【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって、および請求項11の特徴を有する取付装置によって、本発明により達成される。
【0006】
エレベータシステムのエレベータシャフト内で設置作業を実行するための本発明による方法では、第1の細長い基準要素がエレベータシャフトに導入され、エレベータシャフトの主延在方向に向けられる。さらに、エレベータシャフトには取付装置が導入され、この装置は、キャリア部品と、キャリア部品によって保持されるメカトロニクス設置部品とを備える。前記取付装置は、エレベータシャフトの主延在方向で固定位置に向かって変位される。
【0007】
本発明によれば、固定位置では、取付装置のキャリア部品の相対位置が第1の基準要素に対して決定され、設置部品に配置されたセンサがこの目的のために使用される。第1の基準要素の相対位置は、少なくとも2つの異なるセンサ位置、したがって設置部品の位置に対して決定される。異なるセンサ位置は、例えば、エレベータシャフトに固定されたキャリア部品に対して、または第1の基準要素に対して生じる。センサ位置に対する第1の基準要素の相対位置を決定する場合、センサ位置および基準要素の両方から進めることが可能である。
【0008】
述べられた工程は、特に、記載された順序で実行されるが、異なる順序も考えられる。
【0009】
この場合、設置作業とは、例えばエレベータシャフト内のレールクリップ下部として知られているような部品の取付または方向付けと理解されるべきである。
【0010】
基準要素は、特に可撓性であり、例えば、プラスチックコードまたは金属ワイヤとして形成される。しかしながら、前記要素は剛性であってもよく、例えば、プラスチックまたは金属レールとして形成されてもよい。基準要素がエレベータシャフトに導入されると、前記要素はまた、特にエレベータシャフトに固定される。その結果、エレベータシャフトに対する、ひいてはエレベータシャフトの壁に対する基準要素の位置が分かる。こうして、例えば、エレベータシャフトの様々な壁からの基準要素の間隔が分かる。この情報は、設置部品によって実行される取付工程の取付位置を決定する際に使用できる。基準要素は、エレベータシャフトの主延在方向に向けられ、したがって、主に主延在方向に延びている。主延在方向とは、完全に取り付けられたエレベータシステム内でエレベータかごが移動される方向として理解される。したがって、主延在方向は、特に垂直方向に延びているが、垂直方向に対して傾斜するように延びていてもよいし、水平方向に延びていてもよい。この場合、基準要素は、必ずしもその全長にわたって単一の直線に沿って延びる必要はない。また、基準要素の経路が直線部分から構成されていてもよく、その移行領域が丸みを帯びていてもよい。
【0011】
取付装置のキャリア部品は、様々な方法で設計することができる。例えば、キャリア部品は、単純なプラットフォーム、ラック、フレーム、キャビンなどとして設計することができる。キャリア部品の寸法は、特に、キャリア部品がエレベータシャフトに容易に収容され、このエレベータシャフトの内部でその主延在方向に変位されるように選択される。キャリア部品の機械的設計は、特に、前記部分がそれに保持されたメカトロニクス設置部品を確実に支持し、必要であれば、取付工程を実行する際に設置部品によって加えられる力に耐えることができるように選択される。
【0012】
取付装置の設置部品は、メカトロニクスであることが意図されており、すなわち、協働する機械式、電子式および情報技術要素またはモジュールを備えることが意図されている。
【0013】
例えば、設置部品は、例えば、取付工程内で工具を取り扱うための好適な機構を備えてもよい。この場合、工具は、機構によって取付位置に適切に移動され得、および/または取付工程中に適切に案内され得る。あるいは、設置部品は、工具を形成する好適な機構をそれ自体が備えていてもよい。上述の工具は、例えば、ドリルまたはスクリュードライバとして設計されてもよい。
【0014】
メカトロニクス設置アセンブリ部品の電子要素またはモジュールは、例えば、設置部品の機械要素またはモジュールを適切に作動または制御するように機能することができる。したがって、そのような電子要素またはモジュールは、例えば、設置部品の制御手段として機能することができる。相互に情報を交換し、制御タスクを分配し、および/または互いに監視する追加の制御手段が設けられてもよい。以下に制御手段が記載されている場合、これは前記制御手段のうち1つ以上を指す。
【0015】
さらに、設置部品は、情報技術要素またはモジュールを備えてもよく、これにより、例えば、取付工程中に工具を移動させるべき位置および/または工具を操作するべき方法および/または工具を案内するべき方法を導出することが可能になる。
【0016】
この場合、機械式、電子式および情報技術要素またはモジュール間の相互作用は、特に、設置作業において、少なくとも1つの取付工程が、部分的にまたは完全に自動的に、取付装置によって実行され得るように行われる。
【0017】
エレベータシャフト内部で取付装置を変位させるために、特に変位部品が設けられている。例えば、エレベータシャフトに予め取り付けられた駆動装置を変位部品として設けることができる。前記駆動装置は、設置部品を変位させることのみを意図したものであってもよいし、後にエレベータシステムのために使用される原動機として設計されてもよく、これにより、エレベータかごが完全に設置された状態で移動され、これを用いて、先行する設置作業の間に、キャリア部品を変位させることができる。変位部品は、エレベータシャフトの内部で取付装置を移動させることができるように、様々な方法で設計することができる。
【0018】
例えば、変位部品は、取付装置のキャリア部品またはエレベータシャフトの上部停止点のいずれかに固定することができ、引張荷重を受けることができ、可撓性である懸架要素、例えば、その一端が変位部品に保持され、他端がそれぞれの他の要素、すなわちエレベータシャフトの内部の上部停止点および取付装置にそれぞれ固定されたケーブル、チェーンまたはベルトを備えている。
【0019】
固定位置では、取付装置は、特に、設置部品が動作し、例えばキャリア部品上に横方向の力を加える取付工程中に、取付装置のキャリア部品がエレベータシャフトの内部で主延在方向に対して横方向に移動することを防止するように、エレベータシャフトに対して固定されている。この目的のために、取付装置は、特に、例えば、エレベータシャフトの壁上に横方向に支持されるように設計され得るか、キャリア部品がもはや壁に対して水平方向に移動することができないように圧入されるように設計され得る固定部品を備えてもよい。このために、固定部品は、例えば、好適な支持体、支柱、レバーなどを有することができる。
【0020】
第1の基準要素に対する固定位置での取付装置のキャリア部品の相対位置は、特に、第1の基準要素に近い2つの異なる位置に移動される設置部品に配置されたセンサによって決定され、センサと基準要素との間の間隔は、それぞれの場合に決定される。この場合、センサの2つの異なる位置は、特に、主延在方向に相互に離間しており、制御手段には既知である。第1の基準要素に対するキャリア部品の相対位置は、センサの既知の位置およびセンサと基準要素との間の間隔から決定することができる。エレベータシャフト内の第1の基準要素の位置および経路もまた既知であるため、エレベータシャフト内のキャリア部品の相対位置を決定することができる。この場合、取付装置のキャリア部品の相対位置とは、特に、主延在方向に対するその向き、すなわち、主延在方向に対するその傾きおよび/または回転であると理解される。センサは、第1の基準要素から規定の間隔にあるように配置することも可能であり、センサのこの位置を基準として使用することも可能である。センサによって、固定位置でのエレベータシャフトの壁に対するキャリア部品の位置を決定することも可能である。この目的のために、センサは、例えば、1つ以上の壁に対して1つまたは特に複数の位置に移動させることができ、対応する壁からの間隔をそれぞれ測定することができる。壁に沿ってセンサを連続的に移動させ、壁からの間隔を常に測定することも可能である。その結果、固定位置の領域では、壁の経路をきわめて正確に決定することができる。
【0021】
さらに、センサを4つの位置に移動させることができ、センサの各位置で基準要素からの間隔を決定することが可能である。この場合、それぞれの場合に2つの位置がエレベータシャフトの主延在方向の同じ位置にあり、これらの2つの位置で基準要素に対して計算された位置が平均化される。その結果、発生する可能性がある基準要素の振動の負の影響が、少なくとも部分的にまたは完全に補償される。したがって、一般的には、異なるセンサ位置で2つの測定が、それぞれの場合に主延在方向の各位置で実行される。
【0022】
上述のセンサは、特に、第1の基準要素の位置、例えばセンサと第1の基準要素との間の間隔を非接触式に決定することができる。センサは、例えば、レーザスキャナ、レーザまたは超音波距離計として、または関連する評価ユニットを備える3Dデジタルカメラとして設計することができる。センサは、特に、設置部品に固定されている。前記センサは、特に、キャリア部品に対して可動である設置部品の一部に配置され、具体的には、例えば産業用ロボットの支持されていない端部上など、設置部品の外側端部に可能な限り近接して配置される。したがって、設置部品は、毎回使用する前にセンサを受け取る必要がなく、その結果、特に時間を節約して設置作業を実行することが可能になる。しかしながら、必要に応じて、設置部品は、例えば、センサをマガジンから受け取り、使用後にマガジン内に戻すこともできる。
【0023】
特に、第1の基準要素を使用せずに、主延在方向でのキャリア部品の位置が決定される。この目的のために、例えば、位置決めシステムを使用することができ、これにより、完全に設置された状態で主延在方向でのエレベータかごの位置を決定することが可能になる。エレベータシャフトの端部からの間隔またはエレベータシャフト内のドア開口部は、例えば、超音波またはレーザ測定技術に基づく好適な距離計によって決定することも可能である。さらに、変位部品の動作を監視することによって、主延在方向で既知の位置から進行する位置を決定することが可能である。さらに、主延在方向でキャリア部品の位置を決定するための数多くの可能性がある。
【0024】
制御手段には、エレベータシャフト内の取付装置のキャリア部品の位置は既知であるため、設置部品によって実行される取付工程の取付位置を決定することができる。例えば、制御手段は、レールクリップ下部がエレベータシャフトの壁に取り付けられる位置を決定することができる。制御手段は、例えば、そのために必要なドリル穴の位置を決定し、設置部品が受け取ったドリルを使用してエレベータシャフトの壁に穴を開けることができる。さらに、ねじをドリル穴にねじ込む、またはレールクリップ下部を取り付けるなどの複数の他の取付工程が可能である。
【0025】
本発明の一実施形態では、取付装置に配置された加速度センサの信号を使用して固定位置を決定することができ、加速度センサは特にキャリア部品に配置される。したがって、単純な方法で垂直に対する取付装置の位置を決定することが可能である。したがって、例えば、上述のセンサと第1の基準要素とを用いて、主延在方向に対する取付装置の回転を決定し、加速度センサを用いて、垂直に対する取付装置の傾きを決定することが可能である。こうして、ただ1つの基準要素を使用して固定位置を決定することができ、これにより、特に単純で費用対効果の高い決定が行われる。
【0026】
同様に、角度センサを使用して、垂直に対するキャリア部品の角度を決定することも可能である。
【0027】
加速度センサまたは角度センサは、センサおよび第1の基準要素による位置決定をチェックするために使用することもできる。これにより、固定位置の特に正確な決定が可能になる。
【0028】
本発明の一実施形態では、第2の細長い基準要素がエレベータシャフトに導入され、この要素もエレベータシャフトの主延在方向に向けられる。第2の基準要素は、特に、第1の基準要素と平行になるように配置される。また、設置部品に配置されたセンサを使用して、固定位置での第2の基準要素に対する取付装置の相対位置が決定される。2つの基準要素を用いることにより、特に正確に、特に加速度センサを用いることなく固定位置を決定することが可能になる。少なくとも3つの点(第1の基準要素上で主延在方向に離間した2つと、第2の基準要素上の1つ)を検出することにより、2つの基準要素がまたがる平面を決定し、ひいては、固定位置での前記平面に対する取付装置の向きを決定することが可能になる。こうして、固定位置でのエレベータシャフトに対する取付装置の位置が最終的に分かる。したがって、本発明のこの実施形態は、固定位置の特に正確な決定を可能にする。
【0029】
本発明の一実施形態では、保持装置を用いてキャリア部品によって設置部品が保持され、第1および/または第2の基準要素に対する保持装置の相対位置が決定される。したがって、保持装置は、設置部品のベースとして機能し、特に、設置部品の座標系の原点を形成する。したがって、座標系の原点の相対位置は、保持装置の相対位置の決定によって決定され、設置部品の特に正確な位置決めを可能にする。さらに、必要とされる可能性のある異なる座標系間の変換を特に容易に実行することが可能である。
【0030】
本発明の一実施形態では、固定位置を設定するために、キャリア部品は、エレベータシャフトの少なくとも1つの壁に直接固定され、特にエレベータシャフトの壁に直接圧入される。したがって、固定は、追加の固定手段を介さずに、壁または複数の壁に直接行われる。この結果、追加の固定手段が必要とされず、この方法の適用が特に単純で費用効果が高いものとなる。さらに、シャフト壁への圧入により、特に信頼性があり安定した固定位置を得ることができる。
【0031】
本発明の一実施形態では、第1の共通の取付プレートがエレベータシャフトに固定され、そのプレートに第1および第2の基準要素の第1の端部が固定される。したがって、基準要素の2つの第1の端部の間の画定された相互間隔を特に容易に指定し、それに接着することが可能である。さらに、基準要素の2つの第1の端部は、取付プレートの固定によって、特に簡単な方法でエレベータシャフトに固定することができる。
【0032】
特に、エレベータシャフトには、第2の共通の取付プレートも固定され、そのプレートに第1および第2の基準要素の第2の端部が固定される。2つの基準要素は、特に、両方の取付プレート上で同じ相互間隔にあるため、これにより、両方の基準要素がその全長にわたって互いに平行に延びることが特に容易に保証される。
【0033】
第1の取付プレートは、例えば、エレベータシャフトの底部ドア開口部の床に固定されてもよく、第2の取付プレートは、例えば、上部ドア開口部の床または天井に固定されてもよい。したがって、簡単な方法で、取付装置にとって重要なエレベータシャフトの全体を通って、基準要素が延びることを保証することが可能である。この目的のためにエレベータシャフトに入る必要はなく、代わりにドア開口部に割り当てられた階の床からの取付が可能であるため、ドア開口部への取付も特に簡単で安全である。
【0034】
本発明の実施形態では、第1および/または第2の基準要素は、それらの端部の間でエレベータシャフトに固定されて、振動を低減する。特に、エレベータシャフトが高い場合、したがって基準要素が長い場合、基準要素が励振されて振動し、これにより、取付装置の固定位置の決定が不正確になり得るおそれがある場合がある。エレベータシャフトの壁に対して、その2つの端部間で基準要素を1回以上固定すると、例えば、この種の振動を防止するか、少なくとも低減することができる。これにより、特に高いエレベータシャフトであっても、固定位置の特に正確な決定が可能になる。
【0035】
上述の目的はまた、エレベータシステムのエレベータシャフト内で設置作業を実行するための取付装置によって達成され、この装置は、
エレベータシャフトの主延在方向に変位し、固定位置に固定されるように設計されたキャリア部品と、キャリア部品によって保持されたメカトロニクス設置部品と、
制御手段とを備え、制御手段は、
設置部品に配置されたセンサを使用することによって、エレベータシャフト内の第1の細長い(エレベータシャフトの主延在方向に向けられた)基準要素に対して、固定位置内の取付装置の相対位置を決定することと、
少なくとも2つの異なるセンサ位置、したがって設置部品の位置に対して第1の基準要素の相対位置を決定することと、
第1の基準要素に対する取付装置の相対位置に基づいて、エレベータシャフト内の固定位置を決定することと
を目的としたものである。
【0036】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、同一のまたは機能的に同一の要素には同じ参照符号を付した実施形態および図面の以下の説明に記載されている。