(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870179
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】電力授受ネットワークシステムにおける管理サーバ、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20210426BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20210426BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20210426BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20210426BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20210426BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20210426BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20210426BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 180
H02J3/38 130
H02J3/38 180
H02J3/32
H02J3/46
H02J13/00 301A
G06Q30/02 320
!H02J7/00 P
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-38409(P2017-38409)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-147029(P2018-147029A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2020年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 顕也
【審査官】
松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−077152(JP,A)
【文献】
特開2015−104157(JP,A)
【文献】
特開2009−183135(JP,A)
【文献】
特開2012−085372(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/038458(WO,A1)
【文献】
特開2014−057495(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0162764(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102738851(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
H02J 3/00
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 13/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗等を軸とする電力授受システムを管理する管理サーバであって、
前記店舗等に設けられた蓄電手段に、ユーザ宅から送電線を介して、又はユーザの電気自動車を介して蓄電し、前記蓄電手段から送電線を介してユーザ宅に給電、又は前記ユーザの電気自動車に充電する電力の授受を管理する電力授受管理手段と、
特定地域に停電が発生した場合に、停電地域の範囲を含む停電情報を取得する停電情報取得手段と、
前記停電情報を取得したことに応じて、前記停電地域又は前記停電地域に隣接する店舗等のサービスを停電時モードに変更し、停電時の特別処置を実行する停電時処置手段と、を備え、
前記停電時処置手段は、前記停電地域に対するユーザの停電時の貢献度を算出する、
ことを特徴とする管理サーバ。
【請求項2】
店舗等を軸とする電力授受システムを管理する管理サーバであって、
前記店舗等に設けられた蓄電手段に、ユーザ宅から送電線を介して、又はユーザの電気自動車を介して蓄電し、前記蓄電手段から送電線を介してユーザ宅に給電、又は前記ユーザの電気自動車に充電する電力の授受を管理する電力授受管理手段と、
特定地域に停電が発生した場合に、停電地域の範囲を含む停電情報を取得する停電情報取得手段と、
前記停電情報を取得したことに応じて、前記停電地域に隣接する店舗等のサービスを停電時モードに変更し、停電時の特別処置を実行する停電時処置手段と、を備える、
ことを特徴とする管理サーバ。
【請求項3】
前記停電時処置手段は、前記停電地域に対するユーザの停電時の貢献度を算出することを特徴とする請求項2に記載の管理サーバ。
【請求項4】
前記電力の授受によって付与又は消費される電力ポイントを管理し、前記電力ポイントを使って前記店舗等での電気の購入、又は商品若しくはサービスの対価に充てることを可能とする電力ポイント管理手段を備えることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項5】
前記停電時処置手段は、前記貢献度を、前記電力の授受によって付与又は消費される電力ポイントは別の貢献ポイントとして管理し、
非停電地域のユーザが前記店舗等の畜電池に蓄電することによって得られる貢献ポントを通常時よりも高く設定すること、
前記店舗等の畜電池から充電することによって消費する前記貢献ポイントを、前記非停電地域のユーザの状況に応じて、通常時よりも低く設定すること、
前記停電地域に居住するユーザの消費する前記貢献ポイントを前記非停電地域のユーザよりも低くし、又はゼロに設定すること、
前記電気自動車への充電量を所定の必要最低限の量に制限すること、
前記停電地域に住むユーザであっても自家発電設備を備えているか否かによって前記消費する前記貢献ポイントに差をつけて設定すること、
のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1又は3に記載の管理サーバ。
【請求項6】
前記貢献ポイントは、停電時に蓄電拠点となる店舗等への蓄電量、蓄電回数、ユーザ宅から前記蓄電拠点の店舗等までの走行距離、前記蓄電拠点の店舗等から電気を必要とする場所までの走行距離に応じて算出されることを特徴とする請求項5に記載の管理サーバ。
【請求項7】
前記電力ポイントは、通常の商品又はサービスの対価の支払いによって付与される通常ポイントと別にし、前記通常ポイントと所定のレートで交換可能とすることを特徴とする請求項4に記載の管理サーバ。
【請求項8】
前記電力授受管理手段は、前記ユーザが電気を売却及び購入を行う店舗等の種別を選択可能とする店舗選択情報を備えることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項9】
店舗等を軸とする電力授受システムを管理する管理サーバによる制御方法であって、
前記店舗等に設けられた蓄電手段に、ユーザ宅から送電線を介して、又はユーザの電気自動車を介して蓄電し、前記蓄電手段から送電線を介してユーザ宅に給電、又は前記ユーザの電気自動車に充電する電力の授受を管理する電力授受管理段階と、
特定地域に停電が発生した場合に、停電地域の範囲を含む停電情報を取得する停電情報取得段階と、
前記停電情報を取得したことに応じて、前記停電地域に隣接する店舗等のサービスを停電時モードに変更し、停電時の特別処置を実行する停電時処置段階と、を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の各段階をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力授受のためのネットワークシステムに関し、特に店舗を介した電力授受のためのネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光などの自然エネルギーを利用した発電が広く行われるようになった。しかし、自然エネルギーは、環境により発電量が大きく左右されるという課題があるため、発電した電気を溜めておくための蓄電池を利用した電力授受システムが注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、蓄電池を利用して複数の発電方式により発電された電力を授受する電力授受システムが開示されている。このシステムによれば、電気自動車の蓄電池を介して電力を授受するにあたり、蓄電池に充放電される電力に対して、その電力の属性の情報を紐付け、電気自動車の蓄電池に放電前に蓄電されていた蓄電量の情報と、電気自動車の蓄電池に放電前に蓄電されていた電力の平均単価の情報と、電気自動車の蓄電池から放電された放電量の情報と、電力を売電する相手の装置から受信した取引条件に含まれる電力の買取価格の情報とに基づいて、平均単価の情報を更新するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016―77152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、個人宅でも太陽光のような自然エネルギーによる発電設備が普及し、個人宅でも余った電気を電力会社に売ることができるようになった。しかし、資本のない個人が電力会社以外に電気を手軽に売買する仕組みはいまのところない。一方で、特許文献1に記載の発明のように、電気自動車の蓄電池に蓄えられた電気をより活用したいという課題も存在する。
【0006】
したがって、本発明では、上記のような課題にかんがみ、個人が電気を手軽に売買することができ、かつ災害や事故などによる停電時にも役立つ電力授受システムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような解決手段を提供する。
(1)店舗等を軸とする電力授受システムを管理する管理サーバであって、前記店舗等に設けられた蓄電手段に、ユーザ宅から送電線を介して、又はユーザの電気自動車を介して蓄電し、前記蓄電手段から送電線を介してユーザ宅に給電、又は前記ユーザの電気自動車に充電する電力の授受を管理する電力授受管理手段と、を備え、前記電力授受管理手段は、前記店舗等と前記ユーザとの契約を一括管理するユーザ契約テーブルを備えることを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、前記電力の授受によって付与又は消費される電力ポイントを管理し、前記電力ポイントを使って前記店舗等での電気の購入、又は商品若しくはサービスの対価に充てることを可能とする電力ポイント管理手段を備えることを特徴とする。
【0009】
(3)上記(2)の構成において、特定地域に停電が発生した場合に、停電地域の範囲を含む停電情報を取得する停電情報取得手段と、前記停電情報を取得したことに応じて、前記停電地域又は前記停電地域に隣接する店舗等のサービスを停電時モードに変更し、停電時の特別処置を実行する停電時処置手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
(4)上記(3)の構成において、前記停電時処置手段は、非停電地域のユーザが前記店舗等の畜電池に蓄電することによって得られるポイントを通常時よりも高く設定すること、前記店舗等の畜電池から充電することによって消費するポイントを、前記非停電地域のユーザの状況に応じて、通常時よりも低く設定すること、前記停電地域に居住するユーザの消費するポイントを前記非停電地域のユーザよりも低くし、又はゼロに設定すること、前記電気自動車への充電量を必要最低限に制限すること、前記停電地域に住むユーザであっても自家発電設備を備えているか否かによって前記消費するポイントに差をつけて設定すること、のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0011】
(5)上記(4)の構成において、前記停電時処置手段は、前記停電地域に対するユーザの停電時の貢献度に応じて、当該ユーザに貢献ポイントを付与することを特徴とする。
【0012】
(6)上記(5)の構成において、前記貢献度は、停電時に蓄電拠点となる店舗等への蓄電量、蓄電回数、ユーザ宅から前記蓄電拠点の店舗等までの走行距離、前記蓄電拠点の店舗等から電気を必要とする場所までの走行距離に応じて算出されることを特徴とする。
【0013】
(7)上記(2)〜(5)のいずれかの構成において、前記電力ポイントは、通常の商品又はサービスの対価の支払いによって付与される通常ポイントと別にし、前記通常ポイントと所定のレーで交換可能とすることを特徴とする。
【0014】
(8)上記(1)〜(7)のいずれかの構成において、前記電力授受管理手段は、前記ユーザが電気を売却及び購入を行う店舗等の種別を選択可能とする店舗選択情報を備えることを特徴とする。
【0015】
(9)店舗等を軸とする電力授受システムを管理する管理サーバによる制御方法であって、
前記店舗等に設けられた蓄電手段に、ユーザ宅から送電線を介して、又はユーザの電気自動車を介して蓄電し、前記蓄電手段から送電線を介してユーザ宅に給電、又は前記ユーザの電気自動車に充電する電力の授受を管理する電力授受管理段階と、と、を含み、前記電力授受管理段階は、ユーザ契約テーブルを生成し、前記店舗等と前記ユーザとの契約を一括管理する段階を含むことを特徴とする。
【0016】
(10)上記(9)に記載の各段階をコンピュータに実行させる制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、個人が電気を手軽に売買することができ、かつ災害や事故などによる停電時にも役立つ電力授受システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る店舗を軸とする電力授受ネットワークシステムの基本概念(通常時)を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る店舗を軸とする電力授受ネットワークシステムの基本概念(停電時)を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る店舗を軸とする電力授受ネットワークシステムの機能構成を示す図である。
【
図4A】管理サーバのデータベースに格納されるテーブルの構成例を示す図である。
【
図4B】管理サーバのデータベースに格納されるテーブルの構成例を示す続図である。
【
図5】店舗でのサービス提供フロー(通常時)を示す図である。
【
図6】店舗でのサービス提供フロー(停電時)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。
【0021】
図1、
図2は、本発明の実施形態に係る店舗を軸とした電力授受ネットワークシステム(以下、本システムと呼ぶ)の基本概念を示す図である。本システムは、全国又は地域ごとに展開する店舗を利用した電力授受のネットワークシステムである。ここでいう「店舗」とは、コンビニエンスストア(コンビニ)、各種量販店、ショッピングセンター、スーパー、レストラン、スポーツジム、フィットネスクラブ、パチンコ店、コインランドリー、並びにその他のチェーン店又はグループ店を含み、及び、公共施設、コンサートホール、学校、習い事教室、医療機関、並びにその他サービスを提供する施設を含む。以下、両者をまとめて「店舗等」又は単に「店舗」と呼ぶ。
【0022】
まず、本システムが提供する通常時におけるサービスの概念を
図1に示す。本システムのサービスを提供するコンビニ等の店舗(以下、ここでは単に「店舗」と呼ぶ)の駐車場等(専用駐車場、その他の駐車可能なスペース)には、蓄電設備(蓄電池及び外部と電気を授受可能な接続コンセント)を備えているものとする。ここでいう「電気自動車」には、乗用車、タクシーやトラック等の商用車はもちろん、一人乗りの小型電気自動車、シルバーカー、電動二輪車、電動アシスト付自転車も含む。また、駐車場等は、必ずしも店舗の敷地内になくてもよく、混雑を避けるために店舗が契約した1又は複数の場所にあってもよい。
【0023】
また、店舗には充電設備の課金手段を備えているものとする。本システムのユーザ(個人及び商店、企業、その他施設を含む)は、上記各店舗において、送電線を介して、又はユーザの電気自動車を介して、電力の放電(売電)及び充電(買電)を行えるようにする。すなわち、店舗に備えた蓄電池とユーザ宅又は電気自動車の電池の間で電気の授受(売買)を行う。ユーザ宅が太陽光パネルなどの自然エネルギーによる発電設備を有していれば、余った電気を電力会社に売る代わりに、送電線を介して間接的に店舗に送電(売電)したり、あるいは家庭のコンセントから電気自動車に充電し、最寄りの店舗の蓄電池に放電したりして、店舗からその分の料金を受け取ることで電気を売却することができる。逆に、店舗の畜電池から充電してその分の料金を支払うことで電気の購入(受電)ができる。すなわち、コンビニ等の店舗に備えられた蓄電池を通して、店舗からユーザ宅に送電線を利用すること、又は電気自動車を利用することによって発電設備のあるユーザ宅から発電設備を持たないユーザ宅への電気の授受が可能となる。このようにすることで、個人では所有することが難しい大容量の蓄電池を最寄りの店舗に備えてもらうことで、地域で共用可能な電力授受システムを構築することができる。
【0024】
店舗とユーザ宅で、送電線を使って間接的に電気を売買する仕組み(間接送受電又は間接売買電の手段)は、店舗、ユーザ、電力会社間で予め契約を結んでおき、ユーザ宅の発電設備で発電した余った電力を電力会社に売る代わりに、その契約に従って、所定の発電量に相当する電力を店舗が送電線から受電し、受電した量を店舗の蓄電池に蓄電することで実現できる。逆にユーザ宅の電気が不足する場合は、上記契約に従って、ユーザ宅は店舗の畜電池から電力線を介して間接的に所定量の送電を受けることができる。このときの電気の価格、諸条件は上記の契約で定める。詳しくは後述するが、本システムの管理サーバ(管理装置)には、ユーザ、店舗間の契約を一括管理するためのユーザ契約テーブルが備えられる。
【0025】
ここでの電気の売買は現金で行ってもよいが、本システムの「会員カード」を利用して、「電力ポイント」を売買するようにしてもよい。電力ポイントとは、電気を授受することで付与/消費されるポイントのことで、放電(売電)すると放電量に応じて電力ポイントが付与され、充電(買電)すると充電量に応じて電力ポイントが消費される。会員カードは、店舗のポイントカード等と共通にしてもよいし、別のカードとしてもよい。電力ポイントは、店舗の一般の商品又はサービス(以下、「商品等」と呼ぶことがある)の買物(対価の支払い)によって付与/消費される「通常ポイント」とは別にしてもよい。また、通常ポイントと電力ポイントを所定のレートで交換できるようにしてもよい。
【0026】
通常ポイントと電力ポイントを別にするのは、主として、通常ポイントのキャンペーン時期と電力ポイントのキャンペーン時期等を別に設定することを可能とするためである。例えば、通常ポイントは来店客が多い週末等にポイントN倍等とし、電力ポイントは、逆に来店客が少ない時間帯(駐車場が混雑しない時間帯)をポイントN倍等とすることが可能である。
【0027】
したがって、ユーザにとっては、自宅の発電設備と、間接的に電力線を介して又は電気自動車を活かして、コンビニ等の身近な店舗で、電気が余ったときは売却し、電気が不足しているときは購入することが簡単にできる。すなわち、個人でも電気のお買物(売買)が手軽にできる。また、店舗によって電気の売買価格に差があれば、より価格が高い店舗で売って、より価格が安い店舗から購入することもできる。また、電力ポイントを通常ポイントに交換し、店舗で商品等を購入すると現金で買うよりも割引が受けられるようにもできる。そのようにすることによって、店舗にとっては集客効果が高まり顧客増に繋がる。また、本システムの導入によって店舗に設置する蓄電設備のコストは、地方公共団体や電気自動車のメーカーからの援助が期待できるので、街中に充電設備が広がることになり、電気自動車の普及に拍車がかかる。また、店舗が地域で数少ない店舗である場合、ユーザが電力を無償や割安で供給することによって、店舗の経営を助け店舗を存続させる支援ができる。
【0028】
次に、本システムが提供する停電時におけるサービスの概念を
図2に示す。図示するように、災害や電力会社の送電設備の事故などによって特定地域に停電が発生した場合は、その地域における店舗を介して、停電地域に対して近隣の非停電地域から電力の供給を行うことができる。ここで電力の供給は、発電設備を持たない停電地域のユーザ宅に対して優先的に行われるようにしてもよい。この場合、停電時に電力供給の拠点となる店舗は、非停電地域にある店舗が中心となるが、停電地域にある店舗であっても、送電線を介して、又は電気自動車を介してその店舗に非停電地域から電気の供給を受け、蓄電池に蓄電することで、その店舗が拠点ともなる。もちろん、店舗自身が停電をまぬがれていれば、店舗の蓄電池に電力会社の送電線から直接蓄電すればよい。
【0029】
また、停電時に本システムは、「停電時モード」に切り替わるようにする。停電時モードでは、通常時とは異なる特別処置が行われる。例えば、停電時モードでは、充電先の電気自動車は必ずしも会員の車でなくてもよい。すなわち、ユーザの会員カードを使って、電気が来なくて困っている別のユーザの電気自動車に充電させることができる。会員が自身の車を使って、見ず知らずの別のユーザ宅に助けに行くのは困難だからである。また、店舗の蓄電池からの充電先は電気自動車以外にも、災害時の連絡には欠かせないスマートフォン(スマホ)等の端末装置であってもよい。その他にも停電時モードでは様々な特別処理を行うが、詳しくは後述する。
【0030】
以上説明したように、コンビニ等の店舗を軸とした電力供給を可能とすることで、各個人宅や空き地等に電力供給車などを派遣するよりも大幅にコストが削減できる。大規模の店舗の場合は災害時の避難施設ともなる。また、店舗の畜電池では容量が不足するときは臨時の蓄電池を設置するようにしてもよい。このようにすることで、地域に展開する店舗の停電時の電力供給の拠点としての役割が更に高まる。
【0032】
図3は、本発明の実施形態に係る店舗を軸とする電力授受ネットワークシステム100の機能構成を示す図である。本システムは、管理サーバ10を中心に、サービス提供店舗20、ユーザ宅30、電力会社40が、ネットワーク50(ここでは送電線ネットワーク及び情報ネットワークの両方を意味する。)で結ばれる。ユーザ宅30は、情報を何らかの手段でやりとりできれば、必ずしも情報ネットワーク(主としてインターネット)に接続されていなくてもよい。
【0033】
管理サーバ10は、サービス提供店舗20だけでなく、電力会社40、電気自動車メーカー、地方公共団体等が出資する機関が運用してもよい。管理サーバ10は、ユーザ宅30の端末又はサーバと、サービス提供店舗20の端末又はサーバとに通信可能に接続され、ユーザ及び店舗と情報を送受信し、また、電力会社40から停電時の情報を受信することができる。管理サーバ10は、典型的には図示するような機能構成を有するが、詳細は後述する。
【0034】
サービス提供店舗20には、蓄電池を備えた蓄電手段21、会員識別手段22を備える。蓄電手段21は、会員カード等の会員識別手段22と接続され、制御手段(図示せず)は、会員の充電/放電情報を管理サーバ10に送信する。会員識別手段22は、会員カードの認証の他、ユーザIDと暗証番号による認証、スマートフォン等の端末認証、生体認証、又はその組み合わせであってもよい。
【0035】
ユーザ宅30は、一般の個人宅の他、地域の中小企業、商店、及びその他の施設が含まれる。ユーザ宅30は、発電設備を備えていてもよいし、備えていなくてもよいが、発電設備の有無、発電設備がある場合はその発電量等の情報が管理サーバ10にユーザ宅ごとに保存される。一人のユーザが複数の居住宅を持っている場合は、その居住宅ごとの情報も保存される。
【0036】
電力会社40は、地域に停電が発生したときに、その詳細情報(停電発生時刻、事故地点、停電地域の範囲、復旧見込情報等)を管理サーバ10に送信する。すなわち、管理サーバ10から見れば電力会社40は停電検知手段として機能する。管理サーバ10ではこの停電情報を受信すると、その影響を受ける店舗を特定し、その店舗のサービスの提供を通常モードから停電時モードに移行させる。停電時モードについて詳しくは後述する。
【0037】
以下、管理サーバ10の機能構成について順に説明する。まず、ユーザ登録手段11は、本システムが提供するサービスに加入するユーザを登録する。登録したユーザには、ユーザIDが付与され、会員カード等が発行される。
【0038】
ユーザ利用情報取得手段12は、ユーザが本システムのサービスを利用した状況(各店舗における、利用日時、充電量/放電量及び電力ポイントの状況等)をサービス提供店舗20から取得し、サービスを提供するために必要なユーザの情報を保管するデータベースであるユーザDB13に記録する。
【0039】
ユーザDB13には、ユーザごとのユーザ管理テーブル130が格納され、契約情報、電力授与情報、電力ポイント情報、店舗選択情報が含まれるが、詳しくは後述する。
【0040】
電力授受管理手段14は、ユーザと店舗の間の電力授受を管理する。また、店舗ごとの情報を管理し、ユーザと各店舗の関係を管理する。店舗ごとの情報は、店舗DB15に記録され、店舗DB15には、店舗ごとの店舗管理テーブル150に店舗種別、店舗の蓄電池の蓄電容量、契約ユーザ情報、店舗キャンペーン情報が含まれるが、詳しくは後述する。
【0041】
電力ポイント管理手段16は、上記ユーザと店舗との間の電力授受をモニターし、ユーザの電力ポイントの付与又は消費をユーザDB13上に記録する。また、店舗の電力ポイント使用した際の商品等の割引率を定めたり、通常ポイントとの交換レートを定めたりする。また、詳しくは後述するが、電力ポイントとは別に、ユーザの停電発生時における貢献度(貢献ポイント)を算出し、管理する機能も有する。
【0042】
停電情報取得手段17は、前述したように、電力会社40から停電情報を受信し、停電時処置手段18に処理を受け渡す。
【0043】
停電時処置手段18は、停電地域の店舗又は停電地域に隣接する店舗のサービスを通常時モードから停電時モードに切り替え、停電時における特別処置を電力ポイント管理手段16等に実行させる。停電時の特別処置とは、具体的には、停電時モードにある店舗の畜電池に蓄電することによって得られる電力ポイント(蓄電電力ポイント)を通常時よりも高く設定し、当該店舗の畜電池から充電することによって消費する電力ポイント(消費電力ポイント)を、ユーザの状況に応じて、通常時よりも低くしたりする。例えば、停電地域に居住するユーザの消費電力ポイントを非停電地域のユーザよりも低くしたり、ゼロにしたりする。また、停電時は電力の供給が不足するので、電気自動車への充電量を所定の必要最低限の量に制限してもよい。また、停電地域に住むユーザであっても自家発電設備を備えているか否かによって消費電力ポイントに差をつけるようにしてもよい。上記の特別処理は、全部実行してよいが、少なくとも1つ実行するようにしてもよい。
【0044】
また、停電時処置手段18は、非停電地域に住むユーザからの「電気の寄付」、すなわち、対価ゼロの蓄電を受け付けるようにしてもよい。このようなユーザには電力ポイントとは別に、ユーザの停電時における貢献度に応じて貢献ポイントを付与する。貢献ポイントとは、停電時に停電地域に対するユーザの貢献度を数値化したもので、例えば、停電時に蓄電拠点となる店舗での蓄電量、蓄電回数、ユーザ宅から蓄電拠点の店舗までの距離(ユーザの電気自動車の走行距離)に応じて決定される。また、ユーザが電気を必要とする場所に直接電気を供給してもよい。貢献ポイントは、主として非停電地域のユーザが対象となるが、停電地域で発電設備を持つユーザも対象となる。
【0045】
この貢献ポイントに応じて、停電復旧後の一定期間、そのユーザが購入する商品等の割引率を高くしたり、そのユーザの自宅等が将来停電地域になった場合に消費ポイントをより少なくしたりするなどの特典を与えるようにしてもよい。このようにすることで、店舗を軸として、停電地域と非停電地域の間の「電気の助け合い」を促進することができる。
【0046】
(データベースの構成)
図4A,
図4Bは、管理サーバ10のデータベース(ユーザDB13,店舗DB15)に格納されるテーブル(ユーザ管理テーブル130、店舗管理テーブル150、ユーザ契約テーブル160)のデータ構成例を示す図である。
【0047】
図示するように、ユーザ管理テーブル130には、ユーザ管理情報131、電力授受情報132、電力ポイント情報133、店舗選択情報134が含まれる。ユーザ管理情報131には、ユーザID、ユーザの住所氏名、自宅に発電設備がある場合はその発電可能量、近隣地域が停電時に店舗に供給可能な電力量及び供給可能時間帯、停電時に店舗から給電を受ける場合の最低必要な受電量(一般的には自宅に発電設備を持たないユーザのほうが発電設備を持つユーザより受電量は多くなる)、及び日々の電力授受情報(利用日時、蓄電/受電店舗、蓄電/受電量、電力ポイントの増減状況)が含まれる。
【0048】
また、ユーザ管理テーブル130には、ポイント情報として、電力ポイントとは別に、前述した貢献ポイントが含まれる。その他、貢献ポイントの発生事由、使用履歴も含めるようにしてもよい。
【0049】
また、ユーザ管理テーブル130には、「店舗選択情報」として、サービスを受ける店舗の種別を登録するようにしてもよい。もちろん、すべての店舗を、種別を問わず選択してもよいが、店舗の種別を選択できることで、よく行く種別の店舗でありながら今まで近くにあることを知らなかった店舗の情報を得ることができる。このことは特に災害時において重要である。店舗選択情報134には、店舗の種類だけでなく個別の店舗を指定することもできる。
【0050】
店舗管理テーブル150には、店舗管理情報として、店舗ID,所在地、店舗種別、蓄電池の充放電効率・充電量(蓄電容量)・消費量、利用ユーザ情報、指定ユーザ情報が含まれる。また、店舗のキャンペーン情報等を含むようにしてもよい。利用ユーザ情報とは、本システムの利用者として登録したユーザの情報である。登録はしていないが、その店舗で一度でも利用したことがあるユーザを準利用者としてもよい。指定ユーザとは、前述した店舗選択情報134において、その店舗を選択した登録ユーザの情報であり、そのユーザのメールアドレス等にその店舗の情報が提供される(もちろん、ここで格納されるユーザ情報はユーザが開示を許可した情報に限られる)。このようにすることで、ユーザに対する店舗の露出度が高まる。
【0051】
ユーザ契約テーブル160には、図示するように、ユーザIDごとに、ユーザ宅の発電設備の発電量、店舗との契約形態、契約先店舗、契約先店舗の畜電地の充放電効率・充電量・消費量が含まれる。契約先店舗がチェーン店の場合は、各店舗ごとの蓄電池情報が含まれる。図中の「発電量」とは、発電システムの損失を加味した電力会社への売電量を想定したものである。売電量という言葉より一般的に使用される言葉「発電量」を本表に用いた。大雑把に言えば、売電量=発電量−損失エネルギーとなる。
【0052】
また、図中の「契約形態」で「非常時充電」とは、非常時に店舗から何回充電可能とするか等を定めた契約形態であり、例えば、非常時に電気自動車に3回充電できることとし、残りは店舗で消費させることによって、店舗から特典を得られるなどの契約を定める。また、「店舗応援100」とは、ユーザ宅の発電量の100%を店舗に供給可能であることを示す契約形態である。
【0053】
また、「充放電効率」とは、電池の放電で得られた電気量と充電に要した電気量との比、又はおのおのの電気エネルギーの比をいう。電池の特性や充電、放電の仕方によっても異なるが、結局電気料金に影響するので、充電器の設計に重要であり、例えば、リチウム電池の充放電効率は99%以上である。
【0054】
上記のユーザ契約テーブル160は、ユーザDB130及び店舗DB150からユーザ及び店舗の情報を取得し、生成することが可能である。ここで、ユーザは、各店舗と個々に契約を締結してもよいが、前述の店舗選択情報134で店舗の種別を指定することで、サーバ側でまとめて店舗と契約することも可能である。このようなユーザ契約テーブル160を備えることで、ユーザごとに店舗との契約を一括管理することが可能である。また、店舗チェーンと契約すれば、その店舗チェーンの店舗どこでも同じサービスが受けることが可能である。
【0055】
以上、上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0056】
(処理フロー)
図5、
図6は、店舗でのサービス提供フロー(通常時及び停電時)を示した図である。以降の処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
【0057】
図5は、通常時における店舗でのサービス提供フローを示した図である。以下では店舗で買電(自己の電気自動車に充電)を行う場合について説明するが、売電(自己の電気自動車から放電)の場合も基本的には同様である。
【0058】
まず、店舗での買電を行おうとするユーザは、店舗のレジ又は蓄電装置に備えられたカード読取装置に会員カードを読み込ませる(ステップS10,S11)。現金払いの場合はステップS12に進む。ここで会員カードの読み込みは、店舗の他の商品等の買物の際に一緒に行ってもよい。以下のステップは、店舗のレジで商品等の購入と買電を一緒に行う場合を示している。
【0059】
この場合、カード読取装置は、読み込んだ会員カードが通常ポイントの利用可能なカードか否かを判別し(ステップS13)、通常ポイントの利用可能なカードであれば、ユーザが今回の商品等の買物で利用する通常ポイント数をユーザに指定してもらい取得する(ステップS14)。そして、更に会員カードが電力ポイントの利用可能なカードか否かを判別し(ステップS15)、電力ポイントが利用可能なカードであれば、ユーザが今回の買電で利用する電力ポイント数を取得する(ステップS16)。ここで、通常ポイントと電力ポイントは所定のレートで交換可能とし、例えば、充電しようとする電気の量よりも多くの電力ポイントが貯まっている場合は、電力ポイントを一部通常ポイントに交換することができる。逆に通常ポイントが貯まっており、電力ポイントが不足する場合も同様である。
【0060】
そして、ステップS17において、元々の通常ポイントに電力ポイントから交換された通常ポイントを合計し、商品等購入代金に充てることができるようにする。最後に、ポイント利用後の商品等購入代金分を通常ポイントに加算し、買電代金を電力ポイントに加算する。その後、ユーザは、レジでの清算が終わると、蓄電設備に電気自動車を移動し、支払った分だけ充電を行うことができる。
【0061】
売電の場合は、先に電気自動車を蓄電装置の前に移動し、蓄電すべき量を指定し、蓄電が完了した後、伝表を受取りレジで売電料金を電力ポイントか現金で受け取る。もちろん、店舗内に入る必要がなければ、会員カードを蓄電装置にかざすだけで蓄電量に応じた電力ポイントが加算される。
【0062】
なお、電気自動車を使わず、送電線を利用して電気の売買を行う場合は、各ユーザ宅に備えたスマートメータ等の発電量、売電量及び使用電力量を記録する装置、及び店舗側に備えた蓄電量、放電量、利用ユーザの情報を記録する装置からのデータをザーバに取得することによって電気の授受の管理が可能である。
【0063】
図6は、停電時(災害や事故等により一定の地域に停電が発生した場合)における店舗でのサービス提供フローを示した図である。前述したように、停電発生時には、電力会社からの情報に基づいて、影響を受けると考えられる店舗を特定し(ステップS20)、その店舗のサービスを通常時モードから停電時モードに移行させる(ステップS21)。そして、売電価格、買電価格を所定の停電時モードでの価格に変更する(ステップS22)。停電発生時には、停電地域の電力が不足するため、通常であれば売電価格、買電価格とも高く設定してもよいが、逆に災害時の助け合いの精神から、売電価格、買電価格とも通常よりも安く設定してもよい。
【0064】
また、停電時には貢献ポイントを発動させる。具体的には、主として非停電地域のユーザの貢献度に応じて、貢献ポイントをそのユーザに付与する(ステップS23)。貢献度は、蓄電拠点の店舗への蓄電量(電気の供給量)、ユーザ宅から蓄電場所の店舗までの走行距離、店舗から電気を必要とする場所までの走行距離に応じて算出される。ただし、非停電地域のユーザが停電地域で電気を必要とする場所が事前に分かれば、直接、ユーザ宅から満杯に充電した自己の電気自動車をその場所に移動して、電気を供給することも可能である。その場合、店舗を経由しないのでサーバの記録に残らないため、事後申請をユーザから受け付けるなどの救済手段を講じることが好ましい。
【0065】
(実施形態の効果)
以上、本システムによれば、コンビニ等の店舗に備えられた蓄電池、既存の電力線、及びユーザの電気自動車を活用することによって、電気が余っているユーザから電気が不足するユーザへの電気の個人での授受が可能となる。このようにすることで、個人では所有することが難しい大容量の蓄電池を最寄りの店舗に備えてもらうことで、地域で共用可能な電力授受システムを構築することができる。
【0066】
通常時には、店舗で蓄電した蓄電量に応じて電力ポイントが付与され、商品又はサービスの購入時に割引が受けられる。電気が不足するときは、店舗の蓄電池から電気自動車に充電することもできる。さらに、蓄電池(充電器)が増えることになり、電気自動車の普及にも貢献できる。また、売電や買電の手段を身近な店舗に設けることで、その店舗の集客度を高めることができる。特に、蓄電先として選択してくれたユーザには、積極的に店舗の情報を提供し、露出度を更に高めることができる。また、店舗が地域で数少ない店舗である場合、ユーザが電力を無償や割安で供給することによって、店舗の経営を助け店舗を存続させる支援ができる。
【0067】
また、停電時には、店舗を軸とした電気の助け合いの仕組みを構築することができる。さらに、電力ポイントとは別に貢献ポイントを設けることで、停電時に主として非停電地域のユーザの停電地域に対する貢献度を数値化することができる。
【0068】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0069】
なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、電力授受システムにおける管理サーバについて説明したが、本発明は、方法の発明(管理サーバが行う制御方法)又はコンピュータ・プログラムの発明(管理サーバの制御プログラム)として捉えることもできる。
【符号の説明】
【0070】
10 管理サーバ
11 ユーザ登録手段
12 ユーザ利用情報取得手段
13 ユーザDB
14 電力授受管理手段
15 店舗DB
16 電力ポイント管理手段
17 停電情報取得手段
18 停電時処置手段
20 サービス提供店舗
21 蓄電手段
22 会員識別手段
30 ユーザ宅
40 電力会社
50 情報ネットワーク
100 電力授受ネットワークシステム
130 ユーザ管理テーブル
131 ユーザ管理情報
132 電力授受情報
133 電力ポイント情報
134 店舗選択情報
150 店舗管理テーブル
160 ユーザ契約テーブル