(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体を流す通路を内部に有する筒状体と、前記流体を通過させる通過部を備え前記通路に前記流体の流れ方向に間隔をおいて複数設けられる面状発熱体とを有する熱風生成装置であって、
前記筒状体は、その上流側端部に前記流体を外部から導入する吸気口と前記通路の入口とを連通させる連通空間を備え、
前記連通空間に、前記通路内の温度を測定する熱電対と外部計測器とを接続する熱電対接続部及び/又は前記面状発熱体に接続された接続部材と外部電源とを電気的に接続する発熱体接続部を位置させる熱風生成装置。
前記連通空間に前記熱電対接続部及び前記発熱体接続部を位置させてあり、前記熱電対接続部は接続線を含み、前記発熱体接続部よりも前記吸気口に近づけて位置させてある請求項1記載の熱風生成装置。
前記連通空間は、前記筒状体の上流側端部に固定されるハウジングとこのハウジングを密閉する蓋とにより形成され、前記蓋の外面には、前記発熱体接続部及び/又は前記熱電対接続部を固定する固定部と前記固定部を覆うカバーを取り付ける支柱とが設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の熱風生成装置。
前記面状発熱体の幅方向端部を保持する保持部材をさらに有し、前記保持部材は、一つの面状発熱体の一方の幅方向端部のみを保持する第一保持部材と、隣接する面状発熱体の各幅方向端部を保持する第二保持部材よりなり、前記第二保持部材は前記通路を横断して位置すると共に前記第一保持部材は各々が前記第二保持部材に対向して位置し、前記第一、第二保持部材は、前記通路を塞ぐように前記流体の流れ方向に交差する方向に前記面状発熱体を複数枚保持する請求項1〜9のいずれかに記載の熱風生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、簡素な構造ながら、高温による誤作動や精度低下を防止し、所望の熱風を安定して生成することが可能な熱風生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る熱風生成装置の特徴は、流体を流す通路を内部に有する筒状体と、前記流体を通過させる通過部を備え前記通路に前記流体の流れ方向に間隔をおいて複数設けられる面状発熱体とを有する構成において、前記筒状体は、その上流側端部に前記流体を外部から導入する吸気口と前記通路の入口とを連通させる連通空間を備え、前記連通空間に、前記面状発熱体に接続された接続部材と外部電源とを電気的に接続する発熱体接続部及び/又は前記通路内の温度を測定する熱電対と外部計測器とを接続する熱電対接続部を位置させることにある。
【0006】
上記特徴によれば、前記筒状体は、その上流側端部に前記流体を外部から導入する吸気口と前記通路の入口とを連通させる連通空間に、前記面状発熱体に接続された接続部材と外部電源とを電気的に接続する発熱体接続部及び/又は前記通路内の温度を測定する熱電対と外部計測器とを接続する熱電対接続部を位置させるので、外部より導入された加熱前の流体を用いて連通空間に位置する接続部を冷却させることができ、冷却効率がよい。しかも、加熱前の流体であるので、連通空間に位置する接続部の熱を奪ったとしても通路で加熱され熱風として排出されるので、エネルギーの無駄もない。そして、その接続部分を装置稼働中に常に冷却するので、高温による誤作動や精度低下を防止し、所望の温度や流量の熱風を安定して生成することが可能となる。
【0007】
前記連通空間に前記熱電対接続部及び前記発熱体接続部を位置させてあり、前記熱電対接続部は接続線を含み、前記発熱体接続部よりも前記吸気口近傍に位置させてあるとよい。これにより、吸気口より導入された流体は、まず始めに接続線を含む熱電対接続部に衝突するが、このような線材に流体が衝突したとしても、流体の流速の低下は僅かであり、流体の拡散もほとんど生じない。よって、発熱体接続部を冷却する流体は、導入された流体と同等のものであるので、効率よく発熱体接続部及び熱電対接続部の双方をより効率よく冷却できる。
【0008】
前記連通空間には、前記通路の入口に対向する遮蔽板が設けられているとよい。これにより、通路の入口から放出される輻射熱(放射熱)を遮ることができ、発熱体接続部及び熱電対接続部を含む連通空間内の温度上昇を抑制して、さらに効率よく加熱前の流体を用いて各接続部を冷却できる。また、遮蔽板は、輻射熱(放射熱)によって熱せられ、それ自体の温度が上昇するが、吸気口から導入される加熱前の流体に晒されるので、遮蔽板自体の温度上昇を抑え、不要な放熱を防止し熱効率を向上させることができる。
【0009】
係る場合、前記遮蔽板は、前記吸気口から前記連通空間への前記流体の導入方向に平行をなす平板であるとよい。これにより、吸気口から連通空間へ導入された流体は遮蔽板の面部分に衝突することがないので、衝突による流体の流速低下及び拡散を抑制するができ、冷却効率の低下を防止できる。
【0010】
さらに、前記遮蔽板は、前記吸気口から前記連通空間への前記流体の導入方向に平行となす一対の板状の支持部材によって支持されているのが望ましい。これにより、板状の支持部材への衝突による流体の流速低下及び拡散を抑制でき、さらに冷却効率の低下を防止できる。また、前記遮蔽板は、棒状の支持部材によって支持されていても構わない。この構成においても、流体の流速低下及び拡散を抑制ができ、さらに冷却効率の低下を防止できる。
【0011】
前記連通空間は、前記筒状体の上流側端部に固定されるハウジングとこのハウジングを密閉する蓋とにより形成され、前記蓋の外面には、前記発熱体接続部及び/又は前記熱電対接続部を固定する固定部と前記固定部を覆うカバーを取り付ける支柱とが設けられているとよい。これにより、稼働中の安全性を確保できる。
【0012】
前記筒状体は、その周囲をケースで覆われているとよい。これにより、断熱性及び気密性を向上させる。係る場合、前記筒状体の下流側及び前記ケースは、その周囲をカバーで覆われているとよい。これにより、稼働中の安全性を確保できる。
【0013】
上記いずれかの構成において、前記面状発熱体の幅方向端部を保持する保持部材をさらに有し、前記保持部材は、一つの面状発熱体の一方の幅方向端部のみを保持する第一保持部材と、隣接する面状発熱体の各幅方向端部を保持する第二保持部材よりなり、前記第二保持部材は前記通路を横断して位置すると共に前記第一保持部材は各々が前記第二保持部材に対向して位置し、前記第一、第二保持部材は、前記通路を塞ぐように前記流体の流れ方向に交差する方向に前記面状発熱体を複数枚保持するとよい。
【0014】
上記特徴によれば、保持部材は一方の幅方向端部を保持する第一保持部材と隣接する面状発熱体の各幅方向端部を保持する第二保持部材よりなり、第二保持部材は通路を横断して位置すると共に第一保持部材は各々が第二保持部材に対向して位置するので、面状発熱体において熱変形が最も生じやすい発熱体部分に第二保持部材を配置でき、熱変形が抑制され脱落も防止することができる。しかも、第一、第二保持部材は、通路を塞ぐように流体の流れ方向に交差する方向に面状発熱体を複数枚保持するので、熱交換を効率的に行うことが可能となり、より高温の熱風を生成することが可能となる。
【0015】
係る構成において、複数枚の面状発熱体は2枚であり、前記第二保持部材を挟んで同一平面上に対称に配置されているとよい。これにより、面状発熱体2枚を対称配置できるので、熱交換もバランス良く行われる。また、前記通過部は、前記面状発熱体の幅方向端部間に形成されたスリットである。
【発明の効果】
【0016】
上記本発明に係る熱風生成装置の特徴によれば、簡素な構造ながら、高温による誤作動や精度低下を防止し、所望の熱風を安定して生成することが可能なとなった。
【0017】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、
図1〜12を参照しながら、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る熱風生成装置1は、
図1,2,5,8に示すように、大略、例えば流体Gとしての空気を流す通路3を内部に有する筒状体2と、この流体Gを通過させる通過部41を備え通路3に流体Gの流れ方向Fに沿って複数設けられる面状発熱体4と、面状発熱体4の幅方向端部42を保持する保持部材5を有する。なお、本実施形態において、熱風生成装置1は横向きに設置され、流体Gの流れ方向Fは鉛直方向Zに直交する水平方向となる。
【0020】
図1〜5,8に示すように、筒状体2は略角筒状を呈し、その上流側Uには流体Gを外部から導入する吸気口11と通路3の入口部31とを連通させる連通空間6が設けられている。一方、下流側Dには、通路3を通過して加熱された流体G(熱風)を出口部32から装置外部へ排出する排気口12が設けられている。なお、筒状体2の形状はこれに限られるものではなく、例えば略円筒形状に形成してもよい。
【0021】
図1,2,8に示すように、筒状体2の周側面2aは、例えば保温断熱材2sを挟んで金属製のケース7a,7bで覆われてあり、この保温断熱材2sにより断熱性を向上させてある。さらに、金属製のケース7a,7b及び筒状体2の下流側外面2b並びに連通空間6の蓋板62は、金属製のカバー8a〜dで覆われている。筒状体2は稼働時に高温となるため、カバー8a〜dにより安全性を確保する。特に、高温となる筒状体2の側面2a及び出口部32近傍に対向するカバー8a,8b,8dには、複数の通気孔8eが設けられている。なお、筒状部2には、各カバー8a〜d及び脚部9をネジやボルト等で連結固定する固定台2xが設けられている。
【0022】
筒状体2は、
図3〜5,8に示すように、流体Gの流れ方向Fに沿って配列された複数の連結部材20によって構成される。これら連結部材20が長尺ボルト等の締結手段29によって連結固定されることで、各連結部材20の中空部21が連通して通路3が形成される。なお、連結部材20は、例えば、断熱ボードを切削加工して作成される。しかし、連結部材20の材料は、これに限られるものではない。例えば、アルミナ質、アルミナシリカ質、ムライト質、ジルコン質又はコージライトを主体とする材料より構成される碍子であってもよく、使用温度等に応じて適宜変更するとよい。
【0023】
通路3は、
図8に示すように、後述の連通空間6に接続される入口部31と、排出口12に接続される出口部32と、これら直線状の入口部31及び出口部32より大径の加熱部33よりなる。入口部31及び出口部32と加熱部33とは、上流、下流テーパー部34、35により接続されている。本実施形態では、加熱部33の下流テーパー部35の近傍及び出口部32と下流テーパー部35との合流付近の2カ所に熱電対13,14が配置されている。
【0024】
面状発熱体4は、
図5〜7,12に示すように、板状に且つ矩形状に形成され、複数のスリット41を幅方向端部42,42から交互に鉛直方向Zに切り込むことで蛇行状の電流路40が形成されている。このスリット41が、流体Gを上流側Uから下流側Dへと流通させる通過部となる。電流路40の両端には、他の面状発熱体4と電気的に接続する第一接続部材15に接続される端子部40xを有する。面状発熱体4は、例えばFe−Cr−Alやニッケルクロム合金等の導電性材料より構成されるが、使用温度等に応じて適宜変更するとよい。
【0025】
保持部材5は、
図5〜7に示すように、一つの面状発熱体4の一方の幅方向端部42のみを保持する第一保持部材50Aと、隣接する面状発熱体4の各幅方向端部42,42を保持する第二保持部材50Bよりなる。本実施形態では、これら第一、第二保持部材50A,50Bに同一の部材を用いる。
図11に示すように、第一、第二保持部材50A,50Bは略H字形状を呈し、その長手方向に沿って溝部51が形成されている。この溝部51に面状発熱体4の幅方向端部42を嵌入すれば面状発熱体4を保持できるので、構造が極めて簡素である。なお、第一、第二保持部材50A,50Bは、例えば上述の碍子と同様の材料で構成される。
【0026】
ここで、連結部材20は、
図10A,10Bに示すように、大略、通路3を構成する中空部21と、第一保持部材50Aの一方の幅方向端部52を嵌入させる第一凹部22と、第二保持部材50Bの端部53を嵌入させる第二凹部23を有する。第一、第二凹部22,23は、連結部材20の両面(流体Gの流れ方向Fの上流側U及び下流側Dの双方)の中空部21の縁部に設けられる。よって、隣接する連結部材20,20の第一、第二凹部22,23は互いに対向し、第一、第二保持部材50A,50Bが嵌入される嵌入部を構成する。この構成によれば、連結部材20に1つの凹部を形成し嵌入部とするよりも、連結部材20を薄くでき且つ強度の低下も抑えられる。また、連結部材20を薄くすることで、互いの面状発熱体4をより近接配置できるので、熱交換の効率を向上させることもできる。
【0027】
第一凹部22は中空部21の上縁部21a及び下縁部21bに沿って形成され、第二凹部23は第一凹部21,21の中央に形成されている。これにより、
図5,7に示すように、通路3の鉛直方向Zの中央で第二保持部材50Bを水平方向に横断させると共に、第一保持部材50A各々を第二保持部材50Bを挟んで鉛直方向Zに対向させる。面状発熱体4は、中空部21の縁部から離隔するに従い熱変形を生じやすいので、中空部21の中央に第二保持部材50Bを配置することで、面状発熱体4の熱変形を抑制して脱落を防止できる。しかも、2枚の面状発熱体4,4を第二保持部材50Bを挟んで同一平面上に対称に配置できるので、熱交換のバランスもよい。
【0028】
第一、第二凹部22,23との間には、面状発熱体4の端子部40xを配置させる第一溝部24が設けられている。この第一溝部24により、端子部40xが隣接する連結部材20,20で挟持され、面状発熱体4の脱落が防止される。また、第一溝部24は、流れ方向Fの上流側Uの連結部材20の表面にのみ形成されており、面状発熱体4を低温の上流側Uに配置させることで熱交換の効率を向上させる。
【0029】
さらに、連結部材20の下外面20aには、外部電源と接続する第二接続部材16を配置させる第二溝部25が形成されている。
図3,4に示すように、第二接続部材16は通路3の長手方向(流体Gの流れ方向F)に沿って長いので、面状発熱体4を連結部材20の外面(通路3外側)で電気的に接続すると共に位置ズレも防止する。なお、一部の連結部材20には、熱電対13,14を貫通させる貫通孔26が形成されている。
【0030】
ところで、面状発熱体4は、通路3の加熱部33を複数のゾーンに分けるように接続されている。本実施形態の例では、
図3〜6に示すように、面状発熱体4は、外部電源と接続する第二接続部材16の端部には、連結部材20の外周面に沿って配置された第三接続部材17が接続され、第三接続部材17の他端は面状発熱体4の端子部40xと接続される。そして、各面状発熱体4は、端子部40xを介して第一接続部材15で接続される。
【0031】
通路3を流れる流体Gは下流側Dへ流れるに従い高温となるので、上流側Uに比べ下流側Dは、多くの熱交換を要しない。上流側Uに比べ下流側Dが高温となりやすい。従って、ゾーン毎に温度制御することで、下流側Dの面状発熱体4の過剰な温度上昇による断線を防止する。また、無駄なく効率よく熱交換を行うことができる。なお、本実施形態では、
図6Aに示すように、上流側Uから1、2番目及び3番目上段の面状発熱体4が接続されて回路A1と構成し、上流側Uから3番目下段及び4,5番目の面状発熱体4が接続されて回路B1を構成する。同様に、同6〜8番目の面状発熱体4が回路C1、同9,10番目の面状発熱体4が回路B2、同11〜13番目の面状発熱体4が回路C2を構成する。そして、
図6Bに示す如く結線される。
【0032】
連通空間6は、
図1,8,9に示すように、周囲を取り囲むハウジング61と蓋板62により構成される。連通空間6には、通路3内に配置した熱電対13,14と装置外部の計測器等とを接続する熱電対接続部70及び面状発熱体4と外部電源とを接続する発熱体接続部80がハウジング及び蓋板62を貫通して位置させてある。この連通空間6(バッファ室)内で、これら接続部70,80の各部材を吸気口11から導入した通路3で加熱される前の流体G(空気)で冷却する。蓋板62の外面には、カバー8cを取付支持する支柱66が立設されている。
【0033】
本実施形態において、熱電対接続部70は、熱電対13,14に接続された接続線としての第一補償導線71と、蓋板62に設けた導線取付部65に接続された接続線としての第二補償導線72と、これら補償導線71,72を繋ぐ接続部73よりなる。発熱体接続部80は、帯状の第二接続部材16の一端と接続する第一端子部81と、蓋板62に設けた第二端子部82と、これら端子部81,82を繋ぐ幅広のフレキシブルリード83からなる。熱電対接続部70及び発熱体接続部80は、筒状体2内部の部材と装置外部との電力や信号等の入出力経路(手段)と解することができ、このような入出力経路(手段)を連通空間6においてを冷却する。
【0034】
ここで、補償導線71,72及び端子部81,82はハウジング61及び蓋板62を貫通するため、テフロン(登録商標)製のワッシャやシリコンゴム等のシール材90が装着されてある。このような一般的なシール材90は耐熱性が低いため、高温になると気密性が低下する場合がある。しかし、連通空間6には加熱前の流体Gが導入されるので、連通空間6内の温度上昇は抑制され、耐熱性に優れた特殊なシール材を用いなくても気密性を維持できる。
【0035】
また、本実施形態では、吸気口11側に熱電対接続部70に配置し、通路3の入口部31よりも下方に発熱体接続部80を配置している。熱電対接続部70は、上述したように、補償導線71,72等の線状部材で構成されているので、吸気口11より導入された流体Gがこれら部材に衝突しても、速度(流速)の低下はほとんどなく、衝突による拡散もほとんどない。一方、発熱体接続部80は熱電対接続部70よりも幅広や大径のリード部材であるので、流体Gの衝突により速度低下や拡散が生じやすく、連通空間6内での循環(流れ)が乱れるため、冷却効果も損なわれる。このように、熱電対接続部70を発熱体接続部80よりも吸気口11に近づけて配置することで、流体の速度低下及び分散を抑制し冷却効果の低減を抑制できる。
【0036】
さらに、ハウジング61には、
図8,9に示すように、通路3の入口部31(開口)に対向する遮蔽板63と、この遮蔽板63を支持する一対の板状の支持部材64,64が設けられている。遮蔽板63により、通路の入口から放出される輻射熱(放射熱)を遮ることができ、連通空間6内の温度上昇を抑制する。また、遮蔽板63は、入口部31からの輻射熱によって熱せられ、自身の温度が上昇する。しかしながら、遮蔽板63は、吸気口11から導入される加熱前の流体Gに晒されて冷却されるので、遮蔽板63自体の温度上昇が抑えられる。ここで、遮蔽板63を設けない場合、輻射熱によって蓋板62が加熱されることとなり、その熱は外部に放熱される。従って、遮蔽板63を連通空間6に設けることで、無駄な熱損失を抑制し、熱回収及び熱効率を向上させると共に省エネにも寄与できる。
【0037】
また、遮蔽板63及び一対の板状の支持部材64,64は、流体Gの導入方向F’と平行である。これにより、吸気口から導入された流体Gは遮蔽板63及び支持部材64の側面(厚み部分)に衝突し面部分に衝突しないので、流体Gの流速低下及び拡散を抑制でき、冷却効率がよい。流体Gが支持部材64に衝突して流速が低下し分散することを防止することができる。
【0038】
ここで、発明者らは、
図13A〜Eに示す連通空間6において、流体Gの流れのシミュレーション実験を行った。
図14A〜Eにその結果を示す。なお、符号70’,80’は、熱電対接続部70及び発熱体接続部80を簡略化して模したものである。また、図中の線の濃淡は速度の大小を示し、濃いほど高速である。また、線の粗密で流量を表してある。
【0039】
図13Aに示す連通空間6Aには、遮蔽板63及び整流板69を設けられていない。
図14Aに示すように、吸気口11からの流体Gは、吸気口11の真下の熱電対接続部70’を通過し、その下方の発熱体接続部80’を通過する。ここまで、速度の低下はあまり見られない。そして、ハウジング61の下面61bに衝突し、側面61dに沿って上昇して入口部31に進入する。ハウジング61の壁面に沿ったスムースな循環となっている。このように、ハウジング61の下面61bに衝突する前に熱電対接続部70及び発熱体接続部80に衝突させるので、速度低下や分散が抑えられ冷却効果が高い。
【0040】
図13Bに示す連通空間6Bには、入口部31の上縁に沿って半円筒状の支持部材64Bが立設され、円形の遮蔽板63Bを支持している。支持部材64Bは、整流板69Bとしても機能する。
図14Bに示すように、導入された流体Gは、吸気口11の直下の真下の熱電対接続部70’を通過した後、円形の遮蔽板63Bに衝突する。この衝突により速度が大きく低下し且つ分散が生じる。しかも、分散した気流の一部は、直接入口部31に進入している。そして、残りの気流が遮蔽板63Bの下方の発熱体接続部80’を通過し、ハウジング61の下面61bに衝突する。この態様の場合、
図13Aと比較し、冷却効果が低下していることが伺える。
【0041】
図13Cに示す連通空間6Cは、入口部31の上部に三角形状の支持部材64Cが立設され円形の遮蔽板63Bを支持している。支持部材64Cは、整流板69Cとしても機能する。
図14Cに示すように、この場合も連通空間6Cと同様に、三角形状の遮蔽板63Cに衝突によって、速度が大きく低下し且つ分散が生じるため、冷却効果は低くなる。
【0042】
図13Dに示す連通空間6Dには、吸気口11直下に三角形状の整流板69Dを設けると共に、入口部31に対向する遮蔽板63と、遮蔽板63を支持する一対の板状の支持部材64,64が設けられている。
図14Dに示すように、導入された流体Gは、熱電対接続部70’を通過する前に整流板69Dに衝突し、速度低下及び分散が生じている。この衝突によって、速度が大きく低下し且つ分散が生じるため、冷却効果は低くなる。
【0043】
一方、
図13Eに示す如き本発明の第一実施形態の態様では、
図14Eに示すように、吸気口11から取り込まれた流体Gが、遮蔽板63及び支持部材64に衝突して流速が急速に低下して分散することが抑制されるので、冷却効果は高い。しかも、ハウジング61の下面61bに衝突し、側面61dに沿って上昇して入口部31に進入しており、スムースな循環となっている。さらに、
図13Aの態様と異なり、遮蔽板63を設けてあるので、輻射熱を抑制でき、さらに冷却効果を高めている。
【0044】
最後に、本発明のさらに他の実施形態の可能性について説明する。なお、以下の実施形態において、上述の実施形態と同様の部材には同一の符号を附してある。
上記実施形態において、吸気口11をハウジング61の上面61aに設けた。しかし、吸気口11は、例えば
図15に示すように、ハウジング61cの側面61dに設けることも可能である。すなわち、流体Gの導入方向F’を鉛直方向Zと交差(直交)する方向にすることも可能である。但し、係る場合においても、上記実施形態と同じく、水平方向に沿って第一、第二保持部材50A,50Bを配置して、面状発熱体4の幅方向端部42を水平方向に沿うように保持する。第一、第二保持部材50A,50B及び面状発熱体4の幅方向端部42を鉛直方向Zに沿って配置すると、自重により熱変形しやすくなり、短絡する場合がある。
【0045】
上記実施形態において、保持部材5を略H字形状に形成したが、例えば
図16に示すように、角を面取りすると共に傾斜面54を設けて保持部材5の抵抗を抑制してもよい。
【0046】
上記実施形態において、熱風生成装置1を横向きに設置したが、流体Gの流れ方向Fが鉛直方向Zに沿う縦向きにしても構わない。係る場合、
図17に示すように、流体Gを装置の下部から上部に向けて流通させてもよく、上部から下部に向けて流通させても構わない。また、鉛直方向Zと交差するように設置することも可能である。いずれの態様においても、本発明の保持部材の配置構成により、面状発熱体4脱落は防止される。
【0047】
上記実施形態では、同一形状の面状発熱体4を用いたが、例えば上流側Uの面状発熱体4と下流側Dの面状発熱体4の形状を異ならせても構わない。なお、上記実施形態におけるゾーン分け、接続態様はあくまで一例に過ぎない。
【0048】
上記実施形態において、連結部材20、面状発熱体4及び保持部材5で組をなし、これを13組連結固定したが、これに限られるものではなく、適宜個数及び組み合わせて配列するとよい。また、上記実施形態では、面状発熱体4を2枚同一平面上に対称に配置したが、2枚に限らず、複数枚であってもよい。
【0049】
上記実施形態において、流体Gとして空気を例に説明したが、これに限られるものではなく、例えば水素、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム等の気体に対しても適用可能である。
【0050】
上記実施形態において、接続部材として碍子を用いたが、これに限られるものではなく、例えばセラミックボードを切削加工したものであってもよく、断熱性や絶縁性を確保できる態様であれば特に限定されるものではない。保持部材も同様である。
【0051】
上記実施形態において、連通空間6に入出力経路(手段)として熱電対接続部70及び発熱体接続部80の双方を貫通させて位置させたが、いずれか一方の接続部のみでも構わない。
【0052】
上記実施形態では、筒状体2の周側面2aは、保温断熱材2sを挟んで金属製のケース7a,7bで覆わった。しかし、筒状体2を固定、支持できる態様であれば、例えば
図15に示すように、保温断熱材2sを省略して空間Sを設け、空気断熱とすることも可能である。
【0053】
上記実施形態において、熱電対接続部70の接続線としての補償導線を用いた。しかし、例えばハウジング61及び蓋板62との貫通部分におけるシール性(気密性)や当該部分での耐久性(カシメに対する強度)を有するものであれば、接続線は補償導線71,72に限られない。また、発熱体接続部80の各端子部81,82を繋ぐ幅広のフレキシブルリード83もこの態様に限られるものではない。
【0054】
また、本願は、以下の発明を包含するものである。
熱風生成装置の特徴は、流体を流す通路を内部に有する筒状体と、前記流体を通過させる通過部を備え、前記通路に前記流体の流れ方向に沿って複数設けられる面状発熱体と、前記面状発熱体の幅方向端部を保持する保持部材を有する構成において、前記保持部材は、一つの面状発熱体の一方の幅方向端部のみを保持する第一保持部材と、隣接する面状発熱体の各幅方向端部を保持する第二保持部材よりなり、前記第二保持部材は前記通路を横断して位置すると共に前記第一保持部材は各々が前記第二保持部材に対向して位置し、前記第一、第二保持部材は、前記通路を塞ぐように前記流体の流れ方向に交差する方向に前記面状発熱体を複数枚保持することにある。
【0055】
上記特徴によれば、保持部材は一方の幅方向端部を保持する第一保持部材と隣接する面状発熱体の各幅方向端部を保持する第二保持部材よりなり、第二保持部材は通路を横断して位置すると共に第一保持部材は各々が第二保持部材に対向して位置するので、面状発熱体において熱変形が最も生じやすい発熱体部分に第二保持部材を配置でき、熱変形が抑制され脱落も防止することができる。しかも、第一、第二保持部材は、通路を塞ぐように流体の流れ方向に交差する方向に面状発熱体を複数枚保持するので、熱交換を効率的に行うことが可能となり、より高温の熱風を生成することが可能となる。
【0056】
複数枚の面状発熱体は2枚であり、前記第二保持部材を挟んで同一平面上に対称に配置されている。これにより、面状発熱体2枚を対称配置できるので、熱交換もバランス良く行われる。
【0057】
前記流体の流れ方向は鉛直方向に沿ってあり、前記第二保持部材は前記通路の中央部を横断して位置する。係る場合、流体の流れ方向は鉛直方向となる。この場合、通路の中央部が発熱体の自重によって最も熱変形が生じやすい箇所となる。その箇所に、第二保持部材を位置させるので、流体の流れ方向を鉛直方向としても、熱変形が抑制され面状発熱体の脱落も防止できる。
【0058】
前記流体の下流側は前記筒状体の下端であり、前記筒状体の下端側に少なくとも外部電源に接続する接続端子部を設けるとよい。筒状体の下流側よりも上流側の方が高温となりにくく、その下流側に接続端子部を設けるので、接続端子部が高温に晒されることを防止できる。