(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0013】
実施形態における開閉体制御装置は、車両に設けられる開閉体を駆動源を駆動することでその車両の開口部を開閉する。この開閉体制御装置は、開閉体の停止時にはスリープ状態であって、駆動源の発電が検知された場合にはスリープ状態から起動して駆動源を制動制御する。
以下、実施形態の開閉体制御装置を、図面を用いて説明する。なお、第1の実施形態では、車両に設けられる開閉体が車両のテールゲートである場合について説明するが、これに限定されず、例えば、スライドドアでもよい。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における開閉体制御装置75が搭載された車両1の例を示す斜視図である。
図1に示すように、車両1には、アクチュエータ100が備えられており、このアクチュエータは、第1の実施形態における開閉体制御装置75に駆動されることにより、車両1の例えばテールゲート2を開閉する。テールゲート2は、車両1の車体後部に形成された開口部3に対し、開口部3の上部3aに図示しないヒンジ機構を介して開閉可能に設けられている。
【0015】
アクチュエータ100は、開口部3の左右両側にそれぞれ設けられ、それぞれ、一端100aが開口部3の側枠部3sにピン(図示無し)を介して回動可能に連結され、他端100bがテールゲート2にピン(図示無し)を介して回動可能に連結されている。
【0016】
図2は、第1の実施形態におけるアクチュエータ100の外観を示す側面図である。
図3は、第1の実施形態におけるアクチュエータ100の断面図である。
図4は、第1の実施形態におけるアクチュエータ100のモータ部30及び減速ギヤ部50を示す拡大断面図である。
【0017】
図2、
図3に示すように、アクチュエータ100は、第一ハウジング10、第二ハウジング20、モータ部30(駆動部)、モータ部30の回転力を減速して出力する減速ギヤ部50、減速ギヤ部50を介して伝達されるモータ部30の回転力により回転するスクリュー軸60及びコイルスプリング70を備えている。
【0018】
第一ハウジング10は、円筒状で、例えば鉄等の金属製材料から形成されている。
図4に示すように、第一ハウジング10の一端10a(
図4における左側端)には、テールゲート2側にピン(図示無し)を介して連結されるジョイント部材11が設けられている。ジョイント部材11は、円板状で第一ハウジング10の一端10の内側に嵌め込まれたプレート部11aと、プレート部11aから第一ハウジング10の外方に突出し、ピン(図示無し)が連結されるジョイント部11bと、を備えている。
【0019】
図3に示すように、第二ハウジング20は、第一ハウジング10の内径よりも小さな外径を有した円筒状で、樹脂等の第一ハウジング10よりも軟らかい材料から形成されている。このように、第二ハウジング20は、第一ハウジング10に対して軽量化が図られている。
第二ハウジング20は、一端20a側(
図3における左端側)が、第一ハウジング10の他端10b側(
図3における右端側)から第一ハウジング10内に挿入されている。第二ハウジング20は、第一ハウジング10に対し、他端10bから出没する方向に相対移動可能とされている。
【0020】
第二ハウジング20の他端20bは、深絞り加工等により底部20cが形成されている。この底部20cの径方向中央に、後述のジョイント部材21のジョイント部21bを挿通可能な貫通孔20dが形成されている。
ジョイント部材21は、車両1の開口部3の側枠部3sと第二ハウジング20とを連結するためのものである。ジョイント部材21は、第二ハウジング20の他端20bの内側に嵌め込まれたプレート部21aと、プレート部21aから底部20cに形成された貫通孔20dを介して外方に突出するジョイント部21bと、を備えている。このジョイント部21bに、ピン(図示無し)を介して開口部3の側枠部3sが連結される。
【0021】
プレート部21aは、底部20cに面するように配置され、第二ハウジング20の他端20bにかしめ加工等により固定されている。また、プレート部21aの径方向中央には、第二ハウジング20の内方に突出する雄ネジ部21cが設けられている。この雄ネジ部21cに、円筒状のインナーチューブ24の他端24bが螺合されている。
【0022】
円筒状のインナーチューブ24は、第二ハウジング20内に配置されている。インナーチューブ24は、例えばアルミに引き抜き加工を施して形成される。このインナーチューブ24の他端24bに、ジョイント部材21の雄ネジ部21cに螺合する雌ネジ部24cが刻設されている。
【0023】
モータ部30は、ヨーク31と、ヨーク31の内周面31fに固定されたマグネット32と、ヨーク31の径方向内側に回転自在に設けられたアーマチュア130と、アーマチュア130に電流を供給する給電部35と、アーマチュア130の回転位置を検出する検出部36と、を備えている。
【0024】
ヨーク31は、例えば金属製であって、円筒状である。ヨーク31は、第一ハウジング10内に配置されている。ヨーク31の外径は、第一ハウジング10の内径よりも所定寸法小さい。ヨーク31の一端31a側には、ホルダ部材37が設けられている。ホルダ部材37は、ヨーク31の一端31aを塞ぐ円板状のプレート部37aと、プレート部37aからヨーク31の内側に挿入された第一筒状部37bと、プレート部37aから第一筒状部37bと反対側に向かって延びるよう形成された第二筒状部37cと、を有する。
【0025】
プレート部37aおよび第二筒状部37cは、ヨーク31の外径と略同径の外径を有している。ホルダ部材37は、第一筒状部37bをヨーク31内に挿入し、プレート部37aをヨーク31の一端31a(
図4における左側端)に突き当てて装着される。
【0026】
図4に示すように、ヨーク31の他端31b側(
図4における右端側)には、減速ギヤ部50を構成するインターナルギヤ(ギヤケース、リングギヤ)51が挿入されている。インターナルギヤ51は、円板状のプレート部51aと、プレート部51aの外周部からヨーク31の他端31bに向かって延びる円筒状の筒状部51bと、プレート部51aとは反対側の端部で筒状部51bから外周側に拡径したフランジ部51cと、を一体に備えている。
【0027】
図4に示すように、ホルダ部材37の第二筒状部37cと、ジョイント部材11のプレート部11aとの間には、エンドダンパ38が設けられている。エンドダンパ38は、弾性を有したゴム系材料からなり、ホルダ部材37の第二筒状部37cと、ジョイント部材11のプレート部11aとの間に挟み込まれた円板状のプレート部38aと、プレート部38aの外周部からホルダ部材37側に延び、第二筒状部37cが内側に挿入される筒状部38bと、を一体に有している。
【0028】
ヨーク31の内周面31fに固定されたマグネット32は、ヨーク31の中心軸方向に長く、ヨーク31の内周面31fの周方向に間隔を空けて複数個が設けられている。
ヨーク31の径方向内側に設けられたアーマチュア130は、シャフト33と、シャフト33に固定されたコア34aと、コア34aに巻回されているコイル34bと、を有する。
【0029】
シャフト33は、ヨーク31の中心軸方向に沿って延びるよう設けられている。シャフト33は、一端33aが、ホルダ部材37のプレート部37aの中央部に設けられた環状の軸受38Aに、その中心軸回りに回動自在に支持されている。
シャフト33の他端33bは、インターナルギヤ51のプレート部51aの中央部に設けられた環状の軸受38Bに、その中心軸回りに回転自在に支持されている。
【0030】
コア34aは、2つの軸受38A,38Bの間で、シャフト33の外周面に一体に設けられている。コア34aは、放射状に延びる複数のティース131を有している。これらティース131に、それぞれ絶縁性のインシュレータ132を介してコイル34bが巻回されている。
【0031】
給電部35は、開閉体制御装置75に接続されており、開閉体制御装置75から供給される電流をアーマチュア130に供給する。給電部35は、ホルダ部材37に保持されている。給電部35は、ホルダ部材37に保持されたブラシ35aと、シャフト33に設けられブラシ35aと摺接する整流子35bと、を備えている。ブラシ35aには、開閉体制御装置75から給電される配線(図示無し)が接続されている。この配線は、ホルダ部材37のプレート部37a、エンドダンパ38、及びジョイント部材11のプレート部11aを貫通し、アクチュエータ100の他端10b(
図4における左側端)から外部に導出される。整流子35bは、コイル34bと電気的に接続されている。
【0032】
検出部36は、アーマチュア130の回転位置を検出する。検出部36は、センサマグネット39及びセンサ基板40を備える。
センサマグネット39は、ホルダ部材37のプレート部37aに対して第二筒状部37c側で、シャフト33の一端33a(
図4における左側端)に一体に設けられている。
センサ基板40は、板状で、ホルダ部材37の第二筒状部37c内に保持されている。
このセンサ基板40には、センサマグネット39と対向する側に、センサマグネット39がシャフト33とともに回転したときに、その回転を検出する回転センサ40sが設けられている。例えば、回転センサ40sは、ホールICを備えた磁気式のロータリエンコーダである。回転センサ40sは、開閉体制御装置75に接続されており、開閉体制御装置75から所定の電源が供給されることで、アーマチュア130の回転位置を検出する。例えば、回転センサ40sは、センサマグネット39から受ける磁束密度の変化を検出する。回転センサ40sは、検出した磁束密度の変化を電気信号として互いに位相が異なる2相(A相及びB相)の検出信号を生成する。そして、回転センサ40sは、各相の交番信号の値が所定値を超えた(すなわち、回転センサ40sが受ける磁界の強さが所定の強度を超えた)か否かで出力値がHighとLowに変化する2値のデジタル信号(パルス信号)に変換する。回転センサ40sは、各相のパルス信号としてA相パルス信号とB相パルス信号とを検出信号として開閉体制御装置75に出力する。
【0033】
上述したように、開閉体制御装置75からコイル34bに通電されると、コイル34bで発生する磁力と、ヨーク31に固定されたマグネット32で発生する磁力との間に生じる磁気的な吸引力や反発力によって、シャフト33がその中心軸回りに回転駆動される。そして、検出部36では、シャフト33と一体に設けられたセンサマグネット39の回転を、回転センサ40sで検出されることで、シャフト33の回転数を検出可能となる。
【0034】
開閉体制御装置75は、モータ部30に通電することによりシャフト33を回転駆動させると、シャフト33の回転が減速ギヤ部50を介してスクリュー軸60に伝達される。これにより、スクリュー軸60が回転し、ナット部材25がスクリュー軸60の軸方向に沿って移動する。ナット部材25は、第二ハウジング20と一体化されたインナーチューブ24に固定されており、これによって、第一ハウジング10に対して第二ハウジング20が出没し、アクチュエータ100が伸縮する。第一ハウジング10に対して第二ハウジング20が没入すると、車両1の開口部3に設けられたテールゲート2が閉じられる。一方、第一ハウジング10に対して第二ハウジング20が突出すると、車両1の開口部3に設けられたテールゲート2が開けられる。このとき、アクチュエータ100を伸ばした状態でモータ部30の動作を停止させても、コイルスプリング70の付勢力によって、第一ハウジング10に対し第二ハウジング20が突出した状態が維持される。
【0035】
また、開閉体制御装置75は、例えば、アクチュエータ100の故障等によるテールゲート2の急落下を防止する機能を備える。アクチュエータ100の故障等によりテールゲート2が停止している状態から急落下した場合には、シャフト33が回転駆動されるため、モータ部30が発電する。第1の実施形態における開閉体制御装置75の特徴の一つは、テールゲート2の停止時にはスリープ状態であって、モータ部30の発電が検知された場合にはスリープ状態から起動してモータ部30を制動制御することで、省電力で車両1に設けられたテールゲート2の落下を防止可能である点である。テールゲート2の停止時とは、例えば、テールゲート2が全開状態で停止している場合であって、モータ部30に対する通電が停止されている場合である。
以下に、第1の実施形態における開閉体制御装置75について、具体的に説明する。
【0036】
図5は、第1の実施形態における開閉体制御装置75の概略構成の一例を示す図である。
開閉体制御装置75は、インバータ80、位置検出部98、発電検知部99及び制御部94を備える。
【0037】
インバータ80は、電源装置85から供給される直流電圧を交流電圧に変換してモータ部30に印加する。インバータ80は、4つのスイッチング素子81〜84を備える。インバータ80は、制御部94から供給される第1駆動信号及び第2駆動信号に基づいて、スイッチング素子81〜84の各々のオンとオフとを切り替えて直流電圧を交流電圧に変換する。
【0038】
インバータ80は、上段のスイッチング素子81、82及び下段のスイッチング素子83、84を備える。第1の実施形態では、インバータ80は、上段のスイッチング素子81、82及び下段のスイッチング素子83、84がHブリッジ接続されて構成されている。具体的には、直列に接続されたスイッチング素子81、83と、直列に接続されたスイッチング素子82、84とは、電源装置85の高電位側と接地電位との間に並列に接続されている。また、スイッチング素子81とスイッチング素子83との接続点には、モータ部30の電源端子の一端が接続されている。スイッチング素子83とスイッチング素子84との接続点には、モータ部30の電源端子の他端が接続されている。例えば、スイッチング素子81〜84は、FET(FieldEffectiveTransistor;電界効果トランジスタ)、又はIGBT(InsulatedGateBipolarTransistor;絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である。なお、
図5に示すように、各スイッチング素子81〜84は、還流ダイオードと並列に接続された構成を備えていてもよい。
【0039】
位置検出部98は、テールゲート2の開閉操作が開始されると(又はパルス信号が出現すると)、回転センサ40sから供給される検出信号のパルス数をカウントする。すなわち、位置検出部98は、テールゲート2が所定の位置(例えば、全開位置)となったときを基準として、検出信号を取得する毎にカウント値Nをインクリメントする。したがって、開閉体制御装置75は、カウント値Nに基づいてテールゲート2の位置を検出することができる。
【0040】
発電検知部99は、モータ部30の発電を検知する。例えば、発電検知部99は、開閉体制御装置75からモータ部30に対して通電されていない場合において、コイル34bの両端に発生する起電力を検知する。開閉体制御装置75からモータ部30に対して通電されていない場合とは、例えば、アクチュエータ100を伸ばした状態でコイルスプリング70の付勢力により、テールゲート2が全開状態で停止している場合である。発電検知部99は、スイッチング素子81とスイッチング素子83との接続点(モータ部30の電源端子の一端)と、スイッチング素子82とスイッチング素子84との接続点(モータ部30の電源端子の他端)とにそれぞれ接続されている。発電検知部99は、モータ部30の発電を検知すると、その発電を検知したことを示す発電検知信号を割り込み信号として制御部94に出力する。
【0041】
制御部94は、省電力状態であるスリープ状態への移行機能を備えており、テールゲート2の停止時にはスリープ状態となる。制御部94は、スリープ状態に移行する場合には、回転センサ40sに対する電源供給を停止する。そして、制御部94は、発電検知部99からの割り込み信号が入力されると、スリープ状態から起動して回転センサ40sに電源を供給するとともに、モータ部30の制動制御を行う。なお、制動制御には、モータ部30を停止させることでテールゲート2の落下を停止させる停止制御、モータ部30にブレーキ力を与えテールゲート2の落下速度を下げる減速制御、又はモータ部30を予め設定された駆動方法で駆動することでテールゲート2を全閉状態にする、すなわちクローズさせる自動制御も含まれる。
以下、第1の実施形態における制御部について、具体的に説明する。
【0042】
制御部94は、外部からの開閉操作信号に基づいて、テールゲート2を開動作又は閉動作させる第1駆動信号をインバータ80に出力することで、インバータ80をPWM制御する。すなわち、制御部94は、モータ部30を正回転させる場合には、スイッチング素子81とスイッチング素子84とをそれぞれON状態にするようにインバータ80をPWM制御することで、モータ部30を正回転させ、テールゲート2を開動作させる。また、制御部94は、モータ部30を逆回転させる場合には、スイッチング素子82とスイッチング素子83とをそれぞれON状態にするようにインバータ80をPWM制御することで、モータ部30を逆回転させ、テールゲート2を閉動作させる。制御部94は、モータ部30を正回転させることでテールゲートが全開した場合には、制御部94によるモータ部30の駆動を停止する。そして、制御部94は、スリープ状態に移行する。
【0043】
制御部94は、スリープ状態である場合に、発電検知部99からの割り込み信号が入力されると、スリープ状態から起動してインバータ80に第2駆動信号を出力することでモータ部30の制動制御する。例えば、制御部94は、スイッチング素子83及びスイッチング素子84をON状態とすることで、スイッチング素子83、スイッチング素子84及びモータ部30で閉ループを形成させる。これにより、制御部94は、モータ部30を制動させる。これにより、テールゲート2の落下を防止することができる。
【0044】
また、制御部94は、スリープ状態から起動すると、回転センサ40sに電源を供給し、位置検出部98のカウント値Nに基づいてテールゲート2の現在位置を判定する。以下に、制御部94におけるテールゲート2の現在位置の判定を現在位置判定という。ただし、制御部94は、テールゲート2が停止状態にある場合には、テールゲート2の現在位置判定を行わない。すなわち、制御部94は、スリープ状態にある場合には、回転センサ40sへの電源供給を停止し、テールゲート2の現在位置判定を行わない。そして、制御部94は、発電検知部99からの割り込み信号が入力されると、スリープ状態から起動してインバータ80に第2駆動信号を出力するとともに、テールゲート2の現在位置判定を再開する。これにより、制御部94は、テールゲート2が停止した場合にはスリープ状態に移行することで、回転センサ40sに対する電源供給を停止するとともに、不要なテールゲート2の現在位置判定を行わず、省電力となる。そして、制御部94は、テールゲート2の急落下が発生した場合には、スリープ状態から起動し、確実にテールゲート2の現在位置を把握することができる。
【0045】
以下に、第1の実施形態における制御部94の処理について、
図6を用いて説明する。
図6は、第1の実施形態における制御部94の処理の流れを示す図である。
制御部94は、外部からの開閉操作信号に基づいて、第1駆動信号をインバータ80に出力することで、テールゲート2を開動作させる(ステップS101)。制御部94は、位置検出部98のカウント値Nに基づいてテールゲート2の現在位置が全開位置であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0046】
制御部94は、テールゲート2が停止していると判定した場合には、モータ部30の駆動を停止し、回転センサ40sに対する電源供給を停止する(ステップS103)。そして、制御部94は、スリープ状態に移行する(ステップS104)。
制御部94は、発電検知部99からの割り込み信号が入力されると(ステップS105)、スリープ状態から起動する(ステップS106)。そして、制御部94は、回転センサ40sに電源を供給し(ステップS107)、モータ部30の制動制御を行う(ステップS108)。
【0047】
上述したように、第1の実施形態における開閉体制御装置75は、車両1の開口部3を開閉するテールゲート2の駆動源であるモータ部30を駆動するものであって、モータ部30の発電を検知する発電検知部99と、テールゲート2の停止時にはスリープ状態にあり、電動モータの発電が検知された場合にはスリープ状態から起動してモータ部30を制動制御する制御部94と、を備える。これにより、開閉体制御装置75は、省電力で車両に設けられたテールゲート2の落下を防止することができる。
【0048】
また、上述の実施形態において、開閉体制御装置75は、発電検知部99からの割り込み信号によりスリープ状態から起動した場合に、モータ部30が発電した発電量に基づいて、モータ部30対する制動制御を行うか否かを判定してもよい。例えば、制御部94は、スリープ状態から起動した場合に、モータ部30が発電した発電量が第1の閾値以上であった場合に、モータ部30の制動制御を行う。発電量とは、例えば、コイル34bの両端に発生する起電力である。また、制御部94は、モータ部30が発電した発電量が第1の閾値未満であった場合に、モータ部30の制動制御を行わず、再度スリープ状態に移行する。なお、発電量とは、例えば、コイル34bの両端に発生する電圧である。これにより、ノイズの影響により発生する発電によりスリープ状態から起動することを防止することができる。また、制御部94は、モータ部30が発電した発電量が第2の閾値未満であった場合に、発電検知信号を割り込み信号として制御部94に出力してもよい。これは、テールゲート2が急落下した場合と、急上昇した場合とでは、コイル34bの両端に発生する電圧の符号が異なるためである。これにより、制御部94は、テールゲート2が急上昇したことによるモータ部30の発電を検知することができる。
【0049】
また、上述の実施形態において、開閉体制御装置75は、発電検知部99からの割り込み信号によりスリープ状態から起動した場合に、モータ部30の回転数や回転速度、テールゲート2の位置に基づいて、モータ部30に対する制動制御を行うか否かを判定してもよい。また、上述の実施形態において、開閉体制御装置75は、発電検知部99からの割り込み信号によりスリープ状態から起動した場合に、テールゲート2の現在位置に基づいてモータ部30対する制動制御を行うか否かを判定してもよい。
【0050】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態における開閉体制御装置75Aについて、説明する。第2の実施形態における開閉体制御装置75Aは、スリープ状態に移行した後、予め設定されたアウェイク時間(T1)だけ継続する判定状態と、予め設定されたスリープ時間(T2)だけ継続するスリープ状態とを繰り返す。
図7は、第2の実施形態における開閉体制御装置75Aの概略構成の一例を示す図である。開閉体制御装置75Aは、インバータ80、位置検出部98、発電検知部99及び制御部94Aを備える。
【0051】
制御部94Aは、省電力状態であるスリープ状態への移行機能を備えており、テールゲート2の停止時にはスリープ状態となる。制御部94Aは、スリープ状態に移行する場合には、回転センサ40sに対する電源供給を停止する。そして、制御部94Aは、スリープ状態に移行後、位置検出部98を間欠的に起動して判定状態に移行し、この判定状態においてテールゲート2の位置に基づいてテールゲート2が移動したか否かを判定する。以下、この判定処理を移動判定処理と称す場合がある。そして、制御部94Aは、テールゲート2が移動していると判定した場合には、モータ部30を制動制御する。
【0052】
図8は、第2の実施形態における移動判定処理のタイミングチャートである。
図8に示すように、制御部94Aは、スリープ状態に移行した後、アウェイク時間(T1)だけ継続する判定状態と、予め設定されたスリープ時間(T2)だけ継続するスリープ状態とを繰り返す。そして、制御部94Aは、この判定状態において、回転センサ40sに電源を供給して、A相パルス信号及びB相パルス信号(検出信号)に基づいて移動判定処理を行う。なお、制御部94Aは、スリープ状態において、発電検知部99からの割り込み信号が入力された場合には、スリープ状態から起動して回転センサ40sに電源を供給するとともに、モータ部30の制動制御を行う。これにより、間欠起動の周期よりも速い周期でモータ部30が回された場合には、モータ部30の発電に基づいて制動制御を行うことが可能であるため、間欠起動における検出信号の取りこぼしを防止することができる。すなわち、制御部94Aは、スリープ状態においてテールゲート2が落下した場合には移動判定処理を行うことができないため、モータ部30の発電に基づいてスリープ状態から起動し制動制御を行うことで、省電力で確実にテールゲート2の急落下を防止することができる。
【0053】
また、上述の実施形態において、制御部94,94Aは、テールゲート2の現在位置が全閉状態付近に到達した場合には、開口部3に対するテールゲート2の半ドア状態を検知する半ドア検知スイッチに電源を供給するようにしてもよい。すなわち、
図9に示すように、制御部94,94Aは、ユーザによりテールゲート2が手動で閉動作された場合において、テールゲート2の現在位置が全閉状態付近に到達していない場合には、半ドア検知スイッチに対する電源の供給を停止する。そして、制御部94,94Aは、ユーザによりテールゲート2が手動で閉動作されている場合において、テールゲート2の現在位置が全閉状態付近に到達した場合には、半ドア検知スイッチに対する電源を供給する。また、制御部94,94Aは、半ドア検知スイッチにより開口部3に対するテールゲート2の半ドア状態が検知された場合には、テールゲート2を全閉状態に閉めこむ動作を行う。なお、半ドア検知スイッチに対して電源を供給する場合には、制御部94,94Aは、常に半ドア検知スイッチに対して電源を供給してもよいし、間欠的に電源を供給してもよい。これにより、半ドア検知スイッチによるテールゲート2の半ドア状態の監視が必要な箇所以外では電源の供給を停止することで、半ドア検知スイッチにおける消費電流を低減する。
【0054】
上述した実施形態における制御部94,94Aをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0055】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。