【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1の非接触給電システムの構成を示した図である。実施例1の非接触給電システムは、
図1のように、2つの電力伝送装置1A、Bと、位置検出部2A、Bと、位相差制御部3と、電源装置4と、によって構成されている。この実施例1の電力供給システムは、車両A、Bの二次電池を非接触で同時に充電するためのシステムである。
【0019】
(電力伝送装置1A、Bについて)
電力伝送装置1Aは、送電コイル10Aと、受電コイル11Aを有している。送電コイル10Aは電源装置4に接続されており、電源装置4から交流電流が供給される。そして、送電コイル10Aに磁界を発生させ、送電コイル10Aから受電コイル11Aへと磁界結合方式によって非接触で電力を伝送する。また、電力伝送装置1Bは、送電コイル10Bと受電コイル11Bを有しており、送電コイル10Bは電源装置4に接続されている。そして、同様にして送電コイル10Bから受電コイル11Bへと非接触で電力を伝送する。電力伝送装置1A、Bは隣接して設けられており、たとえば、送電コイル10A、Bは、駐車場の各区画の路面に埋め込むようにして設置され、受電コイル11A、Bは、各車両A、Bの底面にそれぞれ設置される。
【0020】
送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bは、
図1のように、円形コイルである。送電コイル10A、Bは、駐車場の隣接する区画にそれぞれ設けられており、車両A、Bの駐車位置に対応するように間隔を空けて配置されている。また、その軸方向が路面に垂直となるように配置されていて、送電コイル10A、Bは同一の高さに配置されている。受電コイル11A、Bも同様に、その軸方向が路面に垂直となるように車両A、Bの底面に取り付けられている。また、送電コイル10A、B、および受電コイル11A、Bの巻き方向が同一である。
【0021】
なお、実施例1では、電力伝送装置1A、Bの電力伝送方式として、磁界結合方式を用いているが、他の方式でもよく、電界結合方式や電磁誘導方式でもよい。ただし、送電距離が長いことや位置ずれに対して比較的寛容であることから、実施例1のように磁界結合方式が望ましい。
【0022】
また、実施例では、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの形状を円形としているが、矩形など従来知られている任意の形状でよい。
【0023】
(位置検出部2について)
位置検出部2A、Bは、各車両A、Bの受電コイル11A、Bの中心に設けられた送信部20A、Bと、路面側の送電コイル10A、B近傍に設けられ、送信部20からの電波を受信する受信部21A、Bとを有している。送信部20A、Bは、GPS衛星からの電波を受信して受電コイル11A、Bの中心の位置情報をそれぞれ取得し、その位置情報を受信部21A、Bにそれぞれ送信する。受信部21A、Bは、送信部20A、Bからの位置情報を受信し、位相差制御部3に送信する。
【0024】
なお、実施例1では、受電コイル11A、Bの中心の位置を測定する手段としてGPSを利用しているが、他の衛星測位システムによる位置測定でもよいし、それ以外の任意の位置測定手段を用いてもよい。また、位置を測定できるのであれば車両A、B側、路面側のどちらに位置測定手段を設けてもかまわない。たとえば、ステレオ画像により距離を算出する方法や、レーダーにより距離を算出する方法、光を用いた三角測距、など任意の方法を用いることができる。
【0025】
(位相差制御部3について)
位相差制御部3は、記憶部を有し、送電コイル10A、Bの位置情報を保持している。位相差制御部3は、位置検出部2からの受電コイル11A、11Bの中心の位置情報を元に、送電コイル10Aと受電コイル11Aの中心の位置ずれ、および送電コイル10Bと受電コイル11Bの位置ずれを算出する。位置ずれは、送電コイル10A、Bの中心に対する受電コイル11A、Bの中心の相対的な位置であり、大きさと方向を有するベクトル量である。
【0026】
ここで、位置ずれは、水平方向(送電コイル10A、Bの軸に垂直な面内の方向)のみを考慮する。駐車場など路面上に停車した車両A、Bへの給電を考えると、送電コイル10A、Bから受電コイル11A、Bまでの高さはさほど変化せず、漏洩磁界の強度への影響は小さいためである。もちろん、高さ方向の位置ずれを考慮してもよい。
【0027】
また、送電コイル10A、Bの中心軸と受電コイル11A、Bの中心軸が平行とならずに、角度を成すように位置ずれが生じる場合も考えられる。たとえば路面が傾斜しているときにこのような位置ずれが生じる場合がある。しかし、このような角度のずれも実際上非常に小さくなると考えられ、漏洩磁界の強度への影響は小さい。そのため、実施例1ではこのような角度のずれは考慮しないものとする。もちろん、考慮してもかまわない。
【0028】
以下、送電コイル10Aに対する受電コイル11Aの位置ずれを位置ずれAとし、x軸方向の位置ずれをΔx
A 、y軸方向の位置ずれをΔy
A とする。同様に、送電コイル10Bに対する受電コイル11Bの位置ずれを位置ずれBとし、x軸方向の位置ずれをΔx
B 、y軸方向の位置ずれをΔy
B とする。ここで、座標は
図1のように設定し、x軸方向は、車両A、Bの左右方向で左方向を正の方向とし、y軸方向は、車両A、Bの前後方向で前方向を正の方向とし、z軸方向は、車両A、Bの高さ方向とし、鉛直上方を正の方向とする。
【0029】
また、位相差制御部3は、算出された位置ずれA、Bから、送電コイル10Aに供給する交流電流と、送電コイル10Bに供給する交流電流の位相差を決定する。その位相差の決定方法は、次の通りである。
【0030】
まず、位置ずれA、Bの少なくとも一方が0である場合についてである。つまり少なくとも一方が位置ずれしていない場合であり、具体的には、Δx
A =Δy
A =0、またはΔx
B =Δy
B =0の場合である。この場合には、交流電流の位相差は180°とする。
【0031】
次に、位置ずれA、Bの双方が0でない場合である。つまり、どちらにも位置ずれが生じている場合であり、具体的には、Δx
A 、Δy
A の少なくとも一方は0でなく、かつΔx
B 、Δy
B の少なくとも一方は0でない場合である。この場合、送電コイル10Aに対する受電コイル11Aの位置ずれAの方向と、送電コイル10Bに対する受電コイル11Bの位置ずれBの方向との成す角が、0°以上90°未満であれば、交流電流の位相差を0°とし、90°以上180°以下であれば、交流電流の位相差を180°とする。
【0032】
位相差制御部3は、以上のようにして決定された位相差に基づき、電源装置4を制御し、送電コイル10Aに供給する電流と、送電コイル10Bに供給される電流の位相差を制御する。このように位相差を制御することで、送電コイル10Aから発生する漏洩磁界と、送電コイル10Bから発生する漏洩磁界とが弱め合い、送電コイル10Aと送電コイル10Bとの間の領域の漏洩磁界の強度を低減することができる。
【0033】
なお、位相差の決定方法は上記の方法に限るものではなく、位置ずれの大きさや方向に応じて漏洩磁界が軽減されるように決定されていれば任意の方法でよい。たとえば、位置ずれA、Bと位相差とを対応付けたデータを保持しておき、そのデータに基づき位相差を決定する。この場合、事前にシミュレーションや実測などによって、位置ずれA、Bを変数として、種々の位置ずれA、Bに対して漏洩磁界が低減されるときの位相差を算出しておき、位置ずれA、Bと位相差とを対応づけたデータを作成する。対応づけは機械学習によって行ってもよいし、最小二乗法などの周知の方法による直線、曲線などへの近似であってもよい。また、対応づけは、0〜180°の間で漏洩磁界を低減できるように位相差を選択して決定されていればよく、最も漏洩磁界を低減できる位相差を選択してもよいし、0°と180°のうち、より漏洩磁界を低減できる方を選択するようにしてもよい。0°と180°との選択であれば、より簡便に位置ずれと位相差の対応を決定することができる。
【0034】
また、実施例1では、位相差制御部3において位置情報から位置ずれA、Bを算出するようにしているが、位置検出部2の方で位置ずれA、Bを算出し、その位置ずれA、Bの情報を位相差制御部3に送信するようにしてもよい。また、位置検出部2や位相差制御部3とは独立して位置ずれA、Bの算出部を設けてもよい。
【0035】
(電源装置4について)
電源装置4は、送電コイル10A、Bに交流電流を供給する。送電コイル10Aに供給される電流と送電コイル10Bに供給される交流電流は、周波数、振幅が等しくなるようにし、位相差は位相差制御部3による制御によって所定の位相差となるようにする。
【0036】
次に、実施例1の電力供給システムの動作について説明する。
【0037】
実施例1の電力供給システムでは、駐車場に並んで駐車した2台の車両A、Bに対して、その車両A、Bが搭載する二次電池を充電するために非接触で電力を供給する。電力の供給は、路面に設けられた送電コイル10A、Bと車両A、Bに設けられた受電コイル11A、B間での磁界結合により行う。
【0038】
電源装置4は、送電コイル10A、Bに周波数、振幅の等しい交流電流を供給する。そして、磁界結合により送電コイル10Aから受電コイル11A、送電コイル10Bから受電コイル11Bへそれぞれ電力が伝送する。
【0039】
ここで、送電コイル10A、Bに供給する交流電流に位相差がなく、かつ送電コイル10Aと受電コイル11Aとの間、および送電コイル10Bと受電コイル11Bとの間に位置ずれがない場合には、送電コイル10Aと送電コイル10Bとの間の領域において送電コイル10A、Bから発生する漏洩磁界の方向は等しくなる。そのため、送電コイル10A、Bに供給する交流電流に180°の位相差を設ければ、漏洩磁界の向きが互いに逆方向となり、キャンセルして漏洩磁界の強度を低減できる(
図2参照)。
【0040】
しかし、送電コイル10Aと受電コイル11Aとの間、あるいは、送電コイル10Bと受電コイル11Bとの間に位置ずれがあると、漏洩磁界の向きが変化する(
図3参照)。そのため、位置ずれの大きさや方向によっては、送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を180°にしても、漏洩磁界の強度を低減できない場合がある。
【0041】
そこで実施例1では、送電コイル10Aと受電コイル11Aとの間、および送電コイル10Bと受電コイル11Bとの間の位置ずれの大きさや方向に応じて、送電コイル10Aに供給する交流電流と、送電コイル10Bに供給する交流電流との位相差を決定し、電源装置4の出力する交流電流がそのような位相差となるように位相差制御部3によって制御している。
【0042】
このようにして送電コイル10A、Bに供給する交流電流に、所定の位相差を設けることで、送電コイル10A、Bと受電コイル11A、Bの間に位置ずれがある場合であっても、送電コイル10A、B間の領域における漏洩磁界の強度を低減することができる。
【0043】
特に実施例1のように、送電コイル10Aと受電コイル11Aとの間、送電コイル10Bと受電コイル11Bとの間の、少なくとも一方が位置ずれしていない場合には、交流電流の位相差を180°とし、両方が位置ずれしている場合であって、その位置ずれが同一方向であれば0°、異なる方向であれば180°とすることで、簡便かつ効果的に漏洩磁界の強度を低減することができる。
【0044】
(シミュレーションの結果)
次に、位置ずれと漏洩磁界の強度の関係について、シミュレーションにより考察した結果を示す。シミュレーションにおいて、送電コイル10Aの中心と送電コイル10Bの中心の距離は2500mmとした。また、伝送電力は3.7kW、伝送周波数は85kHzとした。位置ずれは水平面内(xy平面内)でのずれとし、高さ方向(z軸方向)にはずれがないとした。また、送電コイル10A、Bの中心軸と受電コイル11A、Bの中心軸が角度を成すようなずれもないとし、いずれも中心軸はz軸方向に平行な方向であるとした。
【0045】
位置ずれは、
図4〜6の3パターンとした。パターン1は、
図4のように、送電コイル10Aに対する受電コイル11Aの位置ずれAは、Δx
A =100mm、Δy
A =−75mmとし、送電コイル10Bに対する受電コイル11Bの位置ずれBは、Δx
B =100mm、Δy
B =−75mmとした場合である。つまり、位置ずれA、Bの大きさ、方向が同じ場合である。パターン2は、
図5のように、位置ずれAは、Δx
A =100mm、Δy
A =−75mmとし、位置ずれBは、Δx
B =−100mm、Δy
B =−75mmとした場合である。つまり、位置ずれA、Bが互いに遠ざかる方向の場合である。パターン3は、
図6のように、位置ずれAは、Δx
A =−100mm、Δy
A =−75mmとし、位置ずれBは、Δx
B =100mm、Δy
B =−75mmとした場合である。つまり、位置ずれA、Bが互いに近づく方向の場合である。
【0046】
まず、
図4のパターン1の位置ずれの場合であって、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの内径を350mm、外径を450mmとした場合を考察した。
【0047】
図7(a)は、送電コイル10A、Bの面から120mmの高さにおける、xy平面での漏洩磁界の強度分布を示した図である。送電コイル10Aに供給する交流電流と送電コイル10Bに供給する交流電流に位相差は0°とした。
【0048】
図7(a)のように、送電コイル10A、B間に、漏洩磁界の強度が大きい領域が現れることがわかった。
図7(b)は、車両A側面から200mm離れた区間CDでの磁界強度(A/m)を示したグラフである。
図7(b)のように、車両Aの前面から2040mmの位置で磁界強度が最大となっていた。そこで、この位置でのzx平面での漏洩磁界の強度分布について、送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を替えて比較することとした。
【0049】
図8は、zx平面での漏洩磁界の強度分布を示した図であり、
図8(a)は送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を0°とし、
図8(b)は位相差を180°とした場合である。
【0050】
図8(a)のように、位相差を0°とした場合は、車両A、Bの間の領域において、車両A側の送電コイル10Aから発生する漏洩磁界の方向と、車両B側の送電コイル10Bから発生する漏洩磁界の方向とが逆方向となっていた。そのため、漏洩磁界が弱め合って強度が低下していることがわかった。
【0051】
一方、
図8(b)のように、位相差を180°とした場合は、車両A、Bの間の領域において、車両A側の送電コイル10Aから発生する漏洩磁界の方向と、車両B側の送電コイル10Bから発生する漏洩磁界の方向とが同じ方向となっていた。そのため、漏洩磁界が強め合って強度が増加していることがわかった。
【0052】
また、
図9は、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの大きさを内径250mm、外径350mmに変更した場合の、zx平面での漏洩磁界の強度分布を示した図である。
図9(a)は送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を0°とし、
図9(b)は位相差を180°とした場合である。
【0053】
図9のように、
図8の漏洩磁界の強度分布とそれほど変化はなく、位相差を0°とした場合は漏洩磁界の強度を低減でき、位相差を180°とした場合は漏洩磁界の強度が増加することがわかった。
【0054】
この
図8、9の結果、位置ずれA、Bが同一方向であれば、送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を0°とすることで送電コイル10A、B間の領域の漏洩磁界の強度を低減することができることがわかり、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの大きさの影響はないことがわかった。
【0055】
次に、
図5のパターン2の位置ずれの場合であって、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの内径を350mm、外径を450mmとした場合を考察した。
【0056】
図10は、zx平面(y軸方向の位置は
図8と同様)での漏洩磁界の強度分布を示した図であり、
図10(a)は送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を0°とし、
図10(b)は位相差を180°とした場合である。
【0057】
図10(a)のように、位相差を0°とした場合は、車両A、Bの間の領域において、車両A側の送電コイル10Aから発生する漏洩磁界の方向と、車両B側の送電コイル10Bから発生する漏洩磁界の方向とが同じ方向となっていた。そのため、漏洩磁界が強め合って強度が増加していることがわかった。
【0058】
一方、
図10(b)のように、位相差を180°とした場合は、車両A、Bの間の領域において、車両A側の送電コイル10Aから発生する漏洩磁界の方向と、車両B側の送電コイル10Bから発生する漏洩磁界の方向とが逆方向となっていた。そのため、漏洩磁界が弱め合って強度が低下していることがわかった。
【0059】
また、
図11は、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの大きさを内径250mm、外径350mmに変更した場合の、zx平面での漏洩磁界の強度分布を示した図である。
図11(a)は送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を0°とし、
図11(b)は位相差を180°とした場合である。
【0060】
図11のように、
図10の漏洩磁界の強度分布とそれほど変化はなく、位相差を0°とした場合は漏洩磁界の強度が増加し、位相差を180°とした場合は漏洩磁界の強度が低減することがわかった。
【0061】
この
図10、11の結果から、位置ずれA、Bが遠ざかる方向であれば、送電コイル10A、Bに供給する電流の位相差を180°とすることで送電コイル10A、B間の領域の漏洩磁界の強度を低減できることがわかり、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの大きさの影響はないことがわかった。
【0062】
次に、
図6のパターン3の位置ずれの場合であって、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの内径を350mm、外径を450mmとした場合を考察した。
【0063】
図12は、zx平面(y軸方向の位置は
図8と同様)での漏洩磁界の強度分布を示した図であり、
図12(a)は送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を0°とし、
図12(b)は位相差を180°とした場合である。
【0064】
図12(a)のように、位相差を0°とした場合は、車両A、Bの間の領域において、車両A側の送電コイル10Aから発生する漏洩磁界の方向と、車両B側の送電コイル10Bから発生する漏洩磁界の方向とが同じ方向となっていた。そのため、漏洩磁界が強め合って強度が増加していることがわかった。
【0065】
一方、
図12(b)のように、位相差を180°とした場合には、車両A、Bの間の領域において、車両A側の送電コイル10Aから発生する漏洩磁界の方向と、車両B側の送電コイル10Bから発生する漏洩磁界の方向とが逆方向となっていた。そのため、漏洩磁界が弱め合って強度が低下していることがわかった。
【0066】
また、
図13は、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの大きさを内径250mm、外径350mmに変更した場合の、zx平面での漏洩磁界の強度分布を示した図である。
図13(a)は送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を0°とし、
図13(b)は位相差を180°とした場合である。
【0067】
図13のように、
図12の漏洩磁界の強度分布とそれほど変化はなく、位相差を0°とした場合は漏洩磁界の強度が増加し、位相差を180°とした場合は漏洩磁界の強度が低減することがわかった。
【0068】
この
図12、13の結果から、位置ずれA、Bが近づく方向であれば、送電コイル10A、Bに供給する電流の位相差を180°とすることで送電コイル10A、B間の領域の漏洩磁界の強度を低減できることがわかり、送電コイル10A、Bおよび受電コイル11A、Bの大きさの影響はないことがわかった。
【0069】
以上3パターンの位置ずれを考察した結果をまとめると、以下の通りである。2つの位置ずれの方向が同じ場合(すなわち、2つの位置ずれの方向の成す角が0〜90°のとき)は位相差を0°、2つの位置ずれの方向が異なる場合(すなわち、2つの位置ずれの方向の成す角が90〜180°のとき)は位相差を180°とすることで、位置ずれがある場合であっても漏洩磁界を低減できることがわかった。
【0070】
(変形例)
実施例1の電力供給システムにおいて、送電コイル10Aまたは送電コイル10Bの近傍に磁界検出器を設け、その漏洩磁界の方向によって、送電コイル10A、Bに供給する交流電流の位相差を修正して、送電コイル10A、B間の領域の漏洩磁界の強度がより低減するように位相差をフィードバック制御してもよい。
図3に示したように、漏洩磁界の方向と位置ずれの大きさ、方向には関連性があるため、このような制御も可能となる。
【0071】
また、実施例1の非接触給電システムは、車両に搭載された二次電池を非接触で充電するシステムであったが、本発明はこのような用途に限るものではなく、複数の機器に非接触で同時に電力を供給する用途であれば、任意の用途に利用可能である。