【実施例】
【0041】
表1に、長さLが1170mm、背面幅Wが154mm、高さHが150mm、テーパ角度が2.2度で、70kgの転炉用マグネシアカーボンれんがにおいて、表面に有機系粘着テープを貼り付け、さらにコーティング材を塗布して、以下の試験を行った結果を示す。ただし、比較例1から比較例3はコーティング材を塗布せず、有機系粘着テープのみを貼り付けた。
【0042】
なお、表1においてれんがの種類「A」とは、鱗状黒鉛を13質量%、電融マグネシアを82質量%、アルミニウムを3質量%含有する耐火原料配合物にフェノール樹脂を適量添加し、混練後、加圧成形し、250℃で乾燥することで製造したマグネシアカーボンれんがである。
れんがの種類「B」とは、Aにおいて鱗状黒鉛を8質量%とし、電融マグネシアを87質量%とし、これら以外はAと同様にして製造したマグネシアカーボンれんがである。
れんがの種類「C」とは、Aにおいて鱗状黒鉛を5質量%とし、電融マグネシアを90質量%とし、これら以外はAと同様にして製造したマグネシアカーボンれんがである。
【0043】
また、表1においてテープ貼り付けパターン「
図1」とは、
図1のテープ貼り付けパターンにおいて、幅が50mm、長さが1120mmの1本の有機系粘着テープを稼動面15及び背面16から25mm、それぞれ離れた位置に貼り付けたものである。
テープ貼り付けパターン「
図2」とは、
図2のテープ貼り付けパターンにおいて、幅が25mmで、長さが90mmと134mmの2本の有機系粘着テープを、稼動面15及び背面16から25mm、円周方向両側面13,14から最大で約10mm、それぞれ離れた位置に貼り付けたものである。
テープ貼り付けパターン「
図3」とは、
図3のテープ貼り付けパターンにおいて、幅が25mm、長さが1120mmの2本の有機系粘着テープを、稼動面15及び背面16から25mm、円周方向両側面13,14から10mm、それぞれ離れた位置に貼り付けたものである。
【0044】
表1においてテープ種類「Aテープ」から「Hテープ」とは、表2に示すとおりのものである。なお、有機系粘着テープの粘着力、引張強さ及び厚さはJIS Z 0237に準拠して測定した。
【0045】
試験では、前述のマグネシアカーボンれんがAからCにおいて、250℃で乾燥後に25℃まで冷却して有機系粘着テープを貼り付け、その後25℃でコーティング材Aをローラーで有機系粘着テープ及びれんがの表面に塗布し、室温で24時間乾燥することで試験用れんがを製作した。また、有機系粘着テープを貼り付けずに全面にコーティング材Aのみを塗布したれんがも同様の条件で製作した。
【0046】
コーティング材Aは、アクリル樹脂エマルジョン15質量%、炭酸カルシウム50質量%、及び水28〜32質量%を含有し、水の含有率を調整することで塗布厚みを調整した。コーティング材Bは、コーティング材Aにおいてアクリル樹脂エマルジョンの代わりに酢酸ビニル樹脂エマルジョンを使用したものである。塗布厚みは、れんがの長手方向の両端部及び中央部の3箇所をデプスゲージを用いて測定した平均の塗布厚みを示している。
【0047】
表1に示す試験結果である「テープの剥がれ」及び「テープの破れ」については、有機系粘着テープを貼り付けコーティング材Aを塗布したれんがを有機系粘着テープ面を上にして置き、このれんがの上に、有機系粘着テープを貼り付けず全面にコーティング材Aのみを塗布した同形状のれんがを重ねて置き、上のれんがを人の手によって水平方向に500mm往復移動する操作を3回繰り返したあと、有機系粘着テープの剥がれ及び破れを目視で観察して評価した。
具体的に剥がれについては、剥がれ無しの場合を◎(優)、全体の面積の10%以下で剥がれ発生の場合を〇(良)、全体の面積の10%超30%以下で剥がれ発生の場合を△(可)、全体の面積の30%超で剥がれ発生の場合を×(不可)として評価し、◎(優)、○(良)及び△(可)を合格レベルとした。
破れについては、破れ無しの場合を◎(優)、全体の面積の10%以下で破れ発生の場合を〇(良)、全体の面積の10%超30%以下で破れ発生の場合を△(可)、全体の面積の30%超で破れ発生の場合を×(不可)として評価し、◎(優)、○(良)及び△(可)を合格レベルとした。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
実施例1はAテープ(クラフトテープ)を使用した例であり、テープの剥がれ及び破れは全体の面積の10%以下で発生したのみであり、合格レベルであった。
実施例2から実施例4は、Bテープ(ポリエステル繊維含有ポリエステルフィラメントテープ)を使用した例であり、有機系粘着テープの貼り付けパターンが異なるものであるが、テープの引張強さが高いことから破れは無く評価は◎(優)であり、有機系粘着テープの剥がれの評価も◎(優)であった。
実施例5はCテープ(ガラス繊維含有ポリエステルフィラメントテープ)を使用した例であり、これも良好な結果であった。
実施例6はDテープ(ガラス繊維含有ポリプロピレンフィラメントテープ)を使用した例であり、良好な結果であった。
実施例7はEテープ(布テープ)を使用した例であり、実施例8はFテープ(布テープ)を使用した例であり、いずれもテープの剥がれ及び破れは全体の面積の10%以下で発生したのみであり、合格レベルであった。
参考例9はGテープ(マスキングテープ)を使用した例であり、粘着力がやや低いためテープの剥がれの評価が△(可)であるが、合格レベルであった。
参考例10は、Hテープ(OPPテープ)を使用した例であり、引張強さがやや低いためテープの破れの評価が△(可)であるが、合格レベルであった。
実施例11から実施例13は、鱗状黒鉛含有量が8質量%のマグネシアカーボンれんがBを使用した例であり、良好な結果であった。
参考例14は、黒鉛含有量が5質量%のマグネシアカーボンれんがCを使用した例であり、同じくFテープを使用した実施例13と比較して、ややテープの剥がれが目立ったが合格レベルであった。
実施例15、16及び参考例17、18はコーティング材Bを使用した例であるが、コーティング材Aと同様に良好な結果となった。
【0051】
比較例1から比較例3はコーティング材を塗布せず有機系粘着テープのみを貼った例であり、コーティング層を有しないことから滑り止め効果が得られない。また、比較例1は実施例16と同じFテープを使用しているが剥がれの評価が劣り△(可)となった。比較例2は
参考例17と同じGテープを使用しているが剥がれの評価が劣り×(不可)となった。比較例3は
参考例18と同じHテープを使用しているが破れの評価が劣り×(不可)となった。
【0052】
表3において、実施例19から実施例25はマグネシアカーボンれんがAを使用し、
図2のテープの貼り付けパターンにてBテープを貼り付け、25℃でコーティング材をローラーで塗布し、その後室温で24時間乾燥して得た試験用れんがについて、コーティング材の塗布厚みとバリの発生程度を測定した結果を示す。比較例
4は、有機系粘着テープを貼り付けていない点以外は
図1と同じマグネシアカーボンれんがを使用したものである。
なお、コーティング材の塗布厚みは、前述のとおり水の含有率を調整することで調整した。すなわち、コーティング材の塗布厚みは、水の含有率が多い程薄くなる。
【0053】
塗布厚みのバラツキは、塗装厚みの最大値と最小値の差が0.05mm以下の場合を〇(良)、0.05mm超0.1mm以下の場合を△(可)、0.1mm超の場合を×(不可)とした。バリの発生程度は、バリの高さを計測し、バリの高さが1mm以下の場合を〇(良)、1mm超2mm以下の場合を△(可)、2mm超の場合を×(不可)とした。
【0054】
【表3】
【0055】
実施例19では、コーティング材の粉末成分の濃度が薄くなりすぎて粉末成分が分離傾向となり塗布厚みにややバラツキが見られたが、合格レベルであった。
実施例20から実施例23では、塗布厚みのバラツキが小さく、かつ大きなバリの発生がなく良好であった。
実施例24では、やや大きなバリが少し見られたが合格レベルであった。
実施例25は、コーティング材Bを使用した例であるが、良好な結果となった。
【0056】
比較例4は、有機系粘着テープを貼らずにコーティング材のみを0.31mmの厚みで塗布した従来の膨張代の形成方法であり、塗布厚みのバラツキが大きく、しかもバリの発生程度が悪かった。なお、実施例22は膨張代としてはコーティング材厚み0.15mmに有機系粘着テープの厚み0.18mmとを加えると0.33mmになり、比較例4の膨張代0.31mmとほぼ同じ膨張代が形成されているが、塗布厚みのバラツキ及びバリの発生程度は良好であった。
【0057】
この実施例22と比較例4にて、それぞれ100個のれんがについてそれぞれ炉長方向側面の2面と円周方向側面の2面の合計4面に膨張代を形成する作業を行ったところ、実施例22はバリの除去作業がほとんど無かったため比較例4よりも26%作業効率が高くなった。