【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1記載の光モジュール、
ならびに請求項
8記載の投影装置
によって解決される。格別に有利な実施形態が従属請求項に記載されている。
【0010】
本発明は、フィルタリングによって、特に、橙色および/又は橙赤色蛍光体の放出スペクトルを適切にスペクトルフィルタリングすることによって、放出スペクトルの主波長をより長い波長へシフトすることができるという認識に基づいており、換言するならば、ロングパスフィルタリングされた橙色蛍光体および/又は橙赤色蛍光体の主波長をフィルタリングされていない赤色蛍光体の主波長と等しくするか又はそれよりも大きくすることができるという認識に基づいている。それによって、所望の主波長を有する赤色スペクトル領域の光を生成するために、生成すべき光よりも小さい主波長を有するが変換効率が高い蛍光体を使用して、フィルタリングによって所望の主波長を有する光を生成することができる。さらに、本発明は、高い励起出力密度の場合に、高い変換効率の有利性がフィルタリングによる光損失を上回り、従って光束の有利性を達成できるという認識に基づいている。
【0011】
出力スペクトルの予め決められた第1の主波長を有する赤色スペクトル領域の波長変換光を供給するための本発明による光モジュールは、吸収スペクトルの少なくとも1つの第1の波長を有する励起放射を吸収し、放出スペクトルの少なくとも1つの第2の波長を有する光に変換し、その光を放出するように設計された変換手段を含み、少なくとも1つの第2の波長が少なくとも1つの第1の波長よりも長く、光モジュールは、さらに、前記吸収スペクトル内の1つのスペクトル成分を有する励起放射を送出するように設計された励起放射源を含み、その励起放射源によって送出される励起放射が少なくとも間接的に前記変換手段に入射可能であるように前記励起放射源が配置されている。本発明によれば、前記変換手段が、赤色スペクトル成分と、第2の主波長(λ
dom,conv)と、少なくとも120nmの半値幅とを持った放出スペクトルを有し、光モジュールは、さらに、予め決められた限界波長を持ったロングパス特性を有するスペクトルフィルタを含み、前記スペクトルフィルタは、前記第2の主波長を有する放出スペクトルを前記予め決められた第1の主波長を有する出力スペクトルに縮小するように設計および配置されている。
【0012】
前記励起放射源によって送出される励起放射が少なくとも間接的に前記変換手段に入射可能であること、ならびに前記変換手段によって放出される光が少なくとも部分的にかつ少なくとも間接的に前記スペクトルフィルタに入射可能であることは、ここでは、前記励起放射源および前記変換手段が、もしくは前記変換手段および前記スペクトルフィルタが、互いに関連して次のように配置されているとよいと理解すべきである。即ち、励起放射が前記変換手段に、もしくは前記変換手段によって放出される光が前記スペクトルフィルタに、直ちに直接的に入射可能であるように配置されているか、又は1つ又は複数の例えばレンズ、結像コリメータ、非結像コリメータ、転向ミラー、ビームスプリッタ、特に誘電体ミラー、散光器などの如き光学要素により入射可能であるように配置されているとよいと理解すべきである。
【0013】
スペクトルフィルタの使用によって、赤色スペクトル領域の光を生成するために、生成すべき光の出力スペクトルの所望の、即ち予め決められた第1の主波長よりも小さい主波長を有する放出スペクトルを持った変換手段を使用することができる。今日において多くの通常の赤色放出する変換手段、特に窒化物赤色蛍光体は、一般的に高い励起出力密度の場合に低い変換効率を有することから、本発明は、有利な方法で、特に大きな励起出力密度および高い変換効率の場合に、非常に消光の少ない変換手段を使用することができる可能性を提供する。これは、高い励起出力密度の場合に光束の増大を生じさせることができ、換言するならばフィルタリングに起因する放射出力損失にも拘わらずそれができるという大きな利点を有する。例えば、変換手段として、明らかに低い変換効率を有する赤色蛍光体を使用する代わりに橙色蛍光体又は橙赤色蛍光体を使用し、スペクトルフィルタリングによって赤色スペクトル領域の光を生成することが可能になる。しかし、赤色光を生成する際に効率増大を達成するためには、橙色蛍光体又は橙赤色蛍光体だけでなく赤色蛍光体も使用し、その赤色蛍光体の主波長をスペクトルフィルタリングによってより長い所望の波長にシフトするとよい。この場合にも、スペクトルフィルタリングなしにこの所望の主波長を有する赤色蛍光体を使用する場合に比べて、効率増大を達成することができる。さらに、この効率増大は、励起出力密度が大きければ大きいほど、一層大きくその効果が発揮される。
【0014】
さらに、スペクトルフィルタの使用によって、予め決められた主波長は、少なくとも予め決めることができる範囲内で任意に選定することができる。つまり、予め決められた主波長は、使用される変換手段のそれぞれの放出スペクトルに割り当てられている主波長に拘束されない。従って、本発明によって、高い励起出力密度の際に、主波長および色に関して妥協する必要なしに、高い光束を有する赤色スペクトル領域の波長変換光を生成することができる。少なくとも120nmの半値幅を有する広幅の放出によって、出力スペクトルの予め決められた第1の主波長を有するフィルタリングされた光について、極めて優れた効率値がもたらされる。というのは、これによって、所望の第1の主波長を得るに十分な赤色成分が供給されるからである。好ましくは半値幅が少なくとも125nm、特に130nmであるとよい。その場合に、他方では半値幅が広過ぎてはならないことは自明である。というのは、さもなければ、第1の主波長を維持するために、場合によってはショートパスフィルタにより赤色領域内で広くスペクトル成分を除去しなければならないからである。しかし、それらのスペクトル成分がスペクトルの視感度経過に基づいて障害的な影響を及ぼさない場合にも、それによって効率を低下させる不要なエネルギ放射が生じる。従って、半値幅に関して、高々200nm、好ましくは高々180nm、特に高々160nmである適切な上限値を守るべきである。
【0015】
本発明は、橙色を放出する、セリウムをドープしたシリコンガーネット蛍光体、
(AE
3−x−yLu
xCe
y)(Mg
1−zSc
z)
2(Si
1−qGe
q)
3O
12
ただし、AE=Ca,Sr,Ba;
x=0〜2−y; y=0〜0.6; z=0〜1; q=0〜1
を変換手段として使用し、かつスペクトルの赤色側をフィルタリングするためにロングパスフィルタを使用する解決法を開示するものである。この解決法に関する概要が
図4に示されている。この種のシリコンガーネットを使用するならば、現在の知識レベルに基づいて、Euをドープした窒化物赤色蛍光体の使用により生じ得る冒頭に述べた問題、例えば次のような問題が完全に回避される。
(1)高い照射密度の際に発生する効率低下:Ce
3+放出に比べてEu
2+放出が遥かに遅く、このことが例えば飽和効果をひき起こす。
(2)熱的問題:発生するストークシフトが少なく、従って蛍光体で直接に失われて排出しなければならないエネルギが少なくなる。それによって熱的消光が少なくなり、耐久性が改善される。
(3)安定性問題:窒化物赤色蛍光体は、高い放射出力密度および/又は温度の場合に、劣化、特に酸素および湿気に対する劣化に敏感である。しかし、ガーネット蛍光体は過激な条件下でさえも安定である。
【0016】
第2の主波長が、橙赤色スペクトル領域内に、好ましくは575nmと600nmとの間、特に580nmと595nmとの間の橙赤色スペクトル領域内にあるとよい。前記変換手段が、例えば橙赤色ガーネット蛍光体として構成されているとよい。
【0017】
この種の橙赤色ガーネット蛍光体は、特に高い出力密度において、例えばEuをドープした窒化物蛍光体のような赤色蛍光体に比べて非常に高い変換効率を有するので、そのガーネット蛍光体の放出スペクトルのフィルタリングによって達成できる赤色光の光束増大が格別に大きい。さらに、他の格別に大きい利点は、効率向上およびより大きい光束が達成できるだけでなく、ガーネット蛍光体が一般に明らかに窒化物赤色蛍光体よりもコスト効率が良いことにある。従って、赤色光の生成にガーネット蛍光体を使用することによって、なおもコスト節減を達成することができる。
【0018】
前記変換手段がセリウムをドープしたシリコンガーネット蛍光体として構成されていると格別に好ましい。それによって、特に例えばユウロピウムのドープに比べて、活性化物質状態の著しく短い寿命がもたらされ、それにより飽和作用が回避されるという利点が生じる。例えばシリコンガーネット蛍光体は次の組成式に従って構成されているとよい。
CaLu
2−xCe
xMg
2Si
3O
12 又は Ca
2Lu
1−xCe
xMgSi
3O
12
好ましくは、xは0.2以下であり、特に0.06又は0.03に等しいとよい。
【0019】
好ましい実施形態では、前記シリコンガーネット蛍光体が、原子番号57〜71を有するランタノイドの元素群からの元素として、セリウムおよびルテチウムだけを有する。
【0020】
特に、前記変換手段が純粋な単相の蛍光体として構成されており、この材料特性が粉末X線回折法により決定可能である。光領域において吸収される全ての不純物が効率に直接的かつ不利な影響を及ぼす。吸収性のない不純物は効率に直接的な影響を及ぼさない。もちろん、それらの不純物はしばしば散乱能力のような2次特性を変化させ、前記変換手段に不利な作用を及ぼし得る。
【0021】
しかし、X線回折法(XRD)によっても検出できる本来の蛍光体のほかに、前記変換手段に、この種の散乱作用を有する他の成分を含有させることもできる。
【0022】
好ましい実施形態では、前記励起放射源が、少なくとも1kW/cm
2の励起放射面積出力密度を有する励起放射を前記変換手段に照射するように設計されており、特に、場合によっては光モジュールの光学要素との組み合わせでも、前記励起放射源が、光モジュールの動作中に少なくとも1kW/cm
2の励起放射面積出力密度を有する励起放射を前記変換手段に照射するように構成されている。予め決められた第1の主波長にほぼ相当する主波長を有する変換手段に対する第2の主波長を有する変換手段の利点は、励起放射面積出力密度の閾値からやっと明確に表れるので、少なくとも1kW/cm
2の励起放射面積出力密度でもって変換手段を照射する励起放射源を設けることは格別に有利である。励起放射面積出力密度の値は、好ましくは1〜25kW/cm
2の範囲にあり、格別に好ましくは2〜25kW/cm
2の範囲にある。励起放射面積出力密度が大きくなるほど、効率上昇も大きくなる。しかし、より小さい第2の主波長を有する変換手段も特定の励起放射面積出力密度から飽和状態になるので、励起放射面積出力密度は意味があるように任意には大きく選定できない。しかし、これまで従来技術において可能であったよりも明らかに、励起放射面積出力密度を大きくすることができ、従って本発明により生成される光の光束も増大させることができる。
【0023】
本発明の他の有利な実施形態では、予め決められた第1の主波長として、590nmよりも大きい、特に600nmよりも大きい波長が予め与えられている。さらに、予め決められた第1の主波長は、好ましくは590nm〜620nm、特に好ましくは595nm〜610nmの範囲内で予め与えられている。この好ましい範囲内において、第1の主波長は自由に選定可能である。原理的にはこの範囲外の他の波長を予め与えることもできる。しかし、例えばプロジェクタ、特に映画フィルムプロジェクタのような用途のためには、あるいは生成された赤色が他の色の光と組み合わされなければならない演芸用途のためにも、第1の主波長を590nmよりも短く選定しないのが有利である。というのは第1の主波長が短いほど、アドレス指定できる色空間も縮小されるからである。第1の主波長は過大に、即ち610〜620nmよりも著しく長く、選定すべきでもない。というのは主波長の増大にともなって供給可能な最大の光束が減少するからである。これは、目の明るさ感度が610nmの波長を超えると大きく減少するからである。さらに、本発明の格別に大きな利点は、予め決められた波長を無段階に設定できること、即ち任意の第1の主波長を有する波長スペクトルを生成できるようにスペクトルフィルタの限界波長を選定できることにある。従って、要求に応じて、第1主波長の用途、所望の色域、最大光束等を任意に設定する多くの可能性が用意されている。
【0024】
励起放射源がレーザ光源として、特に半導体レーザとして構成されていることが好ましい。しかし、励起放射源としてLED、特に高出力LEDを使用することも可能である。
【0025】
好ましい実施形態では、変換手段が少なくとも励起放射源に対して相対的に動かないように配置された支持体に配置されている。例えば、励起放射源および変換手段が1つの共通なハウジング、特にSMDチップハウジング内に配置されている(SMD=Surface-Mounted Device、表面実装部品)。このような部品は、個々の色チャネルの個別供給用に、特に並行して即ち同時に色生成をする投影装置用に有利に使用することができる。これは本発明の格別に簡単な低コストの実施形態である。それにもかかわらず、ここでは、適切なフィルタリングによって上述のように異なる色を有する光もしくは異なる主波長を有するスペクトルを生成することもできる。
【0026】
さらに、光モジュールが、ディジタルシネマ用途のためにDCI色空間をアドレス指定するべく1つ又は複数のバンドパスフィルタを有するとよい。
【0027】
投影装置が本発明による光モジュールを有するとよい。それによって本発明による投影装置がもたらされる。
【0028】
好ましい実施形態によれば、投影装置が蛍光体ホイールを有し、その蛍光体ホイールが該蛍光体ホイールの回転軸を中心に回転可能であり、少なくとも前記変換手段が、前記蛍光体ホイールの回転軸の周りに環状に延在する該蛍光体ホイールの領域の少なくとも1つのセグメントに配置されており、少なくとも1つの第2の変換手段が、前記蛍光体ホイールの回転軸の周りに環状に延在する領域の少なくとも1つの第2のセグメントに配置されている。好ましくは、少なくとも1つの第2の変換手段が、前記蛍光体ホイールの回転軸の周りに環状に延在する領域の少なくとも1つの第2のセグメントに配置されている。第2の変換手段は、特に、その第2の変換手段が第1の主波長からシフトされた第3の主波長を有する第2の放出スペクトルを有するように構成されている。さらに、第3の主波長が第1および第2の主波長よりも短く、例えば第3の主波長が緑色スペクトル領域にあることが好ましい。前記蛍光体ホイールと2つ以上の異なる変換手段の使用とによって、そのように簡単な方法により、異なる主波長を有する光を生成することができ、このことは特に投影装置に光モジュールを組み込む際に格別に有利である。
【0029】
有利な実施形態によれば、前記蛍光体ホイールが前記回転軸の周りに環状に延在する領域の少なくとも1つの第3のセグメントに貫通開口を有し、前記励起放射源によって放射された励起放射が、前記蛍光体ホイールの回転時に少なくとも間接的に、前記回転軸の周りに環状に延在する前記蛍光体ホイールの領域の各セグメントに順次入射可能であるように、投影装置が構成されている。特に、少なくとも1つの第3のセグメントの貫通開口は次のように構成されている。即ち、蛍光体ホイールの回転時に1つ又は複数の予め決められた回転角範囲内に少なくとも1つの第3のセグメントが存在するときに、励起放射源によって放射される励起放射がその貫通開口を通して照射可能であるように構成されている。それによって、励起放射の一部は、蛍光体ホイールを通して照射可能であり、例えば転向ミラーの如き光学的要素による適切な方向転換の際に、変換手段によって放出される光と組み合わせることができる。励起放射源は、好ましくは440〜470nmの波長範囲、格別に好ましくは445〜455nmの波長範囲で励起放射を放出もしくは送出するように構成されているとよい。これは、一方では通常の蛍光体を励起するのに適した波長範囲であり、他方ではこの青色光もまた、例えば赤色および緑色のような他の波長の光と組み合わせることにより、組み合わせによって提供できる、色の大きな色空間を可能にするのに格別に好適である。
【0030】
代替の実施形態によれば、投影装置が蛍光体ホイールを有し、その蛍光体ホイールが該蛍光体ホイールの回転軸を中心に回転可能であり、前記変換手段が唯一の変換手段として蛍光体ホイール上に配置されている。このことも多くの実施形態の可能性を提供する。例えば1つの蛍光体のみを有する蛍光体ホイールは、3チップ技術もしくは複数イメージャを用いたプロジェクタとして光モジュールを構成するのに格別に好適である。さらに別の蛍光体ホイール又は静止して動かない支持体のような別個の支持体に他の蛍光体を設けてもよい。しかし、フィルタの適切な構成および配置は、1つの蛍光体のみを用いて異なる色の光を生成することも可能にする。例えば橙赤色蛍光体を使用する場合に、スペクトルフィルタとの組み合わせで赤色スペクトル領域の光を生成することができ、また他のフィルタ、特にショートパスフィルタの使用によって、橙色スペクトル領域の光を生成することができる。さらに、青色スペクトル領域の励起放射を、部分的に蛍光体によって生成してフィルタリングした光と組み合わせることもできる。さらに、支持体要素を蛍光体ホイールとして構成することは、蛍光体ホイール上に1つのみの蛍光体を配置する場合にも有利である。というのは、蛍光体領域が蛍光体ホイールの回転によって、持続的に励起放射により照射されないからである。それによっても、蛍光体の温度上昇を低減することができ、それゆえ変換効率を向上させることができる。
【0031】
さらに、励起放射源は複数のレーザダイオードを含むことができる。これらのレーザダイオードは、例えば同じ種類および/又は異なる種類のレーザ光源を使用するレーザダイオードアレイとして構成されているとよい。さらに、レーザダイオードによって放射される光を転向させるための付加的なミラーが設けられ、これらのミラーにより、他の光学要素を介して蛍光体ホイールに光を集束および/又は視準するべく、特に蛍光体ホイールの回転時に、環状領域のセグメントの各々に順次光を導くことができる。
【0032】
好ましくは、投影装置が、少なくとも前記スペクトルフィルタを含むフィルタホイールを有し、前記スペクトルフィルタがそのフィルタホイールの少なくとも1つの第1の領域に配置されており、そのフィルタホイールが、該フィルタホイールの回転軸を中心に前記蛍光体ホイールに対応して回転可能であり、それにより前記変換手段によって放出される第2の主波長を有する光の少なくとも一部が、前記スペクトルフィルタが配置されているフィルタホイールの少なくとも1つの第1の領域に入射可能であるとよい。さらに、フィルタホイールがスペクトルフィルタの配置されていない1つ又は複数の領域を有するようにフィルタホイールを構成すると有利である。そうすることにより、蛍光体ホイールおよびフィルタホイールが例えば同じ角速度で対応して回転する際に、少なくとも1つの第2の変換手段によって放出される光および/又は励起放射の一部が、スペクトルフィルタの配置されていないフィルタホイールの1つ又は複数の領域に入射可能である。スペクトルフィルタは、例えば円セグメントに形成されてフィルタホイールの1つの円セグメントに配置されているとよい。スペクトルフィルタは、フィルタホイールの1つの円セグメントの1つの部分範囲にのみ配置してもよく、例えば蛍光体ホイールの構成に類似させてフィルタホイールの回転軸の周りに環状に延在するフィルタホイール領域の1つのセグメントに配置してもよい。特に、第2の主波長を有する変換手段が同様に蛍光体ホイールの環状領域の複数のセグメントに配置されている場合には、スペクトルフィルタをフィルタホイールの複数の領域に配置してもよく、あるいは特に同じように構成された複数のスペクトルフィルタをフィルタホイールの異なる領域又はセグメントに配置してもよい。さらに、フィルタホイールは、例えば好ましくは緑色蛍光体として構成された第2の変換手段によって放出される光をフィルタリングするため、スペクトルフィルタとは異なる1つ又は複数のフィルタを含むとよい。例えば、他のフィルタは、ショートパスフィルタとして構成されていて、蛍光体ホイール上に配置された緑色蛍光体によって放出される光から黄色スペクトル成分を除去するとよい。緑色蛍光体のそのフィルタリングの際に、大きな光束に関する利点は得られないが、しかし、それによって改善された緑の色調が生成され、その改善された緑の色調により、供給できる色域が同様に拡張され、かつ白色点に関する改善が達成される。さらに、スペクトルフィルタおよび/又は他のフィルタは、フィルタホイールの一方の面に少なくとも部分的にコーティングとして形成されているとよい。さらに、フィルタホイールの他方の面には、フィルタリングされた光およびフィルタリングされていない光の最大の伝送を可能にするために、反射防止コーティングが形成されているとよい。
【0033】
本発明の他の格別に有利な実施形態では、前記フィルタホイールが前記スペクトルフィルタを配置していない少なくとも1つの第2の領域を有し、前記フィルタホイールが、前記蛍光体ホイールに対応して回転可能であり、それにより前記変換手段によって放出される第2の主波長を有する光の一部が、少なくとも間接的に前記スペクトルフィルタを配置していない前記フィルタホイールの少なくとも1つの第2の領域に入射可能である。このことは、特に、前記変換手段が橙赤色蛍光体として構成されている場合に有利である。従って、その橙赤色蛍光体によって放出される光の一部が赤色スペクトル領域の光を生成するために前記スペクトルフィルタに照射され、その橙赤色蛍光体によって放出される光の一部が前記フィルタホイールの第2の領域に照射され、その第2の領域はフィルタを持たず、その第2の領域内では橙赤色光がフィルタリングなしに前記フィルタホイールを透過する。従って、有利な方法で、1つのみの蛍光体つまり橙赤色蛍光体の使用によって、橙色スペクトル領域の光と赤色スペクトル領域の光とを発生させることができる。
【0034】
出力スペクトルの予め決められた第1の主波長を有する赤色スペクトル領域の波長変換光を供給するための本発明による方法は、吸収スペクトルの少なくとも1つの第1の波長を有する励起放射を吸収し、その吸収した励起放射を放出スペクトルの少なくとも1つの第2の波長を有する光に変換し、その変換した光を変換手段によって放出するステップを含み、少なくとも1つの第2の波長が少なくとも1つの第1の波長よりも長く、さらに前記吸収スペクトル内のスペクトル成分を有する励起放射を励起放射源によって送出するステップを含み、その励起放射源によって送出される励起放射が少なくとも間接的に前記変換手段に入射可能であるように、前記励起放射源が配置されている。本発明によれば、この方法は、さらに、赤色スペクトル成分と第2の主波長と少なくとも120nmの半値幅とを有する放出スペクトルを放出するステップと、第2の主波長を有する放出スペクトルを、ロングパス特性と予め決められた限界波長とを有するスペクトルフィルタによって、予め決められた第1の主波長を有する出力スペクトルに縮小するステップとを含む。
【0035】
本発明による光モジュールおよびそれの実施形態に関して述べた具体的な特徴事項は、他の方法ステップによる本発明の方法の実施形態を可能にする。さらに、本発明による光モジュールおよびそれの実施形態に関して述べた具体的な特徴事項、それらの特徴事項の組み合わせならびにそれらの利点は、同様に本発明による方法に当てはまる。
【0036】
本発明の他の利点、特徴および詳細を、請求項および好ましい実施形態の以下における説明により、ならびに図面に基づいて明らかにする。
【0037】
以下において、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。