特許第6870810号(P6870810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870810
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】流体駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20210426BHJP
   H01L 41/053 20060101ALI20210426BHJP
   H01L 41/047 20060101ALI20210426BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20210426BHJP
   F04B 43/02 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   B06B1/06 Z
   H01L41/053
   H01L41/047
   H01L41/09
   F04B43/02 A
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-147026(P2019-147026)
(22)【出願日】2019年8月9日
(65)【公開番号】特開2020-73250(P2020-73250A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年9月3日
(31)【優先権主張番号】107128142
(32)【優先日】2018年8月13日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516210193
【氏名又は名称】科際精密股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】呉 宗翰
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 俊諺
(72)【発明者】
【氏名】王 薪▲チェン▼
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−180091(JP,A)
【文献】 特開2009−097367(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/081767(WO,A1)
【文献】 米国特許第05759015(US,A)
【文献】 特開2013−057246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/06
F04B 43/02
H01L 41/047
H01L 41/053
H01L 41/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の中央部と、前記第1の中央部の外側に位置する第1の周辺部と、前記第1の中央部と前記第1の周辺部とを接続している複数の第1の接続部と、を備え、前記第1の中央部は前記第1の周辺部に対して可動である振動ユニットと、
第1の導電領域と第2の導電領域を備える信号伝送層と、
互いに電気的に絶縁された第1の電極と第2の電極を備え、前記第1の電極は前記信号伝送層の第1の導電領域に電気的に接続され、前記第2の電極は前記信号伝送層の第2の導電領域に電気的に接続されている、圧電素子と、
第4の中央部と、前記第4の中央部の外側に位置する第4の周辺部と、を備え、前記第4の中央部に少なくとも1つの孔を有し、前記第4の中央部が前記第4の周辺部に対して可動であるバルブプレートである平面ユニットと、を備え、
前記信号伝送層、前記圧電素子、および前記平面ユニットは、それぞれ前記振動ユニットの片面に設置され、順に積層されていることを特徴とする流体駆動装置。
【請求項2】
前記振動ユニットと前記圧電素子との間に配置された前記信号伝送層を含む伝送ユニットを備え、前記伝送ユニットはフレキシブルプリント回路基板であることを特徴とする請求項1に記載の流体駆動装置。
【請求項3】
前記振動ユニットは、前記第1の周辺部と前記平面ユニットとの間に配置されたフレームと、前記少なくとも1つの孔に対応する位置において前記第1の中央部と前記平面ユニットとの間に配置され且つ前記少なくとも1つの孔に向かって突出する突部と、をさらに備え、
前記平面ユニットに面する前記フレームの表面は、前記平面ユニットに面する前記突部の平面と同一平面であることを特徴とする請求項2に記載の流体駆動装置。
【請求項4】
前記伝送ユニットは、前記圧電素子に対応する第2の中央部と、該第2の中央部の外側に位置する第2の周辺部とを備え、前記圧電素子は前記伝送ユニットの前記第2の中央部に固定され、前記フレームは前記伝送ユニットの前記第2の周辺部に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の流体駆動装置。
【請求項5】
前記フレームは前記振動ユニットの前記第1の周辺部に固定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の流体駆動装置。
【請求項6】
前記圧電素子は貫通孔を備え、前記突部が前記貫通孔を貫通していることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の流体駆動装置。
【請求項7】
前記伝送ユニットは前記貫通孔に対応する開口部を含み、前記突部が前記開口部を通過し、前記振動ユニットの前記第1の中央部に固定されていることを特徴とする請求項6に記載の流体駆動装置。
【請求項8】
前記振動ユニットは、前記少なくとも1つの孔に対応する位置において前記第1の中央部と前記平面ユニットとの間に配置され且つ前記孔に向かって突出する突部をさらに備え、
前記第1の周辺部の厚さが前記第1の中央部の厚さより大きく、且つ前記平面ユニットに面する前記第1の周辺部の表面が前記平面ユニットに面する前記突部の表面と同一表面であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の流体駆動装置。
【請求項9】
前記突部は前記平面ユニットに面する前記圧電素子の表面上に設置されていることを特徴とする請求項3又は8に記載の流体駆動装置。
【請求項10】
第3の中央部および第3の周辺部を含む支持部材をさらに備え、前記支持部材の前記第3の中央部は、前記圧電素子と前記平面ユニットとの間に配置され且つ前記少なくとも1つの孔に対応し前記少なくとも1つの孔に向かって突出する突部を形成し、且つ前記支持部材の前記第3の周辺部は前記振動ユニットの前記第1の周辺部と前記平面ユニットとの間に配置されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の流体駆動装置。
【請求項11】
流体案内部材をさらに備え、前記平面ユニットは前記圧電素子と前記流体案内部材との間に配置され、前記流体案内部材は少なくとも1つの貫通孔を備えていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の流体駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体駆動装置に関し、より詳細には、圧電素子に電気的に接続された信号伝送層をより良好に保護することができる流体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電ポンプは、追加の駆動モータを必要とせず、圧電セラミックの逆圧電効果のみで圧電振動子を変形させることができる新しいタイプの流体駆動装置であり、前記変形により生じるポンプ室の容積変化によって流体出力を実現でき、または圧電振動子の振動によって流体を輸送することができる。したがって、圧電ポンプは従来のポンプに徐々に取って代わり、エレクトロニクス、生物医学、航空宇宙、自動車、および石油化学産業で広く使用されている。
【0003】
一般に、圧電ポンプは、圧電素子とポンプ本体とで構成される。圧電素子に電気が供給されると、圧電素子は電界により半径方向に圧縮され、内部引張応力を受け、そのとき曲げられ変形される。圧電素子が正方向に曲げられると、ポンプ本体の室(以下、ポンプ室と呼ぶ)の容積が増加するため、ポンプチャンバー内の圧力が低下し、流体が入口からポンプ室に流れ込む。他方、圧電素子が逆方向に曲げられると、ポンプ室の容積が減少するため、ポンプ室の圧力が上昇し、ポンプ室の流体が絞り出されて出口から排出される。現在、圧電素子に電気を供給するために使用される回路構造は、多くの場合、多層構造であり、ポンプ本体の外側に配置されている。したがって、全容積が大きく、その構造が容易に損傷される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、圧電素子に電気的に接続された信号伝送層をより良く保護できる流体駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態では、流体駆動装置は、第1の中央部と、前記第1の中央部の外側に位置する第1の周辺部と、前記第1の中央部と前記第1の周辺部とを接続している前記複数の第1の接続部と、を備え、前記第1の中央部は前記第1の周辺部に対して可動である振動ユニットと、第1の導電領域と第2の導電領域を備える信号伝送層と、互いに電気的に絶縁された第1の電極と第2の電極を備える圧電素子であり、前記第1の電極は前記信号伝送層の第1の導電領域に電気的に接続され、前記第2の電極は前記信号伝送層の第2の導電領域に電気的に接続されている、圧電素子と、第4の中央部と、前記第4の中央部の外側に位置する第4の周辺部と、を備え、前記第4の中央部に少なくとも1つの孔を有し、前記第4の中央部が前記第4の周辺部に対して可動であるバルブプレートである平面ユニットと、を備え、前記信号伝送層、前記圧電素子、および前記平面ユニットは、それぞれ前記振動ユニットの片面に設置され、順に積層されている。
【0006】
本開示の一実施形態によれば、前記流体駆動装置はさらに、前記振動ユニットと前記圧電素子との間に配置された前記信号伝送層を含む伝送ユニットを備え、前記伝送ユニットはフレキシブルプリント回路基板である。
【0007】
本開示の一実施形態によれば、前記流体駆動装置はさらに、フレームと突部を含む。前記振動ユニットは第1の中央部と第1の周辺部を含み、前記フレームは前記第1の周辺部と前記平面ユニットの間に配置される。前記突部は、前記少なくとも1つの孔に対応する位置において前記第1の中央部と前記平面ユニットとの間に配置され且つ前記少なくとも1つの孔に向かって突出し、且つ前記平面ユニットに面する前記フレームの表面は、前記平面ユニットに面する前記突部の平面と同一平面である。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、前記伝送ユニットは、前記圧電素子に対応する第2の中央部と、該第2の中央部の外側に位置する第2の周辺部とを含み、前記圧電素子は前記伝送ユニットの前記第2の中央部に固定され、前記フレームは前記伝送ユニットの前記第2の周辺部に固定される。
【0009】
本開示の一実施形態によれば、前記フレームは前記振動ユニットの前記第1の周辺部に固定される。
【0010】
本開示の一実施形態によれば、前記圧電素子は貫通孔を含み、前記突部は前記貫通孔を貫通する。
【0011】
本開示の一実施形態によれば、前記伝送ユニットは前記貫通孔に対応する開口部を含み、前記突部は前記開口部を通過し、前記振動ユニットの前記第1の中央部に固定される。
【0012】
本開示の一実施形態によれば、前記流体駆動装置はさらに突部を含む。前記振動ユニットは第1の中央部と第1の周辺部を含み、前記突部は前記少なくとも1つの孔に対応する位置において前記第1の中央部と前記平面ユニットとの間で配置され且つ前記少なくとも1つの孔に向かって突出し、前記第1の周辺部の厚さが前記第1の中央部の厚さより大きく、且つ前記平面ユニットに面する前記第1の周辺部の表面が前記平面ユニットに面する前記突部の表面と同一表面である。
【0013】
本開示の一実施形態によれば、前記流体駆動装置の前記突部は前記平面ユニットに面する前記圧電素子の表面上に設置される。
【0014】
本開示の一実施形態によれば、前記流体駆動装置はさらに、第3の中央部および第3の周辺部を含む支持部材を含み、前記支持部材の前記第3の中央部は、前記圧電素子と前記平面ユニットとの間に配置され且つ前記少なくとも1つの孔に対応し前記少なくとも1つの孔に向かって突出する突部を形成し、且つ前記支持部材の前記第3の周辺部は前記振動ユニットの前記第1の周辺部と前記平面ユニットとの間に配置される。
【0015】
本開示の一実施形態によれば、前記流体駆動装置はさらに流体案内部材を含み、前記平面ユニットは前記圧電素子と前記流体案内部材との間に配置され、前記流体案内部材は少なくとも1つの貫通孔を含む。
【発明の効果】
【0016】
以上から、本開示で提供される流体駆動装置の信号伝送層、圧電素子、および平面ユニットはそれぞれ振動ユニットの同じ側に配置され、順次積層される。圧電素子の第1電極および第2電極に電気的に接続されるように構成された信号伝送層は、振動ユニットと平面ユニットとの間に位置する。すなわち、信号伝送層は、ほとんど主に流体駆動装置の内部に形成され、よりよく保護することができる。
【0017】
本開示の一つ又は複数の実施形態で提供される上記の特徴および利点をより分かりやすくするために、いくつかの実施形態を添付図面とともに以下で詳細に説明する。
【0018】
本開示のさらなる理解を提供するために添付図面が本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成している。図面は本開示の実施形態を示し、その説明とあいまって本開示の原理を説明するのに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の第1の実施形態による流体駆動装置の概略図である。
図2】別の視角における図1の概略図である。
図3図1の概略分解図である。
図4図2の概略分解図である。
図5図1に示す流体駆動装置の概略断面図である。
図6】本開示の第2の実施形態による流体駆動装置を示す概略断面図である。
図7】本開示の第3の実施形態による流体駆動装置を示す概略断面図である。
図8】本開示の第4の実施形態による流体駆動装置を示す概略断面図である。
図9】本開示の第5の実施形態による流体駆動装置を示す概略分解図である。
図10】別の視角における図9の概略図である。
図11図9に示す流体駆動装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本開示の第1の施形態に係る流体駆動装置の概略図である。図2は、別の視角における図1の概略図である。図3は、図1の概略分解図である。図4は、図2の概略分解図である。図5は、図1に示す流体駆動装置の概略断面図である。図1図5を参照するに、本実施形態で提供される流体駆動装置100は、振動ユニット110と、信号伝送層145と、圧電素子130と、平面ユニット160とを含む。以下、流体駆動装置100について詳細に説明する。
【0021】
図3および図4を参照するに、本実施形態では、振動ユニット110は、第1の中央部112、第1の周辺部114、および第1の中央部112および第1の周辺部114に接続された複数の第1の接続部116を含む。第1の中央部112は第1の周辺部114に対して可動である。さらに、本実施形態において、振動ユニット110の材料は金属または合金を含み、可撓性を有するものとし得るが、振動ユニット110の材料はこれに限定されない。他の実施形態では、振動ユニット110は、柔軟なゴム、シリコーン、または他の非金属材料で作られたものとしてもよい。
【0022】
本実施形態では、圧電素子130は第1の表面132(図3に印されている)および第2の表面133(図4に印されている)を有し、圧電素子130の第1の表面132は振動ユニット110に面している。本実施形態では、圧電素子130は、第1の表面132上に配置され且つ互いに電気的に絶縁された第1の電極134および第2の電極138を含む。第1の電極134および第2の電極138の一方は正極であり、他方は負極である。また、本実施形態において、圧電素子130の形状は、シート状または任意の幾何学的形状であってよく、圧電素子130の外形は、円弧形、多角形、長方形などであってよい。本開示では、圧電素子130の形状は限定されない
【0023】
図4に示すように、本実施形態では、信号伝送層145は、電気的に絶縁された第1の伝送領域149および第2の伝送領域148を含む。より具体的には、本実施形態では、流体駆動装置100は、圧電素子130と振動ユニット110との間に位置する伝送ユニット140をさらに含む。伝送ユニット140は、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)である。伝送ユニット140は、複数のスロット142に囲まれ且つ圧電素子130に対応する第2の中央部141と、第2の中央部141の外側に位置する第2の周辺部143とを含む。圧電素子130は第2の中央部141に固定される。第1の伝送領域149および第2の伝送領域148は、それぞれ伝送ユニット140上に形成される。伝送ユニット140上の第1の伝送領域149および第2の伝送領域148は、互いに電気的に接続されないように互いに電気的に絶縁される。より具体的には、第1の伝送領域149および第2の伝送領域148は、それぞれ伝送ユニット140の第2の中央部141まで延び、第2の中央部に位置する第1の導電領域147および第2の導電領域146に接続される。
【0024】
図3図4をともに参照するに、本実施形態では、圧電素子130の第1の電極134(図3に印されている)は、第1の導電領域147を介して信号伝送層145の第1伝送領域149(図4に印されている)に電気的に接続される。圧電素子130の第2の電極138(図3に印されている)は、第2の導電領域146を介して信号伝送層145の第2の伝送領域148(図4に印されている)に電気的に接続される。
【0025】
他の実施形態では、第1の伝送領域149および第2の伝送領域148は2つの汎用ワイヤとしてもよく、また圧電素子130の第1の電極134および第2の電極138に直接接続してもよいこと勿論である。また、第1の伝送領域149と第2の伝送領域148は、必ずしも伝送ユニット140に形成する必要もない。さらに、第1の伝送領域149と第2の伝送領域148は必ずしも同じ層に形成しなくてもよい。第1の伝送領域149および第2の伝送領域148が圧電素子130の第1の電極134および第2の電極138に電気的に接続される限り、これらの領域の構造は上記の構造に限定されない。
【0026】
本実施形態では、平面ユニット160はバルブプレートであるが、平面ユニット160の形態はこれに限定されない。平面ユニット160は、円形の第4の中央部162を取り囲み且つ第4の中央部162を外側の第4の周辺部164と区別する3つの円弧状スロット163を含む。第4の中央部162の位置は、圧電素子130の位置に対応する。本実施形態では、平面ユニット160は、第4の中央部162に形成された孔166をさらに含む。他の実施形態では、平面ユニット160のスロット163の数および形状は限定として解釈されるべきではない。さらに、平面ユニット160の材料は、わずかに可撓性の金属または非導電性材料とし得るが、平面ユニット160の材料は、本明細書で提示される材料に限定されるべきではない。
【0027】
本実施形態によれば、流体駆動装置100は、フレーム120および突部155をさらに含むことに留意されたい。フレーム120は、振動ユニット110の第1の周辺部114と平面ユニット160との間に配置される。より具体的には、本実施形態では、フレーム120は、伝送ユニット140の第2の周辺部143と平面ユニット160の第4の周辺部164との間に固定される。突部155は、振動ユニット110の第1の中央部112と平面ユニット160の第4の中央部162の間に配置される。図5に示すように、本実施形態では、突部155は平面ユニット160に面する圧電素子130の表面に設置され、突部155は孔166に向かって突出する。
【0028】
図5に示すように、本実施形態では、突部155は平面ユニット160に面する圧電素子130の表面に設置され、突部155は孔166に向かって突出する。さらに、本実施形態では、図5から観察できるように、平面ユニット160に面するフレーム120の表面は、平面ユニット160に面する突部155の表面と同一平面にある。したがって、流体駆動装置100が完全に組み立てられた後、突部155は孔166の近くの平面ユニット160の部分を押圧することができ、よって特定の作動時(例えば、図5に示す時点)に、突部155が孔166を確実に押圧して流体(図示せず)が孔166を通過しないようにすることができる。この実施形態では、フレーム120および突部155は、金属、セラミック、プラスチックなどで作ることができ、フレーム120および突部155の材料の種類は開示の材料に限定されない。
【0029】
さらに、図3に示すように、本実施形態では、流体駆動装置100は、流体案内部材170をさらに含み、平面ユニット160は、圧電素子130と流体案内部材170との間に位置する。 3つの溝175に囲まれ且つ圧電素子130に対応する第5の中央部172、第5の中央部172の外側に位置する第5の周辺部174、流体案内部材170を貫通する3つの貫通孔176、および3つの貫通孔176にそれぞれ連通する3つの流路178を含む。流体案内部材170の溝175、貫通孔176、および流路178の数は、これらに限定されないこと勿論である。
【0030】
本実施形態では、流体案内部材170の第5の周辺部174は平面ユニット160の第4の周辺部164に取り付けられ、平面ユニット160の第4の中央部162は第4の周辺部164に対して可動である。さらに、この実施形態では、流体案内部材170の材料としては金属又は合金が含まれ得るが、それらは限定と解釈すべきではない。
【0031】
本実施形態では、信号伝送層145を有する伝送ユニット140、圧電素子130、および平面ユニット160が振動ユニット110の同じ側に配置され、順に積層されていることに留意されたい。即ち、本実施形態では、信号伝送層145を有する伝送ユニット140及び圧電素子130は、振動ユニット110と平面ユニット160との間に設置される。信号伝送層145は主に流体駆動装置100内に形成されるため、本実施形態で提供される流体駆動装置100の信号伝送層145はより良好に保護することができる。
【0032】
本実施形態で提供される流体駆動装置100では、圧電素子130に電気的に接続された信号伝送層145は振動ユニット110と圧電素子130との間に設置される単一の伝送ユニット140に配置される。信号伝送層145は単一の信号伝送ユニット140上に形成されるため、本実施形態で提供される流体駆動装置100の全体の厚さは複数のシリコーン伝送層を有する従来の流体駆動装置の全体の厚さよりも小さくなり、本実施形態で提供される流体駆動装置100は容易に組み立てることができる。
【0033】
他のタイプの流体駆動装置100a,100bおよび100cを以下に説明する。以下の実施形態および前実施形態で提供される同一もしくは類似の要素は同一もしくは類似の参照番号で示され、再度説明されないが、これらの実施形態の間の主な違いは以下で説明される。
【0034】
図6は本開示の第2の実施形態による流体駆動装置の概略断面図である。図6を参照するに、本実施形態で提供される流体駆動装置100aと前実施形態(例えば、図5に示される)で提供される流体駆動装置100との間の主な違いは、フレーム120の厚さが図5に示す前実施形態の圧電素子130の厚さと突部155の厚さの和と実質的に同じであることにある。
【0035】
図6に示す本実施形態では、フレーム120の厚さは圧電素子130の厚さと実質的に同じである。さらに、本実施形態では、流体駆動装置100aは、第3の中央部および第3の周辺部152を含む支持部材150をさらに含む。支持部材150の第3の中央部は、孔166に対応し且つ孔166に向かって突出する突部155として、圧電素子130と平面ユニット160との間に配置される。より具体的には、支持部材150の第3の周辺部152は、フレーム120と平面ユニット160との間に設置される。
【0036】
この実施形態では、支持部材150は金属、セラミック、プラスチックなどで作られてもよく、支持部材150の材料の種類は本開示において限定されない。この実施形態では、第3の中央部(すなわち、突部155)が第3の周辺部152の厚さと同じになるように、支持部材150の第3の中央部(すなわち、突部155)と第3の周辺部152を同じ物体からなるものとすることができる。これは、流体駆動装置100aの平坦性を保証するだけでなく、流体駆動装置100aの製造を簡素化する。
【0037】
図7は本開示の第3の実施形態に係る流体駆動装置の概略断面図である。フレームは振動ユニットの第1の周辺部に固定される。図7を参照するに、本実施形態で提供される流体駆動装置100bと図1に示した実施形態で提供される流体駆動装置100との主な違いは、フレーム120の分布領域が、図5に示す実施形態における伝送ユニット140の第2の周辺部143の分布領域に対応する点にある。すなわち、前実施形態では、フレーム120は伝送ユニット140の第2の周辺部143に積層されている。
【0038】
本実施形態では、伝送ユニット140bの第2の周辺部143の外側輪郭はフレーム120bの内側輪郭よりも小さく、伝送ユニット140bはフレーム120bの範囲内に位置する。本実施形態では、図7から、フレーム120bおよび伝送ユニット140bの第2の周辺部143はそれぞれ振動ユニット110と接触していることがわかる。したがって、伝送ユニット140bの第2の周辺部143はフレーム120bと重ならない。
【0039】
図7に示す本実施形態では、フレーム120bの厚さは、伝送ユニット140bの厚さ、圧電素子130の厚さ、および突部155の厚さの合計と実質的に同じである。すなわち、平面ユニット160は、平面ユニット160に面する突部155の表面と同一平面にある。したがって、流体駆動装置100が完全に組み立てられた後、突部155は孔166の近くの平面ユニット160の部分を押圧することができ、よって特定の作動時(例えば、図5に示す時点)に、突部155が孔166を確実に押圧して流体(図示せず)が孔166を通過しないようにすることができる。
【0040】
図8は、本開示の第4の実施形態に係る流体駆動装置の概略断面図である。図8を参照するに、本実施形態で提供される流体駆動装置100cと図7に示す実施形態で提供される流体駆動装置100bとの主な違いは、振動ユニット110cの第1の周辺部114cの厚さが第1の中央部112cの厚さより大きい点にある。すなわち、本実施形態では、振動ユニット110cは図7に示す振動ユニット110とフレーム120bの組み合わせに類似する。
【0041】
本実施形態では、平面ユニット160に面する振動ユニット110cの第1の周辺部114cの表面は、平面ユニット160に面する突部155の表面と同一平面上にある。したがって、流体駆動装置100が完全に組み立てられた後、突部155は孔166の近くの平面ユニット160の部分を押圧することができ、よって特定の作動時(例えば、図5に示す時点)に、突部155が孔166を確実に押圧して流体(図示せず)が孔166を通過しないようにすることができる。
【0042】
図9は、本開示の第5実施形態に係る流体駆動装置の概略分解図である。図10は、別の視角における図9の概略図である。図11は、図9に示す流体駆動装置を示す概略断面図である。図9図11を参照するに、本実施形態で提供される流体駆動装置100dと図7に示す実施形態で提供される流体駆動装置100bとの違いは、図7に示す実施形態で提供される伝送ユニット140bの第2の中央部141には突部155を通すことができる開口部がないこと及び圧電素子には突部155を通すことができる貫通孔がないことにある。
【0043】
図9に示すように、本実施形態では、圧電素子130dはリング状であり、貫通孔131を含む。伝送ユニット140dは、貫通孔131に対応する開口部144を含む。突部155は圧電素子130dの貫通孔131および伝送ユニット140dの開口部144を貫通し、振動ユニット110の第1の中央部112に固定される。
【0044】
図11に示すように、この実施形態では、フレーム120dの厚さは突部155の厚さと実質的に同じであり、フレーム120と突部155は同じ物体で作ることができ、製造プロセスを単純化できる。さらに、フレーム120dの下面を突部155の下面に確実に整列させることができ、したがって、公差を比較的小さくすることができる。加えて、図11に示すように、本実施形態で提供される流体駆動装置100dの中心部(例えば、図9の振動ユニット110の第1の中央部112とバルブプレート160の第4の中央部162との間の部分)は、流体駆動装置100dの主機能領域と言うことができる。本実施形態によれば、振動ユニット110の第1中央部112と平面ユニット160の第4中央部162とは、突部155のみによって分離されるため、流体駆動装置100dの中央部の部品の数が少なくなる。したがって、流体駆動装置100dは精度が良い。
【0045】
要約すると、本開示で提供される流体駆動装置の信号伝送層、圧電素子、および平面ユニットは、それぞれ、振動ユニットの同じ側に配置され、順に積層される。圧電素子の第1電極および第2電極に電気的に接続されるように構成された信号伝送層は、振動ユニットと平面ユニットとの間に位置する。すなわち、信号伝送層はほとんど流体駆動装置の内部に形成され、よりよく保護され得る。さらに、一実施形態では、信号伝送層は1つの層に形成され、例えば同じ伝送ユニットに形成することができる。それにより、流体駆動装置の構成要素の数は比較的少なく、流体駆動装置の層の数も少なく、組み立てプロセスは比較的単純で便利であり、全体的な許容誤差を小さくすることができる。
【0046】
本開示は上述の実施形態を開示したが、本開示を限定することを意図するものではなく、当業者は本開示の精神および範囲から逸脱することなくいくつかの変更および改良を行うことができる。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって特定される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示は、圧電素子に電気的に接続された信号伝送層を有する流体駆動装置に関する。
【符号の説明】
【0048】
100a,100b,100c,100d 流体駆動装置
110,110c 振動ユニット
112 第1の中央部
114,114c 第1の周辺部
116 第1の接続部
120,120b,120d フレーム
130,130d 圧電素子
131 貫通孔
132 第1の表面
133 第2の表面
134 第1の電極
138 第2の電極
140,140b,140d 伝送ユニット
141 第2の中央部
142 スロット
143 第2の周辺部
144 開口部
145 信号伝送層
146 第2の導電領域
147 第1の導電領域
148 第2の伝送領域
149 第1の伝送領域
150 支持部材
152 第3の周辺部
155 突部
160 平面ユニット
162 第4の中央部
163 スロット
164 第4の周辺部
166 孔
170 流体案内部材
172 第5の中央部
174 第5の周辺部
175 溝
176 貫通孔
178 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11