(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊離アミノ酸又はその塩が、イソロイシン、ロイシン、バリン、ヒスチジン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリン及びチロシンからなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1又は2記載のゼリー。
寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、ジェランガム、マンナン、タラガム、グァーガム、タマリンドガム、ペクチン、アラビアガム、トラガント及びゼラチンからなる群から選択される少なくとも一つのゲル化剤を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゼリー。
サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アドバンテーム、キシリトール、ショ糖及びソルビトールからなる群から選択される少なくとも一つの甘味剤を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のゼリー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アミノ酸含有食品を運動中に(すなわち運動しながら)食べる場合、該アミノ酸含有食品は、携帯性等の観点から、小容量であることが好ましく、また小容量であっても必要なアミノ酸を摂取し得るよう、アミノ酸の濃度は高いことが好ましい。しかし、一部のアミノ酸は高濃度になると異味が生じ、そのようなアミノ酸を高濃度で含有する食品は、極めて食べにくいという問題があった。また運動中に摂取されるアミノ酸含有食品は、水なしでも食べやすいこと、嚥下しやすいこと、運動中であっても取り扱いやすいこと等も求められる。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、遊離アミノ酸又はその塩を所定の濃度で含有しても、異味が少なく、且つ、運動中でも食べやすい食品等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を解決すべく鋭意検討した結果、粘度が所定の範囲内に調整されたゼリー(好ましくは、ゼリー強度、離水率及び粘度がそれぞれ所定の範囲内に調整されたゼリー)は、遊離アミノ酸又はその塩を所定の濃度で含有しても、異味が少なく、且つ、運動中でも食べやすいことを見出し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]遊離アミノ酸又はその塩を6重量%以上含有し、粘度が200〜12000mPa・sであるゼリー。
[2]遊離アミノ酸又はその塩の含有量が8重量%以上である、[1]記載のゼリー。
[3]遊離アミノ酸又はその塩が、イソロイシン、ロイシン、バリン、ヒスチジン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリン及びチロシンからなる群より選択される少なくとも一つを含む、[1]又は[2]記載のゼリー。
[4]ゼリー強度が0.05〜3N/cm
2であり、且つ、離水率が1〜50%である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のゼリー。
[5]ゼリー強度が0.05〜1N/cm
2であり、離水率が5〜30%であり、且つ、粘度が300〜5000mPa・sである、[1]〜[4]のいずれか一つに記載のゼリー。
[6]寒天、キサンタンガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、ジェランガム、マンナン、タラガム、グァーガム、タマリンドガム、ペクチン、アラビアガム、トラガント及びゼラチンからなる群から選択される少なくとも一つのゲル化剤を含有する、[1]〜[5]のいずれか一つに記載のゼリー。
[7]有機酸を、遊離アミノ酸又はその塩に対して0.01〜25重量%含有する、[1]〜[6]のいずれか一つに記載のゼリー。
[8]サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アドバンテーム、キシリトール、ショ糖及びソルビトールからなる群から選択される少なくとも一つの甘味剤を含有する、[1]〜[7]のいずれか一つに記載のゼリー。
[9]pHが2.5〜4である、[1]〜[8]のいずれか一つに記載のゼリー。
[10]粒度D50が3〜500μmであるアミノ酸粒子を原料に含む、[1]〜[9]のいずれか一つに記載のゼリー。
[11]食品又は経口用医薬である、[1]〜[10]のいずれか一つに記載のゼリー。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遊離アミノ酸又はその塩を所定の濃度で含有しても、異味が少なく、且つ、運動中でも食べやすいゼリーを提供し得る。本発明のゼリーは、運動中にアミノ酸を摂取するために適している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のゼリーは、遊離アミノ酸又はその塩を含有する。本発明において「遊離アミノ酸」とは、他のアミノ酸と結合してタンパク質やペプチドを形成することなく、遊離した状態で存在しているアミノ酸をいう。本発明において用いられる遊離アミノ酸は、経口的に摂取し得るものであれば特に制限されないが、例えば、イソロイシン、ロイシン、バリン、ヒスチジン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、セリン及びチロシン等が挙げられる。これらの遊離アミノ酸は、L−体、D−体、DL−体のいずれも使用可能であるが、好ましくは、L−体、DL−体であり、さらに好ましくは、L−体である。
【0012】
遊離アミノ酸の塩は食品上許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、無機塩基との塩及び無機酸との塩等が挙げられる。無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。無機酸との塩としては、例えば、硫酸、硝酸、リン酸等との塩が挙げられる。
【0013】
遊離アミノ酸又はその塩は、天然に存在する動植物等から抽出し精製したもの、或いは、化学合成法、発酵法、酵素法又は遺伝子組換え法によって得られるもののいずれを使用してもよい。
【0014】
本発明において遊離アミノ酸又はその塩は単独で用いてよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0015】
本発明において用いられる遊離アミノ酸又はその塩は、本発明の効果が顕著に発揮される点で、高濃度(例えば、1重量%以上、好ましくは3重量%以上)で経口的に摂取されたときに異味が感じられるものが好ましく、具体例としては、イソロイシン、ロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、アラニン、プロリン、アルギニン、グルタミン及びそれらの塩等が挙げられる。本発明において「異味」とは、通常のゼリーを食べた際には感じられない不快な味及び風味をいい、具体例としては、苦味、渋味、えぐ味等が挙げられ、また、過度の甘味、過度の酸味、過度の旨味等も異味になり得る。
【0016】
本発明のゼリーにおける遊離アミノ酸又はその塩の含有量は、ゼリーの総重量に対して、好ましくは6重量%以上であり、より好ましくは8重量%以上であり、更に好ましくは8.5重量%以上であり、特に好ましくは10重量%以上である。本発明のゼリーは、当該濃度で遊離アミノ酸又はその塩を含有することによって、運動中の携帯性等のために小容量とした場合であっても、必要なアミノ酸を摂取し得る。一方、遊離アミノ酸又はその塩の含有量は、アミノ酸の水への溶解性および分散性の観点から、ゼリーの総重量に対して、好ましくは25重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下であり、特に好ましくは15重量%以下である。ここで、遊離アミノ酸の塩の含有量は、遊離体に換算して算出される。
【0017】
本発明のゼリーは、粘度が所定の範囲内であることが好ましい。粘度が所定の範囲内であることにより、遊離アミノ酸又はその塩を所定の濃度で含有しても、異味が抑えられ、本発明のゼリーは食べやすいものとなる。
具体的には、粘度は、好ましくは200〜12000mPa・sであり、運動中の食べやすさ(喫食感および使用感)の観点から、より好ましくは300〜5000mPa・sであり、特に好ましくは500〜3000mPa・sであり、最も好ましくは700〜2500mPa・sである。
【0018】
粘度は、以下の方法により測定される。
プラスチック容器に充填したゼリー試料を、5℃にて一晩保存後、B型粘度計(東機産業社製、RB80L)にて測定する。測定は、ゼリー試料を予め40℃に加温し、10〜2000mPa・sの粘度範囲ではローターNo.3を、2000mPa・s以上の粘度範囲ではローターNo.4を用い、回転数:60rpm、4分の条件で行う。
【0019】
粘度の調整方法は特に制限されず、自体公知の方法で行えばよいが、例えば、ゲル化剤の種類や配合量を適宜変更すること、無機塩(例えば、カルシウム塩等)の配合量を適宜変更すること、溶質濃度(Brix)を適宜変更すること等によって、粘度を調整できる。
【0020】
本発明のゼリーは、粘度に加え、ゼリー強度及び離水率の少なくとも一つが所定の範囲内であることが好ましく、ゼリー強度及び離水率のいずれもが所定の範囲内であることがより好ましい。本発明によれば、ゼリーの粘度を所定の範囲内に調整しても、ゼリーが嚥下しにくくなったり、容器から手で押し出しにくくなったりすることがない。また、遊離アミノ酸又はその塩に由来する異味が抑えられる。さらに、本発明は運動中の食べやすさも維持されるという効果を有する。本発明によれば、これらの効果をより高いレベルで実現することができる。
【0021】
ゼリー強度は、好ましくは0.05〜3N/cm
2であり、運動中の食べやすさ(喫食感および使用感)の観点から、より好ましくは0.05〜1N/cm
2であり、特に好ましくは0.1〜0.8N/cm
2である。
【0022】
ゼリー強度は、以下の方法により測定される。
プラスチック容器に充填したゼリー試料を、5℃にて一晩保存後、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製、TA−XT plus)にて測定する。測定は、直径20mmの円柱状プランジャーを使用し、侵入速度:1mm/sec、侵入距離:16mmの条件で行う。
【0023】
ゼリー強度の調整方法は特に制限されず、自体公知の方法で行えばよいが、例えば、ゲル化剤の種類や配合量を適宜変更すること、無機塩(例えば、カルシウム塩等)の配合量を適宜変更すること、溶質濃度(Brix)を適宜変更すること等によって、ゼリー強度を所定の範囲内に調整できる。
【0024】
離水率は、好ましくは1〜50%であり、運動中の食べやすさ(喫食感および使用感)の観点から、より好ましくは5〜30%であり、さらに好ましくは5〜25%であり、より一層好ましくは7〜25%であり、特に好ましくは7〜20%であり、最も好ましくは10〜20%である。
【0025】
離水率は、以下の方法により測定される。
アルミパウチにゼリー試料(35g)を充填して密封し、5℃にて一週間静置保存する。その後、アルミパウチを開封し、離水部を取り除く。残ったゼリー部の重量を測定し、下記式から離水率を算出する。
離水率(%)=[充填量(g)−残ったゼリー部の重量(g)]/充填量(g)×100
【0026】
離水率の調整方法は特に制限されず、自体公知の方法で行えばよいが、例えば、ゲル化剤の種類や配合量を適宜変更すること、水の配合量を適宜変更すること、無機塩(例えば、カルシウム塩等)の配合量を適宜変更すること、溶質濃度(Brix)を適宜変更すること等によって、離水率を所定の範囲内に調整できる。
【0027】
本発明のゼリーは、好ましくは、ゼリー強度が0.05〜3N/cm
2であり、離水率が1〜50%であり、且つ、粘度が200〜12000mPa・sであり;より好ましくは、ゼリー強度が0.05〜1N/cm
2であり、離水率が5〜30%であり、且つ、粘度が300〜5000mPa・sであり;特に好ましくは、ゼリー強度が0.1〜0.8N/cm
2であり、離水率が7〜25%であり、且つ、粘度が500〜3000mPa・sであり;最も好ましくは、ゼリー強度が0.1〜0.8N/cm
2であり、離水率が10〜20%であり、且つ、粘度が700〜2500mPa・sである。
【0028】
本発明のゼリーは、遊離アミノ酸又はその塩に加えて、ゼリーに通常使用される添加物、必要な栄養素等を含有してよい。当該添加物及び栄養素は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されず、例えば、ゲル化剤、有機酸、甘味剤、懸濁化剤、乳化剤、酸化防止剤、保存剤、着色剤、香料、果汁、脂質、糖質、蛋白質、ペプチド、電解質、ビタミン類等が挙げられる。これらの添加物及び栄養素は、単独で用いてよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0029】
ゲル化剤としては、例えば、寒天、キサンタンガム、カラギーナン(カッパーカラギーナン、イオタカラギーナン、ラムダカラギーナン)、ローカストビーンガム、ジェランガム(脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム)、マンナン(例、グルコマンナン等)、タラガム、グァーガム、タマリンドガム、ペクチン、アラビアガム、トラガント、ゼラチン等が挙げられる。これらのゲル化剤は、単独で用いてよく、又は2種以上を併用してもよい。
ゲル化剤を単独で用いる場合には、特に好ましいゲル化剤として、カラギーナン(カッパーカラギーナン、イオタカラギーナン)、マンナン、ジェランガム(脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム)、寒天、ペクチン、ゼラチン等が挙げられる。
ゲル化剤を2種以上併用する場合には、特に好ましくは、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガムおよびキサンタンガムの併用、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガムおよびマンナンの併用等が挙げられる。
【0030】
有機酸としては、例えば、クエン酸、無水クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、D−酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、酢酸、乳酸等が挙げられる。これらの有機酸は、単独で用いてよく、又は2種以上を併用してもよい。これらの有機酸は食品上許容される塩の形態であってもよい。有機酸の含有量は、異味及び異風味を抑える観点から、遊離アミノ酸又はその塩に対して、好ましくは0.01〜25重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0031】
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、レシチン等が挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いてよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0032】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アドバンテーム等の高甘味度甘味料;キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール等の糖アルコール;ブドウ糖、果糖等の単糖;ショ糖、乳糖等の二糖;オリゴ糖等の、複数(2以上)の単糖が結合した糖等が挙げられ、好ましくは、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アドバンテーム、キシリトール、ショ糖、ソルビトールである。これらの甘味剤は、単独で用いてよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0033】
香料としては、例えば、グレープフルーツフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバー、アップルフレーバー、グレープフレーバー、ブルーベリーフレーバー、マスカットフレーバー、ピーチフレーバー、梅フレーバー、マンゴーフレーバー、パイナップルフレーバー、ヨーグルトフレーバー、エナジードリンクフレーバー、チョコレートフレーバー等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの香料は、単独で用いてよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0034】
果汁としては、例えば、グレープフルーツ果汁、オレンジ果汁、レモン果汁、ライム果汁、アップル果汁、グレープ果汁、ブルーベリー果汁、マスカット果汁、ピーチ果汁、梅果汁、マンゴー果汁、パイナップル果汁等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの果汁は、単独で用いてよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0035】
タンパク質としては、例えば、ホエイタンパク質、カゼイン、カゼインナトリウム、ゼラチン、コラーゲン、大豆タンパク質、小麦タンパク質等が挙げられる。これらのタンパク質は、単独で用いてよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0036】
糖質としては、例えば、マルトデキストリン、デキストリン、還元デキストリン等が挙げられる。これらの糖質は、単独で用いてよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0037】
本発明のゼリーのpHは、通常2.5〜6であり、静菌性の観点から、好ましくは2.5〜4であり、より好ましくは3〜4である。
【0038】
本発明のゼリーは、既知の手法により製造できる。例えば、加温した水にアミノ酸及びその他の原料を添加してゼリー液を調製し、当該ゼリー液を、必要に応じて加温して殺菌した後、冷却して固化させること等により製造できる。複数のアミノ酸を用いる場合、複数のアミノ酸を予め混合してから加温した水に添加してよく、又は複数のアミノ酸を各々、加温した水に添加してもよい。当該製造方法において、ゼリー液のpHは、通常2.5〜6であり、静菌性の観点から、好ましくは2.5〜4であり、より好ましくは3〜4である。ゼリー液を加温する際、アミノ酸混合物は溶解してもよいし、溶解しなくてもよい。
【0039】
本発明のゼリーがアミノ酸を飽和溶解度以上の濃度で含む場合、本発明のゼリーの製造には特定の粒度のアミノ酸粒子を原料として用いることが好ましい。特定の粒度のアミノ酸粒子を原料に含むことによって、滑らかな食感のゼリーを製造できる。具体的には、当該アミノ酸粒子の粒度D50は、通常3〜500μmであり、より滑らかな食感が得られることから、好ましくは3〜350μmであり、より好ましくは3〜80μmである。
本発明において、アミノ酸粒子の「粒度D50」とは、体積基準累積粒度分布における50%粒子径をいい、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(Microtrac BEL社製、MICROTRAC HRA)を使用し、エタノールを分散媒として測定される。
アミノ酸粒子の粒度の調整方法は特に制限されず、アミノ酸粒子を自体公知の方法で適宜粉砕することによって調整すればよい。
【0040】
本発明のゼリーは、容器詰めされて提供され得る。本発明のゼリーを充填し得る容器は、ゼリーを充填するために通常用いられる容器であれば特に制限されないが、例えば、アルミパウチ、PET(ポリエチレンテレフタラート)容器、紙容器、金属容器等が挙げられる。一つの容器に充填されるゼリーの量は、特に制限されないが、通常10〜300gであり、運動中の携帯性の観点から、好ましくは15〜100gであり、より好ましくは20〜50gである。
【0041】
本発明のゼリーは、食品(保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、ダイエタリーサプリメント、栄養補助食品、健康補助食品等を含む)又は経口用医薬として提供され得る。また本発明のゼリーは、メディカルフードとしても提供され得る。
【0042】
本発明のゼリーは、遊離アミノ酸又はその塩を高濃度で含有しても、異味がなく、且つ、運動中でも食べやすいものであるため、運動中に(すなわち運動しながら)アミノ酸を摂取するために適している。ゼリーの「異味」の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。また「運動中の食べやすさ」は、喫食感(例えば、水なしでも食べやすい、嚥下しやすい等)及び使用感(例えば、容器の開封時に液ハネしにくい、容器から手で押し出しやすい等)を指標として複合的に評価される。
【0043】
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【実施例】
【0044】
以下の試験例1〜6において、ゼリー強度、離水率及び粘度は、それぞれ下記に示される方法により測定した。
【0045】
[ゼリー強度の測定方法]
プラスチック容器に充填したゼリー試料を、5℃にて一晩保存後、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製、TA−XT plus)にて測定する。測定は、直径20mmの円柱状プランジャーを使用し、侵入速度:1mm/sec、侵入距離:16mmの条件で行う。
【0046】
[離水率の測定方法]
アルミパウチにゼリー(35g)を充填して密封し、5℃にて一週間静置保存する。その後、アルミパウチを開封し、離水部を取り除く。残ったゼリー部の重量を測定し、下記式から離水率を算出する。
離水率(%)=[充填量(g)−残ったゼリー部の重量(g)]/充填量(g)×100
【0047】
[粘度の測定方法]
プラスチック容器に充填したゼリーを、5℃にて一晩保存後、B型粘度計(東機産業社製、RB80L)にて測定する。測定は、ゼリーを予め40℃に加温し、10〜2000mPa・sの粘度範囲ではローターNo.3を、2000mPa・s以上の粘度範囲ではローターNo.4を用い、回転数:60rpm、4分の条件で行う。
【0048】
以下の試験例1〜5において用いたアミノ酸粒子の粒度D50は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(Microtrac BEL社製、MICROTRAC HRA)を使用し、エタノールを分散媒として測定した。
【0049】
[試験例1]
(ゼリーの調製)
下表1に示される組成にてアミノ酸粒子(粒度D50:60μm)を均一に混合し、アミノ酸混合物を得た。70℃に加温した水に、撹拌しながらクエン酸、アミノ酸混合物、下表3に示されるゲル化剤A〜Iを添加して、混合した。その後、甘味剤(キシリトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース)、果汁(グレープフルーツ果汁)及び香料(グレープフルーツフレーバー)を順に添加し、加水して、下表2に示される組成のゼリー液を得た。ゲル化剤A〜Iの組成は、下表4に示される通りとした。ゼリー液のpHは、3.8であった。得られたゼリー液を容器に充填し、10分間、90℃で殺菌した。冷水にて常温以下まで冷却した後、5℃で1週間保存し、ゼリーを得た。得られた各ゼリーのゼリー強度、離水率及び粘度を下表5に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
(ゼリーの評価)
調製した各ゼリーを2名の専門パネルが食し、異味の有無及び運動中の食べやすさについて、下記の基準に従って官能評価を行った。
【0055】
[異味の有無]
−− 異味がある
− やや異味がある
± 異味がわずかにあるが、許容範囲内
+ 異味が大体ない
++ 異味が殆どない
【0056】
[運動中の食べやすさ]
−− 食べにくい
− やや食べにくい
± 概ね食べやすい
+ 食べやすい
++ 非常に食べやすい
【0057】
各ゼリーの官能評価の結果を下表5に示す。
【0058】
【表5】
【0059】
表5に示される結果から明らかな通り、本発明のゼリー(サンプル番号:4〜7、9〜14、16〜20及び23〜27)は、いずれも異味が少なく、また、運動中に食べにくいものでなかった。
一方、粘度が200mPa・s未満であるゼリー(サンプル番号:1〜3)は、異味が感じられ、また容器の開封時に液ハネしやすいものであったため、運動中にやや食べにくいと思われた。また粘度が12000mPa・sを超えるゼリー(サンプル番号:8、15、21及び22)は、水なしで食べにくい、運動中に嚥下しにくい、容器から手で押し出しにくい等のいずれかの理由により、運動中に食べにくいと思われた。
【0060】
[試験例2]
(ゼリーの調製)
70℃に加温した水に、撹拌しながらクエン酸、表1に示される組成のアミノ酸混合物、表3に示されるゲル化剤A(キサンタンガム、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、マンナン)を添加して混合した。その後、甘味剤(キシリトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース)、果汁(グレープフルーツ果汁)及び香料(グレープフルーツフレーバー)を順に添加し、加水して、下表6に示される組成のゼリー液を得た。ゲル化剤Aの組成は、下表7に示される通りとした。ゼリー液のpHは、3.8であった。得られたゼリー液を容器に充填し、10分間、90℃で殺菌した。冷水にて常温以下まで冷却した後、5℃で1週間保存し、ゼリーを得た。得られた各ゼリーのゼリー強度、離水率及び粘度を下表8に示す。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
(ゼリーの評価)
調製した各ゼリーをアルミパウチに35g充填した後、37名の専門パネルが運動中に(すなわち運動しながら)食し、異味の有無及び運動中の食べやすさについて、試験例1と同様の基準に従って官能評価を行った。結果を下表8に示す。
【0064】
【表8】
【0065】
表8に示される結果から明らかな通り、本発明のゼリー(サンプル番号:28〜31)は、いずれも異味があるものではなかった。特にサンプル番号28〜30のゼリーは、運動中の食べやすさに優れ、中でもサンプル番号29のゼリーは、運動中の食べやすさに特に優れていた。
【0066】
[試験例3]
(ゼリーの調製)
下表9に示される組成にてアミノ酸粒子(粒度D50:40μm)を均一に混合し、アミノ酸混合物を得た。70℃に加温した水に、撹拌しながらポリグリセリン脂肪酸エステル、クエン酸、アミノ酸混合物、表3に示されるゲル化剤A(キサンタンガム、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、マンナン)を添加して混合した。その後、クエン酸ナトリウム、甘味剤(キシリトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、ソルビトール)、果汁(グレープフルーツ果汁)及び香料(グレープフルーツフレーバー)を順に添加し、加水して、下表10に示される組成のゼリー液を得た。ゼリー液のpHは、3.8であった。得られたゼリー液を容器に充填し、10分間、90℃で殺菌した。冷水にて常温以下まで冷却した後、5℃で1週間保存し、ゼリーを得た。得られたゼリーのゼリー強度、離水率及び粘度を下表11に示す。
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
(ゼリーの評価)
調製したゼリーを2名の専門パネルが食し、異味の有無及び運動中の食べやすさについて、試験例1と同様の基準に従って官能評価を行った。結果を下表11に示す。
【0070】
【表11】
【0071】
表11に示される結果から明らかな通り、本発明のゼリー(サンプル番号:32)は、異味が殆どなかった。また当該本発明のゼリーは、運動中の食べやすさにも優れていた。
試験例1〜3の結果から、本発明によれば、アミノ酸組成に拠らず、異味が少なく、且つ、運動中でも食べやすいゼリーを提供し得ることが分かった。
【0072】
[試験例4]
(ゼリーの調製)
70℃に加温した水に、撹拌しながらポリグリセリン脂肪酸エステル、クエン酸、表9に示される組成のアミノ酸混合物、ホエイタンパク質、表3に示されるゲル化剤A(キサンタンガム、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、マンナン)を添加して混合した。クエン酸ナトリウム、甘味剤(キシリトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース、ソルビトール)、果汁(グレープフルーツ果汁)及び香料(グレープフルーツフレーバー)を順に添加し、加水して、下表12に示される組成のゼリー液を得た。ゼリー液のpHは、3.8であった。得られたゼリー液を容器に充填し、10分間、90℃で殺菌した。冷水にて常温以下まで冷却した後、5℃で1週間保存し、ゼリーを得た。得られたゼリーのゼリー強度、離水率及び粘度を下表13に示す。
【0073】
【表12】
【0074】
(ゼリーの評価)
調製したゼリーを2名の専門パネルが摂取し、異味の有無及び運動中の食べやすさについて、試験例1と同様の基準に従って官能評価を行った。結果を下表13に示す。
【0075】
【表13】
【0076】
表13に示される結果から明らかな通り、本発明のゼリー(サンプル番号:33)は、タンパク質を含有しても、異味が殆どなかった。また当該本発明のゼリーは、運動中の食べやすさにも優れていた。
【0077】
[試験例5]
(ゼリーの調製)
下表14に示される組成にてアミノ酸粒子(粒度D50:50μm)を均一に混合し、アミノ酸混合物を得た。70℃に加温した水に、撹拌しながらクエン酸、アミノ酸混合物、表3に示されるゲル化剤A(キサンタンガム、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム、マンナン)を添加して混合した。その後、甘味剤(キシリトール、ショ糖、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース)、糖質(マルトデキストリン)、果汁(グレープフルーツ果汁)及び香料(グレープフルーツフレーバー)を順に添加し、加水して、下表15に示される組成のゼリー液を得た。ゼリー液のpHは、3.7であった。得られたゼリー液を容器に充填し、10分間、90℃で殺菌した。冷水にて常温以下まで冷却した後、5℃で1週間保存し、ゼリーを得た。得られたゼリーのゼリー強度、離水率及び粘度を下表16に示す。
【0078】
【表14】
【0079】
【表15】
【0080】
(ゼリーの評価)
調製したゼリーを2名の専門パネルが摂取し、異味の有無及び運動中の食べやすさについて、試験例1と同様の基準に従って官能評価を行った。結果を下表16に示す。
【0081】
【表16】
【0082】
表16に示される結果から明らかな通り、本発明のゼリー(サンプル番号:34)は、ロイシン、イソロイシン、バリン等を含有していない場合も、異味が殆どなかった。また当該本発明のゼリーは、運動中の食べやすさにも優れていた。
【0083】
[試験例6]
(ゼリーの調製)
下表17に示される組成にてアミノ酸を均一に混合し、アミノ酸混合物を得た。70℃に加温した水に、撹拌しながらクエン酸、アミノ酸混合物、表3に示されるゲル化剤B(キサンタンガム、カッパーカラギーナン、ローカストビーンガム)を添加して混合した。その後、甘味剤(キシリトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロース)、果汁(グレープフルーツ果汁)及び香料(グレープフルーツフレーバー)を順に添加し、加水して、下表18に示される組成のゼリー液を得た。ゼリー液のpHは、3.8であった。得られたゼリー液を容器に充填し、10分間、90℃で殺菌した。冷水にて常温以下まで冷却した後、5℃で1週間保存し、ゼリーを得た。得られたゼリーのゼリー強度、離水率及び粘度を下表19に示す。
【0084】
【表17】
【0085】
【表18】
【0086】
(ゼリーの評価)
調製したゼリーを2名の専門パネルが食し、異味の有無及び運動中の食べやすさについて、試験例1と同様の基準に従って官能評価を行った。結果を下表19に示す。
【0087】
【表19】
【0088】
表19に示される結果から明らかな通り、本発明のゼリー(サンプル番号:35)は、異味が殆どなかった。また当該本発明のゼリーは、運動中の食べやすさにも優れていた。