特許第6870016号(P6870016)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6870016精製用リアクター及び/又は石油化学リアクターに固体粒子を充填するディスペンス装置への固体粒子の供給
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870016
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】精製用リアクター及び/又は石油化学リアクターに固体粒子を充填するディスペンス装置への固体粒子の供給
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/02 20060101AFI20210426BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B01J8/02 A
   B01J4/00 105A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-40436(P2019-40436)
(22)【出願日】2019年3月6日
(62)【分割の表示】特願2016-516216(P2016-516216)の分割
【原出願日】2014年5月20日
(65)【公開番号】特開2019-107649(P2019-107649A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年4月3日
(31)【優先権主張番号】1354904
(32)【優先日】2013年5月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510063177
【氏名又は名称】トタル ラフィナージュ シミ
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】メレッス,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ベリック,ギオーム
(72)【発明者】
【氏名】ボス,グザビエ
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−066858(JP,A)
【文献】 米国特許第04286910(US,A)
【文献】 米国特許第05105981(US,A)
【文献】 特開昭54−080132(JP,A)
【文献】 特開昭50−021326(JP,A)
【文献】 実開平03−085768(JP,U)
【文献】 特開昭59−124632(JP,A)
【文献】 米国特許第04433707(US,A)
【文献】 特開昭49−059323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/02
B01J 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製用リアクター及び/又は石油化学リアクター(100)に固体粒子を充填するためのアセンブリであって、
リアクター内への固体粒子の充填を均質化し及び/又は均一化するように構成された、リアクターに固体粒子を充填するためのディスペンス装置(110)と、
第一に固体粒子のリザーブ(130)に接続され、第二にディスペンス装置に接続され、上部から下部へ固体粒子を流すことができる可撓性スリーブを含む、ディスペンス装置に固体粒子を供給する供給システム(200)と、
供給システムを制御する制御システム(300)と、を含み、
制御システム(300)が、
可撓性スリーブの一部分(141)に隣接し、作動時において、可撓性スリーブの有効断面積を一部分(141)のところで減じるように可撓性スリーブの壁部を移動させるために適合され、可撓性スリーブの中を流れる固体粒子をブロックするブロック装置(310)と、
ブロック装置から離れた位置に配置され、ブロック装置を作動させる作動装置(350)と、を有し、
ブロック装置(310)が、気体供給パイプ(312)に空圧的に接続されたバルーン要素(311)を含み、
バルーン要素(311)が、ブロック装置に隣接した一部分(141)のところで可撓性スリーブが通過する硬質の又は半硬質の延長パイプ(114)に対して可撓性スリーブ(140)の壁部を押し付けるように構成されていることを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
バルーン要素(311)が、単管(312)によって空圧ネットワークに接続されるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
バルーン要素(311)が、可撓性材料によって形成され、気密的に結合された二つの平らなパーツを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
ディスペンス装置(110)が、垂直方向に対して直角な成分の速度を固体粒子に与えるように適合された分散手段(118,119)を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項5】
分散手段が、ブレード(119)及び垂直軸周りにこれらのブレードを回転させるモーターを含むことを特徴とする、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
精製用リアクター及び/又は石油化学リアクターへの触媒粒子及び/又は不活性ビーズの充填を管理するための、請求項1〜5のいずれかに記載のアセンブリの使用。
【請求項7】
請求項1に記載のアセンブリにおける供給システム(200)を制御する方法であって、
制御システム(300)が有するブロック装置(310)の遠隔的な作動を命令するステップ(417)を含むことを特徴とする、供給システムの制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法のステップを実行するための指令がプロセッサによって実行されるときに、請求項7に記載の方法のステップを実行するための指令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製用リアクター及び/又は石油化学リアクターに固体粒子を充填するディスペンス装置に固体粒子を供給することに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のリアクターに、固体粒子を分離状態で充填することが知られている。これらの固体粒子は、例えば、ビーズ状、粒状、円筒状、ペレット状、棒状、又は、他の形状とすることができ、また、概して比較的小さい寸法、例えば、センチメートル範囲の寸法とすることができる。
【0003】
特に、固体粒子は、概して押し出され、規則的な形状、又は、モノローブロッド或いはマルチローブロッドの形状に製造され、状況により10分の数ミリメートルから数センチメートルまでの寸法にできる固体触媒粒子とすることができる。本発明に係る装置は、「高密度充填」と呼ばれる、本明細書の後述部分において具体的に参照される精製用リアクター及び/又は石油化学リアクターに触媒粒子を適用するためのものであるが、この装置は、リアクターに固体粒子を充填する際、より一般的に使用することが可能である。
【0004】
「高密度充填」とは、最短時間で最大量の固体粒子を、均質かつ可能な限り均一に充填させるために最適化されたレイン効果による充填を意味する。
【0005】
出願人名義の国際公開公報WO2010/076522には、リアクターへ固体粒子を供給する装置の例が記載されている。このディスペンス装置は、リアクター内の上部中央に配置された充填開口部に取り付けられている。
【0006】
固体粒子のリザーブからディスペンス装置へ向かって、可撓性スリーブの中を単純に重力に従って固体粒子を流すことができるように、フレキシブルパイプ又は可撓性スリーブによって、固体粒子のディスペンス装置を固体粒子のリザーブに接続することが知られている。スリーブの壁部はフレキシブルで、通常はハサミや他の手段により簡単に分断できるため、スリーブの長さは、調整が比較的に簡単である。従って、可撓性スリーブを使用すれば、リザーブ(例えば、ホッパー)と、充填装置との間における様々な構成への調整が可能である。
【0007】
従来、固体粒子の充填をブロックするとき、オペレータが、リアクターの中で、可撓性スリーブのそばに立ち、ひもを用いてスリーブを閉じていた。このような充填停止の間、オペレータは、更に、充填された粒子の量をチェックする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第WO2010/076522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
オペレータにとって更に安全なシステムが求められる。
【0010】
ホッパーのアウトレットを閉じるバルブを採用することも考えられる。しかしながら、オペレータがこのホッパーのバルブを閉じても、既にスリーブの中にある粒子が落下し続け、ディスペンス装置に達してしまうことになる。換言すれば、リアクターは、比較的長い間、つまり、可撓性スリーブが空になるなるまで、充填されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明として提案されるアセンブリは、精製用リアクター又は石油化学リアクターに固体粒子を充填するアセンブリであって、リアクターへの固体粒子の充填が均質及び/又は均一となるように構成された、リアクターに固体粒子を充填するディスペンス装置と、概して上部から下部へ固体粒子が流れることが可能な、第一に固体粒子のリザーブに接続され、第二にディスペンス装置に接続される可撓性スリーブを含む、ディスペンス装置に固体粒子を供給する供給システムと、供給システムを制御する制御システムと、を有し、この制御システムが、可撓性スリーブの一部分に隣接し、動作する際、当該一部分においてこのスリーブの有効断面積を減じるように、可撓性スリーブの壁部を移動させるように構成された、可撓性スリーブの中を流れる固体粒子をブロックするブロック装置と、ブロック装置から遠隔的に配置された、ブロック装置の作動装置と、を有することを特徴とする。
【0012】
従って、遠隔的に作動させることができる手段であって、ある部分で可撓性スリーブの壁部を、この部分を減じるように動かすことができる手段(有利には、固体粒子の通過をブロックするためにこの有効断面積を十分に減じるような手段)を設けることにより、オペレータをパイプから離れさせ、ブロック装置の作動装置のところに位置させることが可能となる。
【0013】
更に、ブロック装置に隣接した可撓性スリーブの一部分において固体粒子をブロックする場合に、ディスペンス装置への供給が迅速に停止するように、ディスペンス装置に比較的近いところにブロック装置を位置させることが可能となる。
【0014】
同じように、始動時において、ブロック装置のところで有効断面積が減じられた可撓性スリーブにおけるブロック装置よりも上流側の部分に固体粒子を充填することが可能である。スリーブが充填されると、スリーブは開放可能となり、比較的速やかに一定割合での充填に到達し、従って特定の充填品質が得られる。
【0015】
有利には、固体粒子は、触媒粒子及び/又は不活性ビーズとすることができる。
【0016】
このディスペンス装置は、任意に、完全に均質及び均一な充填を可能にするように構成することができる。特に、ディスペンス装置は、単純なノズルから排出して行われる充填と比べて、充填の均質性及び/又は均一性を改善するように構成することができる。このディスペンス装置は、より均一で均質な充填を行うため、垂直方向に対して直角な成分についての速度を固体粒子に与えるために、固体粒子を分散させる手段を含むことができる。これらの分散手段は、例えば、ブレード(例えば、フレキシブルストラップ)、及び、必要に応じてモーター(特に、これらのブレードの一端が垂直なシャフトに固定されている場合には、垂直軸周りにブレードを回転させるモーター)、及び/又は、放射状に開口する開口部、を含むことができる。
【0017】
本発明は、分散手段の特定の形状に限定されるものではない。
【0018】
有利には、この分散装置は、充填状態を監視するセンサー、及び、センサーからの計測値に応じて分散手段を作動させるアクチュエータを更に含むことができる。
【0019】
「遠隔的に」とは、作動装置とブロック装置との間の距離が、リアクターのベースの半径よりも大きいか、又は、同一であることを意味する。従って、オペレータは、充填時に、リアクターの外側であって比較的遠い位置に立つことができる。
【0020】
作動装置は、例えば、オペレータが後ろに立つことができるコントロールステーションのコンピュータを含むことができる。
【0021】
有利な一実施形態において、ブロック装置は、作動した際に、可撓性スリーブの壁部の少なくとも一部分を他の壁部に対して押し付けるように構成することができる。
【0022】
有利には、ブロック装置は、硬質又は半硬質の支持手段に対して可撓性スリーブの壁部を押し付けるように構成することもできる。
【0023】
有利には、供給システムは、実際に、可撓性スリーブを通過させる硬質の(又は半硬質の、例えば、半硬質プラスチック製の)パイプを更に含むことができる。例えば、このパイプは、任意にディスペンス装置に接続させることができる。
【0024】
従って、ブロック装置は、硬質パイプに対して可撓性スリーブの壁部を押して平らにするように構成することができる。
【0025】
ブロック装置は、有利には、可撓性壁部に当接し、この可撓性壁部を移動させるような付勢要素(例えば、シャンクタイプの硬質要素、バルーンタイプの膨張要素など)を含むことができる。
【0026】
ブロック装置は、例えば、硬質パイプに対して可撓性スリーブを押し付けるために、可撓性スリーブの長手方向に対して横断する方向へ動かすことができるようなシャンク(例えば、ピストンのシャンク、又は、ジャックシステムのシャンク)を含むことができる。このシャンクの端部には、シャンクと可撓性スリーブとの間の接触が比較的広い範囲となり、局部的にならないように、シャンクの長手方向に対し横断する方向に延在する支持部材を固定することができる。
【0027】
有利には、このブロック装置は、動作の際の、非動作状態(可撓性スリーブの有効断面積が比較的大きく残っている状態)から動作状態(スリーブの有効断面積が減少するように、ブロック装置が可撓性スリーブの壁部を移動させる状態)への移行に適合したものとすることができる。
【0028】
有利には、この装置は、作動装置からの命令又は不命令に従って、動作状態から非動作状態への移行に適したものとすることができる。システムは、ブロック装置が動作状態から非動作状態へ移行するとき、有効断面積を大きくするように、そして固体粒子が通過できるように、可撓性スリーブの壁部が移動するように構成することができる。
【0029】
システムは、動作状態から非動作状態へ、そして動作状態へという移行の数サイクルをサポートするように構成することができる。換言すれば、オペレータは、所望のときに、何度でも、充填の停止と再開を選択することができる。
【0030】
ブロック装置の作動は、空圧的及び/又は電気的な作用によるものとすることができる。しかしながら、空圧的な作動は、精製所における場合のように、爆発性雰囲気の環境である場合に、特に賢明であることを証明することができる。空圧的な作動は、特に、安全性の要件、例えば、ATEXレギュレーション(爆発性雰囲気)等に、比較的容易に適合させることができる。
【0031】
有利な一実施形態において、ブロック装置は、気体供給パイプに空圧的に接続されたバルーン要素を含むことができる。
【0032】
従って、バルーンに空気を供給する命令が発せられたとき、バルーンは膨張し、固体粒子がブロックされたままとなるように、硬質パイプの壁部に対し可撓性スリーブを押し付ける。
【0033】
バルーン要素は、非動作状態において比較的軽量でコンパクトであるという点で有利である。
【0034】
有利には、及び、限定されることなく、ブロック装置がバルーンを含むとき、このバルーンは、単管によって空圧ネットワークに接続されることができる。例えば、この単管を空気供給管及びエスケープパイプに接続する空気分配要素を備えることもできる。従って、バルーンにおける空間的な要件は減少し、従って、人間が介入するための空間をはっきりと残すことができる。
【0035】
他の一の実施形態においては、もちろん、空気を供給するためのインレット及び空気を排出するためのアウトレットが形成されたバルーンを備えることも可能である。
【0036】
有利には、及び、限定されることなく、バルーンは、可撓性材料製の、気密的に結合された二つの平らなパーツ(例えば、ポリパラフェニレン・テレフタルアミド(poly(p-phenylene terephtalamide)製の又はケブラー(登録商標)製の二つのパーツ)を含むことができる。
【0037】
強固な結合は溶着等によって得られる。従って、バルーンが収縮したとき、比較的平らな状態となる。
【0038】
更に、ケブラー(登録商標)のような比較的硬い材料を選択することにより、膨張したバルーンのボリューム(時間が経過しても比較的安定的に残っているボリューム)を比較的正確に把握することができる。
【0039】
もちろん本発明は、このタイプのバルーンに限定されるものではなく、可撓性材料(例えばゴム)のブローンバルーンを選択することができる。
【0040】
有利には、及び、限定されることなく、ブロック装置は更に、概ね平らな形状の金属薄板要素をバルーンの内側に含むことができる。この金属薄板要素は、収縮状態において、バルーン要素を確実に平坦な状態にさせることができる。
【0041】
作動システムは、加圧ガス(例えば空気)を供給することができるポンプ要素、バルーンを収縮させるための吸引ポンプ要素、圧力を監視するための圧力計測要素、バルーンに供給される加圧空気が、バルーンにおいてサポート可能な圧力と比較して過大に高圧となることを回避するための空気減圧弁要素、及び/又は、他の要素を含むことができる。
【0042】
本発明は、もちろん、壁部をお互いに押し付けるように構成されたブロック装置には限定されない。
【0043】
ブロック装置は、例えば、特定の部位において可撓性スリーブを取り囲むように適合されたコード(オペレータが両端を引っ張ったときに、可撓性スリーブの壁部が閉じて、固体粒子の通過を阻止されるように、離れた位置から引っ張るのに十分な長さを有するコード)、及び、リングを含むことができる。
【0044】
更に、精製用リアクター及び/又は石油化学リアクターへの固体粒子の充填を管理する上記アセンブリを使用することも提案される。
【0045】
有利には、固体粒子は、触媒粒子、及び/又は、不活性ビーズとすることができる。
【0046】
更に、精製用リアクター及び/又は石油化学リアクターに固体粒子を充填するディスペンス装置(固体粒子の充填を均質化及び均一化するように構成されたディスペンス装置)に固体粒子を供給するシステム(第一に固体粒子のリザーブに接続され、第二にディスペンス装置に接続され、概して上部から下部へ固体粒子が中を流れる可撓性スリーブを含む供給システム)を制御する方法も提案される。この方法は、可撓性スリーブの中を流れる固体粒子をブロックする装置(可撓性スリーブの有効断面積を減じるように、可撓性スリーブの壁部を移動させるように構成された装置)の遠隔的な作動を命令するステップを含む。
【0047】
この命令のステップは、充填中に又は充填前に発生させることができる。例えば、タンクが開いたときにスリーブが満たされるように、スリーブの有効断面積を減少させることができ、そしてこの方法は、減少したスリーブの有効断面積が増加するように、ブロックしないことを命令するステップを含むことができる。そして、スリーブを満たしている固体粒子は、充填装置へ向かって落下する。従って、閉じていない可撓性スリーブに対してタンクが開いた場合よりも迅速に、非適時的にフィットしたり開始されることなく、一定割合での充填に到達させることができる。換言すれば、ディスペンス装置の実際の充填の際に、比較的迅速に一定割合での充填に到達するように、スリーブには固体粒子が予め充填される。これは、このような移行時に、ディスペンス装置のいくつかの開口部がほとんど供給されない又は供給されないというリスクを制限させることができ、従って、高密度充填の場合に特に有利な、より優れた充填品質の保証を可能にする。
【0048】
充填停止は、固体粒子のリザーブと可撓性スリーブの間の通路(例えばホッパーのバルブ)を閉じることによって始めることができる。そしてディスペンス装置内へ固体粒子が落下して、スリーブは空になる。
【0049】
例えば、この方法は、可撓性スリーブを硬質の製品に対して押し付け、流れを停止させるように、可撓性スリーブと硬質パイプ(可撓性スリーブの一部分を受け入れる)の間に配置されたバルーンの膨張を命令するステップを含むことができる。
【0050】
更に、上記方法におけるステップがプロセッサによって実行されるときに、それらのステップを実行させる指令を含むコンピュータプログラム製品が提案される。
【0051】
上記方法は、実際に、プロセッサタイプの処理装置(例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等)において実行されることができる。
【0052】
本発明は、例としての実施形態を示す図面を参照することにより、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る充填アセンブリの一例を模式的に示す図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る充填アセンブリを制御するシステムの一例を模式的に示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るアセンブリのためのバルーン要素の一例を模式的に示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る方法の一例を示す論理図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
形状又は機能において同一又は類似の要素を示すために、ある一つの図面に使用されているものと同一の参照符号が、他の図面においても使用され得る。
【0055】
図1に関し、リアクター100は、固体粒子107のディスペンス装置110が通過する開口部113を有している。ディスペンス装置110は、国際公開公報WO2010/076522に記載されているタイプのものとすることができる。
【0056】
このリアクター100は、状況により高さが約5又は6メートル或いはそれ以上であり、そのベースの直径は、約3又は4メートル或いはそれ以上である。
【0057】
ディスペンス装置110は、リアクター100の底部に不活性ビーズ(図示せず)を充填し、更に触媒粒子(固体粒子107)も充填する。
【0058】
この種のリアクター100は、特に石油工業や石油化学工業において使用される。例えば、特定の温度・圧力条件下で、触媒床(固体粒子107)及び図示しない不活性ビーズ床を通って、炭化水素原料が流れるように構成された、当業者に周知の精製用リアクター又は石油化学リアクターとすることができる。固体触媒粒子は、金属化合物を含む多孔性の押出成形のビーズとすることができる。
【0059】
本実施形態においては、ディスペンス装置110のアウトレットに配置されたブレード119(例えばストラップ状)が、リアクター100内において固体粒子を好適に分散する。
【0060】
ディスペンス装置110は、固体粒子が流通する開口部118を有している。
【0061】
このディスペンス装置110は、金属製の本体又はドラム117、及び、ディスペンス装置に固体粒子を供給するための金属製又は金属以外の半硬質材料製の延長パイプ114を有している。延長パイプ114は、図示しないフープ材及びチューブによってドラム117上に搭載されている。
【0062】
ディスペンス装置110は、ドラム117上に搭載されたアーム133及び各アーム133の端部のボール・ソケットベース134により、リアクター100のプレート150の上に支持されている。
【0063】
ディスペンス装置110には、供給システム200によって固体粒子が供給される。この供給システム200は、可撓性スリーブ140(例えば、可撓性プラスチック、布、繊維等によって形成されたスリーブ)を有している。
【0064】
この可撓性スリーブ140は、第一に固体粒子のリザーブ130(例えば、ホッパー)に、第二にディスペンス装置110に、標準的な(本発明特有のものではない)接続手段によって接続されている。
【0065】
ホッパー(リザーブ130)の排出バルブ131が開くと、重力により固体粒子107が可撓性スリーブ140内へ流れ、そしてディスペンス装置110に達する。
【0066】
可撓性スリーブ140の一部分141は、延長パイプ114内に受け入れられ、通過している。
【0067】
充填設備は、更に、エンクロージャ(リアクター100)内への固体粒子の充填を制御する制御システム300を含んでいる。
【0068】
制御システム300は、可撓性スリーブ140内を流れる固体粒子を阻止するブロック装置310を有している。この場合、ブロック装置310は、可撓性スリーブ140の一部分141と延長パイプ114の剛壁部との間に挿入されたバルーン311を有している。
【0069】
バルーン311は、単管312に空圧的に接続されている。この単管312は、バルーン311への空気の供給、及び、収縮の際のバルーン311からの排気のために使用される。
【0070】
制御システム300は、ブロック装置310を作動させるための作動装置350を更に含んでいる。この作動装置350は、例えば、コンピュータ、スマートフォン、プログラマブルロジックコントローラ等であり、ブロック装置310から離れている。特に、この作動装置350は、エンクロージャ(リアクター100)の外側に配置することができ、配置されることが好ましい。従って、もはやオペレータは、可撓性スリーブ140を閉じるために、エンクロージャ(リアクター100)の中へ移動する必要がない。
【0071】
作動装置350は、例えば、キーボード、スクリーン、及び/又は他の要素などのユーザーインターフェースを含むことができる。
【0072】
遠隔制御コンソール351(図2参照)は、バルーン311を膨張させ、又は、収縮させるために、空圧ネットワーク352を調整する。
【0073】
この遠隔制御コンソール351は、空圧ネットワーク352の空気供給管353及びエスケープパイプ354に接続することができる。この遠隔制御コンソール351は、空気供給管353から空気圧を減じる減圧弁355を含むことができる。実際に、バルーン311は、比較的低い圧力(例えば0.5バール以下)を許容するように構成することができる。
【0074】
この減圧弁355は、空気供給管353の気圧を1バールから、例えば0.3バールまで変更させる。
【0075】
“2/1”空気分配装置356は、バルーン311に接続されるパイプの数を1つに減じることができる。バルーン311の膨張の際、この空気分配装置356は、単管312と空気供給管353とを空圧的に接続し、単管312をエスケープパイプ354から絶縁する。反対に、バルーン311を収縮させようとするときには、空気分配装置356は、単管312を空気供給管353から絶縁し、単管312をエスケープパイプ354と接続する。
【0076】
他の実施形態として、バルーン311に、相互に分離されたエアインレット及びエアアウトレットを設け、インレットパイプを空気供給管353と接続し、アウトレットパイプをエスケープパイプ354及び/又はバキュームポンプと接続することもできる。二つの各バルブが、バルーンを膨張/収縮させる。しかしながら、単管312がバルーン311に接続される図2の解決手法は、エンクロージャ(リアクター100)内における空間的な要件(特に、マンホールにおける空間的な要件)を制限し、従って、求められた場合にプレートへの迅速なアクセスを可能にする。
【0077】
オペレータがコンピュータ(作動装置350)に、スリーブ140を閉じる意図を示すデータを入力すると、コマンドメッセージが遠隔制御コンソール351に伝送され、空気分配装置356は、単管312を空気供給管353に接続する。バルーン311は、この空気供給管353からの空気の供給によって膨張する。延長パイプ114内におけるこのバルーン311の膨張は、延長パイプ114の剛壁部に対してスリーブ140の一部分141の壁部を押し付けて平らにし、従って、ディスペンス装置110へ向かう固体粒子の通過が阻止される。
【0078】
本実施形態においては、図3に示す実施形態と同様に、バルーン311は、ケブラー(登録商標)製の二つの面を溶着して得られる。従って、このバルーン311は、収縮状態においては比較的平坦となる。このバルーン311の内側には、金属薄板要素322が配置されている。
【0079】
従って、スリーブ140が延長パイプ114に向かって閉じられた場合でも、バルーン311を収縮させる命令を発することにより、固体粒子の流路を再び開くことができる。オペレータがそのような命令を入力した場合、遠隔制御コンソール351は、空気供給管353から単管312を絶縁し、バキュームポンプと流体的に連通しているエスケープパイプ354にこの単管312を接続する。そうすると、バルーン311内の空気が、このエスケープパイプ354へ排出される。バルーン311は、剛性を有する比較的平坦な材料で構成されているため、また、金属薄板要素322による構造を有しているため、このバルーン311は、再びもとの形になる。更に、スリーブ140も、再びもとの形になる、つまり、このスリーブ140のために選ばれた材料の選択の結果、及び/又は、このスリーブ140を通って固体粒子107が流れようとするため、バルーン311のところのスリーブ140の有効断面積が増加する。
【0080】
図3は、本発明の一つの実施形態に係るバルーン要素(バルーン311’)のより明確な一例を示す。このバルーン要素は、図1において同一の参照符号311によって示されるバルーンと、特に空気の導入及び滞留の面において、僅かに相違している。このバルーン311’は、構造を付与するとともに、収縮状態において剛性を付加するために、金属薄板要素322’を有している。二つのネジ状インサート323及び1/4パイプピース324が、この金属薄板要素322’に溶着されている。これらのネジ状インサート323、1/4パイプピース324は、金属薄板要素322’の平面から突出している。
【0081】
ネジ状インサート323は、ブラインドインサートであり、図1において参照符号114で示される延長パイプのようなタイプの硬質パイプに対し、バルーンを固定するために使用される。
【0082】
1/4パイプピース324は、金属薄板要素322’の両側へ突き出ている。この1/4パイプピース324には、図1図2において参照符号312で示される単管のようなタイプの空気導入・排出管を、シール状態で固定することができる。
【0083】
バルーンの製造は、ネジ状インサート323、1/4パイプピース324を金属薄板要素322’に溶着した後、金属薄板要素322’におけるネジ状インサート323、1/4パイプピース324の位置に対応する位置に三つの開口を有するケブラー(登録商標)の第一シートを仮置きし、そして、この第一シートをネジ状インサート323、1/4パイプピース324の周りに、加硫処理により溶着して行う。次に、ケブラー(登録商標)の第二シートを金属薄板要素322’の反対側に置き、ケブラー(登録商標)構造体425の形となるように、第一シートと第二シートとをそれぞれの外周部のところで加硫処理により溶着する。
【0084】
図4は、コンピュータ(作動装置350)によって実行可能な方法の一例を示す。
【0085】
ユーザによって入力された、ユーザが充填の停止を望むことを示すデータの受信(ステップ401)に続いて、この方法は、この入力されたデータを、停止が短いことを示す値「ショート」と比較するステップ413を含む。このテスト413がネガティブであった場合、つまり、ユーザーが、長い停止又は最終停止に相当するデータを入力した場合、この方法は、図示しないアクチュエータ(図1において参照符号131で示される排出バルブのアクチュエータ)に、バルブ閉鎖メッセージ「クローズ 131」を送信するステップを含む。従って、第一ステージは、ステップ410において、ホッパー(リザーブ130)と充填設備の他の要素との間における接続を閉鎖することである。
【0086】
そしてコンピュータは、図示しないセンサーから、スリーブ140が空になっているか否かを推定できる計測値を受信する。もし、これらの計測値から、スリーブが空になっていることが推定できる場合、図示しないステップにおいて「s エンプティ」というフラグが「1」にセットされる。
【0087】
この方法は、「s エンプティ」というフラグの値が「1」と比較されるテストステップ411を含む。この値が「0」に等しい限り、ステップ412において、システムは待機状態となる。換言すれば、これらのステップ411,412は、スリーブが完全に空になるまで、待機時間を与える。
【0088】
ディスペンス装置110のブレード119の回転速度を検出するセンサーにより、スリーブが空であることの検出を実行することができる。実際に、スリーブ140が空になったとき、回転速度が増加することが予想される。
【0089】
スリーブが空になったら、システムは、ステップ414において、ディスペンス装置110のモーターを停止するためのメッセージを送出し、そしてユーザーは、エンクロージャ(リアクター100)内への充填量の値を入力し、ステップ415においてこの値が受信され、そしてステップ416においてメモリーに保管される。
【0090】
反対に、停止が短いことを示すデータをユーザーが入力した場合、つまり、テスト413がポジティブであった場合、システム(作動装置350)は、ステップ417において、スリーブ140を閉じるメッセージを遠隔制御コンソール351へ送信する。
【0091】
そして、バルーンの膨張を確実にするために、バルーンの圧力が監視される。圧力値は、ステップ450において受信される。この値が、閾値0.3バールよりも小さかった場合(テスト451)、待機ステップ452が実行される。ステップ450,451,452は、圧力がこの閾値0.3バールに達し、或いは、超えたときにだけ抜け出すことができるループを形成する。システムがこのループの中に長居しすぎる場合に警告メッセージを送信するための追加のステップ(図示せず)を設けることもできる。
【0092】
圧力センサーによるスリーブの閉鎖の監視は、オペレータがエンクロージャ(リアクター)から離れた位置に居られるので、従来技術において想定され得るような単純な聴覚的な監視よりも有効であり得る。
【0093】
テスト451がネガティブとなり、スリーブの閉鎖が検出されたら、ホッパー(リザーブ130)の充填レベルに係るフラグの値に関し、テスト418が実行される。このホッパー(リザーブ130)が空であることをセンサーが検出した場合、「130 エンプティ」のフラグが「1」にセットされる。テスト418がポジティブとなった場合、つまり、ホッパー(リザーブ130)が空であると判断された場合、図示しないステップにおいて、このホッパー(リザーブ130)を満たすことをオペレータに促すメッセージが表示される。
【0094】
更に、「130 エンプティ」のフラグの値に関する新しいテストステップ419、及び、待機ステップ420により、システムは、ホッパー(リザーブ130)が満たされない限り、待機状態に置かれる。
【0095】
従って、充填の一時的な停止は、ホッパーの再充填のために利用される。スリーブの閉鎖により、移行時における低い割合(定常充填時の割合よりも低い割合)でのエンクロージャ(リアクター)への充填を防止できる。
【0096】
テスト418又はテスト419が、ホッパー(リザーブ130)が少なくとも部分的に満たされていることを示している場合、オペレータは充填量の値を入力し、この値がステップ421において受信される。
【0097】
更に、測定値(例えば、図1には示されないセンサー(例えば、充填された固体粒子107のベッドのレベルセンサー)によって得られた値)を受信する他のステップを設けることもできる。
【0098】
この充填された固体粒子の量のチェックが実行されると、又は、ホッパーの充填が要求に応じて実行されると、システムは、ステップ422においてスリーブの開放のためのメッセージを送信する。そして、充填が再開される。
【0099】
バルーン311は、ディスペンス装置110の近傍においてスリーブ140を閉鎖することができ、ディスペンス装置110は、エンクロージャ(リアクター)内への固体粒子の導入を比較的速やかに停止できる。実際に、この閉鎖の前に一部分141のところでスリーブ140の中にある固体粒子は、バルーンが収縮されない間、スリーブ140の内側に残っている。
【0100】
図4に戻ると、更に、ステップ422の後、バルーンの収縮を確実にするために、バルーンの中の圧力を監視するステップ(図示せず)を設けることもできる。
【0101】
図4の論理図は、一時的に又は最終的に充填を中断させるプロセスを示す。充填を開始するには、排出バルブ131を開く前に、バルーン311を膨張させるメッセージを送信することが可能である。換言すれば、この排出バルブ131が開くと、スリーブ140は粒子で満たされる。スリーブが満たされているときだけ、バルーンを収縮させるためのコマンドが与えられる。そうすると、固体粒子は、ディスペンス装置110へ向かって移動することが可能となる。
【0102】
より正確には、この方法は、ディスペンス装置110の開口部118をセットするステップ、ブレード119を回転させるモータのスイッチを入れる命令を発するステップ、スリーブを閉鎖するメッセージを送信するステップ、排出バルブ131によってホッパーを開くメッセージを送信するステップ、スリーブが満たされるまで待機するステップ、スリーブを開くメッセージを送信するステップ、及び、ディスペンス装置110の回転速度を設定するステップを含むことができる。
【0103】
これらの様々なステップは、コンピュータ(作動装置350)の側にいるオペレータの管理下で、コンピュータ(作動装置350)において実行することができる。
図1
図2
図3
図4