(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
衣類処理装置は、ドラムの内部に衣服、寝具など(以下、洗濯物という。)を投入して洗濯物に付着した汚染を除去する装置である。衣類処理装置は、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥などの過程を行うことができる。衣類処理装置は、ドラムに洗濯物を投入する方式によってトップローディング(top loading)方式とフロントローディング(front loading)方式に分けられる。フロントローディング方式の洗濯機を一般にドラム式洗濯機という。
【0003】
衣類処理装置は、外観を形成するキャビネットと、キャビネットの内部に収容されるタブと、タブの内部に回転可能に装着されて洗濯物が投入されるドラムと、ドラムの内周面に配置されて洗濯物の上昇及び落下により洗濯物の洗浄を助けるリフターと、洗剤をドラムの内部に供給する洗剤供給装置とを含むものが一般的である。
【0004】
図1はフロントローディング方式の衣類処理装置の外観を示し、
図2は
図1の衣類処理装置の内部を示す。
【0005】
衣類処理装置は、外観を形成する衣類処理装置のキャビネット11と、キャビネット11の内部に回転可能に装着されて洗濯物が投入されるドラム110と、ドラム110の内部に設けられるリフター21と、キャビネット11の前面に設けられるドア12とを含む。キャビネット11の下部には、洗剤を投入するための洗剤投入口を遮蔽する洗剤投入口蓋体13が配置される。また、衣類処理装置は、ドラム110の内部に位置する洗濯物の乾燥のために空気を循環させなければならないので、ダクトや熱交換器などを含む。さらに、衣類処理装置の下部には、キャビネット11の底面を形成するベースが配置される。ベース110は、ドラム110、タブ15、排水ポンプ18、フィルタ部17、洗剤供給部などを支持する役割を果たす。
【0006】
ドラムに洗濯物が収容されて駆動モータによりドラムが回転することによって洗濯工程が行われる。ドラムに洗濯物が収容された状態でドラムの回転軸を中心とする洗濯物の質量分布が許容範囲内にある場合は動的平衡状態(dynamic equilibrium, dynamic balance)が維持されるが、ドラムの内部に収容された洗濯物の位置によっては動的平衡状態が維持されていない状態で回転することがある。
【0007】
ドラムの回転軸を中心とする質量分布が均一でない状態でドラムが回転する場合、動的平衡状態が崩れているので、ドラムの回転により大きな振動及び騒音が発生してタブやキャビネットに伝達されるという問題が生じることがある。
【0008】
動的非平衡状態でドラムの回転により発生する騒音及び振動を低減するために、ドラムの前部及び後部にバランサをそれぞれ配置する。バランサの内部には所定の重量を有する物質が含まれてもよく、また、前記物質は円周方向に移動可能な経路を有するようにしてもよい。ドラム内部の荷重が一方に偏った場合、前記物質は荷重が偏った所の反対側に偏って分布することになり、よって、ドラムの偏心回転を防止することができる。このために、ドラムの前部及び後部にバランサをそれぞれ設ける。
【0009】
バランサはドラムとの締結により固定しなければならないが、従来は、ドラムの前部及び後部にバランサを固定するために、ドラムの外周面に所定の間隔でネジ結合のための孔をパンチングなどの方法で形成し、その後バランサの外周面に形成されたネジ結合部でのネジ結合により固定する方法を用いていた。
【0010】
このために、生産ラインの作業者は、ドラムの外周面に孔を形成し、ネジ結合部の数に対応する数のネジを締結して固定していた。しかし、当該方法は、別途のネジを用いてネジ結合により固定する時間がかかるので、作業に要する時間が増加し、生産性が低下するという問題があった。
【0011】
よって、フック結合によりネジ結合と同じ結合力を提供しながらも作業者の簡単な作業だけでドラムとバランサを結合することのできる構造が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ボールバランサとドラムとを簡単な方法で固定することができ、ネジ結合と同じ結合力を提供することができる装置を提案することを目的とする。
【0013】
本発明は、ドラムとボールバランサとを固定することによりドラムの回転によるボールバランサの前後方向への動きを防止することを目的とする。
【0014】
本発明は、ドラムの切断された面をボールバランサに押し込んで嵌める方式でドラムとボールバランサを固定することにより作業者の利便性を図ることを目的とする。
【0015】
本発明は、ネジ結合ではなくフック結合を用いてドラムとボールバランサとを固定することにより迅速な結合を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記課題を解決するために、本発明の一実施形態による衣類処理装置は、外周面が切開されて外力により内部に向かって曲がるように形成されるフック部を備えるドラムと、外周面から突設されて前記フック部を収容するフック収容部を備えるボールバランサとを含み、前記フック部は、曲がって前記フック収容部に密着し、前記ドラムの回転による前記ドラムの前後方向への前記ボールバランサの動きを制限する。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記ドラムは、ネジの挿入のために外周面を貫通するように形成される貫通孔を備え、前記フック部及び前記貫通孔は、前記ドラムの周部に沿って所定の間隔で交互に形成配置される。
【0018】
本発明の他の態様によれば、前記フック部は、前記ドラムの外周面が四角形状に切開されて形成され、いずれか1つのエッジ部を中心として前記ドラムの回転軸と交差する方向に曲がるようになっている。
【0019】
本発明の一態様によれば、前記フック部は、前記フック収容部に収容されて前記ボールバランサに密着するように、所定の長さを有する。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記フック部は、前記ドラムの外周面に所定の間隔で形成されるようになっており、前記各フック部は、異なる方向に曲がって前記フック収容部に収容されるように、交互に形成配置される。
【0021】
本発明の一態様によれば、前記ボールバランサは、ネジ結合のために外周面に沿って前記貫通孔に対応する位置にネジ結合部が形成される。
【0022】
本発明の一態様によれば、前記フック収容部は、外力の作用で曲がる前記フック部が嵌められて支持されるように、内側がテーパ状に形成される。
【0023】
本発明の一態様によれば、前記フック収容部は、前記フック部の離脱を防止するように、前記ボールバランサの外周面から突設され、前記ドラムの回転軸と平行な方向に延びる第1部材と、前記ボールバランサの外周面から突設され、前記第1部材に対向するように所定距離離隔して配置される第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材に連結され、前記ボールバランサの外周面から前記第1部材及び前記第2部材の延長方向と交差する方向に突設され、前記フック部を支持する第3部材とを含む。
【0024】
ここで、前記第3部材は、溝が延びて形成される係止部を中心部内側に備え、曲がった前記フック部の離脱を防止する。
【発明の効果】
【0025】
上記のように構成される本発明によれば、ドラムとボールバランサとの固定を、ドラムの外周面に形成されるフック部をフック収容部に単に押圧して固定する方法により行うことができる。
【0026】
また、ドラムのフック部がバランサのフック収容部に固定されるので、ネジ結合と同じ結合力を有する。
【0027】
さらに、ドラムの複数のフック部が異なる方向に配置されてボールバランサのフック収容部に嵌められるので、ドラムが回転しても、ボールバランサがドラムの前後方向に移動することを防止することができる。
【0028】
さらに、ドラムのフック部をボールバランサのフック収容部に押し込んで固定するので、作業者はドラムとボールバランサとを迅速に固定することができ、ネジ結合のみを用いる場合よりも作業を迅速に行うことができ、生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明による衣類処理装置についてより詳細に説明する。
【0031】
本明細書においては、異なる実施形態であっても同一又は類似の構成には同一又は類似の符号を付し、その説明は省略する。本明細書で用いられる単数の表現は特に断らない限り複数の表現を含む。
【0032】
図1は衣類処理装置の外観を示す図であり、
図2は衣類処理装置の内部を示す図である。
【0033】
衣類処理装置100は、外観を形成するキャビネット11と、キャビネット11の内部に回転可能に装着されて洗濯物が投入されるドラム110と、ドラム110の内部に設けられるリフター21と、キャビネット11の前面に設けられるドア12とを含む。また、キャビネット11の下部には、洗剤を投入するための洗剤投入口を遮蔽する洗剤投入口蓋体13が配置される。さらに、衣類処理装置100は、ドラム110の内部に位置する洗濯物の乾燥のために空気を循環させなければならないので、ダクト(図示せず)、熱交換器(図示せず)などを含む。
【0034】
衣類処理装置100の下部には、液体洗剤又は液体柔軟剤を収容し、キャビネット11の外部に引き出し可能な貯蔵容器16、ドラム110を支持して振動を抑制する複数の弾性部材22及び/又はダンパー23、ドラム110を回転させる駆動モータ(図示せず)が備えられてもよい。また、キャビネット11の前面には、洗濯する洗濯物を出し入れできるようにドア12が備えられてもよい。ドア12は、ドラム110の前面を開閉できるように構成されてもよい。ドア12は、円盤状に形成されてもよい。ドラム110の下部には、電源供給により水を加熱できるように電気ヒータが備えられてもよい。
【0035】
ドラム110の下側には、ドラム110の内部の水を排水する排水ポンプ18が備えられてもよい。ドラム110の下側には、ドラム110の水を引き出してドラム110の上部領域に流入させる循環ポンプ19が備えられてもよい。排水ポンプ18の一側には、ドラム110から引き出された水の異物を捕集するフィルタ部17が備えられてもよい。
【0036】
衣類処理装置100の下部には、ベース110が配置される。ベース110の上部には、フィルタ部17、排水ポンプ18、循環ポンプ19、ドラム110を支持する弾性部材22などが配置され、衣類処理装置100の底面を形成する。
【0037】
ベース110には、衣類処理装置100を地面から所定高さ離隔させる機能を有する複数のレッグ14が配置される。レッグ14は、衣類処理装置100を支持する役割を果たす。
【0038】
図3はタブ15内で洗濯物を収容して回転するドラム110を示す斜視図であり、
図4は
図3のドラム110を分解した分解図である。
【0039】
ドラム110は、前方部材111(又はドラムフロント)、円筒部材112(又はドラムセンタ)、後方部材113(又はドラムリア)が結合されて形成される。ドラム110は、内部に洗濯物を収容し、タブ内で駆動モータにより回転して洗濯工程を行う。
【0040】
ドラム110は、前方部材111、円筒部材112及び後方部材113が結合されて外観を形成する。
【0041】
円筒部材112の前部にはフロントボールバランサ120aが配置され、円筒部材112の後部にはリアボールバランサ120bが配置される。後方部材113の背面には、スパイダ116が配置される。
【0042】
各部材の役割について説明すると、ボールバランサ120は、ドラム110の回転による振動を抑制するための部材であり、内部にボール(ball)や液体(流体)が備えられる。スパイダ116は、ドラム110に回転力を供給する役割を果たす部材である。リフター21は、ドラム110の内部の洗濯物を持ち上げてから落下させ、その落差により洗濯性能を向上させる役割を果たす。
【0043】
図5はドラム110及びドラム110の前部及び後部に配置されるボールバランサ120を示す断面図である。
【0044】
図5に示すように、ドラム110は、円筒状に形成される円筒部材112と、円筒部材112の前部に配置される前方部材111と、円筒部材112の後部に配置される後方部材113とを含む。
【0045】
前方部材111は、円筒部材112の前部で前方部材111の周面が円筒部材112の前方周面の一部と重なってカーリングされるように形成され、円筒部材112に結合固定される。前方部材111には、洗濯物の出し入れのための開口が形成される。
【0046】
前方部材111の外側には前方に突出する段差部が形成され、その段差部にフロントバランサが取り付けられることになる。
図5に示すように、フロントボールバランサ120aは、四角形状の断面を有するリング状に形成され、前方部材111の周面に沿って配置される。
【0047】
フロントボールバランサ120aの外周面に沿ってフック収容部121及びネジ結合部122が所定の間隔で交互に形成されるので、前方部材111と円筒部材112の重なる部分が、切開されて形成されるフック部114によってフック結合され、ドラム110の外周面に形成される貫通孔115によってネジ結合されることにより、フロントボールバランサ120aとドラム110が固定される。その詳細については後述する。
【0048】
また、後方部材113は、前方部材111と同様に、円筒部材112の後部で後方部材113の周面が円筒部材112の後方周面とカーリングされるように形成され、円筒部材112に固定される。後方部材113は、円筒部材112の後部を覆う役割を果たすものであり、円筒部材112の後部に配置される。後方部材113の背面には、回転軸に結合されるスパイダ116が結合され、回転軸を介して駆動モータによる回転力がドラム110に伝達される。
【0049】
後方部材113の外側には後方に突出する段差部が形成され、その段差部にリアバランサを取り付けることができる。リアボールバランサ120bは、フロントボールバランサ120aと同様に、四角形状の断面を有するリング状に形成され、後方部材113の周面に沿って配置される。
【0050】
前述したように、リアボールバランサ120bの外周面に沿ってフック収容部121及びネジ結合部122が所定の間隔で交互に形成されるので、後方部材113と円筒部材112の重なる部分が、切開されて形成されるフック部114によってフック結合され、ドラム110の外周面に形成される貫通孔115によってネジ結合されることにより、リアボールバランサ120bとドラム110が固定される。
【0051】
図6はドラム110を前方から見た正面図である。
【0052】
同図において、符号A〜Fはドラム110とボールバランサ120の結合位置を示すものであり、円形のドラム110において60°間隔で配置されている。ただし、これは一例にすぎず、ドラム110とボールバランサ120の結合力を高めるために結合部分をより多く形成してもよい。
【0053】
本発明による衣類処理装置100において、ドラム110とボールバランサ120の結合は、ネジ結合及びフック結合が交互に行われることを特徴とする。例えば、A及びDにはネジ結合が行われ、B、C、E、Fにはフック結合が行われるようにしてもよい。フック結合の方がネジ結合より作業者の作業が容易であるという利点があるので、A〜F部分には少なくとも1つのフック結合が行われることが好ましい。
【0054】
本発明においては、A〜Fをネジ結合又は/及びフック結合にする構成で様々な実施形態を実現することができる。ただし、ドラム110の回転により発生する遠心力又は振動により予期しない応力が生じることがあるので、各フック結合は、ドラム110の中心を基準として対称となる部分で行われ、各ネジ結合も、ドラム110の中心を基準として対称となる部分で行われることが好ましい。
【0055】
ドラム110とボールバランサ120のフック結合においては、ドラム110の外周面の一側が切開され、切開されたドラム110の外周面がドラム110の内部に向かって曲がるように形成されることにより、フック部114を形成するようにしてもよい。フック部114がボールバランサ120の外周面に形成されるフック収容部121に収容されることにより、ドラム110とボールバランサ120が固定される。
【0056】
ドラム110とボールバランサ120のネジ結合においては、ドラム110の外周面にネジが貫通するように貫通孔115が形成され、ボールバランサ120の外周面に形成されるネジ結合部122にネジが締結されることにより、ドラム110とボールバランサ120が固定される。
【0057】
図7はボールバランサ120のフック収容部121を示す斜視図である。
【0058】
ボールバランサ120の外周面には、外周面から突設されるフック収容部121が外周面に沿って形成される。フック収容部121は、ボールバランサ120の外周面に少なくとも1つ形成される。ここで、ボールバランサ120とは、フロントボールバランサ120a又はリアボールバランサ120bを意味する。
【0059】
フック収容部121は、ドラム110の外周面が切開されてドラム110の内部に曲がったフック部114を収容する。フック部114がフック収容部121に収容されることにより、ドラム110とボールバランサ120が固定される。フック部114がフック収容部121に支持されることにより、ドラム110とボールバランサ120が密着し、ドラム110の回転によるボールバランサ120の前後方向への動きを制限することができる。また、フック収容部121は、外力の作用で曲がったフック部114が嵌められて支持されるように、内側がテーパ状に形成されてもよい。
【0060】
フック収容部121は、第1部材121a、第2部材121b、第3部材121c及び係止部121dを含む。
【0061】
第1部材121aと第2部材121bとは、所定距離離隔して形成される。
【0062】
第1部材121a及び第2部材121bは、ボールバランサ120の外周面から突設されるものであり、ドラム110の回転軸と平行な方向に延びるようにしてもよい。
【0063】
第1部材121aと第2部材121bとの離隔距離は、ドラム110の外周面の切開される幅に応じて決定される。第1部材121a及び第2部材121bは、第1部材121aと第2部材121bとを連結する第3部材121cに接触する部分までボールバランサ120の外周面から突出する高さが高くなるように、折り曲げられた形状に形成されてもよい。
【0064】
第3部材121cは、第1部材121aと第2部材121bとを連結するものであり、ボールバランサ120の外周面から突出した形状を有する。第3部材121cは、ボールバランサ120の外周面から第1部材121a及び第2部材121bの延長方向と交差する方向に突設されてもよい。
【0065】
第3部材121cには、ドラム110の外周面が切開されて形成されるフック部114が係止固定されるように、係止部121dが備えられる。係止部121dは、第3部材121cの中心部に一方向に延びる溝の形状に形成される。
【0066】
係止部121dにフック部114が収容されるので、曲がったフック部114の離脱を防止することができ、ドラム110の回転によるボールバランサ120の前後方向への動きを防止することができる。
【0067】
図8a及び
図8bはドラムの前部でフック部114がフック収容部121に収容された状態を示す図である。
【0068】
図8a及び
図8bは円筒部材112及び前方部材111により形成されるドラム110とフロントボールバランサ120aの結合を示す。
【0069】
フック部114は、ドラム110の外周面が所定の形状に切開され、外力によりドラム110の内部に向かって曲がるように形成される。ドラム110は、金属材質からなり、
図8aのようにドラム110の外周面が切開されると、切開された面が金属自体の性質により内部に向かって曲がるので、フック部114としての機能を果たすことができる。ここで、ドラム110の外周面とは、前方部材111及び/又は円筒部材112の外周面を意味する。
【0070】
図8aに示すように、フック部114は、前方部材111と円筒部材112の重なる部分が切開されて形成されてもよく、また、フック部114は、前方部材111の外周面又は円筒部材112の外周面からなるようにしてもよい。
図8a及び
図8bにおいては、円筒部材112の外周面が切開されてフック部114が形成された場合を例に挙げている。
【0071】
図8a及び
図8bから分かるように、フック部114は、作業者による外力が作用すると、曲がってフック収容部121の係止部121dに収容されることにより、ドラム110の前面又は背面方向へのボールバランサ120の動きを制限する。よって、フック部114は、所定の長さを有するようにしなければならず、具体的には、フック部114は、フック収容部121の係止部121dまで収容される長さを有するように切開されることが好ましい。
【0072】
図8bはドラム110の外周面が切開されてフック部114が形成され、外力の作用でフック部114が曲がってフック収容部121に収容された状態を示す。フック部114は、
図8aのフック部114とは異なる方向に曲がるように形成されてフック収容部121に収容される。すなわち、
図8bにおいては、
図8aのドラム110の外周面とは異なる位置が切開され、
図8aのフック部114とは異なる位置にフック部114が存在する。
図8bのフック部114は、ボールバランサ120を中心として
図8aのフック部114に対向する位置に形成されてもよい。
【0073】
また、フック部114は、ドラム110の外周面でドラム110の周面に沿って所定の間隔で形成されてもよく、かつ、各フック部114は、異なる方向に曲がるように交互に形成配置されてフック収容部121の係止部121dに支持されてもよい。この場合、同じ方向に曲がるフック部114を構成した場合に比べて、ドラム110とボールバランサ120を効果的に固定することができる。
【0074】
図9a及び
図9bはドラムの後部でフック部114がフック収容部121に収容された状態を示す図である。
【0075】
図9a及び
図9bにおいては、ドラムの後部でフック部114がフック収容部121に収容されるが、この場合、
図8a及び
図8bに示したものが、円筒部材112及び後方部材113により形成されるドラム110とリアボールバランサ120bの結合に同様に適用される。
【0076】
図9a及び
図9bに示すように、フック部114は、ドラム110の外周面が所定の形状に切開され、外力が作用すると内部に向かって曲がる。
【0077】
ドラム110は、金属材質からなり、
図9aのようにドラム110の外周面が切開されると、金属自体の性質により内部に向かって曲がるので、フック部114としての機能を果たすことができる。ここで、ドラム110の外周面とは、後方部材113及び円筒部材112の外面を意味する。
【0078】
図9aに示すように、フック部114は、後方部材113と円筒部材112の重なる部分が切開されて形成されてもよく、また、フック部114は、後方部材113の外周面又は円筒部材112の外周面からなるようにしてもよい。
図9a及び
図9bにおいては、円筒部材112の外周面が切開されてフック部114が形成された場合を例に挙げている。
【0079】
図9a及び
図9bから分かるように、フック部114は、作業者による外力が作用すると、曲がってフック収容部121の係止部121dに収容されることにより、ドラム110の前面又は背面方向へのボールバランサ120の動きを制限する。よって、フック部114は、所定の長さを有するようにしなければならず、具体的には、フック部114は、フック収容部121の係止部121dまで収容される長さを有するように切開されることが好ましい。
【0080】
図9bにおいては、
図9aと同様に、ドラム110の外周面が切開されてフック部114が形成され、外力が作用するとフック部114が曲がってフック収容部121に収容される。フック部114は、
図9aのフック部114とは異なる方向に曲がるように形成されてフック収容部121に収容される。
【0081】
すなわち、
図9bにおいては、
図9aのドラム110の外周面とは異なる位置が切開され、
図9aのフック部114とは異なる位置にフック部114が存在する。つまり、
図9bのフック部114は、ボールバランサ120を中心として
図9aのフック部114に対向する位置に形成されてもよい。
【0082】
また、フック部114は、ドラム110の外周面でドラム110の周面に沿って所定の間隔で形成されてもよく、かつ、各フック部114は、異なる方向に曲がるように交互に形成配置されてフック収容部121の係止部121dに支持されてもよい。この場合、同じ方向に曲がるフック部114を構成した場合に比べて、ドラム110とボールバランサ120を効果的に固定することができる。
【0083】
図10は四角形状に切開されたフック部114がフック収容部121に収容された状態を示す図である。
【0084】
図8a〜
図9bのように、フック部114は、外力によりドラム110の内部に向かって曲がることによりフック収容部121に収容される。
【0085】
フック部114は、ドラム110の外周面に四角形状に切開されて形成されてもよい。ここで、各角部は曲線状に形成されてもよい。フック部114の幅の長さは、フック収容部121の幅の長さに対応するように決定されることが好ましい。よって、フック部114の幅の長さは、フック収容部121の第3部材121cの長さに応じて決定され、第3部材121cの両端に配置される第1部材121a及び第2部材121bによりフック部114の離脱が防止される。
【0086】
四角形状になるように1つのエッジ部を除いて切開されているフック部114は、切開されていないエッジ部を中心としてドラム110の回転軸と交差する方向に曲がる。曲がったフック部114がフック収容部121の係止部121dに支持されることにより、ドラム110とボールバランサ120とが固定される。
【0087】
図11はボールバランサ120に形成されたネジ結合部122を示す図である。
【0088】
ネジ結合部122は、ボールバランサ120の外周面に沿って所定の間隔で形成されてもよい。ボールバランサ120の外周面には、フック収容部121又はネジ結合部122が所定の間隔で交互に配置される。ボールバランサ120の外周面には、ドラム110の外周面が切開されて形成されるフック部114を収容するためのフック収容部121、及びネジを締結するためのネジ結合部122が外周面に沿って所定の間隔で形成されてもよい。
【0089】
ネジ結合部122は、ネジの挿入のためにドラム110の外周面を貫通するように形成される貫通孔115に対応して配置される。ネジ結合部122は、ネジ結合孔122aを含む。
【0090】
ネジ結合孔122aは、ネジを挿入して固定することができるように、通常、円形に形成される。ネジ結合孔122aには、ボールバランサ120の外周面から突設されるリブ122bが連結される。リブ122bは、ネジ結合孔122aの両側に連結され、ドラム110に覆われるように形成されるのでドラム110の内周面に接触する。リブ122bは、ドラム110の内周面を支持する役割を果たす。リブ122bは、一方向に延設されてもよく、互いに交差する他方向に延設されてもよい。よって、内側に空間部(図示せず)が形成される。
【0091】
図12はフロントボールバランサ120aとドラム110の前方部材111がネジ結合により結合された状態を示し、
図13はリアボールバランサ120bとドラム110の後方部材113がネジ結合により結合された状態を示す。
【0092】
フロントボールバランサ120aは、ドラム110の前方部材111が突出して形成される空間部に配置され、リアボールバランサ120bは、ドラム110の後方部材113が突出して形成される空間部に配置される。
【0093】
ドラム110の外周面に形成される貫通孔115は、周面に沿って互いに離隔するように複数形成されてもよく、フロントボールバランサ120a及びリアボールバランサ120bの外周面に形成されるネジ結合部122は、周面に沿って互いに離隔するように複数形成されてもよい。
【0094】
ここで、フロントボールバランサ120a及びリアボールバランサ120bの外周面に形成されるネジ結合部122とドラム110の外周面に形成される貫通孔115とは重なるように配置され、ネジ結合孔122aにネジが締結されることによりドラム110とボールバランサ120とが固定されて結合される。よって、洗濯工程でのドラム110の回転によるボールバランサ120の前後方向への移動を防止することができる。
【0095】
ただし、ネジ結合によりドラム110とボールバランサ120とを固定することは、ドラム110の外周面にフック部114を形成してボールバランサ120のフック収容部121に収容されるようにすることに比べて、作業に要する時間が長い。よって、ネジ結合及びフック結合を適切に配置している本発明においては、ネジ結合によりドラム110とボールバランサ120とを固定する方法に比べて、同じ結合力を有しながらも作業時間を短縮させることができるという効果が得られる。
【0096】
以上説明した衣類処理装置は、上記実施形態の構成や方法に限定されるものではなく、各実施形態の全部又は一部を選択的に組み合わせて構成することで様々に変形することができる。