(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度センサにおける導出された配線は、前記連結管の本体の外壁に沿って配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の温度センサ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記血液や透析液の循環回路に温度センサを設けたものにおいては、血液や透析液に直接接触するように、棒状の温度センサの収容部(有底管)を循環回路中に突出して配設する構成である。したがって、温度センサの収容部が循環回路を流れる液体の障害物となり、流れる圧力の損失や血栓が堆積してしまうという問題が生じる。
【0007】
特に、堆積した血栓が脱落し流出してしまうことにより、その血栓が体内に流入し、心臓を通過して肺に侵入して、肺塞栓症を発症したり、また、温度センサの収容部と循環回路との微小な隙間から空気が混入することにより、空気塞栓症等の重篤な障害が発症したりする虞がある。
【0008】
本発明は、液体流通路に突出する障害物を有することなく、安全性が高いとともに熱応答性及び精度が向上できる温度センサ装置及びこの温度センサ装置を備えた液体循環装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の温度センサ装置は、一端から他端に略円形状に貫通する
とともに、一体的に連続していて外部と遮断されている液体流通路を有する本体及びこの本体の外壁において前記
液体流通路の液体の流通方向に直交する方向に薄肉に形成された薄肉部を有する連結管と、前記連結管の薄肉部に配設された温度センサと、前記温度センサを覆うように前記本体に取り付けられ、前記温度センサとの間に空間部を形成する断熱カバーと、を具備することを特徴とする。
【0010】
温度センサには、例えば、感温抵抗素子として薄膜感温抵抗素子の薄膜サーミスタや薄膜白金抵抗素子が好適に用いられるが、温度センサの形式が格別限定されるものではない。
【0011】
請求項2に記載の温度センサ装置は、請求項1に記載の温度センサ装置において、前記連結管を構成する本体は、樹脂材料によって形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の温度センサ装置は、請求項1に記載の温度センサ装置は、前記連結管を構成する本体は、樹脂材料と金属材料との複合材料から形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の温度センサ装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の温度センサ装置において、前記温度センサには、薄膜感温抵抗素子が用いられていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の温度センサ装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の温度センサ装置において、前記温度センサは、フレキシブル配線基板に薄膜感温抵抗素子が実装されたものであることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の温度センサ装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の温度センサ装置において、前記温度センサにおける感温抵抗素子は、複数個設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の温度センサ装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の温度センサ装置において、前記温度センサにおける導出される配線は、前記連結管の本体の外壁に沿って配設されていることを特徴とする。
【0017】
温度センサにおける導出された配線は、リード線と指称されるものに限らず、信号線、外部引出し端子等と指称されるものであってもよく、限定的に解されるものではない。また、基板に形成された配線パターンを含むものである。
【0018】
請求項8に記載の温度センサ装置は、請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の温度センサ装置において、前記断熱カバーの外面側には、赤外線反射材料で構成された反射層が形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の温度センサ装置は、請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載の温度センサ装置において、前記温度センサ及び断熱カバーは、前記連結管の本体と分離可能に構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載の温度センサ装置は、請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載の温度センサ装置において、前記連結管の本体は、生体適合性を有する材料で形成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項11に記載の液体循環装置は、液体循環回路と、この液体循環回路に配設された請求項1乃至請求項10のいずれか一に記載の温度センサ装置と、を具備することを特徴とする。
【0022】
液体循環装置としては、人工透析装置や人工心肺装置等の医療機器の分野に好適に用いることができる。また、例えば、熱交換器及び給湯器等の液体循環装置にも適用することができ、適用される装置が格別限定されるものではない。
さらに、液体循環回路に配設される温度センサ装置は、その配設位置や配設個数等が特に制限されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によれば、安全性が高いとともに熱応答性及び精度が向上できる温度センサ装置及びこの温度センサ装置を備えた液体循環装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施形態に係る温度センサ装置及び液体循環装置について
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1は、液体循環装置を示す模式的な構成図であり、
図2は、温度センサ装置を示す斜視図、
図3は、温度センサ装置を異なる方向から見て示す平面図である。また、
図4は、温度センサ装置において保護カバーを取り外して示す斜視図(固定剤は省略)、
図5は、本体(連結管)に温度センサを配設する前の状態を示す横断面図、
図6は、温度センサ装置を示す横断面図である。
【0026】
図1において、液体循環装置として人工透析装置10が示されている。人工透析装置10は、患者の血液を一旦体外に取り出し、血液中の老廃物を透析液に移行し、取り出した血液を浄化し、再び体内に戻して循環させるように動作する。したがって、液体循環回路、すなわち、血液を循環させるための血液循環回路及び透析液を循環させるための透析液循環回路が構成されている。
【0027】
患者から取り出された血液は、血液ポンプ11により動脈圧モニター12を経由して透析膜を有するダイアライザー13に送られる。ダイアライザー13を通過して浄化された血液は、静脈圧モニター14を介して再び患者の体内に戻される。
【0028】
また、ダイアライザー13には、透析監視器17が接続されており、この透析監視器17には透析液供給装置16が接続されている。透析液は、透析液供給装置16から透析監視器17を経由してダイアライザー13に送られ、血液中の老廃物とともに廃液バッグ18に排出される。このように透析用監視装置15は、透析監視器17やダイアライザー13から構成されている。
【0029】
ここで、人工透析装置10における血液循環回路及び透析液循環回路には、後述する温度センサ装置1が配設されている。具体的には、血液循環回路においては、ダイアライザー13の前段の動脈側及び後段の静脈側、透析液循環回路においては、透析用監視装置15の後段に配設されている。
【0030】
温度センサ装置1は、血液及び透析液の温度を検知して、図示しないヒータにより、これら血液及び透析液の温度を生理的に適切な温度に制御するための機能を有している。なお、温度センサ装置1が配設される位置や配設個数等は、特に制限されるものではない。
【0031】
図2乃至
図6に示すように、温度センサ装置1は、連結管2に温度センサ4を取り付けたものである。連結管2は、前述の血液循環回路及び透析液循環回路を形成する流通路に配設されて、循環回路を繋ぐ継ぎ手として機能している。例えば、連結管2には、循環回路を形成する生体適合性のポリ塩化ビニル(PVC)製のチューブTbが接続される。
【0032】
温度センサ装置1は、連結管2を構成する連結管本体3と、温度センサ4と、断熱カバー5とを備えている。連結管本体3は、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料から作られていて、概略的には一端から他端に略円形状に貫通する液体流通路31を有して管状に形成されている。この本体3の略中央部の外壁には凹部が形成されており、薄肉の薄肉部32として構成されている。
【0033】
具体的には、
図5及び
図6に代表して示すように、薄肉部32は、平坦状に形成されており、液体流通路31に対して薄肉である。つまり、液体流通路31の液体の流通方向に直交する方向(半径方向)に薄肉に形成されている。一方、前記薄肉部32と対向する外壁も平坦状をなしていて、同様に薄肉の薄肉部33が形成されている。
【0034】
また、本体3の両端部側には、循環回路を形成するチューブTbが接続される接続部34が形成されている。この接続部34は、中央部から両端側へ向かって先細りのテーパ状に形成されていて、その外壁には複数個の環状突起35が設けられている。環状突起35は、チューブTbが緊密に接続される機能をなすものである。
【0035】
温度センサ4は、感温抵抗素子のサーミスタであり、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、イットリウム(Y)、クロム(Cr)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)等の遷移金属元素の中から選ばれる2種あるいはそれ以上の元素から構成され、複合金属酸化物を主成分として含む酸化物のサーミスタ組成物で構成される。
【0036】
この温度センサ4は、エポキシ樹脂等によってコーティングされて保護されている。前記サーミスタ組成物には電極が形成されており、この電極からは配線としてのリード線41が導出されている。さらに、このリード線41は、はんだ付けされて配線としての外部リード線42と接合部43を形成して接続されている。
【0037】
このような温度センサ4は、前記平坦状の薄肉部32に配置され、エポキシ樹脂等の固定剤44によって固定される。また、リード線41と外部リード線42との接合部43は、薄肉部33に配置されて、同様にエポキシ樹脂等の固定剤44によって固定される。
【0038】
上記構成において、配線である少なくともリード線41は、本体3の外壁に沿って配設されている。つまり、本体3の外周に沿って巻き付けて卷回するように配設されている。具体的には、リード線41は本体3の外周の1/3以上に沿って巻き付けられていることが好ましく、1/2(半周)以上に沿って巻き付けられていればより好ましい。
【0039】
断熱カバー5は、例えば、ポリプロピレン等の熱伝導性が悪く断熱性を有する樹脂材料から作られていて、温度センサ4、及びリード線41と外部リード線42との接合部43を覆うように本体3の外周壁に沿って取り付けられている。この断熱カバー5は、温度センサ4及び接合部43を保護するとともに、温度センサ4との間に空間部51を形成して、温度センサ4が外部の温度の影響を受けるのを抑制する機能を有している。また、断熱カバー5の外周の一部には開口部52が形成されており、この開口部52からは外部リード線42が導出されるようになっている。なお、空間部51は、その大きさや形態が特段限定されるものではない。断熱性を高めるものであればよい。また、空間部51は必要に応じて空気よりも熱伝導の悪い断熱材料で構成してもよい。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、温度センサ装置1の連結管本体3に形成された液体流通路31には、突出する障害物がないので、安全性が高い効果を有する。また、温度センサ4は、薄肉部32に配設されているので、液体流通路31を流れる液体の温度を短時間に検知することができ、熱応答性の向上が期待できる。
【0041】
さらに、温度センサ4は、断熱カバー5によって覆われているので、外部の温度の影響を受けるのを抑制することができ、温度検知の精度を向上することができる。また、配線、すなわち、リード線41が本体3の外壁に沿って配設されているので、温度センサ4によって検知された熱がリード線41から放熱されるのを抑制することができ、正確な温度検知が可能となる。
【0042】
さらにまた、液体流通路31は、一体的に連続していて、外部と遮断されているので、液体が外部に漏れるのを防止することができる。仮に、従来のように、棒状の温度センサが液体流通路に突出する構成の場合には、この温度センサと液体流通路との間に隙間が生じる可能性があり、液体が外部に漏れる虞がある。
【0043】
なお、本実施形態の温度センサ装置は、人工透析装置や人工心肺装置等の医療機器の分野に好適に用いることができる。加えて、熱交換器及び給湯器等の液体循環装置に適用することも可能である。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態に係る温度センサ装置について
図7乃至
図12を参照して説明する。
図7は、温度センサ装置を示す平面図であり、
図8は、温度センサ装置を示す正面図及び側面図である。
図9は、温度センサ装置を分解して示す平面図であり、
図10は、温度センサ装置を分解して示す正面図であり、
図11は、温度センサ装置を示す縦断面図である。また、
図12は、環境温度の変化に対する温度センサ装置の検知温度のずれを示すグラフである。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
本実施形態は、連結管本体3が複合材料、つまり、樹脂材料と金属材料との2つ材料から形成されており、また、温度センサ4は、実装基板にサーミスタ素子が実装されて構成されている。
【0046】
温度センサ装置1は、連結管本体3と、温度センサ4と、断熱カバー5とを備えている。連結管本体3は、樹脂管部3aと金属管部3bとが一体化されて構成されている。具体的には、樹脂管部3aの内面側に金属管部3bが、例えば、インサート成形により配設されている。樹脂管部3aは、生体適合性のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等から作られていて、樹脂管部3aの一端側の上面には略長方形状の切欠き部3cが形成されている。
【0047】
金属管部3bは、例えば、生体適合性のチタン、チタン合金及びステンレス鋼であるSUS316L(日本工業規格)等の熱伝導性が良好な金属材料からパイプ状に作られている。また、金属管部3bの上面は、温度センサ4を配置するために平坦状に形成された薄肉部32が形成されている。
【0048】
また、これらの材料に、歯科金属である金、プラチナ、パラジウム、銀、銅等の貴金属をめっきして洗浄液に対する耐酸性を向上させてもよい。特にめっき材料に銀、プラチナ金、銅等を用いると雑菌の繁殖を抑える滅菌効果も期待できる。
なお、金属が使用できない場合は、生体適合性の樹脂をコーティングしてもよい。
【0049】
主として
図9及び
図10に示すように、温度センサ4は、薄膜感温抵抗素子である薄膜サーミスタ4aが実装基板4bの一面側に複数個、具体的には2個実装されて構成されている。これは、一方の薄膜感温抵抗素子が故障した場合に、他方の薄膜感温抵抗素子をバックアップとして動作させて、温度検出を確実に実行できるようにし、安全性を確保するためである。
【0050】
薄膜サーミスタ4aは、素子基板上に薄膜素子層が形成されて構成されており、素子基板は、略長方形状をなしていて、絶縁性のアルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア等のセラミックス材料を用いて形成されている。この基板の一面上には、絶縁性薄膜がスパッタリング法によって成膜して形成されている。
【0051】
薄膜素子層は、サーミスタ組成物であり、負の温度係数を有する酸化物半導体から構成されている。薄膜素子層は、前記素子基板上に、スパッタリング法によって成膜して形成されている。薄膜素子層は、例えば、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)等の遷移金属元素の中から選ばれる2種又はそれ以上の元素から構成されている。また、素子基板の両端部には、薄膜素子層と電気的に接続された電極部が形成されている。
【0052】
実装基板4bは、略長方形状に形成された可撓性を有するフレキシブル配線基板(FPC)である。実装基板4bには、ポリイミド、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂材料を用いることができる。
【0053】
実装基板4bには、所定の配線パターンが形成されており、この配線パターンには、薄膜サーミスタ4aの電極部及びリード線42がはんだ付け等によって接続されている。このリード線42は、薄膜サーミスタ4aが実装される一面側(図示上、裏面側)とは反対側の他面側(図示上、表面側)に接続されるようになっている。
なお、前記薄膜感温抵抗素子は、薄膜サーミスタに限らず、薄膜白金抵抗素子で構成されていてもよい。
【0054】
断熱カバー5は、断熱性を有する樹脂材料から箱状に作られていて、温度センサ4及びリード線42の接合部43を覆うように本体3の外壁に取り付けられている。この断熱カバー5は、温度センサ4及び接合部43を保護するとともに、温度センサ4との間に空間部51を形成して、温度センサ4が外部の温度の影響を受けるのを抑制する機能を有している。また、断熱カバー5からリード線42が導出されるようになっている。
【0055】
このような温度センサ装置1は、
図9及び
図10に示すように組み立てられる。樹脂管部3aと金属管部3bとから構成された連結管本体3において、樹脂管部3aからは金属管部3bの上面の温度センサ4が配置される薄肉部32のみが露出する。まず、温度センサ4における薄膜サーミスタ4aが実装された実装基板4bの面を、金属管部3bの薄肉部32に配置して密着固定する。その後、リード線42をはんだ付け等によって接続し、温度センサ4を覆うように断熱カバー5を本体3に固定する。
【0056】
以上のような構成の温度センサ装置1において、薄肉部32は、本体3である樹脂管部3aと金属管部3bとの肉厚寸法Tより薄い、肉厚寸法tとなって本体3の外壁に凹部をなして形成される。また、本体3の液体流通路31は、樹脂管部3aと金属管部3bの内径が同径で一体的に連続するように形成される。
【0057】
次に、
図12を参照して、環境温度の変化に対する温度センサ装置1の検知温度のずれを測定した結果について説明する。
図12において、横軸は外部の環境温度(℃)を示し、縦軸は温度(℃)のずれを示している。
【0058】
この場合、図に示すように液体の温度と薄膜サーミスタ4aの検知温度とのずれは周囲温度が変化しても約0.5℃であり、ずれは小さいことが確認できる。したがって、環境温度が変化した場合にも、液体の温度を精度高く検知できる温度センサ装置1を実現できる。この場合の生体適合性のポリ塩化ビニル(PVC)製のチューブTbの外側の表面温度は、周囲温度20℃のときに約5℃の温度ずれが生じていた。
【0059】
以上のように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果に加え、連結管本体3に金属管部3bを備え、また、温度センサ4として薄膜感温抵抗素子である薄膜サーミスタ4aを用いているので、一層の熱応答性の向上が期待できる。
さらに、薄膜感温抵抗素子である薄膜サーミスタ4aが複数個設けられているので、安全性を高めることが可能となる。
【0060】
次に、本発明の第3の実施形態に係る温度センサ装置について
図13乃至
図22を参照して説明する。
図13乃至
図15は実施例1の温度センサ装置を示し、
図13は斜視図、
図14は縦断面図、
図15は横断面図である。
図16及び
図17は実施例2の温度センサ装置を示し、
図16は縦断面図、
図17は横断面図である。
図18は実施例3の温度センサ装置を示す縦断面図、
図19は実施例4の温度センサ装置を示す横断面図、
図20は実施例5の温度センサ装置を示す横断面図、
図21及び
図22は実施例6の温度センサ装置を示す横断面図である。なお、前述の第1の実施形態及び第2の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図では、説明上、模式的に示し、また、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している場合がある。
(実施例1)
【0061】
図13乃至
図15に示すように、本実施例の温度センサ装置1は、第2の実施形態と同様に、連結管本体3は、樹脂管部3aと金属管部3bとから構成されている。つまり、樹脂材料と金属材料との複合材料から構成されている。しかしながら、パイプ状の金属管部3bが一体的な樹脂管部3aに挿入されている形態をなしている。
【0062】
温度センサ装置1は、連結管本体3と、温度センサ4と、断熱カバー5とを備えている。 樹脂管部3aは、ポリプロピレン等の樹脂材料から管状に作られていて、一端から他端に略円形状に貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に金属管部3bが緊密に挿入状態で配設さている。また、樹脂管部3aの両端部側には接続部34が形成されている
【0063】
一方、金属管部3bは、例えば、ステンレス鋼であるSUS316L(日本工業規格)等の熱伝導性が良好な金属材料からパイプ状に作られている。この金属管部3bは、長手方向の長さ寸法が樹脂管部3aの長さ寸法より長く、金属管部3bの両端部が樹脂管部3aの両端部から延出するように構成されている。なお、樹脂管部3aに金属管部3bを挿入状態で配設するには、インサート成形や圧入成形等により行うことができる。但し、成形方法は種々選定することができ格別限定されるものではない。
【0064】
また、
図14に示すように金属管部3bには、温度センサ4を配置するための薄肉部32が形成されている。この薄肉部32は、樹脂管部3aの略中央部における外壁がない切欠かれた部分に形成される。つまり、薄肉部32は、樹脂管部3aから金属管部3bが露出した部分に形成されるようになり、本体3である樹脂管部3aと金属管部3bとの肉厚寸法Tより薄い、金属管部3bの肉厚寸法tとなって本体3の外壁に凹部をなして形成される。また、本体3の液体流通路31は、金属管部3bの内径によって連続するように形成される。
【0065】
温度センサ4は、第1の実施形態と同様に、感温抵抗素子のサーミスタであり、エポキシ樹脂等によってコーティングされて保護されている。この温度センサ4は、金属管部3bが露出している薄肉部32に配置され、エポキシ樹脂等の固定剤44によって固定される。また、温度センサ4からは、配線としてのリード線41が導出されており、このリード線41は、外部端子部45に接続されている。
【0066】
断熱カバー5は、ポリプロピレン等の断熱性を有する樹脂材料から作られていて、温度センサ4を覆うように本体3の外周壁に沿って取り付けられている。この断熱カバー5は、温度センサ4を保護するとともに、温度センサ4との間に空間部51を形成して、温度センサ4が外部の温度の影響を受けるのを抑制する機能を有している。また、断熱カバー5の外周の一部には開口部52が形成されており、この開口部52からはリード線41が導出されるようになっている。
【0067】
以上のように本実施例によれば、第1の実施形態と同様な効果に加え、連結管本体3に金属管部3bを備えているので、熱応答性の向上を図ることができる。また、液体流通路31は、金属管部3bの内径によって継ぎ目を有することなく連続して形成されているので、液体の流れを円滑化することが可能となる。
(実施例2)
【0068】
図16及び
図17に示すように本実施例は、実施例1と基本的な構成は同じである。実施例1とは、温度センサ4の構成が異なっている。本実施例の温度センサ4は、第2の実施形態と同様に、薄膜感温抵抗素子である薄膜サーミスタ4aが実装基板4bの一面側に実装されている。
【0069】
実装基板4bは、可撓性を有するフレキシブル配線基板(FPC)である。実装基板4bには、所定の配線パターン4cが形成されており、この配線パターン4cには、薄膜サーミスタ4aの電極部及びリード線42がはんだ付け等によって接続されている。
また、断熱カバー5の外周の一部には開口部52が形成されており、この開口部52からは実装基板4b及びリード線42が導出されるようになっている。
(実施例3)
【0070】
図18に示すように本実施例は、実施例2と同様な構成であるが、薄膜感温抵抗素子である薄膜サーミスタ4aが実装基板4bの一面側に複数個、具体的には2個実装されている。したがって、一方の薄膜感温抵抗素子が故障した場合に、他方の薄膜感温抵抗素子をバックアップとして動作させることができる。
(実施例4)
【0071】
図19に示すように本実施例は、温度センサ4から導出された配線を本体3の外壁に沿って配設したものである。具体的には、配線であるリード線41が本体3の外壁、すなわち、金属管部3bの外周に沿って配設されているものである。つまり、リード線41は、本体3の外周に沿って巻き付けて卷回するように配設されている。
【0072】
温度センサ4は、第1の実施形態で示したものと同様な構成である。断熱カバー5の外周の一部には開口部52が形成されており、この開口部52の一端からは支持片53が延出されていて、支持片53上にリード線41と外部リード線42との接合部43がエポキシ樹脂等の固定剤44によって固定されている。
【0073】
したがって、リード線41が本体3の外壁に沿って配設されているので、温度センサ4によって検知された熱がリード線41から放熱されるのを抑制することができ、正確な温度検知が可能となる。
(実施例5)
【0074】
図20に示すように本実施例は、実施例4と同様に、温度センサ4から導出された配線を本体3の外壁に沿って配設したものであるが、温度センサ4のタイプが異なっている。
【0075】
本実施例の温度センサ4は、薄膜感温抵抗素子である薄膜サーミスタ4aがフレキシブル配線基板(FPC)の実装基板4bの一面側に複数個、具体的には、2個実装されている。また、実装基板4bには、配線としての配線パターン4cが形成されており、この配線パターン4cには、薄膜サーミスタ4aの電極部及びリード線42がはんだ付け等によって接続されている。
【0076】
したがって、フレキシブル配線基板(FPC)の実装基板4bが本体3の外壁、すなわち、金属管部3bの外周に沿って配設されているものである。換言すれば、配線としての配線パターン4cが本体3の外壁に沿って巻き付けられて卷回するように配設されている。具体的には、配線パターン4cは本体3の外周の1/3以上に沿って巻き付けられていることが好ましく、1/2(半周)以上に沿って巻き付けられていればより好ましい。
【0077】
以上のように本実施例によれば、温度センサ4によって検知された熱が実装基板4bや配線パターンから放熱されるのを抑制することができ、正確な温度検知が可能な温度センサ装置1を提供することができる。
(実施例6)
図21及び
図22に示すように本実施例は、断熱カバー5の外面側に赤外線反射材料で構成された反射層54を形成したものである。
図21に示す温度センサ装置1は、実施例5で説明したものと基本的には同じ構成であり、加えて、反射層54を形成したものである。
【0078】
図22に示す温度センサ装置1は、温度センサ4をフェースダウンの形式で、実装基板4bの実装面側を本体3の外壁に接触させて、外壁に沿って配設したものである。
なお、反射層54は、断熱カバー5に赤外線反射材料のめっきを施したり、アルミニウム製のテープを貼着してしたりする等により形成することができる。
このような構成によれば、外部からの赤外線による熱的影響を抑制することができ、温度センサ4の温度検知の精度を向上することができる。
【0079】
次に、本発明の第4の実施形態に係る温度センサ装置について
図23乃至
図25を参照して説明する。
図23は温度センサ装置を示す斜視図であり、
図24は断熱カバーを示す斜視図であり、
図25は温度センサを示す斜視図である。なお、上記各実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0080】
本実施形態の温度センサ装置1は、断熱カバー5に温度センサ4が取り付けられていて、この断熱カバー5が連結管本体3に着脱可能となっている。つまり、温度センサ4を含めた断熱カバー5が本体3と分離可能に構成されているものである。
【0081】
温度センサ装置1は、連結管本体3と、温度センサ4と、断熱カバー5とを備えている。連結管本体3は、第1の実施形態で説明したものと同様な構成であり(
図2乃至
図6及びその説明を併せて参照)、本体3は、ポリプロピレン等の樹脂材料から作られていて、液体流通路31を有して管状に形成されている。また、この本体3の外壁には薄肉部32が形成されている。
温度センサ4は、
図25に示すように、薄膜感温抵抗素子である薄膜サーミスタ4aが実装基板4bの一面側に実装されて構成されている。
既述のように薄膜サーミスタ4aの薄膜素子層は、サーミスタ組成物であり、負の温度係数を有する酸化物半導体から構成されている。
【0082】
実装基板4bは、略細長の長方形状に形成された可撓性を有するフレキシブル配線基板(FPC)である。実装基板4bには、一端から他端に亘って配線としての配線パターン4cが形成されている。この配線パターン4cには、薄膜サーミスタ4aの電極部及びリード線42がはんだ付け等によって接続されている。このような実装基板4bは、断熱カバー5の内面に沿って弧状に湾曲されて配置される。
【0083】
断熱カバー5は、第1の実施形態で説明したものと略同様な構成である。
図24に示すように、断熱カバー5は、ポリプロピレン等の断熱性を有する樹脂材料から作られており、本体3の外周壁に沿って取り付けられる。この断熱カバー5には、実装基板4b及び、配線パターン4cと外部リード線42との接合部43を狭持して保持する保持部55が形成されている。
【0084】
また、断熱カバー5の外周上の一端部にはフック機構56が形成されていて、このフック機構56を操作することにより、矢印で示すように断熱カバー5を閉じて本体3の外周壁に取り付けるロック状態及び断熱カバー5を開いて本体3の外周壁から取り外す解除状態とすることができる。
【0085】
断熱カバー5の内周側には、フレキシブル配線基板で構成された温度センサ4が略弧状に湾曲されて配置され、接合部43が保持部55に狭持されて保持される。この場合、少なくとも断熱カバー5の内周面と温度センサ4との間には、空間部が形成されるように構成するのが好ましい。
【0086】
このように構成された断熱カバー5を連結管本体3に取付ける場合には、断熱カバー5を開いた状態で、本体3の外周壁に配置し、フック機構56を操作して断熱カバー5を閉じてロック状態とし、強固に取り付ける。
【0087】
断熱カバー5が連結管本体3に取付けられた状態においては、温度センサ4は薄肉部32に配置され、フレキシブル配線基板(FPC)の実装基板4bが本体3の外壁に沿って配設され、換言すれば、配線としての配線パターン4cが本体3の外壁に沿って巻き付けられて卷回するように配設される。
【0088】
以上のように本実施形態によれば、第1に実施形態の効果に加え、連結管本体3から、温度センサ4を含めた断熱カバー5が分離できるので、温度センサ4の再利用が可能となり経済的に有利となる。
【0089】
次に、上記実施形態の測温性能を確認した結果について
図26を参照して説明する。測温性能は、液体循環回路を流れる液体の温度に対する温度センサ装置の検知温度のずれで示している。測温対象試料は、3試料であり、(1)第1の実施形態の温度センサ装置、(2)第2の実施形態の温度センサ装置及び(3)比較例の温度センサ装置である。比較例の温度センサ装置は、既述の特許文献1に示された従来のものであり、金属製有底管に棒状の感温部を配設した構成である。
【0090】
図26において、横軸は時間[秒]を示し、縦軸は温度[℃]を示している。雰囲気温度が20℃、液体の温度が37℃の条件下で、液体の循環を開始して安定状態になってから100秒間の温度のずれを測定した。
【0091】
その結果、液体の温度に対し、(1)第1の実施形態の温度センサ装置では2.1℃、(2)第2の実施形態の温度センサ装置では0.5℃、(3)比較例の温度センサ装置では3.9℃の温度のずれが生じることが認められた。
【0092】
すなわち、(1)第1の実施形態の温度センサ装置及び(2)第2の実施形態の温度センサ装置の双方ともに、(3)比較例の温度センサ装置より測温性能が優れており、精度の高い測温の実現が可能となることが確認できた。
【0093】
また、測定結果から、同様に(1)第1の実施形態の温度センサ装置及び(2)第2の実施形態の温度センサ装置は、(3)比較例の温度センサ装置より応答性に優れていることが確認できた。因みに、応答性を示す熱時定数は、(1)第1の実施形態の温度センサ装置が23[sec]、(2)第2の実施形態の温度センサ装置が4[sec]、(3)比較例の温度センサ装置が34[sec]であった。
【0094】
なお、上記各実施形態において、連結管2を構成する連結管本体3は、この種医療機器に用いられる場合には、安全性を高めるため生体適合性を考慮した材料で構成される。生体適合性を有する樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びセグメント化ポリウレタン(SPU)等、金属材料としては、ステンレス鋼(SUS316L)、コバルトクロム合金(Co−Cr合金)、チタン(Ti)、チタンニッケル合金(Ti−Ni合金)等を好適に用いることができる。
【0095】
以上説明してきた各実施形態における温度センサ装置は、液体循環装置として人工透析装置や人工心肺装置等の医療機器の分野に好適に用いることができる。また、熱交換器及び給湯器等の液体循環装置にも適用することができ、適用される装置が格別限定されるものではない。
【0096】
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。