特許第6870557号(P6870557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870557
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20210426BHJP
   H04N 1/38 20060101ALI20210426BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   H04N1/04 106A
   H04N1/38
   G03B27/50 A
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-191916(P2017-191916)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-68259(P2019-68259A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】原田 博之
(72)【発明者】
【氏名】田上 裕也
(72)【発明者】
【氏名】藤木 敦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 謙一郎
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/022408(WO,A1)
【文献】 特開2001−346009(JP,A)
【文献】 特開2017−034392(JP,A)
【文献】 特開2014−064168(JP,A)
【文献】 特開平08−087208(JP,A)
【文献】 特開2017−135631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04− 1/207
H04N 1/38− 1/393
G06T 1/00
G03B27/50−27/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
稿載置面に対して開閉自在に支持される原稿押さえ部材と、
前記原稿載置面に載置されている原稿に向かって、主走査方向に沿って光を出射する光源を有すると共に、当該光源を副走査方向に移動させながら、前記原稿を走査し、当該原稿からの反射光を受光して前記原稿の画像を読み取る原稿読取部と、
副走査方向における前記原稿読取部による原稿読取開始位置からの副走査方向各位置の原稿画像を示す画像データにおいて、上記原稿読取開始位置から、黒画像を示す予め定められた値以下の画像が出現する副走査方向位置までの領域を、前記原稿を読み取った画像領域とし、当該画像領域の副走査方向距離を、副走査方向における前記原稿のサイズとして検知する原稿サイズ検知部と
操作部からのユーザー入力を受け付ける操作受付部と、
前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データを補正することによって、当該画像データが示す原稿画像の輪郭よりも内側に入り込んだ予め定められた位置までの原稿画像部分を含む周囲画像を消去する枠消し処理部と、
前記原稿サイズ検知部により検知された原稿サイズに基づいて、前記原稿載置面に載置されている原稿がIDカードであると判断した場合、又は読取対象の原稿がIDカードであるとのユーザーによる指定が前記操作受付部に受け付けられた場合に、前記枠消し処理部による前記予め定められた位置までの消去の範囲を予め定められた値だけ小さくする、又は、前記枠消し処理部による前記消去を禁止する制限部と、を備え、
前記原稿サイズ検知部は、前記原稿押さえ部材が前記原稿載置面から離れた開状態のときに前記光源が点灯している状態で、前記原稿載置面の前記一端部側から前記主走査方向に予め定められた距離の範囲内において前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データを用いて、前記副走査方向における原稿のサイズの検知を行う画像読取装置。
【請求項2】
前記予め定められた距離の範囲は、外乱光の影響を受けない予め定められた範囲である請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記原稿サイズ検知部は、更に、前記原稿押さえ部材が開いているときに前記光源が点灯していない状態で、前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データと、前記原稿押さえ部材が開いているときに前記光源が点灯している状態で、前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データとを比較し、当該両データで異なる画像データ部分となる領域を原稿載置領域と特定することによって、主走査方向における原稿のサイズを検知する請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記原稿サイズ検知部は、更に、前記原稿押さえ部材が完全に閉じられる直前に前記光源を点灯させ、前記光源が点灯している状態で、前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データに基づいて、主走査方向における原稿のサイズを検知し、
前記原稿サイズ検知部は、当該主走査方向における原稿のサイズの検知を行った場合には、前記原稿の副走査方向における原稿サイズを、予め定められた定型の原稿サイズについての主走査方向サイズ及び副走査方向サイズを示す情報から、前記検知した主走査方向における原稿のサイズに対応する副走査方向における原稿のサイズを決定する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関し、特に、原稿のサイズを検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置には、原稿載置面に載置されている原稿のサイズを検知する機能を有するものがある。主走査方向における原稿のサイズを検知する手段としては、原稿押さえ部材(例えば、原稿マット)が完全に閉められる直前に光源を点灯させ、原稿を読み取る読取センサーに入射した光により、原稿のサイズを検知するものがある。一方、副走査方向における原稿のサイズを検知する手段としては、定形の各種サイズ(B5判,A4判,B4判等)の原稿を載置する領域に、専用のセンサー(例えば、反射型センサー)を設置し、各々のセンサーからの検出結果の組み合わせに基づいて、原稿のサイズを検知するものがある。
【0003】
ところが、主走査方向における原稿のサイズについては、原稿押さえ部材が完全に閉められる前に光源を点灯させて検知するため、天井に取り付けられた照明具等からの外部光が外乱光として、読取センサーに入射し、正確な検知ができなくなるおそれがある。
【0004】
このような問題を解決する発明として、下記の特許文献1に、原稿押さえ部材が開いているときに、露光ランプ(光源)が点灯していない状態及び点灯している状態で、コンタクトガラス(原稿載置面)上に載置された原稿をCCD(Charge Coupled Device)で読み取らせ、これら読み取りで得られた画像データの変化に基づいて、外乱光の影響を受ける部分を特定することによって、原稿の幅方向(主走査方向)のサイズを正確に検知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−147494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像読取装置において、原稿押さえ部材が開いている状態で、原稿載置面に載置されている原稿をCCD等の読取センサーで読み取らせた場合、原稿の外側の余白部分が黒く読み取られることがある。特に、IDカード(例えば、クレジットカード)や帳票(例えば、伝票)などの原稿の読取は、原稿押さえ部材を開けたままで行われることが比較的多い。
【0007】
原稿の外側の余白部分が黒く読み取られる事態を解決するために、上記特許文献1に示された技術のように、既存の原稿外消去機能(原稿の外側の領域を白くする機能)を実行可能なシステムを採用することが考えられるが、当該機能は高価であり、コストが増大する。
【0008】
また、別の方法として、原稿載置面に載置されている原稿のサイズを検知し、検知した原稿のサイズから原稿の読取サイズを設定し、設定した読取サイズで原稿の読み取りを行う方法が考えられるが、副走査方向において、多種多様な原稿(特に、IDカードや帳票)のサイズに柔軟に対処するには、専用のセンサーを多数設置しなければならず、やはりコストが増大する。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、コストの増大を抑えつつ、原稿押さえ部材が開いた状態でも、原稿のサイズを正確に検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
原稿押さえ部材が開状態のときに、原稿載置面に原稿が載置されている状態で、原稿載置面の下方に配置された光源を点灯させると、原稿が載置されている原稿載置領域においては、光源から出射された光が原稿によって反射され、原稿が存在しない領域においては、光源から出射された光は反射されない。従って、反射光の有無を読取センサーによって検出し、原稿載置領域を特定することによって、原稿のサイズを検知可能である。具体的には、反射光が読取センサーに入射している部分の画像データは白画像となり、それ以外の部分の画像データは黒画像となる。
【0011】
ところが、上記のように原稿押さえ部材が開いていると、原稿が存在しない領域においても、光源から出射された光が原稿押さえ部材に反射されて散乱した散乱光や、天井に取り付けられた照明具等からの外部光が、外乱光として、読取センサーに入射し、原稿載置領域以外の部分の画像データが白画像となることがある。
【0012】
読取センサーには、大きく分けてCCD方式とCIS(Contact Image Sensor)方式があるが、CIS方式はCCD方式と比較して、外乱光の影響を受けやすい。図1及び図2は、外乱光の影響を説明するための説明図である。図1及び図2のそれぞれにおいて、(A)は原稿押さえ部材と原稿載置面との位置関係を示した概略図であり、(B)は原稿押さえ部材が開いている状態で、原稿を載置せずに、原稿載置面全体をスキャンした場合に得られる画像データの一例を示した図である。また、図1は、読取センサーとしてCCDが採用された場合を示し、図2は、読取センサーとしてCISが採用された場合を示している。
【0013】
原稿押さえ部材として機能する原稿マット61は、原稿を載置するためのプラテンガラス161の上面に対して接離自在に、読取装置の一端部側(これを装置奥側とする)に開閉自在に支持されている。図1(B)では、画像データDAは、読取センサーとしてCCDを採用した場合に読取センサーが備える光源を点灯させた読取で得られる画像データであり、図中の上下方向が副走査方向となり、図中の左右方向が主走査方向となる。画像データDAが示す画像は、全体的に黒画像で、プラテンガラス161の奥側から離れた位置で、白画像WHが副走査方向に帯状に延びている。白画像部分は、外乱光の影響を受けている部分であるが、その部分は比較的狭い。
【0014】
図2(B)に示した画像データDBは、読取センサーとしてCISを採用した場合に読取センサーが備える光源を点灯させた読取で得られる画像データである。画像データDBが示す画像は、プラテンガラス161の奥側から距離LA以下の部分は黒画像(グレー画像)BLで、それ以外の部分は白画像である。外乱光の影響を受けた白画像部分は比較的広いが、プラテンガラス161の奥側から距離LA以下の範囲は白画像ではない。そのため、この範囲内であれば、原稿押さえ部材が開いた状態でも、原稿載置領域を特定することができる。
【0015】
また、図1(B)に示したように、読取センサーがCCDであっても、プラテンガラス161の奥側から距離LA以下の範囲における画像データDAが示す画像も黒画像であるので、当該範囲内であれば、原稿押さえ部材が開いた状態でも、原稿載置領域を特定することができる。従って、当該範囲は原稿載置領域を特定する点においては、外乱光の影響を受けない範囲といえる。
【0016】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、原稿載置面に対して開閉自在に支持される原稿押さえ部材と、前記原稿載置面に載置されている原稿に向かって、主走査方向に沿って光を出射する光源を有すると共に、当該光源を副走査方向に移動させながら、前記原稿を走査し、当該原稿からの反射光を受光して前記原稿の画像を読み取る原稿読取部と、副走査方向における前記原稿読取部による原稿読取開始位置からの副走査方向各位置の原稿画像を示す画像データにおいて、上記原稿読取開始位置から、黒画像を示す予め定められた値以下の画像が出現する副走査方向位置までの領域を、前記原稿を読み取った画像領域とし、当該画像領域の副走査方向距離を、副走査方向における前記原稿のサイズとして検知する原稿サイズ検知部と、操作部からのユーザー入力を受け付ける操作受付部と、前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データを補正することによって、当該画像データが示す原稿画像の輪郭よりも内側に入り込んだ予め定められた位置までの原稿画像部分を含む周囲画像を消去する枠消し処理部と、前記原稿サイズ検知部により検知された原稿サイズに基づいて、前記原稿載置面に載置されている原稿がIDカードであると判断した場合、又は読取対象の原稿がIDカードであるとのユーザーによる指定が前記操作受付部に受け付けられた場合に、前記枠消し処理部による前記予め定められた位置までの消去の範囲を予め定められた値だけ小さくする、又は、前記枠消し処理部による前記消去を禁止する制限部と、を備え、前記原稿サイズ検知部は、前記原稿押さえ部材が前記原稿載置面から離れた開状態のときに前記光源が点灯している状態で、前記原稿載置面の前記一端部側から前記主走査方向に予め定められた距離の範囲内において前記原稿読取部による読み取りで得られた画像データを用いて、前記副走査方向における原稿のサイズの検知を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、原稿押さえ部材が開いているときに光源が点灯している状態で、原稿押さえ部材が原稿載置面に対して開閉自在に支持されている装置本体の一端部側から予め定められた距離の範囲内において原稿読取部による読み取りで得られた画像データに基づいて、副走査方向における原稿のサイズが検知される。
【0018】
原稿載置面の上記一端部側から近い場所は、原稿押さえ部材が開いた状態でも、外乱光の影響を受けないので、副走査方向における原稿載置領域を正確に特定することができる。従って、原稿押さえ部材が開いた状態でも、副走査方向における原稿のサイズを正確に検知することができる。このため、副走査方向における原稿のサイズを検知するための専用のセンサーを新たに設置する必要はないので、コストの増大を抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】外乱光の影響を説明するための説明図である。
図2】外乱光の影響を説明するための説明図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を備えてなる、画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
図4】第1実施形態に係る画像読取装置を備えてなる、画像形成装置の外観を示した斜視図である。
図5】プラテンガラスに原稿が載置された状態の一例を示し、上方から見た図である。
図6】主走査方向における原稿のサイズの検知方法を説明するための説明図である。
図7】副走査方向における原稿のサイズの検知方法を説明するための説明図である。
図8】副走査方向における原稿のサイズの検知方法を説明するための説明図である。
図9】第2実施形態に係る画像読取装置を備えてなる、画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る画像読取装置について図面を参照して説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を備えてなる、画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図であり、図4は、第1実施形態に係る画像読取装置を備えてなる、画像形成装置の外観を示した斜視図である。
【0021】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、及びマット開閉検知センサー51を備える。
【0022】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により搬送されてきた原稿、又はプラテンガラス161に載置されている原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。なお、プラテンガラス161は、特許請求の範囲における原稿載置面の一例である。
【0023】
また、原稿給送部6は、原稿読取部5の上面にヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部6は、原稿マット61を備え、プラテンガラス161上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえ部材カバーとして機能する。原稿読取部5には、原稿マット61の開閉状態を検知するためのマット開閉検知センサー51が設けられている。なお、原稿マット61は、特許請求の範囲における原稿押さえ部材の一例である。
【0024】
原稿読取部5は、主走査方向に沿ってプラテンガラス161に載置されている原稿に向かって光を出射する光源を有すると共に、当該光源を1ラインずつ副走査方向に移動させながら、原稿を走査し、当該原稿からの反射光を受光して原稿の画像を読み取る。原稿読取部5には、CCD(Charge Coupled Device)又はCIS(Contact Image Sensor)のいずれが採用されてもよいが、本実施形態では、CCDを採用する場合を説明する。
【0025】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、ネットワーク接続された外部装置としてのコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての記録紙にトナー像を形成する。
【0026】
定着部13は、熱圧着によりトナー像を記録紙に定着させるものであり、定着処理が施された記録紙は排出トレイ151に排出される。給紙部14は、給紙カセットを備える。
【0027】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。表示部473はタッチパネルになっており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作することができる。
【0028】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、操作受付部101と、原稿サイズ検知部102とを備えている。
【0029】
制御ユニット10は、HDD92(Hard disk drive)に記憶されている制御プログラムに従った動作により、制御部100、操作受付部101、及び原稿サイズ検知部102として機能する。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、上記各部をそれぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0030】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、HDD92、及びマット開閉検知センサー51と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。
【0031】
操作受付部101は、操作部47を介したユーザーからの操作入力を受け付ける。
【0032】
原稿サイズ検知部102は、プラテンガラス161に載置されている原稿のサイズを検知する。
【0033】
図5は、プラテンガラス161に原稿が載置された状態の一例を示し、上方から見た図であり、原稿M1(例えば、IDカード)はプラテンガラス161の奥側コーナーC1に合わせて載置されている状態を示す。原稿マット61が原稿載置面に対して開閉自在に支持される画像形成装置1の装置本体の一端部側を奥側とする。以下、奥側コーナーC1に合わせてプラテンガラス161に載置されている原稿M1のサイズを検知する場合を例に挙げて、原稿のサイズを検知する手段について説明する。
【0034】
(1)原稿マット61が開いている状態で、プラテンガラス161に載置されている原稿M1の読取開始のユーザー指示があったとき。
【0035】
(1−1)主走査方向における原稿M1のサイズの検知について説明する。
【0036】
制御部100は、マット開閉検知センサー51から得られる検知信号に基づいて、原稿マット61が開いていると判断したときに、操作受付部101がプラテンガラス161に載置されている原稿M1の読取開始のユーザー指示を受け付けると、原稿読取部5の動作を制御することによって、原稿読取部5の有する光源を点灯させないまま、プラテンガラス161に載置されている原稿M1を、原稿読取開始位置(例えば、副走査方向における奥側コーナーC1付近の位置)から、主走査方向に延びるライン例えば1ライン分読み取らせ、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データを比較画像データとして記憶する。
【0037】
続いて、制御部100は、原稿読取部5の動作を制御することによって、原稿読取部5の有する光源を点灯させ、プラテンガラス161に載置されている原稿M1を主走査方向に消灯時と同様のライン数である1ライン分読み取らせ、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データを取り込む。原稿サイズ検知部102は、取り込まれた当該画像データと比較画像データとしての画像データとを比較して、主走査方向における原稿M1のサイズを検知する。
【0038】
例えば、原稿サイズ検知部102は、取り込んだ画像データと、比較画像データとしての画像データとを比較し、データが異なっている領域を原稿載置領域と特定することによって、主走査方向における原稿M1のサイズを検知する。
【0039】
図6(A)は、原稿M1がプラテンガラス161に載置されている状態で、光源を点灯させずに、原稿読取部5による読み取りで得られた比較画像データとしての画像データD1の一例を示し、図6(B)は、原稿M1がプラテンガラス161に載置されている状態で、光源を点灯させて、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データD2の一例を示している。
【0040】
比較画像データとしての画像データD1の示す画像は、外乱光が読取センサーに入射している部分P1が白画像となり、その他の部分は黒画像となっている。一方、画像データD2は、外乱光が読取センサーに入射している部分P1だけでなく、光源から出射され、原稿M1(図示せず)に反射された反射光が読取センサーに入射している部分P2も白画像となっている。
【0041】
従って、原稿サイズ検知部102は、画像データD1と画像データD2とを比較し、両画像データでデータが異なっている領域(部分P2)を原稿載置領域と特定する。原稿サイズ検知部102は、プラテンガラス161(図示せず)の奥側からの距離S1(部分P2の長さ)を、主走査方向における原稿M1のサイズとして検知する。
【0042】
(1−2)副走査方向における原稿M1のサイズの検知について説明する。
【0043】
制御部100は、マット開閉検知センサー51から得られる検知信号に基づいて、原稿マット61が開いていると判断したときに、操作受付部101がプラテンガラス161に載置されている原稿の読取開始のユーザー指示を受け付けると、原稿読取部5の動作を制御することによって、原稿読取部5の有する光源を点灯させ、原稿読取部5を、副走査方向における上記原稿読取開始位置から、当該原稿読取開始位置とは反対側となる副走査方向におけるコンタクトガラス161の端部まで副走査方向に移動させながら、原稿読取動作を行わせる。
【0044】
続いて、制御部100は、当該光源が点灯している状態で、図7に示すように、プラテンガラス161の奥側から予め定められた距離L1(例えば、3mm程度)の範囲内(図中、斜線で示した領域)において、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データを取り込む。原稿サイズ検知部102は、当該取り込んだ画像データに基づいて、副走査方向における原稿載置領域(原稿後端までの領域)を特定することによって、副走査方向における原稿のサイズを検知する。上記範囲は、原稿マット61が開いている状態で光源を点灯させて原稿読取部5による読み取りを行った場合に外乱光の影響を受けない範囲である。当該範囲を示す距離L1は、実験によって予め決定され、例えば、図2に示した距離LA以下に決定される。
【0045】
図8は、原稿M1がプラテンガラス161に載置されている状態で、光源を点灯させて、プラテンガラス161の奥側から予め定められた距離L1の範囲内において、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データD3の一例を示した図である。
【0046】
画像データD3の示す画像は、光源から出射され、原稿M1に反射された反射光が読取センサーに入射している部分P3が白画像(原稿M1が白紙の場合)となり、それ以外の部分P4が黒画像となる。すなわち、プラテンガラス161の図中左側の上記原稿読取開始位置から距離S2までの部分が白くなるため、原稿サイズ検知部102は、距離S2を副走査方向における原稿M1のサイズと検知する。例えば、原稿サイズ検知部102は、上記原稿読取開始位置からの副走査方向各位置の原稿画像を示す画像データD3において、上記原稿読取開始位置から、黒画像を示す予め定められた値(例えば256階調の場合に20)以下の画像が出現する副走査方向位置までの領域を、原稿M1を読み取った画像領域とし、当該領域の副走査方向距離を原稿M1の副走査方向におけるサイズとして検知する。
【0047】
(2)原稿マット61が閉められるとき。
【0048】
(2−1)主走査方向における原稿M1のサイズの検知について説明する。
【0049】
制御部100は、マット開閉検知センサー51から得られる検知信号に基づいて、原稿マット61が完全に閉じられる直前と判断したとき、原稿読取部5の動作を制御することによって、原稿読取部5の有する光源を点灯させ、プラテンガラス161に載置されている原稿M1を上記原稿読取開始位置から、主走査方向に延びるライン例えば1ライン分読み取らせる。
【0050】
続いて、制御部100は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データを取り込み、原稿サイズ検知部102は、取り込まれた画像データに基づいて、主走査方向における原稿M1のサイズを検知する。
【0051】
原稿M1が存在する場所は、光源から出射された光が原稿M1によって反射され、原稿M1が存在しない場所は、光源から照射された光は原稿M1によって反射されない。従って、反射光の有無を読取センサーで検出することによって、主走査方向における原稿載置領域を特定し、主走査方向における原稿M1のサイズを検知することができる。
【0052】
なお、原稿マット61が完全に閉じられる直前に光源を点灯させて、主走査方向における原稿M1のサイズを検知するのは、原稿マット61が完全に閉じられた後に光源を点灯させると、原稿M1が載置されていない部分においても原稿マット61に反射され、原稿M1からの反射光と誤って検出してしまうからである。
【0053】
(2−2)副走査方向における原稿M1のサイズの検知について説明する。
【0054】
原稿サイズ検知部102は、原稿M1の副走査方向における原稿サイズを、予め定められた定型の原稿サイズについての主走査方向サイズ及び副走査方向サイズを示す情報から、前記検知した主走査方向における原稿サイズに対応する副走査方向における原稿サイズを決定する。
【0055】
例えば、原稿サイズ検知部102は、主走査方向における原稿のサイズが53.98mmで、定型の原稿サイズであるIDカードの短辺の長さと一致する場合には、原稿M1はIDカードであると判定して、副走査方向における原稿のサイズを85.60mmに決定する。この場合、原稿サイズ検知部102が、定型の原稿サイズであるIDカードについての主走査方向サイズ及び副走査方向サイズとして、53.98mm及び85.60mm(国際規格(ISO7810))を保有しているものとする。
【0056】
また、原稿サイズ検知部102は、主走査方向における原稿のサイズが210mmで、A4判の短辺の長さと一致する場合には、原稿M1はA4判であると判定して、副走査方向における原稿のサイズを297mmに決定する。この場合、原稿サイズ検知部102が、定型の原稿サイズであるA4判についての主走査方向サイズ及び副走査方向サイズとして、210mm及び297mmを保有しているものとする。
【0057】
上記第1実施形態によれば、原稿マット61が開いているときに光源が点灯している状態で、プラテンガラス161の奥側から予め定められた距離L1の範囲内において原稿読取部5による読み取りで得られた画像データに基づいて、副走査方向における原稿載置領域を特定することによって、副走査方向における原稿M1のサイズが検知される。
【0058】
プラテンガラス161の奥側から近い場所は、原稿マット61が開いた状態でも、外乱光の影響を受けないので、副走査方向における原稿載置領域を正確に特定することができる。従って、原稿マット61が開いた状態でも、副走査方向における原稿M1のサイズを正確に検知することができる。このため、副走査方向における原稿M1のサイズを検知するための専用のセンサーを新たに設置する必要がないので、コストの増大を抑えることができる。また、主走査方向における原稿M1のサイズについても、外乱光の影響を受けることなく、正確に検知することができる。
【0059】
なお、上記実施形態に示した原稿サイズ検知処理によれば、原稿読取部5が、CCD又はCISのいずれの方式を採用した場合であっても、上述した正確な原稿サイズ検知が可能である。
【0060】
ところで、既存のコピー機等には、原稿M1の周囲を消去する枠消し処理機能を実行可能なシステムが装備されているものがあるが、IDカードの場合、四方縁部まで色々な情報が記載されていることがあり、当該枠消し処理により原稿M1の周囲を消去する処理を行うと、当該枠消し処理は読み取られた原稿画像の輪郭よりも少々内側に入り込んだ箇所まで周囲画像を消去する設定であることが多いため、重要な情報が消去されてしまうおそれがある。
【0061】
そこで、第2実施形態として、図9に示すように、制御ユニット10が、枠消し処理部103と、制限部104とを備えるようにしてもよい。
【0062】
枠消し処理部103は、上述した既存の枠消し処理を行う。枠消し処理部104は、原稿読取部5による読み取りで得られた画像データを補正することによって、原稿画像の輪郭よりも内側に入り込んだ予め定められた位置(例えば、5mm)までの原稿画像部分を含んで、原稿画像の周囲画像を消去する設定である。
【0063】
第1実施形態と同様に、制御ユニット10は、HDD92に記憶されている制御プログラムに従った動作により、制御部100、操作受付部101、原稿サイズ検知部102、枠消し処理部103、及び制限部104として機能する。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、上記各部をそれぞれハードウェア回路により構成することも可能である。
【0064】
制限部104は、原稿サイズ検知部102により検知された原稿サイズに基づいて、プラテンガラス161に載置されている原稿M1のサイズが予め定められたサイズ、例えばIDカードのサイズであり、原稿M1がIDカードであると判断した場合、又は操作受付部101が読取対象の原稿M1が例えばIDカードであるとのユーザーによる指定を受け付けた場合、原稿画像の輪郭から上記予め定められた位置までの距離を予め定められた値(例えば、予め定められた位置までの距離が5mmのときは当該予め定められた値を2mmとする)だけ小さくする、又は、原稿画像の輪郭から上記予め定められた位置までの消去処理を禁止する。
【0065】
これにより、原稿M1がIDカードであると判断された場合、又はユーザーにより「IDコピー」との指示があった場合、例えば、消去の範囲を5mmから3mmに狭くしたり、又は当該消去を禁止したりするので、原稿画像の輪郭付近に存在する重要な情報が消去されることを回避することができる。
【0066】
また、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る画像読取装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、例えば、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナー機能等を有した他の画像読取装置でもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、図1乃至図9を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0068】
1 画像形成装置
5 原稿読取部
51 マット開閉検知センサー
61 原稿マット
100 制御部
101 操作受付部
102 原稿サイズ検知部
103 枠消し処理部
104 制限部
161 プラテンガラス
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9