特許第6870379号(P6870379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6870379IP−PBX/CTI連携システムおよび呼転送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870379
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】IP−PBX/CTI連携システムおよび呼転送方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/02 20060101AFI20210426BHJP
   H04M 3/51 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H04L12/02 Z
   H04M3/51
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-33542(P2017-33542)
(22)【出願日】2017年2月24日
(65)【公開番号】特開2018-139365(P2018-139365A)
(43)【公開日】2018年9月6日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153453
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 弘崇
(74)【代理人】
【識別番号】100134061
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 公一
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩至
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 克則
【審査官】 羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−164520(JP,A)
【文献】 特開2011−259188(JP,A)
【文献】 特開2002−149873(JP,A)
【文献】 特開2005−204117(JP,A)
【文献】 特開2007−228198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−12/955
H04M 3/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部回線網ならびに第1および第2の内線電話機に接続され、該外部回線網と第1および第2の内線電話機のうちの少なくとも1つとの間の呼接続を制御する呼制御サーバと、該呼制御サーバならびに第1および第2の情報端末に接続され、第1および第2の情報端末に対して情報を入出力するCTI(コンピュータ電話統合)サーバとを含むIP-PBX(インタネットプロトコル・構内交換機)/CTI連携システムを使用して、前記外部回線網における加入者と第1の内線電話機との間の呼を第2の内線電話機へ転送する呼転送方法において、
前記呼制御サーバは、前記外部回線網と第1の内線電話機との間で前記呼接続を設定する際に、該外部回線網における加入者の識別情報を取得して第1の内線電話機に対応付けて記憶し、
前記CTIサーバは、
第1および第2の内線電話機にそれぞれ第1および第2の情報端末を関連付け、
第1の情報端末に関連して入出力される情報を蓄積し、
前記呼制御サーバは、
前記呼接続を第1の内線電話機から第2の内線電話機へ転送することを第1の内線電話機によって指示されると、該呼接続を第2の内線電話機へ転送し、
該呼接続について第1の内線電話機の識別情報を前記CTIサーバへ転送し、
該CTIサーバは、第1の内線電話機に関連付けられた第1の情報端末について蓄積されている前記情報を前記転送された識別情報に基づいて第2の情報端末へ転送することを特徴とするIP-PBX/CTI連携システムにおける呼転送方法。
【請求項2】
外部回線網ならびに第1および第2の内線電話機に接続され、該外部回線網と第1および第2の内線電話機のうちの少なくとも1つとの間の呼接続を制御する呼制御サーバと、該呼制御サーバならびに第1および第2の情報端末に接続され、第1および第2の情報端末に対して情報を入出力するCTI(コンピュータ電話統合)サーバとを含むIP-PBX(インタネットプロトコル・構内交換機)/CTI連携システムを使用して、前記外部回線網における加入者と第1の内線電話機との間の呼を第2の内線電話機へ転送する呼転送方法において、
前記呼制御サーバは、前記外部回線網と第1の内線電話機との間で前記呼接続を設定する際に、該外部回線網における加入者の識別情報を取得して第1の内線電話機に対応付けて記憶し、該加入者の識別情報を前記CTIサーバに転送し、
前記CTIサーバは、
第1および第2の内線電話機にそれぞれ第1および第2の情報端末を関連付け、
第1の情報端末に関連して入出力される情報を蓄積し、
前記呼制御サーバは、
前記呼接続を第1の内線電話機から第2の内線電話機へ転送することを第1の内線電話機によって指示されると、該呼接続を第2の内線電話機へ転送し、
該呼接続について前記加入者の識別情報を前記CTIサーバへ転送し、
該CTIサーバは、第1の内線電話機に関連付けられた第1の情報端末について蓄積されている前記情報を前記転送された加入者の識別情報に基づいて第2の情報端末へ転送することを特徴とするIP-PBX/CTI連携システムにおける呼転送方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、第2の情報端末は前記情報を表示することを特徴とする呼転送方法。
【請求項4】
外部回線網ならびに第1および第2の内線電話機に接続され、該外部回線網と第1および第2の内線電話機のうちの少なくとも1つとの間の呼接続を制御する呼制御サーバと、
該呼制御サーバと第1および第2の情報端末とに接続され、第1および第2の情報端末に対して情報を入出力するCTI(コンピュータ電話統合)サーバとを含むIP-PBX(インタネットプロトコル・構内交換機)/CTI連携システムにおいて、
前記呼制御サーバは、
前記呼接続を制御する呼制御手段と、
前記呼接続に関する情報を蓄積する第1のデータ蓄積手段とを含み、
前記呼制御手段は、前記外部回線網と第1の内線電話機との間で前記呼接続を設定する際に、該外部回線網における加入者の識別情報を取得して第1のデータ蓄積手段に第1の内線電話機に対応付けて蓄積し、
前記CTIサーバは、
第1および第2の情報端末に入出力される情報を該情報端末のそれぞれに対応して蓄積する第2のデータ蓄積手段を含み、
第2のデータ蓄積手段には、第1および第2の内線電話機にそれぞれ第1および第2の情報端末を関連付ける関連付け情報が蓄積され、
前記呼制御サーバは、第1の内線電話機から前記呼接続の第2の内線電話機への転送を第1の内線電話機によって指示されると、該呼接続を第2の内線電話機へ転送するとともに、第1のデータ蓄積手段における第1の内線電話機の識別情報を前記CTIサーバへ転送し、
該CTIサーバは、前記転送された識別情報に基づいて第2のデータ蓄積手段から第1の内線電話機に関連付けられた第1の情報端末について蓄積されている前記情報を読み出して第2の情報端末へ転送することを特徴とするIP-PBX/CTI連携システム。
【請求項5】
外部回線網ならびに第1および第2の内線電話機に接続され、該外部回線網と第1および第2の内線電話機のうちの少なくとも1つとの間の呼接続を制御する呼制御サーバと、
該呼制御サーバと第1および第2の情報端末とに接続され、第1および第2の情報端末に対して情報を入出力するCTI(コンピュータ電話統合)サーバとを含むIP-PBX(インタネットプロトコル・構内交換機)/CTI連携システムにおいて、
前記呼制御サーバは、
前記呼接続を制御する呼制御手段と、
前記呼接続に関する情報を蓄積する第1のデータ蓄積手段とを含み、
前記呼制御手段は、前記外部回線網と第1の内線電話機との間で前記呼接続を設定する際に、該外部回線網における加入者の識別情報を取得して第1のデータ蓄積手段に第1の内線電話機に対応付けて蓄積し、さらに前記加入者の識別情報を前記CTIサーバに転送し、
前記CTIサーバは、
第1および第2の情報端末に入出力される情報を該情報端末のそれぞれに対応して蓄積する第2のデータ蓄積手段を含み、
第2のデータ蓄積手段には、第1および第2の内線電話機にそれぞれ第1および第2の情報端末を関連付ける関連付け情報が蓄積され、
前記呼制御サーバは、第1の内線電話機から前記呼接続の第2の内線電話機への転送を第1の内線電話機によって指示されると、該呼接続を第2の内線電話機へ転送するとともに、第1のデータ蓄積手段における前記加入者の識別情報を前記CTIサーバへ転送し、
該CTIサーバは、前記転送された識別情報に基づいて第2のデータ蓄積手段から第1の内線電話機に関連付けられた第1の情報端末について蓄積されている前記情報を読み出して第2の情報端末へ転送することを特徴とするIP-PBX/CTI連携システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載のシステムにおいて、前記呼制御サーバは、
前記外線通信網と第1および第2の内線電話機との間の通信を制御する外線通信制御手段と、
第1のデータ蓄積手段に第1の内線電話機について蓄積されている前記識別情報および第2の内線電話機の識別情報を電文に組み立て、該電文を前記CTIサーバへ送信する電文送信制御手段とを含み、
該CTIサーバは、前記電文を受信して該電文から第1および第2の内線電話機の識別情報または前記加入者の識別情報を抽出して第2のデータ蓄積手段に蓄積する電文送受信制御手段を含み、
該電文送受信制御手段は、前記抽出した識別情報によって第2のデータ蓄積手段を検索して第1の内線電話機に関連付けられた第1の情報端末および第2の内線電話機に関連付けられた第2の情報端末を識別し、第1の情報端末について第2のデータ蓄積手段に蓄積されている前記情報を第2の情報端末に転送することを特徴とするIP-PBX/CTI連携システム。
【請求項7】
請求項4または5に記載のシステムにおいて、第1のデータ蓄積手段には、前記識別情報として前記加入者の電話番号、第1および第2の内線電話機の電話番号、前記呼制御サーバに接続された前記外部回線網の回線の電話番号が第1の内線電話機に対応して蓄積され、
第2のデータ蓄積手段には、前記入出力される情報として、前記加入者の電話番号、顧客識別情報および顧客データが蓄積されることを特徴とするIP-PBX/CTI連携システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP-PBX/CTI連携システム、およびIP-PBX/CTI連携システムにおける呼転送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インタネットプロトコル構内交換機(IP-PBX)とコンピュータ電話統合(CTI: Computer Telephony Integration)システムの連携した構成、すなわちIP-PBX/CTI連携システムでは、IP-PBXに収容された外部通信網、例えば公衆電話通信網(PSTN: Public Switched Telephone Networks)の局線から被呼側のIP電話機などの内線電話機に着信があると、その発呼者に関連する情報、例えば個人情報や顧客情報をそのIP電話機の対応する情報端末に可視表示することができる。
【0003】
IP電話機には特定のパーソナルコンピュータなどの情報端末が関連付け、すなわち紐付けられている。そこで、外部通信網からIP電話機に着信があると、IP-PBXすなわち呼制御サーバは当該着信呼に関連する発呼者電話番号および被呼者IP電話番号などの番号情報を取得し、これに基づいてCTIシステムのサーバ、すなわちCTIサーバは、発呼者関連情報を索出してその紐付けられた情報端末にこれを通知する。
【0004】
しかし、従来のシステムでは、外線呼の着信した被呼IP電話機から他のIP電話機へその外線着信呼を転送した場合、転送先の情報端末には外線着信呼の発呼者関連情報が通知されなかった。つまり、転送先の情報端末では発呼者関連情報を引き継ぐことができず、呼転送の後は、転送先の情報端末に外線着信呼の顧客情報を表示することができなかった。
【0005】
ところで、例えば特開2006-229418号公報(特許文献1)には、複数のサイト間で伝言ファイルを転送するCTIマルチサイトシステムが開示されている。これは、それぞれのサイトに伝言ファイル格納手段が設けられ、転送先のサイトでそれに格納された伝言ファイルを利用するように構成されている。
【0006】
別の特許文献、特開2002-149873号公報(特許文献2)には、複数のCTIサーバが設けられ、あるCTIサーバが設けられたコールセンタで対応が困難な呼は、他のCTIサーバが設けられたスペシャリストセンタに転送され、スペシャリストセンタで対応方法が確定すると、その呼は適切なコールセンタへ転送されるように構成されたスペシャリスト・コールセンタシステムが開示されている。これは、それぞれのCTIサーバ間で顧客情報自体を持ち回ることによって、オペレータが転送呼に対応できるように構成されている。
【0007】
しかし、これらの先行技術文献のいずれも、顧客情報をマルチサイト間やCTIサーバ間で転送するように構成され、そのためそれぞれのサイトまたはサーバには、顧客情報を格納しておくデータ蓄積手段が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-229418号公報
【特許文献2】特開2002-149873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような課題に鑑み、発呼者関連情報を持ち回ることなく簡略な構成で、転送呼についての発呼者関連情報を転送先の内線電話機に対応する情報端末に表示することができるIP-PBX/CTI連携システム、および同システムにおける呼転送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の課題を解決するために、外部回線網および内線電話機について呼接続を制御する呼制御サーバと、内線電話機に関連付けられた情報端末に情報を入出力するCTI(コンピュータ電話統合)サーバとを含むIP-PBX(インタネットプロトコル・構内交換機)/CTI連携システムにおいて、呼制御サーバは、内線電話機の識別情報または外部回線網における加入者の識別情報を内線電話機に対応付けて記憶し、加入者と内線電話機との間の呼を他の内線電話機へ転送する際、識別情報をCTIサーバへ転送し、CTIサーバは、転送された識別情報に基づいて転送元の内線電話機に関連する情報を転送先の内線電話機に関連付けられた情報端末へ転送する。これによって転送先の情報端末には、転送元の情報端末に表示された情報の少なくとも一部が表示される。
【0011】
本発明の一態様によれば、外部回線網ならびに第1および第2の内線電話機に接続され外部回線網と第1および第2の内線電話機のうちの少なくとも1つとの間の呼接続を制御する呼制御サーバと、呼制御サーバならびに第1および第2の情報端末に接続され、第1および第2の情報端末に対して情報を入出力するCTIサーバとを含むIP-PBX/CTI連携システムを使用して、外部回線網における加入者と第1の内線電話機との間の呼を第2の内線電話機へ転送する呼転送方法において、呼制御サーバは、外部回線網と第1の内線電話機との間で呼接続を設定する際に、外部回線網における加入者の識別情報を取得して第1の内線電話機に対応付けて記憶し、CTIサーバは、第1および第2の内線電話機にそれぞれ第1および第2の情報端末を関連付け、第1の情報端末に関連して入出力される情報を蓄積し、呼制御サーバは、呼接続を第1の内線電話機から第2の内線電話機へ転送することを指示されると、呼接続を第2の内線電話機へ転送し、この呼接続について第1の内線電話機の識別情報または前記加入者の識別情報をCTIサーバへ転送し、CTIサーバは、第1の内線電話機に関連付けられた第1の情報端末について蓄積されている前記情報をこの転送された識別情報に基づいて第2の情報端末へ転送する。
【0012】
また、本発明によるIP-PBX/CTI連携システムは、外部回線網ならびに第1および第2の内線電話機に接続され、外部回線網と第1および第2の内線電話機のうちの少なくとも1つとの間の呼接続を制御する呼制御サーバと、呼制御サーバと第1および第2の情報端末とに接続され、第1および第2の情報端末に対して情報を入出力するCTIサーバとを含み、呼制御サーバは、呼接続を制御する呼制御手段と、呼接続に関する情報を蓄積する第1のデータ蓄積手段とを含み、呼制御手段は、外部回線網と第1の内線電話機との間で呼接続を設定する際に、外部回線網における加入者の識別情報を取得して第1のデータ蓄積手段に第1の内線電話機に対応付けて蓄積し、CTIサーバは、第1および第2の情報端末に入出力される情報をそれらの情報端末のそれぞれに対応して蓄積する第2のデータ蓄積手段を含み、第2のデータ蓄積手段には、第1および第2の情報端末にそれぞれ第1および第2の情報端末を関連付ける関連付け情報が蓄積され、呼制御サーバは、第1の内線電話機から第2の内線電話機の識別情報に基づいて呼接続の第2の内線電話機への転送を指示されると、呼接続を第2の内線電話機へ転送するとともに、第1のデータ蓄積手段における第1の内線電話機の識別情報または前記加入者の識別情報をCTIサーバへ転送し、CTIサーバは、転送された識別情報に基づいて第2のデータ蓄積手段から第1の内線電話機に関連付けられた第1の情報端末について蓄積されている前記情報を読み出して第2の情報端末へ転送する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発呼者関連情報を持ち回ることなく簡略な構成で、転送呼についての発呼者関連情報を転送先の内線電話機に対応する情報端末に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によるIP-PBX/CTI連携システムの実施例を示すシステム構成図である。
図2図1に示す実施例における呼制御データベースの呼制御情報のデータフォーマットの例を示す図である。
図3】同実施例におけるCTIサーバの顧客情報のデータフォーマットの例を示す図である。
図4】同実施例における発呼者関連情報の転送動作を説明するための流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に添付図面を参照して本発明によるIP-PBX/CTI連携システムの実施例を詳細に説明する。図1を参照すると、本実施例のIP-PBX/CTI連携システム10は、インタネットプロトコル構内交換機(IP-PBX)とコンピュータ電話統合(CTI: Computer Telephony Integration)システムの連携した構成をとっている。本システム10は、IP-PBXとして機能する呼制御サーバ100に収容された公衆電話回線網(PSTN: Public Switched Telephone Networks)などの外部通信網12の局線14からの着信呼がIP電話機などの内線電話機16に接続されると、その発呼者電話番号に紐付いた個人情報や顧客情報などの発呼者関連情報を内線電話機16の対応するパーソナルコンピュータなどの情報端末18に可視および/または可聴表示する機能を備えている。
【0016】
より詳細には、外部通信網12からの局線14は本システムの内部通信線22に接続され、内部通信線22には、呼制御サーバ100およびCTIサーバ200が図示のように接続されている。局線14は、本実施例では説明のために1回線のみが図示されているが、勿論、複数回線が本システム10に収容されていてもよい。内部通信線22にはまた、内線電話機16および情報端末18も図示のように接続されている。
【0017】
後に明らかとなるが、内線電話機16および情報端末18は、2組が図示され、2組のうちのそれぞれを区別する必要があるときは、それらの参照符号にAまたはBを付加して説明する。勿論、内線電話機16および情報端末18は3組以上配備されていてもよく、また、それらが必ずしも対をなしている必要はなく、それぞれが単に内部通信線22に接続されているだけでもよい。
【0018】
呼制御サーバ100は、本実施例ではIP-PBXとして機能する構内交換機であり、呼制御データベース105に格納されている呼制御用データに基づいて呼制御部101がサーバ100内の各部を統括的に制御することにより、外部通信網12と内線電話機16との間の呼接続、ならびに内線電話機16相互間の呼接続を制御する。
【0019】
内線電話機16は、VoIP(Voice over Internet Protocol)内線通話機能を有するIP電話機やソフトフォンであってよい。また、情報端末18は、パーソナルコンピュータやタブレット端末などの処理システムで構成されてよく、本実施例では、後述のように特定の内線電話機16と対応付け、すなわち紐付けされている。この紐付けを図には点線20で概念的に示す。
【0020】
CTIサーバ200は、呼制御サーバ100と通信しながら呼制御サーバ100の接続する内線電話機16と特定の情報端末18を関連付けるとともに、その関連付けた情報端末18との間で様々なデータの送受を行なって、内線電話機16の発着信に関連するサービスを提供するものである。サービスとは、情報端末18からの入力を受け付け、またCTIサーバ200から提供される様々な情報を操作者へ可視表示することを意味する。本実施例におけるこのような表示は、勿論可聴表示であってもよい。
【0021】
本実施例ではとりわけ、ある内線電話機16に外部通信網12からの着信呼が接続されて、内線電話機16の操作者Aがその外線着信呼を別の内線電話機16へ転送した際、操作者Aが情報端末18で行なったサービスの少なくとも一部を転送先の内線電話機16の対応する情報端末18に転送し、操作者Bへこれを提示することができる機能を有している。
【0022】
呼制御サーバ100は、図示のように、サーバ100内の各部を統括的に制御するとともに内線および外線の呼接続を制御する呼処理を行なう呼制御部101、呼制御用データを蓄積する呼制御データベース105、外部通信網12との通信機能を制御する外線通信制御部104、少なくともCTIサーバ200への電文の送信を制御する機能を有し、好ましくはCTIサーバ200よりの電文の受信を制御する機能も有する電文送受信制御部102、IP内線通信を制御するIP通信制御部103、ならびに外部通信網12との通信を制御する外線通信制御部104などの機能部を有している。これらの機能部は、IP通信インタフェース106を介して内部通信線22に接続されている。呼制御サーバ100は、コンピュータなどの処理システムとこれを制御するソフトウエアによって実現してよい。
【0023】
内部通信線22は、例えば有線および/もしくは無線のローカルエリアネットワーク(LAN)、またはバスなどの形態をとってよい。
【0024】
呼制御サーバ100の呼制御データベース105には、個々の内線電話機16に対応して呼制御情報110が図2に例示するようなフォーマットで蓄積される。呼制御情報110のレコードは、本実施例では内線電話番号フィールド112、内線電話機状態フィールド114、着信局線番号フィールド116、発呼者番号フィールド118、転送先内線電話番号フィールド120、発着識別情報フィールド122、および呼種別情報フィールド124を含んでいる。なお、各図において、同様の構成要素は同じ参照符号で示し、冗長な説明は避ける。
【0025】
内線電話番号フィールド112は、当該レコードについての内線電話機16の電話番号、機番、識別符号もしくは番号、収容端子番号など内線電話機16を特定する識別情報を蓄積するフィールドである。電話機状態フィールド114は、内線電話機16の空塞や障害などの状態を蓄積するフィールドである。着信局線番号フィールド116は、局線14に着信があった場合のその局線14の電話番号を蓄積するフィールドである。発呼者番号フィールド118は、内線電話機16から発呼した場合はその内線電話機16の内線電話番号もしくは機番、また外部通信網12から局線14へ着信した場合はその発呼者の電話番号を蓄積するフィールドである。転送先内線電話番号フィールド120は、呼を転送する場合の転送先内線電話機16の内線電話番号または機番を蓄積するフィールドである。
【0026】
なお、本明細書の記載において、電話番号は例示にすぎず、上述のように、電話番号のみならず、加入者や電話機、端末装置などをユニークに識別する情報、例えば機番、識別符号もしくは番号、交換機における回線収容端子の番号、MAC(メディアアクセス制御)アドレスなどの識別情報であってよい。
【0027】
発着識別情報フィールド122は、当該レコードの呼がその内線電話機16からの発信呼か、それへの着信呼かの別を示すフィールドである。呼種別情報フィールド124は、当該レコードの呼が他の内線電話機16から転送された呼すなわち転送呼であるか、転送された呼でないこと、つまり非転送呼であるかを示す情報フィールドである。これに加えて、外線呼であるか内線呼であるかを示す情報を含んでもよい。
【0028】
CTIサーバ200は、図示のように呼制御サーバ100の接続する内線電話機16と特定の情報端末18を関連付けるCTI制御部201、呼制御サーバ100との通信を行なうTCP(伝送制御プロトコル)通信制御部203、情報端末18との通信を行なうSIP(セッション確立プロトコル)通信制御部204、呼制御サーバ100と情報端末18の間の通信電文制御を行なう電文送受信制御部202、および情報端末18に関連する顧客情報などの様々なサービスデータを蓄積するCTIデータベース205などの機能部を有している。これらの機能部は、IP通信インタフェース206を介して内部通信線22に接続されている。CTIサーバ200も、コンピュータなどの処理システムとこれを制御するソフトウエアによって実現してよい。CTIサーバ200はまた、必ずしも呼制御サーバ100とは物理的に別体の装置でなくてもよく、両者が物理的に単一の処理システムに統合されていてもよい。
【0029】
CTIサーバ200のCTIデータベース205には、個々の情報端末18に対応して顧客情報210のレコードが図3に例示するようなフォーマットで蓄積される。顧客情報210のレコードは、本実施例では端末識別情報フィールド212、内線電話番号フィールド214、着信局線番号フィールド216、発呼者番号フィールド218、顧客識別情報フィールド220および顧客データフィールド222を含んでいる。
【0030】
端末識別情報フィールド212は、当該レコードの情報端末18をユニークに識別する識別番号などの識別情報を蓄積するフィールドである。内線電話番号フィールド214は、当該レコードの情報端末18に紐付けられたの内線電話機16の電話番号または機番を蓄積するフィールドである。つまり、上述した内線電話機16と情報端末18の紐付けは、その情報端末18の端末識別情報212を有するレコードにおいて紐付けすべき内線電話機16の電話番号を内線電話番号フィールド214に蓄積することによって定義、すなわち記憶される。
【0031】
着信局線番号フィールド216は、局線14に着信した場合のその局線14の電話番号を蓄積するフィールドである。発呼者番号フィールド218は、外部通信網12から局線14へ着信した場合の発呼者の電話番号を蓄積するフィールドである。顧客識別情報フィールド220は、後述のように当該レコードについて入力された顧客番号、顧客識別情報もしくは契約番号など、顧客を特定する情報を蓄積するフィールドである。顧客データフィールド222は、顧客識別情報220に関して入力され、また顧客から得られた顧客データを蓄積するフィールドである。
【0032】
このような構成の本システム10では、内線電話機16相互間での内線呼の発着信、および外部通信網12と内線電話機16の間の外線呼の発着信が可能である。本発明にとりわけ関連するのは、外部通信網12から内線電話機16への着信呼である。そこでまずは、図4を参照しながら外部通信網12から内線電話機16への着信動作を説明する。なお、以下の説明において、信号線や接続線に付した参照符号は、それらの信号線や接続線自体を指すばかりでなく、それによって運ばれる信号や情報、データ、2要素間の関連性も指すものとする。
【0033】
外部通信網12から局線14に着信(図1の30)があり、この着信呼30が、例えばダイヤルインのように、ある内線電話機16に向けた呼であると、呼制御サーバ100は、その被呼内線電話機16に着信させる。その際、呼制御部101は、外線通信制御部104を介して着信局線番号M(図4)および発呼者電話番号N(同)を取得する(図1の30)とともに、被呼電話番号すなわち被呼内線電話機16の電話番号に基づいて呼制御データベース105における対応レコードに着信局線番号116および発呼者番号118を蓄積する(同32)。電文送受信制御部102は、これらの内線電話番号112、内線電話機状態114、着信局線番号116および発呼者番号118を電文に組み立て、その呼に関する番号情報110としてこれをCTIサーバ200へ送る(34)。
【0034】
CTIサーバ200では、送信された番号情報110を電文送受信制御部202で受信して解析し、受信した番号情報110の内線電話番号112によってCTIデータベース205を検索(図の36)する。電文送受信制御部202は、内線電話番号214を検索キーとしてCTIデータベース205の顧客情報レコード210から該当する端末識別情報212を索出(図4の36)する。これによりその呼の着信した内線電話機16に紐付けされている情報端末18が特定される。
【0035】
そこでCTIサーバ200は、呼制御サーバ100から送られてきた電話番号情報110をその被呼内線電話機16に紐付けされている情報端末18の顧客情報レコード210の該当フィールドへ蓄積する。例えば、受信した電文34における電話番号情報110の着信局線番号116および発呼者番号118は、それぞれ顧客情報レコード210の着信局線番号フィールド216および発呼者番号フィールド218に蓄積される。
【0036】
SIP通信制御部204は、顧客情報レコード210における端末識別情報212で特定される情報端末18へそのレコードの発呼者番号218を転送し(38)、これが情報端末18のモニタ画面(図示せず)に可視表示される。情報端末18の操作者は、対応する内線電話機16で発呼者と会話しながら端末18を操作して顧客識別情報220やその発呼者、例えば顧客に関する顧客データ222を入力する。これら入力された顧客識別情報220および顧客データ222は、その情報端末18にローカルに可視表示されるとともに、CTIデータベース205の対応する顧客情報レコード210の対応するフィールドに蓄積される(38、36)。
【0037】
発呼者または被呼内線電話機16のいずれかが呼を切断すれば、呼制御部101は呼接続を復旧させ、CTI制御部201も情報端末18に呼接続の復旧を表示する。
【0038】
ところで、外線着信呼30の転送元をAで、また転送先をBで示しながら、本実施例で特徴的な事項の一つを説明すると、本実施例では、外線通信網12からある内線電話機16Aへ接続された外線着信呼を他の内線電話機16Bへ転送した際、転送元の操作者Aがその情報端末18Aで行なったサービスの少なくとも一部、好ましくは全部を転送先の内線電話機16Bの対応する情報端末18Bに転送して操作者Bへこれを提示することができる。本実施例では、内線電話機16Aが他の内線電話機18Bへ外線着信呼を転送する際に、外線着信呼の番号情報110を転送先の情報端末18Bへ転送し、これによって呼転送先の情報端末18Bにその外線呼に関する顧客情報210が表示される。
【0039】
既に説明したように、外線呼30を内線電話機16Aに着信させる際、呼制御データベース105には外線呼30の番号情報110が保存される(図1の32)。また、被呼内線電話機16Aの操作者Aは、発呼者と会話している際、その情報端末18Aを操作して、様々な顧客情報210を入力することができる。この顧客情報210は、CTIデータベース205に逐次保存される(36)。
【0040】
そこで、内線電話機16Aにおいて外線着信呼30を保留して他の内線電話機16Bへこれを転送する操作をすると、IP通信制御部103は、呼制御部101の制御の下に、転送先内線電話機16Bへの外線着信呼30の転送接続を行なうとともに、後者の内線電話番号B(図4)を呼制御データベース105の当該内線電話機16Aのレコード110の転送先内線電話番号フィールド120に、また当該呼が転送された呼であることを示す表示を呼種別情報フィールド124に記録する。電文送受信制御部102は、呼制御部101の制御の下に、呼制御データベース105における内線電話機16Aのレコードから転送先の内線電話機16Bの番号情報110を読み出す。電文送受信制御部102は、読み出した番号情報110を電文34に組み立て、これをCTIサーバ200へ送信する。
【0041】
CTIサーバ200では、送信された電文34を電文送受信制御部202で受信し、電文送受信制御部202は、CTI制御部201の制御の下に、転送先の内線電話機16Bの番号情報110をその電文から抽出する。電文送受信制御部202は、番号情報110に含まれている呼種別情報124から当該呼が転送された呼であることを識別すると、転送先内線電話番号120に基づいてCTIデータベース205を検索し(図4の40)、番号情報110を転送先内線電話機16Bに対応する情報端末18Bのレコードの対応するフィールドへ蓄積する(36)。これによって転送先情報端末18Bのレコード210Bにおけるフィールド216および218には、それぞれ着信局線番号Mおよび発呼者番号Nが書き込まれる(それぞれ図4の42、44)。
【0042】
上述の例では、CTIサーバ200は、送信された電文34に含まれる転送先の内線電話機16Bの電話番号112を検索キーとして転送元の内線電話機16Aのレコード210Aを索出した。しかし、このような構成に代わって、呼転送以前に呼制御サーバ100から着信局線番号Mおよび/または発呼者番号NがCTIサーバ200に転送されるように構成されたシステムの場合は、図示はしないが、内線電話番号Aに代えて着信局線番号Mまたは発呼者番号Nを検索キーとして転送元の内線電話機16Aに対応する情報端末18Aの顧客情報レコード210Aを索出するように構成してもよい。その場合、転送先情報端末18Bのレコード210Bにおけるフィールド216および218には直接、それぞれ着信局線番号Mおよび発呼者番号Nが書き込まれる。
【0043】
電文送受信制御部202はまた、受信した番号情報110に含まれている転送元の内線電話番号112に基づいてCTIデータベース205を検索(36)し、転送元内線電話機16Aに紐付けられている情報端末18Aのレコード210Aを索出する。そこで電文送受信制御部202は、索出した情報端末18Aのレコード210Aに記録されている顧客識別情報Iおよび顧客データDを転送先内線電話機16Bに対応する情報端末18Bのレコード210Bの対応するフィールド220および222へ書き込む(それぞれ図4の46、48)。
【0044】
これとともに電文送受信制御部202は、外線呼30の番号情報210Bを電文38Bに組み立て、SIP通信制御部204を介してその情報端末18Bへこれを送信する。これによって転送先内線電話機16Bに対応する情報端末18Bには、その外線呼30の顧客情報210が表示される。
【0045】
このように、内線電話機16Aに着信した外線着信呼30を内線電話機16Aで他の内線電話機16Bへ転送する操作をすると、その外線着信呼30の番号情報110と転送先内線電話機情報がCTIサーバ200へ送信され、CTIサーバ200では、外線着信呼30の番号情報110に基づいて顧客情報210を抽出し、転送元の情報端末18Aで表示していた顧客情報210を転送先の情報端末18Bにおいても表示することができる。
【0046】
上述の説明は、外線着信呼30がその被呼側内線電話機16へダイヤルインで着信し、これを転送先内線電話機16へ転送する例であった。しかし、本実施例がダイヤルイン呼だけでなく、局線に着信した外線呼において内線電話番号を指定して内線電話機へ接続させる呼にも適用されることは、当業者に容易に理解されよう。本実施例はまた、内線電話機から外部通信網12の被呼者へ発呼する場合にも、同様に適用され、発呼の後、発呼側の内線電話機から他の内線電話機にその呼を転送する場合も、同様に顧客情報の持ち回りを行なうことができる。
【0047】
こうして転送先情報端末18Bでは、継続して顧客とのオペレート作業が可能となり、したがって、例えば下記のような利点がある。
【0048】
本システム10が導入された事業者において、社外との電話連絡について事案の特定や担当者の特定までの時間が短縮される。内線電話機への着信の際、内線電話機に表示された電話番号に基づいて特定された事案が情報端末に表示されるため、例えば事故日等の案件関連情報を改めて発呼者に聴取する必要がない。呼を転送する際も、同様にして電話番号に基づいて事案が情報端末に表示されるため、転送先での担当者へ支障なく取り次ぐことができ、担当者における取次ぎ後の事案の把握や対応を支障なく行なうことができる。
【0049】
内線電話機から外線へ発呼する場合も同様に、情報端末における表示画面上に表示された電話番号から簡便に発信でき、したがって、例えば問合せや照会などの特定の事案について、担当者が当事者や関係者へ電話発呼する際の手間が軽減される。
【符号の説明】
【0050】
10 IP-PBX/CTI連携システム
16 内線電話機
18 情報端末
100 呼制御サーバ
101 呼制御部
102、202 電文送受信制御部
105 呼制御データベース
200 CTIサーバ
201 CTI制御部
205 CTIデータベース
図1
図2
図3
図4