(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0010】
[1]レーザ走査装置の回路構成
図1は、本発明の実施形態に係るレーザ走査装置10のブロック図である。
【0011】
レーザ走査装置10は、LIDAR(Light Detection and Ranging)とも呼ばれる。LIDARは、レーザ光を用いて例えば車両前方のある範囲を走査し、この走査範囲にある対象物によって反射されたレーザ光を検出する。そして、LIDARは、送信したレーザ光と受信したレーザ光とを用いて、対象物を検出したり、車両から対象物までの距離を測定したりする。
【0012】
レーザ走査装置10は、ルーフやボンネット等、車両の上部に配置される。また、レーザ走査装置10は、車両の前側(例えば、フロントバンパー、又はフロントグリル)、車両の後ろ側(例えば、リアバンパー、又はリアグリル)、及び/又は、車両の側方(例えば、フロントバンパーの側方)に配置されてもよい。
【0013】
レーザ走査装置10は、光源部11、ミラーアレイ12、受光部13、ミラー駆動部14、パルスタイミング制御部15、距離演算部16、及び主制御部17を備える。
【0014】
光源部11は、ミラーアレイ12に向けて、複数のレーザ光を発生(発光)する。光源部11は、複数のレーザ光に対応する数の発光素子を備える。後述するように、ミラーアレイ12は、複数の凹面鏡を備える。光源部11は、複数の凹面鏡に対応した数のレーザ光を発光することが可能である。レーザ光としては、例えば、赤外線レーザ光(例えば波長λ=905nm)が用いられる。また、光源部11は、所定の周波数を有するパルス信号としてレーザ光を発生する。
【0015】
ミラーアレイ12は、形状の異なる複数の反射部材を備える。複数の反射部材は、例えば凹面鏡で構成される。ミラーアレイ12の外形は、円である。ミラーアレイ12は、モータによって回転可能である。ミラーアレイ12は、光源部11からの複数のレーザ光を反射するとともに、自身の周囲に向けてレーザ光を出射する。
【0016】
受光部(検出回路)13は、対象物2によって反射されたレーザ光を検出する。受光部13は、光源部11に含まれる複数の発光素子に対応した数の複数の受光素子を備える。受光素子は、例えば赤外線センサから構成される。赤外線センサは、フォトダイオード、又はCMOS(complementary metal oxide semiconductor)フォトセンサを含む。その他、受光素子として赤外線カメラを用いてもよい。
【0017】
ミラー駆動部14は、ミラーアレイ12を駆動し、ミラーアレイ12を回転軸を介して回転させる。ミラー駆動部14は、ミラーアレイ12を回転させるモータ、及びミラーアレイ12の位置情報を検出する回転エンコーダ(ロータリエンコーダ)などを備える。ミラーアレイ12の回転変位量、回転速度、及び回転角度などの情報は、ミラー駆動部14が備える回転エンコーダ(図示せず)によって電気信号に変換される。これにより、ミラーアレイ12の各凹面鏡の位置が検出及び特定できる。
【0018】
パルスタイミング制御部15は、光源部11の動作を制御する。光源部11は、パルス信号としてレーザ光(すなわち、パルス状のレーザ光)を発光する。パルスタイミング制御部15は、レーザ光に含まれるパルスのタイミングを制御する。パルスのタイミングには、パルス信号の周期、パルス信号の周波数、及びパルス幅が含まれる。
【0019】
距離演算部16は、送信されたレーザ光のタイミング情報をパルスタイミング制御部15から受け、水平方向及び垂直方向のそれぞれにおける出射角の情報を主制御部17から受け、受信されたレーザ光のタイミング情報及び光強度の情報を受光部13から受ける。距離演算部16は、これらの情報を用いて、車両から対象物までの距離を算出する。具体的には、距離演算部16は、出射角の情報などを用いて、直線距離、水平距離、及び垂直距離を算出する。また、距離演算部16は、出射角の情報などを用いて、対象物の相対座標を算出する。距離演算部16によって算出された距離及び/又は相対座標は、例えばデータDOUTとして外部に出力可能である。
【0020】
主制御部17は、レーザ走査装置10の全体動作を統括的に制御する。特に、主制御部17は、ミラー駆動部14を介して、ミラーアレイ12の回転位置などを制御する。
【0021】
[2]レーザ走査装置10の構成
次に、レーザ走査装置10の構成について説明する。
図2は、レーザ走査装置10の斜視図である。
図3は、
図2に示したミラーアレイ12の底面図である。すなわち、
図3は、ミラーアレイ12のみを抽出して、これを下から見た図である。
図4は、
図2のIV−IV線に沿ったレーザ走査装置10の断面図である。
図5は、レーザ走査装置10の分解図である。
【0022】
レーザ走査装置10は、ミラーアレイ12、底板20、モータ21、回転軸22、ステージ23、光源11A、及びネジ24−1〜24−4を備える。
【0023】
モータ21は、ミラーアレイ12を回転させる。モータ21の回転動作は、ミラー駆動部14によって制御される。モータ21は、円形の底板20上に載置される。モータ21には、回転軸22が取り付けられ、回転軸22には、ミラーアレイ12が固定される。
【0024】
ステージ23は、円形を有する。ステージ23は、ネジ24−1、24−2によって底板20上に固定される。ミラーアレイ12は、ステージ23の上方に配置される。モータ21は、ステージ23に設けられた開口部23A内に収納され、ネジ24−3、24−4によってステージ23に固定される。ネジ24−3、24−4は、モータ21(具体的には、モータのケース)に設けられた突起部21A、21Bを貫通するとともに、突起部21A、21Bとステージ23とを固定する。回転軸22は、ステージ23の中心に設けられた開口部23Bを通る。円形の開口部23Bは、回転軸22がステージ23に接触しないように、その径が設定される。
【0025】
ステージ23(具体的には、ステージ23内に設けられた光源部11)は、ミラーアレイ12に向けて複数のレーザ光を出射する。また、ステージ23(具体的には、ステージ23内に設けられた受光部13)は、ミラーアレイ12から入射される複数のレーザ光を検知する。ステージ23のより具体的な構成については後述する。
【0026】
光源部11に含まれる光源11Aは、ステージ23にレーザ光を照射する。ステージ23に光源11Aを固定する方法は、任意に設計可能である。
【0027】
ミラーアレイ12は、円形を有する。ミラーアレイ12は、円形の基材12Aと、複数の凹面鏡12Bとを備える。本実施形態(
図3)では、一例として、ミラーアレイ12は、12個の凹面鏡12B−1〜12B−12を備える。ミラーアレイ12が備える凹面鏡の数は、2以上の任意の数に設定可能である。
【0028】
基材12Aは、その中心に開口部12Cを有し、基材12Aの開口部12Cは、回転軸22に固定される。これにより、ミラーアレイ12は、回転軸22を中心に回転することができる。ミラーアレイ12は、ステージ23に接触しないように、ステージ23と隙間を空けて配置される。
【0029】
複数の凹面鏡12Bは、基材12Aの周端部に設けられる。凹面鏡12Bは、ステージ23から垂直方向に入射されるレーザ光を、ミラーアレイ12の周囲(外側)に向けて反射する。また、凹面鏡12Bは、対象物によって反射されたレーザ光を、ステージ23の受光素子に向けて反射する。複数の凹面鏡12Bは、ミラーアレイ12の円周に沿って等間隔に配置される。
【0030】
複数の凹面鏡12Bは、互いの形状が異なる。凹面鏡12Bの形状には、その高さ、及びその厚さが含まれる。凹面鏡の厚さは、ミラーアレイ12の中心に向かう水平方向における凹面鏡の長さ。換言すると、複数の凹面鏡12Bは、その曲率半径、又は、その焦点距離が異なる。具体的には、凹面鏡12B−1〜12B−12は、この順に、その高さが高くなり、その厚さが太くなる。また、凹面鏡12B−1〜12B−12は、この順に、曲率半径が小さくなり、その焦点距離が小さくなる。
【0031】
基材12Aは、その周端部に複数の曲面の窪み(えぐり)を有し、複数の凹面鏡12Bは、基材12Aに形成された曲面の窪みに設けられる。基材12Aは、例えば樹脂で構成される。例えば、凹面鏡12Bは、基材12Aに形成された曲面の窪みを蒸着やスパッタなどで鏡面処理(鏡面加工)して構成される。凹面鏡12Bは、基材12Aに形成された曲面の窪みに、反射膜(反射部材)を貼り付けて構成してもよい。凹面鏡12Bは、凹面に加工した金属(例えば、アルミニウム(Al))を、基材12Aに形成された曲面の窪みに取り付けて構成してもよい。ミラーアレイ12は、樹脂で成型されかつ複数の曲面の窪みを有する基材12A全体にアルミニウム(Al)を蒸着して構成してもよい。
【0032】
[3]光源部11及び受光部13の構成
次に、光源部11及び受光部13の構成について説明する。光源部11及び受光部13は、ステージ23内に設けられる。
図6は、光源部11、受光部13、及びステージ23の平面図である。
図7は、光源部11及びステージ23の断面図である。
【0033】
光源部11は、光源(発光素子)11A、複数の光導波路11B(11B−1〜11B−12)、及び複数の集光レンズ11C(11C−1〜11C−12)を備える。複数の光導波路11B、及び複数の集光レンズ11Cはそれぞれ、複数の凹面鏡12Bの数に対応する数だけ設けられる。
【0034】
光源11Aは、レーザ光を発光する。光源11Aは、レーザ素子から構成される。光源11Aは、ステージ23の任意の箇所に取り付けられる。
【0035】
光導波路11Bは、光源11Aから出射されたレーザ光を集光レンズ11Cに導く。光導波路11Bとしては、例えば光ファイバが用いられる。光ファイバは、コアと、コアを覆うクラッドとを備える。コアの屈折率は、クラッドの屈折率より高く設定される。
図6では、光導波路11Bを直線で示しているが、光導波路の経路は、任意に設計可能である。
【0036】
なお、光源11Aは、光導波路11Bごとに設けられていてもよい。すなわち、光源部11は、複数の凹面鏡12Bに対応する数の複数の光源11Aを備えていてもよい。
【0037】
複数の集光レンズ11Cは、ステージ23の円周に沿って等間隔に配置される。複数の集光レンズ11Cはそれぞれ、複数の凹面鏡12Bに対応して設けられる。すなわち、ミラーアレイ12が所定の位置(例えば予め決められた初期状態の位置)で止まっている場合に、集光レンズ11Cは、これに対応する凹面鏡12Bに向き合うように配置される。複数の集光レンズ11Cは、ステージ23の中心からの距離が同じである。
【0038】
集光レンズ11Cは、光導波路11Bからのレーザ光を透過するとともに、凹面鏡12Bに向けて出射する。また、集光レンズ11Cから出射されるレーザ光の進行方向は、ステージ23に対して垂直方向に設定される。集光レンズ11Cとしては、例えば両凸レンズが用いられる。なお、光導波路11Bから出射されるレーザ光が高い指向性を有する(すなわち、コヒーレントで幅の狭いレーザ光である)場合は、集光レンズ11Cは不要である。また、集光レンズ11Cの位置に、レーザ光を発光する発光素子を直接に配置してもよい。
【0039】
受光部13は、複数の受光素子13A(13A−1〜13A−12)を備える。複数の受光素子13Aは、ステージ23の円周に沿って等間隔に配置される。複数の受光素子13Aは、複数の凹面鏡12Bの数に対応する数だけ設けられる。受光素子13Aは、これに対応する集光レンズ11Cに近接して配置される。複数の受光素子13Aは、ステージ23の中心からの距離が同じである。受光素子13Aは、凹面鏡12Bによって反射されたレーザ光を検出する。
【0040】
[4]レーザ走査装置10の動作
[4−1]レーザ走査装置10の基本動作
図8は、レーザ走査装置10によるレーザ光の波形を説明する図である。
図8の上側が送信の波形、
図8の下側が受信の波形である。
図8の横軸が時間であり、
図8の縦軸が強度(光強度)である。
図8では、1つの発光素子(光源11A、1つの光導波路11B、及び1つの集光レンズ11Cから構成される要素)と、これに対応する1つの受光素子13Aとの動作を表している。
【0041】
光源11Aは、パルス信号からなるレーザ光を出射する。すなわち、光源11Aは、時分割で複数のレーザ光を出射する。パルスタイミング制御部15は、光源11Aの動作を制御し、レーザ光の周期、及びパルス幅を制御する。レーザ走査装置10は、パルス信号としてレーザ光を送信する。
【0042】
パルス信号の周期P、パルス幅Wとする。1つのパルスを送信してから、このパルスが対象物で反射されたパルスを受信するまでの時間である遅れ量Δ、光の速度Cとする。遅れ量Δは、“Δ=2L/C”で算出される。距離演算部16は、遅れ量Δを用いて、レーザ走査装置10が取り付けられた車両から対象物までの距離を算出する。
【0043】
例えば、パルス幅W=10nsec、周期P=10μsec(すなわち、周波数f=100kHz)であるものとする。遅れ量Δ=67nsecの場合、距離L=10mが算出される。このような動作により、対象物が検出でき、また、対象物までの距離が算出できる。
【0044】
[4−2]第1実施例
次に、レーザ光を走査する動作について説明する。光源部11は、集光レンズ11C−1〜11C−12の位置から12本のレーザ光を垂直方向に向けて出射する。ミラー駆動部14は、ミラーアレイ12を回転させるとともに、ミラーアレイ12の回転動作に応じて、ミラーアレイ12に含まれる凹面鏡12B−1〜12B−12の位置を検出する。凹面鏡12B−1〜12B−12の各々は、集光レンズ11C−1〜11C−12から出射される12本のレーザ光を順に反射する。これにより、ミラーアレイ12は、12の方位角にそれぞれレーザ光を送信することができる。
【0045】
図9及び
図10は、第1実施例に係るレーザ光を走査する動作を説明する図である。
図9は、断面方向における凹面鏡12B−1〜12B−12の形状と、凹面鏡12B−1〜12B−12によって反射されるレーザ光の様子とを表している。
図10は、ミラーアレイ12を下から見た場合において、レーザ光が凹面鏡12Bに当たる位置の一例を表している。第1実施例は、集光レンズ11C−1〜11C−12に対応する12の方位角の各々において、垂直方向にレーザ光を走査する動作である。
【0046】
光源部11は、ミラーアレイ12が30度回転する毎に、集光レンズ11C−1〜11C−12の各々からパルス状のレーザ光を出射する。
【0047】
集光レンズ11C−1から出射されたレーザ光は、例えば凹面鏡12B−1によって反射され、ミラーアレイ12の外側に向けて出射される。続いて、ミラーアレイ12が左回りに連続的に30度回転し、集光レンズ11C−1から出射されたレーザ光は、凹面鏡12B−2によって反射され、ミラーアレイ12の外側に向けて出射される。続いて、ミラーアレイ12が左回りに連続的に60度回転し、集光レンズ11C−1から出射されたレーザ光は、凹面鏡12B−3によって反射され、ミラーアレイ12の外側に向けて出射される。その後、集光レンズ11C−1から出射されたレーザ光は、凹面鏡12B−4〜12B−12によって順に反射され、ミラーアレイ12の外側に向けて出射される。
【0048】
同様に、集光レンズ11C−2〜11C−12から出射されたレーザ光は、凹面鏡12B−1〜12B〜12によって順に反射され、ミラーアレイ12の外側に向けて出射される。
【0049】
また、ミラーアレイ12が周単位でさらに回転することで、集光レンズ11C−2〜11C−12の各々から出射されたレーザ光は、凹面鏡12B−1〜12B〜12による反射が繰り返される。これにより、12の方位角で、走査動作が行われる。
【0050】
ここで、凹面鏡12B−1と凹面鏡12B−2とは、互いの形状が異なる。具体的には、凹面鏡12B−2の曲率半径は、凹面鏡12B−1の曲率半径より小さい。よって、凹面鏡12B−2によって反射されたレーザ光は、凹面鏡12B−1によって反射されたレーザ光と出射角が異なる。例えば、水平方向を出射角θ=0、水平方向より上側を正の出射角“+θ”、水平方向より下側を負の出射角“−θ”とする。この場合、凹面鏡12B−2によって反射されたレーザ光の出射角は、凹面鏡12B−1によって反射されたレーザ光の出射角より小さくなる。
【0051】
同様に、凹面鏡12B−2〜凹面鏡12B−12によって反射されるレーザ光の出射角が変化する。これにより、レーザ走査装置10は、垂直方向における走査角“2θ”でレーザ光を走査することができる。
【0052】
[4−3]第2実施例
第2実施例は、レーザ光が凹面鏡12Bに当たる位置を制御することで、水平方向における出射角を変えるようにしている。
【0053】
図11は、第2実施例に係るレーザ光を走査する動作を説明する図である。
図11は、ミラーアレイ12を下から見た場合において、凹面鏡12B−1によって反射されるレーザ光の様子を表している。
図11における方向の説明は、全てミラーアレイ12を下から見た場合に対応する。
【0054】
光源部11は、所定間隔でパルス状の複数のレーザ光を出射する。ミラー駆動部14は、ミラーアレイ12を回転させつつ、凹面鏡12Bの位置を制御する。凹面鏡12Bの位置は、集光レンズ11Cの位置との関係で規定される。
【0055】
図11(a)は、凹面鏡12B−1が出射角θ1でレーザ光を出射(すなわち反射)する動作を示している。凹面鏡12B−1の中心より右側にレーザ光が照射されるように、ミラー駆動部14は、凹面鏡12B−1の位置を制御する。すなわち、光源部11が例えば集光レンズ11C−1からレーザ光を出射するタイミングで、集光レンズ11C−1の位置が凹面鏡12B−1の中心より右側になるように、ミラー駆動部14は、凹面鏡12B−1の位置を制御する。
【0056】
図11(b)は、凹面鏡12B−1が出射角θ=0でレーザ光を出射する動作を示している。凹面鏡12B−1の中心にレーザ光が照射されるように、ミラー駆動部14は、凹面鏡12B−1の位置を制御する。
【0057】
図11(c)は、凹面鏡12B−1が出射角θ2でレーザ光を出射する動作を示している。凹面鏡12B−1の中心より左側にレーザ光が照射されるように、ミラー駆動部14は、凹面鏡12B−1の位置を制御する。すなわち、光源部11が例えば集光レンズ11C−1からレーザ光を出射するタイミングで、集光レンズ11C−1の位置が凹面鏡12B−1の中心より左側になるように、ミラー駆動部14は、凹面鏡12B−1の位置を制御する。
【0058】
なお、
図11(a)の出射角θ1が正、
図11(b)の出射角θ=0とすると、図(c)の出射角θ2は負である。水平方向の出射角は、方位角とも呼ばれる。凹面鏡12Bに入射するレーザ光の位置を制御することで、ある出射角において、水平方向にレーザ光を走査することができる。
【0059】
[4−4]第3実施例
第3実施例は、同じ凹面鏡12Bに複数のレーザ光(複数のパルス)を連続して照射することで、同じ高さをライン状に走査(ライン走査)するようにしている。
【0060】
第3実施形態に係るレーザ光を水平方向に走査する動作は、
図11を援用できる。光源部11は、例えば集光レンズ11C−1の上方を凹面鏡12B−1が通過する期間において、パルスからなる複数のレーザ光を出射する。
図11では、3つのパルスからなるレーザ光を送信する様子を一例として示している。
【0061】
ミラーアレイ12が回転しているので、凹面鏡12B−1には、互いに異なる位置に複数のレーザ光が入射する。そして、凹面鏡12B−1の形状に応じて、レーザ光が反射される方位角が異なる。
【0062】
図12は、第3実施例に係るライン走査を説明する図である。
図12において、高さH1は、凹面鏡12B−1が走査するラインの位置(走査位置)を表している。
図12の高さH1を表すラインは、複数の走査点の集合である。走査点は、
図8の1つのパルスに対応する。
【0063】
図12において、高さH2〜H12に対応するラインは、凹面鏡12B−2〜12B−12の走査位置に対応する。
【0064】
第3実施例では、同じ高さにおいて、水平方向に複数点で走査することができる。すなわち、水平方向をより高密度で走査することができる。また、全方位にわたって走査点の密度を高くすることができる。すなわち、360度で3次元のスキャン情報を取得することができる。
【0065】
[5]実施形態の効果
以上詳述したように本実施形態では、レーザ走査装置10は、円形のステージ23と、ステージ23の周端部に設けられ、レーザ光を出射する複数の発光素子11Cと、複数の発光素子11Cにそれぞれ隣接するようにして、ステージ23の周端部に設けられた複数の受光素子13Aと、ステージ23の上方に配置され、複数の凹面鏡12Bを有する円形のミラーアレイ12と、回転軸22を介してミラーアレイ12に接続され、ミラーアレイ12を回転させる駆動部14とを備える。複数の凹面鏡12Bは、複数の発光素子11Cからのレーザ光を反射するようにしてミラーアレイ12の周端部に設けられる。複数の凹面鏡12Bは、互いの形状が異なる。
【0066】
従って本実施形態によれば、形状の異なる複数の凹面鏡12Bを連続的に回転させることで、レーザ光を用いて全方位を走査することができる。また、複数の方位角の各々において、垂直方向に走査することができる。よって、レーザ光を用いて、水平方向及び垂直方向を走査することが可能なレーザ装置を実現できる。
【0067】
また、レーザ走査装置10の周囲について、3次元情報を取得することができる。すなわち、より広い領域を走査することが可能なレーザ走査装置10を実現できる。
【0068】
また、1つの凹面鏡12Bに連続して複数のレーザ光を入射させることで、水平方向のライン走査を行うことができる。よって、全方位を高密度の走査点で走査することができる。
【0069】
また、比較的簡単な要素でレーザ走査装置10を構成することができる。これにより、レーザ走査装置10の小型化が可能である。また、レーザ走査装置10のコストを低減できる。
【0070】
上記実施形態では、ミラーアレイが複数の凹面鏡を備える構成を示しているが、ミラー(反射部材)は、凹面鏡以外の光学素子で構成してもよい。例えば、凹面鏡に代えて、曲率半径が異なる複数の凸面鏡で反射部材を構成してもよい。
【0071】
上記実施形態では、レーザ走査装置が扱うレーザ光として赤外線レーザ光を用いている。しかし、これに限定されず、本実施形態に係るレーザ走査装置は、赤外線レーザ光以外の光にも適用可能である。
【0072】
上記実施形態では、車両に搭載されるレーザ走査装置について説明している。しかし、これに限定されず、レーザ光を走査する機能を有する様々な電子機器に適用できる。
【0073】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、1つの実施形態に開示される複数の構成要素の適宜な組み合わせ、若しくは異なる実施形態に開示される構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、これらの構成要素が削除された実施形態が発明として抽出されうる。