【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が提供する第1のフレキシブル多孔質金属箔は、固溶体合金、面心立方格子構造の金属単体または体心立方格子構造の金属単体をマトリックス相とする金属多孔質材から構成された薄片であり、該薄片は、均質なフィルムを焼結してなるものであり、厚さが5〜200μm、平均孔径が0.05〜100μm、孔隙率が15〜70%である。具体的には、まず材料の成分に関して、該フレキシブル多孔質金属箔は、固溶体合金、面心立方格子構造の金属単体または体心立方格子構造の金属単体をマトリックス相とする金属から構成されることにより、該フレキシブル多孔質金属箔のフレキシブル性が確保される。次に、該フレキシブル多孔質金属箔を構成する金属材は多孔質材であり、その孔構造に関しては、平均孔径が0.05〜100μm、孔隙率が15〜70%である。これにより、フレキシブル多孔質金属箔は、濾過分離に対する幅広い要求を満たすことができる。また、フレキシブル多孔質金属箔(薄片)の厚さは、5〜200μmであり、通常10〜60μmである。更に重要なのは、該フレキシブル多孔質金属箔は1つの均質なフィルムを焼結してなるものである。いわゆる「均質」とは、フィルムの成分が概ね均一であることを意味し、すなわち、背景技術の「Ti−Al金属間化合物多孔質材の研究進展」に言及された、膜被覆処理を経た合成反応前のアルミ箔とは本質的に異なる。膜被覆処理を経た合成反応前のアルミ箔は、非対称状態の薄片と理解してよい。なお、「非対称」の含意は、焼結金属多孔質材の分野において共通している。本発明に言う「均質」は、「非対称」と区別するために用いる概念である。本発明に係るフレキシブル多孔質金属箔は、1つの均質なフィルムを焼結してなるものであるため、箔の孔径分布がより均一になっており、箔の平ら度がより優れている。
【0009】
前記薄片は、全率固溶体合金をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。例えば、前記薄片は、Ag−Au固溶体、Ti−Zr固溶体、Mg−Cd固溶体またはFe−Cr固溶体をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。また、例えば、前記薄片は、Ni−Cu固溶体金属多孔質材から構成されることが好ましい。この場合、該多孔質材における数多くの孔隙のうち、75%以上の孔隙は、孔径差が70μm未満の範囲内に収まっていてもよい。また、Ni−Cu固溶体金属多孔質材は、フレキシブル性(複数回の折り畳みが可能)および化学的安定性などの面において良好であり、焼結成形した多孔質材の透過性においても優れるため、適用範囲が比較的広い。
【0010】
また、前記薄片は、有限固溶体(limited solid solution)合金をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。例えば、前記薄片は、Cu−Al固溶体、Cu−Zn固溶体、Fe−C−Cr固溶体をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。また、前記薄片は、面心立方格子構造のAl、Ni、CuまたはPbをマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。さらに、前記薄片は、体心立方格子構造のCr、W、VまたはMoをマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。
【0011】
本発明に係る前記フレキシブル多孔質金属箔は、例えば工業においては、紡織や製革産業における余熱交換、薬品回収、汚染抑制、食品加工業における浄化、濃縮、消毒、副産物回収、医薬や保健業における人造気管、放出制御、血液濾過、水浄化、車産業におけるフィルタなどに適用でき、民用においては、マスク上の粉塵濾過材、および静電気除塵機能付きのカーテン材などに適用でき、幅広い適用範囲を有する。
【0012】
本発明に係る前記フレキシブル多孔質金属箔の製造方法は、分散剤およびバインダを用い、金属多孔質材を構成する原料粉を粘稠な懸濁液とするステップ(1)と、前記懸濁液を製膜装置の成形キャビティに注入して乾燥させ、均質なフィルムを形成するステップ(2)と、前記フィルムを該フィルムの外形に合致する焼結装置内に設置して拘束焼結を行い、焼結後、得られたフレキシブル多孔質金属箔を焼結装置内から取り出すステップ(3)とを含む。
【0013】
フレキシブル多孔質金属箔がNi−Cu固溶体金属多孔質材から構成される場合、高性能のNi−Cuフレキシブル多孔質金属箔を製造するために、前記方法は、ステップ(1)において、Ni粉とCu粉とを、Cu粉の質量が原料粉の質量の30〜60%になるように均一に混合して該原料粉を形成しておき、次に、分散剤であるエタノールに、バインダであるPVBを、PVBとエタノールとの質量比が(0.5〜5):100の比率となるように添加してPVB溶液を調製し、その後、エタノール100mlあたり、原料粉20〜50gの比率となるように、原料粉をPVB溶液に添加、撹拌して原料粉を十分に均一分散させ、粘稠な懸濁液を得る。そして、ステップ(3)における焼結プロセスは、焼結温度を520〜580℃まで徐々に昇温して60〜180分間保温する第1焼結段階と、第1段階の後に、≧5℃/分の昇温速度でそのまま1130〜1180℃まで昇温して120〜300分間保温する第2焼結段階と、を含む。
【0014】
前記方法に適用可能な製膜装置は、フィルムのエッジを成形するための型枠を備えた固定部と、フィルムの底面を型枠と共同で成形するための型板であって、該型板を型枠の深さ方向に移動させる調節装置と連結された該型板を備えた調節部と、型枠の上面に位置していると共に動作時に刃先が型枠の上面に平行に密着するスクレーパを備えた可動部と、を含む。該製膜装置は、フィルムの厚さを比較的正確に制御し、フィルム厚さの均一性およびフィルム表面の平ら度を確保することができる。
【0015】
前記調節装置の具体的な一実施形態として、調節装置は、型枠上に相対的に固定されていると共に型板の底面における四隅とそれぞれ連結されている、独立に動作する高さ調節機構を備えている。これにより、型板の四隅の高さをそれぞれ調節し、型板全体と型枠の上面との平行を確保することができ、フィルムの厚さの均一性がより向上する。
【0016】
また、前記型枠における成形面、および、前記型板における成形面上には、580℃下で揮発可能な潤滑剤塗層が設けられる。なお、潤滑剤塗層としては、具体的にワセリン(登録商標)塗層を用いてもよい。これにより、型への付着を防止し、成形されたフィルムの、製膜装置からのスムーズな取り出しを確保することができる。同時に、潤滑剤塗層の揮発性により、後に製造されるフレキシブル多孔質金属箔の成分への影響がなく、フレキシブル多孔質金属箔の孔隙率の向上にも寄与する。
【0017】
成形されたフィルムを製膜装置からスムーズに取り出せるように、型枠における成形面、および、型板における成形面上に、PEプラスチックフィルムまたはPETプラスチックフィルムを敷いてもよい。成形面上にPEプラスチックフィルムまたはPETプラスチックフィルムを敷いて懸濁液を成形キャビティに注入して乾燥させることで成形されたフィルムは、製膜装置へ付着せず、離型しやすい。
【0018】
前記方法に適用可能なフィルム焼結装置は、耐高温材製の上型、下型および側型を含み、前記上型、下型は、前記側型と共同で、内部のフィルムに合致する型キャビティを構成する。前記型キャビティには、焼結時の揮発物を排出するための排気構造が連結されている。前記排気構造は、上型と側型との嵌合部に予め設けた嵌合隙間、および/または、下型と側型との嵌合部に予め設けた嵌合隙間、および/または、上型、下型および側型のうち少なくとも1つに設けられた気孔である。該焼結装置によれば、フィルムに対して拘束焼結を行うことができ、焼結過程中のフィルムの変形を防止することができる。
【0019】
上型、下型および側型の具体的な好ましい構造としては、前記側型が筐体であり、上型および下型がそれぞれ挟持板であり、前記筐体内に少なくとも3つの挟持板が設けられており、互いに隣接する何れか2つの挟持板の間が前記型キャビティとなっている。これにより、複数のフィルムの同時焼結が実現され、生産効率が向上すると共に、焼結の一様性が確保される。
【0020】
また、前記上型、下型および側型における、フィルムと接触する表面には、酸化アルミニウム使用塗層が設けられている。酸化アルミニウムは、高温焼結の過程中に焼結装置自身の材料およびフィルムの材料における元素の相互拡散を遮断することができる。
【0021】
前記上型、下型および側型のうち、少なくとも1つがグラファイト製であってもよい。グラファイトは良好な耐高温性を有し、その表面が滑らかであるため、焼結後の製品の離型にも有効である。
【0022】
本発明が提供する第2のフレキシブル多孔質金属箔は、固溶体合金をマトリックス相とする金属多孔質材から構成された薄片であり、該薄片は、厚さが5〜200μm、平均孔径が0.05〜100μm、孔隙率が15〜70%である。具体的には、材料の成分に関して、該フレキシブル多孔質金属箔は、固溶体合金をマトリックス相とする金属から構成されることにより、該フレキシブル多孔質金属箔のフレキシブル性が確保される。次に、該フレキシブル多孔質金属箔を構成する金属材は、多孔質材であり、その孔構造に関しては、平均孔径が0.05〜100μm、孔隙率が15〜70%である。これにより、フレキシブル多孔質金属箔は、濾過分離に対する幅広い要求を満たすことができる。また、フレキシブル多孔質金属箔(薄片)の厚さは、5〜200μmであり、通常10〜60μmである。
【0023】
前記薄片は、全率固溶体合金をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。例えば、前記薄片は、Ag−Au固溶体、Ti−Zr固溶体、Mg−Cd固溶体またはFe−Cr固溶体をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。また、例えば、前記薄片は、Ni−Cu固溶体金属多孔質材から構成されることが好ましい。Ni−Cu固溶体金属多孔質材は、フレキシブル性(複数回の折り畳みが可能)および化学的安定性などの面において良好であるため、適用範囲が比較的広い。
【0024】
前記薄片は、有限固溶体合金をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。例えば、前記薄片は、Cu−Al固溶体、Cu−Zn固溶体、Fe−C−Cr固溶体をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。
【0025】
本発明に係る前記第2のフレキシブル多孔質金属箔は、工業においては、紡織や製革産業における余熱交換、薬品回収、汚染抑制、食品加工業における浄化、濃縮、消毒、副産物回収、医薬や保健業における人造気管、放出制御、血液濾過、水浄化、車産業におけるフィルタなどに適用でき、民用においては、マスク上の粉塵濾過材、および静電気除塵機能付きのカーテン材などに適用できる。
【0026】
本発明に係る第2のフレキシブル多孔質金属箔の製造方法は、フレキシブル多孔質金属箔を構成する金属多孔質材のうち1種または複数種の元素からなる箔である担持体を準備するステップ(1)と、分散剤およびバインダを用い、金属多孔質材を構成する残りの元素から生成された原料粉を粘稠な懸濁液とするステップ(2)と、担持体の表面に前記懸濁液を付着させて乾燥し、担持体の表面に付着した状態のフィルムを形成するステップ(3)と、フィルムが付着された担持体を、その外形に合致する焼結装置内に設置して拘束焼結を行い、焼結後、得られたフレキシブル多孔質金属箔を焼結装置内から取り出すステップ(4)と、を含む。
【0027】
前記第2のフレキシブル多孔質金属箔の製造方法に適用可能な製膜装置は、フィルムのエッジを成形するための型枠を備えた固定部と、担持体を型枠と共同で格納するための型板であって、該型板を型枠の深さ方向に移動させる調節装置と連結された該型板を備えた調節部と、型枠の上面に位置していると共に動作時に刃先が型枠の上面に平行に密着するスクレーパを備えた可動部と、を含む。該製膜装置は、フィルムの厚さを比較的正確に制御し、フィルム厚さの均一性およびフィルム表面の平ら度を確保することができる。
【0028】
前記調節装置の具体的な一実施形態として、調節装置は、型枠上に相対的に固定されていると共に型板の底面における四隅とそれぞれ連結されている、独立に動作する高さ調節機構を含む。これにより、型板の四隅の高さをそれぞれ調節し、型板全体と型枠の上面との平行を確保することができ、フィルムの厚さの均一性がより向上する。
【0029】
同様に、成形されたフィルムを製膜装置からスムーズに取り出せるように、型枠における成形面、および、型板における成形面上に、PEプラスチックフィルムまたはPETプラスチックフィルムを敷いてもよい。成形面上にPEプラスチックフィルムまたはPETプラスチックフィルムを敷いて懸濁液を成形キャビティに注入して乾燥させることで形成されたフィルムは、製膜装置へ付着せず、離型しやすい。
【0030】
前記第2のフレキシブル多孔質金属箔の製造方法に適用可能な焼結装置は、耐高温材製の上型、下型および側型を含み、前記上型、下型は、前記側型と共同で、フィルムが付着された担持体に合致する型キャビティを構成する。前記型キャビティには、焼結時の揮発物を排出するための排気構造が連結されている。前記排気構造は、上型と側型との嵌合部に予め設けた嵌合隙間、および/または、下型と側型との嵌合部に予め設けた嵌合隙間、および/または、上型、下型および側型のうち少なくとも1つに設けられた気孔である。該焼結装置によれば、フィルムが付着された担持体に対して拘束焼結を行うことができ、焼結過程中の変形を防止することができる。
【0031】
上型、下型および側型の具体的な好ましい構造としては、前記側型が筐体であり、上型および下型がそれぞれ挟持板であり、前記筐体内に少なくとも3つの挟持板が設けられており、互いに隣接する何れか2つの挟持板の間が前記型キャビティとなっている。これにより、フィルムが付着された複数の担持体の同時焼結が実現され、生産効率が向上すると共に、焼結の一様性が確保される。
【0032】
また、上型、下型および側型における、フィルムと接触する表面には、酸化アルミニウム使用塗層が設けられている。酸化アルミニウムは、高温焼結の過程中に焼結装置自身の材料および担持体やフィルムの材料における元素の相互拡散を遮断することができる。
【0033】
前記上型、下型および側型のうち、少なくとも1つがグラファイト製であってもよい。グラファイトは良好な耐高温性を有し、その表面が滑らかであるため、焼結後の製品の離型にも有効である。
【0034】
なお、前記第2のフレキシブル多孔質金属箔の製造方法に用いられる製膜装置および焼結装置は、前記第1のフレキシブル多孔質金属箔の製造方法に用いられる製膜装置および焼結装置とは、全く同様の構造であってもよい。両者の違いとしては、第2の方法に関する製膜装置を用いる場合には型板上に担持体を設置する必要があるのに対し、第1の方法に関する製膜装置を用いる場合には型板上に担持体を設置する必要がない。また、第2の方法に関する焼結装置の型キャビティ内にはフィルムが付着された担持体(非対称構造である)が格納されるのに対し、第1の方法に関する焼結装置の型キャビティ内には均質のフィルムが格納される。
【0035】
本発明に係る第3のフレキシブル多孔質金属箔は、固溶体合金、面心立方格子構造の金属単体または体心立方格子構造の金属単体をマトリックス相とする金属多孔質材から構成された薄片であり、該薄片は、厚さが>200μm且つ≦1500μm、平均孔径が0.05〜100μm、孔隙率が15〜70%である。第3のフレキシブル多孔質金属箔は、前記第1のフレキシブル多孔質金属箔の製造方法によって製造(つまり、1つの均質なフィルムを焼結してなる)されてもよい。第3のフレキシブル多孔質金属箔が固溶体合金をマトリックス相とする金属多孔質材から構成された薄片である場合、当該第3のフレキシブル多孔質金属箔は、前記第2のフレキシブル多孔質金属箔の製造方法によって製造されてもよい。
【0036】
第3のフレキシブル多孔質金属箔を構成する前記薄片は、全率固溶体合金をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。例えば、前記薄片は、Ag−Au固溶体、Ti−Zr固溶体、Mg−Cd固溶体またはFe−Cr固溶体をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。また、例えば、前記薄片は、Ni−Cu固溶体金属多孔質材から構成されることが好ましい。この場合、該多孔質材における数多くの孔隙のうち、75%以上の孔隙は、孔径差が70μm未満の範囲内に収まっていてもよい。また、Ni−Cu固溶体金属多孔質材は、フレキシブル性(複数回の折り畳みが可能)および化学的安定性などの面において良好であり、焼結成形した多孔質材の透過性においても優れるため、適用範囲が比較的広い。
【0037】
第3のフレキシブル多孔質金属箔を構成する前記薄片は、有限固溶体合金をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。例えば、前記薄片は、Cu−Al固溶体、Cu−Zn固溶体、Fe−C−Cr固溶体をマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。また、前記薄片は、面心立方格子構造のAl、Ni、CuまたはPbをマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。さらに、前記薄片は、体心立方格子構造のCr、W、VまたはMoをマトリックス相とする金属多孔質材から構成されてもよい。
【0038】
前記第1のフレキシブル多孔質金属箔および第2のフレキシブル多孔質金属箔に比べ、第3のフレキシブル多孔質金属箔は厚さがより厚い。したがって、第3のフレキシブル多孔質金属箔の強度は、第1のフレキシブル多孔質金属箔および第2のフレキシブル多孔質金属箔の強度よりも高いことが可能である。これにより、フレキシブル多孔質金属箔の使用において、より高い強度が要求される場合には、第3のフレキシブル多孔質金属箔がより好ましく適用される。典型的な一適用例として、第3のフレキシブル多孔質金属箔を濾過用濾過袋の製作に用いてもよい。濾過袋は、例えば濾過袋式の除塵機に幅広く使用されている。しかし、従来の濾過袋の袋本体は、基本的に有機繊維で織られるゆえに、「布袋」とも呼ばれ、耐高温性能が悪く濾過精度が高くないという欠点がある。本発明は、前記第3のフレキシブル多孔質金属箔から作製された袋本体を含む濾過用濾過袋を提供する。第3のフレキシブル多孔質金属箔は、比較的高い強度を有するため、濾過袋が使用される過程では、頻繁な吹き戻し等の要因による損傷が起こりにくく、さらに、その材料特性上、良好な耐高温性能を有する。
【0039】
前記フレキシブル多孔質金属箔の製造方法以外に、本発明は、さらに、前記のフレキシブル多孔質金属箔の製造及びその他の多孔質金属箔の製造の両方にも用い得る下記幾つかの、多孔質金属箔の改良製造方法を提供する。すなわち、金属多孔質材からなる薄片である多孔質金属箔の改良製造方法は、分散剤およびバインダを用い、該金属多孔質材を構成する原料粉を粘稠な懸濁液とするステップ(1)と、前記懸濁液を製膜装置の成形キャビティに注入して乾燥させ、均質なフィルムを形成するステップ(2)と、フィルムを加圧成形し、フィルム内の粉末粒子の堆積緻密さを向上させるステップ(3)と、加圧成形されたフィルムを焼結した後、多孔質金属箔を得るステップ(4)とを含む。該方法は、前記第1のフレキシブル多孔質金属箔、第2のフレキシブル多孔質金属箔および第3のフレキシブル多孔質金属箔の製造に用いることができる。前記ステップ(3)の加圧成形(圧延機、型プレス機、イソタクチック機等で加圧成形することができる)により、フィルム内の粉末粒子の堆積緻密さを向上させることができるため、フレキシブル多孔質金属箔の平均孔径をより小さく且つより均一にすることができる。また、加圧成形の圧力を選択することにより、フレキシブル多孔質金属箔の平均孔径の大きさを制御することができる。
【0040】
金属多孔質材からなる薄片である多孔質金属箔の別の改良製造方法は、分散剤およびバインダを用い、該金属多孔質材を構成する原料粉を泥状のペーストに調製するステップ(1)と、ペーストを加圧成形し、均質なフィルムを形成するステップ(2)と、加圧成形されたフィルムを焼結した後、多孔質金属箔を得るステップ(3)とを含む。該方法は、前記第1のフレキシブル多孔質金属箔、第2のフレキシブル多孔質金属箔および第3のフレキシブル多孔質金属箔の製造に用いることができる。前記ステップ(2)の加圧成形(圧延機、型プレス機、イソタクチック機等で加圧成形することができる)により、フィルム内の粉末粒子の堆積緻密さを向上させることができるため、フレキシブル多孔質金属箔の平均孔径をより小さく且つより均一にすることができる。また、加圧成形の圧力を選択することにより、フレキシブル多孔質金属箔の平均孔径の大きさを制御することができる。
【0041】
金属多孔質材からなる薄片である多孔質金属箔の更なる別の改良製造方法は、フレキシブル多孔質金属箔を構成する金属多孔質材のうち1種または複数種の元素からなる箔である担持体を準備するステップ(1)と、分散剤およびバインダを用い、金属多孔質材を構成する残りの元素から生成された原料粉を粘稠な懸濁液とするステップ(2)と、担持体の表面に前記懸濁液を付着させて乾燥し、担持体の表面に付着した状態のフィルムを形成するステップ(3)と、フィルムが付着された担持体を加圧成形し、フィルム内の粉末粒子の堆積緻密さを向上させるステップ(4)と、加圧成形後の、フィルムが付着された担持体を焼結した後、多孔質金属箔を得るステップ(5)とを含む。該方法は、前記第2のフレキシブル多孔質金属箔および第3のフレキシブル多孔質金属箔の製造に用いることができる。前記ステップ(4)の加圧成形(圧延機、型プレス機、イソタクチック機等で加圧成形することができる)により、フィルム内の粉末粒子の堆積緻密さを向上させることができるため、フレキシブル多孔質金属箔の平均孔径をより小さく且つより均一にすることができる。また、加圧成形の圧力を選択することにより、フレキシブル多孔質金属箔の平均孔径の大きさを制御することができる。
【0042】
なお、多孔質金属箔の前記幾つかの改良製造方法には、同様に前記製膜装置および焼結装置を使用することができる。さらに、フレキシブル多孔質金属箔の前記幾つかの改良製造方法において、前記加圧成形時に用いられる圧力が5〜300MPaであってもよく、通常10〜100MPaである。一般的に、加圧成形時の圧力が大きければ大きいほど、多孔質金属箔の平均孔径が小さく且つ均一になり、多孔質金属箔の一体性および強度も高くなるが、孔隙率が小さくなる。
【0043】
以下、図面および具体的な実施形態に基づき、本発明をさらに説明する。本発明の他の態様および利点は以下の記載から示され、その一部は以下の記載によってさらに明白となり、または本発明の実例から理解される。