(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870079
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】マルチ材料ホットランナーノズル
(51)【国際特許分類】
B29C 45/16 20060101AFI20210426BHJP
B29C 45/20 20060101ALI20210426BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/20
B29C45/26
【請求項の数】31
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-518474(P2019-518474)
(86)(22)【出願日】2017年9月14日
(65)【公表番号】特表2019-534180(P2019-534180A)
(43)【公表日】2019年11月28日
(86)【国際出願番号】CA2017051082
(87)【国際公開番号】WO2018064751
(87)【国際公開日】20180412
【審査請求日】2019年5月28日
(31)【優先権主張番号】62/404,280
(32)【優先日】2016年10月5日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595155303
【氏名又は名称】ハスキー インジェクション モールディング システムズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HUSKY INJECTION MOLDING SYSTEMS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヤンコブ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ケイア,ウィリアム スティーブン
【審査官】
▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−235737(JP,A)
【文献】
特開昭63−099918(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0247739(US,A1)
【文献】
特開平11−198188(JP,A)
【文献】
特開2015−016661(JP,A)
【文献】
特表2013−537859(JP,A)
【文献】
米国特許第05143733(US,A)
【文献】
特開2013−107212(JP,A)
【文献】
特表2000−516167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融物を金型キャビティ(244)に送達するための共射出ノズル(216)を有する射出成形機であって、該共射出ノズルは、
内側流路(220a)と、外側流路(220c)と、該内側流路及び該外側流路の間に少なくとも1つの中間流路(220b)とを有するノズル本体と、
前記内側流路内に摺動可能に収容され、開放位置と1つ以上の閉鎖位置との間で移動可能であるバルブステム(234)と、
を備え、
第1の閉鎖位置において、前記バルブステムは、前記内側流路の出口(236a)を閉鎖するが、前記外側流路の出口(236c)または前記少なくとも1つの中間流路の出口(236b)は閉鎖せず、
前記内側流路および前記少なくとも1つの中間流路のそれぞれの出口は、互いに直接隣り合っていると共に、前記少なくとも1つの中間流路および前記外側流路のそれぞれの出口は、互いに直接隣り合っており、
前記内側流路、前記外側流路および前記少なくとも1つの中間流路(220a、220c、220b)のそれぞれの出口(236a、236c、236b)は、前記共射出ノズル(216)の下流端部に位置づけられる組み合わせ領域(240)において互いに交差しており、
前記内側流路(220a)の前記出口(236a)は、前記外側流路(220c)の前記出口(236c)に対して実質的に垂直であるが、前記少なくとも1つの中間流路(220b)の前記出口(236b)に対しては実質的に垂直ではなく、
前記バルブステムが前記内側流路(220a)の前記出口(236a)の上流にあるとき、前記少なくとも1つの中間流路から流出する溶融物の流れは、前記外側流路から流出する溶融物の流れおよび前記内側流路から流出する溶融物の流れと同時に交差する、射出成形機。
【請求項2】
前記少なくとも1つの中間流路(220b)の前記出口(236b)を通る平面は、前記内側流路(220a)の長手方向軸から90度未満の角度で位置付けされている、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記少なくとも1つの中間流路(220b)の前記出口(236b)を通る前記平面は、前記内側流路(220a)の前記長手方向軸から約25度〜75度の角度で位置付けされている、請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
開放位置において、溶融物は、前記内側流路、前記外側流路および前記少なくとも1つの中間流路(220a、220c、220b)の各々から流出することができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記複数の流路(220a、220b、220c)は、同心円状に配置されている、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記ノズル本体は、前記少なくとも1つの中間流路(220b)と前記外側流路(220c)とを分離する第1の先端ピース(239)を含み、該第1の先端ピースの下流端部(238)は、前記少なくとも1つの中間流路および前記外側流路の前記それぞれの出口(236b、236c)間の第1のアールを付けたエッジに向かってテーパー状になる第1のナイフエッジ(238a)を含む、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記ノズル本体は、前記内側流路(220a)と前記少なくとも1つの中間流路(220b)とを分離する第2の先端ピース(242)を含み、該第2の先端ピースの下流端部(241)は、前記内側流路および前記少なくとも1つの中間流路の前記それぞれの出口(236a、236b)間の第2のアールを付けたエッジに向かってテーパー状になる第2のナイフエッジ(241a)を含む、請求項6に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記第2のナイフエッジ(241a)の半径は、前記第1のナイフエッジ(238a)の半径と同一である、請求項7に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記第2のナイフエッジ(241a)の半径は、前記第1のナイフエッジ(238a)の半径とは異なる、請求項7に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記内側流路(220a)の下流端部(243)は、前記内側流路の残りの部分よりも小さい直径を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項11】
前記内側流路(220a)の前記下流端部(243)の前記直径は、前記バルブステム(234)の直径に対応する、請求項10に記載の射出成形機。
【請求項12】
第1の溶融材料は、前記内側流路および前記外側流路(220a、220c)のそれぞれを介して前記金型キャビティ(244)に送達される、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項13】
第2の溶融材料は、前記少なくとも1つの中間流路(220b)を介して前記金型キャビティ(244)に送達され、該第2の溶融材料は、前記第1の溶融材料とは異なる、請求項12に記載の射出成形機。
【請求項14】
第2の閉鎖位置において、前記バルブステム(234)は、前記内側流路、前記少なくとも1つの中間流路、および前記外側流路(220a、220b、220c)の出口(236a、236b、236c)を閉鎖する、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項15】
溶融物を金型キャビティ(244)に送達するための共射出ノズル(216)を有する射出成形機であって、該共射出ノズルは、
第1および第2の先端ピース(239、242)、内側流路(220a)、外側流路(220c)、および該内側流路及び該外側流路の間に少なくとも1つの中間流路(220b)とを有するノズル本体であって、前記複数の流路は、同心円状に配置され、前記第1の先端ピースは、前記少なくとも1つの中間流路と前記外側流路とを分離し、前記第2の先端ピースは、前記内側流路と前記少なくとも1つの中間流路とを分離する、ノズル本体と、
前記内側流路内に摺動可能に収容され、開放位置と1つ以上の閉鎖位置との間で移動可能であるバルブステム(234)と、
を備え、
第1の閉鎖位置では、前記バルブステムは、前記内側流路の出口(236a)を閉鎖するが、前記外側流路の出口(236c)または前記少なくとも1つの中間流路の出口(236b)は閉鎖せず、
前記第1の先端ピースの下流端部(238)は、前記少なくとも1つの中間流路および前記外側流路の前記出口間の第1のアールを付けたエッジに向かってテーパー状になる第1のナイフエッジ(238a)を含み、
前記第2の先端ピースの下流端部(241)は、前記少なくとも1つの中間流路および前記内側流路の前記出口間の第2のアールを付けたエッジに向かってテーパー状になる第2のナイフエッジ(241a)を含み、
前記内側流路、前記外側流路および前記少なくとも1つの中間流路(220a、220c、220b)のそれぞれの出口(236a、236c、236b)は、前記共射出ノズル(216)の下流端部に位置づけられる組み合わせ領域(240)において互いに交差しており、
前記内側流路(220a)の前記出口(236a)は、前記外側流路(220c)の前記出口(236c)に対して実質的に垂直であるが、前記少なくとも1つの中間流路(220b)の前記出口(236b)に対しては実質的に垂直ではなく、
前記バルブステムが前記内側流路(220a)の前記出口(236a)の上流にある前記開放位置において、前記少なくとも1つの中間流路から流出する溶融物の流れは、前記外側流路から流出する溶融物の流れおよび前記内側流路から流出する溶融物の流れと同時に交差する、射出成形機。
【請求項16】
前記内側流路(220a)および前記少なくとも1つの中間流路(220b)のそれぞれの出口(236a、236b)は、互いに隣り合っていると共に、前記少なくとも1つの中間流路(220b)および前記外側流路(220c)のそれぞれの出口(236b、236c)は、互いに隣り合っている、請求項15に記載の射出成形機。
【請求項17】
前記第1および第2のナイフエッジ(238a、241a)は、好ましくは約0.03mm〜0.6mmのその先端における半径を含む、請求項15または16に記載の射出成形機。
【請求項18】
前記第1のナイフエッジ(238a)は、約0.3mmの半径を含み、前記第2のナイフエッジ(241a)は、約0.1mmの半径を含む、請求項15に記載の射出成形機。
【請求項19】
前記第1のナイフエッジ(238a)の前記半径は、前記第2のナイフエッジ(241a)の前記半径と同一である、請求項17に記載の射出成形機。
【請求項20】
前記第1のナイフエッジ(238a)の前記半径は、前記第2のナイフエッジ(241a)の前記半径とは異なる、請求項17に記載の射出成形機。
【請求項21】
第2の閉鎖位置において、前記バルブステム(234)は、前記内側流路、前記少なくとも1つの中間流路、および前記外側流路(220a、220b、220c)の前記出口(236a、236b、236c)を閉鎖する、請求項15に記載の射出成形機。
【請求項22】
溶融物を金型キャビティ(244)に送達するための共射出ノズル(216)を有する射出成形機であって、該共射出ノズルは、
内側流路(220a)、外側流路(220c)、および該内側流路及び該外側流路の間に少なくとも1つの中間流路(220b)とを有するノズル本体と、
前記内側流路内に摺動可能に収容され、開放位置と1つ以上の閉鎖位置との間で移動可能であるバルブステム(234)と、
を備え、
第1の閉鎖位置において、前記バルブステムは、前記内側流路の出口(236a)を閉鎖するが、前記外側流路の出口(236c)または前記少なくとも1つの中間流路の出口(236b)は閉鎖せず、
前記バルブステムが前記内側流路(220a)の前記出口(236a)の上流にある前記開放位置において、前記少なくとも1つの中間流路から流出する溶融物の流れは、前記外側流路から流出する溶融物の流れ及び前記内側流路から流出する溶融物の流れと同時に交差し、
前記内側流路、前記外側流路および前記少なくとも1つの中間流路(220a、220c、220b)のそれぞれの出口(236a、236c、236b)は、前記共射出ノズル(216)の下流端部に位置づけられる組み合わせ領域(240)において互いに交差しており、
前記内側流路(220a)の前記出口(236a)は、前記外側流路(220c)の前記出口(236c)に対して実質的に垂直であるが、前記少なくとも1つの中間流路(220b)の前記出口(236b)に対しては実質的に垂直ではない、射出成形機。
【請求項23】
前記内側流路(220a)および前記少なくとも1つの中間流路(220b)のそれぞれの出口(236a、236b)は、互いに隣り合っていると共に、前記少なくとも1つの中間流路(220b)および前記外側流路(220c)のそれぞれの出口(236b、236c)は、互いに隣り合っている、請求項22に記載の射出成形機。
【請求項24】
前記内側流路、前記外側流路および前記少なくとも1つの中間流路(220a、220c、220b)のそれぞれの出口(236a、236c、236b)は、同心円状に配置されている、請求項22に記載の射出成形機。
【請求項25】
前記外側流路および前記内側流路(220c、220a)から流出する溶融物の前記流れは、第1の溶融材料を含む、請求項22に記載の射出成形機。
【請求項26】
前記少なくとも1つの中間流路(220b)から流出する溶融物の前記流れは、第2の溶融材料を含み、該第2の溶融材料は、前記第1の溶融材料とは異なる、請求項25に記載の射出成形機。
【請求項27】
前記ノズル本体は、前記少なくとも1つの中間流路(220b)及び前記外側流路(220c)を分離する第1の先端ピース(239)と、前記少なくとも1つの中間流路および前記外側流路の前記出口(236b、236c)間の第1のアールを付けたエッジに向かってテーパー状になる第1のナイフエッジ(238a)を有する前記第1の先端ピースの下流端部(238)とを含む、請求項22〜26のいずれか一項に記載の射出成形機。
【請求項28】
前記ノズル本体は、前記少なくとも1つの中間流路(220b)及び前記内側流路(220a)を分離する第2の先端ピース(242)と、前記少なくとも1つの中間流路および前記内側流路の前記出口(236b、236a)間の第2のアールを付けたエッジに向けてテーパー状になる第2のナイフエッジ(241a)を有する該第2の先端ピースの下流端部(241)とを含む、請求項27に記載の射出成形機。
【請求項29】
前記第1のナイフエッジ(238a)の半径は、前記第2のナイフエッジ(241a)の半径と同一である、請求項28に記載の射出成形機。
【請求項30】
前記第1のナイフエッジ(238a)の半径は、前記第2のナイフエッジ(241a)の半径とは異なる、請求項28に記載の射出成形機。
【請求項31】
第2の閉鎖位置において、前記バルブステム(234)は、前記内側流路、前記少なくとも1つの中間流路、および前記外側流路(220a、220b、220c)の前記出口(236a、236b、236c)を閉鎖する、請求項22に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された実施形態は、概して射出成形機に関し、より詳細には複数の成形材料を金型キャビティに送達するノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、例えば飲料容器にブロー(吹込)成形可能な種類のプリフォーム(予備成形体)のようなプラスチック成形部品を製造するために使用される。典型的には、ホットランナーは、ホット溶融物をスプルーブッシュから1つ以上のノズルに送達するマニホールドを含み、この1つ以上のノズルは、結果的に溶融物を個々の金型キャビティに送達する。一部のホットランナーでは、ノズルを通る成形材料の流れは、ノズルの先端部でゲートを開閉するために前後に作動されるバルブステムによって制御される。
【0003】
一部の射出成形機は、共射出(co-injection)などによって、2つ以上の溶融物層および/または2つ以上の種類の溶融物を金型キャビティに分配するように構成されたノズル組立体を含んでもよい。例えば、ノズル組立体は、中間溶融材料を間に挟んで、内側及び外側溶融物流を成形部品に分配するように構成されてもよい。そのような例では、内層および外層は第1の溶融材料を含むことができ、中間溶融材料は第2の異なる溶融材料であってもよい。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態によれば、溶融物を金型キャビティに送達するための共射出ノズルを有する射出成形機が開示される。共射出ノズルは、内側流路と、外側流路と、内側流路及び外側流路の間に少なくとも1つの中間流路とを有するノズル本体と、内側流路内に摺動可能に収容されかつ1つの開放位置と1つ以上の閉鎖位置との間で移動可能なバルブステムとを含む。第1の閉鎖位置において、バルブステムは内側流路の出口を閉鎖するが、外側流路の出口または少なくとも1つの中間流路の出口は閉鎖しない。内側流路、外側流路および少なくとも1つの中間流路のそれぞれの出口は、互いに直接隣り合っている。
【0005】
別の実施形態によれば、溶融物を金型キャビティに送達するための共射出ノズルを有する射出成形機が開示される。共射出ノズルは、第1および第2の先端ピースと、内側流路と、外側流路と、内側流路及び外側流路の間に少なくとも1つの中間流路とを有するノズル本体と、内側流路内に摺動可能に受容されかつ1つの開放位置と1つ以上の閉鎖位置との間で移動可能であるバルブステムとを含む。流路は同心円状に配置され、第1の先端ピースは少なくとも1つの中間通路と外側通路とを分離し、第2の先端ピースは内側通路と少なくとも1つの中間通路とを分離する。第1の閉鎖位置において、バルブステムは内側流路の出口を閉鎖するが、外側流路の出口または少なくとも1つの中間流路の出口は閉鎖しない。第1の先端ピースの下流端部は、少なくとも1つの中間流路のおよび外側流路の出口間の第1のアールを付けた(radiused)エッジに向かってテーパー状になる第1のナイフエッジを含む。第2の先端ピースの下流端部は、少なくとも1つの中間流路および内側流路の出口間の第2のアールを付けたエッジに向かってテーパー状になる第2のナイフエッジを含む。
【0006】
さらに別の実施形態によれば、溶融物を金型キャビティに送達するための共射出ノズルを有する射出成形機が開示される。共射出ノズルは、内側流路と、外側流路と、内側流路及び外側流路の間に少なくとも1つの中間流路とを有するノズル本体と、内側流路内に摺動可能に収容されかつ1つの開放位置および1つ以上の閉鎖位置との間を移動可能であるバルブステムとを含む。第1の閉鎖位置において、バルブステムは内側流路の出口を閉鎖するが、外側流路の出口または少なくとも1つの中間流路の出口は閉鎖しない。開放位置において、少なくとも1つの中間流路から流出する溶融物の流れは、外側流路から流出する溶融物の流れおよび内側流路から流出する溶融物の流れと同時に交差する。
【0007】
前述の概念、および以下で論じる追加の概念は、本開示がこの点に関して限定されるものではないため、任意の適切な組み合わせで構成され得ることを理解されたい。
【0008】
本教示の前述および他の態様、実施形態、および特徴は、添付の図面と併せて以下の説明からより完全に理解することができる。
添付の図面は、一定の縮尺で描かれることを意図していない。図面では、様々な図に示されている同一またはほぼ同一の構成要素はそれぞれ、同じ参照番号で表されている。分かりやすくするために、すべての構成要素がすべての図面で番号表示されているとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】共射出ノズルによって成形された従来技術のプリフォームの概略断面図である。
【
図1B】共射出ノズルによって成形された従来技術のプリフォームの概略断面図である。
【
図2】従来技術による共射出ノズルの概略断面図である。
【
図3】従来技術によるホットランナーの概略断面図である。
【
図4】バルブステムが開放位置にある状態の一実施形態による共射出ノズルの概略断面図である。
【
図5】ノズル内の溶融物流路からの溶融物の流れを示す、
図4の共射出ノズルの下流端部の拡大概略断面図である。
【
図6】バルブステムが第1の閉鎖位置にある状態の
図4の共射出ノズルの概略断面図である。
【
図7】バルブステムが第2の閉鎖位置にある状態の
図4の共射出ノズルの概略断面図である。
【
図8】一実施形態による
図4の共射出ノズルの下流端部の拡大概略断面図である。
【
図9A】中間層を金型キャビティ内へ射出後、溶融物が中間溶融物流路内でピンチオフされている様子を示す説明図である。
【
図9B】中間層を金型キャビティ内へ射出後、溶融物が中間溶融物流路内でピンチオフされている様子を示す説明図である。
【
図9C】中間層を金型キャビティ内へ射出後、溶融物が中間溶融物流路内でピンチオフされている様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
射出成形機は、例えば飲料容器にブロー成形可能な種類のプリフォームのようなプラスチック成形部品を製造するために使用される。典型的には、このような射出成形機は、溶融物とも呼ばれる、溶融成形材料をノズルまで通過させ、そして溶融物を個々の金型キャビティに通過させるマニホールドを含む。いくつかのホットランナでは、ノズルは、共射出などによって、2つ以上の種類の溶融物を同じ金型キャビティ内に通過させるように配置されている。例えば、共射出ノズルは中間層を間に挟んで、内層と外層を分配することができる。そのような例では、中間層はバリア材料(例えば、酸素バリア材料)などのコア材層を含むことができ、コア材層は成形物品の内容物を外部の汚染(例えば、酸化)から保護することを意図してもよい。上記から分かるように、内層および外層は第1の溶融材料から形成される一方で、中間層は第2の溶融材料から形成されてもよく、第2の溶融材料は第1の溶融材料とは異なる。
【0011】
図1Aに示すように、プリフォーム100は、プリフォームのネック104からプリフォームの底部106まで延在する封入中間層102を含んでもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、この中間層を封入する際には、中間層の射出終了時などの所定の時間に中間溶融材料の流れを閉止することが必要である。
図1Bに示すように、第2の溶融材料の流れが適時に閉止されない場合、中間層はプリフォームの底部で完全には形成されないであろう。例えば、中間層の一部、または2つ以上の中間層が、プリフォームの底部106に封入されてしまうことがある。あるいは、別の例では、プリフォームの底部に中間層が存在しないこともある。上記から分かるように、そのようなプリフォームでは、底部は不均一であり、したがって不安定であり得る。さらに、中間層の一部がノズル内に残り、その後の射出を汚染する可能性がある。
【0012】
溶融物を金型キャビティに通過させるのに使用される共射出ノズルの一例は、米国特許出願公開第2014/0327176号に記載され、かつ
図2に示されている。
図2に示すように、このノズルは、各流路の出口が互いに離間している、3つの溶融物流路15a〜15cと、溶融物の流れを開始および停止するために往復動するバルブステムとを含む。しかしながら、そのようなノズルは、全ての点で満足のいく解決策を提供するわけではない。
【0013】
例えば、出願人は、共射出ノズルの溶融物流路の出口を互いに隣接して設置することによって、様々な利点が実現され得ることを認識した。本明細書での目的のために、互いに隣接する出口を有することは、第1の出口と第2の出口との間に十分なスペースがないように第1の出口が第2の出口の直接隣り合わせに配置されることを意味している。出願人はまた、内側溶融物流路の出口が外側溶融物流路の出口に対して実質的に垂直であるが、1つ以上の中間溶融物流路の出口に対して実質的に垂直ではない場合に利点が実現され得ることを認識した。出願人はまた、中間流路および外側流路の出口間および/または中間流路および内側流路の出口間に鋭いエッジ(例えばナイフエッジ)を有することによって利点が実現され得ることも認識した。出願人はさらに、中間溶融物流路から流出する溶融物が内側および外側溶融物流路から流出する溶融物と同時に交差するときに利点が実現され得ることを認識した。
【0014】
後述するように、そのような構成は、より効率的な方法で、中間流路からの溶融物流がピンチオフ(閉塞)すなわち閉止されることを可能にし得る。理論に拘束されることを望むものではないが、これは内側および外側溶融物流からの最小量のフラッシング(flushing)につながる可能性があり、それは封入プロセスの最後に外側または内側溶融物流(たとえばコア材料の)の残留汚染を低減または排除さえし得る。例えば、ピンチング中に内側および外側溶融物流路からの溶融物が中間溶融物流路に流れ込む可能性があり、いったん中間層がプリフォームに射出されると、残留溶融物が中間流路から流出することを低減し得るまたは排除さえし得る。そのような構成はまた、中間層がプリフォームの底部までずっと延びていない非封入プロセスにおいて、中間層のトレーリングエッジ(終端縁)(例えば、プリフォームの底部近くの縁部)の長さを短縮することができる。例えば、中間流は、より効率的な方法でピンチオフされ得るので、中間層の終端縁の長さは射出プロセス中により正確にサイズ調整され得る。
【0015】
そのために、本明細書に開示されている実施形態は、内側および外側溶融物流路と、それらの中間に配置された1つ以上の中間溶融物流路とを有する共射出ノズルを有するホットランナを含む。そのような実施形態では、バルブステムは内側流路内に摺動可能に受容され、かつ溶融物の流れを開始および停止するために前後に往復運動することができる。いくつかの実施形態では、バルブステムは第1の閉鎖位置に移動して内側流路のみの溶融物流を閉止してもよい。後述するように、バルブステムは、外側流路および1つ以上の中間流路からの溶融物の流れを可能にしながら内側流路の溶融物流を閉止するように構成されてもよい。上記からわかるように、そのような実施形態では、バルブステムがかかる閉鎖位置にあるとき、溶融物は中間流路と外側流路の両方から流れる必要はない。例えば、バルブステムが第1の閉鎖位置にあるとき、溶融物は外側流路のみから流れることができる。いくつかの実施形態では、バルブステムは、ノズルからの溶融物流を閉止するために第2の閉鎖位置に移動することができる。例えば、バルブステムは、内側、中間、および外側流路からの溶融物流を閉止するためにゲートを閉鎖するように移動し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、内側流路は外側流路に対して実質的に垂直であるが、1つ以上の中間流路に対して実質的に垂直ではない。例えば、中間流路の出口は、内側流路の長手方向軸から90°未満(例えば、約25°〜75°)の角度だけ偏位(offset)されてもよい。いくつかの実施形態では、ノズルは、中間流路から流出する溶融物が内側流路および外側流路から流出する溶融物と同時に交差するように配置される。
【0017】
ここで図面を参照すると、
図3は、第1のプレート110(バッキングプレートとしても知られる)、第2のプレート112(モールドプレートとしても知られる)、マニホールド114、バルブゲートノズル116、アクチュエータ118、および溶融物流路120を含む典型的なバルブゲート式ホットランナー108を示す。第1および第2のプレート110、112は、よく知られているように、鋼合金から製造され互いに結合されてもよい。いったん結合されると、第1および第2のプレート110、112はマニホールドポケット122を画定し、その中にマニホールド114が置かれる。マニホールド114は、通常スプルーブッシュ124に接続されている入口から出口(通常ドロップ126と呼ばれる)に溶融物を搬送するように構成された1つ以上の溶融物流路120を含む。スプルーブッシュ124は、射出ユニット(既知であり図示せず)のマシンノズル(既知であり図示せず)と結合されてもよい。
【0018】
図3のノズル116は、それぞれ同じマニホールド114によって供給される単一の溶融物流路120を有するように図示されているが、ノズルが2つ以上の溶融物流路120を有してもよいことが理解されるであろう(例えば、共射出ノズルを有する)。上記からさらにわかるように、単一のマニホールドが各ノズル内の溶融物流路に溶融物を供給するものとして示されているが、ホットランナーは各ノズルに溶融物を供給する2つ以上のマニホールドを含んでもよい。例えば、第1のマニホールドは第1の溶融材料を第1および第2の溶融物流路に供給する一方で、第2のマニホールドは第2の溶融材料を第3の溶融物流路に供給してもよい。
【0019】
既知であるように、ノズル116は、第2のプレート112のノズル孔128内に支持受容されてもよく、マニホールド114(または複数のマニホールド)のドロップ126と動作可能に接続されてもよい。これにより、ノズル116は、ドロップ126からの溶融物を受容することができる。ノズル先端130はまた、金型アセンブリ(既知であるが図示せず)の金型ゲート内に受容されてもよく、それにより溶融物がノズル116から金型アセンブリの金型キャビティ(金型ゲート132を介して)に流動してもよい。この図には2つのノズル116が示されているが、当業者は、ホットランナーが1つのみのノズルを含んでもよく、あるいは3つ以上のノズルを含んでもよいことを理解するであろう。
【0020】
また既知であるように、バルブゲートノズルは、バルブステムを後退させて閉鎖しかつ前進させて開放するように開発されたにもかかわらず、バルブステム134は、後退開放位置と前進閉鎖位置との間で選択的に移動されるようにバルブゲートノズル116と関連付けられてもよい。そのため、本明細書に記載の実施形態は、バルブステム閉鎖の方向に限定されない。バルブステム134は、バッキングプレート110から金型キャビティ(図示せず)まで延在してもよく、バルブステム134の上流端部109はアクチュエータ118に接続されている。上記からわかるように、アクチュエータ118は、図示されるように、空気圧式、油圧式、または電動式であってもよい。
【0021】
ここで、本開示による共射出ノズル216の一実施形態を示す、
図4を参照する。
図4に示すように、ノズルは、内側溶融物流路220aと、環状外側溶融物流路220cと、内側溶融物流路及び外側環状溶融物流路の間に配置された環状中間溶融物流路220bとを含む。上記からわかるように、この実施形態では1つの中間溶融流路のみが示されているが、他の実施形態では、ノズルは2つ以上の中間流路を含んでもよい。例えば、ノズルは、内側流路と外側流路との間に2つ以上の中間流路を含んでもよい。上記からさらに分かるように、これらの流路の各々は溶融物を同じ金型キャビティに供給することができる。
【0022】
図4に示すように、内側、中間、および外側溶融物流路220a〜220cは互いに隣り合わせに位置決めされている。すなわち、内側、中間、および外側溶融物流路220a〜220cのそれぞれの出口236a〜236cは、それらの間に十分な間隔がないように互いに直ぐ隣りに位置決めされている。例えば、中間および外側溶融物流路を分離する溶融物先端ピース239の下流端部238は、中間および外側流路220b、220cの出口236b、236c間にアールを付けたエッジ部に向かってテーパー状になるナイフエッジ238aを有するように配置されてもよい。同様のナイフエッジ241aはまた、内側流路220aおよび中間流路220bの出口236a、236b間の第2の溶融物先端ピース242の下流端部241に形成されてもよい。一実施形態では、各ナイフエッジ238a、241aは、その先端に微小なアール部または面取り部を有してもよい。先端の半径は、好ましくは約0.03mm〜0.6mm、より好ましくは0.1〜0.3mmの範囲のサイズである。一実施形態では、ナイフエッジ238aのアール状先端は0.3mmであってもよく、ナイフエッジ241aのアール状先端は0.1mmであってもよい。ナイフエッジは異なっていてもよいが、いくつかの実施形態では、中間流路と外側流路との間のナイフエッジ238aは、中間流路と内側流路との間のナイフエッジ241aと同じであってもよい。上記からわかるように、本発明はこの点に関して限定されないので、そのようなナイフエッジを確立するために他の適切な寸法が採用されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、内側、中間、および外側溶融物流路220a〜220cの出口236a〜236cは、組み合わせ領域240において互いに交差してもよい。そのような実施形態では、
図5に示すように、溶融物流路220a〜220cから流出する溶融物は、この組み合わせ領域240内で互いに交差してもよい。いくつかの実施形態では、
図5に示すように、ノズルは、中間流路220bの出口236bから流出する溶融物(矢印b参照)が、外側流路220cの出口236cから流出する溶融物(矢印c参照)および内側流路220aの出口236aから流出する溶融物(矢印a参照)と同時に交差するように配置される。上記からわかるように、他の実施形態では、内側流路および中間流路から流出する溶融物(矢印aおよびbを参照)は、外側流路から流出する溶融物(矢印cを参照)と交差する前に互いに交差してもよい、あるいは中間流路および外側流路から流出する溶融物(矢印bおよびcを参照)は、内部流路から流出する溶融物(矢印aを参照)と交差する前に互いに交差してもよい。
【0024】
図4に戻って参照すると、いくつかの実施形態では、内側、中間、および外側溶融物流路220a〜220cは、互いに対して同心円状に配置されてもよい。本明細書の目的のために、同心円状配置は、内側溶融物流路が実質的に円錐台形でありかつ中間溶融物流路の内部に入れ子になり、中間溶融物流路は結果として実質的に準半球形状となりかつ外側溶融物流路の内部に入れ子になり、外側溶融物流路はまた実質的に準半球形状となることを意味している。上記からわかるように、他の実施形態では、溶融物流路のうちの1つ以上が異なる配置を有してもよい。例えば、中間および外側溶融物流路の一方または両方が代わりに円錐台形状であってもよく、かつ/または内側溶融物流路が円筒形状であってもよい。
【0025】
図4および
図6〜
図7に示すように、ノズルは、内側流路220a内に摺動可能に収容され、かつ既知であるように、前後に往復動して溶融物流を停止および開始することができるバルブステム234を含む。いくつかの実施形態では、
図4に示すように、バルブステム234が上流位置すなわち開放位置にあるとき、溶融物は内側、中間および外側溶融物流路220a〜220cのそれぞれから流出することができる。そのような実施形態では、当業者によって理解されるように、溶融物流はまた、好適なアクチュエータを介して制御されてもよい。例えば、バルブステム234が開放位置にあっても、第1の溶融材料のみが内側および外側流路220a、220cに流入または流出することができる。後述するように、第2の溶融材料は、後の時点で中間流路に流入または流出することができる。
【0026】
図6は、ノズル先端部の下流端部において、バルブステム234が第1の閉鎖位置にある状態のノズルを示す。一実施形態では、
図6に示すように、バルブステム234が第1の閉鎖位置にあるとき、バルブステム234は内側流路からの溶融物流を遮断するだけである。そのような実施形態では、内側流路の下流端部243は、残りの溶融物流路よりも小さい直径を有してもよく、内側流路の下流端部243の直径は、バルブステム234の直径に対応する。その結果、バルブステム234が下流方向(例えば、矢印Dで示すようにゲートに向かって)に移動すると、バルブステムは内側流路220aの出口を閉鎖することができる。
【0027】
図7に示すように、バルブステム234は、ゲート232においてバルブステム234が第2の閉鎖位置に達するまで下流方向に移動し続けることができる(Dと表示された矢印を参照)。そのような第2の閉鎖位置において、バルブステムは、内側、中間および外側流路220a〜220cの各々から金型キャビティ244までの溶融物流を閉止することができる。いくつかの実施形態では、ゲートは、金型キャビティ244の上流部分に形成されてもよい。
【0028】
他の実施形態と同様に、既知であるように、金型キャビティ内への溶融物流もまた、射出スクリューまたはシューティングポットのいずれかによる射出圧力制御によって制御されてもよい。例えば、一実施形態では、図示のように、バルブステム234が最初に第1の閉鎖位置に移動されると、溶融物は外側流路220cのみから流出し続けることができる。次いで、時間を遅らせて、溶融物が外側流路220cから流出し続ける間に、第2の溶融材料を加圧して溶融物を中間流路内に、そして中間流路から金型キャビティ内に送達してもよい。
【0029】
ここで
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、内側流路220aは、外側流路220cの出口236cに対して実質的に垂直になるように配置されている。言い換えれば、内側流路220aの長手方向軸Xは、外側流路220cの出口236cの長手方向軸Zに対して実質的に垂直であってよい。そのような実施形態では、
図8にも示すように、中間流路220bの軸Yは、内側流路の長手方向軸Xに対して垂直である必要はない。例えば、他の適切な構成も可能であるが、中間流路220bの軸Yは、内側流路220の軸から90°未満(例えば、約25°〜75°の範囲で、45°など)だけ偏位されてもよい。
【0030】
上記と同様に、
図8にも示すように、中間流路220bの出口236bを通る平面の軸Aは、内側流路の長手方向軸Xから偏位されてもよい。例えば、各出口236bを通過する平面の軸Aは、他の適切な構成も可能であるが、90°未満の角度θ(例えば、約25°〜75°の範囲で、45°など)だけ長手方向軸から偏位されてもよい。
【0031】
ここで
図9Aを参照すると、内側流路および外側流路内への溶融物の流動を許可し続けながら、中間流路からの溶融物がピンチオフされて溶融物流を閉止する流動シミュレーションが示されている。この図に示されるように、上述の特徴部のうちの1つ以上を含めることによって、中間流路内の溶融物流を急速にピンチオフさせる(例えば閉止させる)ことができる。例えば、中間流路の溶融物流は約1.5秒で閉止することができる。さらに、この例に示されるように、中間流路220bのピンチオフされる溶融物流は、異なる構成を有するノズルで起こり得るものと比較して、小さなテール244(例えば、長さ約6mm)を含む。例えば、出口がすべて隣接しているわけでなく、外側流路が内側流路に対して実質的に垂直ではない、
図9Bおよび
図9Cに示すように、中間流路は効率的には閉止されず、また、テールも小さくはなかった。例えば、
図9Bでは、テールの長さは約20mmであり、ピンチングは1.71秒で発生する。
図9Cでは、テールの長さは約10mmであり、ピンチングは約1.64秒で発生する。
【0032】
また
図9Aにも示すように、中間流路のピンチング時に、内側流路220aおよび外側流路220cから流れる溶融物の一部が中間流路に流れ込む可能性がある。上記からわかるように、内側および外側溶融物流路からの溶融物のそのような動きによって、中間流路内を流れる溶融物による汚染を最小限に抑えることができる。
【0033】
別の実施形態によれば、ノズルから金型キャビティへ溶融物を分配する方法が開示される。そのような方法は、例えば、プリフォームの内層および外層内に中間層を封入するために使用され得る(例えば、
図1A参照)。いくつかの実施形態では、ノズルは内側流路、1つ以上の中間流路、および外側流路を含み、各流路はそれぞれの出口を有する。そのような実施形態では、バルブステムが内側流路内に摺動可能に受容されかつ溶融物流を開始および停止するために前後に移動可能である。いくつかの実施形態では、第1のマニホールドが溶融物を内側および外側溶融物流路に送達し、第2のマニホールドが溶融物を中間溶融物流路に送達する。そのような実施形態では、本方法は、バルブステムを上流方向に移動させることを含む。次に、第1の溶融材料は、内側流路および外側流路内を通り、その結果として金型キャビティに流れ込む。バルブステムは、次いで下流方向に第1の閉鎖位置まで移動させることができ、そこでバルブステムは、外側流路から溶融物を流出可能にしながら内側流路からの溶融物流を遮断する。第2の溶融材料は、次いで中間流路に流入および流出する(例えば、金型キャビティまで)一方で、第1の溶融物は外側流路から流出し続ける。中間層の射出が終了した後、射出圧力を下げ、中間流路の溶融物流を中間流路内でピンチオフすることができる。引き続いて、バルブステムを再び開放位置に移動させて、溶融物を内側流路と外側流路の両方に流入および流出可能にして射出成形プロセスを完了させることができる。バルブステムは、次いでゲートにおける第2の閉鎖位置に移動させることができ、そこでバルブステムは内側、中間および外側流路の各々からの流れを遮断する。
【0034】
本教示を様々な実施形態および実施例と併せて説明してきたが、本教示がそのような実施形態または実施例に限定されることを意図するものではない。それどころか、本教示は、当業者によって理解されるような、様々な代替形態、修正形態、および均等物を包含する。したがって、上記の明細書および図面は一例として示したにすぎない。
【0035】
本発明の様々な態様は、単独で、組み合わせで、または上述した実施形態において具体的に論述されていない様々な構成で使用することができ、したがって本発明の様々な態様は、その適用において上記の明細書に記載されたまたは図面に描写された構成要素の詳細および構成に限定されない。例えば、一実施形態に記載の態様は、他の実施形態に記載の態様と任意の方法において組み合わせてもよい。
【0036】
また、本発明は方法として具現化することができ、その例が提供された。本方法の一部として実行される動作は、任意の適切な方法で順序付けられてもよい。これに応じて、実施形態は、図示されているものとは異なる順序で動作が実行されるように構成されてもよく、例示的な実施形態において順次動作として示されているとしても、いくつかの動作を同時に実行することを含んでもよい。
【0037】
クレーム要素を修飾するためにクレームにおける「第1」、「第2」、「第3」などの序数の用語の使用は、それ自体では、あるクレーム要素の別のクレーム要素に対する優先度、先行、順序あるいはある方法の動作が実行される時間的順序を含意しないが、複数のクレーム要素を区別するために、ある名称を持つ一つのクレーム要素と同じ名称を持つ別の要素(序数用語の使用がなかった場合)とを区別するための表示として単に使用されている。
【0038】
また、本明細書で使用されている表現および用語は説明を目的としており、限定と見なされるべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、「含有する」、「伴う」、およびそれらの変形形態の使用は、その後に列挙される項目およびそれらの均等物、ならびに追加の項目を包含することを意味している。