(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のメンテナンス部のうちの少なくとも一つは、前記描画領域及び前記待機領域の少なくとも一方に対して前記第1方向及び前記第2方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
前記複数のメンテナンス部は、前記インク吐出面から強制的に吐出されるインクを受ける前記第1のメンテナンス部と、前記インク吐出面をワイプすることでクリーニングする前記第2のメンテナンス部と、を含んでいることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の描画装置。
前記第1のメンテナンス部は、前記描画領域と前記第2のメンテナンス部との間に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の描画装置。
前記描画制御部は、前記待機領域から前記描画領域に前記描画ヘッドを移動させる間に、設定されたメンテナンスモードに応じて、前記複数のメンテナンス部のうちの少なくとも1つを使用した少なくとも1回のメンテナンス動作を行うように、前記描画ヘッド及び前記ヘッド移動部を制御し、
前記メンテナンスモードは、前記描画ヘッドの前記インク吐出面から吐出されたインク総量に基づいて前記メンテナンス動作の内容が設定されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の描画装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図14を参照しつつ、本発明に係る描画装置の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、描画装置が手の指の爪を描画対象としてこれに描画するネイルプリント装置である場合を例に説明するが、本発明における描画装置の描画対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪を描画対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを描画対象としてもよい。
【0011】
図1に示すように、本実施形態におけるネイルプリント装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体11を有している。
筐体11の上面(天板)には操作部12が設置されている。
操作部12は、ユーザが各種入力を行う入力部である。
操作部12には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、爪Tに描画するデザイン画像を選択するデザイン選択釦、描画開始を指示する描画開始釦等、各種の入力を行うための操作釦が配置されている。
【0012】
また、筐体11の上面(天板)には表示装置13が設置されている。
表示装置13は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
本実施形態において、この表示装置13には、例えば、指U1を撮影して得た爪画像(爪Tの画像を含む指画像)、この爪画像中に含まれる爪Tの輪郭線等の画像、爪Tに後述する元画像を投影した状態の画像、爪Tに描画すべきデザイン画像を選択するためのデザイン選択画面、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示を表示させる指示画面等が適宜表示される。
なお、表示装置13の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部12として機能する。
【0013】
また、筐体11の上面(天板)の内側であって、後述する指固定部3の窓部33の上方位置には、窓部33から露出する爪Tを撮影して爪画像(爪Tを含む指U1の画像)を取得する撮影機構50(
図11参照)が設けられている。
なお、撮影機構50は、指固定部3内に配置されている爪Tを撮影できるものであればよく、その具体的な配置は特に限定されない。例えば、筐体11の内面ではなく、筐体11内に配置されるいずれかの構造体に固定されていてもよいし、後述する描画機構40のキャリッジ等に固定され、ヘッド移動機構49(
図11参照)等により移動可能に構成されていてもよい。この場合には、撮影機構50は、X方向移動モータ46とY方向移動モータ48等で構成されるヘッド移動部49により、第1方向であるX方向及び第2方向であるY方向に移動可能に構成される。
このように、撮影機構50をヘッド移動部49等により移動可能に構成した場合には、描画対象である爪Tを撮影する際には、指固定部3の窓部33から露出する爪Tの上方に撮影機構50が配置されるようにし、描画時には指固定部3の上方位置に描画ヘッド41が配置されるように、適宜移動させることができる。
【0014】
撮影機構50は、爪Tを撮影して、爪Tを含む指U1の画像である爪画像を取得する撮影手段であり、画像取得手段である。
撮影機構50は、撮影装置51と、照明装置52とを備えている。
撮影装置51は、例えば、200万画素程度以上の画素を有する固体撮影素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラである。
照明装置52は、例えば白色LED等の照明灯である。本実施形態では、撮影装置51を囲むように複数の照明装置52が配置されている。なお、照明装置52の数や配置は図示例に限定されない。
この撮影機構50は、後述する制御装置80の撮影制御部811に接続され、該撮影制御部811によって制御されるようになっている。
なお、撮影機構50によって撮影された画像の画像データは、後述する爪画像記憶領域823等に記憶される。
【0015】
さらに、筐体11の前面側(
図1において手前側)であって、ネイルプリント装置1のX方向(
図1においてX方向)のほぼ中央部には、ネイルプリント装置1による撮影時や描画機構40による描画動作時に描画対象である爪Tに対応する指U1を挿入し、撮影機構50による撮影が可能な撮影可能位置、描画機構40による描画が可能な描画位置に爪Tをセットするための開口部14が形成されている。
開口部14の内側には、後述するように、爪T(爪Tを含む指U1)を固定する指固定部3が配置されている。
【0016】
図2は、
図1に示すネイルプリント装置1から筐体11を外してネイルプリント装置1の内部構成を示した要部斜視図である。
図2に示すように、筐体11内には、各種の内部構造物が組み込まれた基台2が設けられている。
基台2の表面(すなわち、
図2に示すようにネイルプリント装置1の上側の面)は、本実施形態においてXY平面を構成する基台上面20となっている。
【0017】
基台上面20における装置手前側(
図2におけるY方向手前側)であって、装置の幅方向(
図2におけるX方向)のほぼ中央部であり、筐体11の開口部14に対応する位置には、指固定部3が配置されている。
指固定部3は装置手前側に開口部31を有する箱状の部材であり、指固定部3内部には指U1を固定する指固定部材32が配置されている。
指固定部材32は、指U1を下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。本実施形態では、指固定部材32は、幅方向のほぼ中央部が窪んだ形状となっており、指U1を指固定部材32上に載置した際に、指U1の腹部分を指固定部材32が受けて、装置幅方向(
図1及び
図2におけるX方向)に指U1ががたつくのを防止することができる。
なお、指固定部材32は、指U1を下側から支持し得るものであればよく、その構成は特に限定されない。例えば、ばね等の弾性部材によって下方から付勢されていてもよい。また、例えば、指固定部材32は、内圧を変化させることにより膨縮可能に構成されており、膨張状態において指U1を押し上げ、その位置を固定する構成としてもよい。
【0018】
指固定部3の天面奥側は開口する窓部33となっている。窓部33からは指固定部3内に挿入された指U1の爪Tが露出するようになっている。
本実施形態では、窓部33の設けられている領域が、後述の描画機構により描画が行われる描画領域21(
図3参照)となっている。
指固定部3において窓部33の設けられる位置(すなわち描画領域21の位置)は図示例に限定されないが、描画領域21はXY平面である基台上面20上であってヘッド移動部49(
図11参照、後述)により描画ヘッド41が移動可能な範囲内に設けられる。
【0019】
また、指固定部3の天面手前側は指U1の浮き上がりを防止して指U1の上方向の位置を規制する指押え34となっている。指U1及びその爪Tは、下側から指固定部材32によって支持され、指U1の上側が指押え34によって押さえられることで、高さ方向の位置が所定の位置に位置決めされる。
また、本実施形態では、指挿入方向の奥側には、爪Tを載置する爪載置部35が設けられている。
この爪載置部35に爪Tの先を載置させることにより、爪Tの水平方向(すなわち、X方向及びY方向)の位置が規定されるとともに、その高さ方向の位置も規制される。
【0020】
また、
図2に示すように、筐体11の内部には、描画対象面に描画を施す描画機構40が設けられている。ここで描画対象面とは、描画対象の表面であり、本実施形態では、指U1の爪Tの表面である。
描画機構40は、描画機構本体である描画ヘッド41、描画ヘッド41を支持するヘッドキャリッジ42、描画ヘッド41を第1方向であるX方向(
図1及び
図2等におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動させるためのX方向移動ステージ45、X方向移動モータ46(
図11参照)、描画ヘッド41を第1方向であるX方向と交差する第2方向であるY方向(
図1及び
図2等におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動させるためのY方向移動ステージ47、Y方向移動モータ48(
図11参照)等を備えて構成されている。
【0021】
Y方向移動ステージ47は、基台上面20における装置幅方向(
図1及び
図2等におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)の両側部に、それぞれY方向(
図1及び
図2等におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に延在して設けられた支持部材471を有している。
これら一対の支持部材471の延在方向における両端部にはそれぞれプーリー477が取り付けられている。装置左側及び装置右側のプーリー477には、装置の前後方向(
図2等においてY方向)に延在する駆動ベルト474がそれぞれ巻回されている。
装置奥側に設けられているプーリー477は、駆動軸部476の両端部に取り付けられている。この駆動軸部476には、Y方向移動モータ48(
図11参照)が接続されており、Y方向移動モータ48が駆動することで駆動軸部476及びこれに取り付けられているプーリー477が適宜正逆方向に回転する。
プーリー477の回転により、プーリー477に巻回されている駆動ベルト474も回転し、これによりX方向移動ステージ45(及びX方向移動ステージ45に搭載されている描画ヘッド41)がY方向に移動可能となっている。
また、支持部材471上には駆動ベルト474と平行してY方向に延在するガイド軸475が設けられている。
【0022】
X方向移動ステージ45は、装置奥側に基台上面20に対して立設され基台2のX方向に延在する背面板451と、この背面板451の上端部から装置前方に張り出す庇部452と、背面板451及び庇部452で構成される側面視ほぼL字状の部の両側部を塞ぐようにそれぞれ立設された一対の側面部453と、を有している。
左右一対の側面部453には、それぞれガイド軸475が挿通される軸挿通部453aが設けられており、この一対の軸挿通部453aにそれぞれガイド軸475が挿通され、Y方向駆動モータ48が駆動して駆動ベルト474が回転することによってX方向移動ステージ45は、ガイド軸475に沿ってY方向に移動可能となっている。
【0023】
また、一対の側面部453の内側にはX方向移動モータ46が接続された図示しないプーリーが設けられており、このプーリーには、装置の左右方向(
図2等においてX方向)に延在する駆動ベルト454が巻回されている。また、X方向移動ステージ45の内側には、この駆動ベルト454とほぼ平行し基台2のX方向に延在するガイド軸455が設けられている。
X方向移動ステージ45には、描画ヘッド41を支持するヘッドキャリッジ42が搭載されている。
ヘッドキャリッジ42の背面側(装置奥側)には、ガイド軸455が挿通される軸挿通部422(
図8等参照)が形成されたキャリッジ支持部材421が設けられている。
ヘッドキャリッジ42の軸挿通部422にガイド軸455が挿通され、X方向駆動モータ46が駆動して駆動ベルト454が回転することによって、ヘッドキャリッジ42はX方向移動ステージ45内をガイド軸455に沿ってX方向に移動可能となっている。
【0024】
本実施形態では、X方向移動モータ46とY方向移動モータ48等により、描画ヘッド41をXY平面上においてX方向及びY方向に移動可能なヘッド移動部49(
図11参照)が構成されており、後述する制御装置80(特に描画制御部814)によりその動作を制御される。
なお、描画ヘッド41の動作やヘッド移動部49の動作を制御する描画制御部814は、全てが1つの制御基板上に設けられている必要はない。例えば、描画ヘッド41のインク吐出やX方向移動モータ46の動作等を制御する制御部81が搭載され、メインの制御基板と電気的に接続された図示しない制御基板がX方向移動ステージ45に設けられていてもよい。本実施形態においてヘッドキャリッジ42の背面側には、フレキシブルなプリント配線基板425が設けられている。このプリント配線基板425は、X方向移動ステージ45に設けられている制御基板と電気的に接続されており、メインの制御基板上に設けられている描画制御部814からの制御信号は、X方向移動ステージ45に設けられている制御基板を介してプリント配線基板425に送られ、描画制御部814の制御に従った描画ヘッド41のインク吐出制御等が行われるようになっている。
【0025】
本実施形態の描画ヘッド41は、インクジェット方式で描画を行うインクジェットヘッドである。
描画ヘッド41は、例えば、イエロー(Y;YELLOW)、マゼンタ(M;MAGENTA)、シアン(C;CYAN)のインクに対応する図示しないインクカートリッジと各インクカートリッジにおける描画対象(爪Tの表面)に対向する面(本実施形態では、
図4等における下面)に設けられたインク吐出面411とが一体に形成されたインクカートリッジ一体型のヘッドである。インク吐出面411には、それぞれの色のインクを噴射する複数のノズルからなるノズルアレイの吐出口(インク吐出口、図示せず)が列状に形成されている。描画ヘッド41は、インクを微滴化し、インク吐出面411(インク吐出面411のインク吐出口)から描画対象の描画対象面(すなわち、爪Tの表面)に対して直接にインクを吹き付けて描画を行う。なお、描画ヘッド41は、上記3色のインクを吐出させるものに限定されない。その他のインクを貯留するインクカートリッジ及びインク吐出口を備えていてもよい。
【0026】
図3は、描画機構40のX方向移動ステージ45及びヘッドキャリッジ42に支持された描画ヘッド41を取り除いて、基台上面20の構成を示した平面図である。
図2及び
図3に示すように、基台上面20のY方向手前側であってX方向のほぼ中央部には、前述のように指固定部3が配置されており、本実施形態では、この指固定部3の窓部33に対応する領域が、描画時において描画ヘッド41が描画動作を行う描画領域21となっている。
また、基台上面20のY方向奥側であってX方向右側(
図2及び
図3において右側)は、非描画時において描画ヘッド41が配置される待機領域22となっている。
待機領域22は、描画領域21とは異なる位置に配置される。なお、待機領域22は、XY平面上であってヘッド移動部49により描画ヘッド41が移動可能な範囲内に配置されればよく、図示例には限定されない。
【0027】
待機領域22には、インク吐出面411を覆うキャップ部23が設けられている。
キャップ部23は、非描画時においてインク吐出面411を乾燥等から保護するものであり、例えば柔軟性のある樹脂等で形成されている。
キャップ部23は、描画ヘッド41を覆っていない初期位置にあるとき(例えば
図3に示す状態)には、ばね等を有する付勢部材231によってY方向手前側(
図3における下側)に向かって付勢されている。この状態においてキャップ部23の上面は描画ヘッド41の下面(すなわちインク吐出面411)と接触しない程度に、十分に低い位置まで下がっている。これにより、描画時においてキャップ部23が描画ヘッド41に接触したり、その移動を妨げたりすることがないようになっている。
【0028】
そして、描画ヘッド41がY方向の手前側から奥側に向かって移動しながら待機領域22に移動してくると、描画ヘッド41及びこれを支持するヘッドキャリッジ42が付勢部材231の付勢力に抗してキャップ部23をY方向奥側に押し込んでいく。
これによりキャップ部23は図示しないレール等に案内されて描画ヘッド41のインク吐出面411を覆う位置までせり上がり、インク吐出面411がキャップ部23によりキャッピングされるようになっている。さらに、描画ヘッド41が待機領域22から離脱した際は、キャップ部23は付勢部材231によって初期位置まで押し戻され、再び描画ヘッド41と干渉しない高さ位置まで下降する。
なお、キャップ部23を描画ヘッド41に干渉しない高さ位置と描画ヘッド41のインク吐出面411を覆う高さ位置との間で上下動可能とする構成はここに例示したものに限定されない。
【0029】
また、
図2及び
図3に示すように、基台上面20のY方向奥側であってX方向左側(
図2及び
図3において左側)には、描画ヘッド41のメンテナンスを行う複数のメンテナンス部が設けられている。
本実施形態において、複数のメンテナンス部は、互いに異なる内容のメンテナンスを行うものであり、具体的には、パージ処理を行うパージ部6とインク吐出面411をワイプするワイプ部7とが設けられている。
複数のメンテナンス部(本実施形態では、パージ部6とワイプ部7)は、XY平面上における描画領域21及び待機領域22とは異なる位置であって、ヘッド移動部49により描画ヘッド41が移動可能な範囲内に配置される。
また、複数のメンテナンス部(パージ部6及びワイプ部7)は、互いにX方向又はY方向の少なくともいずれかにずれた位置に配置されている。本実施形態では、パージ部6及びワイプ部7は、X方向の位置はほぼ同じであるが、パージ部6はワイプ部7よりもY方向において手前側(
図3における下側)に配置されている。
なお、パージ部6及びワイプ部7の具体的な配置は図示例には限定されず、例えば、パージ部6とワイプ部7とのY方向における位置が逆であってもよいし、パージ部6とワイプ部7とがY方向ではなくX方向にずれて配置されていてもよいし、X方向、Y方向の両方にずれて配置されていてもよい。
【0030】
パージ部6は、インク吐出面411のインク吐出口からインクを強制的に吐出させて、ノズル内等のインク流路内のエアや不純物、粘度の上がったインク等をインクとともに外部に排出させる、いわゆるパージ処理の際に、インク吐出面411から強制的に吐出されるインクを受けるメンテナンス部である。
パージ処理を行うことにより、描画ヘッド41のノズル内で生じた目詰まり等が解消され、良好な吐出状態に回復させることができる。
図4は、パージ部において描画ヘッドのメンテナンスを行う様子を示す模式的な側面図である。
図4では、説明の便宜上、パージ部6の内部を透過させて表している。また、
図4中においてパージ処理により吐出されたインク液滴Lを破線で表している。
図4に示すように、パージ部6は、インク吐出面411よりも多少大きく形成された開口部61と、この開口部61から一繋がりに形成された廃インクタンク62とを備えている。また、廃インクタンク62内には、インクを吸収する吸収体63が設けられている。吸収体63はインクを素早く吸収できるものであればよく、例えば多孔性の材料であるフェルトやスポンジ状の樹脂等が適用される。
本実施形態では、開口部61から廃インクタンク62に向かって傾斜面が形成されており、描画ヘッド41のインク吐出面411から吐出されたインクは、
図4中、黒矢印で示すように、傾斜面を伝わって廃インクタンク62に流れ込むようになっている。
なお、吸収体63又はパージ部6全体は、取り出し・交換が可能な部品としてもよい。
【0031】
ワイプ部7は、インク吐出面411をワイプすることでクリーニングするメンテナンス部であり、
図2及び
図3に示すように、複数のワイプ部材71が立設されたものである。本実施形態では、4つのワイプ部材が千鳥状に位置をずらして配置されている。なお、ワイプ部材71の配置や大きさ、設ける数等は図示例に限定されない。
例えば、ワイプ部材71はインク吐出面411の幅(
図3等ではX方向における幅寸法)よりも広くインク吐出面411全体をワイプすることができるものであれば1つでもよい。また、さらに多くのワイプ部材71を複数列並べて配置してもよい。
ワイプ部材71は、インク吐出面411に付着したインク等を拭き取るクリーニングブレードであり、例えばゴム等の弾性体によって形成されている。ワイプ部材71はインクに繰り返し触れても腐食等が発生しにくい耐腐食性の材料で形成されることが好ましい。
なお、ワイプ部材71又はワイプ部7全体は、取り出し・交換が可能な部品としてもよい。
【0032】
図5(a)〜
図5(c)は、ワイプ部のワイプ部材により描画ヘッドのインク吐出面をワイプする様子を示す模式的な側面図である。
図5(a)〜
図5(c)に示すように、ワイプ部材71は、描画ヘッドの移動方向がY方向である場合、これと直交するX方向に延在する板状の部材であり、描画ヘッド41がワイプ部7の上方を通る際に、その先端がインク吐出面411と接触する位置及び高さに形成されている。
前述のように、ワイプ部材71は弾性を有する部材であり、
図5(b)及び
図5(c)に示すように、描画ヘッド41の移動に応じて柔軟に撓み、先端部分をインク吐出面411に摺接させることによってインク吐出面411に付着したインク等を除去できるようになっている。
【0033】
なお、描画ヘッド41のインク吐出面411をワイプすると、ワイプ部材71の先端部等にはインクが付着する。
このため、本実施形態では、ワイプ部7よりもY方向における奥側(
図3において上側)に、ワイプ部材71に付着したインクを除去するスクレープ部70を設けている。
【0034】
図6は、スクレープ部70の要部斜視図であり、
図7は、
図6に示すスクレープ部70の要部側面図である。
図7において、スクレープ部70と重なり合うワイプ部7を破線で示している。
図6に示すように、スクレープ部70は、スクレープ部本体73と、このスクレープ部本体73の両側部に設けられたガイド部75とを備えている。
スクレープ部本体73の手前側(Y方向における手前側、
図3における下側)には、ワイプ部材71に摺接してワイプ部材71の先端部等に付着したインクを掻き落とすスクレープ部材74が設けられている。なお、スクレープ部材74の材料、形状等は特に限定されず、ワイプ部材71に付着したインクを除去できるものであればよい。
【0035】
スクレープ部70の両側部には、ガイドレール76がY方向に沿って設けられている。
スクレープ部70の両側部に設けられたガイド部75は、このガイドレール76と嵌り合うようになっており、スクレープ部70はガイド部75がガイドレールに案内されることでY方向にスムーズに移動することができる。
【0036】
図6及び
図7等に示すように、本実施形態のスクレープ部本体73の天面には、連結ばね77が設けられている。連結ばね77は、例えば薄い板状のばねである。
連結ばね77は、後端部(
図7において右側端部)が、ねじ771によって固定されている。また、連結ばね77の前端部(
図7において左側端部)には、板状のばねの一部を山折にして形成された係止部770が設けられている。
本実施形態では、スクレープ部70をワイプ部材71に摺接させるために、描画ヘッド41又はこれを保持するヘッドキャリッジ42(本実施形態ではヘッドキャリッジ42)にスクレープ部70を引っ掛けて移動させる手法を採用している。
このように描画ヘッド41等の動作を利用してスクレープ部70を移動させる構成とすることで、別途スクレープ部70を移動させるためのモータ等を備える必要がなく、簡易な構成でワイプ部材71のメンテナンスを行うことができる。
【0037】
図8は、スクレープ部70が描画ヘッド41及びヘッドキャリッジ42とともにワイプ部7のワイプ部材71に摺接可能な位置まで移動した状態を示す側面図であり、
図9は、
図8に示す状態のヘッドキャリッジとスクレープ部材との連結部分を拡大した要部斜視図であり、
図10は、
図9において拡大して示した部分の要部断面図である。
図9及び
図10に示すように、本実施形態では、ヘッドキャリッジ42に設けられている支持部材421の下面に凹部426が形成されており、連結ばね77の係止部770がこの凹部426に嵌り込むことで、スクレープ部70がヘッドキャリッジ42と連結されるようになっている。
【0038】
スクレープ部70をヘッドキャリッジ42と連結させる際は、スクレープ部70の後方又は前方からヘッドキャリッジ42(ヘッドキャリッジ42に支持された描画ヘッド41)がスクレープ部70の上方に移動し、Y方向のいずれかの方向に移動する。連結ばね77の係止部770の高さは、ヘッドキャリッジ42の下側面までの高さ(隙間)よりも高いため、係止部770は押圧されて押し縮められる。そして、凹部426が連結ばね77の係止部770に対応する位置まで来ると、凸状の係止部770がばね性により元の形状に復帰して、
図10に示すように、凹部426内に嵌り込む。これにより、スクレープ部70がヘッドキャリッジ42と連結される。この連結状態でヘッドキャリッジ42が移動することでスクレープ部70はワイプ部7のワイプ部材71をスクレープできる位置まで移動することができる。
なお、
図8に示すように、ワイプ部7よりY方向手前側にはパージ部6があり、ヘッドキャリッジ42はワイプ部7を過ぎた後パージ部6等に移動するが、スクレープ部70はパージ部6に突き当たって止まる。板ばねである連結ばね77は柔軟に変形可能であるため、パージ部6に突き当たって強い力が加わると、係止部770が変形して凹部426から外れる。これによりスクレープ部70とヘッドキャリッジ42との連結が解除される。なお、スクレープ部70には、ヘッドキャリッジ42との連結が解除された後に初期位置(本実施形態では、ワイプ部7よりもY方向奥側の位置)に復帰するためのばね等が設けられていることが好ましい。
なお、描画ヘッド41又はこれを保持するヘッドキャリッジ42にスクレープ部70を引っ掛けて移動させる手法は特に限定されず、ここに例示した以外の構成をとることもできる。
【0039】
制御装置80は、例えば筐体11天面の下面側等に配置された図示しない基板等に設置されている。なお、本実施形態では、前述のように、基板は筐体11天面の下面側等に配置されたメインの基板の他に、X方向移動ステージ45やヘッドキャリッジ42等にも分散して設けられており、これらが電気的に接続されることで各部が統括的に制御され、連係して動作するようになっている。
図11は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
制御装置80は、
図11に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部81と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
【0040】
記憶部82には、ネイルプリント装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、記憶部82のうち、ROM等で構成されるプログラム記憶領域820には、例えば描画ヘッド41をメンテナンスするメンテナンス動作を行うためのメンテナンスプログラム、爪画像から爪Tの形状や爪Tの輪郭、爪の幅、爪の面積等の各種の爪情報を検出するための爪情報検出プログラム、描画用データを生成するための描画データ生成プログラム、描画処理を行うための描画プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムが制御装置80によって実行されることによって、ネイルプリント装置1の各部が統括制御されるようになっている。
また、本実施形態において記憶部82には、メンテナンスモードに関するデータ等を核のするメンテナンスモード記憶領域821、爪Tに描画されるネイルデザインの画像データを記憶するネイルデザイン記憶領域822撮影機構50によって取得されたユーザの指U1の爪Tの爪画像を記憶する爪画像記憶領域823、爪情報検出部813によって検出された爪情報(爪Tの輪郭や爪Tの傾斜角度(湾曲度合)等)が記憶される爪情報記憶領域824等が設けられている。
【0041】
制御部81は、機能的に見た場合、撮影制御部811、爪情報検出部812、描画データ生成部813、描画制御部814、表示制御部815等を備えている。これら撮影制御部811、爪情報検出部812、描画データ生成部813、描画制御部814、表示制御部815等としての機能は、制御部81のCPUと記憶部82のプログラム記憶領域820に記憶されたプログラムとの共働によって実現される。
また本実施形態では、制御部81はタイマー816を備えており、各種の経過時間等を把握可能となっている。
【0042】
撮影制御部811は、撮影機構50の撮影装置51及び照明装置52を制御して撮影装置51により、指固定部3に固定された指U1の爪Tの画像を含む指の画像(爪画像)を撮影させるものである。
撮影機構50により取得された爪画像の画像データは、記憶部82の爪画像記憶領域821に記憶される。
【0043】
爪情報検出部813は、撮影装置51によって撮影された指固定部3に固定された指U1の爪Tの画像に基づいて、指U1の爪Tについての爪情報を検出するものである。
ここで、爪情報とは、例えば、爪Tの輪郭(爪形状、爪Tの水平位置のXY座標等)、爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置、以下「爪Tの垂直位置」又は単に「爪Tの位置」ともいう。)、爪Tの曲率(湾曲度合)等である。
爪情報検出部812によって検出された爪情報は、記憶部82の爪情報記憶領域822に記憶される。
【0044】
描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪情報に基づいて、描画ヘッド41により指U1の爪Tに施される描画用のデータを生成する。
具体的には、描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪Tの形状等に基づいてネイルデザインの画像データを拡大、縮小、切出し等することにより爪Tの形状に合わせ込む合せ込み処理を行う。
また、爪情報検出部812により爪Tの曲率等が取得されている場合には、描画データ生成部813は、適宜曲面補正を行い、描画対象面である爪Tの表面に描画する描画用データを生成する。
【0045】
描画制御部814は、描画データ生成部813によって生成された描画用データに基づいて描画機構40に制御信号を出力し、爪Tに対してこの描画用データにしたがった描画を施すように描画機構40のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48、描画ヘッド41等を制御する制御部である。
また、本実施形態において、描画制御部814は、ヘッド移動部49により待機領域22から描画領域21に描画ヘッド41を移動させる間に、描画ヘッド41を第1方向(本実施形態ではX方向)及び第2方向(本実施形態ではY方向)に移動させて、複数のメンテナンス部(本実施形態では、パージ部6及びワイプ部7)のうちの少なくとも1つを通過しないようにすることを可能とする。
特に本実施形態では、所定のメンテナンスモードに応じて、複数のメンテナンス部(本実施形態では、パージ部6及びワイプ部7)のうち少なくとも1つにおいて少なくとも1回のメンテナンス動作を行うように、描画ヘッド41及びヘッド移動部49を制御する。
【0046】
本実施形態におけるメンテナンスモードとしては、1つのメンテナンス部で複数回メンテナンス動作を行う第1のメンテナンスモード、全てのメンテナンス部で各1回のメンテナンス動作を行う第2のメンテナンスモード、ワイプ部7におけるメンテナンス動作を行わない第3のメンテナンスモード、パージ部6におけるメンテナンス動作を行わない第4のメンテナンスモードがある。
第2のメンテナンスモードは、通常の描画動作の中で行われるモードである。これに対して第1のメンテナンスモードは、例えばメンテナンス動作を強化したい場合に選択されるモードである。また、第3のメンテナンスモードは、例えば迅速に描画処理を行いたい場合等に選択されるモードである。第4のメンテナンスモードは、例えば描画ヘッド41のインク残量が少ない場合等に選択されるモードである。
なお、各メンテナンスモードの詳細な内容については後述する。
【0047】
また、描画制御部814がいずれのメンテナンスモードによって描画ヘッド41のメンテナンスを行うか、すなわち、メンテナンス動作の内容を判断・設定する要素としては、例えば、描画ヘッド41のインク吐出面411から吐出されたインク総量がある。
インク総量のうち、描画によって吐出されたインク量は、当該描画ヘッド41が装置にセットされてからどのような描画用データに基づく描画を行ったか、その描画用データに基づいて把握される。また、パージ部6におけるパージ処理により吐出されたインク量は、パージ処理毎に描画制御部814により把握される。
描画制御部814は、これら描画によるインク吐出量とパージ処理によるインク吐出量とをインク総量として把握し、ここから描画ヘッド41のインク残量を把握(推定)して、メンテナンスモードを判断・設定する。
【0048】
例えば、インク残量が「所定量」よりも少ない場合には、パージ処理のようにインク吐出量の多いメンテナンスを行わない第4のメンテナンスモードが描画制御部814により選択される。
なお、インク残量が少ないと判断する基準となる「所定量」をどの程度とするかは適宜設定される事項である。また、この「所定量」はユーザにより事後的に設定・変更できてもよい。例えば、ユーザが、インクの消費量を極力抑えて動作するようにエコモード等を選択した場合には、「所定量」を多めに設定して、インク残量にまだ余裕がある場合でもパージ処理等を行わないメンテナンスモード(本実施形態では、第4のメンテナンスモード)が選択されるようにしてもよい。
【0049】
また、描画制御部814がメンテナンスモードを判断・設定する要素としては、例えば、描画ヘッド41による描画動作が開始されてからの描画経過時間を考慮してもよい。
本実施形態の制御部81には、描画ヘッド41による描画動作が開始されてからの描画経過時間を取得する描画時間取得部としてのタイマー816が設けられており、描画経過時間はタイマー816により取得される。
描画制御部814は、タイマー816により取得された描画経過時間に基づいて、メンテナンスモードを設定してもよい。
例えば、描画経過時間が所定時間よりも長い場合には、インク詰まり等が生じている可能性が高くなるため、十分なメンテナンス動作を行うために第1のメンテナンスモードが設定される。他方、わずかな時間しか描画動作を行っていない場合には、簡易なメンテナンス動作のみで済ませるように第4のメンテナンスモードが選択されるようにしてもよい。
なお、描画時間がどの程度のときに所定時間よりも長い又は短いと判断するかは適宜設定される事項である。この場合、デフォルトで設定されている所定時間をユーザが変更できるようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態のタイマー816は、描画ヘッド41による描画動作が最後に行われてからの休止経過時間を取得する休止時間取得部としても機能する。
描画制御部814は、タイマー816により取得された休止経過時間に基づいて、メンテナンスモードを設定してもよい。
例えば、休止経過時間が所定時間よりも長い場合には、ノズル内でインクが乾燥して詰まったり、インクの粘度が上がって吐出しにくくなったりしている可能性が高くなる。このため、十分なメンテナンス動作を行うために第1のメンテナンスモードが設定される。他方、前回の描画からわずかな時間しか経過していない場合には、簡易なメンテナンス動作のみで済ませるように第4のメンテナンスモードが選択されるようにしてもよい。
なお、この場合にも描画時間がどの程度のときに所定時間よりも長い又は短いと判断するかは適宜設定される事項である。この場合、デフォルトで設定されている所定時間をユーザが変更できるようにしてもよい。
【0051】
その他、ネイルプリント装置1の操作部12等にメンテナンスモード設定ボタン等を設けて、ユーザによるモード設定の入力操作を行うことができるようにしてもよい。この場合には、モード設定の入力操作を制御部81が受け付けると、描画制御部814は、設定入力されたメンテナンスモードでメンテナンス動作を行う。
【0052】
表示制御部815は、表示装置13を制御して表示装置13に各種の表示画面を表示させるものである。本実施形態では、表示制御部815は、例えばネイルデザインの選択画面やデザイン確認用のサムネイル画像、指U1を撮影して取得した爪画像、爪Tに元画像を投影した画像、各種の指示画面、操作画面等を表示装置13に表示させるようになっている。
【0053】
次に、
図12から
図14を参照しつつ、本実施形態における描画方法について説明する。
ネイルプリント装置1によりネイルプリントを行う場合には、
図12に示すように、まず、表示制御部815は、ネイルデザイン記憶領域824からネイルデザインを読み出して、ユーザにネイルデザインの選択を求める画面を表示装置13に表示させる(ステップS1)。ユーザが表示装置13に表示された中からユーザがいずれかのネイルデザインをタッチ操作等の入力操作を行うことにより選択すると、所望のネイルデザインが爪Tに描画するデザインとして選択される(ステップS2)。
さらに、表示制御部817は、描画対象となる爪Tを指固定部3にセットするよう指示する指示画面を表示させる(ステップS3)。
指U1指固定部3にセットされると、撮影制御部811が撮影機構50を制御して爪Tを撮影し、爪画像を取得する(ステップS4)。そして、当該爪画像から、爪情報検出部813により爪Tの輪郭や曲率等の爪情報が検出される(ステップS5)。
爪情報が検出されると、描画データ生成部813は、ユーザによって選択されたネイルデザインの描画像のデータを読み込み、当該描画像のデータを、当該爪Tについて検出された爪情報に基づいて補正し、描画用データを生成する(ステップS6)。描画データ生成部813により生成された描画用データは、描画制御部814に送られる。
【0054】
描画制御部814は、描画動作に移行する前に、メンテナンスモードを判断し、メンテナンスモードに応じたメンテナンス処理を行わせる(ステップS7)。
ここで、
図13及び
図14を参照して、メンテナンス処理につき具体的に説明する。
なお、
図14において、I〜Vは、描画ヘッド41の移動の道順を示している。
【0055】
まず、描画ヘッド41が待機領域22にある状態から描画領域21に移動して描画動作を行う通常の場合には、
図13(b)及び
図14(b)に示すように、描画制御部814は、第2のメンテナンスモードを採用し、待機領域22のキャップ部23によりキャッピングされている状態(ステップS21)から、描画ヘッド41をX方向左側(
図14(b)において左側)に移動させ、ワイプ部7によりインク吐出面411をワイプさせる(ステップS22)。次に、描画ヘッド41をそのままY方向手前側(
図14(b)において下側)に移動させ、パージ部6においてインクを強制吐出させる(ステップS23)。その後、描画ヘッド41をY方向手前側、X方向右側に移動させて描画領域21の上方に移動させる(ステップS24)。
【0056】
また、描画経過時間が所定時間以上である場合や、休止経過時間が所定時間以上である場合、実際に試みた描画において吐出が乱れている等により、ユーザがメンテナンス強化モード(第1のメンテナンスモード)を選択・設定した場合等には、
図13(a)及び
図14(a)に示すように、描画制御部814は、第1のメンテナンスモードを採用し、待機領域22のキャップ部23によりキャッピングされている状態(ステップS11)から、描画ヘッド41をまずY方向手前側(
図14(a)において下側)にわずかに移動させ、さらにX方向左側(
図14(a)において左側)に移動させて、パージ部6においてインクを強制吐出させる(ステップS12)。次に、一旦描画ヘッド41をY方向奥側(
図14(a)において上側)にわずかに移動させ、ワイプ部7によりインク吐出面411をワイプさせる(ステップS13)。次に、描画ヘッド41をそのままY方向手前側(
図14(a)において下側)に移動させ、再度パージ部6においてインクを強制吐出させる(ステップS14)。その後、描画ヘッド41をY方向手前側、X方向右側に移動させて描画領域21の上方に移動させる(ステップS15)。
【0057】
また、描画処理を迅速に行いたい等により、ユーザがメンテナンス省略モード(第3のメンテナンスモード)を選択・設定した場合等には、
図13(c)及び
図14(c)に示すように、描画制御部814は、第3のメンテナンスモードを採用し、待機領域22のキャップ部23によりキャッピングされている状態(ステップS31)から、描画ヘッド41をまずY方向手前側(
図14(c)において下側)にわずかに移動させ、さらにX方向左側(
図14(c)において左側)に移動させて、パージ部6においてインクを強制吐出させる(ステップS32)。その後、描画ヘッド41をY方向手前側、X方向右側に移動させて描画領域21の上方に移動させる(ステップS33)。
【0058】
また、インク残量が所定量以下である場合や、インク消費量を押さえたい又は描画処理を迅速に行いたい等の理由によりユーザがメンテナンス省略モード(第4のメンテナンスモード)を選択・設定した場合等には、
図13(d)及び
図14(d)に示すように、描画制御部814は、第4のメンテナンスモードを採用し、待機領域22のキャップ部23によりキャッピングされている状態(ステップS41)から、描画ヘッド41をX方向左側(
図14(d)において左側)に移動させ、ワイプ部7によりインク吐出面411をワイプさせる(ステップS42)。その後、描画ヘッド41をY方向手前側、X方向右側に移動させて描画領域21の上方に移動させる(ステップS43)。
なお、描画制御部814における判断と、ユーザの入力設定した内容とが異なる場合には、ユーザの入力内容を優先させてもよい。また、表示装置等に描画ヘッド41の現状(インク残量が少ない、休止経過時間が長く入念なメンテナンスが必要な状態である等)を伝える表示画面を表示させ、どのメンテナンスモードを選択するかの判断をユーザにさらに求めてもよい。
【0059】
図12に戻って、描画ヘッド41が描画領域21の上方まで移動すると、描画制御部814が描画用データを描画機構40に出力して、描画処理を開始させる(ステップS8)。
描画制御部814は、描画処理が終了したか否かを判断し(ステップS9)、描画処理が終了していない場合(ステップS9;NO)には、ステップS8に戻って描画処理を続行する。
他方、当該爪Tについてのネイルデザインの描画が終了すると(ステップS9;YES)、本実施形態における描画処理が終了する。
描画処理が終了した際には、表示装置13等にその旨を表示させるようにしてもよい。
描画処理が終了すると、ユーザは、装置内から指U1を取り外し、描画機構分の乾燥やオーバーコート剤の塗布等の後処理を行う。
【0060】
なお、上記では特に記載しなかったが、本実施形態のネイルプリント装置1で爪Tへの描画を行う場合、まずユーザが爪領域に白色等のアンダーコート剤を塗布し、これを乾燥させるという事前処理を行った後に、指U1及びその爪Tを指固定部3に固定することが好ましい。このように予め爪Tにアンダーコートを施すことで爪T上に吐出されたインクの発色がよくなり、より美しい仕上がりとすることができる。また、爪Tに白色等のアンダーコート剤を塗布した場合、爪情報検出部812において爪Tと指U1の皮膚部分等との境界を認識しやすくなり、描画対象となる爪Tの輪郭をより高精度で検出することが可能となる。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、XY平面上であってヘッド移動部49により描画ヘッド41が移動可能な範囲内に、描画領域21と、待機領域22と、が互いに異なる位置に設けられており、複数のメンテナンス部は、XY平面上における描画領域及び待機領域とは異なる位置であってヘッド移動部49により描画ヘッド41が移動可能な範囲内に配置されているとともに、複数のメンテナンス部は、互いにX方向又はY方向の少なくともいずれかにずれた位置に配置され、描画制御部814は、待機領域22から描画領域21に描画ヘッド41を移動させる間に、所定のメンテナンスモードに応じて、複数のメンテナンス部のうち少なくとも1つにおいて少なくとも1回のメンテナンス動作を行うように、描画ヘッド41及びヘッド移動部49を制御するようになっている。
紙に対して描画する一般的な描画装置の場合には、描画対象である紙を所定の搬送方向(例えば、
図3等におけるY方向等)に搬送させながら描画動作を行うため、描画ヘッド41はこの搬送方向と直交する方向(例えば、
図3等におけるX方向等)にしか移動しない、一軸構成となっている。
これに対して、本実施形態のように、描画ヘッド41をX方向、Y方向いずれの方向にも移動可能な二軸構成とした場合には、ヘッド移動部49により描画ヘッド41が移動可能なXY平面上であれば、描画領域、待機領域、メンテナンスを行う領域を何処に配置しても描画ヘッド41を適宜各位置に配置させることができる。
このため、装置内部の配置、設計の自由度が増すとともに、本実施形態のようにパージ部6とワイプ部7のように複数のメンテナンス部を設ける場合に、その配置位置を自由に分散させることができ、できるだけ描画ヘッド41の移動等が少なくて済む効率の良い配置とすることが可能となる。
さらに、複数のメンテナンス部を設けた場合にその配置を分散させることができるため、描画ヘッド41の状態等に応じてメンテナンス動作を行うために立ち寄るメンテナンス部やその組み合わせ等を自由に選択することができる。このため、状況に応じて適宜必要なメンテナンス動作を組み合わせて実行させることで、効率よくヘッドメンテナンスを行うことが可能となる。
これにより、吐出不良等の不具合の解消も十分に行うことができるとともに、一部のメンテナンス動作を省略して迅速な描画処理を優先させたり、パージ処理のようなインク吐出量の多いメンテナンス動作を省くことでインクの消費量を減らす等、各種状況・要望に応じたフレキシブルなメンテナンスを実現することができる。
また、このようにして不要なメンテナンス動作を省くことができるようにすれば、ワイプ部7のワイプ部材71やパージ部6の吸収体63等、消耗部品の消耗具合も抑えることができる。
【0062】
また、本実施形態では、待機領域22には、インク吐出面411を覆うキャップ部23が設けられている。
これにより、非描画時におけるインク吐出面411の乾燥を防いで、すぐに描画動作に行こうできる状態を保つことができるとともに、長期間装置を使用しないときでも、インク吐出面411を描画に適した良好な状態を保ったまま装置の保管等を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、複数のメンテナンス部は、インク吐出面411から強制的に吐出されるインクを受けるパージ部6、インク吐出面411をワイプすることでクリーニングするワイプ部7を含んでいる。
パージ部6やワイプ部7によるメンテナンス動作を行うことにより、インク吐出面411やこれに形成されているインク吐出口等に付着したインクやノズル内に溜まったエアや異物等を適切に取り除き、良好な吐出状態を回復させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、所定のメンテナンスモードは、描画ヘッドの前記インク吐出面から吐出されたインク総量に基づいて前記メンテナンス動作の内容が設定されるものである。
これにより、インク残量が少ない場合にはパージ処理等インク消費量の多いメンテナンス動作を避けることができ、描画ヘッド41を長くもたせることができる。
【0065】
また、本実施形態では、描画ヘッドによる描画動作が開始されてからの描画経過時間を取得する描画時間取得部としてのタイマー816を有し、所定のメンテナンスモードは、タイマー816により取得された描画経過時間に基づいてメンテナンス動作の内容が設定される。
このため、例えば長時間描画を行った後等、インク吐出面の汚れが予想される場合には、入念なメンテナンスを行うことができるモード(例えば第1のメンテナンスモード)を選択する等、適切な対応をして正常なインク吐出を実現することができる。
【0066】
また、本実施形態では、描画ヘッドによる描画動作が最後に行われてからの休止経過時間を取得する休止時間取得部としてのタイマー816を有し、所定のメンテナンスモードは、タイマー816により取得された前記休止経過時間に基づいてメンテナンス動作の内容が設定される。
このため、例えば長時間装置が放置されていた場合等、インク吐出面に付着している汚れが固まっていたり、ノズル内でインクが増粘している可能性があるような場合には、入念なメンテナンスを行うことができるモード(例えば第1のメンテナンスモード)を選択する等、適切な対応をして正常なインク吐出を実現することができる。
【0067】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0068】
例えば、本実施形態では、パージ部6として、通常のインク吐出と同様の動作でインクを強制的に吐出させるものを例示したが、パージ部6の構成はこれに限定されない。
例えば、小型のポンプ等を備え、インク吐出面411を密閉状態とした上でノズル内等に残留するインクや不純物等をポンプによって吸引し、強制的に外部に排出させる方式のパージ部を設けてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、メンテナンス部としてパージ部6とワイプ部7とを有する場合を例示したが、メンテナンス部の種類はこれに限定されない。これらの代わりに、又はこれらと併せて、他のメンテナンス部を設けてもよい。
他のメンテナンス部としては、例えば、フェルト等の高吸収性の材料で形成された吸収部材をインク吐出面411に押し当ててインク吐出面411に付着したインク等を吸収・吸着させて除去するものを設けてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、パージ部6とワイプ部7とを各1か所ずつ備える構成を例示したが、パージ部6やワイプ部7を設ける数は特に限定されず、例えば、待機領域22の近傍と描画領域の近傍とにそれぞれパージ部6を設けたり、パージ部6の前後や側方にそれぞれワイプ部7を配置したりする等、1種類のメンテナンス部を複数個所に設けてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、メンテナンスモードの選択をする際の判断要素として、インク残量、描画経過時間、休止経過時間等を例示したが、判断要素はこれに限定されず、さらにほかの要素を考慮してもよい。
また、メンテナンスモードの選択をする際には、複数の要素を加味して判断してもよい。この場合、判断要素に一定の重み付けをして相反する条件が存在する場合には、重み付けの高いものに応じたメンテナンスモードを選択するとしてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、ネイルデザインの画像データを格納するネイルデザイン記憶領域822がネイルプリント装置1の記憶部82に設けられている場合を例示したが、ネイルデザインの画像データはネイルプリント装置1の記憶部82に保存されている場合に限定されない。
例えば、ネットワーク回線等を介して接続可能なサーバ装置等にネイルデザインの画像データを記憶させておき、サーバ装置等にアクセスしてネイルデザインの画像データを参照可能に構成してもよい。
このようにすることで、より多くのネイルデザインの中から描画するデザインを選択することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、ネイルプリント装置(描画装置)1の描画ヘッド41として、インクジェット方式の描画ヘッド41を備える構成としたが、描画ヘッド41の構成はこれに限定されない。
例えば、爪Tの表面にペン先を付けて描画を行う描画用のペンを保持するペンホルダを備え、ペンを用いて描画を行うようにしてもよい。また、本実施形態のようなインクジェット方式の描画ヘッドと描画用のペンを保持するペンホルダとを両方備えて、複数の描画手段を用いて描画を行う構成としてもよい。
【0074】
また、ネイルプリント装置1に、描画後にインクを乾燥させるためのヒータやファンを備える乾燥部が設けられていてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、指固定部3に指U1の爪Tを固定して撮影や描画処理を行う場合を例示したが、本ネイルプリント装置(描画装置)1において描画可能な対象は指U1の爪Tに限定されない。
例えば、爪Tに貼り付けて用いられる爪チップ等、爪様の形状のものであっても、描画システムにおいて描画可能な「爪」とすることができる。
【0076】
また、本実施形態では、ヘッド移動部49によって描画ヘッド41が第1方向であるX方向及びX方向と交差する第2方向であるY方向に移動可能とされている例を示したが、第1の方向及び第2の方向は、互いに交差する方向であればよく、X方向、Y方向に限定されない。
例えば、ヘッド移動部49によって描画ヘッド41がXY平面上を斜めに移動できてもよい。
また、第1方向及び第2方向は、直交する方向でなくてもよく、例えば、描画ヘッド41がXY平面上を斜めに移動できる場合に斜めの移動方向を第1方向としたとき、第2方向は、この第1方向と交差するX方向又はY方向であってもよい。
【0077】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
描画対象に対してインクを吐出するインク吐出面を有して前記描画対象に描画を行う描画ヘッドと、
前記描画ヘッドを第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に移動可能なヘッド移動部と、
前記描画ヘッド及び前記ヘッド移動部を制御する描画制御部と、
複数のメンテナンス部と、
を備え、
前記複数のメンテナンス部の各々は、前記描画ヘッドに対して互いに異なる内容のメンテナンスを行い、
前記ヘッド移動部により前記描画ヘッドが移動可能な範囲内に、前記描画対象が載置されて前記描画ヘッドによる前記描画が行われる描画領域と、前記描画ヘッドが前記描画を行っていない非描画時に前記描画ヘッドが配置される待機領域と、前記複数のメンテナンス部と、が互いに異なる位置に設けられており、
前記描画制御部は、
前記描画ヘッドを前記待機領域から前記描画領域へ移動させる間に、前記ヘッド移動部により前記描画ヘッドを前記第1方向及び前記第2方向に移動させて、前記複数のメンテナンス部のうちの少なくとも1つを通過しないようにすることを可能とすることを特徴とする描画装置。
<請求項2>
前記複数のメンテナンス部のうちの少なくとも一つは、前記描画領域及び前記待機領域の少なくとも一方に対して前記第1方向及び前記第2方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
<請求項3>
前記待機領域には、前記インク吐出面を覆うキャップ部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の描画装置。
<請求項4>
前記複数のメンテナンス部は、前記インク吐出面から強制的に吐出されるインクを受けるパージ部と、前記インク吐出面をワイプすることでクリーニングするワイプ部と、を含んでいることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の描画装置。
<請求項5>
前記描画制御部は、前記待機領域から前記描画領域に前記描画ヘッドを移動させる間に、設定されたメンテナンスモードに応じて、前記複数のメンテナンス部のうちの少なくとも1つを使用した少なくとも1回のメンテナンス動作を行うように、前記描画ヘッド及び前記ヘッド移動部を制御し、
前記メンテナンスモードは、前記描画ヘッドの前記インク吐出面から吐出されたインク総量に基づいて前記メンテナンス動作の内容が設定されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の描画装置。
<請求項6>
前記描画ヘッドによる描画動作が開始されてからの描画経過時間を取得する描画時間取得部を有し、
前記描画制御部は、前記待機領域から前記描画領域に前記描画ヘッドを移動させる間に、設定されたメンテナンスモードに応じて、前記複数のメンテナンス部のうちの少なくとも1つを使用した少なくとも1回のメンテナンス動作を行うように、前記描画ヘッド及び前記ヘッド移動部を制御し、
前記メンテナンスモードは、前記描画時間取得部により取得された前記描画経過時間に基づいて前記メンテナンス動作の内容が設定されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の描画装置。
<請求項7>
前記描画ヘッドによる描画動作が最後に行われてからの休止経過時間を取得する休止時間取得部を有し、
前記描画制御部は、前記待機領域から前記描画領域に前記描画ヘッドを移動させる間に、設定されたメンテナンスモードに応じて、前記複数のメンテナンス部のうちの少なくとも1つを使用した少なくとも1回のメンテナンス動作を行うように、前記描画ヘッド及び前記ヘッド移動部を制御し、
前記メンテナンスモードは、前記休止時間取得部により取得された前記休止経過時間に基づいて前記メンテナンス動作の内容が設定されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の描画装置。
<請求項8>
描画装置の描画方法であり、
前記描画装置は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に移動可能であって描画対象に対してインクを吐出して前記描画対象に描画を行う描画ヘッドと、複数のメンテナンス部と、を備え、前記複数のメンテナンス部の各々は、前記描画ヘッドに対して互いに異なる内容のメンテナンスを行い、前記描画ヘッドの移動可能範囲内に、前記描画対象が載置されて前記描画ヘッドによる前記描画が行われる描画領域と、前記描画ヘッドが前記描画を行っていない非描画時に前記描画ヘッドが配置される待機領域と、前記複数のメンテナンス部と、が互いに異なる位置に設けられており、
前記描画領域と前記待機領域と前記複数のメンテナンス部との間で前記描画ヘッドを第1方向及び第2方向に移動させ、
前記待機領域から前記描画領域に前記描画ヘッドを移動させる間に、前記描画ヘッドを前記第1方向及び前記第2方向に移動させて、前記複数のメンテナンス部のうち少なくとも1つを通過しないように前記描画ヘッドを移動させることを可能とすることを特徴とする描画方法。
<請求項9>
描画装置を制御するコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記描画装置は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に移動可能であって描画対象に対してインクを吐出して前記描画対象に描画を行う描画ヘッドと、複数のメンテナンス部と、を備え、前記複数のメンテナンス部の各々は、前記描画ヘッドに対して互いに異なる内容のメンテナンスを行い、前記描画ヘッドの移動可能範囲内に、前記描画対象が載置されて前記描画ヘッドによる前記描画が行われる描画領域と、前記描画ヘッドが前記描画を行っていない非描画時に前記描画ヘッドが配置される待機領域と、前記複数のメンテナンス部と、が互いに異なる位置に設けられており、
前記描画領域と前記待機領域と前記複数のメンテナンス部との間で前記描画ヘッドを前記第1方向及び前記第2方向に移動させ、
前記待機領域から前記描画領域に前記描画ヘッドを移動させる間に、前記描画ヘッドを前記第1方向及び前記第2方向に移動させて、前記複数のメンテナンス部のうち少なくとも1つを通過しないように前記描画ヘッドを移動させることを可能とさせる、
ことを特徴とするプログラム。