特許第6870162号(P6870162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6870162ポリスチレン系樹脂発泡シート及びポリスチレン系樹脂発泡容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6870162
(24)【登録日】2021年4月16日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ポリスチレン系樹脂発泡シート及びポリスチレン系樹脂発泡容器
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/36 20060101AFI20210426BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20210426BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20210426BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20210426BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20210426BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C08J9/36
   C08J7/04CET
   B32B27/30 B
   B32B5/18
   B65D1/00 111
   B65D65/42 A
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2021-11376(P2021-11376)
(22)【出願日】2021年1月27日
(62)【分割の表示】特願2020-156376(P2020-156376)の分割
【原出願日】2020年9月17日
【審査請求日】2021年1月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】白石 奏
(72)【発明者】
【氏名】児玉 隆徳
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−149054(JP,A)
【文献】 特開2004−330650(JP,A)
【文献】 特開平06−073291(JP,A)
【文献】 特開平07−196984(JP,A)
【文献】 特開2005−88200(JP,A)
【文献】 特開平10−337824(JP,A)
【文献】 特開2006−289742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J9/00−9/42
C08J7/04−7/06
B32B1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン系樹脂を含む発泡層を有するポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、
片面又は両面に、シリコーンオイル(A)と、任意にポリオキシエチレンアルキルエーテル(b1)及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(b2)から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)とが存在し、
前記界面活性剤(B)の存在量は、前記シリコーンオイル(A)100質量部に対して2.5質量部以下であり、
前記片面又は両面には、前記界面活性剤(B)が存在し、
前記界面活性剤(B)が存在する面において、前記界面活性剤(B)の存在量は、界面活性剤の総量100質量部に対して、40質量部以下である、ポリスチレン系樹脂発泡シート。
【請求項2】
前記シリコーンオイル(A)の存在量は、0.001〜0.20g/mである、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
【請求項3】
前記シリコーンオイル(A)の動粘度は、2000mm/sec.未満である、請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
【請求項4】
前記発泡層の片面又は両面に熱可塑性樹脂の非発泡層を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
【請求項5】
ポリスチレン系樹脂を含む発泡層を有するポリスチレン系樹脂発泡容器において、
片面又は両面に、シリコーンオイル(A)と、任意にポリオキシエチレンアルキルエーテル(b1)及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(b2)から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)とが存在し、
前記界面活性剤(B)の存在量は、前記シリコーンオイル(A)100質量部に対して2.5質量部以下であり、
前記片面又は両面には、前記界面活性剤(B)が存在し、
前記界面活性剤(B)が存在する面において、前記界面活性剤(B)の存在量は、界面活性剤の総量100質量部に対して、40質量部以下である、ポリスチレン系樹脂発泡容器。
【請求項6】
前記シリコーンオイル(A)の存在量は、0.001〜0.20g/mである、請求項5に記載のポリスチレン系樹脂発泡容器。
【請求項7】
前記シリコーンオイル(A)の動粘度は、2000mm/sec.未満である、請求項5又は6に記載のポリスチレン系樹脂発泡容器。
【請求項8】
前記発泡層の片面又は両面に熱可塑性樹脂の非発泡層を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂発泡容器。
【請求項9】
食品用である、請求項5〜8のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂発泡容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡シート及びポリスチレン系樹脂発泡容器。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン系樹脂を含む発泡層を有する発泡シート(ポリスチレン系樹脂発泡シート)を成形してなる容器は、食品等を収容する容器等の原反として多用されている。
ポリスチレン系樹脂発泡シートから容器(ポリスチレン系樹脂発泡容器)を成形する方法としては、ポリスチレン系樹脂発泡シートを加熱して軟化し、これを金型に挟み込んで所望の形状とする方法がある。
【0003】
ポリスチレン系樹脂発泡シートには、ポリスチレン系樹脂発泡容器の生産性向上が求められる。このため、ポリスチレン系樹脂発泡シートには、良好な形状のポリスチレン系樹脂発泡容器を得られる(成形性に優れる)ことが求められる。加えて、ポリスチレン系樹脂発泡シートには、成形したポリスチレン系樹脂発泡容器を積み重ねた後に、個々のポリスチレン系樹脂発泡容器を容易に取り出せる(耐ブロッキング性に優れる)ことが求められる。
例えば、特許文献1には、表面に特定の動粘度のシリコーンオイルが特定量塗布されたポリスチレン系樹脂発泡シートが開示されている。特許文献1の発明によれば、成形性及び耐ブロッキング性の向上が図られている。
また、例えば、特許文献2には、表面に特定の動粘度のベースオイルを含むシリコーンオイルエマルジョンが塗布されてなるポリスチレン系樹脂発泡シートが開示されている。
特許文献2の発明によれば、成形性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−330650号公報
【特許文献2】特開2006−289742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポリスチレン系樹脂発泡シートには、成形性及び耐ブロッキング性をより高めたいという要求がある。
そこで、本発明は、成形性及び耐ブロッキング性をより高められるポリスチレン系樹脂発泡シートを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に、シリコーンオイルは、水に分散されたエマルジョンとされ、ポリスチレン系樹脂発泡シートの表面に塗布される。エマルジョンには、シリコーンオイルを水に分散するための界面活性剤が含まれている。このため、ポリスチレン系樹脂発泡シートの表面には、シリコーンオイルと共に界面活性剤が存在する。
本発明者らが鋭意検討した結果、エマルジョンに汎用されている特定の界面活性剤がポリスチレン系樹脂発泡シートの表面に特定量以上存在すると、成形性及び耐ブロッキング性の双方もしくはいずれか一方を低下させるという知見を得、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
<1>
ポリスチレン系樹脂を含む発泡層を有するポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、
片面又は両面に、シリコーンオイル(A)と、任意にポリオキシエチレンアルキルエーテル(b1)及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(b2)から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)とが存在し、
前記界面活性剤(B)の存在量は、前記シリコーンオイル(A)100質量部に対して2.5質量部以下であり、
前記片面又は両面には、前記界面活性剤(B)が存在し、
前記界面活性剤(B)が存在する面において、前記界面活性剤(B)の存在量は、界面活性剤の総量100質量部に対して、40質量部以下である、ポリスチレン系樹脂発泡シート。
<2>
前記シリコーンオイル(A)の存在量は、0.001〜0.20g/mである、<1>に記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
<3>
前記シリコーンオイル(A)の動粘度は、2000mm/sec.未満である、<1>又は<2>に記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
<4>
前記発泡層の片面又は両面に熱可塑性樹脂の非発泡層を有する、<1>〜<3>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡シート。
【0008】
<5>
ポリスチレン系樹脂を含む発泡層を有するポリスチレン系樹脂発泡容器において、
片面又は両面に、シリコーンオイル(A)と、任意にポリオキシエチレンアルキルエーテル(b1)及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(b2)から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)とが存在し、
前記界面活性剤(B)の存在量は、前記シリコーンオイル(A)100質量部に対して2.5質量部以下であり、
前記片面又は両面には、前記界面活性剤(B)が存在し、
前記界面活性剤(B)が存在する面において、前記界面活性剤(B)の存在量は、界面活性剤の総量100質量部に対して、40質量部以下である、ポリスチレン系樹脂発泡容器。
<6>
前記シリコーンオイル(A)の存在量は、0.001〜0.20g/mである、<5>に記載のポリスチレン系樹脂発泡容器。
<7>
前記シリコーンオイル(A)の動粘度は、2000mm/sec.未満である、<5>又は<6>に記載のポリスチレン系樹脂発泡容器。
<8>
前記発泡層の片面又は両面に熱可塑性樹脂の非発泡層を有する、<5>〜<7>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡容器。
<9>
食品用である、<5>〜<8>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡容器。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートによれば、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートの一例を示す断面図である。
図2】植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。
図3】植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。
図4】植物由来のポリエステル系樹脂の製造工程の一例を示すフロー図である。
図5】本発明のポリスチレン系樹脂発泡容器の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(ポリスチレン系樹脂発泡シート)
本発明のポリスチレン系樹脂発泡シート(以下、単に「発泡シート」ということがある)は、ポリスチレン系樹脂を含む発泡層を有する。
発泡シートは、発泡層のみからなる単層構造でもよいし、発泡層の片面又は両面に非発泡層を備える多層構造でもよい。
【0012】
本発明の発泡シートの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1の発泡シート1は、発泡層10と、発泡層10の一方の面に位置する非発泡層20とを有する。なお、本発明の発泡シートは、非発泡層20を有していなくてもよいし、発泡層10の他方の面に非発泡層を有してもよい。
【0013】
発泡シート1は、片面又は両面にシリコーンオイル(A)と任意に界面活性剤(B)とが存在している。本実施形態においては、一方の面(即ち、非発泡層20の表面である「第二の面21)及び他方の面(即ち、発泡層10の表面である第一の面11)の双方もしくはいずれか一方に、シリコーンオイル(A)が存在している。
発泡シート1において、シリコーンオイル(A)が存在する面には、シリコーンオイル(A)100質量部に対して、2.5質量部以下の界面活性剤(B)が任意に存在する。
即ち、発泡シート1において、シリコーンオイル(A)が存在する面には、特定の界面活性剤(B)が存在しないか、又は、特定量で存在する。
なお、発泡シート1の両面にシリコーンオイル(A)が存在する場合、発泡シート1の一方の面における界面活性剤(B)が2.5質量部以下であれば、他方の面における界面活性剤(B)の量は、2.5質量部超でもよいし、2.5質量部以下でもよい。換言すれば、発泡シート1は、シリコーンオイル(A)と、特定の界面活性剤が存在しないか、又は特定の界面活性剤の存在量が特定の範囲である面を少なくとも1面有する。
また、発泡シート1の両面にシリコーンオイル(A)が存在する場合、発泡シート1の両面における界面活性剤(B)が2.5質量部以下であることが好ましい。
【0014】
発泡シート1の厚さT1は、用途を勘案して決定でき、例えば、500〜4000μmが好ましく、1000〜2500μmがより好ましい。厚さT1が上記下限値以上であれば後述する発泡容器の強度をより高められる。厚さT1が上記上限値以下であれば、成形性のさらなる向上を図れる。
【0015】
発泡シート1の坪量は、発泡シート1の用途を関して適宜決定され、例えば、50〜1000g/mが好ましく、90〜600g/mがより好ましい。
【0016】
<発泡層>
発泡層10は、ポリスチレン系樹脂を含む発泡性樹脂組成物を発泡してなる層であり、樹脂中に気泡が形成されている。発泡性樹脂組成物に含まれる樹脂(即ち、発泡層10を構成する樹脂)は、熱可塑性樹脂である。
ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体;スチレン系モノマーを主成分とし、スチレン系モノマーとこれに重合可能なビニルモノマーとの共重合体;スチレン系モノマーとブタジエン等のゴム分との共重合体、スチレン系モノマーの単独重合体もしくはこれらの共重合体もしくはスチレン系モノマーとビニルモノマーとの共重合体とジエン系のゴム状重合体との混合物又は重合体である、いわゆるハイインパクトポリスチレン;等が挙げられる。
スチレン系モノマーと重合可能なビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレート等の二官能性モノマー等が挙げられる。これらのビニルモノマーは、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」と「メタクリレート」の一方又は双方を表し、「(メタ)アクリロニトリル」は、「アクリロニトリル」と「メタクリロニトリル」の一方又は双方を表す。
ジエン系のゴム状重合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体等が挙げられる。
これらのポリスチレン系樹脂は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレンモノマーから誘導される単位を50モル量%以上含有するポリスチレン系樹脂が好ましく、中でもポリスチレンがより好ましい。
【0017】
ポリスチレン系樹脂は、汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)、市販されているポリスチレン系樹脂、懸濁重合法等の方法で新たに調製されたポリスチレン系樹脂等、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂でもよいし、リサイクル原料のポリスチレン系樹脂でもよい。
リサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレー等を回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したものが挙げられる。また、例えば、リサイクル原料としては、ポリスチレン系樹脂発泡シートから食品包装用トレーを打ち抜いた後に生じる端材を粉砕し、溶融混練してリペレット化したものが挙げられる。
使用できるリサイクル原料としては、使用済みの発泡容器等の成形体を再生処理して得られたもの以外に、家電製品(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等)、事務用機器(例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等)等から分別回収された非発泡のポリスチレン系樹脂が挙げられる。
【0018】
ポリスチレン系樹脂の質量平均分子量Mwは、12万〜45万が好ましく、15万〜40万がより好ましい。質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した値を、標準ポリスチレンによる較正曲線に基づき換算した値である。
【0019】
発泡層10を構成する熱可塑性樹脂100質量部に対するポリスチレン系樹脂の含有量は、50質量部以上が好ましく、75質量部以上がより好ましく、90質量部以上がさらに好ましく、95質量部以上が特に好ましい。ポリスチレン系樹脂の含有量が上記下限値以上であると、発泡シート1の成形性をより高められ、成形体である発泡容器の剛性を高められる。
ポリスチレン系樹脂の含有量の上限値は、特に限定されず、発泡層10を構成する熱可塑性樹脂100質量部に対して、100質量部でもよい。
【0020】
発泡性樹脂組成物は、ポリスチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有してもよい。ポリスチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリ(2,6−ジメチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン−1,4−エーテル)、ポリ(2,6−ジクロルフェニレン−1,4−エーテル)等のポリフェニレンエーテル系樹脂等が挙げられる。
【0021】
発泡性樹脂組成物は、発泡剤を含有する。
発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素;テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素;等が挙げられ、中でも、炭化水素が好ましく、ブタンが好ましい。ブタンとしては、ノルマルブタン又はイソブタンがそれぞれ単独で使用されてもよいし、ノルマルブタンとイソブタンとが任意の割合で併用されてもよい。これらの発泡剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0022】
発泡性樹脂組成物中の発泡剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、0.1〜10質量部が好ましく、1〜7質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。
【0023】
発泡性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、発泡剤以外の他の成分(以下、「任意成分」ともいう)を含有してもよい。任意成分としては、例えば、気泡調整剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、消臭剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。
任意成分の種類は、発泡シート1に求められる物性等を勘案して決定される。任意成分は、1種単独でもよく、2種以上の組み合わせでもよい。
【0024】
気泡調整剤としては、例えば、タルク、シリカ等の無機粉末等の混合物等が挙げられる。これらの気泡調整剤は、発泡層10の独立気泡率を高め、発泡層を形成しやすい。
安定剤としては、例えば、カルシウム亜鉛系熱安定剤、スズ系熱安定剤、鉛系熱安定剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セシウム系紫外線吸収剤、酸化チタン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化セリウム/ジルコニア固溶体、水酸化セリウム、カーボン、カーボンナノチューブ、酸化チタン、及びフラーレン等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄、群青、コバルトブルー、焼成顔料、メタリック顔料、マイカ、パール顔料、亜鉛華、沈降性シリカ、カドミウム赤等が挙げられる。
消臭剤としては、例えば、シリカ、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、ハイドロタルサイト焼成物等が挙げられる。
【0025】
発泡性樹脂組成物中の任意成分の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、例えば、0.05〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.3〜5.0質量部がさらに好ましい。任意成分の含有量が上記下限値以上であると、任意成分に由来する効果を発揮できる。任意成分の含有量が上記上限値以下であると、ダイ等への目詰まりをより良好に防止し、発泡シート1の外観をより良好にできる。
【0026】
発泡層10の厚さT10は、例えば、0.3〜5.0mmが好ましく、0.4〜3.0mmがより好ましく、0.5〜2.5mmがさらに好ましい。発泡層10の厚さT10が上記下限値以上であると、発泡容器の耐衝撃性をより高められる。発泡層10の厚さT10が上記上限値以下であると、発泡容器をより軽量にし、かつ成形性のさらなる向上を図れる。
【0027】
発泡層10の坪量は、例えば、50〜600g/mが好ましく、90〜500g/mがより好ましく、150〜400g/mがさらに好ましい。発泡層10の坪量が上記下限値以上であると、発泡容器の耐衝撃性をより高められる。発泡層10の坪量が上記上限値以下であると、発泡容器をより軽量にし、かつ成形性のさらなる向上を図れる。加えて、発泡層10の坪量が上記上限値以下であると、加熱成形の際の加熱時間が長くなり過ぎず、発泡容器の生産性をより高められる。
【0028】
発泡層10の坪量は、以下の方法で測定できる。
発泡層10の幅方向(TD方向)の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に10cm×10cmの切片10個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定する。各切片の質量(g)の平均値を1m当たりの質量に換算した値を、発泡層10の坪量(g/m)とする。
【0029】
発泡層10の見掛け密度は、例えば、0.050〜0.666g/cmが好ましく、0.066〜0.500g/cmがより好ましく、0.100〜0.333g/cmがさらに好ましい。発泡層10の見掛け密度が上記下限値以上であると、発泡容器の耐衝撃性をより高められる。発泡層10の見掛け密度が上記上限値以下であると、発泡容器をより軽量に、かつ断熱性をより高められる。
発泡層10の見掛け密度は、JIS K 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」に準拠して測定することによって求められる。
具体的には、元のセル構造を変えないように切断した発泡層10の試験片について、その質量と見掛け体積とを測定し、下記式(s)により算出する。
発泡層10の見掛け密度(g/cm)=試験片の質量(g)/試験片の見掛け体積(cm)・・・(s)
【0030】
発泡層10の発泡倍率は、例えば、1.5〜20倍が好ましく、2〜15倍がより好ましく、3〜10倍がさらに好ましい。発泡層10の発泡倍率が上記下限値以上であると、発泡容器の耐衝撃性をより高められる。発泡層10の発泡倍率が上記上限値以下であると、発泡シート1の成形性のさらなる向上を図れる。
発泡層10の発泡倍率は、1を「発泡層10の見掛け密度(g/cm)」で除した値である。
【0031】
発泡層10の平均気泡径は、例えば、80〜450μmが好ましく、150〜400μmがより好ましく、200〜350μmがさらに好ましい。発泡層10の平均気泡径が上記下限値以上であると、発泡容器の耐衝撃性をより高められる。発泡層10の平均気泡径が上記上限値以下であると、発泡容器の表面平滑性をより高められる。
発泡層10の平均気泡径は、ASTM D2842−69に記載の方法に準拠して測定できる。
【0032】
発泡層10の独立気泡率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、100%でもよい。発泡層の独立気泡率は、JIS K7138:2006「硬質発泡プラスチック‐連続気泡率及び独立気泡率の求め方」に記載の方法により測定される値である。
【0033】
<非発泡層>
非発泡層20は、熱可塑性樹脂で構成され、実質的に気泡が形成されていない層である。加えて、非発泡層20は、実質的に発泡剤を含有しない層である。非発泡層20は、実質的に気泡が形成されていない層であるが、非発泡層を共押出法で形成する場合等では、わずかに発泡剤を含んでいてもよい。
非発泡層20を構成する熱可塑性樹脂としては、発泡層10を構成する熱可塑性樹脂と同様のポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。中でも、非発泡層20を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂を含むものが好ましい。
非発泡層20を構成する熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂を含むことで、非発泡層20と発泡層10との接着強度がより高められる。
【0034】
また、非発泡層20は、低環境負荷樹脂を含んでもよい。
非発泡層20の低環境負荷樹脂は、生分解性樹脂及び植物由来樹脂の双方又はいずれか一方であることが好ましい。
【0035】
低環境負荷樹脂のZ平均分子量は、80万以下が好ましく、10万〜50万がより好ましく、15万〜45万がさらに好ましく、15万〜40万が特に好ましい。低環境負荷樹脂のZ平均分子量が上記数値範囲内であると、発泡容器の耐衝撃性をより高められる。
Z平均分子量は、質量平均分量Mwと同様の方法で測定される。
【0036】
生分解性樹脂としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草酸との直鎖状ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリル酸、エチレン−一酸化炭素共重合体、脂肪族ポリエステル−ポリアミド共重合体、脂肪族ポリエステル−ポリオレフィン共重合体、脂肪族ポリエステル−芳香族ポリエステル共重合体、脂肪族ポリエステル−ポリエーテル共重合体、澱粉と変性ポリビニルアルコールとのポリマーアロイ、澱粉とポリエチレンとのポリマーアロイ、コハク酸エステル等が挙げられる。耐油性を高められる観点から、生分解性樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂(PLA)が好ましい。
【0037】
ポリ乳酸系樹脂は、乳酸がエステル結合によって重合した樹脂である。ポリ乳酸系樹脂は、ポリエステル系樹脂に分類され、生分解性樹脂の一種である。
ポリ乳酸系樹脂は、具体的には、D−乳酸及びL−乳酸の双方又は一方を含むモノマー成分から生成された重合体である。
【0038】
ポリ乳酸系樹脂は、好ましくは、D−乳酸及びL−乳酸(モノマー成分)の双方又は一方のみからなるモノマー成分の重合体である。この場合には、D−乳酸及びL−乳酸の内、一方の含有割合が他方の含有割合に比べて高いことが好ましい。具体的には、以下の組成(I)及び組成(II)の含有割合を有する乳酸の光学異性体からなるモノマー成分が挙げられる。
【0039】
・組成(I)
全乳酸(モノマー成分)におけるD−乳酸の含有割合の上限値は、例えば、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。D−乳酸の含有割合の下限値は、例えば、0質量%以上であり、0質量%超が好ましい。また、全乳酸(モノマー成分)におけるL−乳酸の含有割合の下限値は、例えば、95質量%以上が好ましく、96質量%以上がより好ましく、97質量%以上がさらに好ましい。L−乳酸の含有割合の上限値は、例えば、100質量%以下であり、100質量%未満が好ましい。
【0040】
・組成(II)
全乳酸(モノマー成分)におけるL−乳酸の含有割合の上限値は、例えば、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。L−乳酸の含有割合の下限値は、例えば、0質量%以上であり、0質量%超が好ましい。また、全乳酸(モノマー成分)におけるD−乳酸の含有割合の下限値は、例えば、95質量%以上が好ましく、96質量%以上がより好ましく、97質量%以上がさらに好ましい。D−乳酸の含有割合の上限値は、例えば、100質量%以下であり、100質量%未満が好ましい。
【0041】
組成(I)の含有割合を有する乳酸の光学異性体からなるモノマー成分の場合において、D−乳酸の含有割合が上記した上限値以下であれば、発泡容器等の成形体の結晶性がより優れたものとなる。組成(II)の含有割合を有する乳酸の光学異性体からなるモノマー成分場合において、L−乳酸の含有割合が上記した上限値以下であれば、発泡容器等の成形体の結晶性がより優れたものとなる。生産性及び汎用性の観点から、あるいは耐油性や成形性を高められる観点から、ポリ乳酸系樹脂のモノマー成分としては、組成(I)が好ましい。
【0042】
また、ポリ乳酸系樹脂を生成するモノマー成分は、乳酸以外の共重合性モノマーを含有することができる。共重合性モノマーとしては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられる。多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、例えば、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の2価アルコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシ−脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。ラクトンとしては、例えば、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトンが挙げられる。これらのモノマーは、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。なお、ポリ乳酸系樹脂は、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等の鎖延長剤を微量含有することもできる。
【0043】
生産性及び汎用性の観点から、あるいは耐油性や成形性を高められる観点から、好ましいポリ乳酸系樹脂としては、例えば、REVODE190(海正生物材料社製)、HV−6250H(ユニチカ(株)製)、Ingeo8052D(NatureWorks社製)、Ingeo4032D(NatureWorks社製)等が挙げられる。Ingeo4032D(NatureWorks社製)は、L乳酸98.7質量%及びD乳酸1.3質量%を含有するモノマー成分から生成されたポリ乳酸系樹脂である。
【0044】
生分解性樹脂がポリ乳酸系樹脂の場合、ポリ乳酸系樹脂のZ平均分子量は、80万以下が好ましく、10万〜50万がより好ましく、15万〜45万がさらに好ましく、15万〜40万が特に好ましい。ポリ乳酸系樹脂のZ平均分子量が上記数値範囲内であると、発泡容器の耐衝撃性をより高められる。
【0045】
植物由来樹脂としては、例えば、サトウキビ、トウモロコシ等の植物原料を由来とするポリマーが挙げられる。「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたポリマーが挙げられる。また、例えば、「植物原料を由来とする」とは、植物原料から合成され又は抽出されたモノマーが重合されたポリマーが挙げられる。「植物原料から合成され又は抽出されたモノマー」には、植物原料から合成され又は抽出された化合物を原料とし合成されたモノマーが含まれる。植物由来樹脂は、モノマーの一部が「植物原料を由来とする」ものを含む。
植物由来樹脂としては、いわゆるバイオPET、バイオPE、バイオPP等、植物由来のポリエステル系樹脂、植物由来のポリエチレン系樹脂、植物由来のポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
【0046】
植物由来樹脂について、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンフラノエート樹脂(PEF)を例にして説明する。
【0047】
PETの合成反応を(1)式に示す。nモルのエチレングリコール(EG)とnモルのテレフタル酸(Benzen−1,4−dicarboxylic Acid)との脱水反応によって、PETが合成される。この合成反応における化学量論上の質量比は、エチレングリコール:テレフタル酸=30:70(質量比)である。PETの主鎖の両末端は水素原子である。
【0048】
【化1】
[(1)式中、nは化学量論係数(重合度)であり、250〜1100の数である。]
【0049】
エチレングリコールは、エチレンを酸化し、水和することで、工業的に製造される。また、テレフタル酸は、パラキシレンを酸化することで、工業的に製造される。
ここで、図2に示すように、植物由来のエタノール(バイオエタノール)の脱水反応によりエチレンを得、このエチレンから合成されたエチレングリコール(バイオエタノール由来のエチレングリコール)と、石油化学品由来のテレフタル酸からPETを合成する場合、製造されるPETは、植物由来30質量%のPETである。
また、図3に示すように、植物由来のイソブタノール(バイオイソブタノール)の脱水反応によりパラキシレンを得、このパラキシレンから合成したテレフタル酸と、バイオエタノール由来のエチレングリコールとからPETを合成する場合、製造されるPETは、植物由来100質量%のPETである。
【0050】
PEFの合成反応を(2)式に示す。nモルのエチレングリコールと、nモルのフランジカルボン酸(2,5−Furandicarboxylic Acid)との脱水反応によって、PEFが合成される。この合成反応における化学量論上の質量比は、エチレングリコール:フランジカルボン酸=33:67(質量比)である。PEFの主鎖の両末端は水素原子である。
【0051】
【化2】
[(2)式中、nは化学量論係数(重合度)であり、250〜1100の数である。]
【0052】
フランジカルボン酸(FDCA)は、例えば、植物由来のフルクトースやグルコース等の植物由来の糖類の脱水反応によってヒドロキシメチルフルフラール(HMF)を得、HMFを酸化して得られる。
図4に示すように、FDCA及びエチレングリコールの双方が植物由来の場合、製造されるPEFは、植物由来100質量%のPEFである。
【0053】
低環境負荷樹脂の含有量は、非発泡層20に含まれる樹脂の総質量に対して、90質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましく、40質量%以下が最も好ましい。低環境負荷樹脂の含有量が上記上限値以下であると、発泡容器の耐衝撃性をより高められる。低環境負荷樹脂の含有量の下限値は、非発泡層20に含まれる樹脂の総質量に対して、例えば、3質量%以上が好ましい。低環境負荷樹脂の含有量は、非発泡層20に含まれる樹脂の総質量に対して、100質量%であってもよい。
【0054】
非発泡層20が生分解性樹脂を含む場合、生分解性樹脂の含有量は、非発泡層20に含まれる樹脂の総質量に対して、3〜90質量%が好ましく、5〜75質量%がより好ましく、10〜60質量%がさらに好ましく、15〜50質量%が特に好ましく、20〜40質量%が最も好ましい。生分解性樹脂の含有量が上記下限値以上であれば、環境負荷をより低減できる。生分解性樹脂の含有量が上記上限値以下であれば、発泡容器の耐衝撃性をより高められる。
【0055】
非発泡層20は、熱可塑性樹脂以外の他の成分(以下、「任意成分」ともいう)を含有してもよい。任意成分としては、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、消臭剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。
任意成分の種類は、発泡シート1に求められる物性等を勘案して決定される。任意成分は、1種単独でもよく、2種以上の組み合わせでもよい。
【0056】
非発泡層20の厚さT20は、発泡シート1の用途等を勘案して決定され、例えば、20〜400μmが好ましく、40〜300μmがより好ましく、60〜200μmがさらに好ましい。非発泡層20の厚さT20が上記下限値以上であると、発泡容器の耐衝撃性のさらなる向上を図れる。非発泡層20の厚さT20が上記上限値以下であると、発泡シート1の成形性のさらなる向上を図れる。
【0057】
<シリコーンオイル(A)>
本実施形態の発泡シート1の片面又は両面には、シリコーンオイル(A)(以下、(A)成分ということがある)が存在する。発泡シート1の表面に(A)成分が存在することで、成形性及び耐ブロッキング性を高められる。「シリコーンオイルが存在する」とは、発泡シート1の表面上に全ての(A)成分が付着している状態のみならず、(A)成分の一部が発泡シート1の表面近傍に浸潤している状態を含む。
【0058】
(A)成分は、ポリオレフィン等衛生協議会のポジティブリストに適合するものであればよく、一般に広く使用されているジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。
【0059】
(A)成分の動粘度は、2000mm/sec.未満が好ましく、1700mm/sec.未満がより好ましく、1400mm/sec.未満がさらに好ましい。(A)成分の動粘度が上記上限値以下であれば、成形性及び耐ブロッキング性のさらなる向上が図れる。(A)成分の動粘度の下限値は、特に限定されないが、実質的に200mm/sec.以上が好ましく、400mm/sec.以上がより好ましく、600mm/sec.以上がさらに好ましい。
(A)成分の動粘度は、JIS K2283−2000に準拠し、25℃で測定される値である。
【0060】
発泡シート1において、(A)成分の存在量は、例えば、0.001〜0.20g/mが好ましく、0.002〜0.050g/mがより好ましく、0.004〜0.02g/mがさらに好ましい。(A)成分の存在量が上記下限値以上であれば、成形性及び耐ブロッキング性のさらなる向上を図れる。(A)成分の存在量が上記上限値以下であれば、外観をより良好にし、より美麗な印刷処理を施せる。
発泡シート1における(A)成分の存在量は、蛍光X線で測定される値である。
【0061】
(A)成分は、発泡シート1の表面に均一に分散していることが好ましい。(A)成分が均一に分散していることで、成形性及び耐ブロッキング性のさらなる向上を図れる。
(A)成分の分散の均一性は、以下の方法で確認できる。
発泡シート1の方面を赤外分光法に一回反転型ATR法によって分光スペクトルを測定する。得らえた分光スペクトルにおいて、1250〜1270cm−1の間に存在するピーク強度の最大値(I1260)と、1590〜1610cm−1の間に存在するピーク強度の最大値(I1600)との比〔(I1260)/(I1600)〕(以下、単に「ピーク強度の最大値比」ということがある)を算出する。
算出されたピーク強度の最大値比は、0.1〜3が好ましく、0.1〜1がより好ましい。ピーク強度の最大値比で上記範囲内であれば、(A)成分が均一に分散していると判断できる。
なお、I1260は、(A)成分のSi−CH3の伸縮運動に起因したピークである。
I1600は、ポリスチレン系樹脂のベンゼンとその誘導体の面内骨格振動に起因したピークである。
【0062】
<界面活性剤(B)>
界面活性剤(B)(以下、(B)成分ということがある)は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(b1)(以下、(b1)成分ということがある)及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(b2)(以下、(b2)成分ということがある)から選ばれる少なくとも1種である。発泡シート1は、(A)成分が存在する面において、(B)成分が存在しないか、あるいは(B)成分の存在量が特定の範囲であることで、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。
【0063】
(b1)成分は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである。(b1)成分は、例えば、下記(b1)式で表される化合物である。
【0064】
R−O−(CHCHO)−H ・・・(b1)
【0065】
(b1)式中、Rは、炭素数8〜18のアルキル基である。Rの炭素数は、10〜16が好ましく、12〜15がより好ましい。Rの炭素数が上記範囲内であれば、(A)成分を水に分散し、安定性の高い水中油滴型のエマルジョンを形成できる。Rは、直鎖でもよく、分岐鎖でもよい。
(b1)式中、nは、CHCHO(オキシエチレン基)の平均繰り返し数を表す。
nは、3〜50が好ましく、5〜40がより好ましい。
【0066】
発泡シート1において、(B)成分の存在量は、例えば、(A)成分100質量部に対して、2.5質量部以下が好ましく、2.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下がさらに好ましく、0質量部でもよい。(B)成分の存在量が上記上限値以下であれば、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。(B)成分の存在量の下限値は、特に限定されない。
発泡シート1における(B)成分の存在量は、高速液体クロマトグラフィーで測定される。
【0067】
発泡シート1の片面又は両面に、(B)成分が存在する場合、(B)成分が存在する面における(B)成分の存在量は、界面活性剤の総量100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、26質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましい。(B)成分の存在量が上記上限値以下であれば、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。
【0068】
<他の界面活性剤>
発泡シート1において、(A)成分が存在する面には、(B)成分以外の界面活性剤が存在してもよい。(B)成分以外の界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、(B)成分以外のノニオン界面活性剤等が挙げられる。発泡シート1において、(B)成分以外の界面活性剤の存在量は特に限定されない。但し、発泡シート1において、(B)成分以外のノニオン界面活性剤(他のノニオン界面活性剤)が存在しないか、あるいは(B)成分と他のノニオン界面活性剤との合計(ノニオン総量)が、(A)成分100質量部に対して、2.5質量部以下が好ましく、2.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下がさらに好ましい。ノニオン総量が上記上限値以下であれば、成形性及び耐ブロッキング性のさらなる向上が図れる。
他のノニオン界面活性剤としては、特に、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸モノアルカノールアミド、脂肪酸ジアルカノールアミド(但し、(b1)成分を除く)等が挙げられる。脂肪酸モノアルカノールアミド及び脂肪酸ジアルカノールアミドにおける脂肪酸の炭素数は、例えば、8〜18である。また、脂肪酸モノアルカノールアミド及び脂肪酸ジアルカノールアミドにおけるアルカノールの炭素数は、例えば、1〜5である。
【0069】
発泡シート1においては、(A)成分が存在する面には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(C)(以下、(C)成分ということがある)が存在することが好ましい。(C)成分は、アニオン界面活性剤である。(C)成分が存在することで、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。
(C)成分のアルキル基の炭素数は、例えば、10〜14が好ましい。
(C)成分を構成する対イオンは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン等のアミンが挙げられる。
(A)成分と共に(C)成分が存在する場合、(C)成分の存在量は、特に限定されないが、例えば、(A)成分100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、5〜16質量部がより好ましく、6〜14質量部がさらに好ましい。(C)成分の存在量が上記下限値以上であれば、(A)成分をより均一に分散して、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。(C)成分の存在量が上記上限値以下であれば、(A)成分の効果を妨げず、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。
【0070】
発泡シート1においては、(A)成分の存在する面には、(C)成分以外のアニオン界面活性剤が存在してもよい。(C)成分以外のアニオン界面活性剤としては、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩等があげられる。これらのアニオン界面活性剤の塩を構成する対イオンは、(C)成分を構成する対イオンと同様である。
(A)成分の存在する面に(C)成分以外のアニオン界面活性剤が存在する場合、アニオン界面活性剤の存在量の総量((C)成分を含む)は、(A)成分100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、5〜16質量部がより好ましく、6〜14質量部がさらに好ましい。
【0071】
界面活性剤の存在量の総量((B)成分、(C)成分を含む)は、(A)成分100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、16質量部以下がより好ましく、14質量部以下がさらに好ましく、0質量部でもよい。界面活性剤の存在量の総量が上記上限値以下であれば、(A)成分の効果を妨げず、成形性及び耐ブロッキング性のさらなる向上を図れる。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(C)の存在量は、界面活性剤の総量((B)成分、(C)成分を含む)100質量部に対して、60質量部以上が好ましく、74質量部以上がより好ましく、88質量部以上がさらに好ましく、100質量部でもよい。(C)成分の存在量が上記下限値以上であれば、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。
発泡シート1における(C)成分の存在量は、高速液体クロマトグラフィーで測定される。
【0072】
(発泡シートの製造方法)
発泡シートは、従来公知の製造方法により製造される。
発泡シート1の製造方法としては、例えば、発泡層10となる発泡層原反と、非発泡層20となる非発泡層原反とを各々製造し、非発泡層原反と発泡層原反とを重ね、これを加熱圧着(熱圧着法)して積層体とし(積層工程)、この積層体の片面又は両面にシリコーンエマルジョンを塗布する(塗布工程)方法が挙げられる。
積層体の製造方法としては、非発泡層原反と発泡層原反とを重ね、層同士を接着剤で貼り合せる方法(貼合法)が挙げられる。
積層体の製造方法としては、非発泡層20の原料となる樹脂をTダイにより発泡層原反の表面に押し出す方法(Tダイ法)、共押出により発泡層10に非発泡層20が設けられた積層体を得る方法(共押出法)等が挙げられる。
【0073】
非発泡層原反の製造方法としては、公知の非発泡層原反の製造方法を採用できる。
非発泡層原反の製造方法としては、非発泡層原反の原料となる2種以上の樹脂ペレットを予め溶融混合し、再度ペレット(混合ペレット)とし、これを押出機に供給して溶融し、混錬して、非発泡層原反を製造してもよいし、混合ペレットをTダイ法又は共押出法に供してもよい。あるいは、混合ペレットを製造せずに、1種以上の樹脂ペレットを押出機に供給して溶融し、混錬して非発泡層原反を製造してもよいし、Tダイ法又は共押出法で非発泡層を形成してもよい。低環境負荷樹脂の分散性をより高めて、発泡容器の耐衝撃性をより高められる観点から、混合ペレットを用いて非発泡層を形成することが好ましい。
【0074】
発泡層原反の製造方法としては、公知の発泡層原反の製造方法を採用できる。
まず、熱可塑性樹脂及びその他成分を含有する原料組成物と、発泡剤とを押出機に供給して溶融し、混練して発泡性樹脂組成物とする。熱可塑性樹脂を溶融する温度(溶融温度:設定温度)は、例えば、180〜270℃が好ましい。溶融温度が上記下限値以上であると、樹脂と他の原料とを均一に混合できる。溶融温度が上記上限値以下であると、樹脂の分解を抑制できる。
【0075】
積層体の片面又は両面にシリコーンエマルジョンを含む塗布液を塗布し、次いで積層体の表面を乾燥することで、発泡シート1が得られる。
塗布液の塗布方法としては、従来公知の方法が挙げられ、例えば、グラビアコーター等のロールコーター法、噴霧法等が挙げられる。
【0076】
シリコーンエマルジョンは、水と(A)成分と任意に(B)成分とを含み、水中に(A)成分が分散して形成された、水中油滴型の乳剤である。
シリコーンエマルジョン中の(A)成分の含有量は、シリコーンエマルジョンの総質量に対して15〜55質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましく、25〜45質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、発泡シート1の表面における(A)成分の存在量が充分に高まり、成形性及び耐ブロッキング性のさらなる向上を図れる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、シリコーンエマルジョンの粘度が適度に低くなり、積層体の表面にシリコーンエマルジョンをより均一に塗布できる。
シリコーンエマルジョン中の水の含有量は、シリコーンエマルジョンの総質量に対して45〜85質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましく、55〜75質量%がさらに好ましい。水の含有量が上記下限値以上であれば、シリコーンエマルジョンの粘度が適度に低くなり、積層体の表面にシリコーンエマルジョンをより均一に塗布できる。水の含有量が上記上限値以下であれば、発泡シート1の表面における(A)成分の存在量が充分に高まり、成形性及び耐ブロッキング性のさらなる向上を図れる。
塗布液は、シリコーンエマルジョンを水で希釈したものであり、希釈倍率は2〜100倍が好ましく、3〜60倍がより好ましく、5〜20倍がさらに好ましい。希釈倍率が上記下限値以上であれば、塗布液の粘度が適度に低くなり、積層体の表面に塗布液をより均一に塗布できる。希釈倍率が上記上限値以下であれば、発泡シート1の表面における(A)成分の存在量が充分に高まり、成形性及び耐ブロッキング性のさらなる向上を図れる。
【0077】
塗布液中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、2.5質量部以下が好ましく、2.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下がさらに好ましく、0質量部でもよい。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。
塗布液中の(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、5〜16質量部がより好ましく、6〜14質量部がさらに好ましい。(C)成分の存在量が上記下限値以上であれば、(A)成分をより均一に分散して、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。(C)成分の存在量が上記上限値以下であれば、(A)成分の効果を妨げず、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。
【0078】
積層体への塗布液の塗布量は、0.01〜2.0g/mが好ましく、0.05〜1.0g/mがより好ましく、0.1〜0.7g/mがさらに好ましい。塗布液の塗布量が上記下限値以上であれば、成形性及び耐ブロッキング性のさらなる向上を図れる。塗布液の塗布量が上記上限値以下であれば、より美麗な印刷処理を施せる。
【0079】
塗布液は、(B)成分及び(C)成分以外の界面活性剤を含有していてもよい。(B)成分及び(C)成分以外の界面活性剤の種類及び量は、発泡シート1における(B)成分及び(C)成分以外の界面活性剤と同様である。
【0080】
塗布液は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、並びに(B)成分及び(C)成分以外の界面活性剤以外の任意成分を含有してもよい。塗布液の任意成分としては、酸化防止剤、充填剤等が挙げられる。
【0081】
塗布液を塗布した表面を乾燥する方法としては、熱風による乾燥法、赤外線による乾燥法等が挙げられる。
【0082】
本実施形態によれば、片面又は両面に(A)成分が存在するため、成形性及び耐ブロッキング性がより高められる。
加えて、本実施形態によれば、(A)成分が存在する面の少なくとも一方は、(B)成分の存在量が特定の範囲である。このため、(B)成分によって(A)成分の効果が妨げられず、成形性及び耐ブロッキング性をより高められる。
【0083】
なお、本実施形態では、発泡層10の片面にのみ非発泡層20が位置しているが、本発明はこれに限定されず、発泡層10の両面に非発泡層20が位置していてもよいし、発泡層10のいずれの面にも非発泡層20を有しなくてもよい。
【0084】
本実施形態では、発泡層10と非発泡層20のみを備えるが、本発明はこれに限定されず、発泡シートの第一の面11及び第二の面21の双方もしくはいずれか一方に印刷処理が施されていてもよい。あるいは、非発泡層20における発泡層10に向く面に印刷処理が施されていてもよい。
また、発泡シート1は、発泡層10と非発泡層20との間に接着層を有していてもよい。
【0085】
(ポリスチレン系樹脂発泡容器)
本発明のポリスチレン系樹脂発泡容器(発泡容器)は、上述した本発明の発泡シートを成形してなるものである。
成形体としては、例えば、平面視形状が真円形、楕円形、半円形、多角形、扇形等のトレー、丼形状の容器、有底円筒状又は有底角筒状等の容器、納豆用容器等の蓋付容器等の種々の容器;容器本体に装着される蓋体等が挙げられる。
これらの容器の用途としては、例えば、食品用が好ましい。
【0086】
本発明の発泡容器の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図5の発泡容器100は、平面視形状が真円形の丼形状の容器である。発泡容器100は、円形の底壁110と、底壁110の周縁から立ち上がる側壁120とを有する。側壁120は上端に向かうに従い、外側に広がっている。
発泡容器100には、側壁120の上端で囲まれた開口部130が形成されている。側壁120の上端で囲まれた開口部130は、平面視真円形である。底壁110は、開口部130の方向に凸となる平面視真円形の凸部112と、凸部112を囲む円環状の凹部114とから形成されている。
発泡容器100は、即席麺等を収納し、熱湯を注いで喫食する等の食品用の容器として、好適に用いられる。
【0087】
なお、本実施形態の発泡容器100は、平面視で真円形であるが、本発明はこれに限定されない。発泡容器の平面視形状は、楕円形でもよいし多角形でもよい。
【0088】
発泡容器100は、内面のみに非発泡層を有していてもよく、外面のみに非発泡層を有していてもよく、内面及び外面の双方に非発泡層を有していてもよい。あるいは、発泡容器100は、内面及び外面のいずれにも非発泡層を有していなくてもよい。
【0089】
発泡容器100の片面又は両面に、(A)成分と、任意に(B)成分とが存在する。(A)成分が存在する面は、発泡容器100の内面でもよいし、発泡容器100の外面でもよいし、発泡容器100の両面でもよい。
【0090】
発泡容器100における(A)成分の種類及び存在量は、発泡シート1における(A)成分の種類及び存在量と同様である。
発泡容器100における(B)成分の種類及び存在量は、発泡シート1における(B)成分の種類及び存在量と同様である。
発泡容器100における(B)成分以外の界面活性剤の種類及び存在量は、発泡シート1における(B)成分以外の界面活性剤の種類及び存在量と同様である。
【0091】
(発泡容器の製造方法)
発泡容器の製造方法としては、例えば、発泡シートを加熱して軟化させ(加熱工程)、これを雌型と雄型とで挟み込んで成形する(成形工程)方法(熱成形方法)が挙げられる。
【0092】
加熱工程は、発泡シートを加熱して軟化する工程である。加熱工程における加熱温度は、発泡シートが軟化する温度であればよく、例えば、80〜150℃とされる。
【0093】
成形工程は、加熱された発泡シートを雌型と雄型とで挟み込んで、任意の形状の容器を得る工程である。この際、本発明の発泡シートは、片面又は両面に(A)成分と任意に特定量の(B)成分とが存在するため、発泡シートは雌型の内面形状及び雄型の外面形状に追随して引き延ばされ、成形性がより高められる。
成形工程における成形方法としては、例えば、真空成形や圧空成形、あるいはこれらの応用としてのフリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースロード成形等、従来公知の熱成形方法が挙げられる。
成形工程における成形型の温度は特に限定されないが、例えば、50〜150℃が好ましく、60〜130℃がより好ましい。成形型の温度が上記下限値以上であると、成形速度を高められる。成形型の温度が上記上限値以下であると、発泡シートが溶融するのを防止できる。
成形型内で、発泡シートを所望の形状に成形した後、金型を開き、発泡シートから発泡容器部分を打ち抜く。打ち抜いた発泡容器を積み重ね、これを保管する。積み重ねられた状態では、上部の発泡容器の底壁110は、開口部130内に受け入れられた状態となっている。保管した後、積み重ねられた発泡容器の群から、発泡容器を1つずつ取り出し、この発泡容器に内容物を充填する。この際、本発明の発泡容器は、片面又は両面に(A)成分と任意に特定量の(B)成分とが存在するため、発泡容器を一つずつ容易に取り出せる。
【0094】
以上説明した通り、本発明の発泡容器によれば、片面又は両面に(A)成分と任意に特定量の(B)成分とが存在するため、発泡容器は成形性及び耐ブロッキング性がより高められる。
【実施例】
【0095】
以下に、実施例を示して本願発明をより詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0096】
(使用原料)
<シリコーンエマルション>
・S−1:シリコーンエマルジョン、ジメチルシリコーンオイル33質量%、シリコーンオイルの動粘度=1000mm/sec.。界面活性剤として、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキル基の炭素数=10〜14)((C)成分)を、シリコーンオイル100質量部に対して10.0質量部含有する。
・S−2:シリコーンエマルジョン、ジメチルシリコーン40質量%、シリコーンオイルの動粘度=350mm/sec.。界面活性剤を含まず。
・S−3:シリコーンエマルジョン、ジメチルシリコーン35質量%、シリコーンオイルの動粘度=1000mm/sec.。界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルキル(アルキル基のC12〜15)エーテル((b1)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して2.9質量部含有し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキル基の炭素数=10〜14)((C)成分)を、シリコーンオイル100質量部に対して2.9質量部含有する。
・S−4:シリコーンエマルジョン、ジメチルシリコーンオイル31質量%、シリコーンオイルの動粘度=1000mm/sec.。界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルキル(アルキル基の炭素数12〜15)エーテル((b1)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して4.8質量部含有する。
・S−5:シリコーンエマルジョン、ジメチルシリコーンオイル35質量%、シリコーンオイルの動粘度=10000mm/sec.。界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド((b2)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して2.9質量部含有し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキル基のC10〜14)((C)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して2.9質量部含有する。
・S−6:シリコーンエマルジョン、「S−1」40質量部と「S−3」60質量部との混合品。シリコーンオイル34質量%、シリコーンオイルの動粘度=1000mm/sec.。界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルキル(アルキル基の炭素数12〜15)エーテル((b1)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して1.8質量部含有し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキル基のC10〜14)((C)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して5.6質量部含有する。
・S−7:シリコーンエマルジョン、「S−1」70質量部と「S−3」30質量部との混合品。シリコーンオイル34質量%、シリコーンオイルの動粘度=1000mm/sec.。界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルキル(アルキル基の炭素数12〜15)エーテル((b1)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して0.9質量部含有し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキル基のC10〜14)((C)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して7.7質量部含有する。
・S−8:シリコーンエマルジョン、「S−1」40質量部と「S−5」60質量部との混合品。シリコーンオイル34質量%、シリコーンオイルの動粘度=6400mm/sec.。界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド((b2)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して1.8質量部含有し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキル基のC10〜14)((C)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して5.6質量部含有する。
・S−9:シリコーンエマルジョン、「S−1」70質量部と「S−5」30質量部との混合品。シリコーンオイル34質量%、シリコーンオイルの動粘度=3700mm/sec.。界面活性剤として、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド((b2)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して0.9質量部含有し、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキル基のC10〜14)((C)成分)をシリコーンオイル100質量部に対して7.7質量部含有する。
【0097】
(実施例1〜17、比較例1〜5)
ポリスチレン樹脂(製品名:HRM40(東洋スチレン社製))100質量部に、気泡調整剤として粉末タルク0.7質量部相当のマスターバッチ品(電化スチロール社製DSM−1401A)を混合し、これを第1の押出部に投入した。発泡剤としてブタンガス3.3質量部を第1の押出部内に圧入して、樹脂と発泡剤を230℃で混合して、発泡性樹脂組成物とした。次に、第二の押出部にて発泡性樹脂組成物の温度を160℃とし、サーキュラーダイから発泡性樹脂組成物を押出して発泡層原反を形成しつつ、押出された発泡層原反の外表面に冷却空気(28℃)を吹き付け、坪量220g/m、厚み1.8mmの発泡層原反を得た。
発泡層原反を20日間熟成した後、発泡層原反の片面に耐衝撃性ポリスチレン樹脂(製品名:E641N(東洋スチレン社製))をTダイで押し出して、厚み120μmの非発泡層を設け、積層体を得た。表1〜3に記載の各シリコーンエマルジョンを水で質量比11倍(シリコーンエマルジョン:水=1:10)に希釈して塗布液とした。得られた積層体を巻き取りつつ、巻き取る直前に、シリコーン塗布装置(ニッカ社製)で塗布液を表中に記載の面に塗布し、乾燥して、各例の発泡シートを得た。塗布液の塗布量は、0.4g/mとした。
得られた発泡シートについて、成形性及び耐ブロッキング性を評価し、その結果を表中に記載した。なお、実施例1〜5、10〜17は参考例である。
【0098】
(実施例18)
非発泡層を設けず、片面にのみ塗布液を塗布した以外は、実施例1と同様にして発泡シートを得た。
得られた発泡シートについて、成形性及び耐ブロッキング性を評価し、その結果を表中に記載した。なお、実施例18は参考例である。
【0099】
(評価方法)
<成形性>
≪標準温度での成形性評価≫
各例の発泡シートを27±3℃、相対湿度60±5%にて24時間に亘って放置した後、発泡シートから縦700mm×横1040mmの平面長方形状の試験片を切り出した。
次に、単発成形機(東成産業社製、商品名「FM−3A」)を用い、この単発成形機の上側ヒーターの平均温度を270℃とし、下側ヒーターの平均温度を220℃とし、雰囲気温度を155℃とした。
次に、上記試験片を単発成形機に導入して17秒間加熱した後に、熱成形により上部に開口部を有する発泡容器を、各実施例に対してそれぞれ18個作製した。容器形状については、実施例1〜15及び実施例18、比較例1〜5では、容器内面に非発泡層を有し、底面が正方形状である逆四角錐台状の発泡容器(開口部150mm×150mm、底面110mm×110mm、高さ60mm)を作製した。
実施例16、17では、容器外面に非発泡層を有する、逆円錐台状の発泡容器(開口直径140mm、底部直径100mm、高さ70mm)を作製した。得られた容器を目視し下記基準で成形性を評価した。
【0100】
[評価基準]
・A:18個全て成形が良好であった。
・B:一部の容器に、わずかに皺が見られたが、ひび割れはなかった。
・C:一部の容器に、ひび割れが見られた。
・D:全ての容器に、ひび割れや皺が見られた。
【0101】
≪低温条件での成形性評価≫
試験片を単発成形機に導入して15秒間加熱した後に熱成形したこと以外は、上記「標準温度での成形性評価」と同様にして、成形性を評価した。
【0102】
≪高温条件での成形性評価≫
試験片を単発成形機に導入して19秒間加熱した後に熱成形したこと以外は上記「標準温度での成形性評価」と同様にして、成形性を評価した。
【0103】
<耐ブロッキング性>
「標準温度での成形性評価」で得られた18個の容器を互いに上下方向に嵌め合わせて重ね合わせ、これを23℃にて48時間に亘って養生した後、容器同士を分離する際の抵抗を下記基準に基づいて評価した。
【0104】
≪評価基準≫
・A:容器同士を簡単に抵抗なく分離でき、かつ重ねた容器を上部から押し込んでも、容易に分離できた。
・B:容器同士を分離できたが、重ねた容器を上部から押し込み、分離しようとすると、抵抗があり困難であった。
・C:容器同士を分離させる際に抵抗があり分離が困難であった。
【0105】
<総合評価>
下記基準に基づいて、評価した。
≪評価基準≫
・A:全ての項目評価が「A」であった。
・B:全ての項目評価が「A」又は「B」であり、1つ以上の「B」があった。
・C:全ての項目評価が「A」、「B」又は「C」であり、1つの「C」があった。
・D:評価に「C」又は「D」があり、かつ「C」と「D」の合計が2つ以上であった。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
表1〜3に示す通り、本発明を適用した実施例1〜18は、いずれも総合評価が「A」〜「C」であった。
非発泡層面及び発泡層面のいずれも、(B)成分の存在量が本発明の範囲外である比較例1〜3、片面のみに(A)成分が存在し、その面における(B)成分の存在量が本発明の範囲外である比較例4、及び、いずれの面にもシリコーンオイルが存在しない比較例5は、総合評価が「D」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、成形性及び耐ブロッキング性をより高められることが判った。
【符号の説明】
【0110】
1 発泡シート
10 発泡層
11 第一の面
20 非発泡層
21 第二の面
【要約】
【課題】ポリスチレン系樹脂発泡シートについて、成形性及び耐ブロッキング性をより高める。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂を含む発泡層10を有するポリスチレン系樹脂発泡シートにおいて、片面又は両面に、シリコーンオイル(A)と、任意にポリオキシエチレンアルキルエーテル(b1)及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(b2)から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)とが存在し、前記界面活性剤(B)の存在量は、前記シリコーンオイル(A)100質量部に対して2.5質量部以下であり、前記片面又は両面には、前記界面活性剤(B)が存在し、前記界面活性剤(B)が存在する面において、前記界面活性剤(B)の存在量は、界面活性剤の総量100質量部に対して、40質量部以下であることよりなる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5