(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
バッテリを搭載したフォークリフトにおいては、可燃性ガスや粉塵等が存在する環境下では、防爆型のバッテリ式フォークリフトが使用される。防爆型のバッテリ式フォークリフトは、車体に搭載されたバッテリ側プラグと、電力を供給する充電器に接続された充電器側プラグとを接続することによって、バッテリが充電される。
【0003】
防爆型のバッテリ式フォークリフトの一例として、例えば特許文献1に開示のものがある。
図8に示すように、特許文献1のフォークリフト90は、車体91の前部に立設したマスト82に昇降体93を昇降可能に備えるとともに、この昇降体93にフォーク94を一体に備える。フォークリフト90は、車体91の中央部付近に設置されたバッテリケース96を備え、バッテリケース96は車体91の側面に露出している。フォークリフト90は、バッテリケース96の上面開口部96aに嵌合するバッテリカバー98を備える。バッテリカバー98の上部には座席97が設置されている。バッテリケース96には、図示しないバッテリが収容されている。バッテリカバー98は、労働安全衛生総合研究所による工場電気設備防爆指針に基づく2つの錠締装置(図示せず)によりバッテリケース96に錠締されている。
【0004】
防爆型のバッテリ式フォークリフト90において、バッテリの充電をバッテリカバー98を開放して行おうとすると、バッテリカバー98と共に座席97を移動させる必要があり、非常に面倒である。そこで、特許文献1においては、車体91の外部に、バッテリに接続されたバッテリ側プラグ99を引き出して配設し、そのバッテリ側プラグ99をプラグカバー100によって覆う構造としている。プラグカバー100は、上記の工場電気設備防爆指針に基づく錠締装置(図示せず)によりバッテリケース96に錠締されている。バッテリの充電時は、錠締装置を解錠してプラグカバー100だけを操作すればよく、座席97とバッテリカバー98を移動させる場合と比べると、充電作業が容易となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のフォークリフト90においては、バッテリ側プラグ99が車体91の外側に突出しており、そのバッテリ側プラグ99を覆うプラグカバー100が邪魔であったり、美観が低下したりしていた。
【0007】
本発明の目的は、車体からのバッテリ側プラグの突出を原因とした不具合を無くすことができる防爆型バッテリ式産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための防爆型バッテリ式産業車両は、車体と、前記車体に搭載され、バッテリ側プラグを有するバッテリと、前記バッテリの少なくとも一部を前記車体の外に露出させるために前記車体に設けた開口部と、前記開口部を開閉可能とするサイドカバーと、前記サイドカバーを錠締する錠締装置と、を有する防爆型バッテリ式産業車両において、前記サイドカバーは、前記開口部と連通可能な貫通口を有し、外面が平坦なカバー本体と、前記貫通口を開閉可能とし、前記貫通口を閉じた状態では前記カバー本体の外面と面一となる略平板状の扉と、前記扉を錠締する扉用錠締装置と、を備え、前記バッテリ側プラグは、前記扉と対向する位置で前記車体の内部に配置されるとともに、前記扉が前記貫通口を開いた状態で、前記開口部及び前記貫通口を介して前記車体の外に露出可能となる位置に配置されていることを要旨とする。
【0009】
これによれば、錠締装置によってサイドカバーを錠締でき、扉用錠締装置により扉を錠締できる。このような防爆型バッテリ式産業車両において、サイドカバーを錠締装置で錠締した状態において、扉用錠締装置を解錠し、扉によって貫通口を開くことで、開口部及び貫通口を介してバッテリ側プラグを車体の外に露出させることができる。その結果、サイドカバーを閉じた状態のままバッテリ側プラグに充電側プラグを接続し、バッテリの充電を行うことができる。
【0010】
このような防爆型バッテリ式産業車両において、バッテリ側プラグは、閉じた扉と対向する位置で車体の内部に配置されている。そして、開口部を閉じた状態にあるサイドカバーにおいて、バッテリ側プラグと対向する位置にある扉は略平板状であり、カバー本体の外面と面一である。このため、バッテリ側プラグを覆うための部位がカバー本体より飛び出した形状にならず、バッテリ側プラグを覆う部位が邪魔にならず、美観も低下しない。
【0011】
また、防爆型バッテリ式産業車両について、前記開口部及び前記サイドカバーは、前記車体の左側部又は右側部に配設されていてもよい。
これによれば、例えば、車体の開口部及びサイドカバーが、車体の左側部又は右側部ではなく、運転席の足下に配設されている場合だと、運転席の足下で扉用錠締装置の解錠及び錠締、扉の開閉といった作業を行う必要があり、運転席が邪魔で作業性が悪い。しかし、車体の開口部及びサイドカバーが車体の左側部又は右側部に配設されていると、運転席が邪魔にならず、扉用錠締装置の解錠及び錠締、扉の開閉作業が行いやすい。さらに、車体の開口部及びサイドカバーが車体の後側部にある場合と比べると、バッテリ側プラグを充電器に近付けやすく、バッテリ側プラグと充電器側プラグとを接続する作業が行いやすい。
【0012】
また、防爆型バッテリ式産業車両について、前記バッテリ側プラグの差込口は斜め下方に向けて開口していてもよい。
これによれば、差込口に水滴が発生したりしても、水滴を重力によって垂らすことができ、バッテリ側プラグ内への水滴の浸入を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車体からのバッテリ側プラグの突出を原因とした不具合を無くすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、防爆型バッテリ式産業車両を防爆型バッテリ式フォークリフトに具体化した一実施形態を
図1〜
図7にしたがって説明する。まず、以下の説明において「前」「後」「左」「右」「上」「下」は、フォークリフトの運転者がフォークリフトの前方を向いた状態を基準とした場合の「前」「後」「左」「右」「上」「下」を示すものとする。
【0016】
図1に示すように、防爆型バッテリ式産業車両としての防爆型バッテリ式フォークリフト10の車体11の前下部には駆動輪12が設けられているとともに、車体11の後下部には操舵輪13が設けられている。また、車体11の前部には、荷役装置14が設けられている。荷役装置14は、車体11の前部に立設されたマスト15を有している。マスト15にはリフトブラケット16を介して一対のフォーク17が設けられている。そして、フォーク17は、マスト15に連結されたリフトシリンダ18の駆動により、リフトブラケット16とともに昇降される。また、フォーク17は、マスト15に連結されたティルトシリンダ19の駆動により、マスト15とともに傾動される。
【0017】
車体11には、駆動輪12を駆動させる走行用モータM1と、荷役装置14を駆動させる荷役用モータM2と、バッテリ30が搭載されている。走行用モータM1及び荷役用モータM2は、バッテリ30から供給される電力によって駆動する。防爆型バッテリ式フォークリフト10は、バッテリ30を駆動源として駆動輪12を駆動させることで走行する。
【0018】
防爆型バッテリ式フォークリフト10は、車体11の中央に設けられた運転室20と、運転室20の中央に設けられた運転席21とを備える。防爆型バッテリ式フォークリフト10は、車体11の後部に設けられたカウンタウェイト26を備える。
【0019】
図1又は
図2に示すように、防爆型バッテリ式フォークリフト10は、車体11における運転室20の下側にバッテリ収容部31を備える。バッテリ収容部31は、車体11の上方に開口する状態に設けられている。そして、バッテリ収容部31にはバッテリ30が収納されている。
【0020】
また、防爆型バッテリ式フォークリフト10は、バッテリ収容部31を開閉するバッテリフード29を備える。バッテリフード29は、運転席21の床を構成する。バッテリ収容部31は、車体11に凹設されている。バッテリ収容部31に収容されたバッテリ30は、複数の二次電池33を収容したバッテリケース32を備える。なお、二次電池33は鉛蓄電池であり、角形電池である。バッテリケース32は、全体として直方体状である。
【0021】
バッテリケース32の前面32c、後面32d、及び左面32bが車体11によって覆われる一方で、右側面32aの一部は車体11によって覆われていない。バッテリ30は、バッテリケース32の右側面32aが車体11の右側部11bに面し、バッテリケース32の左面32bが車体11の左側部11cに面する状態でバッテリ収容部31に収容されている。
【0022】
バッテリ30は、右前上部に配設されたバッテリ側プラグ34を備える。具体的には、バッテリ側プラグ34は、車体11の右側かつ前側かつ上側に位置している。バッテリ側プラグ34は、二次電池33とケーブル35を介して電気的に接続されている。バッテリ側プラグ34は、四角筒状の差込口34aを備える(
図4〜
図6参照)。
図6に示すように、差込口34aにおける四角筒の軸線Lの延びる方向を軸方向とすると、バッテリ側プラグ34は軸方向一端34bがケーブル35側よりも若干下を向く状態に配設されている。バッテリ側プラグ34は、車体11の右側部11bにおいて、下方に開口する状態に配設されている。
【0023】
図4に示すように、防爆型バッテリ式フォークリフト10は、バッテリ収容部31に収容されたバッテリケース32の右側面32aの上部を、車体11の外に露出させる開口部11aを車体11に備える。防爆型バッテリ式フォークリフト10を右方から見た側面視では、開口部11aは前後方向に長手が延びる矩形状である。バッテリケース32のバッテリ側プラグ34は、車体11の開口部11aに対向するように配設されている。バッテリ側プラグ34は、その差込口34aの軸方向一端34bが車体11の右側部11bより車体11の内寄りに位置している。このため、バッテリ側プラグ34は、車体11の右側部11bから飛び出しておらず、車体11の内部に配置されている。
【0024】
図3又は
図4に示すように、防爆型バッテリ式フォークリフト10は、バッテリ30の交換等のメンテナンス作業を行うために、開口部11aを開閉可能とするサイドカバー40を備える。サイドカバー40は、
図3に示すように、車体11の右側部11bを覆い、かつ開口部11aを閉じる閉位置H1と、
図4に示すように、車体11の右側部11bを覆わず、開口部11aを開いた状態とする開位置H2とを取り得る。
【0025】
サイドカバー40は、車体11の右側部11bに連結されている。閉位置H1にあるサイドカバー40は、車体11の右側部11bを上下に2分割したうちの上側である右上側面を覆う。サイドカバー40は、閉位置H1において、車体11の右側部11bを覆い、かつ開口部11aと連通可能な貫通口39を有するカバー本体42と、貫通口39を開閉可能とし、貫通口39を閉じた状態ではカバー本体42の外面42fと面一となる略平板状の扉50と、扉50をカバー本体42に錠締する扉用錠締装置55と、を有する。
【0026】
図3に示すように、カバー本体42は、平板状である。カバー本体42の外面42fは平坦である。カバー本体42は、閉位置H1において、バッテリフード29に沿う第1縁部42aと、第1縁部42aの対辺であり、かつ第1縁部42aより短い第2縁部42bと、を有する。また、カバー本体42は、第1縁部42a及び第2縁部42bにおける駆動輪12側の端同士を繋ぐ第3縁部42cと、第1縁部42a及び第2縁部42bにおける操舵輪13側の縁同士を繋ぐ第4縁部42dとを有する。
【0027】
サイドカバー40は、第2縁部42bの長手方向両側に設けたヒンジ41によって車体11に連結されている。サイドカバー40は、ヒンジ41を回動中心として回動可能である。サイドカバー40が閉位置H1にあると、サイドカバー40によって、車体11の開口部11aは閉じられ、
図4に示すように、サイドカバー40が開位置H2にあると、サイドカバー40によって、車体11の開口部11aは開かれる。開位置H2では、バッテリ30の一部であるバッテリケース32の右側面32aは、車体11の外に露出され、バッテリ側プラグ34も車体11の外に露出される。
【0028】
防爆型バッテリ式フォークリフト10は、サイドカバー40の錠締装置45を備える。錠締装置45は、労働安全衛生総合研究所による工場電気設備防爆指針に基づくものである。錠締装置45は、カバー本体42の長手方向一端側(前端側)に設置されている。錠締装置45は、カバー本体42の前上部を貫通したボルト46と、ボルト46の雄ねじ部46bが螺合される車体11の右側部11bに形成された雌ねじ部47と、サイドカバー40においてボルト46の頭部46aを囲む位置に立設された壁部48と、で構成されている。
【0029】
図5の拡大図に示すように、壁部48は、円筒状である。壁部48の存在により、ボルト46は特殊工具を使用しなければ、雌ねじ部47から螺退できず、特殊工具を使用しなければサイドカバー40を閉位置H1から開位置H2に移動できない。
【0030】
図3又は
図4に示すように、サイドカバー40は、長手方向他端側(後端側)に締結装置49を備える。締結装置49は、サイドカバー40の前側上部を貫通したボルト49aと、ボルト49aが螺合される車体11の右側部11bに形成された雌ねじ部49bと、で構成されている。締結装置49のボルト49aは、ねじ回し、スパナ、プライヤ等の一般工具で螺退できる。
【0031】
サイドカバー40は、閉位置H1においてバッテリ側プラグ34に対向する位置にある貫通口39を備える。貫通口39は、前後方向に長手が延びる矩形状である。サイドカバー40は、貫通口39を開閉可能とする扉50を有する。扉50は、前後方向に長手が延びる矩形平板状である。扉50は、長手方向一端側(後端側)に設けたヒンジ51によってカバー本体42に連結されている。扉50は、ヒンジ51を回動中心として回動可能である。
図6に示すように、扉50は、貫通口39を閉じる閉位置F1と、
図5に示すように、貫通口39を開く開位置F2とを取り得る。
図6に示すように、扉50が閉位置F1にあると、扉50の外面50aは、カバー本体42の外面42fと面一になる。
【0032】
図5に示すように、扉50が開位置F2にあり、扉50が貫通口39を開いた状態では、バッテリ側プラグ34は、開口部11a及び貫通口39を介して車体11の外に露出する位置に配置されている。一方、
図3に示すように、扉50が閉位置F1にあり、扉50が貫通口39を閉じた状態では、バッテリ側プラグ34は、扉50と対向する位置で車体11の内部に配置され、車体11の外に露出しない。そして、サイドカバー40において、カバー本体42と扉50が閉位置H1,F1にある状態では、サイドカバー40全体が平板状であり、車体11の右側面を構成している。
【0033】
図5に示すように、サイドカバー40は、扉用錠締装置55に備える。扉用錠締装置55は、労働安全衛生総合研究所による工場電気設備防爆指針に基づくものである。扉用錠締装置55は、扉50の長手方向他端側である前端側に設置されている。扉用錠締装置55は、扉50に回動可能に支持された回動軸56を備える。また、扉用錠締装置55は、扉50の裏面側において回動軸56に一体のロック片57を備える。ロック片57は、回動軸56の回動に伴って変動し、扉用錠締装置55の前端より突出したロック位置と、扉用錠締装置55の前端から突出しない非ロック位置とに変動可能である。
【0034】
また、扉用錠締装置55は、回動軸56を軸方向に貫通する鍵孔56aを備える。扉用錠締装置55は、サイドカバー40の裏面に配設された被ロック片58を備える。被ロック片58の厚み方向の両面は、サイドカバー40の裏面に直交している。被ロック片58は、被ロック片58を厚み方向に貫通するスリット58aを備える。サイドカバー40が閉位置H1にあり、扉50が閉位置F1にある状態では、扉用錠締装置55の被ロック片58は、車体11の前方寄りの縁に沿う位置に配置されている。
【0035】
そして、鍵孔56aに図示しない鍵を挿入し、鍵を操作してロック片57をロック位置に移動させると、
図4に示すように、スリット58aにロック片57が入り込む。ロック片57と被ロック片58との当接により、扉50を錠締できる。一方、鍵孔56aに鍵を挿入し、鍵を操作してロック片57を非ロック位置に移動させると、スリット58aからロック片57が抜け出て、解錠される。
【0036】
次に、防爆型バッテリ式フォークリフト10の作用を記載する。
防爆型バッテリ式フォークリフト10の通常使用時、サイドカバー40は、錠締装置45によって錠締され、扉50は扉用錠締装置55によって錠締されている。
【0037】
図7に示すように、防爆型バッテリ式フォークリフト10のバッテリ30を充電する際は、車体11の右側部11bを充電器60に近付ける。
そして、扉用錠締装置55を解錠し、
図5に示すように、扉50を開位置F2にする。すると、閉位置H1にあるサイドカバー40において、貫通口39が開いた状態とされ、バッテリ側プラグ34がサイドカバー40の奥で車体11の外に露出する。そして、バッテリ側プラグ34に充電器60が備える充電側プラグ61を接続し、充電を行う。充電完了後は、扉50を閉位置F1にして貫通口39を閉じた後、扉用錠締装置55によって扉50を錠締する。
【0038】
図3又は
図6に示すように、扉用錠締装置55によって扉50が錠締され、錠締装置45によってサイドカバー40が錠締された状態、すなわち、サイドカバー40及び扉50が閉位置H1,F1にある状態では、車体11の右側部11bは平坦状である。
【0039】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)防爆型バッテリ式フォークリフト10において、バッテリ側プラグ34は車体11の開口部11aよりも車体11の内寄りにあり、車体11の内部に配置されている。サイドカバー40は、開口部11aと連通可能な貫通口39を備えるとともに、貫通口39を開閉可能とする扉50を備える。そして、この扉50は平板状である。このため、扉50が貫通口39を閉じた閉位置F1にある状態では、バッテリ側プラグ34と対向する位置にある扉50が、カバー本体42の外面42fより外部に飛び出した形状にならず、扉50が作業者の邪魔になったり、扉50によって車体11の美観が低下したりすることがない。
【0040】
(2)防爆型バッテリ式フォークリフト10において、錠締装置45によってサイドカバー40を錠締でき、扉用錠締装置55により扉50を錠締できる。このため、扉用錠締装置55を解錠し、扉50を開位置F2にすることで、バッテリフード29や運転席21を移動させなくてもバッテリ側プラグ34に充電側プラグ61を接続し、バッテリ30の充電を行うことができる。また、サイドカバー40のような大きなカバーを開閉することなく、サイドカバー40より小さな扉50の開閉のみで、車体11の外へバッテリ側プラグ34を露出させたり、露出させなかったりできる。よって、サイドカバー40を開かず、扉50を開くだけで、バッテリ側プラグ34に対し充電側プラグ61を接続でき、例えば、サイドカバー40を開いてバッテリ側プラグ34に充電側プラグ61を接続する場合と比べると、充電側プラグ61の接続作業が行いやすく、バッテリ30の充電が行いやすい。
【0041】
(3)車体11の開口部11a、及び開口部11aを閉じるサイドカバー40は、車体11の右側部11bにある。このため、扉用錠締装置55の解錠及び錠締、扉50の開閉といった作業を行う際、運転席21が邪魔にならず、扉用錠締装置55の解錠及び錠締、扉50の開閉作業が行いやすい。
【0042】
さらには、バッテリ側プラグ34を充電器60に近付けやすく、バッテリ側プラグ34と充電側プラグ61とを接続する作業が行いやすい。
(4)バッテリ側プラグ34の差込口34aは下方に向けて開口している。このため、差込口34a周囲に水滴が発生したりしても、水滴を重力によって垂らすことができ、バッテリ側プラグ34内への水滴の浸入を抑制できる。
【0043】
(5)サイドカバー40を錠締装置45によって錠締することで、車体11の開口部11aを覆うサイドカバー40については特殊工具でないと開閉できないようにしたが、扉50の扉用錠締装置55においては、鍵によって開閉できるようにした。このため、特殊工具を使用することなくバッテリ側プラグ34へアクセスすることができる。
【0044】
(6)バッテリ側プラグ34は、差込口34aが若干下方を向いているが、ほぼ横向きである。このため、例えば、差込口34aが真下を向いている場合と比べると、バッテリ側プラグ34と充電側プラグ61との接続が行いやすい。また、充電側プラグ61をバッテリ側プラグ34に差し込むために、貫通口39に充電側プラグ61を通過させるが、差込口34aが真下を向いている場合と比べると、貫通口39を小さくでき、その貫通口39を閉じる扉50も小さくできる。
【0045】
(7)バッテリ30を車体11のバッテリ収容部31に収容しつつ、車体11の開口部11aから車体11の外へバッテリ側プラグ34を露出できるようにした。このため、例えば、バッテリ側プラグ34を車体11の外まで飛び出させる場合と比べるとケーブル35を短くできる。
【0046】
(8)貫通口39は矩形孔状であり、貫通口39を閉塞する扉50は矩形板状である。よって、貫通口39及び扉50を形成しやすい。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0047】
○ 扉用錠締装置55は、錠締装置45と同じように、扉50を貫通したボルトと、ボルトが螺合されるべくカバー本体42に形成された雌ねじ部と、扉50においてボルトの頭部を囲む位置に立設された壁部と、で構成されていてもよい。このように構成した場合は、壁部の存在により、ボルトは特殊工具を使用しなければ、雌ねじ部から螺退できず、特殊工具を使用しなければ扉50を閉位置F1から開位置F2に移動できない。
【0048】
○ 車体11の開口部11a及びサイドカバー40は、車体11の後側部や、運転席21の足下に設置されていてもよい。この場合、扉50が開いた状態で、開口部11a及び貫通口39を介して車体11の外にバッテリ側プラグ34が露出可能となるようにバッテリ30がバッテリ収容部31に収容される。
【0049】
○ 車体11の開口部11a及びサイドカバー40は、車体11の左側部11cに設置されていてもよい。この場合は、扉50が開いた状態で、開口部11a及び貫通口39を介して車体11の外にバッテリ側プラグ34が露出可能となるようにバッテリ30がバッテリ収容部31に収容される。
【0050】
○ 錠締装置45は、ねじ回し、スパナ、プライヤ等の一般工具でボルト46を緩めて解錠できない構造であれば、適宜構造を変更してもよい。例えば、扉用錠締装置55のように鍵構造としてもよい。
【0051】
○ サイドカバー40のヒンジ41をカバー本体42の第2縁部42bに設けたが、ヒンジ41をカバー本体42の第1縁部42a、第3縁部42c又は第4縁部42dに設け、そのヒンジ41を回動中心としてサイドカバー40を開閉可能としてもよい。
【0052】
○ 扉50のヒンジ51を扉50の一方の短縁寄りに設置したが、ヒンジ51の設置する位置は変更してもよい。
○ 扉50の外面50aが、サイドカバー40の外面42fと面一になれば、扉50の縁部が湾曲していてもよく、この場合、扉50は略平板状となる。
【0053】
○ 実施形態では、開口部11aにより、バッテリ30の一部となるバッテリケース32における右側面32aの一部を車体11の外に露出させる構成としたが、開口部11aの大きさを適宜変更してもよい。例えば、開口部11aにより、バッテリ30のバッテリケース32における右側面32aの全面を車体11の外に露出できるように開口部11aを拡大してもよい。
【0054】
○ サイドカバー40の貫通口39は矩形孔状でなく、丸孔状、三角孔状、長孔状等適宜変更してもよく、貫通口39の形状に合わせて扉50の形状も変更される。
○ 防爆型バッテリ式産業車両は、防爆型バッテリ式フォークリフト10に限らず、農業用、土木建設用、荷役用等に使用される産業車両全般に適用してもよい。
【0055】
○ バッテリ30の二次電池33は鉛蓄電池に限らず、リチウムイオン電池やニッケル水素電池やキャパシタ等の他の二次電池であってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0056】
(1)前記扉用錠締装置は、前記扉に設置された回動軸と、前記回動軸と一体のロック片と、前記回動軸に形成された鍵孔と、前記鍵孔に挿入されて前記回動軸を回動させる鍵と、前記カバー本体に設置され、前記ロック片が入り込むためのスリットを備えた被ロック片と、を有する防爆型バッテリ式産業車両。
【0057】
(2)前記貫通口は矩形孔状であり、前記扉は矩形板状である防爆型バッテリ式産業車両。