(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
修飾される前記マイクロナノ材料は、有機モノマーの重合反応により製造され、重合反応に用いられる有機モノマーは、マイクロナノ材料表面にカルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1つ又はそれらの混合物を直接提供し、又は重合に用いられる有機モノマーによって表面にカルボキシル基又は潜在カルボキシル基を提供し、さらに誘導化することで前記官能基を間接提供することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
修飾される前記マイクロナノ材料は、有機ポリマーマイクロナノ材料、有機ポリマー−無機マイクロナノ粒子複合マイクロナノ材料、及び有機ポリマー−有機マイクロナノ粒子複合マイクロナノ材料を含み、前記複合マイクロナノ材料の製造に用いられるマイクロナノ粒子は、磁性ナノ粒子、量子ドット、アップコンバージョン発光粒子、有機ポリマー粒子、有機−無機複合粒子の1種又はそれらの混合物を含み、
前記マイクロナノ材料を製造するときに、重合反応には、共有結合構造に重合に必要な官能基に加えて、カルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1つ、又はそれらの混合物を含む特殊有機モノマーを用い、且つこれらの特殊有機モノマーがモノマーの合計モル量に対して1%以上であり、
前記マイクロナノ材料粒子を製造するときに、油中水型又は水中油型マイクロエマルジョン系により用いられるモノマーをマイクロエマルジョンに分散させて重合すること、又はポリマー材料の大体積粒子/フィルムを機械的方法により破砕することにより必要なマイクロナノ材料粒子を得、マイクロエマルジョン系により分散して重合する場合に、用いられる特殊有機モノマーは、重合反応相における溶解度が要求を満たせば、単独で使用しても良いか、任意比率で併用しても良いことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
前記共有結合修飾の生成物の表面に、最終的にカルボキシル基、潜在カルボキシル基、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、活性エステル、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1つ、又はそれらの混合物を形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、表面にカルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基若しくはタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基のうちの1つ、又はそれらの混合物を含む修飾されるマイクロナノ材料及びその製造方法、その表面が親水性物質で共有結合修飾された生成物及びその製造方法を提供することを目的とする。修飾されるマイクロナノ材料を製造する際に、カルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を含む特殊有機モノマーを用いることにより、得られるマイクロナノ材料表面に十分に多いカルボキシル基に対応する活性エステルを生成し、共有結合修飾に適用する。脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミン、潜在両性イオン基、フレキシブル連結アームを含む体積が適度な親水性修飾剤とマイクロナノ材料表面の活性エステルとを反応させてアミド結合を形成することで、共有結合修飾層を得るとともに、共有結合修飾を繰り返して行うことで多層の共有結合修飾生成物を得ることにより、修飾剤の材料表面に対する被覆率を向上させ、生成物の非特異的吸着を減少させると同時に、フレキシブルアームを有する表面官能基を提供する。
【0013】
本発明に記載のマイクロナノ材料表面は、カルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1つ、又はそれらの混合物を含む。上記修飾されるマイクロナノ材料表面のこれらの官能基は、重合反応によりマイクロナノ材料を製造するときに用いられる有機モノマーに直接由来するものであり、又は重合反応に用いられる有機モノマーに由来のカルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を誘導体化することで間接生成したものである。
【0014】
本発明は、上記マイクロナノ材料の製造方法をさらに開示する。上記マイクロナノ材料は、有機モノマーの重合反応により製造される。重合反応に用いられる有機モノマーは、マイクロナノ材料表面にカルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1つ又はそれらの混合物を直接提供し、又は重合に用いられる有機モノマーによって表面にカルボキシル基又は潜在カルボキシル基を提供し、さらに誘導化することで上記官能基を間接提供する。
【0015】
さらに、上記マイクロナノ材料は、有機ポリマーマイクロナノ材料、有機ポリマー-無機マイクロナノ粒子複合マイクロナノ材料、及び有機ポリマー-有機マイクロナノ粒子複合マイクロナノ材料を含む。上記複合マイクロナノ材料の製造に用いられるマイクロナノ粒子は、磁性ナノ粒子、量子ドット、アップコンバージョン発光粒子、有機ポリマー粒子、有機-無機複合粒子の1種又はそれらの混合物を含む。
【0016】
上記マイクロナノ材料を製造するときに、重合反応には、共有結合構造に重合に必要な官能基に加えて、カルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1つ、又はそれらの混合物を含む特殊有機モノマーを用い、且つこれらの特殊有機モノマーがモノマーの合計モル量に対して1%以上である。
【0017】
上記マイクロナノ材料粒子を製造するときに、油中水型又は水中油型マイクロエマルジョン系により用いられるモノマーをマイクロエマルジョンに分散させて重合すること、又はポリマー材料の大体積粒子/フィルムを機械的方法により破砕することにより必要なマイクロナノ材料粒子をえる。マイクロエマルジョン系により分散して重合する場合に、用いられる特殊有機モノマーは、重合反応相における溶解度が要求を満たせば、単独で使用しても良いか、任意の比例で併用しても良い。
【0018】
本発明は、上記マイクロナノ材料表面を親水性物質で共有結合修飾した生成物をさらに開示する。該生成物は、単層及び多層共有結合修飾生成物を含む。上記マイクロナノ材料表面のカルボキシル基及び潜在カルボキシル基を活性エステルに変換し、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む親水性化合物及び/又はポリマーを修飾剤としてアミド結合を形成することで共有結合修飾を行うことにより、単層共有結合修飾生成物を得る。親水性物質の共有結合修飾生成物の表面に上記活性エステルを繰り返して形成し、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む親水性化合物及び/又は親水性ポリマーを修飾剤として、アミド結合を繰り返して形成することで共有結合修飾を行うことにより、多層共有結合修飾生成物を得る。
【0019】
さらに、上記共有結合修飾の生成物の表面に、最終的にカルボキシル基、潜在カルボキシル基、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、活性エステル、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1つ、又はそれらの混合物を形成する。
【0020】
本発明は、上記マイクロナノ材料表面を親水性物質で共有結合修飾した生成物の製造方法をさらに提供する。該方法は、以下のステップa~ステップcを含む。
【0021】
ステップaにおいて、表面にカルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を有するマイクロナノ材料を修飾されるマイクロナノ材料とし、修飾されるマイクロナノ材料表面のカルボキシル基及び潜在カルボキシル基をカルボキシル基の活性エステルを変換する。
【0022】
ステップbにおいて、ステップaにより表面活性エステルが得られたマイクロナノ材料に対して、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む親水性化合物及び/又は親水性ポリマーを修飾剤として、アミド結合を形成することにより共有結合修飾を実現する。
【0023】
さらに、ステップbは、ステップb1?ステップb3を含む。
【0024】
ステップb1において、表面に活性エステルを形成したマイクロナノ材料に対して、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む親水性化合物及び/又は親水性ポリマーを修飾剤とし、アミド結合を形成することにより共有結合修飾を行う。
【0025】
ステップb2において、ステップb1で共有結合修飾されたマイクロナノ材料に対して、その表面のカルボキシル基を活性エステルにさらに変換し、又はその表面の潜在カルボキシル基をカルボキシル基に変換してさらに活性エステルに誘導し若しくは潜在カルボキシル基を活性エステルに直接変換する。
【0026】
ステップb3において、必要な共有結合修飾層の層数に応じてステップb1及びステップb2を繰り返す。
【0027】
ステップcにおいて、ステップb3で共有結合修飾された後、マイクロナノ材料の表面にカルボキシル基、潜在カルボキシル基、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、活性エステル、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1種又はそれらの混合物を得る。
【0028】
さらに、ステップaにおいて、活性エステルは、修飾されるマイクロナノ材料表面のカルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基に由来する。該活性エステルは、以下のように生成される。即ち、上記修飾されるマイクロナノ材料表面のカルボキシル基を活性エステルに直接変換し、又は上記修飾されるマイクロナノ材料表面の潜在カルボキシル基をカルボキシル基に変換してさらに活性エステルに変換し、又は上記修飾されるマイクロナノ材料表面の潜在カルボキシル基を脂肪族ヒドロキシル基及び/又は脂肪族アミノ基に変換してさらにCDI若しくはTPGで活性エステルに変換し、又は上記修飾されるマイクロナノ材料表面の潜在カルボキシル基を活性エステルに直接変換する。このような表面活性エステルを長い直鎖アミノ酸と反応させてカルボキシル基を再取得し、又は複数の脂肪族第一級アミンを含む線状ポリアミンと反応させて脂肪族アミノ基に変換し、さらに潜在カルボキシル基及び活性エステル物質と反応させて潜在カルボキシル基を再取得し若しくは環状酸無水物とを反応させてカルボキシル基を再取得することにより、カルボキシル基又は潜在カルボキシル基と修飾されるマイクロナノ材料との間に連結アームを挿入し、さらに誘導により得られた表面カルボキシル基又は潜在カルボキシル基を活性エステルに変換する。
【0029】
ステップbにおいて、用いられる修飾剤は、A類修飾剤及びB類修飾剤を含み、両者の分子量はいずれも3000ダルトン以下である。
【0030】
上記A類修飾剤は、親水性である、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む化合物又はポリマーであり、いずれもN,N-ジメチル置換脂肪族第三級アミン、N,N-ジエチル置換脂肪族第三級アミン及びN,N-ジ-n-プロピル置換脂肪族第三級アミンの3種類の第三級アミン官能基のうちの1つ又は複数を含む。上記A類修飾剤は、A1サブ類修飾剤及びA2サブ類修飾剤に分けられる。A1サブ類修飾剤は、各分子に2つ以上の脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミン及び1つ以上のN,N-ジアルキル置換脂肪族第三級アミン官能基を有する。A2サブ類修飾剤は、1つのみの脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミン、及び1つ以上のN,N-ジアルキル置換脂肪族第三級アミン官能基を有する。
【0031】
A1サブ類修飾剤及びA2サブ類修飾剤のステップbにおける使用態様は、以下の通りである。A1サブ類修飾剤を単独で使用し、又はA1サブ類修飾剤とA2サブ類修飾剤との任意比例の混合物を使用する。修飾するときに、修飾剤に由来する脂肪族第一級アミンと脂肪族第二級アミンとのモル量の合計は、マイクロナノ材料表面の活性エステルのモル量よりも10%以上多い。修飾を終了しない限り、即ち、最後の層の共有結合修飾を行なわない限り、A2サブ類修飾剤はステップb において単独で使用されない。
【0032】
上記B類修飾剤は、親水性である、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミン的化合物又はポリマーである。B類修飾剤は、いずれもN,N-ジメチル置換脂肪族第三級アミン、N,N-ジエチル置換脂肪族第三級アミン及びN,N-ジ-n-プロピル置換脂肪族第三級アミンの3種類の第三級アミン官能基のうちのいずれか1種を含まない。B類修飾剤は、B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤、B3サブ類修飾剤、及びB4サブ類修飾剤に分けられる。
【0033】
B1サブ類修飾剤は、線状構造であり、一端が脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミンであり、他端がカルボキシル基、又は脂肪族アミノ基も脂肪族ヒドロキシル基もではない潜在カルボキシル基である。B2サブ類修飾剤は、線状構造であり、両端が脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンである。B3サブ類修飾剤は、線状構造であり、一端が脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミンであり、他端がメトキシ又はエトキシである。B4サブ類修飾剤は、非線状構造であり、少なくとも2つの脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む。
【0034】
B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤、B3サブ類修飾剤、及びB4サブ類修飾剤のステップbにおける使用態様は以下の通りである。B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤又はB4サブ類修飾剤の1つを単独で使用し、又は三者の任意比例の混合物を使用する。修飾剤に由来する脂肪族第一級アミンと脂肪族第二級アミンとのモル量の合計は、マイクロナノ材料表面の活性エステルのモル量よりも10%以上多い。B3サブ類修飾剤は、B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤又はB4サブ類修飾剤に由来する脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミンのそれぞれのモル量の比率を調節するものである。修飾を終了しない限り、即ち、最後の層の共有結合修飾を行なわない限り、B3サブ類修飾剤はステップb において単独で使用されない。
【0035】
A類修飾剤及びB類修飾剤のステップbにおける併用態様は、以下の通りである。両者は任意の比例で併用される。修飾剤に由来する脂肪族第一級アミンと脂肪族第二級アミンモル量との合計は、マイクロナノ材料表面の活性エステルのモル量よりも10%以上多い。修飾を終了しない限り、ステップbにおいて、A2サブ類修飾剤及びB3サブ類修飾剤のみからなる任意比例の混合物は使用されない。
【0036】
さらに、上記A類修飾剤は、A3サブ類、A4サブ類、A5サブ類及びA6サブ類修飾剤をさらに含む。
【0037】
上記A3サブ類修飾剤は、局所の両性イオン対構造を含み、且つ活性エステルと反応可能な脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを2つ以上、又は活性エステルと反応可能な脂肪族第一級アミン又は第二級アミンを1つのみ及びカルボキシル基若しくは潜在カルボキシル基を少なくとも1つを含む。
【0038】
上記A4サブ類修飾剤は、局所の両性イオン対構造を含み、且つ活性エステルと反応可能な脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミンを1つのみ含み、次の層の共有結合修飾に必要なカルボキシル基又は潜在カルボキシル基を含まない。修飾を終了しない限り、即ち、最後の層の共有結合修飾を行なわない限り、A4サブ類修飾剤はステップbにおいて単独で使用されず、ステップbに使用されるのは、A4サブ類修飾剤とA2サブ類修飾剤及びB3サブ類修飾剤との任意比例の混合物に限らない。
【0039】
上記A5サブ類修飾剤はアニオンサブ類修飾剤であり、A6サブ類修飾剤はカチオンサブ類修飾剤である。A5サブ類修飾剤は、1つの又は複数のスルホン酸及び/又はリン酸アニオンを含み、且つA5サブ類修飾剤のちに、1つの脂肪族第一級アミン又は脂肪族第一級アミンを同時に含むものはA5-1とされ、複数の脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを同時に含むものはA5-2とされる。A6サブ類修飾剤は、1つ又は複数の第四級アミン又は第三級アミンカチオンを含み、且つA6サブ類修飾剤のうちに、1つの脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミンを同時に含むのもはA6-1とされ、複数の脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを同時に含むものはA6-2とされる。A5サブ類及びA6サブ類修飾剤を共有結合修飾に併用することにより、イオン対修飾層を得る。
【0040】
ステップbにおけるA3サブ類修飾剤の使用態様は、以下の通りである。A3サブ類修飾剤は単独で使用され、又はA1サブ類、A2サブ類、A4サブ類、B1サブ類、B2サブ類及びB3サブ類修飾剤の1つ若しくは全部と任意の比例で併用される。修飾を終了しない限り、混合物修飾剤におけるA1サブ類、A3サブ類、B1サブ類及びB2サブ類修飾剤のモル量の合計が占める比率は10%より大きい必要がある。
【0041】
ステップbにおけるA4サブ類修飾剤の使用態様は、以下の通りである。A4サブ類修飾剤は、A1サブ類修飾剤、A3サブ類修飾剤、B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤及びB4サブ類修飾剤の1つ又は全部と任意の比例で併用される。修飾を終了しない限り、混合修飾剤におけるA1サブ類、A3サブ類、B1サブ類、B2サブ類及びB4サブ類修飾剤のモル量の合計が占める比率は10%より大きい必要がある。
【0042】
ステップbにおけるA5サブ類及びA6サブ類修飾剤の使用態様は、以下の通りである。A5サブ類修飾剤とA6サブ類修飾剤とを併用し、且つ混合物におけるA5サブ類修飾剤に由来するスルホン酸及び/又はリン酸アニオンがA6サブ類修飾剤に由来する第四級アミン及び第三級アミンカチオンと等量である。
【0043】
ステップb1において、任意の上記修飾剤及びその任意比例の混合物を使用する場合に、例えば、マイクロナノ材料表面の活性エステルがCDI又はTPG誘導体に由来し、不活性有機溶媒又は中性水溶液又は両者の混合溶媒中で10分間以上懸濁反応することで修飾を行い、或いは、不活性有機溶媒中で10分間以上懸濁反応することで修飾を行う。
【0044】
ステップb1において、A2サブ類修飾剤又はB3サブ類修飾剤又はこの2つのサブ類修飾剤の任意比例の混合物を単独で使用しない限り、不活性有機溶媒中で、ハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシジル-コハク酸モノエステルに対応する活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン活性エステル、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステルのうちの1つ又は任意比例の混合物を用いて修飾後の材料表面の脂肪族第一級アミン及び第二級アミンと反応させることで、表面のアミノ基をブロックし、潜在カルボキシル基を得る。これらの潜在カルボキシル基を与える活性エステルのモル量は、マイクロナノ材料表面の反応可能な脂肪族アミノ基よりも10%以上多く、表面でハロゲン化炭化水素、Tsエステル、エポキシ基、トリフルオロアセチルアミノ基、アルデヒド基及びアセチル保護チオール基を潜在カルボキシル基として生成する。
【0045】
ステップb2において、前のステップの共有結合修飾過程でA1サブ類修飾剤及び/又はA2サブ類修飾剤を使用した場合に、ハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシジル-コハク酸モノエステルに対応する活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン活性エステル、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステルのうちの1つ又はそれらの任意比例の混合物で材料表面の残りの脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミンをブロックした後、不活性有機溶媒中で、修飾後の材料表面のジアルキル置換第三級アミンのモル量より10%以上多い1,3-プロパンスルトンで表面のA1サブ類修飾剤及びA2サブ類修飾剤に由来するアルキル第三級アミンを、第四級アミンがスルホン酸とが隣接する両性イオン修飾層に変換する。次いで、共有結合修飾生成物表面のカルボキシル基及び潜在カルボキシル基を活性エステルに変換する。
【0046】
ステップb2において、前のステップの共有結合修飾過程でA1又はA2サブ類修飾剤を使用しなかった場合に、ハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシジル-コハク酸モノエステルの活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン活性エステル、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステルのうちの1つ又は任意比例の混合物で、修飾生成物表面の残りの脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミンをブロックして潜在カルボキシル基を得る。次いで、共有結合修飾生成物の表面のカルボキシル基及び潜在カルボキシル基を活性エステルに変換する。
【0047】
ステップb2において、共有結合修飾生成物の表面の活性エステルを長い直鎖アミノ酸と反応させてカルボキシル基を再取得し、又は複数の脂肪族第一級アミンを含む線状ポリアミンと反応させて脂肪族アミノ基を再取得し、さらに潜在カルボキシル基及び活性エステル物質と反応させて潜在カルボキシル基を再取得し若しくは環状環状酸無水物とを反応させてカルボキシル基を再取得することにより、表面カルボキシル基又は潜在カルボキシル基と共有結合修飾生成物との間に連結アームを挿入し、さらに誘導化により変換した共有結合修飾生成物の表面のカルボキシル基又は潜在カルボキシル基を活性エステルに変換する。
【0048】
ステップcにおいて、前の共有結合修飾過程で、一端が脂肪族アミノ基、他端がカルボキシル基であるB1サブ類修飾剤のみを使用する場合に、表層カルボキシル基を直接得る。B2サブ類修飾剤、B4サブ類修飾剤のうちの1つ又はそれらの任意比例の混合物を使用する場合に、不活性有機溶媒中で、ハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシジル-コハク酸モノエステルに対応する活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン活性エステル、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステル、ジスルフィド結合選択的修飾基に対応する物質の活性エステルのうちの1つ又は任意比例の混合物を用いて、修飾後の材料表面の脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミンと反応させることにより、対応するハロゲン化炭化水素、Tsエステル、エポキシ基、トリフルオロアセチルアミノ基、アルデヒド基、保護チオール基、ジスルフィド結合選択的修飾官能基のうちの1つ又は上記表面官能基の混合物を生成する。ここで、活性エステルのモル量がマイクロナノ材料表面の反応可能なアミノ基よりも10%以上多い。
【0049】
ステップcにおいて、前の共有結合修飾過程で、A2サブ類修飾剤を単独で使用し、アルキル置換第三級アミンのカチオン表面官能基を得る。さらに、過剰な1,3-プロパンスルトンで表面のA2サブ類修飾剤のアルキル第三級アミンを、第四級アミンがスルホン酸と隣接する両性イオンに変換すると、両性イオンを表面官能基として得る。B3サブ類修飾剤を単独で使用する場合、中性で不活性の親水性表面官能基を得る。
【0050】
ステップcにおいて、共有結合修飾生成物の表面のカルボキシル基又は潜在カルボキシル基を活性エステルに変換し、さらに長い直鎖アミノ酸と反応させてカルボキシル基を再取得し、又は複数の脂肪族第一級アミンを含む線状ポリアミンと反応させて脂肪族アミノ基を再取得し、潜在カルボキシル基及び活性エステル物質と反応させて潜在カルボキシル基を再取得し若しくは環状酸無水物と反応させてカルボキシル基を再取得し若しくは他の官能基を含む活性エステル基と反応させて他の形態の表面官能基を得ることにより、最終に得られた表面官能基と共有結合修飾生成物との間に連結アームを挿入する。
【0051】
さらに、上記タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基は、チオール基とMichael付加及び/又は求核置換反応を発生できる2つの活性官能基を含み、また、他の成分をさらに含むことにより、アミド結合の接続に必要なカルボキシル基を生成する。上記2つの活性官能基の間隔は10個の共有結合以下である。
【0052】
チオール基とMichael付加反応を発生する活性基は、アクリロイル基、ビニルスルホン基であるR
1-CH=CH-SO
2-R
2である。このような活性基は、単独で作用を発揮する場合、潜在カルボキシル基に該当し、その反応中心がアクリロイル基におけるカルボニル基のβ位、スルホン基のβ位のオレフィン炭素原子である。
【0053】
チオール基と求核置換反応を発生する活性基は、カルボニル基、スルホン基、オレフィン、芳香族環のα位の飽和炭素原子に塩素、臭素、ヨウ素を含む基、トリフルオロ酢酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステルのうちの1つ又は複数のヒドロカルビル基、及びタンパク質チオール基とMichael付加反応を発生することで上記ヒドロカルビル基を生成する基である。このような活性基は、単独で作用を発揮する場合、潜在カルボキシル基に該当する。塩素、臭素、ヨウ素、トリフルオロ酢酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステルは、求核置換反応の脱離基Xである。求核置換反応の反応中心は、対応するカルボニル基、スルホン基、オレフィン、芳香族環のα位の飽和炭素原子である。
【0054】
タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基において、2つのチオール基反応中心を接続する断片は、炭素-炭素単結合で接続される環及びトリアルキル置換基を含まず、五員環、六員環は、共有結合断片とされる場合に、タンパク質チオール基と反応する2つの活性基を環上に同時に結合する。
【0055】
タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基に含まれるマイクロナノ材料を共有結合するためのカルボキシル基を、活性エステル、酸無水物又は酸塩化物に変換した後、マイクロナノ材料表面の第一級アミン及び第二級アミンと反応させることにより、マイクロナノ材料表面に位置するタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基を得る。
【0056】
上記タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基を使用するときに、まず、トリアルキルホスフィンで目的タンパク質表面のジスルフィド結合を空間的に隣接する2つの遊離チオール基に還元し、さらに、マイクロナノ材料表面のタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基における空間的に隣接する2つのタンパク質チオール基と同時に反応させることにより、該タンパク質ジスルフィド結合のサイト選択的共有結合による接続/固定化を実現することができる。
【0057】
上記タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の使用は以下の特徴をさらに有する。タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基に含まれるカルボキシル基と、表面にチオール基及びジスルフィド結合を含まないポリマー/小分子のアミノ基とを共有結合させることで、表面にジスルフィド結合を含むタンパク質に対する選択的修飾試薬又は標識試薬を得る。トリアルキルホスフィンでタンパク質表面のジスルフィド結合を隣接する2つの遊離チオール基に還元した後、上記選択的修飾/標識試薬におけるタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の2つの活性基と同時に反応することにより、共有結合による接続又は標識を実現する。
【0058】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。本発明は、マイクロナノ材料を製造する時にカルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を含む特殊有機モノマーを使用することにより、最終には、修飾されるマイクロナノ材料表面に十分に多い活性エステルを生成する。脂肪族第一級アミン及び/又は第二級アミン、潜在両性イオン基、フレキシブル親水性連結アームを有し、且つ体積が適切な修飾剤を使用することにより、反応の立体障害を減少できる。修飾剤が不活性有機溶媒中でマイクロナノ材料表面の活性エステルと反応してアミド結合を生成し、高密度の共有結合修飾層を得ることにより、修飾反応の収率を保証できる。多層共有結合修飾を繰り返して行うことにより、修飾剤の材料表面に対する被覆率を向上させ、生成物の非特異的吸着を減少させ、大体積修飾剤をそのまま使用する時に立体障害により所望の修飾度を達成できないことを回避する。多層共有結合修飾の場合に、各層の修飾及び表面官能基に連結アームを提供することにより、固定される生体分子の活性を向上させる。上記有益効果の累積により、上記マイクロナノ材料表面を親水性物質で共有結合修飾した生成物は非常に強い親水性を有し、タンパク質、核酸及び小分子物質に対する非特異的吸着がマイクロナノ材料それ自体よりも顕著に小さくなり、固定される生体分子の活性の維持に適する。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明に用いられる物質及びその特性は以下の通りである。
【0062】
1、環状酸無水物は、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、及びポリマレイン酸無水物である。ハロゲン化炭化水素は、カルボニル基のα-位の飽和脂肪族第一級炭素原子にある塩素、臭素又はヨウ素である。Tsは、p-トルエンスルホニル基である。Tsエステルは、Tsと第一級アルコール又は第二級アルコールとのエステルである。Bocは、tert-ブトキシカルボニル基である。
【0063】
2、ジシクロヘキシルカルボジイミドはDCCで表される。N-ヒドロキシスクシンイミドはNHSで表される。N-ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウムはSNHSで表される。1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩はEDCで表される。N,N’-カルボニルジイミダゾールはCDIで表される。トリホスゲンはTPGで表される。カルボキシル基とニトロフェノール、NHS又はSNHSとのエステル;ヒドロキシル基及びアミノ基と過剰なCDIと反応させたカルボニルイミダゾール;ヒドロキシル基及びアミノと過剰なTPGとを反応させた炭酸エステル;カルボン酸とCDI又はTPGと反応させた混合酸無水物は、本発明に記載のカルボキシル基の活性化形態であり、活性エステルと総称される。
【0064】
3、カルボキシル基の活性エステル、環状酸無水物、エポキシ基、Tsエステル、ハロゲン化炭化水素、アルデヒド基、チオエステルのいずれとも反応しない有機溶媒は、不活性有機溶媒と称され、代表的には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドである。
【0065】
4、線状ポリアミンは、エチル基又はn-プロピル基で結合した線状ポリアミンであり、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、及びジ-n-プロピレントリアミン、トリ-n-プロピレンテトラミン、テトラ-n-プロピレンペンタミン、ペンタ-n-プロピレンヘキサミンが含まれる。
【0066】
5、ポリエチレンイミンの略称はPEIであり、それに付いている数字は平均分子量を示す。エチレンジアミンで末端封鎖するPEIはNH
2-PEIで表される。末端基がアミノ基である樹枝状大分子Dendrimerは、Dendrimer-NH
2で表される。
【0067】
6、ポリエチレングリコールの略称はPEGであり、それに付いている数字は平均分子量を示す。PEGは直鎖線状であり、且つ両端がヒドロキシル基である。一端がアミノ基、他端がヒドロキシル基であるPEGはPEG-NH
2で表される。一端がアミノ基、他端がカルボキシル基であるPEGは、NH?
2-PEG-COOHで表される。両端がカルボキシル基のポリエチレングリコールはCOOH-PEG-COOHで表される。
【0068】
7、分枝状PEGは、線状ポリアミン、ポリヒドロキシル化合物、Dendrimer-NH?
2、複数のアミノ基を有するアミノ酸、複数のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシ酸、複数の遊離チオール基を有する化合物を、アミド、カルボン酸エステル結合又はチオエーテル結合で結合した、複数の線状延伸PEG鎖を有する構造であり、n-PEGで表される。
【0069】
以下、潜在カルボキシル基の性質について説明する。
【0070】
潜在カルボキシル基は、温和な条件下(70℃以下)、3段階反応以内でカルボキシル基又はカルボキシル基の活性エステルを生成することができる基であり、脂肪族第一級アルコール、脂肪族第二級アルコール、脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミン;上記脂肪族第一級アルコール/第二級アルコール及び第一級アミン/第二級アミンをトリフルオロアセチル基、tert-ブトキシカルボニル基、フタル酸無水物で保護した形態;カルボニル基のC原子のα-位が塩素、臭素、ヨウ素の1つで置換されたハロゲン化炭化水素基;O-Tsヒドロキシエチルアミド又はヒドロキシ酢酸エステル及び類似p-トルエンスルホン酸エステル;エポキシ基(例えば、グリシドールに由来の誘導体);アルデヒド基、スルホ基で保護したチオール基、アセチル基で保護したチオール基を含む。活性エステルは、アミノ酸と反応し、又は弱塩基により加水分解するだけことでカルボキシル基を生成できるため、それ自体も潜在カルボキシル基である。タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の各チオール基は、チオール酢酸と反応してカルボキシル基に変換するため、単独で作用を発揮するときに潜在カルボキシル基である。上記潜在カルボキシル基を脂肪族カルボキシル基に変換し、又は活性エステルに直接変換する方法は、以下の通りである。
【0071】
1、脂肪族の第一級アミン、第二級アミン、第一級アルコール又は第二級アルコールを潜在カルボキシル基として使用する場合に、不活性有機溶媒中で環状酸無水物と70℃で0.5時間以上反応させることでカルボキシル基を得、又は過剰なCDI又はTPGと70℃で30分間以上させることで活性エステルを直接得る。
【0072】
2、ハロゲン化炭化水素、Tsエステル及びエポキシ基を潜在カルボキシル基として使用する場合に、一端がアミノ基、他端がカルボキシル基である線状アミノ酸(例えば、グリシン、3-アラニン、6-アミノカプロン酸)、又は一端がチオール基、他端がカルボキシル基である線状チオールカルボン酸(例えば、チオール酢酸、3-チオールプロピオン酸)と70℃以下で30分間以上反応させることで脂肪族カルボキシル基に変換する。
【0073】
3、トリフルオロアセチルで保護した脂肪族第一級アミン、第二級アミン、第一級アルコール又は第二級アルコールを潜在カルボキシル基として使用する場合に、不活性有機溶媒と水の混合溶媒又は水溶液中で、0.1M以上の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムにより70℃で30分間以上加水分解することでヒドロキシル基又はアミノ基を露出させ、次いでヒドロキシル基又はアミノ基に対応する変換方法によって脂肪族カルボキシル基に変換し、又はその活性エステルに変換する。
【0074】
4、Bocで保護した脂肪族第一級アミン、第二級アミン、第一級アルコール又は第二級アルコールを潜在カルボキシル基として使用する場合に、不活性有機溶媒と水との混合溶媒又は水溶液中で、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸の1つ又はこれらの酸の混合物によりtert-ブトキシカルボニル基を脱することでヒドロキシル基又はアミノ基を露出させ、次いでヒドロキシル基又はアミノ基に対する変換方法によって脂肪族カルボキシル基に変換し、又はその活性エステルに変換する。
【0075】
5、フタル酸無水物で保護した脂肪族第一級アミン又は第二級アミンを潜在カルボキシル基として使用する場合に、不活性有機溶媒と水との混合溶媒中でヒドラジンにより加水分解することでアミノ基を露出させ、次いでアミノ基のカルボキシル基化方法によって脂肪族カルボキシルに変換し、又はその活性エステルに直接変換する。
【0076】
6、アルデヒド基を潜在カルボキシル基として使用する場合に、グリシン又は6-アミノカプロン酸と反応させた後、NaBH
4で還元することで対応するカルボキシル基に変更し、又はNaBH
4で還元することでヒドロキシル基を得、次いでヒドロキシル基に対応する方法によって脂肪族カルボキシル基を得、又はその活性エステルに直接変換し、或いは、チオール酢酸と反応させた後、NaBH
4で還元することで硫?結合脂肪族カルボキシル基を得る。
【0077】
7、スルホン酸で保護したチオール基、S-アセチルで保護したチオール基を潜在カルボキシル基として使用する場合に、スルホン酸で保護したチオール基のカルボキシル基化方法は、NaBH
4でチオール基に還元し、次いでハロ酢酸、O-Ts酢酸又はグリシドールを加えてコハク酸無水物のモノエステルと反応させてカルボキシル基を得ることである。S-アセチルで保護したチオール基のカルボキシル基化方法は、ヒドロキシルアミンでアセチル基を放出して遊離チオール基を得、次いで上述したようにチオール基を脂肪族カルボキシル基に変換する。
【0078】
8、本発明に記載の、親水性物質でマイクロナノ材料表面に対して多層共有結合修飾を行う方法において、採用される潜在カルボキシル基をカルボキシル基に変更する方法がマイクロナノ材料の特性に悪影響を与えないことが必要とされる。即ち、マイクロナノ材料表面の潜在カルボキシル基をカルボキシル基に変換し、又はその活性エステルに変換した後においても、マイクロナノ材料の基本的な物理化学的性質が保持されることができ、つまり、温和な条件しかカルボキシル基又はその活性エステルに変換できないことが必要とされる。
【0079】
本発明は、上記修飾されるマイクロナノ材料を開示する。該材料の表面にカルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基のうちの1つ又はそれらの混合物を含む。これらの官能基は、マイクロナノ材料を製造する時の重合反応系に用いられる特殊有機モノマーに直接由来し、或いは、特殊有機モノマーのカルボキシル基に由来し及び/又は潜在カルボキシル基を変換して生成する。これらの特殊有機モノマーは、重合に必要な官能基に加え、カルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基のうちの1つ又はそれらの混合物を含む有機モノマーである。カルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を含む特殊有機モノマーを用いて上記マイクロナノ材料を製造することで、カルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を直接得、次いで以下のように誘導化することにより他の官能基に変換することができる。即ち、カルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を活性エステルに変換し、該活性エステルをNα,Nα-ジカルボキシメチルリジンと反応させることで金属イオンキレート官能基を得る。該活性エステルをN,N-ジメチルエチレンジアミンと反応させることでカチオン官能基を得る。該活性エステルをタウリンと反応させることでアニオン官能基を得る。該活性エステルをエタノールアミンと反応させてヒドロキシル基を生成し、次いで該ヒドロキシル基をp-トルエンスルホン酸塩化物と反応させることでTsエステルを得る。該活性エステルを線状ポリアミンと反応させて脂肪族アミノ基を生成し、次いでタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の活性エステルと反応させることでタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基を得、又はグリシジル-コハク酸モノエステルに対応する活性エステル、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸の活性エステルと反応させることで対応する官能基を得る。該活性エステルを長い直鎖アミノ酸と反応させることでカルボキシル基を得る。このような誘導化による変換方法により、実際には、表面官能基とマイクロナノ材料との間に連結アームを挿入する。
【0080】
本発明は、上記修飾されるマイクロナノ材料の製造方法をさらに開示する。上記マイクロナノ材料は、有機モノマーの重合反応により製造され、表面に重合に用いられる有機モノマーに直接又は間接由来するカルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基のうちの1つ又はそれらの混合物を含む。マイクロナノ材料表面に含まれるカルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を誘導化して間接生成する必要な他の官能基も含み、これは本発明の技術内容から導き出せる構造であり、本発明の技術と同等の策略である。
【0081】
本実施例において、上記修飾されるマイクロナノ材料は、有機ポリマーマイクロナノ材料、有機ポリマー-無機マイクロナノ粒子複合マイクロナノ材料又は有機ポリマー-有機マイクロナノ粒子複合マイクロナノ材料を含む。上記複合マイクロナノ材料の製造に用いられるマイクロナノ粒子は、磁性ナノ粒子、量子ドット、アップコンバージョン発光粒子、有機ポリマーマイクロナノ粒子、有機-無機複合マイクロナノ粒子のうちの1つ又はそれらの任意比例の混合物を含む。
【0082】
上記修飾されるマイクロナノ材料の製造においては、重合反応系に特殊有機モノマーが用いられる。カルボキシル基、潜在カルボキシル基、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基又はタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基のうちの1つ又はそれらの混合物を含む物質と重合に必要な官能基を含む対称酸無水物及び/又は活性エステルとを反応させた生成物、又はカルボキシル基及び潜在カルボキシル基を含まず、脂肪族第一級アミン及び/又は第二級アミンを含む物質と重合に必要な官能基を含む環状酸無水物及び/又は重合に必要な官能基及び潜在カルボキシル基官能基を含む活性エステルとを反応させた生成物は、いずれも候補の特殊有機モノマーである。重合反応系において、モノマーの合計モル量における上記特殊有機モノマーの比率は1%以上である。本発明に記載の脂肪族カルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基官能基を含むA類修飾剤及びB類修飾剤と、重合反応に必要な官能基を含む対称酸無水物、活性エステル又は酸塩化物とを反応させて得られたアミド結合生成物は、本発明に記載の特殊有機モノマーの代表の一つである。本発明に記載の脂肪族カルボキシル基及び潜在カルボキシル基官能基を含まないA類修飾剤及びB類修飾剤と、重合反応に必要な官能基を含む環状酸無水物とを反応させて得られたアミド結合生成物も、本発明に記載の特殊有機モノマーの代表の一つである。
【0083】
上記修飾されるマイクロナノ材料を製造するときに、油中水型又は水中油型マイクロエマルジョン系で用いられるモノマーをマイクロエマルジョンに分散させてから重合し、又はポリマー材料の大体積粒子/フィルムを機械的方法により破砕することにより、必要なマイクロナノ材料を得る。マイクロエマルジョン系で分散させてから重合するときに、用いられる特殊な有機モノマーは単独で使用してもよいか又は任意の比例で併用してもよいが、このような特殊な有機モノマー及び重合に必要な架橋剤に由来する重合反応官能基の分散相における総濃度が0.10mol/Lより大きい必要がある。
【0084】
本発明は、上記修飾されるマイクロナノ材料表面を親水性物質で共有結合修飾した生成物をさらに開示する。該生成物は、単層及び多層共有結合修飾生成物を含む。表面にカルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を有するマイクロナノ材料表面を修飾されるマイクロナノ材料とし、この修飾されるマイクロナノ材料表面のカルボキシル基及び潜在カルボキシル基を活性エステルに変換し、さらに脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む親水性化合物及び/又はポリマーと修飾剤としてアミド結合を形成することで共有結合修飾を行うことにより、単層共有結合修飾生成物を得る。親水性物質による共有結合修飾生成物の表面に上記活性エステルを繰り返して形成し、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む親水性化合物及び/又は親水性ポリマーを修飾剤としてアミド結合を繰り返して形成することにより多層共有結合修飾生成物を得る。このような共有結合修飾過程は、材料表面の非特異的吸着を減少させ、多層修飾により生体分子の固定に必要なフレキシブルアームを提供することを目的とする。上記修飾過程は、強い適応性を有し、所望の表面官能基に応じて必要な共有結合修飾の総数及び最後のステップに用いられる修飾剤を確定することができる。
【0085】
本実施例において、上記共有結合修飾生成物の表面において、最終的に、カルボキシル基、潜在カルボキシル基、活性エステル、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、金属イオンキレート官能基、タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1つ又はそれらの混合物を得る。これらの官能基により、上記共有結合修飾生成物と他の物質とが共有結合付加物又は可逆複合物を形成することができる。
【0086】
本発明は、上記マイクロナノ材料表面を親水性物質で共有結合修飾した生成物の製造方法をさらに開示する。該方法は以下のステップa〜cを含む。
【0087】
ステップaにおいて、上記マイクロナノ材料の表面にカルボキシル活性エステルを生成する。即ち、表面にカルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を有するマイクロナノ材料を修飾されるマイクロナノ材料とし、その表面のカルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基を活性エステルに変換する。上記マイクロナノ材料は、少なくとも1つの次元のサイズが100μm以下の有機ポリマー、有機ポリマーと有機又は無機マイクロナノ材料との複合物であり、2種類の形状を含む。一つは、粒子径が100μm未満の粒子であり、球状又はほぼ球形であり得る。もう一つは、厚さが100μm未満の薄膜(薄膜の面積に制限がない)であり、遊離の薄膜又は他の様々な形状の固体の表面に付着された薄膜であり得る。
【0088】
ステップbにおいて、ステップaにより表面活性エステルが得られたマイクロナノ材料に対して、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む親水性化合物又は親水性ポリマーを修飾剤として、アミド結合を形成することにより共有結合修飾を実現する。
【0089】
上記修飾過程において、一般には、マイクロナノ材料表面の潜在カルボキシル基を脂肪族カルボキシル基に変換し、乾燥させた後、不活性有機溶媒においてDCC及びNHSで反応を行って活性エステルを生成し;CDI又はTPGにより活性エステルに直接変換し;或いは、pH 5.0〜8.0の無機緩衝液又は无脂肪族第一級アミン及び第二級アミンの有機緩衝液中においてEDCとNHS又はSNHSで材料表面のカルボキシル基を活性エステルに変換する。マイクロナノ材料表面アミノ基若しくはヒドロキシル基のような潜在カルボキシル基、又は加水分解により得られたヒドロキシル基又はアミノ基を、不活性有機溶媒中においてCDI又はTPGによりその活性エステルに直接変換する。
【0090】
材料表面のカルボキシル基及び潜在カルボキシル基が活性エステルに変換した場合、そのまま次の修飾に使用されればよい。
【0091】
本発明を実現するためには、必ずマイクロナノ材料を分離する必要がある。上記マイクロナノ材料が粒子である場合に、遠心分離又は限外濾過分離が好適である。粒子の密度及び体積に基づいて分離に必要な遠心力を確定し、粒子の体積に基づいて用いられる限外濾過膜の分画分子量を確定する。薄膜である場合に、面積が大きい又は付着した固体の体積が大きい薄膜は、機械的操作で分離する一方、面積が小さ過ぎる又は付着した固体の体積が小さ過ぎる薄膜は、遠心分離又は限外ろ過によって分離する。様々な形状の磁性材料については、外部磁気による分離、即ち、磁気分離も適用する。
【0092】
本実施例において、ステップbは、ステップb1?ステップb3を含む。
【0093】
ステップb1において、表面が活性エステルであるマイクロナノ材料に対して、含脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む親水性化合物又は親水性ポリマーを修飾剤として使用し、アミド結合を形成することにより共有結合修飾を行う。
【0094】
ステップb2において、ステップb1で共有結合修飾されたマイクロナノ材料に対して、その表面に含まれるカルボキシル基及び潜在カルボキシル基を誘導化して活性エステルに変換し、或いは潜在カルボキシル基を活性エステルに直接変換する。本発明において、ステップb1で用いられる脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む修飾剤と材料表面の活性エステルとを摂氏-20〜+40度で反応させ、アミド結合を形成することによりマイクロナノ材料表面に対して共有結合修飾を行うと共に、再度カルボキシル基又はその活性エステルを生成する。ここで、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む親水性化合物又は親水性ポリマーは修飾剤であり、分子量が500ダルトン未満の物質は化合物、分子量が500ダルトン以上の物質はポリマーと称される。
【0095】
ステップb3において、必要な共有結合修飾層の層数に応じてステップb1及びステップb2を繰り返す。ステップb3は、多層修飾過程であり、ステップb1及びb2を繰り返すことで表層に活性エステルを繰り返して生成すればよい。必要な親水性修飾剤を順次選択し、表面の非特異的吸着を減少させるのに必要な多層共有結合修飾を得るまで、上記多層共有結合修飾の過程を繰り返して行うことで、選択された修飾剤の共有結合修飾層数を増加させる。
【0096】
本実施例において、以下のステップcをさらに含む。
【0097】
ステップcにおいて、ステップb3によって最後の共有結合修飾をした後、マイクロナノ材料の表面にカルボキシル基、潜在カルボキシル基、カチオン、アニオン、中性親水性官能基、活性エステル、キレート化金属イオン官能基、タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の1つ又は複数を得る。キレート化金属イオン官能基は、キレート化金属イオンNi2+及びCu2+官能基である。必要な修飾層数に達したときに共有結合修飾を終了する。最後の修飾の必要に応じて材料表面に必要な官能基を生成する。なお、上記ステップに従って一層目の修飾をした後、表面の潜在カルボキシル基をカルボキシル化せずに上記ステップの方法に従って共有結合修飾を終了すると、単層の修飾生成物を得る。
【0098】
ステップcにおいて、タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基を得るときに、該官能基は以下の特徴を有する。
【0099】
上記タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基は、チオール基とMichael付加及び/又は求核置換反応を発生できる2つの活性官能基を含み、また、他の成分をさらに含むことにより、アミド結合の接続に必要なカルボキシル基を生成する。上記2つの活性官能基の間隔は10個の共有結合以下である。
【0100】
チオール基とMichael付加反応を発生する活性基は、アクリロイル基、ビニルスルホン基であるR
1-CH=CH-SO
2-R
2である。このような活性基は、単独で作用を発揮する場合、潜在カルボキシル基に該当し、その反応中心がアクリロイル基におけるカルボニル基のβ位、スルホン基のβ位のオレフィン炭素原子である。
【0101】
チオール基と求核置換反応を発生する活性基は、カルボニル基、スルホン基、オレフィン、芳香族環のα位の飽和炭素原子に塩素、臭素、ヨウ素を含む基、トリフルオロ酢酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステルのうちの1つ又は複数のヒドロカルビル基、及びタンパク質チオール基とMichael付加反応を発生することで上記ヒドロカルビル基を生成する基である。このような活性基は、単独で作用を発揮する場合、潜在カルボキシル基に該当する。塩素、臭素、ヨウ素、トリフルオロ酢酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステルは、求核置換反応の脱離基Xである。?核置換反応の反応中心は、対応するカルボニル基、スルホン基、オレフィン、芳香族環のα位の飽和炭素原子である。
【0102】
タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基において、2つのチオール基反応中心を接続する断片は、炭素-炭素単結合で接続される環及びトリアルキル置換基を含まず、五員環、六員環は、共有結合断片とされる場合に、タンパク質チオール基と反応する2つの活性基を環上に同時に結合する。
【0103】
タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基に含まれるマイクロナノ材料を共有結合するためのカルボキシル基を、活性エステル、酸無水物又は酸塩化物に変換した後、マイクロナノ材料表面の第一級アミン及び第二級アミンと反応させることにより、マイクロナノ材料表面に位置するタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基を得る。
【0104】
上記タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基を使用するときに、まず、トリアルキルホスフィンで目的タンパク質表面のジスルフィド結合を空間的に隣接する2つの遊離チオール基に還元し、さらに、マイクロナノ材料表面のタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基における空間的に隣接する2つのタンパク質チオール基と同時に反応させることにより、該タンパク質ジスルフィド結合のサイト選択的共有結合による接続/固定化を実現することができる。
【0105】
上記タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の使用は以下の特徴をさらに有する。タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基に含まれるカルボキシル基と、表面にチオール基及びジスルフィド結合を含まないポリマー/小分子のアミノ基とを共有結合させることで、表面にジスルフィド結合を含むタンパク質に対する選択的修飾試薬又は標識試薬を得る。トリアルキルホスフィンでタンパク質表面のジスルフィド結合を隣接する2つの遊離チオール基に還元した後、上記選択的修飾/標識試薬におけるタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の2つの活性基と同時に反応することにより、共有結合による接続又は標識を実現する。
【0107】
ステップaにおいて、活性エステルは、マイクロナノ材料表面のカルボキシル基及び/又は潜在カルボキシル基に由来する。該活性エステルは、以下のように生成される。即ち、上記マイクロナノ材料表面のカルボキシル基を活性エステルに直接変換し、又はマイクロナノ材料表面の潜在カルボキシル基をカルボキシル基に変換してさらに活性エステルに変換し、又はマイクロナノ材料表面の潜在カルボキシル基を脂肪族ヒドロキシル基及び/又は脂肪族アミノ基に変換してさらにCDI若しくはTPGで活性エステルに変換し、又はマイクロナノ材料表面の潜在カルボキシル基を活性エステルに直接変換する。このような表面活性エステルを長い直鎖アミノ酸と反応させてカルボキシル基を再取得し、又は複数の脂肪族第一級アミンを含む線状ポリアミンと反応させて脂肪族アミノ基に変換し、さらに潜在カルボキシル基及び活性エステル物質と反応させて潜在カルボキシル基を再取得し若しくは環状酸無水物とを反応させてカルボキシル基を再取得することにより、カルボキシル基又は潜在カルボキシル基と修飾されるマイクロナノ材料との間に連結アームを挿入し、さらに誘導により得られた表面カルボキシル基又は潜在カルボキシル基を活性エステルに変換する。
【0108】
ステップbにおいて、用いられる修飾剤は、A類修飾剤及びB類修飾剤を含み、両者の分子量はいずれも3000ダルトン以下である。
【0109】
上記A類修飾剤は、親水性である、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを含む化合物又はポリマーであり、いずれもN,N-ジメチル置換脂肪族第三級アミン、N,N-ジエチル置換脂肪族第三級アミン及びN,N-ジ-n-プロピル置換脂肪族第三級アミンのうちの1つ又は複数を含む。上記A類修飾剤は、A1サブ類修飾剤及びA2サブ類修飾剤に分けられる。A1サブ類修飾剤は、各分子に2つ以上の脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミン及び1つ以上のN,N-ジアルキル置換脂肪族第三級アミン官能基を有する。A2サブ類修飾剤は、1つのみの脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミン、及び1つ以上のN,N-ジアルキル置換脂肪族第三級アミン官能基を有する。
【0110】
A1サブ類修飾剤及びA2サブ類修飾剤のステップbにおける使用態様は、以下の通りである。A1サブ類修飾剤を単独で使用し、又はA1サブ類修飾剤とA2サブ類修飾剤との任意比例の混合物を使用する。修飾するときに、修飾剤に由来する脂肪族第一級アミンと脂肪族第二級アミンとのモル量の合計は、マイクロナノ材料表面の活性エステルのモル量よりも10%以上多い。修飾を終了しない限り、即ち、最後の層の共有結合修飾を行なわない限り、A2サブ類修飾剤はステップb において単独で使用されない。
【0111】
上記B類修飾剤は、親水性である、脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミン的化合物又はポリマーである。B類修飾剤は、いずれもN,N-ジメチル置換脂肪族第三級アミン、N,N-ジエチル置換脂肪族第三級アミン及びN,N-ジ-n-プロピル置換脂肪族第三級アミンのうちのいずれか1種を含まない。B類修飾剤は、B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤、B3サブ類修飾剤、及びB4サブ類修飾剤に分けられる。
【0112】
B1サブ類修飾剤は、線状構造であり、一端が脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミンであり、他端が脂肪族カルボキシル基、又はアミノ基もヒドロキシル基もではない潜在カルボキシル基である。B2サブ類修飾剤は、線状構造であり、両端が脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンである。B3サブ類修飾剤は、線状構造であり、一端が脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミンであり、他端がメトキシ又はエトキシである。B4サブ類修飾剤は、非線状構造であり、少なくとも2つの脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミン、及び不定数の第三級アミン又はアミドを含む。B類修飾剤は、末端基が脂肪族第一級アミンである樹枝状分子Dendrimer、キトサン、ポリマレイン酸無水物と過剰なポリアミン化合物又はポリマーとがアミド結合で接続した誘導体、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンで末端封鎖したポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、プロピレンジアミンで末端封鎖したポリプロピレンイミン、等電点が4.0以上のタンパク質を含む。
【0113】
B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤、B3サブ類修飾剤、及びB4サブ類修飾剤のステップbにおける使用態様は以下の通りである。B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤又はB4サブ類修飾剤の1つを単独で使用し、又は三者の任意比例の混合物を使用する。修飾剤に由来する脂肪族第一級アミンと脂肪族第二級アミンとのモル量の合計は、マイクロナノ材料表面の活性エステルのモル量よりも10%以上多い。B3サブ類修飾剤は、B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤又はB4サブ類修飾剤に由来するアミノ基のモル量を調節するものである。修飾を終了しない限り、即ち、最後の層の共有結合修飾を行なわない限り、B3サブ類修飾剤はステップb において単独で使用されない。
【0114】
例えば、最後の修飾にあたっては、一端が脂肪族カルボキシル基であるB1サブ類修飾剤のみを使用する場合、カルボキシル官能基を直接得る。最後の修飾にあたっては、A2サブ類修飾剤のみを使用する場合、修飾剤に由来する第三級アミンを弱カチオン官能基として直接得る。最後の修飾にあたっては、B3サブ類修飾剤のみを使用する場合、修飾剤に由来する中性親水性表面を直接得る。
【0115】
最後の修飾にあたっては、一端がカルボキシル基であるB1サブ類修飾剤、A2サブ類修飾剤及びB3サブ類修飾剤のうちの1つ又は三者の任意比例の混合物のみを修飾剤として使用しない限り、材料表面に第一級アミン、第二級アミン官能基を直接得ることで水溶液には弱カチオンとなる。このような第一級アミン、第二級アミンを環状酸無水物で再修飾してカルボキシル基を得、又は不活性有機溶媒においてハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシジル-コハク酸モノエステルの活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン活性エステル、4-テトラアルデヒド酸活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステルのうちの1つ又は任意比例の混合物で修飾して、対応する潜在カルボキシル基を得る。
【0116】
最後の修飾にあたっては、一端がカルボキシル基であるB1サブ類修飾剤、A2サブ類修飾剤及びB3サブ類修飾剤のうちの1つ又は三者の任意比例の混合物のみを修飾剤としてしない限り、まず、ハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシドールとコハク酸無水物との反応生成物である活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン活性エステル、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステルのうちの1つ又は任意比例の混合物で残りのアミノ基をブロックし、次いで、1,3-プロパンスルトンを加えて修飾することで、両性イオン対及び残りのアミノ基のブロッキングに用いられる活性エステルに由来する潜在カルボキシル基を得、さらに必要な官能基を変換する。
【0117】
最後の修飾にあたっては、一端がカルボキシル基であるB1サブ類修飾剤、B3サブ類修飾剤のうちの1つ又は両者の任意比例の混合物のみを修飾剤として使用しない限り、トリフルオロメタンスルホン酸メチル/エチル/n-プロピル若しくはヨードメタン又はそれらの任意比例の混合物によって、不活性有機溶媒中で表面の第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンを修飾することにより、強カチオン官能基を得る。
【0118】
最後の修飾にあたっては、一端がカルボキシル基であるB1サブ類、A2又はB3サブ類修飾剤のうちの1つ又は三者の任意比例の混合物のみを修飾剤として使用しない限り、表面の残りの脂肪族第一級アミン/第二級アミンに対してCDIでアミノ基をカルボニルイミダゾールに活性化させ、又はTPGで混合酸無水物に活性化させ、さらにN,N-ジカルボキシメチルリジン又はN-カルボキシメチルグリシンで修飾することにより、キレート化金属イオンNi?
2+及びCu?
2+官能基を得る。修飾を終了し、必要な方法でマイクロナノ材料表面に脂肪族カルボキシル基を生成した後、DCC及びNHS、SNHS又はp-ニトロフェノールの1つを使用して活性エステルを生成し、第一級アミン及び第二級アミンを含まない中性緩衝液にN,N-ジカルボキシメチルリジン又はN-カルボキシメチルグリシンを加えて修飾することにより、キレート化金属イオンNi?
2+及びCu?
2+官能基を得る。
【0119】
ステップb におけるA類修飾剤とB類修飾剤との併用態様は、以下の通りである。両者は任意の比例で併用される。修飾剤に由来する脂肪族第一級アミンと脂肪族第二級アミンモル量との合計は、マイクロナノ材料表面の活性エステルのモル量よりも10%以上多い。修飾を終了しない限り、即ち、最後の層の共有結合修飾を行なわない限り、ステップbにおいて、A2サブ類修飾剤及びB3サブ類修飾剤のみからなる任意比例の混合物は使用されない。
【0120】
A1サブ類修飾剤及びA2サブ類修飾剤の代表構造の模式図は以下である。
【0121】
B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤、B3サブ類修飾剤の代表構造の模式図は以下である。
本実施例において、上記A類修飾剤は、A3サブ類修飾剤、A4サブ類修飾剤、A5サブ類修飾剤及びA6サブ類修飾剤をさらに含む。
【0122】
上記A3サブ類修飾剤は、局所の両性イオン対構造を含み、且つ活性エステルと反応可能な脂肪族第一級アミン及び/又は脂肪族第二級アミンを2つ以上、又は活性エステルと反応可能な脂肪族第一級アミン又は第二級アミンを1つのみ及びカルボキシル基若しくは潜在カルボキシル基を少なくとも1つを含む。
【0123】
上記A4サブ類修飾剤は、局所の両性イオン対構造を含み、且つ活性エステルと反応可能な脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミンを1つのみ含み、カルボキシル基又は潜在カルボキシル基を含まない。修飾を終了しない限り、即ち、最後の層の共有結合修飾を行なわない限り、A4サブ類修飾剤はステップbにおいて単独で使用されない。
【0124】
A1サブ類修飾剤の脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミンをBocで保護し、第三級アミノ基と1,3-プロパンスルトンとを反応させて両性イオンを生成し、次いでBoc保護を解除することにより、A3サブ類修飾剤を得る。A3サブ類修飾剤の代表構造の模式図は以下である。
【0125】
A2サブ類修飾剤の脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミンをBocで保護し、第三級アミノ基と1,3-プロパンスルトンとを反応させて両性イオンを生成し、次いでBoc保護を解除することにより、A4サブ類修飾剤を得る。A4サブ類修飾剤の代表構造の模式図は以下である。
【0126】
上記A5サブ類修飾剤は、アニオンサブ類修飾剤であり、A6サブ類修飾剤は、カチオンサブ類修飾剤である。A5サブ類修飾剤は、1つ又は複数のスルホン酸及び/又はリン酸アニオンを有し、且つA5サブ類修飾剤のうちに、1つの脂肪族第一級アミン者を同時に含むものはA5-1とされ、複数の脂肪族第一級アミン者を同時に含むものはA5-2とされる。A6サブ類修飾剤は、1つ又は複数の第四級アミン又は第三級アミンカチオンを有し、且つA6サブ類修飾剤のうちに、1つの脂肪族第一級アミンを同時に含むものはA6-1とされ、複数の脂肪族第一級アミンを同時に含むものはA6-2とされる。A5サブ類修飾剤とA6サブ類修飾剤を共有結合修飾に併用してイオン対修飾層を得る。A5サブ類修飾剤の代表構造の模式図は以下である。
【0127】
A6サブ類修飾剤の代表構造の模式図は以下である。
【0128】
ステップbにおけるA3サブ類修飾剤の使用態様は、以下の通りである。A3サブ類修飾剤は単独で使用され、又はA1サブ類、A2サブ類、A4サブ類、B1サブ類、B2サブ類及びB3サブ類修飾剤の1つ若しくは全部と任意の比例で併用される。混合物修飾剤におけるA1サブ類、A3サブ類、B1サブ類及びB2サブ類修飾剤のモル量の合計が占める比率は10%より大きい必要がある。
【0129】
最後の修飾のみにおいて、A4サブ類修飾剤を単独で使用し、両性イオン修飾表面を得る。
【0130】
ステップbにおけるA4サブ類修飾剤の使用態様は、以下の通りである。A4サブ類修飾剤は、A1サブ類修飾剤、A3サブ類修飾剤、B1サブ類修飾剤、B2サブ類修飾剤及びB4サブ類修飾剤の1つ又は全部と任意の比例で併用される。混合修飾剤におけるA1サブ類、A3サブ類、B1サブ類、B2サブ類及びB4サブ類修飾剤のモル量の合計が占める比率は10%より大きい必要がある。
【0131】
ステップbにおけるA5サブ類及びA6サブ類修飾剤の使用態様は、以下の通りである。A5サブ類修飾剤とA6サブ類修飾剤とを併用し、且つ混合物におけるA5サブ類修飾剤に由来するスルホン酸及び/又はリン酸アニオンがA6サブ類修飾剤に由来する第四級アミン及び第三級アミンカチオンと等量である。A5-2及びA6-2サブ類修飾剤を使用しない場合に、モル比が10%以上のA3又はB3サブ類修飾剤を加える。
【0132】
修飾するときに、表面が活性エステルであるマイクロナノ材料を約pH 6.0の水溶液に懸濁させ、修飾剤混合物を加え、室温で10分間以上反応させ、或いは、修飾剤を不活性有機溶媒に懸濁させた状態で複合材料表面の活性エステルと10分間以上反応させ、或いは、表面がカルボキシルである複合材料を約pH 6.0の水溶液中に懸濁させ、EDCでカルボキシル基を活性化させた後、過剰な活性化剤を除去し、修飾剤混合物を加え、10分間以上懸濁反応させ、潜在カルボキシル基をカルボキシル基又はその活性エステルに変換し、又は共有結合修飾を終了する。
【0133】
本実施例において、ステップb1では、任意の上記修飾剤及びその任意比例の混合物を使用する場合に、マイクロナノ材料表面の活性エステルがCDI又はTPG誘導体に由来する場合、不活性有機溶媒若しくは中性水溶液又は両者の混合溶媒中で10分間以上懸濁反応させることで修飾を行う。そうでない場合、不活性有機溶媒で10分間以上懸濁反応させることで修飾を行い、遠心分離又は限外ろ過により修飾後のマイクロナノ材料を分離する。
【0134】
ステップb1において、A2サブ類修飾剤若しくはB3サブ類修飾剤又はこれらのサブ類修飾剤の任意比例の混合物を使用しない限り、不活性有機溶媒中でハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシジル-コハク酸モノエステルに対応する活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン活性エステル、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステルのうちの1つ又は任意比例の混合物と、修飾された材料表面の第一級アミン及び第二級アミンとを反応させて潜在カルボキシル基を得る。活性エステルのモル量は、マイクロナノ材料表面の反応可能なアミノ基よりも10%以上多い。生成したハロゲン化炭化水素、Tsエステル、エポキシ又はトリフルオロアセチルアミノ基は潜在カルボキシル基である。修飾されたマイクロナノ材料を分離する。
【0135】
ステップb2において、前のステップの共有結合修飾過程でA1サブ類修飾剤及び/又はA2サブ類修飾剤を使用した場合に、不活性有機溶媒で、ハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシジル-コハク酸モノエステルに対応する活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン活性エステル、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステルのうちの1つ又は任意比例の混合物で材料表面の残りの脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミンをブロックした後、不活性有機溶媒中で修飾後の材料表面のジアルキル置換第三級アミンのモル量より20%以上多い1,3-プロパンスルトンで表面のA1サブ類修飾剤及びA2サブ類修飾剤に由来するアルキル第三級アミンを、第四級アミンとスルホン酸とが隣接する両性イオン修飾層に変換する。遠心分離、限外ろ過又は機械的操作により修飾後のマイクロナノ材料を分離する。材料表面の潜在カルボキシル基官能基を脂肪族カルボキシル基に変換した後、活性化させ、次の共有結合修飾に使用する。
【0136】
ステップb2において、前のステップの共有結合修飾過程でA1又はA2サブ類修飾剤を使用しなかった場合に、不活性有機溶媒中で、ハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシジル-コハク酸モノエステルに対応する活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン活性エステル、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステルのうちの1つ又は任意比例の混合物で材料表面の残りの脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミンにブロックした後、材料表面の潜在カルボキシル基を脂肪族カルボキシル基に変換して再活性化させ、或いは、CDI又はTPGを用いて置換ホルミルイミダゾール又は混合酸無水物を活性エステルとして得る。
【0137】
ステップcにおいて、前の共有結合修飾過程で、一端が脂肪族アミノ基、他端が脂肪族カルボキシル基であるB1サブ類修飾剤のみを使用する場合に、表層脂肪族カルボキシル基を直接得る。B2サブ類修飾剤、B4サブ類修飾剤のうちの1つ又は任意比例の混合物を使用する場合に、不活性有機溶媒中で、ハロ酢酸活性エステル、N-ブロモアセチル-6-アミノカプロン酸活性エステル、O-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシジル-コハク酸モノエステルに対応する活性エステル、N-トリフルオロアセチルグリシン、4-テトラアルデヒド酸の活性エステル、S-アセチルチオール酢酸活性エステルのうちの1つ又は任意比例の混合物を用いて、修飾後の材料表面の脂肪族第一級アミン及び脂肪族第二級アミンと反応させることにより、対応するハロゲン化炭化水素、Tsエステル、エポキシ基、トリフルオロアセチルアミノ基、アルデヒド基、保護チオール基のうちの1つ又は混合表面官能基を生成する。ここで、活性エステルのモル量がマイクロナノ材料表面の反応可能なアミノ基よりも10%以上多い。
【0138】
ステップcにおいて、前の共有結合修飾過程で、A2サブ類修飾剤を単独で使用し、アルキル置換第三級アミンのカチオン表面官能基を得る。さらに、過剰な1,3-プロパンスルトンで表面のA2サブ類修飾剤のアルキル第三級アミンを、第四級アミンがスルホン酸と隣接する両性イオンに変換すると、両性イオンを表面官能基として得る。B3サブ類修飾剤を単独で使用で使用する場合、中性の親水性表面官能基を得る。
【0139】
本実施例において、ステップaの前に上記マイクロナノ材料を製造するための重合反応及び用いられるモノマーは以下の特徴を有する。
【0140】
I.マイクロエマルジョン系を用いて、ラジカル重合反応により上記マイクロナノ材料を製造する。
【0141】
油中水型であるW/Oマイクロエマルジョンを用いる場合に、特殊な有機モノマー及び架橋剤は、アクリル酸、桂皮酸ナトリウム、N-アクリロイルエタノールアミン、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-アクリロイルセリン、N-アクリロイルグルタミン酸、N,N-ビスアクリロイルリジン;及び上記各親水性修飾剤とアクリル酸活性エステル、マレイン酸無水物、臭化アリル、アリルアルコールTsエステル、N-マレオイルエタノールアミンの活性エステル、N-ブロモアセチル-N’-マレオイルエチレンジアミンの活性エステルとの反応誘導体を含むが、これらに限定されない。これらの特殊な有機モノマーは、単独で使用してもよか、又は任意の比例で併用してもよいが、重合系における、特殊な有機モノマー及び架橋剤に由来する重合可能な二重結合の総濃度が0.1mol/L以上である必要がある。これらの特殊有機モノマー及び架橋剤の溶解度が不十分である場合に、その共有結合構造に両性イオンを導入することにより分散相における溶解度に対する要求を満たす。
【0142】
水中油型であるO/Wマイクロエマルジョンを用いる場合に、特殊な有機モノマー及び架橋剤は、フェニルアリルアルコール、桂皮酸、フェニルアリルアミン、N-リノレオイルセリン、N,N-ビスリノレオイルリジン、N-リノレオイルエタノールアミン、N,N’-ビスアクリロイルジアミノオクタン、3-n-オクタノイルオキシ-桂皮酸、3-リノレオイルオキシ-桂皮酸、N,N’-ジシンナモイル-1,8-ジアミノオクタンを含むが、これらに限定されない。これらの特殊な有機モノマー及び架橋剤は、単独で使用してもよか、又は任意の比例で併用してもよいが、重合系における、特殊な有機モノマー及び架橋剤に由来する重合可能な二重結合の総濃度が0.1mol/L以上である必要がある。上記特殊な有機モノマー及び架橋剤の共有結合構造に長い脂肪鎖を導入してその脂溶性を増加させることにより、その分散相における溶解度に対する要求を満たす。
【0143】
過酸化物分解より重合を開始する場合に、モノマー、架橋剤、開始剤、及び必要に応じてマイクロナノ粒子を対応する溶媒に加え、所定の比例で混合した後、マイクロエマルジョン系に分散させ、さらに触媒の溶液をマイクロエマルジョン系のモノマー相に分散させ、昇温して重合反応を加速する。アゾ系開始剤を用いる場合に、過酸化物開始剤の場合と同様に操作してもよいか、又は重合に必要な物質を摂氏30度以下で均一に混合した後マイクロエマルジョン系に分散させ、次いで昇温して重合反応を開始させる。
【0144】
II.マイクロエマルジョン系を用いて、求核置換反応により上記マイクロナノ材料を製造する。
【0145】
架橋剤は、複数の求核性基を提供するもの及び複数の脱離基を提供するものの2種類に分けられる。重合時に、そのうちの1種を単独で使用してもよいか、又は2種類の架橋剤を併用してもよい。エピクロルヒドリンは、モノマーに加え、架橋剤としても適用される。
【0146】
W/Oマイクロエマルジョンを使用する場合に、特殊な有機モノマー及び架橋剤は、求核性基を提供するリジン、オルニチン、及び上記複数の脂肪族第一級アミン及び/又は第二級アミンを含む修飾剤を含むが、これらに限定されない。脱離基を提供する特殊な有機モノマー及び架橋剤は、N,N-ビスブロモアセチルリジン、N,N-ビスブロモアセチルオルニチン;及び上記複数の脂肪族第一級アミン及び/又は第二級アミンを含む修飾剤と、過剰なハロ酢酸活性エステル又はO-Tsヒドロキシ酢酸活性エステル、グリシドールとコハク酸無水物モノエステルとの活性エステルとの反応誘導体を含む。特殊な有機モノマー及び架橋剤に両性イオンを導入して水溶性を向上させることにより、その分散相における溶解度に対する要求を満たす。これらの特殊な有機モノマーは、重合体系において単独で使用してもよいか、又は2つ以上を任意の比例で併用してもよいが、重合系における、特殊な有機モノマー及び架橋剤に由来する重合反応官能基の総濃度が0.1mol/L以上である必要がある。特殊な有機モノマー及び架橋剤の代表構造の模式図は以下である。
【0147】
O/Wマイクロエマルジョンを使用する場合に、モノマー及び架橋剤は、4-ヒドロキシ-1,8-ジアミノオクタン、N,N’-ビスブロモアセチル-4-ヒドロキシ-1,8-ジアミノオクタン、エピクロルヒドリン、グリセリン酸-ビス-p-トルエンスルホン酸エステルを含むが、これらに限定されない。必要なモノマー及び架橋剤に長い脂肪鎖を導入することでその脂溶性を向上させる。重合反応時に、モノマーは、単独で使用してもよいか、又は2つ以上を任意の比例で併用してもよい。特殊な有機モノマー及び架橋剤の代表構造の模式図は以下である。
【0148】
重合時に、モノマー及び架橋剤を所定の比例で混合し、必要に応じてマイクロナノ粒子を加え、マイクロエマルジョン系に分散させる。W/Oマイクロエマルジョンに弱塩基、例えばNaCO3水溶液を加え、O/Wマイクロエマルジョンに有機塩基であるトリ-n-ブチルアミンを加えてマイクロエマルジョン系に分散させ、室温で1時間以上重合させることにより、上記マイクロナノ材料を得る。
【0149】
III.マイクロエマルジョン系を用いれ、アミド縮合重合、イソシアネート又はイソチオシアネート重合により製造する。
【0150】
W/Oマイクロエマルジョンを用いるアミド縮合重合反応において、特殊な有機モノマー及び架橋剤は、セリン、1,4-ジアミノ2-ブタノール、1,4-ジアミノ2-酪酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン、オルニチン、ポリマレイン酸無水物を含むが、これらに限定されない。このような特殊な有機モノマーにおける潜在カルボキシル基官能基は、親水性修飾剤における潜在カルボキシル基官能基と同じであり、且つ水中における溶解度が要求を満たしやすい。用いられる特殊な有機モノマーを均一に混合した後W/Oマイクロエマルジョンの水相に分散させ、EDC水溶液を加えてアミド縮合重合を促進することにより、上記マイクロナノ材料を得る。
【0151】
O/Wマイクロエマルジョンを用いるアミド縮合重合反応において、特殊な有機モノマー及び架橋剤は、4-ヒドロキシ-1,8-スベリン酸、4-ヒドロキシ-1,8-ジアミノオクタン、N-ステアロイルリジン、N-ステアロイルグルタミン酸を含むが、これらに限定されない。それらの油相における溶解度は、いずれも重合反応官能基の総濃度に対する要求を満たすことができる。上記特殊な有機モノマー及び架橋剤における潜在カルボキシル基官能基は、アルキル第一級アルコールトリフルオロ酢酸エステル、脂肪族カルボン酸p-ニトロフェノールエステルを含む。用いられるモノマーを均一に混合した後、DCCを加えて脱水することでアミドに縮合重合することにより、上記マイクロナノ材料を得る。
【0152】
O/Wマイクロエマルジョン及びポリイソシアネートモノマーを用いて重合反応を行う場合に、1,7-ジヒドロキシ-4-(N-ブロモアセチル)-ヘプタミン、トリヒドロキシメチル-(6-(N-ブロモアセチル)-アミノヘキサノイル)-アミノメタンは、ポリヒドロキシルモノマーの代表であり、1,4-フェニルジイソシアネートは、ポリイソシアネートモノマーの代表である。トリフルオロ酢酸エステル、脂肪酸p-ニトロフェノールエステルは、特殊な有機モノマーにおける潜在カルボキシル基官能基として適用される。まず、ポリイソシアネート以外の特殊な有機モノマーを均一に混合し、ポリイソシアネートを加えて反応を開始させることにより、上記マイクロナノ材料を得る。
【0153】
O/Wマイクロエマルジョン及びポリイソチオシアネートモノマーを用いて重合反応を行う場合に、1,8-ジアミノオクタン、4-ヒドロキシ-1,8-ジアミノオクタン、1,7-ヘプタンジアミンは、ポリアミノモノマーの代表であり、1,4-フェニルジイソチオシアネートは、ポリイソチオシアネートモノマーの代表である。トリフルオロ酢酸エステル、脂肪酸p-ニトロフェノールエステルは、特殊なモノマーにおける潜在カルボキシル基官能基として適用される。まず、ポリイソチオシアネート以外のモノマーを均一に混合し、ポリイソチオシアネートを加えて反応を開始させることにより、上記マイクロナノ材料を得る。
【0154】
IV.上記マイクロナノ薄膜を製造するときに、用いられるモノマー混合物を陥入型容器又は必要な形状を有する固体の表面に移転し、次いでマイクロナノ粒子の製造と類似する方式により重合反応を開始させ、加速する。
【0155】
本発明において、重合反応により上記マイクロナノ材料を製造する時に、適用な重合反応及びモノマーは、以下の特徴をさらに有する。
【0156】
(一)複合マイクロナノ材料を製造するときに加えるマイクロナノコアは、磁性ナノ粒子、量子ドット、アップコンバージョン発光粒子、金属ナノ粒子、水若しくは炭化水素系溶媒に不溶する有機蛍光粒子、又は上記粒子の混合物を含む。これらのマイクロナノコアは、用いられる重合反応に適合する。つまり、重合後、マイクロナノコアの必要な特性が維持される。このような重合反応に用いられるモノマーは、以下の特徴をさらに有する。
【0157】
(1)ラジカル重合以外の重合反応に用いられるモノマーは、いずれも重合反応に関与する2つ以上の官能基を含む。
【0158】
(2)重合反応系に含まれる上記特殊な有機モノマーの、用いられるモノマーの総量に対するモル比は1%以上であり、且つ各特殊な有機モノマーの対応する分散相における溶解度は、0.010mmol/Lより大きい。
【0159】
(二)上記多層共有結合修飾方法に適用されるマイクロナノ薄膜を製造するときに、マイクロナノ粒子の製造と同様のモノマー及び配合比により、重合される混合物を内部が凹んだ固体の表面又は容器内に薄層となるように敷き、その後、重合反応を開始させる。
【0160】
本実施例において、修飾を終了した後、マイクロナノ材料の表面にタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基を生成し、表面にジスルフィド結合を有するタンパク質に対して、トリアルキルホスフィンにより中性条件下で、ジスルフィド結合を隣接する2つの遊離チオール基に還元し、タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基における隣接する2つの活性基と反応させることにより、タンパク質表面のジスルフィド結合に対するサイト選択固定化を実現する。
【0161】
用いられるタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基の代表構造は以下である。
【0162】
(1)タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基に必要な2つの活性基間に線状の短い連結断片を有する。間隔は、10個の結合以下である。
【0163】
(2)タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基に必要な2つの活性基間にフレキシブル環状連結断片を有する。間隔は、10個の結合以下である。
【0164】
(3)タンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基に必要な2つの活性基間に芳香族環連結断片を有する。間隔は、10個の結合以下である。
【0165】
また、用いられるタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾官能基におけるカルボキシル基は、表面にチオール基及びジスルフィド結合を含まず、特定の活性を有する小分子又は大分子ポリマーのアミノ基と共有結合し、表面にジスルフィド結合を含むタンパク質選択的修飾剤/標識試薬として使用される。使用中、トリアルキルホスフィンにより中性条件下でタンパク質ジスルフィド結合を遊離チオール基に還元し、該タンパク質表面のジスルフィド結合のサイトに対して選択的に修飾、標識又は共价結合を行う。上記表面にチオール基及びジスルフィド結合を含まない大分子ポリマーは、タンパク質、核酸、ペプチド核酸、多糖を含む。
【0166】
以下、磁性ミクロン粒子をマイクロナノ材料として用いて、本発明の実施例及び本発明による有益効果を説明する。
【0167】
JSR-MSP-COOHは、粒子径が1.5μmのカルボキシル磁気ビーズ(JSR(Shanghai)Co., Ltd.)である。Bangs-MSP-COOHは、粒子径が1.0μmのカルボキシル磁気ビーズ(Bangs Laboratories Inc)である。Dynal-MSP-COOHは、粒子径が1.0μmのカルボキシル磁気ビーズ(Thermo-Fisher)である。本発明の代表的な実施過程は以下の通りである。
【0169】
本発明の上記修飾方案の有効性を便利に実証するために、W/Oマイクロエマルジョン系を用いた磁性微粒子(MSP)を上記マイクロナノ材料の代表として用いる。W/Oマイクロエマルジョン系にて磁性流体、マイクロエマルジョン系及びMSPを製造する操作の詳細について、中国特許ZL 201210046309.5(登録日:2014-09-24)を参照されたい。
【0170】
N-ヒドロキシメチルアクリルアミドをモノマー、メチレンビスアクリルアミドを架橋剤、過硫酸カリウムを開始剤、テトラメチルエチレンジアミンを触媒として使用する。MSPの製造は、上記のZL 201210046309.5に記載されているように、逆相マイクロエマルジョンの水相においてラジカル重合して磁性流体を被覆することでMSPを得る。N-ヒドロキシメチルアクリルアミドの水相における濃度は0.4kg/Lである。表面ヒドロキシル基は潜在カルボキシル基である。詳細は実施例7に後述する。得られたMSPで200mg水溶性タンパク質/1g磁気ビーズに対して非特異的吸着 (方法2) を行った結果、緑膿菌アリールスルファターゼ(PAAS)をプローブとする場合に、非特異的吸着は28%であり、大腸菌アルカリホスファターゼ(ECAP) をプローブとする場合に、非特異的吸着は56%である。
【0171】
方法2. MSPの水溶性タンパク質に対する非特異的吸着の測定
【0172】
ECAPは、北京北川飛虹生物科技有限公司から購入される。緑膿菌アリールスルファターゼ(PAAS)は、GenBankの登録番号GI:879288に従ってコード配列を全合成し、pET24aプラスミドを挿入し、N端に6Hisタグを導入し、大腸菌で発現したものである。Ni2+-NTA(北京北川飛虹生物科技有限公司)で精製する(重慶沢恒生物科技有限公司によって操作される)。この2種類の酵素の測定は、1.0mol/LのTris-HCl緩衝液(pH 10.0)を用いて、室温で反応させることで行われる。ECAPの基質は10.0mMの4-ニトロフェニルリン酸エステルであり、PAASの基質は5.0mMの4-ニトロフェニル硫酸エステルである。生成物の405nmでの吸収を測定する。毎分1ミクロモルの生成物を生成する酵素量を一単位とする。ECAP及びPAASの比活性は1200kU/g及び25kU/gである。
【0173】
PolyATract(登録商標)System 1000Stand磁気分離ラック(Promega,Madison,WI,USA)によりMSPを分離する。非特異的吸着を測定するときに、1.50mlのEpendorf管を使用し、5.0μg酵素と25μg MSPとを20mMのTris-HCl緩衝液(pH8)で30min吸着反応させ、反応系は、合計で0.20mlである。MSPを磁気分離し、上記緩衝液を用いて軽く2回洗浄する。MSPを適切に希釈した後、20μlの希釈サンプルを1.50mlのEpendorf管に移転し、磁気分離により上澄みを除去し、上記最終濃度の発色基質を1.0ml加え、軽く振盪しながら室温22℃で30min反応させ、その後、1.0min磁気分離することでMSPを除去し、190μlを取り、そこに新たに調製した10MのNaOH溶液10μlを加えて反応を終了させ、96ウェルプレート及びBiotek ELX 800マイクロプレートリーダーで吸収を測定する。30min反応した後の生成物吸収増加値で酵素活性を示す。
【0174】
方法3. MSPの疎水性小分子に対する非特異的吸着
【0175】
小分子化合物の非特異的吸着は、4-ニトロ-1-ナフチルベンゾエートをモデル(LogPが+3.97であり、逆相HPLC-UVによる測定に便利)とする。4-ニトロ-1-ナフトールと塩化ベンゾイルとを反応させて4-ニトロ-1-ナフチルベンゾエートを製造する。合成した生成物をシリカゲルカラムにより精製した後、逆相HPLCにより測定した結果、240nmで不純物が認められなかった。pH 7.4の10.0mMリン酸?緩衝液中で25g MSPの16及び64Mの4-ニトロ-1-ナフチルベンゾエートに対する非特異的吸着を測定する。
【0176】
操作は、文献(Facile one-step coating approach to magnetic submicron particles with poly(ethylene glycol)coats and abundant accessible carboxyl groups.Int J NanoMed,2013,8:791-807) を参照されたい。30min吸着反応した後、MSPを磁気分離し、緩衝液で1回洗浄し、テトラヒドロフランで溶解させる。Agilent-1100HPLCシステムにより4-ニトロ-1-ナフチルベンゾエートを測定する。条件は、カラム:Elite ODS2C18 (4.6×250mm,5μm);移動相:90%メタノールと水の混合物;速度:0.8ml/min;注入量:20μL;カラム温度:25℃の定温度;検出波長:335nmである。
【0177】
方法4. 磁性微粒子表面のカルボキシル活性エステルの測定
【0178】
1-ナフチルエチレンジアミンは、プローブとされ、その325nmでの吸収係数5.0(mM)-1.cm-1でその水溶液の濃度を校正する。不活性有機溶媒においてDCC及びNHSで、又はpH 6.0のHEPS緩衝液においてEDC及びNHSで複合材料表面のカルボキシル基を活性エステルに活性化される。0.10mgの活性化させたMSPを取り、磁気分離により溶媒を除去し、同溶媒で溶解した0.10mMの1-ナフチルエチレンジアミン溶液0.40mlを加え、室温で4時間回転させながら反応させ、上澄みを20倍希釈し、1-ナフチルエチレンジアミン量の蛍光信号(励起330nm;発光430nm)を測定し、減少したプローブ量でMSP表面に固定化された1-ナフチルエチレンジアミンの量を算出する。カルボキシル基活性化に用いられる溶媒で未活性化のMSPが非特異的に吸着した1-ナフチルエチレンジアミンの量を算出する。1-ナフチルエチレンジアミンの非特異的吸着を除いて、1:1のモル比でMSP表面の活性エステル量に変換する。
【0179】
実施例1. 代表的なA1-1類修飾剤の製造
【0180】
1-1. N,N-ジメチルグリシン活性エステルの合成
テトラヒドロフラン(THF)に飽和ジメチルグリシン(DMG)、NHS及びDCC(モル比1:1:1)を加え、室温で撹拌しながら一晩反応させた後、沈殿をろ過により除去し、上澄みを20倍減圧濃縮した後、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、次いで最低量の熱THFに溶解し、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させることにより、N,N-ジメチルグリシン活性エステル(DMG-CO-NHS)を得る。
【0181】
1-2. ペンタエチレンヘキサミンビスBoc保護第一級アミンの合成
ペンタエチレンヘキサミンをジメチルホルムアミド(DMF) に飽和に溶解し、2倍のモル量のピロ炭酸ジ-tert-ブタノールエステル(Boc-O-Boc)を加え、室温で撹拌しながら60min反応し、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、最低量のDMFに新たに溶解し、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させることにより、主に両端の第一級アミンがビスBocで保護されたペンタエチレンヘキサミンを得る。
【0182】
1-3. ビスBoc保護ペンタエチレンヘキサミンとN,N-ジメチルグリシン活性エステルとの反応
DMFにビスBoc保護ペンタエチレンヘキサミンを飽和に溶解し、TH Fに飽和に溶解したN,N-ジメチルグリシン活性エステル(1:4.1)を加え、室温で撹拌しながら120min反応させた後、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、沈殿を最低量の熱DMFに溶解し、室温に冷却した後、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させることにより、1,16-ビスBoc-4,7,10,13-テトラ-(N,N-ジメチルグリシル)-ペンタエチレンヘキサミンを得る。
【0183】
1-4. 修飾剤A1-1の製造
1,16-ビスBoc-4,7,10,13-テトラ-(N,N-ジメチルグリシル)-ペンタエチレンヘキサミンを、1.0MのHClを含有するHAcで溶解し、室温で撹拌しながら2.0時間反応させた後、大量の沈殿が析出するまで10MのNaOH溶液を加え、次いで最低量の1.0MのHCl溶液に溶解し、大量の沈殿が析出するまで10MのNaOH溶液を加える。酸で溶解した後塩基で沈殿を析出させる過程を、合計3回繰り返すことにより、目的修飾剤A1-1を得る。反応経路を
図1に示す。
【0184】
実施例2. 代表的なA2-3類修飾剤の製造
【0185】
2-1. N-Boc保護アミノ酸活性エステルの合成
アミノ基が末端にある炭素数が6以下の直鎖アミノ酸(グリシン、3-アミノプロピオン酸、4-アミノ酪酸、5-アミノバレリアン酸又は6-アミノカプロン酸)を室温の水に飽和に溶解し、THFに飽和に溶解した、2倍のモル量のピロ炭酸ジ-tert-ブタノールエステル(Boc-O-Boc)を加え、室温で撹拌しながら2.0時間反応させた後、大量の沈殿が析出するまでイソプロパノールを加え、最低量のDMFに新たに溶解し、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、2回を繰り返してN-Boc保護アミノ酸を得る。最後に、DMFに飽和に溶解したN-Boc保護アミノ酸にDCC及びNHS(モル比1:1:1)を加え、室温で撹拌しながら一晩反応させる。次いで、沈殿をろ過により除去し、上澄みにジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、最低量の熱DMFに溶解し、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させる。DMFに溶解した後ジエチルエーテルで析出する過程を、合計3回繰り返すことにより、N-Boc保護アミノ酸活性エステルを得る。
【0186】
2-2.N-Bocアミノアシル-Trisの合成
トリヒドロキシメチルアミノメタンを水に飽和に溶解し、塩酸を加えてpHを5.8〜6.5に調節する。DMFに飽和溶解したN-Boc保護アミノ酸活性エステルを滴下し、室温で撹拌しながら一晩反応させ、塩酸を加えてpHを5.0に調節し、クロロホルムで複数回抽出した後、有機?を合併し、乾燥させ、クロロホルムを除去し、次いで、室温の大量水に飽和に溶解し、クロロホルムで複数回抽出した後、有機?を合併し、乾燥させ、溶媒を除去することにより、N-(N’-Boc-アミノアシル)-トリヒドロキシメチルアミノメタンを得る。
【0187】
2-3.N-(N’-Boc-アミノアシル)-トリヒドロキシメチルアミノメタンとN,N-ジメチルグリシン活性エステルとの反応
N-(N’-Boc-アミノアシル)-トリヒドロキシメチルアミノメタンをTHFに飽和に溶解し、乾燥させた後、3倍のモル量のNaHを加え、室温で水分と空気を隔離する条件下、2時間撹拌し、THFに飽和に溶解したN,N-ジメチルグリシン活性エステルを加え、室温で一晩反応させる。減圧濃縮した後、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、さらに最低量のTHFに溶解し、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させる。THFに溶解し、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させる過程を3回繰り返すことにより、N-(N’-Boc-アミノアシル)-トリ-(O-(N,N-ジメチルグリシル))-トリヒドロキシメチルアミノメタンを得る。
【0188】
2-4. 修飾剤A2-3の製造
N-(N’-Boc-アミノアシル)-トリ-(O-(N,N-ジメチルグリシル))-トリヒドロキシメチルアミノメタンを、1.0MのHClを含有する酢酸溶液に溶解し、室温で撹拌しながら3時間反応させ、大量の沈殿が析出するまで10Mの冷NaOH溶液を加える。沈殿を10mMのHCl溶液に溶解し、さらに大量の沈殿が析出するまで10Mの冷NaOH溶液を加える。酸による溶解及び塩基による沈殿析出の過程を、合計3回くり変えることにより、修飾剤A2-3を得る。反応経路を
図2に示す。
【0189】
実施例3. 代表的なA3-1類修飾剤の製造
【0190】
3-1. 1,16-ビスBoc-4,7,10,13-テトラ-(N,N-ジメチルグリシル)-ペンタエチレンヘキサミンと1,3-プロパンスルトンとの反応
実施例1のステップ1-3で得られた1,16-ビスBoc-4,7,10,13-テトラ-(N,N-ジメチルグリシル)-ペンタエチレンヘキサミンをDMFに飽和に溶解し、4倍のモル量の1,3-プロパンスルトンを加え、50℃で5.0時間反応させ、THFを加え、析出した沈殿を収集する。THFで沈殿を繰り返して洗浄することにより、Boc-保護修飾剤A3-1を得る。
【0191】
3-2. 修飾剤A3-1の製造
前のステップの沈殿を1.0MのHClを含有する酢酸溶液に溶解し、室温で撹拌しながら2.0時間反応させ、減圧蒸留により濃縮させた後、アセトンを加えて沈殿を析出させ、水に溶解した後、アセトンで沈殿を析出させる過程を3回繰り返すことにより、修飾剤A3-1を得る。
【0193】
実施例4. 代表的なA4-3類修飾剤の製造
【0194】
4-1. N-(N’-Boc-アミノアシル)-トリ-(O-(N,N-ジメチルグリシル))-トリヒドロキシメチルアミノメタンと1,3-プロパンスルトンとの反応
実施例2のステップ2-3で得られたN-(N’-Boc-アミノアシル)-O-(N,N-ジメチルグリシル)-トリヒドロキシメチルアミノメタンをDMFに飽和に溶解し、3倍のモル量の1,3-プロパンスルトンを加え、50℃で5.0時間反応させ、THFを加え、析出した沈殿を収集する。水に溶解し、THFを加えて沈殿を析出させる過程を3回繰り返すことにより、N-Boc保護A4-3修飾剤を得る。
【0195】
4-2. 修飾剤A4-3の製造
前のステップの沈殿を1.0MのHClを含有する酢酸に溶解し、室温で撹拌しながら2.0時間反応させ、加圧蒸留により濃縮させ、アセトンを加えて沈殿を析出させ、アセトンで洗浄し、さらに水に溶解した後アセトンで沈殿を析出させる。溶解と析出を3回繰り返すことにより、目的生成物を得る。反応経路を
図4に示す。
【0196】
実施例5. 代表的なA6-2類修飾剤の製造
【0197】
5-1. 1,7-N,N-ジメチルアミノ-ジエチルトリアミンとN-Boc保護アミノ酸活性エステルとの反応
1,7-N,N-ジメチルアミノ-ジエチルトリアミンをDMFに飽和に溶解し、実施例2における2-1で得られたN-Boc保護アミノ酸活性エステルのTHF飽和溶液(モル比1:1)を加え、室温で撹拌しながら2.0時間反応させ、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、最低量のDMFに溶解した後、ジエチルエーテルで析出させる過程を合計4回繰り返すことにより、4-(N’-Boc-アミノアシル)-1,7-N,N-ジメチルアミノ-ジエチルトリアミンを得る。
【0198】
5-2. 修飾剤A6-2の製造
4-(N’-Boc-アミノアシル)-1,7-N,N-ジメチルアミノ-ジエチルトリアミンを1.0MのHClを含有する酢酸に溶解し、室温で撹拌しながら2.0時間反応させ、加圧蒸留により濃縮させた後、THFを加えて沈殿を析出させる。最低量のDMFに溶解し、THFを加えて沈殿を析出させる過程を3回繰り返すことにより、修飾剤A6-2を得る。反応経路を
図5に示す。
【0199】
実施例6. 代表的なB1-1、B2-1及びB3-1類修飾剤の製造
【0200】
6-1ポリエチレングリコール800(PEG-800)の両端のグリシンエステル化
実施例2の2-1と同様にN-Bocグリシン活性エステルを製造する。PEG800をTHFに溶解し、NaHを加え、水分及びエアを隔離する条件下で2.0時間撹拌し、THFに飽和に溶解したN-Bocグリシン酸活性エステル(10倍過剰)を加え、室温で撹拌しながら一晩反応させ、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、最低量のTHFに溶解し、さらにジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させる。3回繰り返してPEG800-ビス(N-Boc-グリシン)エステルを得る。
【0201】
6-2. PEG-800-ビスグリシンエステル
PEG800-ビス(N-Boc-グリシン)エステルを1.0MのHClを含有する酢酸溶液に溶解し、室温で撹拌しながら2.0時間反応させ、加圧蒸留により濃縮させた後、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させる。最低量のTHFに溶解し、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、3回繰り返して修飾剤B2-1であるPEG-800-ビスグリシンエステルを得る。
【0202】
6-3. 修飾剤B1-1
修飾剤B2-1(PEG-800-ビスグリシンエステル)をTHFに溶解し、還流状態で0.50モル比のコハク酸無水物の希THF溶液を滴下し、6時間反応させた後、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、最低量のTHFに新たに溶解し、ジエチルエーテルを加えて沈殿を析出させ、3回繰り返して修飾剤B1-1を得る。
【0203】
6-4. 修飾剤B3-1
PEG-800-モノメチルエーテルをフタル酸無水物保護グリシンの酸塩化物でエステル化し、ヒドラジン水和物で脱保護することによりB3-1を得る。
【0204】
実施例7. MSPの製造:修飾されるMSP
【0205】
7-1.磁性流体の製造
PEG800のビスコハク酸モノエステルで磁性流体を分散する。分散剤及び磁性流体の製造は、文献(Int J NanoMed,2013,8:791-807)に参照されたい。
【0206】
7-2. W/Oマイクロエマルジョン系のラジカル重合反応
合計0.70mlの、PEG-800-ビス-マレイン酸モノエステルで分散した磁性流体を2.5mlの水に懸濁させ、4.0mlの水に溶解したN-ヒドロキシメチルアクリルアミド1.5gと均一に混合し、メチレンビスアクリルアミドの飽和水溶液1.0mlを加え、均一に混合して水相(約9ml)とし、12gのAOTを500mlのn-ヘプタンに溶解し、超音波により酸素を除去した後窒素ガスを導入し、機械的に撹拌して油相に均一に混合し、次いで、上記水相と油相とを混合し、室温で定速2000rpmで20分間連続的に機械的に撹拌した後、1.0mlの過硫酸アンモニウム飽和水溶液を加え、5分間撹拌し続け、5μlの触媒N,N’-テトラメチルエチレンジアミンを1.0mlに希釈した後、上記系を加え、37℃で2000rpmの定速で撹拌しながら8h反応させる。撹拌を停止し、自然に冷却させ、得られたサブミクロン磁気ビーズを沈降させ、磁気分離器によりパック、分離し、メタノール:アセトン(1:9)の混合物(80ml/回)で3回洗浄し、テトラヒドロフラン(80ml/回)で3回洗浄し、さらに二重蒸留水(100ml/回)で3回洗浄した後、水に懸濁する。磁気分離器によりパックした後の生成物の総体積は約1.0mlであり、質量は約0.10gであり、以下、これでMSPの用量を換算する。生成物の粒子径は0.58μmであり、略称はMSPである。
【0207】
実施例8. MSP表面のカルボキシル化、カルボキシル基の活性化
【0208】
8-1. MSP表面の潜在カルボキシル基のカルボキシル化
水中で磁気により0.50mlのMSPをパックした後、THFに懸濁させ、Na2SO4で一晩乾燥させた後、1.2gのコハク酸無水物を加え、8時間還流反応させ、磁気分離によりMSP-COOHを得、THFで洗浄する。フローを
図6に示す。
【0209】
8-2. 方法2及び方法3と同様に、水溶性タンパク質及び疎水性小分子に対する非特異的吸着を測定する(表1)。
【0210】
8-3. MSP-COOHの活性化による表面活性エステルの生成
材料を乾燥させ、10mlのTHFに懸濁させ、0.5gのNHS及び1.0gのDCCを加え、室温で一晩回転揺動することにより、MSP活性エステル(MSP-CO-NHS)を得る。フローを
図6に示す。その活性エステルの含有量は約0.25mmole/gである。
【0211】
実施例9. MSPの修飾方案1:両性イオンとPEGの交互による2層修飾
【0212】
9-1. 修飾剤A1-2による修飾
THF中で磁気により合計0.10mlのMSP-CO-NHSをパックし、0.6gの修飾剤A1-2を加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させ、磁気分離した後、THFで洗浄し、懸濁させ、次いでブロモ酢酸活性エステル0.40gを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、THFで洗浄し、1,3-プロパンスルトン0.50gを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、THFで洗浄し、チオール酢酸のTHF溶液を1.0ml加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、THFで洗浄することにより、両性イオン修飾カルボキシルMSP(MSP-ZW-COOH)を得る。
【0213】
9-2. MSP-ZW-COOHの活性化
得られた材料をTHFに懸濁させ、0.15gのNHS及び0.30gのDCCを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、THFで洗浄することにより、両性イオン修飾MSP活性エステル(MSP-ZW-CO-NHS)を得る。
【0214】
9-3. B1-1修飾剤(PEG800-アミノ酸)
ステップ9-1で得られたものをMSP-ZW-CO-NHSでTHFに懸濁させ、実施例6のステップ6-3で得られたPEG800に由来する修飾剤B1-1を1.5g加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄し、水で洗浄することにより、2層修飾カルボキシルMSP(MSP-ZW-PEG-COOH)を得る。フローを
図7に示す。
【0215】
9-4. 方法2及び方法3と同様に、水溶性タンパク質及び疎水性小分子の非特異的吸着を測定する(表1)。
【0216】
実施例10. MSPの修飾方案2:両性イオンの単独使用による2層修飾
【0217】
10-1. 修飾剤A1-2、即ちモノ-(N,N-ジメチル-ジエチルトリアミン)による2層修飾
THF中で磁気によりパックされた0.10ml のMSP-CO-NHSに修飾剤A1-2を0.6g加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄し、THFに懸濁させ、ブロモ酢酸活性エステル0.40gを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄し、1,3-プロパンスルトン0.50gを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄し、チオール酢酸1.0mlを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄することにより、両性イオン修飾カルボキシルMSP(MSP-ZW-COOH)を得る。
【0218】
10-2. MSP-ZW-COOHの活性化
得られた材料をTHFに懸濁させ、0.15gのNHS及び0.3gのDCCを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄することにより、両性イオン修飾MSP活性エステル(MSP-ZW-CO-NHS)を得る。
【0219】
10-3. MSP-ZW-CO-NHSの再修飾
得られたMSP-ZW-CO-NHSに0.6gの修飾剤A1-2を加え、ステップ10-1を繰り返すことにより、2層修飾カルボキシルMSP生成物(MSP-ZW-ZW-COOH)を得る。修飾のフローを8に示す。
【0220】
10-4. 方法2及び方法3と同様に、水溶性タンパク質及び疎水性小分子に対する非特異的吸着を測定する(表1)。
【0221】
実施例11. MSPの修飾方案3:B1類修飾剤による2層修飾
【0222】
11-1. B1-1修飾剤(PEG800-アミノ酸)による修飾
THF中で磁気によりパックされた0.10ml のMSP-CO-NHSに修飾剤B1-1を1.5g加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄することにより、PEG修飾カルボキシルMSP (MSP-PEG-COOH)を得る。この1層目の修飾過程は、実施例9のステップ9-1と同じである。
【0223】
11-2. MSP-PEG-COOHの活性化
得られた材料をTHFに懸濁させ、0.15gのNHS及び0.3gのDCCを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄することにより、PEG修飾MSP活性エステル(MSP-PEG-CO-NHS)を得る。
【0224】
11-3. B1-1修飾剤による再修飾
得られたMSP-PEG-CO-NHSにB1-1修飾剤1.5gを加え、ステップ11-1と同様に、2層PEG修飾カルボキシルMSP(MSP-PEG-PEG-COOH)を得る。
【0225】
11-4. 方法2及び方法3と同様に、水溶性タンパク質及び疎水性小分子に対する非特異的吸着を測定する(表1)。
【0226】
実施例12. MSPの修飾方案4:自体が両性イオンである修飾剤による修飾
【0227】
12-1. 修飾剤A3-1による1層目の修飾
THF中で磁気によりパックされた0.10ml のMSP-CO-NHSに修飾剤A3-1を2.6g加え、懸濁させ、室温で12時間回転揺動した後、磁気分離し、THFで洗浄し、1.2gのコハク酸無水物を加え、THF中で回転揺動しながら一晩反応させることにより、両性イオンで直接修飾したカルボキシルMSP(MSP-DZW-COOH)を得る。
【0228】
12-3. カルボキシルの活性化及び2層目の修飾
得られた材料に0.15gのNHS及び0.30gのDCCを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄し、A3-1修飾剤2.6gを加え、室温でTHFで回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄し、1.2gのコハク酸無水物を加え、THF中で回転揺動しながら一晩反応させることにより、カルボキシル基修飾生成物であるMSP-DZW-DZW-COOHを得る。
【0229】
12-4. 方法2及び方法3と同様に、水溶性タンパク質及び疎水性小分子に対する非特異的吸着を測定する(表1)。
【0230】
実施例13. MSPの修飾方案5:イオン対修飾剤による単層共修飾
【0231】
13-1. 修飾剤A5-1a及びA6-1aによる2層修飾
修飾剤A5-1aとA6-1aを等モルで混合し、20%モル比の修飾剤B1-1をされに加え、混合物修飾剤を得る。THFで磁気によりパックされた0.10ml のMSP-CO-NHSに上記混合物修飾剤2.8gを加え、室温で回転揺動しながら6時間反応させた後、磁気分離し、THFで洗浄することにより、カルボキシルイオン対修飾生成物であるMSP(ZW-PEG)-COOHを得る。
【0232】
13-3. 方法2及び方法3と同様に、水溶性タンパク質(200mg/g MSP)及び疎水性小分子に対する非特異的吸着を測定する(表1)。
【0234】
14-1. 25ugの磁気ビーズ及び25ngのECAPを含有するMES緩衝液(pH6.5;0.10ml)吸着を行う。吸着したECAPを磁気分離し、結合したECAPの活性を測定した結果、本発明の上記修飾過程は、非特異的吸着を顕著に低減することを示している(表2)。修飾されたミクロン磁気ビーズの表面のECAPに対する非特異的吸着は非常に低く、従来の製品ミクロン磁気ビーズの非特異的吸着能力と相当し、特に、非特異的吸着がBangs Laboratories Incによって提供される製品ミクロン磁気ビーズよりも優れた。
【0235】
14-2. ECAP免疫ウサギから抗血清を取得し、30%の硫酸アンモニウムで抗血清におけるグロブリンを沈殿させ、20mMのMES緩衝液(pH 6.5)で溶解した後、該MES緩衝液を一晩透析し、得られたグロブリンを同MES緩衝液で平衡した後、DEAE-Celluloseカラムを通し、未結合グロブリンをマルチ抗体として収集する。上記カルボキシル磁気ビーズをそれぞれ0.50mg取り、それぞれ0.050mlの上記MES緩衝液で溶解した50g/LのEDC及び50g/LのNHSと均一に混合し、室温で30min振盪してカルボキシル基を活性化させ、活性化試薬を除去した後、それぞれ上記MES緩衝液で溶解したマルチ抗体0.15mgを加え、室温で振盪しながら60min反応させ(固定比率がいずれも10%未満)、磁気分離によりマルチ抗体を結合し、上記MES緩衝液で磁気ビーズを洗浄し、マルチ抗体固定磁気ビーズをそれぞれ1.0ug取り、20mMのTris-HCl緩衝液(pH 7.4)で溶解したECAP(結合率がいずれも6%未満) を100ng加え、室温で30min振盪して吸着させた後、磁気分離によりECAPを結合し、上記Tris-HCl緩衝液で2回洗浄し、1.0MのTris-HCl(pH 10.0)で溶解した4-ニトロフェニルリン酸エステル溶液0.20mlを加え、室温で振盪しながら20min反応させた後、5.0MのNaOH溶液0.050mlを加えて反応を終了させ、磁気ビーズを除去し、上澄みを取り、405nmでの吸収を測定し、結合ECAPと遊離ECAPの比活性が同じであるように結合ECAPの量を算出する。MSP-ZW-PEG-COOH固定マルチ抗体の大分子抗原ECAPに対する結合活性は、製品化カルボキシル磁気ビーズよりも顕著に高い(表3)。固定化マルチ抗体の活性の向上は、修飾によるフレキシブル連結アームの立体障害の低下に関係があると考えられる。
【0236】
14-3 MSP-ZW-PEG-COOHを0.01g取り、ジメチルホルムアミド、即ちDMF中でDCC及びNHSを使用してその活性エステルを得る。DMFで洗浄し、1molのエチレンジアミンDMF溶液を加え、4℃で急速に振盪しながら30min反応させた後、さらに室温で急速に振盪しながら30min反応させ、DMFで洗浄することにより、表面に連結アームであるアミノ基を有するMSPを得る。2-ブロモメチルアクリル酸、即ちBMARを0.10g取り、DCC及びNHSで活性エステルに変換し、さらに上記連結アームであるアミノを有するMSPと反応させ、磁気分離しDMFで洗浄し、最後に20mMのTris-HCl緩衝液(pH 7.4)で繰り返して洗浄することにより、表面がタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾された磁気ビーズMSP-ZW-PEG-CO-NH-BMARを得る。
【0237】
14-4 20mMのMES緩衝液(pH 6.5)で0.10mlのマルチ抗体0.15mgを溶解し、20mMのMES緩衝液(pH 6.5)を加えて最終濃度が1.0mMとなるようにトリカルボキシエチルホスフィン溶液0.010mlを溶解し、室温で振盪しながら30min反応させる。0.50mgの表面がタンパク質ジスルフィド結合選択的修飾されたMSPと均一に混合し、室温で振盪しながら60min反応させ、磁気分離し、20mMのTris-HCl緩衝液(pH 7.4)で洗浄し、14-2と同様に抗原ECAPの分離量を測定する(表3)。結果としてその分離量は、対応するカルボキシルMSP活性化固定化マルチ抗体の1.8倍、Dynal-MSP-COOH固定マルチ抗体の4倍に達することができる。
【0238】
表1. 4-ニトロ-1-ナフチルベンゾエート(NNPB)、ECAP及びPAASの結合率(n=2,CV<12%)
表1は、本発明の上記修飾方法によりミクロン磁性材料表面のタンパク質及び疎水性小分子に対する非特異的吸着を減少できることを表明する。
【0239】
表2 25μgカルボキシル磁気ビーズの25ng ECAPに対する非特異的吸着の測定
【0240】
表3 異なる磁気ビーズ表面に抗ECAPマルチ抗体を固定することによる抗原ECAPに対する分離効力の比較
【0241】
上記実施例は、本発明の技術案及び有益効果を説明するものに過ぎず、制限するものではない。当業者にとって理解できるように、本発明の技術原理の範囲内で本発明の技術案を修正又は同等置換を加えたものは、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。