(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第一実施形態>
図1は本実施形態に係るLEDランプ1の構成を示す図であり、
図1(A)は分解図、
図1(B)は口金3と光源ユニット2との接続部分を示す図、
図1(C)はリード線4と口金3とのはんだ付けを示す図である。
図2はLEDランプの構造を示した図である。
LEDランプ1は、発光素子の一例たるLED7を光源に用いる口金型のランプである。このLEDランプ1が有する口金3は、黄銅を材料としており、この表面には、ニッケルメッキが施されている。また、口金3は、例えばE26タイプや、E39タイプ等の一般的にE型口金と呼ばれるねじ込み式(回しこみ式)のものであり、既存のサイズに合わせて形成されている。このため、LEDランプ1は、既設の街路灯照明器具が有するソケットへ装着して使用することができる。
【0014】
LEDランプ1は、
図1(A)に示すように、光源ユニット2を収めた本体部8と、この本体部8の下端部8Aに螺合した口金3とを有する。
図1(C)に示すように、LEDランプ1の中に、口金3と光源ユニット2の間を電気的に接続する一対のリード線4を備えている。一対のリード線4は、口金3の内部に配置されている。口金3には、ソケットを通して直流電流が供給され、この直流電流がリード線4を通じて光源ユニット2に供給される。光源ユニット2は、発光素子の一例であるLED7を有し、このLED7は、直流電流によって点灯し光を放射する。
【0015】
一対のリード線4の内、一方のリード線4の先端は、
図2(B)に示すように、口金3の下端部(以下、トップ9という)の中心に設けられた孔部5へと通される。もう一方のリード線4の先端は、口金3の上端部の外側に位置するはんだ付け部6に掛けられる。
この後、各リード線4の先端と、口金3とは、
図1(C)に示すように、ヤニ入りはんだを用いてそれぞれはんだ付けされる。これによって、一対のリード線4は、口金3と電気的に接続される。
【0016】
リード線4の材料には、白金(Pt)、金(Au)及びニッケル(Ni)のいずれかが用いられる。ただし、材料がニッケル(Ni)の場合、リード線4の表面は、めっき処理によって、白金(Pt)、または金(Au)に覆われる。すなわち、リード線4の少なくとも表面は、白金(Pt)、または金(Au)によって形成されている。
【0017】
老朽化などによって街路灯器具の防水性能が低下している場合、LEDランプの有する口金の内部にまで浸水が起こることがある。この浸水により、はんだ付けに用いられるフラックスの含有成分である臭化水素(HBr)が溶出し、臭化水素酸を形成する場合がある。臭化水素酸は、強酸性の水溶液であり、ニッケル(Ni)を腐食させる。このため、リード線の材料にニッケル(Ni)が用いられている従来品においては、このリード線が浸水に起因して発生した臭化水素酸によって腐食される。
【0018】
これに対して、本実施形態のLEDランプ1においては、上述したように、リード線4の少なくとも表面は、白金(Pt)、または金(Au)によって形成されている。これら白金(Pt)、及び金(Au)は、酸に対して強い耐食性を示し、王水以外には溶けないという性質を有する。このため、本実施形態のLEDランプ1では、浸水に起因して発生した臭化水素酸が発生した場合でも、リード線4が臭化水素酸によって腐食されにくくなり、細径化の進行が抑えられる。
【0019】
さらに、リード線にニッケル(Ni)を用いた従来品においては、臭化水素が発生していない状況下でもリード線の細径化や断線が起こる。この理由は次のように推測される。
すなわち、従来品の点灯時には、口金のトップの側がアノード(極性:プラス)となって、次のような反応の電気分解が起こると推測される。
(アノード:+)Ni → Ni
2+ + 2e
−
(カソード:−)O
2 + H
2O → 4OH
−
Ni
2 + 2OH
− → Ni(OH)
2
そして、この電気分解によって、ニッケル(Ni)がイオン化し析出するため、リード線の溶出が促されるものと推測される。
【0020】
これに対し、本実施形態のリード線4の表面を形成している白金(Pt)、及び金(Au)は、イオン化傾向が非常に小さく、化学的に安定しており、耐食性に優れている。このため、口金3の内部への浸水が起こっても、上述した電気分解による溶出は生じず、なおかつ、上述したように臭化水素酸によって腐食もされにくいので、断線が抑制される。
【0021】
ここで、本実施形態のLEDランプ1では、口金3と、リード線4と、のはんだ付けに、ヤニ入りはんだが用いられている。ヤニ入りはんだは、固形フラックスを内包したはんだを言う。
さらに本実施形態では、リード線4の腐食を抑えるために、ヤニ入りはんだには、ハロゲン化物の含有量が質量分率において0.1%以下のものが用いられている。
【0022】
詳述すると、発明者らは、リード線にニッケル(Ni)を用いた従来品において、ヤニ入りはんだを用いて、リード線の腐食の程度についての実験を実施した。そして、この実験により、発明者らは、サンプルのハロゲン化物の含有量が質量分率において0.1%以下である場合に、リード線の腐食が見られない、という結果を得た。この理由は、ハロゲン化物の含有量が質量分率において0.1%以下であれば、口金への浸水に伴って溶出するハロゲン化物の量が少量に抑えられ、これによりリード線の腐食が抑えられたためである。
【0023】
なお、ハロゲン化物含有量が0.1%以下のヤニ入りはんだであれば、どの製品を用いても同様の実験結果が得られるものと推定される。
【0024】
これに加え、本実施形態では、上述したように、ヤニ入りはんだがはんだに用いられることで、リード線4の溶出や断線が更に抑制されている。
詳述すると、リード線のはんだ付けに溶剤フラックスを用いた従来品においては、口金の内部への浸水が起こった場合、浸水によって溶剤フラックスの成分である臭化水素(HBr)が溶出しやすい。この臭化水素は、上述の通り、強酸性の臭化水素酸の発生要因となる。そして臭化水素酸は、電解質水溶液でもあるため、電解質水溶液によって口金の内部の導電性が上昇し、これにより上述した電気分解が促進される。このため、リード線の溶出が促進され、断線の発生が早められる。
【0025】
これに対して、本実施形態のLEDランプ1では、ヤニ入りはんだがはんだに用いられることで、フラックスとして固形フラックスが用いられる。固形フラックスは、水にほとんど溶けないため、口金3の内部での導電性の上昇が抑えられ、上述した電気分解が促進されることもない。これによって、リード線4の溶出や断線が更に抑制される。
【0026】
次いで、発明者らが行った実験について説明する。
[再現実験]
発明者らは、まず、従来品ランプに対し、口金内部への浸水によってリード線断線を再現する再現実験を行った。この従来品ランプにおいて、口金、リード線、リード線のはんだ付けに用いられたはんだ、及びフラックスは次の通りである。
すなわち、口金は、黄銅(真鍮)を材料として形成され、その表面にニッケル(Ni)がメッキされたE26型である。リード線は、ニッケル(Ni)を材料として直径が0.5mmの線材である。はんだには、フラックスや、ヤニを含有しないはんだを用い、フラックスには、ハロゲン化物含有量が0.1%以上であるA社の溶剤フラックスを用いた。
【0027】
この再現実験により、次の条件下でリード線の断線が再現された。この条件を、以下、「断線発生条件」と言う。
断線発生条件A:
口金の内部に、3mlの飲料用水を入れた状態で、従来品ランプのアノードとカソード(極性:マイナス)の間に100Vの直流電圧を印加し、0.25Aの直流電流を15分以上流した場合。
断線発生条件B:
口金の内部に、3mlの飲料用水を入れ、さらに口金内部の溶剤フラックスを過剰にするために0.4mlの溶剤フラックスを添加した状態で、従来品ランプのアノードとカソード(極性:マイナス)の間に直流電圧を印加し、0.25Aの直流電流を3分以上流した場合。
なお、口金内部に添加したフラックスの量を以下、「過剰量」と言う。
【0028】
次いで、発明者らは、口金内部のフラックスと断線の関係を調べる実験を行った(実験1)。
【0029】
[実験1]
本実験では、従来品ランプのフラックスに他種の溶剤フラックスを用いた比較実験(比較実験1−1)、並びに、従来品ランプのフラックスに固形フラックスを用いた比較実験(比較実験1−2)を行った。
比較実験1−1において、溶剤フラックスには、B社の溶剤フラックスを用いた。このB社の溶剤フラックスは、ロジンを主成分とし、ハロゲンを含有するものである。
比較実験1−2において、リード線のはんだ付けには、ヤニ入りはんだを用いた。このヤニ入りはんだは、ロジンを主成分とし、ハロゲン化物の含有量は0.1%以下となっている。さらに、口金の内部には、通常のはんだ付けされた状態に比べ、大量の固形フラックス残渣(ヤニ)を残留させた。
【0030】
実験1の結果を表1に示す。
同表において、電気特性は、口金内部に存在する液体の電気特性であり、電圧値は水溶液中の負荷を示し、電流値は水溶液中の電流値を示している。
【0032】
表1に示すように、断線発生条件B、及び比較実験1−1では、断線発生条件Aに比べ、短時間でリード線が断線に至った。また、断線発生条件B、及び比較実験1−1では、断線発生条件Aに比べ、口金内部に存在する液体の電流値も大幅に上昇した。
断線発生条件B、及び比較実験1−1では、断線発生条件Aに比べ、過剰量の溶剤フラックスが口金内部に添加されている。この溶剤フラックスに含まれる電解質成分(イオン)が口金内部の液体の電気伝導に大きく寄与し、液体の導電性が上昇したため、電流値が大幅に上昇した、と推測される。また、液体の導電性の上昇によって、口金内部における上記電気分解が促進され、リード線が早期に断線したものと考えられる。
これに対して、比較実験1−2においては、リード線は断線せず、また、口金内部の液体の電流値の上昇も示さなかった。この理由は、フラックス残渣(ヤニ)の成分が主にロジンであり、水に溶けにくい性質を有しているため、ロジンが液体の電気伝導に寄与することがないためと推測される。
比較実験1−2は、断線発生条件Aに近い電流値を示した。これは、固形フラックスに含まれるわずかなハロゲン化物や水が電解質成分となったためと推測される。
【0033】
次いで、発明者らは、リード線の材料と断線の関係を調べる実験を行った(実験2)。
【0034】
[実験2]
本実験においては、従来品ランプのリード線に、ニッケル(Ni)以外の材料を用いて、断線発生条件Bに対する幾つかの比較実験を行った。
【0035】
比較実験2−1において、リード線には、モネルを材料として、直径0.7mmの線材を用いた。比較実験2−2において、リード線には、ステンレスを材料として、直径0.8mmの線材を用いた。比較実験2−3において、リード線には、モリブデン(Mo)を材料として、直径0.5mmの線材を用いた。比較実験2−4において、リード線には、タンタル(Ta)を材料として、直径0.4mmの線材を用いた。比較実験2−5において、リード線には、白金(Pt)を材料として、直径0.25mmの線材を用いた。
【0036】
実験2の結果を表2に示す。
同表において、電気特性は、口金内部に存在する液体の電気特性であり、電圧値は水溶液中の負荷を示し、電流値は水溶液中の電流値を示している。
【0038】
表2に示すように、比較実験2−1〜2−3では、リード線が断線したものの、比較実験2−4、及び比較実験2−5では、リード線が断線しなかった。
【0039】
表2において、比較実験2−1、比較実験2−2、比較実験2−3の順に電圧が下がっており、断線に至るまでの経過時間も同じ順序で長くなっている。通常では、イオン化傾向が小さいほど断線に時間がかかると考えられる。比較実験2-2の材質は、ステンレスであり、ステンレスは、表面に酸化被膜を形成するため比較的耐食性に優れているとされる。しかしながら、表2における断線に至るまでの経過時間の長さの順序は、比較実験2−1、比較実験2−3、比較実験2-2となっていない。これは、ステンレスの表面の酸化被膜がハロゲン系イオン、本実験では臭素イオン(BR
−)により酸化被膜が破壊されたためと考えられる。また、ステンレスは、単線よりも表面積の大きいより線を用いており、反応面積が大きかったということも断線を早めた原因と考えられる。
比較実験2−4では、口金内部の液体の電流値が他の比較実験2−1〜2−3、及び2−5よりも低くなっており、このことが、断線が生じなかった一因と推定される。すなわち、比較実験2−4では、タンタル(Ta)がリード線の材料に用いられており、これにより、リード線の表面には絶縁性の皮膜が形成されている。この皮膜によって、リード線が上記電気分解の電極として機能することが阻害されたため、上記電気分解による断線が生じなかったものと考えられる。
また、比較実験2−4においても、わずかながら電流が流れており、これについては、皮膜の厚さが1〜10nm程度と予測されるので、トンネル効果により電流が流れていた可能性がある。通常では、アノードの原子は、電源の方に電子が抜けるため水溶液中に溶け出す。しかしながら、タンタルの場合においては、酸化皮膜があるために水溶液に溶け出せず、リード線が消耗しにくいと考えられる。
【0040】
一方、比較実験2−5では電流値が比較実験2−4よりも高く、上記電気分解が起こっていると推測されるものの、リード線には腐食の形跡や細径化が見られなかった。この理由は、次のように考えられる。すなわち、比較実験2−5では、イオン化傾向が小さい白金(Pt)がリード線の材料に用いられていた。このため、上記電気分解によるリード線の溶出が起こらず、比較実験2−5における電気分解は、水溶液中の臭化物イオン(Br
−)がリード線の代わりに酸化されることによって起こっていたと推測される。
【0041】
実験2の結果から、タンタル(Ta)、及び白金(Pt)は上記電気分解に対する耐食性に優れている、ということが示された。
【0042】
次いで、発明者らは、高湿度環境下におけるリード線の腐食とフラックスの関係を調べる実験を行った(実験3)。
【0043】
[実験3]
本実験においては、従来品ランプに対し、はんだ付けに用いる溶剤フラックスの使用量を変化させた比較実験(比較実験3−1)、並びに、従来品ランプのはんだ付けにヤニ入りはんだを用いた比較実験(比較実験3−2)を行った。
これら比較実験3−1、3−2に用いるサンプルには、ニッケル(Ni)を材料としたリード線を口金にはんだ付けしたものを用いた。表3に示すように、比較実験3−1では、溶剤フラックスの使用量が異なるサンプル1〜4を実験に用いた。この溶剤フラックスには、A社の溶剤フラックスを用いた。また、比較実験3−2で用いたサンプル5には、ヤニ入りはんだを用いた。
【0045】
発明者らは、これらのサンプル1〜4を、梅雨時の一か月の間、高湿度環境となる屋外軒下に、雨水に直接さらされることがなく、なおかつ、通電しない状態で放置し、サンプル1〜4の変化を観察した。
【0046】
観察結果を
図4、及び
図5に示す。
図4は、実験3における、サンプル1〜4の口金裏側の状態を示す観察写真であり、
図5は、実験3における、サンプル1〜4のリード線の状態を示す観察写真である。
図4に示すように、比較実験3−1において、サンプル2(従来品)、サンプル3、サンプル4では、口金の内部に溶剤フラックスの飛散や流れ込みが見られた。はんだ付け直後の段階において、このような状態の口金の内部へと浸水が起こった場合、溶剤フラックスが溶解して電気分解が促進されることが想像される。
一か月の放置の後においては、サンプル2(従来品)、サンプル3、サンプル4のそれぞれの口金の内部に、析出物が確認された。また、
図5に示すように、サンプル2、サンプル3、サンプル4のそれぞれのリード線に、腐食が見られた。
これに対して、サンプル1、及び比較実験3−2であるサンプル5は、どちらの口金の内部においても、析出物が確認されなかった。また、サンプル1、及びサンプル5の各リード線には、腐食の形跡が見られなかった。
この実験によって、溶剤フラックスは、高湿度環境下において、リード線を腐食させる作用を持つことが示唆される。
これに対して、ヤニ入りはんだに内包される固形フラックスは、高湿度環境下におけるリード線の腐食に対して促進性を持たないことが示唆される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0048】
本実施形態では、LEDランプ1の少なくともリード線4の表面は、はんだ付けに用いられるフラックスが含有するハロゲン化物に対して、耐食性を有する構成とした。
これにより、フラックスが含有するハロゲン化物が口金3への浸水により強酸性の水溶液が生成された場合でも、リード線4の断線を抑制することができる。
【0049】
また本実施形態では、リード線4には、少なくともその表面が、イオン化傾向の小ささが白金(Pt)以下である金属で形成されている。
これにより、本実施形態において説明した電気分解による溶出は生じず、なおかつ、上記ハロゲン化物に起因した強酸性の水溶液よって腐食もされにくいので、さらに断線が抑制される。
【0050】
また本実施形態では、リード線4と口金3とのはんだ付けには、ハロゲン化物の含有量が質量分率で0.1%以下である固形フラックスを内包したはんだが用いられている。
これにより、口金3への浸水に伴って溶出するハロゲン化物の量が少量に抑えられ、リード線3の腐食が抑えられる。これに加え、固形フラックスは、水にほとんど溶けないため、口金3の内部での導電性の上昇が抑えられ、上記電気分解が促進されることもなく、リード線4の溶出や断線が更に抑制される。
【0051】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
上述した第一実施形態では、リード線4の材料に白金(Pt)、もしくは金(Au)が用いられたLEDランプ1を説明した。本実施形態では、リード線4の材料にタンタル(Ta)が用いれた場合を説明する。
本実施形態のランプ構成は、第一実施形態のLEDランプ1と同様であり、リード線4の材料の点で相違する。すなわち、本実施形態においては、リード線4の材料には、タンタル(Ta)、もしくはニッケル(Ni)が用いられる。ただし、材料がニッケル(Ni)の場合、リード線4の表面は、めっき処理によって、タンタル(Ta)に覆われる。すなわち、リード線4の少なくとも表面は、タンタル(Ta)によって形成されている。
【0052】
タンタル(Ta)は、空気中において、不動態皮膜であり酸に対して強い耐食性を示す酸化皮膜(Ta
2O
5)を形成する性質を有する。このため、本実施形態のLEDランプ1において、浸水に起因して臭化水素酸が発生した場合においても、リード線4が臭化水素酸によって腐食されにくくなり、細径化の進行が抑えられる。
【0053】
さらに、タンタル(Ta)は、イオン化傾向は白金(Pt)ほど小さくはないが、空気中において、強い耐食性を示す化学的に安定な酸化皮膜(Ta
2O
5)を形成する性質を有する。この酸化皮膜(Ta
2O
5)は、高い絶縁性を有しているため、電気分解の電極として機能しない。このため、第1実施形態で説明した実験2の結果でも示されているように、リード線4は、口金3の内部へと浸水が起こっても、電気分解による溶出は生じず、なおかつ、上述したように臭化水素酸によって腐食もされにくいので、断線が抑制される。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0055】
本実施形態においては、リード線4の表面には、不動態皮膜が形成されている。
これによって、口金3の内部への浸水により電気分解が起きた場合においても、リード線4は、溶出せず、なおかつ、ハロゲン化物に起因した強酸性の水溶液によって腐食もされにくいので、さらに断線が抑制される。
【0056】
なお、上述した第1及び第2実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の要旨の範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
【0057】
例えば、第1及び第2実施形態においては、LEDランプ1は、既設の街路灯器具などに用いられるとしたが、これに限らず浴室など、高湿度条件下の屋内照明器具に用いても良い。
【0058】
また例えば、第1及び第2実施形態においては、
図3(A)に示すように、LEDランプ1は、内部にブリッジ回路を有していても良い。
【0059】
また例えば、第1及び第2実施形態においては、LEDランプ1には、直流電流が流れているとしたが、これに限らず
図3(B)に示すように、LEDランプ1には、LEDランプ1の内部に電源ユニットを設けることによって、交流電流が流れていても良い。
【0060】
また例えば、口金3に電気的に接続される光源ユニット2は、一つに限らず複数であっても良い。
【0061】
また例えば、第1及び第2実施形態においては、LEDランプ1は、口金式のものとしたが、これに限らず差し込み式であっても良い。
【0062】
また例えば、第1及び第2実施形態においては、リード線4への表面処理として、タンタル(Ta)、もしくは白金(Pt)、もしくは金(Au)を用いためっき加工を施したが、これに限らずフッ素樹脂コーティングを施しても良い。
【0063】
また、第1及び第2実施形態においては、リード線4への表面処理として、タンタル(Ta)、もしくは白金(Pt)、もしくは金(Au)を用いためっき加工を施した。しかしこれに限らず、例えばハロゲン化物が溶け出さないように、はんだ付けを行った箇所を覆うようにシリコンコーキングを施しても良い。
【0064】
また例えば、第1及び第2実施形態においては、リード線4の材料、あるいは、タンタル(Ta)、もしくは白金(Pt)、もしくは金(Au)を用いた。しかし、このような単一の材料に限らず、適度な電気伝導性を有し、かつハロゲン化物に対して耐食性を有する合金であっても良い。
【0065】
また例えば、第1及び第2実施形態においては、めっき加工の表面処理を施したリード線4の材料には、ニッケル(Ni)を用いたが、これに限らず適度な電気伝導性がある金属、または合金を用いても良い。例えば、適度な電気伝導性がある金属には、銀(Ag)や銅(Cu)、アルミニウム(Al)などがある。また、適度な電気伝導性がある合金には、黄銅などがある。