(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レゾルバカバー部は、前記レゾルバに軸方向で対向する部分を覆う平面部と、該平面部の端部から前記レゾルバ側に張り出されて前記レゾルバの側部を覆う位置に設けられる側壁部と、を有し、
前記平面部は、前記カバー部材としてモータ本体側と前記制御ユニットとの間に介装され、
前記側壁部は、当該側壁部の一部として、凹または凸に形成されて前記筒状フレーム側に凸または凹に形成された係合部に着脱可能なスナップフィット部を有し、
当該レゾルバカバー部は、前記スナップフィット部によって前記筒状フレームに着脱可能に装着される請求項3に記載の電動パワーステアリング装置用電動モータ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態および変形例について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態および変形例は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態ないし変形例に特定するものではない。
【0011】
[第一実施形態]
まず、第一実施形態について説明する。
図1に示すように、第一実施形態の電動パワーステアリング装置10は、コラムタイプの例である。電動パワーステアリング装置10は、ステアリングシャフト13に対して減速機構14を介して電動モータ15が連結されている。電動モータ15は、例えば三相交流のブラシレスモータであり、ステアリングシャフト13に伝達される操舵トルクに基づいて操舵補助力を発生可能になっている。
【0012】
減速機構14は、例えばウォーム減速機構で構成され、ステアリングシャフト13に連結されたウォームホイール(図示せず)を内装したホイールハウジング14aと、ウォームホイールに噛合するウォーム(図示せず)を内装するウォームハウジング14bとを備える。
【0013】
電動モータ15は、
図2〜
図4に示すように、モータ本体20と、制御ユニット60と、が軸方向に積層配置されている。
制御ユニット60は、モータ本体20のモータハウジング24に固定される。第一実施形態では、制御ユニット60は、駆動制御部62と、駆動制御部62の放熱を促すヒートシンク61と、が一体化されて扁平直方体状をなしている。制御ユニット60は、モータハウジング24の負荷側とは反対側に装着されてモータ本体20を制御可能に構成される。
【0014】
モータハウジング24は、
図6および
図7にモータ本体20の断面を示すように、円筒状の筒状フレーム21と、筒状フレーム21の負荷側を閉塞する負荷側カバー部22と、筒状フレーム21の非負荷側を閉塞する非負荷側カバー部23と、を有する。
筒状フレーム21、負荷側カバー部22および非負荷側カバー部23は、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金ないしマグネシウム合金等の非鉄金属材料を用い、例えばダイキャスト成型で製造されている。
【0015】
ここで、第一実施形態では、筒状フレーム21の負荷側を覆う負荷側カバー部22を筒状フレーム21と一体に形成し、非負荷側においては、筒状フレーム21とは別体の負荷側カバー部22で負荷側を閉塞する例である。
【0016】
詳しくは、第一実施形態では、筒状フレーム21と負荷側カバー部22とは、一体とされた有底筒状に形成されている。これにより、本実施形態では、筒状フレーム21と負荷側カバー部22とによって、軸方向の一端(負荷側端面)が閉塞し他端(非負荷側端面)が開放した円筒容器状のケースが形成される。
【0017】
第一実施形態では、円筒容器状のケースとして見たときに、負荷側カバー部22は、筒状フレーム21に対して底面側となる。なお、後述する第二実施形態のように、筒状フレーム21と負荷側カバー部22とを別箇の部品から構成してもよい。
【0018】
負荷側カバー部22の外周縁には、
図4および
図5に示すように、複数(例えば3つ)の取付フランジ22cが周方向に離隔して径方向に突出形成されている。各取付フランジ22cは、
図1に示すウォームハウジング14b側の装着面に取り付けるための取付穴22eをそれぞれ有する。電動モータ15は、減速機構14のウォームハウジング14bに、取付フランジ22cの取付穴22eを介してボルトで締結される。
【0019】
負荷側カバー部22には、
図6および
図7に示すように、回転軸35の中心と同軸の貫通孔22aが形成されている。貫通孔22aの筒状フレーム21側には、軸受保持部22bが同軸に形成されている。軸受保持部22bには、円形状の凹部22fが内面側から設けられている。負荷側軸受31の外輪が、筒状フレーム21内における底面側の凹部22fに圧入されることで嵌り合って固定される。
【0020】
円筒状の筒状フレーム21の内周面にはステータ25が固定される。ステータ25は、例えば、A相、B相およびC相の三相のコイルが巻装された4組ずつのティースをそれぞれ円周方向に交互に配置している。本実施形態では、三相のコイルは、終端が互いに接続されてスター結線とされている。なお、三相のコイルは、スター結線とする場合に限らず、デルタ結線とすることもできる。
【0021】
ステータ25には、負荷側とは反対側の端面に、
図8(a)および(b)に拡大図示するように、三相のバスバー端子27A、27Bおよび27Cが、軸方向の他端側に向かって突設されている。バスバー端子27A〜27Cは、ステータ25の三相のコイル始端にそれぞれ接続されるとともに、三相のモータ端子28A、28Bおよび28Cに接続される。モータ端子28A〜28Cは、円周方向に所定の絶縁距離を保って配置される。
【0022】
各モータ端子28A〜28Cのそれぞれは、導電性板材から成形され、同図(b)に示すように、基部28a、中間板部28bおよび端子部28cをそれぞれ有する。基部28aは、バスバー端子27A〜27Cの先端に嵌め込まれて溶接等で接合される。
【0023】
これらモータ端子28A〜28Cは、中間板部28bが絶縁性を有する合成樹脂材製の端子ホルダ29によって一体化される。端子ホルダ29は、筒状フレーム21の切欠部30に嵌め込み可能な形状を有する絶縁部材である。モータ端子28A〜28Cの基部28aおよび端子部28cの先端を除く部分は、端子ホルダ29の合成樹脂材で覆われる。
【0024】
筒状フレーム21の他端縁には、周方向の一部を切り欠いて上記切欠部30が形成される。本実施形態では、端子ホルダ29の下面に突起(不図示)を設けるとともに切欠部30の底面に嵌め込み穴(不図示)を設け、端子ホルダ29の突起を嵌め込み穴に嵌め込むことによって、各モータ端子28A〜28Cが相互に絶縁状態で切欠部30に固定される。
【0025】
図5に示すように、端子ホルダ29に保持された各モータ端子28A〜28Cの端子部28cは、筒状フレーム21への固定状態で、回転軸35の軸方向から見たときに、筒状フレーム21の円筒外周面よりも外側に位置する。さらに、各端子部28cは、
図6に示すように、筒状フレーム21とは反対側に延長されて筒状フレーム21の端面よりも張り出している。
【0026】
非負荷側カバー部23は、略円板状に形成された部材であり、筒状フレーム21内の他端側を閉塞するように筒状フレーム21内面に固定されて、筒状フレーム21内の空間を径方向に仕切って軸方向で二つの領域に区画する。
【0027】
非負荷側カバー部23は、
図6、
図7および
図9に示すように、円盤面23cと、円盤面23cのステータ25側となる軸方向内側に突設された軸受保持部23aと、ステータ25とは反対側となる、円盤面23cの外側(非負荷側カバー部23の非負荷側を向く面)に形成されたレゾルバ保持部23bと、を有する。レゾルバ保持部23bは、レゾルバ40のレゾルバステータ41と嵌合可能な円筒凹部状に形成されている。レゾルバ保持部23bにレゾルバステータ41が固定される。
【0028】
軸受保持部23aの中心には、ステータ25側となる軸方向内側に、非負荷側軸受32と嵌り合う円筒状の凹部23fが形成されている。非負荷側カバー部23の中心には、区画穴23hが凹部23fと同軸に貫通形成されている。非負荷側軸受32は、軸受保持部23aの凹部23fに圧入され固定される。なお、凹部23fは、十分29な強度を確保するために、内周面から外周面までの径方向の厚みを例えば4mm程度としている。
【0029】
また、非負荷側カバー部23には、ステータ25の配線を筒状フレーム21の外側に引き出すために、軸受保持部23aの凹部23fおよびレゾルバ保持部23bよりも径方向外側の位置に、軸方向に貫通した配線穴23nが円盤面23cに形成されている。配線穴23nは、円盤面23cの周方向に沿って延びる長穴とされている。
【0030】
一方、筒状フレーム21の内周面には、非負荷側カバー部23の軸方向の位置を規制する段部21dが形成されている。段部21dの位置に、筒状フレーム21の他端開口側から非負荷側カバー部23の円盤面23cの外縁が嵌め込まれて圧入される。
【0031】
段部21dは、筒状フレーム21における内周面の全周にわたって円環状に形成され、周方向の延在面は軸方向に対して直角である。筒状フレーム21の内側を他端側から見ると、段部21dよりも手前側は、非負荷側カバー部23の円盤面23cの直径に対応した内径であり、段部21dよりも奥側は、円盤面23cの直径よりも小さい内径である。
【0032】
回転軸35は、一端側が負荷側軸受31の内輪によって回転自在に支持されるとともに、貫通孔22aに挿通されて筒状フレーム21の負荷側の外側に負荷側端部となる出力部35aが突出し、上記減速機構14のウォーム(図示省略)に出力部35aが連結される。
また、回転軸35の他端側は、非負荷側軸受32の内輪によって回転自在に支持されるとともに、区画穴23hに挿通されて非負荷側カバー部23の外側に位置するレゾルバ保持部23b内にまで回転軸35の非負荷側軸端35bが突出している。非負荷側軸端35bの突出量は、レゾルバ40における軸方向の厚さに対応している。
【0033】
筒状フレーム21の内周面には、非負荷側カバー部23よりも軸方向で内側の位置に、電動モータ15のステータ25が固定される。回転軸35の中間部には、ステータ25に所定の間隙を挟んで対向するロータ36が固定される。
【0034】
ロータ36は、積層鉄心で形成されるロータコアの外周面に永久磁石が配置される。この永久磁石は、非磁性体製の筒状部材で覆われて表面磁石型に構成されている。なお、ロータ36は、表面磁石型に限らず、永久磁石をスロット内に配置した埋込磁石型の構成とすることもできる。
【0035】
非負荷側カバー部23に、回転検出部としてのレゾルバ40が設けられる。
図14に示すように、レゾルバステータ41の外周縁には、非負荷側カバー部23の内周側に固定するための、略C字状の開環状筒部41rが形成されている。この例では、開環状筒部41rは、回転軸35の中心に対し端子ホルダ29とは反対側の位置が所定距離開かれて平面視が略C字状をなしている。また、
図7および
図14に示すように、レゾルバステータ41の外周縁側には、自身を装着するための装着穴41aが形成される。装着穴41aは、周方向に隔離して二箇所に形成されている。
【0036】
非負荷側カバー部23の上面には、
図9に示すように、二つの装着穴41aに対向する位置に、二つの雌ねじ43aが形成されている。レゾルバ40は、レゾルバステータ41の外周縁(つまり開環状筒部41rの外周縁)がレゾルバ保持部23bに嵌め込まれるとともに、開環状筒部41rの上端面に開環状の取付リング23dが装着されることによって円周方向に位置調整可能に止めねじにより保持される。
また、レゾルバロータ42は、回転軸35に対してレゾルバステータ41の内周面に対向する位置に圧入され固定される。これにより、レゾルバ40は、回転軸35と共に一体で回転するレゾルバロータ42の回転角をレゾルバステータ41で検出可能になっている。
【0037】
レゾルバ40は、
図14ないし
図15に分解斜視図を示すように、レゾルバロータ42の回転に伴って生成されてレゾルバステータ41で検出されたレゾルバ信号が、例えばゴム製のグロメット44を装着した信号線45を通し、ハーネス46を介して外部に出力する。ハーネス46の先端には、
図5に示すように、レゾルバコネクタ47が接続されている。
【0038】
ここで、モータ本体20は、グロメット44を装着した信号線45、および各モータ端子28A〜28Cの端子部28c位置が、
図5に示すように、回転軸35の軸方向での筒状フレーム21の投影面よりも外側に張り出した位置に形成されている。
グロメット44は、筒状フレーム21に形成された切欠部21rに装着可能に形成されている。切欠部21rは、上記切欠部30に対向する位置(第一実施形態では、180度反対側の位置)に、周方向の一部を切り欠いてレゾルバ用凹部として形成されている。
【0039】
一方、制御ユニット60は、
図3に示すように、装着面69の延在方向が電動モータ15の回転軸35と直交する向きで筒状フレーム21の非負荷側端面に固定される。モータ本体20と制御ユニット60との間には、上述したレゾルバ40を覆うレゾルバカバー80が介装されている。本実施形態の例では、ヒートシンク61とレゾルバカバー80との間には、放熱のための対向方向での隙間T(例えばT=1.5mm)が設けられている。
【0040】
制御ユニット60には、回転軸方向から見たときに、回転軸方向での当該制御ユニット60の投影面の内側の領域で、ハーネス46を介してグロメット44を装着した信号線45が連結されるとともに、端子台66を含む投影面の内側の領域で各モータ端子28A〜28Cの端子部28cが連結される。
【0041】
駆動制御部62は、図示を省略するが、ヒートシンク61に載置されるように内部に支持されたプリント基板を有する。このプリント基板には、車両の車速、レゾルバ40で検出したロータ回転角、ステアリングホイール11から入力される操舵トルクに基づいて操舵トルク指令値を算出する指令値演算回路、および、操舵トルク指令値に基づいてモータ本体20を回転駆動するインバータ回路等が搭載されている。
【0042】
駆動制御部62には、
図2〜
図5に示すように、一側面に張り出すように端子台66が設けられている。端子台66には、筒状フレーム21に設けられた端子ホルダ29のモータ端子28A、28Bおよび28Cが接続される。
さらに、駆動制御部62には、
図2、
図3および
図10に示すように、端子台66とは90度異なる側面にコネクタ接続部68が形成されている。第一実施形態のコネクタ接続部68は、ヒートシンク61の装着面の側から回転軸35の軸線方向に沿って平行にモータ本体20側に突出するように形成されている。
【0043】
コネクタ接続部68は、
図10に示すように、電源コネクタ(図示せず)を接続する電源コネクタ受け部68a、CANコネクタ(図示せず)を接続するCANコネクタ受け部68b、および、上記レゾルバコネクタ47を接続するレゾルバコネクタ受け部68c等が配置されている。レゾルバコネクタ受け部68cは、装着時の姿勢において、端子台66から一番離れたグロメット44側の端部位置に配置されている。
【0044】
また、ヒートシンク61には、駆動制御部62とは反対側の面に対して、その四隅の一個所を除く3個所に、内周部に雌ねじを形成した取付ボス部63が突設され、これら三つの取付ボス部63による下面によって同一面上に上記装着面69が形成されている。なお、
図10に示す二点鎖線は、3個所の取付ボス部63により、一の装着面69が形成されているイメージを示している。
筒状フレーム21の外周側の他端には、
図5に示すように、周方向に離隔して三つの装着腕が径方向に張り出しており、各装置腕には、取付ボス部63の雌ねじに対向する位置それぞれに、装着穴を有する取付フランジ21aが半径方向に突出して形成されている。
【0045】
第一実施形態のレゾルバカバー80は、
図5および
図15に示すように、円形平板状に形成されたアルミ製の部材であり、筒状フレーム21の他端開口部分を覆うように装着される。そして、レゾルバカバー80は、
図3に示すように、ヒートシンク61の装着面69に対向する位置に、3つの取付ボス部63の内周側の領域に位置するように介装される。
【0046】
第一実施形態のレゾルバカバー80は、
図15に示すように、円盤状の平面部81と、平面部81の外周端面からモータ本体側に向けて突出形成された側壁部82と、非負荷側カバー部23に形成された開環状壁面部23eの外周面23fにねじ止めされる一対の固定部83と、を有する。
【0047】
レゾルバカバー80の平面部81は、筒状フレーム21の外周面に沿う円盤状をなしている。平面部81の外周縁には、周方向に沿って略等間隔に離れた一対の固定部83が形成されている。筒状フレーム21における外周側の他端には、二つの固定部38の装着穴に対向する位置に、二つの雌ねじ64が形成されている。
【0048】
各固定部83は、平面部81の両端の位置から非負荷側カバー部23側に向けて略L字型に張り出しており、筒状フレーム21の外側に突設された二つのボス部の雌ねじ64にそれぞれ対向する位置で、ねじ止めされるようになっている。なお、本実施形態では、雌ねじ64は、回転軸対称に二箇所設けた例を示したが、これに限らず、3箇所もしくは4箇所に設けてもよい。
【0049】
レゾルバカバー80の平面部81および側壁部82には、モータ端子28A〜28Cを保持する端子ホルダ29の上面と、レゾルバ40の信号線45を挿通するグロメット44の上面とに対向する位置に、端子ホルダ29の上面およびグロメット44の上面との隙間を閉塞するように形成された第一保持部82aおよび第二保持部82bが形成されている。
特に、第一実施形態では、第一保持部82aおよび第二保持部82bは、レゾルバ40の信号線45を挿通するグロメット44を、モータ端子28A〜28Cに対して回転軸35の中心を挟んで対向する位置(本実施形態では、180度反対の側)にて保持するように形成されている。
【0050】
ここで、
図12に示すように、端子ホルダ29を装着する位置の第一開口部ともなる切欠部30の開口幅は、グロメット44を装着する位置の第二開口部ともなる切欠部21rの開口幅よりも広くなっている。
そして、レゾルバカバー80の第一保持部82aおよび第二保持部82bは、それぞれの周方向に沿った長さおよび形状が切欠部30および切欠部21rの幅に整合して形成されている。これにより、レゾルバカバー80の周方向での装着位置は一意に定まるようになっている。
【0051】
次に、第一実施形態の電動モータ15の組み付け工程について説明する。
電動モータ15の組み付け工程は、異物の付着や混入を防ぐために、クリーンルーム内で行われる。
電動モータ15の組み付け工程では、まず、
図11に示すように、回転軸35の略中央位置にロータ36を同軸に固定し、回転軸35の他端側に非負荷側軸受32を圧入する。
【0052】
また、負荷側カバー部22の軸受保持部22bに、負荷側軸受31の外輪を圧入もしくは加締め加工によって装着する。次いで、
図12に示すように、筒状フレーム21の内周面にステータ25を挿入して固定し、三相のコイルの始端に接続されたバスバー端子27A〜27Cに、端子ホルダ29に保持されたモータ端子28A〜28Cを固定する。筒状フレーム21に対するステータ25の周方向の装着位置は、軸方向から見て切欠部30とバスバー端子27A〜27Cとが重なる位置である。
【0053】
次いで、
図13に示すように、負荷側軸受31の内輪内に、ロータ36を固定した回転軸35の負荷側端部側を挿通し、回転軸35の負荷側を負荷側軸受31の内輪に圧入する。さらに、筒状フレーム21の他端側から、段部21dに当接する位置まで非負荷側カバー部23を圧入するとともに、非負荷側カバー部23の軸受保持部23aの凹部23fに、非負荷側軸受32の外輪を圧入する。筒状フレーム21に対する非負荷側カバー部23の周方向の装着位置は、バスバー端子27A〜27Cが配線穴23nを挿通する位置である。
【0054】
第一実施形態では、非負荷側カバー部23を段部21dに当接する位置まで圧入するだけで、ねじ止めやCリングによる固定は不要とされている。また、筒状フレーム21と非負荷側カバー部23とが同じ材料であることからカシメも不要である。筒状フレーム21に熱膨張が生じて非負荷側カバー部23が緩むといったことは考え難いからである。
【0055】
次いで、バスバー端子27A〜27Cにモータ端子28A〜28Cが組み付けられる。モータ端子28A〜28Cは、駆動制御部62に接続される。次いで、
図14に示すように、非負荷側カバー部23及び回転軸35に対してレゾルバ40が組み付けられる。
【0056】
非負荷側カバー部23のレゾルバ保持部23bにレゾルバステータ41の外周面を嵌め込み、レゾルバステータ41の各装着穴41aを非負荷側カバー部23の各雌ねじ43aに合わせて取付リング23dの上部からねじ止めする。回転軸35には、非負荷側端部にレゾルバロータ42が圧入される。
【0057】
レゾルバ40は、ハーネス46を介して配線され、ハーネス46には、ゴム製のグロメット44が固定される。グロメット44は、筒状フレーム21の切欠部21rに嵌め込まれ、筒状フレーム21にハーネス46が保持される。
次いで、
図15に示すように、筒状フレーム21の他端開口部に、レゾルバカバー80が組み付けられる。筒状フレーム21の他端にレゾルバカバー80の側壁部82を嵌め込み、レゾルバカバー80の各装着穴83を筒状フレーム21の各雌ねじ64に合わせてねじ止めする。
【0058】
次いで、モータ本体20の筒状フレーム21に制御ユニット60が組み付けられる。
図16に示すように、筒状フレーム21の他端面に対してヒートシンク61を対向させ、ヒートシンク61の各取付ボス部63のねじ穴を、筒状フレーム21の取付フランジ21aの各装着穴に合わせて軸方向の一端側からねじ止めする。ここで、端子台66の各ねじ穴67は、取付フランジ22cに対して周方向にずれた位置に形成されている。そのため、工具を用いた装着作業性が良好である(
図5参照)。
【0059】
駆動制御部62の一側面の端子台66に、モータ端子28A〜28Cが例えば六角穴付ボルトを用いて接続されて、
図2ないし
図3示す電動モータ15の完成品となる。モータ本体20に制御ユニット60を組み付けた状態で、これらを軸方向の他端側から見ると、
図4に示すように、各取付フランジ22cの取付穴22eが、制御ユニット60の矩形外形投影面の形状よりも外方に位置するように、各取付フランジ22cの長さや取付穴68の配置が設定されている。そのため、工具を用いた装着作業性が良好である。
【0060】
次に、第一実施形態に係る電動モータ15の作用効果について説明する。
ここで、一般に、電動モータの他端側をカバーで閉塞し、このカバーに他端側の軸受を固定し、この軸受よりも軸方向の内側にレゾルバを配置したものがある。しかし、軸受を固定すること、及びレゾルバを固定することを個別の部材で行なうと、軸方向の大型化を招きやすい。
【0061】
これに対し、第一実施形態の電動モータ15では、非負荷側カバー部となる非負荷側カバー部23は、筒状フレーム21内の他端側を閉塞するように固定され、非負荷側軸受32は、非負荷側カバー部23における内面側の凹部23fに固定され、レゾルバ40は、非負荷側カバー部23における外面側のレゾルバ保持部23bに固定される。
【0062】
すなわち、第一実施形態の電動モータ15によれば、非負荷側軸受32を固定する軸受固定機能と、レゾルバ40を固定するレゾルバ固定機能とが、一つの非負荷側カバー部23によって兼用している。これにより、回転軸方向の大型化を抑制できる。特に、回転軸35の長さを短くできる。
【0063】
また、一つの非負荷側カバー部23によって、非負荷側軸受32及びレゾルバ40の双方が固定されるので、レゾルバ40のレゾルバステータ41とレゾルバロータ42との同芯度が向上して回転角の検出精度が向上する。なお、レゾルバ40で検出した回転角を微分して回転角速度を算出したり、回転角速度を微分して回転角加速度を算出したりすることもあり、回転角の検出精度は、回転角速度や回転角加速度の算出精度にも影響する。
【0064】
また、第一実施形態の電動モータ15によれば、レゾルバ40は、ハーネス46によって配線されているので、組み付け性に優れている。ハーネス46は、グロメット44を介して筒状フレーム21に保持されているので、組み付け性に優れると共に、ハーネス46の引き抜きが阻止される。さらに、振動などでハーネス46の被覆に傷がつくことが防止される。
【0065】
また、第一実施形態の電動モータ15によれば、回転軸35の他端側を支持する非負荷側軸受32が、非負荷側カバー部23の内面側に配置されることにより、曲げモーメントに対する剛性が向上する。
また、第一実施形態の電動モータ15によれば、筒状フレーム21の内周面に、非負荷側カバー部となる非負荷側カバー部23の外縁に当接して非負荷側カバー部23の位置を規制する段部21dが形成されているので、非負荷側カバー部23を容易に位置決めすることができる。
【0066】
また、第一実施形態の電動モータ15では、段部21dは、筒状フレーム21における内周面の全周にわたって形成されているので、回転軸35に対する非負荷側カバー部23の直角度が向上する。また、非負荷側カバー部23を圧入するだけで、別途、ねじ止めやカシメ加工が不要である。そのため、組立工数や部品点数を抑制できる。
【0067】
また、第一実施形態の電動モータ15では、非負荷側カバー部23には、配線穴23nが形成されているので、電動モータ15におけるステータ25の配線を容易に外側に引き出すことができる。
また、モータハウジング24は、取付フランジ22cが筒状フレーム21外周面の一端に一体形成されているので、フランジを有する負荷側カバー部22別体で形成して、筒状フレーム21に組み付ける構成に比べて、軽量化を図り且つ組立工数や部品点数を抑制できる。
【0068】
また、第一実施形態の電動モータ15では、制御ユニット60は、扁平な直方体状に形成され、その装着面69の延在方向が、回転軸35の軸方向と直交する向きで筒状フレーム21の他端に固定されるので、軸方向の大型化を抑制できる。
【0069】
特に、第一実施形態の電動モータ15では、モータハウジング24の他端は、レゾルバカバー80によって覆われ、制御ユニット60は、ヒートシンク61がレゾルバカバー80に対向する向きで軸方向から積層されるように固定されるので、制御ユニット60をも軸線方向に積層配置することで、コンパクトな構成とする上で優れている。
【0070】
さらに、ヒートシンク61とレゾルバカバー80との間には、放熱および防振のための隙間(クリアランス)Tが意図的に形成されているので、コンパクトな構成としつつも、放熱効果および防振効果を向上させることができる。
【0071】
また、例えばパワーパック一体型モータと比較して、当該隙間Tを設けているので、モータ本体20側の振動が精密機器である制御ユニット60側に伝達し難い。なお、コンパクトな構成としつつも、放熱効果および防振効果を向上させる上では、隙間Tは、1.5±0.5mm程度が好適である。
【0072】
また、第一実施形態の電動モータ15では、非負荷側軸受32は、非負荷側カバー部23に固定されるので、レゾルバカバー80には、非負荷側軸受32を保持する強度が要求されない。そのため、レゾルバカバー80を薄板で簡素に形成できる。したがって、筒状フレーム21の他端側を覆うカバーに軸受を固定し、さらに、レゾルバ40を保持する別部材を設ける構成に比べて、軽量・コンパクト化を図る上で優れている。
【0073】
また、第一実施形態の電動モータ15では、非負荷側カバー部23の他端側の開口部を、レゾルバカバー80で閉塞することにより、磁気的なシールドを行なうことができる。また、レゾルバカバー80を円形の平板で形成しているので、部分的に屈曲部が形成されている場合と比較して、剛性の低下を抑制できる。
【0074】
また、第一実施形態の電動モータ15では、モータ端子28A〜28Cの位置に対するグロメット44の周方向の装着位置は、中心を挟んで対向する位置に設けたので、レゾルバ40のハーネス46とモータ端子28A〜28Cとの離隔距離を確保し、レゾルバ40の信号がノイズの影響を受けることを抑制できる。
【0075】
つまり、第一実施形態の電動モータ15では、端子ホルダ29が嵌め込まれる端子用凹部である切欠部30に対し、グロメット44が嵌め込まれる切欠部21rの周方向の位置(換言すれば、モータ端子28A〜28Cに対するハーネス46の周方向の角度)が、第一実施形態では、180度反対側の位置(回転軸35の中心を挟んで径方向で対向する位置)にずらして形成されている(
図5参照)。
これにより、切欠部30に嵌め込まれた端子ホルダ29に対し、ハーネス46を支持するグロメット44が嵌め込まれるレゾルバ用凹部である切欠部21rは、端子ホルダ29に保持されたモータ端子28A〜28Cの側から一番離れた位置に配置される。
【0076】
そのため、第一実施形態の電動モータ15によれば、レゾルバ40のハーネス46への三相のモータ端子28A〜28Cを流れる高周波電流によるノイズの影響を防止または抑制できる。
したがって、回転軸35の軸方向に電動モータ15をコンパクト化しつつ、レゾルバ40から出力されるレゾルバ信号にノイズが重畳して回転軸35の回転角を検出する分解能が低下することを防止または抑制して、高精度の回転角検出を行うことができる。
【0077】
また、第一実施形態の電動モータ15では、端子台66の各ねじ穴67は、
図5に示したように、取付フランジ22cに対して周方向にずれた位置に形成している。そのため、制御ユニット60を組み付ける際に、例えばインパクト電動レンチ等の工具が取付フランジ22cと干渉することを防げるので、作業性に優れている。
【0078】
また、第一実施形態の電動モータ15では、モータ本体20に制御ユニット60を組み付けた状態で、これらを軸方向の他端側から見ると、
図4に示したように、取付フランジ22cの各取付穴22eが制御ユニット60の外形よりも外方に位置するように、各取付フランジ22cの長さや取付穴22eの配置が設定されている。そのため、電動モータ15を取り付ける際に、例えばインパクト電動レンチ等の工具が制御ユニット60と干渉することを防げるので、作業性に優れている。
【0079】
なお、本発明に係る電動モータおよびこれを備える電動パワーステアリング装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記第一実施形態では、レゾルバ40のハーネス46とモータ端子28A〜28Cとの離隔距離を確保する例として、相互が180度反対側の一番離れた位置に設けられた例を示したがこれに限定されない。例えば、上記第一実施形態の変形例を
図17〜
図19に示す。
【0080】
図17〜
図19に示す第一実施形態の変形例では、モータ端子28A〜28Cの配置位置に対し、レゾルバ40のハーネス46を外部に引き出す位置が、回転軸35の中心を挟んで径方向で対向する位置であれば任意に設けられる例であり、相互が180度反対側では無い位置である点が、上記第一実施形態と相違している。そして、このような構成であっても、ノイズの影響を受けることを抑制可能である。
なお、当該変形例では、当該相違点(相互が180度反対側では無い位置である点)以外の構成は上記第一実施形態と共通する。そのため、以下、当該変形例では、第一実施形態との相違点について説明し、他の構成については同一または対応部分に同一符号を付すとともにその詳細説明を省略する。
【0081】
当該変形例では、
図19に示すように、平面視における四分儀(全円を4等分し直角を挟む2辺中の1辺は水平に他の1辺は鉛直)において表わしたときに、端子用凹部である切欠部30が、第三象限Cと第四象限Dとを跨ぐ位置に設けられ、レゾルバ用凹部である切欠部21rが、第一象限A若しくは第二象限Bまたは第一象限Aと第二象限Bとを跨ぐ位置に設けることができる例を示している。同図の例では、切欠部21rが、第二象限Bに設けられた例である。
【0082】
つまり、上記第一実施形態は、切欠部21rが、第一象限Aと第二象限Bとを跨ぐ位置に設けられた例であり、本発明の第一実施形態においては、例えば、回転軸35の中心を挟んで径方向で対向する位置として、180度反対側の位置を含む周方向の範囲において、例えばグロメット44の幅に相当する角度程度の幅の範囲内を装着位置とすることができる。
【0083】
ここで、レゾルバ40のハーネス46とモータ端子28A〜28Cとの離隔距離を確保して、レゾルバ40の信号がノイズの影響を受けることを抑制する上では、上記第一実施形態に示すように、180度反対側の一番離れた位置に設けることが望ましい。
【0084】
しかし、例えば新興国で電動モータ15を生産する上では、部品の調達性、組立性など、新興国などでの実態に即した最適な生産態様を構築することが重要である。例えば、新興国などで生産する場合に、パワーパック一体型モータとして一貫生産できる設備を有することはむしろ稀である。また、自動車メーカでは、軽量化→CO2削減は重要な課題となる。さらに、工場間移動での異物混入を防止する必要があり、特に、「ECU」と「モータ」とは別メーカからの調達となることが多い。
【0085】
これに対し、上記第一実施形態の例になぞらえれば、制御ユニット60(ECU:Electronic Control Unit)、レゾルバ40、モータ本体20それぞれについては、比較的に成熟した技術であることから、新興国などで生産する場合に、「ECU」、「レゾルバ」、「モータ本体」を個別に調達できる。そして、上述した、「モータ本体+非負荷側カバー部の構成+レゾルバカバー」の組み合わせにより、上述したコンパクト化を達成しつつも確実に各部品を調達できるので、調達先の自由度が大幅に向上するのである。
【0086】
よって、上記第一実施形態およびその変形例によれば、電動モータ15のコンパクト化を実現しつつ、調達先自由度が向上するため、新興国などで生産する場合にあっても、BCP(Business Continuity Plan)対応性に優れた電動パワーステアリング装置用電動モータを提供できる。
そして、上記第一実施形態およびその変形例によれば、BCP対応性に優れているので、災害や事故など不測の危機発生の際、重要業務への影響を最小限に抑え、仮に中断しても可及的速やかに復旧・再開できるのである。
【0087】
また、例えば上記第一実施形態では、筒状フレーム21に非負荷側カバー部23を圧入するだけで装着する構成例を示したが、これに限定されず、非負荷側カバー部23を筒状フレーム21にねじ止めしたりカシメ加工したりして、より堅固に固定してもよい。
【0088】
また、例えば上記第一実施形態では、非負荷側軸受32を回転軸35に圧入し、その後に、非負荷側軸受32を非負荷側カバー部23の凹部23fに圧入した例を示したが、これに限定されるものではない。
つまり、組み付け可能であれば、組み付ける順序については任意でよいので、非負荷側軸受32を先に非負荷側カバー部23の凹部23fに圧入し、その後に、回転軸35を組み付けてもよい。
【0089】
また、例えば上記第一実施形態およびその変形例では、筒状フレーム21の負荷側を覆う負荷側カバー部22を、筒状フレーム21と一体に形成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。以下、筒状フレーム21の開口部分をカバーする構成について第二実施形態を例に詳しく説明する。なお、上記第一実施形態と同一または対応する構成については同一の符号を付して説明する。
【0090】
[第二実施形態]
第二実施形態では、筒状フレーム21の非負荷側を覆う非負荷側カバー部23を、筒状フレーム21と一体に形成し、筒状フレーム21とは別体の負荷側カバー部22で負荷側を閉塞する例である。
【0091】
詳しくは、
図20に示すように、第二実施形態の電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイール11に入力される操舵力をラック・ピニオン運動変換機構12に伝達するステアリングシャフト13の出力側に、減速機構14を介して連結された電動モータ15を備える。なお、同図において、符号17は、ステアリングシャフト13を挿通するステアリングコラム、符号18FLおよび18FRは、ラック・ピニオン運動変換機構12によって転舵される転舵輪である。
【0092】
電動モータ15は、ステアリングシャフト13に伝達される操舵トルクに基づいて操舵補助力を発生する。減速機構14は、例えばウォーム減速機構で構成され、
図21に示すように、上記ステアリングシャフト13に連結されたウォームホイール(図示せず)を内装したホイールハウジング14aと、そのウォームホイールに噛合するウォーム(図示せず)を内装するウォームハウジング14bとを備える。
【0093】
第二実施形態の電動モータ15は、同図に示すように、モータ本体20と、モータ本体20の負荷側とは反対側に装着された回転検出部としてのレゾルバ40と、モータ本体20を制御する制御ユニット60と、が軸方向にこの順に積層配置されている。そして、モータ本体20と制御ユニット60との間には、レゾルバ40を覆うレゾルバカバー80が介装されている。
【0094】
モータ本体20は、
図22に示すように、円筒状の筒状フレーム21と、筒状フレーム21の負荷側を閉塞する負荷側カバー部22と、筒状フレームの非負荷側を閉塞する非負荷側カバー部23と、を有するモータハウジング24をカバー部材として備える。
【0095】
第二実施形態では、筒状フレーム21と非負荷側カバー部23とが一体とされて有底筒状に形成されている。これら筒状フレーム21、負荷側カバー部22および非負荷側カバー部23は、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金ないしマグネシウム合金等の非鉄金属材料を用いて例えばダイキャスト成型で製造されている。
【0096】
筒状フレーム21の内周面には、
図26、
図30および
図31に示すように、ステータ25が固定されている。ステータ25は、
図26に示すように、A相、B相およびC相の三相のコイルLA、LBおよびLCが巻装された4組ずつのティース26A、26Bおよび26Cをそれぞれ円周方向に交互に配置している。
第二実施形態では、三相のコイルLA〜LCは、終端が互いに接続されてスター結線とされている。なお、三相のコイルLA〜LCスター結線とする場合に限らず、デルタ結線とすることもできる。
【0097】
ステータ25の負荷側とは反対側の端面には、
図27(a)および(b)に拡大図示するように、三相のバスバー端子27A、27Bおよび27Cが突出され、三相のモータ端子28A、28Bおよび28Cに接続されている。バスバー端子27A、27Bおよび27Cは、三相のコイルLA、LBおよびLCの始端にそれぞれ接続され、円周方向に所定の絶縁距離を保って配置されている。
【0098】
各モータ端子28A、28Bおよび28Cのそれぞれは、導電性板材で形成されており、同図(b)に示すように、基部28a、中間板部28bおよび端子部28cをそれぞれ有する。基部28aは、バスバー端子27A、27Bおよび27Cの先端に嵌め込まれて溶接等で接合されている。
【0099】
中間板部28bは、基部28aから回転軸35の軸直角方向に向けて筒状フレーム21の外側まで延長するように形成されている。端子部28cは、中間板部28bの先端から軸方向に向けて筒状フレーム21から離れる方向に延長して形成されている。
【0100】
これらモータ端子28A、28Bおよび28Cは、中間板部28bが絶縁性を有する合成樹脂材製の端子ホルダ29によって一体化されている。また、モータ端子28A〜28Cの基部28aおよび端子部28cの先端を除く部分が、端子ホルダ29の合成樹脂材で覆われている。端子ホルダ29は、
図28に平面視するように、筒状フレーム21の負荷側とは反対側の端部と非負荷側カバー部23に跨がって形成された切欠30内に固定されている。
【0101】
端子ホルダ29は、
図27(b)に示すように、底面側から嵌合突起29aが突出している。そして、この嵌合突起29aが、筒状フレーム21の切欠30を形成する側壁21bの端面に形成された嵌合凹部21cに嵌合されて固定されている。
なお、バスバー端子27A、27Bおよび27C、並びに、モータ端子28A、28Bおよび28Cの基部28a並びに中間板部28bは、
図28に示すように、切欠30に係合するカバー30aで覆われる。
【0102】
端子ホルダ29は、回転軸35の軸方向から見たときに、固定状態で、端子ホルダ29に保持された各モータ端子28A〜28Cの端子部28cが、筒状フレーム21の外周面よりも外側となり、且つ筒状フレーム21とは反対側に延長されて張り出している。また、筒状フレーム21の負荷側の外周面には、
図26に示すように、円周方向の3個所に、取付フランジ21aが半径方向に突出して形成されている。
【0103】
負荷側カバー部22は、
図30および
図31に示すように、回転軸中心に同軸の貫通孔22aが形成され、この貫通孔22aの筒状フレーム21側に軸受保持部22bが同軸に形成され、軸受保持部22bに軸受31の外輪が固定されている。
【0104】
また、負荷側カバー部22の外周縁には、ウォームハウジング14bに取り付けるための、例えば3つの取付フランジ22cが突出形成されている。さらに、負荷側カバー部22の外周縁には、筒状フレーム21の取付フランジ21aに固定する3つの固定フランジ22dが形成されている。
【0105】
非負荷側カバー部23は、
図31に示すように、ステータ25側となる内側に形成された軸受保持部23aと、ステータ25とは反対側の外側に形成されたレゾルバ保持部23bと、を有する。軸受保持部23aには、軸受32の外輪が固定されている。レゾルバ保持部23bには、
図28に示すように、レゾルバ40のレゾルバステータ41が固定されている。
【0106】
そして、
図30および
図31に示すように、負荷側カバー部22の軸受31と、非負荷側カバー部23の軸受32と、によって回転軸35が回転自在に支持されている。回転軸35の負荷側端部の出力部35aは、負荷側カバー部22の貫通孔22aを通じて外部に突出されている。また、回転軸35の非負荷側軸端35bは、非負荷側カバー部23のレゾルバ保持部23b内に突出されている。
【0107】
回転軸35には、中間部にステータ25に所定の間隙を挟んで対向するロータ36が固定されている。ロータ36は、積層鉄心で形成されるロータコア36aの外周面に永久磁石36bが配置され、この永久磁石36bが非磁性体製の筒状部材36cで覆われて表面磁石型に構成されている。なお、ロータ36は、表面磁石型に限らず、永久磁石をスロット内に配置した埋込磁石型の構成とすることもできる。
【0108】
レゾルバ保持部23bは、
図28に示すように、非負荷側カバー部23の内周側に開環状筒部41rを有する。開環状筒部41rは、回転軸中心に対し端子ホルダ29とは反対側の位置が所定距離開かれて平面視が略C字状に形成されており、レゾルバ40のレゾルバステータ41を保持するように形成されている。
【0109】
レゾルバ40は、非負荷側カバー部23のレゾルバ保持部23bに形成された開環状筒部41rに対して、レゾルバステータ41の外周縁が、開環状筒部41rの上端面に、開環状の取付リング23dによって円周方向に位置調整可能に保持される。これにより、このレゾルバステータ41の内周面に対向する回転軸35に、レゾルバロータ42が固定される。
【0110】
また、レゾルバ40は、
図28に示すように、レゾルバロータ42の回転に伴って生成されるレゾルバ信号が、例えばゴム製のグロメット44を装着した信号線45を通り、ハーネス46を介して外部に出力される。ハーネス46の先端にはレゾルバコネクタ47が接続されている。
【0111】
ここで、モータ本体20は、グロメット44、および各モータ端子28A〜28Cの端子部28c位置(
図27(b)参照)が、
図28に示すように、回転軸35の軸方向での筒状フレーム21の投影面よりも外側に張り出した位置に形成されている。
さらに、制御ユニット60は、回転軸方向での当該制御ユニット60の投影面の内側の領域で、グロメット44を装着した信号線45とハーネス46を介して相互に連結されるとともに、各モータ端子28A〜28Cの端子部28cと端子台66を含む投影面の内側の領域で相互に連結されている。
【0112】
非負荷側カバー部23の後方には、開環筒状に形成された開環状壁面部23eが形成されている。開環状壁面部23eは、レゾルバ保持部23bに保持されたレゾルバステータ41の外周側を囲むように、開環状筒部41rと同軸に形成されている。
この開環状壁面部23eは、制御ユニット60との間に介装されるレゾルバカバー80との協働によってレゾルバ40の側方を覆うものであり、端子ホルダ29を装着する切欠30に対応する位置およびグロメット44を装着する位置の2個所に、第一開口部23e1および第二開口部23e2が形成されている。
【0113】
非負荷側カバー部23の外周面には、制御ユニット60を固定するための3つの固定フランジ48が形成されている。これら固定フランジ48は、筒状フレーム21の外周面より外方まで半径方向に突出されている。各固定フランジ48それぞれの先端側には、ねじを挿通するねじ挿通孔48aが貫通して形成されている。
【0114】
ここで、第二実施形態のモータ本体20と制御ユニット60とは、それぞれ独立して周囲を囲うカバー部材を有するとともに、相互間にレゾルバ40をモータ本体20側で覆うレゾルバカバー80が介装されている。そして、本実施形態では、非負荷側カバー部23の固定フランジ48に、レゾルバ40を覆うように制御ユニット60が固定される。
【0115】
より詳しくは、制御ユニット60は、
図22に示すように、平面視が略方形板状に形成されてカバー部材として底面部を構成するヒートシンク61と、ヒートシンク61に組み合わされてカバー部材として制御ユニット60の上部および側面部を構成する駆動制御部62と、を有する。駆動制御部62は、図示を省略するが、ヒートシンク61に載置されるように内部に支持されたプリント基板を有する。
【0116】
このプリント基板には、車両の車速、レゾルバ40で検出したロータ回転角、ステアリングホイール11から入力される操舵トルクに基づいて操舵トルク指令値を算出する指令値演算回路、および、操舵トルク指令値に基づいてモータ本体20を回転駆動するインバータ回路等が搭載されている。
【0117】
また、駆動制御部62には、
図22および
図32に示すように、一側面に張り出すように端子台66が設けられている。端子台66には、上記筒状フレーム21に設けられた端子ホルダ29のモータ端子28A、28Bおよび28Cが接続される。
この接続工程は、非負荷側カバー部23の固定フランジ48に制御ユニット60を固定する際に、端子ホルダ29のモータ端子28A〜28Cの端子部28cがそのまま端子台66に軸方向から挿入され、その後に、端子台66のねじ穴67にねじ止めされるようになっている。
【0118】
さらに、駆動制御部62には、端子台66とは90度異なる側面にコネクタ接続部68が形成されている。本実施形態のコネクタ接続部68は、ヒートシンク61から回転軸直角方向に向けて非負荷側カバー部23側に突出するように形成されている。
コネクタ接続部68は、
図33に示すように、電源コネクタ(図示せず)を接続する電源コネクタ受け部68a、CANコネクタ(図示せず)を接続するCANコネクタ受け部68b、および、レゾルバコネクタ47を接続するレゾルバコネクタ受け部68c等が配置されている。ここで、レゾルバコネクタ受け部68cは、端子台66から一番離れたグロメット44側の端部位置に配置されている。
【0119】
また、
図33に示すように、ヒートシンク61には、駆動制御部62とは反対側の取付面61aに対して、その四隅の一個所を除く3個所に、内周面に雌ねじを形成した取付ボス部63が突設されている。そして、レゾルバカバー80は、
図23に示すように、ヒートシンク61の取付面61aに対向する位置に、取付ボス部63の内周側に位置するように介装される。
【0120】
ここで、第二実施形態のレゾルバカバー80は、レゾルバ40をモータ本体20側で覆うレゾルバカバー部であって、カバー部材として機能する薄肉厚の樹脂製である。第二実施形態のレゾルバカバー80は、
図35にカバー単体を図示するように、円盤状の平面部81と、平面部81の外周端面からモータ本体側に向けて突出形成された複数の側壁部82と、非負荷側カバー部23に形成された開環状壁面部23eの外周面23fに係合する一対のスナップフィット部83と、を有する。一対のスナップフィット部83は、正面視が矩形枠状に形成され、内部が矩形状の空隙とされている。
【0121】
レゾルバカバー80の平面部81は、
図28に示す、非負荷側カバー部23の開環状壁面部23eの外周面23fに沿う円盤状をなしている。レゾルバカバー80の一対のスナップフィット部83は、平面部81の両端の位置から非負荷側カバー部23側に向けて張り出しており、非負荷側カバー部23の開環状壁面部23eの外周面23fの外側に突設された一対の係合凸部23gにそれぞれ対向する位置で、自身の弾性変形によって係脱可能に形成されている。
【0122】
なお、第二実施形態では、スナップフィット部83の構成例として、非負荷側カバー部23側には、開環状壁面部23eの外周面23fに係合凸部23gを設け、レゾルバカバー80側には、係合凸部23gに係脱可能な凹部として矩形枠状のスナップフィット部83を形成した例で説明したが、これに限定されない。
【0123】
つまり、レゾルバカバー80は、側壁部82の一部として、凹または凸に形成されて筒状フレーム側に凸または凹に形成された係合部に着脱可能なスナップフィット部83を設けて、このように形成されたスナップフィット部83によって筒状フレーム21ないし非負荷側カバー部23に着脱可能に装着されるように構成されていれば種々の態様を採用することができる。なお、本実施形態では、係合凸部23gは、回転軸対称に二箇所設けた例を示したが、これに限らず、3箇所もしくは4箇所に設けてもよい。
【0124】
さらに、第二実施形態では、レゾルバカバー80の側壁部82は、
図28に示す、非負荷側カバー部23の開環状壁面部23eの第一開口部23e1に対応する開口位置を閉塞する第一側壁部82aと、開環状壁面部23eの第二開口部23e2に対応する開口位置を閉塞する第二側壁部82bと、を有する。
【0125】
そして、レゾルバカバー80の第一側壁部82aは、ステータ25に供給される三相交流電力を受けるモータ端子28A〜28Cに対して、径方向内側のレゾルバ40側を閉塞するように形成されている。また、レゾルバカバー80の第二側壁部82bは、レゾルバ40の信号線45を挿通するグロメット44を、モータ端子28A〜28Cに対して回転軸35の中心を挟んで対向する位置(つまり180度反対の側)にて保持するように形成されている。
【0126】
その際、制御ユニット60は、非負荷側カバー部23に装着されることにより、レゾルバカバー80との対向面(つまり、ヒートシンク61の取付面61a)が、レゾルバカバー80との協働によりグロメット44を第二開口部23e2にて挟持して周囲を密閉するように形成されている。
【0127】
ここで、
図28に示すように、端子ホルダ29を装着する位置の第一開口部23e1の開口幅は、グロメット44を装着する位置の第二開口部23e2の開口幅よりも広くなっており、レゾルバカバー80の第一側壁部82aおよび第二側壁部82bは、それぞれの周方向に沿った長さが第一開口部23e1および第二開口部23e2の幅に整合して形成されているので、レゾルバカバー80の周方向での装着位置は一意に定まるようになっている。
【0128】
次に、第二実施形態の電動モータ15の組み付け工程について
図36を適宜参照しつつ説明する。この電動モータ15の組み付け工程は、異物の付着や混入を防ぐために、クリーンルーム内で行われる。
第二実施形態の電動モータ15の組み付け工程では、先ず、
図36(a)に示すように、回転軸35の中央位置にロータ36を固定し、軸受31の内輪内に、ロータ36を固定した回転軸35の負荷側端部側を挿通し、回転軸35を軸受31の内輪に圧入する。次いで、同図(b)に示すように、負荷側カバー部22の軸受保持部22bに軸受31を圧入もしくは加締め加工によって装着する。
【0129】
これと同時にまたは前後して、筒状フレーム21内の軸受保持部23aに軸受32の外輪を加締め加工によって装着する。次いで、同図(c)に示すように、筒状フレーム21の内周面にステータ25を固定し、三相のコイルLA〜LCの始端に接続されたバスバー端子27A〜27Cに、端子ホルダ29に保持されたモータ端子28A〜28Cを固定する。
【0130】
そして、同図(d)に示すように、負荷側カバー部22に支持された回転軸35のロータ36を、筒状フレーム21内にステータ25と対向するように挿入し、回転軸35の非負荷側を軸受32の内輪に圧入し、負荷側カバー部22の固定フランジ22dを筒状フレーム21の取付フランジ21aに接触させる。
【0131】
この状態で、同図(e)に示すように、筒状フレーム21の取付フランジ21aの負荷側カバー部22とは反対側からボルト37を挿入し、負荷側カバー部22の固定フランジ22dに形成した雌ねじ孔(図示せず)に螺合させて締め付ける。これによって、筒状フレーム21の負荷側に負荷側カバー部22を固定する。
【0132】
次いで、非負荷側カバー部23のレゾルバ保持部23bの開環状筒部41rの上面に、レゾルバ40のレゾルバステータ41を載置し、このレゾルバステータ41の外周縁に、取付リング23dを重ねる。次いで、この取付リング23dを開環状筒部41rにねじ止めする。次いで、回転軸35の非負荷側端に、レゾルバステータ41の内周側に対向するようにレゾルバロータ42を装着する。
【0133】
このとき、レゾルバロータ42の信号処理部に接続された信号線45を挿通するグロメット44が、
図28に示すように、開環状壁面部23eの第二開口部23e2に嵌合される。したがって、信号線45が接続されたハーネス46およびレゾルバコネクタ47が、レゾルバ保持部23bを囲む開環状壁面部23eの外側に導出される。切欠30に対してカバー30aを装着する。この状態では、同図に示すように、レゾルバ40が非負荷側カバー部23の上面側で露出されている。
【0134】
次いで、
図36(f)に示すように、非負荷側カバー部23に対して軸方向後方からレゾルバカバー80を装着する。この装着作業は、スナップフィット部83でワンタッチにて装着できる。レゾルバカバー80の非負荷側カバー部23への装着はレゾルバ40を上方および側方から覆うように装着する。
【0135】
すなわち、側方においては、レゾルバカバー80の第二側壁部82bを、非負荷側カバー部23の開環状円筒部23fの第二開口部23e2に装着したグロメット44に上方から対向させるとともに、レゾルバカバー80の第一側壁部82aを、非負荷側カバー部23の開環状円筒部23fの第一開口部23e1に位置するように上方からレゾルバカバー80の平面部81を対向させる。
【0136】
このように、第二実施形態によれば、制御ユニット60の非負荷側カバー部23への装着前に、非負荷側カバー部23とヒートシンク61との間に介装された薄肉樹脂製のレゾルバカバー80でレゾルバ40の側面と上面とを隙間なく覆うことができる。
【0137】
第二実施形態によれば、薄肉樹脂製のレゾルバカバー80でレゾルバ40を覆うことにより、簡易な構成によって異物の侵入を防止(コンタミネーション対策)することができる。また、装置の小型化・軽量化・低コスト化に寄与する。また、このレゾルバカバー80は、一対のスナップフィット部83によってワンタッチで非負荷側カバー部23に装着できるため、効率の良い組み付け作業を行う上で優れている。
【0138】
このとき、レゾルバカバー80は、その第一側壁部82aおよび第二側壁部82bが、それぞれ第一開口部23e1および第二開口部23e2の幅に整合して形成されているので、非負荷側カバー部23に形成された第一開口部23e1と第一側壁部82a、並びに、第二開口部23e2と第二側壁部82bとが一致する位置以外では相互を係合させることができない。したがって、レゾルバカバー80の誤装着を防止できる。
【0139】
次いで、
図36(g)に示すように、レゾルバカバー80の上方から、非負荷側カバー部23の装着部に制御ユニット60を装着する。この際、制御ユニット60の上記取付面61aを非負荷側カバー部23側に対向させることにより、レゾルバカバー80の平面部81が介装された状態となる。
この状態で、ヒートシンク61に形成した上記取付ボス部63の下面も非負荷側カバー部23に形成した固定フランジ48の上面に突き当たり、固定フランジ48のねじ挿通孔48aと取付ボス部63の雌ねじ部とが連通する。
【0140】
この状態で、固定フランジ48の下面側から取付ねじをねじ挿通孔48aに挿通して、取付ボス部63の雌ねじ部に螺合させて締め付ける。これにより、レゾルバカバー80を介装した状態で、非負荷側カバー部23に制御ユニット60を装着できる。
このように、非負荷側カバー部23に制御ユニット60を装着することにより、制御ユニット60の端子台66内に、筒状フレーム21の端子ホルダ29に保持されたモータ端子28A、28Bおよび28Cが挿入される。
【0141】
この状態で、モータ端子28A、28Bおよび28Cを、端子用ねじで端子台66のねじ穴67にねじ止めするとともに、レゾルバ40のハーネス46に取り付けたレゾルバコネクタ47を、制御ユニット60のレゾルバコネクタ受け部68cに接続する。これによって、
図22に示したように、電動モータ15の組み付けが完了する。
そして、
図21に示したように、完成した電動モータ15の負荷側カバー部22の取付フランジ22cを、減速機構14のウォームハウジング14bに装着することにより、電動パワーステアリング装置10が完成する。
【0142】
次に、上記第二実施形態の主要な作用効果について説明する。
第二実施形態では、負荷側を開放した有底筒状の筒状フレーム21の負荷側に軸受31を介して回転軸35を保持した負荷側カバー部22を装着して、回転軸35の非負荷側を非負荷側カバー部23に保持した軸受32に圧入している。よって、この状態で、負荷側カバー部22の軸受31と非負荷側カバー部23の軸受32とで回転軸35を回転可能に支持できる。
【0143】
そのため、負荷側カバー部22の内側および筒状フレーム21の非負荷側カバー部23の内側に軸受31および32を保持する軸受保持部22bおよび23aを、互いにロータ32に向けて突出するように設けることにより、軸受間距離を最小とすることができ、回転軸35に係る曲げモーメントに対する剛性を向上させることができる。
【0144】
また、第二実施形態では、非負荷側カバー部23は、内側に軸受32を保持する軸受保持部23aが形成され、外側にレゾルバ40のレゾルバステータ41を保持するレゾルバ保持部23bが形成されているので、非負荷側カバー部23で、軸受32とレゾルバ40のレゾルバステータ41の両者を保持できる。
そのため、軸受32およびレゾルバステータ41用に個別に保持部材を設ける必要がなく、構成を簡易化することができる。同時に、軸受32およびレゾルバロータ42の組み付け作業も簡素化できる。また、レゾルバ40の検出精度も向上し、製品ごとのバラツキも小さくなる。
【0145】
また、第二実施形態では、モータ本体20と、レゾルバ40と、モータ本体20を制御する制御ユニット60と、が回転軸35の軸方向に積層配置されているので、軸方向長さを短くするとともに部品点数を削減することが可能となり、軽量化を図りつつ組み付け性を向上させることができる。
【0146】
さらに、第二実施形態では、モータ本体20と制御ユニット60とは、それぞれ独立して周囲を囲うハウジングを有し、特に、モータ製造工場で行なう組み立て工程にて、レゾルバ40を覆うように、非負荷側カバー部23と制御ユニット60との間にレゾルバカバー80が介装される。
これにより、第二実施形態によれば、制御ユニット60を非負荷側カバー部23に装着する際に、レゾルバカバー80によってレゾルバ40の側面および上面を予め覆うことができる。そのため、部品点数を減少させるとともに取付工数を削減できる上、モータ本体20と制御ユニット60との組立時および組立前の輸送時などでの異物の混入を防止することができる。
また、組立後には、制御ユニット60と非負荷側カバー部23との間にレゾルバカバー80が設置されるので、レゾルバカバー80が脱落することがない。特に、車両に組み込まれた状態において、永続的に且つ確実に異物の侵入を防止することができる。
【0147】
さらに、第二実施形態の電動モータ15によれば、レゾルバ40の信号線45を外部に引き出すグロメット44を、レゾルバ保持部23bのモータ端子28A〜28Cに対して中心軸を挟んで対向する位置に形成した第二開口部23e2に固定され、また、レゾルバコネクタ47を接続するレゾルバコネクタ受け部47cもモータ端子28A〜28Cから離れた位置に配置される。
【0148】
そのため、レゾルバ40の信号線45へのモータ端子28A〜28Cを流れる高周波電流によるノイズの影響を防止または抑制できる。したがって、レゾルバ40から出力されるレゾルバ信号にノイズが重畳して回転軸35の回転角を検出する分解能が低下することを防止または抑制して、高精度の回転角検出を行うことができる。
【0149】
しかも、レゾルバカバー80には、第一側壁部82aおよび第二側壁部82bが、それぞれ第一開口部23e1および第二開口部23e2の幅に整合して形成され、第一側壁部82aは、ステータに供給される三相交流電力を受けるモータ端子に対して、径方向内側のレゾルバ40側を閉塞し、第二側壁部82bは、レゾルバ40の信号線を挿通するグロメット44を、モータ端子に対して回転軸35の中心を挟んで対向する位置(つまり180度反対の側)にて保持しつつその周囲を閉塞するので、レゾルバ40の周囲を確実に覆うことができる。
さらに、第二実施形態によれば、このような優れた効果を有する電動モータ15を使用して電動パワーステアリング装置10を構成するので、電動パワーステアリング装置自体の小型軽量化を図ることができる。その他、上述した第一実施形態と共通する構成に基づく作用機序により対応する作用効果を奏することは勿論である。
【0150】
[第二実施形態の第一変形例]
次に、第二実施形態の第一変形例について
図37〜
図41を適宜参照して説明する。
この第一変形例では、上記第二実施形態のレゾルバカバー80が、着脱構造としてスナップフィットでワンタッチ装着を可能とする例であったのに対し、スナップフィットに替えて、止めねじによって着脱可能に構成されている点が上記第二実施形態と相違し他の構成は共通する。そのため、以下、この第一変形例では、第二実施形態との相違点について説明し、他の構成については同一または対応部分に同一符号を付すとともにその詳細説明を省略する。
【0151】
第二実施形態の第一変形例では、
図41にレゾルバカバー単体を示すように、レゾルバカバー80Bは、スナップフィット部83に替えて、上記側壁部の一部として、ねじ挿通穴80sが設けられて略L字状に形成された左右一対のねじ固定部80tを有する。
一方、筒状フレーム21には、
図37〜
図40に示すように、円筒状外周面の左右に、外側に張り出す膨出部21tが形成される。第二実施形態の第一変形例では、筒状フレーム21の外周面の形状が、僅かに円錐台状に形成されている。
【0152】
膨出部21tの後端部の中央には、ねじ装着座21sが設けられている。ねじ装着座21sには、ねじ固定部80tのねじ挿通穴80sに対向する位置に雌ねじが形成されている。これにより、ねじ挿通穴80tから固定用ねじ85を挿通し、ねじ装着座21sの雌ねじに締結することによって、レゾルバカバー80Bが筒状フレーム21に着脱可能に装着される。
【0153】
[第二実施形態の第二変形例]
次に、第二実施形態の第二変形例について
図42〜
図45を適宜参照して説明する。
第二実施形態の第二変形例では、レゾルバカバー80は、
図42〜
図45に示すように、偏平な有底円筒状の本体部88と、本体部88から周方向外側に向けて張り出す複数の固定フランジ84と、を備える点等が相違し、他の構成は共通する。そのため、以下、この第二変形例では、第二実施形態との相違点について説明し、他の構成については同一または対応部分に同一符号を付すとともにその詳細説明を省略する。
【0154】
第二変形例では、複数の固定フランジ84は、本体部88の平面部81の外周面に円周方向に所定間隔を保って4つ形成されている。これら固定フランジ84は、筒状フレーム21の外周面よりも径方向に外方まで突出されている。そして、固定フランジ84の先端側には、ねじ挿通孔84aが貫通して形成されている。
【0155】
また、第二変形例では、本体部88は、非負荷側カバー部23の直径よりも短い直径の薄肉円筒状の側壁部82と、この側壁部82の非負荷側端を閉塞する平面部81と、を有する。側壁部82の外周面には、
図43および
図44に示すように、例えば2つの凹部82cが設けられている。
【0156】
このレゾルバカバー80には、
図44および
図45に示すように、切欠80rが設けられている。切欠80rは、本体部88の開放端側であって且つ筒状フレーム21のモータ端子28A〜28Cに対して中心軸を挟んで対向する位置に設けられている。この切欠80rに、
図42に示すように、レゾルバ40の信号線45を挿通するグロメット44が固定される。
【0157】
各凹部82cは、側壁部82の周面での円周方向に所定距離だけ離れた位置にて径方向内側に張り出すように形成され、これにより、側壁部82の外周面側が凹部をなしている。上記平面部81は、これら凹部82cの開放端面側を閉塞するように形成されている。
各凹部82cには、ねじ挿通孔82eが形成されている。ねじ挿通孔82eは、非負荷側カバー部23の円盤面23cに形成された、図示しない雌ねじ孔に対向する位置に設けられて取付部が構成される。
【0158】
レゾルバカバー80を非負荷側カバー部23に組付ける際には、レゾルバカバー80の本体部88の開放側端面を非負荷側カバー部23の円盤面23cに接触させ、平面部81のねじ挿通孔82eを非負荷側カバー部23の雌ねじ孔に一致させる。この状態で、レゾルバカバー80の固定フランジ84側から、
図43に示す取付ねじ53を挿通し、非負荷側カバー部23の雌ねじ孔に螺合させて締め付けることにより、レゾルバカバー80を非負荷側カバー部23に固定できる。
【0159】
そして、レゾルバカバー80の固定フランジ84に制御ユニット60が固定される。
制御ユニット60は、
図45に示すように、方形板状のヒートシンク61と、ヒートシンク61に載置された駆動制御部62と、を備える。ヒートシンク61の駆動制御部62とは反対側の取付面には、四隅に4つの雌ねじ孔63が形成されている。
【0160】
制御ユニット60を組付ける際には、これら雌ねじ孔63を、レゾルバカバー80の固定フランジ84のねじ挿通孔84aに対向させる。その状態で、レゾルバカバー80側からねじ挿通孔84aを通じて取付ねじ64をヒートシンク61の雌ねじ孔63に螺合させて締め付ける。これにより、
図42に示すように、制御ユニット60がレゾルバカバー80に固定される。
【0161】
次に、上記第二実施形態の第二変形例において、主要な作用効果について説明する。
第二変形例では、非負荷側カバー部23は、内側に非負荷側軸受32を保持する軸受保持部23aが形成され、外側にレゾルバ40のレゾルバステータ41を保持するレゾルバ保持部23bが形成されている。
このため、非負荷側カバー部23で、非負荷側軸受32とレゾルバ40のレゾルバステータ41の両者を保持することができ、非負荷側軸受32及びレゾルバステータ41用に個別に保持部材を設ける必要がなく、構成を簡易化できる。同時に、非負荷側軸受32及びレゾルバロータ42の組み付け作業も簡素化できる。
【0162】
さらに、第二実施形態の第二変形例では、非負荷側カバー部23にレゾルバ40を覆うようにレゾルバカバー80を固定している。このとき、レゾルバカバー80の本体部88を側壁部82と平面部81とで有底円筒状に形成している。そして、側壁部82に内側に凹む凹部82cを形成し、この凹部82cとその開放端部側を閉塞する平面部81とで取付部を形成している。
これにより、第二変形例によれば、非負荷側カバー部23のレゾルバカバー取付領域を非負荷側カバー部23の外周よりも小さい範囲とすることができるとともに、凹部82cによって工具挿入領域を確保できる。
【0163】
さらに、第二変形例では、レゾルバカバー80に制御ユニット60を装着している。このため、レゾルバカバー80は大きな剛性を必要としないので、薄肉化して軽量化を図ることができる。
しかも、レゾルバカバー80に筒状フレーム21よりも半径方向に突出する固定フランジ84を設け、この固定フランジ84に制御ユニット60のヒートシンク61を直接固定している。このため、ヒートシンク61に固定のためのフランジ部を形成する必要がなく、ヒートシンク61をレゾルバカバー80に筒状フレーム21側から容易にねじ止めできる。
【0164】
ちなみに、筒状フレーム21の外周面に制御ユニット60を形成するフランジ部を形成する場合には、筒状フレーム21を例えばダイキャスト成型する際に、フランジ部を薄く形成することが困難であり、必要以上に厚みが厚くなってしまい、その分、筒状フレーム21の重量が嵩むことになる。
【0165】
これに対し、第二変形例では、レゾルバカバー80に制御ユニット60を固定する固定フランジ84を形成するので、固定フランジ84を薄くすることができ、軽量化を図ることができる。しかも、レゾルバカバー80が制御ユニット60を装着する機能を備えているので、別途に制御ユニット60を装着するための部材を必要とせず、部品点数を減少させることができる。
【0166】
したがって、第二変形例によれば、軸方向長さを短くするとともに、部品点数を削減することが可能となり、軽量化を図り、且つ組み付け性を向上させた電動モータ15を提供できる。
【0167】
さらに、レゾルバカバー80をアルミニウム、アルミニウム合金等の導電性非鉄金属で構成することにより、電磁シールド効果を発揮することができ、モータ端子28A〜28Cを流れる高周波電流によるノイズがレゾルバ40に影響することを防止できる。
【0168】
[第二実施形態の第三変形例]
次に、第二実施形態の第三変形例について
図46〜
図48を適宜参照しつつ説明する。
図46に示すように、第三変形例に係る電動モータ15は、モータ本体20と、このモータ本体20の負荷側とは反対側に装着されたレゾルバ40と、制御ユニット60と、が回転軸35の軸方向にこの順に積層配置されている。
【0169】
モータ本体20は、
図47に示すように、筒状フレーム21と、筒状フレーム21の負荷側を閉塞する負荷側カバー部22と、筒状フレームの非負荷側を閉塞する非負荷側カバー部23と、を有するモータハウジング24を備える。第三変形例では、筒状フレーム21と非負荷側カバー部23とが一体とされて有底筒状に形成されている。
【0170】
負荷側カバー部22は、軸中心に貫通孔22aが形成され、この貫通孔22aの筒状フレーム21に対向する面に形成された軸受保持部22bに負荷側軸受31の外輪が固定されている。
また、
図46に示すように、負荷側カバー部22の外周縁には、上記ウォームハウジング14bに取り付けるための例えば3つの取付フランジ22cが突出形成されている。さらに、負荷側カバー部22の外周縁には、筒状フレーム21のカバー取付フランジ21aに固定するための3つの固定フランジ22dが形成されている。
【0171】
図47に示すように、非負荷側カバー部23は、ステータ25側となる内側に形成された軸受保持部23aと、ステータ25とは反対側の外側に形成されたレゾルバ保持部23bと、を備える。軸受保持部23aには、非負荷側軸受32の外輪が固定される。レゾルバ保持部23bには、レゾルバ40のレゾルバステータ41が固定される。レゾルバステータ41の内周面に対向する回転軸35にレゾルバロータ42が固定される。
【0172】
非負荷側カバー部23には、レゾルバ保持部23bに保持されたレゾルバステータ41の外周側を囲むように、開環状筒部23cと同軸的に開環状案内筒部23eが形成されている。開環状案内筒部23eは、後述する制御ユニット60に形成されたレゾルバカバー部80を位置決めするものであり、第二実施形態同様に、端子ホルダ29を装着する切欠部30に対応する位置とグロメット44を装着する位置との2個所に第一開口部23e1及び第二開口部23e2が形成されている。
【0173】
図46に示すように、非負荷側カバー部23の外周面には、制御ユニット60を固定するための3つの固定フランジ48が突出形成されている。これら固定フランジ48は、半径方向に筒状フレーム21の外周面より外方まで突出されている。
そして、固定フランジ48の先端側には、第二実施形態同様に、ねじを挿通するためのねじ挿通孔48aが貫通して形成されている。そして、非負荷側カバー部23の固定フランジ48に、レゾルバ40を覆うように制御ユニット60が固定される。
【0174】
制御ユニット60は、
図48に示すように、方形板状のヒートシンク61と、ヒートシンク61に載置された駆動制御部62と、を備える。ヒートシンク61の駆動制御部62とは反対側の取付面61aには、四隅の一個所を除く3個所に、内周面に雌ねじを形成した取付ボス部63が形成されている。また、ヒートシンク61の取付面61aには、取付ボス部63の内周側の位置に、レゾルバカバー部80が一体に形成されている。
【0175】
レゾルバカバー部80は、側壁部として、非負荷側カバー部23に形成された開環状案内筒部23eの外周面に係合する環状筒部82を備える。第2実施形態の第三変形例では、ヒートシンク61の取付面61aが、レゾルバカバー部80の平面部を兼ねている。
環状筒部82は、非負荷側カバー部23の開環状案内筒部23eの外周面に沿う開環状円筒部82aと、この開環状円筒部82aの開環状案内筒部23eの開口部23e1に対応する開口位置を閉塞する平板状の遮蔽板部82bと、で構成される。開環状円筒部82aには、遮蔽板部82bに中心軸を挟んで対向する位置に、レゾルバ40のグロメット44を挿入するレゾルバ用凹部となる開口部82cが形成されている。
【0176】
また、同図に示すように、駆動制御部62の一側面には、端子台66が設けられている。端子台66には、モータ本体20の筒状フレーム21に設けられた端子ホルダ29のモータ端子28A〜28Cが接続される。さらに、駆動制御部62には、端子台66とは90度異なる側面に、ヒートシンク61の取付面61aから軸直角方向に且つ非負荷側カバー部23側に突出するコネクタ接続部68が形成されている。
【0177】
次に、第二実施形態の第三変形例の電動モータ15の組み付け工程について説明する。
第二実施形態の第三変形例では、非負荷側カバー部23のレゾルバ保持部23bにレゾルバステータ41を保持し、回転軸35にレゾルバロータ42を装着するまでの組み付け工程は、前述した第二実施形態と同様であるので、この点の説明を省略する。
【0178】
第三変形例では、非負荷側カバー部23のレゾルバ保持部23bの開環状筒部23cの上面にレゾルバ40のレゾルバステータ41を載置し、このレゾルバステータ41の外周縁に、取付リング23dを重ねてからこの取付リング23dを開環状筒部23cにねじ止めする。次いで、回転軸35の非負荷側端にレゾルバステータ41の内周側に対向するようにレゾルバロータ42を装着する。
【0179】
このとき、レゾルバロータ42の信号処理部に接続された信号線45を挿通するグロメット44が、開環状案内筒部23eの開口部23e2に嵌合される。したがって、信号線45が接続されたハーネス46及びコネクタ47がレゾルバ保持部23bを囲む開環状案内筒部23eの外側に導出される。この状態では、レゾルバ40が非負荷側カバー部23の上面側で露出されている。
【0180】
次いで、非負荷側カバー部23に制御ユニット60を装着する。この制御ユニット60の非負荷側カバー部23への装着は、制御ユニット60のヒートシンク61の取付面61aに一体に形成されたレゾルバカバー部80でレゾルバ40を覆うように装着する。
【0181】
すなわち、レゾルバカバー部80の環状筒部82に形成した開口部82cを非負荷側カバー部23の開環状案内筒部23eの開口部23e2に装着したグロメット44に上方から対向させるとともに、レゾルバカバー部80の環状筒部82の開環状円筒部82aの内周面を非負荷側カバー部23の開環状案内筒部23eの外周面に上方から対向させる。
【0182】
この状態で、制御ユニット60を非負荷側カバー部23側に下降させることにより、レゾルバカバー部80の環状筒部82は、開環状円筒部82aの内周面が非負荷側カバー部23の開環状案内筒部23eの外周面に係合しつつ、環状筒部28の下端面が非負荷側カバー部23の上面に突き当たる。
【0183】
この状態で、ヒートシンク61の取付面61aに形成した3つの取付ボス部63の下面も、非負荷側カバー部23に形成した固定フランジ48の上面にそれぞれ突き当たり、
図46に示した固定フランジ48のねじ挿通孔48aと取付ボス部63の雌ねじ部とが連通する。
【0184】
この状態で、固定フランジ48の下面側から取付ねじをねじ挿通孔48aに挿通して取付ボス部63の雌ねじ部に螺合させて締め付ける。これにより、非負荷側カバー部23に制御ユニット60を装着できる。そして、この制御ユニット60の非負荷側カバー部23への装着時に、ヒートシンク61に一体に形成したレゾルバカバー部80でレゾルバ40の側面と上面とを覆うことができる。
【0185】
このとき、ヒートシンク61に一体に形成されたレゾルバカバー部80によれば、側壁部を構成する環状筒部82は、グロメット44に嵌合する開口部82c以外が側壁面となっているとともに、開環状円筒部82aの開口部を閉塞する遮蔽板部82bが形成されているので、非負荷側カバー部23に形成された開環状案内筒部23eとレゾルバカバー部80との係合位置が、開環状案内筒部23eの開口部23e2とレゾルバカバー部80の開口部28cとが一致する位置以外では、遮蔽板部82bの下面が開環状案内筒部23eの上面に接触する。
【0186】
そのため、開環状案内筒部23eの外周面と開環状円筒部82aの内周面とを係合させることができない。したがって、レゾルバカバー部80の開口部82cとレゾルバ40のグロメット44との周方向での位置を一致させることで、開環状案内筒部23eの外周面に、レゾルバカバー部80の開環状円筒部82aの内周面を確実に係合させることができる。よって、制御ユニット60の誤装着を防止できる。
第二実施形態の第三変形例によれば、非負荷側カバー部23に制御ユニット60を上述した手順で装着することにより、筒状フレーム21の端子ホルダ29に保持されたモータ端子28A、28B及び28Cが、制御ユニット60の端子台66内に挿入される。
【0187】
この状態で、各モータ端子28A〜28Cを端子台66のねじ穴67に端子ねじによってねじ止めするとともに、レゾルバ40のハーネス46に取り付けたコネクタ47を制御ユニット60のレゾルバコネクタ受け部68cに接続する。これによって、電動モータ15の組み付けが完了する。
【0188】
次に、上記第二実施形態の第三変形例における主要な作用効果について説明する。
第二実施形態の第三変形例では、負荷側を開放した有底筒状の筒状フレーム21の負荷側に、負荷側軸受31を介して回転軸35を保持した負荷側カバー部22を装着して、回転軸35の非負荷側を非負荷側カバー部23に保持した非負荷側軸受32に圧入する。
【0189】
この状態で、負荷側カバー部22の負荷側軸受31と非負荷側カバー部23の非負荷側軸受32とで回転軸35を回転可能に支持できる。このため、負荷側カバー部22の内側及び筒状フレーム21の非負荷側カバー部23の内側に負荷側軸受31及び非負荷側軸受32を保持する軸受保持部22b及び23aを設けることにより、軸受間距離を最小とすることができ、回転軸35に係る曲げモーメントに対する剛性を向上させることができる。
【0190】
また、第二実施形態の第三変形例では、非負荷側カバー部23は、内側に非負荷側軸受32を保持する軸受保持部23aが形成され、外側にレゾルバ40のレゾルバステータ41を保持するレゾルバ保持部23bが形成されている。このため、非負荷側カバー部23で、非負荷側軸受32とレゾルバステータ41との両者を保持できる。
さらに、非負荷側軸受32及びレゾルバステータ41用に個別に保持部材を設ける必要がなく、構成を簡素化できる。同時に、非負荷側軸受32及びレゾルバロータ42の組み付け作業も簡素化することができる。
【0191】
さらに、第三変形例では、制御ユニット60にレゾルバ40を覆うようにレゾルバカバー部80を一体に形成している。したがって、制御ユニット60を非負荷側カバー部23に装着する際に、レゾルバカバー部80によってレゾルバ40の側面及び上面を覆うことができ、別途にレゾルバカバーを設ける必要がなく、部品点数を減少させることができるとともに、取付工数を削減できる。
【0192】
したがって、第二実施形態の第三変形例によれば、電動モータ15の軸方向長さを短くするとともに部品点数を削減することが可能となり、さらに、電動モータ15の軽量化を図り且つ組み付け性を向上させることができる。
さらに、第三変形例においても、レゾルバ40の信号線45を外部に引き出すグロメット44を、レゾルバ保持部23bのモータ端子28A〜28Cに対して中心軸を挟んで径方向で対向する位置に形成した開口部23e2に固定している。また、レゾルバコネクタ47を接続するレゾルバコネクタ受け部47cもモータ端子28A〜28Cから離れた位置に配置している。
【0193】
このため、第三変形例によれば、レゾルバ40の信号線45へのモータ端子28A〜28Cを流れる高周波電流によるノイズの影響を抑制できる。したがって、レゾルバ40から出力されるレゾルバ信号にノイズが重畳して回転軸35の回転角を検出する分解能が低下することを抑制して、高精度の回転角検出を行うことができる。
【0194】
さらに、レゾルバカバー部80は、制御ユニット60のアルミニウム、アルミニウム合金等の導電性非鉄金属で形成されるヒートシンク61と一体に構成することにより、電磁シールド効果を発揮することができる。そのため、モータ端子28A〜28Cを流れる高周波電流によるノイズがレゾルバ40に影響することを防止できる。
【0195】
しかも、レゾルバカバー部80は、環状筒部82が、開環状円筒部82aとその開口部を閉塞する遮蔽板部82bとで構成されているので、レゾルバ40の周囲を確実に覆うことができる。さらに、第二実施形態の第三変形例によれば、このような優れた効果を有する電動モータ15を使用して電動パワーステアリング装置10を構成するので、電動パワーステアリング装置自体の小型軽量化を図ることができる。
【0196】
[第二実施形態の第四変形例]
次に、第二実施形態の第四変形例について、
図49〜
図51を適宜参照しつつ説明する。第二実施形態の第四変形例では、非負荷側カバー部と制御ユニットとの双方でレゾルバカバー部を構成する例である。
第四変形例は、レゾルバカバー部80が、非負荷側カバー部23と制御ユニット60との双方で構成されている点を除いては、第二実施形態と同様の構成を有するので、第二実施形態と同一または対応する部分には同一の符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0197】
第二実施形態の第四変形例では、
図49及び
図50に示すように、非負荷側カバー部23に形成した側壁部82と、制御ユニット60のヒートシンク61の取付面61aとで、レゾルバ40の外周面及び上面を覆うレゾルバカバー部80が構成される。第二実施形態の第四変形例では、取付面61aが平面部を兼ねている。
【0198】
詳しくは、非負荷側カバー部23のレゾルバ保持部23bを形成した上面の外周側に、レゾルバステータ41の外周面を覆う円筒状の側壁部82が一体に形成されている。側壁部82の高さは、レゾルバ保持部23bに保持されたレゾルバステータ41の上面よりも高く、レゾルバ40の外周側を確実に覆う高さに設定されている。
【0199】
側壁部82の外周面には、円周方向に所定距離離れた位置に、3つの取付フランジ72が突出形成されている。これら取付フランジ72は、
図49に示すように、側壁部82の外周面から半径方向に突出する半径方向延長部72aと、この半径方向延長部72aの先端側から円筒フレーム21の外周面に沿って軸方向に負荷側に延長する軸方向延長部72bと、からL字状に形成されている。
【0200】
取付フランジ72は、半径方向延長部72aが側壁部82及び非負荷側カバー部23の外周縁に一体に連結されているとともに、軸方向延長部72bが円筒フレーム21の外周面に一体に連結されている。ここで、半径方向延長部72aの上端面は、側壁部82の上端面と面一に設定されている。
【0201】
したがって、第二実施形態の第四変形例では、取付フランジ72は、側壁部82の補強部材としても機能する。取付フランジ72の軸方向延長部72bには、ねじ回しなどの工具を挿通する挿通孔73が形成され、この挿通孔73の底部に、取付ねじの雄ねじ部を挿通する挿通孔74が、径方向延長部72aの上面側に貫通して形成されている。
【0202】
側壁部82には、端子ホルダ29に対応する位置に開口部82aが形成され、この開口部82aとは中心軸を挟んで反対側に、レゾルバステータ41の信号線45を挿通するグロメット44を嵌合する開口部82rが形成されている。
【0203】
一方、制御ユニット60のヒートシンク61の取付面61aには、
図51に示すように、非負荷側カバー部23の取付フランジ72のねじ挿通孔74に対向する4隅位置に、3つの雌ねじ孔63が形成されている。
また、ヒートシンク61の取付面61aには、端子台66側の側縁に沿って端子台66の水平方向の長さと略等しい長さの遮蔽壁86が突出形成されている。遮蔽壁86は、高さが非負荷側カバー部23の側壁部82と同じ高さに設定されている。
【0204】
さらに、ヒートシンク61の取付面61aには、遮蔽壁86と径方向で対向する側縁側に挟持片87が突出して形成されている。挟持片87は下面から見て円弧状に形成され、挟持片87の高さは、制御ユニット60を非負荷側カバー部23に装着したときに、グロメット44に当接してグロメット44が押圧される程度の高さに設定されている。
【0205】
次に、第二実施形態の第四変形例の電動モータ15の組み付け工程を説明する。
第四変形例では、非負荷側カバー部23のレゾルバ保持部23bにレゾルバステータ41を保持し、回転軸35にレゾルバロータ42を装着するまでの組み付け工程は、前述した第二実施形態と同様であるので、この点の説明を省略する。
【0206】
第四変形例では、非負荷側カバー部23のレゾルバ保持部23bにレゾルバステータ41を保持し、回転軸35にレゾルバロータ42を装着し、グロメット44を側壁部82の開口部71bに装着してレゾルバ40を組み付る。
レゾルバ40の組み付けが完了した時点で、レゾルバ40の外周面は、端子ホルダ29に対応する開口部71aを除いて側壁部82で覆われる。第二実施形態の第四変形例では、この状態で、非負荷側カバー部23に制御ユニット60を装着する。
【0207】
つまり、非負荷側カバー部23を上部側としてモータ本体20を保持した状態で、制御ユニット60のヒートシンク61の取付面61aを下面側として取付面61aを側壁部82に接触させる。このとき、遮蔽壁81の両端を側壁部82の開口部71aの両端に係合させた状態で制御ユニット60を下降させ、ヒートシンク61の取付面61aを側壁部82の端面に接触させる。
【0208】
この状態で、取付フランジ72の軸方向延長部72bの下方から、ねじ回し等の工具に取付ねじを保持して工具挿通孔73に取付ねじを挿通し、その取付ねじをヒートシンク61の雌ねじ孔63に螺合させて締め付ける。これにより、側壁部82の開口部82aが遮蔽壁86で閉塞されるとともに、グロメット44の上端に挟持片87が当接することにより、レゾルバ40の周囲が隙間なく囲われる。
【0209】
第二実施形態の第四変形例によると、前述した第二実施形態と同様に、非負荷側カバー部23に制御ユニット60を装着するだけで、側壁部82とヒートシンク61の取付面61aとでレゾルバカバー部80が構成されるので、レゾルバ40の周囲を覆うことができる。
【0210】
したがって、別途に専用のレゾルバカバーを設ける必要がなく、部品点数を減少させることができるとともに、組み付け工数を低減することができる。しかも、第四変形例では、制御ユニット60のヒートシンク61には、周壁を形成する必要がないので、ヒートシンク61の成型を容易に行うことができる。
【0211】
また、第二実施形態の第四変形例によれば、ヒートシンク61の取付面61aに、非負荷側カバー部23に形成した側壁部82の開口部82aを閉塞するように、遮蔽壁86を突出形成したので、この遮蔽壁86と側壁部82とによって周方向に連続した周壁を形成することができ、塵埃や水の侵入を防ぐことができる。
【0212】
同様に、第四変形例によれば、ヒートシンク61の取付面61aに、グロメット44の上端に当接する挟持片87を突出形成したので、グロメット44に挟持片87を押し付けてグロメット44の周囲の空間を確実に閉塞することができ、この位置での塵埃や水の侵入を防ぐことができる。
【0213】
なお、上記第二実施形態およびその各変形例では、筒状フレーム21の非負荷側を覆う非負荷側カバー部23を、筒状フレーム21と一体に形成する例について説明したが、これに限定されるものではない。また、上記第一および第二実施形態に示した例に限定されるものではない。
【0214】
例えば、軸受保持部及びレゾルバ保持部を備えた非負荷側カバー部23を筒状フレーム21とは別体に形成して、筒状フレーム21を、両端を開放した円筒形状に形成することもできる。そして、この円筒形状の筒状フレーム21の一端を、別個の部品からなる負荷側カバー部22で閉塞し、この円筒形状の筒状フレーム21の他端を、別個の部品からなる非負荷側カバー部23で閉塞するようにしてもよい。
【0215】
また、レゾルバカバー80に材質についても限定されず、上記実施形態で例示したように、レゾルバカバー80を導電性の非鉄金属で構成できるし、また、レゾルバカバー80を合成樹脂材で構成してもよい。
なお、レゾルバカバー80を合成樹脂材で構成する場合には、内周側の面に、電磁シールド効果を有するアルミ箔などのシールド用箔を貼着したり、導電性金属によるシールド層をコーティングしたりすることによりシールド効果を持たせることが好ましい。
【0216】
また、上記第一及び第二実施形態およびその変形例では、レゾルバ40の信号線45をハーネス46及びコネクタ47で制御ユニット60に接続する例について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、グロメット44の外側に、レゾルバカバー部80の外周面に沿って制御ユニット60側に延長する接続端子を形成してもよい。そして、制御ユニット60の端子台66とは反対側に、この接続端子を直接接続するレゾルバ用端子台を設けてもよい。
【0217】
また、例えば上記第一実施形態、第二実施形態およびこれらの各変形例では、コラム式の電動パワーステアリング装置10に本発明に係る電動モータ15を搭載した例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばピニオン式の電動パワーステアリング装置であっても本発明を適用できる。
【0218】
以上、本発明について限られた数の実施形態ないし変形例を参照しながら説明したが、本発明の権利範囲は、これらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ、上記の開示に基づく実施形態の種々の変更が可能であることは、当業者にとって自明のことである。