(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この特許文献1に記載された多関節ロボットでは、アーム先端の手首軸フランジに作業に応じた様々なエンドエフェクタ、例えば吸着パッドや開閉ハンドなどが装着されることがある。しかしながら、このようなエンドエフェクタでは、作業する部位が単独であり、作業効率が悪いという問題があった。また、エンドエフェクタは、装置の先端に装着されるものであるため、できるだけ簡素な構成とすることが望まれていた。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、多関節ロボットに装着されるものであって、できるだけ簡素な構成で複数のワークを取り扱うことができるエンドエフェクタを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示するエンドエフェクタは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本明細書で開示するエンドエフェクタは、
ワークを採取して移動させる多関節ロボットに装着される装着部と、
ワークを採取する第1採取部と、
ワークを採取する第2採取部と
前記多関節ロボット側から圧力が供給され、少なくとも前記第1採取部を移動させる第1移動用流路と、
前記多関節ロボット側から圧力が供給され、前記第1採取部に採取動作させる第1採取用流路と、
前記多関節ロボット側から圧力が供給され、少なくとも前記第2採取部を移動させる第2移動用流路と、
前記多関節ロボット側から圧力が供給され、前記第2採取部に採取動作させる第2採取用流路と、
を備えたものである。
【0008】
このエンドエフェクタでは、第1移動用流路及び第1採取用流路に圧力が供給されて第1採取部が移動しワークの採取を行い、また、第2移動用流路及び第2採取用流路に圧力が供給されて第2採取部が移動しワークの採取を行う。このエンドエフェクタでは、第1採取部と第2採取部とが独立して移動可能であり、一方の採取部の採取作業中に他方の採取部を退避させるなど、互いの作業を妨げにくく、作業効率がよい。また、このエンドエフェクタでは、モータなどの駆動源を必要とせず、供給された圧力で作業可能であるから、より簡素な構成とすることができる。このように、このエンドエフェクタでは、できるだけ簡素な構成で複数のワークを取り扱うことができる。ここで、「圧力」とは、負圧、正圧及び常圧を含むものとする。また、「採取部の移動」は、採取位置への移動や待避位置への移動を含むものとする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本開示の一例である多関節ロボット20の概略説明図である。
図2は、エンドエフェクタ30の斜視図である。
図3は、エンドエフェクタ30の断面図である。
図4は、エンドエフェクタ30の動作の一例を示す説明図である。多関節ロボット20は、ワークWを採取して載置部材に載置する作業を行うものである。ワークWは、物品であれば特に限定されないが、例えば、機械部品、電気部品、電子部品、化学部品のほか、食品などが挙げられる。このワークWは、例えば、コネクタやピンなどが所定の方向に配設されているものなど、特定の方向に位置決めして載置するものが挙げられる。また、載置部材は、ワークWを整列して載置する部材であり、例えばパレットやトレイなどが挙げられる。なお、多関節ロボット20は全方位に可動するため、固定される特定の方向はないが、説明の便宜のため、左右方向、前後方向及び上下方向は、
図1〜3に示した通りとして以下説明する。
【0011】
多関節ロボット20は、1以上のワークWを収容した収容部からワークWを採取し、採取したワークWを所定の配列で載置部材上へ移動載置する処理を行う。この多関節ロボット20は、アーム部23と、基部24と、エフェクタ固定部25と、制御部28とを備える。アーム部23は、エフェクタ固定部25が先端側に配設された第1アーム21と、第1アーム21を支持し基部24に配設された第2アーム22とを有している。第1アーム21には、ベルト2と、ボールネジ3と、駆動モータ4とが内接されている。ベルト2は、第1アーム21の先端側において第1アーム21に内設された先端側プーリ5と第2アーム22側において第1アーム21に内設された後端側プーリ6とに掛け渡されている。先端側プーリ5の回転軸7には、エフェクタ固定部25が配設されている。ボールネジ3は、第1アーム21の長手方向に沿ってベルト2の内側に配設されており、ベルト2に固定されたスライド8に接続されている。駆動モータ4は、ベルト2の内側に配設されており、ボールネジ3の回転軸7と直結し、この回転軸7を駆動してスライド8を長手方向の前後に移動させる。この第1アーム21では、駆動モータ4により回転軸7が回転駆動されると、ボールネジ3を介してスライド8が軸の前後方向に移動し、ベルト2が駆動される。このベルト2の直線移動が先端側プーリ5を介して回転運動に変換され、エフェクタ固定部25を回動させる。この第1アーム21は、駆動モータ4やボールネジ3などをベルト2の内部に設けることにより、これらを外部に設けるものに比してコンパクト化されている。エフェクタ固定部25は、ワークWを採取するエンドエフェクタ30を装着するものであり、アーム部23の先端に回動可能に装着されている。エフェクタ固定部25の下面側には、エンドエフェクタ30を装着する装着部26が配設されている。また、エフェクタ固定部25の上部には、駆動モータなど駆動軸を回転駆動する駆動部27が配設されている。制御部28は、多関節ロボット20の装置全体を制御するものであり、CPUなどを備えている。
【0012】
エンドエフェクタ30は、ワークWを採取し、採取したワークWを載置部材上に載置させる部材である。このエンドエフェクタ30は、
図2〜4に示すように、装着部31と、固定部32と、本体部33と、回転部36とを備えている。このエンドエフェクタ30は、多関節ロボット20から供給された圧力(正圧、負圧及び常圧など)を用いて、ワークWを採取する動作を行う。このエンドエフェクタ30には、配管以外には、制御弁やモータなどの駆動源は設けられていない。多関節ロボット20は、例えば、電子部品などの小型のワークWを取り扱うことから、比較的軽量でコンパクトなアーム部23を備える。このエンドエフェクタ30は、駆動源が配設されていないため軽量であり、軽量でコンパクトなアーム部23を備える多関節ロボット20に用いることができる。
【0013】
装着部31は、多関節ロボット20のアーム部23の先端に配設された装着部26に装着されるものである。この装着部31は、本体部33の上部に固定されている。固定部32は、エフェクタ固定部25と本体部33とを外部から強固に固定する部材である。本体部33は、中央本体部33aと、第1本体部34と、第2本体部35とを備える。中央本体部33aは、エンドエフェクタ30の中央に位置する筐体であり、エフェクタ固定部25に対して回転、回動など不能となるようエフェクタ固定部25に固定される。この本体部33は、中央に円筒状の内部空間が形成されている。この内部空間には、回転部36が収容されており、本体部33は回転部36を軸回転可能に支持している。第1本体部34は、中央本体部33aの側面(
図2では左側)に固定された筐体である。この第1本体部34には、第1採取部41が配設されている。第1採取部41は、その先端(下端)に第1ノズル54が装着されており、この第1ノズル54によりワークWを採取、載置させる。第1本体部34は、回転部36の回転に伴い第1採取部41の配設位置で第1ノズル54を軸回転可能に支持する。第2本体部35は、第1本体部34とは異なる中央本体部33aの側面(
図2では右側)に固定された筐体である。この第2本体部35には、第2採取部61が配設されている。第2採取部61は、その先端(下端)に第2ノズル74が装着されており、この第2ノズル74によりワークWを採取、載置させる。第2本体部35は、回転部36の回転に伴い第2採取部61の配設位置で第2ノズル74を軸回転可能に支持する。
【0014】
回転部36は、本体部33の内部空間に軸回転可能に軸受け38(
図3参照)を介して軸支されている。回転部36は、多関節ロボット20の駆動部27から供給された回転駆動力により軸回転する。この回転部36の先端には、中央プーリ37が配設されている。中央プーリ37には、第1ベルト51と第2ベルト71とが掛け渡されており、これらのベルトにより駆動力を第1プーリ50や第2プーリ70へ伝達する。このエンドエフェクタ30は、本体部33は回転せず、第1ノズル54や第2ノズル74がそれぞれの配設位置で軸回転可能な、いわゆる自転型のワーク採取機構として構成されている。このエンドエフェクタ30では、第1ノズル54や第2ノズル74により複数のワークWを採取、移動可能であり、第1ノズル54や第2ノズル74の軸回転により個別にワークWの姿勢を変更可能である。
【0015】
第1本体部34は、第1採取部41と、第1移動用流路42と、第1採取用流路43と、第1圧力動作部44と、軸支部材49と、第1プーリ50と、第1ベルト51と、第1ガイドローラ52と、軸受け55,56とを備えている。第1採取部41は、ワークを採取、載置するものであり、第1軸部材45と、先端部53と、第1ノズル54とを備えている。この第1採取部41は、第1圧力動作部44により、上方の待機位置である第1位置と、下方の作業位置である第2位置との間で移動(例えば上下動)する。第1軸部材45は、円筒状の長尺部材であり、その中心には圧力を伝達する貫通孔が形成されている。第1軸部材45は、第1本体部34に形成された内部空間に挿入され、軸受け55,56を介して軸回転可能に軸支されている。開口部を有する第1軸部材45の上端は、軸受け56によって気密状態に仕切られた上端空間内に収容されている。この上端空間には、第1採取用流路43が接続されている。第1軸部材45には、その先端(下端)に第1ノズル54が取り外し可能に装着される。先端部53は、第1本体部34の外側から下方に形成された固定ステー57(
図2参照)に固定され、第1軸部材45の先端側を支持する部材である。この先端部53は、第1軸部材45や第1ノズル54を図示しない軸受けを介して軸回転可能に軸支する。第1ノズル54は、ワークWを吸着して採取する部材である。この第1ノズル54は、第1軸部材45の貫通孔を介して供給された負圧により、ワークWを採取し、供給された正圧及び常圧によりワークWを離す処理を行う。なお、第1採取部41は、ノズルによりワークWを吸着して採取するものとしたが、供給された圧力により動作するものであれば、例えば、ワークWを挟持して採取するメカニカルチャックとしてもよい。
【0016】
第1移動用流路42は、多関節ロボット20側から供給された圧力を伝達する流路である。第1採取部41は、この第1移動用流路42から供給された圧力を用いた第1圧力動作部44により移動する。この第1移動用流路42の一端には、外部から配管(例えば耐圧チューブなど)が接続されている。また、第1移動用流路42の他端には、第1圧力動作部44が接続されている。この第1移動用流路42には、外部から接続された配管を介して多関節ロボット20側から圧力が供給される。第1採取用流路43は、多関節ロボット20側から供給された圧力を伝達する流路である。第1採取部41は、この第1採取用流路43から供給された圧力を用いてワークWの採取動作、載置動作を行う。この第1採取用流路43の一端には、外部から配管(例えば耐圧チューブなど)が接続されている。また、第1採取用流路43の他端は、上端空間に接続されている。この第1採取用流路43には、外部から接続された配管を介して多関節ロボット20側から圧力が供給される。
【0017】
第1圧力動作部44は、第1移動用流路42が接続されると共に第1採取部41が配設され、この第1採取部41を第1位置と第2位置との間で移動させるエアシリンダとして構成されている。この第1圧力動作部44は、シリンダ部46と、ピストン部47と、第1付勢部材48とを備える。シリンダ部46は、第1本体部34の形成された円筒状の空間を有している。このシリンダ部46の内部をピストン部47が摺動して移動する。シリンダ部46には、第1移動用流路42が接続されており、その内部空間に正圧が供給される。ピストン部47は、第1軸部材45の外周にフランジ状に形成された部位である。このピストン部47は、軸受け56の下方に配置される。ピストン部47の外周にはパッキンが配設されており、シリンダ部46との機密性が高められている。第1付勢部材48は、第1採取部41の第1軸部材45を第1位置側(所定方向)に付勢する部材であり、例えば、バネなどの弾性部材としてもよい。第1付勢部材48は、その上部がピストン部47の下面に当接している。この第1圧力動作部44では、第1付勢部材48により、第1軸部材45を第1位置側(待機位置)に付勢し、第1移動用流路42から供給された圧力によりこの付勢力を解除させることにより第1採取部41を第2位置側(作業位置)へ移動させる。
【0018】
軸支部材49は、第1軸部材45の中央部分の外周に配設された部材である。この軸支部材49は、第1軸部材45の中心軸と同じ中心軸を有し、第1軸部材45と噛合することにより第1軸部材45と共に軸回転する。また軸支部材49は、内周に形成されたギヤ溝に沿って第1位置と第2位置との間で上下動可能に第1軸部材45を支持する。軸支部材49は、その上端側の外周に軸受け55が配設されている。軸支部材49は、軸受け55に支持されて軸回転する。また、軸支部材49は、その上端側において第1軸部材45との間に有底部を有する空間が形成されており、この有底部が第1付勢部材48の下部を支持する。この軸支部材49は、その下端側の外周に第1プーリ50が固定されている。第1プーリ50には、第1ベルト51が掛け渡されている。また、第1ベルト51は、中央プーリ37に掛け渡されており、回転部36の駆動力を第1プーリ50へ伝達する。第1ガイドローラ52は、第1本体部34の下方に固定されており、第1ベルト51の中間部分をガイドする(
図3参照)。
【0019】
第2本体部35は、第2採取部61と、第2移動用流路62と、第2採取用流路63と、第2圧力動作部64と、軸支部材69と、第2プーリ70と、第2ベルト71と、第2ガイドローラ72と、軸受け75,76とを備えている。第2採取部61は、ワークWを採取、載置するものであり、第2軸部材65と、先端部73と、第2ノズル74とを備えている。第2採取部61は、回転部36に対して第1配置位置の対角側に位置する第1本体部34の第2配置位置に軸回転可能に軸支されている。第2採取部61は、第2移動用流路62から供給された圧力により所定方向の付勢力を解除させることにより移動する。第2移動用流路62は、多関節ロボット20側から圧力が供給され、第2採取部61を移動させる流路であり、第2圧力動作部64に接続されている。また、第2移動用流路62には、外部から配管が接続されている。第2採取用流路63は、多関節ロボット20側から圧力が供給され、第2採取部61に採取動作させる流路である。第2圧力動作部64は、第2移動用流路62が接続されると共に第2採取部61が配設されこの第2採取部61を移動するエアシリンダとして構成されている。第2圧力動作部64は、シリンダ部66と、ピストン部67と、第2付勢部材68とを備えている。なお、この第2本体部35が備える各構成は、第1本体部34が備える各構成と同様であるものとし、その詳細な説明は省略する。なお、上記第2本体部35の各構成は、第1本体部34の各構成と同様の機能を有するものとすれば、大きさや形状、材質などが同じであってもよいし、異なるものとしてもよい。
【0020】
次に、こうして構成された本実施形態の多関節ロボット20の動作、特に、ワークWを採取して載置部材へ載置する動作を
図4を用いて説明する。まず、多関節ロボット20の制御部28は、ワークWを収容した収容部にエンドエフェクタ30を移動するようアーム部23を制御する。次に、制御部28は、多関節ロボット20の制御弁を制御し、第1移動用流路42へ正圧を供給して第1採取部41を作業位置へ下降させ、第1採取用流路43及び第1軸部材45を介して第1ノズル54に負圧を供給し、ワークWをエンドエフェクタ30に採取させる(
図4B)。次に、制御部28は、第1移動用流路42への正圧の供給を停止させて第1採取部41を待機位置へ上昇させ、第2採取部61に対して、第1採取部41と同様の処理を行い、第2採取部61にワークWを採取させる。そして、制御部28は、ワークWが載置部材の所定位置へ移動するようアーム部23を制御し、必要に応じて回転部36を回転させて第1採取部41を軸回転させる。ワークWは第1採取部41の軸回転に伴いその角度が変更される。また、制御部28は、第1移動用流路42へ正圧を供給して第1採取部41を下降させ、第1採取用流路43部への負圧の供給を停止して載置部材上にワークWを載置させる。また、制御部28は、第1採取部41と同様に、第2採取部61が採取したワークWを載置部材上に載置させる。
【0021】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の装着部31が装着部に相当し、第1採取部41が第1採取部に相当し、第2採取部61が第2採取部に相当する。また、第1移動用流路42が第1移動用流路に相当し、第1採取用流路43が第1採取用流路に相当し、第2移動用流路62が第2移動用流路に相当し、第2採取用流路63が第2採取用流路に相当する。
【0022】
以上説明した本実施形態のエンドエフェクタ30は、第1移動用流路42及び第1採取用流路43に圧力が供給されて第1採取部41が移動しワークWの採取を行い、また、第2移動用流路62及び第2採取用流路63に圧力が供給されて第2採取部61が移動しワークWの採取を行う。このエンドエフェクタ30では、第1採取部41と第2採取部61とが独立して移動可能であり、一方の採取部の採取作業中に他方の採取部を退避させるなど、互いの作業を妨げにくく、作業効率がよい。また、このエンドエフェクタ30では、モータなどの駆動源を必要とせず、供給された圧力で作業可能であるから、より簡素な構成とすることができる。このように、このエンドエフェクタでは、できるだけ簡素な構成で複数のワークを取り扱うことができる。
【0023】
また、エンドエフェクタ30は、第1移動用流路42が接続されると共に第1採取部41が配設され第1採取部41を移動する第1圧力動作部44と、第2移動用流路62が接続されると共に第2採取部61が配設され第2採取部61を移動する第2圧力動作部64とを備えている。このエンドエフェクタ30では、圧力動作部の動作により第1,第2採取部41,61を移動させることができる。更に、エンドエフェクタ30は、第1採取部41を所定方向に付勢する第1付勢部材48と、第2採取部61を所定方向に付勢する第2付勢部材68とを備え、第1採取部41は、第1移動用流路42から供給された圧力により所定方向の付勢力を解除させることにより移動し、第2採取部61は、第2移動用流路62から供給された圧力により所定方向の付勢力を解除させることにより移動する。このエンドエフェクタ30では、付勢部と移動用流路という比較的簡素な構成で第1,第2採取部41,61を移動させることができる。更にまた、エンドエフェクタ30は、多関節ロボット20から供給された動力により軸回転する回転部36を備え、第1採取部41は、回転部36の回転に伴い第1採取部41の配設位置で軸回転し、第2採取部61は、回転部36の回転に伴い第2採取部61の配設位置で軸回転する。このエンドエフェクタ30では、第1,第2採取部41,61がその配設位置で軸回転するため、例えば、採取したワークWの方向を変更することができる。
【0024】
そして、エンドエフェクタ30は、圧力によりワークWを採取する第1,第2ノズル54,74を有するため、ワークWの角度やワークWの採取を圧力により行うことができる。そしてまた、エンドエフェクタ30は、多関節ロボット20のアーム先端に装着される装着部31を備える。このエンドエフェクタ30は、モータなどの駆動源を要さずにワークの姿勢を変更できるから、例えば、先端に重量制限などがある多関節ロボット20に適用する意義が高い。
【0025】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。なお、以下の説明においては、エンドエフェクタ30と同様の構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0026】
例えば、上述した実施形態では、第1圧力動作部44は、第1付勢部材48を備えるものとしたが、特にこれに限定されず、これを省略してもよい。
図5は、別のエンドエフェクタ30Bの一例を表す概略図である。このエンドエフェクタ30Bは、ピストン部47の下方のシリンダ部46に第3移動用流路48Bが接続された第1圧力動作部44Bを備える。また、エンドエフェクタ30Bは、ピストン部67の下方のシリンダ部66に第4移動用流路68Bが接続された第2圧力動作部64Bを備える。第1移動用流路42は、第1配管11を介して第4移動用流路68Bに接続されている。また、第2移動用流路62は、第2配管12を介して第3移動用流路48Bに接続されている。そして、このエンドエフェクタ30Bでは、第1移動用流路42に圧力が供給されると、第1採取部41を第1方向(下方)へ移動させると共に第2採取部61を第1方向とは逆の第2方向(上方)へ移動させ、第2移動用流路62に圧力が供給されると、第2採取部61を第1方向(下方)へ移動させると共に第1採取部41を第2方向(上方)へ移動させる。このエンドエフェクタ30Bにおいても、上記と同様に、できるだけ簡素な構成で複数のワークを取り扱うことができる。
【0027】
上述した実施形態では、第1採取部41及び第2採取部61は、配設位置で軸回転する自転型のエンドエフェクタ30として説明したが、特にこれに限定されず、回転部と共に回転するいわゆる公転型のエンドエフェクタ30Cとしてもよい。
図6は、別のエンドエフェクタ30Cの一例を表す概略図である。このエンドエフェクタ30Cは、多関節ロボット20から供給された動力により軸回転する回転部36Cに、第1本体部34Cと第2本体部35Cとが配設されている。第1採取部41は、回転部36Cの第1配置位置に固定され、第2採取部61は、回転部36Cの回転軸に対して第1配置位置の対角側に位置する第2配置位置に固定されている。この第1採取部41及び第2採取部61は、回転部36Cの回転軸を中心として回転部36Cと共に回転する。このエンドエフェクタ30Cでは、第1本体部34Cや第2本体部35Cに直接配管が接続されると、回転部36Cの回転に伴い配管が連れ回されることになる。このため、第1移動用流路42は、回転部36Cの内部から圧力を供給するよう第1圧力動作部44に接続されている。同様に、第2移動用流路62は、回転部36Cの内部から圧力を供給するよう第2圧力動作部64に接続されている。第1採取用流路43や第2採取用流路63も、同様に、回転部36Cの内部から圧力を供給するようになっている。具体的には、本体部33Cは、エフェクタ固定部25に回転不能に固定されており、この本体部33Cには、内部空間の内周に沿って、第1溝81、第2溝82、第3溝83及び第4溝84が形成されている。第1溝81には、多関節ロボット20側からの第1配管11が接続され、同様に、第2溝82には第2配管(不図示)が接続され、第3溝83には第3配管が接続され、第4溝84には第4配管(不図示)が接続されている。回転部36Cは、その内部に第1内部管85、第2内部管86及び第3内部管87を含む多重管構造を有し、各管の間に流路が形成されている。また、回転部36Cには、軸方向に直交する方向に沿って、第1溝81と開口部が連通する貫通孔91、第2溝82と開口部が連通する貫通孔92、第3溝83と開口部が連通する貫通孔93及び第4溝84と開口部が連通する貫通孔94が形成されている。貫通孔91は第1内部管85の貫通孔及び空間95と連通している。貫通孔92は第1内部管85と第2内部管86との間の流路及び空間96と連通している。貫通孔93は第2内部管86と第3内部管87との間の流路及び空間97と連通している。貫通孔94は第3内部管87と回転部36Cとの間の流路及び空間98と連通している。また、空間95〜98は、それぞれ第2採取用流路63、第1採取用流路43、第2移動用流路62及び第1移動用流路42に接続されている。このエンドエフェクタ30Cでは、回転部36Cが回転しても常に圧力が第1本体部34Cや第2本体部35Cに供給される。このようなエンドエフェクタ30Cにおいても、モータなどの駆動源を必要とせず、供給された圧力で作業可能であるから、より簡素な構成とすることができる。また、回転部36Cの回転に伴い、第1ノズル54や第2ノズル74に採取されたワークWの角度を変更可能である。
【0028】
上述したエンドエフェクタ30Cでは、第1圧力動作部44は第1付勢部材48を備え、第2圧力動作部64は第2付勢部材68を備えるものとして説明したが、
図5と同様に、これを省略してもよい。
図7は、別のエンドエフェクタ30Dの一例を表す概略図である。このエンドエフェクタ30Dは、上述した第1圧力動作部44Bや第2圧力動作部64Bの構成を備えている。また、第3移動用流路48Bは空間97に接続され、第4移動用流路68Bは空間98に接続されている。このエンドエフェクタ30Dにおいても、供給された圧力で作業可能であるから、より簡素な構成とすることができる。
【0029】
上述した実施形態では、エンドエフェクタ30,30Bは自転型、エンドエフェクタ30C,30Dは公転型の構成としたが、特にこれに限定されず、自転型且つ公転型のエンドエフェクタとしてもよい。このエンドエフェクタでは、エフェクタ固定部25に駆動部を2つ備えるか、駆動部の駆動力をギヤなどで分岐させて自転及び公転を行うものとすればよい。
【0030】
ここで、本開示のエンドエフェクタは、少なくとも前記第1移動用流路が接続されると共に前記第1採取部が配設され該第1採取部を移動する第1圧力動作部と、少なくとも前記第2移動用流路が接続されると共に前記第2採取部が配設され該第2採取部を移動する第2圧力動作部と、を備えたものとしてもよい。このエンドエフェクタでは、圧力動作部の動作により第1及び第2採取部を移動させることができる。この圧力動作部は、圧力に応じて動作するものであれば特に限定されず、例えば、エアシリンダとしてもよい。
【0031】
本開示のエンドエフェクタは、前記第1採取部を所定方向に付勢する第1付勢部材と、前記第2採取部を所定方向に付勢する第2付勢部材と、を備え、前記第1採取部は、前記第1移動用流路から供給された圧力により前記所定方向の付勢力を解除させることにより移動し、前記第2採取部は、前記第2移動用流路から供給された圧力により前記所定方向の付勢力を解除させることにより移動するものとしてもよい。このエンドエフェクタでは、付勢部と移動用流路という比較的簡素な構成で第1及び第2採取部を移動させることができる。
【0032】
本開示のエンドエフェクタにおいて、前記第1移動用流路は、前記第1採取部を第1方向へ移動させると共に前記第2採取部を前記第1方向とは逆の第2方向へ移動させ、前記第2移動用流路は、前記第2採取部を前記第1方向へ移動させると共に前記第1採取部を前記第2方向へ移動させるものとしてもよい。このエンドエフェクタでは、第1及び第2移動用流路という比較的簡素な構成で、第1及び第2採取部を移動させることができる。このエンドエフェクタは、前記第1採取部が配設され該第1採取部を移動する第1圧力動作部と、前記第2採取部が配設され該第2採取部を移動する第2圧力動作部と、を備え、前記第1圧力動作部の第1部位に前記前記第1移動用流路が接続されると共に前記第1圧力動作部の第2部位に前記前記第2移動用流路が接続され、前記第2圧力動作部の第1部位に前記前記第2移動用流路が接続されると共に前記第2圧力動作部の第2部位に前記前記第1移動用流路が接続されているものとしてもよい。
【0033】
本開示のエンドエフェクタは、前記多関節ロボットから供給された動力により軸回転する回転部、を備え、前記第1採取部は、前記回転部の回転に伴い該第1採取部の配設位置で軸回転し、前記第2採取部は、前記回転部の回転に伴い該第2採取部の配設位置で軸回転するものとしてもよい。このエンドエフェクタでは、第1及び第2採取部がその配設位置で軸回転するため、例えば、採取したワークの方向を変更することができる。また、このエンドエフェクタは、前記第1採取部が配設され該第1採取部を移動する第1圧力動作部と、前記第2採取部が配設され該第2採取部を移動する第2圧力動作部と、を備え、前記第1移動用流路は、外部から少なくとも前記第1圧力動作部に接続されており、前記第2移動用流路は、外部から少なくとも前記第2圧力動作部に接続されているものとしてもよい。更に、このエンドエフェクタは、前記装着部が固定されている本体部、を備え、前記回転部は、前記本体部に軸回転可能に軸支され、前記第1採取部は、前記本体部の第1配置位置に軸回転可能に軸支され、前記第2採取部は、前記本体部の第2配置位置に軸回転可能に軸支され、前記第1配置位置は、前記回転部に対して前記第2配置位置の対角側に位置するものとしてもよい。
【0034】
本開示のエンドエフェクタは、前記多関節ロボットから供給された動力により軸回転する回転部、を備え、前記第1採取部及び前記第2採取部は、前記回転部の軸を中心として該回転部と共に回転するものとしてもよい。このエンドエフェクタでは、第1及び第2採取部が回転部と共に回転するため、例えば、採取したワークの方向を変更することができる。また、このエンドエフェクタは、前記第1採取部が配設され該第1採取部を移動する第1圧力動作部と、前記第2採取部が配設され該第2採取部を移動する第2圧力動作部と、を備え、前記第1移動用流路は、前記回転部の内部から圧力を供給するよう少なくとも前記第1圧力動作部に接続されており、前記第2移動用流路は、前記回転部の内部から圧力を供給するよう少なくとも前記第2圧力動作部に接続されているものとしてもよい。
更に、このエンドエフェクタは、前記装着部が固定されている本体部、を備え、前記回転部は、前記本体部に軸回転可能に軸支され、前記第1採取部は、前記回転部の第1配置位置に固定され、前記第2採取部は、前記回転部の第2配置位置に固定され、前記第1配置位置は、前記回転部の回転軸に対して前記第2配置位置の対角側に位置するものとしてもよい。