(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気自動車やハイブリッド電気自動車等の駆動用電源等に用いられる二次電池においては、強い衝撃や振動が加わった場合でも、電極体から電池外部への導電経路が破損・損傷し難い構造とすることが求められる。
【0007】
本願発明の一つの目的は、より信頼性の高い角形二次電池及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態の角形二次電池は、
第1電極板と第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する角形外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部と、前記ベース部の前記封口板の短手方向における一方の端部から前記電極体に向かって延びるリード部を有し、
前記封口板の前記電極体側の面に突起が設けられ、
前記ベース部に接続用開口が設けられ、
前記突起が前記接続用開口に嵌合されて、前記封口板と前記ベース部が接続され、
前記接続用開口の縁部は、前記リード部側に、前記封口板の長手方向に延びる直線部を有する。
【0009】
封口板に集電体が直接接続されていると、密閉性に関する信頼性がより高く、部品点数
が削減された角形二次電池となる。しかしながら、発明者はこのような形態の角形二次電池において、以下の課題が存在することを見出した。
【0010】
集電体のベース部において、封口板の短手方向における端部にリード部が設けられている場合、より簡単な構成の角形二次電池となる。しかしながら、角形二次電池に強い衝撃や振動が加わり、電極体が角形外装体内で動くように力が加わった場合、集電体が電極体により引っ張られ封口板と集電体の接続部に負荷が加わり、当該接続部が損傷・破損する虞がある。
【0011】
本発明の一様態の角形二次電池では、封口板に設けられた突起が集電体のベース部に設けられた接続用開口内に配置されて封口板とベース部が接続されている。更に、集電体のベース部に設けられた接続用開口の縁部は、リード部側に、封口板の長手方向に延びる直線部を有する。このため、電極体により集電体が引っ張られた際、負荷が封口板と集電体の接続部における一箇所に集中することを抑制できる。このため、封口板と集電体の接続部が損傷あるは破損することを効果的に抑制できる。よって、より信頼性の高い角形二次電池となる。
【0012】
例えば、集電体のベース部に設けられた接続用開口が真円形状である場合、集電体が電極体に引っ張られた際の負荷が、接続用開口においてリード部に最も近い一点に集中する。そのため、この一点を起点に封口板と集電体の接続部が損傷あるいは破損する虞がある。これに対し、接続用開口の縁部においてリード部側に直線部が設けられていることにより、集電体が電極体に引っ張られた際の負荷が一点に集中することを防止できる。よって、封口板と集電体の接続部が損傷あるいは破損することを効果的に抑制できる。なお、突起の平面視の形状は、接続用開口に対応する形状であることが好ましい。また、突起は、接続用開口の直線部と対応する位置に、封口板の長手方向に延びる直線状の突起直線部を有することが好ましい。
【0013】
前記直線部において前記ベース部と前記突起が溶接接続されていることが好ましい。このような構成であると、封口板と集電体の接続部の損傷や破損がより効果的に抑制できる。
【0014】
平面視における前記接続用開口の形状が長円形状、又は方形状であることが好ましい。
【0015】
前記リード部には、それぞれ前記封口板の長手方向に延びる第1折れ曲がり部と第2折れ曲がり部が設けられ、
前記第1折れ曲がり部は、前記封口板に対して垂直な方向において、前記第2折れ曲がり部よりも前記封口板側に位置し、
前記第1折れ曲がり部は、前記封口板の短手方向において、前記第2折れ曲がり部よりも外側に位置することが好ましい。
このような構成であると、第1折れ曲がり部及び第2折れ曲がり部において、電極体が集電体を引っ張る力を吸収できるため、封口板と集電体の接続部に負荷が加わることをより効果的に抑制できる。よって、より信頼性の高い角形二次電池となる。
【0016】
前記第1電極板は正極板であり、前記第2電極板は負極板であることが好ましい。
【0017】
本発明の一様態の角形二次電池の製造方法は、
第1電極板と第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する角形外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部と、前記ベース部の前記封口板の短手方向における一方の端部から前記電極体に向かって延びるリード部を有し、
前記封口板と前記集電体が接続された角形二次電池の製造方法であって、
前記ベース部となる部分に設けられた直線部を有する接続用開口内に、前記封口板に設けられた突起が位置するようにし、前記直線部が前記リード部となる部分側に位置するように、前記集電体を前記封口板上に配置する配置工程と、
前記配置工程の後、前記突起と前記集電体を溶接接続する溶接工程を有する。
【0018】
このような方法によると、封口板と集電体の接続部が損傷あるいは破損することが抑制された、より信頼性の高い角形二次電池が得られる。
【0019】
前記溶接工程の後、前記集電体を、前記ベース部となる部分と前記リード部となる部分の境界部で折り曲げる折り曲げ工程を有し、
前記折り曲げ工程の後、前記リード部に前記第1電極板が接続される工程を有することが好ましい。
【0020】
予めベース部に対してリード部を曲げ加工した集電体を封口板に接続する場合に比べ、曲げ加工する前の集電体を封口板に接続することが好ましい。このような方法によると、集電体においてリード部となる部分が、集電体を封口板に接続する工程を阻害することを防止できる。そのため、封口板と集電体の接続部の品質をより高品質とし易い。
【0021】
また、本発明の一様態の角形二次電池の製造方法では、封口板に設けられた突起が集電体のベース部に設けられた接続用開口に嵌合されている。そして、接続用開口においてリード部となる部分側に直線部が配置される。よって、ベース部とリード部の境界部となる位置で集電体を折り曲げた際、封口板と集電体の接続部における一点に負荷が集中することを抑制できる。よって、封口板と集電体の接続部の損傷や破損が抑制された信頼性の高い角形二次電池が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、より信頼性の高い角形二次電池となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施形態に係る角形二次電池20の構成を以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0025】
図1は角形二次電池20の斜視図である。
図2は
図1のII−II線に沿った断面図である。
図1及び
図2に示すように角形二次電池20は、開口を有する有底筒状の角形外装体1と、角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケースを備える。角形外装体1及び封口板2は、それぞれ金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製とすることが好ましい。角形外装体1内には、正極板と負極板がセパレータを介して積層ないし巻回された電極体3が電解質と共に収容されている。電極体3と角形外装体1の間には絶縁シート14が配置されている。
【0026】
電極体3を構成する正極板には、正極集電体6が接続されている。正極集電体6は封口板2の電池内部側の面に接続されている。これにより、正極板は正極集電体6を介して封口板2に電気的に接続されている。正極集電体6は金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。
【0027】
電極体3を構成する負極板には、負極集電体7が接続されている。負極集電体7は、負極外部端子8に接続されている。負極集電体7と封口板2の間には内部側絶縁部材9が配置されている。負極外部端子8と封口板2の間には外部側絶縁部材10が配置されている。これにより、負極集電体7及び負極外部端子8は、封口板2と絶縁されている。負極集電体7は金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることが好ましい。内部側絶縁部材9及び外部側絶縁部材10は樹脂製であることが好ましい。負極外部端子8は金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることが好ましい。また、
図2に示すように負極外部端子8は、電池内部側に配置される第1金属部8aと電池外部側に配置される第2金属部8bからなることが好ましい。このとき、第1金属部8aは銅又は銅合金製であることが好ましい。第2金属部8bはアルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。このような構成であると、複数の角形二次電池を用いて組電池を作製する際、一方の角形二次電池の正極端子と他方の角形二次電池の負極端子を接続するバスバーとして、アルミニウム又はアルミニウム合金製のバスバーを好適に使用することができる。なお、第1金属部8aの表面にはニッケル層が形成されていることが好ましい。
【0028】
封口板2には、電池ケース内の圧力が所定値以上となった際に破断し、電池ケース内のガスを電池ケース外に排出するガス排出弁17が設けられている。封口板2には電解液注液孔15が設けられており、電池ケース内に電解液を注液した後、封止栓16により封止される。
【0029】
次に角形二次電池20の製造方法について説明する。なお、実施形態に係る角形二次電池20においては、正極板が第1電極板であり、負極板が第2電極板である。
[正極板の作製]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着剤としてのポ
リフッ化ビニリデン(PVdF)、導電剤としての炭素材料、及び分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を含む正極合剤スラリーを作製する。この正極合剤スラリーを、正極芯体としての厚さ15μmの長尺状のアルミニウム箔の両面に塗布する。そして、これを乾燥させることにより、正極合剤スラリー中のNMPを取り除き、正極芯体上に正極活物質層を形成する。その後、正極活物質層を所定厚みになるように圧縮処理を行った後、所定の形状に裁断する。このようにして得られた正極板は、長尺状の正極芯体の幅方向の端部に、正極芯体の長手方向に沿って両面に正極活物質合剤層が形成されていない正極芯体露出部4を有する。
【0030】
[負極板の作製]
負極活物質としての黒鉛、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び分散媒としての水を含む負極合剤スラリーを作製する。この負極合剤スラリーを、負極芯体としての厚さ8μmの長尺状の銅箔の両面に塗布する。そして、これを乾燥させることにより、負極合剤スラリー中の水を取り除き、負芯体上に負極活物質層を形成する。その後、負極活物質層を所定厚みになるように圧縮処理を行った後、所定の形状に裁断する。このようにして得られた負極板は、長尺状の負極芯体の幅方向の端部に、負極芯体の長手方向に沿って両面に負極活物質合剤層が形成されていない負極芯体露出部5を有する。
【0031】
[電極体の作製]
上述の方法で作製した正極板と負極板をセパレータを介して巻回することにより巻回型の電極体3を作製する。
図3に示すように電極体3は、巻回軸方向における一方の端部に巻回された正極芯体露出部4を有し、他方の端部に巻回された負極芯体露出部5を有する。なお、電極体3の最外周はセパレータで覆われていることが好ましい。
【0032】
[負極集電体及び負極外部端子の封口板への取り付け]
封口板2に設けられた負極端子取り付け孔2dの周囲において、封口板2の電池内面側に内部側絶縁部材9と負極集電体7のベース部7aを配置し、封口板2の電池外面側に外部側絶縁部材10を配置する。次に、負極外部端子8を、外部側絶縁部材10、封口板2、内部側絶縁部材9及び負極集電体7のベース部7aのそれぞれに設けられた貫通孔に挿入し、負極外部端子8の先端部を負極集電体7のベース部7a上にカシメる。これにより、
図2、
図4に示すように、負極外部端子8、外部側絶縁部材10、内部側絶縁部材9及び負極集電体7が封口板2に固定される。なお、負極外部端子8においてカシメられた部分と負極集電体7のベース部7aを更にレーザ溶接等により溶接接続し、溶接接続部を形成することが好ましい(図示は省略)。
【0033】
[正極集電体の封口板への取り付け]
図5に示すように、封口板2の電池内部側の面には、突起2aが設けられている。突起2aは、封口板2の短手方向において、封口板2の中心線Cよりも一方側(
図5においては上方)にずれている。なお、中心線Cは、封口板2の短手方向における封口板2の中心を通り、封口板2の長手方向に延びる。突起2aの先端には、先端凹部2bが設けられている。突起2aの平面視の形状は長円形状である。突起2aは、直線状の突起直線部2a1を有する。
【0034】
図6に示すように、正極集電体6のベース部6aには、接続用開口6xが設けられている。接続用開口6xの平面視の形状は長円形状である。接続用開口6xの周囲には、環状の環状薄肉部6cが設けられている。また、接続用開口6xの縁部には環状突起6dが設けられている。なお、ベース部6aとリード部6bの境界部40の端部には、切り欠き部6f及び切り欠き部6gが設けられている。接続用開口6xは直線部6yを有する。
【0035】
図7は、封口板2上に正極集電体6を配置した状態を示す図である。なお、
図7においては、リード部6bはベース部6aに対して曲げ加工されていない。封口板2に設けられた突起2aが、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xに嵌合される。接続用開口6xは、封口板2の短手方向において、封口板2の中心線Cよりも一方側(
図7においては上方)にずれている。なお、
図7及び
図8Aに示すように、ベース部6aとリード部6bの境界部40を折り曲げる前の状態の正極集電体6を封口板2上に配置することが好ましい。但し、曲げ加工を行った後の正極集電体6を封口板2上に配置してもよい。
【0036】
図8A及び
図9Aにおいて、封口板2の突起2aとベース部6aにおける接続用開口6xの縁部にレーザ等のエネルギー線を照射する。これにより
図8B及び
図9Bに示すように、溶接接続部30が形成され、封口板2の突起2aとベース部6aが溶接接続される。なお、溶接接続部30は、ベース部6aに設けられた環状突起6dと封口板2の突起2aに形成されることが好ましい。
【0037】
なお、溶接接続部30は、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部の全周に亘って形成されることが好ましい。この場合、平面視で環状に溶接接続部30が形成される。但し、接続用開口6xの縁部において、全周ではなく、それぞれ離間した複数個所に溶接接続部30を形成してもよい。
【0038】
なお、封口板2に設けられた突起2aの先端には、先端凹部2bが形成されることが好ましい。このような構成であると、封口板2の突起2aと正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部をエネルギー線の照射等により溶接する際、より大きな溶接接続部30が形成される。したがって、封口板2と正極集電体6がより強固に接続される。よって、より信頼性の高い角形二次電池となる。なお、先端凹部2bは必須の構成ではない。
【0039】
正極集電体6のベース部6aにおいて、接続用開口6xの周囲には環状の環状薄肉部6cが設けられている。また、接続用開口6xの縁部には環状突起6dが設けられている。このような構成であると、封口板2の突起2aと正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部をエネルギー線の照射等により溶接する際、より大きな溶接接続部が形成される。したがって、封口板2と正極集電体6がより強固に接続される。なお、環状突起6dの先端(
図8Aにおいては上端)は、正極集電体6のベース部6aの電極体3側の面(
図8Aにおいては上面)よりも突出していないことが好ましい。なお、環状薄肉部6c及び環状突起6dは必須の構成ではない。
【0040】
図8A及び
図9Aに示すように、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの封口板2側の端部(
図8Aにおいては下端)にテーパー部6eが形成されていることが好ましい。これにより、接続用開口6x内に突起2aを挿入する際、突起2aが損傷することを防止できる。
【0041】
なお、
図1及び
図2に示すように、封口板2の電池外部側の面において、突起2aと対向する位置に凹部2cが形成されていることが好ましい。また、封口板2の電池外部側の面には、封口板2の長手方向に延びる一対の第1溝部2eと、封口板2の短手方向に延びる一対の第2溝部2fが設けられていることが好ましい。
【0042】
[正極集電体及び負極集電体の折り曲げ]
封口板2に接続された正極集電体6について、ベース部6aとリード部6bの境界部40で曲げ加工を行う。このとき、ベース部6aを封口板2に押し付けた状態で、リード部6bをベース部6aに対して曲げることが好ましい。
【0043】
ここで、封口板2の短手方向において、リード部6bとベース部6aの境界部40(折り曲げられる部分)は、封口板2の中心線Cよりも一方側に位置し、封口板2と正極集電体6の接続部50は封口板2の中心線Cよりも他方側にずれている。このため、封口板2と正極集電体6の接続部50が、ベース部6aとリード部6bの境界部40(折り曲げられる部分)からより離れた位置に存在する。したがって、ベース部6aに対してリード部6bを折り曲げる際、封口板2と正極集電体6の接続部50に負荷が加わることを抑制できる。よって、封口板2と正極集電体6の接続部50が損傷・破損することを防止できる。
【0044】
なお、
図7に示すように、ベース部6aとリード部6bの境界部40となる部分には、幅方向の端部に切り欠き部6g及び切り欠き部6fを設けておくことが好ましい。これにより、正極集電体6を折り曲げ加工する際、封口板2と正極集電体6の接続部50に負荷が加わることを抑制できる。
【0045】
負極集電体7についても、ベース部7aとリード部7bの境界部で折り曲げ加工を行う。
【0046】
なお、正極集電体6及び負極集電体7は、封口板2に取り付けられるときは、平板状のものであることが好ましい。
【0047】
[正極集電体及び負極集電体と電極体の接続]
正極集電体6のリード部6bを電極体3の巻回された正極芯体露出部4の最外面に溶接接続する。負極集電体7のリード部7bを電極体3の巻回された負極芯体露出部5の最外面に溶接接続する。なお、接続方法としては、抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接等を用いることができる。
【0048】
[角形二次電池の組立て]
封口板2に正極集電体6及び負極集電体7を介して接続された電極体3の周囲を絶縁シート14で覆う。次に、絶縁シート14で覆われた電極体3を角形外装体1に挿入する。そして、角形外装体1と封口板2をレーザ溶接することにより、角形外装体1の開口を封口板2により封口する。その後、封口板2に設けられた電解液注液孔15から角形外装体1内に非水溶媒と電解質塩を含む非水電解液を注入し、電解液注液孔15を封止栓16により封止する。封止栓16としてはブラインドリベットを用いることが好ましい。なお、金属製の封止栓16を封口板2に溶接接続することも可能である。
【0049】
[角形二次電池20]
図7に示すように、封口板2に設けられた突起2aが、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xに嵌合されている。このため、封口板2と正極集電体6が強固に接続される。更に、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部は、リード部6b側に封口板2の長手方向に延びる直線部6yを有する。このため、電極体3により正極集電体6が角形外装体1の底部方向に引っ張られた際、負荷が封口板2と正極集電体6の接続部50における1点に集中することを抑制できる。よって、封口板2と正極集電体6の接続部50が損傷あるは破損することを効果的に抑制できる。
【0050】
なお、直線部6yにおいて、正極集電体6のベース部6aと封口板2の突起2aが溶接接続されていることが好ましい。このような構成であると、封口板2と正極集電体6の接続部50が損傷・破損することをより効果的に防止できる。また、突起2aにおいてベース部6aの直線部6yに対向する部分は、直線状の突起直線部2a1であることが好ましい。
【0051】
また、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部は、それぞれ封口板2の長手方向に延びる二つの直線部を有することが好ましい。また、封口板2の突起2aは、平面視でその外周縁に、封口板2の長手方向に延びる二つの直線部を有することが好ましい。そして、接続用開口6xの縁部の二つの直線部が、それぞれ突起2aの二つの直線部に対向するように配置されることが好ましい。このような構成であると、封口板2と正極集電体6の接続部50がより損傷・破損し難くなる。
【0052】
なお、封口板2に設けられる突起2aの平面視の形状は特に限定されないが、長円形状や方形状等であることが好ましい。なお、方形状の場合、角部がR形状となっていてもよい。また、正極集電体6のベース部6aに設けられる接続用開口6xの平面視の形状は特に限定されないが、長円形状や方形状等であることが好ましい。なお、方形状の場合、角部がR形状となっていてもよい。
【0053】
図10に示すように、角形二次電池20では、ベース部6aとリード部6bの境界部40が封口板2の中心線Cよりも一方側(
図10において左側)に位置し、封口板2と正極集電体6の接続部50は封口板2の中心線Cよりも他方側(
図10において右側)にずれている。このため、封口板2と正極集電体6の接続部50が、ベース部6aとリード部6bの境界部40からより離れた位置に存在する。したがって、角形二次電池20に強い衝撃や振動が加わり、電極体3が角形外装体1内で動くように力が加わり、電極体3に接続された正極集電体6が引っ張られたとしても、封口板2と正極集電体6の接続部50に負荷が加わり難い形態となっている。このため、より信頼性の高い角形二次電池となる。なお、封口板2と正極集電体6の接続部50を中心線C上に配置してもよい。
【0054】
更に、正極集電体6のリード部6bには、第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42が形成されている。正極集電体6が電極体3に引っ張られた際、第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42が負荷を吸収するため、封口板2と正極集電体6の接続部50に負荷が加わることをより効果的に抑制できる。なお、第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42は、それぞれ線状であり、それぞれ封口板2の長手方向に沿って延びている(
図10においては、手前‐奥の方向)。封口板2に対して垂直な方向において、第1折れ曲がり部41は、第2折れ曲がり部42よりも封口板2側に位置している。また、封口板2の短手方向において、第1折れ曲がり部41は、第2折れ曲がり部42よりも外側、即ち、角形外装体1の側壁に近い側に位置している。第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42は、正極集電体6を封口板2に接続する前に形成しても良いし、正極集電体6を封口板2に接続した後に形成しても良い。また、第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42は必ずしも設けなくてもよい。
【0055】
[変形例1]
上述の実施形態においては、封口板2と正極集電体6の接続部50が封口板2の中心線Cからずれた位置に配置される例を示したが、これに限定されない。変形例1は、封口板の形状及び正極集電体の形状が異なる以外は、上述の実施形態と同様の構成を有する。
【0056】
図11Aに示すように、変形例1に係る封口板102では、封口板102の短手方向における中央に突起102aが設けられている。突起102aの先端には先端凹部102bが設けられている。
【0057】
図11Bに示すように、封口板102上に正極集電体106が配置されると、正極集電体106のベース部106aに設けられた接続用開口106xも、封口板102の短手方向における中央に配置される。
【0058】
図12Aは、封口板102と正極集電体106を溶接接続する前の
図11BにおけるXIIA−XIIA線に沿った断面図である。
図12Bは、封口板102と正極集電体106を溶接接続する前の
図11BにおけるXIIB−XIIB線に沿った断面図である。このような状態で、突起102aとベース部106aにおける接続用開口106xの縁部が、エネルギー線の照射等により溶接接続される。但し、溶接接続部は環状に形成されても良いし、線状あるいは点状で複数個所に形成されてもよい。なお、正極集電体106のベース部106aに設けられた接続用開口106xの直線部106yに、溶接接続部が形成されることが好ましい。
【0059】
変形例1に係る角形二次電池においても、正極集電体106のベース部106aに設けられた接続用開口106xの縁部は、リード部106b側に封口板102の長手方向に延びる直線部106yを有する。このため、電極体3により正極集電体106が角形外装体1の底部方向に引っ張られた際、封口板102と正極集電体106の接続部150の1点に集中することを抑制できる。よって、封口板102と正極集電体106の接続部150が損傷あるは破損することを効果的に抑制できる。なお、突起102aの突起直線部102a1がベース部106aの直線部106yと対向するように配置されている。
【0060】
なお、変形例1に係る正極集電体106は、上述の実施形態における正極集電体6と同様に、ベース部106aとリード部106bを有する。ベース部106aには、接続用開口106xが設けられており、接続用開口106xの周囲には環状薄肉部106cが設けられている。また、接続用開口106xの縁部には、環状突起106dが設けられている。また、ベース部106aとリード部106bの境界部における両端には切り下記部106f及び切り欠き部106gが設けられている。
【0061】
[変形例2]
封口板に設ける突起を、正極集電体のベース部上にカシメ固定することも可能である。
図13Aは、変形例2に係る封口板202及び正極集電体206を示す図であり、封口板202と正極集電体206を溶接する前の
図8Aに対応する断面図である。
図13Bは、変形例2に係る封口板202及び正極集電体206を示す図であり、封口板202と正極集電体206を溶接した後の
図8Bに対応する断面図である。
【0062】
図13Aに示すように、封口板202は突起202aを有する。正極集電体206はベース部206aとリード部206bを有する。ベース部206aには接続用開口206xが設けられている。封口板202の突起202aが、接続用開口206xと嵌合されるように、正極集電体206が封口板202上に配置される。そして、突起202aの先端がベース部206a上にカシメられてカシメ部202xが形成される。なお、ベース部206aにおいて接続用開口206xの周囲には環状薄肉部206cが設けられることが好ましい。このとき、カシメ部202xが、ベース部206aの電極体3側の面(
図13Aにおいては上方の面)から電極体3側に突出しないことが好ましい。
【0063】
その後、突起202aの先端に設けられたカシメ部202xとベース部206aが溶接接続され、
図13Bに示すように溶接接続部230が形成される。このような構成であると、封口板202と正極集電体206がより強固に接続される。よってより信頼性の高い角形二次電池となる。
【0064】
変形例2において、正極集電体206のベース部206aに設けられた接続用開口206xの縁部は、リード部206b側に封口板202の長手方向に延びる直線部206yを有する。このため、電極体3により正極集電体206が角形外装体1の底部方向に引っ張られた際、負荷が封口板202と正極集電体206の接続部250における1点に集中することを抑制できる。
【0065】
変形例2において、ベース部206aとリード部206bの境界部240は、封口板202の短手方向における中心線Cより一方側に配置されるようにすることが好ましい。また、封口板202と正極集電体206の接続部250は、封口板202の短手方向における中心線Cより他方側にずれていることが好ましい。なお、封口板202と正極集電体206の接続部250を中心線C上に配置することもできる。
【0066】
≪その他≫
上述の実施形態及び変形例においては、封口板と正極集電体を接続する例を示した。しかしながら、封口板と負極集電体を同様の方法で接続することができる。この場合、封口板と正極集電体は絶縁する。
【0067】
電極体の形態は特に限定されず、巻回電極体であっても良いし、積層型電極体であってもよい。
【0068】
正極板、負極板、セパレータ、電解液等の構成は、公知の構成とすることができる。
【0069】
上述の角形二次電池を複数個用いて組電池とすることができる。この場合、各角形二次電池において、角形外装体の一対の大面積側壁が両側から押圧され、一対の大面積側壁により電極体が挟持される状態とすることが好ましい。このような構成であると、角形二次電池に強い衝撃や振動が加わったとき、電極体が角形外装体内で動くことを抑制できる。したがって、封口板と正極集電体の接続部に負荷が加わることを抑制できる。