特許第6870824号(P6870824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6870824
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】織物
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/54 20210101AFI20210426BHJP
【FI】
   D03D15/00 102Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-103104(P2017-103104)
(22)【出願日】2017年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-214692(P2017-214692A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2020年1月23日
(31)【優先権主張番号】特願2016-106299(P2016-106299)
(32)【優先日】2016年5月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】309042783
【氏名又は名称】大喜株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝政
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 篤彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 岳由
【審査官】 相田 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−299544(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0122911(US,A1)
【文献】 特開2016−037688(JP,A)
【文献】 特開2009−084738(JP,A)
【文献】 特開2006−039287(JP,A)
【文献】 特表2016−526615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 1/00−27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸及び緯糸のうちの一方を第1構成糸とし、他方を第2構成糸として製織された織物において、
前記第1構成糸の一部が並列に織り込まれた2〜15本の側面発光型光ファイバーであり、
非意匠面側において前記第2構成糸が2〜8本連続して前記側面発光型光ファイバーと交差し、意匠面側に表出した前記側面発光型光ファイバーにより発光部が形成されており、
前記側面発光型光ファイバーが3本以上であるときに、1本又は2本の前記側面発光型光ファイバーの間に、前記側面発光型光ファイバーより小径の防捻糸が介装されていることを特徴とする織物。
【請求項2】
前記側面発光型光ファイバーの径(d)と、前記防捻糸の径(d)との比(d/d)が1.2〜20.0である請求項1に記載の織物。
【請求項3】
前記第2構成糸の繊度(f)と前記防捻糸の繊度(f)との比(f/f)が0.05〜20.0である請求項1又は2に記載の織物。
【請求項4】
前記防捻糸が合成樹脂製マルチフィラメントである請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の織物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の側面発光型光ファイバーが並列に織り込まれ、この側面発光型光ファイバーにより形成された発光部等において隣接する側面発光型光ファイバーが捻じれ、位置が入れ替わってしまうことによる局所的な輝度の上昇により、例えば、車両内装用表皮材として用いたときに、車室内の意匠性が低下することを防止することができる織物に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及等とともに、光通信などの技術分野において光ファイバーの使用が拡大している。また、一端から入射した光を他端に導いて光を伝送させることができるという光ファイバーの特性に基づき、例えば、各種の照明及びディスプレー等の用途でも用いられている。例えば、アクリル系樹脂を主成分とするコア層を有する光ファイバー及びそれを備える布帛であって、室内装飾用品等の自動車用品などとして有用であり、コア層に与える損傷を抑えてクラッド層が除去されているとともに、その露出位置が精密に加工された光ファイバー及びそれを備えた布帛が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、経糸又は緯糸として光ファイバーと普通糸とが織られた光ファイバー織物と、光ファイバーの少なくとも一端部に光を照射する光源とを備え、光源からの光を光ファイバー内に入光させることにより、ドアトリム、小物部品等の自動車内装部品として利用することができる照明装置として機能する光ファイバー織物が知られている(例えば、特許文献2参照。)。そして、この光ファイバー織物では、光ファイバーと普通糸とを規則的に織り込み、織組織及び発光輝度を所定の状態に制御することにより、光ファイバー織物の発光ムラを低減することができると説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−39287号公報
【特許文献2】特開2010−267573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された光ファイバーを備える布帛は、室内装飾用品等の自動車用品などとして有用である。また、特許文献2に記載の光ファイバー織物では、織組織及び発光輝度を所定の状態に制御することにより、発光ムラを低減することができる。しかし、特許文献1、2には、周縁部からの漏光によりドット状の発光部が不明瞭になり、織物の意匠性が低下することについては全く言及されていない。
【0006】
本発明は、上述の従来技術の状況に鑑みてなされたものであり、複数本の側面発光型光ファイバーが並列に織り込まれ、この側面発光型光ファイバーにより形成された発光部等において隣接する側面発光型光ファイバーが捻じれ、位置が入れ替わってしまうことによる局所的な輝度の上昇により、例えば、車両内装用表皮材として用いたときに、車室内の意匠性が低下することを防止することができる織物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のとおりである。
1.経糸及び緯糸のうちの一方を第1構成糸とし、他方を第2構成糸として製織された織物において、
前記第1構成糸の一部が並列に織り込まれた2〜15本の側面発光型光ファイバーであり、
前記側面発光型光ファイバーが3本以上であるときに、1本又は2本の前記側面発光型光ファイバーの間に、前記側面発光型光ファイバーより小径の防捻糸が介装されていることを特徴とする織物。
2.非意匠面側において前記第2構成糸が2〜8本連続して前記側面発光型光ファイバーと交差し、意匠面側に表出した前記側面発光型光ファイバーにより発光部が形成されている前記1.に記載の織物。
3.前記側面発光型光ファイバーの径(d)と、前記防捻糸の径(d)との比(d/d)が1.2〜20.0である前記1.又は2.に記載の織物。
4.前記第2構成糸の繊度(f)と前記防捻糸の繊度(f)との比(f/f)が0.05〜20.0である前記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の織物。
5.前記防捻糸が合成樹脂製マルチフィラメントである前記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の織物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の織物では、第1構成糸の一部が並列に織り込まれた2〜15本の側面発光型光ファイバーであり、側面発光型光ファイバーが3本以上であるときに、1本又は2本の側面発光型光ファイバーの間に、側面発光型光ファイバーより小径の防捻糸が介装されている。これにより、並列する側面発光型光ファイバーが互いに捻じれ、位置が入れ替わってしまうことで、捻じれ部において側面発光型光ファイバーが交わって凸状となり、局所的に輝度が上昇し、意匠性が低下することが防止される。
また、非意匠面側において第2構成糸が2〜8本連続して側面発光型光ファイバーと交差し、意匠面側に表出した側面発光型光ファイバーにより発光部が形成されている場合は、明瞭な発光部を形成することができるとともに、発光させたときに、局所的に輝度が上昇し、意匠性が低下することが十分に抑えられる。
更に、側面発光型光ファイバーの径(d)と、防捻糸の径(d)との比(d/d)が1.2〜20.0である場合は、発光させたときに、側面発光型光ファイバーの発光が防捻糸により妨げられることがなく、且つ防捻糸は殆ど視認されることがなく、優れた意匠性を有する織物とすることができる。
また、第2構成糸の繊度(f)と防捻糸の繊度(f)との比(f/f)が0.05〜20.0である場合は、十分な強度等を有する織物とすることができるとともに、通常は側面発光型光ファイバーを捻じれさせる張力が大きくなるが、側面発光型光ファイバー間に防捻糸が介装されていることで、側面発光型光ファイバーが捻じれ、位置が入れ替わってしまうことがない。
更に、防捻糸が合成樹脂製マルチフィラメントである場合は、意匠性が低下することもなく、モノフィラメントを用いたときと比べてコスト面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1構成糸として1本の側面発光型光ファイバーが単独で織り込まれた織物の一部の模式的な斜視図である。
図2】第1構成糸として2本の側面発光型光ファイバーが隣接して織り込まれた織物の一部の模式的な斜視図である。
図3】第1構成糸して3本の側面発光型光ファイバーが隣接して織り込まれ、隣り合う2本の側面発光型光ファイバーが捻じれ、位置が入れ替わっている織物の一部の模式的な斜視図である。
図4】第1構成糸して3本の側面発光型光ファイバーが並列に織り込まれ、各々の側面発光型光ファイバーの間に防捻糸が介装された織物の一部の模式的な斜視図である。
図5】第1構成糸して4本の側面発光型光ファイバーが並列に織り込まれ、2本の隣接して織り込まれた側面発光型光ファイバーの間に防捻糸が介装された織物の一部の模式的な斜視図である。
【0010】
尚、図2の織物10では、第1構成糸1として2本の側面発光型光ファイバー11が隣接して織り込まれており、この場合、防捻糸3を介装させなくても、第2構成糸2の張力により側面発光型光ファイバー11の捻じれは抑えられ、位置が入れ替わってしまうようなことはない。しかし、並列する側面発光型光ファイバー11が2本のみであるため、狭小な発光部4となってしまい、意匠性の観点では、必ずしも好ましい織物10であるとはいえない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、図も参照しながら詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0012】
本発明の織物10は、経糸及び緯糸のうちの一方を第1構成糸1とし、他方を第2構成糸2として製織された織物10である。また、第1構成糸1の一部が並列に織り込まれた2〜15本の側面発光型光ファイバー11であり、側面発光型光ファイバー11が3本以上であるときに、1本又は2本の側面発光型光ファイバー11の間に、側面発光型光ファイバー11より小径の防捻糸3が織り込まれて介装されている。
【0013】
織物10では、第1構成糸1の一部として、側面発光型光ファイバー11が並列に織り込まれている。ここで、並列とは、第1構成糸1が経糸であるときは、側面発光型光ファイバー11が経方向に2本隣接して、又は側面発光型光ファイバー11間に1本の防捻糸3が介装されて、略平行に配列されているという意味である。一方、第1構成糸1が緯糸であるときは、側面発光型光ファイバー11が緯方向に2本隣接して、又は側面発光型光ファイバー11間に1本の防捻糸3が介装されて、略平行に配列されているという意味である。
【0014】
第1構成糸1の一部として織り込まれた側面発光型光ファイバー11の本数は2〜15本であり、3〜12本であることが好ましく、4〜10本であることがより好ましい。側面発光型光ファイバー11が2本である場合(図2参照)、前述のように、第2構成糸2の張力による側面発光型光ファイバー11の捻じれ、及び位置の入れ替わりは抑えられる。また、織物10の強度という観点ても全く問題はない。しかし、狭小な発光部4となってしまい、意匠性の観点では好ましくない。
【0015】
一方、側面発光型光ファイバー11が15本を超えると、十分な大きさの発光部4とすることができ、意匠性の観点では問題はないが、強度が低下し、実用性のある織物10とすることができない。更に、側面発光型光ファイバー11の本数が3本以上になると、隣接する側面発光型光ファイバー11間で捻じれが生じ、位置が入れ替わって凸状部aが形成されるため(図3参照)、局所的に輝度が高い発光部位を有する発光部4となってしまい、意匠性が低下する。また、この局所的に輝度が高い部位は、発光させなくても視認することができ、非発光時でも見栄えのよくない織物10となってしまう。
【0016】
上述のような隣接する側面発光型光ファイバー11間が捻じれ、位置が入れ替わることを防止するため、(1)隣接する2本の側面発光型光ファイバー11の間に防捻糸3を織り込んで介装させる形態が挙げられる。また、(2)2組の隣接する2本の側面発光型光ファイバー11の間、又は(3)1本の側面発光型光ファイバー11と1組の隣接する2本の側面発光型光ファイバー11の間、に防捻糸3を織り込んで介装させる形態が挙げられる。
【0017】
防捻糸3を介装させる形態は上記(1)、(2)及び(3)のうちのいずれであってもよいが、(1)の形態が、より確実に側面発光型光ファイバー11の捻じれ、位置の入れ替わりを防止することができるとともに、十分な強度を有し、形状の安定した織物10とすることができるため好ましい。一方、(2)、(3)の形態では、発光部4において側面発光型光ファイバー11が表出し易く、より明瞭な発光部4とすることができ、且つ強度及び形状の安定性にも特に問題のない織物10とすることができる。
【0018】
発光部4は、非意匠面側において第2構成糸2が、側面発光型光ファイバー11と連続して交差し、意匠面側に表出した側面発光型光ファイバー11により形成されている。非意匠面側において第2構成糸2と連続して交差している側面発光型光ファイバー11の本数は、明瞭な発光部4を形成すること、及び織物10の強度及び形状の安定性に問題がない範囲で特に限定されないが、2〜8本であることが好ましく、3〜7本であることがより好ましい。
【0019】
更に、側面発光型光ファイバー11の径(d)と、防捻糸3の径(d)との比は、側面発光型光ファイバー11の発光が防捻糸3により遮光されてしまい、不明瞭な発光部4となってしまったり、輝度の低い発光部4となってしまうことのない限り、特に限定されない。側面発光型光ファイバー11の径(d)と、防捻糸3の径(d)との比(d/d)は、1.2〜20.0であることが好ましい。
【0020】
また、第2構成糸2の繊度(f)と防捻糸3の繊度(f)との比(f/f)は、0.05〜20.0であることが好ましい。より具体的には、例えば、第2構成糸2の繊度(f)は50〜1000dtexであり、防捻糸3の繊度(f)は50〜1000dtexであって、且つf/f=0.05〜20.0とすることができる。これにより、第2構成糸2の張力による側面発光型光ファイバー11の捻じれ、及び位置の入れ替わりが抑えられるとともに、十分な強度及び形状の安定性を有する織物10とすることができる。
【0021】
更に、第1構成糸1のうちの防捻糸3を除く他の構成糸12の繊度(f)は特に限定されず、第2構成糸2の繊度と同程度でもよく、防捻糸3と同程度の繊度の小さい構成糸12であってもよい。
【0022】
側面発光型光ファイバー1は、側面から漏光し、発光する光ファイバーであり、通常、コア層とクラッド層とから構成されており、コア層の外周をクラッド層が被覆した構造を有する。また、コア層及びクラッド層は、それぞれ単層でもよく、複数層が積層された形態であってもよい。側面発光型光ファイバー1としては、例えば、コア層に散乱物質を配合することにより、コア層とクラッド層との境界部での全反射を生じることなく、側面から散乱光が漏光するもの、及びクラッド層の一部が除去されて、側面から漏光するものが挙げられる。更に、側面発光型光ファイバー1としては、樹脂製光ファイバー、石英系光ファイバー等の各種のものがあるが、本発明では、織物10に織り込まれる光ファイバーであるため、柔軟で曲げ衝撃等に優れ、容易に製織することができる樹脂製光ファイバーを用いることが好ましい。
【0023】
また、既存の樹脂製光ファイバー等の側面発光型光ファイバー11の直径は0.1〜10mm程度であるが、明瞭であり、意匠性に優れた発光部4を形成するためには大径の側面発光型光ファイバー11が好ましく、製織のし易さ等の観点では、小径の側面発光型光ファイバー11が好ましい。これらを併せて考慮した場合、側面発光型光ファイバー11の好ましい直径は0.25〜3.0mmであり、特に好ましい直径は0.25〜1.0mmである。
【0024】
更に、織物10に織り込まれた側面発光型光ファイバー11を発光させるためには、複数本の側面発光型光ファイバー11の先端部が束ねられ、その端面と対向する位置に光源が配置される。光源は特に限定されないが、通常、LEDが用いられる。そして、LED光源から束ねられた側面発光型光ファイバー11の端面に向けて光を照射させ、導光させることで、側面発光型光ファイバー11が発光し、発光部4が形成される。また、複数本の側面発光型光ファイバー11の先端部を束ねる場合、織物10に織り込まれた全ての側面発光型光ファイバー11を束ねてもよいが、通常、所定本数の側面発光型光ファイバー11が束ねられた複数の側面発光型光ファイバー束とされる。
【0025】
樹脂製光ファイバーのコア層としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、及びポリオレフィン系樹脂等の優れた透明性を有する樹脂が用いられていることが好ましい。更に、クラッド層としては、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデンテトラフルオロエチレン共重合樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、トリフルオロイソプロピルメタクリレート樹脂等の優れた透明性を有するとともに、コア層より屈折率が小さい樹脂が用いられていることが好ましい。
【0026】
また、側面発光型光ファイバー11を除く他の第1構成糸12、及び第2構成糸2としては、通常の合成樹脂製マルチフィラメントを用いることができる。マルチフィラメントの材質は特に限定されず、各種の合成樹脂からなるマルチフィラメントを用いることができる。この合成樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。合成樹脂としては、特にポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂が好ましい。
【0027】
更に、防捻糸3としても、合成樹脂製フィラメントを用いることができる。防捻糸3としては、マルチフィラメント又はモノフィラメントを用いることができるが、防捻糸3による織物10の意匠性の向上を考慮する必要はないため、コスト面で有利な合成樹脂製マルチフィラメントを用いることが好ましい。
【0028】
経糸又は緯糸として側面発光型光ファイバー11及び防捻糸3を用いた織物10の織製に用いる織機は特に限定されない。この織機としては、例えば、レピア織機(伊国、イテマウィービング社製、型式「G6500、R9500」)、ジャカード織機(仏国、ストーブリ社製、型式「CX880、DX110、LX1602、SXB」)、ドビー織機(仏国、ストーブリ社製、型式「UVIVAL500」)等が挙げられる。
【0029】
更に、織物10の用途は特に限定されないが、例えば、車両内装用表皮材として用いることができる。この場合、織物は、車両内装用基体に貼着され、車室内の意匠面を形成することになる。車両内装用基体は、通常、合成樹脂製の成形体であり、成形型を用いて加熱、加圧するプレス成形法により、ドアトリム、ルーフトリム等の車両用内装材の形状に成形される。
【0030】
また、車両内装用基体の成形に用いる合成樹脂は特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、及びナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂が用いられる。これらの合成樹脂のうちでは、成形のし易さ、強度等の観点でポリプロピレンが好ましい。また、剛性等の物性を向上させるため、ガラス繊維、カーボン繊維等が配合された繊維強化樹脂を用いることもできる。
【0031】
尚、前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施態様の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく、説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その態様において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の特定の構造、材料及び実施態様を詳述し、これを参照したが、これは本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、寧ろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、特にドット状の複数の発光部を備え、例えば、車両内装用表皮材として用いられ、車室内の意匠面の形成に利用することができる織物の技術分野において利用することができる。特に、ドアトリム、ルーフトリムなどの車両内装材の表皮材の技術分野において有用である。
【符号の説明】
【0033】
10;織物、11;側面発光型光ファイバー、12;第1構成糸のうちの側面発光型光ファイバーを除く他の構成糸、2;第2構成糸、3;防捻糸、4;発光部、a;凸状部。
図1
図2
図3
図4
図5