(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記車両ドアが開動作または閉動作するとき、前記第1センサが物を検出すること及び前記第2センサが物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立に基づいて、前記車両ドアの動作を中断させて停止させるための停止指令信号を出力する
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のドア開閉装置。
前記制御装置は、前記第1センサが物を検出すること及び前記第2センサが物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立により前記車両ドアが停止状態であるとき、前記物検出条件の成立から設定時間を経過するまでの間で、前記第1センサが物を検出しない、かつ前記第2センサが物を検出しないという物非検出条件が成立することに基づいて、前記車両ドアの中断動作を再開させるための再開指令信号を出力する
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のドア開閉装置。
前記制御装置は、前記第1センサが物を検出すること及び前記第2センサが物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立により前記車両ドアが停止状態であるとき、前記物検出条件の成立から設定時間の経過後、前記第1センサ及び前記第2センサの少なくとも一方の検出状態が変化することに基づいて、中断動作前とは逆方向の動作を行わせるための逆動作指令信号を出力する
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のドア開閉装置。
前記制御装置は、前記車両ドアが全開状態であるとき、前記第1センサが物を検出すること及び前記第2センサが物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立に基づいて、前記車両ドアを閉動作させるための閉動作指令信号を出力する
請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のドア開閉装置。
前記制御装置は、前記車両ドアが閉動作状態でありかつ前記車両ドアが全閉直前の位置にあるとき、前記車両ドアの角度に対する前記第1センサの検出信号変化と、前記第1センサが車両以外の物を検出していない状態で記憶された参照信号変化とが乖離することに基づいて、前記車両ドアを停止するための停止指令信号を出力する
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のドア開閉装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記技術の場合、上下回転式の車両ドアにおいては次の支障が生じる。すなわち、上記技術では、車両ドアの下に足が配置される程度まで人が近づいた状態で車両ドアが開くため、車両ドアが開くと、車両ドアが人に接触する虞がある。そこで、本発明の目的は、車両ドアが開く際、人との接触を抑制できるドア開閉装置及び車両ドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するドア開閉装置は、駆動装置により上下に開閉する車両ドアを操作するドア開閉装置であって、前記車両ドアの下端に設けられて物を検出する第1センサと、前記車両ドアで前記第1センサよりも車両ルーフ側に配置されて物を検出する第2センサと、前記第1センサ及び前記第2センサが接続される制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第1センサの物の検出存否及び前記第2センサの物の検出存否に基づいて前記車両ドアの動作を制御する信号を出力する
ものであって、前記制御装置は、前記車両ドアが閉状態であるとき、前記第2センサが物を検出し、かつ前記第1センサが物を検出しないという開条件の成立に基づいて、前記車両ドアを開動作させるための開動作指令信号を出力する。
【0006】
この構成によれば、第2センサは、第1センサよりも車両ルーフ側(すなわち上側)にあるため、手をかざす等の操作によって、第1センサを反応させずに第2センサを反応させることが可能である。車両ドアから離れたところから第2センサを反応させることができることから、車両ドアの開閉時に車両ドアが人に接触することを抑制できる。
制御装置が、第2センサが物を検出しかつ第1センサが物を検出するときは、人が車両ドアの近くに存在している可能性が高く、車両ドアの開動作により車両ドアが人に接触するおそれがある。第2センサが物を検出しかつ第1センサが物を検出しないとき、人が車両ドアから離れたところから手をかざす等の操作により第2センサを反応させている状態にある可能性が高い。そこで、第2センサが物を検出しかつ第1センサが物を検出するときは、制御装置は、車両ドアを開動作させるための開動作指令信号を出力しない。そして、制御装置は、第2センサが物を検出しかつ第1センサが物を検出しないとき、車両ドアを開動作させるための開動作指令信号を出力する。これにより、ユーザが車両ドアを開くとき、車両ドアの開動作により車両ドアが人に接触することが抑制される。
【0007】
(2)上記ドア開閉装置において、前記第2センサは、前記車両ドアのハンドルの周囲に配置される。
この構成によれば、ハンドル付近に手をかざす等の操作により、車両ドアを操作することができる。
【0008】
(3)上記ドア開閉装置において、前記第1センサ及び前記第2センサは、静電容量センサを備え、前記第1センサの少なくとも物検出用の電極において、車外側の面の少なくとも一部は金属により被覆されず、前記第2センサの少なくとも物検出用の電極において、車外側の面の少なくとも一部は金属により被覆されない。
【0009】
静電容量センサの物検出用の電極の全部が金属で覆われると、物の検出のための、静電容量変化が十分に得られず、検出精度が低下する。この点、第1センサの物検出用の電極及び第2センサの物検出用の電極はともに少なくとも一部が金属から露出するため、全部が金属で被覆されているものに比べて、物の検出精度が高い。
【0010】
(4)上記ドア開閉装置において、前記第1センサ及び前記第2センサは、静電容量センサを備え、前記第1センサの少なくとも物検出用の電極において、車外側の面及び車内の面は金属により被覆されない。
この構成によれば、第1センサにより、車外側に配置される物及び車内側に配置される物のいずれも検出可能である。
【0012】
(6)上記ドア開閉装置において、前記制御装置は、前記車両ドアが開動作または閉動作するとき、前記第1センサが物を検出すること及び前記第2センサが物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立に基づいて、前記車両ドアの動作を中断させて停止させるための停止指令信号を出力する。
この構成によれば、車両ドアが開くまたは閉じるときに車両ドアが物に接近すると、車両ドアの動作が停止する。これによって、車両ドアと物との接触が抑制される。また、人の手の操作で、車両ドアの動作を中断させて停止することもできる。
【0013】
(7)上記ドア開閉装置において、前記制御装置は、前記第1センサが物を検出すること及び前記第2センサが物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立により前記車両ドアが停止状態であるとき、前記物検出条件の成立から設定時間を経過するまでの間で、前記第1センサが物を検出しない、かつ前記第2センサが物を検出しないという物非検出条件が成立することに基づいて、前記車両ドアの中断動作を再開させるための再開指令信号を出力する。
この構成によれば、手をかざす等の一時的な人の操作(設定時間以内の操作)で、車両ドアを一時的に停止でき、その操作を止めることで、車両ドアの動作を再開できる。
【0014】
(8)上記ドア開閉装置において、前記制御装置は、前記第1センサが物を検出すること及び前記第2センサが物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立により前記車両ドアが停止状態であるとき、前記物検出条件の成立から設定時間の経過後、前記第1センサ及び前記第2センサの少なくとも一方の検出状態が変化することに基づいて、中断動作前とは逆方向の動作を行わせるための逆動作指令信号を出力する。
この構成によれば、動作を中断した車両ドアに対して簡単な操作により、中断動作前とは逆方向に車両ドアを動作させることができる。
【0015】
(9)上記ドア開閉装置において、前記制御装置は、前記車両ドアが全開状態であるとき、前記第1センサが物を検出すること及び前記第2センサが物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立に基づいて、前記車両ドアを閉動作させるための閉動作指令信号を出力する。
この構成によれば、全開した車両ドアに対して簡単な操作で、車両ドアを閉動作させることができる。
【0016】
(10)上記ドア開閉装置において、前記制御装置は、前記車両ドアが閉動作状態でありかつ前記車両ドアが全閉直前の位置にあるとき、前記車両ドアの角度に対する前記第1センサの検出信号変化と、前記第1センサが車両以外の物を検出していない状態で記憶された参照信号変化とが乖離することに基づいて、前記車両ドアを停止するための停止指令信号を出力する。
車両ドアが全閉直前の位置に配置されると、第1センサが車両を検出するおそれがある。第1センサが車両(具体的には、ドア開口部)を検出すると、車両ドアが停止し、スムーズな閉鎖ができない。この点、上記構成によれば、車両ドアの角度に対する第1センサの検出信号変化と参照信号変化とが乖離することに基づいて、車両ドアを停止するための停止指令信号を出力する。これにより、第1センサが車両を検出することに基づいて車両ドアが停止することを抑制でき、車両ドアをスムーズに閉鎖できる。
【0017】
(11)車両ドアは、上記いずれかのドア開閉装置を備える。この構成によれば、車両ドアが開く際、車両ドアが人に接触することが抑制される。
【発明の効果】
【0018】
上記ドア開閉装置及び車両ドアは、車両ドアが開く際、人との接触を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜
図13を参照して、ドア開閉装置について説明する。
以下の説明で、車両1の「上下方向」とは、車両1が平地に配置されたとき鉛直方向に沿う方向を示す。ドア開閉装置10の「上下方向」とは、ドア開閉装置10が搭載された車両1が平地に配置されているとき鉛直方向に沿う方向を示す。
【0021】
ドア開閉装置10は、車両ドア2の動作を制御するための装置である。以下に説明するように、ドア開閉装置10は、物の検出により、車両ドア2の動作を制御する。物の検出とは、人の手、障害物等、センサにより検出され得る物の検出を示す。結果的に、ドア開閉装置10は、第1に、人の操作に基づいて車両ドア2の動作を制御し、第2に、車両ドア2の周辺の物との接触抑制のために、車両ドア2の動作を制御する。
【0022】
図1及び
図2に示されるように、ドア開閉装置10は、駆動装置4の動力で上下に開閉する車両ドア2に搭載される。ドア開閉装置10が搭載される車両ドア2の例として、例えば、上下に開閉するリアドア、バタフライドア、ガルウィングドア、シザードア等が挙げられる。なお、本実施形態では、リアドアに搭載されるドア開閉装置10について説明する。
【0023】
車両ドア2を移動させる駆動装置4は、車両本体または車両ドア2に搭載される。駆動装置4は、モータ4aと、モータ4aの動力により移動する移動体4bと、モータ4aを制御するモータ制御装置4cにより構成される。駆動装置4は、移動体4bの移動により車両ドア2を開閉させる。移動体4bは、ラックアンドピニオン構造のラックで構成される。また、移動体4bは、モータ4aにより回転するスピンドルに係合するチューブで構成され得る。また、移動体4bは、ラックまたはチューブにより操作されるアームを含み得る。
【0024】
駆動装置4は、ドア開閉装置10の制御装置13が出力する信号に基づいて動作する。駆動装置4は、ドア開閉装置10の制御装置13が出力する信号で制御され得る。または、駆動装置4は、車両制御装置(車両に搭載される制御装置)により制御され得る。後者の場合、ドア開閉装置10の制御装置13が出力する信号は、車両制御装置に入力され、車両制御装置は入力された信号に基づく指令を駆動装置4に出力する。駆動装置4は、ドア開閉装置10以外の他の信号に基づいて動作し得る。例えば、車両1の運転席付近に設けられる車両ドア開閉用の操作装置の操作信号に基づいて動作し得る。
【0025】
図1〜
図4を参照して、ドア開閉装置10について説明する。
図1及び
図2に示されるように、ドア開閉装置10は、物を検出する第1センサ11と、物を検出する第2センサ12と、制御装置13とを備える。
第1センサ11は、当該第1センサ11の近傍に配置される物を検出する。第1センサ11は、車両ドア2の下端に設けられる。第1センサ11の検出エリアAXは、ドア開閉装置10が車両ドア2に搭載された状態で、車両1の後方に向く。
【0026】
例えば、第1センサ11は、静電容量センサを備える。静電容量センサは、物検出用の電極を有する。静電容量センサは、物検出用の電極の付近に配置される物と当該電極との距離に応じて変化する静電容量を検出する。第1センサ11の少なくとも物検出用の電極において、車外側の面の少なくとも一部は金属により被覆されないことが好ましい。静電容量センサの物検出用の電極の全部が金属で覆われると、物の検出のための、静電容量変化が十分に得られず、検出精度が低下する。上記構成によれば、全部が金属で被覆されているものに比べて、物の検出精度を高くできる。具体的には、第1センサ11は、車両ドア2の下端に設けられる樹脂部品に配置されることが好ましい。
【0027】
このような第1センサ11は、静電容量センサの容量または容量変化に応じた信号を出力する。第1センサ11が出力する信号は、静電容量センサの容量または容量変化に応じたアナログ信号であり、または、物の検出を判定するための閾値(複数の閾値があってもよい。)を用いて量子化されたデジタル信号である。
【0028】
第2センサ12は、当該第2センサ12の近傍に配置される物を検出する。第2センサ12の構成は、第1センサ11の構成と同様であり、例えば、静電容量センサを備え、第2センサ12の少なくとも物検出用の電極において、車外側の面の少なくとも一部は金属により被覆されないことが好ましい。
【0029】
図4に示されるように、第2センサ12の検出エリアAYは、ドア開閉装置10が車両ドア2に搭載された状態で、車両1の後方に向く。すなわち、第2センサ12の検出エリアAYと第1センサ11の検出エリアAXとは同じ方向に向く。
【0030】
図2に示されるように、第2センサ12は、車両ドア2で第1センサ11よりも車両ルーフ側に配置される。すなわち、第2センサ12は、車両1が平地に配置されるとき、第2センサ12は第1センサ11よりも高い位置にある。例えば、車両1等が箱型であって車両ドア2が上下方向に延びる場合、第2センサ12は、車両ドア2の中央部付近に配置される(
図1及び
図2参照)。
【0031】
図3に示されるように、車両1等が側面視で細長であって車両ドア2が、上下方向に延びる後部2aと、後部2aの上端から前方かつ上方に弧を描く湾曲部2bとから構成される場合、第2センサ12は、車両ドア2の後部2aと湾曲部2bとの間付近に配置される(
図3参照)。また、第2センサ12は、ハンドル3の周囲に配置されてもよい。この構成の場合、ハンドル3付近に手20をかざす等の操作により、車両ドア2を操作することができる。
【0032】
制御装置13について説明する。
制御装置13は、第1センサ11の物の検出存否及び第2センサ12の物の検出存否に基づいて、車両ドア2の動作を制御する信号を駆動装置4の制御部に出力する。駆動装置4の制御部とは、駆動装置4のモータ制御装置4c、または、モータ制御装置4cに指令する車両制御装置(車両に搭載されている制御装置)である。
【0033】
「第1センサ11の物検出」とは、第1センサ11が物を検出していることを示す。具体的には、「第1センサ11の物検出」は、第1センサ11と物との間の距離に応じて変化する物理量(以下、「距離物理量P」。例えば、静電容量、静電容量の変化量、静電容量に応じた電位)が、予め設定された範囲(以下、「設定範囲」)にある状態を示す。この範囲は、第1センサ11が物を検出するときの距離物理量Pに基づいて設定される。
【0034】
「第1センサ11の非検出」とは、第1センサ11が物を検出していないことを示す。具体的には、「第1センサ11が物を検出していないこと」は、距離物理量Pが、上記の設定範囲にない状態を示す。
【0035】
第1センサ11の上記距離物理量Pが設定範囲にあるか否かは、第1センサ11内の回路で判定され、または第1センサ11の出力信号に基づいて制御装置13で判定される。
「第2センサ12の物検出」とは、第2センサ12が物を検出していることを示す。「第2センサ12が物を検出していること」とは、「第1センサ11が物を検出していること」の定義に準ずる。
【0036】
「第2センサ12の非検出」とは、第2センサ12が物を検出していないことを示す。「第2センサ12が物を検出していないこと」とは、「第1センサ11が物を検出していないこと」の定義に準ずる。
【0037】
次に、ドア開閉装置10の動作を説明する。
図4に示されるように、ドア開閉装置10は、第1センサ11の物検出かつ第2センサ12の物非検出に基づいて、車両ドア2を開くための指令を駆動装置4に出力する。
図5及び
図6に示されるように、ドア開閉装置10は、第1センサ11の物検出及び第2センサ12の物検出の少なくとも一方の成立に基づいて、車両ドア2の動作を停止させるための指令を駆動装置4に出力する。
図5は、第1センサ11が人の手20を検出し、この検出に基づいて車両ドア2が停止する状態を示している。このようにして、人の操作により車両ドア2の動作が制御される。
図6は、第1センサ11が障害物21(本例では、鉛直方向に延びる壁)を検出し、この検出に基づいて車両ドア2が停止する状態を示している。この動作により、車両ドア2が障害物21に接触することが自動的に回避される。第1センサ11は、鉛直方向に沿って延びる壁21aの検出に適し、第2センサ12は、車両がくぐり得る壁21b(駐車場の天井等)の検出に適する。
【0038】
車両ドア2は、駆動装置4の動力により次のように動作する。
車両ドア2は、閉状態において、第1センサ11が物を検出し、かつ第2センサ12が物を検出しないとき、車両ドア2は開き始める。車両ドア2が開動作中にあるとき、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方が物を検出すると、車両ドア2は停止する。車両ドア2は、物の検出から設定時間の経過までに、第1センサ11及び第2センサ12がともに物を検出しない状態になると、中断の動作を再開する。車両ドア2は、物の検出状態が設定時間以上にわたって続くと、停止状態が維持される。停止状態で、第1センサ11及び第2センサ12のいずれか一方が物を検出すると、中断前の動作とは逆方向に動作する。車両ドア2が、全開状態において、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方が物を検出すると、車両ドア2は閉じ始める。
【0039】
図7〜
図13を参照して、制御装置13が実行する処理を説明する。制御装置13は、以下に示す各処理の実行により、車両ドア2を上記のように動作させる。
【0040】
制御装置13は、車両ドア2の状態に応じて次の第1処理〜第5処理を実行する。第1処理は、車両ドア2が閉状態であるときに制御装置13が実行する処理である。第2処理は、車両ドア2が開動作状態であるときに制御装置13が実行する処理である。第3処理は、車両ドア2が停止状態であるときに制御装置13が実行する処理である。第4処理は、車両ドア2が全開状態であるときに制御装置13が実行する処理である。第5処理は、車両ドア2が閉動作状態であるときに制御装置13が実行する処理である。
【0041】
閉状態とは、車両ドア2が閉じている状態を示す。開動作状態とは、車両ドア2が開く方向に移動している状態を示す。停止状態とは、車両ドア2が開き、全開までの途中の段階で停止している状態を示す。閉動作状態とは、車両ドア2が閉じる方向に移動している状態を示す。全開状態とは、車両ドア2が最も開いた状態を示す。
【0042】
閉状態、開動作状態、停止状態、閉動作状態、及び全開状態それぞれの各信号(以下、「状態信号」)、並びに車両ドア2の角度の信号(以下、「角度信号」)は、駆動装置4から出力される。または、状態信号及び角度信号は、駆動装置4の移動体4bを検出する検出センサから出力される。制御装置13は、駆動装置4または検出センサから出力される状態信号及び角度信号を受信する。
【0043】
図7を参照して、第1処理について説明する。第1処理は、上述したように、車両ドア2が閉状態であるときに制御装置13が実行する処理である。
ステップS10において、制御装置13は、車両ドア2が閉状態であるか否かを判定する。車両ドア2が閉状態であるとき、次のステップに移行する。
【0044】
ステップS11において、制御装置13は、認証エリア内にユーザ(登録されたユーザ)が存在しているか否かを判定する。この判定は、ユーザ認証システムが出力する信号に基づいて行われる。ユーザ認証システムとは、無線通信で車両1近傍に予め登録されたユーザが存在するか否かを判定するシステムである。認証エリア内にユーザが存在すると判定するとき、次のステップに移行する。
【0045】
ステップS12において、制御装置13は、開条件が成立しているか否かを判定する。開条件は、第1センサ11の非検出かつ第2センサ12の物検出が成立することである。開条件が成立するとき、ステップS13に移行し、制御装置13は、車両ドア2が開くように駆動装置4を動作させるための指令信号(「開動作指令信号」)を、駆動装置4に出力する。
ステップS10、ステップS11、ステップS12において、各ステップの処理が成立しないときは、制御装置13は第1処理を終了する。
【0046】
図8を参照して、第2処理について説明する。第2処理は、上述したように、車両ドア2が開動作状態であるときに制御装置13が実行する処理である。
ステップS20において、制御装置13は、車両ドア2が開動作状態であるか否かを判定する。車両ドア2が開動作状態であるとき、次のステップに移行する。ステップS20の処理が成立しないときは、制御装置13は第2処理を終了する。
【0047】
ステップS21において、制御装置13は、物検出条件が成立しているか否かを判定する。物検出条件は、第1センサ11の物検出及び第2センサ12の物検出の少なくとも一方の検出状態が成立することである。物検出条件が成立するとき、ステップS22に移行し、制御装置13は、車両ドア2が停止するように駆動装置4を動作させるための指令信号(「停止指令信号」)を、駆動装置4に出力する。
【0048】
この処理により、車両ドア2の開動作中、車両ドア2が障害物21(例えば、壁)に接近するとき、その動作が中断し、車両ドア2が停止し、障害物21への衝突が回避される。また、車両ドア2の開動作中、ユーザが車両ドア2に手20をかざすことで第1センサ11または第2センサ12が手20を検出するとき、その動作が中断し、車両ドア2が停止する。すなわち、人の操作により、車両ドア2を停止させることができる。
【0049】
ステップS21において、物検出条件が成立していないとき、ステップS23の処理を行う。ステップS23において、車両ドア2が全開状態であるか否かを判定、全開状態にないとき(NO判定)、ステップS20の処理を行う。駆動装置4は、車両ドア2の開動作を継続する。ステップS23において、制御装置13が全開状態であると判定すると、ステップS24において、制御装置13は、駆動装置4に、モータ4aを停止させるための信号(「モータ駆動停止信号」)を出力する。
【0050】
図9を参照して、第3処理について説明する。第3処理は、上述したように、車両ドア2が停止状態であるときに制御装置13が実行する処理である。
ステップS30において、制御装置13は、車両ドア2が停止状態であるか否かを判定する。車両ドア2が停止状態であるとき、次のステップに移行する。
ステップS31において、制御装置13は、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方の検出状態が設定時間以上、維持されているか否かについて判定する。
第1センサ11及び第2センサ12の検出状態が設定時間までに解消されて、第1センサ11及び第2センサ12ともに非検出にあるとき、制御装置13は、ステップS32に移行する。ステップS32において、制御装置13は、車両ドア2が中断前の動作を再開するように駆動装置4を動作させるための指令信号(「再開指令信号」)を、駆動装置4に出力する。
【0051】
ステップS31において、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方の検出状態が設定時間以上にわたって維持されていると判定されるとき、次の2つの状態を含む。第1の状態は、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方で物が検出された状態から設定時間以上経過し、その検出状態が維持され続けている状態である。第2の状態は、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方で物が検出された状態から設定時間以上経過し、その後、検出状態が変化している状態(両センサ11,12で非検出状態を含む)である。第1の状態の一例は、車両ドア2が障害物21の近くに配置された状態である。第2の状態の一例は、人が設定時間以上にわたって手20をかざす操作により、車両ドア2を止められ、その手20の操作が止められている状態を示す。
【0052】
ステップS31において、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方の検出状態が設定時間以上、維持されていると判定される状態(上述の第1の状態及び第2の状態を含む。)とき、ステップS33に移行する。
ステップS33において、制御装置13は、物検出条件が成立しているか否かを判定する。ステップS33における物検出条件は、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方の検出状態の変化により、物の検出の判定を行う。検出状態の変化に基づいて物の検出を判定する理由は、第1の状態では、物(障害物21)が検出されている状態が維持されているためである。
【0053】
ステップS33において、物検出条件が成立するとき、すなわち、何らかの手20の操作があると推定されるとき、ステップS34において、制御装置13は、車両ドア2が中断前の動作とは逆方向の動作を行うように駆動装置4を動作させるための指令信号(「逆動作指令信号」)を、駆動装置4に出力する。逆方向に移動させる理由は、上記第1の状態のように、車両ドア2が障害物21の近くに配置されることに基づいて車両ドア2が停止している可能性があるためである。
ステップS30、ステップS33において、各ステップの処理が成立しないときは、制御装置13は第3処理を終了する。
【0054】
第3処理によれば、車両ドア2の動作が中断している状態で、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方の検出状態が設定時間未満であるときは、その後、車両ドア2は、中断が解除されて、車両ドア2は、中断前の動作を再開する。
一方、車両ドア2の動作が中断し、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方の検出状態が設定時間以上であるときは、その後、検出状態の変化があるとき、車両ドアは、中断が解除されて、車両ドア2は、中断前の動作と逆の方向に動作する。
【0055】
図10を参照して、第4処理について説明する。第4処理は、上述したように、車両ドア2が全開状態であるときに制御装置13が実行する処理である。
ステップS40において、制御装置13は、車両ドア2が全開状態であるか否かを判定する。車両ドア2が全開状態であるとき、次のステップに移行する。
【0056】
ステップS41において、制御装置13は、物検出条件が成立しているか否かを判定する。物検出条件は、第1センサ11の物検出及び第2センサ12の物検出の少なくとも一方の検出状態が成立することである。物検出条件が成立するとき、ステップS42に移行し、制御装置13は、車両ドア2が閉じるように駆動装置4を動作させるための指令信号(「閉動作指令信号」)を、駆動装置4に出力する。
ステップS40、ステップS41において、各ステップの処理が成立しないときは、制御装置13は第4処理を終了する。
【0057】
図11を参照して、第5処理について説明する。第5処理は、上述したように、車両ドア2が閉動作状態であるときに制御装置13が実行する処理である。
ステップS50において、制御装置13は、車両ドア2が閉動作状態であるか否かを判定する。車両ドア2が閉動作状態であるとき、次のステップに移行する。
【0058】
ステップS51において、制御装置13は、物検出条件が成立しているか否かを判定する。物検出条件は、第1センサ11の物検出及び第2センサ12の物検出の少なくとも一方の検出状態が成立することである。物検出条件が成立するとき、ステップS52に移行し、制御装置13は、車両ドア2が停止するように駆動装置4を動作させるための指令信号(「停止指令信号」)を、駆動装置4に出力する。
【0059】
ステップS51において、物検出条件が成立していないと制御装置13が判定するとき、ステップS53の処理を行う。
【0060】
ステップS53において、制御装置13は、車両ドア2が全閉直前の位置にあるか否かを判定する。車両ドア2が全閉直前の位置にあるとき、制御装置13は、ステップS54の比較判定処理を実行する。ステップS54において、制御装置13は、第1センサ11から得られる検出信号変化と参照信号変化とを比較して、両者の差が許容範囲であるか否かを判定する(
図12及び
図13参照)。両者の差が許容範囲内にあるとき、第5処理を終了し、閉動作が継続される。両者の差が許容範囲内にないとき、ステップS55に移行し、制御装置13は、車両ドア2が停止するように駆動装置4を動作させるための指令信号(「停止指令信号」)を、駆動装置4に出力する。
【0061】
ステップS53において、車両ドア2が全閉直前の位置に配置されていないと制御装置13が判定するとき、ステップS56の処理を行う。ステップS56において、車両ドア2が全閉状態であるか否かを判定し、全閉状態ではないと判定されるとき(NO判定)、ステップS50の処理を行う。したがって、駆動装置4は、車両ドア2の閉動作を継続する。一方、ステップS56において、制御装置13が全閉状態であると判定すると、ステップS57に移行して、駆動装置4に、モータ4aを停止させるための信号(「モータ駆動停止信号」)を出力する。
【0062】
図12及び
図13を参照して、ステップS54で実行される、第1センサ11の検出信号変化と参照信号変化との比較判定処理について説明する。
図12において、実線が、第1センサ11の検出信号変化のグラフを示し、2点鎖線が参照信号変化のグラフを示す。
図12の角度は、全開時を基準(0度)として、閉じた角度を示し、θiは、車両ドア2の閉鎖時の角度を示す。比較判定処理は、車両ドア2が全閉直前の位置から全閉の位置までの間にわたって実行される。全閉直前の位置とは、車両ドア2が閉じる過程において、第1センサ11がドア開口部1aを検出し始めるところである。
【0063】
第1センサ11の検出信号変化とは、車両ドア2の角度に対する上述の距離物理量Pの変化を示す。参照信号変化とは、第1センサ11の付近に車両1以外の物が存在しない状態で、車両ドア2を閉じられる過程において得られる、車両ドア2の角度に対する第1センサ11の距離物理量Pの変化である。参照信号変化は、予め設定されたデータであり、制御装置13に記憶される。参照信号変化は、車両製造時に予め設定されるが、車両1の流通後に、自動的にまたは操作によって更新され得る。例えば、参照信号変化は、車両ドア2の閉動作の際に自動的に更新される。
【0064】
図12に示されるように、参照信号変化を示すグラフ(二点鎖線参照)は、車両ドア2が全閉角度θi(全閉時の車両ドア2の角度)に近づくにつれて、ドア開口部1a(車両ドア2によって閉じられる開口部)に接近するため、距離物理量Pが大きくなる。
【0065】
図13は、第1センサ11の検出信号変化と参照信号変化との差DPを示すグラフである。この差DPは、「第1センサ11の検出信号変化」から「参照信号変化」を引いた値であり、具体的には、各角度における第1センサ11の検出信号と参照信号との差を角度でプロットしたものである(
図13参照)。この差DPは、車両ドア2の近くに車両以外の物(すなわち、ドア開口部1a以外の物)が存在するか否かを示す。第1センサ11の検出信号変化と参照信号変化とが乖離するとき、すなわち、この差DPが大きいとき、または大きく変化するとき、車両ドア2の近くに車両以外の物が存在すると推定される。したがって、例えば、この差DPが、所定角度範囲にわたって許容範囲(−A以上+A以下)にあるか否かに基づいて、物の存否を判定できる(本実施形態)。または、この差DPが、所定角度範囲において、角度に対する差DPの変化の大きさに基づいて、物の存否を判定できる。なお、ステップS54では、上記の差DPは、予め設定された所定角度範囲(例えば、X度〜Y度の範囲)毎に導出される。
【0066】
次に、ドア開閉装置10の作用及び効果について説明する。
(1)ドア開閉装置10の制御装置13は、第1センサ11の物の検出存否及び第2センサ12の物の検出存否に基づいて、車両ドア2の動作を制御する信号を駆動装置4に出力する。
【0067】
この構成によれば、第2センサ12は、第1センサ11よりも車両ルーフ側(すなわち上側)にあるため、手20をかざす等の操作によって、第1センサ11を反応させずに第2センサ12を反応させることが可能である。車両ドア2から離れたところから第2センサ12を反応させることができることから、車両ドア2の開閉時に車両ドア2が人に接触することを抑制できる。
【0068】
(2)制御装置13は、車両ドア2が閉状態であるとき、第2センサ12が物を検出し、かつ第1センサ11が物を検出しないという開条件の成立に基づいて、車両ドア2を開動作させるための開動作指令信号を出力する。
【0069】
制御装置13が、第2センサ12が物を検出しかつ第1センサ11が物を検出するときは、人が車両ドア2の近くに存在している可能性が高く、車両ドア2の開動作により車両ドア2が人に接触するおそれがある。第2センサ12が物を検出しかつ第1センサ11が物を検出しないとき、人が車両ドア2から離れたところから手20をかざす等の操作により第2センサ12を反応させている状態にある可能性が高い。そこで、第2センサ12が物を検出しかつ第1センサ11が物を検出するときは、制御装置13は、車両ドア2を開動作させるための開動作指令信号を出力しない。そして、制御装置13は、第2センサ12が物を検出しかつ第1センサ11が物を検出しないとき、車両ドア2を開動作させるための開動作指令信号を出力する。これにより、ユーザが車両ドア2を開くとき、車両ドア2の開動作により車両ドア2が人に接触することが抑制される。
【0070】
(3)制御装置13は、車両ドア2が開動作または閉動作するとき、第1センサ11が物を検出すること及び第2センサ12が物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立に基づいて、車両ドア2の動作を中断させて停止させるための停止指令信号を出力する。
【0071】
この構成によれば、車両ドア2が開くまたは閉じるときに車両ドア2が物に接近すると、車両ドア2の動作が停止する。これによって、車両ドア2と物との接触が抑制される。また、手の操作で、車両ドア2の動作を中断させて停止することもできる。
【0072】
(4)制御装置13は、第1センサ11が物を検出すること及び第2センサ12が物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立により車両ドア2が停止状態であるとき、物検出条件の成立から設定時間を経過するまでの間で、第1センサ11が物を検出しない、かつ第2センサ12が物を検出しないという物非検出条件の成立に基づいて、車両ドア2の中断動作を再開させるための再開指令信号を出力する。
この構成によれば、手20をかざす等の一時的な人の操作(設定時間以内の操作)で、車両ドア2を一時的に停止でき、その操作を止めることで、車両ドア2の動作を再開できる。
【0073】
(5)制御装置13は、第1センサ11が物を検出すること及び第2センサ12が物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立により車両ドア2が停止状態であるとき、物検出条件の成立から設定時間の経過後、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方の検出状態が変化することに基づいて、中断動作前とは逆方向の動作を行わせるための逆動作指令信号を出力する。
この構成によれば、動作を中断した車両ドア2に対して簡単な操作により、中断動作とは逆方向に車両ドア2を動作させることができる。これにより、車両ドア2と障害物との接触が回避される。
【0074】
(6)制御装置13は、車両ドア2が全開状態であるとき、第1センサ11が物を検出すること及び第2センサ12が物を検出することの少なくとも一方が成立するという物検出条件の成立に基づいて、車両ドア2を閉動作させるための閉動作指令信号を出力する。
この構成によれば、全開した車両ドア2に対して簡単な操作で、車両ドア2を閉動作させることができる。
【0075】
(7)制御装置13は、車両ドア2が閉動作状態でありかつ車両ドア2が全閉直前の位置にあるとき、車両ドア2の角度に対する第1センサ11の検出信号変化と、第1センサ11が車両1以外の物を検出していない状態で記憶された参照信号変化とが乖離することに基づいて、車両ドア2を停止するための停止指令信号を出力する。
【0076】
車両ドア2が全閉直前の位置に配置されると、第1センサ11が車両1を検出するおそれがある。第1センサ11が車両1(具体的には、車両ドア2によって閉じられるドア開口部1a)を検出すると、車両ドア2が停止し、スムーズな閉鎖ができない。この点、上記構成によれば、第1センサ11の検出信号変化と参照信号変化との乖離に基づいて、車両ドア2を停止するための停止指令信号を出力する。これにより、第1センサ11が車両1を検出することに基づいて車両ドア2が停止することを抑制でき、車両ドア2をスムーズに閉鎖できる。
【0077】
(8)車両ドア2は、実施形態のドア開閉装置10を備える。この構成によれば、車両ドア2が開く際、車両ドア2が人に接触することが抑制される。
【0078】
<その他の実施形態>
・
図14を参照して、ドア開閉装置10について、他の実施形態を説明する。
この実施形態では、第1センサ11は、2つの検出エリアAX1,AX2を有する。第1の検出エリアAX1は、車両ドア2の車外に向き、第2の検出エリアAX2は、車内に向く。次の構成により、両方向に検出エリアAX1,AX2を設けることができる。例えば、第1センサ11は、静電容量センサを備える。第1センサ11の少なくとも物検出用の電極において、車外側の面及び車内の面は金属により被覆されない。また、第1センサ11は、好ましくは防水用に樹脂で覆われる。これにより、この電極は、両面で、静電容量変化を検出する。このような構成によれば、第1センサ11により、車外側に配置される物及び車内側に配置される物のいずれも検出可能である。例えば、
図14に示されるように、ドア開口部1aで人が作業している状態で、車両ドア2が誤って閉じられるとき、車両ドア2と人との接触が回避される。
【0079】
・
図9に示される第3処理の処理は、実施例の処理に限定されない。
図15は、第3処理の変形例のフローチャートである。ステップS60、ステップS61、及びステップS62は、上記ステップS30、ステップS31、及びステップS32と同じである。ステップS61に成立において、第1センサ11及び第2センサ12の検出状態が設定時間以上にわたって維持されたときの処理は、次のように変更され得る。ステップS61の成立時、制御装置13は、ステップS63において、車両ドア2を開く操作、すなわち開指示操作が成立するか否かを判定する。開指示操作の成立の一例は、第1センサ11が物を検出することである。これが成立するときは、ステップS64において、制御装置13は、車両ドア2を開くための開動作指令信号を出力する。一方、ステップS63の判定が否定されるときは、ステップS65において、制御装置13は、車両ドア2を閉じる操作、すなわち閉指示操作が成立するか否かを判定する。閉指示操作の成立の一例は、第2センサ12が物を検出することである。これが成立するとき、ステップS66において、制御装置13は、車両ドア2を閉じるための閉指令信号を出力する。すなわち、このフローでは、車両ドア2が停止状態にあるとき、所定の操作により車両ドア2の動作方向が決定される。
【0080】
具体的には、車両ドア2が、第1センサ11及び第2センサ12が視界に入るような開き角度で開いているときであって、障害物21が存在しないときは、車両ドア2がいずれの方向にも回転し得る。このため、ステップS61に成立において、第1センサ11及び第2センサ12の少なくとも一方の検出状態が設定時間以上にわたって維持され、かつ第1センサ11及び第2センサ12がともに物を検出していないとき、ステップS63の処理及びステップS65の処理が実行される。
【0081】
なお、ステップS63において、開指示操作の成立及び閉指示操作の成立は、上記の例に限定されない。例えば、2回タップの検出と1回タップの検出により、開指示操作と閉指示操作とが区別して検出可能であるため、第1センサ11が所定時間内に物を検出する回数を開指示操作及び閉指示操作の成立条件としてもよい。
【0082】
・上記実施形態において、第1処理では、認証エリアにユーザが存在するか否かを判定しているが、この判定は省略され得る。この判定が省略されることにより、車両ドア2のロック解除後であれば、登録されていないユーザでも車両ドア2を開くことができるようになる。
・第1センサ11と制御装置13との接続及び第2センサ12と制御装置13との接続は、有線及び無線のいずれでもよい。