特許第6870095号(P6870095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870095
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】サーマルプロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/40 20060101AFI20210426BHJP
   H01F 5/04 20060101ALI20210426BHJP
   H01F 5/02 20060101ALI20210426BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20210426BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20210426BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20210426BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H01F27/40 120
   H01F5/04 L
   H01F5/04 D
   H01F5/02 B
   H01F27/28 131
   H01F27/29 T
   H01F27/32 150
   H01F37/00 K
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-535851(P2019-535851)
(86)(22)【出願日】2017年12月29日
(65)【公表番号】特表2020-503693(P2020-503693A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】IB2017058507
(87)【国際公開番号】WO2018127776
(87)【国際公開日】20180712
【審査請求日】2019年6月28日
(31)【優先権主張番号】15/397,812
(32)【優先日】2017年1月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ,カート アラン
【審査官】 小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−112252(JP,A)
【文献】 特開平11−003643(JP,A)
【文献】 実開昭61−173117(JP,U)
【文献】 特開平05−283113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/40
H01F 5/02
H01F 5/04
H01F 27/28
H01F 27/29
H01F 27/32
H01F 37/00
H01H 37/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネットワイヤ終端機構(24)に一体的かつ直接的に接続されている略箱状の本体(22)を備えるサーマルプロテクタ(20)であって、
前記マグネットワイヤ終端機構(24)は、マグネットワイヤ(36)が通過し前記マグネットワイヤ(36)と電気的に接続されるU字状部分を有するとともに、
前記本体(22)と前記マグネットワイヤ終端機構(24)とは単一構成であり、前記マグネットワイヤ終端機構(24)は前記本体(22)の一端側からのみ延在し、前記マグネットワイヤ(36)と前記マグネットワイヤ終端機構(24)と前記本体(22)とが電気的に接続されるように構成されている、
サーマルプロテクタ(20)。
【請求項2】
スピンドル(34)と、
前記スピンドル(34)に巻き付けられているマグネットワイヤ(36)と、
マグネットワイヤ終端機構(24)に一体的かつ直接的に接続されている本体(22)を備えるサーマルプロテクタ(20)とを備え、
前記マグネットワイヤ終端機構(24)は、前記マグネットワイヤ(36)が通過するU字状部分を有し、
前記マグネットワイヤ終端機構(24)の前記U字状部分が、前記マグネットワイヤ(36)との接続部を形成する、
熱的に保護されたボビン(32)。
【請求項3】
前記本体(22)と前記マグネットワイヤ終端機構(24)とは圧着接続部(30)を有する、
請求項に記載の熱的に保護されたボビン(32)。
【請求項4】
熱的に保護されたボビン(32)であって、
前記ボビン(32)は、
スピンドル(34)と、
前記スピンドル(34)に巻き付けられている対向端部を有するマグネットワイヤ(36)と、
複数のマグネットワイヤ終端機構(24)と、
前記複数のマグネットワイヤ終端機構(24)の少なくとも一つに一体的かつ直接的に接続されている本体(22)を備えるサーマルプロテクタ(20)とを備え、
前記複数のマグネットワイヤ終端機構(24)のそれぞれは、前記マグネットワイヤ(36)が通過するU字状部分を有し、
前記スピンドル(34)は、前記マグネットワイヤ(36)を前記対向端部間で受けるための複数のスプライス開口部(40、42、44、46)を有し、
各マグネットワイヤ終端機構(24)は、前記複数のスプライス開口部(40、42、44、46)のうち対応する1つにより受けられ、各マグネットワイヤ終端機構(24)の前記U字状部分が前記マグネットワイヤ(36)との接続部を形成する、
熱的に保護されたボビン(32)。
【請求項5】
前記本体(22)と前記複数のマグネットワイヤ終端機構(24)の前記少なくとも一つとは単一構成である、
請求項に記載の熱的に保護されたボビン(32)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネットワイヤを支持するためのボビンに関し、特に、本発明は、ボビンと共に使用するサーマルプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの消費者製品は、ボビンにより支持されたマグネットワイヤを使用する電動機または界磁巻線を必要とする。当然ながら、熱保護デバイスは、偶発的な過熱および失火を防ぐために大部分の消費者製品に必須の不可欠な機構となっている。サーマルプロテクタをマグネットワイヤに接続する従来の方法は、マグネットワイヤを撚り合わせたリードワイヤに接続するスプライスを必要とし、このリードワイヤをサーマルプロテクタに圧着またははんだ付けする。例えば、図1に示すように、サーマルプロテクタ12は、リードワイヤ18の剥離端部16を受けるためのレセプタクル部14を備える。この構成は製造が複雑で、費用がかさみ、時間がかかる。
【0003】
米国特許第4,132,913号は、ワンショットサーマルプロテクタを有するボビン構成に関する。このボビン構成は、サーマルプロテクタから延びる端子リードワイヤ部に接続される。
【0004】
米国特許第4,166,265号は、フランジの1つに広がるコンタクト受けキャビティと、フランジから延びるワイヤのための一体型バインディングポストとを有するコイルボビンに関する。巻線ワイヤの端部との電気接続部は、端子を端子受けキャビティの各々に挿入することによって形成される。各端子は、外部導体のコンタクトピンを受けるような大きさの上部レセプタクル部と、コイルワイヤとの接触を確立するための、下端部の導電部とを有する。
【0005】
米国特許第5,447,455号は、ハウジングと、ハウジングに設けられたコンタクト受けキャビティとを有する、マグネットワイヤを終端するための電気アセンブリに関する。巻線マグネットワイヤの端部との電気接続部は、端子を端子受けキャビティの各々に挿入することによって形成される。端子は、コンタクト受けキャビティとは反対側に延びる圧着コネクタを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような欠点のない改良されたサーマルプロテクタが、当技術分野において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
解決策は、マグネットワイヤ終端機構に一体接続されている本体を備えるサーマルプロテクタにより提供される。
【0008】
また、解決策は、スピンドルに巻き付けられているマグネットワイヤと、マグネットワイヤ終端機構に一体接続されている本体を備えるサーマルプロテクタとを備える熱的に保護されたボビンにより提供される。マグネットワイヤ終端機構は、マグネットワイヤとの接続部を形成する。
【0009】
また、解決策は、スピンドルに巻き付けられている対向端部を有するマグネットワイヤを備える熱的に保護されたボビンにより提供され、スピンドルは、マグネットワイヤを対向端部間で受けるためのスプライス開口部を有する。サーマルプロテクタは、マグネットワイヤ終端機構に一体接続されている本体を備える。各マグネットワイヤ終端機構は、対応するスプライス開口部により受けられ、各マグネットワイヤ終端機構は、マグネットワイヤとの接続部を形成する。
【0010】
以下で、添付図面を参照しながら本発明について例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】サーマルプロテクタの先行技術の構成を示す図である。
図2】本発明の例示的なサーマルプロテクタの上面斜視図である。
図2A図2の領域2から取った例示的なサーマルプロテクタの拡大部分上面斜視図である。
図3】本発明の例示的なボビンの上面斜視図である。
図4】本発明の図3のボビンの拡大部分図である。
図5】本発明の例示的な熱的に保護されたボビンを組み立てるための連続ステップを示す図である。
図6】本発明の例示的な熱的に保護されたボビンを組み立てるための連続ステップを示す図である。
図7】本発明の例示的な熱的に保護されたボビンを組み立てるための連続ステップを示す図である。
図8】本発明の例示的な熱的に保護されたボビンを組み立てるための連続ステップを示す図である。
図9】本発明の例示的な熱的に保護されたボビンを組み立てるための連続ステップを示す図である。
図10】本発明の例示的な熱的に保護されたボビンの上面斜視図である。
図11図10の領域11から取った熱的に保護されたボビンの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の原理による例示的な実施形態の記載は、明細書の記載全体の一部とみなされるべきである添付図面に関して読み取られることが意図される。別段の明記がない限り、「取り付けられる」、「貼られる」、「接続される」、「結合される」、「相互に接続される」、「係合される」、「設置される」などの用語、および類似の用語は、構造が、直接的にまたは間にある構造を通して間接的に互いに固定されるか取り付けられる関係、ならびに可動性の取付けもしくは関係、または不動性の取付けもしくは関係の両方を指す。さらに、本発明の特徴および利点が、好ましい実施形態を参照して例示される。したがって、本発明は、単独で存在し得る特徴のいくつかの可能な非限定的な組合せを例示する、または特徴の他の組合せにおけるそのような好ましい実施形態に特に限定されるべきではない。本発明の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義される。
【0013】
図2は、本発明のサーマルプロテクタ20の新規の構成を示す。サーマルプロテクタ20は、マグネットワイヤ終端機構24まで延びる本体22を備える。本体22とマグネットワイヤ終端機構24とは一体接続されている。一実施形態において、本体22とマグネットワイヤ終端機構24とは、単一または一体型構成である。すなわち、一例において、本体22は、本体22の外側材料層26などからマグネットワイヤ終端機構24まで延び、または別の例において、マグネットワイヤ終端機構24は本体22の内側で延びる。これら2つの例の各々が図2に示されている。場合により、図2の領域2から取った図2Aに示すように、本体22は対のタブ28で終端し、これらのタブ28はマグネットワイヤ終端機構24との圧着接続部30を形成する。
【0014】
サーマルプロテクタ、マグネットワイヤ、およびマグネットワイヤ終端機構間の物理的接触の文脈における「接続」という用語は、電気接続がこれらの間に確立されることを意味するものである。
【0015】
「一体接続される」という用語は、サーマルプロテクタがマグネットワイヤ終端機構に直接接続されること、より詳細には、リードワイヤの一端部でサーマルプロテクタに接続され、リードワイヤの他端部でマグネットワイヤ終端機構に接続されるべき対向剥離端部を有するリードワイヤが間にないことを意味するものである。
【0016】
マグネットワイヤ終端機構24は、切欠き、セレーションなどの不連続部を備え、通常ワニス被覆を有するマグネットワイヤに接触すると、ワイヤ終端機構がワニス被覆を十分に摩滅させて、マグネットワイヤ終端機構とマグネットワイヤとの間に電気接続をもたらすようになっている。一実施形態において、ワイヤ終端機構24は絶縁変位コネクタとして機能する。すなわち、ワイヤ終端機構24は、ワイヤ終端機構と絶縁ワイヤの内部導体との間に電気接続を確立するために動かすこと、例えばワイヤの絶縁体を切り開くことなどにより取り除くことができる。言い換えると、本発明のサーマルプロテクタは、マグネットワイヤに限定される適用に対して、絶縁ワイヤを用いる適用において使用することができる。例示的なワイヤ終端機構は、MAG−MATE端子(AMP Corporationの登録商標)に組み込まれている。
【0017】
本発明の新規のサーマルプロテクタはいくつかの利点をもたらす。例えば、従来のリードワイヤは、リードワイヤの対向端部から絶縁体を剥離した後に、対向端部を一端部でサーマルプロテクタに、他端部でマグネットワイヤ終端機構に別々に接続する必要があるが、これが排除されることにより、材料コストが節約でき、電気接続部の減少により、サーマルプロテクタの信頼性が高まる。さらに、以下でさらに詳細に説明するように、製造プロセスを完全に自動化することができるため、製造時間を短縮できる。
【0018】
「熱的に保護されたボビン」という用語は、本発明のサーマルプロテクタに接続されるマグネットワイヤを支持するボビンを指す。
【0019】
図3図9に示すように、例示的な熱的に保護されたボビン(図10)を組み立てるための連続ステップについて以下で説明する。図3にさらに示すように、ボビン32は、マグネットワイヤ36が巻き付けられたスピンドル34を備える。明確にするために、スピンドル34の周りのマグネットワイヤ巻線38は仮想線で示す。スピンドル34には、スプライス開口部40、42、44、46が形成されている。一端部で、マグネットワイヤ36をスプライス開口部40に通してスプライス開口部40で受け、スピンドル34に巻き付け(マグネットワイヤ巻線38を形成し)、その後、スプライス開口部42に通してスプライス開口部42で受け(図4)、その後、スプライス開口部44に通す(図4)。スプライス開口部42、44を備えるボビン32の部分を、スプライス領域54と称する。マグネットワイヤ36をスプライス開口部44に通してスプライス開口部44で受けた後、スプライス開口部46に通してスプライス開口部46で受け、その後、マグネットワイヤ36を終端する。ポスト48をスプライス開口部40、42、44、46に隣接して位置決めして、少なくともマグネットワイヤ36をスプライス開口部に一時的に固定するのを助ける。スプライス開口部42、44は、マグネットワイヤ36の対向端部間に位置決めされる。
【0020】
マグネットワイヤ36をスプライス開口部40、42、44、46に通してスプライス開口部40、42、44、46により受けた後、図5にさらに示すように、端子50のマグネットワイヤ終端機構24をそれぞれのスプライス開口部40、46に位置合わせする。その後、端子50のマグネットワイヤ終端機構24をスプライス開口部46(図6)およびスプライス開口部40(図7)に挿入して、マグネットワイヤ36とのそれぞれの接続部を形成する。
【0021】
端子50のマグネットワイヤ終端機構24がスプライス開口部40、46に挿入された後、図8に示すように、サーマルプロテクタ20のマグネットワイヤ終端機構24をそれぞれのスプライス開口部42、44に位置合わせする。その後、図9および図11図10の領域11から取った拡大部分図)の各々に示すように、サーマルプロテクタ20のマグネットワイヤ終端機構24をそれぞれのスプライス開口部42、44に挿入して、マグネットワイヤ36とのそれぞれの接続部を形成する。
【0022】
端子50のマグネットワイヤ終端機構24およびサーマルプロテクタ20のマグネットワイヤ終端機構24を、それぞれのスプライス開口部40、42、44、46に任意の順序で挿入できることを理解されたい。
【0023】
図10は、完成した熱的に保護されたボビン52を示す。ここでは、それぞれのポスト48(図11に、スプライス開口部42、44に関連付けたポストの拡大図を示す)が取り除かれ、またはボビンの表面と略同一平面に切断されている。このポストの取外しは、マグネットワイヤ終端機構がマグネットワイヤとのそれぞれの接続部を形成する間、または形成した後に行うことができる。一実施形態において、ポスト48(図3)を他の目的で使用する場合には、ポスト48の1つまたは複数を保持してもよい。しかしながら、サーマルプロテクタ20のマグネットワイヤ終端機構24がスプライス開口部40、46間で延びるマグネットワイヤ36と直列に電気接続部を形成するように、スプライス開口部42、44間に延びるワイヤ36の部分を取り除く必要がある。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11