(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870510
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20210426BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20210426BHJP
H01F 41/10 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/00 B
H01F41/10 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-134871(P2017-134871)
(22)【出願日】2017年7月10日
(65)【公開番号】特開2019-16746(P2019-16746A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】大久保 等
(72)【発明者】
【氏名】荒田 正純
(72)【発明者】
【氏名】川原 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】江田 北斗
(72)【発明者】
【氏名】辻合 広樹
【審査官】
小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−103287(JP,A)
【文献】
特開2017−098523(JP,A)
【文献】
特開2016−103591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 17/04
H01F 27/29
H01F 41/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の端面および第2の端面を有する本体部と、該本体部の前記第1の端面および前記第2の端面それぞれに形成された第1外部端子電極および第2外部端子電極とを備え、
前記本体部が、
前記第1の端面と前記第2の端面との対向方向に沿って延在する絶縁基板と、
前記絶縁基板の一方面に形成されるとともに前記第1の端面まで延びて前記第1外部端子電極と接続される外側の端部を有する第1コイル導体パターンと、前記絶縁基板の他方面に形成されるとともに前記第2の端面まで延びて前記第2外部端子電極と接続される外側の端部を有し、かつ、前記絶縁基板の厚さ方向から見て前記第1コイル導体パターンの巻回方向とは反対の巻回方向に巻かれた第2コイル導体パターンと、前記絶縁基板に貫設されて前記第1コイル導体パターンおよび前記第2コイル導体パターンの内側の端部同士を接続するスルーホール導体とを有するコイルと、
前記第1コイル導体パターンおよび前記第2コイル導体パターンそれぞれのターン間、最内周ターンの内側およびに最外周ターンの外側に配置された樹脂壁と、
前記絶縁基板の一方面および他方面に、前記第1コイル導体パターン、前記第2コイル導体パターンおよび前記樹脂壁を覆うように設けられ、かつ、前記本体部の前記第1の端面および前記第2の端面を含む外形を構成する磁性素体と
を有し、
前記本体部の前記第1の端面から、前記第1コイル導体パターンの外側の端部、および、該外側の端部と前記絶縁基板の厚さ方向において重なる重畳部分の前記第2コイル導体パターンの最外周ターンの外側に位置する前記樹脂壁が突出し、
前記本体部の前記第2の端面から、前記第2コイル導体パターンの外側の端部、および、該外側の端部と前記絶縁基板の厚さ方向において重なる重畳部分の前記第1コイル導体パターンの最外周ターンの外側に位置する前記樹脂壁が突出し、
前記本体部の前記第1の端面から突出する前記第1コイル導体パターンの外側の端部および前記第2コイル導体パターンの最外周ターンの外側に位置する前記樹脂壁の前記重畳部分を覆う領域において、前記第1外部端子電極が外方に突出している、コイル部品。
【請求項2】
前記第1コイル導体パターンにおいて、前記最外周ターンの外側に位置する前記樹脂壁の前記重畳部分の幅が前記ターン間に位置する前記樹脂壁の幅より広い、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1外部端子電極および前記第2外部端子電極が樹脂電極である、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1コイル導体パターンおよび前記第2コイル導体パターンが、前記絶縁基板の厚さ方向から見て、前記第1の端面と前記第2の端面との対向方向において対向する2つの半円弧と、該2つの半円弧の端点同士を結ぶ2本の線とで構成された長円形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコイル部品として、たとえば特許文献1には、絶縁基板の両面にそれぞれ形成されたコイル導体パターンを含む磁性体本体を備えたコイル部品が開示されている。本文献のコイル部品では、絶縁基板上に樹脂壁を形成した後、その樹脂壁間を埋めるようにコイル導体パターンをめっき成長している。そのため、樹脂壁は、各コイル導体パターンのターン間、最内周ターンの内側およびに最外周ターンの外側に位置する。また、めっき成長したコイル導体パターンは樹脂壁ごと磁性素体に覆われ、樹脂壁は完成後のコイル部品内に残留する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−103591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来技術に係るコイル部品においては、コイル導体パターンが引き出される対向する端面の全面を覆うように外部端子電極が設けられる。外部端子電極は、接続される一方のコイル導体パターンとの間では電位差は実質的に生じないが、接続されない他方のコイル導体パターンとの間において比較的大きな電位差が生じるため、高い絶縁耐圧が要求される。
【0005】
すなわち、本発明は、絶縁耐圧の向上が図られたコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るコイル部品は、対向する第1の端面および第2の端面を有する本体部と、該本体部の第1の端面および第2の端面それぞれに形成された第1外部端子電極および第2外部端子電極とを備え、本体部が、第1の端面と第2の端面との対向方向に沿って延在する絶縁基板と、絶縁基板の一方面に形成されるとともに第1の端面まで延びて第1外部端子電極と接続される外側の端部を有する第1コイル導体パターンと、絶縁基板の他方面に形成されるとともに第2の端面まで延びて第2外部端子電極と接続される外側の端部を有し、かつ、絶縁基板の厚さ方向から見て第1コイル導体パターンの巻回方向とは反対の巻回方向に巻かれた第2コイル導体パターンと、絶縁基板に貫設されて第1コイル導体パターンおよび第2コイル導体パターンの内側の端部同士を接続するスルーホール導体とを有するコイルと、第1コイル導体パターンおよび第2コイル導体パターンそれぞれのターン間、最内周ターンの内側およびに最外周ターンの外側に配置された樹脂壁と、絶縁基板の一方面および他方面に、第1コイル導体パターン、第2コイル導体パターンおよび樹脂壁を覆うように設けられ、かつ、本体部の一対の端面を含む外形を構成する磁性素体とを有し、本体部の第1の端面から、第1コイル導体パターンの外側の端部、および、該外側の端部と絶縁基板の厚さ方向において重なる重畳部分の第2コイル導体パターンの最外周ターンの外側に位置する樹脂壁が突出し、本体部の第2の端面から、第2コイル導体パターンの外側の端部、および、該外側の端部と絶縁基板の厚さ方向において重なる重畳部分の第1コイル導体パターンの最外周ターンの外側に位置する樹脂壁が突出する。
【0007】
上記コイル部品においては、第1コイル導体パターンは、その最外周ターンの外側に位置する樹脂壁の重畳部分が本体部の第2の端面から突出しており、第1の端面および第2の端面の対面方向における重畳部分の幅(端面方向における長さ)を広く設計することができる。この場合、第2の端面に形成された第2外部端子電極と第1コイル導体パターンの最外周ターンとの間の絶縁耐圧が向上する。第2コイル導体パターンも、その最外周ターンの外側に位置する樹脂壁の重畳部分が本体部の第1の端面から突出しており、第1の端面および第2の端面の対面方向における重畳部分の幅を広く設計することができる。この場合、第1の端面に形成された第1外部端子電極と第2コイル導体パターンの最外周ターンとの間の絶縁耐圧が向上する。
【0008】
本発明の他の側面に係るコイル部品では、第1コイル導体パターンにおいて、最外周ターンの外側に位置する樹脂壁の重畳部分の幅がターン間に位置する樹脂壁の幅より広い。
【0009】
本発明の他の側面に係るコイル部品では、本体部の第1の端面から突出する第1コイル導体パターンの外側の端部および第2コイル導体パターンの最外周ターンの外側に位置する樹脂壁の重畳部分を覆う領域において、第1外部端子電極が外方に突出している。
【0010】
本発明の他の側面に係るコイル部品では、第1外部端子電極および第2外部端子電極が樹脂電極である。この場合、第1外部端子電極および第2外部端子電極と樹脂壁との間において高い結合力が実現される。
【0011】
本発明の他の側面に係るコイル部品では、第1コイル導体パターンおよび第2コイル導体パターンが、絶縁基板の厚さ方向から見て、第1の端面と第2の端面との対向方向において対向する2つの半円弧と、該2つの半円弧の端点同士を結ぶ2本の線とで構成された長円形状を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、絶縁耐圧の向上が図られたコイル部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態に係る平面コイル素子の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す平面コイル素子のIII−III線断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す平面コイル素子の第1導体パターンを示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
本発明の実施形態に係るコイル部品の一種である平面コイル素子の構造について、
図1〜4を参照しつつ説明する。説明の便宜上、図示のようにXYZ座標を設定する。すなわち、平面コイル素子の厚さ方向をZ方向、外部端子電極の対面方向をX方向、Z方向とX方向とに直交する方向をY方向と設定する。
【0016】
平面コイル素子10は、直方体形状を呈する本体部12と、本体部12の対向する一対の端面12a、12bを覆うようにして設けられた一対の外部端子電極14A、14Bとによって構成されている。平面コイル素子10は、一例として、長辺2.5mm、短辺2.0mm、高さ0.8〜1.0mmの寸法で設計される。
【0017】
本体部12は、絶縁基板20と、絶縁基板20に設けられたコイルCとを含んで構成されている。
【0018】
絶縁基板20は、非磁性の絶縁材料で構成された板状部材であり、その厚さ方向から見てX方向に長い略長円環状の形状を有している。絶縁基板20の中央部分には、X方向に長い長円形状の貫通孔20cが設けられている。本明細書において、長円形状および長円環状とは、対向する2つの半円弧と、該2つの半円弧の端点同士を結ぶ2本の線とで構成された形状を意味する。半円弧の端点同士を結ぶ2本の線は、直線であっても曲線であってもよい。このような形状には楕円も含まれる。絶縁基板20としては、ガラスクロスにエポキシ系樹脂が含浸された基板で、板厚10μm〜60μmのものを用いることができる。なお、エポキシ系樹脂のほか、BTレジン、ポリイミド、アラミド等を用いることもできる。絶縁基板20の材料としては、セラミックやガラスを用いることもできる。絶縁基板20の材料としては、大量生産されているプリント基板材料が好ましく、特にBTプリント基板、FR4プリント基板、あるいはFR5プリント基板に用いられる樹脂材料が最も好ましい。
【0019】
コイルCは、絶縁基板20の一方面20a(
図2における上面)に設けられた平面空芯コイル用の第1導体パターン22Aと、絶縁基板20の他方面20b(
図2における下面)に設けられた平面空芯コイル用の第2導体パターン22Bと、第1導体パターン22Aと第2導体パターン22Bとを接続するスルーホール導体25とを有する。
【0020】
第1導体パターン22A(第1コイル導体パターン)は、平面空芯コイルとなる平面渦巻状パターンであり、Cuなどの導体材料でめっき形成されている。第1導体パターン22Aは、絶縁基板20の貫通孔20c周りに巻回するように形成されている。すなわち、第1導体パターン22Aは、貫通孔20c同様、絶縁基板20の厚さ方向から見てX方向に長い長円形状を呈している。本実施形態では、第1導体パターン22Aは、X方向において対向する2つの半円弧と、該2つの半円弧の端点同士を結ぶ2本の直線とで構成された長円形状を呈している。第1導体パターン22Aは、より詳しくは、
図2および
図4に示すように、上方向(Z方向)から見て外側に向かって右回りに3ターン分だけ巻回されている。以下の説明では、第1導体パターン22Aの3つのターンを、内側から順に、第1ターン23p、第2ターン23q、第3ターン23rとも称す。本実施形態では、第1導体パターン22Aの高さ(絶縁基板20の厚さ方向における長さ)は全長に亘って同一であり、第1ターン23pの高さ、第2ターン23qの高さおよび第3ターン23rの高さは等しい。
【0021】
第1導体パターン22Aの外側の端部22aは、
図3に示すように、本体部12の端面12aから露出するとともに突出している。そして、端面12aから突出した突出部分の外側の端部22aが、端面12aを覆う外部端子電極14Aと接続されている。第1導体パターン22Aの内側の端部22bは、スルーホール導体25に接続されている。
【0022】
第2導体パターン22B(第2コイル導体パターン)も、第1導体パターン22A同様、平面空芯コイルとなる平面渦巻状パターンであり、Cuなどの導体材料でめっき形成されている。第2導体パターン22Bも、絶縁基板20の貫通孔20c周りに巻回するように形成されている。すなわち、第2導体パターン22Bも、第1導体パターン22Aおよび貫通孔20c同様、絶縁基板20の厚さ方向から見てX方向に長い長円形状を呈している。本実施形態では、第2導体パターン22Bは、X方向において対向する2つの半円弧と、該2つの半円弧の端点同士を結ぶ2本の直線とで構成された長円形状を呈している。第2導体パターン22Bは、より詳しくは、上方向(Z方向)から見て外側に向かって左回りに3ターン分だけ巻回されている。すなわち、第2導体パターン22Bは、上方向から見て、第1導体パターン22Aとは反対の方向に巻回されている。第2導体パターン22Bの高さは全長に亘って同一であり、第1導体パターン22Aの高さと同一に設計し得る。
【0023】
第2導体パターン22Bの外側の端部22cも、
図3に示すように、本体部12の端面12bにおいて露出するとともに突出している。そして、端面12bから突出した突出部分の端部22cが、端面12bを覆う外部端子電極14Bと接続されている。第2導体パターン22Bの内側の端部22dは、第1導体パターン22Aの内側の端部22bと、絶縁基板20の厚さ方向において位置合わせされており、スルーホール導体25に接続されている。
【0024】
スルーホール導体25は、絶縁基板20の貫通孔20cの縁領域に貫設されており、第1導体パターン22Aの端部22bと第2導体パターン22Bの端部22dとを接続する。スルーホール導体25は、絶縁基板20に設けられた孔と、その孔に充填された導電材料(たとえばCu等の金属材料)とで構成され得る。スルーホール導体25は、絶縁基板20の厚さ方向に延びる略円柱状または略角柱状の外形を有する。
【0025】
また、
図2および
図3に示すように、第1導体パターン22Aおよび第2導体パターン22Bにはそれぞれ樹脂壁24A、24Bが設けられている。たとえば、第1導体パターン22Aに設けられた樹脂壁24Aは、
図3および
図4に示すように、第1ターン23pの内側に位置する第1樹脂壁24p、第1ターン23pと第2ターン23qとの間に位置する第2樹脂壁24q、第2ターン23qと第3ターン23rとの間に位置する第3樹脂壁24r、第3ターン23rの外側に位置する第4樹脂壁24sとを含む。第4樹脂壁24sは、第2導体パターン22Bの外側の端部22cとZ方向において重畳する重畳部分24aを含んでいる。第2導体パターン22Bに設けられた樹脂壁24Bも、第1導体パターン22Aに設けられた樹脂壁24A同様、第1ターンの内側に位置する第1樹脂壁、第1ターンと第2ターンとの間に位置する第2樹脂壁、第2ターンと第3ターンとの間に位置する第3樹脂壁、第3ターンの外側に位置する第4樹脂壁とを含む。樹脂壁24Bの第4樹脂壁24も、第1導体パターン22Aの外側の端部22aとZ方向において重畳する重畳部分を含んでいる。
【0026】
樹脂壁24A、24Bは、絶縁性の樹脂材料で構成されている。本実施形態では、樹脂壁24A、24Bは、第1導体パターン22Aや第2導体パターン22Bを形成する前に絶縁基板20上に設けられる。そして、樹脂壁24A、24Bにおいて画成された壁間において第1導体パターン22Aや第2導体パターン22Bがめっき成長されている。第1導体パターン22Aおよび第2導体パターン22Bのめっき成長に用いられた樹脂壁24A、24Bが平面コイル素子10内に残留している。
【0027】
本体部12は、
図2、3に示すように、絶縁基板の一方面20aおよび他方面20bを覆うように設けられた磁性素体26を有する。磁性素体26は、金属磁性粉を含む樹脂で構成されている。磁性素体26を構成する樹脂には、たとえば熱硬化性のエポキシ樹脂が用いられ得る。磁性素体26は、絶縁層27を介して、第1導体パターン22A、第2導体パターン22Bおよび樹脂壁24A、24Bを一体的に覆っている。また、磁性素体26は、絶縁基板20の貫通孔20c、第1導体パターン22Aおよび第2導体パターン22Bの内側に充填されている。さらに、磁性素体26は、
図4に示すように、絶縁基板20、第1導体パターン22Aおよび第2導体パターン22Bを外側から覆っている。絶縁層27は、第1導体パターン22A、第2導体パターン22Bと磁性素体26との間に介在するように設けることで、磁性素体26に含まれる金属磁性粉と導体パターンとの間の絶縁性を高めている。絶縁層27は、絶縁樹脂または絶縁磁性材料で構成され得る。
【0028】
磁性素体26は、本体部12の外形を構成している。そのため、本体部12の対向する一対の端面12a、12bは磁性素体26により構成されている。本体部12の対向する一対の端面12a、12bのうち、一方の端面12aから、第1導体パターン22Aの外側の端部22aが露出するとともに突出しており、他方の端面12bから、第2導体パターン22Bの外側の端部22cが露出するとともに突出している。また、一方の端面12aから、樹脂壁24Bの第4樹脂壁24sが露出するとともに突出しており、他方の端面12bから、樹脂壁24Aの第4樹脂壁24sが露出するとともに突出している。
【0029】
一対の外部端子電極14A、14Bのうち、第1外部端子電極14Aは、本体部12の一方の端面12aを覆って、端面12aから露出する第1導体パターン22Aの外側の端部22aと電気的に接続される。第1外部端子電極14Aは、第1導体パターン22Aの外側の端部22aおよび樹脂壁24Bの第4樹脂壁の重畳部分24aが突出する領域において外方に突出する突出部分14aを有する。一対の外部端子電極14A、14Bのうち、第2外部端子電極14Bは、本体部12の他方の端面12bを覆って、端面12bから露出する第2導体パターン22Bの外側の端部22cと電気的に接続される。第2外部端子電極14Bも、第1外部端子電極14A同様、第2導体パターン22Bの外側の端部22cおよび樹脂壁24Aの第4樹脂壁24sの重畳部分24aが突出する領域において外方に突出する突出部分14aを有する。
【0030】
第1外部端子電極14Aおよび第2外部端子電極14Bはいずれも、導電性樹脂で構成された樹脂電極である。そのため、第1外部端子電極14Aおよび第2外部端子電極14Bは、本体部12の端面12a、12bから露出した第4樹脂壁との間で高い結合力を実現し得る。
【0031】
上述した平面コイル素子10においては、第1導体パターン22Aおよび第2導体パターン22Bが絶縁基板20を挟んでおおよそ重畳しており、いずれも絶縁基板20の貫通孔20cを囲むように配置されているため、絶縁基板20の貫通孔20cと第1導体パターン22Aおよび第2導体パターン22Bの空芯部分とにより、コイルCの磁芯部30が画成されている。そして、その磁芯部30に磁性素体26が充填されている。
【0032】
また、平面コイル素子10では、コイルCの第1導体パターン22Aと第2導体パターン22Bとが上方向から見て反対方向に巻回されているため、スルーホール導体25で接続された第1導体パターン22Aと第2導体パターン22Bには一方向に電流を流すことができる。このようなコイルCにおいては、一方向に電流を流したときに第1導体パターン22Aと第2導体パターン22Bとで電流の流れる回転方向が同一となるため、双方で発生する磁束が重畳して強め合う。
【0033】
ここで、樹脂壁24Aの幅(X方向長さ)は、
図4に示すように、第1樹脂壁24p、第2樹脂壁24q、第3樹脂壁24r、および第4樹脂壁24sの幅をそれぞれW11、W21、W31、W41とすると、第4樹脂壁24sの幅W41が、いずれの幅W11、21、31よりも広くなっている。特に、第1導体パターン22Aのターン間に位置する第2樹脂壁24q、第3樹脂壁24rの幅W21、31よりも広くなっている。
【0034】
上述した平面コイル素子10においては、第4樹脂壁24sの重畳部分24aが本体部12の他方の端面12b(第2の端面)から突出しているため、X方向における重畳部分24aの幅に関する制約が緩和されており、幅広の重畳部分24aが実現されている。それにより、
図3に示すように、端面12bに形成された第2外部端子電極14Bと第1導体パターン22Aの第3ターン23r(最外周ターン)との間の絶縁耐圧の向上が実現されている。同様に、第2導体パターン22Bについても、第4樹脂壁の重畳部分24aが本体部12の一方の端面12a(第1の端面)から突出しており、X方向における重畳部分24aの幅に関する制約が緩和されており、幅広の重畳部分24aが実現されていることで、端面12aに形成された第1外部端子電極14Aと第2導体パターン22Bの最外周ターンとの間の絶縁耐圧の向上が実現されている。
【符号の説明】
【0035】
10…平面コイル素子、12…本体部、14A、14B…外部端子電極、20…絶縁基板、22A…第1導体パターン、22B…第2導体パターン、23p…第1ターン、23q…第2ターン、23r…第3ターン、24A、24B…樹脂壁、24a…重畳部分、24p…第1樹脂壁、24q…第2樹脂壁、24r…第3樹脂壁、24s…第4樹脂壁、26…磁性素体、C…コイル。