(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
(1)本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、複数の電気部品と、複数の主ヒートシンクと、補助ヒートシンクとを備え、前記電気部品は、前記主ヒートシンクまたは前記補助ヒートシンクに接続され、前記補助ヒートシンクは、前記複数の主ヒートシンクを接続する。
【0013】
このように、電気部品の熱を、主ヒートシンクまたは補助ヒートシンクにより放熱するとともに、補助ヒートシンクが複数の主ヒートシンクを接続する構成により、複数の主ヒートシンク間の温度差を抑制し、温度の異なる電気部品の放熱を効率的に行うことができる。
【0014】
ここで、複数の電気部品の温度差を抑制するために、たとえば、複数の電気部品を共通の主ヒートシンクに接続する構成が考えられる。しかしながら、このような構成では、主ヒートシンクを大型化する必要があり、重量の増加および製造コストの増加が問題となる。
【0015】
これに対して、上記のように、主ヒートシンクを複数設け、これら複数の主ヒートシンクを補助ヒートシンクにより接続する構成により、大きな主ヒートシンクを設けることなく、温度の異なる複数の電気部品を効率的に放熱することができる。そして、電力変換装置の軽量化、および製造コストの削減を実現することができる。
【0016】
(2)好ましくは、前記電力変換装置は、さらに、前記複数の電気部品を収容する筐体を備え、前記筐体には、開口部が形成され、前記複数の主ヒートシンクは、前記筐体の外部に設けられ、前記補助ヒートシンクは、前記筐体の内部に設けられ、前記複数の主ヒートシンクは、前記開口部を介して前記補助ヒートシンクに接続される。
【0017】
このような構成により、開口部と主ヒートシンクとの間を封止することで、筐体内部への液体等の進入を防ぐことが可能となり、防水構造を簡易化することができる。
【0018】
(3)より好ましくは、前記筐体には、前記開口部が複数形成され、前記複数の主ヒートシンクは、それぞれ、複数の前記開口部を介して前記補助ヒートシンクに接続され、前記補助ヒートシンクは、複数の凸部を含み、前記複数の凸部は、前記複数の開口部において、前記複数の主ヒートシンクにそれぞれ接続される。
【0019】
このように、複数の主ヒートシンクが互いに異なる開口部において筐体の内部における補助ヒートシンクに接続されている構成により、主ヒートシンクと開口部との間の防水構造をより簡易化することができる。
【0020】
また、補助ヒートシンクに複数の凸部を設ける構成により、複数の主ヒートシンクを、複数の開口部を介して筐体の内部における1つの補助ヒートシンクにそれぞれ接続することができる。すなわち、主ヒートシンクと補助ヒートシンクとの接続構造を簡易化することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0022】
<系統連系システム>
図1は、本発明の実施の形態に係る系統連系システムの構成を示す図である。
【0023】
図1を参照して、系統連系システム201は、家屋内または事業所等に構築される。系統連系システム201は、発電装置1および蓄電池2の少なくともいずれか一方と、電力変換装置101とを備える。
【0024】
ここでは、一例として、系統連系システム201は、5つの発電装置1と、1つの蓄電池2とを備える。5つの発電装置1を、発電装置1a,1b,1c,1d,1eとする。
【0025】
電力変換装置101は、たとえば、ハイブリッド型のパワーコンディショナであり、発電装置1および蓄電池2から受けた直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を電力系統へ出力する。なお、電力変換装置101は、直流電力または変換した交流電力を、負荷へ出力する構成であってもよい。
【0026】
また、電力変換装置101は、たとえば、電力系統から受けた交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を蓄電池2へ出力する。
【0027】
発電装置1は、太陽電池モジュール、または風力発電等の他の種類の発電が可能な装置である。たとえば、発電装置1は、図示しない複数組の太陽電池パネルにより構成される。各組の太陽電池パネルは、太陽光を受けると、受けた太陽光のエネルギーを直流電力に変換し、変換した直流電力を電力変換装置101へ出力する。
【0028】
蓄電池2は、自己に蓄えられた直流電力を電力変換装置101へ出力する。また、蓄電池2は、電力系統から出力された電力を電力変換装置101経由で受けると、当該電力を自己に蓄える。
【0029】
<電力変換装置>
[全体構成]
図2は、本発明の実施の形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【0030】
図2を参照して、電力変換装置101は、6つのスイッチ部11a,11b,11c,11d,11e,11fと、第1入力フィルタ12と、第2入力フィルタ13と、第1コンバータ回路14と、第2コンバータ回路15と、インバータ回路16と、出力フィルタ17と、端子台18とを含む。以下、スイッチ部11a,11b,11c,11d,11e,11fの各々を、「スイッチ部11」とも称する。
【0031】
端子台18は、自己の電力変換装置101における内部配線と、電力系統側の配線とを接続する。
【0032】
たとえば、スイッチ部11a,11b,11c,11d,11eの各々の第1端は、発電装置1a,1b,1c,1d,1eにそれぞれ接続される。スイッチ部11fの第1端は、蓄電池2に接続される。また、スイッチ部11a,11b,11cの各々の第2端は、第1入力フィルタ12に接続され、スイッチ部11d,11e,11fの各々の第2端は、第2入力フィルタ13に接続される。
【0033】
スイッチ部11a,11b,11cは、たとえば、図示しない制御部による制御に従って、自己に接続された発電装置1と第1入力フィルタ12との接続および非接続を切り替える。
【0034】
スイッチ部11d,11e,11fは、スイッチ部11a,11b,11cと同様に、たとえば、図示しない制御部による制御に従って、自己に接続された発電装置1または蓄電池2と第2入力フィルタ13との接続および非接続を切り替える。
【0035】
発電装置1aと第1入力フィルタ12とが接続されると、発電装置1aから出力された直流電圧は、スイッチ部11aおよび第1入力フィルタ12を介して第1コンバータ回路14へ出力される。
【0036】
また、発電装置1bと第1入力フィルタ12とが接続されると、発電装置1bから出力された直流電圧は、スイッチ部11bおよび第1入力フィルタ12を介して第1コンバータ回路14へ出力される。
【0037】
また、発電装置1cと第1入力フィルタ12とが接続されると、発電装置1cから出力された直流電圧は、スイッチ部11cおよび第1入力フィルタ12を介して第1コンバータ回路14へ出力される。
【0038】
また、発電装置1dと第2入力フィルタ13とが接続されると、発電装置1dから出力された直流電圧は、スイッチ部11dおよび第2入力フィルタ13を介して第2コンバータ回路15へ出力される。
【0039】
また、発電装置1eと第2入力フィルタ13とが接続されると、発電装置1eから出力された直流電圧は、スイッチ部11eおよび第2入力フィルタ13を介して第2コンバータ回路15へ出力される。
【0040】
また、蓄電池2と第2入力フィルタ13とが接続されると、蓄電池2から出力された直流電圧は、スイッチ部11fおよび第2入力フィルタ13を介して第2コンバータ回路15へ出力される。
【0041】
発電装置1からの直流電圧は、第1入力フィルタ12において高周波ノイズが除去されて、第1コンバータ回路14へ出力される。また、発電装置1または蓄電池2からの直流電圧は、第2入力フィルタ13において高周波ノイズが除去されて、第2コンバータ回路15へ出力される。
【0042】
第1コンバータ回路14は、スイッチ部11および第1入力フィルタ12を介して発電装置1から受けた直流電圧を昇圧してインバータ回路16へ出力する。
【0043】
第2コンバータ回路15は、スイッチ部11および第2入力フィルタ13を介して発電装置1または蓄電池2から受けた直流電圧を昇圧してインバータ回路16へ出力する。
【0044】
インバータ回路16は、第1コンバータ回路14または第2コンバータ回路15から受けた直流電圧を交流電圧に変換し、変換後の交流電圧を、出力フィルタ17および端子台18を介して電力系統へ出力する。インバータ回路16からの交流電圧は、出力フィルタ17において高周波ノイズが除去されて、電力系統へ出力される。
【0045】
また、電力系統からの交流電力は、端子台18および出力フィルタ17を経由して、インバータ回路16へ出力される。
【0046】
インバータ回路16は、端子台18および出力フィルタ17を介して電力系統から受けた交流電圧を直流電圧に変換し、変換後の直流電圧を第2コンバータ回路15へ出力する。
【0047】
第2コンバータ回路15は、インバータ回路16からの直流電圧を降圧し、降圧後の直流電圧を、第2入力フィルタ13およびスイッチ部11fを介して蓄電池2へ出力する。
【0048】
[筐体および放熱部]
(概略構成)
図3は、本発明の実施の形態に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。また、
図4は、本発明の実施の形態に係る電力変換装置の構成を示す平面図である。
【0049】
図3および
図4を参照して、電力変換装置101は、さらに、筐体20と、放熱部21と、第1基板24と、第2基板25と、第3基板26とを含む。放熱部21は、3つの主ヒートシンク31a,31b,31cと、補助ヒートシンク32と、3つのシール部材33a,33b,33cとを有する。以下、主ヒートシンク31a,31b,31cの各々を、「主ヒートシンク31」とも称する。
【0050】
第1基板24には、第1コンバータ回路14に含まれるスイッチング素子およびコイルなどの1または複数の電気部品が実装される。第2基板25には、第2コンバータ回路15に含まれるスイッチング素子およびコイルなどの1または複数の電気部品が実装される。第3基板26には、インバータ回路16に含まれるスイッチング素子およびコイルなどの1または複数の電気部品が実装される。
【0051】
筐体20は、上述した6つのスイッチ部11、第1入力フィルタ12、第2入力フィルタ13、第1コンバータ回路14、第2コンバータ回路15、インバータ回路16、出力フィルタ17、端子台18、および補助ヒートシンク32を内部に収容する。
図3および
図4では、放熱に関する構成を主に示している。
【0052】
図3に示すように、筐体20の1つの外面である面Pには、たとえば、3つの開口部28a,28b,28cが形成されている。
【0053】
主ヒートシンク31a,31b,31cは、たとえばアルミなどの材料を用いて形成された熱伝導部材である。主ヒートシンク31a,31b,31cは、たとえば同一部材である。これにより、電力変換装置101の製造コストを抑えることができる。
【0054】
また、主ヒートシンク31a,31b,31cは、筐体20の外部に設けられ、筐体20の外部から面Pに当接されることにより、開口部28a,28b,28cをそれぞれ介して、筐体20の内部に設けられた補助ヒートシンク32に接続される。また、シール部材33a,33b,33cは、主ヒートシンク31a,31b,31cと面Pとの間にそれぞれ設けられる。
【0055】
より詳細には、主ヒートシンク31a,31b,31cの各々は、たとえば、凹凸の無いフラットな面を有し、フラットな面において、開口部28a,28b,28cをそれぞれ覆うように、シール部材33a,33b,33cを介して面Pに当接される。これにより、主ヒートシンク31a,31b,31cと面Pとの間から筐体20の内部への液体等の進入を防ぐことができる。
【0056】
なお、主ヒートシンク31は、3つに限らず、2つまたは4つ以上設けられてもよい。また、筐体20は、3つの開口部28a,28b,28cが形成されている構成に限られず、たとえば、1つ、2つ、または4つ以上の開口部が形成されてもよい。
【0057】
一方、筐体20に形成されている開口部の数と、主ヒートシンク31の数とが一致している場合、すなわち、筐体20に3つの開口部28a,28b,28cが形成されている場合、主ヒートシンク31a,31b,31cと開口部28a,28b,28cとの間の防水構造を簡易な構造とすることができる。
【0058】
第1基板24は、開口部28aを介して、主ヒートシンク31aと対向する位置に設けられる。第2基板25は、開口部28bを介して、主ヒートシンク31bと対向する位置に設けられる。第3基板26は、開口部28cを介して、主ヒートシンク31cと対向する位置に設けられる。
【0059】
補助ヒートシンク32は、熱伝導部材であり、主ヒートシンク31aと主ヒートシンク31bとを接続し、かつ主ヒートシンク31bと主ヒートシンク31cとを接続する。補助ヒートシンク32は、高温の主ヒートシンク31の熱を、低温の他の主ヒートシンク31へ分散させることができる。
【0060】
なお、補助ヒートシンク32は、1つに限らず、複数設けられてもよい。また、補助ヒートシンク32は、筐体20の外部に設けられてもよい。
【0061】
(3つの基板と主ヒートシンクとの位置関係)
図5は、
図4におけるV−V線に沿った断面を示す断面図である。
【0062】
図5を参照して、上述のとおり、第1基板24には、第1コンバータ回路14に含まれる電気部品51が実装されている。第2基板25には、第2コンバータ回路15に含まれる電気部品52が実装されている。第3基板26には、インバータ回路16に含まれる電気部品53が実装されている。
【0063】
図5に示すように、電気部品51,52,53は、たとえばディスクリート部品である。なお、電気部品51,52,53は、基板に表面実装されるSMD(Surface Mount Device)などであってもよい。
【0064】
電気部品51は、開口部28aにおいて、図示しないグリス等を介して、主ヒートシンク31aに接続される。電気部品52は、開口部28bにおいて、図示しないグリス等を介して、主ヒートシンク31bに接続される。電気部品53は、開口部28cにおいて、図示しないグリス等を介して、主ヒートシンク31cに接続される。
【0065】
なお、電気部品51,52,53は、グリスの代わりに、それぞれ、絶縁体である熱伝導シートなどを介して主ヒートシンク31a,31b,31cに接続されてもよいし、主ヒートシンク31a,31b,31cに直接接続されてもよい。
【0066】
また、主ヒートシンク31a,31b,31cのうち、電気部品51,52,53が接続されていない主ヒートシンク31が存在してもよい。たとえば、主ヒートシンク31a,31b,31cのうちのいずれか1つに電気部品51,52,53が接続され、残りの主ヒートシンク31には電気部材が接続されていない構成であってもよい。
【0067】
主ヒートシンク31a,31b,31cは、それぞれ、フィン部35a,35b,35cを有する。フィン部35a,35b,35cは、たとえば、筐体20における面Pに対して垂直方向に延びる複数の棒状部材により形成されている。フィン部35a,35b,35cが筐体20の外部の空気と接触することにより、主ヒートシンク31a,31b,31cは、自己に接続された電気部品51,52,53を放熱することができる。
【0068】
さらに、上述のとおり、各主ヒートシンク31は、
図3に示す補助ヒートシンク32を介して接続されており、補助ヒートシンク32が、高温の主ヒートシンク31の熱を、低温の他の主ヒートシンク31へ分散させることができるため、第1基板24、第2基板25および第3基板26のうちの一部が偏って高温になることを防ぐことができる。
【0069】
なお、主ヒートシンク31a,31b,31cは、自己に接続された電気部品51,52,53の熱を筐体20の外部へ放熱することのできるものであれば、フィン部を有していない構成であってもよい。
【0070】
(主ヒートシンクと補助ヒートシンクとの位置関係)
図6は、
図4におけるVI−VI線に沿った断面を示す断面図である。
【0071】
図6を参照して、補助ヒートシンク32は、たとえば、全体として板形状の部材であり、かつ面Pに対して略平行に設けられる板部36と、板部36から面P側へ突出した3つの凸部38a,38b,38cとを有する。凸部38a,38b,38cの高さは、たとえば、面Pの厚さと同じである。
【0072】
凸部38aは、図示しないグリス等を介して、開口部28aにおいて主ヒートシンク31aに接続される。凸部38bは、図示しないグリス等を介して、開口部28bにおいて主ヒートシンク31bに接続される。凸部38cは、図示しないグリス等を介して、開口部28cにおいて主ヒートシンク31cに接続される。
【0073】
なお、凸部38a,38b,38cは、グリスの代わりに、それぞれ、絶縁体である熱伝導シートなどを介して主ヒートシンク31a,31b,31cに接続されてもよいし、主ヒートシンク31a,31b,31cに直接接続されてもよい。
【0074】
また、補助ヒートシンク32は、凸部38a,38b,38cを有していなくてもよい。この場合、たとえば、補助ヒートシンク32と主ヒートシンク31とを接続するための他の部材が設けられる。
【0075】
再び
図3および
図4を参照して、補助ヒートシンク32は、第1基板24、第2基板25および第3基板26と重ならない位置に設けられる。このような構成により、面Pに対して垂直方向における筐体20のサイズが大きくなることを防ぐことができる。
【0076】
<変形例1>
補助ヒートシンク32は、単一の部材により構成されるものに限らず、複数の部材により構成されてもよい。
【0077】
図7は、本発明の実施の形態の変形例1に係る電力変換装置における補助ヒートシンクの構成を示す断面図である。
図7は、
図3に示す電力変換装置101を
図6に示すように見た場合と同じ見方で、変形例1に係る電力変換装置101を見た図である。
【0078】
図7を参照して、たとえば、本発明の実施の形態の変形例1に係る補助ヒートシンク32は、第1補助ヒートシンク41と、第2補助ヒートシンク42とを有する。
【0079】
第1補助ヒートシンク41は、主ヒートシンク31aと主ヒートシンク31bとを接続する。また、第2補助ヒートシンク42は、主ヒートシンク31bと主ヒートシンク31cとを接続する。
【0080】
より詳細には、第1補助ヒートシンク41は、たとえば、板部46aと、板部46aから面P側へ突出した2つの凸部47a,47bとを有する。凸部47aは、図示しないグリス等を介して、開口部28aにおいて主ヒートシンク31aに接続される。凸部47bは、図示しないグリス等を介して、開口部28bにおいて主ヒートシンク31bに接続される。
【0081】
また、第2補助ヒートシンク42は、たとえば、板部46bと、板部46bから面P側へ突出した2つの凸部48a,48bを有する。凸部48aは、図示しないグリス等を介して、開口部28bにおいて主ヒートシンク31bに接続される。凸部48bは、図示しないグリス等を介して、開口部28cにおいて主ヒートシンク31cに接続される。
【0082】
変形例1において、第1補助ヒートシンク41は、主ヒートシンク31aと主ヒートシンク31bとの熱の偏りを小さくすることができる。また、第2補助ヒートシンク42は、主ヒートシンク31bと主ヒートシンク31cとの熱の偏りを小さくすることができる。
【0083】
一方で、この構成では、たとえば、主ヒートシンク31aから主ヒートシンク31cまで熱が伝導する際、
図6において破線で示すように、主ヒートシンク31aからの熱は、グリスの塗布部分を4箇所経由する。
【0084】
すなわち、主ヒートシンク31aからの熱は、主ヒートシンク31aと第1補助ヒートシンク41との間におけるグリスの塗布部分、第1補助ヒートシンク41と主ヒートシンク31bとの間におけるグリスの塗布部分、主ヒートシンク31bと第2補助ヒートシンク42との間におけるグリスの塗布部分、および第2補助ヒートシンク42と主ヒートシンク31cとの間におけるグリスの塗布部分を経由する。
【0085】
これに対して、
図6において破線で示すように、補助ヒートシンク32が単一の部材により構成されている場合、主ヒートシンク31aから主ヒートシンク31cまで熱が伝導する際、主ヒートシンク31aからの熱は、グリスの塗布された部分を2箇所経由する。
【0086】
すなわち、主ヒートシンク31aからの熱は、主ヒートシンク31aと補助ヒートシンク32との間におけるグリスの塗布部分、および補助ヒートシンク32と主ヒートシンク31cとの間におけるグリスの塗布部分を経由する。
【0087】
このように、補助ヒートシンク32が単一の部材により構成されている方が、より少ない塗布部分を経由して複数の主ヒートシンク31間における熱の伝導を行うことができる。このため、複数の主ヒートシンク31間における熱の分散をより効率的に行うことができる。
【0088】
<変形例2>
第1基板24、第2基板25および第3基板26は、補助ヒートシンク32に接続されてもよい。
【0089】
図8は、本発明の実施の形態の変形例2に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。また、
図9は、
図8におけるIX−IX線に沿った断面を示す断面図である。
【0090】
図8を参照して、たとえば、本発明の実施の形態の変形例2に係る電力変換装置101では、第1基板24、第2基板25および第3基板26は、補助ヒートシンク32を介して、主ヒートシンク31a,31b,31cにそれぞれ接続される。
【0091】
より詳細には、
図9を参照して、補助ヒートシンク32は、
図6に示す補助ヒートシンク32と同様の構成であり、主ヒートシンク31aと主ヒートシンク31bとを接続し、かつ主ヒートシンク31bと主ヒートシンク31cとを接続する。
【0092】
そして、第1基板24に実装された複数の電気部品51、第2基板25に実装された複数の電気部品52、および第3基板26に実装された複数の電気部品53は、図示しないグリス等を介して補助ヒートシンク32に接続される。
【0093】
これにより、電気部品51,52,53の各々の熱は、補助ヒートシンク32において分散された後に各主ヒートシンク31へ伝導されるため、複数の主ヒートシンク31間の温度差を抑制し、効率的に放熱を行うことができる。
【0094】
なお、第1基板24、第2基板25および第3基板26のうちの一部が補助ヒートシンク32に接続され、残りが主ヒートシンク31に接続される構成であってもよい。
【0095】
ところで、特許文献1に記載のようなパワーコンディショナ装置において、コンバータ回路およびインバータ回路に含まれる電気部品は、高温になると正常に動作することができない可能性があるため、各回路が高熱になることを防ぐ必要がある。また、各回路における電圧および電流が異なる場合、各回路の電力損失に差が生じるため、各回路間で温度差が生じる。このような各回路を効率的に放熱することのできる技術が望まれている。
【0096】
これに対して、本発明の実施の形態に係る電力変換装置101では、電気部品51,52,53は、主ヒートシンク31または補助ヒートシンク32に接続される。また、補助ヒートシンク32は、複数の主ヒートシンク31を接続する。
【0097】
このように、電気部品51,52,53の熱を、主ヒートシンク31または補助ヒートシンク32により放熱するとともに、補助ヒートシンク32が複数の主ヒートシンク31を接続する構成により、複数の主ヒートシンク31間の温度差を抑制し、温度の異なる電気部品51,52,53の放熱を効率的に行うことができる。
【0098】
ここで、複数の電気部品51,52,53の温度差を抑制するために、たとえば、複数の電気部品51,52,53を共通の主ヒートシンクに接続する構成が考えられる。しかしながら、このような構成では、主ヒートシンクを大型化する必要があり、重量の増加および製造コストの増加が問題となる。
【0099】
これに対して、上記のように、主ヒートシンク31を複数設け、これら複数の主ヒートシンク31を補助ヒートシンク32により接続する構成により、大きな主ヒートシンクを設けることなく、温度の異なる複数の電気部品51,52,53を効率的に放熱することができる。そして、電力変換装置101の軽量化、および製造コストの削減を実現することができる。
【0100】
また、本発明の実施の形態に係る電力変換装置101では、複数の電気部品51,52,53を収容する筐体20に、開口部28a,28b,28cが形成されている。また、複数の主ヒートシンク31は、筐体20の外部に設けられ、補助ヒートシンク32は、筐体20の内部に設けられる。そして、複数の主ヒートシンク31は、それぞれ、開口部28a,28b,28cを介して補助ヒートシンク32に接続される。
【0101】
このような構成により、開口部28a,28b,28cと主ヒートシンク31との間を封止することで、筐体20内部への液体等の進入を防ぐことが可能となり、防水構造を簡易化することができる。
【0102】
また、本発明の実施の形態に係る電力変換装置101では、補助ヒートシンク32は、複数の凸部38a,38b,38cを含む。また、複数の凸部38a,38b,38cは、複数の開口部28a,28b,28cにおいて、複数の主ヒートシンク31にそれぞれ接続される。
【0103】
このように、複数の主ヒートシンク31が、互いに異なる開口部28a,28b,28cにおいて筐体20の内部における補助ヒートシンク32に接続されている構成により、主ヒートシンク31と開口部28a,28b,28cとの間の防水構造をより簡易化することができる。
【0104】
また、補助ヒートシンク32に複数の凸部38a,38b,38cを設ける構成により、複数の主ヒートシンク31を、複数の開口部28a,28b,28cを介して筐体20の内部における1つの補助ヒートシンク32にそれぞれ接続することができる。すなわち、主ヒートシンク31と補助ヒートシンク32との接続構造を簡易化することができる。
【0105】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0106】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0107】
[付記1]
複数の電気部品と、
複数の主ヒートシンクと、
補助ヒートシンクと、
前記複数の電気部品を収容する筐体と、
前記電気部品が実装される複数の基板と、
シール部材とを備え、
前記電気部品は、前記主ヒートシンクまたは前記補助ヒートシンクに接続され、
前記補助ヒートシンクは、前記複数の主ヒートシンクを接続し、
前記主ヒートシンクは、フラットな面を含み、前記フラットな面において、前記シール部材を介して前記筐体に接続され、
前記補助ヒートシンクは単一の部材であり、
前記基板および前記主ヒートシンクは、同じ数ずつ設けられ、
前記複数の主ヒートシンクに、それぞれ、複数の前記基板が接続される、電力変換装置。