【実施例1】
【0021】
図面は本発明の1実施例を示し、
図1乃至
図10において、指示記号1のものは産業機器の1種である事務機器に含まれる複写機、指示記号2のものは機器本体、指示記号3のものは開閉体、指示記号4はコンタクトガラス、指示記号5のものは開閉体の開閉装置である。この開閉体の開閉装置5は、図示してないが、通常一対用いられる。しかしながら、使用態様によっては図示したもの1個でもよい場合がある。以下開閉体3の開閉装置5の構成を図面に基づいて説明する。
【0022】
この開閉体3の開閉装置5は、産業機器の1種である事務機器に含まれる複写機1の機器本体2と、この機器本体2に対し開閉体3である原稿圧着板を開閉可能に取り付ける開閉体3の開閉装置5であって、前記機器本体2側へ後部側に並置させる一対のヒンジ機構11、21と、この各ヒンジ機構11、21の間に位置させて同じく前記機器本体2側の後部側に取り付けられるダンパー機構25と、前記各ヒンジ機構11、21と前記ダンパー機構25に作用するリンク機構30とで構成し、前記開閉体3の開閉操作時に前記一対のヒンジ機構11、21と前記ダンパー機構25とリンク機構30が同時に動作するように成したたことを特徴とする。
【0023】
ヒンジ機構11、21の構成は、実施例ではどちらも同じであるので、一方のヒンジ機構11について説明する。したがって、もう一方のヒンジ機構21に付けた部材名は、指示記号が異なっていても、或は指示記号が付されていなくとも、以下に説明するヒンジ機構11の部材名とその構成及び作用が同じである。
【0024】
ヒンジ機構11は、とくに
図6乃至
図9に示したように、背板12aと、この背板12aの両側から垂設された一対の側板12b、12bと、この各側板12b、12bの下端部から外側に向けて形成された一対の取付板12c、12cと、背板12aの先端部から下方へ各側板12b、12bに挟まれて垂下された前板12dと、前記背板12aと、一対の側板12b、12bと、前板12dとの間で形成されたケース部12eから成る取付部材12と、この取付部材12のケース部12e内の前板12d側に収装されたスプリング受部材13と、このスプリング受部材13に対向させてケース部12e内の後部側にスライド可能に収装させたスライダー14と、このスライダー14をそのスライド方向と直交する方向に設けた挿通孔14aを貫通しつつ、一対の側板12b、12bの後端部側に設けた一対のガイド溝12f、12fにスライド可能に係合させたスライドシャフト15と、スライダー14とスプリング受部材13との間に弾設された例えば圧縮コイルスプリングから成る一対の弾性部材16、16と、取付板部17aとこの取付板部17aの両側から上方へ形成させた一対の側板17b、17bを有し、この各側板17b、17bを取付部材12の各側板12b、12bの先端側にヒンジシャフト18で回転可能に連結された支持部材17と、で構成されている。
【0025】
取付部材12の各取付板12c、12cは、ヒンジ機構11の取付部材12の取付板12c、12c及び後述するするヒンジ機構21の取付部材22の各取付板22c、22cと共に機器本体2の後端部の上面に取り付けるベースプレート6に取付ネジ6bを介して固着される構成であるが、このベースプレート6は、これがあると開閉体3の開閉装置5の機器本体2上への取り付けが容易である。ベースプレート6の両側部には折曲片6a、6aが設けられており、ヒンジ機構11、21とダンパー機構25の位置決めと変形防止に役立っている。
【0026】
そして、弾性部材16、16の一方の側には、スプリング受部材13内に設けた受座部12iに係合片20aを介してネジ着させてそのネジ頭19aを前板12dに設けた挿通孔
12hより外側へ突出させた調節ネジ19から成る弾力調節手段20が設けられている。尚、ヒンジ機構11と21の各支持部材17と23は、取付ネジ24aを介して連結プレート24で連結されており、この連結プレート24が、とくに
図4と
図5に示したように、開閉体3の後端部へ取り付けられる構成である。この連結プレート24もこれがあると、支持部材17と23の開閉体3への取り付けが容易であるという利点がある。
【0027】
ダンパー機構25は、図面に示し、また上記したようにヒンジ機構11と21の間のベースプレート6上に取り付けられて設けられている。即ち、このダンパー機構25は、背板26aと、この背板26aの両側から垂設された一対の側板26b、26bと、背板26aの一端部側から下方へ垂下させた前板26cと、この前板26cから外側へ形成させた取付板26dとを有する取付部材26と、前記背板26aと、一対の側板26b、26bと、前板26cとで形成されたケース部26e内の後部側に収装されたスライダー27と、このスライダー27と前板26cとの間に弾設させた例えば圧縮コイルスプリングから成る弾性部材28と、この弾性部材28の中に収納されて前板26cとの間に収装させた流体ダンパー29とで構成されており、スライダー27は、一対の側板26b、26bに設けたガイド溝26f、26fとスライド可能に係合しているところのヒンジ機構11から伸びているスライドシャフト15を、その両側部に設けたガイド溝27a、27aと係合させている。
【0028】
リンク機構30は、ヒンジ機構11と21の各取付部材12と22の各両側板12b、12b・22b、22bに添って設けられ、ヒンジシャフト18と33を支点として旋回する各支持部材17と23の両側板17b、17b・23b
、23bに連結ピン31と34を介してその一端部側を回転可能に連結し、他端部側をスライドシャフト15に同じく回転可能に連結させたところの3本のリンク部材32、32、32で構成されている。このリンク部材32、32、32は先端側に上方へ折り曲げた折曲部32a、32a、32aを有し、
図11に示したように、開閉体5の開閉操作に伴う支持部材17と25の回転動作により、スライドシャフト15を支点に旋回しつつ前後方向へスライドする構成である。実施例では3枚のプレートを重ね合わせて構成されているが、このものに限定されない。また、折曲部32a、32a、32aはこれを逆方向に折り曲げても良い。
【0029】
次に、以下に本発明に係る開閉体の開閉装置5の動作について説明する。まず、開閉体3を閉じた状態のときには、
図11に実線で示したように、各リンク部材32、32、32は最も前方に旋回移動した状態にある。この状態においては、各リンク部材32、32、32に引っ張られてスライドシャフト15も前方に移動した位置にあり、ヒンジ機構11のスライダー14とダンパー機構25のスライダー27及びヒンジ機構21の図示してないスライダーは、スライドシャフト15に連結されていることから共に最も前方へ移動し、ヒンジ機構11の弾性部材16、16及びダンパー機構25のスライダー27、及び図示してないヒンジ機構21の弾性部材を最も圧縮させている。そして、ダンパー機構25のスライダー27は、流体ダンパー29のピストンロッド29aの先端をシリンダー29b内部へ押圧させている。
【0030】
したがって、この閉成状態においては、
図11に示したように、リンク部材32、32、32が指示記号F1の方向へ引っ張られていることから、開閉体3は閉成方向へ回転付勢され、コンタクトガラス4上に載置させたところの図示してない原稿を当該コンタクトガラス4上へ圧着させている。
【0031】
この閉成状態から、開閉体3を開いて行くと支持部材17と23がヒンジシャフト18と33を支点に時計方向へ回転して行くことから、リンク機構30のリンク部材32、32、32は、スライドシャフト15を支点に
図11に記号F2、F3で示した方向へ旋回しつつ後方へ移動することになり、開閉体3はその本来の重量を感じさせることなく軽く開くことが可能となる。
【0032】
また、開閉体3は、その開成角度により、当該開閉体3がヒンジシャフト18と33の回りに発生させる回転トルクと弾性部材16と図示してないヒンジ機構21の弾性部材の弾力が均衡する角度において、自然落下することなく保持され、開閉体3から手を放しても自然落下することなく保持されることから、両手を用いて原稿のコンタクトガラス4に対しての載置乃至取り外しを行なうことができる。
【0033】
開閉体3をさらに開いて行くと、リンク機構30のリンク部材32、32、32を介してヒンジ機構11と21の各支持部材17と23が開閉体3を開く方向へ強く回転付勢されることから、開閉体3を
図10に示したように90度開いた状態においても、外部からの振動などにより、当該開閉体3が自然落下することを防止することができるものである。
【0034】
開いた開閉体3を閉じて行くと、所定の閉成角度から、ダンパー機構25のスライダー27が流体ダンパー29のピストン29aに当接してこれをシリンダー29b内部へ押圧することにより、ダンパー動作がなされ、開閉体3が慣性力により急激に閉じられることを防止することができるものである。
【0035】
本発明に係る開閉体3の開閉装置5は、一対のヒンジ機構11と21とダンパー機構25とリンク機構30がスライドシャフト15を介して同時に動作するように構成した点に特徴がある。
【0036】
弾力調節手段20と35は、調節ネジ19と36のネジ頭19aと36aを左右へ回転させると、ヒンジ機構11のスライダー14とヒンジ機構21の図示してないスライダーが弾性部材16と図示してないスライダーの軸方向へスライドすることから、これにより、ヒンジ機構11と21の弾性部材16と図示してない弾性手段の弾力を微調節することができるものである。
【0037】
スライドシャフト15は、上記したように、ヒンジ機構11のスライダー14と、ダンパー機構25のスライダー27と、ヒンジ機構21の図示を省略したスライダーを各スライダーのスライド方向と直交する方向に貫通しており、ヒンジ機構11とダンパー機構25とヒンジ機構21とリンク機構30が同時に動作させられる構成である。
【実施例2】
【0038】
図12乃至
図13は、本発明に係る開閉装置を産業機器の一種である自動車のワンボックスカー100の上下方向に開くバックドア102に実施した実施例を示す。図面によれば、
図12に示したように、ワンボックスカー100の機器本体(自動車本体)101の上部とバックドア102の上端部の間には、実施例1に係る開閉装置5、5が取り付けられている。より具体的には、
図13に示したように、開閉装置5の取付部材12が機器本体101のルーフ103側へベースプレート6を介して取り付けられ、支持部材17がバックドア102側へ連結プレート24を介して取り付けられている。
【0039】
したがって、バックドア102を、
図13の(a)に示したように、閉じた状態から上方へ開くと、バックドア102が上方へ開かれるにつれて、当該バックドア102に取り付けた支持部材17が弾性部材(図示せず)とリンク機構30によって、
図13の(b)に示したように、開成方向へ回動付勢されるので、これに伴ってバックドア102は所定の開成角度から上方へ回動付勢されることにより自動的に開かれ、この開成状態を停止安定的に保持させることができるものである。