特許第6870112号(P6870112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6870112転がり軸受、並びに医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870112
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】転がり軸受、並びに医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース
(51)【国際特許分類】
   A61C 1/18 20060101AFI20210426BHJP
   A61C 1/08 20060101ALI20210426BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20210426BHJP
   F16C 33/78 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61C1/18
   A61C1/08 Z
   F16C19/06
   F16C33/78 Z
【請求項の数】35
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2019-555637(P2019-555637)
(86)(22)【出願日】2018年4月11日
(65)【公表番号】特表2020-516382(P2020-516382A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】EP2018059261
(87)【国際公開番号】WO2018189229
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年11月1日
(31)【優先権主張番号】17165945.1
(32)【優先日】2017年4月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509235534
【氏名又は名称】ヴェー ウント ハー デンタルヴェルク ビュールモース ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ブラックバウアー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ローテンウェンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゲルノット プロイ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン アイブル
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102012000757(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0291760(US,A1)
【文献】 特開2010−196727(JP,A)
【文献】 特開2016−023719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/18
A61C 1/08
F16C 19/06
F16C 33/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース(2)のための転がり軸受(1)であって、外輪(3)と、内輪(4)と、前記外輪(3)と前記内輪(4)との間に配置された少なくとも1個の転動体(5)と、前記転がり軸受(1)に設けられると共に、前記転がり軸受(1)及び/又は該転がり軸受(1)に接続された部品(7,8)に接触して作用することにより、前記転がり軸受(1)及び/又は該転がり軸受(1)に接続された前記部品(7,8)の回転運動を制動する弾性ブレーキ装置(6)と、を備え、前記弾性ブレーキ装置(6)が、圧縮ガスで作動可能であることにより、前記弾性ブレーキ装置(6)と前記転がり軸受(1)及び/又は該転がり軸受(1)に接続された前記部品(7,8)との間の接触で生じるブレーキ作用が可変であり、前記弾性ブレーキ装置(6)が、中央開口(10)を有するリング状に構成されると共に、外周部(11)、前記中央開口(10)を画定する内周部(12)、並びに前記転がり軸受(1)及び/又は該転がり軸受(1)に接続された前記部品(7,8)の前記回転運動を制動するためのブレーキ部分(9)を有し、前記外周部(11)又は前記内周部(12)に、前記弾性ブレーキ装置(6)を前記転がり軸受(1)に取り付けるための接続部分(13,13A)が設けられている転がり軸受において、
前記接続部分(13,13A)を含む前記弾性ブレーキ装置(6)全体が、エラストマーのみで構成されているとともに補強要素を有しておらず、
前記弾性ブレーキ装置(6)は、前記ブレーキ部分(9)を有する接触ブレーキ装置であり、前記ブレーキ部分(9)は、少なくともブレーキ位置を占めて前記転がり軸受(1)にブレーキ作用を作用させる時に、前記転がり軸受(1)の接触面と接触するように構成されており、
前記弾性ブレーキ装置(6)を前記転がり軸受(1)に取り付けるために、エラストマーから構成された前記接続部分(13,13A)は、いかなる付加的な取り付け要素をも用いることなく、前記外輪(3)又は前記内輪(4)のレセプタクル(14)に保持されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項2】
請求項1に記載の転がり軸受(1)であって、エラストマーで構成された前記接続部分(13,13A)が、前記外輪(3)又は前記内輪(4)の前記レセプタクル(14)にクリアランスを有する状態で保持されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の転がり軸受(1)であって、
記弾性ブレーキ装置(6)が、少なくとも部分的にコーティング材料(20)でコーティングされていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
記弾性ブレーキ装置(6)全体が、単一のエラストマーで構成されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、エラストマーで構成された前記接続部分(13,13A)の高さ又は材料厚さ(H3)が、前記弾性ブレーキ装置(6)の前記ブレーキ部分(9)及び/又は本体部分(17)の軸線方向高さ又は材料厚さ(H4)と同じであり、
前記本体部分(17)は、前記接続部分(13,13A)を前記ブレーキ部分(9)に接続していることを特徴とする転がり軸受。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、前記回転運動を制動するための前記弾性ブレーキ装置(6)の前記ブレーキ部分(9)が、前記外輪(3)又は前記内輪(4)又は前記転がり軸受(1)に接続された部品(7,8)の接触領域(15)に接触し、前記接触領域(15)が、前記転がり軸受(1)の回転軸線(16)に対して角度付きで配置されており、
前記角度が、0°超90°未満であることを特徴とする転がり軸受。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
記ブレーキ装置(6)が、前記転がり軸受(1)への設置によって変形されるため、前記接続部分(13,13A)を前記ブレーキ部分(9)に接続する本体部分(17)及び/又は前記ブレーキ部分(9)が曲げられ、前記少なくとも1個の転動体(5)から離れることを特徴とする転がり軸受。
【請求項8】
請求項7に記載の転がり軸受(1)であって、前記弾性ブレーキ装置(6)の変形が、前記ブレーキ部分(9)と前記外輪(3)又は前記内輪(4)又は前記転がり軸受(1)に接続された部品(7,8)における接触領域(15)との間の接触で生じることを特徴とする転がり軸受。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の転がり軸受(1)であって、前記弾性ブレーキ装置(6)が、前記変形により、テーパ形状及び/又は略円錐台形状を有することを特徴とする転がり軸受。
【請求項10】
請求項7〜9の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、前記外輪(3)に、前記接続部分(13,13A)用のレセプタクル(14)が設けられ、非変形状態での前記弾性ブレーキ装置(6)の前記外周部(11)と前記内周部(12)との間の半径方向距離が、前記転がり軸受(1)の回転軸線(16)に関して、前記接続部分(13,13A)用の前記レセプタクル(14)における後壁(21)と該後壁(21)の反対側の前記内輪(4)における外側部分との間の半径方向距離に比べてより大きいことを特徴とする転がり軸受。
【請求項11】
請求項の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
エラストマーで構成された前記接続部分(13,13A)の高さ又は材料厚さ(H1)が、前記弾性ブレーキ装置(6)の前記ブレーキ部分(9)及び/又は本体部分(17)の軸線方向高さ又は材料厚さ(H2)よりも大きく、
前記本体部分(17)は、前記接続部分(13,13A)を前記ブレーキ部分(9)に接続していることを特徴とする転がり軸受。
【請求項12】
請求項〜11の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、前記弾性ブレーキ装置(6)が、前記転がり軸受(1)に設置される前は、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項13】
医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース(2)のための転がり軸受(1)であって、外輪(3)と、内輪(4)と、前記外輪(3)と前記内輪(4)との間に配置された少なくとも1個の転動体(5)と、前記転がり軸受(1)に設けられると共に、前記転がり軸受(1)に接触して作用することにより、前記転がり軸受(1)及び/又は該転がり軸受(1)に接続された部品(7,8)の回転運動を制動する弾性ブレーキ装置(6)と、を備え、前記弾性ブレーキ装置(6)が、圧縮ガスで作動可能であることにより、前記弾性ブレーキ装置(6)と前記転がり軸受(1)との間の接触で生じるブレーキ作用が可変であり、前記弾性ブレーキ装置(6)が、中央開口(10)を有するリング状に構成されると共に、外周部(11)、前記中央開口(10)を画定する内周部(12)、並びに前記転がり軸受(1)及び/又は該転がり軸受(1)に接続された前記部品(7,8)の前記回転運動を制動するためのブレーキ部分(9)を有し、前記外周部(11)に、前記弾性ブレーキ装置(6)を前記転がり軸受(1)のレセプタクル(14)内に取り付けるための接続部分(13,13A)が設けられている転がり軸受において、
前記回転運動を制動するための前記弾性ブレーキ装置(6)の前記ブレーキ部分(9)が、前記転がり軸受(1)の前記内輪(4)上の接触領域(15)に接触し、
前記内輪(4)は、前記少なくとも1個の転動体(5)と接触している外側と、前記外側に対する反対側にある内側と、前記外側及び前記内側どうしを接続する端面と、を有しており、
前記接触領域(15)は、前記内輪(4)の前記端面によって形成されている、転がり軸受。
【請求項14】
請求項13に記載の転がり軸受(1)であって、
前記接触領域(15)が、前記転がり軸受(1)の回転軸線(16)に対して角度付きで配置されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の転がり軸受(1)であって、前記接触領域(15)が、前記転がり軸受(1)における前記転がり要素(5)方向に向けて連続的にテーパ付けされていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項16】
請求項13、14又は15に記載の転がり軸受(1)であって、前記接触領域(15)が、前記転動体(5)近傍における前記接触領域(15)端部に、前記内輪(4)と前記外輪(3)との間の軸受内部スペース(23)に突入する突起(22)を有することを特徴とする転がり軸受。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、前記弾性ブレーキ装置(6)が、一体的に構成されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項18】
請求項1317の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、前記接続部分(13,13A)の高さ又は材料厚さ(H3)が、前記ブレーキ装置(6)の前記ブレーキ部分(9)及び/又は本体部分(17)の高さ又は材料厚さ(H4)と実質的に等しく、前記本体部分(17)が、前記接続部分(13,13A)を前記ブレーキ部分(9)に接続していることを特徴とする転がり軸受。
【請求項19】
請求項13〜17の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記接続部分(13,13A)の高さ又は材料厚さ(H1)が、前記弾性ブレーキ装置(6)の前記ブレーキ部分(9)及び/又は本体部分(17)の軸線方向高さ又は材料厚さ(H2)よりも大きく、
前記本体部分(17)は、前記接続部分(13,13A)を前記ブレーキ部分(9)に接続している、転がり軸受。
【請求項20】
請求項13〜19の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記接触領域(15)が、前記転がり軸受(1)の回転軸線(16)に対して垂直に配置されている、転がり軸受。
【請求項21】
請求項13〜20の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記外輪(3)は、前記内輪(4)よりも、前記転がり軸受(1)の回転軸線(16)に関して軸線方向に、より大きな広がりを有する、転がり軸受。
【請求項22】
請求項21に記載の転がり軸受(1)であって、
前記接続部分(13,13A)を収容する前記レセプタクル(14)は、少なくとも部分的に、前記外輪(3)の一部に配置されており、前記外輪(3)の前記一部は、前記外輪(3)が前記内輪(4)よりも軸線方向に広がっていることにより、前記内輪(4)を越えて軸線方向に突出している、転がり軸受。
【請求項23】
請求項13〜22の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記接続部分(13,13A)を含む前記弾性ブレーキ装置(6)全体が、エラストマーのみで構成されているとともに補強要素を有していない、転がり軸受。
【請求項24】
請求項13〜23の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記弾性ブレーキ装置(6)は、前記ブレーキ部分(9)を有する接触ブレーキ装置であり、前記ブレーキ部分(9)は、少なくともブレーキ位置を占めて前記転がり軸受(1)にブレーキ作用を作用させる時に、前記転がり軸受(1)の前記接触領域(15)と接触するように構成されている、転がり軸受。
【請求項25】
請求項13〜24の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記弾性ブレーキ装置(6)を前記転がり軸受(1)に取り付けるために、前記接続部分(13,13A)は、いかなる付加的な取り付け要素をも用いることなく、前記外輪(3)の前記レセプタクル(14)に保持されている、転がり軸受。
【請求項26】
請求項13〜25の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
エラストマーで構成された前記接続部分(13,13A)が、前記外輪(3)又は前記内輪(4)の前記レセプタクル(14)にクリアランスを有する状態で保持されている、転がり軸受。
【請求項27】
請求項13〜24の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記接続部分(13,13A)は、付加的な取り付け要素又は固定要素(27)によって前記レセプタクル(14)に取り付けられている、転がり軸受。
【請求項28】
請求項27に記載の転がり軸受(1)であって、
前記取り付け要素又は固定要素(27)は、ばねリング、スナップリング、保持要素、及びばね要素のうち少なくとも1つを備える、転がり軸受。
【請求項29】
請求項13〜28の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記ブレーキ装置(6)が、前記転がり軸受(1)への設置によって変形されるため、前記弾性ブレーキ装置(6)の少なくとも一部が曲げられ、前記少なくとも1個の転動体(5)から離れる、転がり軸受。
【請求項30】
請求項29に記載の転がり軸受(1)であって、
前記弾性ブレーキ装置(6)の変形が、前記ブレーキ部分(9)と前記内輪(4)上の前記接触領域(15)との間の接触で生じる、転がり軸受。
【請求項31】
請求項13〜30の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記弾性ブレーキ装置(6)が、前記転がり軸受(1)に設置される前は、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている、転がり軸受。
【請求項32】
請求項13〜30の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、
前記外輪(3)上の前記接続部分(13,13A)のための前記レセプタクル(14)は、前記弾性ブレーキ装置(6,6A)のためのガイド部として構成されており、前記ガイド部内において前記弾性ブレーキ装置(6,6A)は変位可能に収容されている、転がり軸受。
【請求項33】
請求項32に記載の転がり軸受(1)であって、
前記弾性ブレーキ装置(6,6A)を第1位置又はブレーキ位置に付勢するばね要素(30)をさらに備えた、転がり軸受。
【請求項34】
請求項1〜33の何れか一項に記載の転がり軸受(1)であって、前記内輪(4)と前記外輪(3)との間の軸受内部スペース(23)をシールするためのシール要素(24)が設けられ、前記少なくとも1個の転動体(5)が、前記シール要素(24)と前記弾性ブレーキ装置(6)との間に配置されていることを特徴とする転がり軸受。
【請求項35】
医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース(2)であって、圧縮ガスで回転可能な回転部分(6,7)と、前記回転部分(6,7)を回転可能に支持するための請求項1〜34の何れか一項に記載の少なくとも1個の転がり軸受(1)とを備えるハンドピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースに使用される転がり軸受に関し、外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に配置された少なくとも1個の転動要素を備える。更に、本発明は、そのような転がり軸受を備える医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースに関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受には、その転がり軸受に接触して作用する弾性ブレーキ装置、及び/又は、転がり軸受に接続された部品、特に回転部分又は回転可能部分に作用する弾性ブレーキ装置が設けられているため、転がり軸受及び/又は転がり軸受に接続された部品の回転運動が制動され、これにより、特にハンドピースが切れて徐々に静止する間に、回転部分又はその回転部分に接続された器具が迅速に停止する。このように、ブレーキ作用は、弾性ブレーキ装置と転がり軸受又は部品との間の接触に起因し、特に摩擦に基づいている。
【0003】
このような転がり軸受は、例えば、特許文献1(欧州特許出願公開第3239547号明細書)に既知である。この転がり軸受の弾性ブレーキ装置は、幾つかの欠点を有する。例えばこの場合、弾性ブレーキ装置の製造には手間がかかり、また転がり軸受へのブレーキ装置の取り付けは複雑である。更に、ブレーキ作用は、摩耗により、使用期間の長期化に伴い大幅に低下し、また転がり軸受への弾性ブレーキ装置の取り付けには大きなスペースが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3239547号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、上述した欠点が少なくとも改善された、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースのための転がり軸受を提供することである。そのため、本発明の課題の1つは、弾性ブレーキ装置及び転がり軸受を容易かつ安価に製造可能とすることである。別の課題は、弾性ブレーキ装置を転がり軸受に容易に取り付け可能とすることである。更なる課題は、弾性ブレーキ装置のブレーキ作用又はブレーキ力の低下を、長期間に亘る使用後も可及的に僅かとすることである。他の課題は、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の取り付けにおいて、所要スペースを可及的に僅かとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これら課題の1つ以上は、独立請求項の特徴により解決される。特に有利な実施形態は、従属請求項に記載した通りである。
【0007】
弾性ブレーキ装置、特にその少なくとも1つのブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分は、好適には、圧縮ガス、特に圧縮空気で作動又は変形できるため、ブレーキ装置と転がり軸受及び/又は転がり軸受に接続された部品との間の接触で生じるブレーキ作用(又はブレーキ力)が変化可能である。ブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分とは、弾性ブレーキ装置において、特に、ブレーキ作用を(直接的に)作用させ、及び/又は、少なくとも転がり軸受の少なくとも一部及び/又は転がり軸受に接続された部品に接触し、これによりブレーキ作用を生じさせるセクション又は部分のことである。
【0008】
弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つのブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分は、弾性ブレーキ装置に圧縮ガスが作用していないか又は圧縮ガスが供給されていないか又は圧縮ガスの供給が中断又は終了している場合、第1位置、特にブレーキ位置を占めるよう構成され、その第1位置においては、(転がり軸受の少なくとも一部及び/又は転がり軸受に接続された部品又は回転部分との接触により)ブレーキ作用又はより大きなブレーキ作用が生じる。弾性ブレーキ装置に圧縮ガスが作用するか又は圧縮ガスが供給される場合、弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つのブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分は、第1位置とは異なる第2位置に移動可能、回転可能、旋回可能、又は変位可能であり、その第2位置においては、(転がり軸受の少なくとも一部、及び/又は、転がり軸受に接続された部品又は回転部分との接触が低減されるか又は完全に排除されることにより)ブレーキ要素がブレーキ作用を及ぼさないか又は低減されたブレーキ作用を及ぼす。弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つのブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分は、特に弾性ブレーキ装置の付勢力によって第2位置から第1位置に自動的に復帰するか、及び/又は、復帰要素、特にばね要素によって第2位置から第1位置に復帰する。
【0009】
弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスは、特に、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースにおける回転部分を作動させる圧縮ガス流の少なくとも部分流を含む。回転部分又は回転可能部分は、例えば、インペラ、タービンホイール、シャフト、中空シャフト、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースの器具保持装置を含む。
【0010】
医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースは、特に、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスをブレーキ装置方向及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受方向に搬送可能及び/又はガイド可能に構成されている。圧縮ガス作動式ハンドピースには、好適には、チャネル、ギャップ、アパーチャ、開口の少なくとも1つが設けられ、これらを介して、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスを弾性ブレーキ装置方向及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受方向に搬送及び/又はガイドすることができる。
【0011】
弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受は、好適には、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが転がり軸受内に流れ及び/又は転がり軸受を通して流れ、これにより特に弾性ブレーキ装置が作動するよう構成されている。特に、外輪と内輪との間のギャップは、(完全に)シールされておらず及び/又はギャップを(完全に)シールするシール要素が設けられていないため、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが転がり軸受内に流れ及び/又は転がり軸受を通して流れることができる。
【0012】
医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受は、特に、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが弾性ブレーキ装置を通過後及び/又は弾性ブレーキ装置を作動後に、弾性ブレーキ装置及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受から離れるよう搬送可能及び/又はガイド可能に構成されている。圧縮ガス作動式ハンドピースには、チャネル、ギャップ、アパーチャ、開口の少なくとも1つが設けられ、これらを介して、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスを弾性ブレーキ装置及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受から離れるよう搬送及び/又はガイドすることができる。
【0013】
転がり軸受及び/又は転がり軸受に設けられた弾性ブレーキ装置は、以下の特徴の少なくとも1つ、好適には複数を有する。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受上又は転がり軸受内、特に転がり軸受の構成要素上に配置されている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受上又は転がり軸受内、特に転がり軸受の構成要素上に取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置の少なくとも一部は、転がり軸受上又は転がり軸受内に移動可能又は変位可能に配置され、及び/又は、転がり軸受の少なくとも一部に対して移動可能又は変位可能に配置されている。
・ブレーキ装置のブレーキ面は、転がり軸受の少なくとも一部に対して移動可能である。
・弾性ブレーキ装置の少なくとも一部、特に弾性ブレーキ装置を転がり軸受に接続するか又は取り付けるための少なくとも接続部分は、転がり軸受の少なくとも一部に対して移動不可能に配置されている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受に取り外し可能に配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受に取り外し不可能に配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受上又は転がり軸受内に形状密着的に配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受上又は転がり軸受内に摩擦係合的に配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受、特に転がり軸受における構成要素のレセプタクル、特にリング状のレセプタクルに取り付けられているか又は配置されている。レセプタクルは、例えば、後退部、凹部、溝、チャネル、又は類似の幾何学的構成を含む。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、外輪の内側に設けられており、この場合に外輪の内側とは、好適には、外輪において、少なくとも1個の転動体が接触する側及び/又は少なくとも1個の転動体のための軌道が設けられた側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、外輪の外側に設けられており、この場合に外輪の外側とは、好適には、外輪において、内側とは反対側を指し、特に少なくとも1個の転動体が接触しない側及び/又は少なくとも1個の転動体のための軌道が設けられていない側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、外輪の端面に設けられており、この場合に外輪の端面とは、好適には、外輪の内側及び外側を接続する側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、内輪の外側に設けられており、この場合に内輪の外側とは、好適には、内輪において、少なくとも1個の転動体が接触する側及び/又は少なくとも1個の転動体のための軌道が設けられた側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、内輪の端面に設けられており、この場合に内輪の端面とは、好適には、内輪の外側を内輪の外側とは反対側の内側に接続する側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、内輪の内側に設けられており、この場合に内輪の内側とは、好適には、内輪において、外側とは反対側を指し、特に少なくとも1個の転動体が接触しない側及び/又は回転部分を指向する側及び/又は回転部分に接触する側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部にとってガイド部として形成され、及び/又は、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部は、転がり軸受のレセプタクル内で移動可能であり、特にレセプタクルによってガイドされる。
・弾性ブレーキ装置は、形状密着、特にラッチ又は係合により、転がり軸受のレセプタクルに配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置、特に弾性ブレーキ装置を転がり軸受に接続するか又は取り付けるための少なくとも1つの接続部分は、転がり軸受にラッチ又は係合するためのラッチ要素を有する。
・弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つの接続部分は、付加的又は別箇の取り付け要素を必要とすることなくレセプタクルに取り付けることができる。
・弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つの接続部分は、付加的な取り付け要素又は固定要素、例えば、ばねリング、スナップリング、保持要素、ばね要素によってレセプタクルに取り付けることができる。
・付加的な取り付け要素又は固定要素は、弾性ブレーキ装置から取り外し可能な別箇の要素として構成されている。
・付加的な取り付け要素又は固定要素は、弾性ブレーキ装置、特にその構成要素、例えばブレーキ面に取り外し不可能に接続されている。
・付加的な取り付け要素又は固定要素は、特に弾性ブレーキ装置と共に、転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルに保持又は配置することができる。
・付加的な取り付け要素又は固定要素は、形状密着、特にラッチ又は係合により、転がり軸受のレセプタクルに配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、複数部分で設計又は構成されている。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素、特に互いに取り外し可能又は取り外し不可能に接続された複数の構成要素によって構成されている。
・弾性ブレーキ装置は、異なる材料より成る複数の構成要素、例えば、プラスチックより成る第1構成要素及び金属より成る第2構成要素で構成されている。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素で構成されると共に、ブレーキ要素及び取り付け要素又は固定要素を含む。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素で構成されると共に、ブレーキ要素及び特に金属製の支持要素又は補強要素を含む。支持要素又は補強要素は、好適には、弾性ブレーキ装置内部又はブレーキ要素内部に配置され及び/又はプラスチック又はゴムに完全に包囲されている。金属製の支持要素又は補強要素及びブレーキ要素は、特に、射出成形、鋳造、接着、又は加硫などによって互いに分離不可能に接続されている。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素で構成されると共に、例えば、ブレーキ要素及び支持要素又は補強要素を含む。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素で構成されると共に、例えば、ブレーキ要素及びばね要素、特に波形ばね又はばねリングを含む。ばね要素は、特に、ブレーキ要素を第1位置、特にブレーキ位置に付勢するよう形成され、その第1位置においては、ブレーキ要素がブレーキ作用又はより大きなブレーキ作用を及ぼす。弾性ブレーキ装置は、特に、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスにより、ブレーキ要素がばね要素のばね力に抗して第1位置とは異なる第2位置に移動又は変位可能であり、その第2位置においては、ブレーキ要素がブレーキ作用を及ぼさないか又は低減されたブレーキ作用を及ぼす。ばね要素は、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガス流の終了後に第1位置、特にブレーキ位置に移動するよう構成されている。
・ブレーキ要素は、好適には、転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルにおいて、第1位置から第2位置及びその逆に変位可能及び/又は摺動するよう配置されている。ブレーキ要素は、好適には、転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルにおいて、第1位置から第2位置及びその逆に移動するようガイドされる。ブレーキ要素は、好適には、転がり軸受の回転軸線又は中心軸線に実質的に沿って及び/又は平行に、第1位置から第2位置に変位可能又は移動可能である。
・弾性ブレーキ装置のブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、圧縮ガスで変形可能である。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、平坦及び/又はディスク状に形成されている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、リング状に形成されている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、好適には中央部に配置されたアパーチャ又は開口を有する。転がり軸受及び/又は部品、特に回転部品又は回転可能部分、即ちブレーキ作用を生じさせるために接触可能な部分は、好適には、開口内に配置されている。好適には、開口により、弾性ブレーキ装置に内側エッジ又は内面が形成され、ブレーキ作用を生じさせるために転がり軸受の一部及び/又は部品の一部、特に回転部品の一部に接触し、及び/又は、ブレーキ面又はブレーキ部分として機能する。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、プラスチック、例えば、熱可塑性プラスチック又はPTFEなどのフッ素含有プラスチックを含む。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、ゴム、例えば、フッ素含有ゴム又はシリコーンを含む。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、セラミック材料を含む。
・プラスチック又はゴム又はセラミック材料は、弾性ブレーキ装置のキャリア構成要素上及び/又は弾性ブレーキ装置の接続部分上に設けられ、又は堆積され又は(取り外し可能又は取り外し不可能に)取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、特にプラスチック又はゴム製の単一又は一体の構成要素によって構成されている。単一又は一体の構成要素は、特に弾性ブレーキ装置を転がり軸受に接続するか又は取り付けるための接続部分及びブレーキ面又はブレーキ部分を有する。
・弾性ブレーキ装置の接続部分の高さ又は厚さは、弾性ブレーキ装置のブレーキ要素又はブレーキ面又はブレーキ部分の高さ又は厚さよりも大きい。
・弾性ブレーキ装置のブレーキ要素又はブレーキ面又はブレーキ部分は、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスにより、接続部分に対して移動可能である。
・接続部分の少なくとも一部は、転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルにおいて、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスで実質的に移動不可能に取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面は、特に弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが弾性ブレーキ装置に供給されていないときに、(特に、少なくとも1個の転動体及び/又は少なくとも1個の転動体が収容されるケージが配置された)外輪と内輪との間のギャップを完全に覆っている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面は、特に弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが弾性ブレーキ装置に供給されていないときに、弾性ブレーキ装置が設けられ及び/又は取り付けられ及び/又は配置された外輪から、内輪に接触するよう内輪に向けて延在している。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面は、特に弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが弾性ブレーキ装置に供給されていないときに、弾性ブレーキ装置が設けられ及び/又は取り付けられ及び/又は配置された内輪から、外輪に接触するよう外輪に向けて延在している。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面は、転がり軸受の回転運動を制動するため及び/又は転がり軸受に接続された部品の回転運動を制動するため及び/又はブレーキ作用を生じさせるための少なくとも1つの接触領域に接触する。
・少なくとも1つの接触領域は、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、好適には、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面が外輪に取り付けられるか又は外輪にて摺動可能又は移動可能にガイドされている場合、転がり軸受の内輪に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、内輪の外側に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、内輪の端面に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、好適には、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面が内輪に取り付けられるか又は内輪において摺動可能又は移動可能にガイドされている場合、転がり軸受の外輪に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、外輪の内側に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、外輪の端面に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースにおいて、特に圧縮ガスによって直接的又は間接的に回転可能な(転がり軸受以外の)部品に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースにおいて、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受によって支持された回転部分に設けられている。回転部分又は回転可能部分は、例えば、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースにおける中空シャフト、器具保持装置の少なくとも一部又はインペラの少なくとも一部を含む。少なくとも1つの接触領域は、表面、特に回転部分の外面を含むか又は回転部分の外面によって形成されている。
・少なくとも1つの接触領域は、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又は少なくとも1つのブレーキ面との(直接的な)接触が生じてブレーキ作用が発生する単一又は複数の接触面を含む。複数の接触面が設けられる場合、ブレーキ又は摩擦面が有利に増加し、従ってブレーキ作用が増加するか又は制動がより迅速に生じる。
・少なくとも1つの接触面は、直線的又は曲線的に形成されている。
・少なくとも1つの接触面は、転がり軸受の長手方向軸線又は回転軸線と実質的に平行に配置されている。
・少なくとも1つの接触面は、転がり軸受の長手方向軸線又は回転軸線に対して、角度付きで配置され及び/又は傾斜付きで配置され及び/又はオフセットするよう配置され及び/又は円錐状に形成されている。
・少なくとも1つの接触面は、内輪又は外輪に面取り部を含むか又は面取り状に形成されている。
・少なくとも1つの接触領域は、内輪本体が凹部又は後退部を有さない内輪の外側部分によって形成された単一の好適には直線的な接触面を含む。
・少なくとも1つの接触領域は、互いに角度が付けられ又はオフセットされた複数の接触面を含むか又はステップ又は肩部によって形成されている。複数の接触面のそれぞれは、直線的又は曲線的に形成することができる。複数の接触面は、好適には、エッジ又は角度によって互いに接続されるか又は分離されている。
・少なくとも1つの接触領域は、内輪又は外輪、特にその端部における少なくとも1つの後退部又は凹部又は少なくとも1つの溝、肩部又はステップによって形成された複数の接触面を含む。従って、内輪又は外輪は、少なくとも1つの接触領域において壁厚が小さい。
・少なくとも1つの接触領域は、特に内輪と外輪との間のギャップに突入する突出部又は延長部又はノーズを含む。従って、突出部、延長部、又はノーズの領域においては、ギャップの直径又は内輪と外輪との間の距離が低下している。突出部、延長部、又はノーズが設けられる場合、ブレーキ面又は摩擦面に有利な影響を及ぼし、従ってブレーキ作用が増加するか又は制動がより迅速に生じる。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分は、1つ以上のブレーキ面を含む。
・少なくとも1つのブレーキ面は、直線的又は曲線的に形成されている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分は、互いに角度が付けられ又はオフセットされた複数のブレーキ面を含む。複数のブレーキ面は、例えば、ステップ又は肩部によって形成されている。複数のブレーキ面が設けられる場合、摩擦面を有利に変化又は増加させ、従ってブレーキ作用が増加するか又は制動がより迅速に生じる。
・複数のブレーキ面は、エッジ又はコーナーによって接続されるか又は分離されている。
・複数のブレーキ面は、互いに隣接配置されている。
・少なくとも1つのブレーキ面は、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分のアパーチャ又は開口に隣接配置されている。
・少なくとも1つのブレーキ面は、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分における外面の少なくとも一部を含む。
・少なくとも1つのブレーキ面は、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分におけるアパーチャ又は開口によって形成された内面の少なくとも一部を含むか又はその少なくとも一部によって形成されている。
・少なくとも1つのブレーキ面は、ディスク状又はリング状に形成されたブレーキ要素又はブレーキ部分における上側又は下側の少なくとも一部を含むか又はその一部によって形成されている。ディスク状又はリング状に形成されたブレーキ要素又はブレーキ部分の上側及び下側は、(外側及び内側)の側面によって互いに接続され、特に好適には、第2ブレーキ面は、(外側又は内側)の側面の少なくとも一部を含む。
・複数のブレーキ面及び複数の接触面が設けられ、この場合に各ブレーキ面に1つの接触面が割り当てられ及び/又はブレーキ面が(該ブレーキ面に割り当てられた)接触面に接触している。複数のブレーキ面及び複数の接触面が設けられる場合、ブレーキ作用が有利に増加するか又は制動がより迅速に生じる。互いに割り当てられたブレーキ面及び接触面は、好適には、(例えば転がり軸受の長手方向軸線又は回転軸線に対して)同じ方位及び/又は形状を有する。異なる対のブレーキ面及び接触面は、好適には、異なる方位及び/又は形状及び/又は表面又は表面寸法を有する。
・外輪及び内輪は、異なる長さ又は高さを有する。外輪は、好適には、内輪よりも大きな高さを有する。従って、より大きな高さを有する一方の輪は、(高さがより小さい)他方の輪に対して突出する突出部分を有する。
・弾性ブレーキ装置の少なくとも一部及び/又は弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、突出部分に設けられ及び/又は取り付けられ及び/又は(移動可能、摺動可能、又は変位可能)にガイドされている。この点は、少なくとも1つの接触領域又は少なくとも1つの接触面が、外輪又は内輪の端面及び/又は転がり軸受に接続された部品、特に回転部分に設けられている場合に特に有利である。
・少なくとも1つの接触領域又は少なくとも1つの接触面の少なくとも一部は、突出部分に設けられている。
・単一の転がり軸受、特に単一の転がり軸受の両端に複数、例えば2個の弾性ブレーキ装置が設けられている。これにより、ブレーキ作用が有利に増加するか又は制動がより迅速に生じる。少なくとも1個の転動体は、好適には、複数の弾性ブレーキ装置の間に配置されている。
・転がり軸受は、玉軸受として構成され、特に少なくとも1個の転動体は玉として構成されている。
【0014】
一実施形態によれば、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースは、それぞれ少なくとも1個の弾性ブレーキ装置を有する複数、例えば2個の転がり軸受を備える。複数の転がり軸受は、好適には、同じ回転部品又は回転部分を支持すると共に、その弾性ブレーキ装置は、ブレーキ作用を回転部分に対して特に同時に作用させる。
【0015】
一実施形態によれば、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースのための転がり軸受は、外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に配置された少なくとも1個の転動体と、転がり軸受に設けられると共に、転がり軸受及び/又はその転がり軸受に接続された部品、特に回転部分又は回転可能部分に接触して作用することにより、転がり軸受及び/又はその転がり軸受に接続された部品の回転運動を制動するブレーキ装置とを備え、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ装置の少なくともブレーキ部分が、圧縮ガスで作動可能であることにより、弾性ブレーキ装置と転がり軸受及び/又はその転がり軸受に接続された部品との間の接触で生じるブレーキ作用を変化させることができる。
【0016】
弾性ブレーキ装置は、好適には、中央開口を有すると共にリング状に構成され、外周部、中央開口を画定又は規定する内周部、並びに転がり軸受及び/又は転がり軸受に接続された部品の回転運動を制動するブレーキ部分を有する。特に好適には、外周部又は内周部には、弾性ブレーキ装置を転がり軸受に取り付けるための接続部分が設けられている。中央開口は、好適には、内径を有する。
【0017】
以下においては、転がり軸受、特にそれぞれ少なくとも1個の弾性ブレーキ装置を備える上述した転がり軸受の特に好適な実施形態を説明する。上記の転がり軸受及び/又は弾性ブレーキ装置は、それぞれ、上述した少なくとも1つ以上の特徴を有するか又は有することができる。
【0018】
一実施形態によれば、接続部分を含め、弾性ブレーキ装置全体がエラストマー又はエラストマー材料で構成された転がり軸受が提供される。弾性ブレーキ装置は、好適には、接続部分を含め、単一のエラストマー又はエラストマー材料で構成されている。これにより、弾性ブレーキ装置全体を支持リング又はばね要素などの他の取り付け要素なしに転がり軸受に取り付けることが可能になるため、弾性ブレーキ装置の製造のみならず転がり軸受への弾性ブレーキ装置の取り付けが大幅に簡略化されると共に容易になる。
【0019】
一実施形態によれば、弾性ブレーキ装置全体がエラストマー、特に単一のエラストマー又はエラストマー材料で構成されると共に、少なくとも一部がコーティング材料でコーティングされた転がり軸受が提供される。有利には、コーティング材料により、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部又は全部の機械的抵抗又は耐摩耗性、特にエラストマーの機械的抵抗又は耐摩耗性が高まり、好適には、洗浄時又は滅菌時の抵抗も高まる。
【0020】
一実施形態によれば、弾性ブレーキ装置全体がエラストマー、特に単一のエラストマー又はエラストマー材料で構成された転がり軸受が提供される。この場合、エラストマーのみで構成された接続部分は、外輪又は内輪のレセプタクルに収容される。これにより、転がり軸受、特にレセプタクルに弾性ブレーキ装置を迅速に、容易に、省スペース的に取り付けることが有利に可能である。
【0021】
一実施形態によれば、弾性ブレーキ装置が転がり軸受への設置によって変形されることにより、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部、特に接続部分をブレーキ部分に接続する本体部分及び/又はブレーキ部分が曲げられ、特に少なくとも1個の転動体から離れる転がり軸受が提供される。この実施形態における利点の1つは、転がり軸受に設置される前の弾性ブレーキ装置の形状を極めて単純にできることであり、例えば、ディスク形状及び/又は実質的に平坦にすることができる。従って、ディスク形状及び/又は実質的に平坦なブレーキ装置は、打ち抜き又は射出成形によって安価に製造することができる。
【0022】
設置によって変形された弾性ブレーキ装置の更なる利点は、特に、ブレーキ装置が湾曲又は斜め形状に変形された場合、弾性ブレーキ装置に摩耗が生じたとしても、変形による張力に起因して弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分と接触領域との間の接触が維持され、従って十分なブレーキ作用又はブレーキ力が摩耗にもかかわらず維持されることである。
【0023】
一実施形態によれば、弾性ブレーキ装置のブレーキ部分、特にブレーキ部分又はブレーキ部分上のエッジが、外輪上又は内輪上又は転がり軸受に接続された部品上の接触領域に接触して回転運動が制動される転がり軸受が提供される。この場合、接触領域は、転がり軸受の回転軸線に対して角度付きで配置されるか又は傾斜するよう配置され、又は円錐状に形成されている。角度は、好適には、0°よりも大きく90°よりも小さい。角度は、好適には、3°〜80°、特に5°〜60°とする。この構成の利点はやはり、弾性ブレーキ装置が摩耗した場合、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分と角度付きの接触領域、即ち接続部分のためのレセプタクルに対して半径方向に接近する接触領域との間の接触が維持され、従って十分なブレーキ作用又はブレーキ力が弾性ブレーキ装置の摩耗にもかかわらず維持されることである。傾斜させた接触領域の更なる利点は、製造公差がより大きいことである。
【0024】
一実施形態によれば、転がり軸受、特に上述した転がり軸受の製造方法が提供される。この場合、弾性ブレーキ装置は転がり軸受への設置によって変形するよう、弾性ブレーキ装置を転がり軸受に固定し、これにより弾性ブレーキ装置の少なくとも一部、特に接続部分をブレーキ部分に接続する本体部分及び/又はブレーキ部分が曲げられ、特に少なくとも1個の転動体から離れる。弾性ブレーキ装置は、好適には、完全にアセンブリされると共に、(機能する)転がり軸受に設置され、特に接続部分がレセプタクルに差し込まれる。
【0025】
エラストマー又はエラストマー材料は、好適には、天然又は合成エラストマーを含む。エラストマー又はエラストマー材料は、好適には、フッ素系エラストマー(FKM、FFKM)、フッ素ゴム、ゴム、フッ素含有ゴム、シリコーン、又はフッ素含有シリコーンを含む。
【0026】
特に、接続部分を含めて弾性ブレーキ装置全体は(単一の)エラストマー又はエラストマー材料で構成されているため、弾性ブレーキ装置全体又はその全ての部分は、好適には、弾性変形可能である。特に好適には、弾性ブレーキ装置における異なる部分は、異なる方向に変形することができる。これにより、弾性ブレーキ装置は、付加的な要素又は補助手段を必要とせずに、種々の機能、例えば、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の取り付けやブレーキ作用にとって不可欠な異なる位置間の移動を実現することができる。
【0027】
弾性ブレーキ装置の外面全体は、好適には、コーティング材料でコーティングされている。代替的に、弾性ブレーキ装置において、以下に記載の部分の少なくとも1つ又は複数又は全てがコーティング材料でコーティングされている。即ち、接続部分、少なくとも1つのブレーキ部分、内周部の内側側面、外周部の外側側面、平坦かつディスク状又はリング状に構成された弾性ブレーキ装置の上側及び/又は下側、弾性ブレーキ装置における少なくとも1つのエッジがコーティング材料でコーティングされている。
【0028】
コーティング材料は、好適には、プラスチック、例えば、熱可塑性プラスチック、特にフッ素含有熱可塑性プラスチックを含む。コーティング材料は、例えば、ポリハロオレフィン、特にポリテトラフルオロエチレン(PTEF)を含む。これらプラスチックの利点の1つは、弾性ブレーキ装置のエラストマー基材を特に洗浄時又は滅菌時における条件から保護すると共に、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の設置時及び/又は上述したブレーキ作用時、即ち第1位置と第1位置とは異なる第2位置との間の移動時に、十分に変形可能であることにより、エラストマー基材と共に変形可能なことである。
【0029】
レセプタクルは、外輪上又は内輪上において、リング状、例えばリング状の後退部又は凹部又は肩部又は環状溝として形成されている。レセプタクルは、好適には、外輪の内側に設けられている。代替的に、レセプタクルは、内輪の外側に設けられている。レセプタクルは、好適には、(転がり軸受の回転軸線に対して)実質的に軸線方向、特に転がり軸受の回転軸線に対して実質的に平行に延在する後壁を有する。レセプタクルは、好適には、(転がり軸受の回転軸線に対して)実質的に半径方向に延在する第1側壁及び第2側壁を有する。これら側壁は、特に転がり軸受の回転軸線に対して実質的に直交するよう配置されている。後壁は、好適には、2つの側壁を互いに接続している。側壁は、好適には、互いに実質的に平行であり及び/又は(後壁から測定して)実質的に同じ長さを有する。これにより、有利には、弾性ブレーキ装置がレセプタクル内で確実に保持される。
【0030】
接続部分のためのレセプタクルは、好適には、外輪上又は内輪上に設けられており、弾性ブレーキ装置が転がり軸受に取り付けられる場合、エラストマーで構成された接続部分のみが外輪又は内輪のレセプタクルに保持される。接続部分がレセプタクルに取り付けられるのに、特に、付加的な支持ワッシャ、付加的なばねワッシャ、又は付加的な補強要素はなく、付加的かつ別箇の(機械的)要素は基本的に設けられない。特に、そのような要素は、弾性ブレーキ装置が転がり軸受に取り付けられるのにレセプタクル内又はレセプタクル外の何れにも必要とされない。好適には、ブレーキ装置から取り外し可能な部分及び/又はエラストマーで構成されていない部分が接続部分に含まれるか又は包囲されることはない。これにより、弾性ブレーキ装置及び転がり軸受の製造及び組み立てが有利に簡略化される。
【0031】
エラストマーで構成された接続部分は、好適には、外輪又は内輪のレセプタクルに遊びを有する状態で保持されている。レセプタクルに保持された接続部分の厚さ又は高さは、好適には、レセプタクルの(軸線方向)高さ又はレセプタクルの側壁間の距離よりも小さい。これにより、有利には、ブレーキ装置の設置、設置時の変形、及び/又は、第1位置と第2位置との間における弾性ブレーキ装置の移動が容易になる。
【0032】
代替的に、エラストマーで構成された接続部分は、外輪又は内輪のレセプタクルに遊びを有さない状態でクランプ及び/又は押圧などで保持されることにより、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の特に堅固な保持が保証される。
【0033】
接続部分のレセプタクル内には、好適には、少なくとも1個の保持要素及び/又は回転防止手段、例えば、延長部分、突起部分、又はくびれ部が設けられている。保持要素又は回転防止手段は、好適には、単一部品として、又は内輪又は外輪、特にレセプタクル、例えばレセプタクルの後壁及び/又は側壁と一体的に構成されている。少なくとも1個の保持要素又は回転防止手段は、好適には、レセプタクル又はレセプタクル内部に突入している。この保持要素又は回転防止手段により、ブレーキ位置での回転構成要素、特に転がり軸受又は回転部品による弾性ブレーキ装置の移動、特に回転、又は引き込みが有利に回避され、従ってブレーキ作用が有利に高まる。
【0034】
弾性ブレーキ装置は、好適には、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている。これにより、特に弾性ブレーキ装置が打ち抜き又は射出成形で安価に製造可能である。
【0035】
ディスク状及び/又は実質的に平坦な弾性ブレーキ装置は、好適には、以下の部分の少なくとも1つを含む。即ち、内周部の内側側面、外周部の外側側面、上側、特に該上側の反対側の下側、特に上記側面及び/又は上側又は下側を互いに接続する1つ以上のエッジ、特に接続部分をブレーキ部分に接続する本体部分、特にエッジ、例えば、弾性ブレーキ装置における内周部のエッジ、及び/又は、弾性ブレーキ装置における外周部のエッジ、及び/又は、内側側面及び下側を接続するエッジ、及び/又は、内側側面及び上側を接続するエッジ、及び/又は、外側側面及び下側を接続するエッジ、及び/又は、外側側面及び上側を接続するエッジを含む1つ以上のブレーキ部分を含む。代替的又は付加的に、ブレーキ部分は、弾性ブレーキ装置における内側側面の少なくとも一部、及び/又は、外側側面の少なくとも一部、及び/又は、上側の少なくとも一部、及び/又は、下側の少なくとも一部を含む。
【0036】
弾性ブレーキ装置は、好適には、少なくとも転がり軸受への設置前(変形前)、即ち接続部分がそのためのレセプタクルに差し込まれる前は、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている。弾性ブレーキ装置は、特に好適には、転がり軸受に設置されることで変形され、これにより設置状態においてはディスク状及び/又は実質的に平坦な形状が変化する。
【0037】
設置により、特に(転がり軸受の回転軸線に対して)弾性ブレーキ装置の軸線方向広がり又は高さ広がりが変化する。変形により、弾性ブレーキ装置は、特にテーパ形状及び/又は略円錐台形状を有するか又はそのような形状を帯びる。変形されたブレーキ装置は、特に転がり軸受の自由端方向にテーパ付けされる。変形により、好適には、変形されたブレーキ装置の(狭い)部分が転がり軸受の自由端から突出する。
【0038】
転がり軸受への設置により、特に、内周部及び外周部の相対変位、及び/又は、弾性ブレーキ装置における内側側面及び外側側面の相対変位、及び/又は、接続部分及びブレーキ部分の相対変位が生じる。上述した変形は、好適には、これら相対変位の少なくとも1つを含む。相対変位は、(転がり軸受の回転軸線に関して)特に軸線方向に生じる。
【0039】
代替的に、弾性ブレーキ装置は、好適には、転がり軸受への設置後、即ち接続部分がそのためのレセプタクルに差し込まれた後も、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている。これにより、有利には、(回転軸線に関して)軸線方向広がりを僅かとすることができる。
【0040】
外輪上又は内輪上又は転がり軸受に接続された部品上には、好適には、接触領域が設けられており、その接触領域には、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分が接触することによって回転運動が制動される。転がり軸受に接続された部品は、好適には、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースの回転部分、例えば、インペラ、タービンホイール、シャフト、中空シャフト、又は器具保持装置を含む。接触面は、好適には、外輪又は内輪又は転がり軸受に接続された部品における表面の少なくとも一部を含む。
【0041】
接触領域は、好適には、内輪上又は外輪上、特に外輪の内側又は内輪の外側に円錐状に形成されている。接触領域は、好適には、転がり軸受の回転軸線に対して傾斜するよう又は角度付きで配置されている。接触領域は、好適には、転がり軸受の回転軸線に対して傾斜面として形成されている。接触領域は、好適には、軸受内部に球状又は凸状に突出している。接触領域は、好適には、特に角度付き配置、傾斜配置、或いは斜めの配置、又は円錐形状により、接続部分のためのレセプタクルに(転がり軸受の回転軸線に関して)半径方向に接近するよう構成されている。接触領域をこのように配置することにより、弾性ブレーキ装置が摩耗した場合、好適には変形された弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分と角度付きの接触領域、即ち接続部分のためのレセプタクルに半径方向に接近する接触領域との間の接触が維持され、従って十分なブレーキ作用又はブレーキ力が弾性ブレーキ装置の摩耗にもかかわらず有利に維持される。
【0042】
接触領域は、好適には、特に転がり軸受の自由端から転がり軸受における転動要素方向に、連続的にテーパ付けされている。軸受内部のクリアランスは、好適には、特に転がり軸受の自由端から転がり軸受における転動要素方向に、連続的に減少している。接触領域は、特に後退部、突出部、凹部、溝などを有さない。これにより、有利には、弾性ブレーキ装置が摩耗したとしても、弾性ブレーキ装置と接触領域との間に連続的な接触が維持されることが付加的に保証される。
【0043】
転がり軸受、特に内輪又は外輪は、好適には、その自由端に面取り部を有する。接触領域は、好適には、面取り部と少なくとも1個の転動要素のための軌道との間に延在し、及び/又は、接触領域は面取り部に隣接している。従って、特に面取り部は接触領域の一部ではない。ブレーキ部分は、好適には、面取り部から半径方向及び/又は軸線方向に離間しており、及び/又は、面取り部を覆うことはない。
【0044】
転がり軸受は、好適には、内輪と外輪との間の軸受内部に突入する突起、例えば、ノーズ又はショルダー又は環状ショルダーを備える。突起は、好適には、転動体近傍の接触領域端部に隣接配置されるか、又は転動体近傍における接触領域端部の一部として形成されている。突起は、好適には、弾性ブレーキ装置の寸法(長さ)が摩耗によって減少したときに、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分が接触領域から離れたり及び/又は転動要素に接触したりしないよう安全手段として機能する。
【0045】
特に傾斜するよう又は円錐状に形成された接触領域は、好適には、内輪又は外輪の自由端に延在している。接触領域は、特に好適には、少なくとも1個の転動体近傍まで延在している。このように、接触領域は、有利には、(回転軸線に関して)長い又は大きな軸線方向広がりを含み、これにより、弾性ブレーキ装置の摩耗にもかかわらず、やはり長期間に亘って接触領域との接触が確実に維持されると共に十分なブレーキ作用が確実に維持される。
【0046】
ブレーキ装置は、好適には、転がり軸受への設置によって変形されるため、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部、特に接続部分をブレーキ部分に接続する本体部分及び/又はブレーキ部分が少なくとも1個の転動体から離れ、及び/又は、転がり軸受の自由端方向に変形又は曲げられ、及び/又は、転がり軸受の自由端を指向する。設置による変形は、好適には、(弾性ブレーキ装置の摩耗によって生じ得る僅かな可逆性は別として)弾性ブレーキ装置が転がり軸受に設置されている限りは実質的に不可逆的である。設置による変形は、特に圧縮ガスが転がり軸受に供給されない場合も依然として維持される。即ち、設置による変形は、特に弾性ブレーキ装置が第1位置又はブレーキ位置を占める場合も維持される。
【0047】
弾性ブレーキ装置は、好適には、設置により、(ディスク形状及び/又は実質的に平坦な初期形状に対して)少なくとも5°又は少なくとも10°、好適には5°〜75°、特に10°〜50°だけ変形する。
【0048】
弾性ブレーキ装置の本体部分は、好適には、転がり軸受への設置により、変形され及び/又は曲げられ及び/又は少なくとも1個の転動要素から離れるよう曲げられ及び/又は転がり軸受の自由端方向に変形又は曲げられる。本体部分及び/又はブレーキ部分の少なくとも一部は、好適には、転がり軸受への設置時に、転がり軸受における少なくとも1個の転動体及び/又は回転軸線に対して直交する中央面から離れるよう移動する。
【0049】
本体部分及び/又はブレーキ部分は、好適には、圧縮ガスが供給されると、即ち第2位置を占めると、移動され及び/又は曲げられ及び/又は付加的に変形され及び/又は転動要素から離れるよう移動され及び/又は転動要素から離れるよう曲げられ及び/又は転動要素から離れるよう付加的に変形される。特に、転がり軸受への設置によって生じる変形は、圧縮ガスの供給で更に増加する。従って、設置によって生じる変形は、第1位置から第2位置へのブレーキ部分の移行を有利に助長する。
【0050】
上述したように、変形は、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の設置によってのみ生じる。弾性ブレーキ装置は、好適には、転がり軸受への設置前においてはディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている。特に、弾性ブレーキ装置の変形は、ブレーキ部分、好適にはブレーキ部分のエッジが外輪上又は内輪上又は転がり軸受に接続された部品上の接触領域に接触することで生じる。このことは、変形及び接触領域とブレーキ部分の接触が一回の作業で行われるため、有利には特にアセンブリを容易にする。
【0051】
接続部分のためのレセプタクルは、好適には、外輪上に設けられている。この場合、(弾性ブレーキ装置、特にディスク状及び/又は実質的に平坦な弾性ブレーキ装置の中心に関して)非変形状態(非アセンブリ状態)での弾性ブレーキ装置における外周部と内周部との間の半径方向距離は、(転がり軸受の回転軸線に関して)接続部分のためのレセプタクルの後壁と後壁の(半径方向)反対側の内輪における外側部分との間の半径方向距離よりも大きい。この外側部分は、好適には、接触領域の一部を構成している。これにより、転がり軸受への設置時に弾性ブレーキ装置を容易に変形させることができる。
【0052】
代替的に、接続部分のためのレセプタクルは、好適には、内輪上に設けられている。この場合、(弾性ブレーキ装置、特にディスク状及び/又は実質的に平坦な弾性ブレーキ装置の中心に関して)非変形状態(非アセンブリ状態)での弾性ブレーキ装置における外周部と内周部との間の半径方向距離は、(転がり軸受の回転軸線に関して)接続部分のためのレセプタクルの後壁と後壁の(半径方向)反対側の外輪における内側部分との間の半径方向距離よりも大きい。この内側部分は、好適には、接触領域の一部を構成している。これにより、転がり軸受への設置時に弾性ブレーキ装置を容易に変形させることができる。
【0053】
変形により、好適には、曲げ部、特に連続的な曲げ部及び/又はエッジを有さない曲げ部、又は半径部が弾性ブレーキ装置、特に本体部分及び/又はブレーキ部分に形成される。曲げ部は、好適には、接続部分に隣接するよう及び/又は接続部分の近傍に配置されることにより、有利には、緩やかな曲げ部又は材料に負担をかけない曲げ部が得られる。曲げ部は、好適には、連続的ではあるが、特に曲げ部の広がりに沿って異なる勾配を有する。
【0054】
ブレーキ部分は、好適には、弾性ブレーキ装置の内周部又は内周部を形成する内側側面にエッジを含み、そのエッジは、特に設置時に生じる変形により、接触領域に接触するか又は接触している。ブレーキ部分は更に、好適には、弾性ブレーキ装置における内側側面の一部及び/又は下側の一部、即ち転動要素を指向すると共に、エッジに隣接する一部を含む。これにより、有利には、十分なブレーキ作用を発揮すると共に、圧縮ガスで第2位置に移動可能、特に接触領域から持ち上げられるか又は解放されるブレーキ部分が形成されている。
【0055】
好適には、ブレーキ部分、及び/又は、ブレーキ部分における少なくとも1つのブレーキ面、及び/又は、少なくとも内側側面の一部、特にブレーキ部分の一部、及び/又は、下側の一部、特にブレーキ部分の一部と、回転運動を制動するためにブレーキ部分が接触する接触領域とは、互いに角度付きで配置されている。この角度付きの構成は、例えば、上述した接触領域の傾斜配置又は円錐形状、及び/又は、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の設置による変形によって得られる。上述したように、角度付きの構成により、有利には、弾性ブレーキ装置と接触領域との間の確実な接触が得られ、従って摩耗にもかかわらず実質的に一定のブレーキ作用が保証される。
【0056】
弾性ブレーキ装置は、好適には、一体的に構成されるか又は単一の構成要素を含むか又は単一の構成要素によって構成されている。一体的な弾性ブレーキ装置は、好適には、上述したようにエラストマーで構成されている。一体的な弾性ブレーキ装置は、有利には、(打ち抜き又は射出成形により)製造を容易にし、及び/又は、転がり軸受上の取り付け又は転がり軸受内部への取り付けを容易にする。
【0057】
接続部分は、好適には、(転がり軸受の回転軸線に関して)軸線方向高さ又は材料厚さが、弾性ブレーキ装置のブレーキ部分及び/又は本体部分の(軸線方向)高さ又は材料厚さよりも大きく、また本体部分は、接続部分をブレーキ部分に接続している。これにより、有利には、接続部分をレセプタクルに特に信頼性高く取り付けることができる。
【0058】
代替的に、接続部分は、好適には、(転がり軸受の回転軸線に関して)軸線方向高さ又は材料厚さが、弾性ブレーキ装置のブレーキ部分及び/又は本体部分の(軸線方向)高さ又は材料厚さと実質的に等しく、また本体部分は、接続部分をブレーキ部分に接続している。これにより、有利には、特に高さの小さなブレーキ装置が得られるため、転がり軸受の高さ全体をより小さくすることができる。
【0059】
転がり軸受は、好適には、内輪と外輪との間の軸受内部スペースをシールするためのシール要素又はカバー要素を備え、少なくとも1個の転動体は、(転がり軸受の縦断面において)シール要素と弾性ブレーキ装置との間に配置されている。シール要素は、特に、転がり軸受から潤滑剤が漏れないか又はほぼ漏れないこと、及び/又は、転がり軸受内が汚染しないか又はほぼ汚染しないことを保証するために設けられている。シール要素は、特に剛性を有するため、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスで移動できないか又はほぼ移動できない。シール要素又はカバー要素は、特にディスク状に又はカバーディスクとして形成されている。
【0060】
シール要素は、好適には、内輪又は外輪に取り付けられると共に、接触せずに他方の輪(内輪又は外輪)方向に延在している。シール要素は、好適には、外輪又は内輪の間の軸受内部スペース内で延在している。シール要素は、好適には、ディスク状及び/又は実質的に平坦に形成されている。
【0061】
シール要素又はカバー要素は、好適には、付加的な取り付け要素又は固定要素、例えば、ばねリング、スナップリング、保持要素、ばね要素により、外輪又は内輪のレセプタクルに固定されている。シール要素は、好適には、プラスチックで形成されている。
【0062】
代替的に、シール要素又はカバー要素は、内輪又は外輪と一体的に形成されている。シール要素は、好適には、金属で形成されている。
【0063】
シール要素又はカバー要素は、好適には、転がり軸受の(自由)端部又はその近傍に配置されている。シール要素は、特に、転がり軸受において、弾性ブレーキ装置が配置された端部とは反対側の端部に配置されている。
【0064】
少なくとも1個の転動要素は、好適には、金属材料又はセラミック材料を含む。
【0065】
上述した弾性ブレーキ装置を備える少なくとも1個の転がり軸受は、深溝玉軸受又は肩付き玉軸受として構成されている。
【0066】
一実施形態によれば、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースが提供され、圧縮ガスで回転可能な回転部品又は回転可能部分と、回転部品又は回転可能部分を回転支持するための上述した弾性ブレーキ装置を有する少なくとも1個の転がり軸受とを備える。
【0067】
ハンドピースは、特にその端部の結合装置を介して圧縮ガス源に接続することができる。ハンドピースは、好適には、ハンドピースに接続可能な器具を保持するための器具保持装置を有するヘッド部と、ヘッド部に接続された(片手で保持可能な)ハンドル部分とを備える。ハンドピース、特にヘッド部又はその近傍には、照明装置、好適には、少なくとも1つの発光ダイオードを設けることもできる。照明装置は、治療部位上又は治療部位に向けて電磁放射線を発するよう構成されている。
【0068】
ハンドピースは、圧縮ガスで駆動可能、特に回転可能な駆動装置、例えばインペラを備える。駆動装置は、特に、ハンドピースに接続可能な器具を保持するための取り外し可能な器具保持装置に作動接続されている。器具保持装置は、例えば、1本以上の中空シャフトを含む。上述した回転部品又は回転可能部分は、例えば駆動装置、特にインペラ及び/又は器具保持装置を含む。器具保持装置から器具を解放するために、特にヘッド部に配置された作動要素、例えば押しボタンを有する器具解放装置が設けられている。
【0069】
ハンドピースは更に、好適には細長で中空又は管状の外側スリーブを備えるため、その外側スリーブによって内部スペースが形成されている。細長の外側スリーブは、好適には、その中心軸線に沿って延在している。外側スリーブは、好適には、互いに角度付きで配置された少なくとも2つの部分を有するよう曲げられている。外側スリーブ、特にハンドル部分、又は外側スリーブの内部には、照明装置に電気エネルギーを供給するための1つ以上の流体ライン及び/又は導電体が設けられている。照明装置は、好適には、外側スリーブの開口内又は開口に設けられている。ハンドピース、特にヘッド部における1つ以上の更なる開口を通して、好適には、冷却流体及び/又はすすぎ流体が治療部位方向に吐出可能である。
【0070】
特に、ヘッド部を包囲する外側スリーブ部分には、駆動装置、器具保持装置、及び/又は、回転部分が、上述した弾性ブレーキ装置を備える少なくとも1個の転がり軸受によって支持されている。少なくとも1個の転がり軸受又は複数の転がり軸受は、Оリング及び/又はばね要素によって支持されているか又は張力をかけられている。
【0071】
インペラ、器具保持装置、並びに弾性ブレーキ装置を備える少なくとも1個の転がり軸受は、好適には、軸受ユニットを構成している。この軸受ユニットは、特に別箇の構造ユニット、例えばカートリッジとして構成され、特にヘッド部又はヘッド部のキャビティに交換可能に収容されている。
【0072】
以下、本発明を、添付図面を参照しつつ好適な実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1A】外輪の内側のレセプタクルに取り付けられると共に、内輪の外側の凹部によって形成された2つの接触面に接触する2つのブレーキ面を有する一体的な弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第1実施形態であって、弾性ブレーキ装置に圧縮ガスが供給されず、弾性ブレーキ装置が(接触領域における接触面との接触に起因して)より大きなブレーキ作用を及ぼす第1位置又はブレーキ位置を占めている状態を示す第1実施形態の説明図である。
図1B図1Aにおける転がり軸受に(図1Bによれば左側から)圧縮ガスが供給され、弾性ブレーキ装置が(接触領域における接触面との接触が減少しているか又は完全に非接触であることに起因して)ブレーキ作用を及ぼさないか又は低減されたブレーキ作用を及ぼす第2位置を占めている状態を示す説明図である。
図2】固定要素、例えばばねワッシャ又はスナップリングにより、外輪の内側のレセプタクルに固定された弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第2実施形態を示す説明図である。
図3】ブレーキ要素、並びにブレーキ要素に(完全に)保持され、特にブレーキ要素に取り外し不可能に接続され、好適には金属製の支持要素又は補強要素を有する複数部分で構成された弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第3実施形態を示す説明図である。
図4】接触領域が異なる複数(2つ)の弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第4実施形態を示す説明図である。
図5】接触面の増加及び/又はブレーキ作用の増加を可能とするために、内輪の外側に設けられた接触領域が内輪と外輪との間のギャップに突入する突出部を有する、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第5実施形態を示す説明図である。
図6】接触領域が、転がり軸受の長手方向軸線又は回転軸線に対して傾斜するよう配置されるか又は円錐状若しくは面取り状に形成された単一の接触面を有する、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第6実施形態を示す説明図である。
図7】接触領域が、転がり軸受の中心軸線又は回転軸線に対して平行であると共に、内輪の外側の一部によって形成された単一かつ直線的な接触面を有する、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第7実施形態を示す説明図である。
図8】接触領域が、特に転がり軸受の中心軸線又は回転軸線に対して角度付きで配置されると共に、内輪の端面を含む接触面を有する、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第8実施形態を示す説明図である。
図9】転がり軸受のレセプタクルが、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部、特にディスク状ブレーキ要素のためのガイド部として形成された、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第9実施形態を示す説明図である。
図10】接触領域の接触面が、転がり軸受に接続された部品又は回転部分、特に中空シャフト上に設けられた、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受の第10実施形態を示す説明図である。
図11】特に中空シャフト又は器具保持装置の一部を含むと共に、圧縮ガスで回転可能な回転部分、並びにその回転部分を回転可能に支持するための図10における2個の転がり軸受を備える医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースを示す説明図である。
図12A】弾性ブレーキ装置を転がり軸受に取り付けるための増肉された接続部分を有するディスク状及び/又は実質的に平坦に構成された弾性ブレーキ装置の一実施形態を示す説明図である。
図12B図12Aにおける弾性ブレーキ装置を示す断面図である。
図13A図12A及び図12Bにおける弾性ブレーキ装置を、転がり軸受に設置されたことによって変形している状態で備える転がり軸受の一実施形態を示す説明図である。
図13B図13Aにおける転がり軸受を、空気が供給されてブレーキ作用が低減されたか又はブレーキ作用を有さない状態で示す説明図である。
図14A】弾性ブレーキ装置を転がり軸受に固定するための接続部分を有すると共に、その接続部分の(軸線方向)高さがブレーキ部分及び/又は弾性ブレーキ装置全体の(軸線方向)高さに実質的に等しい、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成された弾性ブレーキ装置の一実施形態を示す説明図である。
図14B図14Aにおける弾性ブレーキ装置を示す断面図である。
図15A図14A及び図14Bにおける弾性ブレーキ装置を、転がり軸受に設置されたことによって変形している状態で備える転がり軸受の一実施形態を示す説明図である。
図15B図15Aにおける転がり軸受を、空気が供給されてブレーキ作用が低減されたか又はブレーキ作用を有さない状態で示す説明図である。
図16A】ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されると共に、コーティングされた弾性ブレーキ装置の第1実施形態を示す説明図である。
図16B】ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されると共に、コーティングされた弾性ブレーキ装置の第2実施形態を示す説明図である。
図17図16Aにおける弾性ブレーキ装置を、転がり軸受に設置されたことによって変形している状態で備える転がり軸受の一実施形態を示す説明図である。
図18】弾性ブレーキ装置を、転がり軸受に設置されたことによって変形している状態で備える転がり軸受により支持されると共に、圧縮ガスで回転可能な回転部材を備える医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースの一実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下においては、図1図18に示す、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース2のための転がり軸受1、並びに弾性ブレーキ装置6の特徴について記載されている。
【0075】
医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース2のための転がり軸受1は、外輪3と、内輪4と、外輪3と内輪4との間の軸受内部スペース23に配置された少なくとも1個の転動要素5を備える。外輪3及び内輪4は、少なくとも1個の転動要素5が収容及びガイドされる軌道を有する。転がり軸受1は、中心軸線又は回転軸線16周りで回転可能である。
【0076】
更に、軸受内部スペース23には、1つ以上のポケットを有するケージ25が収容され、各ポケットには転動要素5が設けられている。特に、ケージ25は、合成樹脂又はプラスチックで構成されている。軸受内部スペース23は、好適には、軸受潤滑用の潤滑剤も含む。
【0077】
転がり軸受1には弾性ブレーキ装置6が設けられ、その弾性ブレーキ装置6は、転がり軸受1及び/又は転がり軸受1に接続された部品7,8に接触しつつ作用することにより、転がり軸受1の回転運動及び/又は転がり軸受1に接続された部品7,8、特に回転部品又は回転可能部分の回転運動が制動される。これら部品は、例えば、圧縮ガスで駆動可能な駆動装置、特に回転可能な駆動装置、例えば、インペラ7及び/又はハンドピース2に接続できる器具を保持するための取り外し可能な器具保持装置8を含む(図11及び図18を参照)。
【0078】
弾性ブレーキ装置6は、中央開口10を有するリング状に構成されている(特に図12A図12B図14A図14B図16A図16B参照)。弾性ブレーキ装置6は、外周部11、中央開口10を画定する内周部12、並びに転がり軸受1及び/又は転がり軸受1に接続された部品7,8の回転運動を制動するためのブレーキ部分9を有する。外周部11には、弾性ブレーキ装置6を転がり軸受1に取り付けるための接続部分13,13Aが設けられている。
【0079】
ブレーキ部分9又はブレーキ部分9における少なくとも1つ以上のブレーキ面及び/又はブレーキ部分9における少なくとも1つ以上のエッジは、接触により、ブレーキ作用又はブレーキ力を、特に転がり軸受1における少なくとも1つの構成要素、例えば、外輪3又は内輪4及び/又は転がり軸受1に接続された部品7,8に及ぼすよう設けられている。
【0080】
本体部分17は、接続部分13,13Aをブレーキ部分9に接続している。ブレーキ部分9は、本体部分17の一部であってもよい。ブレーキ部分9に加えて、本体部分17も圧縮ガス、特に圧縮空気で移動可能、曲げ可能、又は変形可能に構成することができ、これにより特にブレーキ部分9の可動性及び/又はブレーキ作用及び/又は第2位置から第1位置への復帰運動が助長されるか又は増加される。
【0081】
弾性ブレーキ装置6、特にブレーキ部分9、例えばブレーキ部分9における少なくとも1つのブレーキ面及び/又はエッジは、圧縮ガス、特に圧縮空気で作動又は変形できるため、ブレーキ装置6と転がり軸受1及び/又は転がり軸受1に接続された部品7,8との間の接触で生じるブレーキ作用(又はブレーキ力)が変化又は消失可能である。ブレーキ作用を変化させるこのような圧縮ガス流は、図1B図13B図15Bの矢印26で表されている。これら図1B図13B図15Bには圧縮ガス流26によって生じたブレーキ装置6、特にブレーキ部分9の動き及び/又は変形及び/又は曲げ及び/又は(付加的)変形も表されており、圧縮ガスが供給されたときのこの動き及び/又は変形及び/又は曲げ及び/又は(付加的)変形により、ブレーキ部分9と転がり軸受1及び/又は転がり軸受1に接続された部品7,8との間の接触及び/又は接触面及び/又はブレーキ作用が変化、特に減少又は完全に消失する。即ち、これら図1B図13B図15Bにおいて、弾性ブレーキ装置6は上述した第2位置を占めている。従って、図1A図2図11図13A、15A、図17図18に示す弾性ブレーキ装置6、特にブレーキ部分9は、弾性ブレーキ装置6が(転がり軸受1及び/又は転がり軸受1に接続された部品又は回転部分7,8の少なくとも一部との接触に起因して)ブレーキ作用又はより大きなブレーキ作用を及ぼす第1位置又はブレーキ位置を占めている。
【0082】
ブレーキ作用の発揮及び/又はブレーキ作用の増加及び/又は第1位置又はブレーキ位置への(確実な)復帰を可能とするため、ブレーキ部分9及び/又は本体部分17は、好適には、特に圧縮ガス流26方向に抗するよう付勢されている。この付勢力は、特に好適には、弾性ブレーキ装置6のばね要素及び/又は弾性ブレーキ装置6、特にブレーキ部分9及び/又は本体部分17における材料の機械的張力の何れかによってもたらされる。
【0083】
弾性ブレーキ装置6、特に接続部分13,13Aは、例えば外輪3、特にその内側、又は内輪4にリング状の凹部又は溝として形成されたレセプタクル14に配置されている。
【0084】
弾性ブレーキ装置6の少なくとも一部は、軸受内部スペース23内に配置され、及び/又は、軸受内部スペース23をカバー及び/又は閉鎖している。
【0085】
転がり軸受1及び/又は転がり軸受1に接続された部品7,8は、ブレーキ作用又はブレーキ力を発生させるためにブレーキ装置6、特にブレーキ部分9又は少なくともブレーキ部分9の一部に接触しているか又は接触する接触領域15を備える。接触領域15は、特に内輪4の外側に設けられている。接触領域15は、ブレーキ部分9に接触しているか又は接触する1つ以上の接触面を有することができる。
【0086】
以下、図1A図18に示す実施形態の更なる特徴を記載するが、特に図示の全ての実施形態に適用されているわけではない。
【0087】
図1A図10は、外輪3の内側のレセプタクル14に取り付けられた弾性ブレーキ装置6を備える転がり軸受1を示す。弾性ブレーキ装置6は、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されると共に、中央開口を有する。
【0088】
図1A図10に示す弾性ブレーキ装置6のブレーキ部分9は、少なくとも1つのブレーキ面を有する。この少なくとも1つのブレーキ面は、例えば、(第1位置又はブレーキ位置)において回転軸線16に対して実質的に平行に配置され、及び/又は、中央開口を画定する内周部12によって形成されている。代替的に、この少なくとも1つのブレーキ面は、(第1位置又はブレーキ位置)において回転軸線16に対して0°よりも大きい角度、好適には垂直に配置され、及び/又は、側面の一部、特に弾性ブレーキ装置6又は本体部分17の下側によって形成されている。
【0089】
図1図5に示す実施形態によれば、ブレーキ部分9は、互いに角度付きで配置された少なくとも2つのブレーキ面を有し、特に、内周部12によって形成された上述のブレーキ面、並びに側面の一部又は本体部分17によって形成された上述のブレーキ面を有する。2つのブレーキ面又は内周部12及び側面は、好適には、互いにエッジ19で接続され、特に、エッジ19もブレーキ部分9の一部としてブレーキ作用を及ぼす。
【0090】
図1A図10に示す転がり軸受1の接触領域15は、少なくとも1つの接触面を有する。この少なくとも1つの接触面は、例えば、回転軸線16に対して実質的に平行に配置されている。代替的に、この少なくとも1つの接触面は、0°よりも大きな角度、例えば、回転軸線16に対して実質的に垂直に配置されている。
【0091】
図1図7に示す実施形態によれば、接触領域15は、内輪4の外側に設けられ及び/又は内輪4の外側の少なくとも一部を含む。
【0092】
図1図5に示す実施形態によれば、接触領域15は、互いに角度付きで配置された少なくとも2つの接触面を有し、特に、回転軸線16に対して実質的に平行に配置された上述の接触面、並びに回転軸線16に対して角度付きで配置された上述の接触面を有する。2つの接触面は、好適には、内側エッジによって接続されている。接触領域15は、特に肩部又はステップとして形成されている。
【0093】
図1図5に示す実施形態によれば、2つのブレーキ面の少なくとも1つは、2つの接触面の少なくとも1つに接触することでブレーキ作用を生じ、特に、内周部12によって形成されたブレーキ面が、回転軸線16に対して実質的に平行に配置された接触面に接触し、又は側面又は本体部分17の一部によって形成されたブレーキ面が、回転軸線16に対して角度付きで配置された接触面に接触する。特に好適には、2つのブレーキ面の1つが2つの接触面の1つにそれぞれ同時に接触することであり、これにより特に大きなブレーキ作用が得ることができる。
【0094】
図1A図1B図4図8図10に示す弾性ブレーキ装置6は、一体的に構成されると共に、エラストマー、好適には単一のエラストマーで構成されている。従って、弾性ブレーキ装置6を転がり軸受1に取り付ける場合、エラストマーのみで構成された接続部分13が外輪3のレセプタクル14に収容されている。
【0095】
図1A図1B図3図8図10図12A図13B図16Bに示す弾性ブレーキ装置6の接続部分13は、弾性ブレーキ装置6の残部、特に本体部分17及び/又はブレーキ部分9(図12Bの高さH2参照)に比べて、増肉され及び/又は(回転軸線16に関して)軸線方向により大きな高さH1(図12B参照)を有する。これに対して、図2図9図14A図14B図15A図15B図16A図17図18に示す弾性ブレーキ装置6の接続部分13Aは、弾性ブレーキ装置6の残部(高さH4参照)に比べて、実質的に同じ厚さ及び/又は(回転軸線16に関して)軸線方向に実質的に同じ高さH3(図14B参照)を有する。言うまでもなく、図1図18に示す弾性ブレーキ装置6を、増肉されたか又は増肉されていない接続部分13と交換し、例えば、図1A及び図1Bに示す弾性ブレーキ装置6が増肉されていない接続部分13を有するようにしたり、図2に示す弾性ブレーキ装置6が増肉された接続部分13を有するようにしたりすることも想定可能である。接続部分13の増肉部は、例えば、リングビードとして形成することができる。
【0096】
図1Aは、弾性ブレーキ装置6を、圧縮ガスが供給されない第1位置又はブレーキ位置、即ちインペラ7が駆動されない位置で示す。この場合、少なくとも1つのブレーキ面が接触面に接触している。
【0097】
図1Bは、図1Aにおける転がり軸受に(図示のように左側から)圧縮ガス26が供給され、これにより弾性ブレーキ装置6が(接触領域15における接触面との接触が減少しているか又は完全に非接触であることに起因して)ブレーキ作用を及ぼさないか又は低減されたブレーキ作用を及ぼす第2位置を占めている状態を示す。この場合、転がり軸受1及び/又は転がり軸受1に接続された回転部分7,8は、低減されたブレーキ作用で又は弾性ブレーキ装置6によるブレーキ作用が及ぶことなく回転することができる。図示のように、少なくともブレーキ部分9は、軸受内部スペース23を流れる圧縮ガス26によって曲げられている。軸受内部スペース23を通る圧縮ガス流26が終了すると、弾性ブレーキ装置6は、特にその付勢力によって第1位置(図1A参照)に戻る。
【0098】
図2の弾性ブレーキ装置6は、ディスク状又はリング状に構成されると共に、実質的に平坦なブレーキ要素6Aを含み、そのブレーキ要素6Aは、接続部分13A、本体部分、並びにブレーキ部分9を有する。ブレーキ要素6Aは、エラストマー、特に単一のエラストマーで構成されている。ブレーキ要素6Aをレセプタクル14に取り付けるために、固定要素27、例えばばねワッシャ又はスナップリングが設けられている。固定要素27は、特にレセプタクル14に配置されている。
【0099】
図3は、ブレーキ要素6A、並びにブレーキ要素6Aに特に完全に保持され、好適にはブレーキ要素6Aに取り外し不可能に接続され、好適には金属製の支持要素又は補強要素28を有する複数部分で構成された弾性ブレーキ装置6を示す。支持要素又は補強要素28は、好適には、接続部分13に少なくとも部分的に組み込まれている。支持要素又は補強要素28は、レセプタクル14に少なくとも部分的に保持され及び/又はレセプタクル14への弾性ブレーキ装置6の取り付けを支持している。支持又は補強要素28は、好適には、リング状に形成されている。
【0100】
図4は、複数、即ち2個の弾性ブレーキ装置6を備える転がり軸受1を示す。複数の弾性ブレーキ装置6を備える転がり軸受1を設けることは、図示及び記載された他の全ての転がり軸受1にも勿論適用可能である。更に、2個の弾性ブレーキ装置6に割り当てられた接触領域15,15Aは異なる形状を有することも図示されている。接触領域15Aは、特に内輪4内に凹状に延びる湾曲した接触面を有し、接触領域15は、上述したように、断面が実質的に平坦な2つの接触面を有する。
【0101】
図5は、弾性ブレーキ装置6を備える転がり軸受1を示し、この場合、接触面の増加及び/又はブレーキ作用の増加を可能とするために、内輪4の外側に設けられた接触領域15が内輪4と外輪3との間の軸受内部スペース23に突入する突出部29を有する。この突出部29により、ブレーキ部分9の面積、特に弾性ブレーキ装置6においてブレーキ部分として機能する下側部分の面積も増加する。
【0102】
図6に示す転がり軸受1において、接触領域15は、長手方向軸線又は回転軸線16に対して傾斜するよう配置された単一の接触面を有する。即ち、接触領域15は、特に円錐状に形成されている。接触領域15は、特に内輪4の自由端まで延在している。接触領域15が円錐状に形成されているため、内輪4の端部領域がテーパ付けされ及び/又は軸受内部スペース23の直径が自由端方向に向けて増加している。
【0103】
図7は、弾性ブレーキ装置6を備える転がり軸受1の実施形態を示し、この場合、接触領域15は、転がり軸受1の中心軸線又は回転軸線16に対して平行であると共に、内輪4の外側の非凹部セクション又は非突出セクションによって形成された単一かつ直線的な接触面を有する。
【0104】
図7に示す弾性ブレーキ装置6は、転がり軸受1への設置により(圧縮ガス流なしで)変形されているため、弾性ブレーキ装置6の少なくとも一部、特に本体部分17及び/又はブレーキ部分9が曲げられ及び/又は少なくとも1個の転動体5から離れている。好適には元々平坦な弾性ブレーキ装置6が、転がり軸受1への設置によって変形又は曲げを生じるこの実施形態は、特に図12A図18との関連で詳細に記載する。
【0105】
図8図9、並びに図10は、接触領域15が、特に転がり軸受1の中心軸線又は回転軸線16に対して角度付きで配置されると共に、内輪4の端面を含む単一の接触面を有する転がり軸受1を示す。この場合、外輪3は、内輪4に比べて(回転軸線16に関して)軸線方向により大きな広がりを有するのが好適である。レセプタクル14は、好適には、内輪4を軸線方向に越えて突出する外輪3部分に少なくとも一部が配置されている。接触面は、好適には、回転軸線16に対して実質的に垂直に配置されている。
【0106】
図9に示す転がり軸受1のレセプタクル14は、弾性ブレーキ装置6の少なくとも一部、特に実質的に平坦及び/又はディスク状に構成されたブレーキ要素6Aにとってガイド部として形成され、その要素6A、特に要素6A全体はガイド部内で移動又は変位させることができる。要素6Aは、特に回転軸線16に沿って又は平行に移動させることができる。ブレーキ要素6Aは、特に剛性を有するため、圧縮ガスによって変形しないか又は僅かに変形するだけである。代替的に、ブレーキ要素6Aの一部は剛性を有するため、圧縮ガスによってその一部は変形しないか又は僅かに変形するが、他の部分は特に圧縮ガスによって弾性変形可能である。
【0107】
図示の実施形態においては、ばね要素30が更に設けられており、そのばね要素30によって要素6Aが第1位置又はブレーキ位置に付勢されている。第2位置に到達するには、要素6Aは、圧縮ガス流26によってばね力に抗するよう移動しなければならない。ばね要素30は、特にレセプタクル14に配置されている。ばね要素30は、例えば、板ばね又は皿ばねとして構成されている。
【0108】
図10に示す転がり軸受1においては、接触領域15の接触面が転がり軸受1に接続された部品又は回転部分上に設けられている。部品又は回転部分は、特に中空シャフトを含み、好適には器具保持装置8のシャフトを含む。接触面は、好適には、回転部分8の外面の一部を含む。更に、内輪4の端面も接触面として構成することができる。
【0109】
図10に示す弾性ブレーキ装置6は、転がり軸受1への設置、特に部品又は回転部分8との接触により(圧縮ガス流なしで)変形されているため、弾性ブレーキ装置6の少なくとも一部、特に本体部分17及び/又はブレーキ部分9が曲げられ及び/又は少なくとも1個の転動体5から離れている。好適には元々平坦な弾性ブレーキ装置6が変形又は曲げを生じるこの実施形態は、特に図12A図18との関連で詳細に記載する。
【0110】
図11は、圧縮ガスによって回転可能な回転部分を備える医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース2を示す。回転部分は、少なくとも1個の中空シャフト又は器具保持装置8の一部を含む。複数のブレード7Aを有すると共に、圧縮ガスで駆動可能なインペラ7は、回転部分に接続されるか又は回転部分の一部として構成されている。圧縮ガスを(圧縮ガスライン34を介して)供給することにより、インペラ7及びインペラ7に接続された回転部分、特に器具保持装置8及び器具保持装置8に接続された任意の器具は運動、即ち既知の形式で回転を生じる。
【0111】
図11に更に示すように、回転部分8及びインペラ7は、図10に示す弾性ブレーキ装置6を備える2個の転がり軸受1に回転可能に支持されているため、特に、圧縮ガスの供給が中断されたときに回転部分7,8をより迅速に制動することが可能である。言うまでもなく、図10に示す転がり軸受1を1個のみ備えるハンドピース2を提供することもできる。同様に、他の図に示す転がり軸受1をハンドピース2に1個以上配置することも勿論可能である。2個の転がり軸受1がハンドピース2に設けられる場合、その2個の転がり軸受1は、(図11に示すように)実質的に同じ構成を有することができ、又は異なる転がり軸受1、特に、弾性ブレーキ装置6を備える転がり軸受1及び弾性ブレーキ装置6を有さない転がり軸受1、又は異なる弾性ブレーキ装置6を備える2個の転がり軸受1とすることができる。
【0112】
ハンドピース2は更に、好適には細長で中空又は管状の外側スリーブ31を備えるため、その外側スリーブ31によって内部スペースが形成されている。外側スリーブ31は、好適には曲げられているため、互いに角度付きで配置された少なくとも2つの部分、特に細長ハンドル部分32、並びにそのハンドル部分32に隣接すると共に、回転部品又は回転可能部分7,8が収容されたヘッド部33を有する。外側スリーブ31、特にヘッド部33には、器具保持開口35が設けられ、その器具保持開口35を介して器具を器具保持装置8に差し込んだり器具保持装置8から取り外したりすることができる。
【0113】
図12A図18は、弾性ブレーキ装置6及びそのような弾性ブレーキ装置6を備える転がり軸受1の更なる実施形態を示し、この場合、弾性ブレーキ装置6は、転がり軸受1への設置により変形されているため、弾性ブレーキ装置6の少なくとも一部、特に本体部分17及び/又はブレーキ部分9が曲げられ、特に少なくとも1個の転動体5から離れている。
【0114】
図12A図18に示す弾性ブレーキ装置6は、一体的に構成されると共に、エラストマー、好適には単一のエラストマーで構成されている。従って、弾性ブレーキ装置6を転がり軸受1に取り付ける場合、エラストマーのみで構成された接続部分13が外輪3のレセプタクル14に収容されている。
【0115】
図12図12B図14A図14Bに示すように、弾性ブレーキ装置6は、転がり軸受1に設置される前、即ち、特に接続部分13が対応のレセプタクル14に差し込まれる前は、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている。弾性ブレーキ装置6は、転がり軸受1に設置されることによってのみ変形し、設置された状態においては、ディスク状及び/又は実質的に平坦な形状が変化する。
【0116】
圧縮ガス26が供給されると、即ち第2位置に移動すると、本体部分17及び/又はブレーキ部分9は、特に転動要素5から離れるよう付加的に移動し、曲げられ、及び/又は、付加的に変形する(図13B図15B参照)。この場合、転がり軸受1への設置で生じた変形は、圧縮ガス26の供給によって更に増加する。特に、弾性ブレーキ装置6において、圧縮ガス26の供給によって生じた変形及び転がり軸受1への設置で生じた変形は、ほぼ同じ運動方向を有する。
【0117】
弾性ブレーキ装置6の変形は、ブレーキ部分9の少なくとも一部、場合によっては本体部分17も含む少なくとも一部と内輪4上又は転がり軸受1に接続された部品上の接触領域15との間の接触で生じる(図10参照)。接触領域15との接触は、特に以下の要素の少なくとも1つ、即ち、内周部12、弾性ブレーキ装置における側面36(図12B参照)の一部、特に弾性ブレーキ装置6において転動要素5を指向する下側、本体部分17においてブレーキ面として機能すると共に、特に転動要素5を指向する部分、並びに内周部12上のエッジ19又は内周部12を画定するエッジ19によって生じる。
【0118】
ブレーキ部分9の少なくとも一部と接触領域15との間の接触による弾性ブレーキ装置6の変形は、好適には、弾性ブレーキ装置6が転がり軸受1から取り外されたときに、少なくとも部分的に可逆的である。
【0119】
図13A図15A、並びに図17に示すように、変形により、弾性ブレーキ装置6、特に本体部分17及び/又はブレーキ部分9に曲げ部18が形成されている。曲げ部18は、好適には、接続部分13,13Aの近傍又は接続部分13,13Aに隣接して生じるか又は位置している。図13A図15A、並びに図17が更に示すように、弾性ブレーキ装置6は、変形により、テーパ形状及び/又は略円錐台形状を有する。
【0120】
接触によって生じた変形により、ブレーキ部分9、並びに回転運動を制動するためにブレーキ部分9が接触する接触領域15は、互いに角度付きで配置されている。
【0121】
接続部分13,13Aのためのレセプタクル14は、転がり軸受1の外輪3に設けられている。非変形状態(図12A図14A参照)での弾性ブレーキ装置6の外周部11と内周部12との間の半径方向距離は、(転がり軸受1の回転軸線16に関して)、レセプタクル14における後壁21と後壁21の反対側の内輪4における外側部分との間の半径方向距離に比べてより大きい。
【0122】
図13A図13B図15A図15B図17(並びに図6)に示すように、接触領域15は、転がり軸受1の回転軸線16に対して角度付きで配置されるか又は傾斜するよう配置されている。接触領域15は、特に、転がり軸受1の回転軸線16に対して傾斜面として又は円錐状に構成されている。接触領域15は、転がり軸受1の自由端から転動要素5方向に向けて連続的にテーパ付けされている。接触領域15は更に、後退部、凹部、突出部、溝などを有することがなく、実質的に滑らかな表面として構成されている。
【0123】
図13A図13B図15A図15B図17に示す転がり軸受1は、内輪4と外輪3との間の軸受内部スペース23に突入する突起22、例えば、ノーズ又はショルダー又は環状ショルダーを備える。突起22は、転動要素5近傍の接触領域15端部に隣接配置されるか、又は転動要素5近傍における接触領域15端部の一部として形成されている。突起22は、好適には、弾性ブレーキ装置の寸法(長さ)が摩耗によって減少したときに、弾性ブレーキ装置6、特にブレーキ部分が接触領域15から離れたり及び/又は転動要素5に接触したりしないよう安全手段として機能する。
【0124】
最後に、図13A図13B図15A図15B図17に示す転がり軸受1は、外輪3に取り付けられたシール要素又はカバー要素24を備え、これにより内輪4と外輪3との間の軸受内部スペース23がシールされている。シール要素24は、特に、転がり軸受1から潤滑剤が漏れないか又はほぼ漏れないこと、及び/又は、転がり軸受1内がしないか又はほぼ汚染しないことを保証するよう構成されている。シール要素又はカバー要素24は、特に剛性を有するため、圧縮ガス流26で移動できないか又はほぼ移動できない。シール要素又はカバー要素24は、特にディスク状に又はカバーディスクとして形成されている。
【0125】
シール要素24は、軸受内部スペース23内において、内輪4に接触することなく外輪3から内輪4方向に向けて延在している。これにより、内輪4及びシール要素24は、ギャップによって互いに分離されている。
【0126】
図18に示す医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース2又はコントラアングルハンドピースは、図11に示すハンドピース2に構造が対応しており、反復を避けるために図11に示すハンドピース2の記載を参照する。
【0127】
図18に示すハンドピース2は、回転部品又は回転可能部分7,8を支持するための転がり軸受1を備え、その転がり軸受1は、上述したように、転がり軸受1に設置されたことによって変形された弾性ブレーキ装置6を備える。他方の転がり軸受36は、弾性ブレーキ装置6を備えない。ハンドピース2内における2個の転がり軸受1,36の位置は、勿論交換可能であるため、転がり軸受1が器具レセプタクル開口35のより近傍に配置され、転がり軸受36が開口35からより離れるよう配置されてもよい。
【0128】
本明細書に記載した実施形態又は図示した実施形態は、特に本発明を具体的に説明するのに供するものである。従って、一実施形態で開示された特徴は、その実施形態に限定されることはなく、他の実施形態における1つ以上の特徴と個別に又は一緒に組み合わせることができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18