(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施の形態1>
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、実施の形態1に係る液晶表示装置10を示すブロック図である。
図1に示すように、液晶表示装置10は、画像表示部11と、タイミングジェネレータ13と、垂直シフトレジスタ14と、データラッチ回路15と、水平ドライバ16と、を備える。水平ドライバ16は、水平シフトレジスタ161と、ラッチ部162と、レベルシフタ/画素ドライバ163と、により構成される。
【0016】
画像表示部11は、行列状に区画された複数の画素配置領域のそれぞれに規則的に配置された複数の画素12を有する。
【0017】
複数の画素12は、垂直シフトレジスタ14に一端が接続されて行方向(X方向)に延在するm本(mは2以上の自然数)の行走査線g1〜gmと、レベルシフタ/画素ドライバ163に一端が接続されて列方向(Y方向)に延在するn本(nは2以上の自然数)の列データ線d1〜dnと、がそれぞれ交差する複数の交差部に二次元マトリクス状に配置されている。画像表示部11内の全ての画素12は、一端がタイミングジェネレータ13に接続されたトリガ線trig,trigbに共通接続されている。トリガ線trigには、正転トリガパルスTRIが伝搬し、トリガ線trigbには、正転トリガパルスTRIの反転信号である反転トリガパルスTRIBが伝搬している。
【0018】
なお、本実施の形態では、n本の列データ線d1〜dnが設けられた場合を例に説明しているが、これに限られず、正転データが伝搬する列データ線dj(jは1〜nの任意の値)及び反転データが伝搬する列データ線dbjを一組とする合計n組の列データ線d1,db1〜dn,dbnが設けられていてもよい。なお、列データ線djを伝搬する正転データと、列データ線dbjを伝搬する反転データとは、常に逆論理値の関係(相補的な関係)にある1ビットのデータである。
【0019】
タイミングジェネレータ13は、上位装置20から出力された垂直同期信号Vst、水平同期信号Hst、及び、基本クロックCLK等の外部信号を入力信号として受け取り、これら外部信号に基づいて、交流化信号FR、VスタートパルスVST、HスタートパルスHST、クロック信号VCK,HCK、ラッチパルスLT、及び、トリガパルスTRI,TRIB等の各種の内部信号を生成する。
【0020】
交流化信号FRは、1サブフレーム毎に極性反転する信号であり、画像表示部11を構成する画素12内の液晶表示素子の共通電極に、後述する共通電極電圧Vcomとして供給される。
【0021】
スタートパルスVSTは、後述する各サブフレームの開始タイミングで出力されるパルス信号であり、このスタートパルスVSTによって、サブフレームの切替わりが制御される。
【0022】
スタートパルスHSTは、水平シフトレジスタ161の開始タイミングで当該水平シフトレジスタ161に対して出力されるパルス信号である。
【0023】
クロック信号VCKは、垂直シフトレジスタ14における1水平走査期間(1H)を規定するシフトクロックであり、クロック信号VCKのタイミングで垂直シフトレジスタ14がシフト動作を行う。
【0024】
クロック信号HCKは、水平シフトレジスタ161におけるシフトクロックであり、32ビット幅でデータをシフトさせるための信号である。
【0025】
ラッチパルスLTは、水平シフトレジスタ161が水平方向の1行の画素数分のデータをシフトし終わったタイミングで出力されるパルス信号である。
【0026】
正転トリガパルスTRI及び反転トリガパルスTRIBは、それぞれトリガ線trig,trigbを介して、画像表示部11内の全ての画素12に供給されるパルス信号である。
【0027】
ここで、トリガパルスTRIは、あるサブフレーム期間において、画像表示部11内の全ての画素12内の第1データ保持部にデータが書き込まれた後にタイミングジェネレータ13から出力される。それにより、そのサブフレーム期間において、画像表示部11内の全ての画素12内の第1データ保持部に保持されたデータが、それぞれ対応する画素12内の第2データ保持部に一斉に転送される。
【0028】
垂直シフトレジスタ14は、各サブフレームの開始タイミングで供給されるVスタートパルスVSTをクロック信号VCKに従って転送し、行走査信号を行走査線g1〜gmに対して1H単位で順次排他的に供給する。それにより、画像表示部11の最も上にある行走査線g1から最も下にある行走査線gmにかけて、行走査線が1本ずつ1H単位で順次選択されていく。
【0029】
データラッチ回路15は、図示しない外部回路から供給される1サブフレーム単位の32ビット幅のデータを、上位装置20からの基本クロックCLKに基づいてラッチした後、基本クロックCLKに同期して水平シフトレジスタ161へ出力する。
【0030】
なお、液晶表示装置10は、映像信号の1フレームを、その映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームに分割し、これらサブフレームの組み合わせにて階調表示を行っている。そのため、上記の外部回路は、各画素の階調を示す階調データを、複数のサブフレームに対応する複数の1ビットのサブフレームデータに変換している。さらに、上記の外部回路は、同じサブフレームに属する32画素分のサブフレームデータをまとめて32ビット幅のデータとしてデータラッチ回路15に供給している。
【0031】
水平シフトレジスタ161は、1ビットシリアルデータの処理系としてみた場合、タイミングジェネレータ13から1Hの初期に供給されるスタートパルスHSTによりシフトを開始し、データラッチ回路15から供給される32ビット幅のデータをクロック信号HCKに同期してシフトする。
【0032】
ラッチ部162は、水平シフトレジスタ161が画像表示部11の1行分の画素数nと同じnビット分のデータをシフトし終わると、タイミングジェネレータ13から供給されるラッチパルスLTに同期して、水平シフトレジスタ161から並列に供給されるnビット分のデータ(即ち、n画素分のサブフレームデータ)をラッチし、レベルシフタ/画素ドライバ163のレベルシフタへ出力する。なお、ラッチ部162のデータ転送が終了すると、タイミングジェネレータ13からスタートパルスHSTが再び出力され、水平シフトレジスタ161はクロック信号HCKに従ってデータラッチ回路15からの32ビット幅のデータのシフトを再開する。
【0033】
レベルシフタ/画素ドライバ163のレベルシフタは、ラッチ部162から転送された1行のn画素に対応するn個のサブフレームデータの信号レベルを液晶駆動電圧までレベルシフトする。レベルシフタ/画素ドライバ163の画素ドライバは、レベルシフト後の1行のn画素に対応したn個のサブフレームデータをn本の列データ線d1〜dnに並列に出力する。
【0034】
水平ドライバ16は、1水平走査期間において、データ書き込み対象として選択されている行の画素に向けたサブフレームデータの出力と、次の1水平走査期間にデータ書き込み対象として選択される行の画素のためのサブフレームデータのシフトと、を並行して行っている。そして、ある水平走査期間において、1行のn画素に対応するn個のサブフレームデータが、データ信号としてそれぞれn本の列データ線d1〜dnに並列に、かつ、一斉に出力される。
【0035】
画像表示部11を構成する複数の画素12のうち、垂直シフトレジスタ14からの行走査信号により選択された1行のn個の画素12は、レベルシフタ/画素ドライバ163から一斉に出力された1行分のn個のサブフレームデータをn本の列データ線d1〜dnを介してサンプリングして各画素12内の後述する第1データ保持部に書き込む。
【0036】
(画素12の具体的構成)
続いて、画素12の具体的構成について説明する。
図2は、画素12の具体的構成を示す回路図である。
【0037】
図2に示すように、画素12は、行走査線g1〜gmの任意の1本(以下、行走査線gと称す)と、列データ線d1〜dnの任意の1本(以下、列データ線dと称す)と、が交差する交差部分に設けられている。
【0038】
画素12は、SRAMセル201と、DRAMセル202と、液晶表示素子LCと、を備える。SRAMセル201は、第1スイッチであるスイッチSW1と、第1データ保持部である記憶部SM1と、により構成されている。DRAMセル202は、第2スイッチであるスイッチSW2と、第2データ保持部である記憶部DM2と、により構成されている。液晶表示素子LCは、離間対向配置された、光反射特性を有する画素電極である反射電極PEと、光透過性を有する共通電極CEと、の間の空間に、液晶LCMが充填封入された公知の構造である。
【0039】
(SRAMセル201の構成)
スイッチSW1は、例えばNチャネルMOS型トランジスタ(以下、NMOSトランジスタという)MN1により構成されている。スイッチSW1を構成するNMOSトランジスタMN1では、ソースが記憶部SM1の入力端子(ノードa)に接続され、ドレインが列データ線dに接続され、ゲートが行走査線gに接続されている。
【0040】
記憶部SM1は、一方の出力端子が他方の入力端子に接続された2つのインバータINV11,INV12からなる自己保持型メモリである。より具体的には、インバータINV11の入力端子は、インバータINV12の出力端子及びスイッチSW1を構成するNMOSトランジスタMN1のソースに接続されている。インバータINV12の入力端子は、スイッチSW2及びインバータINV11の出力端子に接続されている。
【0041】
インバータINV11は、高電位側電源ラインV1と、低電位側電源ラインV0と、の間に直列接続されたPチャネルMOS型トランジスタ(以下、PMOSトランジスタという)MP11及びNMOSトランジスタMN11を有し、それぞれのゲートに供給された入力信号を反転してそれぞれのドレインから出力する公知のCMOSインバータである。同じく、インバータINV12は、高電位側電源ラインV1と、低電位側電源ラインV0と、の間に直列接続されたPMOSトランジスタMP12及びNMOSトランジスタMN12を有し、それぞれのゲートに供給された入力信号を反転してそれぞれのドレインから出力する公知のCMOSインバータである。
【0042】
ここで、PMOSトランジスタMP11,MP12のそれぞれのソースは、それらのウエルとは分離して、高電位側電源ラインV1に接続されている。NMOSトランジスタMN11,MN12のそれぞれのソースは、それらのウエルとは分離して、低電位側電源ラインV0に接続されている。高電位側電源ラインV1及び低電位側電源ラインV0のそれぞれの電圧は、例えば、上位装置20などの制御回路によって任意に設定可能となっている。
【0043】
例えば、PMOSトランジスタMP11,MP12のそれぞれのウエルには、3.3Vの電源電圧VDDが供給され、PMOSトランジスタMP11,MP12のそれぞれのソースには、高電位側電源ラインV1を介して2.8Vの電圧(以下、電圧V1とも称す)が供給される。また、NMOSトランジスタMN11,MN12のそれぞれのウエルには、0Vの接地電圧GNDが供給され、NMOSトランジスタMN11,MN12のそれぞれのソースには、低電位側電源ラインV0を介して0.5Vの電圧(以下、電圧V0とも称す)が供給される。例えば、列データ線dを介して3.3Vのデータが画素12に入力された場合、記憶部SM1によってラッチされるデータの振幅は2.3V(=2.8V−0.5V)となる。詳しくは後述するが、記憶部SM1によってラッチされたデータを、スイッチSW2を介して記憶部DM2に転送することによって、2.3V振幅の1ビットデジタルデータが液晶表示素子LCの反射電極PEに印加される。
【0044】
また、インバータINV11とインバータINV12とでは駆動能力が異なる。具体的には、記憶部SM1を構成するインバータINV11,INV12のうち、スイッチSW1から見て入力側となるインバータINV11内のトランジスタMP11,MN11の駆動能力は、スイッチSW1から見て出力側となるインバータINV12内のトランジスタMP12,MN12の駆動能力よりも大きい。それにより、列データ線dからスイッチSW1を介して記憶部SM1にデータが伝搬しやすくなり、一方で、スイッチSW2を介して記憶部DM2から記憶部SM1にデータが伝搬しにくくなる。
【0045】
さらに、スイッチSW1を構成するNMOSトランジスタMN1の駆動能力は、インバータINV12を構成するNMOSトランジスタMN12の駆動能力よりも大きい。それにより、例えば、列データ線d上でHレベルを示すデータを記憶部SM1に記憶させる場合、列データ線dからスイッチSW1を介して記憶部SM1の入力端子(ノードa)に流れる電流を、記憶部SM1の入力端子からNMOSトランジスタMN12を介して低電位側電源ラインV0に流れる電流よりも大きくすることができるため、ノードaの電圧をHレベルを表す程度にまで上昇させることができ、その結果、Hレベルのデータを正確に記憶部SM1に記憶させることができる。
【0046】
(DRAMセル202の構成)
スイッチSW2は、並列接続されたNMOSトランジスタMN2及びPMOSトランジスタMP2からなる公知のトランスミッションゲートである。より具体的には、NMOSトランジスタMN2及びPMOSトランジスタMP2では、それぞれのドレインが記憶部SM1の出力端子に共通接続され、それぞれのソースが記憶部DM2の入力端子及び液晶表示素子LCの反射電極PEに共通接続されている。そして、NMOSトランジスタMN2のゲートは、正転トリガパルス用トリガ線trigに接続され、PMOSトランジスタMP2のゲートは、反転トリガパルス用トリガ線trigbに接続されている。
【0047】
例えば、スイッチSW2は、トリガ線trigを介して供給される正転トリガパルスTRIがHレベル(トリガ線trigbを介して供給される反転トリガパルスTRIBがLレベル)の場合にオン状態となり、記憶部SM1から読み出されたデータを記憶部DM2及び反射電極PEへ転送する。また、スイッチSW2は、トリガ線trigを介して供給される正転トリガパルスTRIがLレベル(トリガ線trigbを介して供給される反転トリガパルスTRIBがHレベル)の場合にオフ状態となり、記憶部SM1の記憶データの読み出しは行わない。
【0048】
スイッチSW2は、公知のトランスミッションゲートであるため、オン状態において広範囲の電圧を転送することができる。より具体的には、記憶部SM1からトランジスタMN2,MP2のドレインに対してLレベルの電圧が印加された場合、PMOSトランジスタMP2のソース・ドレインが導通しない代わりに、NMOSトランジスタMN2のソース・ドレインは低抵抗で導通することができる。一方、記憶部SM1からトランジスタMN2,MP2のドレインに対してHレベルの電圧が印加された場合、NMOSトランジスタMN2のソース・ドレインが導通しない代わりに、PMOSトランジスタMP2のソース・ドレインは低抵抗で導通することができる。このように、スイッチSW2では、トランスミッションゲートのソース・ドレインが低抵抗で導通することができるため、オン状態において広範囲の電圧を転送することができる。
【0049】
記憶部DM2は、容量C1により構成されている。容量C1には、例えば、配線間で容量を形成するMIM(Metal Insulator Metal)容量、基板−ポリシリコン間で容量を形成するDiffusion容量、又は、2層ポリシリコン間で容量を形成するPIP(Poly Insulator Poly)容量等を用いることができる。
【0050】
スイッチSW2がオンすると、記憶部SM1に記憶されたデータが読み出され、スイッチSW2を介して、記憶部DM2内の容量C1及び反射電極PEへ転送される。それにより、記憶部DM2に記憶されたデータが書き換えられる。
【0051】
ここで、記憶部SM1の記憶データと記憶部DM2の記憶データとが異なる場合、記憶部SM1の記憶データがスイッチSW2を介して記憶部DM2に転送されると、記憶部SM1の記憶データによって記憶部DM2の記憶データが書き換えられる。具体的には、記憶部SM1に設けられたインバータINV11の出力信号によって、記憶部DM2に設けられた容量C1が充電されたり放電されたりする。
【0052】
例えば、容量C1に保持されたLレベルのデータをHレベルのデータに書き換える場合、インバータINV11からHレベルの信号が出力される。このとき、インバータINV11に設けられたPMOSトランジスタMP11がオンし、NMOSトランジスタMN11がオフするため、電源ライン(ここでは、高電位側電源ラインV1)からPMOSトランジスタMP11を介して供給される電圧V1によって、容量C1が充電される。
【0053】
それに対し、容量C1に保持されたHレベルのデータをLレベルのデータに書き換える場合、インバータINV11からLレベルの信号が出力される。このとき、インバータINV11に設けられたPMOSトランジスタMP11がオフし、NMOSトランジスタMN11がオンするため、電源ライン(ここでは、低電位側電源ラインV0)からNMOSトランジスタMN11を介して供給される電圧V0によって、容量C1が放電される。
【0054】
スイッチSW2は、上述したトランスミッションゲートを用いたアナログスイッチの構成であるため、容量C1の高速な充放電を可能にしている。さらに、上述のように、インバータINV11は、インバータINV12の駆動能力よりも大きな駆動能力となるように構成されているため、容量C1の高速な充放電を可能にしている。
【0055】
なお、スイッチSW2がオンしている場合、記憶部SM1に設けられたインバータINV12が容量C1の保持データの影響を受けて誤動作する可能性がある。しかしながら、インバータINV11の駆動能力をインバータINV12の駆動能力より大きくしているため、インバータINV12が容量C1の保持データの影響を受けることよりも、インバータINV11による容量C1の保持データの書き換えが優先される。したがって、容量C1の保持データによって記憶部SM1のデータが意図せず書き換えられてしまうことはない。
【0056】
このように、本実施の形態に係る液晶表示装置10は、SRAMセル及びDRAMセルを1つずつ備えた画素12を用いることにより、SRAMセルを2つ備えた画素を用いる場合よりも、画素を構成するトランジスタの数を減らすことができるため、画素の小型化を実現することができる。
【0057】
本実施の形態では、スイッチSW2がPMOSトランジスタMP2及びNMOSトランジスタMN2により構成されている場合について説明したが、これに限られない。スイッチSW2は、PMOSトランジスタMP2及びNMOSトランジスタMN2の何れか一つが設けられた構成に適宜変更可能である。その場合、トリガ線trig,trigbの一方のみが設けられることとなる。
【0058】
ここで、画素12の比較例として、SRAMセル201の代わりにDRAMセル501が設けられた画素52について検討する。画素52では、DRAMセル501とDRAMセル202とを導通させた場合に、DRAMセル501に設けられた容量に蓄積された電荷と、DRAMセル202の容量に蓄積された電荷とが中和されてしまうため、マスターラッチからスレーブラッチへの広範囲の電圧の転送が困難になってしまう。それに対し、画素12は、広範囲の電圧の転送が可能であるため、液晶表示素子LCの反射電極に対してより広範囲の電圧を印加することができる。
【0059】
次に、画素12の比較例として、SRAMセル201の代わりにDRAMセル501が設けられ、DRAMセル202の代わりにSRAMセル502が設けられた画素62について検討する。画素62では、DRAMセル501に設けられた容量に蓄積された電荷によって、SRAMセル502の記憶データが書き換えられる必要がある。しかしながら、通常、SRAMセル502のデータ保持能力は、容量の電荷保持能力よりも高いため、SRAMセル502の記憶データによって、DRAMセル501に設けられた容量の保持データが意図せず書き換えられてしまう。つまり、画素62では、画素12の場合と比較して、動作が不安定になってしまう。不安定な動作を解消するために、DRAMセル501に設けられた容量のサイズを大きくした場合、画素ピッチが増大してしまう。それに対し、画素12では、画素62のような問題は生じない。
【0060】
なお、液晶表示装置10は、画素を構成するトランジスタの数を少なくすることで画素の小型化を実現できるだけでなく、以下に説明するように記憶部SM1,DM2及び反射電極PEを素子の高さ方向に有効に配置することによっても画素の小型化を実現することができる。以下、
図3を用いて、詳細に説明する。
【0061】
(画素12の断面構造)
図3は、画素12の要部を示す概略断面図である。また、
図3では、容量C1が配線間で容量を形成するMIMにより構成された場合を例に説明する。
【0062】
図3に示すように、シリコン基板100上にはNウエル101及びPウエル102が形成されている。
【0063】
Nウエル101上には、スイッチSW2のPMOSトランジスタMP2、及び、インバータINV11のPMOSトランジスタMP11が形成されている。より具体的には、Nウエル101上には、PMOSトランジスタMP2,MP11のそれぞれのドレインとなる1つの共通拡散層、及び、PMOSトランジスタMP2,MP11のそれぞれのソースとなる2つの拡散層が形成され、共通拡散層と2つの拡散層との間のチャネル領域上には、PMOSトランジスタMP2,MP11のそれぞれのゲートとなるポリシリコンがゲート酸化膜を介して形成されている。
【0064】
Pウエル102上には、スイッチSW2のNMOSトランジスタMN2、及び、インバータINV11のNMOSトランジスタMN11が形成されている。より具体的には、Pウエル102上には、NMOSトランジスタMN2,MN11のそれぞれのドレインとなる1つの共通拡散層、及び、NMOSトランジスタMN2,MN11のそれぞれのソースとなる2つの拡散層が形成され、共通拡散層と2つの拡散層との間のチャネル領域上には、NMOSトランジスタMN2,MN11のそれぞれのゲートとなるポリシリコンがゲート酸化膜を介して形成されている。
【0065】
なお、Nウエル101上の活性領域(拡散層及びチャネル領域)と、Pウエル102上の活性領域と、の間には、素子分離酸化膜103が形成されている。
【0066】
トランジスタMP2,MP11,MN2,MN11の上方には、層間絶縁膜105をメタル間に介在させて第1メタル106、第2メタル108、第3メタル110、MIM電極112、第4メタル114、及び、第5メタル116が積層されている。
【0067】
第5メタル116は、画素毎に形成される反射電極PEを構成している。
【0068】
トランジスタMN2,MP2の各ソースを構成する各拡散層は、コンタクト118、第1メタル106、スルーホール119a、第2メタル108、スルーホール119b、第3メタル110、スルーホール119c、第4メタル114、及び、スルーホール119eを介して、反射電極PEである第5メタル116に電気的に接続されている。さらに、トランジスタMN2,MP2の各ソースを構成する各拡散層は、コンタクト118、第1メタル106、スルーホール119a、第2メタル108、スルーホール119b、第3メタル110、スルーホール119c、第4メタル114、及び、スルーホール119dを介してMIM電極112に電気的に接続されている。即ち、スイッチSW2を構成するトランジスタMN2,MP2の各ソースは、反射電極PE及びMIM電極112に電気的に接続されている。
【0069】
反射電極PE(第5メタル116)は、その上面に形成された保護膜であるパッシベーション膜(PSV)117を介して、透明電極である共通電極CEに離間対向配置されている。反射電極PEと共通電極CEとの間には、液晶LCMが充填封止されている。反射電極PE、共通電極CE、及び、それらの間の液晶LCMによって液晶表示素子LCが構成される。
【0070】
ここで、MIM電極112は、第3メタル110上に層間絶縁膜105を介して形成されている。このMIM電極112、第3メタル110、及び、それらの間の層間絶縁膜105によって容量C1が構成される。そのため、スイッチSW1,SW2及び記憶部SM1が、第1,2層配線である第1メタル106及び第2メタル108と、トランジスタと、を用いて形成されるのに対し、記憶部DM2は、それらの上層である第3メタル110及びMIM電極112を用いて形成されることとなる。つまり、スイッチSW1,SW2及び記憶部SM1と、記憶部DM2とは、それぞれ異なる層にて形成されることとなる。
【0071】
図示しない光源からの光は、共通電極CE及び液晶LCMを透過して反射電極PE(第5メタル116)に入射して反射され、元の入射経路を逆進して共通電極CEを通して出射される。
【0072】
このように、液晶表示装置10は、第5層配線である第5メタル116を反射電極PEとして用い、第3層配線である第3メタル110を記憶部DM2の一部として用い、第1,2層配線である第1メタル106及び第2メタル108とトランジスタとを記憶部SM1等として用いることで、記憶部SM1、記憶部DM2及び反射電極PEを高さ方向に有効に配置することが可能になるため、画素をさらに小型化することができる。それにより、例えば、3μm以下のピッチの画素を電源電圧3.3Vのトランジスタで構成できる。この3μm以下のピッチの画素を用いることで、対角の長さ0.55インチの横方向4000画素、縦方向2000画素の液晶表示パネルを実現できる。
【0073】
(比較例に係る液晶表示装置10の動作)
次に、
図4及び
図5を用いて、比較例に係る液晶表示装置10の動作について説明する。
図4は、比較例に係る液晶表示装置10の動作を示すタイミングチャートである。
図5は、比較例に係る液晶表示装置10の動作を示すフローチャートである。
【0074】
前述したように、液晶表示装置10では、垂直シフトレジスタ14からの行走査信号により、行走査線g1〜gmが1本ずつ1H単位で順次選択されていくため、画像表示部11を構成する複数の画素12には、選択された行走査線に共通に接続された1行のn個の画素単位でデータが書き込まれる。そして、画像表示部11を構成する複数の画素12の全てにデータが書き込まれると、その後、トリガパルスTRI,TRIBに基づき、全ての画素12のデータが一斉に読み出される(より具体的には、全ての画素12内の記憶部SM1のデータが一斉に記憶部DM2及び反射電極PEに転送される)。
【0075】
図4の(X)は、電源電圧VDD、電圧V1、電圧V0、接地電圧GNDのそれぞれの電圧値を示している。本例では、電源電圧VDDが3.3V、電圧V1が2.8V、電圧V0が0.5V、接地電圧GNDが0Vとなっている。この場合、列データ線dを伝搬するサブフレームデータの信号振幅は3.3V、スイッチSW1,SW2に設けられた各トランジスタのゲート制御電圧の振幅は3.3V、各PMOSトランジスタのウエル電圧は3.3V、各NMOSトランジスタのウエル電圧は0Vとなる。一方、記憶部SM1によって記憶されるデータの振幅は2.3V(=2.8V−0.5V)、記憶部DM2によって記憶されるデータの振幅は2.3Vとなる。
【0076】
図4の(A)は、各画素12に記憶されるサブフレームデータの変化を示している。なお、縦軸が行番号を表し、横軸が時間を表している。
図4の(A)に示すように、サブフレームデータの境界線は右下がりとなっている。これは、行番号の大きな画素ほどサブフレームデータが遅れて書き込まれることを表している。この境界線の一端から他端までの期間がサブフレームデータの書き込み期間に相当する。なお、B0b,B1b,B2bは、それぞれビットB0,B1,B2のサブフレームデータの反転データを示している。
【0077】
図4の(B)は、トリガパルスTRIの出力タイミング(立ち上がりタイミング)を示している。なお、トリガパルスTRIBは、常にトリガパルスTRIを論理反転した値を示すため、省略されている。
図4の(C)は、反射電極PEに印加されるサブフレームデータのビットを模式的に示している。
図4の(D)は、共通電極電圧Vcomの値の変化を示している。
図4の(E)は、液晶LCMに印加される電圧の変化を示している。
【0078】
(ビットB0のサブフレームデータの書き込み動作)
まず、行走査信号により選択された画素12では、スイッチSW1がオンすることにより、水平ドライバ16から列データ線dに出力されたビットB0の正転サブフレームデータが、スイッチSW1を介して、記憶部SM1に書き込まれる。
【0079】
このとき、水平ドライバ16から列データ線dに出力されるサブフレームデータの信号振幅は3.3Vである。また、スイッチSW1のゲート制御電圧の振幅(行走査線gの電圧振幅)も3.3Vである。そのため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は、サブフレームデータがLレベルの場合に0Vになり、Hレベルの場合に2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。
【0080】
例えば、列データ線dを伝搬するサブフレームデータがHレベル(3.3V)を示す場合(
図5のステップS101)において、行走査線gがHレベルになると、スイッチSW1がオンするため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる(
図5のステップS102)。また、高電位側電源ラインV1の電圧は2.8Vを示している。このとき、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11では、ゲート電圧が2.7Vを示し、ウエル電圧(バックゲート電圧)が3.3Vを示すため、ウエル電圧を基準にしたゲート電圧は−0.6Vとなる。そのため、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧が−0.6Vとすると、通常は、PMOSトランジスタMP11は、オンするか否かの境界線上にある。しかしながら、実際には、PMOSトランジスタMP11のソース電圧(2.8V)がウエル電圧(3.3V)よりも低いため、基板効果の影響により、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧は−0.8V程度となる。そのため、PMOSトランジスタMP11はオフした状態となる。それに対し、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11は、ソース電圧が0.5Vを示し、ゲート電圧が2.7Vを示すため、低抵抗でオンした状態となる。それにより、PMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11からなるインバータINV11は、0.5VのLレベルの信号を出力する。つまり、記憶部SM1は、正常に動作する。
【0081】
その後、行走査線gがLレベルになることによりスイッチSW1がオフすると、サンプリングされたサブフレームデータは記憶部SM1によって保持される。具体的には、インバータINV12は、インバータINV11のLレベルの出力信号を反転させてHレベルの信号を出力し、インバータINV11は、インバータINV12のHレベルの出力信号を反転させてLレベルの信号を出力する。このとき、ノードaの電圧は2.7Vから電圧V1の2.8Vにレベルシフトされる(
図5のステップS103)。
【0082】
同様にして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB0の正転サブフレームデータが書き込まれる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって2.3V振幅のサブフレームデータが保持される。
【0083】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T1)。
【0084】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている2.3V振幅のビットB0の正転サブフレームデータは、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2及び反射電極PEに転送される(
図5のステップS104)。その後、スイッチSW2がオフすることにより、転送されてきたサブフレームデータは、記憶部DM2によって保持されるとともに、反射電極PEに印加される(
図5のステップS105)。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧V0,V1を保持することができる。
【0085】
なお、
図4の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビットB0の正転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB0の正転サブフレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T1から、次に再びHレベルとなる時刻T2まで、の1サブフレーム期間である。
【0086】
ここで、サブフレームデータのビット値が「1」、すなわちHレベルのときには反射電極PEには電圧V1(ここでは2.8V)が印加され、ビット値が「0」、すなわちLレベルのときには反射電極PEには電圧V0(ここでは0.5V)が印加される。一方、共通電極CEには、接地電圧GND、電源電圧VDD、電圧V0,V1に制限されることなく、自由な電圧が共通電極電圧Vcomとして印加できるようになっており、Hレベルの正転トリガパルスTRIの入力に同期して共通電極電圧Vcomが所定電圧に切り替わるように制御される。本例では、共通電極電圧Vcomは、ビットB0の正転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図4(D)に示すように、0.5Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。
【0087】
液晶表示素子LCは、反射電極PEの印加電圧と共通電極電圧Vcomとの差電圧の絶対値である液晶LCMの印加電圧に応じた階調表示を行う。したがって、ビットB0の正転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T1〜T2)では、液晶LCMの印加電圧は、
図4(E)に示すように、サブフレームデータのビット値が「1」のときは2.3V+Vtt(=2.8V−(0.5V−Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときはVtt(=0.5V−(0.5V−Vtt))となる。
【0088】
図6は、液晶の印加電圧(RMS電圧)と液晶のグレースケール値との関係を示す。
図6を参照すると、グレースケール値曲線は、黒のグレースケール値が液晶の閾値電圧VttのRMS電圧に対応し、かつ、白のグレースケール値が液晶の飽和電圧Vsat(=2.3V+Vtt)のRMS電圧に対応するようにシフトされる。グレースケール値を液晶応答曲線の有効部分に一致させることが可能である。したがって、液晶表示素子LCは上記のように液晶LCMの印加電圧が(2.3V+Vtt)のときは白を表示し、+Vttのときは黒を表示する。
【0089】
(ビットB0bのサブフレームデータの書き込み動作)
図4に戻って説明を続ける。液晶表示素子LCがビットB0の正転サブフレームデータを表示しているサブフレーム期間(時刻T1〜T2)の経過前に、全ての画素12の記憶部SM1に対するビットB0の反転サブフレームデータの書き込みが順次開始される。
【0090】
このとき、水平ドライバ16から列データ線dに出力されるサブフレームデータの信号振幅は3.3Vである。また、スイッチSW1のゲート制御電圧の振幅(行走査線gの電圧振幅)も3.3Vである。そのため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は、サブフレームデータがLレベルの場合に0Vになり、Hレベルの場合に2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。
【0091】
例えば、列データ線dを伝搬するサブフレームデータがHレベル(3.3V)を示す場合、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。また、高電位側電源ラインV1の電圧は2.8Vを示している。このとき、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11では、ゲート電圧が2.7Vを示し、ウエル電圧(バックゲート電圧)が3.3Vを示すため、ウエル電圧を基準にしたゲート電圧は−0.6Vとなる。そのため、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧が−0.6Vとすると、通常は、PMOSトランジスタMP11は、オンするか否かの境界線上にある。しかしながら、実際には、PMOSトランジスタMP11のソース電圧(2.8V)がウエル電圧(3.3V)よりも低いため、基板効果の影響により、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧は−0.8V程度となる。そのため、PMOSトランジスタMP11はオフした状態となる。それに対し、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11は、ソース電圧が0.5Vを示し、ゲート電圧が2.7Vを示すため、低抵抗でオンした状態となる。それにより、PMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11からなるインバータINV11は、0.5VのLレベルの信号を出力する。つまり、記憶部SM1は、正常に動作する。
【0092】
その後、スイッチSW1がオフすると、サンプリングされたサブフレームデータは記憶部SM1によって保持される。具体的には、インバータINV12は、インバータINV11のLレベルの出力信号を反転させてHレベルの信号を出力し、インバータINV11は、インバータINV12のHレベルの出力信号を反転させてLレベルの信号を出力する。このとき、ノードaの電圧は2.7Vから電圧V1の2.8Vにレベルシフトされる。
【0093】
同様にして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB0の反転サブフレームデータが書き込まれる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって2.3V振幅のサブフレームデータが保持される。
【0094】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T2)。
【0095】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている2.3V振幅のビットB0の反転サブフレームデータは、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2に転送されて保持されるとともに、反射電極PEに印加される。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧V0,V1を保持することができる。
【0096】
なお、
図4の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビットB0の反転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB0の反転サブフレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T2から、次に再びHレベルとなる時刻T3まで、の1サブフレーム期間である。
【0097】
ここで、ビットB0の反転サブフレームデータは、ビットB0の正転サブフレームデータと常に逆論理値の関係にあるため、ビットB0の正転サブフレームデータが「1」のときは「0」を示し、ビットB0の正転サブフレームデータが「0」のときは「1」を示す。
【0098】
一方、共通電極電圧Vcomは、ビットB0の反転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図4(D)に示すように、2.8Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ高い電圧に設定される。したがって、ビットB0の反転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T2〜T3)では、液晶LCMの印加電圧は、
図4(E)に示すように、サブフレームデータのビット値が「1」のときは−Vtt(=2.8V−(2.8V+Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときは−2.3V−Vtt(=0.5V−(2.8V+Vtt))となる。
【0099】
例えば、ビットB0の正転サブフレームデータのビット値が「1」であった場合には続いて印加されるビットB0の反転サブフレームデータのビット値は「0」となる。このとき、液晶LCMの印加電圧は、−(2.3V+Vtt)となり、ビットB0の正転サブフレームデータが印加されたときと比較して、電位の方向が逆になるが絶対値が同じになる。そのため、画素12は、ビットB0の反転サブフレームデータが印加されたときも、ビットB0の正転
サブフレームデータが印加されたときと同様に、白を表示する。また、ビットB0の正転サブフレームデータのビット値が「0」であった場合には続いて印加されるビットB0の反転サブフレームデータのビット値は「1」となる。このとき、液晶LCMの印加電圧は、−Vttとなり、ビットB0の正転サブフレームデータが印加されたときと比較して、電位の方向が逆になるが絶対値が同じになる。そのため、画素12は、ビットB0の反転サブフレームデータが印加されたときも、ビットB0の正転
サブフレームデータが印加されたときと同様に、黒を表示する。
【0100】
したがって、画素12は、
図4の(E)に示すように、時刻T1〜T3の2サブフレーム期間中、ビットB0とビットB0の相補ビットB0bとで同じ階調を表示するとともに、液晶LCMの電位方向がサブフレーム毎に反転する交流駆動を行うため、液晶LCMの焼き付きを防止することができる。
【0101】
(ビットB1のサブフレームデータの書き込み動作)
その後、液晶表示素子LCがビットB0の反転サブフレームデータを表示しているサブフレーム期間(時刻T2〜T3)の経過前に、全ての画素12の記憶部SM1に対するビットB1の正転サブフレームデータの書き込みが順次開始される。
【0102】
このとき、水平ドライバ16から列データ線dに出力されるサブフレームデータの信号振幅は3.3Vである。また、スイッチSW1のゲート制御電圧の振幅(行走査線gの電圧振幅)も3.3Vである。そのため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は、サブフレームデータがLレベルの場合に0Vになり、Hレベルの場合に2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。
【0103】
例えば、列データ線dを伝搬するサブフレームデータがHレベル(3.3V)を示す場合、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。また、高電位側電源ラインV1の電圧は2.8Vを示している。このとき、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11では、ゲート電圧が2.7Vを示し、ウエル電圧(バックゲート電圧)が3.3Vを示すため、ウエル電圧を基準にしたゲート電圧は−0.6Vとなる。そのため、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧が−0.6Vとすると、通常は、PMOSトランジスタMP11は、オンするか否かの境界線上にある。しかしながら、実際には、PMOSトランジスタMP11のソース電圧(2.8V)がウエル電圧(3.3V)よりも低いため、基板効果の影響により、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧は−0.8V程度となる。そのため、PMOSトランジスタMP11はオフした状態となる。それに対し、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11は、ソース電圧が0.5Vを示し、ゲート電圧が2.7Vを示すため、低抵抗でオンした状態となる。それにより、PMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11からなるインバータINV11は、0.5VのLレベルの信号を出力する。つまり、記憶部SM1は、正常に動作する。
【0104】
その後、スイッチSW1がオフすると、サンプリングされたサブフレームデータは記憶部SM1によって保持される。具体的には、インバータINV12は、インバータINV11のLレベルの出力信号を反転させてHレベルの信号を出力し、インバータINV11は、インバータINV12のHレベルの出力信号を反転させてLレベルの信号を出力する。このとき、ノードaの電圧は2.7Vから電圧V1の2.8Vにレベルシフトされる。
【0105】
同様にして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB1の正転サブフレームデータが書き込まれる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって2.3V振幅のサブフレームデータが保持される。
【0106】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T3)。
【0107】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている2.3V振幅のビットB1の正転サブフレームデータは、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2に転送されて保持されるとともに、反射電極PEに印加される。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧V0,V1を保持することができる。
【0108】
なお、
図4の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビットB1の正転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB1の正転サブフレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T3から、次に再びHレベルとなる時刻T4まで、の1サブフレーム期間である。
【0109】
一方、共通電極電圧Vcomは、ビットB1の正転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図4(D)に示すように、0.5Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。したがって、ビットB1の正転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T3〜T4)では、液晶LCMの印加電圧は、
図4(E)に示すように、サブフレームデータのビット値が「1」のときは2.3V+Vtt(=2.8V−(0.5V−Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときはVtt(=0.5V−(0.5V−Vtt))となる。
【0110】
(ビットB1bのサブフレームデータの書き込み動作)
その後、液晶表示素子LCがビットB1の正転サブフレームデータを表示しているサブフレーム期間(時刻T3〜T4)の経過前に、全ての画素12の記憶部SM1に対するビットB1の反転サブフレームデータの書き込みが順次開始される。
【0111】
このとき、水平ドライバ16から列データ線dに出力されるサブフレームデータの信号振幅は3.3Vである。また、スイッチSW1のゲート制御電圧の振幅(行走査線gの電圧振幅)も3.3Vである。そのため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は、サブフレームデータがLレベルの場合に0Vになり、Hレベルの場合に2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。
【0112】
例えば、列データ線dを伝搬するサブフレームデータがHレベル(3.3V)を示す場合、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。また、高電位側電源ラインV1の電圧は2.8Vを示している。このとき、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11では、ゲート電圧が2.7Vを示し、ウエル電圧(バックゲート電圧)が3.3Vを示すため、ウエル電圧を基準にしたゲート電圧は−0.6Vとなる。そのため、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧が−0.6Vとすると、通常は、PMOSトランジスタMP11は、オンするか否かの境界線上にある。しかしながら、実際には、PMOSトランジスタMP11のソース電圧(2.8V)がウエル電圧(3.3V)よりも低いため、基板効果の影響により、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧は−0.8V程度となる。そのため、PMOSトランジスタMP11はオフした状態となる。それに対し、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11は、ソース電圧が0.5Vを示し、ゲート電圧が2.7Vを示すため、低抵抗でオンした状態となる。それにより、PMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11からなるインバータINV11は、0.5VのLレベルの信号を出力する。つまり、記憶部SM1は、正常に動作する。
【0113】
その後、スイッチSW1がオフすると、サンプリングされたサブフレームデータは記憶部SM1によって保持される。具体的には、インバータINV12は、インバータINV11のLレベルの出力信号を反転させてHレベルの信号を出力し、インバータINV11は、インバータINV12のHレベルの出力信号を反転させてLレベルの信号を出力する。このとき、ノードaの電圧は2.7Vから電圧V1の2.8Vにレベルシフトされる。
【0114】
同様にして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB1の反転サブフレームデータが書き込まれる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって2.3V振幅のサブフレームデータが保持される。
【0115】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T4)。
【0116】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている2.3V振幅のビットB1の反転サブフレームデータは、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2に転送されて保持されるとともに、反射電極PEに印加される。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧V0,V1を保持することができる。
【0117】
なお、
図4の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビットB1の反転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB1の反転サブフレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T4から、次に再びHレベルとなる時刻T5まで、の1サブフレーム期間である。
【0118】
ここで、ビットB1の反転サブフレームデータは、ビットB1の正転サブフレームデータと常に逆論理値の関係にあるため、ビットB1の正転サブフレームデータが「1」のときは「0」を示し、ビットB1の正転サブフレームデータが「0」のときは「1」を示す。
【0119】
一方、共通電極電圧Vcomは、ビットB1の反転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図4(D)に示すように、2.8Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ高い電圧に設定される。したがって、ビットB1の反転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T4〜T5)では、液晶LCMの印加電圧は、
図4(E)に示すように、サブフレームデータのビット値が「1」のときは−Vtt(=2.8V−(2.8V+Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときは−2.3V−Vtt(=0.5V−(2.8V+Vtt))となる。
【0120】
これにより、画素12は、
図4の(E)に示すように、時刻T3〜T5の2サブフレーム期間中、ビットB1とビットB1の相補ビットB1bとで同じ階調を表示するとともに、液晶LCMの電位方向がサブフレーム毎に反転する交流駆動を行うため、液晶LCMの焼き付きを防止することができる。ビットB2以降についても同様の動作が繰り返される。
【0121】
このようにして、液晶表示装置10は、複数のサブフレームの組み合わせにて階調表示を行っている。
【0122】
なお、ビットB0と相補ビットB0bの各表示期間は同じ第1のサブフレーム期間であり、また、ビットB1と相補ビットB1bの各表示期間も同じ第2のサブフレーム期間であるが、第1のサブフレーム期間と第2のサブフレーム期間とは同一であるとは限らない。ここでは、
図4(E)に示すように、ある2つ一組のサブフレーム期間は、直前の2つ一組のサブフレーム期間の2倍に設定されている。システムの仕様等に応じて、各サブフレーム期間の長さ、及び、サブフレーム数を任意に設定することができる。
【0123】
しかしながら、比較例に係る液晶表示装置10の動作では、画素数の増加に伴って全画素12へのサブフレームデータの書き込みに要する時間が増大した場合、全画素12の反射電極PEに対して一斉にサブフレームデータを印加してから、次のサブフレームデータを印加するまでの間隔が長くなってしまう。つまり、全画素12の反射電極PEに対して一つのサブフレームデータを印加する期間(サブフレーム期間)が、全画素12へのサブフレームデータの書き込みに要する時間によって律速されて、長くなってしまう。
図4の例では、最小ビットのサブフレーム期間(時刻T1〜T3)が十分に短くなっていない。それにより、比較例に係る液晶表示装置10の動作では、1フレーム期間に挿入できるサブフレーム数が制限され、階調数を増加させることができず、結果的に、画像品質を劣化させてしまうという問題があった。
【0124】
そこで、画素数の増加に伴って全画素12へのサブフレームデータの書き込みに要する時間が増大した場合でも、所望のサブフレーム期間を確保することができ、その結果、画像品質を向上させることが可能な液晶表示装置10及びその駆動方法が見いだされた。以下、具体的に説明する。
【0125】
(実施の形態1に係る液晶表示装置10の動作)
図7は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の動作を示すタイミングチャートである。
図8は、実施の形態1に係る液晶表示装置10の動作を示すフローチャートである。
【0126】
なお、本実施の形態では、タイミングジェネレータ13が、例えば上位装置20からの指示を受けて、高電位側電源ラインV1及び低電位側電源ラインV0に対して任意のパルス状の電圧を供給可能に構成されている。
【0127】
ここで、既に説明したように、高電位側電源ラインV1は、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11,MP12のそれぞれのソースに接続されている。低電位側電源ラインV0は、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11,MN12のそれぞれのソースに接続されている。そのため、高電位側電源ラインV1の電圧(電圧V1)は、各画素12におけるHレベルとなり、低電位側電源ラインV0の電圧(電圧V0)は、画素12におけるLレベルとなる。
【0128】
前述したように、液晶表示装置10では、垂直シフトレジスタ14からの行走査信号により、行走査線g1〜gmが1本ずつ1H単位で順次選択されていくため、画像表示部11を構成する複数の画素12には、選択された行走査線に共通に接続された1行のn個の画素単位でデータが書き込まれる。そして、画像表示部11を構成する複数の画素12の全てにデータが書き込まれると、その後、トリガパルスTRI,TRIBに基づき、全ての画素12のデータが一斉に読み出される(より具体的には、全ての画素12内の記憶部SM1のデータが一斉に記憶部DM2及び反射電極PEに転送される)。
【0129】
図7の(X)は、電源電圧VDD、電圧V1、電圧V0、接地電圧GNDのそれぞれの電圧値を示している。本例では、電源電圧VDDが3.3V、電圧V1が2.8V、電圧V0が0.5V、接地電圧GNDが0Vとなっている。この場合、列データ線dを伝搬するサブフレームデータの信号振幅は3.3V、スイッチSW1,SW2に設けられた各トランジスタのゲート制御電圧の振幅は3.3V、各PMOSトランジスタのウエル電圧は3.3V、各NMOSトランジスタのウエル電圧は0Vとなる。一方、記憶部SM1によって記憶されるデータの振幅は2.3V(=2.8V−0.5V)、記憶部DM2によって記憶されるデータの振幅は2.3Vとなる。
【0130】
図7の(A)は、各画素12に記憶されるサブフレームデータの変化を示している。なお、縦軸が行番号を表し、横軸が時間を表している。
図7の(A)に示すように、サブフレームデータの境界線は右下がりとなっている。これは、行番号の大きな画素ほどサブフレームデータが遅れて書き込まれることを表している。この境界線の一端から他端までの期間がサブフレームデータの書き込み期間に相当する。なお、B0b,B1b,B2bは、それぞれビットB0,B1,B2のサブフレームデータの反転データを示している。
【0131】
図7の(B)は、トリガパルスTRIの出力タイミング(立ち上がりタイミング)を示している。なお、トリガパルスTRIBは、常にトリガパルスTRIを論理反転した値を示すため、省略されている。
図7の(C)は、反射電極PEに印加されるサブフレームデータのビットを模式的に示している。
図7の(D)は、共通電極電圧Vcomの値の変化を示している。
図7の(E)は、液晶LCMに印加される電圧の変化を示している。
【0132】
(ビットB0のサブフレームデータの書き込み動作)
まず、行走査信号により選択された画素12では、スイッチSW1がオンすることにより、水平ドライバ16から列データ線dに出力されたビットB0の正転サブフレームデータが、スイッチSW1を介して、記憶部SM1に書き込まれる。
【0133】
このとき、水平ドライバ16から列データ線dに出力されるサブフレームデータの信号振幅は3.3Vである。また、スイッチSW1のゲート制御電圧の振幅(行走査線gの電圧振幅)も3.3Vである。そのため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は、サブフレームデータがLレベルの場合に0Vになり、Hレベルの場合に2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。
【0134】
例えば、列データ線dを伝搬するサブフレームデータがHレベル(3.3V)を示す場合(
図8のステップS201)において、行走査線gがHレベルになると、スイッチSW1がオンするため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる(
図8のステップS202)。また、高電位側電源ラインV1の電圧は2.8Vを示している。このとき、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11では、ゲート電圧が2.7Vを示し、ウエル電圧(バックゲート電圧)が3.3Vを示すため、ウエル電圧を基準にしたゲート電圧は−0.6Vとなる。そのため、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧が−0.6Vとすると、通常は、PMOSトランジスタMP11は、オンするか否かの境界線上にある。しかしながら、実際には、PMOSトランジスタMP11のソース電圧(2.8V)がウエル電圧(3.3V)よりも低いため、基板効果の影響により、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧は−0.8V程度となる。そのため、PMOSトランジスタMP11はオフした状態となる。それに対し、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11は、ソース電圧が0.5Vを示し、ゲート電圧が2.7Vを示すため、低抵抗でオンした状態となる。それにより、PMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11からなるインバータINV11は、0.5VのLレベルの信号を出力する。つまり、記憶部SM1は、正常に動作する。
【0135】
その後、行走査線gがLレベルになることによりスイッチSW1がオフすると、サンプリングされたサブフレームデータは記憶部SM1によって保持される。具体的には、インバータINV12は、インバータINV11のLレベルの出力信号を反転させてHレベルの信号を出力し、インバータINV11は、インバータINV12のHレベルの出力信号を反転させてLレベルの信号を出力する。このとき、ノードaの電圧は2.7Vから電圧V1の2.8Vにレベルシフトされる(
図8のステップS203)。
【0136】
同様にして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB0の正転サブフレームデータが書き込まれる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって2.3V振幅のサブフレームデータが保持される。
【0137】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T1)。
【0138】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている2.3V振幅のビットB0の正転サブフレームデータは、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2及び反射電極PEに転送される(
図8のステップS204)。その後、スイッチSW2がオフすることにより、転送されてきたサブフレームデータは、記憶部DM2によって保持されるとともに、反射電極PEに印加される(
図8のステップS205)。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧V0,V1を保持することができる。
【0139】
なお、
図7の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビットB0の正転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB0の正転サブフレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T1から、次に再びHレベルとなる時刻T2まで、の1サブフレーム期間である。
【0140】
ここで、サブフレームデータのビット値が「1」、すなわちHレベルのときには反射電極PEには電圧V1(ここでは2.8V)が印加され、ビット値が「0」、すなわちLレベルのときには反射電極PEには電圧V0(ここでは0.5V)が印加される。一方、共通電極CEには、接地電圧GND、電源電圧VDD、電圧V0,V1に制限されることなく、自由な電圧が共通電極電圧Vcomとして印加できるようになっており、Hレベルの正転トリガパルスTRIの入力に同期して共通電極電圧Vcomが所定電圧に切り替わるように制御される。本例では、共通電極電圧Vcomは、ビットB0の正転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図7(D)に示すように、0.5Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。
【0141】
液晶表示素子LCは、反射電極PEの印加電圧と共通電極電圧Vcomとの差電圧の絶対値である液晶LCMの印加電圧に応じた階調表示を行う。したがって、ビットB0の正転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T1〜T2)では、液晶LCMの印加電圧は、
図7(E)に示すように、サブフレームデータのビット値が「1」のときは2.3V+Vtt(=2.8V−(0.5V−Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときはVtt(=0.5V−(0.5V−Vtt))となる。なお、液晶表示素子LCは、既に説明したように、液晶LCMの印加電圧が(2.3V+Vtt)のときは白を表示し、+Vttのときは黒を表示する。
【0142】
ここで、液晶表示素子LCがビットB0の正転サブフレームデータを表示している期間(時刻T1〜T2)内である任意の時刻T1aにおいて、タイミングジェネレータ13等を用いて電圧V1を2.8Vから電圧V0と同じ0.5Vに変化させる(
図8のステップS206)。それにより、各画素12おいて、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11,MP12のそれぞれのソースには、0.5Vの電圧V1が供給され、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11,MN12のそれぞれのソースには、0.5Vの電圧V0が供給されることになる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって0.5Vのデータが保持されることになる(時刻T1a)。
【0143】
なお、電圧V1を2.8Vから電圧V0と同じ0.5Vに変化させる時刻T1aは、高電位側電源ラインV1の抵抗及び容量による波形のなまりを考慮して決定される必要がある。
【0144】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T2)。
【0145】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている0.5Vのサブフレームデータが、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2及び反射電極PEに転送される(
図8のステップS207)。その後、スイッチSW2がオフすることにより、0.5Vのサブフレームデータは、記憶部DM2によって保持されるとともに、反射電極PEに印加される(
図8のステップS208)。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧(ここでは0.5V)を保持することができる。
【0146】
なお、
図7の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2による0.5V電圧の保持期間(反射電極PEへの0.5V電圧の印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T2から、次に再びHレベルとなる時刻T3まで、の期間である。
【0147】
ここで、最小ビットであるビットB0の正転サブフレームデータの表示期間は、時刻T1〜T3であるが、時刻T2〜T3の期間については黒表示レベルのデータを強制的に表示させているため、実際の表示期間は、時刻T1〜T2に短縮される。なお、時刻T1〜T2において、サブフレームデータのビット値が「1」、すなわちHレベルのときには反射電極PEには電圧V1(ここでは2.8V)が印加され、ビット値が「0」、すなわちLレベルのときには反射電極PEには電圧V0(ここでは0.5V)が印加される。
【0148】
一方、共通電極CEには、接地電圧GND、電源電圧VDD、電圧V0,V1に制限されることなく、自由な電圧が共通電極電圧Vcomとして印加できるようになっており、Hレベルの正転トリガパルスTRIの入力に同期して共通電極電圧Vcomが所定電圧に切り替わるように制御される。本例では、共通電極電圧Vcomは、ビットB0の正転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図7(D)に示すように、0.5Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。
【0149】
(ビットB0bのサブフレームデータの書き込み動作)
全ての画素12において記憶部SM1から記憶部DM2及び反射電極PEへ黒表示レベルのサブフレームデータが転送されてから(時刻T2)、液晶表示素子LCによって黒表示レベルの正転サブフレームデータが表示される期間の経過前(時刻T3)、の任意のタイミングで、全ての画素12の記憶部SM1に対するビットB0の反転サブフレームデータの書き込みが順次開始される(時刻T2a)。
【0150】
なお、電圧V1は、時刻T2〜T2aの期間内に0.5Vから2.8Vに戻しておく。電圧V1を0.5Vから2.8Vに変化させるタイミングは、高電位側電源ラインV1の抵抗及び容量による波形のなまりを考慮して決定される必要がある。
【0151】
このとき、水平ドライバ16から列データ線dに出力されるサブフレームデータの信号振幅は3.3Vである。また、スイッチSW1のゲート制御電圧の振幅(行走査線gの電圧振幅)も3.3Vである。そのため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は、サブフレームデータがLレベルの場合に0Vになり、Hレベルの場合に2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。
【0152】
例えば、列データ線dを伝搬するサブフレームデータがHレベル(3.3V)を示す場合、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。また、高電位側電源ラインV1の電圧は2.8Vを示している。このとき、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11では、ゲート電圧が2.7Vを示し、ウエル電圧(バックゲート電圧)が3.3Vを示すため、ウエル電圧を基準にしたゲート電圧は−0.6Vとなる。そのため、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧が−0.6Vとすると、通常は、PMOSトランジスタMP11は、オンするか否かの境界線上にある。しかしながら、実際には、PMOSトランジスタMP11のソース電圧(2.8V)がウエル電圧(3.3V)よりも低いため、基板効果の影響により、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧は−0.8V程度となる。そのため、PMOSトランジスタMP11はオフした状態となる。それに対し、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11は、ソース電圧が0.5Vを示し、ゲート電圧が2.7Vを示すため、低抵抗でオンした状態となる。それにより、PMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11からなるインバータINV11は、0.5VのLレベルの信号を出力する。つまり、記憶部SM1は、正常に動作する。
【0153】
その後、スイッチSW1がオフすると、サンプリングされたサブフレームデータは記憶部SM1によって保持される。具体的には、インバータINV12は、インバータINV11のLレベルの出力信号を反転させてHレベルの信号を出力し、インバータINV11は、インバータINV12のHレベルの出力信号を反転させてLレベルの信号を出力する。このとき、ノードaの電圧は2.7Vから電圧V1の2.8Vにレベルシフトされる。
【0154】
同様にして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB0の反転サブフレームデータが書き込まれる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって2.3V振幅のサブフレームデータが保持される。
【0155】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T3)。
【0156】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている2.3V振幅のビットB0の反転サブフレームデータは、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2に転送されて保持されるとともに、反射電極PEに印加される。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧V0,V1を保持することができる。
【0157】
なお、
図7の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビットB0の反転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB0の反転サブフレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T3から、次に再びHレベルとなる時刻T4まで、の1サブフレーム期間である。
【0158】
ここで、ビットB0の反転サブフレームデータは、ビットB0の正転サブフレームデータと常に逆論理値の関係にあるため、ビットB0の正転サブフレームデータが「1」のときは「0」を示し、ビットB0の正転サブフレームデータが「0」のときは「1」を示す。
【0159】
一方、共通電極電圧Vcomは、ビットB0の反転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図7(D)に示すように、2.8Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ高い電圧に設定される。したがって、ビットB0の反転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T3〜T4)では、液晶LCMの印加電圧は、
図7(E)に示すように、サブフレームデータのビット値が「1」のときは−Vtt(=2.8V−(2.8V+Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときは−2.3V−Vtt(=0.5V−(2.8V+Vtt))となる。
【0160】
例えば、ビットB0の正転サブフレームデータのビット値が「1」であった場合には続いて印加されるビットB0の反転サブフレームデータのビット値は「0」となる。このとき、液晶LCMの印加電圧は、−(2.3V+Vtt)となり、ビットB0の正転サブフレームデータが印加されたときと比較して、電位の方向が逆になるが絶対値が同じになる。そのため、画素12は、ビットB0の反転サブフレームデータが印加されたときも、ビットB0の正転
サブフレームデータが印加されたときと同様に、白を表示する。また、ビットB0の正転サブフレームデータのビット値が「0」であった場合には続いて印加されるビットB0の反転サブフレームデータのビット値は「1」となる。このとき、液晶LCMの印加電圧は、−Vttとなり、ビットB0の正転サブフレームデータが印加されたときと比較して、電位の方向が逆になるが絶対値が同じになる。そのため、画素12は、ビットB0の反転サブフレームデータが印加されたときも、ビットB0の正転
サブフレームデータが印加されたときと同様に、黒を表示する。
【0161】
ここで、液晶表示素子LCがビットB0の正転サブフレームデータを表示している期間(時刻T3〜T4)内である任意の時刻T3aにおいて、タイミングジェネレータ13等を用いて電圧V0を0.5Vから電圧V1と同じ2.8Vに変化させる。それにより、各画素12おいて、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11,MP12のそれぞれのソースには、2.8Vの電圧V1が供給され、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11,MN12のそれぞれのソースには、2.8Vの電圧V0が供給されることになる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって0.5Vのデータが保持されることになる(時刻T3a)。
【0162】
なお、電圧V0を0.5Vから電圧V1と同じ2.8Vに変化させる時刻T3aは、低電位側電源ラインV0の抵抗及び容量による波形のなまりを考慮して決定される必要がある。
【0163】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T4)。
【0164】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている2.8Vのサブフレームデータが、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2に転送されて保持されるとともに、反射電極PEに印加される。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧(ここでは2.8V)を保持することができる。
【0165】
なお、
図7の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2による2.8V電圧の保持期間(反射電極PEへの2.8V電圧の印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T4から、次に再びHレベルとなる時刻T5まで、の期間である。
【0166】
ここで、最小ビットであるビットB0の反転サブフレームデータの表示期間は、時刻T3〜T5であるが、時刻T4〜T5の期間については黒表示レベルのデータを強制的に表示させているため、実際の表示期間は、時刻T3〜T4に短縮される。なお、時刻T3〜T4において、サブフレームデータのビット値が「1」、すなわちHレベルのときには反射電極PEには電圧V1(ここでは2.8V)が印加され、ビット値が「0」、すなわちLレベルのときには反射電極PEには電圧V0(ここでは0.5V)が印加される。
【0167】
一方、共通電極CEには、接地電圧GND、電源電圧VDD、電圧V0,V1に制限されることなく、自由な電圧が共通電極電圧Vcomとして印加できるようになっており、Hレベルの正転トリガパルスTRIの入力に同期して共通電極電圧Vcomが所定電圧に切り替わるように制御される。本例では、共通電極電圧Vcomは、ビットB0の反転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図7(D)に示すように、2.8Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ高い電圧に設定される。
【0168】
したがって、画素12は、
図7の(E)に示すように、時刻T1〜T5の2サブフレーム期間中、ビットB0とビットB0の相補ビットB0bとで同じ階調を表示するとともに、液晶LCMの電位方向がサブフレーム毎に反転する交流駆動を行うため、液晶LCMの焼き付きを防止することができる。
【0169】
(ビットB1のサブフレームデータの書き込み動作)
全ての画素12において記憶部SM1から記憶部DM2及び反射電極PEへ黒表示レベルのサブフレームデータが転送されてから(時刻T4)、液晶表示素子LCによって黒表示レベルの反転サブフレームデータが表示される期間の経過前(時刻T5)、の任意のタイミングで、全ての画素12の記憶部SM1に対するビットB1の正転サブフレームデータの書き込みが順次開始される(時刻T4a)。
【0170】
なお、電圧V0は、時刻T4〜T4aの期間内に2.8Vから0.5Vに戻しておく。電圧V0を2.8Vから0.5Vに変化させるタイミングは、低電位側電源ラインV0の抵抗及び容量による波形のなまりを考慮して決定される必要がある。
【0171】
このとき、水平ドライバ16から列データ線dに出力されるサブフレームデータの信号振幅は3.3Vである。また、スイッチSW1のゲート制御電圧の振幅(行走査線gの電圧振幅)も3.3Vである。そのため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は、サブフレームデータがLレベルの場合に0Vになり、Hレベルの場合に2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。
【0172】
例えば、列データ線dを伝搬するサブフレームデータがHレベル(3.3V)を示す場合、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。また、高電位側電源ラインV1の電圧は2.8Vを示している。このとき、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11では、ゲート電圧が2.7Vを示し、ウエル電圧(バックゲート電圧)が3.3Vを示すため、ウエル電圧を基準にしたゲート電圧は−0.6Vとなる。そのため、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧が−0.6Vとすると、通常は、PMOSトランジスタMP11は、オンするか否かの境界線上にある。しかしながら、実際には、PMOSトランジスタMP11のソース電圧(2.8V)がウエル電圧(3.3V)よりも低いため、基板効果の影響により、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧は−0.8V程度となる。そのため、PMOSトランジスタMP11はオフした状態となる。それに対し、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11は、ソース電圧が0.5Vを示し、ゲート電圧が2.7Vを示すため、低抵抗でオンした状態となる。それにより、PMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11からなるインバータINV11は、0.5VのLレベルの信号を出力する。つまり、記憶部SM1は、正常に動作する。
【0173】
その後、スイッチSW1がオフすると、サンプリングされたサブフレームデータは記憶部SM1によって保持される。具体的には、インバータINV12は、インバータINV11のLレベルの出力信号を反転させてHレベルの信号を出力し、インバータINV11は、インバータINV12のHレベルの出力信号を反転させてLレベルの信号を出力する。このとき、ノードaの電圧は2.7Vから電圧V1の2.8Vにレベルシフトされる。
【0174】
同様にして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB1の正転サブフレームデータが書き込まれる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって2.3V振幅のサブフレームデータが保持される。
【0175】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T5)。
【0176】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている2.3V振幅のビットB1の正転サブフレームデータは、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2に転送されて保持されるとともに、反射電極PEに印加される。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧V0,V1を保持することができる。
【0177】
なお、
図7の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビットB1の正転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB1の正転サブフレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T5から、次に再びHレベルとなる時刻T6まで、の1サブフレーム期間である。
【0178】
一方、共通電極電圧Vcomは、ビットB1の正転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図7(D)に示すように、0.5Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。したがって、ビットB1の正転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T5〜T6)では、液晶LCMの印加電圧は、
図7(E)に示すように、サブフレームデータのビット値が「1」のときは2.3V+Vtt(=2.8V−(0.5V−Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときはVtt(=0.5V−(0.5V−Vtt))となる。
【0179】
(ビットB1bのサブフレームデータの書き込み動作)
全ての画素12において記憶部SM1から記憶部DM2及び反射電極PEへビットB1の正転サブフレームデータが転送されてから(時刻T5)、液晶表示素子LCによってビットB1の正転サブフレームデータが表示される期間の経過前(時刻T6)、の任意のタイミングで、全ての画素12の記憶部SM1に対するビットB1の反転サブフレームデータの書き込みが順次開始される(時刻T5a)。
【0180】
このとき、水平ドライバ16から列データ線dに出力されるサブフレームデータの信号振幅は3.3Vである。また、スイッチSW1のゲート制御電圧の振幅(行走査線gの電圧振幅)も3.3Vである。そのため、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は、サブフレームデータがLレベルの場合に0Vになり、Hレベルの場合に2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。
【0181】
例えば、列データ線dを伝搬するサブフレームデータがHレベル(3.3V)を示す場合、記憶部SM1の入力端子(ノードa)の電圧は2.7V(=3.3V−閾値電圧0.6V)になる。また、高電位側電源ラインV1の電圧は2.8Vを示している。このとき、記憶部SM1に設けられたPMOSトランジスタMP11では、ゲート電圧が2.7Vを示し、ウエル電圧(バックゲート電圧)が3.3Vを示すため、ウエル電圧を基準にしたゲート電圧は−0.6Vとなる。そのため、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧が−0.6Vとすると、通常は、PMOSトランジスタMP11は、オンするか否かの境界線上にある。しかしながら、実際には、PMOSトランジスタMP11のソース電圧(2.8V)がウエル電圧(3.3V)よりも低いため、基板効果の影響により、PMOSトランジスタMP11の閾値電圧は−0.8V程度となる。そのため、PMOSトランジスタMP11はオフした状態となる。それに対し、記憶部SM1に設けられたNMOSトランジスタMN11は、ソース電圧が0.5Vを示し、ゲート電圧が2.7Vを示すため、低抵抗でオンした状態となる。それにより、PMOSトランジスタMP11及びNMOSトランジスタMN11からなるインバータINV11は、0.5VのLレベルの信号を出力する。つまり、記憶部SM1は、正常に動作する。
【0182】
その後、スイッチSW1がオフすると、サンプリングされたサブフレームデータは記憶部SM1によって保持される。具体的には、インバータINV12は、インバータINV11のLレベルの出力信号を反転させてHレベルの信号を出力し、インバータINV11は、インバータINV12のHレベルの出力信号を反転させてLレベルの信号を出力する。このとき、ノードaの電圧は2.7Vから電圧V1の2.8Vにレベルシフトされる。
【0183】
同様にして、画像表示部11を構成する全ての画素12の記憶部SM1に対してビットB1の反転サブフレームデータが書き込まれる。それにより、全ての画素12の記憶部SM1によって2.3V振幅のサブフレームデータが保持される。
【0184】
その後、画像表示部11を構成する全ての画素12に対してHレベルのトリガパルスTRI(及びLレベルのトリガパルスTRIB)が同時に供給される(時刻T6)。
【0185】
これにより、全ての画素12のスイッチSW2がオンするため、記憶部SM1に記憶されている2.3V振幅のビットB1の反転サブフレームデータは、一斉に、スイッチSW2を介して、記憶部DM2に転送されて保持されるとともに、反射電極PEに印加される。記憶部DM2に設けられた容量C1は、アナログデータを保持することができるため、接地電圧GNDから電源電圧VDDの範囲内で任意に設定された電圧V0,V1を保持することができる。
【0186】
なお、
図7の(C)を見てもわかるように、記憶部DM2によるビットB1の反転サブフレームデータの保持期間(反射電極PEへのビットB1の反転サブフレームデータの印加期間)は、トリガパルスTRIがHレベルとなる時刻T6から、次に再びHレベルとなる時刻T7まで、の1サブフレーム期間である。
【0187】
ここで、ビットB1の反転サブフレームデータは、ビットB1の正転サブフレームデータと常に逆論理値の関係にあるため、ビットB1の正転サブフレームデータが「1」のときは「0」を示し、ビットB1の正転サブフレームデータが「0」のときは「1」を示す。
【0188】
一方、共通電極電圧Vcomは、ビットB1の反転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間中、
図7(D)に示すように、2.8Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ高い電圧に設定される。したがって、ビットB1の反転サブフレームデータが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(時刻T6〜T7)では、液晶LCMの印加電圧は、
図7(E)に示すように、サブフレームデータのビット値が「1」のときは−Vtt(=2.8V−(2.8V+Vtt))となり、サブフレームデータのビット値が「0」のときは−2.3V−Vtt(=0.5V−(2.8V+Vtt))となる。
【0189】
これにより、画素12は、
図7の(E)に示すように、時刻T5〜T7の2サブフレーム期間中、ビットB1とビットB1の相補ビットB1bとで同じ階調を表示するとともに、液晶LCMの電位方向がサブフレーム毎に反転する交流駆動を行うため、液晶LCMの焼き付きを防止することができる。ビットB2以降についても同様の動作が繰り返される。
【0190】
このようにして、液晶表示装置10は、複数のサブフレームの組み合わせにて階調表示を行っている。
【0191】
なお、ビットB0と相補ビットB0bの各表示期間は同じ第1のサブフレーム期間であり、また、ビットB1と相補ビットB1bの各表示期間も同じ第2のサブフレーム期間であるが、第1のサブフレーム期間と第2のサブフレーム期間とは同一であるとは限らない。ここでは、
図7(E)に示すように、ある2つ一組のサブフレーム期間は、直前の2つ一組のサブフレーム期間の2倍に設定されている。システムの仕様等に応じて、各サブフレーム期間の長さ、及び、サブフレーム数を任意に設定することができる。
【0192】
図9は、液晶の印加電圧(RMS電圧)と液晶のグレースケール値との関係を示す。
図9に示すように、グレースケール値曲線は黒のグレースケール値が液晶の閾値電圧VttのRMS電圧に対応し、かつ、白のグレースケール値が液晶の飽和電圧のRMS電圧に対応するようにシフトされる。例えば、液晶プロジェクターにはRGBの3原色に対応して3枚のパネルを使用する3板方式があるが、R,G,Bの各色によって液晶の飽和電圧が異なる。Redのパネルの飽和電圧Vsatが一番高く、次にGreenのパネルの飽和電圧Vsatが高く、Blueのパネルの飽和電圧Vsatが一番低い。例えば、Redのパネルでは、白のグレースケール値が3.3V+Vttの飽和電圧VsatのRMS電圧に対応するようにシフトされる。Greenのパネルでは、白のグレースケール値が2.8V+Vttの飽和電圧VsatのRMS電圧に対応するようにシフトされる。Blueのパネルでは、白のグレースケール値が1.8V+Vttの飽和電圧VsatのRMS電圧に対応するようにシフトされる。それにより、グレースケール値を液晶応答曲線の有効部分に一致させることが可能である。したがって、液晶表示素子LCは上記のようにRedのパネルでは液晶LCMの印加電圧が(3.3V+Vtt)のときに白を表示し、+Vttのときに黒を表示する。また、Greenのパネルでは液晶LCMの印加電圧が(2.8V+Vtt)のときに白を表示し、+Vttのときに黒を表示する。さらに、Blueのパネルでは、液晶LCMの印加電圧が(1.8V+Vtt)のときに白を表示し、+Vttのときに黒を表示する。これに対応して、各色のパネルの電圧V0,V1が決定される。例えば、RedのパネルではV0=0V(=GND)、V1=3.3V(=VDD)、GreenのパネルではV0=0.5V、V1=2.8V、BlueのパネルではV0=0.75V、V1=2.55V、などと設定して使用することが可能である。
【0193】
また、電圧V0,V1はアナログ電圧として任意の電圧値に設定されることが可能であるため、製造された液晶のセルギャップばらつきなどを考慮して、製造後の調整に用いられてもよい。
【0194】
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示装置10及びその駆動方法では、全ての画素12に設けられた記憶部SM1に供給される高電位側電源ラインV1及び低電位側電源ラインV0のそれぞれの電圧(電圧V1,V0)を黒表示レベルの電圧に固定して、サブフレーム期間内の任意のタイミングで記憶部DM2及び反射電極PEに一斉に転送することにより、サブフレーム期間の実質的な短縮を実現している。それにより、本実施の形態に係る液晶表示装置10及びその駆動方法では、画素数の増加に伴って全画素12へのサブフレームデータの書き込みに要する時間が増大した場合でも、所望のサブフレーム期間を確保することができるため、階調数を増加させることができ、その結果、画像品質を向上させることができる。
【0195】
本実施の形態では、スイッチSW1がNMOSトランジスタMN1により構成されている場合を例に説明したが、これに限られない。スイッチSW1はPMOSトランジスタMP1により構成されてもよい。その場合、PMOSトランジスタMP1のゲートに供給される行走査線gの電圧レベルは、NMOSトランジスタMN1の場合とは逆論理となるように制御される。
【0196】
また、本実施の形態では、高電位側電源ラインV1及び低電位電源ラインV0のそれぞれの電圧(電圧V1,V0)が、サブフレーム期間内の任意のタイミングで黒表示レベルの電圧に固定される場合を例に説明したが、これに限られない。電圧V1,V0は、サブフレーム期間内の任意のタイミングで白表示レベルの電圧や、その他の所望の表示レベルの電圧に固定されてもよい。電圧V1,V0が白表示レベルの電圧に固定された場合、全体のフレーム時間のうち、白表示のサブフレーム期間が増えることになるため、パネルを明るくすることができる。このような駆動方法は、例えば高輝度プロジェクター等に採用される。
【0197】
さらに、本実施の形態では、一例として、最小ビットのサブフレーム期間の一部を黒表示レベルのデータでマスクする(最小ビットのサブフレーム期間を実質的に短縮する)場合を例に説明したが、これに限られない。黒画面をフレーム単位で挿入することによって動画性能を改善することが一般的に知られているため、本実施の形態に係る液晶表示装置10の駆動方法も、動画性能改善を目的として、各サブフレーム期間の一部を黒表示レベルのデータでマスクするようにしてもよい。