(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[水系インク]
本発明の水系インクは、着色剤粒子及びポリエステル樹脂粒子を含有する。
着色剤粒子及びポリエステル樹脂粒子は、それぞれ同一又は異なる、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を70モル%以上含有するアルコール成分と芳香族ジカルボン酸を50モル%以上含有するカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂Aを含み、かつ、該ポリエステル樹脂Aの軟化点が125℃以上160℃以下である。
なお、本明細書において、「水系インク」とは、液体媒体中40質量%以上が水であるインクを意味する。
上記水系インクは、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性に優れる。
【0010】
上記水系インクがこのような効果を奏する理由は定かではないが次のように考えられる。
水系インクに含まれる着色剤粒子とポリエステル樹脂粒子は、いずれもポリエステル樹脂Aを含有することから相溶性が高く、また、比較的高軟化点であることから水系インク中の溶剤に対し、可塑化されにくく安定性が向上することにより、凝集し難く平滑なインク膜を形成することが可能なため、画像濃度が高くなると考えられる。
水系インクに含まれる顔料粒子とポリエステル樹脂粒子は、ビスフェノールAのアルキレンオキシ付加物及び芳香族ジカルボン酸の芳香環由来の剛直な骨格により、印刷直後の水性媒体が完全には乾燥していない段階であっても強固な膜の形成が可能なため初期定着に優れ、さらに乾燥後の塗膜強度も高いため屈曲性に優れるものと考えられる。
【0011】
<ポリエステル樹脂粒子>
ポリエステル樹脂粒子は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性の観点から、ポリエステル樹脂Aを含む。
〔ポリエステル樹脂A〕
ポリエステル樹脂Aは、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる、すなわちアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
ポリエステル樹脂Aは、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは架橋構造を有する。
ここで、架橋構造とは、ポリエステル鎖中に複数の分岐単位が導入されている構造を意味する。架橋構造は、アルコール成分として、3価以上の多価アルコールを含む、又は、酸成分として3価以上の多価カルボン酸を含むことで導入できる。これらの中でも、酸成分として3価以上の多価カルボン酸を含むことが好ましい。
【0012】
≪アルコール成分≫
アルコール成分は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を70モル%以上含有する。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、そして、好ましくは100モル%である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、好ましくは下記一般式(I)で表される化合物である。
【0014】
一般式(I)において、OR
1、及びR
2Oは、いずれもアルキレンオキシ基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキレンオキシ基であり、より好ましくは、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基である。
x及びyは、アルキレンオキシドの付加モル数に相当する。更に、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
また、x個のOR
1とy個のR
2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が好ましい。
【0015】
アルコール成分は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外の他のアルコール成分を含んでいてもよい。
他のアルコール成分としては、例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のジオール、3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
ジオールとしては、例えば、主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外の芳香族ジオール(以下、「他の芳香族ジオール」ともいう)、及び脂環式ジオールが挙げられる。
【0016】
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが挙げられる。
脂肪族ジオールは、好ましくは第二級炭素原子に結合したヒドロキシ基を有する炭素数3以上6以下の脂肪族ジオールである。
第二級炭素原子に結合したヒドロキシ基を有する炭素数3以上6以下の脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオールが挙げられる。これらの中でも、1,2−プロパンジオール、2,3−ブタンジオールが好ましく、1,2−プロパンジオールがより好ましい。
主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは10モル%以下であり、そして、好ましくは0モル%である。
【0017】
他の芳香族ジオールとしては、ハイドロキノン等の2価フェノール、ビスフェノールF(4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン)、及びビスフェノールS(4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン)等のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
他の芳香族ジオールの含有量は、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、より好ましくは10モル%以下であり、そして、好ましくは0モル%である。
【0018】
脂環式ジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
脂環式ジオールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下である
なお、上記アルコール成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
≪カルボン酸成分≫
カルボン酸成分は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性の観点から、芳香族ジカルボン酸を50モル%以上含有する。
なお、カルボン酸成分には、カルボン酸のみならず、それらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等も含まれる。すなわち、本明細書中では、単にカルボン酸の名称のみを記載している場合、そのカルボン酸の無水物及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含めて記載されているものとする。
芳香族ジカルボン酸の含有量は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、カルボン酸成分中、好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上であり、そして、100モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましい。
【0020】
カルボン酸成分は、芳香族ジカルボン酸以外の他のカルボン酸成分を含んでいてもよい。
他のカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。
【0021】
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、アゼライン酸、コハク酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。これらの中でも、フマル酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
【0022】
脂環式ジカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下であり、そして、好ましくは0モル%である。
【0023】
カルボン酸成分は、ポリエステル樹脂Aに架橋構造を導入し、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは3価以上の多価カルボン酸を含む。
3価以上の多価カルボン酸としては、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、3価以上の多価芳香族カルボン酸が好ましく、3価の芳香族カルボン酸がより好ましい。
3価以上の多価芳香族カルボン酸の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。
3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
これらの中でも、トリメリット酸、又はその無水物が好ましく、トリメリット酸無水物がより好ましい。
3価以上の多価カルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは7モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、好ましくは45モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
上記カルボン酸成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
ポリエステル樹脂A中のアルコール成分のヒドロキシ基(OH基)に対するカルボン酸成分のカルボキシ基(COOH基)の当量比(COOH基/OH基)は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは0.65以上、より好ましくは0.80以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
【0025】
〔ポリエステル樹脂Aの製造方法〕
ポリエステル樹脂Aは、カルボン酸成分とアルコール成分とを、重縮合反応させることによって製造することができる。例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒及び重合禁止剤を用いて、120℃以上250℃以下の温度で重縮合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、例えば、酸化ジブチル錫、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物が挙げられる。
エステル化触媒の使用量は、カルボン酸成分とアルコール成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。
また、必要に応じてラジカル重合禁止剤を使用することができる。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、4−tert−ブチルカテコールが挙げられる。ラジカル重合禁止剤の使用量は、カルボン酸成分とアルコール成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、また、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
【0026】
〔ポリエステル樹脂Aの物性〕
ポリエステル樹脂Aの軟化点は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性の観点から、125℃以上160℃以下であり、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上、更に好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは158℃以下、より好ましくは150℃以下である。
上記範囲内に調整する手段は特に限定されるものではないが、例えば、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
【0027】
ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
【0028】
ポリエステル樹脂Aの酸価は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは25mgKOH/g以下である。
【0029】
ポリエステル樹脂Aの水酸基価は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは12mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは80mgKOH/g以下、より好ましくは60mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下である。
【0030】
ポリエステル樹脂の軟化点、ガラス転移温度、酸価、及び水酸基価は、その原料となるポリエステル樹脂について実施例記載の方法によって得られた値である。なお、ポリエステル樹脂を2種以上混合して使用する場合は、その軟化点、ガラス転移温度、酸価、及び水酸基価は、各々2種以上のポリエステル樹脂の混合物として、実施例記載の方法によって得られた値である。
上記ポリエステル樹脂のガラス転移温度、酸価、及び水酸基価は、いずれも、ポリエステル樹脂の製造に用いるモノマーの種類、配合比率、重縮合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
【0031】
〔ポリエステル樹脂粒子の製造方法〕
ポリエステル樹脂粒子は、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂を水性媒体中に分散して、ポリエステル樹脂粒子の分散液として得る方法により製造することが好ましい。
水性媒体としては、水を主成分とするものが好ましい。水性媒体中の水の含有量は、樹脂粒子分散液の分散安定性を向上させる観点及び環境安全性の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして、更に好ましくは100質量%である。水としては、脱イオン水、イオン交換水又は蒸留水が好ましく用いられる。水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
【0032】
ポリエステル樹脂粒子の分散液を得る方法としては、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂を水性媒体に添加して分散機等によって分散処理を行う方法、ポリエステル樹脂を含む樹脂に水性媒体を徐々に添加して転相乳化させる方法等が挙げられる。これらの中でも、転相乳化による方法が好ましい。
転相乳化法としては、まず、ポリエステル樹脂を含む樹脂を有機溶媒に溶解させ、次いで、この溶液に水性媒体を添加して転相し、その後、有機溶媒を除去することが好ましい。以下、転相乳化法について述べる。
【0033】
〔転相乳化法〕
まず、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂を有機溶媒に溶解させて、ポリエステル樹脂を含む溶液を得る。
複数種のポリエステル樹脂A又はポリエステル樹脂A以外の樹脂を含む場合には、予め、これらポリエステル樹脂Aとその他の樹脂とを混合したものを用いてもよいが、これらの樹脂を同時に有機溶媒に添加して溶解させ、ポリエステル樹脂Aを含む溶液を得てもよい。
ポリエステル樹脂Aを含む溶液を得る方法としては、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂及び有機溶媒を容器に入れて溶解させ、次いで塩基性水溶液を容器に入れ、撹拌器によって撹拌して溶液を得る方法が好ましい。ポリエステル樹脂Aを含む樹脂の有機溶媒への溶解操作、及びその後の塩基性水溶液の添加は、通常、有機溶媒の沸点以下の温度で行う。
有機溶媒としては、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂を溶解し、乳化物からの除去が容易である観点から、アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数1以上3以下のアルキル基を有するジアルキルケトンが好ましく、メチルエチルケトンがより好ましい。
【0034】
有機溶媒とポリエステル樹脂Aを含む樹脂との質量比〔有機溶媒/樹脂〕は、樹脂を溶解し水性媒体への転相を容易にする観点、樹脂粒子分散液の分散安定性をより向上させる観点から、好ましくは30/100以上、より好ましくは50/100以上、更に好ましくは70/100以上であり、そして、好ましくは500/100以下、より好ましくは300/100以下、更に好ましくは200/100以下、更に好ましくは150/100以下である。
【0035】
また、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂の水性媒体への親和性を向上させ、樹脂粒子分散液の分散安定性をより向上させる観点から、塩基性化合物により、樹脂中の酸基を中和することが好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア、ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。
樹脂の酸基に対する塩基性化合物の使用当量(モル%)は、樹脂粒子の分散安定性をより向上させる観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、そして、好ましくは150モル%以下、より好ましくは120モル%以下、更に好ましくは100モル%以下である。
なお、塩基性化合物の使用当量(モル%)は、次の式によって求めることができる。塩基性化合物の使用当量は、100モル%以下の場合、中和度と同義であり、下記式で中和剤の使用当量が100モル%を超える場合には、中和剤が樹脂の酸基に対して過剰であることを意味し、この時の樹脂の中和度は100モル%とみなす。
塩基性化合物の使用当量(モル%)=〔{塩基性化合物の添加質量(g)/塩基性化合物の当量}/[{樹脂の酸価(mgKOH/g)×樹脂の質量(g)}/(56×1000)]〕×100
【0036】
次に、樹脂を含む溶液に水性媒体を添加して、転相し、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂粒子の水系分散液を得る。
水性媒体を添加する際の温度は、樹脂粒子分散液の分散安定性をより向上させる観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下である。
【0037】
水性媒体の添加速度は、樹脂粒子分散液の分散安定性をより向上させる観点から、転相が終了するまでは、樹脂粒子を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部/分以上、より好ましくは1質量部/分以上、更に好ましくは3質量部/分以上、更に好ましくは5質量部/分以上であり、そして、好ましくは100質量部/分以下、より好ましくは50質量部/分以下、更に好ましくは20質量部/分以下、更に好ましくは15質量部/分以下である。転相後、樹脂粒子が得られた後の水性媒体の添加速度には制限はない。
水性媒体の添加量は、水系分散液の生産性をより向上させる観点から、樹脂粒子を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上、更に好ましくは150質量部以上であり、そして、好ましくは900質量部以下、より好ましくは500質量部以下、更に好ましくは400質量部以下である。
【0038】
転相乳化の後に、必要に応じて、転相乳化で得られた分散液から有機溶媒を除去してもよい。有機溶媒の除去方法は、特に限定されず、任意の方法を用いることができるが、水と溶解しているため蒸留するのが好ましい。
このようにして得られたポリエステル樹脂粒子の水系分散液は、金網等で濾過し、粗大粒子等を除去するのが好ましい。また、有機溶媒の除去を行った場合には、有機溶媒とともに水も共沸して減じているため、水を添加して固形分濃度を調整することが好ましい。
【0039】
ポリエステル樹脂粒子の水系分散液の固形分濃度は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
ポリエステル樹脂粒子の水系分散液のpHは、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、更に好ましくは6.8以上であり、そして、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.0以下、更に好ましくは7.5以下である。
【0040】
ポリエステル樹脂粒子中、ポリエステル樹脂Aの含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして、好ましくは100質量%である。
ポリエステル樹脂粒子の含有量は、水系インク中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0041】
<着色剤粒子>
着色剤粒子は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性の観点から、ポリエステル樹脂Aを含む。
ポリエステル樹脂Aは、上述のポリエステル樹脂粒子で例示したポリエステル樹脂Aが好適に用いられる。着色剤粒子のポリエステル樹脂粒子Aにおいて、アルコール成分、カルボン酸成分、その他物性は上述のポリエステル樹脂粒子と同様の範囲が好適例として挙げられる。
【0042】
着色剤粒子及びポリエステル樹脂粒子が、それぞれ同一又は異なる、ポリエステル樹脂Aを含む。つまり、着色剤粒子に用いられるポリエステル樹脂Aは、ポリエステル樹脂粒子に用いられるポリエステル樹脂Aと同一であっても異なっていてもよい。
画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、着色剤粒子に含まれるポリエステル樹脂Aのアルコール成分中のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量Al
c(モル%)と、ポリエステル樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂Aのアルコール成分中のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量Al
r(モル%)とが、好ましくは下記の関係式(1)を満たす。
|Al
c−Al
r| ≦ 30 (1)
|Al
c−Al
r|は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは25以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下であり、そして、0以上であり、そして、好ましくは0である。
【0043】
画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、着色剤粒子に含まれるポリエステル樹脂Aのカルボン酸成分中の芳香族ジカルボン酸の含有量Ca
c(モル%)と、ポリエステル樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂Aのカルボン酸成分中の芳香族ジカルボン酸の含有量Ca
r(モル%)とが、好ましくは下記の関係式(2)を満たす。
|Ca
c−Ca
r| ≦ 30 (2)
|Ca
c−Ca
r|は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは25以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下であり、そして、0以上であり、そして、好ましくは0である。
【0044】
画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、着色剤粒子に含まれるポリエステル樹脂Aの軟化点Tm
c(℃)と、ポリエステル樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂Aの軟化点Tm
r(℃)とが、好ましくは、下記の関係式(3)を満たす。
|Tm
c−Tm
r| ≦ 30 (3)
|Ca
c−Ca
r|は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、好ましくは20以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは5以下であり、そして、0以上であり、そして、好ましくは0である。
【0045】
〔着色剤〕
着色剤は、顔料、染料のいずれであってもよい。
着色剤としては、顔料、疎水性染料、水溶性染料(酸性染料、反応染料、直接染料等)等が挙げられる。これらの中でも、顔料、疎水性染料が好ましく、顔料がより好ましい。
【0046】
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物が挙げられる。黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料が挙げられる。
色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
有機顔料としては、好ましくは、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントオレンジ、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントブルー、及びC.I.ピグメントグリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
【0047】
なお、疎水性染料とは、100gの水中(20℃)における溶解度が、好ましくは6質量%未満の染料のことをいう。疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられる。
油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベントブラック、C.I.ソルベントイエロー、C.I.ソルベントレッド、C.I.ソルベントバイオレット、C.I.ソルベントブルー、C.I.ソルベントグリーン、及びC.I.ソルベントオレンジからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられ、オリヱント化学株式会社、BASF社等から市販されている。
上記の染料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
着色剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて任意の割合で混合して用いることができる。
【0048】
(着色剤粒子の製造方法)
着色剤粒子は、例えば、ポリエステル樹脂A、有機溶媒、着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を含有する混合物を分散処理して、着色剤を含有するポリマー粒子の分散体を得たのち、該分散体から前記有機溶媒を除去して、ポリエステル樹脂Aを含む着色剤粒子の水系分散液を得る方法で製造することができる。
【0049】
有機溶媒は、上述の有機溶媒を用いることができる。
ポリエステル樹脂Aの酸基を塩基性化合物により中和してもよい。
【0050】
分散体の分散方法に特に制限はない。公知の混練機、分散機等を用いて着色剤を含有するポリマー粒子の体積平均粒径(D
V)を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を除去することで、着色剤粒子の水系分散液を得ることができる。
着色剤粒子の水系分散液は、金網等で濾過し、粗大粒子等を除去するのが好ましい。着色剤粒子を架橋処理したり、後述の水系インク中に任意に添加される、有機溶媒、防腐剤、防黴剤等の各種添加剤を、着色剤粒子の水系分散液に添加してもよい。
【0051】
着色剤粒子の体積平均粒径(D
V)は、インクの画像濃度を向上させる観点から、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下である。
着色剤粒子の体積平均粒径(D
V)は、動的光散乱法で測定されるものであり、具体的には実施例の方法によって測定される。
【0052】
着色剤粒子の水系分散液の固形分濃度は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
【0053】
着色剤とポリエステル樹脂Aの質量比〔着色剤/ポリエステル樹脂A〕は、好ましくは40/60以上、より好ましくは50/50以上、更に好ましくは60/40以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは75/25以下である。
着色剤粒子の含有量は、水系インク中、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
着色剤の含有量は、水系インク中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0054】
着色剤粒子とポリエステル樹脂粒子の質量比〔着色剤粒子/ポリエステル樹脂粒子〕は、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性をより向上させる観点から、水系インク中、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは25/75以上であり、そして、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下、更に好ましくは60/40以下、更に好ましくは55/45以下である。
【0055】
[水系インクのその他の成分]
水系インクは、例えば、有機溶媒、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を含有してもよい。
有機溶媒としては、例えば、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、多価アルコールアリールエーテル、環状カーボネート、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物が挙げられる。
【0056】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
【0057】
多価アルコールアリールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられる。
環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタムが挙げられる。
アミドとしては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
アミンとしては、例えば、モノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンが挙げられる。
含硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオジグリコールが挙げられる。
有機溶媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
これらの中でも、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、及び含窒素複素環化合物から選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及び2−ピロリドンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0058】
有機溶媒の含有量は、水系インク中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
【0059】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のグリコールエーテル、アセチレングリコール又はそのポリオキシアルキレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシドが挙げられる。
【0060】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種が好ましく、グリコールエーテル、アセチレングリコール又はそのポリオキシアルキレン付加物、ポリエステル変性シリコーン、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、グリコールエーテル、及び、アセチレングリコール又はそのポリオキシアルキレン付加物から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、アセチレングリコール又はそのポリオキシアルキレン付加物、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
【0061】
界面活性剤の含有量は、水系インク中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
【0062】
消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤が挙げられる。
防腐剤及び防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0063】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼすことなくpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができ、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0064】
水系インクの液体媒体中の水の含有量は、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
水系インクに含まれる水の含有量は、インクの粘度を適正に保つ観点から、水系インク中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
【0065】
[水系インクの製造方法]
水系インクは、例えば、樹脂粒子の水系分散液と、着色剤を含有する水系分散液とを混合することで得られる。
ここでは、前述した任意成分の少なくとも1種を更に混合してもよい。混合には、例えば、各種撹拌装置を用いることができる。
水系インク中の、樹脂粒子、着色剤、及び水の好適含有量は、前述のとおりである。
【0066】
[インクジェット記録方法]
水系インクは、インクジェット記録用のインクとして用いることができる。水系インクをインクジェット記録方法に用いる際の好適な態様としては、例えば、水系インクをインクジェット記録方式で樹脂製記録媒体に付着させた後、該水系インクが付着した樹脂製記録媒体を40℃以上120℃以下に加熱する。
【0067】
水系インクは、オフィス用印刷、並びに、カタログ、チラシ、パッケージ、ラベル等の商業及び産業用印刷のいずれにも使用することができる。商業及び産業用ラベル印刷に適している、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、NY(ナイロン)等の非吸水性又は低吸水性の樹脂製記録媒体へ好適に用いることができることから、商業又は産業用印刷への使用に適している。
なお、本発明において、「非吸水性又は低吸水性」とは、記録媒体と水との接触時間100m秒における記録媒体の吸水量が0g/m
2以上10g/m
2以下であることを意味する。
【0068】
樹脂製記録媒体としては、好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム及びナイロンフィルムから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルム及びナイロンフィルムから選ばれる少なくとも1種である。当該樹脂製記録媒体は、コロナ処理された基材を用いてもよい。
樹脂製フィルムの市販品としては、例えば、「ルミラーT60」(東レ株式会社製、ポリエチレンテレフタレート)、「PVC80B P」(リンテック株式会社製、塩化ビニル)、「DGS−210WH」(ローランドディージー株式会社製、塩化ビニル)、「透明塩ビRE−137」(株式会社ミマキエンジニアリング製、塩化ビニル)、「カイナスKEE70CA」(リンテック株式会社製、ポリエチレン)、「ユポSG90 PAT1」(リンテック株式会社製、ポリプロピレン)、「FOR」,「FOA」(以上、フタムラ化学株式会社製、ポリプロピレン)、「ボニールRX」(興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、ナイロン)、「エンブレムONBC」(ユニチカ株式会社製、ナイロン)が挙げられる。
【0069】
インクジェット記録方法は、公知のインクジェット記録装置を用いることができる。インクジェット記録装置としては、例えば、サーマル式インクジェット記録装置、ピエゾ式インクジェット記録装置が挙げられる。水系インクは、ピエゾ式のインクジェット記録用水系インクとして用いることがより好ましい。
樹脂製記録媒体の加熱温度は、各種樹脂記録媒体への優れた密着性を得る観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である。
【実施例】
【0070】
本実施例において各種物性は以下のとおりに測定し、評価は下記のとおり行った。
【0071】
[測定方法]
〔ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価〕
JIS K0070に準拠して測定する。ただし、JIS K0070に規定されている溶媒を、エタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
【0072】
〔ポリエステル樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0073】
〔ポリエステル樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q−100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/minで0℃まで冷却して測定用サンプルを調製する。その後、昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
【0074】
〔樹脂粒子の体積平均粒径(D
v)〕
(1)測定装置:ゼータ電位・粒径測定システム「ELSZ−2」(大塚電子株式会社製)
(2)測定条件:キュムラント解析法。測定する粒子の濃度が約5×10
ー3質量%になるように水で希釈した分散液を測定用セルに入れ、温度25℃、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。
【0075】
〔ポリエステル樹脂粒子の水系分散液の固形分濃度〕
赤外線水分計「FD−230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、水系分散液5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)の条件にて乾燥させ、水系分散液の水分(質量%)を測定した。固形分濃度は次の式に従って算出する。
固形分濃度(質量%)=100−水分(質量%)
【0076】
〔ポリエステル樹脂粒子の水系分散液のpH〕
pHメーター「HM−20P」(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、25℃で測定する。
【0077】
[評価方法]
〔画像濃度の評価〕
インクジェットプリンター「IPSiO GX 2500」(株式会社リコー製、ピエゾ方式)に水系インクを充填し、アドビ社製のフォトショップ(登録商標)によりベタ印字の印刷パターン(横204mm×縦275mmの大きさ)を作成し、吐出量が14±2g/m
2となるようにポリエステルフィルム「ルミラー75T60」(東レ株式会社製)に印刷し、100℃のホットプレートに5分間のせた後、印刷物を25℃、相対湿度50%で24時間放置後、印刷面の画像濃度を測定する。画像濃度の測定には分光光度計「Spectro Eye」(グレタグマクベス社製)を用い、測定条件を、観測光源D65、観測視野2度、濃度基準をDIN16536としシアンの色濃度成分の数値を読み取る。測定回数は測定する場所を変え、双方向印字の往路において印字された部分から5点、復路において印字された部分から5点をランダムに選び、合計10点の平均値を求める。測定値が大きい方が良好である。
【0078】
〔初期定着性の評価〕
インクジェットプリンター「IPSiO GX2500」(株式会社リコー製、ピエゾ方式)に水系インクを充填し、アドビ社製のフォトショップ(登録商標)によりベタ印字の印刷パターン(横204mm×縦275mmの大きさ)を作成し、吐出量が14±2g/m
2となるようにポリエステルフィルム「ルミラー75T60」(東レ株式会社製)に印刷し、100℃のホットプレートに10秒間のせた後、セルロース製不織布「ベンコットM3−II」(旭化成株式会社製)に500g荷重(接触面積900mm
2)をかけて10往復擦る。擦った後の印画物表面の損傷(傷)を目視で観察し、定着性を評価する。印画物表面の傷が少ない方が画像の定着性に優れる。下記基準により定着性を評価する。
A:印画部表面に傷がなく、光沢の低下も認められない。
B:印画部表面に傷はないが、光沢が低下していることがわかる。
C:印画部表面に傷がある。
D:印画部表面が剥離しポリエステルフィルムの表面が露出する。
【0079】
〔屈曲性の評価〕
インクジェットプリンター「IPSiO GX 2500」(株式会社リコー製、ピエゾ方式)に水系インクを充填し、アドビ社製のフォトショップ(登録商標)によりベタ印字の印刷パターン(横204mm×縦275mmの大きさ)を作成し、吐出量が14±2g/m
2となるようにポリエステルフィルム「ルミラー75T60」(東レ株式会社製)に印刷し、100℃のホットプレートに5分間のせた後、印画物を25℃、相対湿度50%で24時間放置後、印画物を180℃に50回折り曲げた後の印画物の損傷(剥離)を目視で観察し、屈曲性を評価する。印画物の剥離が少ない方が画像の定着性に優れる。下記基準により屈曲性を評価する。
A:印画部の剥離がなく、ヒビ割れもない
B:印画部の剥離はないが、ヒビ割れが発生している
C:印画部の剥離がある
【0080】
[ポリエステル樹脂の製造例]
製造例A1〜A3,A51:樹脂A−1〜A−3,A−51
温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管を有する流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに表1に示す量の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2.2)ポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2.0)ポリオキシエチレン付加物、テレフタル酸、及び2−エチルヘキサン酸錫(II)を入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、200℃まで冷却し、大気圧に戻した後、無水トリメリット酸を入れ、220℃に昇温し、1時間維持した後に、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて軟化点が表1に示す温度に到達するまで反応させて樹脂A−1〜A−3,A−51を得た。得られた樹脂A−1〜A−3,A−51の物性を表1に示す。
【0081】
製造例A4:樹脂A−4
温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管を有する流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに表1に示す2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2.2)ポリオキシプロピレン付加物、テレフタル酸及び2−エチルヘキサン酸錫(II)を入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、200℃まで冷却し、大気圧に戻した後、フマル酸、無水トリメリット酸、4−tert−ブチルカテコールを加え、210℃の温度下で4時間維持した後に、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて軟化点が表1に示す温度に到達するまで反応させて、樹脂A−4を得た。得られた樹脂A−4の物性を表1に示す。
【0082】
製造例A5:樹脂A−5
温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管を有する流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに表1に示す量の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2.2)ポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2.0)ポリオキシエチレン付加物、水素化ビスフェノールA、テレフタル酸、及び2−エチルヘキサン酸錫(II)を入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、8時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、200℃まで冷却し、大気圧に戻した後、フマル酸、4−tert−ブチルカテコールを加え、210℃の温度下で4時間維持した後に、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて軟化点が表1に示す温度に到達するまで反応させて、樹脂A−5を得た。得られた樹脂A−5の物性を表1に示す。
【0083】
製造例A52:樹脂A−52
原料モノマーの量を表1に示す量に変更し、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2.2)ポリオキシプロピレン付加物等とともに、表1に示す量のエチレングリコールを更に添加した以外は、製造例A1と同様にして、樹脂A−52を得た。得られた樹脂A−52の物性を表1に示す。
【0084】
製造例A53:樹脂A−53
原料モノマーの量を表1に示す量に変更し、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2.2)ポリオキシプロピレン付加物等とともに、表1に示す量の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2.0)ポリオキシエチレン付加物を更に添加した以外は、製造例A4と同様にして、樹脂A−53を得た。得られた樹脂A−53の物性を表1に示す。
【0085】
【表1-1】
【0086】
【表1-2】
【0087】
[顔料粒子の分散液の製造例]
製造例P1:顔料粒子の水分散液P−1
表2に示す種類及び配合でポリエステル樹脂をメチルエチルケトン(表中「MEK」とする。)に溶かし、その中に中和剤として5質量%水酸化ナトリウム水溶液、及びイオン交換水を加え、10℃以上15℃以下でディスパー翼を用いて2000rpmで15分間撹拌混合を行なった。続いてシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15−3[表中では「PB15−3」と示す])を加え、10℃以上15℃以下でディスパー翼を用いて7000rpmで3時間撹拌混合した。得られた分散液を150メッシュ濾過し、イオン交換水を110g添加して希釈した後に、高圧ホモジナイザー「マイクロフルイダイザー、型式M−110K」(Microfluidics社製)を用いて、150MPaの圧力で15パス分散処理した。
得られた分散液を、減圧下60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、遠心分離し、液層部分を孔径10μmのフィルター(Pall社製)で濾過して粗大粒子を除いた。固形分濃度20%となるようにイオン交換水を混合後、前記孔径10μmのフィルターで濾過することで、顔料粒子の水分散液P−1を得た。得られた水分散液の物性等を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
[ポリエステル樹脂粒子の水系分散液の製造例]
製造例E1〜E5,E51〜E53:ポリエステル樹脂粒子の水系分散液E−1〜E−5,E−51〜E−53
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)及び熱電対を装備した1L四つ口フラスコに、表3に示す種類及び配合量のポリエステル樹脂を入れ、30℃でメチルエチルケトン200gと混合し溶解させた。次いで、表3に示す量の5質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して30分撹拌後、30℃撹拌下で20mL/分の速度で脱イオン水全量を滴下した。次いで、60℃に昇温した後、80kPa〜30kPaに段階的に減圧していきながらメチルエチルケトンを留去した。25℃まで冷却後、150メッシュの金網で濾過し、イオン交換水にて固形分30質量%に調整し、ポリエステル樹脂粒子を含む水系分散液を得た。得られた水系分散液E−1〜E−5,E−51〜E−53の物性等を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】
[水系インクの製造]
実施例1〜4,7,比較例1〜3(水系インク1〜4,7,51〜53の製造)
100mLスクリュー管にプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)20.0質量部、1,2−ブタンジオール(和光純薬工業株式会社製)10.0質量部、アセチレングリコール系界面活性剤「オルフィンE1010」(日信化学工業株式会社製)1.0質量部、及びイオン交換水21.3質量部を混合し、マグネチックスターラーで室温で15分間撹拌して、混合溶液を得た。
上記製造した顔料を含有する水系分散液28.6質量部(顔料分換算4.0質量部(水系インク100質量部中))をマグネチックスターラーで撹拌しながら、前記混合溶液を混合し、さらにポリエステル樹脂粒子を含む水系分散液19.1質量部(固形分換算5.7質量部(水系インク100質量部中))をスポイトで滴下しながら撹拌混合した。最後に孔径5.0μmのフィルター「ミニザルト」(Sartorius Stedim Biotech社製)で濾過し、水系インクを得た。得られた水系インクの評価結果を表4に示す。
【0092】
実施例5(水系インク5の製造)
100mLスクリュー管にプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)20.0質量部、1,2−ブタンジオール(和光純薬工業株式会社製)10.0質量部、アセチレングリコール系界面活性剤「オルフィンE1010」(日信化学工業株式会社製)1.0質量部、及びイオン交換水5.1質量部を混合し、マグネチックスターラーで室温で15分間撹拌して、混合溶液を得た。
上記製造した顔料を含有する水系分散液28.6質量部(顔料分換算4.0質量部(水系インク100質量部中))をマグネチックスターラーで撹拌しながら、前記混合溶液を混合し、さらにポリエステル樹脂を含む水系分散液35.3質量部(固形分換算10.6質量部(水系インク100質量部中))をスポイトで滴下しながら撹拌混合した。最後に孔径5.0μmのフィルター「ミニザルト」(Sartorius Stedim Biotech社製)で濾過し、水系インクを得た。得られた水系インクの評価結果を表4に示す。
【0093】
実施例6(水系インク6の製造)
100mLスクリュー管にプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)20.0質量部、1,2ブタンジオール(和光純薬工業株式会社製)10.0質量部、アセチレングリコール系界面活性剤「オルフィンE1010」(日信化学工業株式会社製)1.0質量部、及びイオン交換水30.2質量部を混合し、マグネチックスターラーで室温で15分間撹拌して、混合溶液を得た。
上記製造した顔料を含有する水系分散液28.6質量部(顔料分換算4.0質量部(水系インク100質量部中))をマグネチックスターラーで撹拌しながら、前記混合溶液を混合し、さらにポリエステル樹脂を含む水系分散液10.2質量部(固形分換算3.1質量部(水系インク100質量部中))をスポイトで滴下しながら撹拌混合した。最後に孔径5.0μmのフィルター「ミニザルト」(Sartorius Stedim Biotech社製)で濾過し、水系インクを得た。得られた水系インクの評価結果を表4に示す。
【0094】
【表4-1】
【0095】
【表4-2】
【0096】
上述の実施例及び比較例から、着色剤粒子及びポリエステル樹脂粒子が所定のポリエステル樹脂Aを含有することで、画像濃度、画像定着性、及び屈曲性に優れる、水系インクが得られることがわかる。