(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水酸基を有してもよい2官能以上の多価メルカプタン化合物(A)と酸無水物基を有する化合物(B)との反応物である、チオール基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とカルボキシル基とを有するメルカプタン誘導体(C)、
ジイソシアネート(D)及び、
水酸基とエチレン性不飽和結合基とを有する化合物(E)、の反応物である感光性オリゴマー、着色剤(F)、分散助剤(G)、バインダー樹脂及び溶剤を含み、
着色剤(F)100質量部に対して、前記感光性オリゴマーを26〜112質量部含有するカラーフィルタ用感光性着色組成物。
水酸基を有してもよい2官能以上の多価メルカプタン化合物(A)が、1分子中に水酸基は有さずチオール基を3個以上有する3官能以上の多価メルカプタン化合物(A1)である感光性オリゴマーを含む請求項1に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
水酸基を有してもよい2官能以上の多価メルカプタン化合物(A)のチオール基又は水酸基と、酸無水物基を有する化合物(B)の酸無水物基とを反応して、チオール基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とカルボキシル基とを有するメルカプタン誘導体(C)を得た後、
メルカプタン誘導体(C)のチオール基又は水酸基と、ジイソシアネート(D)のイソシアネート基と、水酸基とエチレン性不飽和結合基とを有する化合物(E)の水酸基とを反応させる感光性オリゴマー、着色剤(F)、分散助剤(G)、バインダー樹脂及び溶剤を含み、
着色剤(F)100質量部に対して、前記感光性オリゴマーを26〜112質量部含有するカラーフィルタ用感光性着色組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<感光性オリゴマー>
本発明の感光性オリゴマーは、水酸基を有してもよい2官能以上の多価メルカプタン化合物(A)と酸無水物基を有する化合物(B)との反応物である、チオール基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とカルボキシル基とを有するメルカプタン誘導体(C)、
ジイソシアネート(D)及び、
水酸基とエチレン性不飽和結合基とを有する化合物(E)、の反応物であり、
水酸基又はチオール基と酸無水物基との反応、水酸基又はチオール基とイソシアネート基との反応、イソシアネート基と水酸基との反応の3つの反応により得られる複雑な構造を有するものであり、一般式(構造)で表すことは不可能であるかおよそ現実的ではないため、製造方法により記載する。
【0013】
本発明の感光性オリゴマーは、ジイソシアネートで柔軟な構造を導入しているため、カラーフィルタ用途におけるシワの発生を抑制することを特徴とする。また、現像性部位であるカルボキシル基を有するため、カルボキシル基がないものと比較すると現像速度が向上している。
【0014】
以下、本発明を詳細について説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」「(メタ)アクリロイル」等は、「アクリル又はメタクリル」、「アクリレート又はメタクリレート」「アクリロイル又はメタクリロイル」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味するものとする。
【0015】
<水酸基を有してもよい2官能以上の多価メルカプタン化合物(A)>
水酸基を有してもよい2官能以上の多価メルカプタン化合物(A)としては、公知のものを使用することができ、1分子中に少なくともチオール基を2個以上有し、かつチオール基と水酸基を合計で3個以上有する多価メルカプタン化合物が好ましく、1分子中に水酸基は有さずチオール基を3個以上有する3官能以上の多価メルカプタン化合物(A1)がより好ましく、β−メルカプトプロピオン酸エステル化合物であることが特に好ましい。また、分子量は、好ましくは3,000以下であり、より好ましくは2,000以下であり、更に好ましくは1,000以下であり、特に好ましくは800以下である。また、多価メルカプタン化合物(A)の分子量の下限は特に限定はないが、例えば、200以上が好ましく、300以上が更に好ましい。
【0016】
(1分子中に少なくともチオール基を2個以上有し、かつチオール基と水酸基を合計で3個以上有する多価メルカプタン化合物)
1分子中に少なくともチオール基を2個以上有し、かつチオール基と水酸基を合計で3個以上有する多価メルカプタン化合物としては、例えば、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、ジメルカプトペンタエリスリトール、トリメルカプトペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0017】
(1分子中に水酸基は有さずチオール基を3個以上有する3官能以上の多価メルカプタン化合物(A1))
1分子中に水酸基は有さずチオール基を3個以上有する3官能以上の多価メルカプタン化合物(A1)としては、例えば、テトラメルカプトペンタエリスリトール、トリメルカプトペンタエリスリトール、トリメルカプトトリメチロールプロパンや、チオグリコール酸誘導体が挙げられる。チオグリコール酸誘導体としては、トリメチロールプロパントリスチオグリコレ−ト、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレ−トなどが挙げられる。
【0018】
(β−メルカプトプロピオン酸エステル化物)
水酸基を有してもよい2官能以上の多価メルカプタン化合物(A)として、β−メルカプトプロピオン酸エステル化物を挙げることができる。
1級チオール基を有するβ−メルカプトプロピオン酸エステル化物としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ) −エチル]−イソシアヌレ−ト、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
2級チオール基を有するβ−メルカプトプロピオン酸エステル化物としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレ−ト)、」1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトブチレ−ト)、トリメチロールエタントリ(3−メルカプトブチレ−ト)が挙げられる。
【0019】
これらの中で、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)が好ましく、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)が更に好ましい。
【0020】
その他、2官能のチオール化合物として、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオ−ルビスチオプロピオネート、ブタンジオ−ルビスチオグリコレ−ト、ヘキサンジオ−ルビスチオグリコレ−トなどが挙げられる。
【0021】
<酸無水物基を有する化合物(B)>
酸無水物基を有する化合物(B)としては、公知のものを使用することができる。
例えば、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、イタコン酸無水物、グルタル酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、トリメリット酸無水物又はクロレンデック酸無水物等が挙げられる。好ましくは、コハク酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、トリメリット酸無水物であり、より好ましくは、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、オクテニルコハク酸無水物、トリメリット酸無水物であり、特に好ましくはトリメリット酸無水物である。
【0022】
<チオール基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とカルボキシル基とを有するメルカプタン誘導体(C)>
チオール基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とカルボキシル基とを有するメルカプタン誘導体(C)は水酸基を有してもよい2官能以上の多価メルカプタン化合物(A)のチオール基または水酸基と、酸無水物基を有する化合物(B)の酸無水物基とのエステル化またはチオエステル化反応により得ることができる。
【0023】
(エステル化、チオエステル化反応溶剤)
エステル化、チオエステル化反応は、これまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になるなどの問題を回避するべく、溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、特に限定はなく、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用することもできる。
【0024】
(エステル化、チオエステル化反応触媒)
エステル化、チオエステル化反応に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。触媒としては3級アミン系化合物が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
【0025】
(反応温度)
エステル、チオエステル化の反応温度は50℃〜180℃、好ましくは80℃〜140℃の範囲で行う。反応温度が50℃以下では反応速度が遅く、180℃以上ではカルボキシル基と水酸基がエステル化反応してしまい、酸価の減少や、ゲル化を起こしてしまう場合がある。
【0026】
<ジイソシアネート(D)>
本発明に用いられるジイソシアネート(D)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トールイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等を挙げることができる。
【0028】
脂肪族ジイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0029】
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0030】
脂環族ジイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0031】
本発明に用いられるジイソシアネート(D)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)等の無黄変型のジイシソアネート化合物を用いると色相の点から好ましい。
【0032】
<水酸基とエチレン性不飽和結合基とを有する化合物(E)>
水酸基とエチレン性不飽和結合基とを有する化合物(E)としては、公知のものを使用することができる。
水酸基と1つのエチレン性不飽和結合基とを有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ジヒドロキシアクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
水酸基と2つ以上のエチレン性不飽和結合基とを有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
<感光性オリゴマーの合成>
本発明の感光性オリゴマーは、チオール基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とカルボキシル基とを有するメルカプタン誘導体(C)のチオール基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とジイソシアネート(D)のイソシアネート基とのウレタン化またはチオウレタン化反応の後、余剰のイソシアネート基と水酸基とエチレン性不飽和結合基とを有する化合物(E)の水酸基との反応はウレタン化反応により得ることができる。
【0034】
(ウレタン化、チオウレタン化反応溶剤)
ウレタン化、チオウレタン化反応は、これまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になるなどの問題を回避するべく、溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、特に限定はなく、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用することもできる。
【0035】
(ウレタン化、チオウレタン化反応触媒)
ウレタン化、チオウレタン化反応に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。例えば三級アミン系化合物、及び有機金属系化合物等を挙げることができる。
【0036】
三級アミン系化合物としては、例えば、
トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、及びジアザビシクロウンデセン(DBU)等を挙げることができる。
【0037】
有機金属系化合物としては錫系化合物、及び非錫系化合物を挙げることができる。
【0038】
錫系化合物としては、例えば、
ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジオクチル錫ジラウレ−ト、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、及び2−エチルヘキサン酸錫等を挙げることができる。
【0039】
又、溶剤を使用した場合の反応系内の濃度は、固形分濃度に換算して、反応制御の観点から、好ましくは20〜95重量%であり、粘度制御の観点から、さらに好ましくは30〜90重量%である。30重量%未満では、反応が遅くなり、未反応物が残ることがあるため好ましくない。95重量%を超えると、反応が部分的に急激に進む場合があり、分子量等のコントロールが難しくなるため好ましくない。
【0040】
(反応温度)
ウレタン化、チオウレタン化の反応温度は50℃〜130℃、好ましくは80℃〜120℃の範囲で行う。反応温度が50℃以下では反応速度が遅く、130℃以上ではイソシアネート基とウレタン基が反応してしまい、ゲル化を起こしてしまう場合がある。
【0041】
本発明のチオール基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とカルボキシル基とを有するメルカプタン誘導体(C)にさらに、前記化合物(C)の有するチオール基および/または水酸基に反応しうるジイソシアネート(D)と水酸基とエチレン性不飽和結合基とを有する化合物(E)とを反応させることを特徴とする樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは1,500〜50,000、特に好ましくは1,500〜20,000である。重量平均分子量が1,000未満であれば、顔料組成物の安定性が低下する場合があり、100,000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、顔料組成物の増粘が起きる場合がある。又、得られた感光性組成物の酸価は、1〜300mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは2〜200mgKOH/gである。酸価が1mgKOH/g未満であればレジストにしたときの現像性が不足し、300mgKOH/gを超えると、二重結合当量が不足し十分な硬度が得られない場合がある。感光性組成物の二重結合当量は100g/mol〜1,000g/molであることが好ましく、より好ましくは150g/mol〜300g/molである。二重結合当量が300g/mol以上であればレジストにしたときの硬化性が不足し、100g/mol未満であると、酸価が不足し十分な現像性が得られない場合がある。
【0042】
<着色剤(F)>
本発明の着色組成物に用いることができる着色剤(F)としては、従来公知の種々の顔料、及び染料から任意に選択することができる。以下、本発明に使用しうる代表的な顔料と染料を挙げる。
【0043】
本発明で使用することができる赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、221、224、226、242、246、254、255、264、270、272、273、274,276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、または特表2011−523433号公報に記載のジケトピロロピロール顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、キサンテン系、アゾ系、ジスアゾ系、アントラキノン系などの赤色染料も使用できる。具体的には、C.I.アシッドレッド52、87、92、289、338などのキサンテン系酸性染料の造塩化合物等が挙げられる。
【0044】
本発明で使用することができる橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ38、43、71、または73等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0045】
黄色染料としては、アゾ染料、アゾ金属錯塩染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、チオインジゴ染料、フタロシアニン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、チアジン染料、カチオン染料、シアニン染料、ニトロ染料、キノリン染料、ナフトキノン染料、オキサジン染料が挙げられる。
【0046】
したがって、黄色染料の具体例としては、C.I.アシッド イエロー 2,3、4、5、6、7、8、9、9:1、10、11、11:1、12、13、14、15、16、17、17:1、18、20、21、22、23、25、26、27、29、30、31、33、34、36、38、39、40、40:1、41、42、42:1、43、44、46、48、51、53、55、56、60、63、65、66、67、68、69、72、76、82、83、84、86、87、90、94、105、115、117、122、127、131、132、136、141、142、143、144、145、146、149、153、159、166、168、169,172、174、175、178、180、183、187、188、189、190、191、192、199等が挙げられる。
【0047】
また、C.I.ダイレクト イエロー 1、2、4、5、12、13、15、20、24、25、26、32、33、34、35、41、42、44、44:1、45、46、48、49、50、51、61、66、67、69、70、71、72、73、74、81、84、86、90、91、92、95、107、110、117、118、119、120、121、126、127、129、132、133、134等も挙げられる。
【0048】
また、C.I.ベーシック イエロー 1、2、5、11、13、14、15、19、21、24、25、28、29、37、40、45、49、51、57、79、87、90、96、103、105、106等が挙げられる。
【0049】
また、C.I.ソルベント イエロー 2、3、4、7、8、10、11、12、13、14、15、16、18、19、21、22、25、27、28、29、30、32、33、34、40、42、43、44、45、47、48、56、62、64、68、69、71、72、73、77、79、81、82、83、85、88、89、90、93、94、98、104、107、114、116、117、124、130、131、133、135、138、141、143、145、146、147、157、160、162、163、167、172、174、175、176、177、179、181、182、183、184、185、186、187、188、190、191、192、194、195等も挙げられる。
【0050】
また、C.I.ディスパーズ イエロー 1、2、3、5、7、8、10、11、13、13、23、27、33、34、42、45、48、51、54、56、59、60、63、64、67、70、77、79、82、85、88、93、99、114、118、119、122、123、124、126、163、184、184:1、202、211、229、231、232、233、241、245、246、247、248、249、250、251等が挙げられる。
【0051】
黄色顔料としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができ、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。有機顔料としては、一般に市販されているものを用いることができ、所望とするフィルタセグメントの色相に応じて、天然色素、無機顔料を併用することができる。
【0052】
以下に、上記着色組成物に使用可能な黄色有機顔料の具体例を示す。黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、1
5、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214等の黄色顔料を用いることができる。特にフィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び明度の観点からC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185が好ましい。
これらの黄色色素は所望とする色特性に応じて単独または2種類以上を混合して使用することができる。
【0053】
本発明で使用することができる緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37、58、62、63等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0054】
本発明で使用することができる青色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、特開2004−333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0055】
本発明による着色組成物の全不揮発成分中において好ましい着色剤の含有量としては、十分な色再現性、安定性の観点から10〜90重量%であり、より好ましくは15〜85重量%であり、最も好ましくは20〜80重量%である。
【0056】
(顔料の微細化)
本発明の着色組成物に使用する着色剤が顔料の場合、ソルトミリング処理等により微細化することができる。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は5〜90nmの範囲であることが好ましい。5nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になり、90nmよりも大きくなると十分なコントラスト比を得ることができない。このような理由から、より好ましい平均一次粒子径は10〜70nmの範囲である。
【0057】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボ−ルミル、アトライタ−、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャ−プな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0058】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0059】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
【0060】
<バインダー樹脂>
本発明の着色組成物に用いられるバインダー樹脂は、着色剤を分散、染色、または浸透させるものであって、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギ−線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0061】
特に側鎖にエチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギ−線硬化性樹脂をアルカリ現像型着色レジスト材に用いることで、活性エネルギ−線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで着色剤が固定され、耐熱性が良好になり、着色剤の熱による退色(分光特性の悪化)を抑制できる。また、現像工程においても着色剤成分の凝集・析出を抑制する効果もある。
【0062】
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
【0063】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるためには、5,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは7,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は2,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0064】
バインダー樹脂をカラーフィルタ用感光性着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である場合がある。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる場合がある。
【0065】
バインダー樹脂は、成膜性及び諸耐性が良好なことから、着色剤の全重量100重量部に対し、20重量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、1000重量部以下の量で用いることが好ましい。
【0066】
バインダー樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラ−ル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロ−ス類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0067】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0068】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギ−線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(i)や(ii)の方法によりエチレン性不飽和二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0069】
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0070】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0071】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0072】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、エチレン性不飽和二重結合を有する、エトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にエチレン性不飽和二重結合を増やすことができる。
【0073】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0074】
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0075】
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0076】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0077】
(熱硬化性化合物)
本発明においては、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含んでもよい。熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及び/または樹脂、ベンゾグアナミン化合物及び/または樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物及び/または樹脂、ロジン変性フマル酸化合物及び/または樹脂、メラミン化合物及び/または樹脂、尿素化合物及び/または樹脂、フェノール化合物及び/または樹脂、が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
<溶剤>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布して着色膜を形成することを容易にするために有機溶剤を含有させる。有機溶剤は、着色組成物の塗布性が良好であることに加え、着色組成物各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0079】
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオ−ル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコ−ル、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ−ブチロラクトン、イソブチルアルコ−ル、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノタ−シャリ−ブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコ−ル、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコ−ル、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0080】
中でも、着色剤の分散性、浸透性、及び着色組成物の塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコ−ル、ダイアセトンアルコ−ル等のアルコ−ル類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
【0081】
また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚の着色膜を形成できることから、着色剤100重量部に対して、500〜4000重量部の量で用いることが好ましい。
【0082】
<光重合性単量体>
本発明の着色組成物に添加しても良い光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0083】
光重合性単量体の配合量は、着色剤の全重量を基準(100重量部)として、5〜400重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ましい。
【0084】
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィ−法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタ−ル等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパ−オキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロールチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファ−キノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレ−ト系化合物; カルバゾ−ル系化合物;イミダゾ−ル系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0085】
光重合開始剤の含有量は、着色剤100重量部に対し、2〜200重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から3〜150重量部であることがより好ましい。
【0086】
<増感剤>
さらに、本発明の着色組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファ−キノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノール誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリ−ルメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレ−ン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラ−ケトン誘導体、ビイミダゾ−ル誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレ−ト、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファ−キノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパ−オキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0087】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シ−エムシ−)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シ−エムシ−)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0088】
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0089】
<多官能チオール>
本発明の着色組成物は、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオ−ルビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオ−ルビスチオグリコレ−ト、エチレングリコールビスチオグリコレ−ト、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレ−ト、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレ−ト)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレ−ト、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−ト、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0090】
多官能チオールの含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の全固形分の重量を基準(100重量%)として好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20重量%である。多官能チオールの含有量が0.1重量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30重量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する場合がある。
【0091】
<酸化防止剤>
本発明の着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニ−ル時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0092】
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダ−ドフェノール系、ヒンダ−ドアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾ−ル系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、及びトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダ−ドフェノール系酸化防止剤、ヒンダ−ドアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダ−ドフェノール系酸化防止剤、ヒンダ−ドアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0093】
酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分重量を基準(100重量%)として、0.5〜5.0重量%の場合、明度、感度が良好であるためより好ましい。
【0094】
<アミン系化合物>
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパラトールイジン等が挙げられる。
【0095】
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコ−ニング社製FZ−2122、ビックケミ−社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミ−社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
【0096】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
【0097】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマ−型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコ−ニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0099】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ−ト、ポリエチレングリコールモノラウレ−トなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコ−ン系の界面活性剤が挙げられる。
【0100】
<硬化剤、硬化促進剤>
また本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。上記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾ−ル誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−ル、2−エチルイミダゾ−ル、2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾ−ル、4−フェニルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾ−ル、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
【0101】
<その他の添加剤成分>
本発明の着色組成物には、経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸及びそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコ−ル、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100重量部に対し、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0102】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着色剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
【0103】
<着色組成物の製造方法>
本発明の着色組成物は、着色剤を、バインダー樹脂などの着色剤担体及び/または溶剤中に、好ましくは分散助剤と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボ−ルミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラ−型ビーズミル、またはアトライタ−等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
【0104】
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色組成物は、前記着色剤分散体と、光重合性単量体及び/または光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の顔料分散剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0105】
<分散助剤(G)>
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を含有してもよい。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度及び粘度安定性が良好になる。
【0106】
(色素誘導体)
本発明の着色組成物は、従来公知の種々の色素誘導体を任意に選択して含有することが出来る。色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物が挙げられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開2001−335717号公報、特開2003−128669号公報、特開2003−167112号公報、特開2004−091497号公報、特開2004−307854号公報、特開2007−156395号公報、特開2008−094873号公報、特開2008−094986号公報、特開2008−095007号公報、特開2008−195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用できる。
【0107】
以下に、本発明の塩基性基を有する色素誘導体の一例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0113】
<樹脂型分散剤>
樹脂型分散剤としては、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0114】
上記分散剤のうち少量の添加量で分散体の粘度が低くなり高いコントラストを示すという理由から、塩基性官能基を有する高分子分散剤が好ましく、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが好ましい。樹脂型分散剤は、着色剤全量に対して5〜200重量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
【0115】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミ−・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ル−ブリゾ−ル社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパ−PA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0116】
また、本発明で使用する樹脂型分散剤としては、カルボキシル基を有する分散剤として、下記(S1)又は(S2)の樹脂を含有することができる。
(S1)水酸基を有する重合体(S1)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂である。
(S2)水酸基を有する化合物(S2)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である樹脂。
【0117】
[樹脂(S1)]
樹脂(S1)は、WO2008/007776号公報、特開2008−029901号公報等の公知の方法で製造することができる。水酸基を有する重合体(a)は、末端に水酸基を有する重合体であることが好ましく、例えば、水酸基を有する化合物(b)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(c)を重合した重合体として得ることができる。水酸基を有する化合物(b)としては、後述のとおり、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物であることが好ましい。末端の水酸基は複数であることが好ましいため、中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)が好適に用いられる。
【0118】
すなわち、より好ましい一例である、片末端に2つの水酸基を有する重合体は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)の存在下に、単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(c)を重合した重合体(a1)として得ることができる。水酸基を有する重合体(a)の水酸基は、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応してエステル結合を形成する一方、無水環は開環し、カルボン酸を生じる。
【0119】
[樹脂(S2)]
樹脂(S2)は、特開2010−185934号公報等の公知の方法で製造することができ、例えば、水酸基を有する化合物(b)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体(c)を重合することで得られる。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(c)を重合した重合体であることが好ましい。
【0120】
(S1)と(S2)は、エチレン性不飽和単量体(c)を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができる。
【0121】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ−ト、ポリエチレングリコールモノラウレ−ト等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0122】
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100重量部に対し、好ましくは0.1〜55重量部、さらに好ましくは0.1〜45重量部である。界面活性剤の配合量が、0.1重量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55重量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼす場合がある。
【0123】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルターやメンブレンフィルターによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0124】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、透明基板上に、本発明の着色組成物から形成されるフィルタセグメントまたはブラックマトリックスを備えるものであり、一般的なカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、及び少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備、または少なくとも1つのマゼンタ色フィルタセグメント、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメント、及び少なくとも1つのイエロー色フィルタセグメントを具備する。
【0125】
透明基板としては、ソ−ダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカ−ボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレ−トなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0126】
フィルタセグメント及びブラックマトリックスの乾燥膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5μmである。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベークションオーブン、IRオーブン、ホットプレ−ト等を使用してもよい。
【0127】
フォトリソグラフィ−法による各色フィルタセグメント及びブラックマトリックスの形成は、下記の方法で行う。すなわち、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した感光性着色組成物を、透明基板上に、スプレーコ−トやスピンコ−ト、スリットコ−ト、ロールコ−ト等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
【0128】
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してフィルタセグメント及びブラックマトリックスを形成することができる。さらに、現像により形成されたフィルタセグメント及びブラックマトリックスの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィ−法によれば、印刷法より精度の高いフィルタセグメント及びブラックマトリックスが形成できる。
【0129】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワ−現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【0130】
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記感光性着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコ−ルや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【実施例】
【0131】
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」及び「%」とは「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
【0132】
(重量平均分子量(Mw))
重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソ−社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソ−社製、HLC−8320GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0133】
<微細化顔料の製造>
(微細化顔料(G−1)の製造)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 58(DIC株式会社製「FASTOGEN GREEN A110」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化緑色顔料(G−1)を得た。
【0134】
(微細化顔料(Y−1)の製造)
キノフタロン系黄色顔料PY138(BASF社製「パリオトールイエローK0961HD」)100部、色素誘導体(前述の化合物1)3部、粉砕した食塩800部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピ−ドミキサ−で約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の微細化顔料(Y−1)を得た。
【0135】
(微細化顔料(Y−2)の製造)
金属錯体系黄色顔料PY150(ランクセス社製「E4GN」)500部、塩化ナトリウム2500部、及びジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃で6時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の微細化処理顔料(Y−2)を得た。
【0136】
(微細化顔料(R−1)の製造)
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(BASF社製「イルガフォアレッドB−CF」)100部、色素誘導体(前述の化合物2)10部、粉砕した食塩1000部、及びジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で8時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピ−ドミキサ−で約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、100部の微細化顔料(R−1)を得た。
【0137】
(微細化顔料(R−2)の製造)
アントラキノン系赤色顔料PR177(BASF社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、色素誘導体(前述の化合物3)5部、粉砕した食塩800部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で5時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピ−ドミキサ−で約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、100部の微細化顔料(R−2)を得た。
【0138】
(微細化顔料(B−1)の製造)
銅フタロシアニン系青色顔料PB15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、色素誘導体(前述の化合物4)5部、粉砕した食塩1000部、及びジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、50℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピ−ドミキサ−で約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の微細化顔料(B−1)を得た。
【0139】
(微細化顔料(V−1)の製造)
ジオキサジン系紫色顔料PV23(トーヨーカラー社製「リオノゲンバイオレットRL」)300部を96%硫酸3000部に投入し、1時間撹拌後、5℃の水に注入した。1時間撹拌後、濾過、温水で洗浄液が中性になるまで洗浄し、70℃で乾燥した。得られたアシッドペ−スティング処理顔料120部、色素誘導体(前述の化合物5)5部、粉砕した食塩1500部、及びジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で20時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピ−ドミキサ−で約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部の微細化顔料(V−1)を得た。
【0140】
<顔料分散体の調整>
(緑色顔料分散体(D1)の調整)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、緑色顔料分散体(D1)を作製した。
微細化顔料(G−1) : 8.0部
微細化顔料(Y−1) : 6.0部
分散剤(X)溶液 : 6.0部
バインダー樹脂溶液 :16.0部
PGMAc :64.0部
【0141】
(赤色顔料分散体(D2)の調整)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、赤色顔料分散体(D2)を作製した。
微細化顔料(R−1) : 5.0部
微細化顔料(R−2) : 4.0部
微細化顔料(Y−2) : 2.0部
分散剤(X)溶液 : 5.0部
バインダー樹脂溶液 :28.0部
PGMAc :55.0部
【0142】
(青色顔料分散体(D3)の調整)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、青色顔料分散体(D3)を作製した。
微細化顔料(B−1) :13.0部
微細化顔料(V−1) : 1.0部
分散剤(X)溶液 : 6.0部
バインダー樹脂溶液 :16.0部
PGMAc :64.0部
【0143】
<バインダー樹脂溶液の製造>
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマー及び熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 :13.0部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート :14.0部
グリセロールモノメタクリレート :25.0部
ベンジルメタクリレート :25.0部
ブチルメタクリレート :23.0部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル : 4.0部
【0144】
滴下終了後、更に80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)50部に溶解させたものを添加し、更に80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、アルカリ可溶性樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したアルカリ可溶性樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)を添加し、バインダー樹脂溶液を得た。得られた非感光性の透明樹脂の重量平均分子量は32000、酸価は78であった。
【0145】
<分散剤の製造>
(分散剤(X)の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート65.0部、エチルアクリレート30.0部、メタクリル酸5.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオ−ル5.7部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.4部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。このとき、重量平均分子量が4000であった。次に、ピロメリット酸二無水物を9.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート31.7部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.2部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハ−フエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が60重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して調製し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量9500の分散剤(X)の溶液を得た。
【0146】
<感光性オリゴマーの製造>
[実施例1](感光性オリゴマー1の製造)
撹拌機、還流冷却管、ドライエア−導入管、温度計を備えた4口フラスコにペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)15.0g、無水トリメリット酸5.9g、DBUを0.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20.8gを仕込み120℃まで昇温した。120℃で2時間攪拌し、80℃まで冷却した。次いで、p―メトキシフェノール0.04g、ヘキサメチレンイソシアネート15.5g、ペンタエリスリトールトリアクリレート50.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート65.9gを仕込み、次いで触媒としてジオクチル錫0.18gを仕込み、100℃まで昇温した。100℃で3時間反応し、IRでイソシアネートのピ−クが消失しているのを確認してから、室温まで冷却して反応を終了し、感光性オリゴマー1溶液を得た。この反応溶液は無色透明で固形分50%、重量平均分子量MW7,100であった。
【0147】
[実施例2〜8](感光性オリゴマー2〜8の製造)
表1に記載した原料と仕込み量を用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、感光性オリゴマー2〜8溶液を得た。
【0148】
[比較例1](感光性オリゴマー9の製造)
撹拌機、還流冷却管、ドライエア−導入管、温度計を備えた4口フラスコにトリメチロールプロパン5.0g、ヘキサメチレンジイソシアネート18.8g、ペンタエリスリトールトリアクリレート51.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75.1g、p―メトキシフェノール0.02g、次いで触媒としてジオクチル錫0.12gを仕込み、100℃まで昇温した。100℃で3時間反応し、IRでイソシアネートのピ−クが消失しているのを確認してから、室温まで冷却して反応を終了し、感光性オリゴマー9溶液を得た。この反応溶液は無色透明で固形分50%、重量平均分子量MW7,600であった。
【0149】
【表1】
【0150】
以下に、表1中の略称を示す。
・PEMP:ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
・TMMP:トリメチロールプロパン トリス(3−メルカプトプロピオネート)
・TEMPIC:トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレ−ト
・EGMP−4:テトラエチレングリコール ビス(3−メルカプトプロピオネート)
・DPMP:ジペンタエリスリトール ヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)
・DBU:1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン
・PGMAc:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0151】
<感光性着色組成物の調整>
[実施例1]
(感光性着色組成物(C1)の調整)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、緑色カラーフィルタ用感光性着色組成物(C1)を得た。
緑色顔料分散体(D1) :54.0部
バインダー樹脂溶液 : 6.0部
感光性オリゴマー1溶液 : 4.0部
光重合開始剤(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)
1.8部
増感剤(4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン)
: 0.2部
PGMAc :34.0部
【0152】
[実施例2〜24、比較例1〜6]
(感光性着色組成物(C2〜C30)の調整)
表2に記載した感光性オリゴマーを用いた以外は実施例1と同様にして感光性着色組成物(C2〜C30)を得た。
【0153】
【表2】
【0154】
以下に、表2中の略称を示す。
・M−402: ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製)
【0155】
<感光性着色組成物の評価>
(シワ評価)
得られた感光性着色組成物(C1〜30)について、100mm×100mm、0.7mmのガラス基板上に感光性着色組成物を膜厚3.4μmとなるように塗布し、所定のパターンを有するマスクを通して40mJ/cm
2の条件下にて紫外線露光を行った。その後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成した。得られた塗膜について、230℃のオーブンで20分間加熱処理(ポストベーク)を施し、顕微鏡(オリンパス光学社製「BX−51」)にてシワの有無を確認した。評価は400μm×400μmの正方形画素を顕微鏡で観察し、以下の基準で判断した。塗膜の膜厚は、Dektak 8(日本真空技術社製)を用いて測定した。
◎:シワ発生せず
○:パターンの一部にシワが発生
×:パターン全面に発生
【0156】
(現像性(パターン残渣評価))
得られた感光性着色組成物(C1〜30)について、100mm×100mm、0.7mmのガラス基板上に感光性着色組成物を膜厚3.4μmとなるように塗布し、所定のパターンを有するマスクを通して40mJ/cm
2の条件下にて紫外線露光を行った。その後、スプレーによりアルカリ現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成した。得られた塗膜について、230℃のオーブンで20分間加熱処理(ポストベーク)を施し、顕微鏡(オリンパス光学社製「BX−51」)にて残渣の有無を確認した。評価は半径15μmのTHパターン中の残渣の残存面積を計算し、以下の基準で判断した。塗膜の膜厚は、Dektak 8(日本真空技術社製)を用いて測定した。
◎:残存なし
○:50μm
2未満
×:50μm
2以上
【0157】
【表3】