【課題を解決するための手段】
【0006】
これら課題の1つ以上は、独立請求項の特徴により解決される。特に有利な実施形態は、従属請求項に記載した通りである。
【0007】
弾性ブレーキ装置、特にその少なくとも1つのブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分は、好適には、圧縮ガス、特に圧縮空気で作動又は変形できるため、ブレーキ装置と転がり軸受及び/又は転がり軸受に接続された部品との間の接触で生じるブレーキ作用(又はブレーキ力)が変化可能である。ブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分とは、弾性ブレーキ装置において、特に、ブレーキ作用を(直接的に)作用させ、及び/又は、少なくとも転がり軸受の少なくとも一部及び/又は転がり軸受に接続された部品に接触し、これによりブレーキ作用を生じさせるセクション又は部分のことである。
【0008】
弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つのブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分は、弾性ブレーキ装置に圧縮ガスが作用していないか又は圧縮ガスが供給されていないか又は圧縮ガスの供給が中断又は終了している場合、第1位置、特にブレーキ位置を占めるよう構成され、その第1位置においては、(転がり軸受の少なくとも一部及び/又は転がり軸受に接続された部品又は回転部分との接触により)ブレーキ作用又はより大きなブレーキ作用が生じる。弾性ブレーキ装置に圧縮ガスが作用するか又は圧縮ガスが供給される場合、弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つのブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分は、第1位置とは異なる第2位置に移動可能、回転可能、旋回可能、又は変位可能であり、その第2位置においては、(転がり軸受の少なくとも一部、及び/又は、転がり軸受に接続された部品又は回転部分との接触が低減されるか又は完全に排除されることにより)ブレーキ要素がブレーキ作用を及ぼさないか又は低減されたブレーキ作用を及ぼす。弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つのブレーキ面又は少なくとも1個のブレーキ要素又は少なくとも1つのブレーキ部分は、特に弾性ブレーキ装置の付勢力によって第2位置から第1位置に自動的に復帰するか、及び/又は、復帰要素、特にばね要素によって第2位置から第1位置に復帰する。
【0009】
弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスは、特に、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースにおける回転部分を作動させる圧縮ガス流の少なくとも部分流を含む。回転部分又は回転可能部分は、例えば、インペラ、タービンホイール、シャフト、中空シャフト、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースの器具保持装置を含む。
【0010】
医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースは、特に、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスをブレーキ装置方向及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受方向に搬送可能及び/又はガイド可能に構成されている。圧縮ガス作動式ハンドピースには、好適には、チャネル、ギャップ、アパーチャ、開口の少なくとも1つが設けられ、これらを介して、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスを弾性ブレーキ装置方向及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受方向に搬送及び/又はガイドすることができる。
【0011】
弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受は、好適には、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが転がり軸受内に流れ及び/又は転がり軸受を通して流れ、これにより特に弾性ブレーキ装置が作動するよう構成されている。特に、外輪と内輪との間のギャップは、(完全に)シールされておらず及び/又はギャップを(完全に)シールするシール要素が設けられていないため、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが転がり軸受内に流れ及び/又は転がり軸受を通して流れることができる。
【0012】
医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピース及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受は、特に、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが弾性ブレーキ装置を通過後及び/又は弾性ブレーキ装置を作動後に、弾性ブレーキ装置及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受から離れるよう搬送可能及び/又はガイド可能に構成されている。圧縮ガス作動式ハンドピースには、チャネル、ギャップ、アパーチャ、開口の少なくとも1つが設けられ、これらを介して、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスを弾性ブレーキ装置及び/又は弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受から離れるよう搬送及び/又はガイドすることができる。
【0013】
転がり軸受及び/又は転がり軸受に設けられた弾性ブレーキ装置は、以下の特徴の少なくとも1つ、好適には複数を有する。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受上又は転がり軸受内、特に転がり軸受の構成要素上に配置されている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受上又は転がり軸受内、特に転がり軸受の構成要素上に取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置の少なくとも一部は、転がり軸受上又は転がり軸受内に移動可能又は変位可能に配置され、及び/又は、転がり軸受の少なくとも一部に対して移動可能又は変位可能に配置されている。
・ブレーキ装置のブレーキ面は、転がり軸受の少なくとも一部に対して移動可能である。
・弾性ブレーキ装置の少なくとも一部、特に弾性ブレーキ装置を転がり軸受に接続するか又は取り付けるための少なくとも接続部分は、転がり軸受の少なくとも一部に対して移動不可能に配置されている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受に取り外し可能に配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受に取り外し不可能に配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受上又は転がり軸受内に形状密着的に配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受上又は転がり軸受内に摩擦係合的に配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、転がり軸受、特に転がり軸受における構成要素のレセプタクル、特にリング状のレセプタクルに取り付けられているか又は配置されている。レセプタクルは、例えば、後退部、凹部、溝、チャネル、又は類似の幾何学的構成を含む。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、外輪の内側に設けられており、この場合に外輪の内側とは、好適には、外輪において、少なくとも1個の転動体が接触する側及び/又は少なくとも1個の転動体のための軌道が設けられた側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、外輪の外側に設けられており、この場合に外輪の外側とは、好適には、外輪において、内側とは反対側を指し、特に少なくとも1個の転動体が接触しない側及び/又は少なくとも1個の転動体のための軌道が設けられていない側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、外輪の端面に設けられており、この場合に外輪の端面とは、好適には、外輪の内側及び外側を接続する側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、内輪の外側に設けられており、この場合に内輪の外側とは、好適には、内輪において、少なくとも1個の転動体が接触する側及び/又は少なくとも1個の転動体のための軌道が設けられた側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、内輪の端面に設けられており、この場合に内輪の端面とは、好適には、内輪の外側を内輪の外側とは反対側の内側に接続する側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、内輪の内側に設けられており、この場合に内輪の内側とは、好適には、内輪において、外側とは反対側を指し、特に少なくとも1個の転動体が接触しない側及び/又は回転部分を指向する側及び/又は回転部分に接触する側を指す。
・転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部にとってガイド部として形成され、及び/又は、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部は、転がり軸受のレセプタクル内で移動可能であり、特にレセプタクルによってガイドされる。
・弾性ブレーキ装置は、形状密着、特にラッチ又は係合により、転がり軸受のレセプタクルに配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置、特に弾性ブレーキ装置を転がり軸受に接続するか又は取り付けるための少なくとも1つの接続部分は、転がり軸受にラッチ又は係合するためのラッチ要素を有する。
・弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つの接続部分は、付加的又は別箇の取り付け要素を必要とすることなくレセプタクルに取り付けることができる。
・弾性ブレーキ装置、特に少なくとも1つの接続部分は、付加的な取り付け要素又は固定要素、例えば、ばねリング、スナップリング、保持要素、ばね要素によってレセプタクルに取り付けることができる。
・付加的な取り付け要素又は固定要素は、弾性ブレーキ装置から取り外し可能な別箇の要素として構成されている。
・付加的な取り付け要素又は固定要素は、弾性ブレーキ装置、特にその構成要素、例えばブレーキ面に取り外し不可能に接続されている。
・付加的な取り付け要素又は固定要素は、特に弾性ブレーキ装置と共に、転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルに保持又は配置することができる。
・付加的な取り付け要素又は固定要素は、形状密着、特にラッチ又は係合により、転がり軸受のレセプタクルに配置されているか又は取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、複数部分で設計又は構成されている。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素、特に互いに取り外し可能又は取り外し不可能に接続された複数の構成要素によって構成されている。
・弾性ブレーキ装置は、異なる材料より成る複数の構成要素、例えば、プラスチックより成る第1構成要素及び金属より成る第2構成要素で構成されている。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素で構成されると共に、ブレーキ要素及び取り付け要素又は固定要素を含む。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素で構成されると共に、ブレーキ要素及び特に金属製の支持要素又は補強要素を含む。支持要素又は補強要素は、好適には、弾性ブレーキ装置内部又はブレーキ要素内部に配置され及び/又はプラスチック又はゴムに完全に包囲されている。金属製の支持要素又は補強要素及びブレーキ要素は、特に、射出成形、鋳造、接着、又は加硫などによって互いに分離不可能に接続されている。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素で構成されると共に、例えば、ブレーキ要素及び支持要素又は補強要素を含む。
・弾性ブレーキ装置は、複数の構成要素で構成されると共に、例えば、ブレーキ要素及びばね要素、特に波形ばね又はばねリングを含む。ばね要素は、特に、ブレーキ要素を第1位置、特にブレーキ位置に付勢するよう形成され、その第1位置においては、ブレーキ要素がブレーキ作用又はより大きなブレーキ作用を及ぼす。弾性ブレーキ装置は、特に、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスにより、ブレーキ要素がばね要素のばね力に抗して第1位置とは異なる第2位置に移動又は変位可能であり、その第2位置においては、ブレーキ要素がブレーキ作用を及ぼさないか又は低減されたブレーキ作用を及ぼす。ばね要素は、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガス流の終了後に第1位置、特にブレーキ位置に移動するよう構成されている。
・ブレーキ要素は、好適には、転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルにおいて、第1位置から第2位置及びその逆に変位可能及び/又は摺動するよう配置されている。ブレーキ要素は、好適には、転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルにおいて、第1位置から第2位置及びその逆に移動するようガイドされる。ブレーキ要素は、好適には、転がり軸受の回転軸線又は中心軸線に実質的に沿って及び/又は平行に、第1位置から第2位置に変位可能又は移動可能である。
・弾性ブレーキ装置のブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、圧縮ガスで変形可能である。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、平坦及び/又はディスク状に形成されている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、リング状に形成されている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、好適には中央部に配置されたアパーチャ又は開口を有する。転がり軸受及び/又は部品、特に回転部品又は回転可能部分、即ちブレーキ作用を生じさせるために接触可能な部分は、好適には、開口内に配置されている。好適には、開口により、弾性ブレーキ装置に内側エッジ又は内面が形成され、ブレーキ作用を生じさせるために転がり軸受の一部及び/又は部品の一部、特に回転部品の一部に接触し、及び/又は、ブレーキ面又はブレーキ部分として機能する。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、プラスチック、例えば、熱可塑性プラスチック又はPTFEなどのフッ素含有プラスチックを含む。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、ゴム、例えば、フッ素含有ゴム又はシリコーンを含む。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分及び/又はブレーキ面は、セラミック材料を含む。
・プラスチック又はゴム又はセラミック材料は、弾性ブレーキ装置のキャリア構成要素上及び/又は弾性ブレーキ装置の接続部分上に設けられ、又は堆積され又は(取り外し可能又は取り外し不可能に)取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置は、特にプラスチック又はゴム製の単一又は一体の構成要素によって構成されている。単一又は一体の構成要素は、特に弾性ブレーキ装置を転がり軸受に接続するか又は取り付けるための接続部分及びブレーキ面又はブレーキ部分を有する。
・弾性ブレーキ装置の接続部分の高さ又は厚さは、弾性ブレーキ装置のブレーキ要素又はブレーキ面又はブレーキ部分の高さ又は厚さよりも大きい。
・弾性ブレーキ装置のブレーキ要素又はブレーキ面又はブレーキ部分は、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスにより、接続部分に対して移動可能である。
・接続部分の少なくとも一部は、転がり軸受における弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルにおいて、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスで実質的に移動不可能に取り付けられている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面は、特に弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが弾性ブレーキ装置に供給されていないときに、(特に、少なくとも1個の転動体及び/又は少なくとも1個の転動体が収容されるケージが配置された)外輪と内輪との間のギャップを完全に覆っている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面は、特に弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが弾性ブレーキ装置に供給されていないときに、弾性ブレーキ装置が設けられ及び/又は取り付けられ及び/又は配置された外輪から、内輪に接触するよう内輪に向けて延在している。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面は、特に弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスが弾性ブレーキ装置に供給されていないときに、弾性ブレーキ装置が設けられ及び/又は取り付けられ及び/又は配置された内輪から、外輪に接触するよう外輪に向けて延在している。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面は、転がり軸受の回転運動を制動するため及び/又は転がり軸受に接続された部品の回転運動を制動するため及び/又はブレーキ作用を生じさせるための少なくとも1つの接触領域に接触する。
・少なくとも1つの接触領域は、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、好適には、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面が外輪に取り付けられるか又は外輪にて摺動可能又は移動可能にガイドされている場合、転がり軸受の内輪に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、内輪の外側に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、内輪の端面に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、好適には、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又はブレーキ面が内輪に取り付けられるか又は内輪において摺動可能又は移動可能にガイドされている場合、転がり軸受の外輪に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、外輪の内側に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、外輪の端面に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースにおいて、特に圧縮ガスによって直接的又は間接的に回転可能な(転がり軸受以外の)部品に設けられている。
・少なくとも1つの接触領域は、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースにおいて、弾性ブレーキ装置を備える転がり軸受によって支持された回転部分に設けられている。回転部分又は回転可能部分は、例えば、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースにおける中空シャフト、器具保持装置の少なくとも一部又はインペラの少なくとも一部を含む。少なくとも1つの接触領域は、表面、特に回転部分の外面を含むか又は回転部分の外面によって形成されている。
・少なくとも1つの接触領域は、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分又は少なくとも1つのブレーキ面との(直接的な)接触が生じてブレーキ作用が発生する単一又は複数の接触面を含む。複数の接触面が設けられる場合、ブレーキ又は摩擦面が有利に増加し、従ってブレーキ作用が増加するか又は制動がより迅速に生じる。
・少なくとも1つの接触面は、直線的又は曲線的に形成されている。
・少なくとも1つの接触面は、転がり軸受の長手方向軸線又は回転軸線と実質的に平行に配置されている。
・少なくとも1つの接触面は、転がり軸受の長手方向軸線又は回転軸線に対して、角度付きで配置され及び/又は傾斜付きで配置され及び/又はオフセットするよう配置され及び/又は円錐状に形成されている。
・少なくとも1つの接触面は、内輪又は外輪に面取り部を含むか又は面取り状に形成されている。
・少なくとも1つの接触領域は、内輪本体が凹部又は後退部を有さない内輪の外側部分によって形成された単一の好適には直線的な接触面を含む。
・少なくとも1つの接触領域は、互いに角度が付けられ又はオフセットされた複数の接触面を含むか又はステップ又は肩部によって形成されている。複数の接触面のそれぞれは、直線的又は曲線的に形成することができる。複数の接触面は、好適には、エッジ又は角度によって互いに接続されるか又は分離されている。
・少なくとも1つの接触領域は、内輪又は外輪、特にその端部における少なくとも1つの後退部又は凹部又は少なくとも1つの溝、肩部又はステップによって形成された複数の接触面を含む。従って、内輪又は外輪は、少なくとも1つの接触領域において壁厚が小さい。
・少なくとも1つの接触領域は、特に内輪と外輪との間のギャップに突入する突出部又は延長部又はノーズを含む。従って、突出部、延長部、又はノーズの領域においては、ギャップの直径又は内輪と外輪との間の距離が低下している。突出部、延長部、又はノーズが設けられる場合、ブレーキ面又は摩擦面に有利な影響を及ぼし、従ってブレーキ作用が増加するか又は制動がより迅速に生じる。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分は、1つ以上のブレーキ面を含む。
・少なくとも1つのブレーキ面は、直線的又は曲線的に形成されている。
・弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分は、互いに角度が付けられ又はオフセットされた複数のブレーキ面を含む。複数のブレーキ面は、例えば、ステップ又は肩部によって形成されている。複数のブレーキ面が設けられる場合、摩擦面を有利に変化又は増加させ、従ってブレーキ作用が増加するか又は制動がより迅速に生じる。
・複数のブレーキ面は、エッジ又はコーナーによって接続されるか又は分離されている。
・複数のブレーキ面は、互いに隣接配置されている。
・少なくとも1つのブレーキ面は、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分のアパーチャ又は開口に隣接配置されている。
・少なくとも1つのブレーキ面は、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素又はブレーキ部分における外面の少なくとも一部を含む。
・少なくとも1つのブレーキ面は、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ要素及び/又はブレーキ部分におけるアパーチャ又は開口によって形成された内面の少なくとも一部を含むか又はその少なくとも一部によって形成されている。
・少なくとも1つのブレーキ面は、ディスク状又はリング状に形成されたブレーキ要素又はブレーキ部分における上側又は下側の少なくとも一部を含むか又はその一部によって形成されている。ディスク状又はリング状に形成されたブレーキ要素又はブレーキ部分の上側及び下側は、(外側及び内側)の側面によって互いに接続され、特に好適には、第2ブレーキ面は、(外側又は内側)の側面の少なくとも一部を含む。
・複数のブレーキ面及び複数の接触面が設けられ、この場合に各ブレーキ面に1つの接触面が割り当てられ及び/又はブレーキ面が(該ブレーキ面に割り当てられた)接触面に接触している。複数のブレーキ面及び複数の接触面が設けられる場合、ブレーキ作用が有利に増加するか又は制動がより迅速に生じる。互いに割り当てられたブレーキ面及び接触面は、好適には、(例えば転がり軸受の長手方向軸線又は回転軸線に対して)同じ方位及び/又は形状を有する。異なる対のブレーキ面及び接触面は、好適には、異なる方位及び/又は形状及び/又は表面又は表面寸法を有する。
・外輪及び内輪は、異なる長さ又は高さを有する。外輪は、好適には、内輪よりも大きな高さを有する。従って、より大きな高さを有する一方の輪は、(高さがより小さい)他方の輪に対して突出する突出部分を有する。
・弾性ブレーキ装置の少なくとも一部及び/又は弾性ブレーキ装置のためのレセプタクルは、突出部分に設けられ及び/又は取り付けられ及び/又は(移動可能、摺動可能、又は変位可能)にガイドされている。この点は、少なくとも1つの接触領域又は少なくとも1つの接触面が、外輪又は内輪の端面及び/又は転がり軸受に接続された部品、特に回転部分に設けられている場合に特に有利である。
・少なくとも1つの接触領域又は少なくとも1つの接触面の少なくとも一部は、突出部分に設けられている。
・単一の転がり軸受、特に単一の転がり軸受の両端に複数、例えば2個の弾性ブレーキ装置が設けられている。これにより、ブレーキ作用が有利に増加するか又は制動がより迅速に生じる。少なくとも1個の転動体は、好適には、複数の弾性ブレーキ装置の間に配置されている。
・転がり軸受は、玉軸受として構成され、特に少なくとも1個の転動体は玉として構成されている。
【0014】
一実施形態によれば、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースは、それぞれ少なくとも1個の弾性ブレーキ装置を有する複数、例えば2個の転がり軸受を備える。複数の転がり軸受は、好適には、同じ回転部品又は回転部分を支持すると共に、その弾性ブレーキ装置は、ブレーキ作用を回転部分に対して特に同時に作用させる。
【0015】
一実施形態によれば、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースのための転がり軸受は、外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に配置された少なくとも1個の転動体と、転がり軸受に設けられると共に、転がり軸受及び/又はその転がり軸受に接続された部品、特に回転部分又は回転可能部分に接触して作用することにより、転がり軸受及び/又はその転がり軸受に接続された部品の回転運動を制動するブレーキ装置とを備え、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ装置の少なくともブレーキ部分が、圧縮ガスで作動可能であることにより、弾性ブレーキ装置と転がり軸受及び/又はその転がり軸受に接続された部品との間の接触で生じるブレーキ作用を変化させることができる。
【0016】
弾性ブレーキ装置は、好適には、中央開口を有すると共にリング状に構成され、外周部、中央開口を画定又は規定する内周部、並びに転がり軸受及び/又は転がり軸受に接続された部品の回転運動を制動するブレーキ部分を有する。特に好適には、外周部又は内周部には、弾性ブレーキ装置を転がり軸受に取り付けるための接続部分が設けられている。中央開口は、好適には、内径を有する。
【0017】
以下においては、転がり軸受、特にそれぞれ少なくとも1個の弾性ブレーキ装置を備える上述した転がり軸受の特に好適な実施形態を説明する。上記の転がり軸受及び/又は弾性ブレーキ装置は、それぞれ、上述した少なくとも1つ以上の特徴を有するか又は有することができる。
【0018】
一実施形態によれば、接続部分を含め、弾性ブレーキ装置全体がエラストマー又はエラストマー材料で構成された転がり軸受が提供される。弾性ブレーキ装置は、好適には、接続部分を含め、単一のエラストマー又はエラストマー材料で構成されている。これにより、弾性ブレーキ装置全体を支持リング又はばね要素などの他の取り付け要素なしに転がり軸受に取り付けることが可能になるため、弾性ブレーキ装置の製造のみならず転がり軸受への弾性ブレーキ装置の取り付けが大幅に簡略化されると共に容易になる。
【0019】
一実施形態によれば、弾性ブレーキ装置全体がエラストマー、特に単一のエラストマー又はエラストマー材料で構成されると共に、少なくとも一部がコーティング材料でコーティングされた転がり軸受が提供される。有利には、コーティング材料により、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部又は全部の機械的抵抗又は耐摩耗性、特にエラストマーの機械的抵抗又は耐摩耗性が高まり、好適には、洗浄時又は滅菌時の抵抗も高まる。
【0020】
一実施形態によれば、弾性ブレーキ装置全体がエラストマー、特に単一のエラストマー又はエラストマー材料で構成された転がり軸受が提供される。この場合、エラストマーのみで構成された接続部分は、外輪又は内輪のレセプタクルに収容される。これにより、転がり軸受、特にレセプタクルに弾性ブレーキ装置を迅速に、容易に、省スペース的に取り付けることが有利に可能である。
【0021】
一実施形態によれば、弾性ブレーキ装置が転がり軸受への設置によって変形されることにより、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部、特に接続部分をブレーキ部分に接続する本体部分及び/又はブレーキ部分が曲げられ、特に少なくとも1個の転動体から離れる転がり軸受が提供される。この実施形態における利点の1つは、転がり軸受に設置される前の弾性ブレーキ装置の形状を極めて単純にできることであり、例えば、ディスク形状及び/又は実質的に平坦にすることができる。従って、ディスク形状及び/又は実質的に平坦なブレーキ装置は、打ち抜き又は射出成形によって安価に製造することができる。
【0022】
設置によって変形された弾性ブレーキ装置の更なる利点は、特に、ブレーキ装置が湾曲又は斜め形状に変形された場合、弾性ブレーキ装置に摩耗が生じたとしても、変形による張力に起因して弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分と接触領域との間の接触が維持され、従って十分なブレーキ作用又はブレーキ力が摩耗にもかかわらず維持されることである。
【0023】
一実施形態によれば、弾性ブレーキ装置のブレーキ部分、特にブレーキ部分又はブレーキ部分上のエッジが、外輪上又は内輪上又は転がり軸受に接続された部品上の接触領域に接触して回転運動が制動される転がり軸受が提供される。この場合、接触領域は、転がり軸受の回転軸線に対して角度付きで配置されるか又は傾斜するよう配置され、又は円錐状に形成されている。角度は、好適には、0°よりも大きく90°よりも小さい。角度は、好適には、3°〜80°、特に5°〜60°とする。この構成の利点はやはり、弾性ブレーキ装置が摩耗した場合、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分と角度付きの接触領域、即ち接続部分のためのレセプタクルに対して半径方向に接近する接触領域との間の接触が維持され、従って十分なブレーキ作用又はブレーキ力が弾性ブレーキ装置の摩耗にもかかわらず維持されることである。傾斜させた接触領域の更なる利点は、製造公差がより大きいことである。
【0024】
一実施形態によれば、転がり軸受、特に上述した転がり軸受の製造方法が提供される。この場合、弾性ブレーキ装置は転がり軸受への設置によって変形するよう、弾性ブレーキ装置を転がり軸受に固定し、これにより弾性ブレーキ装置の少なくとも一部、特に接続部分をブレーキ部分に接続する本体部分及び/又はブレーキ部分が曲げられ、特に少なくとも1個の転動体から離れる。弾性ブレーキ装置は、好適には、完全にアセンブリされると共に、(機能する)転がり軸受に設置され、特に接続部分がレセプタクルに差し込まれる。
【0025】
エラストマー又はエラストマー材料は、好適には、天然又は合成エラストマーを含む。エラストマー又はエラストマー材料は、好適には、フッ素系エラストマー(FKM、FFKM)、フッ素ゴム、ゴム、フッ素含有ゴム、シリコーン、又はフッ素含有シリコーンを含む。
【0026】
特に、接続部分を含めて弾性ブレーキ装置全体は(単一の)エラストマー又はエラストマー材料で構成されているため、弾性ブレーキ装置全体又はその全ての部分は、好適には、弾性変形可能である。特に好適には、弾性ブレーキ装置における異なる部分は、異なる方向に変形することができる。これにより、弾性ブレーキ装置は、付加的な要素又は補助手段を必要とせずに、種々の機能、例えば、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の取り付けやブレーキ作用にとって不可欠な異なる位置間の移動を実現することができる。
【0027】
弾性ブレーキ装置の外面全体は、好適には、コーティング材料でコーティングされている。代替的に、弾性ブレーキ装置において、以下に記載の部分の少なくとも1つ又は複数又は全てがコーティング材料でコーティングされている。即ち、接続部分、少なくとも1つのブレーキ部分、内周部の内側側面、外周部の外側側面、平坦かつディスク状又はリング状に構成された弾性ブレーキ装置の上側及び/又は下側、弾性ブレーキ装置における少なくとも1つのエッジがコーティング材料でコーティングされている。
【0028】
コーティング材料は、好適には、プラスチック、例えば、熱可塑性プラスチック、特にフッ素含有熱可塑性プラスチックを含む。コーティング材料は、例えば、ポリハロオレフィン、特にポリテトラフルオロエチレン(PTEF)を含む。これらプラスチックの利点の1つは、弾性ブレーキ装置のエラストマー基材を特に洗浄時又は滅菌時における条件から保護すると共に、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の設置時及び/又は上述したブレーキ作用時、即ち第1位置と第1位置とは異なる第2位置との間の移動時に、十分に変形可能であることにより、エラストマー基材と共に変形可能なことである。
【0029】
レセプタクルは、外輪上又は内輪上において、リング状、例えばリング状の後退部又は凹部又は肩部又は環状溝として形成されている。レセプタクルは、好適には、外輪の内側に設けられている。代替的に、レセプタクルは、内輪の外側に設けられている。レセプタクルは、好適には、(転がり軸受の回転軸線に対して)実質的に軸線方向、特に転がり軸受の回転軸線に対して実質的に平行に延在する後壁を有する。レセプタクルは、好適には、(転がり軸受の回転軸線に対して)実質的に半径方向に延在する第1側壁及び第2側壁を有する。これら側壁は、特に転がり軸受の回転軸線に対して実質的に直交するよう配置されている。後壁は、好適には、2つの側壁を互いに接続している。側壁は、好適には、互いに実質的に平行であり及び/又は(後壁から測定して)実質的に同じ長さを有する。これにより、有利には、弾性ブレーキ装置がレセプタクル内で確実に保持される。
【0030】
接続部分のためのレセプタクルは、好適には、外輪上又は内輪上に設けられており、弾性ブレーキ装置が転がり軸受に取り付けられる場合、エラストマーで構成された接続部分のみが外輪又は内輪のレセプタクルに保持される。接続部分がレセプタクルに取り付けられるのに、特に、付加的な支持ワッシャ、付加的なばねワッシャ、又は付加的な補強要素はなく、付加的かつ別箇の(機械的)要素は基本的に設けられない。特に、そのような要素は、弾性ブレーキ装置が転がり軸受に取り付けられるのにレセプタクル内又はレセプタクル外の何れにも必要とされない。好適には、ブレーキ装置から取り外し可能な部分及び/又はエラストマーで構成されていない部分が接続部分に含まれるか又は包囲されることはない。これにより、弾性ブレーキ装置及び転がり軸受の製造及び組み立てが有利に簡略化される。
【0031】
エラストマーで構成された接続部分は、好適には、外輪又は内輪のレセプタクルに遊びを有する状態で保持されている。レセプタクルに保持された接続部分の厚さ又は高さは、好適には、レセプタクルの(軸線方向)高さ又はレセプタクルの側壁間の距離よりも小さい。これにより、有利には、ブレーキ装置の設置、設置時の変形、及び/又は、第1位置と第2位置との間における弾性ブレーキ装置の移動が容易になる。
【0032】
代替的に、エラストマーで構成された接続部分は、外輪又は内輪のレセプタクルに遊びを有さない状態でクランプ及び/又は押圧などで保持されることにより、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の特に堅固な保持が保証される。
【0033】
接続部分のレセプタクル内には、好適には、少なくとも1個の保持要素及び/又は回転防止手段、例えば、延長部分、突起部分、又はくびれ部が設けられている。保持要素又は回転防止手段は、好適には、単一部品として、又は内輪又は外輪、特にレセプタクル、例えばレセプタクルの後壁及び/又は側壁と一体的に構成されている。少なくとも1個の保持要素又は回転防止手段は、好適には、レセプタクル又はレセプタクル内部に突入している。この保持要素又は回転防止手段により、ブレーキ位置での回転構成要素、特に転がり軸受又は回転部品による弾性ブレーキ装置の移動、特に回転、又は引き込みが有利に回避され、従ってブレーキ作用が有利に高まる。
【0034】
弾性ブレーキ装置は、好適には、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている。これにより、特に弾性ブレーキ装置が打ち抜き又は射出成形で安価に製造可能である。
【0035】
ディスク状及び/又は実質的に平坦な弾性ブレーキ装置は、好適には、以下の部分の少なくとも1つを含む。即ち、内周部の内側側面、外周部の外側側面、上側、特に該上側の反対側の下側、特に上記側面及び/又は上側又は下側を互いに接続する1つ以上のエッジ、特に接続部分をブレーキ部分に接続する本体部分、特にエッジ、例えば、弾性ブレーキ装置における内周部のエッジ、及び/又は、弾性ブレーキ装置における外周部のエッジ、及び/又は、内側側面及び下側を接続するエッジ、及び/又は、内側側面及び上側を接続するエッジ、及び/又は、外側側面及び下側を接続するエッジ、及び/又は、外側側面及び上側を接続するエッジを含む1つ以上のブレーキ部分を含む。代替的又は付加的に、ブレーキ部分は、弾性ブレーキ装置における内側側面の少なくとも一部、及び/又は、外側側面の少なくとも一部、及び/又は、上側の少なくとも一部、及び/又は、下側の少なくとも一部を含む。
【0036】
弾性ブレーキ装置は、好適には、少なくとも転がり軸受への設置前(変形前)、即ち接続部分がそのためのレセプタクルに差し込まれる前は、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている。弾性ブレーキ装置は、特に好適には、転がり軸受に設置されることで変形され、これにより設置状態においてはディスク状及び/又は実質的に平坦な形状が変化する。
【0037】
設置により、特に(転がり軸受の回転軸線に対して)弾性ブレーキ装置の軸線方向広がり又は高さ広がりが変化する。変形により、弾性ブレーキ装置は、特にテーパ形状及び/又は略円錐台形状を有するか又はそのような形状を帯びる。変形されたブレーキ装置は、特に転がり軸受の自由端方向にテーパ付けされる。変形により、好適には、変形されたブレーキ装置の(狭い)部分が転がり軸受の自由端から突出する。
【0038】
転がり軸受への設置により、特に、内周部及び外周部の相対変位、及び/又は、弾性ブレーキ装置における内側側面及び外側側面の相対変位、及び/又は、接続部分及びブレーキ部分の相対変位が生じる。上述した変形は、好適には、これら相対変位の少なくとも1つを含む。相対変位は、(転がり軸受の回転軸線に関して)特に軸線方向に生じる。
【0039】
代替的に、弾性ブレーキ装置は、好適には、転がり軸受への設置後、即ち接続部分がそのためのレセプタクルに差し込まれた後も、ディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている。これにより、有利には、(回転軸線に関して)軸線方向広がりを僅かとすることができる。
【0040】
外輪上又は内輪上又は転がり軸受に接続された部品上には、好適には、接触領域が設けられており、その接触領域には、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分が接触することによって回転運動が制動される。転がり軸受に接続された部品は、好適には、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースの回転部分、例えば、インペラ、タービンホイール、シャフト、中空シャフト、又は器具保持装置を含む。接触面は、好適には、外輪又は内輪又は転がり軸受に接続された部品における表面の少なくとも一部を含む。
【0041】
接触領域は、好適には、内輪上又は外輪上、特に外輪の内側又は内輪の外側に円錐状に形成されている。接触領域は、好適には、転がり軸受の回転軸線に対して傾斜するよう又は角度付きで配置されている。接触領域は、好適には、転がり軸受の回転軸線に対して傾斜面として形成されている。接触領域は、好適には、軸受内部に球状又は凸状に突出している。接触領域は、好適には、特に角度付き配置、傾斜配置、或いは斜めの配置、又は円錐形状により、接続部分のためのレセプタクルに(転がり軸受の回転軸線に関して)半径方向に接近するよう構成されている。接触領域をこのように配置することにより、弾性ブレーキ装置が摩耗した場合、好適には変形された弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分と角度付きの接触領域、即ち接続部分のためのレセプタクルに半径方向に接近する接触領域との間の接触が維持され、従って十分なブレーキ作用又はブレーキ力が弾性ブレーキ装置の摩耗にもかかわらず有利に維持される。
【0042】
接触領域は、好適には、特に転がり軸受の自由端から転がり軸受における転動要素方向に、連続的にテーパ付けされている。軸受内部のクリアランスは、好適には、特に転がり軸受の自由端から転がり軸受における転動要素方向に、連続的に減少している。接触領域は、特に後退部、突出部、凹部、溝などを有さない。これにより、有利には、弾性ブレーキ装置が摩耗したとしても、弾性ブレーキ装置と接触領域との間に連続的な接触が維持されることが付加的に保証される。
【0043】
転がり軸受、特に内輪又は外輪は、好適には、その自由端に面取り部を有する。接触領域は、好適には、面取り部と少なくとも1個の転動要素のための軌道との間に延在し、及び/又は、接触領域は面取り部に隣接している。従って、特に面取り部は接触領域の一部ではない。ブレーキ部分は、好適には、面取り部から半径方向及び/又は軸線方向に離間しており、及び/又は、面取り部を覆うことはない。
【0044】
転がり軸受は、好適には、内輪と外輪との間の軸受内部に突入する突起、例えば、ノーズ又はショルダー又は環状ショルダーを備える。突起は、好適には、転動体近傍の接触領域端部に隣接配置されるか、又は転動体近傍における接触領域端部の一部として形成されている。突起は、好適には、弾性ブレーキ装置の寸法(長さ)が摩耗によって減少したときに、弾性ブレーキ装置、特にブレーキ部分が接触領域から離れたり及び/又は転動要素に接触したりしないよう安全手段として機能する。
【0045】
特に傾斜するよう又は円錐状に形成された接触領域は、好適には、内輪又は外輪の自由端に延在している。接触領域は、特に好適には、少なくとも1個の転動体近傍まで延在している。このように、接触領域は、有利には、(回転軸線に関して)長い又は大きな軸線方向広がりを含み、これにより、弾性ブレーキ装置の摩耗にもかかわらず、やはり長期間に亘って接触領域との接触が確実に維持されると共に十分なブレーキ作用が確実に維持される。
【0046】
ブレーキ装置は、好適には、転がり軸受への設置によって変形されるため、弾性ブレーキ装置の少なくとも一部、特に接続部分をブレーキ部分に接続する本体部分及び/又はブレーキ部分が少なくとも1個の転動体から離れ、及び/又は、転がり軸受の自由端方向に変形又は曲げられ、及び/又は、転がり軸受の自由端を指向する。設置による変形は、好適には、(弾性ブレーキ装置の摩耗によって生じ得る僅かな可逆性は別として)弾性ブレーキ装置が転がり軸受に設置されている限りは実質的に不可逆的である。設置による変形は、特に圧縮ガスが転がり軸受に供給されない場合も依然として維持される。即ち、設置による変形は、特に弾性ブレーキ装置が第1位置又はブレーキ位置を占める場合も維持される。
【0047】
弾性ブレーキ装置は、好適には、設置により、(ディスク形状及び/又は実質的に平坦な初期形状に対して)少なくとも5°又は少なくとも10°、好適には5°〜75°、特に10°〜50°だけ変形する。
【0048】
弾性ブレーキ装置の本体部分は、好適には、転がり軸受への設置により、変形され及び/又は曲げられ及び/又は少なくとも1個の転動要素から離れるよう曲げられ及び/又は転がり軸受の自由端方向に変形又は曲げられる。本体部分及び/又はブレーキ部分の少なくとも一部は、好適には、転がり軸受への設置時に、転がり軸受における少なくとも1個の転動体及び/又は回転軸線に対して直交する中央面から離れるよう移動する。
【0049】
本体部分及び/又はブレーキ部分は、好適には、圧縮ガスが供給されると、即ち第2位置を占めると、移動され及び/又は曲げられ及び/又は付加的に変形され及び/又は転動要素から離れるよう移動され及び/又は転動要素から離れるよう曲げられ及び/又は転動要素から離れるよう付加的に変形される。特に、転がり軸受への設置によって生じる変形は、圧縮ガスの供給で更に増加する。従って、設置によって生じる変形は、第1位置から第2位置へのブレーキ部分の移行を有利に助長する。
【0050】
上述したように、変形は、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の設置によってのみ生じる。弾性ブレーキ装置は、好適には、転がり軸受への設置前においてはディスク状及び/又は実質的に平坦に構成されている。特に、弾性ブレーキ装置の変形は、ブレーキ部分、好適にはブレーキ部分のエッジが外輪上又は内輪上又は転がり軸受に接続された部品上の接触領域に接触することで生じる。このことは、変形及び接触領域とブレーキ部分の接触が一回の作業で行われるため、有利には特にアセンブリを容易にする。
【0051】
接続部分のためのレセプタクルは、好適には、外輪上に設けられている。この場合、(弾性ブレーキ装置、特にディスク状及び/又は実質的に平坦な弾性ブレーキ装置の中心に関して)非変形状態(非アセンブリ状態)での弾性ブレーキ装置における外周部と内周部との間の半径方向距離は、(転がり軸受の回転軸線に関して)接続部分のためのレセプタクルの後壁と後壁の(半径方向)反対側の内輪における外側部分との間の半径方向距離よりも大きい。この外側部分は、好適には、接触領域の一部を構成している。これにより、転がり軸受への設置時に弾性ブレーキ装置を容易に変形させることができる。
【0052】
代替的に、接続部分のためのレセプタクルは、好適には、内輪上に設けられている。この場合、(弾性ブレーキ装置、特にディスク状及び/又は実質的に平坦な弾性ブレーキ装置の中心に関して)非変形状態(非アセンブリ状態)での弾性ブレーキ装置における外周部と内周部との間の半径方向距離は、(転がり軸受の回転軸線に関して)接続部分のためのレセプタクルの後壁と後壁の(半径方向)反対側の外輪における内側部分との間の半径方向距離よりも大きい。この内側部分は、好適には、接触領域の一部を構成している。これにより、転がり軸受への設置時に弾性ブレーキ装置を容易に変形させることができる。
【0053】
変形により、好適には、曲げ部、特に連続的な曲げ部及び/又はエッジを有さない曲げ部、又は半径部が弾性ブレーキ装置、特に本体部分及び/又はブレーキ部分に形成される。曲げ部は、好適には、接続部分に隣接するよう及び/又は接続部分の近傍に配置されることにより、有利には、緩やかな曲げ部又は材料に負担をかけない曲げ部が得られる。曲げ部は、好適には、連続的ではあるが、特に曲げ部の広がりに沿って異なる勾配を有する。
【0054】
ブレーキ部分は、好適には、弾性ブレーキ装置の内周部又は内周部を形成する内側側面にエッジを含み、そのエッジは、特に設置時に生じる変形により、接触領域に接触するか又は接触している。ブレーキ部分は更に、好適には、弾性ブレーキ装置における内側側面の一部及び/又は下側の一部、即ち転動要素を指向すると共に、エッジに隣接する一部を含む。これにより、有利には、十分なブレーキ作用を発揮すると共に、圧縮ガスで第2位置に移動可能、特に接触領域から持ち上げられるか又は解放されるブレーキ部分が形成されている。
【0055】
好適には、ブレーキ部分、及び/又は、ブレーキ部分における少なくとも1つのブレーキ面、及び/又は、少なくとも内側側面の一部、特にブレーキ部分の一部、及び/又は、下側の一部、特にブレーキ部分の一部と、回転運動を制動するためにブレーキ部分が接触する接触領域とは、互いに角度付きで配置されている。この角度付きの構成は、例えば、上述した接触領域の傾斜配置又は円錐形状、及び/又は、転がり軸受への弾性ブレーキ装置の設置による変形によって得られる。上述したように、角度付きの構成により、有利には、弾性ブレーキ装置と接触領域との間の確実な接触が得られ、従って摩耗にもかかわらず実質的に一定のブレーキ作用が保証される。
【0056】
弾性ブレーキ装置は、好適には、一体的に構成されるか又は単一の構成要素を含むか又は単一の構成要素によって構成されている。一体的な弾性ブレーキ装置は、好適には、上述したようにエラストマーで構成されている。一体的な弾性ブレーキ装置は、有利には、(打ち抜き又は射出成形により)製造を容易にし、及び/又は、転がり軸受上の取り付け又は転がり軸受内部への取り付けを容易にする。
【0057】
接続部分は、好適には、(転がり軸受の回転軸線に関して)軸線方向高さ又は材料厚さが、弾性ブレーキ装置のブレーキ部分及び/又は本体部分の(軸線方向)高さ又は材料厚さよりも大きく、また本体部分は、接続部分をブレーキ部分に接続している。これにより、有利には、接続部分をレセプタクルに特に信頼性高く取り付けることができる。
【0058】
代替的に、接続部分は、好適には、(転がり軸受の回転軸線に関して)軸線方向高さ又は材料厚さが、弾性ブレーキ装置のブレーキ部分及び/又は本体部分の(軸線方向)高さ又は材料厚さと実質的に等しく、また本体部分は、接続部分をブレーキ部分に接続している。これにより、有利には、特に高さの小さなブレーキ装置が得られるため、転がり軸受の高さ全体をより小さくすることができる。
【0059】
転がり軸受は、好適には、内輪と外輪との間の軸受内部スペースをシールするためのシール要素又はカバー要素を備え、少なくとも1個の転動体は、(転がり軸受の縦断面において)シール要素と弾性ブレーキ装置との間に配置されている。シール要素は、特に、転がり軸受から潤滑剤が漏れないか又はほぼ漏れないこと、及び/又は、転がり軸受内が汚染しないか又はほぼ汚染しないことを保証するために設けられている。シール要素は、特に剛性を有するため、弾性ブレーキ装置を作動させる圧縮ガスで移動できないか又はほぼ移動できない。シール要素又はカバー要素は、特にディスク状に又はカバーディスクとして形成されている。
【0060】
シール要素は、好適には、内輪又は外輪に取り付けられると共に、接触せずに他方の輪(内輪又は外輪)方向に延在している。シール要素は、好適には、外輪又は内輪の間の軸受内部スペース内で延在している。シール要素は、好適には、ディスク状及び/又は実質的に平坦に形成されている。
【0061】
シール要素又はカバー要素は、好適には、付加的な取り付け要素又は固定要素、例えば、ばねリング、スナップリング、保持要素、ばね要素により、外輪又は内輪のレセプタクルに固定されている。シール要素は、好適には、プラスチックで形成されている。
【0062】
代替的に、シール要素又はカバー要素は、内輪又は外輪と一体的に形成されている。シール要素は、好適には、金属で形成されている。
【0063】
シール要素又はカバー要素は、好適には、転がり軸受の(自由)端部又はその近傍に配置されている。シール要素は、特に、転がり軸受において、弾性ブレーキ装置が配置された端部とは反対側の端部に配置されている。
【0064】
少なくとも1個の転動要素は、好適には、金属材料又はセラミック材料を含む。
【0065】
上述した弾性ブレーキ装置を備える少なくとも1個の転がり軸受は、深溝玉軸受又は肩付き玉軸受として構成されている。
【0066】
一実施形態によれば、医療用又は歯科用の圧縮ガス作動式ハンドピースが提供され、圧縮ガスで回転可能な回転部品又は回転可能部分と、回転部品又は回転可能部分を回転支持するための上述した弾性ブレーキ装置を有する少なくとも1個の転がり軸受とを備える。
【0067】
ハンドピースは、特にその端部の結合装置を介して圧縮ガス源に接続することができる。ハンドピースは、好適には、ハンドピースに接続可能な器具を保持するための器具保持装置を有するヘッド部と、ヘッド部に接続された(片手で保持可能な)ハンドル部分とを備える。ハンドピース、特にヘッド部又はその近傍には、照明装置、好適には、少なくとも1つの発光ダイオードを設けることもできる。照明装置は、治療部位上又は治療部位に向けて電磁放射線を発するよう構成されている。
【0068】
ハンドピースは、圧縮ガスで駆動可能、特に回転可能な駆動装置、例えばインペラを備える。駆動装置は、特に、ハンドピースに接続可能な器具を保持するための取り外し可能な器具保持装置に作動接続されている。器具保持装置は、例えば、1本以上の中空シャフトを含む。上述した回転部品又は回転可能部分は、例えば駆動装置、特にインペラ及び/又は器具保持装置を含む。器具保持装置から器具を解放するために、特にヘッド部に配置された作動要素、例えば押しボタンを有する器具解放装置が設けられている。
【0069】
ハンドピースは更に、好適には細長で中空又は管状の外側スリーブを備えるため、その外側スリーブによって内部スペースが形成されている。細長の外側スリーブは、好適には、その中心軸線に沿って延在している。外側スリーブは、好適には、互いに角度付きで配置された少なくとも2つの部分を有するよう曲げられている。外側スリーブ、特にハンドル部分、又は外側スリーブの内部には、照明装置に電気エネルギーを供給するための1つ以上の流体ライン及び/又は導電体が設けられている。照明装置は、好適には、外側スリーブの開口内又は開口に設けられている。ハンドピース、特にヘッド部における1つ以上の更なる開口を通して、好適には、冷却流体及び/又はすすぎ流体が治療部位方向に吐出可能である。
【0070】
特に、ヘッド部を包囲する外側スリーブ部分には、駆動装置、器具保持装置、及び/又は、回転部分が、上述した弾性ブレーキ装置を備える少なくとも1個の転がり軸受によって支持されている。少なくとも1個の転がり軸受又は複数の転がり軸受は、Оリング及び/又はばね要素によって支持されているか又は張力をかけられている。
【0071】
インペラ、器具保持装置、並びに弾性ブレーキ装置を備える少なくとも1個の転がり軸受は、好適には、軸受ユニットを構成している。この軸受ユニットは、特に別箇の構造ユニット、例えばカートリッジとして構成され、特にヘッド部又はヘッド部のキャビティに交換可能に収容されている。
【0072】
以下、本発明を、添付図面を参照しつつ好適な実施形態に基づいて説明する。