(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制動部は、前記ワイヤリールの軸方向の一端側に設けられたフランジ部の表面を押圧することで、前記制動部と前記フランジ部との間に生じる摩擦力によって前記ワイヤリールの回転を制動させる請求項1に記載の結束機。
前記制動部は、前記ワイヤリールの軸方向に沿って形成された凹部に挿入可能に構成され、前記凹部の内面の少なくとも一部を押圧して前記ワイヤリールの回転を制動させる請求項1に記載の結束機。
前記ワイヤリールが回転するときは前記制動部が前記第2の位置となるように前記駆動部を制御し、前記ワイヤリールの回転を制動させるときは前記制動部が前記第1の位置となるように前記駆動部を制御する制御部を備えた請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の結束機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
【0014】
<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図1は、第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の制動部を上面から見た構成図である。また、
図2は、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す一の側面から見た構成図、
図3は、本実施の形態の鉄筋結束機の要部構成の一例を示す上面から見た構成図、
図4は、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す他の側面から見た構成図である。
【0015】
まず、本実施の形態の鉄筋結束機1Aの概要について
図2から
図4を参照して説明する。なお、以下の説明では、鉄筋結束機1Aの結束機本体10に対してハンドル部10aが設けられる側を下側、ハンドル部10aと反対側を上側とする。
【0016】
鉄筋結束機1Aは、1本または複数本のワイヤが巻かれたワイヤリール20を回転可能に収容する収容部2Aと、収容部2Aに収容されたワイヤリール20に巻かれたワイヤWを送るワイヤ送り部3Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWをカールさせて鉄筋Sの周囲に巻くカール形成部4Aと、鉄筋Sに巻かれたワイヤWを捩じる結束部5Aを備える。
【0017】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤリール20に巻かれたワイヤWをワイヤ送り部3Aで送り、カール形成部4Aで曲げながら(カールさせながら)、鉄筋Sの周囲に巻く。
【0018】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻いた後、結束部5Aで当該ワイヤWを把持して捩じる。これにより、鉄筋SはワイヤWによって結束される。鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3AでのワイヤWの送り動作が終了した後、
図1に示す制動部6A
1でワイヤリール20の回転を規制(制動)する。
【0019】
鉄筋結束機1Aで使用されるワイヤリール20について
図2及び
図3を参照して説明する。ワイヤリール20は、ワイヤWが巻き付けられる筒状のハブ部20aと、ハブ部20aの軸方向(ワイヤリール20の回転動作におけるハブ部20aの軸方向。以下単に「軸方向」という場合がある)両端側に設けられる一対のフランジ部20bとを備える。フランジ部20bは、ハブ部20aの直径より大きな直径を有して、ハブ部20aの軸方向両端側より径方向に放射状に拡がるほぼ円形の板状部材である。ハブ部20aの軸方向の一方の端部には、後述するリールホルダ60Mに嵌められる凹状の嵌合穴部20mが形成される。また、ハブ部20aの軸方向の他方の端部には、後述するリール支持部21の支持軸21bが挿入される凹状の穴部20eが形成される。
【0020】
次に、ワイヤリール20が取り付けられる収容部2Aについて説明する。収容部2Aは、結束機本体10(の外壁)に形成された凹部22と、凹部22に対して開閉可能に設けられたリール支持部21とによって構成され、凹部22とリール支持部21とによってワイヤリール20を収容するための空間を形成する。収容部2Aは、リール支持部21と対向する凹部22の壁面にワイヤリール20を支持するためのリールホルダ60Mを備える。リールホルダ60Mは、ワイヤリール20を収容するときにハブ部20aの嵌合穴部20mに挿入可能なように配置される。リールホルダ60Mは、嵌合穴部20mの形状に合わせて凸状の円筒状に形成される。
【0021】
リール支持部21は、結束機本体10に設けられる軸21aを支点に開閉する。リール支持部21は、リールホルダ60Mとは反対側の位置からワイヤリール20を支持する支持軸21bを有する。支持軸21bは、リール支持部21から突出し、リール支持部21が閉じられたときに、ハブ部20aの穴部20eに挿入されるように構成される。支持軸21bは、ワイヤリール20の穴部20eの形状に合わせて凸状の円筒状に形成される。
【0022】
収容部2Aにワイヤリール20を収容するときは、リール支持部21を開き、ワイヤリール20の嵌合穴部20mをリールホルダ60Mに嵌合して、ワイヤリール20をワイヤリール60Mにセットした後、リール支持部21を閉じて、図示しないロック機構でリール支持部21を閉状態でロックする。リール支持部21を閉じることで支持軸21bがワイヤリール20の穴部20eに挿入され、ワイヤリール20はリールホルダ60Mと支持軸21bによって回転可能に支持される。収容部2Aからワイヤリール20を取り出すときは、リール支持部21を再び開いて、ワイヤリール20をリールホルダ60Mから取り外す。
【0023】
次に、ワイヤWを送るワイヤ送り部3Aについて説明する。ワイヤ送り部3Aは、一対の送り部材として第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを備える。第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、円板状の部材の外周面に、円周方向に沿ってワイヤWが入る溝部31が形成されるとともに、溝部31が形成された部位を除いて、外周面に図示しない歯部が形成された略平歯車状の歯車である。
【0024】
第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、ワイヤWの送り経路を挟んで配置され、外周面同士が対向するように構成される。また、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、図示しないバネ等の付勢手段により、相対的に近づく方向に付勢される。
【0025】
ワイヤ送り部3Aは、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの歯部がかみ合い、一方の送りギアから他方の送りギアに駆動力が伝達されるように構成される。本例では、第1の送りギア30Lから第2の送りギア30Rへ駆動力が伝達される。
【0026】
ワイヤ送り部3Aは、ワイヤWが第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rの溝部31に入って第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rとの間に挟持された状態で、第1の送りギア30Lと第2送りギア30Rを回転させることでワイヤWを送ることができる。ワイヤ送り部3Aは、ワイヤWをカール形成部4Aに向けて送る。なお、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは、一方の送りギアから他方の送りギアに駆動力を伝達できる構成であれば、必ずしも平歯車状のものに限定されない。
【0027】
次に、ワイヤ送り部3Aで第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rを駆動する駆動部について説明する。駆動部は、第1の送りギア30Lを駆動する送りモータ(モータ)32からなる。送りモータ32の出力軸32bは、ギア32a、ギア34、回転軸33を介して第1の送りギア30Lに接続される。
【0028】
送りモータ32(の出力軸32b)が回転すると、送りモータ32の駆動力はギア32a、ギア34、回転軸33を介して第1の送りギア30Lに伝達される。第1の送りギア30Lが回転すると、これに噛み合う第2の送りギア30Rも回転する。
【0029】
なお、鉄筋結束機1Aでは、第1の送りギア30Lの回転数を利用して、ワイヤWの送り量を検知している。本例では、回転数の検知に磁気センサを使用するため、第1の送りギア30Lと同軸のギア33に図示しない永久磁石が埋め込まれている。このため、ギア33は非磁性体の樹脂で構成される。一方、第1の送りギア30Lから第2の送りギア30Rに駆動力を伝達するため、第1の送りギア30Lと第2の送りギア30Rは鉄で構成され、強度を確保している。
【0030】
次に、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻くカール形成部4Aについて
図2及び
図4を参照して説明する。カール形成部4Aは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWに当接し、ワイヤWの進行方向を規制して、ワイヤWがカールするように、ワイヤWの進行方向を規制する経路を構成する。カール形成部4Aは、ワイヤWが鉄筋Sの周囲で略円を描くように(鉄筋Sの周囲に沿ってカールするように)、ワイヤWをガイドしてワイヤWに巻き癖を付ける。
【0031】
次に、ワイヤWを捩じって鉄筋Sを結束する結束部5Aについて説明する。結束部5Aは、捩じりモータ51と、ギア52と、螺軸部53と、進退筒部54と、捩じり用フック55を備える。結束部5Aの駆動源としては、送りモータ32とは別駆動の捩じりモータ51が用いられる。
【0032】
螺軸部53は、結束機本体10に対して回転可能に支持され、ギア52を介して伝達された捩じり用モータ51の駆動力によって回転する。螺軸部53は、外周面にねじが形成され、進退筒部54は、内周面にねじが形成されることで、螺軸部53の外周面のねじが進退筒部54の内周面のねじに螺合している。
【0033】
結束部5Aは、進退筒部54の回転が規制された状態で、捩じりモータ51の回転により螺軸部53が回転することで、進退筒部54が前後に移動するように構成される。また、螺軸部53と進退筒部54が一体的に回転するように結合することで、捩じりモータ51の回転による螺軸部53の回転により、進退筒部54が回転するように構成される。
【0034】
捩じり用フック55は、進退筒部54の先端に取り付けられた一対の爪状部材である。捩じり用フック55は、公知の構造により進退筒部54の進退動作に合わせて開閉するように構成される。
【0035】
結束部5Aは次のように作動する。まず、鉄筋結束機1Aのトリガ10cが操作されると、ワイヤWがワイヤ送り部3Aで所定量だけ送られ、カール形成部4Aによって鉄筋Sの周囲に巻かれる。ワイヤWの送り量によって、鉄筋Sの周囲にワイヤWを巻く回数が設定される。
【0036】
その後、捩じりモータ51が正転し、捩じりモータ51の回転がギア52を介して螺軸部53に伝達される。このとき螺軸部53が回転するが、進退筒部54は回転が規制されるため、螺合したねじの作用によって進退筒部54は前方に送られる。進退筒部54が前方に送られることで、捩じり用フック55はワイヤWに接触する位置まで前進する。捩じり用フック55は、進退筒部54の前進に連動して閉じる方向に作動し、ループ状に巻かれたワイヤの一部を把持する。
【0037】
進退筒部54は、前進した所定の位置で回転の規制が解除されて、螺軸部53とともに回転する。ワイヤWを把持した捩じり用フック55が回転することでワイヤWが捩じられる。なお、進退筒部54が前進する途中で、図示しないカッタが作動してワイヤWを切断する。
【0038】
捩じり動作が終了すると、捩じりモータ51は逆転し、螺軸部53は逆方向に回転する。これにより、進退筒部54及び捩じり用フック55も後方に移動するとともに、捩じり用フック55が開いてワイヤWを離す。進退筒部54及び捩じり用フック55が待機位置に移動するまで捩じりモータ51は逆転する。進退筒部54及び捩じり用フック55が待機位置まで移動すると、捩じりモータ51が停止して一連の動作が完了する。
【0039】
<第1の実施の形態の制動部の構成例>
図1(a)、
図1(b)に示すように、第1の実施の形態に係る鉄筋結束機1Aは、ワイヤリール20を軸方向の一端側から押圧して、ワイヤリール20の回転を制動させる制動部6A
1を備える。本例では、制動部6A
1はフランジ部20bの表面を押圧するが、より具体的には、フランジ部20bの表面のうち、やや中心寄りの嵌合穴部20c(凹部)の周囲を押圧する。ここで、「フランジ部20bの表面」とは、ハブ部20aに設けられる他方のフランジ部20bと対向する面(ハブ部20a軸方向において内側を向いた面)とは反対側の面(ハブ部20aの軸方向において外側を向いた面)を意味する。フランジ部20bの表面には、平面的な部分だけでなく、リブ等によって突出した凸部や嵌合穴部20c等によって窪んだ凹部などもすべて含む。すなわち、フランジ部20bの表面とは、凹凸等の形状にかかわりなく連続した面全体を意味する。また、「フランジ部20bの表面を押圧した」とは、フランジ部20bの表面全体を押圧した場合のみならず、表面の一部を押圧した場合も含む意味である。
【0040】
制動部6A
1は、収容部2Aの凹部22から突出可能に設けられ、図示しないソレノイド等の駆動部によって駆動されてワイヤリール20の軸方向に移動する。駆動部によりワイヤリール20に向けて移動させられた制動部6A
1は、フランジ部20bの表面に当接するが、その当接をさらに強めることによって制動部6A
1とフランジ部20bの表面との間には所定値以上の摩擦力が発生し、これによりワイヤリール20は回転を停止する。本例では、制動部6A
1は
図3に示すリールホルダ60Mの周囲を囲むようにして配置された筒状部材である。従って、ワイヤリール20に向けて移動させられた制動部6A
1は、リールホルダ60Mの周囲から、(その端部が)フランジ部20bの表面を押圧する。なお、制動部6A
1は、フランジ部20bの表面を押圧してワイヤリール20の回転を停止させることができればよいため、その形状は筒状部材に限定されない。例えば、制動部6A
1は、リールホルダ60Mの周囲に配置された1本又は複数本の板状部材や棒状部材等であってもよい。
【0041】
<第1の実施の形態の制動部の作用効果例>
図1(a)、
図1(b)に示すように、制動部6A
1は、端部69A
1がワイヤリール20に当接していない非制動位置とワイヤリール20に当接している(押し付けられている)制動位置との間を移動する。制動部6A
1は、駆動部の駆動力、バネの付勢力等により矢印G2方向に移動して、
図1(a)に示す非制動位置に移動する。制動部6A
1が非制動位置にあると、制動部6A
1の端部69A
1が、フランジ部20bの表面から離れる。従って、制動部6A
1が非制動位置にあると、ワイヤ送り部3AによるワイヤWの送りによってワイヤリール20が回転可能な状態となる。
【0042】
制動部6A
1を非制動位置から
図1(b)に示す制動位置に移動させる場合、駆動部を駆動して制動部6A
1を非制動位置から矢印G1方向に移動させる。制動部6A
1が制動位置に移動すると、制動部6A
1の端部69A
1は、フランジ部20bの表面を押圧する。
【0043】
制動部6A
1の端部69A
1をフランジ部20bの表面に押し付けることで、制動部6A
1の端部69A
1とフランジ部20bの表面との間には摩擦力が生じ、その摩擦力が所定値以上になるとワイヤリール20の回転が制動される。
【0044】
本例では、制動部6A
1は、制動部専用の駆動部(ソレノイド等)によって駆動されるが、例えば
図2に示す送りモータ32や
図4に示す捩じりモータ51によって駆動するようにしても良い。
【0045】
<第2の実施の形態の制動部の構成例>
図5は、第2の実施の形態に係る鉄筋結束機の制動部を上面から見た構成図である。
図5(a)、
図5(b)に示すように、第2の実施の形態に係る鉄筋結束機は、ワイヤリール20を軸方向の一端側から押圧して、ワイヤリール20の回転を制動させる制動部6A
2を備える。制動部6A
2は、第1の実施の形態とは異なり、フランジ部20bの表面のうち、嵌合穴部20cの周囲よりも径方向外側の外周側に近い部位を押圧する。本例では、制動部6A
2は、フランジ部20bの表面2か所を押圧する。制動部6A
2は、収容部2Aの凹部22から突出可能に設けられ、図示しないソレノイド等の駆動部によって駆動されてワイヤリール20の軸方向に移動する。駆動部によりワイヤリール20に向けて移動させられた制動部6A
2は、フランジ部20bの表面に当接するが、その当接をさらに強めることによって制動部6A
2とフランジ部20bの表面との間には所定値以上の摩擦力が発生し、これによりワイヤリール20は回転を停止する。本例では、2本の棒状の制動部6A
2が、ワイヤリール20に向けて移動し、フランジ部20bの表面2か所を押圧する。なお、制動部6A
2は、フランジ部20bの表面を押圧してワイヤリール20の回転を停止させることができればよいため、その形状は棒状部材に限定されない。また、制動部6A
2の数も2本でなく、1本又は3本以上であってもよい。
【0046】
制動部6A
2は、駆動部によって
図5(a)に示す非制動位置と、
図5(b)に示す制動位置との間を移動する。
【0047】
<第2の実施の形態の制動部の作用効果例>
制動部6A
2が、駆動部の駆動力等により矢印G2方向に移動して非制動位置に移動すると、制動部6A
2の端部69A
2は、ワイヤリール20の一方のフランジ部20bの表面20b
1から離れる。これにより、ワイヤ送り部3AによるワイヤWの送りによってワイヤリール20が回転可能な状態となる。
【0048】
一方、制動部6A
2が、駆動部の駆動力により矢印G1方向に移動して制動位置に移動すると、制動部6A
2の端部69A
2は、ワイヤリール20の一方のフランジ部20bの表面20b
1を押圧する。
【0049】
制動部6A
2の端部69A
2をフランジ部20bの表面20b
1に押し付けることで、制動部6A
2の端部69A
2とフランジ部20bの表面20b
1との間に摩擦力が生じ、その摩擦力が所定値以上になるとワイヤリール20の回転が制動される。
【0050】
また、制動部6A
2は、専用の駆動部ではなく、
図2に示す送りモータ32や
図4に示す捩じりモータ51によって駆動されるようにしても良い。
【0051】
<第3の実施の形態の制動部の構成例>
図6、
図7及び
図8は、第3の実施の形態に係る鉄筋結束機の制動部を上面から見た構成図である。
図6及び
図8に示すように、第3の実施の形態に係る鉄筋結束機は、ワイヤリール20を軸方向の一端側から押圧して、ワイヤリールの回転を制動させる制動部6A
3,6A
5を備える。制動部6A
3,6A
5は、軸方向に移動可能なリールホルダ60A
3,6A
5で構成され、移動により嵌合穴部20cの内面の少なくとも一部を押圧可能に構成される。制動部6A
3,6A
5を嵌合穴部20cの内面に押し付けることで、制動部6A
3,6A
5と嵌合穴部20cの内面との間に発生する摩擦力によってワイヤリール20の回転を制動させることができる。
【0052】
図6に示す制動部6A
3は、嵌合穴部20cの底面20h
3を押圧可能に構成される。本例では、制動部6A
3を嵌合穴部20cの底面20h
3に押し付けて制動部6A
3の先端部69a
3と嵌合穴部20cの底面20h
3との間に所定値以上の摩擦力が発生させることで、ワイヤリール20の回転を停止できるようになっている。また、
図8に示す制動部6A
5は、先端に行くほど径が小さくなる先細り形状(テーパ形状)になっており、制動部6A
5が挿入される嵌合穴部20cも穴の奥に行くほど径が小さくなる先細り形状(テーパ形状)になっている。そして、制動部6A
5が嵌合穴部20cに挿入されていくにしたがって、制動部6A
5の外周69a
5と嵌合穴部20cの内周20i
5との間の摩擦力が除々に大きくなるように構成される。従って、制動部6A
5が嵌合穴部20cに所定深さまで挿入されると、制動部6A
5と嵌合穴部20cとの間の摩擦力によってワイヤリール20が制動するようになっている。なお、制動部6A
5が図示されないソレノイド等の駆動部によって駆動され、非制動位置(
図6(a)、
図8(a))と制動位置(
図6(b)、
図8(b))との間で移動するのは第1、第2の実施の形態の場合と同様である。
【0053】
図7に示す制動部6A
4も
図6や
図8に示す制動部と同様、リールホルダ60A
4で構成されるが、この制動部6A
4はワイヤリール20の軸方向への移動に代わり、又は軸方向への移動とともに、軸方向と直交する横方向(矢印G3方向)へも移動できるようになっている。制動部6A
4を横方向へ移動することで、制動部6A
4の側面69a
4が嵌合穴部20cの側壁20h
4に当接するようになる。このため、制動部6A
4の側面69a
4を嵌合穴部20cの側壁20h
4に強く押し付けることで、制動部6A
4の側面69a
4と嵌合穴部20cの側壁20h
4との間の摩擦力によってワイヤリール20の回転を停止させることができるようになる。なお、制動部6A
4は図示しないソレノイド等の駆動部によって駆動される。
【0054】
制動部60A
4は、駆動部によって
図7(a)に示す非制動位置と、
図7(b)に示す制動位置との間を移動する。
【0055】
制動部6A
4が、駆動部により矢印G4方向に移動して非制動位置に移動すると、制動部6A
4の側面69a
4は、嵌合穴部20cの側壁20h
4から離れる。これにより、ワイヤ送り部3AによるワイヤWの送りによってワイヤリール20が回転可能な状態となる。
【0056】
一方、制動部6A
4が、駆動部により矢印G3方向に移動して、制動位置に移動すると、制動部6A
4の側面69a
4が、嵌合穴部20cの側壁20h
4を押圧する。
【0057】
制動部6A
4の側面69a
4で嵌合穴部20cの側壁20h
4を押し付けることで、制動部6A
4の側面69a
4と嵌合穴部20cの側壁20h
4との間に摩擦力が生じ、ワイヤリール20の回転が制動される。
【0058】
なお、制動部6A
4は、専用の駆動部ではなく、
図2に示す送りモータ32や
図4に示す捩じりモータ51によって駆動されるようにしても良い。
【0059】
<第4の実施の形態の制動部の構成例>
図9は、第4の実施の形態に係る鉄筋結束機の制動部を上面から見た構成図である。
図9(a)、
図9(b)に示すように、第4の実施の形態に係る鉄筋結束機は、ワイヤリール20を軸方向の一端側から押圧して、ワイヤリール20の他端側を収納部2Aの内壁200に押し付ける制動部6A
6を備える。本例では制動部6A
6は、軸方向に移動可能なリールホルダであり、ソレノイド等の図示しない駆動部によって駆動される。制動部6A
6は、
図9(a)に示すワイヤリール20を収容部2Aの内壁200に押し付けない非制動位置と、
図9(b)に示すワイヤリール20を収容部2Aの内壁200に押し付ける制動位置との間を移動する。
【0060】
ワイヤリール20は、収容部2A内において、軸方向一端側がリールホルダ(制動部6A
6)によって支持され、他端側が支持軸201によって支持されるが、
図9(c)に示すように、支持軸201の先端にはバネ21fが設けられており、このバネ21fにより、ワイヤリール20は軸方向に移動可能となっている。従って、ワイヤリール20を軸方向の一端側から所定以上の力で押圧するとワイヤリール20は収容部2Aの内壁に向かって移動する。一方、ワイヤリール20に加えた上述した力を解除するとワイヤリール20はバネ21fの力で元の位置に戻る。なお、
図9(c)の例では、バネ21fを支持軸201の先端に設け、ワイヤリール20の穴部20eの底面20e
1を押圧する構成としたが、ワイヤリール20が収容部2A内で軸方向に移動可能であれば、バネ21fを設ける位置は特定の場所に限定されるものではない。
【0061】
<第4の実施の形態の制動部の作用効果例>
制動部6A
6が
図9(a)に示す非制動位置にあると、ワイヤリール20は、バネ21fの力で収容部2Aの内壁200とは反対方向に押される。つまり、制動部6A
6が非制動位置にあると、ワイヤリール20(のハブ部20aの他方の端部20a
2)は収納部2Aの内壁200から離れている。従って、制動部6A
6が非制動位置にあると、ワイヤ送り部3AによるワイヤWの送りによってワイヤリール20は回転可能な状態にある。
【0062】
なお、制動部6A
6の非制動位置への移動(矢印G2方向への移動)は、駆動部の駆動力により行うようにしても良く、駆動部を非駆動として制動部6A
6が自在に移動できる状態とし、バネ21fがワイヤリール20を押す力によって行うようにしても良い。
【0063】
制動部6A
6を非制動位置から制動位置に移動させる場合、駆動部を駆動して制動部6A
6を非制動位置から矢印G1方向に移動させる。制動部6A
6が制動位置に移動すると、制動部6A
6の端部69A
6が、ワイヤリール20のハブ部20aの一方の端部20a
1を押圧する。
【0064】
制動部6A
6がワイヤリール20を軸方向に押圧することで、ワイヤリール20はバネ21fを圧縮しながら収容部2Aの内壁200側へ向かって移動する。ワイヤリール20を制動させるときは、ワイヤリール20のハブ部20aの他方の端部20a
2が収容部2Aの内壁200に押し付けられるまで制動部6A
6を移動させる。
【0065】
ワイヤリール20のハブ部20aの他方の端部20a
2が収容部2Aの内壁200に押し付けられることで、当該端部20a
2と収容部2Aの内壁200との間には摩擦力が生じ、ワイヤリール20の回転が制動される。
【0066】
なお、ワイヤリールが押し付けられる収容部2Aの内壁は、
図9に示すような壁に限定されるものではなく、例えば壁から突出した軸やリブ等も含む。すなわち、収容部2Aの内壁とは、平面であると凸面(又は凹面)とを問わず、ワイヤリール20に対向するすべての面を含む。従って、例えば、ワイヤリール20をG1方向に押圧してワイヤリール20の他端側を収容部2Aの壁ではなく、軸の表面に押し付けるようにしても良い。
【0067】
本例では、制動部6A
6は、制動部専用の駆動部(ソレノイド等)によって駆動するようにしているが、例えば
図2に示す送りモータ32や
図4に示す捩じりモータ51で駆動するようにしても良い。また、本例では、制動部6A
6をリールホルダと兼ねるように、リールホルダがワイヤリール20を押す構成とした。すなわち、リールホルダが軸方向に移動することでワイヤリール20を収容部2Aの壁面に押し付ける構成とした。これに対し、制動部6A
6をリールホルダとは別に設けても良い。例えば、リールホルダの周囲に制動部6A
6を別途配置し、リールホルダの周囲からワイヤリール20を押圧する構成としても良い。このように、ワイヤリール20を収容部2Aの壁面に押し付けられるのであれば、制動部6A
6はワイヤリール20のどの位置を押圧しても良い。
【0068】
<第3の実施の形態の制動装置の構成例>
図10、
図11は、第3の実施の形態に係る鉄筋結束機の制動部をより詳細に示した構成図である。
図10、
図11に示す制動装置600Aは、
図6で説明した制動部6A
1の一例であり、リールホルダ60Aとワイヤリール20との間の摩擦力を利用して、ワイヤリール20の回転を制動させる。このため、リールホルダ60Aが制動部6Aを構成する。
【0069】
まず、ワイヤリール20の構成について説明すると、ワイヤリール20は、ハブ部20aの軸方向の一方の端部に、リールホルダ60Aに嵌められる凹状の嵌合穴部20cが形成される。嵌合穴部20cは凹部の一例で、内周面が円筒状に形成される。また、ワイヤリール20は、ハブ部20aの軸方向の他方の端部に、後述するリール支持部21の支持軸21bが挿入される凹状の穴部20eが形成される。穴部20eは凹部の一例で、内周面が円筒状に形成される。
【0070】
次に、ワイヤリール20が収容される収容部2Aについて説明する。収容部2Aは、結束機本体10(の外壁)に形成された凹部22と、凹部22に対して開閉可能に設けられたリール支持部21とによって構成され、凹部22とリール支持部21とによってワイヤリール20を収容するための空間を形成する。収容部2Aは、リール支持部21と対向する凹部22の壁面にリールホルダ60Aを備える。リールホルダ60Aはリール軸部の一例で、ワイヤリール20を収容するときにハブ部20aの嵌合穴部20cに挿入可能なように配置される。リールホルダ60Aは、嵌合穴部20cに挿入される部位が、嵌合穴部20cの形状に合わせて凸状の円筒状に形成される。ワイヤリール20の嵌合穴部20cがリールホルダ60Aに嵌合されると、リールホルダ60Aに対してワイヤリール20は回転可能である。リールホルダ60Aは、後述する駆動部により、ワイヤリール20の軸方向に移動する。
【0071】
リール支持部21は、結束機本体10に設けられる軸21aを支点に開閉する。リール支持部21は、リールホルダ60Aとは反対側の位置からワイヤリール20を支持する支持軸21bを有する。支持軸21bは、リール支持部21から突出し、リール支持部21が閉じられたときに、ハブ部20aの穴部20eに挿入されるように構成される。支持軸21bは、ワイヤリール20の穴部20eの形状に合わせて凸状の円筒状に形成される。ワイヤリール20の穴部20eが支持軸21bが挿入されると、支持軸21bに対してワイヤリール20は回転可能である。
【0072】
収容部2Aにワイヤリール20を収容するときは、リール支持部21を開き、ワイヤリール20の嵌合穴部20cをリールホルダ60Aに嵌合して、ワイヤリール20をワイヤリール60Aにセットした後、リール支持部21を閉じて、図示しないロック機構でリール支持部21を閉状態でロックする。リール支持部21を閉じることで支持軸21bがワイヤリール20の穴部20eに挿入され、ワイヤリール20はリールホルダ60Aと支持軸21bによって回転可能に支持される。収容部2Aからワイヤリール20を取り出すときは、リール支持部21を再び開いて、ワイヤリール20をリールホルダ60Aから取り外す。なお、本実施の形態では、収容部2Aを結束機本体10に設けたが、結束機本体10とは別(結束機本体10とは離れた位置)に設けてもよい。
【0073】
次に、制動装置600Aの詳細について説明する。制動装置600Aは、リールホルダ60Aをワイヤリール20に押し付けるため、リールホルダ60Aをワイヤリール20の軸方向に沿って移動させるソレノイド68を備える。
【0074】
ソレノイド68は駆動部の一例で、可動子68aにリールホルダ60Aが固定される。ソレノイド68は、通電時に鉄芯が突出するタイプのソレノイドである。ソレノイド68に通電されると、可動子68aが電磁石68bにより駆動されて矢印G1方向に移動する。矢印G1は、可動子68aに固定されたリールホルダ60Aがリール支持部21に近づく方向である。また、可動子68aは、バネ68cの力で矢印G2方向に移動する。矢印G2は、可動子68aに固定されたリールホルダ60Aがリール支持部21から離れる方向である。
【0075】
これにより、ソレノイド68に通電されると、磁石の吸引力等による力でリールホルダ60Aが矢印G1方向に移動する。また、ソレノイド68が非通電となると、バネ68cの力でリールホルダ60Aが矢印G2方向に移動する。
【0076】
ワイヤリール20の嵌合穴部20cにリールホルダ60Aが嵌合されて、ワイヤリール20がリールホルダ60Aに取り付けられた状態で、ソレノイド68に通電するとリールホルダ60Aが矢印G1方向に移動する。リールホルダ60Aが矢印G1方向に移動すると、リールホルダ60Aはワイヤリール20を軸方向の一端側から押す。本例では、リールホルダ60Aの端部69が、ワイヤリール20の一方の側端部であるハブ部20aの一方の側端部20fを押す。
【0077】
ワイヤリール20は、ワイヤリール20の他方の側端部、本例では、嵌合穴部20cの底面である端部20gと支持軸21bの端部21cが接することで、リールホルダ60Aでワイヤリール20を軸方向の一端側から押した場合に、軸方向の移動が規制される。これにより、ワイヤリール20が回転している状態で、リールホルダ60Aの端部69がワイヤリール20の側端部20fを押すと、リールホルダ60Aの端部69とワイヤリール20の側端部20fとの間に摩擦力が生じ、ワイヤリール20の回転を停止させることができる。
【0078】
上述したように、ワイヤリール20の軸方向に沿って、リールホルダ60Aの端部69でワイヤリール20の一方の側端部20fを押圧した状態を制動状態と称す。また、制動状態にあるリールホルダ60Aの位置を制動位置と称す。
【0079】
ソレノイド68の通電が停止され、リールホルダ60Aがバネ68cの力で制動位置から矢印G2方向に移動すると、リールホルダ60Aの端部69が、ワイヤリール20のハブ部20aの一方の側端部20fを押圧することが解除される。
【0080】
上述したように、リールホルダ60Aの端部69がワイヤリール20の一方の側端部20fを押圧することが解除された状態を非制動状態と称す。また、非制動状態にあるリールホルダ60Aの位置を非制動位置と称す。
【0081】
制動装置600Aは、ソレノイド68が制御部100で制御される。制御部100は、
図4に示すトリガ10cの操作で、送りモータ32の回転と停止を制御する。また、制御部100は、送りモータ32を回転させるタイミングに合わせた所定のタイミングでソレノイド68を制御して、リールホルダ60Aを非制動位置に移動させる。更に、制御部100は、送りモータ32を停止させるタイミングに合わせた所定のタイミングでソレノイド68を制御して、リールホルダ60Aを制動位置に移動させる。
【0082】
<第3の実施の形態の制動装置の動作例>
次に、各図を参照して、制動装置600Aの動作について説明する。第1の送りギア30L及び第2の送りギア30RでワイヤWを送る動作では、制御部100は、
図10に示すように、送りモータ32を矢印f1で示す方向に回転させることで、ギア34及び第1の送りギア30Lが矢印f2方向に回転する。また、ソレノイド68に電流を流さず、リールホルダ60Aを非制動位置に移動させる。リールホルダ60Aを非制動位置に移動させることで、
図10に示すように、リールホルダ60Aの端部69がワイヤリール20の一方の側端部20fを押圧することが解除された非制動状態となる。よって、ワイヤリール20が回転可能になる。これにより、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30RでワイヤWが送られ、ワイヤWの送りによりワイヤリール20が矢印fで示す方向に回転する。
【0083】
ワイヤWを所定量送った後、ワイヤWの送りを停止する動作では、制御部100は、送りモータ32の矢印f1方向への回転を停止させるとともに、送りモータ32の回転を停止させるタイミングに合わせて、所定の制動信号でソレノイド68に通電して、リールホルダ60Aを制動位置に移動させ、ワイヤWの送りが停止されることにより惰性で回転しようとするワイヤリール20の回転を規制する。
【0084】
図11に示すように、ソレノイド68に通電されることでリールホルダ60Aが制動位置に移動すると、リールホルダ60Aの端部69が、ワイヤリール20のハブ部20aの一方の側端部20fを軸方向に押す。
【0085】
これにより、リールホルダ60Aの端部69と、ワイヤリール20の側端部20fとの間の摩擦力により、ワイヤリール20の回転が規制される。従って、送りモータ32の回転を停止させた後、慣性でワイヤリール20が回転することで、ワイヤWが弛むことが抑制される。
【0086】
従来の鉄筋結束機では、ワイヤリールのフランジ部の外周に、円周方向に沿って略鋸刃状に係合部と突出部とが交互に複数形成され、制動部材をワイヤリールのフランジ部に近づく方向へ変位させることで、係合部に制動部材を係合させて、ワイヤリールの回転を停止させていた。
【0087】
このため、制動部材が係合部に入るタイミングで作動すれば、制動部材が係合部に係合することができる。これに対し、制動部材が突出部またはその近傍に接するタイミングで作動すると、ワイヤリールが回転する力で、制動部材が突出部にはじかれ、制動部材がワイヤリールのフランジ部から離れる方向に変位する可能性がある。これにより、制動部材が係合部に係合することができず、制動部材でワイヤリールの回転を規制するタイミングが遅延する可能性があった。
【0088】
これに対し、本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、ワイヤリール20が取り付けられるリールホルダ60Aで、ワイヤリール20を軸方向に一端側から押圧することで、ワイヤリール20が回転する方向に対して摩擦による負荷を掛け、ワイヤリール20の回転を規制する。
【0089】
これにより、凹凸形状を有した部位に制動部材を係合させる従来の構成のように、ワイヤリールが回転する力で制動部材がはじかれることにより、ワイヤリールの回転を規制できないという状態が発生することはない。従って、制動モータ61の制御による所望のタイミングで、ワイヤリール20の回転を規制することができる。
【0090】
また、鉄筋結束機1Aでは、結束部5AでワイヤWを捩じる動作において、ワイヤWを捩じる回数が増加すると捩じりモータ51に掛かる荷重が増加する。そこで、捩じりモータ51の荷重変動を、捩じりモータ51に流れる電流の増減により検知して、ワイヤWを捩じる動作を終了するタイミングを制御している。
【0091】
従って、捩じりモータ51の駆動力でワイヤリール20の回転を規制する制動部材を作動させる従来の鉄筋結束機では、制動部材を作動させることによる捩じりモータ51の荷重変動により、ワイヤWを捩じる動作を終了するタイミングを誤検知する可能性がある。
【0092】
これに対し、本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、制動装置600Aを作動させるのに捩じりモータ51ではなく制動装置600A専用のソレノイド68を使用するので、ワイヤリール20を制動する動作がワイヤWを捩じる動作に影響を及ぼすことはない。
【0093】
図12は、第4の実施の形態に係る鉄筋結束機の制動装置の構成例を示す上面から見た構成図である。変形例の制動装置600A
2では、リールホルダ60Aを制動位置に移動させることで、ワイヤリール20を軸方向の一端側から押圧して、ワイヤリール20の軸方向の他端側をリール支持部21の内壁に押し付けることで、ワイヤリール20の回転を制動させる。
【0094】
本例では、リール支持部21のワイヤリール20と対向する内壁に凸部21dを備え、リールホルダ60Aが制動位置に移動することで、ワイヤリール20が軸方向に一端側から押圧されると、ワイヤリール20の他端側のフランジ部20bが、凸部21dに押圧される構成である。
【0095】
<第5の実施の形態の制動装置の構成例>
図13は、第5の実施の形態に係る鉄筋結束機の制動装置の一例を示す構成図、
図14は、ワイヤリールの一例を示す構成図である。まず、第5の実施の形態の制動装置600Bで制動されるワイヤリール20Mについて説明する。ワイヤリール20Mは、ワイヤWが巻き付けられる筒状のハブ部20Maと、ハブ部20Maの軸方向両端側に設けられる一対のフランジ部20Mbとを備える。フランジ部20Mbは、ハブ部20Maの直径より大きな直径を有して、ハブ部20Maの軸方向両端側より径方向に突出する。
【0096】
ワイヤリール20Mは、ハブ部20Maの軸方向の端部に、後述するリールホルダ65に嵌められる凹状の嵌合穴部20Mcが形成される。嵌合穴部20Mcは、内周面の円周方向に沿って、凸部20Md
1と凹部20Md
2が交互に形成される。
【0097】
また、リールホルダ65は、
図14に示すワイヤリール20Mの嵌合穴部20Mcに嵌合する形状で構成され、嵌合穴部20Mcの凸部20Md
1に嵌る凹部65b
1と、嵌合穴部20Mcの凹部20Md
2に嵌る凸部65b
2が、外周面の円周方向に沿って交互に形成される。
【0098】
これにより、リールホルダ65にワイヤリール20Mが取り付けられると、リールホルダ65と嵌合穴部20Mcの凹凸形状によりリールホルダ65に対してワイヤリール20Mが回転不可に支持される。よってワイヤリール20はリールホルダ65とともに回転する。リールホルダ65はほぼ円筒形状をなし、内部に空間を有する。
【0099】
制動装置600Bは、リールホルダ65の回転を規制する制動部材66を有する。制動部材66は、リールホルダ65の内部空間に挿入され、リールホルダ65の内部空間の内面(内壁)の一部(本例では、内面のうちの側面)を構成する制動面65aと対向するようにして設けられる。そして、制動部材66は、制動面65aを押圧する第1の位置と、制動面65aから離間している第2の位置との間で変位可能に構成される。制動部材66が第2の位置にあるときは、リールホルダ65は制動部材66によって回転が規制されないため、ワイヤリール20はリールホルダ65とともに回転可能な状態(非制動状態)となっている。一方、制動部材66が第1の位置に移動し、リールホルダ65の制動面65aを押付けているときは、制動部材66と制動面65aとの間に摩擦力が発生し、ワイヤリールの回転は規制された状態(制動状態)となる。
【0100】
制動部材66は、制動面65aに対して接触する位置と、制動面65aから離れる位置との間を変位する。制動装置600Bは、本例では、一対の制動部材66が設けられる。
【0101】
制動部材66は、駆動部であるソレノイド67によって駆動され、可動子67aが変位することで、制動面65aに対して近づく方向と離れる方向の双方向に移動する。すなわち、ソレノイド67によって制動部材66を、制動面65aを押圧する第1の位置と、制動面から離間している第2の位置との間で変位させる構成となっている。
【0102】
制動装置600Bは、制動部材66が第1の位置に移動した状態では、制動部材66と制動面65aとの間の摩擦力により、リールホルダ65の回転に対して負荷を掛けることができ、ワイヤリール20Mの回転を摩擦で規制することができる。
【0103】
なお、本例では、制動面65aをリールホルダ65の内部空間側面としているが、例えば有底筒状のリールホルダを用いて、制動面を内部空間底面(端面または側面)としてもよい。この場合、第1の位置は、制動部がリールホルダの内部空間底面を押圧する位置となる。従って、制動部が第1の位置にあるとき、制動部とリールホルダの内部空間底面との間の摩擦力によってワイヤリールは制動される。
【0104】
制動装置600Bは、制動部材66がリールホルダ65の制動面65aから離れて、制動部材66が制動面65aに非押圧となる第2の位置に制動部材66が移動した状態では、ワイヤWの送りに従動して、リールホルダ65が自在に回転する。この状態を非制動状態と称す。
【0105】
制動装置600Bは、制御部100Bで制御される。制御部100Bは、ワイヤリール20が回転するときは制動部材66が第2の位置となるようにソレノイド67を制御し、ワイヤリール20の回転を制動させるときは制動部材66が第1の位置となるようにソレノイド67を制御する。より具体的には、制御部100Bは、
図4に示すトリガ10cの操作で、
図2に示す送りモータ32の回転と停止を制御するとともに、送りモータ32を回転させるタイミングに合わせた所定のタイミングでソレノイド67を制御して、制動部材66をリールホルダ65の制動面65aから離れた第2の位置に移動させ、非制動状態とする。更に、制御部100Bは、送りモータ32を停止させるタイミングに合わせた所定のタイミングでソレノイド67を制御して、制動部材66をリールホルダ65の制動面65aに押圧する第1の位置に移動させ、制動状態とする。
【0106】
<第5の実施の形態の制動装置の動作例>
次に、各図を参照して、第5の実施の形態の制動装置600Bの動作について説明する。ワイヤWをカール形成部の方向(正方向)に送る動作では、制御部100Bは、
図2に示す送りモータ32を回転させる。また、ソレノイド67により制動部材66をリールホルダ65の制動面65aから離して非制動状態とする。これにより、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30RでワイヤWが送られ、ワイヤWの送りによりワイヤリール20Mが矢印fで示す方向に回転する。
【0107】
ワイヤWを所定量送った後、ワイヤWの送りを停止する動作では、送りモータ32の回転を停止させるとともに、送りモータ32の回転を停止させるタイミングに合わせて、ソレノイド67により制動部材66をリールホルダ65の制動面65aに接した制動状態とし、ワイヤWの送りが停止されることにより惰性で回転しようとするワイヤリール20Mの回転を規制する。
【0108】
制動部材66をリールホルダ65の制動面65aに接した状態とすると、制動部材66と制動面65aとの間の摩擦により、矢印f方向へのワイヤリール20Mの回転の負荷となる力がワイヤリール20Mに掛けられる。
【0109】
これにより、ワイヤリール20Mの回転が規制される。従って、送りモータ32の回転を停止させた後、慣性でワイヤリール20Mが回転することで、ワイヤWが弛むことが抑制される。
【0110】
第5の実施の形態の制動装置600Bでは、ワイヤリール20Mが取り付けられるリールホルダ65に、制動部材66と制動面65aとの間の摩擦を制動力として、ワイヤリール20Mが回転する方向に対して負荷を掛け、ワイヤリール20Mの回転を規制する。これにより、凹凸形状を有した部位に制動部材を係合させる従来の構成と異なり、ソレノイド67の制御による所望のタイミングで、ワイヤリール20Mの回転を規制することができる。
【0111】
また、第5の実施の形態の制動装置600Bでは、ソレノイド67でワイヤリール20Mの回転を規制するので、結束部5AによりワイヤWを捩じる動作に、ワイヤリール20Mを制動する動作が影響を及ぼすことはない。
【0112】
なお、第2の実施の形態の制動装置600Bでは、リールホルダ65はワイヤリール20Mと別の部品で構成したが、ワイヤリール20Mのハブ部20Maに一体に設ける構成としても良く、ワイヤリール20Mの軸方向に沿った凹部として、ワイヤリール自体に制動面を形成しても良い。
【0113】
<他の実施の形態の制動部の構成例>
図15は、他の実施の形態の制動部の一例を示す上面から見た構成図、
図16は、他の実施の形態の制動部の更に別の例を示す正面から見た構成図、
図17は、他の実施の形態の制動部の更に別の例を示す要部斜視図である。
【0114】
制動部6Dは回転部及び規制部の一例で、送りモータ32の駆動力を制動力としてリールホルダ63に伝達する制動力伝達部64を備える。
【0115】
リールホルダ63はリール軸部の一例で、
図14に示すワイヤリール20Mの嵌合穴部20Mcに嵌合する形状で構成され、嵌合穴部20Mcの凸部20Md
1に嵌る凹部63b
1と、嵌合穴部20Mcの凹部20Md
2に嵌る凸部63b
2が、外周面の円周方向に沿って交互に形成される。
【0116】
これにより、リールホルダ63にワイヤリール20Mが取り付けられると、リールホルダ63と嵌合穴部20Mcの凹凸形状によりリールホルダ63に対してワイヤリール20Mは回転不可に支持される。
【0117】
制動力伝達部64は回転部の一例で、送りモータ32の駆動力を第1の送りギア30Lに伝達する上述したギア34とかみ合うギア64aと、ギア64aと同軸に設けられるギア64bを備える。ギア64aとギア64bは、第2の送りギア30Rと同軸に設けられる。ギア34とギア64aは平歯車で構成され、ギア64bは傘歯車で構成される。
【0118】
また、制動力伝達部64は、ギア64bとかみ合うギア64cと、ギア64cと同軸に設けられるギア64dと、ギア64dにかみ合うギア64eを備える。ギア64cは傘歯車で構成され、ギア64dとギア64eは平歯車で構成される。
【0119】
更に、制動力伝達部64は、ギア64eとかみ合うブレーキギア64fを備える。制動力伝達部64は、ワイヤWを正方向に送る方向と逆方向に回転する送りモータ32の回転で、ブレーキギア64fを所定の方向に回転させるように、所定の枚数のギアの組み合わせで構成される。
【0120】
制動力伝達部64は、ブレーキギア64fが第1のワンウェイベアリング64gを介して制動軸64hに支持され、リールホルダ63が第2のワンウェイベアリング64iを介して制動軸64hに支持される。
【0121】
ワイヤWを正方向に送る送りモータ32の正方向への回転が、制動力伝達部64の各ギアによりブレーキギア64fに伝達されると、
図17に示すように、ブレーキギア64fが矢印fb方向に回転する。
【0122】
ワンウェイベアリングは、一の方向への回転は伝達し、逆方向への回転は伝達しない構成である。本例では、ブレーキギア64fが矢印fb方向に回転すると、第1のワンウェイベアリング64gにより制動軸64hへの駆動力の伝達が遮断され、制動軸64hは回転しない。
【0123】
これに対し、送りモータ32の逆方向への回転で、ブレーキギア64fが矢印rb方向に回転すると、第1のワンウェイベアリング64gにより制動軸64hへ駆動力が伝達され、制動軸64hが矢印rb方向に回転する。
【0124】
また、ワイヤWが正方向に送られることにより、ワイヤリール20が取り付けられたリールホルダ63が矢印fc方向に回転すると、第2のワンウェイベアリング64iにより制動軸64hへの駆動力の伝達が遮断され、制動軸64hは回転しない。
【0125】
これに対し、送りモータ32の逆方向への回転で、ブレーキギア64fが矢印rb方向に回転することで、第1のワンウェイベアリング64gにより制動軸64hへ駆動力が伝達され、制動軸64hが矢印rb方向に回転すると、第2のワンウェイベアリング64iによりリールホルダ63に駆動力が伝達され、リールホルダ63が矢印rb方向に回転する。
【0126】
これにより、制動部6Dは、送りモータ32が正方向に回転している状態では、ワイヤWの正方向への送りに従動して、リールホルダ63が自在に回転する。すなわち、ワイヤリール20Mの回転とともに回転する回転部であり、この状態を非制動状態と称す。
【0127】
これに対し、制動部6Dは、送りモータ32を逆方向に回転させると、ワイヤWの正方向への送りに従動したリールホルダ63の回転方向と逆方向の負荷をリールホルダ63に掛けることができ、ワイヤリール20の回転を送りモータ32の制御で規制することができる。
【0128】
これにより、送りモータ32の回転方向を切り替える回転動作の切り替えにより、リールホルダ63の回転の規制の解除と回転の規制を行うことができる。送りモータ32によりワイヤリール20の回転を規制する。すなわち、回転部の回転を規制する規制部であり、この状態を制動状態と称す。
【0129】
<他の実施の形態の制動部の動作例>
次に、各図を参照して。他の実施の形態の制動部6Dの動作について説明する。第1の送りギア30L及び第2の送りギア30RでワイヤWを正方向に送る動作では、
図15に示すように、送りモータ32を矢印f1で示す正方向に回転させることで、ギア34及び第1の送りギア30Lが矢印f2方向に回転する。これにより、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30RでワイヤWが正方向に送られる。
【0130】
また、送りモータ32の正方向への回転で、
図17に示すように、ブレーキギア64fが矢印fb方向に回転するが、第1の第1のワンウェイベアリング64gにより制動軸64hへの駆動力の伝達が遮断され、制動軸64hは回転しない。
【0131】
更に、ワイヤWが正方向に送られることにより、ワイヤリール20Mが取り付けられたリールホルダ63が矢印fc方向に回転すると、第2のワンウェイベアリング64iにより制動軸64hへの駆動力の伝達が遮断され、制動軸64hは回転しない。
【0132】
これにより、送りモータ32の正方向への回転とは独立して、ワイヤWの送りに従動して、ワイヤリール20Mが取り付けられたリールホルダ63が回転し、ワイヤリール20Mに巻かれるワイヤWが送られる。ワイヤリール20Mに巻かれるワイヤWが送られることで、ワイヤリール20MにおけるワイヤWの巻き径が変化すると、ワイヤリール20Mの回転速度が変化する。
【0133】
これに対し、送りモータ32の回転速度は一定である。これにより、送りモータ32の正方向への回転がリールホルダ63に伝達されることで、ワイヤリール20Mの回転速度が一定となると、ワイヤリール20Mから送られるワイヤWの量が変化する。一方、第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rで送られるワイヤWの量は一定である。よって、ワイヤリール20Mと第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rとの間でワイヤWが弛む、あるいはワイヤWが引っ張られる等の不具合が発生する。
【0134】
そこで、送りモータ32の正方向への回転とリールホルダ63の回転を独立させることで、ワイヤリール20Mと第1の送りギア30L及び第2の送りギア30Rとの間でワイヤWが弛む、あるいはワイヤWが引っ張られる等の不具合の発生を抑制することができる。
【0135】
ワイヤWを所定量送った後、ワイヤWの送りを停止する動作では、送りモータ32の矢印f1方向への回転を停止させた後、送りモータ32を所定量矢印r1で示す逆方向に回転させる。矢印r1方向に送りモータ32を回転させると、制動力伝達部64により、
図17に示すように、ブレーキギア64fが矢印rb方向に回転する。ブレーキギア64fが矢印rb方向に回転すると、第1のワンウェイベアリング64gにより制動軸64hへ駆動力が伝達され、制動軸64hが矢印rb方向に回転する。
【0136】
また、制動軸64hが矢印rb方向に回転すると、第2のワンウェイベアリング64iによりリールホルダ63に駆動力が伝達され、リールホルダ63を矢印rb方向に回転させる力が掛かる。
【0137】
これにより、矢印f方向へのリールホルダ63の回転の負荷となる力がリールホルダ63に掛けられる。これにより、ワイヤリール20Mの回転が規制される。従って、送りモータ32の回転を停止させた後、慣性でワイヤリール20Mが回転することで、ワイヤWが弛むことが抑制される。
【0138】
他の実施の形態の制動部6Dでは、ワイヤリール20Mが取り付けられるリールホルダ63に、送りモータ32が回転しようとする力を制動力として、ワイヤリール20Mが回転する方向に対して負荷を掛け、ワイヤリール20Mの回転を規制する。これにより、凹凸形状を有した部位に制動部材を係合させる従来の構成と異なり、送りモータ32の制御による所望のタイミングで、ワイヤリール20Mの回転を規制することができる。
【0139】
また、制動部6Dを作動させるのに捩じりモータ51ではなく送りモータ32を使用するので、ワイヤリール20Mを制動する動作がワイヤWを捩じる動作に影響を及ぼすことはない。
【0140】
制動部6Dでは、送りモータ32の回転方向を切り替える回転動作の切り替えにより、リールホルダ63の回転の規制の解除と回転の規制を行うため、制動力伝達部64は、第1のワンウェイベアリング64gと第2のワンウェイベアリング64iを備える構成とした。これに対し、1つのワンウェイベアリングにより、送りモータ32の回転方向の切り替えによるリールホルダ63への駆動力の伝達の有無を切り替えられるようにしても良い。また、制動部6Dでは、リールホルダ63はワイヤリール20Mと別の部品で構成したが、ワイヤリール20Mのハブ部20Maに一体に設ける構成としても良い。