(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6869996
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ガスバーナーユニット
(51)【国際特許分類】
F23D 14/16 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
F23D14/16 A
【請求項の数】23
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-544102(P2018-544102)
(86)(22)【出願日】2018年7月25日
(65)【公表番号】特表2019-531450(P2019-531450A)
(43)【公表日】2019年10月31日
(86)【国際出願番号】IB2018055569
(87)【国際公開番号】WO2019021224
(87)【国際公開日】20190131
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2017/054619
(32)【優先日】2017年7月28日
(33)【優先権主張国】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】518020543
【氏名又は名称】ポリドーロ ソチエタ ペル アチオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダラ ヴェッキア,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ダラ ヴェッキア,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ペゼリコ,ドメニコ
(72)【発明者】
【氏名】ベネッティ,マッシミリャノ
(72)【発明者】
【氏名】ボノロ,アルベルト
【審査官】
吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0172915(US,A1)
【文献】
国際公開第2015/000869(WO,A1)
【文献】
米国特許第04725334(US,A)
【文献】
登録実用新案第3073739(JP,U)
【文献】
特開平10−068509(JP,A)
【文献】
特開2001−041421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と上方に伸びる少なくとも一面の側壁とを持つ下部筐体ユニット、端部キャップ、少なくとも1つの入口孔を持つ入口キャップ、前記底部の上方に位置し、多数の開口を有する分配要素、前記分配要素の上方に位置するバーナーデッキ、および前記バーナーデッキの上方に位置する金属繊維網要素を有するバーナー本体と、
前記バーナー本体と連通し、前記入口キャップの孔を通って前記バーナー本体内に延び、前記バーナー本体の前記分配要素の下方であり前記下部筐体ユニットの前記底部の上方にある領域にガスと空気の混合気を供給する少なくとも1本の入口導管とを含み、
前記バーナーデッキは、前記金属繊維網要素と層として組み合わされ、前記金属繊維網要素を支持し、前記金属繊維網要素を内側にある前記分配要素から間隔をあけて配置し、前記バーナーデッキ及び前記金属繊
維網要素の層の縁端部は、前記下部筐体ユニットの少なくとも一面の側壁の上部、前記端部キャップの上部、および前記入口キャップの上部とそれぞれ係合し、
前記分配要素は、その両側が、前記下部筐体ユニットの前記底部又は側壁に固定され、
前記下部筐体ユニットの前記底部は、前記バーナー本体に剛性を加え燃焼時のノイズの発生を防ぐ複数のリブを有する、
ガスバーナーユニット。
【請求項2】
前記複数のリブは前記底部の中央の位置で交差する、請求項1に記載のガスバーナーユニット。
【請求項3】
前記複数のリブは交差しない、請求項1に記載のガスバーナーユニット。
【請求項4】
前記複数のリブは前記下部筐体ユニットの前記底部でX形状に交差する、請求項2に記載のガスバーナーユニット。
【請求項5】
前記金属繊維網要素は鉄−クロム−アルミニウム合金で構成される、請求項1に記載のガスバーナーユニット。
【請求項6】
前記金属繊維網要素は編まれた金属繊維網である、請求項1に記載のガスバーナーユニット。
【請求項7】
前記金属繊維網要素は織られた金属繊維網である、請求項1に記載のガスバーナーユニット。
【請求項8】
前記金属繊維網要素は鉄−クロム−アルミニウム合金で構成される、請求項1に記載のガスバーナーユニット。
【請求項9】
前記金属繊維網要素は直径5〜60μmの鉄−クロム−アルミニウム合金繊維で構成され、前記金属繊維網は1.20〜2.80mmの厚みと1.10〜2.6kg/m2の1平方メートル当たりの重量を有する、請求項6に記載のガスバーナーユニット。
【請求項10】
前記金属繊維網要素は直径25〜45μmの鉄−クロム−アルミニウム合金繊維で構成され、前記金属繊維網は1.60〜2.40mmの厚みと1.50〜2.2kg/m2の1平方メートル当たりの重量を有する、請求項6に記載のガスバーナーユニット。
【請求項11】
前記金属繊維網要素は直径5〜60μmの鉄−クロム−アルミニウム合金繊維で構成され、前記金属繊維網は0.50〜2.00mmの厚みと0.60〜1.5kg/m2の1平方メートル当たりの重量を有する、請求項7に記載のガスバーナーユニット。
【請求項12】
前記金属繊維網要素が直径25〜45μmの鉄−クロム−アルミニウム合金繊維で構成され、前記金属繊維網は0.75〜1.75mmの厚みと0.80〜1.2kg/m2の1平方メートル当たりの重量を有する、請求項7に記載のガスバーナーユニット。
【請求項13】
前記合金は18〜24重量%のCr、4〜8重量%のAl、および残部のFeから本質的になる、請求項5に記載のガスバーナーユニット。
【請求項14】
前記合金は、18〜24重量%のCr、4〜8重量%のAl、最大0.40重量%のC、最大0.07重量%のTi、最大0.40重量%のMn、最大0.045重量%のS、最大0.045重量%のP、最大0.60重量%のSi、および残部のFeから本質的になる、請求項5に記載のガスバーナーユニット。
【請求項15】
前記合金は、18〜24重量%のCr、4〜8重量%のAl、最大0.40重量%のC、最大0.07重量%のTi、最大0.40重量%のMn、最大0.045重量%のS、最大0.045重量%のP、最大0.60重量%のSi、0.001〜0.10重量%の希土類金属、および残部のFeから本質的になる、請求項5に記載のガスバーナーユニット。
【請求項16】
前記希土類金属はイットリウムまたはハフニウムである、請求項15に記載のガスバーナーユニット。
【請求項17】
前記金属繊維網要素は焼結繊維を含む、請求項1に記載のガスバーナーユニット。
【請求項18】
前記バーナー本体と連通し、前記バーナー本体内に延びる前記少なくとも1本の入口導管は、前記入口導管の終端部が前記端部キャップから15〜50mmの距離のところに位置するように前記バーナー本体内に延びる、請求項1に記載のガスバーナーユニット。
【請求項19】
前記入口導管の前記終端部は前記端部キャップから20〜40mmの距離のところに位置する、請求項18に記載のガスバーナーユニット。
【請求項20】
前記バーナーデッキと金属繊維網要素で形成されるバーナーヘッドは毎時700リットル超の透気度を有し、前記透気度は圧力降下が5Pa±0.1Paに達したときの直径40mmの円形面積を流れる気流量を測定して求めたものである、請求項1に記載のガスバーナーユニット。
【請求項21】
前記バーナーヘッドは毎時1000〜3500リットルの透気度を有する、請求項20に記載のガスバーナーユニット。
【請求項22】
前記バーナーデッキは毎時700リットル超の透気度を有する、請求項20に記載のガスバーナーユニット。
【請求項23】
前記バーナーデッキは毎時1400〜2800リットルの透気度を有する、請求項22に記載のガスバーナーユニット。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は2017年7月28日に出願された国際出願番号PCT/IB2017/054619からの優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般的にバーナー、特に低排出のガスバーナーユニットに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの種類のバーナーは、給湯器、ボイラー、調理機器、洗濯設備等のガス機器に使用することができる。国や地方自治体の排出規制や効率基準および国際的な排出規制や効率基準に対応するために、低排出を実現する燃料効率のよいバーナーが求められている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、様々なガス機器に使用可能な新たに改良されたガスバーナーユニットを提供する。本発明のガスバーナーユニットは、低排出と高効率が求められる用途に使用することができる。
【0005】
本発明の一実施形態では、底部と上方に伸びる少なくとも一面の側壁とを持つ下部筐体を有するバーナー本体が開示される。下部筐体ユニットは、一端部で端部キャップと、第二端部で入口孔を有する入口キャップと係合する。分配要素は、下部筐体ユニットの底部の上方に位置する。バーナーデッキは分配要素の上方に位置し、金属繊維網要素はバーナーデッキの上方に位置する。本明細書では、金属繊維網要素とバーナーデッキを組み合わせたものをバーナーヘッドと呼ぶ。分配要素、バーナーデッキ、および金属繊維網要素は、端部キャップおよび入口キャップに沿って下部筐体ユニットの少なくとも一面の側壁とそれぞれ係合し、下部筐体ユニットに固定される。
【0006】
入口導管は、入口キャップの孔を通ってバーナー本体内に延びる。この配置により、入口導管はバーナー本体と連通し、バーナー本体の分配要素の下方であり下部筐体ユニットの底部の上方である領域にガスと空気の混合気を供給する。実施形態によっては、2本以上の入口導管が入口キャップの2つ以上の孔を通ってバーナー本体内に延び、ガスと空気の混合気をバーナー本体に供給する。
【0007】
バーナーヘッド(すなわち、バーナーデッキと金属繊維網を組み合わせた層)は、毎時700リットル超、より好ましくは毎時1000〜3500リットル、さらに好ましくは毎時1400〜2800リットルの透気度を有する。バーナーヘッドの透気度(air permeability)は重要である。なぜなら、透気度が最小値を下回ると、燃焼中に気流が過度に阻害されて過剰量の窒素酸化物(NO
X)が生成されるためである。また、透気度が最大値を上回ると、逆火の危険性が大幅に増加する。バーナーデッキに自由にガスを通すためにバーナーデッキの透気性を高くした場合、バーナーヘッドの透気度はもっぱら金属繊維網により決定されるであろうことが認識される。一実施形態では、金属繊維網要素は、鉄−クロム−アルミニウム(FeCrAl)合金等の耐食性材料で構成される。一実施形態では、金属繊維網は、材料を織ってシート状にしたものである。別の実施形態では、金属繊維網は編んだものである。さらに別の実施形態では、金属繊維網は焼結繊維を含む。編んだ金属繊維網の構造、織った金属繊維網の構造、および焼結した金属繊維網の構造は全て、バーナーヘッドまたは金属繊維網の透気度を本明細書に記載の範囲に制御することを可能にする。
【0008】
バーナーデッキは、金属繊維網を支持し、内側にある分配要素から間隔をあけて金属繊維網を配置する。バーナーデッキは、燃焼のための気流をさらに阻害しないように金属繊維網よりも大きな透気度を有することが好ましい。一実施形態では、バーナーデッキは鋼から構成される。好ましくは、鋼の構造は耐食性であり、実施形態によっては磁性を有していてもよい。
【0009】
一実施形態では、分配要素は逆U字形である。この実施形態では、分配要素は、一連の円形または楕円形の孔を有していてもよい。より好ましい実施形態では、そのような開口は平行な列状に配置される。しかし、他の形態の供給用の穴、スロット、および模様(平行なものや不規則なもの等)が、分配要素の孔を形成するために使用されてもよい。他の実施形態では、分配要素は、略矩形であり、下向きに角度をつけた状態で一端部が給気管の終端部に別の端部がバーナー本体に装着され、孔が一連のスロットとして形成される。この実施形態でも、他の形態の供給用の穴、スロット、および模様(平行なものや不規則なもの等)が、分配要素の孔を形成するために使用されてもよい。どの実施形態においても、孔の間隔および寸法は均等であっても、開口部の密度が分配要素の表面領域で変化するように均等でなくてもよい。
【0010】
一実施形態では、下部筐体ユニットの底部は、バーナー本体に剛性を加える複数のリブを含む。剛性を加えることにより、システムの固有振動数をバーナーの稼働場所からずらし、起こりうるノイズの発生を回避することができる。複数のリブは、下部筐体ユニットの底部の中央の位置でX形状に交差してもよい。あるいは、複数のリブは交差せず、バーナー本体の底部に沿って、平行に、横断するように、対角線上に、同心状に、またはその他の向きに互いに配置されてもよい。
【0011】
一実施形態では、側壁の上部をバーナーデッキと金属繊維網の層に圧着してまたは折り曲げて固定して、分配要素、バーナーデッキ、および金属繊維網要素を側壁に係合させる。好ましい実施形態では、まず分配要素をバーナー本体の側壁に対して位置決めし、その後その位置で圧着するまたは折り曲げて固定する。その後、端部キャップと入口キャップをバーナー本体の各端部のところで側壁に直角になるように位置決めし、バーナー本体に締め付けるまたは圧着する。他の実施形態では、端部キャップと入口キャップを所定の場所に溶接する。入口キャップ、端部キャップ、および側壁のそれぞれは、バーナーデッキと金属繊維網要素を固定するのに使用される上方に伸びるフランジを有する。よって、この実施形態では、バーナーデッキと金属繊維網要素を、分配要素の上方に位置決めし、側壁のところでバーナー本体に、さらに入口キャップと端部キャップに、締め付けるまたは圧着する。あるいは、分配要素、バーナーデッキ、および金属繊維網要素を、点溶接、磁石、または当業者により知られているその他の固定係合方法で、バーナー本体に係合させることもできる。
【0012】
一例示的実施形態では、入口導管を入口キャップの孔に通し、複数回の溶接により所定の位置に固定する。より好ましい実施形態では、入口導管は、バーナー本体の内側領域に延びる部分を含み、角度がついていない排出端部を有する。例示の実施形態によると、入口導管は、ベンチュリ入口を含み、空気とガスの混合気がバーナー本体の内側領域に流れ込む流路を形成(defines)する。一実施形態では、給湯器の燃焼室のドア用の取り付け板を入口導管上で位置決めし、その後収束するベンチュリ部分を入口導管の一端部に装着する、または入口導管の一端部と直接的に形成する。その後、給湯器の燃焼室用の取り付け板を所定の位置に点溶接する。入口導管は、入口キャップの孔を通ってバーナー本体内に挿入される。内側にある分配要素の上面には、上方に突き出る板、フィン、リブ、またはその他の外側に伸びる部分はないが、分配要素には入口導管をバーナー本体内で位置決めするのに役立つ1つ以上の下方に伸びる部材が含まれる。その後、型を用いて入口導管の周囲を広げてから、入口導管を入口キャップに点溶接して固定する。さらに、バーナー本体内に位置する入口導管の一部分をバーナー本体の下面に点溶接してもよい。
【0013】
本発明の別の態様によると、バーナーユニットは給湯器等のガス加熱機器の内部で機能するようになっている。この開示の実施形態では、加熱機器は、燃焼室と、燃焼室と連通し燃焼時の生成物を排出する流路とを含む。本発明により構成されたガスバーナーは、燃焼室内に置かれる。一実施形態では、略U字形のブラケットまたは噴射器支持部が、孔に差し込まれた噴射器を支え、噴射器が給気管のベンチュリ入口に隣接するように位置決めする。略U字形のブラケットまたは噴射器支持部は、給気管と共軸になることが好ましい。噴射器は、ガスを噴射する。ガスは、ベンチュリ入口に入り、バーナー本体内での燃焼に向かう間に一次空気と混合される。
【0014】
本発明についてのさらなる情報およびより深い理解は、添付の図面とともに発明の詳細な説明を読むことにより得られるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の好ましい実施形態により構成されたバーナーユニットの斜視図である。
【0016】
【
図2】本発明の好ましい実施形態により構成されたバーナーユニットの分解図である。
【0017】
【
図3】本発明の好ましい実施形態により構成されたバーナーユニットの上面図であり、燃焼面の下にある層の部分を示している図である。
【0018】
【
図4】本出願のバーナーヘッドの構成を示す斜視図を伴う図である。
【0019】
【
図5】本発明の好ましい実施形態により構成された2本の導管を用いたバーナーユニットの斜視図である。
【0020】
【
図6】本発明の好ましい実施形態により構成された2本の導管を用いたバーナーユニットの分解図である。
【0021】
【
図7】本発明の好ましい実施形態により構成された2本の導管を用いたバーナーユニットの上面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1と
図5は、本発明の好ましい実施形態により構成されたバーナーユニット10を示している。開示されているバーナーユニット10は、従来のバーナーに比べ、高効率で稼働し、排出ガスの量が少ない。バーナーユニット10は、当技術分野においてよく知られているガスオリフィスを有するガスマニホールド等の可燃性ガスをバーナーに供給する手段(図示せず)と結合する。供給されたガスは、バーナーユニット10に入る際に、空気を引き込み混ざりあう。引き込まれる空気は、一般的に「一次空気」と呼ばれる。例示の図では、バーナーユニット10は、給湯に応用されている。しかし、給湯器は開示のバーナーを使用することができるガス機器の種類の一例でしかない。本発明の応用自体が、給湯に限定されるわけではない。バーナーは、暖房器、ボイラー、調理器やオーブン等、その他多くの種類のガス機器に使用することができる。
【0023】
バーナーユニット10は、バーナー本体12を含んでいる。バーナー本体12は、下部筐体ユニット14を含んでいる。
図1、
図2、
図5、および
図6に示されているように、下部筐体ユニット14は、底部16と、上方に伸びる一対の側壁18とを含んでいる。下部筐体ユニット14は、下部筐体ユニット14の第一終端部22に装着された端部キャップ20と係合している。下部筐体ユニット14の第二入口端部28には、少なくとも1つの入口孔26を有する入口キャップ24が装着されている。下部筐体ユニットの底部16は、バーナー本体12に剛性を加える複数のリブ56を含んでいてもよい。剛性を加えることは、燃焼時のノイズの発生を防ぐのに役立つ。
図2に示されているように、複数のリブ56は、下部筐体ユニット14の底部16の中央の位置でX形状に交差していてもよい。あるいは、
図6に示されているように、複数のリブ56は、交差せず、バーナー本体12の底部に沿って平行に配置されていてもよい。あるいは、リブ56は、限定はされないが、バーナー本体12の底部に沿って、横断するように、対角線上に、同心状に、またはその他の向きに互いに配置されてもよい。
【0024】
図2と
図6を参照すると、分配要素30は下部筐体ユニット14の底部16の上方に位置している。
図2に示されている実施形態では、分配要素30は逆U字形である。分配要素30は、任意の耐熱性金属で構成されてもよく、好ましくはステンレス鋼等の金属薄板で構成され、また、アルミメッキ鋼または亜鉛メッキ鋼で構成されてもよい。分配要素30は一連の開口または孔32を有し、混合気は一連の開口または孔32を通り金属繊維網要素34により形成される燃焼面に到達する。図示の実施形態では、孔32は、円形または楕円形であり、平行な列状に配置されているが、そのような形状や配置は必須ではない。内側にある分配要素30の上面31には、上方に突き出る板、フィン、リブ、またはその他の外側に伸びる部分はない。分配要素30の下面33は、1本以上の入口導管40をバーナー本体12内で位置決めするのに役立つ一対以上の下方に伸びる部材35を含んでいる。
【0025】
分配要素30は、ガスと空気の混合を促進し、ガスと空気の混合気を燃焼のためにより均一に金属繊維網要素34に供給する一方で、各入口導管40を適切な位置に固定するのにも役立つように設計される。さらに、分配要素30は、バーナー内部からの放射エネルギーを反射し、効率を上げるのにも役立つ。分配要素30は、材料を打ち抜いて孔32を形成する金属薄板の打ち抜きにより構成されてもよい。あるいは、孔32は、別の供給用模様(平行なものや不規則なもの等)に沿った、その他の形状の穴、スロット、または開口であってもよい。さらに、孔の間隔および寸法は、均等であってもよく、開口部の密度が分配要素の表面領域で変化するように均等でなくてもよい。別の一実施形態では、分配要素30は、略矩形の構成であり、下向きに角度をつけた状態で一端部が給気管の終端部に別の端部がバーナー本体12に装着され、孔32が分配要素30の一連のスロットとして形成されてもよい。
【0026】
図2と
図6に示すように、燃焼面を形成する繊維網要素34は、分配要素30の上方に位置している。バーナーデッキ36は、分配要素30の上方であり繊維網要素34の下方である位置にある。繊維網要素34とバーナーデッキ36の両方とも、丸みを帯びていてもよい。
図4に示されているように、繊維網要素34とバーナーデッキ36を組み合わせたものが、バーナーヘッド37を形成している。バーナーヘッド37を分配要素30の上方に置くことにより、バーナーの繊維網要素34により形成される上方燃焼面が分配要素30から間隔をあけて配置され、繊維網要素34に沿った空気とガスの混合気の供給が促進される一方で、繊維網要素34に剛性を加えることもできる。このように剛性を加えることには、バーナーユニットの動作中、例えばバーナーユニットの点火時に起こりうる繊維網要素34の振動を抑制する効果がある。
【0027】
金属繊維網要素34は、高温合金鋼製のワイヤークロス等の複数種類の材料、またはINCONELやNICROFERの名称・商標で販売されている材料で構成されてもよい。しかし、図示の実施形態では、金属繊維網要素34は、鉄−クロム−アルミニウム合金(FeCrAl)で構成されている。一実施形態では、繊維の組成は、18〜24重量%のCr、4〜8重量%のAl、および残部のFeを含む。他の実施形態では、繊維は、18〜24重量%のCr、4〜8重量%のAl、最大0.40重量%のC、最大0.07重量%のTi、最大0.40重量%のMn、最大0.045重量%のS、最大0.045重量%のP、最大0.60重量%のSi、および残部のFeを含む。さらに別の実施形態では、繊維の組成は、18〜24重量%のCr、4〜8重量%のAl、最大0.40重量%のC、最大0.07重量%のTi、最大0.40重量%のMn、最大0.045重量%のS、最大0.045重量%のP、最大0.60重量%のSi、0.001〜0.10重量%の希土類金属、および残部のFeを含む繊維を含む。一例示的実施形態では、希土類金属はイットリウムまたはハフニウムである。
【0028】
好ましい合金のうちの1種類を使用することにより、バーナーヘッド37は、毎時700リットル(L/時)超、より好ましくは毎時1000〜3500リットル、さらに好ましくは毎時1400〜2800リットルの透気度を達成することができる。実施例によっては、バーナーヘッド37の透気度の範囲を毎時1600〜2300リットルに設定するのが好ましいことがある。他の実施例では、その範囲は、1400〜2000L/時、1500〜2100L/時、1600〜2200L/時、1700〜2300L/時、1800〜2400L/時、1900〜2500L/時、2000〜2600L/時、2100〜2700L/時、または2200〜2800L/時であってもよい。バーナーヘッド37および金属繊維網要素34の透気度は重要である。なぜなら、透気度が最小値を下回ると、燃焼中に気流が過度に阻害されて過剰量の窒素酸化物(NO
X)が生成されるためである。また、透気度が最大値を上回ると、逆火の危険性が大幅に増加する。
【0029】
本明細書に記述の透気度はすべて以下の室温における内輪の試験により求めた。本明細書で記述する異なる構造体において、金属繊維網要素34を直径60mmの円形試料に切断し、直径40mmの同心穴を持つ外径60mmの金属シート製の円形枠に溶接した。次に、両側を内径40mmの二本の管に接続した気密試料容器内に金属繊維網要素34の各試料を固定し、40mmの一定の直径を持つ導管を形成した。分析される金属繊維網要素34の試料は導管の中心点に位置していた。従って、試料内を通過する気流は直径40mmの円形プローブ領域(1256.6mm
2の面積を持つ)を流れる。圧力測定は金属繊維網要素34試料の位置の前後約4cmのところで40mm直径の管内で行われた。気流が系を通過したときに気流を測定し規制した。圧力降下が5Pa±0.1Paに達したときの気流を測定した。圧力降下は、気流の方向に関して、試料容器の前と後の点の圧力差として測定した。目標の圧力降下に達したときに、標準気流計により測定した気流の値を記録し、L/時に換算した。この値を内輪の空気透過度として記録し、これらの値を本明細書で使用した。
【0030】
金属繊維網要素34は、モノフィラメント繊維、束ね繊維、またはその他の構造で構成されてもよい。一実施形態では、金属繊維網要素34は、断面寸法が5〜60μm、好ましくは25〜45μmの繊維を編んだ網である。編まれた網は、1平方メートル当たりの重量(kg/m
2)が、1.10〜2.60kg/m
2、あるいは1.50〜2.20kg/m
2、1.10〜1.90kg/m
2、または1.80〜2.60kg/m
2、厚み(mm)が、1.20〜2.80mm、あるいは1.60〜2.40mm、1.2〜2.2mm、または2.00〜2.8mm、および透気度が、700L/時超、あるいは1400〜2800L/時であってもよい。別の実施形態では、金属繊維網要素34は、断面寸法が5〜60μm、好ましくは25〜45μmの繊維を織った繊維要素である。織られた繊維網は、1平方メートル当たりの重量が、0.60〜1.5kg/m
2、あるいは0.80〜1.2kg/m
2、0.60〜1.1kg/m
2、または0.9〜1.5kg/m
2、厚み(mm)が、0.50〜2.00mm、あるいは0.75〜1.75mm、0.50〜1.50mm、または1.00〜2.00mm、および透気度が、700L/時超、より好ましくは毎時1000〜3500リットル、さらに好ましくは毎時1400〜2800リットルであってもよい。金属繊維網要素34の緯糸と経糸を調整することにより、本明細書に記載の透気度の範囲を達成してもよい。
【0031】
さらに、好ましいFeCrAl合金を使用することにより、金属繊維網要素34は、酸素の拡散から保護する保護層を形成する好ましい酸化作用を起こす。燃焼面として使い始めてから100時間の間に、FeCrAlの金属繊維網は、金属繊維網の繊維中のアルミニウム成分からアルミニウムの酸化膜を形成する。アルミニウムの酸化膜は、繊維中の全てのアルミニウムが使い果たされるまで成長する。アルミニウムが使い果たされると、繊維中のクロム支持基盤からクロムの酸化物ができるが、クロムの酸化物はアルミニウムの酸化物よりも保護機能が低いことが分かっている。アルミニウム酸化膜の金属繊維網要素34への付着は、網の繊維の組成パラメータに左右される。特に、合金に希土類成分が含まれている場合、アルミニウム酸化膜の付着がより良好になることが分かった。上述のように、アルミニウム酸化物が形成されることにより、金属繊維網要素34の耐久性が増す。さらに、アルミニウム酸化物の形成は、アルミニウム酸化膜成長の動力学や合金に最初に含まれているアルミニウムの含有量、どの面が大気に触れるか(これは繊維の断面寸法にある程度左右される)、およびアルミニウム酸化物の剥離のしやすさに影響を受ける。
【0032】
さらに、バーナーデッキ36も、高温合金鋼製のワイヤークロス(編まれたものでも織られたものでもよい)等の複数種類の材料で構成されてもよい。あるいは、バーナーデッキ36は、打ち抜かれたまたは穴を開けられた金属薄板で構成されてもよい。好ましくは、バーナーデッキ36は、金属繊維網要素34を支持し、空気とガスの混合気の拡散を促進するのに望ましい剛性を備えるために、鋼等の非腐食性合金、好ましくはステンレス鋼またはアルミメッキ鋼で構成される。実施形態によっては、バーナーデッキ36はさらに磁性を有していてもよい。バーナーデッキ36は、燃焼のための気流をさらに阻害しないように金属繊維網要素34よりも大きな透気度を有することが好ましい。
【0033】
下部ユニット14に対して分配要素30、バーナーデッキ36、および繊維網要素34を組み合わせた構造は、下部筐体ユニット14および入口導管40から離れたところにある燃焼面で発生する放射エネルギーを放散させる効果がある。これにより、下部筐体ユニット14を低温で機能させることができ、望ましくないエネルギー放射経路を減らすことができる。なお、バーナーの熱出力性能は、分配要素30、バーナーデッキ36、および繊維網要素34のサイズを変更することにより変えることができる。これらの要素のサイズを大きくする方法の1つに、これらの縦方向の寸法、つまりバーナーユニット10の縦方向の寸法を大きくする方法がある。別の方法としては、横方向の寸法を大きくする、すなわち底面16の幅、入口キャップ24の幅、端部キャップ20の幅、分配要素30の幅、バーナーデッキ36の幅、および繊維網34の幅を効果的に大きくする方法がある。分配要素30の場合、寸法を大きくする方法の1つに、孔の列を増やす方法がある。これらの方法で寸法が大きくなったバーナーユニットは、より高い熱出力性能を有することになる。さらに、熱性能を上げるために、
図5〜
図7に示されているように、2本以上の入口導管40が含まれていてもよい。
【0034】
分配要素30、バーナーデッキ36、および金属繊維網要素34は、端部キャップ20および入口キャップ24に沿って下部筐体ユニット14の少なくとも一面の側壁18とそれぞれ係合し、下部筐体ユニット14に固定され、下部筐体ユニット14の底部16から上方に間隔をあけて配置されてもよい。側壁18の上部19をバーナーデッキ36と金属繊維網34の層に圧着してまたは折り曲げて固定して、バーナーデッキ36および金属繊維網要素34を下部筐体ユニット14に係合させてもよい。一実施形態では、まず分配要素30を下部筐体ユニット14の底16および側壁18に対して位置決めする。分配要素30は、点溶接、プレス加工、折り曲げ、ボルトによる固定、またはその他の装着手段による固定により、底16に固定してもよい。あるいは、分配要素30は、点溶接、プレス加工、折り曲げ、ボルトによる固定、またはその他の装着手段による固定により、対応する側壁18に固定しても、圧着または折り曲げにより側壁18の上部19に固定してもよい。その後、端部キャップ20と入口キャップ24を、下部筐体ユニット14のそれぞれの端部22、28のところで側壁18に直角になるように位置決めしてもよい。端部キャップ20と入口キャップ24は、圧着または折り曲げにより下部筐体ユニット14に固定される。その他の実施形態では、端部キャップ20と入口キャップ24は、溶接、プレス加工、ボルトによる固定、または当技術において知られているその他の手段による固定により、下部筐体ユニット14に固定される。一実施形態では、入口キャップ24、端部キャップ20、および側壁18のそれぞれは、バーナーデッキ36と金属繊維網要素34を下部筐体ユニット14に固定するために使用される上方に伸びるフランジ19を有する。よって、この実施形態では、バーナーデッキ36と金属繊維網要素34を分配要素30の上方に位置決めし、側壁18、入口キャップ24、および端部キャップ20のフランジ19を締め付けまたは圧着して、バーナーデッキ36と金属繊維網要素34の縁端部を固定し、バーナーデッキ36と金属繊維網要素34を側壁18のところで下部筐体ユニット14に、さらに入口キャップ24と端部キャップ20に、締め付けまたは圧着する。あるいは、分配要素30、バーナーデッキ36、および金属繊維網要素34を、点溶接、磁石、または当業者により知られているその他の固定係合方法により、下部筐体ユニット14に係合させてもよい。
【0035】
あるいは、下部筐体ユニット14を、単一の筐体を打ち抜いて端部キャップ20および入口キャップ24と一体に形成してもよい。この別の実施形態では、バーナーデッキ36と金属繊維網要素34の対応する側縁端部を側壁18、入口キャップ24、および端部キャップ20に締め付けまたは圧着し、バーナーデッキ36と金属繊維網要素34の縁端部を固定するために、個別のフランジ要素19を使用する。
【0036】
各入口導管40は、ガスと一次空気の混合気を下部筐体ユニット14内の下面16またはその近くに供給するベンチュリ入口導管であることが好ましい。上述のように、入口キャップ24は、少なくとも1つの孔26を有する。入口キャップ24の各孔26は、入口導管40の終端部50がバーナー本体12内の下部筐体ユニット14の下面16に隣接して位置するように入口導管40を受ける。まず各導管40を所定の深さまで孔26に挿入し、入口導管40を入口キャップ24の所望の位置に置いてから、入口導管40の周囲を機械的に広げ、入口キャップ24を入口導管40に点溶接することにより、導管40を所定の位置で固定し、空気とガスの混合気がバーナー本体12の内部にのみ流れ込むように導管を封止して、入口導管40を入口キャップ24に封止係合させる。
図3と
図7に示されているように、所定の深さは距離Dとして定められ、内側にある分配要素30は、各入口導管40をバーナー本体14内で中央に位置決めするのに役立つ下方に伸びる一対以上の部材35を含んでいてもよい。距離Dは、15〜50mmであってもよく、より好ましい実施形態では、20〜40mmである。距離Dは重要である。なぜなら、燃焼のためのバーナー本体10への一次空気の引込みを最適にする機能寸法だからである。距離Dを上記に示した範囲に設定することで、NO
Xの排出を低減するために一次空気の量を最適にすることができる。
【0037】
上述のように、図示の実施形態では、バーナーユニット10は、給湯に応用されている。これらの態様は、慣例であり、本発明の一部ではなく、いずれの図面にも示されていない。給湯器自体が、加熱する水を貯めておく水室と燃焼室を取り囲むまたは規定する円柱状の外箱または筐体を持つ慣用的設計であってもよい。さらに、このような従来型の加熱器は煙路を含み、この煙路は、筐体の中央を通って、別の煙路、煙突、またはその他の導管に接続される。別の煙路、煙突、またはその他の導管は、通常、給湯器の設置場所にある構造の外に置かれ、燃焼時に発生する副生成物を排出する。半球状の構造または個別の壁により、煙路、さらに水室の底部および燃焼室の上部が規定されてもよい。当技術で知られているように、バーナーユニット10は、燃焼室内に吊り下げられ、煙路の下方に位置し、典型的には燃焼室内側の底部に装着された基部板に接触する。基部板のところから下方に伸びる孔を有する環状リングが、給湯器を接地面から離すように給湯器の土台として置かれる。バーナーユニット10を適切に稼働させるために必要な二次空気は、基部板に開けられた複数の孔から燃焼室に入ることができる。さらに、従来の給湯器は、典型的には、バーナーを点火する誘導装置等の点火装置を含む。
【0038】
図1〜
図3および
図5〜
図7を参照すると、バーナー10を給湯器内に取り付ける際に使用される部品が示されている。従来のように、給湯器の外箱は、典型的には、バーナー10を挿入するまたは接続するための長方形に近い形の開口を形成している。従来の給湯器の構成に適合するために、本発明のバーナーユニット10は、入口導管40を支持する取り付け板42を含んでいる。取り付け板42は、ドアまたは隔壁の付属品とも言える。設置の際には、取り付け板42を給湯器の外箱の長方形の開口に覆い被さるように固定する。図示の実施形態では、取り付け板42は、給湯器の外箱と係合するために固定具(図示せず)を通すための孔44、46を有している。取り付け板42を給湯器の外箱に対して封止するために、典型的には、適切なガスケットまたはガスケット材料が使用される。
【0039】
一例示的実施形態では、各入口導管40を所定の長さ分だけ入口キャップ24の孔26に通し、複数回の溶接により所定の位置に固定する。さらに別の例示的実施形態では、各入口導管40は、バーナー本体14の内側領域に延びる部分を含み、角度がついていない排出端部50を有する。
図1〜
図3および
図5〜
図7に示されている実施形態によると、入口導管40は、ベンチュリ入口52を含み、空気とガスの混合気がバーナー本体12の内側領域に流れ込む流路を形成している。
図1〜
図3に示されている一例示的実施形態では、入口導管40を取り付け板42の孔48に挿入し、給湯器の燃焼室のドア用の取り付け板42を入口導管40上で位置決めする。入口導管40の入口端部50を、取り付け板42の開口48に挿入した後に、収束するベンチュリ部分52を入口導管40の一端部に装着する。あるいは、収束するベンチュリ部分52を入口導管40と直接的に形成する。入口導管40を取り付け板42に接触させ所定の位置関係で支えながら、入口導管40の外面が開口48の内面に係合するように、適切な道具を用いて入口導管の入口端部を外側に機械的に広げる。その後、入口導管40を決められた位置で取り付け板42に対して溶接してもよい。その後、入口導管40は、入口キャップの孔26を通ってバーナー本体14内に挿入される。上述のように、内側にある分配要素30は、入口導管40をバーナー本体14の中央に位置決めするのに役立つ下方に伸びる一対の部材35を持っている。その後、入口導管40の周囲を機械的にさらに広げてから、入口導管40を入口キャップ24に点溶接して固定し、使用のために入口導管40をバーナー本体14内で位置決めしてもよい。さらに、バーナー本体内に位置する入口導管40の一部分を、バーナー本体14の下面16に点溶接してもよい。このように接続すると、強固で気密性のある接続になる。
図5〜
図7の実施形態に示されているように、本発明によると、1本以上の入口導管40を使用してもよい。この場合、上記の工程が踏まれるが、複数の入口導管40は横方向に互いに間隔をあけて配置され、取り付け板42は複数の孔48を有することになり、入口キャップ26には複数の給気管40を収容するために複数の孔26が形成されることになる。さらに、入口導管40をバーナー本体14の中央に位置決めするのに役立つ下方に伸びる部材35を、内側にある分配要素30に加えてもよい。1本以上の給気管40の場合、取り付け板42が装着されたバーナーユニット10を、取り付け板42が給湯器の外箱に当たるまで給湯器のタンク内に挿入する。その後、固定具やその他の手段を用いて、取り付け板42を外箱に固定し、バーナーユニット10を燃焼室内に吊り下げる。
【0040】
各入口導管40の入口端部52は円錐形であり、取り付け板42の外側に置かれているため、給湯器に接続した際にはタンク外箱の外側に位置することになる。別の実施形態では、入口導管40の入口端部52を燃焼室の内側に置いてもよい。その後、ガスノズルの形をした燃焼ガスの供給源を、典型的には、各入口導管40の入口端部52に隣接するように位置決めする。所定の位置に取り付けられたガスノズルは、通常、入口導管40の軸と一直線に並び、入口端部52から所定の距離をあけて配置される。従来のように、ガスノズルから噴射されたガスは、一次空気と共に入口導管40の入口52に入り、入口端部52の円錐形状により生み出されるベンチュリ効果により混合される。ガスおよび引き込まれた一次空気は、入口導管40から分配要素30へと移動し、この間にほぼ均一なガスの混合気になるようにさらに混合される。複数の入口導管が設計に組み込まれた場合は、対応する複数のガスノズルも組み込まれる。
【0041】
図1と
図5に示されているように、バーナーユニット10は、ガスノズルを入口導管40の入口開口52に対して所定の位置で支える1つ以上のブラケットまたはノズル支持部54を含んでいてもよい。図示の実施形態では、ブラケットまたはノズル支持部54は、金属薄板構造であり、ガスノズルを受けるために略U字形である。ブラケットまたはノズル支持部54は、ブラケットまたはノズル支持部54を取り付け板42に固定する複数の装着要素を含んでもよい。ブラケットまたはノズル支持部54は、バーナーユニット10を燃焼室に挿入する前に、取り付け板42に装着してもよい。あるいは、ブラケットまたはノズル支持部54は、バーナー本体12を燃焼室内に置き、取り付け板42を固定した後に、取り付け板42に装着することもできる。その後、ロッキングラグ(固定突起)を含む従来のカバーを、ブラケットまたはノズル支持部54の上につけてもよい。
【0042】
なお、上記の組立工程は、実際の設計およびバーナーが使用される機器の製造に通常用いられる方法に応じて実質的に変更されうる。よって、本発明は、上記の工程の順番または工程自体に制限されるべきではない。
【0043】
よって、本発明は、現在存在している給湯器の構造およびその他のガス機器に適用可能なバーナーユニットを提供する。バーナーは、給湯器の密閉されていない燃焼室内に置くことを意図しており、実際には、バーナーの働きを促進するために燃焼室に送られる二次空気に依存する。給湯器への応用では、本発明のバーナーは、給湯器の筐体のすぐ外の領域から一次空気を受け取るように、あるいは給湯器の基部板を介して一次空気を受け取るように構成することができる。
【0044】
以上、本発明をある程度詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の要旨または範囲を逸脱しない範囲において様々な変更が当業者によりなされうる。