(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象地に関する情報、前記対象地について選択されている第1の路線価、前記第1の路線価の対象区間を示す第1の路線価矢線に関する情報、の対応付けを記憶部から取得するとともに、更新された複数の路線価と複数の路線価矢線に関する情報とを取得する取得部と、
前記対象地に対応付けられている前記第1の路線価矢線に関する情報に基づく所定範囲に含まれる第2の路線価矢線を前記更新された複数の路線価矢線の中から選択し、前記更新された複数の路線価のうち前記第2の路線価矢線に設定されている第2の路線価と前記第2の路線価矢線に関する情報とで前記記憶部内の前記対象地に対応付けられている前記第1の路線価と前記第1の路線価矢線に関する情報とを更新する制御部と、
を備える情報処理装置。
前記制御部は、前記所定範囲として、前記対象地の基準点から前記第1の路線価矢線へ下された垂線上に存在する所定の長さの線分であって、前記垂線と前記第1の路線価矢線との交点を含む線分を取得し、前記線分と交差する路線価矢線を前記第2の路線価矢線として前記更新された複数の路線価矢線の中から選択する、
請求項2に記載の情報処理装置。
前記記憶部は、前記対象地に関する情報として、前記対象地の前記基準点の座標を保持し、前記第1の路線価矢線に関する情報として、前記垂線と前記第1の路線価矢線との交点の座標を保持し、
前記取得部は、前記更新された複数の路線価矢線に関する情報として、前記更新された複数の路線価矢線それぞれの両端の座標を取得し、
前記制御部は、前記対象地の前記基準点の座標と、前記垂線と前記第1の路線価矢線との交点の座標と、前記更新された複数の路線価矢線それぞれの両端の座標と、を用いて、前記第2の路線価矢線を選択する、
請求項3に記載の情報処理装置。
前記制御部は、前記更新された複数の路線価矢線の中から前記対象地より後方に存在する路線価矢線と前記対象地から所定距離以上前方に存在する路線価矢線とを除外し、残った路線価矢線の中から前記第2の路線価矢線を選択する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記制御部は、前記更新された複数の路線価矢線の中から、両端が前記対象地の前記基準点より前方の所定距離までの間に存在する路線価矢線を抽出し、抽出した路線価矢線の中から前記第2の路線価矢線を選択する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記制御部は、前記対象地の前記基準点の座標、前記垂線と前記第1の路線価矢線との交点の座標と、前記更新された複数の路線価矢線それぞれの両端の座標と、を用いて、前記更新された複数の路線価矢線の中から、前記両端が前記対象地の前記基準点より前方の所定距離までの間に存在する路線価矢線の前記抽出を行う、
請求項6に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0024】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る情報処理装置は、評価対象地の基準点から前回評価時に適用された路線価矢線へ垂線を下した交点を含む当該垂線上の線分と交差する路線価矢線を、評価対象地に新たに適用される路線価矢線として特定する。以降、評価対象地を、単に、対象地と称する。また、以降、「評価」とは、対象地に適用される路線価を特定することを示す。
【0025】
図1は、情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置1は、例えば、サーバ等の専用のコンピュータ、PC(Personal Computer)等の汎用のコン
ピュータである。情報処理装置1は、例えば、ハードウェア構成要素として、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置102、入力装置103、出力装置104
、補助記憶装置105、及び、ネットワークインタフェース107を備え、これらがバス109により互いに接続されている情報処理装置である。
【0026】
入力装置103は、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス等である。また、入力装置103には、カメラやスキャナのような画像の入力装置や、マイクロフォンのような音声入力装置を含むことができる。入力装置103から入力されたデータは、CPU 101に出力される。
【0027】
ネットワークインタフェース107は、ネットワークとの情報の入出力を行うインタフ
ェースである。ネットワークインタフェース107は、有線のネットワーク、および、無線のネットワークと接続する。ネットワークインタフェース107は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線LAN(Local Area Network)カード、携帯電話網に接続するための無線回路等である。ネットワークインタフェース107で受信されたデータ等は、CPU 101に出力される。
【0028】
主記憶装置102は、CPU 101に、補助記憶装置105に格納されているプログラムをロードする記憶領域および作業領域を提供したり、バッファとして用いられたりする記憶装置である。主記憶装置102は、例えば、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリである。
【0029】
補助記憶装置105は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してCPU 101が使用するデータを格納する。補助記憶装置105は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク(Hard Drive Disc)である。補助記憶装置105は、例えば、オペレーティングシステム(OS)、路線価更新プログラム105P、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。路線価更新プログラム105Pは対象地に適用される路線価を更新するためのプログラムである。
【0030】
CPU 101は、補助記憶装置105に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムを主記憶装置102にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。CPU 101は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0031】
出力装置104は、CPU 101の処理の結果を出力する。出力装置104は、ディスプレイやプリンタである。また、出力装置104は、スピーカのような音声出力装置を含むことができる。
【0032】
なお、
図1に示される情報処理装置1のハードウェア構成は、一例であり、上記に限られず、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略や置換、追加が可能である。例えば、情報処理装置1は、可搬記録媒体を駆動し、可搬記録媒体に記録されたデータを読み出す可搬記録媒体駆動装置を備えてもよい。可搬記録媒体は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc),Blu−ray(登録商標)ディスクのようなディスク記録媒体、フラッシュメモリカードのような記録媒体である。
【0033】
図2は、情報処理装置1の機能構成の一例を示す図である。情報処理装置1は、機能構成として、制御部11、路線価属性データベース12、不動産評価データベース13を備える。制御部11は、情報処理装置1のCPU 101が補助記憶装置105に保持されている路線価更新プログラム105Pを実行することによって達成される機能構成要素である。
【0034】
制御部11は、路線価属性データベース12に格納される新しいバージョンの路線価図のデジタルデータに基づいて、不動産評価データベース13に格納されている各評価対象地に対応付けられている路線価を更新する。制御部11の処理の詳細は後述される。
【0035】
路線価属性データベース12は、例えば、所定の路線価図のデジタルデータの作成会社によって作成された最新のバージョンの路線価図のデジタルデータから得られる路線価矢線の属性情報を保持するデータベースである。不動産評価データベース13は、例えば、対象地の資産価値の算出に関する情報を格納するデータベースである。路線価属性データベース12、不動産評価データベース13は、例えば、補助記憶装置105の記憶領域に作成される。路線価属性データベース12、不動産評価データベース13は、例えば、情
報処理装置1の管理者によって、予め情報処理装置1に入力されて作成されている。路線価属性データベース12、不動産評価データベース13の詳細は後述される。
【0036】
図3は、評価対象地#Aの近辺の路線価図の一例を示す図である。路線価矢線は、路線上に配置されている。路線価矢線上の楕円内には、路線価が示されるが、図中では路線価は省略されている。評価対象地#Aが面する路線には、路線価矢線R1と路線価矢線R2との2つの路線価矢線が存在している。例えば、
図3に示される例において、対象地#Aの前方は、路線価矢線R1が存在する方向であると仮定すると、対象地#Aには、対象地#Aの前方に位置する路線価矢線R1に対応付けられている路線価が適用される。なお、対象地の正面がどの方向であるかは、予め設定される。
【0037】
図4は、評価対象地#Aの近辺の最新バージョンの路線価図の一例を示す図である。路線価図のデジタルデータの更新によって、対象地#Aの近辺には、路線価矢線R3が新設されている。また、路線価矢線R3の新設に伴って、路線価矢線R1の対象となる区画が変更され、路線価矢線R1が移動されている。
図4では、対象地#Aの正面には、路線価矢線R1と路線価矢線R3が存在しており、第1実施形態では、路線価矢線R3が評価対象地#Aに適用される路線価矢線として選択される。詳細は後述される。
【0038】
図5は、路線価属性データベース12に保持されるデータの一例を示す図である。路線価属性データベース12の1レコードは、1つの路線価矢線の1線分に対応する。例えば、
図4の路線価矢線R3は、折れ線であり、1つの頂点を有し、2つの線分を有する。したがって、
図4の路線価矢線R3については、路線価属性データベース12において2つのレコードが保持されることとなる。
【0039】
路線価属性データベース12の1レコードには、例えば、路線年度、路線県コード、路線署コード、路線番号、路線分節番号、路線価格、路線種別、路線価始点のX座標、路線価始点のY座標、路線価終点のX座標、路線価終点のY座標の情報が含まれている。
【0040】
路線年度の項目には、路線価図のデジタルデータが作成された年度が格納されている。路線県コードの項目には、当該レコードの路線価矢線が設定されている県を示すコードが格納されている。路線署コードの項目には、当該レコードの路線価矢線が設定されているエリアを管轄する税務署のコードが格納されている。路線県コード、路線署コードは、例えば、県や管轄の税務署等の単位で路線価矢線を抽出する際に用いられる。
【0041】
路線番号の項目には、当該レコードの路線価矢線を識別するIDが格納されている。路線価矢線は、例えば、路線県コード、路線署コード、及び、路線番号の組み合わせで一意に識別される。ただし、これに限られず、路線価矢線は、例えば、路線価の種類、路線価図の作成者等に依って、上記コードのような単一の識別情報又は複数の識別情報の組合せによって一意に識別される。
【0042】
路線分節番号の項目には、路線価矢線が折れ線である場合に当該路線価矢線に含まれる線分を識別する番号である。路線価格は、当該レコードの路線価矢線に対応付けられている路線価である。路線種別の項目には、当該レコードの路線価が、相続税路線価と固定資産税路線価とのいずれであるかを示すコードが格納されている。
【0043】
路線価始点のX座標、路線価始点のY座標の項目には、それぞれ、当該レコードの路線価矢線又は路線価矢線に含まれる線分の一つの始点のX座標、Y座標の値が格納されている。路線価終点のX座標、路線価終点のY座標の項目には、それぞれ、当該レコードの路線価矢線又は路線価矢線に含まれる線分の終点のX座標、Y座標の値が格納されている。なお、路線価矢線の線分の両端のいずれが始点か終点かは、例えば、路線価図のデジタル
データの作成会社によって決められている。
【0044】
X座標及びY座標の値は、例えば、緯度、経度であってもよいし、路線価図に独自に設定された座標系の値であってもよく、路線価図のデジタルデータに従う。なお、路線価属性データベース12のデータ構造は、
図5に示される例に限定されず、例えば、路線価図のデジタルデータのデータ構造に合わせて適宜変更される。以降、路線価矢線と称する場合には、折れ線形状の路線価矢線に含まれる線分の一つも含むこととする。
【0045】
図6は、不動産評価データベース13に保持されるデータの一例を示す図である。不動産評価データベース13は、例えば、評価対象地の資産価値の算出に用いられる情報を格納する。
【0046】
不動産評価データベース13の1レコードは、1つの評価対象地に対応する。不動産評価データベース13の1レコードには、評価番号、更新前路線価年度、更新前路線価価格、更新後路線価年度、更新路線価価格、対象地のX座標、対象地のY座標、垂線の足のX座標、垂線の足のY座標の情報が含まれている。
【0047】
評価番号の項目には、不動産評価データベース13のレコードを識別する番号が格納される。更新前路線価年度、更新前路線価価格の項目には、それぞれ、最新の評価の一つ前の評価時の路線価図のデジタルデータの年度、路線価が格納されている。更新後路線価年度、更新後路線価価格の項目には、それぞれ、最新の評価時の路線価図のデジタルデータの年度、路線価が格納されている。例えば、対象地に適用される路線の更新が行われると、更新前路線価年度、更新前路線価価格の項目は、更新前に更新後路線価年度、更新後路線価価格の項目に格納されていた値が格納される。
【0048】
対象地のX座標、対象地のY座標の項目には、それぞれ、対象地の基準点のX座標、Y座標の値が格納されている。対象地の基準点は、例えば、情報処理装置1の管理者によって登録される。対象地の基準点は、例えば、対象地の中心点、対象地の間口の中心点等であり、特定の定義に限定されない。
【0049】
垂線の足のX座標、垂線の足のY座標の項目には、それぞれ、垂線の足のX座標、Y座標の値が格納されている。垂線の足とは、評価対象地の基準点から、評価対象地に適用される路線価矢線への垂線と当該路線価矢線との交点である。垂線の足のX座標、垂線の足のY座標の項目の値は、更新後路線価年度の項目に対応する年度の路線価図のデジタルデータに対応する。垂線の足のX座標、垂線の足のY座標は、路線価が更新される度に更新される。
【0050】
なお、不動産評価データベース13のデータ構造は、
図6に示される例に限定されず、例えば、評価対象地の資産価値の算出方法等に応じて、適宜、変更可能である。例えば、更新前路線価年度、更新前路線価価格の項目は省略されてもよい。
【0051】
<評価対象地に適用される路線価矢線の選択処理>
図7は、評価対象地に適用される路線価矢線の選択処理の一例を示す図である。
図7における点線矢線は、前回評価時に対象地に適用される路線価矢線として選択された路線価矢線である。
【0052】
第1実施形態では、路線価属性データベース12に格納される最新バージョンの路線価のデジタルデータに含まれる路線価矢線の中から、評価対象地に適用される路線価矢線として、対象地の基準点から前回評価時に選択された路線価矢線への垂線上の点R、点Sによって形成される線分RSと交差する路線価矢線PQが選択される。点R、点Sは、それ
ぞれ、対象地の基準点から前回評価時に選択された路線価矢線への垂線の足から、対象地の基準点側、対象地の基準点と反対側の所定の距離に位置する点である。線分RSの長さは、例えば、路線価矢線の位置する路線の幅員に基づいて決定されてもよいし、固定値であってもよい。ただし、点R、点Sそれぞれの、対象地の基準点から前回評価時に選択された路線価矢線への垂線の足からの距離は、同じでなくともよく、対象地の前方の路線の幅員に応じて決定されてもよい。
【0053】
対象地の基準点と垂線の足の座標とは評価開始前に判明しているため(
図6参照)、これらに基づいて、点R、点Sの座標は取得される。詳細は後述される。
【0054】
図8は、垂線の足の座標の算出方法の一例を示す図である。
図8では、角度θをなすベクトルaとベクトルbとが示されている。ベクトルbの終点からベクトルaへの垂線とベクトルaとの交点を終点とするベクトルをベクトルb’とする。垂線の足の座標はベクトルb’の終点の座標となる。
【0055】
図8において、ベクトルa及びベクトルbの始点の座標を(x1,y1)、ベクトルaの終点の座標を(x2,y2)、ベクトルbの終点の座標を(x3,y3)とする。ベクトルb’の終点の座標を(xn,yn)とする。
【0056】
ベクトルb’は、ベクトルaと同じ向きの単位ベクトルにベクトルb’の大きさを乗じることで取得される。ベクトルb’の大きさは、ベクトルbの大きさにcosθを乗じることで取得される。すなわち、ベクトルb’はベクトルa、ベクトルbから以下の数式1で表される。数式1を座標で表現すると、垂線の足の座標(xn,yn)は、以下の数式2及び数式3で表される。
【数1】
【0057】
ベクトルaの始点及び終点をそれぞれ前回評価時に選択された路線価矢線の始点及び終点に、ベクトルbの終点を対象地の基準点に対応付けることによって、垂線の足の座標が取得される。以降、「垂線の足」と称する場合には、対象地の基準点から前回の評価時に選択された路線価矢線に下された垂線の足を指すこととする。なお、垂線の足の座標の求め方は、数式2、数式3に限定されない。
【0058】
なお、点R、点Sの座標は、例えば、垂線の足の座標と対象地の基準点の座標とから取得される。例えば、点Rの垂線の足からの距離をαとする。この場合、垂線の足を始点、点Rを終点とするベクトルrは、垂線の足を始点、対象地の基準点を終点とするベクトル
Rの単位ベクトルをα倍することで取得される。したがって、垂線の足の座標を(xn,yn)、対象地の基準点の座標を(x3,y3)とすると、点Rの座標(xr,yr)は以下の式で取得される。
【数2】
【0059】
垂線の足を始点、点Sを終点とするベクトルsは、ベクトルRをp・(−α)倍(p>0)することで取得される。したがって、点Sの座標(xs,ys)は、数式4及び数式5においてαをp・(−α)に置き換えた式で表される。
【0060】
図9は、正面判定処理の一例を示す図である。前回評価時に選択された路線価矢線が対象地の基準点の正面に存在していない場合には、垂線の足が当該路線価矢線上から外れてしまう。路線価矢線は、路線価図のデジタルデータが更新されても、ほぼ同じ位置に配置されることが多い。そのため、垂線の足が前回評価時に選択された路線価矢線から外れてしまうと、更新された路線価図のデジタルデータに対して評価を行った場合に、路線価矢線を選択できなくなる可能性が高くなる。
【0061】
そのため、第1実施形態では、垂線の足を求める場合には、まず、前回評価時に選択された路線価矢線が対象地の基準点の正面にあるか否かを判定する。
【0062】
図9では、
図8と同様のベクトルa,ベクトルbが示されている。例えば、点Pの正面にベクトルaが存在しているか否かは、点Pからベクトルaに下した垂線の足がベクトルa上に存在するか否かを判定することで判定できる。点Pからベクトルaに下した垂線の足を終点とするベクトルは、ベクトルb’である。すなわち、ベクトルb’の大きさがベクトルaの大きさよりも小さく、且つ、ベクトルaとベクトルbとがなす角θが0°≦θ≦90°(0≦ cosθ≦1)であればよい。したがって、以下の数式6が満たされている場合には、点Pの正面にベクトルaが存在することを判定できる。
【数3】
【0063】
ベクトルaの始点及び終点を前回評価時に選択された路線価矢線のそれぞれの端点に、ベクトルbの終点を対象地の基準点に対応させることによって、前回評価時に選択された路線価が対象地の基準点の正面に存在するか否かを判定することができる。
【0064】
図10は、対象地の基準点の正面に前回評価時に選択された路線価矢線が存在しない場
合の垂線の足の決定方法の一例を示す図である。対象地の基準点の正面に前回評価時に選択された路線価矢線が存在していない場合には、前回評価時に選択された路線価矢線の端点のうち対象地の基準点に近い方に接触するように線分RSを移動させる。
【0065】
この場合、線分RSの移動後の点R’、点S’の座標は、例えば、数式4、数式5で求められた点R、点Sの座標から、垂線の足の座標と前回評価時に選択された路線価矢線の端点のうち対象地の基準点に近い方の端点の座標との差分を差し引いた値となる。具体的には、点Rの座標を(xr,yr)、垂線の足の座標を(xn,yn)、前回評価時に選択された路線価矢線の端点のうち対象地の基準点に近い方の端点の座標を(xt,yt)とすると、点R’の座標は、(xr−(xn−xt),yr−(yn−yt))となる。
【0066】
対象地の基準点の正面に前回評価時に選択された路線価矢線が存在しない場合には、不動産評価データベース13には、前回評価時に選択された路線価矢線の端点のうち対象地の基準点に近い方に接触するように移動させた移動後の線分R’S’の点R’及び点S’の座標を不動産評価データベース13に保持させるようにしてもよい。または、対象地の基準点の正面に前回評価時に選択された路線価矢線が存在しない場合には、不動産評価データベース13には、例えば、垂線の足の座標とともに、前回評価時に選択された路線価矢線の端点のうち対象地の基準点に近い方の端点の座標(xt,yt)を保持してもよい。以降、線分RSと称する場合には、線分R’S’も含まれていることとする。
【0067】
図11は、路線価矢線の線分RSとの交差判定の一例を示す図である。
図11において、ベクトルaの始点及び終点の座標は、それぞれ、(xn1,yn1)、(xn2,yn2)である。
図11において、ベクトルbの始点及び終点の座標は、それぞれ、(xn3,yn3)、(xn4,yn4)である。
【0068】
線分aと線分bとが交差している状態では、(交差条件1)ベクトルaの左右どちらか一方に点(xn3,yn3)が存在し、もう一方に点(xn4,yn4)が存在する。且つ、(交差条件2)ベクトルbの左右どちらか一方に点(xn1,yn1)が存在し、もう一方に点(xn4,yn4)が存在する。
【0069】
1つのベクトルに対して1つの点が左右のどちらに存在するのかは、ベクトルの外積を用いて判定することができる。ベクトルXとベクトルYとの外積は、|X||Y|sinθで表され、ベクトルXとベクトルYとの外積の値の正負は、ベクトルXとベクトルYがなす角θのsinθの値に依存するからである。
【0070】
したがって、ベクトルaの左右どちらか一方に点(xn3,yn3)が存在し、もう一方に点(xn4,yn4)が存在するという(交差条件1)は、ベクトルaと点(xn1,yn1)を始点、点(xn3,yn3)を終点とするベクトルとの外積1と、ベクトルaと点(xn1,yn1)を始点、点(xn4,yn4)を終点とするベクトルとの外積2と、を乗じた値が負であれば、満たされる。
【0071】
また、ベクトルbの左右どちらか一方に点(xn1,yn1)が存在し、もう一方に点(xn4,yn4)が存在するという(交差条件2)は、ベクトルbと点(xn3,yn3)を始点、点(xn1,yn1)を終点とするベクトルとの外積3と、ベクトルbと点(xn3,yn3)を始点、点(xn2,yn2)を終点とするベクトルとの外積4と、を乗じた値が負であれば、満たされる。
【0072】
これらを数式で示すと、以下の通りとなる。
【数4】
【0073】
図11におけるベクトルaを
図7の線分RSに対応させ、
図11におけるベクトルbを交差判定の対象の路線価矢線に対応させることによって、線分RSと交差判定の対象の路線価矢線との交差判定を行うことができる。なお、線分RSと交差判定の対象の路線価矢線との交差判定の方法は、
図11に示される例に限定されない。
【0074】
図12は、交差判定の対象となる有効範囲の一例を示す図である。第1実施形態では、最新のバージョンの路線価図に含まれる全ての路線価矢線について、線分RSとの交差判定を行うのは負荷が高くなるため、線分RSとの交差判定の対象となる路線価矢線を絞り込むための処理が行われる。線分RSとの交差判定の対象となる路線価矢線を絞り込むための処理を、以降、単に、路線価矢線の絞り込み処理と称する。
【0075】
図12では、対象地を含む所定の範囲に存在する路線価矢線が示されている。第1実施形態では、対象地が定まると、当該対象地を含む所定の範囲内に存在する路線価矢線が路線価属性データベース12から抽出される。第1実施形態では、抽出された当該対象地を含む所定の範囲内に存在する路線価矢線に対して、路線価矢線の絞り込み処理が行われる。例えば、対象地を含む所定の範囲は、対象地が属する都道府県、区市町村、税務署の管轄地域、又は、対象地の基準点を中心とした一定の範囲である。
図12中の点Aは対象地の基準点を示す。
図12中の点Bは垂線の足を示す。
【0076】
第1実施形態では、対象地の前方に存在する路線価矢線を特定するので、対象地の基準点より後方に存在する路線価矢線は、交差判定の対象から除外される。なお、対象地の前方は、例えば、対象地の基準点から見て前回評価時に選択された路線価矢線が存在する方向、すなわち、垂線の足の存在する方向で定められる。
【0077】
また、第1実施形態では、対象地の前方に存在する路線価矢線であっても、対象地の基準点より所定距離以上前方に存在する路線価矢線は、交差判定の対象から除外される。例えば、交差判定の対象となる有効範囲は、対象地の基準点より前方の、対象地の基準点から対象地の基準点と垂線の足との距離の2倍の範囲である。
図12中の点Cは、AB=BCとなる線分AB上の延長線上の点である。
【0078】
すなわち、第1実施形態では、点Aを通る前回評価時に選択された路線価矢線との平行線から点Cを通る前回評価時に選択された路線価矢線との平行線までの範囲が交差判定の対象となる路線価矢線の有効範囲である。なお、点Cが配置される位置は、AB=BCとなる線分ABの延長線上の位置に限定されず、対象地の前方の路線の幅に応じて決定されてもよい。
【0079】
図13は、一点に対する前後判定処理の一例を示す図である。
図13には、角度θをなすベクトルa、ベクトルbが示されている。
図13において、ベクトルa及びベクトルbの始点の座標は(x1,y1)である。ベクトルaの終点の座標は(x2,y2)である
。ベクトルbの終点の座標は(x3,y3)である。
【0080】
ベクトルbの終点がベクトルaの始点の前後いずれに存在するかは、内積を用いて判定することができる。ベクトルbの終点がベクトルaの始点より前方に存在する場合には、−90°≦θ≦90°である。ベクトルbの終点がベクトルaの始点より後方に存在する場合には、90°<θ<270°である。−90°≦θ≦90°である場合には0≦cosθ≦1、90°<θ<270°である場合には−1<cosθ<0である。したがって、ベクトルaとベクトルbとの内積(=|a||b|cosθ)の値の正負によって、ベクトルbの終点がベクトルaの始点の前後いずれに存在するかを判定することができる。
【数5】
【0081】
ベクトルaの始点を対象地の基準点、ベクトルaの終点を垂線の足、ベクトルbの終点を路線価矢線の端点に対応付けることで、路線価矢線が対象地の基準点の前方に存在するか否かを判定することができる。また、ベクトルaの始点を
図12中の点C、ベクトルaの終点を垂線の足、ベクトルbの終点を路線価矢線の端点に対応付けることで、路線価矢線が点Cの前方(垂線の足の方向)に存在するか否かを判定することができる。なお、θ=90°である場合に、すなわち、(x3−x1)・(x2−x1)+(y3−y1)・(y2−y1)=0である場合に、ベクトルbの終点はベクトルaの始点より後方に存在するとしてもよい。
【0082】
なお、
図12、
図13において説明された路線価矢線の絞り込み処理では、対象地の基準点を基準として前方、後方が判定されるが、対象地の前方、後方の基準は対象地の基準点に限定されない。例えば、対象地の前方は対象地の間口線を基準とし、対象地の間口線より前方としてもよい。例えば、対象地の後方は、対象地の間口線と反対方向の線より後方としてもよい。
【0083】
図14は、対象地に対して適用される路線価矢線として、第1実施形態に係る路線価矢線の選択処理によって選択される路線価矢線と対象地の基準点との関係の一例を示す図である。
図14中の(A)に示されるように、線分RSと交差し、且つ、有効範囲内に両端が存在している路線価矢線は、路線価矢線の選択処理によって、対象地に対して適用される路線価矢線として特定される。
【0084】
図14中の(B)では、線分RSと交差し、且つ、有効範囲内に両端が存在している路線価矢線が複数ある場合の例が示されている。このような場合には、第1実施形態では、対象地の基準点との距離が近い方の路線価矢線が選択される。線分RSと交差し、且つ、有効範囲内に両端が存在している複数の路線価矢線について対象地の基準点との距離が同じである場合には、第1実施形態では、エラーとする。
【0085】
なお、路線価矢線の選択処理によって対象地に対して適用される路線価矢線として選択される路線価矢線は、
図14に示される例に限定されない。
【0086】
図15は、第1実施形態に係る路線価矢線の選択処理において、対象地に対して適用される路線価矢線として選択されない路線価矢線と対象地の基準点との関係の一例を示す図である。
図15中の(A)では、複数の路線価矢線が対象地の前方に位置するものの、線
分RSと交差していないため、いずれの路線価矢線も、対象地に対して適用される路線価矢線として選択されない。
【0087】
図15中の(B)では、路線価矢線は線分RSと交差しているものの端点の一つが対象地の基準点より後方に存在しているため、対象地に対して適用される路線価矢線として選択されない。
図15中の(B)のような路線価矢線は、路線価矢線の絞り込み処理によって交差判定の対象から除外される。
【0088】
図15中の(C)では、路線価矢線は両端が有効範囲内に存在しているものの、線分RSと交差していないため、対象地に対して適用される路線価矢線として選択されない。
【0089】
図15中の(D)では、線分RSに交差し、両端が有効範囲内に存在する路線価矢線が複数存在しているものの、当該複数の路線価矢線間で対象地の基準点との距離が同じである例が示される。第1実施形態では、この場合には、いずれの路線価矢線も対象地に対して適用する路線価矢線として選択されない。ただし、これに限られず、当該複数の路線価矢線間で両端の座標を含む全ての属性情報が同一である場合には、対象地に対して適用する路線価矢線を当該複数の路線価矢線の中から1本選択してもよい。また、当該複数の路線価矢線間で両端の座標は同一であるものの、他の属性情報(例えば、路線価)が異なる場合には、いずれの路線価矢線も対象地に対して適用する路線価矢線として選択されないようにしてもよい。
【0090】
なお、対象地に対して適用する路線価矢線として選択されない路線価矢線は、
図15に示される例に限定されない。
【0091】
<処理の流れ>
図16は、第1実施形態に係る情報処理装置1の処理の、不動産評価データベース13に格納される対象地に対応付けられている路線価の更新処理のフローチャートの一例である。
図16に示される処理は、例えば、情報処理装置1にユーザから不動産評価データベース13に格納される対象地に対応付けられている路線価の更新処理の開始指示が入力されることによって開始され、不動産評価データベース13に保持される各対象地について繰り返し実行される。なお、
図16に示される処理の開始に先立って、路線価属性データベース12には最新のバージョンの路線価図のデジタルデータが格納されていることとする。
【0092】
図16に示される処理の主体は、路線価更新プログラム105Pを実行する情報処理装置1のCPU 101であるが、便宜上、路線価更新プログラム105Pが実行されることによって達成される機能構成要素である制御部11を主体として説明される。
【0093】
OP1では、制御部11は、対象地を含む所定範囲内の路線価矢線を路線価属性データベース12から抽出する。所定範囲は、例えば、都道府県、市区町村、税務署の管轄地域、又は、対象地の基準点を中心とした一定の範囲である。OP2では、制御部11は、路線価矢線の絞り込み処理を行う。路線価矢線の絞り込み処理の詳細は後述される。路線価矢線の絞り込み処理によって、対象地に対する有効範囲内に存在する路線価矢線が抽出される。
【0094】
OP3では、制御部11は、OP2で抽出された各路線価矢線について、線分RSとの交差判定(
図11参照)を行い、線分RSと交差する路線価矢線を抽出する。
【0095】
OP4では、制御部11は、線分RSと交差する路線価矢線が存在するか否かを判定する。線分RSと交差する路線価矢線が存在する場合には(OP4:YES)、処理がOP
5に進む。線分RSと交差する路線価矢線が存在しない場合には(OP4:NO)、処理がOP9に進む。
【0096】
OP5では、制御部11は、線分RSと交差する路線価矢線が複数存在するか否かを判定する。線分RSと交差する路線価矢線が複数存在する場合には(OP5:YES)、処理がOP6に進む。線分RSと交差する路線価矢線が1つである場合には(OP5:NO)、処理がOP7に進む。
【0097】
OP6では、制御部11は、線分RSと交差する複数の路線価矢線の中から、対象地に適用される路線価矢線として、1つの路線価矢線を選択する。
【0098】
OP7では、制御部11は、選択した路線価矢線に設定されている路線価を路線価属性データベース12から取得し、不動産評価データベース13の対象地に該当するレコードの路線価を更新する。
【0099】
例えば、
図6に示される不動産評価データベース13の場合には、制御部11は、対象地に該当するレコードの更新後路線価年度、更新後路線価価格の項目に格納されている値で、それぞれ、更新前路線価年度、更新前路線価価格の項目の値を上書きする。また、制御部11は、路線価属性データベース12に格納されている最新の路線価図のデジタルデータの年度で対象地に該当するレコードの更新後路線価年度の項目の値を上書きする。制御部11は、選択した路線価矢線に設定されている路線価で、対象地に該当するレコードの更新後路線価価格の項目の値を上書きする。
【0100】
OP8では、制御部11は、特定した路線価矢線に対して垂線の足の座標を算出し、不動産評価データベース13の対象地の垂線の足の座標を更新する。垂線の足の座標は、例えば、数式2及び数式3を用いて算出される。特定した路線価矢線が対象地の基準点の正面に存在しない場合には、例えば、点R’、点S’の座標又は特定した路線価矢線の対象地の基準点に近い方の端点の座標も不動産評価データベース13に格納される。その後、
図16に示される処理が終了する。
【0101】
OP9では、制御部11は、他の方法で、対象地に適用される路線価矢線を選択する。対象地に適用される路線価矢線を選択する他の方法には、例えば、路線価矢線のIDを用いる方法がある。その後、
図16に示される処理が終了する。
【0102】
図17は、路線価矢線の絞り込み処理のフローチャートの一例を示す図である。
図17に示される処理は、
図16のOP2において実行される処理である。
図17に示される処理は、
図16のOP1において抽出された全ての路線価矢線に対して実行される。
【0103】
OP11では、制御部11は、対象の路線価矢線の一方の端点が有効範囲よりも後方、すなわち、対象地の基準点よりも後方に存在するか否かを判定する。この判定は、例えば、対象地の基準点を始点とし垂線の足を終点とするベクトルと、対象地の基準点を始点とし対象の路線価矢線の当該端点を終点とするベクトルと、の内積が正であるか否かを判定することで行われる(
図13参照)。
【0104】
対象の路線価矢線の一方の端点が有効範囲よりも後方に存在する場合には(OP11:YES)、処理がOP16に進み、対象の路線価矢線は、交差判定の対象から除外される。対象の路線価矢線の一方の端点が有効範囲よりも後方に存在する場合には(OP11:NO)、処理がOP12に進む。
【0105】
OP12では、制御部11は、対象の路線価矢線の一方の端点が有効範囲よりも前方、
すなわち、対象地の基準点から見て点C(
図12参照)よりも前方に存在するか否かを判定する。この判定は、例えば、点Cを始点とし垂線の足を終点とするベクトルと、点Cを始点とし対象の路線価矢線の当該端点を終点とするベクトルと、の内積が正であるか否かを判定することで行われる。
【0106】
対象の路線価矢線の一方の端点が有効範囲よりも前方に存在する場合には(OP12:YES)、処理がOP16に進み、対象の路線価矢線は、交差判定の対象から除外される。対象の路線価矢線の一方の端点が有効範囲よりも前方に存在する場合には(OP12:NO)、処理がOP13に進む。
【0107】
OP13では、制御部11は、対象の路線価矢線のもう一方の端点が有効範囲よりも後方、すなわち、対象地の基準点よりも後方に存在するか否かを判定する。対象の路線価矢線のもう一方の端点が有効範囲よりも後方に存在する場合には(OP13:YES)、処理がOP16に進み、対象の路線価矢線は、交差判定の対象から除外される。対象の路線価矢線のもう一方の端点が有効範囲よりも後方に存在する場合には(OP13:NO)、処理がOP14に進む。
【0108】
OP14では、制御部11は、対象の路線価矢線のもう一方の端点が有効範囲よりも前方、すなわち、対象地の基準点から見て点C(
図12参照)よりも前方に存在するか否かを判定する。対象の路線価矢線のもう一方の端点が有効範囲よりも前方に存在する場合には(OP13:YES)、処理がOP16に進み、対象の路線価矢線は、交差判定の対象から除外される。対象の路線価矢線のもう一方の端点が有効範囲よりも前方に存在する場合には(OP13:NO)、処理がOP15に進む。
【0109】
OP15では、制御部11は、対象の路線価矢線を交差判定の対象と判定する。その後、対象の路線価矢線に対する処理が終了し、次の路線価矢線についてOP11からの処理が繰り返し実行される。
図16のOP11において抽出された全ての路線価矢線について、
図17に示される処理が終了すると、処理が
図16のOP3に進む。
【0110】
図17に示される路線価対象の絞り込み処理の実験では、例えば、対象地が属する区市町村に存在する4000本程度の路線価矢線が20本程度にまで絞り込めたという結果を得ている。
【0111】
なお、不動産評価データベース13に格納される対象地に対応付けられている路線価の更新処理は、
図16及び
図17に示される処理に限定されない。例えば、
図16に示される処理において、OP2の路線価矢線の絞り込み処理は省略されてもよい。また、
図17に示される処理において、OP11〜OP14の判定は、必ずしもすべて実行されなくともよく、少なくとも1つが実行されればよい。
【0112】
<第1実施形態の作用効果>
第1実施形態では、新たなバージョンの路線価図のデジタルデータから、前回評価時に選択された路線価矢線に対して対象地の基準点から下された垂線上の線分RSと交差する路線価矢線が特定され、特定された路線価矢線に設定されている路線価で対象地の路線価が更新される。路線価矢線の多くは、新たなバージョンの路線価図のデジタルデータにおいても配置にさほど変化がなく、前バージョンとほぼ同じ位置に配置される。また、第1実施形態によれば、新たなバージョンの路線価図のデジタルデータにおいて前バージョンから路線価矢線の線分の長さに変化があった場合でも、当該路線価矢線が線分RSに交差していれば、対象地に適用される路線価矢線として選択される。
【0113】
したがって、第1実施形態によれば、前回評価時に選択された路線価矢線に対して対象
地の基準点から下された垂線上の線分RSと交差する路線価矢線を特定することによって、新しいバージョンの路線価図のデジタルデータについても精度良く対象地に対応付けられる路線価矢線を特定することができる。また、対象地の路線価を精度良く更新することができる。
【0114】
また、第1実施形態に係る対象地に適用される路線価矢線の選択処理では、対象地の基準点の座標と、垂線の足の座標と、最新の路線価図における路線価矢線の両端の座標とがあれば、対象地に適用される路線価矢線を特定することができる。対象地の基準点の座標、最新の路線価図における路線価矢線の両端の座標は既知である。垂線の足の座標は前回評価時に選択された路線価矢線の両端の座標から算出される。したがって、第1実施形態によれば、既知の座標の値を入力すれば、ユーザの手を介することなく、また、座標以外のデータを用いることなく、対象地に対応付けられる路線価矢線を選択することができ、対象地の路線価の更新に係るユーザの負担を軽減することができる。
【0115】
また、第1実施形態に係る路線価矢線の絞り込み処理によって、線分RSとの交差判定の対象となる路線価矢線の数を絞り込むことができる。これによって、線分RSとの交差判定に係る情報処理装置1の処理負荷を低減することができる。
【0116】
なお、第1実施形態では、有効範囲内に存在し、線分RSと交差する路線価矢線がない場合には、他の方法によって対象地に対応付ける路線価矢線が選択される(
図16、OP9参照)が、これに限定されない。例えば、相続税路線価又は固定資産税路線価のいずれか一方について、有効範囲内に存在し、線分RSと交差する路線価矢線がない場合には、もう一方について、有効範囲内に存在し線分RSと交差する路線価矢線を特定する処理を行ってもよい。
【0117】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態では、対象地の基準点の座標と垂線の足の座標とを用いて線分RSが求められ、最新の路線価図に含まれる路線価矢線の両端の座標を用いて、最新の路線価図に含まれる路線価矢線の中から線分RSと交差する路線価矢線が選択される。これに代えて、垂線の足の座標を用いて対象地の前方に所定の範囲を設定し、最新の路線価図に含まれる路線価矢線の両端の座標を用いて、最新の路線価図に含まれる路線価矢線の中から当該所定の範囲に含まれる又は当該所定の範囲と重なる路線価矢線を選択するようにしてもよい。
【0118】
この場合には、不動産評価データベース13において、対象地の基準点の座標は保持されなくてもよく、垂線の足の座標が保持されていればよい。垂線の足の座標を用いて対象地の前方に設定される所定の範囲は、例えば、垂線の足を含む所定の長さの線分、垂線の足を含む円、垂線の足を含む矩形等である。
【0119】
また、不動産評価データベース13において、垂線の足の座標に代えて、前回評価時に選択された路線価矢線上の両端の座標が保持されてもよい。この場合には、線分RSは、対象地の基準点の座標と、前回評価時に選択された路線価矢線上の両端の座標とから求められる。
【0120】
また、不動産評価データベース13において、対象地の基準点の座標は保持されず、垂線の足の座標に代えて、前回評価時に選択された路線価矢線の両端の座標が保持されてもよい。この場合には、例えば、前回評価時に選択された路線価矢線の両端の座標と最新の路線価図に含まれる路線価矢線の両端の座標とを比較し、最新の路線価図に含まれる路線価矢線のうち、両端の座標それぞれが前回評価時に選択された路線価矢線の両端の座標から所定の範囲内に含まれている路線価矢線が選択される。
【0121】
または、不動産評価データベース13において、垂線の足の座標に代えて、前回評価時に選択された路線価矢線の両端の座標が保持されている場合には、最新の路線価図に含まれる路線価矢線のうち、前回評価時に選択された路線価矢線の両端の座標を用いて設定される所定の範囲と重なる路線価矢線が選択されるようにしてもよい。前回評価時に選択された路線価矢線の両端の座標を用いて設定される所定の範囲は、例えば、前回評価時に選択された路線価矢線と直交する線分、前回評価時に選択された路線価矢線を直径とする円、前回評価時に選択された路線価矢線を含む矩形、前回評価時に選択された路線価矢線の両端それぞれについて設定される線分、円、矩形等である。
【0122】
または、不動産評価データベース13において、対象地の基準点の座標は保持されず、垂線の足の座標に代えて、前回評価時に選択された路線価矢線の両端を除く当該路線価矢線上のいずれかの点の座標が保持されてもよい。前回評価時に選択された路線価矢線の両端を除く当該路線価矢線上のいずれかの点の座標を用いて対象地の前方に設定される所定の範囲は、例えば、前回評価時に選択された路線価矢線上の当該点を含む所定の長さの線分、前回評価時に選択された路線価矢線上の当該点を含む円、前回評価時に選択された路線価矢線上の当該点を含む矩形等である。
【0123】
<第2実施形態>
第2実施形態では、線分RSを、対象地の前方の路線に設定された矩形オブジェクトに基づいて決定する。第2実施形態では、第1実施形態と重複する説明は省略される。
【0124】
図18は、対象地の前方の路線に設定される矩形オブジェクトの一例を示す図である。矩形オブジェクト200は、対象地#Aの前方の路線に設定されている。矩形オブジェクト200は、例えば、長辺又は短辺の一方の長さが対象地#Aの前方の辺である間口線MNの長さ+αに設定され、長辺又は短辺のもう一方の長さが対象地の前方の路線の幅員+αの長さに設定される。
【0125】
矩形オブジェクトは、例えば、対象地のデータを不動産評価データベース13に登録する際に作成され、対象地と関連付けられて、情報処理装置1の補助記憶装置105内の所定の領域に格納される。対象地の前方は、例えば、ユーザによって指定される。矩形オブジェクトは、地図データと対象地のデータとに基づいて、所定のプログラムによって作成される。矩形オブジェクトの作成プログラムは、既存のプログラムが利用される。
【0126】
第2実施形態では、対象地に対応付けられる路線価矢線を選択するために用いられる線分RSは、対象地の前方の路線に設定される矩形オブジェクトに含まれる範囲内で設定される。例えば、第2実施形態では、線分RSは、矩形オブジェクト200の対象地#Aの前方の路線方向の2辺の中心点を結んだ線分として設定される。この場合には、線分RSの長さは、矩形オブジェクト200の対象地#Aの間口線MNに対して垂直方向の辺と同じである。ただし、線分RSの設定方法は、これに限定されない。
【0127】
第2実施形態では、点R、点Sの座標は、矩形オブジェクトから求められる。そのため、第2実施形態でも、
図11で示される第1実施形態に係る交差判定と同様にして交差判定可能である。また、例えば、垂線の足に代えて線分RSの中点を用いることで、第2実施形態でも路線価対象の絞り込み処理を実施可能である。
【0128】
第2実施形態によれば、前回の路線価矢線の評価結果が無い状態でも、すなわち、初めて路線価の評価を行う対象地についても、路線価矢線を特定し、路線価の評価を行うことができる。
【0129】
<その他>
第1実施形態及び第2実施形態では、1台の情報処理装置1がスタンドアロンで処理を行う例が説明されたがこれに限定されない。例えば、情報処理装置1は、インターネットを通じて、端末からの要求を受け付け、処理の結果を端末に返してもよい。
【0130】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、制御部11、路線価属性データベース12、及び、不動産評価データベース13は1台の情報処理装置1に搭載されているが、これに限られず、制御部11、路線価属性データベース12、及び、不動産評価データベース13は、それぞれ異なる装置に搭載されてもよい。
【0131】
<記録媒体>
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0132】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる非一時的な記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスク、ROM(リードオンリーメモリ)等がある。さらに、SSD(Solid State Drive)は、コンピュータ等から取り外し可能な記録媒体としても、コ
ンピュータ等に固定された記録媒体としても利用可能である。