(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式的な平面図である。
図1Bは、基板処理装置1の内部を水平方向に見た模式図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、装置本体31と、装置本体31に結合されたインデクサユニット32と、基板処理装置1を制御する制御装置3を含む。
【0016】
インデクサユニット32は、基板Wを収容する複数のキャリアCをそれぞれ保持する複数のロードポートLPと、各キャリアCに対して基板Wを搬送するためのインデクサロボットIRとを含む。
装置本体31は、搬送室33と、複数のロードポートLPから搬送された基板Wを処理液や処理ガスなどの処理流体で処理する複数の処理ユニット2とを含む。複数の処理ユニット2は、水平に離れた4つの位置にそれぞれ配置された4つの塔を形成している。各塔は、上下方向に積層された複数の処理ユニット2を含む。4つの塔は、搬送室33の両側に2つずつで配置されている。複数の処理ユニット2は、基板Wを乾燥させたまま当該基板Wを処理する複数のドライ処理ユニット2Dと、処理液で基板Wを処理する複数のウェット処理ユニット(液処理ユニット)2Wとを含む。ロードポートLP側の2つの塔は、複数のドライ処理ユニット2Dで形成されている。この実施形態では、ロードポートLP側の各塔は、
図1Bに示すように、上下方向に積層された複数(たとえば7つ)のドライ処理ユニット2Dを含む。残り2つの塔は、複数(たとえば3つ)のウェット処理ユニット2Wで形成されている。この実施形態では、ロードポートLP側の各塔は、
図1Bに示すように、上下方向に積層された3つのウェット処理ユニット2Wを含む。後述するように、ドライ処理ユニット2Dにおける一枚の基板Wの処理に要する期間が、ウェット処理ユニット2Wにおける一枚の基板Wの処理に要する期間に比べて長い。そのような状況で、基板Wのプループットの低下を防止すべく、基板処理装置に搭載されるドライ処理ユニット2Dの個数を、ウェット処理ユニット2Wの個数よりも多くしている。
【0017】
基板処理装置1は、搬送ユニットとして、インデクサロボットIRの他に、シャトルSHとセンターロボットCRとを含む。シャトルSHおよびセンターロボットCRは、搬送室33内に配置されている。インデクサロボットIRは、複数のロードポートLPとシャトルSHとの間で基板Wを搬送する。シャトルSHは、インデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、シャトルSHと複数の処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、さらに、複数の処理ユニット2の間で基板Wを搬送する。
図1Aに示す太線の矢印は、インデクサロボットIRおよびシャトルSHの移動方向を示している。
【0018】
基板処理装置1は、配管やバルブ等を収容するための流体ボックス34を備えている。処理ユニット2および流体ボックス34は、装置本体31の外壁35の中に配置されており、すなわち外壁35に取り囲まれている。流体ボックス34は、ドライ処理ユニット2Dに対応する気体ボックス34Aと、ウェット処理ユニット2Wに対応する液体ボックス34Bとを含む。
【0019】
気体ボックス34Aは、ドライ処理ユニット2Dに対する給排気のための配管やバルブ等、および/またはドライ処理ユニット2Dに関連する電気機器を収容するためのボックスである。気体ボックス34Aは、インデクサロボットIRが配置されるインデクサユニット32と、ドライ処理ユニット2Dとの間に配置されている。
液体ボックス34Bは、ウェット処理ユニット2Wに対する給排液のための配管やバルブ等、および/またはウェット処理ユニット2Wに関連する電気機器を収容するためのボックスである。液体ボックス34Bは、インデクサロボットIRが配置されるインデクサユニット32と、ウェット処理ユニット2Wとの間に配置されている。
【0020】
基板処理装置1は、ウェット処理ユニット2Wに対して処理液(薬液(エッチング液や洗浄液))を供給する処理液供給装置100をさらに含む。処理液供給装置100は、外壁35の外側に配置されている。この実施形態では、処理液供給装置100は、平面視で、2つの液体ボックス34Bに対し、ウェット処理ユニット2Wと反対側に配置されている。処理液供給装置100は、ウェット処理ユニット2Wに、対応する液体ボックス34Bを介して処理液を供給する。
【0021】
ドライ処理ユニット2Dは、基板Wが通過する搬入搬出口が設けられたベークチャンバ4と、ベークチャンバ4の搬入搬出口を開閉するシャッタ5と、ベークチャンバ4内で基板Wを加熱しながら処理ガスを基板Wに供給する加熱ユニット8と、加熱ユニット8によって加熱された基板Wをベークチャンバ4内で冷却する冷却ユニット7と、ベークチャンバ4内で基板Wを搬送する室内搬送機構6とを含む。加熱ユニット8、冷却ユニット7および室内搬送機構6は、搬送室33の延びる方向に直交する水平方向に沿って移動可能に設けられていてもよい。
【0022】
ウェット処理ユニット2Wは、基板Wが通過する搬入搬出口が設けられたウェットチャンバ9と、ウェットチャンバ9の搬入搬出口を開閉するシャッタ10と、ウェットチャンバ9内で基板Wを水平に保持しながら基板Wの中心部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに回転させるスピンチャック11と、スピンチャック11に保持されている基板Wに向けて処理液を吐出する複数のノズルとを含む。
【0023】
複数のノズルは、薬液を吐出する薬液ノズル12と、リンス液を吐出するリンス液ノズル13とを含む。制御装置3は、スピンチャック11の複数のチャックピンに基板Wを保持させながら、スピンチャック11のスピンモータに基板Wを回転させる。この状態で、制御装置3は、基板Wの上面に向けて薬液ノズル12またはリンス液ノズル13に液体を吐出させる。これにより、基板Wの上面全域が液膜で覆われる。その後、制御装置3は、スピンチャック11に基板Wを高速回転させて、基板Wを乾燥させる。
【0024】
図2は、基板処理装置1によって実行される基板Wの処理の一例を示す工程図である。
図3は、
図2に示す基板Wの処理の一例が実行される前と後の基板Wの断面を示す模式図である。制御装置3は、以下の動作を基板処理装置1に実行させるようにプログラムされている。
図3の左側に示すように、基板処理装置1で処理される基板Wは、レジストのパターンPRで覆われた薄膜をエッチングして、薄膜のパターンPFを形成するエッチング処理工程が行われた基板である。つまり、このような基板Wが収容されたキャリアCがロードポートLP上に置かれる。以下で説明するように、基板処理装置1では、薄膜のパターンPF上に位置するレジストのパターンPRを除去するレジスト除去工程が行われる。
図3の右側は、レジスト除去工程が行われた基板Wの断面を示している。
【0025】
基板処理装置1で基板Wを処理するときは、インデクサロボットIR、シャトルSH、およびセンターロボットCRが、ロードポートLPに置かれたキャリアC内の基板Wをドライ処理ユニット2Dに搬送する(
図2のステップS1)。ドライ処理ユニット2Dでは、基板Wを加熱しながら、処理ガスの一例としてのオゾンガスを基板Wに供給するドライ処理工程が行われる(
図2のステップS2)。その後、センターロボットCRが、ドライ処理ユニット2D内の基板Wをウェット処理ユニット2Wに搬入する(
図2のステップS3)。
【0026】
ウェット処理ユニット2Wでは、基板Wを回転させながら、基板Wの上面に処理液を供給するウェット処理(液処理)が行われる(
図2のステップS4)。具体的には、基板Wを回転させながら、基板Wの上面に向けて薬液ノズル12に第1の薬液(たとえばフッ酸(HF))を吐出させる第1の薬液供給工程が行われる。その後、基板Wを回転させながら、基板Wの上面に向けてリンス液ノズル13にリンス液を吐出させるリンス液供給工程が行われる。その後、基板Wを回転させながら、基板Wの上面に向けて薬液ノズル12に第2の薬液(たとえばSC1(アンモニア過酸化水素水混合液))を吐出させる第1の薬液供給工程が行われる。その後、基板Wを回転させながら、基板Wの上面に向けてリンス液ノズル13にリンス液を吐出させるリンス液供給工程が行われる。その後、基板Wを高速回転させることにより基板Wを乾燥させる乾燥工程が行われる。ウェット処理が、2つの薬液供給工程でなく、1つの薬液供給工程のみを含む処理であってもよい。この場合、用いられる薬液は、たとえばSC1であってもよい。また、乾燥工程に先立って、表面改質剤(シリル化剤)および/または低表面張力液体(イソプロピルアルコール(IPA)等の有機溶剤)が基板Wの上面に供給されるようになっていてもよい。続いて、インデクサロボットIR、シャトルSH、およびセンターロボットCRが、ウェット処理ユニット2W内の基板WをロードポートLPに置かれたキャリアCに搬送する(
図2のステップS5)。
【0027】
次に、ドライ処理ユニット2Dについて詳細に説明する。
図4は、ドライ処理ユニット2Dの内部を水平に見た模式図である。
図5は、ドライ処理ユニット2Dに設けられた冷却プレート70およびホットプレート21をその上から見た模式図である。
ドライ処理ユニット2Dは、ベークチャンバ4と、ベークチャンバ4の内部にダウンフローを形成するための第1の給気ユニットおよび第1の排気ユニットを含む。ベークチャンバ4は、箱状の隔壁14を有している。
【0028】
第1の給気ユニットは、隔壁14の上部(たとえば天井面)に形成された給気口15と、ベークチャンバ4の上方に設けられ、装置本体31内に取り込まれた外気が流通する給気経路16とを含む。給気口15は、フィルタ17を介して給気経路16と連通している。給気口15は、具体的には、たとえば隔壁14の天井面におけるシャッタ5の上方付近に配置されている。
【0029】
第1の排気ユニットは、個々のベークチャンバ4の隔壁14の下部からベークチャンバ4内の気体を排気する個別排気ダクト(排気配管)18と、複数の個別排気ダクト18からの排気を案内する集合排気ダクト(排気配管)19とを含む。集合排気ダクト19は、基板処理装置1が設置される工場に設けられた排気処理設備に向けてベークチャンバ4内の気体を導出する。基板処理装置1の稼働中は、集合排気ダクト19による排気は常時行われており、そのため、排気ダクト18,19による排気も常時行われている。これにより、ベークチャンバ4内には、下方に流れるダウンフロー(下降流)が形成されている。基板Wの処理は、ベークチャンバ4内にダウンフローが形成されている状態で行われる。しかも、オゾンガスの比重が空気よりも重いため、ダウンフローの形成がより一層促される。
【0030】
図4に示すように、冷却ユニット7は、後述するホットプレート21よりも低温に維持される冷却プレート70と、冷却プレート70の上方で基板Wを水平に支持する複数の第1のリフトピン71と、複数の第1のリフトピン71を昇降させる第1のリフト昇降アクチュエータ72とを含む。
冷却プレート70は、ホットプレート21に対してベークチャンバ4の搬入搬出口側に配置されている。ホットプレート21および冷却プレート70は、水平な配列方向D2に配列されている。冷却プレート70は、基板Wの外径よりも大きい外径を有する円形で水平な上面を含む。複数の第1のリフトピン71は、冷却プレート70を貫通する複数の貫通穴にそれぞれ挿入されている。
【0031】
複数の第1のリフトピン71の上端部は、同じ高さに配置されている。第1のリフトピン71は、基板Wの下面に接触する半球状の上端部を含む。第1のリフト昇降アクチュエータ72は、複数の第1のリフトピン71の上端部が冷却プレート70よりも上方に位置する上位置(
図4に示す位置)と、複数の第1のリフトピン71の上端部が冷却プレート70の内部に退避した下位置(
図9Bに示す位置)との間で、複数の第1のリフトピン71を鉛直に移動させる。第1のリフト昇降アクチュエータ72は、電動モータであってもよいし、エアーシリンダであってもよい。また、これら以外のアクチュエータであってもよい。他のアクチュエータについても同様である。
【0032】
加熱ユニット8は、基板Wを水平に支持しながら加熱するホットプレート21と、ホットプレート21に支持されている基板Wの上方に配置されるフード30と、フード30を支持可能なベースリング27とを含む。加熱ユニット8は、さらに、ホットプレート21およびベースリング27に対してフード30を昇降させるフード昇降アクチュエータ29と、ホットプレート21とフード30との間で基板Wを水平に支持する複数の第2のリフトピン24と、複数の第2のリフトピン24を昇降させる第2のリフト昇降アクチュエータ26とを含む。
【0033】
ホットプレート21は、ジュール熱を発生するヒータ22と、基板Wを水平に支持すると共に、ヒータ22の熱を基板Wに伝達する支持部材23とを含む。ヒータ22および支持部材23は、基板Wの下方に配置される。ヒータ22は、ヒータ22に電力を供給する配線(図示せず)に接続されている。ヒータ22は、支持部材23の下方に配置されていてもよいし、支持部材23の内部に配置されていてもよい。
【0034】
ホットプレート21の支持部材23は、基板Wの下方に配置される円板状のベース部23bと、ベース部23bの上面から上方に突出する複数の半球状の突出部23aと、ベース部23bの外周面から外方に突出する円環状のフランジ部23cとを含む。ベース部23bの上面は、基板Wの下面と平行で、基板Wの外径以上の外径を有している。複数の突出部23aは、ベース部23bの上面から上方に離れた位置で基板Wの下面に接触する。複数の突出部23aは、基板Wが水平に支持されるように、ベース部23bの上面内の複数の位置に配置されている。基板Wは、基板Wの下面がベース部23bの上面から上方に離れた状態で水平に支持される。
【0035】
複数の第2のリフトピン24は、ホットプレート21を貫通する複数の貫通穴にそれぞれ挿入されている。加熱ユニット8の外から貫通穴への流体の進入は、第2のリフトピン24を取り囲むベローズ25によって防止される。加熱ユニット8は、ベローズ25に代えてもしくはベローズ25に加えて、第2のリフトピン24の外周面と貫通穴の内周面との間の隙間を密閉するOリングを備えていてもよい。第2のリフトピン24は、基板Wの下面に接触する半球状の上端部を含む。複数の第2のリフトピン24の上端部は、同じ高さに配置されている。第2のリフト昇降アクチュエータ26は、複数の第2のリフトピン24の上端部がホットプレート21よりも上方に位置する上位置(
図4に示す位置)と、複数の第2のリフトピン24の上端部がホットプレート21の内部に退避した下位置(
図9Aに示す位置)との間で、複数の第2のリフトピン24を鉛直方向に移動させる。
【0036】
ベースリング27は、ホットプレート21のフランジ部23cの上面上に配置されている。ベースリング27は、ホットプレート21の径方向に間隔を空けてベース部23bを取り囲んでいる。ベースリング27の上面は、ベース部23bの上面よりも下方に配置されている。Oリング28は、ベースリング27の上面から下方に凹んだ環状溝に嵌められている。フード30がベースリング27上に載せられると、ホットプレート21に支持されている基板Wを収容する密閉空間SP(
図9A参照)が、ホットプレート21、フード30、およびベースリング27によって形成される。
【0037】
フード昇降アクチュエータ29は、上位置(
図4に示す位置)と下位置(
図9Aに示す位置)との間でフード30を鉛直に移動させる。上位置は、基板Wがフード30とベースリング27との間を通過できるようにフード30がベースリング27から上方に離れた位置である。下位置は、フード30とベースリング27との間の隙間が密閉され、ホットプレート21に支持されている基板Wを収容する密閉空間SPが形成される位置である。
【0038】
基板処理装置1は、加熱ユニット8の内部に気体を供給する第2の給気ユニットと、加熱ユニット8内の気体を排出する第2の排気ユニットとを含む。第2の給気ユニットは、気体を吐出する複数の給気口46と、各給気口46に気体を案内する供給路47とを含む。排気ユニットは、複数の給気口46から吐出された気体が流入する排気口44と、排気口44内に流入した気体を加熱ユニット8の外に案内する排気路45とを含む。
【0039】
フード30の内面は、基板Wの上方に配置される平面視円形の天井面41と、基板Wの外径よりも大きい直径を有する筒状面43と、天井面41の外縁から筒状面43の上縁に延びる環状のコーナー部42とを含む。天井面41は、基板Wの外径よりも大きい外径を有している。天井面41は、ホットプレート21に支持されている基板Wの上面と平行な水平面である。排気口44は、天井面41で開口している。複数の給気口46は、筒状面43で開口している。複数の給気口46は、たとえば同じ高さに配置されている。複数の給気口46は、ホットプレート21の周方向に等間隔で配列されている。密閉空間SPを形成する面であれば、給気口46は、フード30の筒状面43以外の面で開口していてもよい。排気口44についても同様である。
【0040】
第1の給気ユニットは、個々のベークチャンバ4の供給路47に接続された個別給気配管(オゾンガス供給配管)53と、オゾンガス生成ユニット51で生成されたオゾンガスを個別給気配管53に案内する集合オゾンガス配管(オゾンガス供給配管)52と、集合オゾンガス配管52に介装されたオゾンガス供給バルブ54とをさらに含む。オゾンガス生成ユニット51は、装置本体31と離れた場所(たとえば階下)に配置されている。第1の給気ユニットは、さらに、窒素ガス供給源から供給された窒素ガスを個別給気配管53に案内する窒素ガス配管58と、窒素ガス配管58に介装された窒素ガス供給バルブ59とを含む。
【0041】
図示はしないが、オゾンガス供給バルブ54は、流路を形成するバルブボディと、流路内に配置された弁体と、弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他のバルブについても同様である。アクチュエータは、空圧アクチュエータまたは電動アクチュエータであってもよいし、これら以外のアクチュエータであってもよい。制御装置3は、アクチュエータを制御することにより、オゾンガス供給バルブ54を開閉させる。
【0042】
第1の排気ユニットは、個々のベークチャンバ4の排気路45に接続された個別排気配管(排気配管)61と、複数の個別排気配管61からの排気を案内する集合排気配管(排気配管)62と、集合排気配管62を流れる気体に含まれるオゾンを除去するオゾンフィルタ60とをさらに含む。集合排気配管62は、塔毎に1つずつ設けられている。個別排気配管61は、排気路45と集合排気配管62とを接続する第1の個別排気配管64と、第1の個別排気配管64と並列に排気路45と集合排気配管62とを接続する第2の個別排気配管65とを含む。第1の個別排気配管64には、第1の排気バルブ66が介装されている。第2の個別排気配管65には、第2の排気バルブ67と、コンバム(商標)やアスピレータ等のエジェクタ式の吸引ユニット68が介装されている。第1の排気バルブ66は、常時開状態に維持されており、加熱ユニット8内の雰囲気を、オゾンガスから窒素ガスに置換する場合等には、第1の排気バルブ66が閉じられて、第2の排気バルブ67が開かれるようになる。
【0043】
加熱ユニット8内のオゾンガスは、加熱ユニット8が閉じられている状態、つまり、フード30が下位置に位置している状態で、複数の給気口46から吐出される。複数の給気口46から吐出されたオゾンガスは、排気口44、排気路45および個別排気配管61を介して集合排気配管62に排出される。排気配管61,62内のオゾンガスは、オゾンフィルタ60を通過する。これにより、排気配管61,62を流れる気体に含まれるオゾンの濃度が低下する。オゾンフィルタ60を通過した気体は、基板処理装置1が設置される工場に設けられた排気設備に向けて案内される。
【0044】
室内搬送機構6は、ベークチャンバ4内で基板Wを水平に支持する室内ハンド73と、室内ハンド73を移動させるハンド移動機構74とを含む。
図5に示すように、ハンド移動機構74は、室内ハンド73を鉛直に移動させる鉛直駆動機構75と、鉛直駆動機構75と共に室内ハンド73を配列方向D2に移動させる水平駆動機構76とを含む。鉛直駆動機構75および水平駆動機構76は、いずれも、電動モータなどのアクチュエータを含む。
【0045】
室内ハンド73の上面および下面は、いずれも水平面である。室内ハンド73の上面は、基板Wの外径よりも大きい外径を有する円形で水平な支持部73aを含む。冷却ユニット7の複数の第1のリフトピン71は、室内ハンド73を上下方向に貫通する複数の切欠き73bに挿入される。同様に、加熱ユニット8の複数の第2のリフトピン24は、複数の切欠き73bに挿入される。切欠き73bは、配列方向D2に水平に延びており、室内ハンド73の縁で開口している。室内ハンド73は、第1のリフトピン71または第2のリフトピン24が切欠き73bに挿入されている状態でも、配列方向D2に水平に移動可能である。
【0046】
水平駆動機構76は、室内ハンド73を水平に移動させることにより、ホットプレート21とフード30との間に室内ハンド73を進入させる。水平駆動機構76は、室内ハンド73に支持されている基板W全体が平面視でホットプレート21に重なるように室内ハンド73をホットプレート21の上方に位置させる。同様に、水平駆動機構76は、室内ハンド73を水平に移動させることにより、室内ハンド73に支持されている基板W全体が平面視で冷却プレート70に重なるように室内ハンド73を冷却プレート70の上方に位置させる。
【0047】
鉛直駆動機構75は、ホットプレート21とフード30との間で室内ハンド73を鉛直に移動させる。このとき、鉛直駆動機構75は、室内ハンド73の上面が上位置に位置している第2のリフトピン24の上端部よりも上方に位置する上側非接触位置(
図9Cに示す位置)と、室内ハンド73の上面が上位置に位置している第2のリフトピン24の上端部よりも下方に位置し、室内ハンド73の下面がホットプレート21の上面から上方に離れた下側非接触位置(
図9Dに示す位置)との間で、室内ハンド73を鉛直に移動させる。
【0048】
鉛直駆動機構75は、室内ハンド73が冷却プレート70の上方に位置している状態で、室内ハンド73の上面が上位置に位置している第1のリフトピン71の上端部よりも上方に位置する上側非接触位置(
図9Bに示す位置)と、室内ハンド73の上面が上位置に位置している第1のリフトピン71の上端部よりも下方に位置し、室内ハンド73の下面がホットプレート21の上面から上方に離れた下側非接触位置(
図9Aに示す位置)との間で、室内ハンド73を鉛直に移動させる。鉛直駆動機構75は、さらに、室内ハンド73の下面が冷却プレート70の上面に接触する接触位置(
図9Fに示す位置)に室内ハンド73を移動させる。
【0049】
ベークチャンバ4の隔壁14の天井面には、給気口15の直下に向けて不活性ガスを吹き付ける気体ノズル77が配置されている。気体ノズル77には、不活性ガスバルブ78を介して不活性ガスが供給されるようになっている。気体ノズル77の吐出口からの不活性ガスの吐出により、ベークチャンバ4に不活性ガスを供給するだけでなく、ベークチャンバ4の雰囲気(たとえばオゾンガスノズルを含む雰囲気)が、給気口15を介して給気経路16に進入することを防止している。気体ノズル77に供給される不活性ガスとして、
図4の例では窒素ガスを挙げることができるが、不活性ガスとして空気(クリーンドライエア)を採用してもよい。
【0050】
ベークチャンバ4内における加熱ユニット8の外側の領域には、ベークチャンバ4内のオゾンガス濃度を検出するためのオゾンガス濃度センサOSが配置されている。
また、搬送室33内には、ベークチャンバ4から搬送室33へのオゾンガスの漏れを検出するための第1のリークセンサRS1が配置されている。
また、気体ボックス34A内には、ベークチャンバ4から流体ボックスへのオゾンガスの漏れを検出するための第2のリークセンサRS2が配置されている。
【0051】
図2に示すドライ処理において、制御装置3は、第1のリークセンサRS1および第2のリークセンサRS2からの検出出力を参照して搬送室33内のオゾンガス濃度や気体ボックス34A内のオゾンガス濃度をチェックし、搬送室33内や気体ボックス34A内にオゾンガスが流出していないか否かを監視している。
また、
図2に示すドライ処理において、制御装置3は、オゾンガス濃度センサOSからの検出出力を参照してベークチャンバ4内のオゾンガス濃度をチェックしている。そして、ベークチャンバ4内のオゾンガス濃度が所定濃度を超えた場合には、気体ノズル77の吐出口から不活性ガスを吐出している。これにより、ベークチャンバ4内の雰囲気が給気口15を介して給気経路16に進入することを防止しながら、ベークチャンバ4内のオゾンガス濃度の低減を図ることができる。
【0052】
図6は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
制御装置3は、プログラム等の情報を記憶するメモリとメモリに記憶された情報にしたがって基板処理装置1を制御するプロセッサとを含むコンピュータである。
制御装置3は、ドライ処理ユニット2Dを制御するユニットコントローラ90を備えている。ユニットコントローラ90は、たとえば制御VME(VERSAmodule Eurocard)ボードにより構成されており、演算処理を実行するプロセッサ部90pと、固体メモリデバイス、ハードディスクドライブ等の記憶装置を含むメモリ90mとを含む。メモリには、基板処理装置1による処理内容のデータ等が記憶されている。
【0053】
ユニットコントローラ90には、電装ボックス91内の電装品が接続されている。具体的には、電装ボックス91は、I/O92、制御基板93、オゾンガス濃度計94、温調器95、モータドライバ96等を含む。オゾンガス濃度計94、温調器95およびモータドライバ96は、制御基板93に接続されている。I/O92および制御基板93には、オゾンガス生成ユニット51が接続されている。
【0054】
ユニットコントローラ90には、ドライ処理ユニット2Dやオゾンガス生成ユニット51を駆動するための電圧が外部電源から供給されるようになっている。また、電装ボックス91には、電装ボックス91を駆動するためのDC電源99が内蔵されている。
また、ユニットコントローラ90には、電装ボックス91内の電装品を介して、ドライ処理ユニット2Dの駆動部品やセンサ等が接続されている。具体的には、ユニットコントローラ90には、第2のリフト昇降アクチュエータ26および/またはフード昇降アクチュエータ29の駆動のための電磁弁97と、第2のリフト昇降アクチュエータ26および/またはフード昇降アクチュエータ29の駆動のためのセンサ(第2のリフトピン24の高さ位置を検出するセンサおよび/またはフード30の高さ位置を検出するセンサ)98が接続されている。また、オゾンガス濃度計94にはオゾンガス濃度センサOSが接続されている。温調器95には、ヒータ22が駆動対象として接続されている。モータドライバ96には、鉛直駆動機構75および水平駆動機構76が接続されている。
【0055】
図7Aは、ドライ処理ユニット2Dおよび気体ボックス34Aのレイアウトを説明するための模式的な図である。
図7Bは、
図7Aを、切断面線VIIB-VIIBから見た図である。
図7Cは、
図7Aを、切断面線VIIC-VIICから見た図である。
図7Dは、
図7Aを、切断面線VIID-VIIDから見た図である。
図7Eは、
図7Aを、切断面線VIIE-VIIEから見た図である。
【0056】
ドライ処理ユニット2Dにおいて、複数のベークチャンバ4と搬送室33との間には、内部に空間を有する第1のボックス101が配置されている。この実施形態では、第1のボックス101の内部空間には、何も収容されていない。第1のボックス101には、装置本体31内に取り込まれた外気が流通している。第1のボックス101の内部空間は、給気経路16(
図4参照)と連通しており、そのため、装置本体31内に取り込まれた外気が給気経路16に供給可能に設けられている。第1のボックス101は、ベークチャンバ4の搬送室33側の配列方向D2側の略全域(搬出入口を除く全域)を覆うように配置されている。第1のボックス101の内部空間は、密閉性が高い略密閉空間である。第1のボックス101の内部空間は、複数のベークチャンバ4を搬送室33から隔離する第1の隔離空間111として機能する。
【0057】
具体的には、第1の隔離空間111によって、ベークチャンバ4と搬送室33とが、熱隔離および雰囲気遮断されている。すなわち、ベークチャンバ4の隔壁14からオゾンガスが流出した場合であっても、流出したオゾンガスを第1の隔離空間111により堰き止めることができ、これにより、流出したオゾンガスが、搬送室33内に進入することを抑制または防止できる。搬送室33内には、メンテナンスのため作業者が出入りすることも考えられるが、搬送室33内にオゾンガスが進入しないため、作業者がオゾンガスに曝されることを防止できる。
【0058】
ドライ処理ユニット2Dにおいて、複数のベークチャンバ4に対し搬送室33と反対側に隣接して、内部に空間を有する第2のボックス102が配置されている。この実施形態では、第2のボックス102の内部空間には、何も収容されていない。第2のボックス102の内部空間は、密閉性が高い略密閉空間である。第2のボックス102の内部空間は、複数のベークチャンバ4を、装置本体31の外壁35から隔離する第2の隔離空間112として機能する。
【0059】
第2のボックス102は、基板処理装置1外から取り外し可能に設けられていてもよい。この場合、さらに加熱ユニット8、冷却ユニット7および室内搬送機構6は、搬送室33の延びる方向に直交する水平方向に沿って移動可能に設けられていることが好ましい。この場合、第2のボックス102を取り外した状態で、当該方向に沿ってユニット8,7,6を移動させることにより、第2のボックス102を取り外した後のスペースを利用して、ユニット8,7,6をベークチャンバ4の内部から取り出したりユニット8,7,6をベークチャンバ4の内部へと挿し入れたりすることができる。
【0060】
ドライ処理ユニット2Dにおいて、複数のベークチャンバ4に対し、ウェット処理ユニット2W側(
図7Aの右側)に隣接して、内部に空間を有する第3のボックス103が配置されている。第3のボックス103の内部空間には、ユニットコントローラ90(
図6参照)、電装ボックス91(
図6参照)、ゲージ等の電気機器が収容されている。第3のボックス103の内部空間は、密閉性が高い略密閉空間である。第3のボックス103の内部空間は、複数のベークチャンバ4をウェット処理ユニット2W(
図1A参照)から隔離する第3の隔離空間(電気機器収容空間)113として機能する。
【0061】
具体的には、第3の隔離空間113によって、ベークチャンバ4とウェット処理ユニット2Wとが、熱隔離および雰囲気遮断されている。ベークチャンバ4とウェット処理ユニット2Wとが熱隔離される。したがって、ベークチャンバ4からの熱が、ウェット処理ユニット2Wにおけるウェット処理に影響を与えることを抑制または防止できる。
また、ベークチャンバ4の隔壁14からオゾンガスが流出した場合であっても、流出したオゾンガスを第3の隔離空間113により堰き止めることができ、これにより、流出したオゾンガスが、ウェット処理ユニット2Wのウェットチャンバ9の内部に進入することを抑制または防止できる。ウェットチャンバ9の内部には基板Wが出し入れされるため、ウェットチャンバ9の内部にオゾンガスが流出すると、ウェットチャンバ9の内部を介してオゾンガスが搬送室33に流出するおそれがある。搬送室33内には、メンテナンスのため作業者が出入りすることも考えられるが、搬送室33内にオゾンガスが進入しないため、作業者がオゾンガスに曝されることを防止できる。
【0062】
また、第3の隔離空間113は、オゾンガスが流通する配管を収容する、次に述べる第4および第5の隔離空間116,117と、平面視で、複数のベークチャンバ4に対して反対側に配置されている。そのため、第4および第5の隔離空間116,117の内部空間において配管からオゾンガスが流出した場合であっても、流出したオゾンガスが第3の隔離空間113内に進入することはほぼ考えられない。ユニットコントローラ90(
図6参照)や電装ボックス91(
図6参照)が収容される第3の隔離空間113には、メンテナンスのため作業者が出入りすることも考えられるが、第3の隔離空間113にオゾンガスが進入しないため、作業者がオゾンガスに曝されることを防止できる。
【0063】
各気体ボックス34Aは、横方向に並置された、第1の気体ボックス106、第2の気体ボックス107および第3の気体ボックス108をそれぞれ設けている。第1の気体ボックス106、第2の気体ボックス107および第3の気体ボックス108は、それぞれ、内部に空間を有し、互いに横方向に並置されている。第3の気体ボックス108は、複数のベークチャンバ4に対し、ロードポートLP側(
図7Aの左側)に隣接して配置されている。
【0064】
第1の気体ボックス106は、複数のベークチャンバ4および第3の気体ボックス108に対し、ロードポートLP側(
図7Aの左側)に隣接して配置されている。第1の気体ボックス106の内部空間では、集合排気ダクト19、集合オゾンガス配管52、集合排気配管62、窒素ガス配管58(
図4参照)等が上下に延びている。集合排気ダクト19および集合排気配管62は、それぞれ、各個別排気ダクト18および各個別排気配管61を介して各ベークチャンバ4に接続されている。集合オゾンガス配管52は、各個別給気配管53を介して各ベークチャンバ4に接続されている。第1の気体ボックス106の内部空間は、密閉性が高い略密閉空間である。第1の気体ボックス106の内部空間は、複数のベークチャンバ4をロードポートLP(
図1A参照)から隔離する第4の隔離空間(配管収容空間)116として機能する。
【0065】
集合排気ダクト19、集合オゾンガス配管52、集合排気配管62等を収容する第4の隔離空間116が略密閉空間であるので、これらの配管19,52,62からオゾンガスが流出した場合であっても、第1の気体ボックス106の隔壁によってオゾンガスを堰き止めることができ、これにより、インデクサユニット32内へのオゾンガスの流出を効果的に抑制することができる。インデクサユニット32には、メンテナンスのため作業者が出入りすることも考えられるが、インデクサユニット32内にオゾンガスが進入しないため、作業者がオゾンガスに曝されることを防止できる。
【0066】
第2の気体ボックス107は、複数のベークチャンバ4および第2のボックス102に対し、ロードポートLP側(
図7Aの左側)に隣接して配置されている。第2のボックス102の内部空間には、オゾンガス供給バルブ54(
図4参照)、窒素ガス供給バルブ59(
図4参照)、第1の排気バルブ66(
図4参照)、第2の排気バルブ67(
図4参照)、不活性ガスバルブ78等やセンサ類が収容されている。第2の気体ボックス107の内部空間では、各個別給気配管53が水平方向に延びている。第2の気体ボックス107の内部空間は、密閉性が高い略密閉空間である。第2の気体ボックス107の内部空間は、複数のベークチャンバ4をロードポートLP(
図1A参照)から隔離する第5の隔離空間(配管収容空間)117として機能する。
【0067】
個別排気ダクト18、個別給気配管53、個別排気配管61等を収容する第5の隔離空間117が略密閉空間であるので、これらの配管18,53,61からオゾンガスが流出した場合であっても、第2の気体ボックス107の隔壁によってオゾンガスを堰き止めることができ、これにより、インデクサユニット32内へのオゾンガスの流出を効果的に抑制することができる。
【0068】
第3の気体ボックス108の内部空間は、密閉性が高い略密閉空間である。第3の気体ボックス108の内部空間には、オゾンガスの供給に関する電気配線が収容されている。第3の気体ボックス108の内部空間は、複数のベークチャンバ4をロードポートLP(
図1A参照)から隔離する第6の隔離空間118として機能する。
図7Aに示すように、第1〜第6の隔離空間111〜113,116〜118によって、複数のベークチャンバ4の周囲を包囲する包囲隔離空間110が形成されている。包囲隔離空間110によって、複数のベークチャンバ4が、ベークチャンバ4の周囲の部材から熱隔離される。また、包囲隔離空間110によって、複数のベークチャンバ4が、ベークチャンバ4の周囲の部材から雰囲気遮断される。複数のベークチャンバ4の側方を包囲隔離空間110が包囲しているので、ベークチャンバ4からの熱や雰囲気が、ベークチャンバ4の周囲の部材に対し、間接的に伝わることもない。
【0069】
また、前述のように、ホットプレート21は、フード30とベースリング27とによって区画される空間に収容されている。また、オゾンガスの供給も、フード30とベースリング27とによって区画される空間のみに限られており、フード30が閉じられた状態でのみ、オゾンガスの供給が許容されている。すなわち、下位置に位置するフード30およびベースリング27は、ベークチャンバ4の内部に収容された内側チャンバ120(
図9F参照)として機能する。この状態で、内側チャンバ120の内外が、熱隔離および雰囲気遮断されている。
【0070】
図8A〜8Cは、
図2に示すドライ処理の一例を示す工程図である。
図9A〜9Oは、
図2に示すドライ処理が実行されているときのベークチャンバ4の内部の状態を示す模式図である。
ドライ処理ユニット2Dに基板Wを搬入するときは、シャッタ開閉アクチュエータ63(
図9A参照)がシャッタ5を開位置に位置させ、ベークチャンバ4の搬入搬出口を開く(
図8AのステップS11)。その後、センターロボットCRは、デバイス形成面である表面が上に向けられた基板WをハンドHで支持しながら、ハンドHをベークチャンバ4内に進入させる(
図8AのステップS12)。
【0071】
続いて、
図9Aに示すように、センターロボットCRは、ハンドH上の基板Wを複数の第1のリフトピン71上に置き(
図8AのステップS13)、ハンドHをベークチャンバ4の外に移動させる(
図8AのステップS14)。シャッタ開閉アクチュエータ63は、ハンドHが退避した後、シャッタ5を閉位置に移動させ、ベークチャンバ4の搬入搬出口を閉じる(
図8AのステップS15)。
【0072】
次に、
図9Bに示すように、基板Wが複数の第1のリフトピン71に支持されている状態で、第1のリフト昇降アクチュエータ72が複数の第1のリフトピン71を上位置から下位置に移動させ(
図8AのステップS16)、ハンド移動機構74が室内ハンド73を下側非接触位置から上側非接触位置に移動させる(
図8AのステップS16)。これにより、基板Wは、複数の第1のリフトピン71から離れ、室内ハンド73の上面に接触する。
【0073】
フード昇降アクチュエータ29は、シャッタ5が閉位置に配置された後、フード30を下位置から上位置に移動させる。第2のリフト昇降アクチュエータ26は、フード30が上位置に配置された後、複数の第2のリフトピン24を下位置から上位置に移動させる。
図9Cに示すように、ハンド移動機構74は、複数の第2のリフトピン24が上位置に位置している状態で、上側非接触位置に位置する室内ハンド73をホットプレート21とフード30との間に進入させる(
図8AのステップS17)。その後、
図9Dに示すように、ハンド移動機構74は、室内ハンド73を上側非接触位置から下側非接触位置に移動させる(
図8AのステップS18)。これにより、基板Wは、室内ハンド73の上面から離れ、複数の第2のリフトピン24に接触する。
【0074】
図9Eに示すように、ハンド移動機構74は、複数の第2のリフトピン24に基板Wを渡した後、室内ハンド73を水平に移動させることにより、室内ハンド73を冷却プレート70の上方に移動させる(
図8AのステップS19)。その後、
図9Fに示すように、ハンド移動機構74は、室内ハンド73を下側非接触位置から接触位置に下降させる(
図8AのステップS20)。これにより、室内ハンド73の下面が冷却プレート70の上面に接触する。
【0075】
次に、
図9Fに示すように、第2のリフト昇降アクチュエータ26が、複数の第2のリフトピン24を上位置から下位置に移動させる(
図8BのステップS21)。これにより、基板Wは、複数の第2のリフトピン24から離れ、ホットプレート21の上面、つまり、複数の突出部23a(
図4参照)に接触する。フード昇降アクチュエータ29は、複数の第2のリフトピン24が下位置に移動した後、フード30を上位置から下位置に移動させる(
図8BのステップS22)。これにより、フード30とベースリング27との間の隙間が密閉され、基板Wの収容する密閉空間SPが形成される。ホットプレート21は、基板Wがホットプレート21に支持される前から室温よりも高い加熱温度(たとえば、100℃以上の所定温度。たとえば350℃)に維持されている。基板Wがホットプレート21に支持されると、基板Wの加熱が開始される。
【0076】
次に、
図9Gに示すように、オゾンガス供給バルブ54が開かれ、複数の給気口46がオゾンガスの吐出を開始する(
図8BのステップS23)。オゾンガスは、複数の給気口46から基板Wの中心に向かって基板Wの上面に沿って流れる。これにより、基板Wの上面の外周から基板Wの上面の中心に向かって流れる複数の気流が形成される。密閉空間SP内の空気は、オゾンガスによって排気口44の方に導かれ、排気口44を介して密閉空間SPの外に排出される。これにより、密閉空間SPがオゾンガスで満たされる。
【0077】
オゾンガス供給バルブ54が開かれてから所定時間が経過すると、オゾンガス供給バルブ54が閉じられ、オゾンガスの吐出が停止される。その後、
図9Hに示すように、窒素ガス供給バルブ59が開かれ、複数の給気口46が窒素ガスの吐出を開始する(
図8BのステップS24)。密閉空間SP内のオゾンガスは、窒素ガスによって排気口44の方に導かれ、排気口44を介して密閉空間SPの外に排出される。これにより、密閉空間SP内のオゾンガスが、窒素ガスで置換される。窒素ガス供給バルブ59が開かれてから所定時間が経過すると、窒素ガス供給バルブ59が閉じられ、窒素ガスの吐出が停止される。
【0078】
次に、
図9Iに示すように、フード昇降アクチュエータ29が、フード30を下位置から上位置に移動させる(
図8BのステップS25)。その後、第2のリフト昇降アクチュエータ26が、複数の第2のリフトピン24を下位置から上位置に移動させる(
図8BのステップS26)。これにより、基板Wは、ホットプレート21の上面から離れ、複数の第2のリフトピン24に接触する。
【0079】
図9Iに示すように、ハンド移動機構74は、接触位置に位置する室内ハンド73を下側非接触位置まで上昇させる(
図8BのステップS27)。その後、
図9Jに示すように、ハンド移動機構74は、室内ハンド73をホットプレート21とフード30との間に進入させる(
図8BのステップS28)。続いて、
図9Kに示すように、ハンド移動機構74は、室内ハンド73を下側非接触位置から上側非接触位置に移動させる(
図8BのステップS29)。これにより、基板Wは、複数の第2のリフトピン24から離れ、室内ハンド73の上面に接触する。
【0080】
図9Lに示すように、ハンド移動機構74は、室内ハンド73で基板Wを支持した後、室内ハンド73を上側非接触位置に位置させながら、室内ハンド73を冷却プレート70の上方に移動させる(
図8BのステップS30)。
図9Mに示すように、第2のリフト昇降アクチュエータ26は、室内ハンド73がホットプレート21とフード30との間から退避した後、複数の第2のリフトピン24を上位置から下位置に移動させる。その後、フード昇降アクチュエータ29は、フード30を上位置から下位置に移動させる。
【0081】
次に、
図9Mに示すように、ハンド移動機構74は、室内ハンド73を上側非接触位置から接触位置に下降させる(
図8CのステップS31)。これにより、室内ハンド73の下面が冷却プレート70の上面に接触する。冷却プレート70は、ホットプレート21の温度(加熱温度)よりも低い冷却温度に維持されている。室内ハンド73上の基板Wの熱は、基板Wおよび冷却プレート70に直接接触する室内ハンド73を介して冷却プレート70に伝達される。これにより、基板Wが冷却される。
【0082】
図9Nに示すように、ハンド移動機構74は、室内ハンド73が接触位置に配置されてから所定時間が経過した後、室内ハンド73を下側非接触位置に移動させる(
図8CのステップS32)。その後、
図9Oに示すように、第1のリフト昇降アクチュエータ72は、複数の第1のリフトピン71を下位置から上位置に移動させる(
図8CのステップS33)。これにより、基板Wは、室内ハンド73の上面から離れ、複数の第1のリフトピン71に接触する。
【0083】
次に、
図9Oに示すように、シャッタ開閉アクチュエータ63は、シャッタ5を閉位置から開位置に移動させ、ベークチャンバ4の搬入搬出口を開く(
図8CのステップS34)。その後、センターロボットCRは、ハンドHをベークチャンバ4内に進入させ(
図8CのステップS35)、複数の第1のリフトピン71上の基板WをハンドHで取る(
図8CのステップS36)。続いて、センターロボットCRは、基板WをハンドHで支持しながら、ハンドHをベークチャンバ4の外に移動させる(
図8CのステップS37)。シャッタ開閉アクチュエータ63は、ハンドHが退避した後、シャッタ5を閉位置に移動させる(
図8CのステップS38)。
【0084】
以上のようにこの実施形態によれば、ベークチャンバ4の周囲の部材が包囲隔離空間110によってベークチャンバ4から熱隔離される。そのため、複数のベークチャンバ4からの熱がウェット処理ユニット2Wや処理液供給装置100に伝わることを抑制または防止でき、したがって、ベークチャンバ4からの熱が、ウェット処理ユニット2Wにおけるウェット処理に影響を与えることを抑制または防止できる。これにより、ベークチャンバ4からの熱影響を排除した状態でウェット処理を行うことができ、ゆえに、ウェット処理における処理ムラの発生を防止することができる。
【0085】
また、ベークチャンバ4の周囲の部材が包囲隔離空間110によってベークチャンバ4内の雰囲気から雰囲気遮断される。すなわち、万が一、ベークチャンバ4からオゾンガスが流出した場合であっても、流出したオゾンガスを包囲隔離空間110により堰き止めることができ、これにより、流出したオゾンガスがベークチャンバ4の周囲の部材に進入することを抑制または防止できる。
【0086】
また、複数のベークチャンバ4の側方を包囲隔離空間110が包囲しているので、ベークチャンバ4からの熱や雰囲気が、ベークチャンバ4の周囲の部材に間接的に伝わることもない。ゆえに、ベークチャンバ4からの熱が、ウェット処理ユニット2Wにおけるウェット処理に影響を与えることを効果的に抑制でき、また、ベークチャンバ4の周囲の部材への、オゾンガスの進入を効果的に抑制できる。
【0087】
また、ベークチャンバ4の内部に内側チャンバ120(
内部チャンバ。図9F参照)が配置されている。このような二重チャンバ構造を採用するので、隔壁14を介してベークチャンバ4外へオゾンガスが流出することをより一層効果的に抑制することができ、これにより、基板処理装置1外へのオゾンガスの流出を、より確実に防止することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することも可能である。
【0088】
たとえば、前述の実施形態では、加熱ユニット8が、ホットプレート21が内側チャンバ120(下位置に位置するフード30およびベースリング27)によって包囲されているとして説明したが、ホットプレート21がこのような内側チャンバによって包囲されずに、ベークチャンバ4内に露出した状態で配置されていてもよい。
また、ベークチャンバ4内に加熱ユニット8および冷却ユニット7が収容された構成を例に挙げて説明したが、ベークチャンバ4内に加熱ユニット8のみが収容された構成であってもよい。
【0089】
また、処理液供給装置100が、装置本体31に隣接して配置されている必要はなく、同一のフロアにおける装置本体31と離れた位置に配置されていてもよいし、別フロア(たとえば階下)に配置されていてもよい。
また、第2のボックス102の内部空間が給気経路16(
図4参照)と連通しており、装置本体31内に取り込まれた外気が、第1のボックス101だけでなく、第2のボックス102にも流通するようになっていてもよい。
【0090】
また、基板処理装置1に搭載されるドライ処理ユニット2Dの塔の数が、ウェット処理ユニット2Wの塔の数と同数設けられている場合を例に挙げて説明したが、ドライ処理ユニット2Dの塔が、ウェット処理ユニット2Wの塔の数よりも少ない数だけ設けられていてもよい。また、各塔に含まれるドライ処理ユニット2Dの個数も適宜変更してもよい。
また、ウェット処理ユニット2Wが、平面視で、ドライ処理ユニット2Dに対しロードポートLPと反対側に配置されているとしたが、このようなレイアウトが採用されず、その結果、ウェット処理ユニット2Wとドライ処理ユニット2Dとが接近して配置されていてもよい、このようなレイアウトであっても、積層された複数のベークチャンバ4の側方を包囲する包囲隔離空間110によって、ベークチャンバ4からベークチャンバ4の周囲の部材を良好に熱隔離することができる。
【0091】
また、ドライ処理ユニット2Dで用いられる処理ガスとしてのオゾンガスを例示したが、他の処理ガスであってもよい。この他の処理ガスは、CF
4等のフッ素ガス、NH3等の人体に影響のある気体であってもよい。
基板処理装置1は、円板状の基板Wを処理する装置に限らず、多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
【0092】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。