(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
長年、健康に対する微粒子の影響が取り扱われる科学シーンにおいては、粒子の総質量(mg/m
3又はmg/km単位で表される)又は粒子の数n(n/m
3又はn/km)のパラメータのうちのどちらが、健康障害の観点からより重要なパラメータであるかという議論がなされてきた。この際には、質量が非常に小さい(m〜r
3)ことに起因して全質量のうち非常にわずかな割合しか有していない小さな煤粒子が、特に危険であることに注意すべきである。これは、煤粒子のサイズが小さいことから生じる人体への「浸透の深さ」が大きいせいである。従って、適切な(性能及び価格から許容可能な)解決策が市場で利用可能となり次第、オンボード診断に関する法律の制定によって、測定技術的に粒子数も検出するための手段が定められるであろうと予測され得る。
【0004】
レーザ誘起白熱法(LII)の原理は、(空気中の)ナノ粒子を検出するために既に以前から公知であり、例えば、実験室の「ガラス状」機関での燃焼プロセスの特性評価のために、又は、実験室環境での排気ガスの特性評価のためにも、集中的に使用されている。煤粒子は、高出力レーザのナノ秒パルスによって摂氏数千度に加熱され、これによって温度放射を有意に放出する。煤粒子のこの熱的な誘起による発光が、光検出器によって測定される。この方法においては、数10nmのサイズまでの直径を有する非常に小さな煤粒子を検出することが可能である。このレーザ誘起白熱法は、請求項1の上位概念を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の開示
本発明は、煤粒子センサが、レーザモジュールのレーザのビーム経路上に配置された光学素子を有し、光学素子が、レーザモジュールから発せられたレーザ光を1つのスポットに集束させるように構成されており、検出器が、スポットから発せられた放射を検出するように、煤粒子センサ内に配置されているという点で、上記の高出力ナノ秒レーザによって動作する従来技術とは異なっている。放射は、温度放射であり得る、又は、スポット内で進行する煤の酸化のような化学反応によって放たれる放射であり得る。
【0006】
本発明に係るセンサは、既知のセンサとは対照的に、自動車におけるオンボード診断センサとして使用するためにも適している。本発明に係る煤粒子センサは、レーザ誘起白熱法の原理も利用する。
【0007】
1つの好ましい実施形態は、レーザモジュールが、平行なレーザ光を生成するように構成されており、光学素子が、レーザモジュールから発せられた平行なレーザ光をスポットに集束させるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
1つの好ましい実施形態においては、レーザは、例えばダイオードレーザのような有利なCWレーザである。従来技術においては、LII実験のために高価格のQスイッチ固体レーザが使用される。この場合、CWレーザの一般的に比較的低い出力は、レーザ光の強力な集束によって補償される。
【0009】
CWレーザのレーザ光は、光学素子(例えばレンズ)を介して1つの非常に小さなスポットに集束される。レーザを変調することも十分に可能であるが、好ましくはCWレーザが使用される。このことにより、低コストの半導体レーザ素子(レーザダイオード)を使用することが可能となり、これにより、完全なセンサユニットが安価になり、制御及び評価が大幅に簡単になる。スポットの寸法が非常に小さい(例えば数μm)ことにより、スポット内には常に多くても1つの煤粒子しか存在せず、この多くても1つの煤粒子のみから、測定信号が生じるということを保証することができる。
【0010】
これによって、単一粒子の測定が可能となり、この単一粒子の測定によって、煤粒子のサイズのような煤粒子に関する情報の抽出が可能となる。このことは、煤粒子を測定するための他の測定方法に比較して明らかな利点を奏する。本発明は、有利には、高速な測定速度(1回の測定当たり数分と比較して、少なくとも1回の測定当たり数秒になる)も可能にすると共に、粒子数を測定することも可能にする。従って、本発明は、放出された煤粒子の質量濃度(mg/m
3又はmg/km)と、数濃度(煤粒子/m
3又は煤粒子/km)との両方の特定を可能にする。
【0011】
これにより、オットー機関を用いて駆動される自動車を使用し、オットー機関において使用されているガソリン粒子フィルタを監視し、オットー機関の煤粒子の排出量を検出することも可能になる。正に、ガソリンによって駆動されるオットー機関の場合には、車両の始動後すぐに測定可能となることが重要である。なぜなら、煤粒子の大部分は、オットー機関においてコールドスタート時に形成されるからである。さらに、オットー機関の場合には、煤粒子が微細であること、即ち、煤粒子のサイズが小さいこと(質量が小さく、数が多い)に起因して、煤粒子数の測定能力も特に重要である。現在のところ市場で利用可能な自動車センサ(オンボード)は、煤粒子数を確実に測定することができないので、本発明に係る煤粒子センサのこの煤粒子数の測定能力は、特に重要かつ有利である。
【0012】
ガソリンによって駆動されるオットー機関での使用を越えて、本発明に係る煤粒子センサを、あらゆる燃焼プロセスにおいて使用することが可能である。好ましい使用分野は、乗用車及びトラックでの、並びに、建設機械のオフロード領域での、ディーゼル粒子フィルタのオンボード監視時における煤粒子測定及び数濃度の検出や、例えば、室内空気の品質の監視時、又は、私有若しくは工場の焼却炉の排出の監視時における、粒子状物質を測定するためのセンサとして等である。本発明に係る煤粒子センサは、レーザ誘起白熱法の原理に基づいている。
【0013】
1つの好ましい実施形態は、レーザが、半導体レーザ素子、特にレーザダイオードであることを特徴とする。
【0014】
検出器が、少なくとも1つのフォトダイオードを有することも好ましい。フォトダイオードは、好ましくは、近赤外光及び可視光に対して感度を有するフォトダイオードである。
【0015】
さらに、煤粒子センサが、ビームスプリッタを有し、ビームスプリッタが、レーザモジュールから入射したレーザ光の少なくとも一部を、光学素子に向けるように、かつ、スポットから入射した温度放射の少なくとも一部を、検出器に向けるように、好ましくは平行なレーザ光のビーム経路上に配置されていることが好ましい。
【0016】
さらなる好ましい実施形態は、ビームスプリッタが、偏光ビームスプリッタであり、ビームスプリッタが、入射してきた所定の偏光方向を有するレーザ光に対して最大の透過性を有するように方向決めされていることを特徴とする。
【0017】
煤粒子センサが、光学フィルタを有し、光学フィルタが、ビームスプリッタと検出器との間のビーム経路上に配置されており、スポットから発せられるLII光に対する透過性よりも、レーザ光に対する透過性の方が低くなっていることも好ましい。
【0018】
さらに、レーザが、500nm未満の波長、特に405nm、450nm又は465nmの波長を有するレーザ光を放出するように構成されており、光学フィルタが、500nm未満の波長を有する光を減衰させるように又はそれどころか遮断するように構成されていることが好ましい。レーザ波長付近の範囲だけを透過させないバンドパスフィルタを使用することも可能である。
【0019】
さらなる好ましい実施形態は、煤粒子センサが、測定ガスに曝されるように構成された第1の部分と、煤粒子センサの光学部品を含む、測定ガスに曝されない第2の部分とを有し、両方の部分が、測定ガスに対して非透過性である分離壁を介して分離されていることを特徴とする。
【0020】
レーザ光のビーム経路上で、分離壁に窓が取り付けられており、窓が、レーザ光と、スポットから発せられたLII光との両方に対して透過性を有することも好ましい。
【0021】
さらに、煤粒子センサが、外側保護管及び内側保護管からなる配列を有し、外側保護管及び内側保護管が、両方とも円筒形状を有し、外側保護管と内側保護管とが、同軸上に配置されており、円筒形状の軸線が、レーザ光の入射方向に対して平行に方向決めされており、スポットが、内側保護管の内部に位置しており、外側保護管の、レーザの方を向いた端部が、内側保護管を越えて突出しており、内側保護管の、反対側の端部が、外側保護管を越えて突出していることが好ましい。
【0022】
さらなる好ましい実施形態は、煤粒子センサが、シェーカーモジュールを有し、シェーカーモジュールが、レーザモジュールに機械的に堅固に結合された振動する可動の要素を有し、これによって、シェーカーモジュールの可動の部分の振動が、レーザモジュールに伝達されることを特徴とする。
【0023】
シェーカーモジュールが、可動の要素を有する圧電アクチュエータを有する、又は、シェーカーモジュールが、可動の要素を有する電磁アクチュエータを有する、又は、可動の要素を有する、磁歪によって動作するアクチュエータを有することも好ましい。
【0024】
さらに、煤粒子センサが、煤粒子センサにおいてスポットの相異なる両側に配置された一対の電極を有することが好ましい。
【0025】
煤粒子センサが、内側保護管の内部に配置された一対の音波励振器を有することも好ましい。
【0026】
さらに、音波励振器が、電気トランスデューサであることが好ましい。電気トランスデューサは、圧電若しくは磁歪に基づいて動作し、又は、電気的又は電磁的に操作され、定在超音波を生成する。
【0027】
さらなる利点は、従属請求項、明細書及び添付の図面から明らかになる。
【0028】
上述した特徴及び後述する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ記載された組合せだけでなく、他の組合せでも又は単独でも、使用することが可能であることは自明である。
【0029】
本発明の実施例を図面に示し、以下の記載においてより詳細に説明する。それぞれ異なる図面における同一の参照符号は、それぞれ同等の要素を示す、又は、少なくとも機能的に比較可能な要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、レーザ誘起白熱法(LII)に基づく測定原理を示す。高強度のレーザ光10が、煤粒子12に衝突する。レーザ光10の強度は、煤粒子12によって吸収されるレーザ光10のエネルギが、煤粒子12を摂氏数千度に加熱するほどに高くなっている。加熱の結果として、煤粒子12は、以下ではLII光とも呼ばれる温度放射の形態の放射14を、実質的に優先方向なしに自発的に有意に放出する。従って、温度放射の形態で放出される放射14の一部は、入射レーザ光10の方向とは反対の方向にも放出される。
【0032】
図2は、本発明に係る煤粒子センサ16の1つの実施例の基本構造を概略的に示す。ここでは、煤粒子センサ16は、CWレーザモジュール18(CW:連続波)を有し、このCWレーザモジュール18の、好ましくは平行なレーザ光10は、CWレーザモジュール18のビーム経路上に配置された少なくとも1つの光学素子20によって、非常に小さなスポット22に集束される。光学素子20は、好ましくは第1のレンズ24である。レーザ光10の強度は、スポット22の体積内でのみ、LIIのために必要な高い値に到達する。本発明は、CWレーザの使用に限定されているわけではない。パルス駆動型のレーザを使用することも考えられる。
【0033】
スポット22の寸法は、数μmの範囲であり、特に最大でも200μmの範囲であり、従って、スポット22を横断する煤粒子12は、レーザ誘起白熱によってであれ、又は、化学反応(特に酸化)によってであれ、励起されて評価可能な放射出力を放出する。結果として、スポット22内には常に多くても1つの煤粒子12しか存在せず、この多くても1つの煤粒子12のみから、煤粒子センサ16の瞬間的な測定信号が生じるということを前提にすることができる。測定信号は、検出器26によって生成され、この検出器26は、スポット22を飛行通過する煤粒子12から発せられる放射14、特に温度放射を検出するように、煤粒子センサ16内に配置されている。このために検出器26は、好ましくは少なくとも1つのフォトダイオード26.1を有する。これによって、単一粒子の測定が可能となり、この単一粒子の測定によって、サイズ及び速度のような煤粒子12に関する情報の抽出が可能となる。
【0034】
これによって、排気ガス速度を特定することが可能となり、そして、粒径スペクトルの計算が可能となる。第1のパラメータは、煤粒子12の数濃度を計算するために重要なものである。第2のパラメータと組み合わせて、質量濃度を計算することも可能である。このことは、煤粒子を測定するための他の測定方法に比較して明らかな利点を奏する。
【0035】
レーザモジュール18のレーザを変調すること、又は、スイッチオン及びスイッチオフすることも十分に可能である(デューティサイクル<100%)。しかしながら、レーザモジュール18のレーザをCWレーザとすることが好ましい。このことにより、低コストの半導体レーザ素子(レーザダイオード)を使用することが可能となり、これにより、完全な煤粒子センサが安価になり、レーザモジュール18の制御と、測定信号の評価とが大幅に簡単になる。しかしながら、パルスレーザの使用が排除されているわけではない。
【0036】
図3は、燃焼プロセスの排気ガス中の煤粒子センサとして使用するために適した、本発明に係る煤粒子センサ16の有利な実施例を示す。
【0037】
煤粒子センサ16は、外側保護管28及び内側保護管30からなる配列を有する。2つの保護管28,30は、好ましくは一般的な円筒形状又は角柱形状を有する。円筒形状の底面は、好ましくは、円形、楕円形又は多角形である。円筒同士は、好ましくは同軸上に配置されており、円筒の軸線は、排気ガス32の流れを横断する方向に方向決めされている。内側保護管30は、軸線方向に外側保護管28を越えて、流れている排気ガス32内に突出している。2つの保護管28,30の、流れている排気ガスとは逆の方向を向いた端部においては、外側保護管28が、内側保護管30を越えて突出している。外側保護管28の内法幅は、好ましくは、2つの保護管28,30の間に第1の流れ断面が形成されるように、内側保護管30の外径よりも大きくなっている。内側保護管30の内法幅は、第2の流れ断面を形成している。
【0038】
上記の幾何形状によって結果的に、排気ガス32は、第1の流れ断面を介して2つの保護管28,30の配列に流入し、その後、保護管28,30の、排気ガス32とは逆の方向を向いた端部において方向を転換し、内側保護管30に流入し、そこから、通流する排気ガス32によって吸い出されることとなる。この際、内側保護管30内に層流が形成される。保護管28,30のこの配列は、排気管上又は排気管内で、排気ガス流を横断するように煤粒子センサ16に取り付けられる。
【0039】
煤粒子センサ16は、さらに、好ましくは平行なレーザ光10を生成するレーザモジュール18を有する。好ましくは平行なレーザ光10のビーム経路上に、ビームスプリッタ34が配置されている。レーザ光10のうちの偏向されずにビームスプリッタ34を通過する部分は、光学素子20によって、内側保護管30の内部の非常に小さなスポット22に集束される。このスポット22においては、光強度が、排気ガス32と共に搬送される煤粒子12を摂氏数千度に加熱するために十分に高いので、加熱された煤粒子12が、温度放射の形態の放射14を有意に放出する。この放射14は、例えば近赤外及び可視スペクトル範囲にあるが、本発明は、このスペクトル範囲からの放射14に限定されているわけではない。放射14又はLII光の、温度放射の形態で無指向的に放出されたこの部分は、光学素子20によって検出され、ビームスプリッタ34を介して検出器26へと向けられる。この構造は、排気ガス32への光学的なアクセスが1つだけしか必要とされないという特に重要な利点を有する。なぜなら、スポット22を生成するためと、煤粒子12から発せられた放射14を検出するためとに、同一の1つの光学系、特に同一の1つの光学素子20が使用されるからである。排気ガス32は、測定ガスの一例である。測定ガスは、他のガス又はガス混合物、例えば室内空気でもよい。
【0040】
図3の対象の場合には、レーザモジュール18は、レーザダイオード36と、レーザダイオード36から発せられたレーザ光10を好ましくは平行に方向決めする第2のレンズ38とを有する。レーザダイオード36を使用することにより、レーザ光10を生成するための特に低コストで簡単に取り扱い可能な手段がもたらされる。好ましくは平行なレーザ光10は、光学素子20によってスポット22に集束される。
【0041】
光学式の煤粒子センサ16は、好ましくは、排気ガスに曝される第1の部分16.1と、煤粒子センサ16の光学部品を含む、排気ガスに曝されない第2の部分16.2とを有する。これら両方の部分は、煤粒子センサの保護管28,30と、光学素子との間に延在する分離壁16.3によって分離されている。壁16.3は、脆弱な光学素子を、高温で化学浸食性の「汚れた」排気ガス32から隔離するために使用される。レーザ光10のビーム経路上で、分離壁32に保護窓40が取り付けられており、レーザ光10は、保護窓40を貫通して排気ガス32に入射し、スポット22から発せられた放射14を介して光学素子20に入射し、そして、光学素子20からビームスプリッタ34を介して検出器26に入射することができる。
【0042】
ここに図示された実施例に代えて、スポット22の生成と、スポット内の煤粒子から発せられた放射14の検出とを、それぞれ別個の光ビーム経路を介して実施することもできる。
【0043】
ここで単に実施例として示されたものとは異なるレンズの組合せによって、スポット22を生成することも考えられる。さらに、煤粒子センサ16を、ここで実施例として示されたレーザダイオード36とは異なるレーザ光源を用いて実現することもできる。
【0044】
図4は、
図3の主題に基づくさらなる実施例を示す。
図4の煤粒子センサ16は、ビームスプリッタ34と検出器26との間のビーム経路上に追加的なフィルタ42が配置されているという点で、
図3の煤粒子センサ16とは異なっている。フィルタ42は、スポット22に煤粒子12が存在する場合にスポット22から発せられた放射14に対する透過性よりも、レーザ光10に対する透過性の方が低くなっていることを特徴とする。
【0045】
この実施例は、検出器26に入射する光の信号対雑音比を格段に改善する。なぜなら、この実施例は、煤粒子センサ16の光学部品でのレーザ光10の後方反射に起因して検出器26に入射し得るレーザ光10の量を、大幅に低減するからである。そのようなレーザ光は、妨害的な背景検出信号を生成するおそれがあり、この妨害的な背景検出信号は、例えばスポット22内の煤粒子の温度放射の形態で発せられる放射14の検出を困難にするおそれがある。フィルタ42によって、煤粒子12から例えば温度放射の形態で放出される放射14のパルスに対する妨害的な背景が低減される。フィルタ42を有する実施例は、特別に、レーザ光源(例えばレーザダイオード)の帯域幅が狭いことを利用して、正にこの狭い帯域幅を、光検出器26の上流でフィルタリングする。簡単なエッジフィルタを使用することも考えられる。これによって信号対雑音比が非常に大幅に改善される。
【0046】
煤粒子センサ16が燃焼プロセスの排気系統内に取り付けられている場合には、排気系統内に外部光/周囲光がほぼ完全に存在しないことに関連して、フィルタ42によって励起光(レーザ光)をフィルタリングすることにより、特に高感度の検出器26、例えば、低コストのSiPM(シリコン光電子増倍管)又はSPADダイオード(単一光子アバランシェダイオード)を使用することが可能となる。結果として、特に小さい煤粒子によって生成され、従って、極めて小さい光信号、例えば数十個の光子によって形成される光信号でさえ検出することが可能となる。これによって、正に依然として検出可能となる煤粒子の寸法が、10乃至100nmの検出下限まで小さくなる。
【0047】
図5は、検出器26として使用可能なシリコンフォトダイオードの感度を、入射光の波長λの関数として任意単位で例示的に示す。感度は、約300nm乃至1100nmの範囲において有意である。このことを、他のSiベースの検出器26に適用することができる。
図5は、励起用レーザモジュール18のレーザ光10の可能な波長範囲44の概略図も示す。この波長を有する光は、検出器26に到達する前に光学フィルタ42によってビーム経路からフィルタリングされる。スポット22内で励起された煤粒子12から発せられる放射14、例えば温度放射の形態で放出される放射14の検出は、シリコンベースの検出器26が依然として感度を有している残りの波長範囲46,48において実施される。
【0048】
図6も、差し当たり同様にして、検出器26として使用可能なシリコンフォトダイオードの感度を、入射光の波長λの関数として任意単位で示す。ここでは感度範囲が、比較的短い波長の第1の範囲50と、比較的長い波長の第2の範囲52とに分割されている。レーザモジュール18の励起用レーザ光10の波長は、好ましくは第1の範囲50にあり、例えば500nm未満の波長(例えば405,450,465nm)である。光学フィルタ42は、好ましくは、例えば500nm未満の波長を有する光を大幅に減衰させ又はそれどころか十分に遮断するフィルタである。
【0049】
この変形例の大きな利点は、シリコンベースの検出器が感度を有している波長範囲のほぼ全体を、検出のために利用することが可能となることにある。もう1つの利点は、この変形例によって、下側の限界波長を下回る波長を有する光を遮断し、限界波長を上回る波長を有する光を通過させるステップフィルタを使用することが可能となることにある。このようなステップフィルタは、通常、レーザ光の波長を含んでいる狭い波長範囲内の波長を有する光を遮断する帯域幅フィルタよりも低コストである。
【0050】
既に述べたように、レーザ光源として、好ましくはレーザダイオードが使用される。既に述べた利点に加えて、レーザダイオードは、自身のレーザ光の放出をMHz周波数で変調することができるという利点を有する。この利点は、以下で説明される実施例において利用される。この実施例の基本的な着想は、レーザモジュール18によって放射されるレーザ光10の強度を時間的に変調することにある。結果として、正にスポット22内に存在している煤粒子12からLIIに起因して温度放射の形態で発せられる放射14の強度が、同様の周波数で変化することとなる。スポット22を通過して飛行する煤粒子12は、これによって複数回加熱され、そして、連続的に実施される複数回の加熱の間でそのつど再び冷却され、これによって周期的なLII信号が形成される。その後、信号対雑音比SNRを改善するために、そのようなLII信号にロックイン増幅方法を適用することができる。
【0051】
この実施例の大きな利点は、LII信号の周波数が、高い搬送周波数へと、即ち、レーザ光の強度の変調のMHz範囲にある周波数へとシフトされることにあり、それにより、例えば自動車の走行動作中に発生する振動によって引き起こされ得るような外乱に対する反応が、格段に非敏感になる。走行動作中に発生する振動は、数Hzの周波数しか有さない。
【0052】
LIIのために典型的に使用されるパルス高出力nsレーザの場合には、MHz範囲の周波数によってレーザ出力を変調することは、基本的に不可能である。高出力fsレーザの方向にさらに進むと、この周波数が再び達成される。
【0053】
本実施例において使用される煤粒子センサ16は、これまで説明された実施例に対応している。レーザモジュール18から発せられるレーザ光の強度の時間的な変調は、放出されたレーザ光10の強度が、レーザモジュール18の最大出力に対応するように、かつ、放出されたレーザ光10の最小強度が、レーザモジュール18の(短時間の)スイッチオフによって達成されるように、好ましくは正弦波状に実施される。
【0054】
しかしながら、信号形状及び期間に関して、他のあらゆる任意のバリエーションも考えられる。単なる一例として、時間の経過に伴う強度の矩形又は鋸歯状の推移を挙げておく。レーザ光10の強度がMHz範囲の周波数で変化する変調においては、典型的な排気ガス速度でスポット22を通過して飛行する煤粒子12が、スポット22内に存在している期間中に、スポット22内の強度が、複数回、最大値及び最小値をとり、これによって、煤粒子12が周期的に加熱及び冷却される。従って、温度放射の形態で煤粒子12から放出された放射14のLII信号は、レーザ光10の強度の振動に対して同一の周波数でかつ一定の位相で振動する。典型的な飛行通過時間が1μs乃至1msである煤粒子12を、スポット22において複数回照射することができるようにするためには、そのような振動の周波数は、100kHz乃至10MHzの範囲でなければならない。他方で、この振動は、スポット22における煤粒子12の典型的な加熱時間及び冷却時間よりも低速でなくてはならない。この時間は、100ns乃至10μsである。
【0055】
図7は、煤粒子12がスポット22の領域を通過して飛行し、その際に、励起用レーザ光10の強度の変調が時間的に十分な速度で実施される場合における、時間tにわたる任意単位での煤粒子12のLII信号54の概略定性図を示す。変調は、好ましくは、100kHz乃至100MHzの範囲にある変調周波数によって実施される。LII信号54は、レーザ光10による励起後に煤粒子12から温度放射の形態で放出される放射14の強度を反映する。包絡曲線56は、レーザ光10の強度が変調されない場合のLII信号に対応する。励起用レーザ光10の変調により、煤粒子12が励起用レーザ光10によって繰り返し照射及び加熱され、結果として、高速に振動する信号58が形成され、なお、この信号58において、煤粒子12から温度放射の形態で放出される放射14の高速な振動が反映されている。その後、信号対雑音比(SNR)を改善し、特に妨害的な信号背景60を除去するために、そのようなLII信号58にロックイン増幅方法を適用することができる。
【0056】
図8は、制御及び評価電子機器62が接続された煤粒子センサ16の1つの実施例を示す。煤粒子センサ16は、例えば、
図3を参照して説明された煤粒子センサ16に対応しているので、
図3の説明は、
図8にも当てはまる。制御及び評価電子機器62を、別個の制御装置とすることができ、又は、制御及び評価電子機器62を、燃焼プロセスを制御するために使用される制御装置に組み込むことができる。制御及び評価電子機器62は、制御モジュール64を有し、この制御モジュール64は、レーザモジュール18から発せられたレーザ光10の強度を、例えば
図7を参照して説明されたように変調する。検出器26の信号は、ロックイン増幅器66に供給され、ロックイン増幅器66にはさらに、レーザ光の変調を反映する信号が供給される。この信号を、
図8に示されるように制御モジュール64から直接的に取り出すことができ、又は、レーザモジュール18から取り出すことができる。結果として、検出器26の信号を、制御及び評価電子機器62における信号処理及び信号増幅の際に、励起用レーザ光10の変調と相関させることができ、このことを、例えば、信号対雑音比を改善するために当業者に提供されるロックイン方法若しくは擬似ランダムシーケンス方法、又は、一般的に信号相関方法によって実施することが可能である。
【0057】
LIIのために典型的に使用されるパルス高出力nsレーザの場合には、MHz範囲でのこのようなレーザ出力の変調は、基本的に不可能である。しかしながら、fsの範囲にさらに進むと、このような繰り返し周波数が再び可能になる。
【0058】
図8の対象の有利な実施形態は、フィルタ42が設けられていることを特徴とし、このフィルタ42は、
図4に示されるように配置されていて、上述した特性を有する。この実施形態は、光学部品によって後方散乱されたレーザ光10の強度の振動が、検出器26によって生成される測定信号に対して与える影響をフィルタリングする。
【0059】
図9は、制御及び評価電子機器62が接続された煤粒子センサ16のさらなる実施例を示す。煤粒子センサ16は、シェーカーモジュール68を有する。図示の実施例においては、シェーカーモジュール68の可動の要素が、レーザモジュール18に機械的に堅固に結合されており、これによって、シェーカーモジュール68の可動の部分の振動が、レーザモジュール18に伝達される。その他の点においては、
図9の煤粒子センサ16は、例えば、
図3を参照して説明された煤粒子センサ16に対応しているので、
図3の説明は、
図9の煤粒子センサ16にも当てはまる。煤粒子センサ16の残りの構成要素は、シェーカーモジュール68の可動の部分に堅固には結合されておらず、従って、シェーカーモジュール68の可動の部分の振動運動を実施しない。制御及び評価電子機器62は、
図8の制御及び評価電子機器62に対応しているので、別段の明記がない限り、
図8の説明は、
図9の制御及び評価電子機器62にも当てはまる。
図9の実施例は、煤粒子12の現在の位置に関連してスポット22の位置を変化させるという着想に基づいている。この場合、スポット22を通過して飛行する煤粒子が、スポット22内に存在している間に複数回照射及び加熱されることによって周期的なLII信号が形成されるように、スポットの動きは、排気ガス32に伴う煤粒子12の動きよりも十分に高速でなければならない。その後、
図8を参照して説明したように、好ましくは、そのような信号にロックイン又は他の増幅方法が適用される。
図8との違いは、ロックイン増幅器66にシェーカーモジュール68の駆動信号が供給されるという点から生じる。なぜなら、シェーカーモジュール68は、スポット22の動きに、ひいてはLII信号の強度の変化に同期しているからである。
【0060】
スポット22の位置の変化は、シェーカーモジュール68によって駆動されるレーザモジュール18の動きによって生成される。シェーカーモジュール68は、例えば、制御モジュール64によって操作される圧電アクチュエータを有する。圧電アクチュエータに代えて、電磁アクチュエータを使用すること、又は、磁歪によって動作するアクチュエータを使用することも考えられる。アクチュエータの構成に応じて、振動運動を、レーザビーム方向に対して平行に実施すること、又は、レーザビーム方向を横断する方向に実施することができ、このことは、
図9に、可能な振動方向70の図示によって表されている。振動方向を、図平面に対して垂直にすることも可能である。
【0061】
図10は、スポット22の空間位置を振動させるように構成された煤粒子センサ16の、
図9に代わる実施形態の詳細を示す。
図10の煤粒子センサ16は、2つのシェーカーモジュール68a,68bを有し、これらのシェーカーモジュール68a,68bの可動の部分は、それぞれ光学素子20に機械的に連結されており、これによって、シェーカーモジュールの振動運動が、光学素子20に伝達される。好ましくは、この機械的な連結は、堅固な結合である。2つのシェーカーモジュール68a,68bは、好ましくは同期して、同一の位相及び同一の振幅で駆動され、これによって、光学素子20が、レーザ光10の伝播方向に往復運動され、これによって、ビームウエストの対応する動きがもたらされる。
【0062】
スポット22の位置を変化させるために、他の適切な方法も考えられる。動き自体も、特定の形態又は方向に限定されているわけではない。ただし、重要なことは、煤粒子12が、スポット22の振動運動に起因してそのつど複数回、より集中的に照射されたり、さほど集中的でなく照射されたりを繰り返し、これによって、煤粒子12のLII光強度の変動/振動がもたらされるということだけである。
【0063】
レーザ光10の強度を変化させることと比較して、スポット22の位置を変化させることによる主な利点は、スポット22の位置を変化させる場合に、光学部品によって後方散乱されるレーザ光の強度が変化しないことである。従って、スポット22の位置の変化によって動作する実施例の場合には、
図4に示される実施例のフィルタ42を省略することが可能であり、これによってコスト削減が可能となる。
【0064】
図11は、煤粒子12を搬送するガスの流れ方向72と、レーザ光10の伝播方向74との2つの異なる組合せに対する、レーザ光10のビームウエスト73内のスポット22を示す。
図11の部分a)(左)においては、両方の方向72,74が相互に平行である。これは、これまでに紹介した煤粒子センサの配置に対応している。
図11の部分b)(右)においては、両方の方向72,74が相互に横断しており、これは、煤粒子センサの代替案として考えられる構造に対応する。両方の場合において、スポット22の位置を、煤粒子のそれぞれの移動方向に対して平行にも垂直にも変化させることが可能である。即ち、スポット22の振動方向70と、レーザ光10の伝播方向との少なくとも4つの可能な組合せが生じる。
【0065】
ビームウエスト73は、煤粒子センサ16内のレーザ光10のビーム経路のうちのレーザ光10が最も強力に集束されている領域である。ビームウエスト73のサイズの下限は、光学法則に基づいて制限されており、従って、ビームウエスト73のサイズを無限に小さくすることはできない。スポット22は、煤粒子の光強度、ひいてはエネルギ密度及び温度が、レーザ誘起白熱を生成するために、又は、化学反応を引き起こすために、十分に高くなっている空間領域である。
【0066】
図12は、空間的に振動するスポット22を通過して飛行する煤粒子12によって引き起こされる、検出器26のLII信号76の例示的な概略図を示す。信号76は、
図7に示される信号54に定性的に対応する。包絡曲線78は、スポット22が動かされない場合のLII信号に対応する。しかしながら、実際にはスポット22の位置の変化が存在することによって、煤粒子12が繰り返し照射及び加熱され、これによって、周期信号80が形成され、なお、この周期信号80において、煤粒子12の高速な空間振動が反映されている。その後、信号対雑音比(SNR)を改善し、特に妨害的な信号背景82を除去するために、そのような信号80にロックイン増幅方法又は一般的に信号相関方法を適用することができる。
【0067】
図13は、本発明に係る煤粒子センサ16のさらなる実施形態を示す。
図13の煤粒子センサ16も、
図3及び4を参照して説明された煤粒子センサ16に基づいており、追加的に、煤粒子センサ16においてスポット22の相異なる両側に配置された一対の電極84,86を有する。電極84,86は、好ましくは内側保護管30の内部に配置されている。これらの電極84,86は、スポット22を貫通する交番電界を生成するために使用される。電界を生成する交流電圧は、制御モジュール64によって電極84,86に印加される。結果として、このことによって、煤粒子流の空間振動の外部励起がもたらされ、この空間振動が測定信号を周期的に変調する。これにより、検出において相関技術(例えばロックインシーケンス又は擬似ランダムシーケンスなど)を使用することが可能となり、これにより、信号対雑音比が数桁改善される。図示の実施例においては、電極84,86に供給される交流電圧は、ロックイン増幅器66の入力部に並列に供給される。煤粒子の少なくとも一部は、電荷を帯びている。
【0068】
図14は、スポット22を画定するレーザ光10のビームウエスト73を、正にスポット22を通過して飛行する煤粒子12と共に示す。他の全ての図と同様に、ここでもスポット22は、飛行通過する煤粒子12が励起されて放射、特に温度放射を放出するように強力に加熱されるほどに、強度が高くなっている空間領域であるということが当てはまる。電界が印加されていなければ、煤粒子12は、排気ガスの流れ方向72に排気ガスの流速で、均一な動きでスポット22を通過する。この状況は、
図14の部分a)に示されている。排気ガスの流れ方向72を横断する方向に方向決めされた交番電界を印加することにより、(帯電した)煤粒子12の軌跡に振動が印加され、煤粒子12は、スポット22から出て、電界方向の反転後に再びスポット22に入る。交番電界の周波数が十分に高いことを前提にした場合には、煤粒子12が周期的に加熱され、煤粒子12から発せられるLII信号が周期的に変調される。
【0069】
図15は、レーザスポット22を通過して振動軌道上を移動する煤粒子のLII信号90の、時間tにわたる任意単位での概略図を示す。包絡曲線92は、交番電界が印加されない場合のLII信号に対応している。印加された交番界に起因してレーザスポットに周期的に出入りすることにより、煤粒子が繰り返し照射及び加熱され、これによって、周期的なLII信号94が形成される。他の実施形態に関して前述したように、信号対雑音比(SNR)を改善し、特に妨害的な背景96を除去するために、そのような信号に相関方法を適用することができる。
【0070】
このために必要な周波数の推定を、以下の計算によって実施することができる。これらのプロセスに関連する長さは、ビームウエスト73(レーザ焦点)の軸線方向の拡がり2z
0と横方向の拡がり2w
0とによって与えられている。スポット22の寸法は、これらの寸法にほぼ対応している。横方向の拡がりは、ガウス放射光学系においては通常であるように、1/e
2への強度低下によって与えられている。距離z
0は、レイリー長とも呼ばれ、レーザモジュール18のレーザのビームウエストw
0と波長λとによって定義されている。
z
0=πw
02/λ
【0071】
ここで、印加される交番電界のために必要な最小周波数は、煤粒子12が、スポット22を通過する途中でスポット22を一度出て、再びスポット22に入るという条件によって与えられている。これにより、排気ガス流速vexhを考慮して、最大周期Δt
maxと、ひいては最小周波数
1/f
min=2z
0/v
exh
とを計算することができる。例えば、ビームウエストが2w
0=10μmであり、波長が1μmであり、排気ガス速度が約1m/sである場合には、最小周波数は、約6kHzになる。煤粒子12がスポット22を複数回通過することを可能にするために、典型的な動作周波数を少なくとも10倍高く選択すべきである。これによって、LII信号は、周波数fで周期的に変調され、相関技術(ロックイン、擬似ランダムシーケンス)による検出が可能となる。このことにより、例えば、ビーム経路上の光学素子によって後方散乱された光によって引き起こされるような背景信号96を、強力に抑制することが可能となる。同様にして、相関技術を使用することにより、一般的な信号対雑音比が改善される。
【0072】
これらの相関技術の使用は、従来技術で使用されているQスイッチパルスnsレーザの場合には、繰り返し周波数が低いことに起因して、高周波数(kHz乃至MHzの範囲)においては不可能であった。本明細書において提案される本発明を用いることにより、このことが問題なく可能となる。
【0073】
交番電界を印加するために使用される電極84,86自体に、加熱素子を設けることができ、これによって、堆積している煤が焼却されるように、電極84,86が定期的な間隔で加熱される。
【0074】
図16は、音波励振器98,100を有し、
図3に示される煤粒子センサ16に基づく煤粒子センサ16の1つの実施例を示す。一対の音波励振器98,100は、保護管30の内部に配置されている。音波励振器98,100は、煤粒子12の流れ方向を横断する方向に振動する。音波励振器98,100は、例えば電気トランスデューサであり、この電気トランスデューサは、例えば圧電若しくは磁歪に基づいて、又は、スピーカのように電磁的に操作されて、定在超音波を生成する。
【0075】
図17は、音波励振器98,100の間で発生するそのような定在超音波102の一例を示す。この場合、音波励振器98,100の励振周波数は、好ましくは、スポット22が、音波励振器98,100の間で発生する定在超音波102の速度腹に位置するように設定される。スポット22は、ビームウエスト2w
0及びレイリー長2z
0によって画定される空間領域であり、この空間領域においては、レーザ光10の強度は、LIIを「点火」するために十分に高くなっている(全ての実施例に当てはまる)。これによって、煤粒子12は、速度腹のスポット22を通過する際に、煤粒子12の当初の流れ方向72を横断する方向に周期的にスポット22から押し出され、そして再び引き込まれ、これによって、粒子励起の変調が発生し、この変調がLII信号の変調に反映される。LII信号は、典型的には励起後、数ナノ秒乃至100ナノ秒の範囲の時間スケールで減衰する。
【0076】
このために必要な変調周波数の推定は、
図13による煤粒子センサ16に関して上で詳述した推定と完全に同様にして実施される。空気中の音速が約340m/sであり、動作周波数がf=60kHzである場合には、超音波の波長は、約5mmになり、これは、保護管内で十分に実現可能である。煤粒子は、速度腹のスポット22を通過する際に周期的に焦点から押し出され、これによって粒子励起の変調がもたらされる。これによって、LII信号は、周波数fで周期的に変調され、相関技術(ロックイン、擬似ランダムシーケンス)による検出が可能となる。このことにより、例えば、ビーム経路上の光学素子によって後方散乱された光によって引き起こされるような背景信号を、強力に抑制することが可能となる。さらに、音波励振器98,100の励振周波数を変化させることにより、定在超音波102の速度腹の位置を制御してシフトすることが可能であり、これによって、検出信号の所望の変調が達成される。この特別な解決策の技術的な利点は、信号評価時におけるサンプリングレートがさらに一層低減されることであり、このことによって、評価回路が簡単になり(コスト)、その結果、電流消費量が低減される。
【0077】
両方の音波励振器98,100の振動の位相同士を、相互に相対的に変調することも考えられる(位相変調)。超音波を生成するために使用される音波励振器98,100自体に、少なくとも1つの加熱素子を設けることができ、これによって、堆積している煤が焼却されるように、音波励振器98,100が定期的な間隔で加熱される。
【0078】
図15に示されるような、振動しながら延在する軌跡上でスポット22を通過して移動する煤粒子12にとって典型的であるような、LII信号の時間推移が得られる。包絡曲線92は、交番音響界が印加されない場合のLII信号に対応している。印加された交番界に起因してレーザスポットに周期的に出入りすることにより、煤粒子が繰り返し照射及び加熱され、これによって、周期的なLII信号94が形成される。その後、この点に関して比較可能な
図12を参照して前述したように、信号対雑音比(SNR)を改善するために、そのような信号に相関方法を適用することができる。
【0079】
図18は、非偏光ビームスプリッタ234と偏光ビームスプリッタ134との比較を示す。
図22の左半分が、非偏光ビームスプリッタ234に関し、その一方で、右半分が、偏光ビームスプリッタ134に関する。
【0080】
偏光ビームスプリッタ134は、偏光に応じてそれぞれ異なる強度で光を透過又は反射することを特徴とする。入射光の、ある所定の偏光方向においては、ほぼ完全な透過が生じ、入射光の、これに対して垂直な偏光においては、ほぼ完全な反射が生じる。
【0081】
レーザ光10は、一般的に既に偏光されているので、レーザ光10は、偏光ビームスプリッタ134の偏光方向に対して適切に選択された配置においては、偏光ビームスプリッタ134を一方向に(スポット22に向かう方向に)実質的に無損失で通過することができ、その一方で、非偏光ビームスプリッタ234のビームスプリッタ面234.1は、既に、レーザ光10によって搬送される出力の最大50%を有効光路から反射させる。この損失は、
図18の左部分においては、左を指す矢印10’によって表されている。
図18の右側部分に示されるビームスプリッタ134の場合には、この損失成分10’が生じない。換言すれば、レーザの偏光とレーザの方向とを正しく選択することにより、その位置での透過出力を最大化することが可能であり(ほぼ100%まで)、その一方で、従来の非偏光ビームスプリッタ234の場合には、ビームスプリッタを透過する際の約50%の出力損失を甘受しなければならない。レーザ光10は、減衰されることなく偏光ビームスプリッタ134のビームスプリッタ面134.1を貫通する。
【0082】
図3及び4を参照して説明したように、透過光は、第2のレンズ20を介して保護窓40を貫通して内側保護管30内のスポット22に集束される。従って、レーザの出力が同等である場合には、偏光ビームスプリッタ134を使用すると、粒子を加熱するためにスポット22内の2倍の光出力を利用することが可能となる。
【0083】
この実施形態は、煤粒子センサ16がその他の点に関しては不変である場合に、スポット22内の最大強度が増加され、このことにより、測定されるべき煤粒子12がより高い温度に加熱され、それによって、温度放射の形態で放出される放射14の、加熱された煤粒子12から発せられる放射出力が増加するという利点を有する。結果として、信号対雑音比が改善される。
【0084】
スポット22内に存在する煤粒子12から発せられ、レンズの方向に放出された放射14は、好ましくは同一のレンズ20によって検出され、好ましくは偏光ビームスプリッタ134を介して検出器26に案内される。加熱された煤粒子から発せられた放射14は、優先偏光を有していないので、例えばレンズ20によって検出される放射14の約半分が、検出器26に向けられる。煤粒子12は、非偏光放射14のみを放出するので、いずれにせよ発生するであろう残留損失のみが検出ビーム経路上に残ることとなる。偏光ビームスプリッタ134を、本発明による全ての実施例において、即ち、特に本願に記載されている全ての煤粒子センサにおいて、ビームスプリッタ34として使用することができる。同様にして、非偏光ビームスプリッタ234を、本発明による全ての実施例において、即ち、特に本願に記載されている全ての煤粒子センサにおいて、ビームスプリッタ34として使用することができる。
【0085】
従って、偏光ビームスプリッタ134の使用は、非偏光ビームスプリッタ234を使用して動作する実施形態に比較して、光ポンプ出力の増加によって、スポット22内の格段に高い出力密度及び温度Tを達成することが可能となり、これによって、スポット22内で自発的に放出される出力が急激に増加する(放射に関するキルヒホッフの法則P〜T
4)という利点を有する。ここでも、煤粒子センサ16が、好ましくは光学フィルタ42を有し、この光学フィルタ42が、(偏光)ビームスプリッタ134と検出器26との間のビーム経路上に配置されていて、上述した特性を有するということが当てはまる。このフィルタ42により、レーザ光10に対する検出器26の遮蔽が達成され、このことも、信号対雑音比を改善する。