素・C1−6アルコール溶液を含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記酸が、塩化水素・プロパン−2−オール溶液である、項目34に記載の方法。
(項目36)
別の溶媒を加える工程をさらに含む、項目32〜35のいずれかに記載の方法。
(項目37)
前記溶媒が、アセトニトリルまたは酢酸エチルを含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記反応が、約5〜約80℃の範囲の温度において行われる、項目32〜38のいずれかに記載の方法。
(項目39)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を結晶化する工程をさらに含む、項目18〜38のいずれかに記載の方法。
(項目40)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、実質的に純粋である、項目18〜39のいずれかに記載の方法。
(項目41)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上純粋である、項目18〜40のいずれかに記載の方法。
(項目42)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、約99.5%以上、約99.6%以上、約99.7%以上、約99.8%以上、約99.9%以上純粋である、項目18〜41のいずれかに記載の方法。
(項目43)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するのに適した条件下において、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を、tert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸と反応させる工程をさらに含む、項目1〜42のいずれかに記載の方法。
(項目44)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールの前記反応が、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールの塩を用いて行われる、項目43に記載の方法。
(項目45)
(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールの前記塩が、スルホン酸塩を含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールの前記塩が、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(S)−(+)カンファースルホン酸塩である、項目45に記載の方法。
(項目47)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩とtert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸との前記反応が、バリンまたはアラニンを含む、項目43〜46のいずれかに記載の方法。
(項目48)
前記tert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸が、L−バリンである、項目47に記載の方法。
(項目49)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩の前記反応が、塩基の存在下において行われる、項目43〜48のいずれかに記載の方法。
(項目50)
前記塩基が、4−ジメチルアミノピリジンである、項目49に記載の方法。
(項目51)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩とtert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸との前記反応が、カップリング試薬の存在下において行われる、項目43〜50のいずれかに記載の方法。
(項目52)
前記カップリング試薬が、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである、項目51に記載の方法。
(項目53)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩の前記反応が、溶媒中で行われる、項目42〜52のいずれかに記載の方法。
(項目54)
前記溶媒が、ジクロロメタンを含む、項目53に記載の方法。
(項目55)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成するための(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩の前記反応が、約0〜約25℃の範囲の温度において行われる、項目43〜54のいずれかに記載の方法。
(項目56)
前記(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートが、ジクロロメタン中の溶液として得られる、項目43〜55のいずれかに記載の方法。
(項目57)
tert−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸との前記反応の前に、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を形成するために3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールをキラル分割剤と反応させる工程をさらに含む、項目1〜41のいずれかに記載の方法。
(項目58)
前記キラル剤が、酸を含む、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記酸が、カンファースルホン酸を含む、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記酸が、(1S)−(+)−カンファースルホン酸である、項目59に記載の方法。
(項目61)
(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を形成するための、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールとキラル分割剤との前記反応が、溶媒の存在下において行われる、項目57〜60のいずれかに記載の方法。
(項目62)
前記溶媒が、水およびアルコールを含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記溶媒が、水およびエタノールを含む、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記水とエタノールの溶媒比が、約1:17または約1:19である、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記反応が、約20〜約75℃の範囲の温度において行われる、項目61〜64のいずれかに記載の方法。
(項目66)
前記反応が、約20〜約65℃の範囲の温度において行われる、項目61〜65のいずれかに記載の方法。
(項目67)
前記反応が、約20〜約50℃の範囲の温度において行われる、項目61〜66のいずれかに記載の方法。
(項目68)
(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オール(1S)−(+)−カンファースルホン酸を結晶化する工程をさらに含む、項目57〜67のいずれかに記載の方法。
(項目69)
(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、実質的に純粋である、項目57〜68のいずれかに記載の方法。
(項目70)
(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上純粋である、項目57〜69のいずれかに記載の方法。
(項目71)
(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、約99.2%以上、約99.3%以上、約99.4%以上、約99.5%以上、約99.6%以上、約99.7%以上、約99.8%以上、約99.9%以上純粋である、項目57〜70のいずれかに記載の方法。
(項目72)
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを還元して、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを形成した後、キラル剤と反応させる工程をさらに含む、項目1〜71のいずれかに記載の方法。
(項目73)
前記還元が、酸の存在下において行われる、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記酸が、ルイス酸を含む、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記ルイス酸が、塩化リチウムである、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記酸が、酢酸、ギ酸、シュウ酸、マレイン酸、乳酸、アスコルビン酸、マンデル酸またはそれらの混合物から選択される有機酸である、項目72に記載の方法。
(項目77)
前記酸が、酢酸である、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記還元が、還元剤の存在下において行われる、項目72〜77のいずれかに記載の方法。
(項目79)
前記還元剤が、ホウ水素化物を含む、項目78に記載の方法。
(項目80)
前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素マグネシウム、水素化ホウ素カリウム、9−BBN、シアノボロヒドリド(cyano boroydride)、水素化ホウ素ビス−トリフェニルホスフィン、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、テトラブチルアンモニウムボロヒドリド、テトラメチルアンモニウムボロヒドリド、テトラエチルアンモニウムボロヒドリドまたは水素化トリエチルホウ素リチウムから選択される、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウムである、項目80に記載の方法。
(項目82)
前記還元が、溶媒の存在下において行われる、項目72〜81のいずれかに記載の方法。
(項目83)
前記溶媒が、ジクロロメタンおよびアルコールを含む、項目72〜82のいずれかに記載の方法。
(項目84)
前記溶媒が、ジクロロメタンおよびエタノールを含む、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記反応が、約−5〜約−15℃の範囲の温度において行われる、項目72〜84のいずれかに記載の方法。
(項目86)
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールを結晶化させる(crystallyzing)工程をさらに含む、項目72〜85のいずれかに記載の方法。
(項目87)
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、実質的に純粋である、項目72〜86のいずれかに記載の方法。
(項目88)
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上純粋である、項目72〜87のいずれかに記載の方法。
(項目89)
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールもしくはその塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、約97.6%以上または約98.1%以上純粋である、項目72〜88のいずれかに記載の方法。
(項目90)
前記還元工程の前に、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを形成するために6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩を3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩と反応させる工程をさらに含む、項目1〜89のいずれかに記載の方法。
(項目91)
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを形成するための、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩と3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩との前記反応が、溶媒の存在下において行われる、項目90に記載の方法。
(項目92)
前記溶媒が、ヘプタンを含む、項目90または91のいずれかに記載の方法。
(項目93)
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オンを形成するための、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンまたはその塩と3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オンまたはその塩との前記反応が、約30〜約40℃の範囲の温度において行われる、項目90〜92のいずれかに記載の方法。
(項目94)
3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン塩を塩基と反応させた後、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン塩酸塩と反応させる工程をさらに含む、項目90〜93のいずれかに記載の方法。
(項目95)
前記3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン塩が、カルボン酸塩を含む、項目93に記載の方法。
(項目96)
前記カルボン酸塩が、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩またはマレイン酸塩を含む、項目95に記載の方法。
(項目97)
前記塩が、シュウ酸塩またはクエン酸塩である、項目95に記載の方法。
(項目98)
前記塩基が、炭酸ナトリウムである、項目94〜97のいずれかに記載の方法。
(項目99)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法であって、(a)(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩に変換する工程;および(b)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形に変換する工程を含む、方法。
(項目100)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法であって、(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩にして、それをp−トルエンスルホン酸と反応させる工程を含む、方法。
(項目101)
前記反応が、約20〜約70℃の範囲の温度において行われる、項目100に記載の方法。
(項目102)
濾過工程をさらに含む、項目101または102に記載の方法。
(項目103)
単離工程をさらに含む、項目100〜102のいずれか1項に記載の方法。
(項目104)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法であって、(a)(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールまたはその塩を、保護された好適なL−バリンと反応させて、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを形成する工程;(b)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−メチルブタノエートを脱保護して、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を形成する工程;および(c)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形に変換する工程を含む、方法。
(項目105)
(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を少なくとも約95%の純度で調製するための方法であって、(a)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩を結晶化する工程;(b)(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエート二塩酸塩またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を塩基と反応させる工程;および(c)工程(b)の生成物をp−トルエンスルホン酸と反応させて、(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形を形成する工程を含む、方法。
(項目106)
前記調製された(S)−(2R,3R,11bR)−3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−2,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−イル2−アミノ−3−メチルブタノエートジ(4−メチルベンゼンスルホネート)またはその薬学的に許容され得る溶媒和物、水和物もしくは多形が、不純物を実質的に含まない、項目1〜101のいずれかに記載の方法。