【実施例】
【0081】
本発明は、更に以下の試験例、参考例及び実施例によって詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
本明細書において、以下の略語を用いることがある。
REX:参考例番号
EX:実施例番号
STR:構造式(式中、「Chiral」で示される構造は絶対配置を示す)
RProp:製造方法(数字は、その数字を参考例番号として有する参考例化合物と同様に、対応する原料を用いて製造したことを示す)
Prop:製造方法(数字は、その数字を実施例番号として有する実施例化合物と同様に、対応する原料を用いて製造したことを示す)
Data:物性データ(NMR1:ジメチルスルホキシド-d
6中の
1H-NMRにおけるδ(ppm);NMR2:CDCl
3中の
1H-NMRにおけるδ(ppm))
9-BBN:9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン
CDI:1,1’-カルボニルジイミダゾール
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
DIBOC:ジ-t-ブチル ジカルボナート
WSC:3-エチル-1-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
DEAD:ジエチルアゾジカルボキシラート
DPPA:ジフェニルリン酸アジド
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
NCS:N-クロロスクシンイミド
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
DHP:3,4-ジヒドロ-2H-ピラン
DMAP:4-(ジメチルアミノ)ピリジン
ZCl:クロロ蟻酸ベンジル
PPTS:ピリジニウム p-トルエンスルホナート
MCPBA:m-クロロ過安息香酸
BBr
3:三臭化ホウ素
n-BuLi:n-ブチルリチウム
NaH:水素化ナトリウム
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
KOtBu:カリウムt-ブトキシド
LDA:リチウムジイソプロピルアミド
LHMDS:リチウムヘキサメチルジシラジド
NaOtBu:ナトリウムt-ブトキシド
DIBAL:水素化ジイソブチルアルミニウム
LAH:水素化アルミニウムリチウム
NaBH
4:水素化ホウ素ナトリウム
Pd/C:パラジウム担持炭素
AcOEt:酢酸エチル
DCE:1,2-ジクロロエタン
DCM:ジクロロメタン
DMA:N,N-ジメチルアセトアミド
DME:ジメトキシエタン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
Et
2O:ジエチルエーテル
IPE:ジイソプロピルエーテル
MeOH:メタノール
EtOH:エタノール
IPA:2-プロパノール
Hexane:n-ヘキサン
MeCN:アセトニトリル
MEK:2-ブタノン
NMP:N-メチルピロリドン
PEG:ポリエチレングリコール
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
HCl:塩酸
AcOH:酢酸
TFA:トリフルオロ酢酸
NaOH:水酸化ナトリウム
KOH:水酸化カリウム
LiOH:水酸化リチウム
K
3PO
4:リン酸三カリウム
Cs
2CO
3:炭酸セシウム
K
2CO
3:炭酸カリウム
KHCO
3:炭酸水素カリウム
NaHCO
3:炭酸水素ナトリウム
AcONa:酢酸ナトリウム
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃から約35℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
1HNMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)はフーリエ変換型NMR(Bruker AVANCE 300(300MHz)、Bruker AVANCE 500(500MHz)、Bruker AVANCE III 400(400MHz)及びBruker AVANCE III 500(500MHz)の何れか)で測定した。
シリカゲルカラムクロマ卜グラフィ一において、塩基性と記載した場合は、アミノプロピルシラン結合シリカゲルを用いた。
化合物の絶対配置は、公知のX線結晶構造解析法(例えば大場茂及び矢野重信著、「化学者のための基礎講座12 X線結晶構造解析」(第1版、1999年))により決定、又は史不斉エポキシ化の経験則(Waldemar Adam, Rainer T. Fell, Chantu R. Saha-Moller and Cong-Gui Zhao : Tetrahedron: Asymmetry 1998, 9, 397-401. Yuanming Zhu, Yong Tu, Hongwu Yu, Yian Shi :Tetrahedron Lett. 1988, 29, 2437-2440)から推定した。
【0082】
[参考例]
参考例1
5-ニトロ-2-フェノキシピリミジン
フェノール(6.61 mL)、K
2CO
3(12.99 g)をDMF(80 mL)に懸濁させた後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(10 g)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶液に水を加え生じた固体を水洗して目的化合物(6.55 g)を得た。
NMR2; 7.17-7.24(2H, m), 7.31-7.39(1H, m), 7.45-7.53(2H, m), 9.33(2H, s).
【0083】
参考例2
2-フェノキシピリミジン-5-アミン
5-ニトロ-2-フェノキシピリミジン(7.45 g)、50%含水10%Pd/C(3 g)をEtOH(100 mL)に懸濁させ水素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応溶液をセライト濾過、ろ液を濃縮し、得られた固体をIPEで洗浄して目的化合物(4.73 g)を得た。
NMR2; 3.50(2H, brs), 7.13-7.24(3H, m), 7.35-7.45(2H, m), 8.07(2H, s).
【0084】
参考例3
2-(2-フルオロフェノキシ)-5-ニトロピリミジン
o-フルオロフェノール(6.71 mL)、K
2CO
3(12.99 g)をDMF(100 mL)に懸濁させた後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(10 g)を加え室温で8時間撹拌した。反応溶液に水を加え生じた固体を水洗して目的化合物(13.67g)を得た。
NMR2; 7.20-7.38(4H, m), 9.33(2H, s).
【0085】
参考例4
2-(2-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-アミン
2-(2-フルオロフェノキシ)-5-ニトロピリミジン(13.67 g)、50%含水10%Pd/C(3 g)をEtOH(130 mL)に懸濁させ水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応溶液をセライト濾過、ろ液を濃縮し、得られた固体をIPEで洗浄して目的化合物(8.25 g)を得た。
NMR2; 3.51(2H, brs), 7.13-7.30(4H, m), 8.05(2H, s).
【0086】
参考例5
2-(3-フルオロフェノキシ)-5-ニトロピリミジン
m-フルオロフェノール(5.45 mL)、K
2CO
3(10.40 g)をDMF(80 mL)に懸濁させた後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(8 g)を加え室温で終夜撹拌した。残渣に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水洗後、硫酸ナトリウムにて乾燥、濃縮して目的化合物(8.63 g)を得た。
NMR2; 6.93-7.12(3H, m), 7.38-7.48(1H, m), 9.34(2H, s).
【0087】
参考例6
2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-アミン
2-(3-フルオロフェノキシ)-5-ニトロピリミジン(8.65 g)、50%含水10%Pd/C(3 g)をEtOH(100 mL)に懸濁させ水素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応溶液をセライト濾過、ろ液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(DCM/AcOEt=10:1→1:1)にて精製後、得られた固体をHexaneで洗浄して目的化合物(3.77 g)を得た。
NMR2; 3.55(2H, brs), 6.86-7.00(3H, m), 7.30-7.39(1H, m), 8.08(2H, s).
【0088】
参考例7
1-[2-(メチルチオ)ピリミジン-5-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
5-ブロモ-2-(メチルチオ)ピリミジン(2.77 g)、ウラシル(2.27 g)、ヨウ化銅(0.257 g)、ピコリン酸(0.33 g)、K
3PO
4(5.73 g)の混合物をDMSO(30 mL)に懸濁させ窒素雰囲気下150℃で終夜撹拌した。反応溶液にクエン酸水溶液を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=10:1→0:1)にて精製し、目的化合物 (577 mg)を得た。
NMR1; 2.56(3H, s), 5.77(1H, d, J=7.9Hz), 7.80(1H, d, J=7.9Hz), 8.76(2H, s), 11.62(1H, brs).
【0089】
参考例8
2-(ドデシルチオ)-5-ニトロピリミジン
ドデシルメルカプタン(24.77 mL)をDMF(150 mL)に溶解させ0℃に冷却後、60%NaH(4.14 g)を加えて10分間撹拌後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(15 g)を加えて0℃で1時間撹拌した。反応溶液に水を加え、生じた固体を水洗して目的化合物(26.01 g)を得た。
NMR2; 0.88(3H, t, J=7.0Hz), 1.18-1.38(16H, m), 1.38-1.50(2H, m), 1.64-1.76(2H, m), 3.23(2H, t, =7.5Hz), 9.23(2H, s).
【0090】
参考例9
2-(ドデシルチオ)ピリミジン-5-アミン
2-(ドデシルチオ)-5-ニトロピリミジン(26.01 g)をEtOH(250 mL)に溶解し、塩化アンモニウム(25.6 g)水溶液(100 mL)、亜鉛粉末(52.2 g)を加えて5時間還流撹拌した。反応溶液にAcOEtを加えて終夜撹拌後、反応溶液をセライト濾過、ろ液を濃縮した。残渣に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=4:1→1:1)にて精製後、Hexaneにて洗浄して目的化合物(20.17 g)を得た。
NMR2; 0.88(3H, t, J=7.0Hz), 1.15-1.40(16H, m), 1.40-1.51(2H, m), 1.62-1.81(2H, m), 3.10(2H, t, J=7.4Hz), 3.49(2H, brs), 8.08(2H, s).
【0091】
参考例10
1-[2-(ドデシルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
2-(ドデシルチオ)ピリミジン-5-アミン(11 g)をトルエン(100 mL)に溶解させ、アクリル酸(3.83 mL)を加え110℃で終夜撹拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をAcOH(100 mL)に溶解させ、尿素(3.35 g) を加え110℃で2日間撹拌した。反応溶液を濃縮し、飽和重曹水で中和、生じた結晶をろ取した。得られた固体を10% MeOH/DCM混合溶液に溶解し硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、ろ液を濃縮した。得られた固体をEtOHで洗浄して目的化合物(5.67 g)を得た。
NMR2; 0.88(3H, t, J=7.0Hz), 1.17-1.38(16H, m), 1.38-1.50(2H, m), 1.68-1.79(2H, m), 2.89(2H, t, J=6.7Hz), 3.14(2H, t, J=7.4Hz), 3.88(2H, t, J=6.7Hz), 7.48(1H, brs), 8.52(2H, s).
【0092】
参考例11
1-[2-(ドデシルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
1-[2-(ドデシルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(7.17 g)をDCM (80 mL)に懸濁させ冷却後、含水77%MCPBA(10.23 g)を加えた後、室温で終夜撹拌した。反応溶液にジメチルスルフィドを加えて撹拌後、飽和重曹水を加えDCMを減圧留去した。得られた固体を水洗して目的化合物(7.15 g)を得た。
NMR1; 0.85(3H, t, J=7.1Hz), 1.15-1.45(18H, m), 1.60-1.73(2H, m), 2.78(2H, t, J=6.6Hz), 3.53-3.61(2H, m), 4.01(2H, t, J=6.6Hz), 9.08(2H, s), 10.83(1H, brs).
【0093】
参考例12
1-[2-(メチルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
2-(メチルチオ)ピリミジン-5-アミン(4.61 g)を水(25 mL)に懸濁させアクリル酸(4.48 mL)を加えて窒素置換し70℃で2日間攪拌した。反応溶液を濃縮し残渣をAcOH(25 mL)に溶解させ、尿素(2.94 g)を加えて90℃で3日間撹拌した。反応溶液を濃縮し、残渣に飽和重曹水を加えて中和、AcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=4:1→0:1)にて精製後、EtOHにて洗浄して目的化合物(478 mg)を得た。
NMR2; 2.58(3H, s), 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.89(2H, t, J=6.7Hz), 7.61(1H, brs), 8.54(2H, s).
【0094】
参考例13
1-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
1-[2-(メチルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(520 mg)をDCM(10 mL)に懸濁させ含水77%MCPBA(1174 mg)を加え窒素雰囲気下室温で終夜撹拌した。反応溶液にジメチルスルフィドを加えて撹拌後、固体をDCMで洗浄して目的化合物(449 mg)を得た。
NMR1; 2.78(2H, t, J=6.6Hz), 3.42(3H, s), 4.01(2H, t, J=6.6Hz), 9.08(2H, s), 10.82(1H, brs).
【0095】
参考例14
ジエチル 2-(5-ニトロピリミジン-2-イル)-2-フェニルマロネート
ジエチルフェニルマロネート(21.64 mL)をDMF(100 mL)溶液に懸濁させ氷冷後、60%NaH(4.01 g)を加えて30分間撹拌した後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(8.0 g)を加えて80℃で1時間撹拌した。反応溶液に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=95:5→75:25)にて精製し、目的化合物(10.04 g)を得た。
NMR2; 1.29(6H, t, J=7.1Hz), 4.37(4H, q, J=7.1Hz), 7.31-7.40(3H, m), 7.43-7.50(2H, m), 9.46(2H, s).
【0096】
参考例15
2-ベンジルピリミジン-5-アミン
ジエチル2-(5-アミノピリミジン-2-イル)-2-フェニルマロネート(1.13 g)をエチレングリコール(10 mL)に溶解させ5M NaOH水溶液(3.43 mL)を加えて120℃で2日間撹拌した。反応溶液にクエン酸水溶液を加え中和しAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:1→0:1)にて精製し、目的化合物(502 mg)を得た。
NMR2; 3.59(2H, brs), 4.18(2H, s), 7.16-7.24(1H, m), 7.26-7.35(4H, m), 8.14-8.19(2H, m).
【0097】
参考例1及び2と同様にして、参考例16〜36の化合物を、それぞれ製造した。 参考例16〜36の化合物の構造式及び物理化学的データを表1−1及び1−2にそれぞれ示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0098】
[実施例]
実施例1
1-(2-フェノキシピリミジン-5-イル)-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
2-フェノキシピリミジン-5-アミン(1.00 g)、アクリル酸(1.10 mL)をトルエン(10 mL)に溶解させ、80℃で3日間攪拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をAcOH(10 mL)に溶解させ、尿素(642 mg)を加えて2日間加熱還流した。反応溶液を濃縮し、粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(AcOEt/MeOH=1:0→9:1)にて精製後、得られた固体をEtOHにて洗浄して目的化合物(233 mg)を得た。
NMR2; 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.88(2H, t, J=6.7Hz), 7.17-7.24(2H, m), 7.26-7.33(1H, m), 7.40-7.49(2H, m), 7.54(1H, brs), 8.55(2H, s).
【0099】
実施例2
1-[2-(2-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
2-(2-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-アミン(1.00 g)、アクリル酸(0.67 mL)をプロピオニトリル(10 mL)に溶解させ、110℃で2日間攪拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をAcOH(10 mL)に溶解させ、尿素(585 mg)を加えて終夜加熱還流した。反応溶液を濃縮し、粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane/AcOEt=1:1→0:1)にて精製後、得られた固体をEtOHにて洗浄して目的化合物(289 mg)を得た。
NMR2; 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.89(2H, t, J=6.7Hz), 7.12-7.34(4H, m), 7.59(1H, brs), 8.55(2H, s).
【0100】
実施例3
1-[2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-アミン(500 mg)、アクリル酸(0.50 mL)をトルエン(2.5 mL)に溶解させ、80℃で終夜攪拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をAcOH(2.5 mL)に溶解させ、尿素(293 mg)を加えて2日間加熱還流した。反応溶液を濃縮し、粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(DCM/AcOEt=4:1→1:1)にて精製後、得られた固体をIPEにて洗浄して目的化合物(63 mg)を得た。
NMR2; 2.91(2H, t, J=6.7 Hz), 3.90(2H, t, J=6.7 Hz), 6.92-7.08(3H, m), 7.34-7.48(1H, m), 7.58(1H, brs), 8.57(2H, s).
【0101】
実施例4
1-(2-フェノキシピリミジン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
1-[2-(メチルチオ)ピリミジン-5-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(440 mg)をDCM(10 mL)に懸濁させ、含水77%MCPBA(1002 mg)を加え窒素雰囲気下、室温で終夜撹拌した。反応溶液にジメチルスルフィドを加えて撹拌後、減圧濃縮、残渣をDMF(4 mL)に溶解しフェノール(0.33 mL)、K
2CO
3(772 mg)を加え、室温で終夜撹拌した。その後、70℃で3時間撹拌した。反応溶液に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:1→0:1)にて精製後、得られた固体をIPEにて洗浄、含水EtOHから再結晶を行い、目的化合物(270 mg)を得た。
NMR2; 5.93(1H, dd, J=2.2Hz, 8.0Hz), 7.19-7.27(3H, m), 7.27-7.35(1H, m), 7.42-7.51(2H, m), 8.46(1H, brs), 8.59(2H, s).
【0102】
実施例5
1-[2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-3-メチル-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
1-[2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(500 mg)、K
2CO
3(343 mg)をDMF(5 mlに)懸濁させヨウ化メチル(0.11 mL)を加えて70℃で1時間撹拌した。反応溶液に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して目的化合物(197 mg)を得た。
NMR2; 2.94(2H, t, J=6.7 Hz), 3.25(3H, s), 3.83(2H, t, J=6.7 Hz), 6.92-7.08(3H, m), 7.35-7.45(1H, m), 8.55(2H, s).
【0103】
実施例6
1-[2-(3-フルオロ-2-メチルフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
1-[2-(ドデシルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(500 mg)、3-フルオロ-2-メチルフェノール(193 mg)、K
2CO
3(244 mg)をDMF(7 mL)に懸濁させ窒素雰囲気下、室温で撹拌した後、80℃で3時間撹拌した。反応溶液に水を加え生じた固体を水洗して目的化合物(143 mg)を得た。
NMR2; 2.12(3H, d, J=1.8Hz), 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.89(2H, t, J=6.7Hz), 6.93(1H, d, J=8.2Hz), 6.95-7.03(1H, m), 7.18-7.27(1H, m), 7.61(1H, brs), 8.55(2H, s).
【0104】
実施例7
1-[2-(3-エチルフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
1-[2-(3-エチニルフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(312 mg)をEtOH/THF(5/5 mL)混合溶液に溶解させ、含水10%Pd/C(108 mg)を加え水素雰囲気下、3時間撹拌した。反応溶液をセライト濾過、AcOEt洗浄、ろ液を濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:1→0:1)にて精製後、得られた固体をEtOHで洗浄して目的化合物(99 mg)を得た。
NMR2; 1.26(3H, t, J=7.6Hz), 2.69(2H, q, J=7.6Hz), 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.88(2H, t, J=6.7Hz),6.97-7.08(2H, m), 7.09-7.16(1H, m), 7.35(1H, t, J=7.8Hz), 7.60(1H, brs), 8.54(2H, s).
【0105】
実施例8
1-[2-(フェニルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
1-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(224 mg)、K
2CO
3(172 mg)、チオフェノール(0.10 mL)をDMF(5 mL)に懸濁させ窒素雰囲気下室温で撹拌した後、70℃で10時間撹拌した。残渣に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:1→0:1)にて精製後、EtOHにて洗浄して目的化合物(47 mg)を得た。
NMR2; 2.88(2H, t, J=6.6Hz), 3.85(2H, t, J=6.6Hz), 7.40-7.50(3H, m), 7.58(1H, brs). 7.60-7.68(2H, m), 8.50(2H, s).
【0106】
実施例1〜8と同様にして、実施例9〜56の化合物を、それぞれ製造した。実施例9〜56の化合物の構造式及び物理化学的データを、表2−1〜2−6にそれぞれ示す。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【0107】
[試験例]
以下に、本発明の代表的化合物の薬理試験結果を示し、該化合物についての薬理作用を説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0108】
[試験例1]聴原性てんかん発作モデル
この試験で用いる動物モデルは臨床予測性が高く、部分発作(二次性全般化を含む)や全般性強直間代発作の表現系である。本試験はDe Sarroらの報告(Br J Pharmacol. 1988 Feb; 93(2): 247-56. Anticonvulsant effects of some calcium entry blockers in DBA/2 mice. De Sarro GB, Meldrum BS, Nistico G.)に準じて行った。
本試験例においては、試験化合物として、以下の表3に示す実施例化合物を使用した。また、比較例化合物としては、置換位置を勘案した場合に最も近似な次の化合物(国際公開第2004/009559号公報の実施例5の化合物)を使用した。
試験化合物を5%アラビアゴム/蒸留水(w/v)に懸濁し、30 mg/kgの用量で雌雄DBA/2マウス(日本エスエルシー株式会社、3週齢、1群8例)に強制経口投与した。その1時間後にマウスを直径23 cm 高さ30 cmの透明アクリルシリンダー内に静置し、30秒の馴化後に12.6 kHz、100-110 dBの音刺激を 1分間又は強直発作が発現するまで与えた。
発作の程度を、0:発作なし、1:Wild running、2:間代性発作、3:強直性発作、4:呼吸停止とし、これらのポイントのうち最大のポイントを発作重篤度スコアとして記録した。
以下の数式により各化合物投与群の発作抑制率を算出した。
【数1】
結果を表3に示す。
【表3】
【0109】
[試験例2]最大電撃けいれんモデル(MES)
本試験は、化合物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、全般性強直間代発作や二次性全般化部分発作の表現系である。本試験はHill AJらの報告(Br J Pharmacol. 2012 Dec;167(8):1629-42. Cannabidivarin is anticonvulsant in mouse and rat. Hill AJ, et al.)に準じて行った。
本試験例においては、試験化合物として、実施例化合物1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 28, 30, 31, 37, 38, 40, 41, 42, 44, 45, 47, 48, 50, 52, 53, 54, 56を使用した。
試験化合物を5%アラビアゴム/蒸留水(w/v)に懸濁し、30 mg/kgの用量で雄性ICRマウス(日本エスエルシー株式会社、5-6週齢、1群8例)に強制経口投与した。その1時間後に両耳介に装着した電極より、電気刺激(100 Hz、30 mA、0.2秒間)を、小動物用電撃けいれん刺激装置(UgoBasile社製)を用いて与え、誘発される後肢の強直性伸展痙攣の発現の有無を観察した。
上記試験において、溶媒投与群では全例で後肢の強直性伸展痙攣が誘発されるのに対して、実施例化合物1, 2, 3, 5, 8, 10, 12, 13, 14, 16, 18, 22, 26, 28, 30, 31, 38, 42, 47, 48, 54では痙攣の発現が75%以上抑制され、実施例化合物4, 6, 9, 11, 23, 41, 45では痙攣の発現が50%以上抑制された。
【0110】
[試験例3]皮下注射ペンチレンテトラゾールモデル(scPTZ)
本試験は、試験例2)と同様に化合物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、試験例2)の表現系とは異なり、全般性の欠神発作やミオクロニー発作の表現系である。
本試験例においては、試験化合物として、実施例化合物1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 28, 30, 31, 37, 38, 40, 41, 42, 44, 45, 47, 48, 52, 53, 54, 56を使用した。
試験化合物を5%アラビアゴム/蒸留水(w/v)に懸濁し、30 mg/kgの用量で雄性ICRマウス(日本エスエルシー株式会社、5-6週齢、1群10例)に強制経口投与した。その1時間後に、生理食塩水に溶解したペンチレンテトラゾール85 mg/kgを皮下投与し、30分間における間代性痙攣の発現の有無を観察した。
上記試験において、溶媒投与群では全例で間代性痙攣が誘発されるのに対して、実施例化合物1, 2, 3, 4, 5, 11, 13, 14, 22, 23, 28では痙攣の発現が75%以上抑制され、実施例化合物12, 26, 41, 42, 44, 56では痙攣の発現が50%以上抑制された。
【0111】
[試験例4]ロータロッド試験
本試験は、化合物の協調運動障害作用を評価する試験である。
本試験例においては、試験化合物として、実施例化合物1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 28, 30, 31, 37, 38, 40, 41, 42, 44, 45, 47, 48, 50, 52, 53, 54, 56を使用した。
雄性ICRマウス(日本エスエルシー株式会社、5-6週齢、1群8例)をロータロッド装置(室町機械株式会社)に乗せ、15回転/分の速度で回転する棒から2分間落下しないで歩行できるように訓練した。試験化合物を5%アラビアゴム/蒸留水(w/v)に懸濁し、30 mg/kgの用量で訓練済みのマウスに強制経口投与した。1時間後に上記と同様のロータロッド装置に乗せ、5分間で4回転/分から40回転/分に加速する棒の回転に合わせて歩行できるかを、200秒間観察し、落下潜時を計測した。溶媒投与群の落下潜時の平均値に対する、化合物投与群の落下潜時の相対値を算出した。
上記試験において、実施例化合物1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 28, 30, 31, 37, 38, 40, 41, 42, 44, 47, 48, 50, 52, 53, 54, 56では協調運動障害が25%以下であった。
【0112】
以上のように、本発明の化合物は抗てんかん薬の評価に用いられる複数のモデル動物において、いずれにも抗痙攣作用を示すので、広範な治療スペクトルを示す抗てんかん薬(てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作の予防薬及び/又は治療薬)として有用である。更に、本発明の化合物は、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患の診断薬としても有用である。