【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の側面は、除去対象物が付着した洗浄対象物の洗浄方法であって、
前記除去対象物が付着した前記洗浄対象物の洗浄箇所を特定し、
特定された前記洗浄箇所の洗浄変数に真の値を代入し、
主ノズルが洗浄液噴流を生成し、
前記洗浄変数の値が偽である場合に、前記洗浄箇所に対応する第1の洗浄部をスキップし、
前記洗浄変数の値が真である場合に、前記第1の洗浄部を実行して前記主ノズルが前記洗浄箇所を向くように制御する、
洗浄方法である。
【0005】
本発明の第2の側面は、複数の洗浄箇所を含み、一つ以上の前記洗浄箇所に除去対象物が付着した対象物を洗浄する洗浄機であって、
主ノズルと、
前記対象物を前記ノズルに対して相対的に移動させる移動装置と、
記憶装置であって、
前記洗浄箇所に対応する洗浄変数であって、真と偽の二値変数である洗浄変数と、
第1の洗浄部に対応する前記洗浄変数が偽のときに、次の第2の洗浄部へジャンプし、それ以外の場合に前記第1の洗浄部を実行する、前記第1の洗浄部を有する数値制御プログラムと、
を記憶する、記憶装置と、
演算装置であって、
前記除去対象物が付着した洗浄対応箇所に対応する前記洗浄変数の値を真とし、それ以外の前記洗浄変数の値を偽とする、変数設定部と、
前記数値制御プログラムに基づいて、前記主ノズルを前記対象物に対して移動させる数値制御部と、
を有する演算装置と、
を有する、洗浄機である。
【0006】
洗浄は、清掃及びバリ取りを含む。粒子線は、電磁波、中性子線を含む。電磁波は、例えば、X線、γ線である。除去対象物(以下、単に「異物」という。)は、例えば、切りくず、切削バリ、繊維くず、研磨材、切削油である。分岐文は、条件付き制御文である。
【0007】
対象物は、機械加工後又は組み立て前の機械部品である。対象物は、例えば、シリンダヘッド、シリンダブロック、クランクシャフト、トランスアクスルケース、トランスアクスルハウジング、バルブボディ、ポンプボディ、ABSボディである。対象物は、水穴、油穴、雌ねじ、貫通穴、ピン穴、油路、クランク室、カム室、ボス等の構造を含む。これらの構造のうち、洗浄液の噴流を衝突させて洗浄される部位を洗浄箇所という。
【0008】
異物の構造は、異物の位置及び形状である。異物の構造は、異物の物質を含んで良い。
【0009】
洗浄装置は、洗浄機とスキャナを含んでも良い。スキャナは、例えば、X線CTスキャナ、γ線CTスキャナ、中性子線CTスキャナである。スキャナは、制御装置によって制御される。
【0010】
制御装置は、スキャン部及び比較部を有しても良い。スキャン部は、スキャナを駆動する。比較部は、CTスキャンによって得られた対象物のスキャンデータと3Dモデルとを比較して、対象物に付着する異物の構造を特定する。比較部は、異物が付着している洗浄箇所を特定する。比較部は、異物が付着している洗浄箇所をラベルで特定しても良い。
【0011】
記憶装置は、3Dモデルを有して良い。3Dモデルは、洗浄箇所と、ラベルと、を有して良い。一つのラベルは、一つの洗浄箇所に対応する。
【0012】
洗浄機は、ポンプやタンクを有しても良い。タンクは、洗浄液を貯留する。ポンプは、洗浄液を加圧し、吐出する。ポンプは、例えば、ピストンポンプ、ギヤポンプ、渦巻きポンプである。ポンプの吐出圧は、好ましくは、5〜200MPaである。
【0013】
洗浄機は、自動ノズル交換装置又はノズル選択装置を有しても良い。ノズル選択装置は、複数の主ノズルのうち、噴流を生成する主ノズルを選択する。複数の主ノズルは、同時に選択されてもよい。ノズル選択装置は、例えば、タレット、ノズル切替弁である。ノズル切替弁は、複数の2方弁を組合せても良い。洗浄機は、テーブルを固定し(又は固定された円テーブルにテーブルを固定し)、ノズルをテーブルに対して移動して良い。また、洗浄機は、ノズルを固定し(又は固定された円テーブルにノズルを固定し)、対象物をノズルに対して移動しても良い。
【0014】
3Dモデルは、基準寸法の対象物の立体モデルであり、それぞれの洗浄箇所に付されたラベルを含む。3Dモデルは、複数の部品を含んで良く、材質情報を含んでも良い。
【0015】
洗浄変数、ノズル変数及び退避変数の型、データは自由に選択できる。例えば、整数型の変数とし、真の値を1、偽の値を0とする。なお、真の値を0、偽の値を1としても良い。真の値を「true」や「A」、偽の値を「false」や「B」としても良い。
【0016】
第1の洗浄部をスキップするときは、(1)次の第2の洗浄部、(2)次の退避部、(3)次のノズル選択部、(4)フッタ部、の内の直近のものにジャンプする。
第1の退避部をスキップするときは、(1)次の退避部、(2)次のノズル選択部、(3)フッタ部、の内の直近のものにジャンプする。
第1のノズル選択部をスキップするときは、(1)次の第2のノズル選択部、(2)フッタ部、のいずれか近いものにジャンプする。
【0017】
洗浄変数に替えて、洗浄スキップ変数として良い。異物が付着していない洗浄箇所に係る洗浄スキップ変数に真の値が代入される。洗浄スキップ変数が真の値のときに、洗浄スキップ変数に関連する第1の洗浄部の実行がスキップされる。洗浄スキップ変数が真のときに、次の第2の洗浄部にジャンプして良い。洗浄スキップ変数が偽のときに、洗浄スキップ変数に係る第1の洗浄部が実行されて良い。
【0018】
退避変数に替えて、退避スキップ変数としても良い。退避変数に関連する全ての洗浄箇所に異物が付着していないときに、退避スキップ変数に真の値が代入される。退避スキップ変数が真のときに、その退避スキップ変数に係る第1の退避部の実行がスキップされる。退避スキップ変数が真のときに、次の第2の退避部にジャンプして良い。退避スキップ変数が偽のときに、退避スキップ変数に係る第1の退避部が実行されて良い。
【0019】
ノズル変数に替えて、ノズルスキップ変数としても良い。ノズル変数に関連する全ての洗浄箇所に異物が付着していないときに、ノズルスキップ変数に真の値が代入される。ノズルスキップ変数が真のときに、ノズルスキップ変数に係る第1のノズル選択部の実行がスキップされる。ノズルスキップ変数が真のときに、次の第2のノズル選択部にジャンプして良い。第1のノズルスキップ変数が偽のときに、ノズルスキップ変数に係る第1のノズル選択部が実行されて良い。
【0020】
洗浄変数は、退避変数に関連付けられる。退避変数は、ノズル変数に関連付けられる。洗浄変数、退避変数及びノズル変数の関連付けは、変数の名称で行われて良い。例えば、変数の名称は、符号付きの整数である。
例えば、変数は、その種別を表す変数を有してもよい。ここで、種別は、洗浄変数、退避変数及びノズル変数のいずれかである。洗浄変数は、その変数名よりも小さく直近の変数名を持つ退避変数やノズル変数に関連付けられる。
なお、相互に関連する変数を記憶しても良い。例えば、洗浄変数について、関連するノズル変数及び退避変数が記憶されても良い。
【0021】
比較部は、スキャンデータから対象物毎に異物が付着した洗浄箇所を抽出する。スキャンデータは、対象物の加工の履歴に応じて、例えば、鋳物欠陥、加工誤差、異物、バリの構造を含む。比較部は、加工誤差以外の構造の差異を異物と判断して良い。加工誤差は、例えば、位置誤差、円筒度、全振れ、寸法誤差である。バリ及び異物は、特異な突起としてデータに表れる。更に異物は、素材との材質の相違としても検出されるときがある。加工誤差は、穴や面全体の平行移動や傾斜、面の揺れとして現れる。したがって、比較部は、全体の比較と個別の評価を行う。
【0022】
例えば、円筒穴についての比較について述べる。円筒穴の位置について、スキャンモデルの重心と3Dモデルの重心を比較する。重心は、穴の深さに対して複数位置を抽出しても良い。重心位置の変位を位置誤差として検出する。更に、スキャンモデルの円筒穴の重心に、3Dモデルの円筒穴を重ねて部分的な差分を取る。その差分が、3Dモデルとの変位量が連続的に変化しており、変位量の3Dモデルの表面に沿った長さに対する変位量の傾きが閾値を超えない場合に、その変位量を円筒度と判断する。
【0023】
比較部は、評価値が閾値以上の異物のみを抽出しても良い。評価値は、異物の計測値であり、例えば、長径寸法や体積である。長径寸法とは、異物の表面に決めた2点間の距離が最も長くなる寸法である。閾値は、洗浄後に残留が認められない異物の評価値である。
【0024】
変数設定部は、値が真である洗浄変数に関連付けられた退避変数の値を真とし、それ以外の退避変数の値を偽としても良い。言い換えると、変数設定部は、関連付けられた全ての洗浄変数の値が偽である退避変数の値を偽としても良い。
【0025】
変数設定部は、値が真である洗浄変数に関連付けられたノズル変数の値を真とし、それ以外のノズル変数の値を偽としても良い。言い換えると、変数設定部は、関連付けられた全ての洗浄変数の値が偽であるノズル変数の値を偽としても良い。
【0026】
洗浄装置に投入される全ての対象物は、スキャナにより検査されて良い。