(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の供給口は、前記グリップの長手方向に見て前記エンドキャップ部とは反対方向に向けて開口していることを特徴とする、請求項1記載のエアダスタ付き空気圧工具。
前記第2の供給口は、前記グリップの長手方向に見て前記第1の供給口よりも前記エンドキャップ部側で開口していることを特徴とする、請求項1記載のエアダスタ付き空気圧工具。
前記第2の供給口付近に、前記第2の供給口への液体の入り込みを防止するための突起が設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアダスタ付き空気圧工具。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0012】
本実施形態に係る空気圧工具10は、外部から供給された圧縮空気を使用してファスナーを打ち出すものであり、この外部から供給された圧縮空気を使用して噴出し口からエアを噴き出すエアダスタ構造を備えている。このように空気圧工具10がエアダスタ構造を備えることで、工具を持ち替えなくても、ファスナーによる打ち込みと、エアダスタによる清掃とを行うことができる。
【0013】
この空気圧工具10は、
図1に示すように、内部に打撃機構19を備えた出力部11と、出力部11から直交方向に突出するように設けられたグリップ12と、グリップ12に操作可能に設けられたトリガ13と、出力部11の先端に突出するように設けられたノーズ部14と、ノーズ部14の後方に接続されたマガジン15と、エアダスタ構造を作動させるために押下操作可能に設けられた操作部17と、を備える。
【0014】
出力部11に内蔵された打撃機構19は、圧縮空気の力を利用してドライバを作動させ、ドライバによってファスナーを打ち込むようになっている。ドライバは、ファスナーを打ち出すためにノーズ部14の方向へと移動可能となっている。打ち込み方向に移動したドライバは、ノーズ部14内にセットされたファスナーを打ち出す。ドライバによって打ち出されたファスナーは、ノーズ部14の先端に開口する射出口14aから射出される。
【0015】
この空気圧工具10を作業者が使用するときには、グリップ12を握り込んで把持し、トリガ13を引き操作する。この操作により上記した打撃機構19が作動してファスナーが打ち出される。
【0016】
なお、マガジン15内には、連結ファスナーが収容されており、この連結ファスナーの先頭のファスナーがノーズ部14の方向(打ち込み動作前のドライバの真下)へと順次供給されるようになっている。
【0017】
上記した打撃機構19及びエアダスタ構造を作動させるための圧縮空気は、エアコンプレッサ等のエア供給源から供給される。具体的には、コンプレッサ等に接続されたエア供給用のエアホースが、グリップ12の後端に設けられたエンドキャップ部16に接続され、このエアホースを介して圧縮空気が供給される。エンドキャップ部16から供給された圧縮空気は、グリップ12の内部に形成された給気経路(後述する第1の供給路21および第2の供給路22)を通過して、打撃機構19およびエアダスタ構造に供給される。
【0018】
詳しくは、エンドキャップ部16には、後方に向けてプラグ接続管25が突出している。このプラグ接続管25は、エア供給用のエアホースを接続するための管である。このプラグ接続管25の先端部にエアホースを接続可能な接続部25aが設けられている。この接続部25aは、グリップ12の内部空間と連通する開口を備えており、接続部25aにエアホースを接続したときにこの開口から圧縮空気を取り入れられるように形成されている。
【0019】
次に、本実施形態に係る打撃機構19は、ヘッドバルブ40と、エアチャンバ41と、シリンダ42と、ピストン43と、を備えている。
【0020】
ヘッドバルブ40は、シリンダ42内への圧縮空気の流入を制御するための筒状の弁体である。このヘッドバルブ40は、シリンダ42の外周に配設されており、軸方向に摺動可能となっている。また、エアチャンバ41は、ピストン43を付勢するための圧縮空気を貯留する空気室である。このエアチャンバ41は、後述する第1の供給路21と常時連通している。
【0021】
この打撃機構19においては、トリガ13が操作されると、ヘッドバルブ40が開き方向に作動し、エアチャンバ41内の圧縮空気がシリンダ42内のピストン43の上面に供給される。これにより、ピストン43が下方に駆動されて、ピストン43の先端に固定されたドライバによって釘を打撃されるようになっている。
【0022】
また、本実施形態に係るエアダスタ構造においては、操作部17が操作されたときに、ノーズ部14付近で開口する噴出し口(図示せず)から圧縮空気が噴き出すようになっている。なお、本実施形態に係る操作部17は、
図1に示すように、作業者がグリップ12を把持したときに、グリップ12を把持した手で操作可能な位置に配置されている。具体的には、グリップ12を右手で握ったときに、右手の親指で操作可能な位置に配置されている。
【0023】
この操作部17は、
図2に示す開閉弁18を操作するためのものである。開閉弁18は、操作部17の押下操作に連動して摺動し、噴出し口への圧縮空気の供給経路を遮断または開放し、かつ、噴出し口への圧縮空気の供給量を調節できるように構成されている。この開閉弁18はバネなどの付勢部材によって突出方向に付勢されている。この付勢力によって、開閉弁18は自然状態において圧縮空気の供給経路を遮断した状態を維持するように構成されている。そして、この付勢部材の付勢力に抗して操作部17が押し込み操作されたときに、開閉弁18が管路を開放する方向に移動するようになっている。開閉弁18の上流側は、後述する第2の供給路22と連通しており、また、開閉弁18の下流側は、噴出し口へと延設されたエアダスタ管路と連通しているため、開閉弁18が管路を開放すると、第2の供給路22から噴出し口へと圧縮空気が供給されるようになっている。
【0024】
ところで、本実施形態に係るグリップ12の内部は、
図2に示すように、エア供給源から供給された圧縮空気を貯留できるように構成されている。この圧縮空気を貯留した空間は、打撃機構19へ圧縮空気を供給する第1の供給路21を形成している。
【0025】
この第1の供給路21へ圧縮空気を取り込むための第1の供給口23は、エンドキャップ部16からグリップ12の内部へと突出する導入管路27の先端に開口している。なお、導入管路27の上流側には、プラグ接続管25の内部に形成された接続管路26が配置されている。この導入管路27と接続管路26とは、互いに平行に配置されたまっすぐな管路であるが、互いに中心がずれるように配置されている。本実施形態においては、導入管路27の出口である第1の供給口23と、接続管路26の出口である供給口26aとは、軸方向に投影したときに重ならないように配置されている。このような構成により、接続管路26から供給された圧縮空気は、供給口26aを経由して導入管路27へと流れ、その後に第1の供給口23から第1の供給路21へと流れるようになっている。
【0026】
また、この第1の供給路21の内部には、パイプ28が取り付けられている。このパイプ28は、その中空部によってエアダスタ構造へ圧縮空気を供給する第2の供給路22を形成している。
【0027】
また、このパイプ28の上流側の開口は、第2の供給路22へ圧縮空気を取り込むための第2の供給口24を形成している。一方、このパイプ28の下流側の端部は、開閉弁18の上流側へと続く管路に接続されている。
【0028】
本実施形態においては、
図3に示すように、パイプ28の上流側の先端部がエンドキャップ部16に嵌合して固定されている。具体的には、エンドキャップ部16の内側の面に凹陥部33を設け、この凹陥部33にパイプ28の上流側の先端部を挿し込んで固定している。このため、第2の供給口24がエンドキャップ部16の内側の面に臨むようになっている。ただし、第2の供給口24とエンドキャップ部16の内側の面との間には間隙32が設けられている。この間隙32は、グリップ12の内部、すなわち第1の供給路21と連通しており、この間隙32へ第1の供給路21から圧縮空気が流入できるように構成されている。このため、この間隙32を介して第2の供給口24から圧縮空気が第2の供給路22へ導入されるようになっている。
【0029】
このような実施形態によれば、分岐管路や逆止弁等を設ける必要がないので、構造をシンプルにすることができる。また、グリップ12の内部に第2の供給口24が開口しているので、上流側のきれいなエアをエアダスタに供給することができる。しかも、第1の供給口23と第2の供給口24とが互いに対向しない方向に開口しているため、第1の供給口23から供給されて第1の供給路21を流れるエア及びオイルの流れから外れた位置に第2の供給口24を設けることができる。よって、注油したオイルがエアダスタ側に入り込むことを防止できる。
【0030】
しかも、第2の供給口24がグリップ12の長手方向に見て第1の供給口23よりもエンドキャップ部16側(
図3においては右側)で開口するため、第1の供給路21の流れから外れた位置に第2の供給口24を設けることができるので、注油したオイルがエアダスタ側に入り込むことを効果的に防止できる。
【0031】
(変形例1)
上記した実施形態においては、パイプ28の上流側の開口が第2の供給口24を形成し、第2の供給口24に臨む間隙32を介して圧縮空気を第2の供給路22へ導入するようにしたが、これに限らず、パイプ28の中途部に第2の供給口24を形成してもよい。
【0032】
すなわち、
図4に示すように、パイプ28の中途部に、側方に開口する第2の供給口24を形成し、この第2の供給口24を介して圧縮空気を第2の供給路22へ導入するようにしてもよい。この第2の供給路22は、側方に開口することで、第1の供給路21の流路方向とは異なる方向に開口している。
【0033】
なお、本実施形態に係る第2の供給口24は、第1の供給口23に臨む面とは反対側の面に開口している。よって、第1の供給路21の流れから外れた位置に第2の供給口24を設けられているので、注油したオイルがエアダスタ側に入り込むことを効果的に防止できる。
【0034】
なお、この変形例1においては、
図3に示すような間隙32を設ける必要はなく、パイプ28の上流側の開口はエンドキャップ部16の内側の面で塞いでしまってもよい。
【0035】
(変形例2)
上記した実施形態においては、パイプ28の上流側の端部をエンドキャップ部16に嵌合固定したが、これに限らず、パイプ28の上流側の端部を固定しなくてもよい。
【0036】
すなわち、
図5に示すように、パイプ28の上流側の端部を第1の供給路21内に突出させた状態にし、このパイプ28の上流側の開口を使用して第2の供給口24を形成してもよい。
【0037】
このようにした場合でも、第1の供給口23と第2の供給口24とが、互いに軸方向に投影したときに重ならない位置に配置されるようにすれば、第1の供給路21の流れから外れた位置に第2の供給口24を設けることができるので、注油したオイルがエアダスタ側に入り込むことを防止できる。
【0038】
(変形例3)
上記した実施形態においては、パイプ28を使用して第2の供給路22を形成したが、これに限らない。
【0039】
例えば、
図6に示すように、第1の供給路21と第2の供給路22とを区切る隔壁29を設けることで、第2の供給路22を形成してもよい。
【0040】
このようにした場合でも、第1の供給口23と第2の供給口24とが、互いに軸方向に投影したときに重ならない位置に配置されるようにすれば、第1の供給路21の流れから外れた位置に第2の供給口24を設けることができるので、注油したオイルがエアダスタ側に入り込むことを防止できる。
【0041】
(変形例4)
図7に示すように、第2の供給口24付近にオイル溜め部30を設けてもよい。
【0042】
この変形例に係るオイル溜め部30は、
図8に示すように、パイプ28の先端付近に設けられており、周方向に突出したフランジ部30aと、このフランジ部30aの端縁からパイプ28の先端方向に向かって立ち上げ形成された周壁部30bと、を備える。このような構成を備えることで、パイプ28の外周と周壁部30bとの間に、オイルなどの液体を捕えるための溝30cが形成されている。この溝30cは、第2の供給口24と同じ方向に開口している。
【0043】
このような構成によれば、第2の供給口24付近にオイルが付着しても、溝30cでオイルを捕えることができるので、注油したオイルがエアダスタ側に入り込むことを防止できる。
【0044】
なお、粘性のあるオイルを誘引するには、溝30cの幅は小さいほど良い。具体的には、第2の供給口24の径よりも小さく形成することが望ましい。
【0045】
また、溝30cを深くすることで大量のオイルを溜めておくことができる。
【0046】
(変形例5)
上記した変形例4に係るオイル溜め部30は、単なる周方向の溝30cを備えたものであったが、この溝30cに液体を排出するための排出孔30dを設けてもよい。
【0047】
例えば、
図9及び
図10に示すように、フランジ部30aを貫通するように排出孔30dを形成してもよい。この排出孔30dは、第1の供給路21の空気の流れに沿って、上流から下流への方向に貫通形成されている。
【0048】
このような構成によれば、第1の供給路21を空気が流れたときに、溝30cにたまった液体を排出することができる。排出された液体(オイル)は打撃機構19の方向へと流れるので、第2の供給路22にオイルが入り込むことを防止できる。また、溝30cにたまったオイルが排出孔30dから排出されるときに霧状になるので、空気と一緒に打撃機構19の方向へと流れやすくなっている。
【0049】
(変形例6)
上記した実施形態においては、まっすぐなパイプ28を使用して第2の供給路22を形成したが、これに限らない。
【0050】
例えば、
図11に示すように、略J字形のパイプ28を使用して第2の供給路22を形成してもよい。
【0051】
また、
図11に示すように、第2の供給口24が、グリップ12の長手方向に見てエンドキャップ部16とは反対方向(
図11においては左方向)に向けて開口するようにしてもよい。
【0052】
このように構成すれば、第1の供給路21の流れから外れた位置に第2の供給口24を設けることができるので、注油したオイルがエアダスタ側に入り込むことを防止できる。
【0053】
(変形例7)
図12に示すように、第2の供給口24付近に返し形状31を設け、第2の供給口24への液体の入り込みを防止するようにしてもよい。
【0054】
この変形例に係る返し形状31は、略J字形のパイプ28の先端部に部品を取り付けて形成されている。この部品は、パイプ28が貫通する底盤部31aと、底盤部31aの外周部からパイプ28の反先端方向(第1の供給口23の方向)に向かって突出する突出部31bと、を備える。このような構成を備えることで、パイプ28の周囲に凹部31cが形成されている。
【0055】
このような構成によれば、第1の供給口23からの圧縮空気の流れに乗ってオイルが流れてきても、オイルが返し形状31に捕捉されて第2の供給口24の方へ流れにくいので、注油したオイルがエアダスタ側に入り込むことを防止できる。
【0056】
(変形例8)
図13〜15に示すように、排気管45の周囲に第2の供給路22および第2の供給口24を設けてもよい。すなわち、この変形例においては、
図14(a)に示すように、第1の供給路21の内部に排気管45が配置されている。排気管45は、ファスナーの打ち込みに使用したエアを排気するためのものであり、グリップ12の長手方向に沿って配置されている。この排気管45の内部には排気経路45aが形成されている。
【0057】
そして、この排気管45の外周部には、
図14(b)および
図15に示すようなリング部材46が固定されている。リング部材46は、排気管45の長手方向に見て、中間よりも第1の供給路21の下流側(エンドキャップ部16から遠い側)に配設されている。
【0058】
リング部材46は、
図14(b)に示すように、排気管45の外周との間に空間を形成するように取り付けられている。このリング部材46の内周と排気管45の外周との間に形成された空間は、第2の供給路22の一部を形成している。特に図示しないが、この第2の供給路22は、開閉弁18の上流側まで延設されている。
【0059】
また、リング部材46には、第2の供給路22と連通する第2の供給口24が設けられている。第2の供給口24は、第1の供給路21の内部において側方に開口している。この第2の供給路22は、側方に開口することで、第1の供給路21の流路方向とは異なる方向に開口している。本実施形態においては、複数の第2の供給口24が、リング部材46の周方向に間隔を設けて配設されている。
【0060】
リング部材46の外周には、
図15に示すように、フランジ状のリブが形成されている。本実施形態に係るリング部材46は、少なくとも、第1リブ47と、第2リブ48と、の2つのリブを備えている。
【0061】
第1リブ47は、第2の供給口24にオイルが流れ込まないように阻止するためのものである。この第1リブ47は、第1の供給路21におけるエアの供給方向に見て、第2の供給口24よりも上流側に設けられている。
【0062】
また、第2リブ48は、その頂上に第2の供給口24が形成されたリブである。なお、この第2リブ48は、
図15に示すように、周方向において一部が欠けており、これにより逃げ溝48aが形成されている。
【0063】
このような構成によれば、第1の供給口23からの圧縮空気の流れに乗ってオイルが流れてきても、オイルは第1リブ47を乗り越えなければ第2の供給口24に到達できない。言い換えると、第1リブ47によって阻まれて、オイルが第2の供給口24に流れ込みにくくなっている。
【0064】
また、オイルが第1リブ47を乗り越えたとしても、このオイルは逃げ溝48aから下流側に流れるので、第2リブ48の頂上に形成された第2の供給口24へとオイルが流れ込みにくくなっている。よって、オイルが第2の供給路22へと入り込みにくいので、エアダスタのエアと一緒にオイルが噴き出すことを防止できる。