【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年11月28日に大阪南港ATCホールAホールで開催された「障害者自立支援機器『シーズ・ニーズマッチング交流会2015』〜作る人と使う人の交流会〜」で頒布されたパンフレットにて公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記懸架部材は前記要介護者を吊り上げるための吊り上げ部材を構成するベルト体を有し、前記ベルト体は、複数の前記取付部に亘って取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の介護装置。
前記ベルト体は、前記取付部に取り付けられる側の取付けベルト体と、吊り上げ部材と一体とされている側の吊り上げベルト体とに分割されており、前記取付けベルト体と前記吊り上げベルト体とは、着脱自在に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の介護装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、上記特許文献1〜3には要介護者を介護ベッドから車椅子へ移動させる手段が開示されているが、これらの手段では、要介護者の落下等の不安も解消されず、さらに介護者の介護ロボット等の操作の労力も必要とされ、また、維持費用も高価となるという課題を有している。また、介護ロボットの操作が複雑であると介護者が使用し難くなり、誤操作をすると要介護者が負傷するおそれもある。
【0010】
発明者は上記のような従来技術の課題を解決するために種々検討を重ねた結果、要介護者を簡易にしてしかも介護ヘルパーなどの介護者の負担、とりわけ移乗の際の負担を軽減できる車椅子、ストレッチャー、簡易浴槽等、ベッドサイドに配置された他の医療・介護機器に移動可能な機構を有する介護装置を提供することを目的としている。
【0011】
さらに、本発明の目的は、介護ベッドの構造を簡単にして介護者が要介護者の介護を行う際の負担を低減することができ、また、要介護者が寝たきりとなった場合でも、在宅で車椅子、ストレッチャー、簡易浴槽等、ベッドサイドに配置された他の医療・介護機器への移動が容易で、しかも介護ベッドのみならず簡易浴槽にも応用して同様の効果を得ることができるとともに他の介護を行うこともでき、構造が簡単で製作に費用がかからずメンテナンスも容易であり、さらに、要介護者の要介護度に合わせ必要な構成が柔軟に追加でき、現在の使用している状態から進化させることができる介護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の介護装置は、ベッド本体と、前記ベッド本体が支持される支持台と、を有し、
前記ベッド本体は要介護者が寝られる所定面積及び厚さを有する矩形状の床部を有し、
前記支持台には、前記ベッド本体から突出する支柱と、前記支柱及び前記ベッド本体を昇降させる昇降手段とが設けられ、
前記支柱には懸架部材が取り付けられる取付部が設けられており、
前記懸架部材は、前記ベッド本体から離間する位置と元の位置との間をスライド可能とされており、
前記昇降手段により懸架部材を昇降させること、及び、懸架部材をベッド本体から離間する位置と元の位置との間でスライドさせることにより、前記要介護者を移動可能であり、
ベッド本体を下降させた位置で懸架部材をスライドさ
せ、
前記懸架部材は、前記要介護者を吊り上げるための少なくとも1つの吊り上げ部材に着脱自在に装着された一対の梁部材を有し、
前記梁部材は、複数の前記取付部の前記スライド方向に亘って取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
また、第2の態様の介護装置は、第1の態様の介護装置において、前記昇降手段は、前記支柱を前記ベッド本体の昇降と相反した方向に昇降させるようになされており、
前記昇降手段により前記ベッド本体が上昇されたとき、前記懸架部材が下降して前記ベッド本体と前記
懸架部材との距離が縮まり、前記ベッド本体が下降されたとき、前記
懸架部材が上昇して前記ベッド本体と前記懸架部材との距離が離れることを特徴とする。
【0014】
また、第3の態様の介護装置は、第1
又は第2の態様の介護装置において、
前記懸架部材は前記要介護者を吊り上げるための吊り上げ部材を構成するベルト体を有し、前記ベルト体は、複数の前記取付部に亘って取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
また、第4の態様の介護装置は、
第3の態様の介護装置において、前記ベルト体は、前記取付部に取り付けられる側の取付けベルト体と、吊り上げ部材と一体とされている側の吊り上げベルト体とに分割されており、前記取付けベルト体と前記吊り上げベルト体とは、着脱自在に接続されていることを特徴とする。
【0016】
また、第5の態様の介護装置は、
第4の態様の介護装置において、
前記吊り上げベルト体の前記取付けベルト体と連結される端部側はリング状に形成され、
前記取付けベルト体は、前記支柱
、及び、前記支柱同士に架け渡された梁部材の少なくともいずれか一方の前記取付部を巻き回すると共に、前記吊り上げベルト体の前記リング状の端部側を挿通されて環状となるように前記取付けベルト体の端部同士が着脱自在に結合されていることを特徴とする。
【0019】
また、第
6の態様の介護装置は、第1〜第
5のいずれか態様の介護装置において、複数
の前記昇降手段は、動作が連動されていることを特徴とする。
【0020】
また、第
7の態様の介護装置は、第1〜第
6のいずれか態様の介護装置において、前記
ベッド本体、前記支持台及び前記支柱は、木製、革製、金属製、合成樹脂性のいずれか又
はこれらの組み合わせであることを特徴とする。
【0021】
また、第
8の態様の介護装置は、第1〜第
7のいずれか態様の介護装置において、前記
支柱の上方には、複数の前記支柱を繋ぐ連決部材が設けられていることを特徴とする。
【0022】
また、第
9の態様の介護装置は、第1〜第
8のいずれか態様の介護装置において、前
記昇降手段の動作を制御する制御装置を有し、
前記制御装置には、少なくとも1つのセンサーが設けられていることを特徴とする。
【0023】
また、第
10の態様の介護装置は、第2の態様の介護装置において、前記支柱の昇降と
前記ベッド本体の昇降とを逆方向へ昇降させる伝達手段を、支持台内部又は支持台外部に
設けたことを特徴とする。
【0024】
また、第
11の態様の介護装置は、第1〜第
10のいずれかの態様の介護装置において
、前記床部に貯水槽を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
第1の態様の介護装置には、ベッド本体と、このベッド本体の床部の上面に対して支柱及びこの支柱同士に架け渡された梁部材が設けられており、この支柱及び梁部材に懸架部材が取り付けられる取付部が設けられている。そのため、第1の態様の介護ベッドによれば、この懸架部材に、例えば、吊り上げ部材を吊り上げる棒状体やベルト体等を取り付けることで、様々な使用方法が可能な介護ベッドを提供することができる。また、ベッド本体が昇降可能となされているので、要介護者が就寝する場合はベッド本体を降ろした状態とすることで、要介護者が介護ベッドからの落下し難くすることができると共に、スライド可能な懸架部材によって要介護者の車椅子、ストレッチャー、簡易浴槽等、ベッドサイドに配置された他の医療・介護機器
等との間の移乗を容易にすることができる。なお、懸架部材のスライド操作は、手動で行う構成としても電動で行う構成としてもよい。
【0026】
また、要介護者の介護を行う場合は、ベッド本体を高くした状態とすることで介護者が
起立した状態で要介護者の介護を行い易くなる。なお、支柱は、支持台の側面に設けるよ
うにすることもでき、また、支持台の上側に設けることもできる。支柱が支持台の上側に設けられている場合は、床部に支柱が貫通できるような貫通口を形成するようにしてもよい。また、マットと簀子を無くし、床部に浴槽とすることにより、車椅子やストレッチャー等との間の移乗機能を備えた簡易浴槽として使用することも可能である。
さらに、複数の支持台の間に懸架部材としての棒状体が渡してあり、この棒状体に吊り上げ部材が懸架されている。これにより、要介護者を吊り上げ部材に寝かせた状態でベッド本体を下降させることによって吊り上げることができるため、床部上に敷いた布団やマット等の交換及び床部上の清掃等を容易に行うことができる。
【0027】
また、第2の態様の介護装置によれば、
支持台に設けられた支柱又は支柱の天井部及び梁部材の少なくともいずれか一方に懸架部材としてのベルト体を有する吊り上げ部材が取り付けられているので、要介護者を吊り上げ部材に寝かせた状態でベッド本体を下降させることによって吊り上げることができる。このようにすることで、床部上に敷いた布団やマット等の交換及び床部上の清掃等を容易に行うことができる。更に、ベッド本体と吊り上げ部材とが、逆方向に上下することにより、吊り上げ落差を小さくすることができ、要介護者の恐怖心を和らげることが出きる。
【0028】
また、第3の態様の介護装置によれば、ベルト体により懸架部材としてのハンモック等を適切に吊り上げることができる。
また、
第4の態様の介護装置によれば、吊り上げ部材のベルト体が長くなると、要介護者に当たったり、絡まったりするような危険があるが、ベルト体が分割されているために、このような危険が抑制され安全性を高めることができる。
【0029】
また、
第5の態様の介護装置によれば、取付けベルト体を環状にして介護ベッドの支柱もしくは梁部材に取り付けるので、支柱及び梁部材には、この環状にした取付けベルト体のずれ等を抑制する部分を設けるだけで、特別な構造を設ける必要がなく、また、取付けベルト体の着脱も容易となる。
【0032】
また、
第6の態様の介護装置によれば、
複数の支持台の間に懸架部材としての棒状体が渡してあり、この棒状体に吊り上げ部材が懸架されている。これにより、要介護者を吊り上げ部材に寝かせた状態でベッド本体を下降させることによって吊り上げることができるため、床部上に敷いた布団やマット等の交換及び床部上の清掃等を容易に行うことができる。
【0033】
また、第
6の態様の介護装置によれば、複数の昇降手段の昇降が連動されているので、ベッド本体の昇降を床面と平行に行うことができ、要介護者が傾き無理な姿勢となることを抑制することができるようになる。
【0034】
また、第
7の態様の介護装置によれば、介護ベッドの外観を木製、革製、金属製、合成樹脂性のいずれか、又はこれらを組み合わせて形成することができるので、見た目に温もりがあり、高級感を与えることができるので、屋内のインテリアとして違和感なく設置することができ、要介護者及び介護者にゆとりを与えることができる。なお、木材としては、檜や杉等を用いることができ、耐水性を向上させるために樹脂を含浸又は塗布したものも用いることができる。また、革材などによる表面処理を行うこともできる。更に、合成樹脂材に木目などの加工をすることもできる。
【0035】
また、第
8の態様の介護装置によれば、長尺の支柱及び棒状体により形成された空間に従来の介護ベッドでは設置することが困難な、テレビや鏡、各種棚等の生活用品を設置できるようになると共に、介護者の介護の必需品を置いておくこともできるので、要介護者に快適であり、また、介護者も介護しやすい介護ベッドを提供することができる。さらに、生活用品の他、リハビリ用の器具等も設けるようにすることもでき、介護ベッドでリハビリを行うことができるようになる。
【0036】
また、第
9の態様の介護装置によれば、介護ベッドに設けられたセンサーに想定と異なる信号が入力されたとき、安全装置に備えられた制御部により介護ベッドの昇降手段の動作を停止させることができるので、安全性を高めることができる。なお、安全装置の制御部は昇降手段以外の動作を制御することもでき、例えば、ベッド本体から落下しそうになったときに各動作を停止し、ブザー等の警報を鳴らすようにすることもできる。
【0037】
さらに、第
10の態様の介護装置によれば、支柱の昇降とベッド本体の昇降とを逆方向
へ昇降させる伝達手段を、支持台内部又は支持台外部に設けることができるので、設計の
自由度が増す。
【0038】
第
11の態様の介護装置によれば、床部に貯水槽を設けてあるので、昇降装置付きの簡易浴槽として使用可能となるだけでなく、貯水槽の上部の床部を着脱可能にすることにより簡易浴槽を設けた介護ベッドとしても使用可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための介護ベッドを例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、本発明は特許登録請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0041】
[実施形態1]
図1〜
図3を参照して、実施形態1の介護ベッド10を説明する。
図1及び
図2に示すように、実施形態1の介護ベッド10は、要介護者が就寝するためのベッド本体22と、ベッド本体22が支持される一対の支持台11、12がベッド本体22の長手方向の両端部に配置されており、さらに、格子状の枠体33、マット36をも備えている。
【0042】
この一対の支持台11、12には、
図3に示すように、ベッド本体22を昇降させる昇降手段16がそれぞれ設けられている。この昇降手段16は、公知の電動アクチュエータを備えている。なお、昇降手段16は、ベッド本体22を昇降させることができるもの、例えば、ジャッキやウィンチ機構等を用いることもできる。このジャッキやウィンチ機構は、電動のものでも手動のものでもよく、電動のものであれば介護者は楽に昇降させることができ、手動のものであれば安価に製造することができる。さらに、電動と手動とを組み合わせたものでもよく、停電等の際、電動で行えないときは手動で行えるようにすることもできる。なお、このアクチュエータやジャッキ、ウィンチ機構は公知であるので、その詳細な説明は省略する。以下、各構成について説明する。
【0043】
まず、一対の支持台11、12について説明する。なお、一対の支持台11、12は、ベッド本体の長手方向の両端に配置されているが、構成は共通するので、一方の支持台11(以下、単に「支持台」という。)を代表して説明する。
【0044】
支持台11は、
図2及び
図3に示すように、ベッド本体22の長手方向と直角の幅方向と略同じ長さを有し、その内部にベッド本体22を昇降させる昇降手段16が収められる空間を有する直方体で形成されている。この直方体の矩形状の上面11aには、後述する支柱13a、13bが貫通されて上下動可能な一対の上面貫通口11a
1が形成されている。
【0045】
また、矩形状の上面11aの周囲には各側面部が形成されており、この各側面部の上面11aと対向する下方側には、底面11fが設けられている。この底面11fは、部屋内の床面上に設置される部分である。そのため、底面には床面と接する部分にいくつかの脚部(キャスター)11fを設けるようにしてもよい。脚部11fを設けることで、床面に傷がつくのを抑制することができる。
【0046】
また、支持台11に設けられた一対の支柱13a、13bは、それぞれ円柱体で形成されており、その上部の一対の支柱が向かい合う方向には、ベッド本体の幅方向と平行に梁部材15が一対の支柱13a、13bを渡すように設けられている。また、一対の支柱13a、13bの上端には、棒状体37が取り付けられる取付部13a
1、13b
1が設けられている。この棒状体37は一方の支持台11の一方の支柱13aと他方の支持台12の一方の支柱14aのそれぞれの上端部に渡ってベッド本体の長手方向に沿って設けられる。なお、この棒状体37は直線状のものだけでなく湾曲しているものであってもよい。この棒状体37の構成についての詳細は後述する。また、支持台11の内側に設けられる昇降手段16についての詳細も後述する。
【0047】
なお、この支柱は、介護ベッド10の使用態様にあわせ着脱ができるようにしてもよい。さらに、支持台11、12や支柱13a、13b、14a、14b等は抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることで支持台及び支柱等を清潔に保つことができ、要介護者への感染や支持台及び支柱等からの臭いを抑制することができる。
【0048】
次に、
図2及び
図3を参照して、ベッド本体22について説明する。ベッド本体22は、人が就寝可能な大きさの所定面積及び厚さの矩形状で形成された床部23を有し、この床部23の中央部分に開口部23aが設けられている。さらに、この床部23には、上述した一対の支持台11、12に設けられた支柱13a、13b、14a、14bが貫通する床部貫通口23bが各支柱13a、13b、14a、14bに対応して設けられている。また、床部23に形成された開口部23aには、格子状の枠体33とマット36が着脱自在に設けられている。
【0049】
一方、矩形状の床部23の各端辺には、下方に垂下した側面部24、25、26、27が床部23を囲むように設けられ、一方及び他方の支持台11、12を覆うように設けられている。この側面部24〜27の下方の長さは、ベッド本体22が下方にあるときは各支持台の全部ないし略半分程度が覆われ、また、上方にあるときは各支持台の上部が覆われる程度の長さとなる。この側面部24〜27は、特に、介護ベッド10の外観を良好にする効果があり、各支持台11、12や貯水槽28が覆われるようになっており、要介護者や介護者の邪魔とならないような各種装飾が施されるようにしてもよく、また、美観を有する形状としてもよい。なお、ベッド本体22は抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることでベッド本体を清潔に保つことができ、要介護者への感染やベッド本体からの臭いを抑制することができる。
【0050】
なお、ベッド本体22と支持台11、12とは別体として構成されているため、修理や交換を行うときは、ベッド本体22又は支持台11、12の各構成部分ごとに行うことができ、介護ベッド全体を修理、及び交換する必要が無く、製造及び修繕費用が抑えられる。また、一対の支持台11、12は同一の構成を有するものを使用しているので、製造の費用を抑えることができる。
【0051】
また、
図2に示すように、床部23に貯水槽28を設けることにより、昇降手段付の簡易浴槽としても使用することも可能である。さらに、マット36を載置する枠体33を貯水槽28又は床部23より着脱可能にすることにより、簡易浴槽を設けた介護ベッドとしても使用可能となる。
【0052】
次に、実施形態1の介護ベッドの使用態様について説明する。
図4に示す実施形態1の介護ベッド10は、要介護者が就寝する際の状態を示している。すなわち、各支持台11、12上に設けられたベッド本体22では、床部23の開口部23aのすべてを枠体33及びマット36で覆った状態である。このとき、
図4A及び
図4Bに示すように、昇降手段16を操作し、ベッド本体22の高さを変えることで、介護者が要介護者を介護しやすい高さにすることができるようになる。例えば、要介護者の就寝時や車椅子、ストレッチャー、簡易浴槽等、ベッドサイドに配置された他の医療・介護機器と介護ベッドと間の移動時にはベッド本体22の高さを低くするとよい。また、要介護者が就寝しているときは、に示すようにベッド本体に転落防止用の柵を設けるようにする。なお、一対の支持台11、12の内部に設けられた昇降手段の使用態様については後述する。
【0053】
また、ベッド本体22に設けられたマット36は分割されているので、要介護者の好みに合わせて素材や感触の異なるマットを分割された単位で交換することもできる。例えば、反発係数の異なるもの、通気性の良好なもの、防水性を有するもの、及び疾病を有する部位に応じたもの等を選択することができる。また、マット36が分割されていることで、洗濯・乾燥が容易に行うことができる。このようにすることで、要介護者の寝心地だけでなく、介護者の介護のしやすさにも良好な影響を与えることができる。なお、マット36は抗菌処理がされていることが好ましく、抗菌処理をすることでマットを清潔に保つことができ、要介護者への感染やマットからの臭いを抑制することができる。
【0054】
ここで、
図3A及び
図3Bを参照して、ベッド本体22の昇降について説明する。実施形態1の介護ベッド10には、一対の支持台11、12のそれぞれに昇降手段16が設けられ、この昇降手段16によってベッド本体22を昇降させることができる。その際、実施形態1の介護ベッド10では、一対の支持台11、12のそれぞれには支柱13a、13b、14a、14bが設けられており、ベッド本体22の昇降によりベッド本体22から突出する支柱13a、13b、14a、14bの長さが変動するようになっている。このベッド本体22及び支柱13a、13b、14a、14bと昇降手段16の構成は、同様に一方の支持台11を代表して説明すると、支持台11の内側に昇降手段16としての上下動可能な一台のアクチュエータ(以下、「アクチュエータ16」ということがある)が支持台11の中央の位置に設けられている。
【0055】
同様に一方の支持台11を代表して説明すると、このアクチュエータ16の動作部18は延設部材17に固定され、延設部材17のねじなどの連結部材17
2により、ベッド本体22の床部23と結合されており、アクチュエータ16の動作部18の上下動にあわせベッド本体22が上下動するようになっている。一方、支持台11の内側には、伝達機構19が設けられており、この伝達機構19は、支持台11に固定された固定部材20とこの固定部材20の中央部分の固定部材軸20
1に回転可能に取り付けられた回動部材21と、支柱13a、13bの下部の第1支点13a
2、13b
2とで構成されている。また、支持台11には、支持台11の上面11aの上面貫通口11a
1とベッド本体22の床部23の床部貫通口23bをそれぞれ貫通して支柱13a、13bが設けられている。
【0056】
そして、回動部材21の一端部が、延設部材17の下部の第2支点17
1とそれぞれ移動可能に連結されて、他端部は支柱13a、13bの下部の第1支点13a
2、13b
2とそれぞれ回動可能に軸支されている。なお、この延設部材17、伝達機構19及び支柱13a、13bはアクチュエータ16を中心として対称に一対ずつ設けられている。このようにすることで、アクチュエータ16が上下動するとアクチュエータ16の動作部18の動きが延設部材17に伝わり、延設部材17が上下することで、ベッド本体22も上下動するとともに固定部材20に軸支された固定部材軸201と第2支点171をガイドにして回動部材21が回動し、この回動した動きを第1支点13a
2、13b
2を介して支柱13a、13bに伝えることになる。また、これにより第1支点13a
2、13b
2を中心に回動部材21が回転するため、回動部材21が回転中に支持台11より外に飛び出ることがなくなり、ベッド本体22の幅寸法の広がりを抑えることになる。
【0057】
支持台11を以下のように補強することによりベッド本体22と支柱13a、13b、14a、14bの上下動作を安定させられる。支持台11に固定された摺動固定部材17cにアクチュエータ16を中心に左右一対に上下方向に伸びた摺動レール17dを設置し、摺動レール上に延設部材17に固定されている摺動部17aを上下にそれぞれ少なくとも1つずつ配置させることにより、横方向の負荷に対して横ブレを少なくしている。なお、この摺動レールと摺動部の組合せを、固定部材20と支柱13a、13b、14a、14bにも設置すると更に安定した支柱13a、13b、14a、14bの上下動作が得られる。また、第2支点171の2点間及び第1支点13a
2及び13b
2の2点間をそれぞれ補強部材17
3及び13
3によって結合し、支柱13a、13b、14a、14bにハンモックが水平移動する際にかかる歪みを抑制している。なお、この補強部材17
3及び13
3を支柱13a、13b、14a、14bに固定してもよい。
【0058】
そのため、ベッド本体22が上昇すると支柱13a、13bは下降し、逆に、ベッド本体22が下降すると支柱13a、13bは上昇することとなる。このように伝達機構19を設けると、ベッド本体22の昇降と支柱13a、13bの昇降が互いに逆方向となるので、アクチュエータ16の少ない動作距離で、ベッド本体22と支柱13a、13bの間に大きな相対的な変位を得ることができるようになる。なお、伝達機構19は電気的に構成し、ベッド昇降用とリフト昇降用の別のアクチュエータを逆方向に作動させてもよい。
【0059】
そして、この昇降手段16は一方の支持台11と他方の支持台12の両方に備えられているので、ベッド本体22を平行に昇降させることができる。また、支柱13a、13b、14a、14bの昇降も平行に行うことができるので、支柱13a、13b、14a、14bの上端の取付部13a
1、13b
1、14a
1,14b
1に取り付けられた棒状体37も平行に昇降することができ、棒状体37に取り付けたハンモック38に乗せた要介護者も安定して安全に昇降させることができる。このとき、一方の支持台11の昇降手段16と他方の支持台12の昇降手段16の動作が連動するようにすると、ベッド本体を傾斜させずに昇降移動させることができ、要介護者への安心感を与えると共により安全性を高めることができる。
【0060】
実施形態1の介護ベッドの吊り上げ部材及び昇降手段を用いることで、マット上から要介護者を容易に吊り上げることができるようになり、マットやマット上に敷いているシーツ等の交換を容易に行うことができ、ベッドを清潔に保つことができるようになる。また、支持台11の床面にキャスター11fなどを取り付けることによりベッドの移動も容易に行える。
【0061】
なお、支柱は、一本の長尺な部材を設けてもよく、また、2本に分割できるようにしてもよい。例えば、ベッド本体から現れる部分と支持台の内部で駆動する部分とを着脱自在に分け、ベッド本体から現れる部分を必要に応じて着脱するようにしてもよい。このようにすることで、支柱を使用しない態様の場合、ベッド本体を昇降させると支柱も動くため介護者にとって邪魔となる場合がある。そこで、ベッド本体から現れる部分を取り外しておけるようにすることで、介護者は介護がしやすくなる。また、後付で支柱の取り付けができるようにすることで容易に他の機能の追加をすることができるようになる。
【0062】
ハンモックの吊り上げ及び吊り下げについて、
図5A及び
図5Bを参照して他の構成について説明する。なお、
図5A及び
図5Bでは一方の支持台側を代表して図示するが、他方の支持台側にも同様の構成を有している。また、
図5A及び
図5Bではベッド本体22にヘッドボード22aが設けてある。そのため、他方の支持台側のベッド本体にフットボードを設けるようにしてもよい。
【0063】
ハンモック80は、
図5Aに示すように、ハンモック80の長手方向に沿った両端部にハンモック80の長さより長尺のベルト体80aが設けられている。そして、このベルト体80aは支持台11の各支柱13a、13bに亘って取り付けられた梁部材15の上側を介し、ベッド本体22の床部23の床部取付部22
1にベルト体80aの端部80a
1が取り付けられている。なお、この端部80a
1には取り付け用の金具等が設けられている。さらに、ベルト体80aには、ベルト体80aの長さの調節が可能な構造、例えばバックル等を設けることもできる。
【0064】
このようにすることで、ハンモック80を吊り上げる場合、ベッド本体22を下降させることでベッド本体22に取り付けられたハンモック80のベルト体80aの端部80a
1が下降し、それに合わせ、支持台11に設けられた支柱13a、13bが上昇することで、この支柱13a、13bに取り付けられた梁部材15も上昇する。そして、梁部材15を介して配設さているベルト体80aは、ベルト体80aの端部80a
1が下降し、この端部80a
1とハンモック80との間の梁部材15を介している部分のベルト体80aが上昇するようになる。そのため、ハンモック80はベッド本体22の下降距離に対して略2倍の距離を上昇させることができるようになる。又はンモック80を吊り下げる場合についても同様の工程となる。すなわち、ベッド本体22が上昇するに伴い、支柱13a、13bに取り付けられた梁部材15が下降することで、ベッド本体22に取り付けたベルト体80aの端部が上昇し、梁部材15を介していた部分のベルト体80aが下降することで、ハンモック80の吊り下げを行うことができる(
図5B参照)。
【0065】
なお、この構成のハンモックの吊り上げ等については、支持台の昇降に連動して支柱が昇降する場合に限らず、支持台の昇降に支柱が連動しない場合にも適用することができる。その場合は、ハンモックの吊り上げ等の移動距離は支持台の昇降距離と略同じとなるが、構造をシンプルにすることができるので、介護ベッドを安価に提供することができるようになる。なお、
図5A及び
図5Bでは、ベッド本体にヘッドボードが設けられた場合を図示しているが、これに限らず、ヘッドボードのないものにも適用することもできる。
【0066】
一方、ハンモック80にベルト体80aを設ける場合、このベルト体80aが長くなるため、ハンモック80の着脱の作業等においてベルト体80aの端部が振り回され要介護者や介護者にあたると怪我をするおそれがあり、また、物等に当たると破損するおそれがある。なお、ベルト体80aの端部はベッド本体22と確実に取り付ける必要があり、強度を得るために金属等で形成されることになり怪我や破損のおそれは顕著となる。そのため、ハンモックに設けられているベルト体をできるだけ短くすることが好ましい。
【0067】
そこで、
図6Aに示したハンモック85では、ハンモック85に設けられる吊り上げベルト体としてのベルト体85aを短くし、このベルト体85aと接続されベッド本体22の床部取付部22
1に取り付けられる取付けベルト体としてのベルト体56を有する構成とされている。このハンモック85のベルト体85aと別体のベルト体56との接続は、ベルト体85aの端部に設けられた第1結合部57とベルト体56のベッド本体22の床部取付部22
1に取り付けられる側の端部56aとは反対側の端部に取り付けられた第2結合部58とを結合させることで行われる(
図6B参照)。なお、これらの第1結合部57と第2結合部58とは金属等で形成されている。このようにすることで、ハンモック85に設けられたベルト体85aを短くすることができるので、ハンモック85の着脱等の際にベルト体85aの端部の第1結合部57が振り回されても狭い範囲であるので要介護者等に当たることが抑制され安全性を高めることができるようになる。
【0068】
また、第1結合部57と第2結合部58をワンタッチで着脱可能なものとすることで第1及び第2結合部57、58の着脱も容易となる。なお、この第1結合部57及び第2結合部58は市販されているものを用いることができる。
【0069】
又はンモックに設けられたベルト体の安全性をより向上させる構成について
図6Cを参照して説明する。この構成ではハンモック90に吊り上げベルト体としてのベルト体90aが設けられているがその端部には金属製の結合部は設けられておらず、ベルト体90aの端部が一周され環状に形成された環状部59が形成されている。又はンモック90とは別部材で形成された取付けベルト体としてのベルト体60が設けられている。このベルト体60は、一端及び他端にそれぞれを結合するための着脱自在の金属製の接続部60a、60bがそれぞれ設けられており、これらの接続部60a、60bが接続されてループ状となるようにして用いられる。なお、ベルト体60には、この使用するベルト体60の長さを調節するための構造を設けることもできる。この調節は、接続部60a、60bで行うようにしてもよく、また、ベルト体60に、バックル等を設けるようにしてもよい。
【0070】
ハンモック90の取り付け方は、まず、各接続部60a、60bが接続されていない状態の帯状のベルト体60を、ハンモック90のベルト体90aの環状部59内を挿通させると共に、梁部材15が内側に配置されるようにループ状にし、ベルト体60のそれぞれの接続部60a、60bを接続させることで取り付けが終了する。このときベルト体60は梁部材15に設けられた取付部15
1に取り付けるようにすることもできる。そして、ハンモック90の吊り上げに際しては、ベッド本体22が下降し、支柱13a(13bは図示省略)に取り付けられた梁部材15が上昇することでハンモック90がベルト体60に引っ張られ、ハンモック90が吊り上げられる。このようにすることで、ハンモック90のベルト体90aに金属製の部材が設けられていないので、より安全性を高めることができる。
【0071】
また、
図5A及び
図5Bでは、ハンモック80のベルト体80aの端部80a
1を床部23に形成された床部取付部22
1に取り付けた場合を示したが、これに限らず、梁部材15に設けられた取付部15
1に取り付けるようにしてもよい。このようにすることで、床部23に床部取付部22
1を設けるよりも構造が簡単となる。また、梁部材15の取付部15
1に不具合が生じた場合でも、介護ベッドの使用を継続しつつ、梁部材の交換のみを行うことができる。
【0072】
また、
図7Aに示すようなハンモック95を用いることもできる。
図7Aに示したハンモック95は、上記のハンモック95の長さの略半分程度の長さに要介護者Hが乗る網目95d及びスライド部材97が設けられており、両端のベルト体95aは上記と同じ長さとなっている。ハンモック95をこのような構成とすることで、要介護者を吊り上げる際、
図7Bに示すように座った状態で行うことができるようになり、寝た状態で吊り上げられる場合に比べ、要介護者への不安感を抑制することができる。
【0073】
また、上記では、吊り上げ部材としてハンモックを用いた場合を説明したが、これに限らず、マット上に敷いたシーツを吊り上げ部材とすることもできる。その場合、シーツの長手方向の両端部に上記のハンモックに用いられたようなベルト体を設け、支柱やベッド本体等と接続できるような構造とするようにする。これらの構成は上記のハンモックに用いたベルト体と共通する。このようにすることで、要介護者が使用しているシーツを用いて吊り上げを行うことができるので、上記のようにハンモック要介護者の下に設ける作業を省くことができる。なお、シーツは、吊り上げられたときの要介護者の重さを支えることができるような材質や構造を有している必要がある。
【0074】
本発明の介護ベッドは、車椅子だけでなく、ストレッチャー、簡易浴槽等のベッドサイドに配置された他の医療・介護機器に対しても適用可能なものであるが、以下、
図8A〜
図8Fを参照して、他の医療・介護機器として車椅子を用いた場合を例にとって介護ベッドから要介護者を車椅子まで移動させる動作について説明する。まず、
図8E及び8Fを参照して懸架部材の作動状態について説明するが、
図1〜
図7に示したものと同一の構成要件には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。なお、
図8Eは懸架部材をベッド本体から離間する方向にスライドさせて引き出した状態を示しており、
図3A及び
図3Bにも同じ状態の懸架部材が示されている。また、
図8Fは懸架部材を収納した状態を示している。
【0075】
一方の支柱13a、13bに取り付けられた梁部材15に横方向にスライドすることができる懸架部材250が結合部材251を介して結合されている。結合部材251の内部にはベアリング等を有しており、懸架部材250が軽い力で横方向に往復動できるようになされている。なお、懸架部材250のスライド操作は、手動で行うものとしても、電動で行うものとしてもよい。さらに、懸架部材250には、ベルト体60により例えば
図7に示した構成を有するハンモック95が取り付けられている。同様に、反対側の支柱にも梁部材15にベッド本体22から離間する方向に横方向にスライドする懸架部材250が結合部材251を介して結合されている。
【0076】
ハンモック95を吊り下げる場合には、ベッド本体22が上昇するに伴い、支柱取り付けられた梁部材15が下降することで、ベッド本体22の床部23にハンモック95が吊り下がり、介護者は、ベッド本体22が少し上昇するため、要介護者Hを寝たままで不安もなく容易にハンモック95上に横移動させ、
図8Aに示したように様に乗せることができる。
【0077】
次にハンモック95を吊り上げる場合には、ベッド本体22を下降させることで、支柱に取り付けられも梁部材15上昇するため、ベッド本体22の床部23よりハンモック95が
図8Bに示したように様に吊り上げることができる。それに同期してベッド本体22が下降するためハンモック95とベッド本体22の床部23との距離は、ハンモック95の上昇距離の略2倍の距離を得ることができ、上昇距離が少なくしかも床部23とのスペースが十分取れるため、要介護者Hは殆ど不安を感じることがない。
【0078】
次に、介護者が車椅子270をベッド本体22の横に移動させ、その後、
図8Cに示した様に、介護者が手動で梁部材15に結合部材251に結合している懸架部材250を車椅子270の真上に横移動(スライド)する。懸架部材250は、結合部材251の内部のベアリング等で結合されているため、介護者が負担も少なく容易に、しかも振動が少なく移動できるため、要介護者Hも横移動にも不安を感じることはない。また、結合部材251の内部には、摺動固定手段(図示省略)があり、摺動固定手段を解除しないと懸架部材250が横移動しないようにしてあるため、不用意にスライドが動き出すことはない。
【0079】
最後に、
図8Dに示したように支柱取り付けられた梁部材15を下降させることで、梁部材15に結合されている両端の懸架部材250が下降し、要介護者Hを自ら動くことを強いることなく無事車椅子270に移動させることができる。また、介護者も、介護ベッドの電動での上下移動と、手動の横移動だけで負担も殆どなく、安全に、要介護者Hを介護ベッドより車椅子270に移動させることができるようになる。
【0080】
なお、スライドする懸架部材250が結合部材251を取り付ける梁部材15は、支柱と連動した部材であれば何処でも設置してもよい。例えば、本説明の様に支柱13a、13b、14a、14bや、これとは別に支柱と連結した天井部の棒状体37に設けてもよい。更に、安全のため、懸架部材250がベッド外側に移動した際、ベッドが倒れないように、転倒防止板252を設けてもよい。この転倒防止板252は、移動の際やスライドを外側に移動しないときは、ベッド側面などに収納することが可能とすることが好ましい。更に、この転倒防止板252が設定されているときのみ、スライドが外側に出るように安全機能を設けることにより、転倒防止板252の設定忘れによる事故を防ぐことができるようになる。
【0081】
ここで、
図9A及び
図9Bを参照して、実施形態1の介護ベッド10Aにおけるベッド本体22の昇降と支柱13、14の昇降について説明する。実施形態1の介護ベッド10Aには、一対の支持台11、12のそれぞれに、支柱13、14と支柱用アクチュエータ100、101が設けられ、この支柱用アクチュエータ100、101の動作部102、103の先端は支柱13、14に結合され、この動作部102、103の伸縮によって支柱13、14を昇降させることができる。ベッド本体22の下部にはベッド用アクチュエータ104が設けられ、このベッド用アクチュエータ104の動作部105の先端とベッド用アクチュエータ104の底面はパンタグラフ106の水平両端107に結合され、このパンタグラフ106の垂直端108がベッド本体22と支持台11、12又は支柱用アクチュエータ100、101に結合された床板109に結合され、この動作部105の伸縮によってパンタグラフ106が伸縮し、ベッド本体22を昇降させることができる。
【0082】
この実施形態2の介護ベッド10Aにおいても、支柱13、14に設けられた梁部材(図示省略)に実施形態1の介護ベッド10の場合と同様のベッド本体22から離間する方向に横方向にスライドする懸架部材250を結合部材251を介して取り付けることにより、実施形態1の介護ベッド10の場合と同様の作用効果を奏すことができるようになる。
【0083】
図9Cに示すように、支柱用アクチュエータ100、101とベッド用アクチュエータ104はケーブルや無線などによって制御部110に電気的に接続されており、この制御部110に昇降スイッチ111がケーブルや無線などによって電気的に接続されている。この制御部110が昇降スイッチ111の指令が支柱用アクチュエータ100、101とベッド用アクチュエータ104の動作に変換される。
【0084】
そこで、
図9Dに示したタイミングチャートのような動作条件を電気回路やソフトウェアなどで制御部111に設定することにより、ベッド本体22が上昇したとき、支柱13,14が下降し、ベッド本体22が下降したとき、支柱13、14が上昇するように制御することができる。
【0085】
ここで、この動作条件は必ずしも支柱用アクチュエータ100、101とベッド用アクチュエータ104を完全に同期させる必要はなく、昇降スイッチ111をそれぞれ支柱用アクチュエータ100、101とベッド用アクチュエータ104に設置して個別に動作させてもよい。
【0086】
また、昇降手段はアクチュエータやウィンチとの組合せ以外でもよく、ベッド本体22の昇降と支柱13,14の昇降が
図3A,
図3Bの様に機械的な伝達でもよい。なお、これらのアクチュエータやウィンチの構造は周知であるため詳細な説明は省略する。また、支持台11、12に設けられた支柱13、14はそれぞれ一本とは限らず2本以上でもよい。
【0087】
本発明の介護ベッドでは、アクチュエータが用いられてベッド本体の昇降や他の動作が行われている。そのため、これらのアクチュエータを制御することで介護ベッドを安全に使用するようにする必要がある。そこで、介護ベッドにはこれらのアクチュエータの動作の制御する制御部が設けられている。以下、
図10のブロック図を参照して介護ベッドの安全装置について説明する。
【0088】
介護ベッドに備えられた各アクチュエータは、基本的に介護者が手元にあるコントローラの各種スイッチ、例えば、昇降用スイッチSW1を押すことで操作を行うものである。なお、
図10では昇降用アクチュエータ(例えば、
図3に示すアクチュエータ16)をAC1としている。このとき、各アクチュエータAC1の動作は、制御部Coによりコントローラの各種スイッチSW1が押されている間のみ作動するように制御され、スイッチが押されなくなったら直ちにアクチュエータAC1の動作が止まるように制御されている。すなわち、自動では動かず、さらに惰性でも動かないようにされている。
【0089】
また、ベッド本体の昇降の安全性を高めるため、停電やコンセントからプラグが外れたりして元電源がOFFになった際、ベッド本体の昇降の状態が保持されるような機構となっている。この保持する機構としては、ウォームギア等のギアブレーキの機構や油圧及び空圧シリンダー等の機構を設けることができる。このようにすることで、アクチュエータの作動が停止してもベッド本体の昇降及の状態を保持することができるので、元電源からの電気の供給が停止してもベッド本体の急な動作を抑制できるので安全性を高めることができる。なお、これらの機構は、支持台内の昇降手段としてのアクチュエータ及びそれに繋がる伝達機構に組み込んでもよく、また、別の機構として取り付けてもよい。
【0090】
さらに、アクチュエータAC1の動作は介護ベッドに設けられた各種センサーSEと連動されている。この場合、枠体の下部やベッド本体の床部に枠体の有無を感じ取るセンサーやスイッチ等を設けることができる。
【0091】
同様に、ベッド本体の下降時の挟み込みを感知したとき、アクチュエータAC1を停止することもできる。この場合、ベッド本体の側面の下側に上記と同様の各種センサーSEやスイッチ類SW3を設けることで挟み込みを感知することができるようになる。
【0092】
次に、実施形態3の介護ベッド10Bを
図11を参照して説明する。実施形態3の介護ベッド10Bは、各支持台11、12(
図11ではベッド本体22に覆われているので点線で示してある。)に設けられた各支柱13a'、13b'、14a'、14b'を長尺に形成し、その支柱13a'、13b'、14a'、14b'の上端部13a
1'、13b
1'、14a
1'、14b
1'の取付部(図示省略)に棒状体37を渡した構成を備えている。このときの支柱13a'、13b'、14a'、14b'の上端部13a
1'、13b
1'、14a
1'、14b
1'の高さは床から1.5m〜2.5m程度となるようにされている。なお、各棒状体37の間には強度を保つための梁71が梁部材15と平行に設けられている。このような構成とすることで、長尺の支柱13a'、13b'、14a'、14b'の間に空間73が設けられるため、この空間73にテレビや鏡、棚等の機能を追加することができるようになり、要介護者に文化的な日常生活を提供することができるようになる。
【0093】
この実施形態3の介護ベッド10Bにおいても、長尺の支柱13a'、13b'、14a'、14b'に設けられた梁部材15に実施形態1の介護ベッド10の場合と同様のベッド本体22から離間する方向に横方向にスライドするスライドする懸架部材250を結合部材251を介して取り付けることにより、実施形態1の介護ベッド10の場合と同様の作用効果を奏すことができるようになる。さらに、各支柱や棒状体には各種のリハビリ用の器具を設けることもできるようになる。例えば、上方に設けられる棒状体から要介護者がつかまり立ちを行えるようなロープを垂下させることで、このロープを利用してリハビリを行うこともできるようになる。このリハビリは要介護者の運動機能に合わせてベッド本体の昇降と連動させることもできるようになる。
【0094】
さらにまた、支柱13a'、13b'、14a'、14b'と棒状体37の接続部分72は曲線状に加工することで、安全性が高められると共に、美観を得ることができる。さらに、長尺とした支柱13a'、13b'、14a'、14b'、棒状体37及び梁71並びに梁部材15については、その一部もしくはすべてを皮材やキルティングで巻いたり、クロムメッキ等で加工したりすることでより高い安全性や美観を得ることができる。
【0095】
また、介護ベッド10Bの外観は、革製以外にも、木製、金属製、合成樹脂性のいずれか、又は革製を含めたこれらを組み合わせて形成することができる。このようにすることで、見た目に温もりがあり、高級感を与えることができるので、屋内のインテリアとして違和感なく設置することができ、要介護者及び介護者にゆとりを与えることができる。なお、木材としては、檜や杉等を用いることができ、耐水性を向上させるために樹脂を含浸又は塗布したものも用いることができる。また、革材などによる表面処理を行うこともできる。更に、合成樹脂材に木目などの加工をするような汎用的な加工をすることもできる。
【0096】
また、
図12に示す実施形態4の介護ベッド10Cのように、支柱13a"、13b"、14a"、14b"を長尺として棒状体37を高位置に配置することで、棒状体37にカーテン150等を取り付けるようにすることができるようになり、要介護者のプライベートの空間を確保することができるようになる。この実施形態4の介護ベッド10Cにおいても、長尺の支柱13a"、13b"、14a"、14b"に設けられた梁部材15に実施形態1の介護ベッド10の場合と同様のベッド本体22から離間する方向に横方向にスライドするスライドする懸架部材250を結合部材251を介して取り付けることにより、実施形態1の介護ベッド10の場合と同様の作用効果を奏すことができるようになる。
【0097】
さらに、長尺の支柱を利用し、又は、昇降手段によるベッド本体の昇降が支柱と連動しないような構成とした場合には、長尺の支柱及び棒状体と天井との間に耐震用の部材、例えば、伸縮自在であって所定の長さで固定ができる棒状の部材を設けることにより地震等の災害時に揺れを防止する等の耐震対策も可能である。
【0098】
なお、介護ベッドは住居や介護施設等の室内に置かれるため、大きいままであると室内に運び込むことが困難となる。そのため、介護ベッドの各構成部品を室内で簡単に組み立てが行えるような構成とされている。
【0099】
また、本発明の介護ベッドは一般的にベッドとして使用される状態から、上述したような要介護者の介護の状況に応じた多くの機能を追加することができるものであり、また、各構成の変更や追加を容易に行うことができるものである。